スパイク「七煌宝珠?」 (500)

初ss投稿です
地の文ありのssが個人的に読むのが苦痛なので基本なしで行きますが
戦闘シーンだけは入れさせていただきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405714032

スパイク「なぁ、ジェットさんよぉ。チンジャオロースの次は麻婆豆腐かよ?って言うか肉のない麻婆豆腐って豆腐しか入ってねぇじゃねーか!!」

ジェット「いいや違うね。ねぎも入ってるし、豆板醤に甜麺醤、ラー油だって入れてる」

スパイク「ほとんど調味料じゃねぇか!!そんなんで腹が膨れるかよ!?」

ジェット「ならさっさと賞金首を捕まえてくることだな。周りに被害を出さずに!」

スパイク「…へーへー。で?次の獲物は?」

ジェット「こいつらだ。何でも『空賊』とかいう集団がのさばっているらしい。だがこいつ等自体は大した事ねぇ、こそ泥どもだ」

スパイク「はぁ…。どれもこれも飯の種にはなりそうもねぇなぁ…」

ジェット「あぁ。正直、雑魚ばっかりだ。でもコイツを見てくれ」カタカタ

スパイク「レッド…リンクス?なんでこいつ等だけこんな賞金が高いんだ?」

ジェット「あぁ、こいつ等も本来なら他の雑魚共と変わらないこそ泥だったんだが…。何やら今回はまずい物を盗んじまったらしくてな。アークエイルから懸賞金が出てる」

スパイク「何だ?その、アークエイル、ってのは?」

ジェット「あぁ?俺も詳しくは知らないんだが…。何でもエディルレイドって種族を保護してる公的機関らしい」

スパイク「ふーん…。エディルレイド、ね…。噂には聞いたこたぁあるが特殊な戦い方をするんだっけか?」

ジェット「個人差はあるが武道の達人でも敵わないらしいな」

スパイク「本当かねぇ…。んで、その赤い猫ちゃんは何を盗んだんでアークエイルなんぞに追われてるんだ?」

ジェット「知らん。ただこいつ等を捕まえて積荷を全部アークエイルに引き渡せば任務完了だ。余計な詮索はしないほうが賢いかもな」

スパイク「とりあえずちゃっちゃと片付けて旨いものでも食おうぜ」

―ガレージ―

スパイク「フフーンフフフーン」

ジェット「おい、スパイク!奴さんの母艦のデータを送るぜ。相手も『空賊』を名乗っている以上、空中戦は得意なはずだ。迂闊に近づくなよ!」

スパイク「へいへい。気をつけますよーっと」

ジェット「全く。ホントに解ってんのかねぇ、あの野郎…」ピッ

―宝物庫付近―

クード「今回も俺が居たかららくしょーだったなぁー!!にしても酷ぇーぜ。折角俺がかっこよく決めてる最中にもう撤退だーなんてよー」テクテク

クード「ん?あらららら…。宝物庫が開けっ放しじゃねーか!全く、無用心だなぁ…」

クード「…俺の活躍あってこその成果なんだから、少しくらい良いよな?」

クード「一足先にお宝拝っ見ーと」

クード「今回も大量だなぁ…。でもなーんかガラクタにしか見えないものも多いなぁ…この食虫植物をモチーフにしたモンスターの銅像とか、売れるのか…?」ガツッ

クード「ってててて!!何か足ぶつけちまったよ!…ん?棺桶、か?げぇー死体まで盗ってきたのかよー」

クード「あれ、さっきので蓋がズレちゃってるよ。中身腐乱死体とかだったら嫌だなぁ……!?女、の子!?」

クード「いやいやいや、こんな古そうな棺桶に腐らずに人間が入っていられる訳ないって!にしてもよく出来た人形だなー…」

クード「この飾り、邪魔だな。取っちゃお」スッ

クード「ほっぺとか、まるで本物のの女の子みたいだ…触ったことないけど」

???「…っ」パチッ

クード「うわぁ!!う、う、動いた!?」

???「貴方が、それ、取ってくれたの…?」

クード「へ?あ、あぁこの飾り?取っちゃまずかった…?」

???「ううん。ありがとう…。じゃあ、私行かなきゃいけないとこあるから」

クード「ど、どこ行くんだ?」

???「エディルガーデン…」

クード「エディル、ガーデン?聞いた事ないな…。俺達はこの大陸中を横断してるから、少なくともこの大陸にはないと思うぜ?」

???「どれだけ遠くても、行かなきゃ行けないの…」

クード「大陸を越えるとなると女の子独りじゃ無理だ!なんなら、俺が連れてってあげるよ!!」

???「良い、…ゲンハ、…ダカラ…」

クード「へ?」

???「なんでもない。兎に角、行かなきゃ…」

とりあえず、冒頭部分でした。
これ以降、書き溜めていないので、気が向いたら現われます。
初めてで勝手がわからないのでアドバイスとかもらえると、嬉しいです

ごめんなさい、クロス元を書き忘れました
エレメンタルジェレイドとカウボーイビバップです

寝る前に1レス分だけ…

―ガーディア―

スパイク「さーてと…。子猫ちゃーんどこにいるのかなー」ザザッ

ジェット『…おい!スパイク!!今お前がいる辺りでレッドリンクスらしき船を見つけたっつー垂れ込みがあったらしい!ISSP時代の同僚が回してくれた情報で、まだあまり広がっていないはずだ!』ザザッ

スパイク「おう!こっちも丁度それらしい船を見つけたとこだ、ぜっと」バビューン

―飛空艇内―

空賊A「親方ぁ!!後方から見たことないタイプのライトシップがこっちに突っ込んできます!!」

親方「落ち着けぇテメェら!!単機で突っ込んできたところで何が出来るってんだ!!慌ててる暇があったらこっちもライトシップを出せ!!」

クード「何事だよ親方!!」

親方「あぁん?クーか!敵襲だよ!!騒いでねぇでおめぇもさっさと機関銃座に…」

親方「クー…テメェこの非常時に女ぁ連れ込むとは良い度胸じゃねぇか!!」

クード「うっ…いや、これはその違くて…」

空賊A「親方ぁ!!赤い奴のほかにもう一機ライトシップが…あれは!!アークエイルのマーク!?」

クード「よっしゃ!なら俺もライトシップで出る!!」

親方「待ちやがれぇ!!テメェはライトシップの操縦なんざできねぇだろ!!」

空賊B「親方、クーの奴もうガレージのほうへ行きやしたぜ」

親方「ばっきゃろう!!んな事言ってる暇があったらさっさとクーを止めて来い!!」

やはりどちらも好きな人って少数なんですかね…
投下します

―飛空挺内ガレージ―

クード「さっきはごめんな、親方に頼んでみようと思ったんだがそれ所じゃなかったみたいだ」

???「良い。それより、どうするの?」

クード「今この船を下ろすのは無理そうだから俺がライトシップで地上まで送ってやるよ!」

???「貴方は、その後、どうするの?」

クード「そりゃあ、女の子を独りきりにするなんて不安だからな!さっきの約束通り、俺がそのエディルなんちゃらまで送り届けて…」

???「ありがとう。でも、ホントにいいの」

クード「あ、そうなの…?あー…ここまで明確に拒否されると悲しいとすら思わねーな…タハハ」

―飛空挺外部―

スパイク「おい!ジェット!!なぁにが余りもれてないはず!だよ!?明らかに三つくらい勢力がいるんだが!?」

ジェット『まぁ、一つはレッドリンクスの艦載機として、二つ目はアークエイルだろうな。公的機関ということで警察とも情報共有しているんだろう』

スパイク「じゃあ三つ目は!?あいつ等賞金稼ぎにしてもやること荒すぎるぜ!?」

ジェット『裏組織のモンだろうなぁ。あんな多額の賞金かけられてんだ、ヤバイ組織にとってアークエイルに渡っちゃまずい物なんだろう』

スパイク「チクショー!!アンタ、これがヤバイヤマだって解ってて俺に話持ってきたな!?これが上手くいったら極上に旨いもん作れよ!!」

ジェット『最初から言っておいただろ、余程まずい物を盗んじまったんだろう、ってな』ドカーン

スパイク「あ!!奴らとうとう母艦に攻撃おっぱじめやがった!!ぶっ飛んでるぜこの野郎!!」

ジェット『スパイクゥ!!絶対そいつ等より早く目標を確保しろよ!!じゃねぇと今晩はいよいよ麻婆豆腐から豆腐も抜かなきゃならん!!』

スパイク「んなこと言ったって目標が何かもわかんねぇんだぞ!?後、それはもはや料理じゃなく調味料だ!!」

―飛空挺内ガレージ―

ドォーン!!

クード「うわぁ!!な、何だ!?敵がカームシップに攻撃してんのか!?」

???「大丈夫、なの…?」

クード「あ、あぁ!なんたってレッドリンクスだぜ?俺が抜けたらちょっと手こずるかもしれないけど、親方たちなら…」

空賊B「く、クー!!早く、その子を連れて逃げろ!!船内に侵入された!!」

クード「船内に!?お、親方たちは!?」

空賊B「今交戦中だが、もうこの船はだめかもしんねぇ…。だがここは俺たちにとって家みたいなもんだ!最後まで戦ってやるさ!!だからクー、その子を早く!!」

クード「んな事できるかぁぁあ!!お、俺だってレッドリンクスの一員なんだ!!1人だけ尻尾巻いて逃げれるかよ!!」

空賊B「でも、その子はどうするんだ!?」

クード「君、悪いけど俺は一緒には行けなくなっちまった。でも、君だけでも逃げれるようにする!」

???「どうして…?どうしてそこまでしてくれるの…?」

クード「君が女の子で、困っているからさ!」

クード「さぁ、これを握って。ここを踏めばエンジンが動くから。大丈夫さ、地上に降りるくらいなら慣れてなくてもできる!」

???「でも!貴方はどうなるの?」

クード「大丈夫さ、俺にはこのワイヤーフックがあるし!」

???「…そんな鍵みたいな剣じゃ、殺されちゃう」

クード「心配ないって!それに、君には行かなきゃ行けないところがあるんだろ?」

???「君じゃない…。レヴェリー…メザーランス」

クード「え?」

レン「私の、名前…。でもレンで良い。長い名前、嫌い、だから」

クード「そっか!俺と一緒だな、レン!!俺は、クード・ヴァン・ジルエット!長いから皆クーって呼ぶんだ」

レン「クー。私にも、クーの手伝い、させて?」

クード「んな事言ったって、レンは戦えないだろ!?」

レン「クーと一緒なら…戦える。私、エディルレイド、だから…」

クード「エディル、レイド?」

???「それについては私からご説明させていただきます!!」

クード「誰だ、あんた?」

???「私、エディルレイド完全保護協会のシスカ、と申します!」

クード「エディルレイド完全保護協会…?そんな胡散臭い団体聞いたことねーよ。チビは帰んな」シッシッ

シスカ「それは!貴方が不勉強なだけです!!エディルレイド完全保護協会、通称アークエイルはれっきとした公的機関なのですよ!?」

シスカ「そして我々アークエイルが保護対象としているエディルレイドとは、人間と同契〈リアクト〉することによって力を発揮する種族なのです!!」

クード「レン、そーなのか?」

レン「うん。だからクー、私と、リアクトして…」

シスカ「ちょーっと待ったぁ!!そう簡単にリアクトしては駄目です、レンさん!!貴女は七煌宝珠なのですよ!?」

レン「でも、このままじゃクーが危ない…」バーン

シスカ「と、扉が…」

???「見つけた、七煌宝珠!!」

クード「何だ!?この黒装束!!それに、見たことない武器を!」

黒装束の剣撃をクードがワイヤーフックで受け止める。
が、勢いを殺しきれず壁まで飛ばされる。辛うじて気を失っていない程度だ。

レン「クー!!」

レンが叫ぶと同時に黒装束はシスカに襲い掛かる。
クードは叩きつけられた衝撃で立ち上がれずにいる。

シスカ「私を甘く見てもらっては困りますねっ!!」

黒装束の剣撃をバックステップでかわす。

黒装束「チッ」

すかさずシスカはマントの中からミサイルを発射する。
しかし、黒装束が剣を振ると斬撃が緑の勇者の剣ビームのようになり、ミサイルを数メートル手前で切り裂く。

シスカ「流石にリアクトした同契者〈プレジャー〉にこの程度の攻撃は通じませんか…」

まるで初めから攻撃が無駄であることが解っていたかのようにニヤリと笑うシスカ。
だがその額には汗が垂れており、それ程余裕ではない事が伺える。

レン「クー、大丈夫…?」

シスカと黒装束がやりあっている隙にレンはクードの元へ駆け寄っていた。

クード「アハハハ、かっこ悪いとこみせちゃったな…」

これくらい何でもない、とでも言うように照れ笑いを浮かべるクード。
しかし、その体は見るからにボロボロであった。

レン「クー…」

レンは一瞬悲しそうな顔をすると、クードの手を両手で包み込み、何事か呟きだした。
そのレンの口の動きに合わせてクードの口も動く。

「「あえかなる夜へ とぎつむぎ まなふたに栄ゆる

おもしめし そまどろ包み いし明かし

我といましと 息の緒に 相生う性の契り籠ん

あからしま風をまといたり 甘ない相具す うきかわさん」」

その瞬間、光に包まれ二人が見えなくなる。次第に弱くなる光の中、
レンの影はなく、クードの右腕になにやら大きな物体の影が見えるだけだった。

とりあえずクーとレンのリアクトまででした
今のところビバップ組はスパイクとジェットしか出す予定がないのですが、
他の面子も居たほうが面白そうではあるので思案中です。
次の投下は早ければ今晩にでも…遅いと週明けになるかも

さっきちょっと調べたら、親方じゃなくお頭でした…
なーんか違和感あるとは思ってたんですが…
脳内変換をお願いします。
少しですが投下します。

―飛空挺外部―

スパイク「!?なんだぁ!敵が!突っ込んだ穴からとんでもない光が漏れてきてるぞ!?」

ジェット『そいつぁ恐らくリアクトの光だな』

スパイク「りあくとぉ?なんだそりゃ…」

ジェット『お前さんが飛び回ってる間、こっちだって使える情報がないか調べてたんだ。そしたらエディルレイドについての情報が山ほど出てきてな。

どうやらエディルレイドの特殊な戦い方っつーのは人間と一体化して戦うって事らしい。まぁ、簡単に言やぁ武器に変身するんだな。

んで、その変身するのにはリアクトっつー儀式みたいなモンが必要らしいんだがぁ…

最初の一回だけは特別なため相当な発光現象が起こるらしい。恐らくそれだろう』

スパイク「んぁーつまりあれか?あん中で初体験しちゃった奴が居るってことか?」

ジェット『その例えはあながち間違っちゃいねぇな。エディルレイドは一度に1人の人間としか契約できないから、そいつらにとっちゃあ性行為と似たような感覚らしい』

スパイク「ずいぶん派手なロストバージンだこって」

ジェット『でもそうなるとアークエイルの狙いが大体つかめたぜ。レッドリンクスの連中、どうやらそのエディルレイドを盗っちまったらしいな。それもヤバイ組織からも狙われるほどの大物だ。奴らより先にそのエディルレイドを捕まえろ』

スパイク「さっき大人になったばっかの子を補導するおまわりさん、てとこかな」

ジェット『…お前は気に入ったのかも知れんが、いい加減その例えやめねぇか?』

スパイク「なんだぁ?一番野蛮そうな見た目しといて中身はお上品か?」

ジェット『もういいからさっさといって来い』ブツッ

スパイク「あぁ!?通信きりやがったよ全く…。そんなに下品だったかな…?」

スパイク「まぁ旨い飯のためだ、やりますかね」バビューン

―飛空挺内ガレージ―

クード「うっわぁ…何だこれ!!大きさの割りにほとんど重さがねぇや!」

クードの右腕には薄緑の大剣が引っ付いていた。

レン『クー。行くよ?』

クード「あぁ、これならやれる気がする!」

二人は未だ呆気にとられているシスカと、今にもシスカに襲い掛かろうとしている黒装束の間に割ってはいる。

黒装束「ちっ」

まずはクード達から仕留めることにしたのか、そのまま攻撃を続行する。クードはその攻撃を大剣で受け止めるが、先ほどのようにはならず、逆に弾き飛ばした。

クード「テメェらの目的はなんだ!!どうして俺たちを襲う!!」

黒装束「七煌宝珠を連れて行くこと…その為に邪魔なプレジャーは殺す!!」

叫ぶと同時にまたもや二人に飛び掛る。

レン『クー、今度はこっちからも仕掛けよう?』

クード「あぁ、俺もそのつもりだった!!」

クード達も黒装束の方へ駆け出す。目に見えないほどの交錯があった後、

黒装束「くっ…やはり七煌宝珠だけある…」

黒装束だけ倒れた。しかし、クードとレンのリアクトも解けてしまう。

レン「っ…」

クード「レン!?大丈夫か!!」

レン「スースー…」

クード「ってあれ?寝てるだけか…のん気なもんだなぁ」

お頭「クー!!大丈夫か!?」

クード「お頭!!まぁ何とか。他の皆は?」

お頭「もう逃げ始めてる!!敵は撃退したが侵入した際にエンジンをやられたみたいでな、じきにこの船は沈む。クーも早く逃げろ」

クード「そんな!!じゃあレッドリンクスはどうなるんだよ!?」

お頭「オメェはそんなことよりその子を守ってやんな!!」

クード「って言うかお頭!!ライトシップは後一機しかないぜ!?」

お頭「つべこべ言ってねぇでさっさと行け!!こっちはこっちで何とかするからよ!!」

シスカ「あ、ちょっと待ってくださいよ!!レンさんは私と来て頂かないと!!」

クード「アースクエイクだかなんだか知らないけど…」

シスカ「アークエイルです!!」

クード「まぁどっちでも良いや。で、レンをどこに連れて行こうってんだ!!」

シスカ「それはもちろん、エディルレイドが安心して暮らせる場所ですよ!」

お頭「嬢ちゃんはちょっとこっち来い!」

シスカ「え、え、えぇぇ!?な、何されるんですか私!?」

クード「ちょ、お頭!!」ドゴォーン

クード「うわぁ!!扉が…つーか天井も崩れてくる!?迷ってる暇はない、か…」

―飛空挺操舵室―

スパイク「っかしいなー。何で誰もいねぇーんだ?」

スパイク「これじゃ目標どころか誰も見つかんねーぞ…ん?」

スパイク「このモニターで船内が見える訳か」

スパイク「こりゃあ…エンジンがやられてんなぁ…早いとこ脱出しないと賞金どころじゃねーな」ガクンッ

スパイク「うわぁあ!!急に高度が下がり始めやがった!!ちくしょ、しかたねぇ逃げるか!!」

画面の隅には大男と少女が映し出されていた。ちょうど大男が上着を脱ぐところだった。

―飛空挺外部―

クード「うわっとと!えーと…着陸さえ出来りゃいいから…どの辺が良いかな…」

レン「ぅん…??」

クード「あ、レン!目が覚めたか!!」

レン「これは…何?」ワナワナ

クード「へ?ライトシップだけど…」

レン「空を…飛んでる…」ワナワナ

スパイク「何とか逃げたのは良いが結局収穫なし、か…」

スパイク「ん?前飛んでる奴なんか危ねぇな…。異様にフラフラしてやがるぜ」

スパイク「良く見りゃレッドリンクスの一員じゃねぇか!?捕まえて情報を頂くとしようか…」バババババ

クード「うわぁ!!なんか後ろのライトシップ撃ってきてるし!?」

レン「クー!!ちゃんと前見て!!」

スパイク「沈めねーよーにしねぇと…くそっフラフラ飛びやがってぇ!!じっとしてろってんだ!!」

クード「うわわわわ!!無理無理無理!!」バコーン

スパイク「あっ…あぁもう!!だぁからじっとしてろつったのに!!」

クード「やべ、落ちる!!レン、つかまれ!!」

レン「うん!」

クード「うりゃあ!!」シュンガキッ

スパイク「おぉ、やるなあの少年。ワイヤーフックで咄嗟にぶら下がりやがった」

スパイク「まぁ、こっちにしてみりゃ好都合だがね…ジェット!!」

ジェット『あいよ、捕まえたか?』

スパイク「いや、侵入したら既にもぬけの殻だった」

ジェット『ぬぁに!?じゃあなんの手がかりもなしか!?』

スパイク「いや、そうは言ってねぇよ。今俺の下に二人ほどぶら下がってる。恐らくレッドリンクスの奴だ」

ジェット『でかした…とまでは行かないにしろ収穫はあったんだな、珍しい。じゃあ今から拾いに行く。逃がすなよ?』

スパイク「大丈夫さ、奴らが死ぬ覚悟で飛び降りない限りはね」ピッ

とりあえず今回はここまでで
遅筆ですみません
今晩はちょっと無理かもです…

お待たせしました!!
この連休でエレメンタルジェレイドを半分くらい借りてきたので大分クーとレンの
話し方思い出しました!!
少しですが投下していきます

―ビバップ号―

ジェット「で?お前らは何を知ってる?」

クード「な、何のことだよ!?まさかお前らもレンを狙ってんのか!?」

スパイク「レンって言うのか、そっちの子。生憎だが、少女を襲う趣味はないよ」

レン「スースー…」

クード「じゃあ俺たちを解放しろ!!」

ジェット「おっとそうはいかねぇ。お前、レッドリンクスの一員だろう?実は今な、レッドリンクスには莫大な賞金がかけられてるんだ」

クード「あんた等賞金稼ぎか…」

スパイク「ご名答。で、君はどうしてレッドリンクスがこんなに高い賞金かけられてるか…心当たりあるかい?」

クード「さぁな。知っててもこんな扱いじゃ話す気にもなんねーよ」

スパイク「解った。じゃあ取り敢えず拘束を解いてから話し合うとしようか」

ジェット「おい、スパイク。大丈夫なのか?」ヒソヒソ

スパイク「心配しすぎだぜ。もし暴れられたとしても、あんな少年に遅れを取るほど衰えた覚えは無いね」ヒソヒソ

スパイク「さぁ、これで体は自由になった。知ってることを話してもらおうか」

クード「賞金稼ぎなんざに話すことは無いね!!」シュッ

クードは天井に向けワイヤーフックを放つ。
そして飛び上がるとスパイクめがけて蹴りを飛ばした。

スパイク「良いねぇ!そうこなくっちゃ!!」

スパイクはそれを難なくかわすと、着地するかどうかの所に回し蹴りを放つ。
クードはそれに気付いたが、回避しきれず右肩に蹴りが擦る。

クード「うわぁっ!!」

ワイヤーフックが絡まりそのまま振り子のようにスパイクの元へ戻っていく。

スパイク「男なら!!ガキだからって手加減しないぜ…!!」

そう叫びながら弧の軌道にあわせて膝を突き出す。
しかしスパイクの膝が決まることは無かった。

ジェット「馬鹿野郎!!気絶させたら目ぇ覚めるまで話聞けねぇじゃねぇか!!」

そう言ってジェットがクードのぶら下がっているワイヤーをつかんで止めたからだ。

クード「な、馬鹿にすんなよな!!そんな臭い足で蹴られたぐらいじゃ気絶なんてしねーぜ!!」

スパイク「なぁ、ジェット…やっぱこいつにゃあ一発ぶち込んどくべきじゃねぇか…?」

ジェット「あぁ…俺は鉛弾ぶち込みたくなったぜ…。でも殺しちまったら情報がパーだ。堪えろ」

クード(こ、怖ぇぇえ!!何なんだこいつ等!!お頭並みの迫力だぜ…)

スパイク「仕方ねぇなぁ…。おい、坊主!暴れなきゃもう乱暴はしねーから、取りあえず座れよ」

クード「は、はい!…じゃなくて…ひ、人攫いの癖に偉そうにしてんじゃねーぞ!!」

ジェット「はぁ…なんでこう最近のガキは面倒くさいのかねぇ…」

スパイク「言ってる事がおっさんみてぇだぞ、おい」

クード(どっちもおっさんじゃん…」

スパイク「ん?何か言ったか、少年。『お兄さん』、ちょっと良く聞こえなかったなぁ」

ジェット「スパイク…流石にお兄さんは無理があるだろ」

スパイク「ぅるせー!!老け顔30代に言われたかねーよ!!」

ジェット「何ぃ!?お前らなぁ、人を見かけと髪の毛で判断するなよ!!」

クード(今のうちに…)ソローリ

クード「レン、起きろ。レン」ヒソヒソ

レン「ん…クー?どうしたの…?あれ、ここ、何処…?」

クード「良いから、今は兎に角逃げるぞ」ヒソヒソ

スパイク「で、逃げる算段は立ったかい?お二人さん」

クード「げっ…わぁーったよ、逃げねぇ逃げねぇ」

ジェット「それで?心当たりはあるのか、ないのか?」

クード「あるっちゃあるけどよぉ…」チラッ

レン「…?」

スパイク「ん?そーいやレンちゃんは何者なんだ?空賊って感じでもねぇし…」

ジェット「あぁ、成る程な…。大体解ったぜ、スパイク。恐らく、そのレンって子が今回のヤバイブツだな」

スパイク「あぁ!そーいやエディル何ちゃらを盗んだんで追われてるんだっけか」

ジェット「エディルレイド、な。と言うか忘れてたのかよ…。俺ぁてっきりこのガキから情報引き出すためにすっとぼけてんのかと思ってたぜ…」ハァ

スパイク「…悪かったな!その子がエディルレイドで、その力欲しさにヤバイ組織からも狙われてる、と」

ジェット「こりゃあ深く関わらん内に賞金と引き換えしたほうが無難だな…」

スパイク「まぁ、二人にとってもこんなオンボロ漁船にいるよりアークエイルだか何だかに保護してもらった方が安心だろうしな」

クード「待ってくれ!!レンは、エディルガーデンに行きたいらしいんだ!!」

スパイク「エディル…なんちゃら?」

ジェット「エディルレイドの時と変わってねぇぞ…ハァ…。で、そのエディルガーデンとやらは何処にあるんだ?」

クード「連れてってくれるのか!?」

ジェット「もちろんタダでとはいかん。エディルガーデンに連れて行った後、アークエイルに引き渡す」

スパイク「おいおいおい、ちょっと待てよジェット!!正気かっ!?その間に逃げられたらどーすんだよ!?」

ジェット「そしたらまた捕まえるさ。俺を誰だと思ってる?噛み付いたら離さない、ブラックドックだぜ」

スパイク「マジに言ってんのか!?」

ジェット「この船は俺のモンだ。俺の決定に不服なら出て行くんだな」


チョットコイスパイク
ナンダヨオレハゼッタイニ…
ヒソヒソ…ヒソヒソ…ヒソヒソ…


スパイク「他に行くあてがあるかよ…。まぁ道中、絶対奴らも襲ってくるだろうしな。もしかしたらエディルレイドと戦えるかも知れないと思うとちょっと楽しみだ」

クード「やったな、レン!!この人達がエディルガーデンまで連れてってくれるって!!」

レン「…うん!よろしく、お願いします…!!」

ジェット「なーら決定だ。そういやまだ名乗ってなかったな。俺はジェット・ブラックだ」

スパイク「俺はスパイク・スピーゲル。よろしくな」

クード「クード・ヴァン・ジルエット!!クーって呼んでくれ!」

レン「レヴェリー・メザーランス…です。レンでいいです」

ジェット「で、問題のエディルガーデンってのは何処にあるんだ?」

クード「そーいや聞いてなかったっけ…。レン、知ってる?」

レン「解らない…」フルフル

クードスパイクジェット「「「え…?」」」

オチがついたっぽくなったので今回はここまでです
最後にヒソヒソの内容だけかいておきます
非常に少ないんですけどね
上の文中に入れてたんですが何か変に感じたのでここだけ別に書くことにしました

ジェット「寧ろ今高圧的に出て無理やり逃げられるほうが不味い」ヒソヒソ

ジェット「それに、送り届けるったってこの時代、太陽系の端っこまで行くのにも何年もかからんだろーよ」ヒソヒソ

ジェット「今回の報酬、俺たちが5年間凶悪犯を捕まえ続けても遠く及ばねぇ額だ。これを逃す手はねぇ」ヒソヒソ

スパイク「成る程な…。解ったぜ、その話、乗った」ヒソヒソ

見てくれてる人居るのか心配になってきましたが…
取りあえず完結までは投下するつもりです、はい

ジェット「まぁ、解らんものは仕方がない。少なくともこの星のどこかなのは確かなんだろう?」

レン「うん、エディルレイドはこの星にしかいないから…」

スパイク「ったってエディルガーデンとやらを見つけるまでの費用はどーすんだよ!?」

クード「そんなの盗んじまえばいーんだよ!!」

ジェット「クード、俺達は空賊じゃねぇんだ。賞金稼ぎが賞金首になっちゃあ元も子もない」

クード「じょ、冗談だって…。じゃあ、賞金首捕まえてけばいいんじゃねーか?」

スパイク「そうは言うがな…。本業の俺たちが貧乏生活してんだぞ?なのにこれからは4人分稼ぐとか…無理だろ」

クード「本業って言うなら俺達だって賞金掛けられる側なんだから、あんた等追っかける側よりも有利だと思うぜ?」

ジェット「なるほどなぁ…。各地を回る事でエディルガーデンに関する情報も手に入るかも知れんしな」

クード「レンも、それでいいか?」

レン「クーと一緒なら…」

クード「レン…//」

スパイク「あーあーアツいアツい。外でやってくれませんかね、お二人さん?」

レン「…?」

クード「な!?んなんじゃねーよ!!」

ジェット「はぁ…。この先こんなで大丈夫なのかね…」

レン「心配…?」

ジェット「あぁ、野郎二人がな…」

レン「大丈夫…。クーもスパイクも良い人」

ジェット「いいや違うね。あぁ言うのはお人よしっつーんだ。賞金稼ぎには向かねぇ」

レン「でも…良い人」

ジェット「あぁもう解った解った!」

レン「ジェットも…良い人。お母さんみたい」

ジェット「俺がかぁ!?はぁ…これだからガキは嫌いなんだ…」

スパイク「いいじゃねぇか、ジェット。お母さんってぴったりだぜ、アンタに」

クード「えぇーでもこんなハゲたお母さんなんて嫌だぜ、俺…」

ジェット「よぅし解った。クー、お前は今日飯食いたくねぇんだな!!」

クード「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!何で俺だけ!?」

スパイク「気にすんな、どうせ今日の晩飯じゃ腹は膨れねぇから…」ゲンナリ

ジェット「今日のメニューは特製麻婆豆腐だ」

スパイク「肉も豆腐もないものをまだ麻婆豆腐と呼べるのなら、ね…」

―繁華街―

ジェット『おい、スパイク。見つけたか?』

スパイク「まだ街に出て十分も経ってねぇんだぜ?そんなすぐに見つかったら苦労しねぇぜ」

ジェット『クーはどうだ?』

クー『いやー何にもー…』

レン『クー、あれ…』

クー『あ!!あいつは…ブツッ』

スパイク「なんだぁ?見つけたのか、あいつ等?」

ジェット『解らん、だが通信が切れたのは確かだ。さっきまで二人が居たとこの位置情報を送る。向かってくれ』

スパイク「おーきーどーきー」

スパイク「…っとそうも行かないみたいだ」

ジェット『どうした?』

黒装束「レヴェリーメザーランスは何処だ…?」

何処からともなく二人組みの黒装束が現れ、スパイクに近づいてくる。

スパイク「さぁな。今は別行動中だからホントに知らねーぜ?」

黒装束「そうか…。ならば言いたくさせてやろう」

黒装束はもう1人の手を掴む。

スパイク「させるかよ!!」

その瞬間、スパイクは蹴りを二人の間に放つ。

スパイク「ジェット、アンタがクー達のところ行ってやってくれ。恐らく、レッドリンクスを襲ったのと同じ連中だ」

黒装束がリアクトしないように牽制し、二人の距離を開かせる。

ジェット『なにぃ?あの黒装束どもか?』

スパイク「あぁ、レンを探してるようだ。あの二人なら退けることは簡単だろうが、数で圧倒されちまったら…」

ジェット『解った!テメェの心配はしねぇからな?そっちは自力で何とかしろ』

スパイク「へーへー。じゃ、そっちは頼んだぜ」ブツッ

スパイク「さぁてお待たせさん。かかってこないのかい?それとも、二人でお手手を繋がなくちゃ戦えない、か?」

スパイクはクイクイと手で相手を煽る。
黒装束達はリアクトする隙を窺っているのか、スパイクを中心にジリジリと回る。

黒装束「くっ!!」

片方の黒装束が苦し紛れにナイフで攻撃を仕掛ける。それをスパイクはヒラリとかわすと足を引っ掛ける。

黒装束2「チッ」

もう一人の黒装束がスパイクの背後から襲い掛かる。

スパイク「おっとそうはさせねぇぜ!!」

後ろ回し蹴りで先ほどとは逆方向に飛ばす。

スパイク「リアクトされると面倒だからな。その前にぶちのめさせてもらう!!」

追い討ちをかけようとするスパイクの脚を倒れていた黒装束が掴む。

スパイク「チィッ!!テメェは寝てろ!!」

顔面に蹴りを入れる。すると軽い脳震盪を起こしたのか、気を失った。

黒装束2「こちらには居ません、はい、はい、ですがレヴェリーメザーランスと面識のあると思われる男が…」

その間にもう一人はどこかへ連絡しているようだった。

スパイク「よそ見してていいのか、よ!!」パァンパァン

通信機と思しき機械に銃弾を命中させ、弾き飛ばす。

黒装束2「もう貴様に用はない」

そう言い残すと閃光手榴弾の様に体を発光させる。

スパイク「くそッ…!!」

スパイクが視力を取り戻したときには既に二人の姿はなかった。

―クー&レンサイド―

レン「クー、あれ…」

レンが指差した先には黒装束がいた。

クード「あ!!アイツは…!!」ガシャン

と、そのタイミングでクードは通信機を取り落としてしまった。

クード「うっわぁ…何で落としただけでここまで壊れるかなぁ…」

レン「ジェットに…怒られる…?」

クード「だろうなぁ…。っとそうじゃねぇ!!あいつを追わなきゃ!!」

レン「うん、行こう」

黒装束は丁度路地裏へと入っていくところだった。クードとレンも急いでその後を追う。
しかし、路地を曲がってすぐ違和感に気付く。

クード「チッ…。嵌められたっぽいな…」

路地裏で待ち構えていたのはリアクト済みの黒装束三人だった。

レン「クー!!」

クード「おう!!」

敵が襲い掛かってくる前にリアクトする二人。

黒装束「レヴェリーメザーランスを渡せ!!」

そう言って三人同時に飛び掛ってくる。

クード「何なんだよ、お前ら!?何故レンを狙う!?」

敵の攻撃を何とかいなしながら問いかける。

黒装束「答える義理はない!!」

背後から一人と、正面から一人突っ込んでくる。もう一人は少し離れた場所で唄を謡っている。

レン『クー、気をつけて。エディルレイドはリアクトの時以外にも唄があって種類によっては強力な攻撃が出来るの』

そう言っている間にも敵は迫る。背後から来る敵は剣圧のようなもので弾き飛ばし、正面の敵は寸でのところで攻撃を受け止める。

クード「じゃああの奥で謡ってるのは俺たちへの攻撃か!!」

レン『うん。だからこの人達は時間を稼いでるんだと思う』

クードは敵の攻撃を受け止めたまま、左手でワイヤーフックを取り出し、謡っている黒装束の上辺りに投げる。
それを引っ張り黒装束の顔面に蹴りを入れる。

クード「へっ、そんな事させるかっつーの」

レン『クー、後ろ!!』

得意げになっているクードの後ろから最初に吹き飛ばされた黒装束が襲い掛かる。

クード「くっ」

またしてもギリギリで受け止めるが、今度は左手からもう一人の黒装束が攻撃を仕掛けてきた。

クード「ぐぁぁああ!!」

ガードできず黒装束の攻撃が直撃する。

レン『クー!!大丈夫…?』

クード「あぁ、俺は何とか…。レンこそ大丈夫か?」

レン『平気…。それよりもクー、私に合わせて謡って…』

敵に突き飛ばされたため、黒装束達との距離が空いていた。

「『仕る青龍集わり 強り奔らせ

白白明けと 朧なりに

いめ通わん』」

そのため詠唱が間に合う。

クード「ノトスコォォード!!」

真っ直ぐに衝撃波が飛んでいく。黒装束三人はまとめて吹き飛ばされ、リアクトも解除されてしまう。

黒装束「くっ…」

そして諦めたのか退却していった。

クード「やったな!レン!!」

するとレンもリアクトを解く。

レン「うん…ネム…」

クード「だ、大丈夫か!?」

レン「ちょっとだけ…寝る…」

クード「な、な、な、レン!?そ、そんなくっつかれると…//」

ジェット「大丈夫か!?クー!!レン!!…ってテメェら…」

クード「いや、違うんだって!!これは、その、さっきまで敵と戦ってて…!!」

ジェット「うるせぇ!!心配して損したぜ!!ったく」

クード「ホントだって!!例の黒装束だよ!!でもレンとの協力でなんとか撃退したんだ」

ジェット「まぁ後でレンに聞いてみりゃ解る話だ」

クード「俺の信用はゼロなのかよ…」

今回はとりあえずここまでということで…
見てる人居ないっぽいけど続けても良いんでしょうか…
取りあえず、更新するとしたら次は早くて週明けと思います。

エレメンタルジェレイドを知ってる人ってあんまり想像できんよな……
俺は好きだけど

>>45
レンちゃんの可愛さを知らないなんて勿体無い人が多いんですよね…

なんかちょこっと見てくれてる人増えた感じですかね
ではご期待にお応えして少しだけ…

―ビバップ号―

スパイク「で?俺が敵にボコボコにされてる間、二人でイチャイチャしてたって訳か?」

クード「あんた全然ボコボコにされてねーじゃん!!あと、今の説明でどう解釈したらそーなるんだよ!?」

ジェット「兎に角だ。レンが狙われているのは確かなんだな?」

レン「私が…七煌宝珠だから」

スパイク「しちこーこーじゅ?」

クード「しちほーこーじゅだろ?」

レン「七煌宝珠」

ジェット「お前らなぁ…」ハァ

クード「しちほーほーじゅ!!」

ジェット「もうそれは良い!!」

スパイク「レンが狙われてるんならこれからは個別行動は避けたほうがいいな」

ジェット「そうだな。レンとクーには二人一組で行動してもらう。最悪襲われたとしてもリアクトして時間稼ぐくらいできるだろうしな」

クード「へっ、あんた等の助けなんかなくたって俺とレンなら敵が来ても楽勝だぜ!!」

レン「…」

クード「どうした?レン」

レン「何でもない…。もう寝る」

ジェット「なんだぁ?体調でも悪いのか、あいつ?」

スパイク「さぁな…。ただ、クーが楽勝楽勝言い出したとこから変だったな」

クード「俺が…なんか気に障ること言ったのかな…?」

ジェット「まぁ俺たちにはエディルレイドの気持ちは解らんからなぁ…」

スパイク「例えば、だが…。昔人間に力だけを求められてた、としたら…」

ジェット「さっきのクーの発言はトラウマを抉ったことになるわな」

クード「う…」

スパイク「早く行って来いよ、クー。女は怒らすと怖いぞ?」

ジェット「あぁ、そうだな…。何をされるか解ったモンじゃない」

クード「何で二人ともそんな遠い目してんだよ…。行くけどさぁ…」

スパイク「うっせ。おっさんには色々あんだよ」

ジェット「うんうん、寧ろ若いうちに色々経験しとけ」

クード「あーはいはい。反面教師にさせていただきますよー」ヒラヒラ

―レンの部屋―

コンコン

クード『レン、ちょっと良いか?』

レン「…うん」ガチャ

クード「レン、さっきのことなんだけど…。決して俺はレンを武器だとかそんな風には思ってないからな?」

レン「…何のこと??」

クード「へ…?あ、いや怒ったから部屋に行ったのかと…」

レン「何に怒ったと思ったの?」

クード「いや、べ、別に気にしてないなら良いんだ!」

レン「クーは、私のこと、好き?」

クード「!?な、ななな何言ってんの!?」

レン「私は、人間が嫌い…。私の力しか見ないから。でも、クーは変な人。エディルレイドだとか関係なく側に居てくれると思ってた」

クード「とーぜんだろ?」

レン「でも、さっきので…クーも同じなのかな、って思った」

クード「違う!!俺はレンのことそんな風に思ったことはない!!」

レン「うん、それは解ってる。けど、そんな風に考える私が嫌になったの…。クーは私のことをちゃんと私として見てくれてる」

レン「なのに私はクーのことクーとしてじゃなく人間として見ちゃってたのかな、って…」

クード「レン…」

レン「ごめんんさい、クー…。私、嫌な子…」

クード「そんな事ない!!俺はレンの良いとこいっぱい知ってるし、もしそんな風に考えちゃったんだとしても、それは今までレンに酷いことをしてきた奴らの所為だ!!」

クード「時間はかかるかも知れないけど、いつか俺を俺として見てくれればいいさ」

レン「クー…」

クード「さ、今日はもう寝よう?俺なら大丈夫さ!レンと一緒に居られるだけで嬉しいんだから」

レン「クー…私も。クーと一緒に居られて嬉しい」

クード「うん、じゃあおやすみ、レン」

レン「おやすみ、クー」

何かビバップの次回予告的なノリ書いてみたくなったんでちょこっとおまけを…

―おまけ―

スパイク「っとに女ってのは怖いよな…」

ジェット「全くだ。あいつも今頃何処で何してんだか…」ハァ

スパイク「お?何だ何だ、昔の女の話か?」

ジェット「違う、あのギャンブル女の話だ。あの野郎、金目のモンほとんど持ち逃げしやがって…」

スパイク「案外心配してんのな、アンタ。やっぱお母さんだぜ」

ジェット「違う!!俺が心配してんのはあいつが持ち逃げした金のほうで…ってこのやり取り、前にもしたな」

スパイク「あぁ、そんで前と同様、今回も元々この船にゃ金目のものなんて大してなかったさ」

ジェット「あぁ?そうだったか…?」

スパイク「それより、あの犬コロと馬鹿は何処に行ったんだ?」

ジェット「パソコンいじりながら『フェイフェイみーっけ!!』って言いながら出てったぞ」

スパイク「この船に小型船って俺のとお前のしかないだろ、今。どーやって出てったんだ?」

ジェット「スパイク、たまには自分の機体気にしたほうがいいぜ」

スパイク「…これだから女とガキと獣は嫌いなんだ」ハァ

おまけ書いてるとき思いの外楽しかったので今回もおまけから始めます。
おまけとは言いつつも本編で説明不足な点の補修的な意味もありますので悪しからず…

―おまけ2―

クード「結局、今回は賞金首捕まえられなかったなぁ…」

スパイク「賞金稼ぎ何ざ大半が骨折り損のくたびれもうけだ。そんな甘いもんじゃねぇさ」

ジェット「普通ならもう少し楽な生活ができるんだがな…」

クード「??借金でもあんのか?」

スパイク「借金をたんまり溜め込んでる奴なら居るな。今はちょっと出てるが」

ジェット「それにしたって俺たちがこんなに貧乏なのは、お前が賞金首捕まえる度に周りに被害ばっか出すからだよ!!」

スパイク「へーへー次からは気を付けますよー」

ジェット「ったく、ホントに解ってんのか?」

クード「所でさ、今回のターゲットって何やらかした奴なんだ?」

スパイク「そーいや俺も、外見的特長だけ一通り教えられただけで名前すら聞いてねぇな」カチッシュボッ

クード「えーと…確か、全体的に黄色で痴女みたいなカチューシャ女、だっけ?」

スパイク「…ん?ちょっと待てよ。改めて聞くととっても心当たりがあるんだが…」

クード「へ?スパイクの元カノとか?」

スパイク「冗談でもよしてくれ…。あんなのと恋人だなんて頭イカレてるとしか思えねぇ」フー

ジェット「全くだ」フー

クード「えぇと、ターゲットの名前は…フェイ・バレンタイン?」

スパイク「やっぱりかよ…道理でアンタがターゲットの情報を隠したがるわけだ…」

クード「懸賞金出してんのは…エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世ぃ??無茶苦茶な名前だな…」

スパイク「そっちも身内かよ!?まぁた異様に賞金すくねぇんじゃねーのか?」

ジェット「懸賞金出してるのがエドだってとこまでは見てなかったぜ…」ヤレヤレ

スパイク「いや、アンタ絶対全部知ってて黙ってたろ!?」

クード「賞金は…七百万!?いや、7の後に小数点があるぞ…?」

スパイク「ハァ…真面目にやってたのが馬鹿みたいだ…」

―ビバップ号―

ジェット「クー、お前は確かにレンとリアクトさえすれば戦えるかもしれない。だがな、その能力には限界があるし、レンに負担を掛けることにもなる」

スパイク「そこで俺がクーを鍛えてやることにした。お前がヘマしてレンを連れ去られても困るしな」

クード「んなこと言ったって、そんなヒョロいおっさんに何ができんだよ」

スパイク「人を見かけで判断するな、ってことさ。そこのハゲも言ってたろ?」

ジェット「頭髪で判断するな、とも言ったがな」

スパイク「こりゃ失敬。俺はフサフサだから区別しやすいかと思ってな」

ジェット「とにかく、このテンパはこう見えてジークンドーの達人だ。多少マシにはなるだろーよ」

クード「ジークンドー?あの蹴り中心のやつ?」

スパイク「そ。まぁ何で攻撃するかはあんまり関係ないんだけどな」

スパイク「まず基本は全身の力を抜く。水の様になる事を意識するんだ。風でもいい」

クード「力を抜くったって戦うときに力入れなきゃ相手を倒せないじゃん」

スパイク「そうじゃない。相手がどんな攻撃をしてきても対応できるようにするんだ。そして相手の力を利用して倒す」

クード「だぁぁもう!!難しくて何言ってんのか解んねぇよ!!」

スパイク「実際体感してみると解るかもな。ほら、力いっぱいかかってきてみろ!!」

クード「偉そうなこと言って、怪我してもしらねぇぞ!!」

クードはワイヤーフックをスパイクの方へ放つ。
スパイクは頭を動かすだけでそれを難なく避ける。

スパイク「ほらほら!!そんなんじゃ当たんねぇぞ!!」

スパイクは煽るが、それに対しクードはニヤリと笑う。

クード「はじめからアンタにこれが当たるとは思ってねぇ、よ!!」

クードがワイヤーを軽く引くと、クルクルとスパイクの腕に巻きつく。

スパイク「へぇ!!こんな使い方も出来るのか」

クード「関心してる場合かよ!!もうこっちのもんだぜ!!」

完全に巻きつくと、クードはワイヤーを更に引っ張りスパイクを手繰り寄せる。
それと同時に飛び上がって蹴りを入れる。次の瞬間には決着が付いていた。

クード「っ…!!」

床に叩きつけられ、声もでない様だった。

スパイク「中々やるな。でも、近接戦闘じゃあ負けねぇよ」

スパイク「ちょっとは理解できたか?」

床に倒れたままのクードを頭のほうから覗き込み尋ねる。

クード「あぁ…何となくだけど。痛ててて…」

ジェット「ま、これからしばらく面倒みてもらうんだな」

クード「よろしく頼む…。レンを守れるようになりたい」

スパイク「あんまり思いつめるなよ?力だけじゃ女の子は守れないぜ」

ジェット「それに女ってのぁ守られるだけじゃ不服らしいしな」

クード「え?でも俺はお頭に何があっても女の子は守れって育てられたぜ?」

スパイク「じゃあ一つ聞こう。そのお頭さんに恋人や妻は居たか?」

クード「そういやぁ聞いた事ねぇな、そんな話…」

スパイク「因みにこのハゲ頭のおっさんはさっきの理由で昔女に捨てられてんだ」

ジェット「スパイクテメェ…いい加減にしねぇと生身のまま宇宙に放り出すぞ」

スパイク「おーおー怖い怖い!ま、よくよく考えるこった。女は思ってること言わねーくせに察せないと怒るからな」ヒラヒラ

クード「レンが…思ってること…」ブツブツ

取りあえずここまでです
正直、今回はおまけが投下できりゃ満足だったので本編は軽めで
次回は八月の第2週目になるかと…それまでちょこっと忙しいので

予告だけ投下しておきます

スパイク「なぁ、女ってのぁ何考えてんだかさっぱりだな…」

クード「どうしたんだよ、急に?」

ジェット「いやぁ、確かに解らん。ある日急に仲間になったと思ったらいきなり出て行って…」

スパイク「挙句の果てに仕事の邪魔までしてきやがる…」

レン「誰の話…?」

スパイク「跳ねっ返りで気の強い女さ…。ジェットがご執心だったんだ」

クード「へぇ…こんなおっさにもそんな時代があったんだなぁ…」

ジェット「出会ったのは三ヶ月前だがな」

クード「結構最近じゃねーか!?」

レン「ジェット…思春期?」

スパイク「そりゃオモシれぇ!!」

ジェット「…ハァ」
―――――――
???「クシュンッ!!あーやだ、風ひいたかしら…」


ROM専がいるのも忘れないでね(小声)

お久しぶりです
ちょっとだけ投下していきます

>>65
ROM専すらいないと思ってました
嬉しい限りです

―ビバップ号―
クード「フワァーあ…。オハヨー、ジェットぉ朝飯何ぃー?」

ジェット「ん?クーか、飯ならもう少し待て。今日はガニメデ名物海鼠だ」ジャージャー

スパイク「おいおい…あれ高級なだけで美味しくないっつったのアンタだぞ…」

ジェット「ガニメデに住んでる元同僚が『たくさん貰ったけど不味いからお前にやるよ』って言って送ってきたんでな」

クード「『美味しくない』ならまだしも『不味い』は聞きたくなかったぜ…」

ジェット「俺だって進んで食いたかぁないさ。だが金がねぇんだ、諦めろ」

スパイク「まぁ、俺ぁアンタの腕を信じるぜ、ジェットさん」

ジェット「そんなことより、飯食ったら出るからな。次のターゲットはコイツだ」

クード「えぇー不味いもん食ってすぐ働くのかよー」

スパイク「逆に考えるんだ、旨いもん食うために働こう、ってな…」ハァ

レン「おはよぅ…」

クード「おはよう、レン!」

スパイク「オハヨーさん…今日は朝っぱらからうんざりするようなニュースがあるぜ…」

レン「…?」

ジェット「今回はコイツだ」カタカタ

クード「ビーゾン…?何モンだよ、このモジャモジャ」

スパイク「きっとコイツも好きでモジャモジャなんじゃないさ…」

レン「スパイク…モジャ友…?」

スパイク「勝手に変な造語を作るんじゃねぇ…」

ジェット「下らん話はいい。こいつは人身売買をしているらしい。最近はエディルレイドを特に探しているって話だ」

クード「人身売買も許せねぇけど、エディルレイドを物みたいに扱うのも許せねぇな…!!」

スパイク「仕方ないさ、そういう輩がいるからこそのアークエイルだろうしな」

ジェット「あぁ、今回の賞金もそのアークエイルから出ている。人身売買だけなら見逃してもらえてただろうが、エディルレイドに手を出し始めちまったせいで追われている」

クード「なんだよそれ!!エディルレイドだとか人間だとか、そんなの関係ないだろ!!」

レン「クー…。でも、エディルレイドが差別されてるのは事実だから…」

スパイク「そーだな。そもそもそんな事俺たちがどうこう言って変わるモンでもないし、益体ないことは考えないよーにするのが吉だぜ」

ジェット「それよりも、そんな奴を一人でも多く捕まえて世の中を正しい方に導く方が有益だぜ」

スパイク「元デカのアンタらしい発言だぜ…。俺ぁ自分の周りだけでも守れるように強くなったほうがよっぽど良いと思うがね」

クード「アンタはアンタで、らしい発言だな…」

ジェット「所で…さっきから箸が進んでねぇぜ、お前ら」

レン「マズイ…」フルフル

スパイク「しかたねぇ、空腹でも働くか…」

―エレ・ブランカ―

スパイク「しっかし、何で所在地まで掴めてて他の賞金稼ぎたちは捕まえにこねーんだ?」

ジェット『いや…その町を訪れる賞金稼ぎは後を絶たないらしいが、全員行方不明になってる』

クード「え!?ちょっと待てよ、ジェット!!それって結構ヤバイ敵ってことじゃん!!」

ジェット『この惑星が賞金首制度を導入したのがつい最近だからな…。賞金稼ぎたちもエディルレイドについての知識に乏しいんだろう』

スパイク「つまり、相手はエディルレイドプレイヤーの可能性が高いわけか」

クード「惜しいけど間違ってるよ…」

レン「スパイク、私とクーも居るから平気…」

スパイク「あぁーまぁ、そうか…。ま、相手が何者だろうと負ける気はしないがね」

クード「まぁ、悩んでても仕方ねーしそろそろ行こうぜ!」

スパイク「お前なぁ…はぁ、まぁいいか。じゃ、俺はこのソードフィッシュで上空から敵の気を引く。その間にクー達は城に潜入しろ」

クード「んで、あのモジャモジャを見つけ次第ぶっ飛ばせばいいんだろ?」

レン「殺しちゃ、駄目…お金にならないから…」

クード「わーってるよー…。そもそも人殺しなんてしたくねーし」

スパイク「人の死に目になんざ出くわさない方が幸せさ…」

ジェット『お前の思い出話はどうでもいいから行くならさっさと行け』

スパイク「へーへ。人遣いの荒い船長さんだぜ…」バビューン

―クー&レンside―

クード「こーいうのは正面から行くとトラップだらけでやられちまうのが定番だよなぁ…」

レン「じゃあどうするの?」

クード「空賊の勘ではビーゾン達が出入りする通用口みたいなのがどっかにあるはずなんだが…」

レン「でもこのお城、大きいから見つけるの大変そう…」

クード「うーん…見取り図でもありゃ良いんだけどな…」

ジェット『クー!!それなら良いモンがある。今からそっちに送ってやる』ピピピッ

クード「ん?これは…」

ジェット『航空写真と、それに基づく内部予想図だ。建物の大きさから柱の位置、地盤の状態まで様々な情報を基に作ったからそれなりに精度は高いぜ』

クード「逆にそこまでの情報は集められるのに内部構造は予想図なのかよ…」

レン「クー。この地図の東側…ここだけ通路がない」

クード「確かに…変だな。ほとんど左右対称なのにここだけないって事は…」

ジェット『恐らく隠し通路だろうな』

クード「やっりぃ!!思ったより早く潜入できそうだぜ!!行こう、レン!」

―スパイクside―

スパイク「全く…何で俺が囮なのかねぇ…。エディルレイドプレイヤーとか言うのと戦ってみたかったぜ…」

ジェット『そう拗ねるな、スパイク。いくらレンが七煌宝珠だからってあいつ等だけで何とかなるならとっくに他の賞金稼ぎに捕まってるさ』

スパイク「つまり、俺にもチャンスはあると?」

ジェット『あぁ、寧ろ俺はクー達が中で派手にやってる間に、お前にも中に入ってもらってビーゾンを捕まえてもらいたいと思ってる』

スパイク「ホントかよ…?っと!ようやくお出ましか!!また後でな、ジェット!!」ブツッ

スパイク「おぉ!中々手馴れてるじゃねーか!!だがこちとら、今日の晩飯がかかってるんで、ね!!」ババババ

そう叫ぶと同時にスパイクは相手の小型船に向け機関銃を撃つ。しかし、相手は素早く上昇しそれを回避すると、反転、ソードフィッシュ目掛けて落下してくる。

スパイク「うわぁ!!なんっつー野郎だ!!自分諸共落っこちる気かよ!?」

スパイクは急加速でそれをギリギリ避ける。敵はそのまま機体の両脇についている機関銃をソードフィッシュ目掛けて放ってくる。

スパイク「つーかあの機体、何か見覚えあんぞチクショウ!!アイツこんなとこで何してやがんだ!?」

宙返りで敵の後ろにつけるスパイク。しかし、コックピットは狙わず、動力だけを打ち抜く。クルクルと回転しながら落ちていく敵機。
しかし、何故かスパイクはその敵機を捕縛した。

スパイク「おい、テメェこんなとこで何してやがる!?勝手に出てくだけならまだしも邪魔すんなよな!!」

???「何よ!?アンタこそ私の仕事の邪魔しないでくれる!?」

スパイク「けっ、賞金稼ぎの次は賞金首の護衛たぁ節操のねぇ女だぜ」

???「で、なんでアンタは態々私を捕まえたのかしら?未練でもあった?」

スパイク「相変わらず鬱陶しい野郎だぜ…。俺は単に城内の案内をしてもらおうと思っただけだ。お前じゃなくても捕まえたさ」

???「あっそ。でも気を付けた方がいいわよ?女って結構簡単に裏切るから」

スパイク「私は、の間違いだろ。前も言ったが、女が皆自分と同じだなんて思ったら大間違いだぜ」

???「私も前に言ったけど、女が昔の男の事思ってるなんて思ったら大間違いよ」

ジェット『スパイクゥ!!護衛を片付けたならさっさと城内に侵入してくれ』

スパイク「ったく…わーったよ!!それより面白いもん拾ったぜ」

ジェット『面白いもん?今回のターゲット確保に役立つモンか?』

スパイク「あぁ、そりゃもちろん」

ジェット『もったいぶってないでさっさと教えやがれ!!」

スパイク「昔の女さ」

―クー&レンside―
クード「えぇーと…さっきここ曲がっただろ?ってことは今ここで…」
レン「クー、大丈夫…?」
クード「へ!?あ、あぁもっちろん!!なんたって元空賊だぜ?この程度の屋敷で迷子になんか…」
レン「でも…さっきもここ、通った…」
クード「いやいやいや!!気のせいだって気のせい!!」
レン「クー、前!!」

クード「な、なんだありゃ!?」

クード達の目の前には巨大な狸の様な化け物が数匹居眠りをしていた。
しかし、今のクードの叫び声で目が覚めてしまったらしく、不機嫌なうなり声を上げている。

クード「なんかヤバ目?」ダラダラ

レン「クー、リアクトを…!!」

レンはそう言うとクードに両手を差し出す。

クード「いや、でも…」

しかしクードはそれに応じず、逡巡しているようだった。

ラグールス「グァァァ!!」

そうこうしている間に巨大狸が襲い掛かってくる。
クードはさっとレンを抱えるとギリギリ跳んでかわす。

クード「この程度の敵にレンを疲れさせることもないさっ!!」シュン

レンを安全な位置に下ろすと、フックを天井へ向け放り、ぶら下がると勢いをつけて巨大狸の胸辺りに蹴りを繰り出す。単純な軌道のため難なくかわされてしまうが、蹴りが外れたことにより一匹の腕を縛ることに成功した。

クード「へっ、どーよ!オラオラァーどんどんいくぜー!!」

その後も、ちょこまかと動き回ることで次々に縛り上げていった。

レン「クー…ロープが、あとちょっとしかない…」

その様子をずっと見ていたレンであったが、最後の一匹を残してロープが足りなくなるという失態に呆れていた。

クード「うっわ…ちょっとまずいかも…?」

クードもロープの残量に気が付いたらしく、残り一匹を前に固まる。
他の巨大狸を縛り上げるために走り回ったため、レンとの距離もだいぶ開いてしまっていた。

ラグールス「グゥオオオオ!!」

巨大狸が腕を振り下ろす。当然、その真下にいるのはクードだ。

レン「クー!!」

レンは駆け出す。だが、到底間に合う距離ではない。

お待たせいたしました
宣告より一日遅れてしまいましたが投下していきます
ビバップ組の絡み書くの楽しいです

―スパイクside―

ジェット「で?態々コイツを届けるために一旦引いてきたのか?」チラッ

スパイク「あぁ、お荷物になりかねんしな。それに、そいつには城内のナビゲートをしてもらおうと思ってる。
だから、ここでアンタが見張ってて、時折無線で指示くれれば一番効率がいいだろ」チラッ

ジェット「まぁ連れて行って邪魔されるよりは良いかも知れんが…」チラッ

フェイ「さっきから二人してチラチラと…そんなに魅力的かしらぁ?」ニヤニヤ

スパイク・ジェット「「うぜぇ…」」

スパイク「ま、取り敢えず俺はそろそろ戻るぜ。どーせクーの事だ、迷子にでもなってるだろ」

ジェット「おい!待てよスパイク!!まさか俺をこの女と二人にするつもりか!?」

フェイ「ふっつーそういうのってさぁ、私みたいな女が言う台詞じゃないの?」

スパイク「お前は普通の女じゃないからな」

フェイ「何よそれ!?どういう意味!?」

スパイク「放っとけないって意味さ」

フェイ「あらそう?じゃあこれ、外してくださる?」ジャラ

スパイク「これ以上ないってくらいお似合いのアクセサリーじゃねぇか」ヒラヒラ

フェイ「あ!ちょっと待ちなさいよ!!」

ジェット「はいはい、愚痴なら俺が聞いてやるから仕事の邪魔はすんなよ」

フェイ「それじゃあまるで私がかまって欲しがってるだけみたいじゃないの!!」

ジェット「ん?違うのか?」

―エレ・ブランカ―

スパイク「さってと…あいつ等は今何処にいるのかなーっと」ビューン

ジェット『クーの奴ら、城の東が怪しいとか言って入ってったぜ』

スパイク「じゃあそこの女に聞いてみてくれよ」

ジェット『それもそうだな…おい、フェイ!あの城には隠し通路とかあるのか?』

フェイ『さっき東側がどうとか言ってたわね…。その入り口はフェイクよ。ワザとらしく怪しく造ってあるの。その先にはラグールスの群れが居るわ』

スパイク「ラグールスってのは?」

フェイ『デカイ狸の化け物よ。ほとんどの賞金稼ぎがそこで殺られてるわ』

ジェット『何ィ!?ビーゾンにやられてたわけじゃないのか!?』

フェイ『ま、当然ビーゾンのが強いけどね。あいつの元にまでたどり着いたのはほんの一握りだけよ』

スパイク「ったく世話の焼けるガキ共だぜ…」

ジェット『スパイク急いでくれ!!朝のクーの調子だともしかしたらリアクトせずに戦おうとするかもしれん!!』

スパイク「オーキードーキー」

フェイ『あ、ちょっと待ちなさい!!ソードフィッシュに乗ってんなら上から入ったほうが早いわ!!』

スパイク「上から?そりゃ一体どーいうことだ?」

フェイ『ちょっとジェット、地図出して!!』

ジェット『あぁ?何で俺がお前に指図されにゃ…』

フェイ『良いから!!』

ジェット『ハァ…ほらよ、これだ』

フェイ『大体ラグールスが居るのがこの辺り。で、ここは一階部分しかないから天井ぶっ壊せばすぐそこってワケ』

ジェット『成る程なぁ…。でもビーゾンに気付かれねぇか?』

スパイク「逆に好都合さ。クーたちを助けるついでに奴さんも駆けつけてくれるんだろう?」

ジェット『ハァ…まぁいい、好きなようにやってくれ』

フェイ『地図に赤く示した辺りに居るわ』

スパイク「良いねぇ!久々にわくわくしてきたぜ」

スパイク「っとこの辺か…。クーたちが居るなら巻き添え食らわせないよう気を付けなきゃな」ババババ

機関銃で天井をなるべく細かく砕いていく。と、そこに見えたのは今にもクードに襲い掛からんとするラグールスだった。

―クー&レンside―

レン「クー!!」

もう間に合わない、とレンが目を瞑った時だった。天井がガラガラと音を立てて崩れ去った。その先にいたのはスパイクのソードフィッシュだ。

スパイク「オラオラ狸ちゃん、こっちだぜ」バババババ

ラグールスに向けて機関銃を放つ。主砲を使わないのはクードが居るからだろう。

クード「スパイク!!サンキュー、助かったぜ!!」

ラグールスはクードからスパイクへと攻撃対象を移したようだ。

スパイク「そんなこと言ってる暇ありゃリアクトしやがれ!!今のでビーゾンにも感づかれただろーから直にやってくるぞ!!」

ラグールスと付かず離れずで攻撃をかわしながら叫ぶ。

クード「リアクトか…」

しかしそれでもクードは躊躇いがあるようでチラリ、とレンの方を見る。

レン「クー…。私は、クーに守って欲しいんじゃない」

レンは、クードの考えていることを読み取ったのか、神妙な面持ちで呟く。

クード「え…?」

一方のクードは何を言われているのか理解できていないようだった。

レン「私は…クーと一緒に居たい…。」

クード「レン…。よし、リアクトだ!!」

レン「うん!」

スパイク「イチャイチャしてねーで早くしてくれ!!こんな狭いとこ飛び回るの意外と難しいんだからな!?」

クード「…台無しだよ」ハァ

―――

???「では、この子はこれ位で買取デショ」

ビーゾン「何ぃ?こんなはした金で満足しろってのか!?」

???「高く買い取って欲しいならエディルレイドを捕まえてくるといいデショ」

ビーゾン「チッ、足元見やがって…」

パール「お取り込みの所悪いけど、侵入者よ」

ビーゾン「ラグールスにでも食わせとけ!!」

パール「それが…エディルレイドプレジャーみたいで、既にラグールスは突破したわ」

ビーゾン「クックック…丁度良い。おい、玉翠!!今から捕まえてくるから高値で買い取れよ!!」

玉翠「解ったデショ」

ビーゾン「行くぞ、パール!!」

玉翠「貴方の手に負える相手では無いと思いますが…」

毎度の事ながら遅筆ですみません
今回の書き溜め分は以上です
次回予告的なおまけもちょっとだけ…

ビーゾン「そこのモジャモジャかチビかどっちがプレジャーだ?プレジャーから先に殺してやるぜ!!」

スパイク「モジャモジャって…アンタが言うのかよ…」

クード「スパイクも似たようなこと言ってなかったか?」

レン「やっぱり…モジャ友…?」

スパイク「よしてくれ…。そもそもモジャモジャって言ったのクーだからな」

ビーゾン「……」

パール「ちょっと!!あんた達止めなさいよ!!ビーゾンは本気でこの髪型カッコいいと思ってるんだから!!私が何度言っても変えなったくらいには!!」

ビーゾン「パール…もういい…止めてくれ…」

クード「あーあ…」

スパイク「やっちまったな、そこのお嬢ちゃん…」

レン「モジャモジャ…可哀想…」

大変大変お待たせしました。
と言ってもいつも通り余り書き溜めはないのですが…
取り敢えずエレブランカ編、今回で終わります。
原作だと何か女の子と最後会話してた様な気もしますが今手元にないのでその辺りは省きます。
そもそもこのSSだと出会ってないですし…。

―ラグールスの部屋―

スパイク「やっぱすげぇな、エディルレイドって…。あれだけ居た狸を一瞬で片付けちまいやがった」

クード「レンと俺だから出来たんだよ!!な、レン?」

レン「うん、クーと一緒に戦えて、嬉しい…」

スパイク「やれやれ、そのイチャイチャを見せ付けるの、どうにかしてくれませんかね…」ピピピッ

フェイ『ちょっとぉ!?どうなったのか報告くらいしなさいよ!!』

クード・レン「…誰?」

スパイク「ったく、相変わらず大人しくしてらんねぇ奴だな…」ハァ

ジェット『で、首尾はどうだったんだ?』

スパイク「上々、とは言えねぇかな…。狸共を倒しはしたが俺のソードフィッシュが航行不能になっちまいやがった」ハァ

フェイ『あらぁ?あんなに自信満々で突撃してったのに、結局ガキンチョに助けられたの?』

スパイク「うるせぇ、ほっとけ!!大体、飛行機で城に突っ込めなんて無茶なこと言い出したのはお前だろ!?」

フェイ『ぁによ!?私の所為にする気!?』

ジェット『ったく、お前らはもう少し静かにできないもんかねぇ…』

スパイク「ちっ。だぁから女は嫌いなんだ」

ジェット『くだらねぇ言い争いしてる暇があったら次に備えとけ』

フェイ『そーよー、もうじきビーゾンが現れるでしょうからねー』

クード「ビーゾンが現れるってどー言うことだ!?」

フェイ『あぁら始めまして、ガキンチョ。その城全体、カメラで監視されてるもの』

スパイク「こんだけ派手にやりゃあ、んなもん関係ないけどな」

クード「レン、連続してリアクトできるか?」

レン「うん、大丈夫。前より力の使い方に無駄がないから、前より眠くならない」

クード「良かった…。あ、でも無理はするなよ?賞金なんかの為にレンを危険な目に合わせたくはないからな」

レン「ありがとう…。でも、お金が無いと、エディルガーデンにも行けないんでしょう?」

クード「う…それは、そうだけど…」

スパイク「どうやら先行きの心配をするのは後回しにしたほうが良いみたいだぜ、お二人さん」

ビーゾン「ほぉう…。そのガキ共とヒョロモジャがこれをやったのか…?」

スパイク「…ヒョロ…モジャだぁあ!?テッメェこの野郎、喧嘩売ってんのか!?」

レン「スパイク…落ち着いて?向こうもモジャモジャだから…」

クード「いや、レン…。そこじゃないと思うぜ…?」

スパイク「オラァ!!何上から見下してやがんだ!!さっさと降りてきて戦え!!」

ビーゾン「あぁ?何切れてんだ、あの野郎…?」

パール(…髪型のことでしょうね、大方。でも、それ言うとビーゾンも…黙っとこ)

ビーゾン「まぁいい。パール!!リアクトだ!!」

パール「えぇ」ピカー

パールの体が光りだす。光が収まった頃に見えたビーゾンには、右腕に龍の頭、左腕に大剣が装備されていた。

スパイク「クー、レン!!俺が時間を稼ぐからその内にリアクトを!!」

クード「あ、あぁ!!」

クードは急いでレンへと手を伸ばす。

ビーゾン「させるかぁ!!」

ビーゾンは左腕の大剣を帯電させると、右腕の龍頭を前に突き出し、クードに向け放電する。

スパイク「そりゃこっちの台詞だぜ!!」

そう叫ぶとクードとビーゾンの間に銃弾を数発放つ。

ビーゾン「なにぃ!?」

弾丸に電撃が直撃する。弾丸はそのまま電撃を纏いあらぬ方向へ飛んでいく。

スパイク「頭はそれ程良くねぇから原理とかはさっぱりだが…案外上手くいったな」

クード「サンキュー、スパイク。おかげで無事リアクト出来たぜ」

ビーゾン「チッ。まぁいい。どんなエディルレイドでもプレジャーがあれじゃあ宝の持ち腐れだぜ」

ビーゾンはまた腕を振り電撃を飛ばす。

レン『クー、来る!』

クード「おう!!」

ワイヤーフックを電撃に向け投げる。

クード「スパイクの真似するみたいで気にいらねぇけど…な!!」

電撃にフックがぶつかる寸前で握っていたワイヤーを上方へ投げる。すると、電撃はワイヤーを伝って行き上へと飛んでいく。
更に電撃を回避すると同時に大剣を地面に向け振りかざす。

クード「うぉおりゃぁあ!!」

レンの力により凄まじい風が巻き起こる。その風圧でクードはビーゾンの居る高さまで飛び上がった。

ビーゾン「な、なんだと!?」

パール『落ち着いて、アイツにもう電撃をかわす手段はないわ!!』

ビーゾン「うるせぇ!!俺に指図するな!!」

パール『…』

ビーゾン「俺と同じ高さまで上がってきたって事はっ!!その分距離も近くなったってことだぜぇええ!!」バリバリ

ビーゾンは同じポーズで電撃を蓄える。それに対しクードは真正面から突っ込んでいく。

クード「そうそう何度も同じ攻撃を繰り出してちゃあ見切られちまうぜ!!」チラッ

ビーゾン「はんっ。ほざいてろガキが!!」

パール『待ってビーゾン!!アイツ今、何処かを確認するような素振りを…!!』

ビーゾン「黙ってろってのが解らねぇのか、パール!!」

パールを一喝すると放電の体勢に入るビーゾン。しかし、その電撃が放たれるより早く、ビーゾンの体勢が崩れる。

スパイク「大人しくその嬢ちゃんの忠告聞いとけば良かったな!!」

いつの間にかビーゾンの居るところまで上がってきていたスパイクが、膝を撃ち抜いたのだった。

ビーゾン「くっそがぁああ!!ならテメェから殺してやる!!」

ビーゾンは激昂してスパイクに向き直る。その一瞬の隙をクード達は見逃さなかった。

クード「行くぜ、レン!!」

レン『うん』

「『汝貴とかくいめ結ばん地の終えのさやけし天のはら

  颯颯の声 汝貴とかくいめ紡がん

  などさは臆せにしかゆめゆめ独り臥すなきかげ光り満ちらん

  地の終えのさやけし天の海 颯颯の声

  かくいめ合わさん』」

クード「エウロスループ!!」

クード達を中心に風が回転し、上空に吹き上げていく。かなり近い位置で食らったビーゾン達は巻き上げられ、天井に叩きつけられる。
が、その天井も壁ごと上空に巻き上げられていくため、更に上昇していく。

スパイク「ばっきゃろう!!俺も巻き込む気かよ!?」

クード「いやぁ、悪い悪い。スパイクが居るのすっかり忘れてた」ピカー

レン「私たちの…勝ち?」

クード「おう、完全勝利だぜ!!」

スパイク「なぁ、レンが戻ってさ、風が止んだんだけど…」

クード「そりゃあ風はレンの力で出てた訳だし…」

スパイク「そうじゃない、俺が言いたいのは巻き上げられたものってどーなんの?ってことだ」

レン「落ちて…くる…」

レンは上空を指差しながらそう言うと眠ってしまった。

クード「だぁあああ!!に、逃げねぇと潰されるぅう!!」

レンをお姫様だっこしながら駆け出すクード。二人は下に居るので逃げやすかった。

スパイク「あ、おい!!ちょっと待ってくれよ!!」

そう言う間にも建物は落下してくる。

スパイク「迷ってる場合じゃねぇか…」

元は壁があった所から下を覗き込み、スパイクは決心したように飛び降りた。

先程までクード達とスパイクが居た場所は落下した建物の残骸で瓦礫と化していた。

―クード&レンside―

クード「ふぃー。何とか助かったぜ…。咄嗟に隣のフロアに逃げ込んだが…」キョロキョロ

レン「スースー…」

クード「案外丈夫みたいだな、この城。それより、スパイクは無事なんだろうか…」

クード「畜生、通信機もさっきの落下で舞い上がった砂埃で使い物になんねぇや」

クード「ま、スパイクなら大丈夫か。殺しても死にそうにないし」

―スパイクside―

スパイク「…ってぇええ!!」

スパイクは飛び降りた衝撃により悶えていた。

スパイク「くっそぉ…。あのガキ共、絶対許さねぇ!!覚えてやがれ!!」

???「そいつは俺の台詞だぜ、くそがっ」

スパイク「…っ!?テメェは…ビーゾン!?」

建物が崩壊した際に舞い上がった砂埃の中からゆらりと姿を現したのはリアクトが解除されたビーゾンだった。

ビーゾン「あのガキを殺すのは確定だ。しかしテメェから先に殺してやるぜ!!」

ビーゾン「おい、パール!!リアクトだ!!」

パール「っ…」

ビーゾンの足元にはぼろぼろの姿になったパールが横たわっていた。

スパイク「無茶だ!!そんな状態でリアクトなんか出来るわけが…」

ビーゾン「おい、何してやがる!!さっさと起きやがれ!!」

スパイク「その嬢ちゃんはお前を庇った所為でそうなったんじゃないのか!?」

ビーゾン「知ったことか!!人間の道具なんだから人間の役に立つのは当たり前だ!!」

ビーゾンはパールの横腹を蹴り上げながら怒鳴る。

パール「かはっ…!!」

痛みで意識を取り戻したのか、ヨロヨロと立ち上がるパール。

ビーゾン「さっさとしろ!!貴様等エディルレイドは俺たち人間に使ってもらって初めて価値が出るんだろうが!!」

起き上がりかけたパールの腕を強引に引っ張り上げ立たせる。スパイクは苦虫を噛み潰したような顔でビーゾンに銃口を向ける。

スパイク「いい加減にしろ!!そんな状態の彼女にリアクトなんか無理だ!!」

ビーゾン「うるせぇ!!死ぬまで使ってやるのがこいつ等の為なんだよ!!」

スパイク「この野郎…っ!!」パンッパンッ

パールを引っ張り揚げているビーゾンの左腕を鉛弾が打ち抜く。

ビーゾン「くっ…」

腕を引っ込め、右腕で傷口を押さえる。その際、パールからは腕を離したため彼女はその場に倒れ込む。

スパイク(チッ。さっきの崩壊のおかげで予備の弾丸どっか行っちまったぜ…)

ビーゾン「てめぇ…もういい!!リアクトなんざせずともこんなヒョロい奴ぶっ殺してやる!!」シャキン

ポケットからナイフを取り出す。それを見たスパイクは拳銃をしまうとヒュー♪と口笛を吹いた。

スパイク「えらく小物臭くなっちまったじゃねぇか、え?そんなモンでこの俺を倒せるのかい?」

馬鹿にするような、煽るような台詞を吐く。案の定、ビーゾンはブチ切れた様子だった。

ビーゾン「く…死ねぇええ!!!」

一直線に駆け出しナイフを振り下ろす。一方のスパイクは軽いバックステップでかわす。

スパイク「ほらほら!!当たんねぇぞ!!」

ビーゾンは続けざまにナイフを振り回すが、どれもヒョイヒョイ避けられてしまう。

ビーゾン「ちょこまかちょこまかと!!」

パール「ビ、ビーゾン…」

二人がやりあっている間にパールが目を覚ます。まだ立ち上がれるほど回復はしていない様だが、ナイフを取り出すと二人のほうへと放った。
位置的に、完全にスパイクの背後からの投擲であったため、真っ先にビーゾンが気付く。

ビーゾン(ふっ、良いぞパール!!)ニヤリ

しかし、ビーゾンの表情に笑みがこぼれると、スパイクも不自然に思ったのか背後を振り返る。

スパイク「くそっ!!いつの間に…」

気付いたはいいが、もうナイフはすぐそこまで来ており、急所を避けるだけで精一杯だった。
左に倒れ込むように回避したため、ナイフはスパイクの右肩に深々と突き刺さった。

ビーゾン「ちっ、気付きやがったか。しかしこれでテメェもさっきまでの様には動き回れないだろぅ?」

ビーゾンは先程までと同様ナイフを振り回しながら近づいてくる。しかし、スパイクは右肩に手を当て顔を苦痛に歪ませながら避ける。

スパイク「へっ、アンタ程度の敵を倒すにゃ丁度良いハンデってやつさ!!」

言葉こそ強気であったが、先程までの余裕はそこにはなかった。

ビーゾン「いつまでそんな減らず口が叩けるか、見ててやるよ!!」

ビーゾンは膝と腕を撃ち抜かれているとは言え、弾丸サイズの傷では出血量も多くない上、賞金首を殺さないようにというスパイクの銃撃は更に出血しにくいところを狙って撃ち抜いていた。
対してスパイクは右肩にナイフが突き刺さっており、もう少しで頚動脈に繋がる血管まで達しそうな程であった。

スパイク(確かにこのまま逃げ回ってたんじゃあ、その内俺が出血多量でぶっ倒れちまうぜ…どうするか…)

ビーゾンも持久戦に分があると踏んだのか、ナイフでの攻撃を浅くし、スパイクとの距離を一定に保つような牽制をし始めた。

スパイク「この程度でくたばる程軟な体じゃねぇぜ?」

スパイクははったりをかますが、傍から見ても先程より動きが鈍っているのは明白だった。

ビーゾン「良いぜ、その挑発乗ってやる!!弱りきったテメェを殺してもスカッとしねぇからなぁ!!」

一気に決めに行くつもりなのか、ビーゾンはナイフを大きく振りかぶった。スパイクはそれに合わせるように、グイッと踏み込む。

ビーゾン「んなっ!?」

スパイク「確かに弱っちゃいるがテメェを捕まえるにゃ充分だ、ぜ!!」

ビーゾンに肉薄すると、ナイフを持っているほうの腕を掴み、捻り上げる。
流石に、その程度でナイフを取り落としはしないが、振り下ろすことも出来なくなる。

ビーゾン「て、っめぇまだこんな力が…ッ!!」

スパイクはそのまま頭突きをかます。後ろによろめいたビーゾンの腕を引っ張り、腹部に膝蹴りを入れる。

ビーゾン「ぐがっはぁ…ッ!!」

更に腕を離し、手の甲を蹴り上げることでナイフを吹っ飛ばす。
最後に回し蹴りがビーゾンの顔面に決まると、2,3m飛ばされて意識を失ったようだった。

スパイク「こちとら朝から何も食ってねぇんだ。晩飯の為なら嫌でも頑張るさ」ドサッ

スパイクは力尽きたように倒れ込む。

スパイク「しっかし…空腹にこの傷でホントに倒れる寸前だったぜ…」

ジェット『…ザザ…い!!おい、スパイク!!無事なのか!?』

スパイク「まぁ、無事とは言えんが生きてはいるぜ…」

ジェット『それはいつものことだろうが。で、ビーゾン達は捕まえたのか?』

スパイク「あぁ、今俺の横でお寝んね中さ」

ジェット『久々の賞金だな』

スパイク「そーだな…だから、ジェットさんよぉ、美味いもん作ってくれよ?」

ジェット『無事そいつ等を換金したら、な』

スパイク「もう海鼠は懲り懲りだぜ…」ピッ

―ビバップ号―

クード「す、スパイク!?どーしたんだよそのナイフ…!!」

レン「コスプレ…?」

スパイク「だとしたら斬新過ぎるだろっ!!」

フェイ「あらやだ、ドMにでも目覚めちゃった?相手してあげても良いわよ?」

スパイク「るせー!!ほっとけ」

ジェット「それくらいにしとけ。今回はスパイクの手柄が大きいんだからな」

クード「あ、ジェット!!そんで賞金は!?」

ジェット「あぁ、この通り」

フェイ「で?あたしの取り分は?」

スパイク「なぁに言ってやがる。今回は寧ろ邪魔してたろ、お前!!」

フェイ「何よ!?クーとレンを助ける為の作戦立てたのあたしでしょ!?」

スパイク「けっ、よく言うぜ。お前が邪魔しなけりゃそもそもピンチにもなってなかったっつーの」

クード「っつーか俺たち別にピンチとかじゃなかったし!!なぁ、レン?」

レン「クー、あと少しでぺちゃんこだった…」

クード「うっ…そ、そうだったかぁ~?」

スパイク「あ、そうだ!!お前らの最後の大技の所為で俺のソードフィッシュボコボコになったんだからな!?」

ジェット「あんまり騒ぐと傷に響くぞ?治療するから取り敢えずそのナイフ抜け」

スパイク「へーへー」

レン「やっぱり、ジェットは…お母さんみたい」

取り敢えず今回はここまでです。
今までより1レスの文章を減らしてみたんですがいかがでしょう?
あまり長文だと読みにくいかなという純粋な思いと、レス数水増ししたいなという邪な思いから
の試みですが…不評なら止めます。

次回からはヴォル君とチルルが登場予定です!
投下予定は未定なので…少なくとも落ちないようにはします。

次回予告というかおまけ

玉翠「アナタには次にこれを捕まえて欲しいデショ」

ヴォルクス「レヴェリーメザーランス…成る程、了解した」

玉翠「ただ、レヴェリーメザーランスは七煌宝珠だから気を付けるデショ」

チルル「そんなの、あたしとヴォル君なら余裕なのヨ!!」

ヴォルクス「黙っていろ。お前はただ俺に使われていればいい」ギロッ

チルル「ご、ごめんなさいなのヨ…」

ヴォルクス「狩猟の福音は鳴った。どんな相手だろうと全力で狩るだけだ」

~~~~
クード「んで?ジェット、次のターゲットが決まったって?」

ジェット「あぁ、コイツだ」

スパイク「ヴォルクス・ハウンド?まぁたアークエイルからの懸賞か」

ジェット「あぁ、コイツはやり手のエディルレイドハンターらしい」

クード「てことはビーゾンみたいにエディルレイドを捕まえて売りさばいてるって事か!?」

ジェット「まぁ、そういうことだろうな」

クード「許せねぇ!!俺がぶちのめしてやる!!」

お久しぶりです。
投下しようと思って久しぶりにss速報覗いたら落ちててびっくりしました。
鯖移転か何かだったんですかね…?
取り敢えず投下していきます。

――――――
玉翠「やはり彼等にはビーゾンの相手は役不足だったデショ。まだプレジャーの経験が浅いとは言え七煌宝珠じゃ仕方のないこと…」

ヴォルクス「ふん。だから俺に依頼しようと態々こんな所に呼び出したのか」

玉翠「その通りデショ。ただ、貴方とて油断していてはあの少年に一杯食わされるかもしれませんよ…?」

ヴォルクス「いくら強いエディルレイドを持っていようがプレジャーになりたてのガキに遅れを取るつもりはない」

玉翠「確かに、エディルレイドプレジャーだけなら余程のことがない限り貴方が捕まえ損ねることはないデショ。ですが、今回ビーゾンを捕らえたのは同契もしていない一介のカウボーイデショ…」

ヴォルクス「何…?プレジャーに生身で対抗したのか?」

玉翠「いえ、リアクトが解ける所まではプレジャーに追い詰められたようですが…」

ヴォルクス「ならば問題ない。生身同士で強い人間なんていくらでもいる」

玉翠「兎に角、今回の獲物は今までと比べ物にならない大物。報酬も弾むデショ」

ヴォルクス「俺を誰だと思っている…。絶対に取り逃がしはしない」

玉翠(まぁ…捕まえられなくてもしばらく動けなくしてさえくれれば充分デショ)

ヴォルクス「何を企んでいるのかは知らんが、俺はお前達の為にエディルレイドを捕まえている訳ではないという事を忘れるな」

玉翠「解ってるデショ。ただこちらもお金を払っているということも忘れないで欲しいデショ」

ヴォルクス「ふん…行くぞ、チルル」

チルル「あいあいさー、なのヨ!!」

――ビバップ号――

クード「で、ジェット!!そのクソヤロウは何処にいるか掴めてんのか!?」

ジェット「まぁまぁ、そう慌てなさんな」

スパイク「そーそ、焦っても始まらないぜ?だから取り敢えず飯にしよう」

フェイ「あら素敵。で、今日のメニューは?」

ジェット「お前らは逆にもう少し働こうという意識をだな…」ハァ

スパイク「働くにしても寝て過ごすにしても腹は減るんだ、仕方がないだろ」

ジェット「残念だが今、この船に食い物はない。ついでに言えば、金もない」

フェイ「えぇー!?何よそれ!?」

スパイク「今俺、完全に飯食うモードだったんだけど…」

ジェット「誰の所為だと思ってんだ!?」

スパイク「こいつだろ」

フェイ「こいつでしょ」

フェイ「ちょっと!!何でアンタアタシを指すのよ!?」

スパイク「そりゃこっちの台詞だ!!『金は天下の回り物…』とか言ってカジノに貯金しに行くの何度見たことか!!」

フェイ「アンタだってね、ちょっと出たかと思うとその辺で何か食ってたり酒飲んでたり結構目撃するわよ!!」

レン「貴方たち、二人ともだと思う…」

ジェット「レンの言う通りだ!!買い食いしてくるし、ギャンブルで有り金全部スッてくるし…」ハァ

クード「何か、ジェットが禿げたの解る気がする…」

スパイク「いや、俺と出会った頃にはもうこの頭だったぞ」

ジェット「頭髪の話はいい!!…話を戻すぞ?」

スパイク「頭髪の話なんかしてたか?」

フェイ「さぁ?アタシには頭皮の話にしか聞こえなかったけど?」

ジェット「テメェらなぁ…!!」

クード「あ、えぇーと!!ヴォルクス・ハウンドだっけ?結局そいつは何処にいるんだ?」

ジェット「…ハァ。それが、奴は根無し草でな…はっきり言って全く当てがない」

スパイク「おいおいおいおい、ちょっと待ってくれ。まさかなんの手がかりもなしに探すなんて言わねぇよな!?」

フェイ「捜査の基本は目と足、ってワケェ?アタシパース」

ジェット「まぁ、待て。話は最後まで聞いとくもんだぜ?実は、秘策がある」

レン「…私が、囮になる」

クード「ッ!!レンが!?そんな危ないことできっかよ!!」

ジェット「実は先にレンとは打ち合わせ済みでな。本人の了承は得てる」

スパイク「あぁーさっきなんか二人でジェットの部屋に入ってくから何かと思えば…」

フェイ「アタシはてっきり我慢できなくなってとうとう手を出したか、って思ってたわ」

ジェット「お前らその内追い出してやるからな…」

スパイク「追い出すなんてしなくても、二人っきりになりたいなら言ってくれりゃ席くらい外すぜ?」

クード「ジェット、アホ二人は放っておいて、その作戦を聞かせてくれよ。レンが絶対安全じゃなかったら認めねぇぜ?」

レン「クーが…真面目…」ワナワナ

クード「レンさんちょっと酷くないですかそれ…」

ジェット「あぁ、大丈夫だ。と言っても全てはクー、お前にかかっているがな」

レン「クーなら、大丈夫。私と似てるから」

――繁華街――

クード「なぁ、お前等真面目に捕まえる気あんの…?」

フェイ「なぁに?今更嫌だって言うつもり?」

クード「いや、もう諦めたけどさ…。こんな作戦で捕まえられる程間抜けじゃないと思うんだけど…」

ジェット『グチグチ言ってる暇があったら少しでも女の子らしく歩いてな』

~~回想~~

クード「似てる…?良く解んねぇけど俺が頑張ればレンは安全なんだな!?」

ジェット「あぁ、絶対にレンに危害が及ぶことはないと断言できる」

クード「で、その作戦ってのは?」

ジェット「レンが街で買い物をするんだ。しかもエレブランカの近くの街で」

スパイク「成る程、ビーゾンとボロクソが繋がってると考えたわけか」

クード「もう突っ込む気にもならねぇ…」

フェイ「あぁーそう言うことね。ブローカーなんて闇商売、ただでさえ数が少ないのに、更にエディルレイドも扱うとなると相当に数は絞られる」

ジェット「あぁ、そしてビーゾンの所で派手に力を使ったからな。恐らく相手側のブローカーはレンがかなり強いエディルレイドだと認識しているはずだ」

レン「それなら、私の外見的特長をお抱えのハンターに流しててもおかしくない…」

スパイク「もしかして…」

フェイ「まさか、ねぇ…」

ジェット「そのまさか、だ。レンの安全を確保しつつ手っ取り早く捕まえるにはこれが一番だ」

クード「…?皆何でそんな俺を見てんだ…?」

スパイク「まぁ、確かに背格好は似てるな」

フェイ「でも流石に肩幅とかは誤魔化せないんじゃない?」

クード「な、なぁ…。皆、何の話してんだよ…?」

ジェット「それに関してはレンの髪型が幸いしてる。これを使えばパッと見では解らないだろ」ゴソゴソ

スパイク「ジェット…アンタ天才か!?」

フェイ「じゃあアタシがエスコートしてあげるわ。女の子らしい買い物してなきゃ怪しまれるもの」

クード「???カツラか?レンの髪の毛にそっくりだな。…!?」

フェイ「あぁーらようやく気付いたのかしらぁ?」

レン「頑張って、クー…!!」

~~~~~

クード「あぁもう!!こんなまどろっこしいことせずにさっさと捕まえる方法ないのかよ!?」

スパイク『これが一番効率的だってお前も解ってるだろ?』

ジェット『敵さんの居場所がわからない以上は手出しが出来ないからな』

クード「くっそぉ…人事だと思いやがって…」

フェイ「あら、そんなに気にしなくても結構イケてるわよ?」

クード「嬉しくねぇよ!!」

スパイク『ひょっとするとそこの女より可愛いんじゃねぇか?』

フェイ「そうね、アタシどっちかって言うとキレイ系だから」

ジェット『どっちかって言うと、な』

スパイク『そりゃ真理だな』

フェイ「何よ、こんなイイ女捕まえてそんな事言うの?」
スパイク『イイ女、ねぇ…』
フェイ「アンタいい加減にしとかないとタダじゃおかないわよ!!」

スパイク『叱責も結構だがお客さんだぜ?釣り糸切られんなよ』

ヴォルクス「貴様がレヴェリーメザーランスだな?」

フェイ「あぁらアタシってばそんなに若く見られちゃう?」

チルル「オバサンには用はないのヨ!!」

フェイ「な、オバs…!?このチビガキどうしてやろうかしら…!!」

スパイク『良かったな、歳相応の評価されて』

ヴォルクス「チルル!!」

チルル「あいあいさーなのヨ!!」ピカー

ヴォルクス「狩猟の福音は鳴った。貴様を捕らえさせてもらう!!」

フェイ「ぷっ、何よそのピコピコハンマーみたいな武器!!」

チルル『ふん、笑っていられるのも今のうちなのヨ!!』

ヴォルクス「はぁ!!」

クスクス笑っているフェイを余所にヴォルクスはピコハンを振りかざす。
しかし、フェイもクードもその程度は予想の範囲内のようで難なく避ける。

ヴォルクス「ふ、そこの女の反応も予想外だがレヴェリーメザーランス、貴様も中々いい動きをするじゃないか」

クード(マジかよコイツ…。この距離でも気付いてないの!?)

避けられたにも関わらず余裕の表情を見せるヴォルクス。
もう一度肩に担ぐと次は横に振る。

クード・フェイ「!?」

明らかにリーチ外からの攻撃だったはずだが、ピコハンが7、8枚の円盤に分離しクード達目掛けて飛んできた。
二人はギリギリでかわすが、クードは若干反応が遅れ、右足を浅く切られた。

クード(なんて切れ味だ…。ピコハンだからって油断できねぇな…)

ヴォルクス「ほぉう…。やはり良い動きをする。だがそうでなくては狩りも面白くはない!!」

今度はクードだけに対して円盤を飛ばす。

フェイ「少女ばっかに構ってレディを放ったらかしなんて、女の子の扱いに慣れてないわね」パンパン

足を怪我したクードでは避けきれぬ攻撃であったが、フェイがヴォルクスを撃ったため、円盤を防御に回さざるを得なかった。

ヴォルクス「ふ、良かろう。では望み通り貴様から相手をしてやる!!」

ヴォルクスはフェイに攻撃対象を移す。しかし、フェイは伊達に修羅場を潜っていない。避けつつたまに反撃し徐々にクードからヴォルクスを引き離す。

ヴォルクス「チッ、中々やる!!」

チルル『ヴォル君、ちょっと待つのヨ!!何か変なのヨ!!』

ヴォルクス「うるさい!!貴様は黙って使われていろ!!」

チルル『でもやっぱりおかしいのヨ!!レヴェリーメザーランスが全く逃げようとしてないし、何より彼女からエディルレイドの反応がしないのヨ!!』

ヴォルクス「何ッ!?」

一旦攻撃を止め距離をとる。フェイが射撃を続けるが円盤で全てはじかれてしまう。

クード「バレちゃあしょーがない!!俺は、レンじゃなくクード・ヴァン・ジルエット様だ!!」

ヅラとレンの服を剥ぎ取るとその死角からワイヤーフックを投擲する。

ヴォルクス「くッ!!」

右腕に巻きつかれ思うように動かせないため、上手く攻撃が出来ない。そこをすかさずフェイが乱れ撃ちするが防御は堅い。

クード「ぅおらぁあ!!」

巻きついたロープを力強く引くと、ヴォルクスが体勢を崩す。

ヴォルクス「チィッ!!」

ピコハンの残った柄の部分を地面に突き立て辛うじて体勢を保っているヴォルクスだが、余裕の表情は崩さない。

ヴォルクス「ふん、ターゲットがいないのならば貴様等に用はない」

そう言うとナイフを取り出しロープを切る。更にチルルを元に戻し、ヴィーヴに跨る。

チルル「まだやれるのヨ!!」

ヴォルクス「俺に口答えするのか?奴らを相手にする意味はない」

チルル「…はいなのヨ」

クード「逃げるのか!?」

フェイ「そうはさせないわよ!!」パンパン

銃撃で逃走を阻止しようとするが、チルルの饗応の謳によって取り逃してしまった。

クード「くそっ!!次会ったらぜってぇ捕まえてやる!!」

スパイク「あーぁ、結局逃げられちまったのか」

フェイ「な!?アンタ、近くに居たなら援護しなさいよ!!」

スパイク「まぁ、そう言うなって。何の為に今回の作戦実行したと思ってんだ」

クード「何の為って捕まえる為じゃないのか?」

ジェット『今回の敵は結構手馴れたプレジャーだ。クーとレンの力なくしては無理だろう』

フェイ「じゃあ何!?始めっからあたし達は囮だったってわけ!?」

スパイク「そゆこと。お前等がドンパチやってる間にアイツのバイクに発信機を付けさせてもらった」

クード「そんな回りくどいことしなくても最初から俺とレンで出歩けば良かったんじゃねーの?」

スパイク「先手を取るか取られるかで大分変わってくるんだよ」

フェイ「戦いの必勝法は先手必勝ってワケね」

ジェット『その通りだ。間髪いれずに攻めるぞ、戻って来い』

スパイク「りょーかい」

今回はここまでです。
やっぱりクーとレンではビバップ組に呑まれますね…
エレメンタルジェレイド舞台にしたはずなんですけどね

あと、エレメンタルジェレイド知らない人のために言っておくとチルルはcvくぎゅです。
可愛いです。

おまけ

フェイ「ほら、じっとしてなさいって…」

クード「いや、ちょっと待ってって!!」

フェイ「だぁいじょうぶだって!!」

クード「ちょ、そんな引っ張ったら痛いって!!」

フェイ「でもそうしなきゃ全部入らないじゃない」

クード「そこまでしなくても、周りからバレなければ良いだけだろ!!」

フェイ「何言ってんの、途中でバレたらアンタただの変態ってことになるわよ?」

クード「って言ってももう無理だって…」

フェイ「アンタ短いんだから引っ張れば全部入るでしょ!?」

スパイク「お前等、何やってんだぁ?」

フェイ「見りゃ解んでしょ!!コイツの女装手伝ってんのよ!!」

クード「だからそんなに髪の毛引っ張ったら痛ぇって!!」

フェイ「カツラからアンタの髪はみ出してたら不自然でしょうが!!」

ジェット「やれやれ…」ハァ

大変長らくお待たせいたしました!!
今日オレンジレンジのライブ見てきたんで絶好調です。
なので今日書き溜めた分投下していきます。
まずは恒例おまけから

ジェット「なぁ、スパイク」

スパイク「んぁ?何だ?」

ジェット「最近お前がタバコ吸ってるとこ見た覚えがないんだが…」

スパイク「あぁ、あいつ等が来てから、というかレンが来てから船内では吸ってねぇな」

ジェット「ほぉう…。あのスパイクがガキ相手に気を使うたぁな…」

スパイク「そんなんじゃねぇよ。ただ…」

ジェット「ただ…?」

スパイク「この前、寝起きのレンにすっごい睨まれながら『タバコ臭い』って言われてな…」

ジェット「あぁ…成る程…」

スパイク「それだけならまだ良かったんだが、ファ○リーズ口に突っ込まれたんだよ…」

ジェット「そ、そうか…。まぁ、なんだ、俺もシュッとされないよう気をつけるか…」

スパイク「違うんだ、ジェット」

ジェット「何がだ?」

スパイク「詰め替え用を流し込まれたんだ…」

ジェット「oh…」

後、言い忘れてましたが原作一巻見たらワイヤーフックにちゃんと名前ついてました。
これからはワイヤーフック→アンゲルで行きます。

―ビバップ号―

ジェット「さぁ、ここからが本番だぜ」

クード「おっしゃあ!!さっさとあのピコハン野郎をぶっ飛ばそうぜ!!」

スパイク「まぁまぁ、落ち着けよ。いくら先手を取れるつったって真正面から挑んだって勝てやしねぇよ」

レン「じゃあ、どうするの?」

ジェット「一番確実なのはリアクトさせないことだな」

フェイ「そんな事できるわけぇ?」

スパイク「まぁ、無理だろうな」

クード「じゃあどーすんだよ!?早くしねぇと向こうも気付いちまうよ!!」

ジェット「だからこれを使う」ガシャ

レン「なぁに、その筒?」

スパイク「ロケットランチャーだ」

ジェット「この先っぽから弾が出て、それが当たったら爆発する」

レン「爆…発…」ワラワラ

クード「でもよぉ、こんなもん何発撃ったって防がれるんじゃねぇか?」

フェイ「そうね、そもそもあたし等にロケット弾を何発も用意できるお金があるとは思えないし」

スパイク「そりゃそうだ。確かに一発しかない。だが、一発あれば充分だ」

ジェット「まぁその辺はスパイクに任せてある。クーとレンはアイツの気を引いておいてくれればいい」

フェイ「ちょっとアタシは!?」

スパイク「留守番よろしく頼んだぜ。何せ滅茶苦茶頭が良くて生意気な番犬が居なくなっちまったんでね」ポンッ

ジェット「何だスパイク、寂しいなら小型犬くらいなら飼っても良いぞ?」

スパイク「いらねぇよ!!」

フェイ「ちょっとぉ!?ホントに置いてくつもり!?ねぇってば、ちょっと!!」

フェイ「…ホントに置いて行きやがったわ」ハァ

―倉庫街―

ジェット「そろそろ奴のバイクが見えても良い頃なんだが…」

スパイク「ホントかぁ?まさか壊れてんじゃねーだろーなぁ?」

ジェット「やっぱ安モンは駄目かねぇ…バイクなんて見当たりゃしねぇ」

スパイク「因みにそのレーダー、どん位の性能なんだ?」

ジェット「街一個分くらいは探知できるはずなんだが…さっき残り20mくらいの所で急に電波が途絶えた」

スパイク「半径20m虱潰しかよ…」

ジェット「それより、クー達はどうした?」

スパイク「何かさっき二人でこっそりと茂みに入っていったぜ」

ジェット「ったく何してんだあいつ等…」チッ

スパイク「若いってのは良いねぇ」

ジェット「馬鹿言ってる暇があったら連れて来い!!」

スパイク「ったく人使いが荒いこって…」

スパイク「おい、クー!!昼間っから盛ってんじゃねぇよ」

レン「盛る?」

クード「な、何言ってんだよ!?レンも居る前で!!」

スパイク「じゃあ何してたんだよ?」

クード「これだよこれ!アイツのバイク!!上手いこと隠してあったから素人目には解んなかっただろうが、
このクード様の目は誤魔化せないぜ」

スパイク「うっわ何だこれ、ボロボロじゃねぇか…。お前、ヴォルクスに殺されんぞ?」

クード「な、やったの俺じゃねぇよ!!見つけたときにはもうこの状態だったんだ!!」

スパイク「レン、ホントか?」

レン「うん、誰かが間違って倒しちゃったんじゃないかって」

スパイク「そうか…何にしても無駄に歩き回らなくて済みそうだな」

クード「だから何で俺の言うことは信じてくれねーんだよ…」

ジェット「おい、スパイク!!お前までサボってんじゃねぇ」

スパイク「これを見なよ、旦那。クーのお手柄だ」

ジェット「成る程、レーダーが途絶えるわけだ…」

クード「言っとくけど見付けただけだからな!?」

スパイク「だがしかし…こんなとこあのハンターに見られたらそんな事聞いてくれそうにもないな」

クード「うっ…」

ジェット「おまけに主に戦うのはクーだしなぁ…」

クード「なっ…」ダラダラ

レン「大丈夫。見つからない内に逃げちゃえば…」バァンッ

「き、貴様等…俺の愛車〈ヴィーヴ〉を…」ワナワナ

クード「げぇっ!?なんつータイミングだよ!!」

レン「クー!リアクトを…」

クード「お、おう!!」ピカー

ヴォルクス「チルル!!」

チルル「あいなのヨ!!」ピカー

ヴォルクス「絶対に許さんぞ、小僧!!」

クード「うぉお!!あっぶねぇ、な!!」

ピコハンが分裂して円盤がクードへと迫る。それをバックステップでかわすと、
間髪居れずに大剣を振るう。今度は風の刃がハンターを襲う。

ヴォルクス「ふん、俺の攻撃を避けたことは褒めてやろう。しかし、そんな腕じゃあ一生かかっても俺には勝てん!!」

ヴォルクスは手元に残していた数枚の円盤で防御する。続けてクードに攻撃を仕掛けようとするが、

スパイク「狩猟の福音は鳴った、だっけか?アンタの決め台詞。残念だが今回神様はハンターよりもカウボーイに味方してるみたいだな!!」パンパン

スパイクに発砲され、やむなくガードをする。

ヴォルクス「雑魚が何匹集まろうが俺の敵ではない!!」

防御には最低限の円盤を残し、他の円盤をクードとスパイクの元へそれぞれ飛ばす。
クードは避けきれない分を剣で受けるが、スパイクは右手を攻撃され、銃を飛ばされる。

スパイク「チッ…」

クード「くっ…」

クードは自分への攻撃を受けるだけで精一杯な為、スパイクの様子を確かめられない。

レン『今は、堪えて。きっとチャンスは来る』

クード「あぁ、でもそれまで持つか…」

スパイクは急いで物陰に隠れ、銃を拾う機会を探ろうとするが、ヴォルクスもそれに気付く。

ヴォルクス「隠れてないで出てきたらどうだカウボーイ!!お前の相棒は俺の足の下にあるぞ!!」

スパイクの銃を踏みつけながら叫ぶ。ところがスパイクは焦るどころかニヤリと笑う。

スパイク「俺の相棒はこっちだぜ!!」パンパン

スパイクは上着の中に隠してあったホルダーから銃を取り出す。

ヴォルクス「くっ小癪な真似を…」

かなり近い距離からの発砲だったが円盤は難なく防ぐ。

スパイク「この距離でも駄目かっ…!!」

次の攻撃が来ないうちにスパイクは反対側の物陰に入る。

スパイク「ジェット、あれをやるなら今だ」コソコソ
ジェット「おう、準備は出来てるぜ。ぶっ放して来い」コソコソ

ロケットランチャーを担ぐとジェットに拳銃を渡し飛び出す。

ヴォルクス「そこか!!…っ!?」

クード「レン、今だ!!」

レン『うん!』

「『仕る青龍集わり 強り奔らせ

白白明けと 朧なりに

いめ通わん』」

ヴォルクス「くそ、させるか!!」

スパイクが飛び出してきた方向に攻撃を仕掛けようとしたが、ほんの僅か、一瞬だけ手が止まった。
先程まで拳銃を手にしていた男がロケットランチャーを担いでいたからだ。

しかし、その一瞬を見逃さなかった者が居た。まずクードとレンが詠唱をする。
それに対しヴォルクスはクードとレンに半分の円盤を一気に飛ばす。

「『ノトスコォード!!』」

しかし間に合わず、攻撃にしようした円盤は全てノトスコードに弾かれる。
残りの円盤で防御するが勢いを殺しきれない。

ジェット「こっちも居るのを忘れてもらっちゃ困るぜ!!」パンパン

ノトスコードに押され気味なヴォルクスの背後からジェットが発砲する。
弾は肩甲骨の上辺りを掠めただけではあったが、防御姿勢が崩れるには充分だった。

ヴォルクス「ぐはぁッ!!」

スパイク「仕上げだぜ、ハンターさん」バシューン

円盤の防御壁が薄くなっている所にロケットランチャーを打ち込む。殺してしまっては元も子もないのでがら空きのところは避けて、だ。

ヴォルクス「防御が、間に合わん…ッ!!」ドカーン

防御壁ごと吹き飛び、リアクトも解除される。しかし、吹き飛ばされた先でまだ立ち上がる。

スパイク「タフだなぁ、おい。だが、武器も持たない状態でどうするつもりだ?」

スパイクはロケットランチャーを投げ捨てると肩をすくめて尋ねる。

ヴォルクス「俺がアレに頼っているとでも?チルルは相手の力を測るための道具にすぎない」

そういうと口内の血を吐き捨てて両手を構える。

スパイク「やろうってのか、その体で?」

ヴォルクスは何も答えない代わりに拳を放ってきた。

クード「レン、もう一発いけるか!?」

レン『私は大丈夫。けど、スパイクにも危険が…』

クード「そ、そっか…。じゃあ大技はなしで行こう!!」

そうしてヴォルクスの背後から切りかかるクード達。ところがそれをかわすと、
逆にクードの背を蹴ってスパイクともつれさせた。

ヴォルクス「俺の勝ちだ」

クード「何!?背中軽く蹴られたぐらいでダウンするかっての!!」

ヴォルクス「もう一度言おう、俺の勝ちだ」チャキッ

スパイクが始めに使っていたほうの拳銃をいつの間にか拾っていたようで、振り向いたクードの眉間に突きつけられる。

クード「な…」

クードは為す術なく両手を挙げる。

ヴォルクス「リアクトを解除しろ」

クードはチラリとスパイク達のほうを見るが二人も手を挙げて立っている。

ヴォルクス「早くしろ!!」

クード「わ、わーったよ…」ピカー

リアクト解除の光が消えると、クードの姿も消えていた。

ヴォルクス「なにぃ!?」

クード「こっちだぜ、ヴォル君♪」

声のした方向を見上げると、ワイヤーでぶら下がっているクードが居た。光った瞬間にアンゲルを上に投げ、光りに隠れて上まで移動していた。
急いで銃口をクードに向けようとするが、ヴォルクスの腕が動くと同時にクードの蹴りが入り、拳銃を弾き飛ばす。

ジェット「最後の最後で油断したな」チャキッ

スパイク「これで形勢逆転、ってか?」チャキッ

二人に銃口を向けられ今度はヴォルクスが手を挙げた。

ヴォルクス「煮るなり焼くなり好きにしろ。俺の負けだ」

チルル「まだなのヨ!!」

ヴォルクスが潔く諦めたところに、チルルが小さな体を目一杯広げて立ちふさがる。

スパイク「健気じゃねぇか…」

ジェット「おっさんにこんなの見せんなよ…涙が出てくるぜ…」

クード「の割には二人とも結構笑顔だぜ…?」

レン「二人とも…気味悪い」

スパイク「これは二人を引き離すのは野暮ってモンだなぁ」

ジェット「うんうん、そーだな。だがしかしさっきハンターさんは何か言ってた様な…」

スパイク「あー、確か『煮るなり焼くなり好きにしろ』とかなんとか?」

クード「こういう時はしっかり覚えてんのな…」ハァ

ジェット「あんな格好付けといてそのまま帰すってのぁ逆に気の毒だなぁ…」

スパイク「そうだ、ジェット!二人とも一緒にアークエイルに連れてけばいいんじゃねぇか!?」

ジェット「そいつぁ妙案だ!!よし、今すぐ行こう」

フェイ『ねぇーえ、そのなっがい小芝居はまだ続くわけぇ?』ザザッ

スパイク「小芝居とは心外だな!!なぁ、ジェット?」

ジェット「あぁ、これは人道支援みたいなもんだ」ウンウン

フェイ『もういーからそいつらさっさと換金しなさいよ…。アタシお腹空いたんだけど』

クード「なんか、俺ここに居て大丈夫なのか心配になってきた…」

レン「大丈夫、多分皆良い人、だと、思…う?」

チルル「段々自信なくなってるじゃないのヨ!!」

ヴォルクス「俺はこんな奴らに負けたのか…?」

今日の分は以上です。
これから年末に掛けてまた忙しくなるかも知れないので更新は一応不定期ということにしておきます。
多分、しばらくは大丈夫じゃないかな、とは思うんですが…。

おまけ

「ぶぃーんずばばばばどぉーん」キャハハハハ

「ワン、ワンワン!!ワンワンワン」

「ひゅおーんどどどどしゅるるる」キャッキャッキャッ

「ワンワン!!くぅーん…」

「どかーん!!ってありゃりゃ…やっちった」テヘ

「まぁいいや、行こ、アイン!!」

「ワンワン!!」

さて皆さん、大変長らくお待たせいたしました。
今晩書き溜めます。
なので今かけている分だけ置いていきます。
数レス分しかありませんが予告みたいな感じで捉えて頂ければ…

P.S.メインpcに移動しましたが、こちらもあまり調子よくありません。
最悪の場合、タブレットからの投下になるかと思います。
そうなったら若干今までと書き方変わってしまうかもしれませんが偽物ではないので悪しからず

―アークエイル本部―

ヴォルクス「奴らに捕まって引き渡されたはいいが…。いつになったらチルルと会えるんだ?」

アークエイル職員「もう少し待ってください。いくら密猟行為について保釈金を払われたと言っても、
貴方にはエディルレイド虐待の疑いもかけられていますので」

ヴォルクス「ふん…。あいつらは道具だ。人間が使ってやらなければ…」

クード「だぁから?そーいうこと言うからまた話がややこしくなるんだよ?」

ヴォルクス「…クードか。のこのこと何をしに来た?」

クード「誰の所為だと思ってんだよ…ったく」

ヴォルクス「俺たちのことなど放っておけば良いだろう。貴様らは無事賞金も手にはいったのだからな」

スパイク『俺たちも出来りゃそーしたいんだがな…』ハァ

レン『…ジェット達は人道支援って言った』

レン『二人を置いていくなら私もここで降りる』

ジェット『うちのお姫様がずっとこの調子なんだよ…』ハァ

フェイ『ちょいと旦那方?私が我儘言った時と随分態度が違うんじゃなくって?』

スパイク『そりゃあ、片や莫大な懸賞金のかかったお姫様で、もう一方は膨大な借金を抱えた魔王様だからな』

フェイ『誰が魔王様なのかしらぁ?』チャキッ

スパイク『そういう所が魔王だってんだよ』ハァ

フェイ『あぁーそう!悪かったわね魔王で!!』パァン

スパイク『うわっ本当に撃ちやがったこの女!!』

ジェット『と言うか我儘言ってる自覚はあったんだな…』ハァ

ヴォルクス「相変わらず騒々しいな…」

クード「まぁ、要するにレンが駄々こねちゃっモガモガ」

クード「ぷはっ、き、急に口ふさぐなよ!!」

ヴォルクス「貴様、状況を理解していないのか!?」ヒソヒソ

クード「へ…?」

ヴォルクス「貴様らから聞いた限りではアークエイルもあの少女を狙っているのだろう?」ヒソヒソ

クード「そーいや空賊艇襲ってきた奴らの中に居たっけ…」

ヴォルクス「ここで下手に彼女の名を出してみろ。その目立つ服装とセットで調べられたら一発でばれるぞ」

クード「危ないとこだった…サンキューな、ヴォルクス」

ヴォルクス「ふん…。貴様の武器は俺が目を付けたものだ。俺が狩る前に他の奴に狩られるなど許すものか」

クード「またまたぁ~!素直じゃないな~」

ヴォルクス「…今すぐここで叩きのめしてやってもいいんだぞ?」

クード「ジョークジョーク!!じゃ、一旦戻るからチルルに会えたらまた連絡くれよ!!」

ヴォルクス「…気が向いたらな」

―何処かの監視室―

???「クード・ヴァン・ジルエット、か…。スパイク…貴様があのような小僧とつるんでいるとはな…」クックックック

キシャーッキシャーッ

???「以前ある男を『牙をもがれた獣』と例えたが…。今の貴様はそれ以下だ。
飼い慣らされた家畜には食われる以外の価値はない」

はい!!と言ったところで続きは早くて明日の晩です。
ビバップ知ってる人は最後の人誰か解って頂けたと思いますが、知らない人のために…
彼のセリフは「綺麗な若本ヴォイス」で脳内再生していただけると良い感じです。

―おまけ―

クード「結局、ヴィーヴって誰が壊したんだ?」

ヴォルクス「俺が知るわけがないだろう。寧ろ知っていたら今頃そいつに金を払わせて俺の愛車を直している…」

スパイク「あんた結構やり手のハンターなんだろ?そのくらい持ってねぇのか?」

ヴォルクス「保釈金に使ってしまったんだよ」ギロッ

スパイク「お、おぉ…そりゃご愁傷様で…」ダラダラ

ジェット「しかし、人を殺してるわけでもねぇのに保釈金にそんなにかかるもんか?」

ヴォルクス「ふん…俺一人分なら貯蓄を崩すまでもなくポケットマネーで足りた」

クード「え、保釈金ってポケットマネー使えるの?」

スパイク「金額の話だろ…」ハァ

フェイ「ってことはさぁ~、あのおチビちゃんを出す為に大金払ったってワケ?」

ジェット「ほぉう…。それはそれは…」

ヴォルクス「チッ。何を勘違いしているか知らんが、アイツは「俺の道具」だ。
自分の所有物を自分で取り戻して何が悪い」

スパイク「へぇ…。お前なんか替えが利く道具だ、ってスタンスだったのにねぇ…」

フェイ「やだなに、ヴォルクスってばロリコンだったの!?見た目イケてるからって手を出さなくて良かったわ」

ヴォルクス「俺は本当にこいつらに負けたのか…?夢だったんじゃ…」ブツブツ

レン「それでもきっと、良い人…かな?良い人だといいな…」


終わりです。では書き溜める作業に戻ります。
どっちかしか見てない人は是非正月休みにでも見てください。
特にビバップ見てないおっさん!!おっさんはこれ見なきゃダメです。

そうですね…
こんな過疎スレに出向くほど荒らしさんも暇ではないでしょうが…
万一スレが落ちちゃった時の事も考えて酉つけときます。

更新は日を跨ぐと思います。
今回何か最終回っぽい雰囲気醸し出しちゃってますが全然終わる気ないので予めご了承ください。

お待たせいたしました。久々の本編です。
今回は彼も出てくることから解る通り、ビバップの最終回のパクリです。
今日の投下分では終わりませんが…


―ビバップ号―

ジェット「それで?ヴォルクスはチルルと無事合流できたのか?」

クード「いや、それがさぁ…。なんかまだ手続きだとか取り調べだとかで面会すらダメなんだって」

スパイク「もう本部に護送されて3日だぞ?…それに、いくらなんでも面会遮絶はおかしくねぇか?」

フェイ「でもあの強面よ?面会中に脅すかもとか考えてんじゃないの?」

ジェット「いや、面会時には立会人が居るはずだし、カメラだってあるだろうからその心配はしていないと思うがなぁ…」

スパイク「流石は元デカだな」

ジェット「その元デカの勘だが…コイツァキナ臭ぇ」

レン「確かに、今思えばあの二人の懸賞金、不自然なくらい高いよ」

スパイク「調べてみる必要があるな…」

ジェット「クード!!ヴォルクスに連絡だ!一回集まって今後の動向を確認しよう」

クード「りょーかい!!」

レン「ねぇ」チョンチョン

スパイク「ん?どうした、レン」

レン「これ…船の甲板に置かれてた」

スパイク「!?これは…」

ジェット「おい、どーしたスパイク」

レン「これが、甲板に…」

ジェット「あ、おい待てスパイク!!何処行く気だ!?」

スパイク「ちょいと野暮用さ」

ジェット「勝手な行動するんじゃねぇ!!…ったく、聞いちゃいねぇ」ハァ

クード「なぁ、ジェット」

ジェット「今度は何だ?」

クード「ちょっと不味いかもしんねー…。ヴォルクスと連絡がつかない…」

ジェット「チッ。先手を打たれたか!!こんな時にあのバカは何処行きやがった!!」

レン「多分、これの所為…」

フェイ「ねぇ、レンちゃん?それ、見せてくれる?」

レン「うん…」

クード「これは、手紙…?」

『スパイク・スピーゲル殿

 ティクル・セルバトロスとヴォルクス・ハウンドは預かった。

 ジュリアの時の様になりたくなければ直ちにアークエイルまで来い』

ジェット「というよりは果たし状や脅迫文に見えるな」

フェイ「この、最後の絵は何かしら?」

クード「うーん…赤い龍を黒い蛇が食ってるように見えるけど…?」

ジェット「冗談じゃねぇ!!レッドドラゴンは滅んだはずだ」

フェイ「食べてる、ってとこを見るとレッドドラゴンとやらに反感抱いてるんじゃない?」

レン「このジュリアって言うのは、誰?」

ジェット「スパイクの昔の女だ」

フェイ「そ。悪魔みたいな天使か、じゃなければ天使みたいな悪魔ね」

クード「フェイに悪魔みたいって言われるなんて…可哀想だなぁ」

フェイ「ちょっと!!どーいう意味よそれ!?」

ジェット「今はそんなことより、ヴォルクス達と、スパイクだ」

フェイ「アイツ…今回も死ぬ覚悟なんでしょうね…」

レン「今回も?」

フェイ「前にも何回かあったのよ。ジュリアの事で飛び出していったと思ったら瀕死で帰ってきたわ」

ジェット「あぁ、お前らがここに来る1年位前は特に酷かった。刀傷と銃弾を受けていて1か月は寝込んだな」

フェイ「あの時は流石にダメかと思ったわね…」

クード「そんな事が…。普段はあんなに飄々としてるのに…」

ジェット「そんな事があったからこそ、だろうな…。寝込んでいる間、ずっと『ビシャス』って呟いてたなぁ…」

フェイ「ちょっと待って、今ビシャスって言った…!?」

ジェット「あ、あぁ…。お前が家出してからずっとその名前呟いてたぞ?」

フェイ「ジュリア…赤い龍…黒い蛇…ビシャス…。そーいうこと」

クード「?どーしたんだ、フェイ」

フェイ「ちょっとアタシ宝くじ買ってくるわ!今なら当たりそうな気がするの」

ジェット「はぁ?何寝ぼけた事言って…ってホントに居なくなりやがった!!」

クード「宝くじってアンタ、今時年中買えるだろ…。スパイクとヴォルはそれ以下…?」

ジェット「ったく、なんでうちの連中はこう自分勝手なんだ…」ハァ

レン「スパイクの方はフェイが行ったとして、ヴォルクス達はどうするの?」

ジェット「恐らく、スパイクが向かっている先に居るだろうがなぁ…。アイツに探らせるか」

クード「へ?アイツって?」

ジェット「ちょっとした知り合いのハッカーだ」

―ソードフィッシュ内―

スパイク「ジュリアの件を出してきやがった…。間違いなくビシャスだ。あの野郎、生きてやがったのか…!!」ピピッ

フェイ『はぁい。アンタさ、また死にに行く気でしょ?』

スパイク「なんだぁ?前みたいに女らしく、涙ながらに送り出してはくれないのか?」

フェイ『べっつにぃ…前は記憶が戻って混乱してただけだし。今は宝くじ買いに行こうとしたら偶然アンタが居たのよ』

スパイク「ヴォルクスを助けに行かなくていいのか?」

フェイ『宝くじ買ったあとでね。って言うかアンタに言われたくないわよ!!』

スパイク「あぁ、そりゃそーだ。俺も、無事野暮用が終わったら彼らを助けるさ」

フェイ『アンタが死んだら、アタシに貸してるお金、チャラにしてよね』

スパイク「ったく、ホントにガメツイ女だな。こんな時くらい、甘い言葉でも吐いたらどうだ?」

フェイ『前、それで止まらなかったのは何処のドイツよ…』ボソッ

スパイク「フェイ、ありがとうな」

そう言うとソードフィッシュは急旋回をする。
レッドテイルの後ろにつけると右側のエンジンだけを打ち抜く。

フェイ『は!?ちょっと何!?うっわ信じらんない!!』

左側のエンジンは残っているため、クルクルと旋回しながらゆっくりと落ちていく。
不時着したレッドテイルの操縦者が無事であることを確認すると、ソードフィッシュは全速で飛び去った。

―ビバップ号―

クード「なぁ、ジェット!!こんなことしてていいのかよ!?俺たちも早く出た方が…」

ジェット「もう少し待て。闇雲に出てって見当違いなとこ探してる内に誰も助けられなかったらどうする」

クード「でも、行先はアークエイルで決まってんじゃねぇか!!今から全力で追えば追いつくだろ!?」

ジェット「俺はどうもそこが引っかかるんだ。アークエイルで二人を誘拐したなら、何故そこを早く離れない?
奴は離れる処かそこに来いって言うんだぜ?」

クード「た、確かに変かもしれないけど…」

ジェット「浮気がばれた彼女との待ち合わせにその浮気相手と一緒にいるラブホを指定するようなもんだ。絶対何かある」

クード「うーん…?その例えはいまいち解んねーよ…」

レン「アークエイルが敵にとって危険な場所じゃない、としたら…?」

ジェット「何ぃ!?いや、流石にそれは考えすぎじゃあ…」

クード「でも、それならヴォルクスとチルルの面会遮絶も説明できるんじゃないか?」

ジェット「俺たちが引き渡した時点でチルルは捕まっていたってのか…?」

レン「封煌符を使えばエディルレイドは簡単に無力化できる…」

ジェット「だとしたらスパイクの野郎は…!!」

クード「けっこーヤバいんじゃね?」ピピッ

???『ジェットさんジェットさん、こーんにーちはー!!』

ジェット「もう夜だ馬鹿野郎」

???『ありゃりゃ、間違えちった』キャハハ

ジェット「で、首尾はどうなんだ、エド」

エド『それがねー、フェイフェイは見つけたんだけどー…。太刀魚さんは行方知れずなの!!』

ジェット「何ぃ?スパイクの野郎…。じゃあ、フェイの方だけでも聞かせてくれ」

エド『えっとねー…そこからずーっと西の森の中に落っこちてるよ!!』

クード「フェイがやられたのか!?」

ジェット「いぃや、アイツだって相当な修羅場を潜ってきてる。恐らく巻き込むまいとしたスパイクに落とされたな」

エド『そうなの!ついさっきまでズババババァーってやってたんだけど、その後飛び去った太刀魚さんは追えなくなっちゃったんだー』

ジェット「じゃあ途中までの航路は解るんだな?」

エド『うん!でもねでもね、その先は意地悪~い電波が邪魔しててハッキングも出来ないの』

ジェット「妨害電波か…。エドでも何とかできないとなると相当なモンだな…」

エド『うーん…何とかできなくもないんだけど、すぐには無理かなぁ~』

ジェット「どっから発せられているかは解るか?」

エド『うん、その電波さんの範囲がね、すっごくきれーいな丸になってるから隠す気もないみたい!』

ジェット「どっからだ!?」

エド『保護協会さんのとこからだよー』

ジェット「繋がったな…」

クード「ってことはやっぱり、スパイクが」

レン「危ない…!!」

エド『じゃあ助けに行きましょー!!ぶぃーん』ワン!!ワンワン!!

ジェット「あ、こら勝手に船を動かすな!!っていうかどっからハッキングしてるんだ!?」

―アークエイル上空―

スパイク「おーおー手厚いお出迎えだこと」

アークエイル本部が見えてくると、
スパイクの接近がばれたのか飛空艇が大量に発進してくる。

スパイク「流石にこの数はまともに相手してらんねーな」

そう言いながら既に飛んでいる何台かを撃ち落とすと、飛び立つ前の飛空艇の前方を主砲で破壊する。
滑走路を破壊された飛空艇たちは急ブレーキをかけるが間に合わず、次々に激突するかめくれ上がった滑走路に躓き転倒する。

スパイク「よっし。あとは入り口強硬突破かな」

正面玄関を砲撃すると、そのまま建物内に機体ごと突っ込む。
中に居た警備達は突っ込むと同時に機関銃で蹴散らした。
ガラスをまき散らしながらエントランスホールに不時着すると、
鞄を引っ掴み、銃を構えて急いでソードフィッシュから離れる。
スパイクが離れてすぐ、ソードフィッシュはハチの巣になる。

スパイク「あれじゃあ修理もくそもねぇぜチクショウ!!」

中央階段の奥から出てきた人間がマシンガンを持っていたようだ。
すぐに階段の陰に駆け込むとしばらく相手の射撃が止むのを待つ。

スパイク「ったく、奴ら無駄弾撃ちすぎだろ!!」

一瞬銃撃が止んだのを見計らって、手りゅう弾のピンを抜いて放る。相手が怯んでいる内に状況を確認しようとすると、急に奥から眩い光が差す。

スパイク「へっ、エディルレイド完全保護協会、ねぇ…。保護したエディルレイドはどうなるかまで考えたこたぁなかったが…。
まだ違法ハンターの方が待遇良さそうだぜ…」ハァ

一つ、大きく溜息をつくと奥から出てくるエディルレイドプレジャーに銃口を合わせる。
普通、エディルレイドプレジャーに拳銃では太刀打ちできないが、プレジャーと言えども人間である。
正確な射撃によってヘッドショットを決められてしまってはひとたまりもない。

スパイク「チッ。こんなに居んならサブマシンガンでも持ってくりゃあ良かった!!」

今まで撃っていた方のマガジンを取り替え、更にもう一丁拳銃を取り出す。チラリと階段から顔を出すと、階段を駆け下りているプレジャーが三人。階段の上には拳銃を構えた敵が五人とプレジャーが一人。

スパイク「これならッ!!」

そして二丁構えると勢いよく飛び出す。
当然、スパイクの姿を見た途端に相手は撃ってくるが、先行していた3人が壁になって上手く狙えていない。
その間に階段を下りてきていた3人のうち二人を仕留める。もう一人は仲間の銃弾に脚を撃たれたようで蹲っている。
スパイクは更に走り抜けながら上階の拳銃持ち5人を狙って撃つ。

スパイク「おいおい、そりゃねーぜ…」

余りにも常識外れな光景につい足が止まる。
上に居たプレジャーが、地面から巨大な壁のような物を出現させ、全ての銃弾を弾いてしまった。
その壁に僅かな穴が5つ開いたと思った次の瞬間、敵の一斉射撃が始まる。

スパイク「くっ…!!」

急いで逆側の陰に入り込もうとするが、一発の銃弾が肩を掠める。
背後からの射撃だったため、そのまま前に倒れこみそうになるが、
勢いを利用して前転することで何とか柱の陰に身を隠す。
それでも尚、相手は柱に向けて撃ってくる。

スパイク「チッ…。一発食らったか…」

左肩に手を当てるとニチャっと嫌な音をたてる。
掠めただけとは言え、存外深い傷のようだ。
柱の陰からチラリ、と様子を伺うと未だに壁はそびえ立っていた。
すると、向こうもこちらを伺っていたのか、スパイクの顔がある辺りの柱にピシュンと弾丸が撃ち込まれる。
急いで顔を引っ込めるが射撃は続く。

スパイク「ちっくしょう…めんどくせぇ」

そういいながら懐からサングラスを取り出す。

スパイク「こうなりゃヤケだ!!」

叫び終える前にスパイクは駆けだすと、ピンッという音と共に、腰に付いていた黒い物体を三つ程放り投げた。
瞬間、辺りが物凄い光量で満たされる。
プレジャーたちは完全に資格を奪われたようで右往左往している。
拳銃組も下手に発砲して仲間に当たってはまずいと考えてか、一時射撃の手を止める。
それでも、スパイクが階段を駆け上がる音を聞くと、足音を頼りにそちらに向けて発砲する。

スパイク「どこ狙ってんだ、よ!!」

一気に駆け上がり、壁の間際まで行くと、穴に拳銃を差し込み数人を容赦なく撃ち殺す。
その内の一人が壁を出現させていたプレジャーだったようで、淡い光と共に壁が消えていく。
残った敵も確実に急所を狙う。全員戦闘不能にすると、サングラスを投げ捨てる。

スパイク「プレジャーのほうは恐らく保護協会の人間だろうが…。拳銃の方の戦い方は間違いなくレッドドラゴンの奴らだな…」

ひとまず落ち着いて緊張が解けたのか、左肩に痛みが蘇ってくると共に左手の力が抜ける。
ダランとなった左腕に、それでも掴んでいた銃を右手で取り、ホルダーに戻す。
右手だけで拳銃を構えて、スパイクはそのまま奥へと駆けていった。

ひとまずスパイクの第一戦が終了したとこで区切っておきます。
彼、二丁拳銃やると被弾フラグたちますよね…。
次回でアークエイル編は終わると思います。
基本的にエレメンタルジェレイドのストーリーなぞってきましたが、今後もその予定です。
ですので今回のが番外編的な感じです。
最終回はエレメンタルジェレイド(漫画)の方に合わせるつもりですので話はまだまだ続きます。
もちろんカットはしますが。


―ビバップ号甲板上―
エド「いっけぇーぶぃーん」キャハハハ
アイン「ワン!ワンワン!!」
エド「うーん…この速度で外にいるとやっぱ寒いねー。あ、アイン温かそー!!」
アイン「グルルルル…キュ、キャイーン…」

何かシリアス路線のクーが別人みたい…
後話が暗いですが、このアークエイル編が終わればまた日常に回帰しますので…

―アークエイル敷地外―

ジェット『取りあえず俺たちが連れていけるのはここまでだ。これ以上は電波が強すぎて船の操作もままならねぇ』

クード「えーと…ここがアークエイル?何かスゲー荒れてんだけど」

レン「スパイクが、独りでこれを…?」

ジェット『クード、俺とエドは残って情報収集を続ける。お前はレンとアインを連れてあのバカの手助けをしてやってくれ』

クード「いや、ちょっと待ってくれよ!残って情報収集ってのはイーンだけど…。この犬っころも連れてくのか?」

アイン「ウゥゥ…ワゥッ!!」

クード「うわぁっ!!噛みつくなよ!!」

レン「アイン、ダメ」

アイン「キュゥン…」

ジェット『心配すんな、そいつぁデータ犬つってお前なんかより余程頭が良いんだ』

クード「でもこのあほ犬、今俺の事噛みやがったぞ…」

ジェット『お前がアインを馬鹿にするからだろ』

レン「よしよし」

アイン「わふっ」

クード「こいつ実はエロ犬なんじゃねぇか…?」

フェイ『ちょっとー誰かー?アタシの事忘れてんじゃないのー?』

エド『フェイフェイはー、今ちゃんとレッドテイルに乗ってるー?』

フェイ『は?急にどうしたのよ、アンタ。そりゃ通信するために中に居るけど…?』

エド『じゃー…こっちにいらっしゃーい!!』カタカタ

フェイ『きゃっ!!ちょっと何したのよ!!』ブイーン

ジェット『なぁ、エド。遠隔操作するのは良いが、突っ込ませるなよ…?』

エド『おーきーどーきー!!なんちゃって』

クード「はぁ…取りあえず行くかぁ…」ブツッ

レン「クー、あの正面の入り口…」

クード「突っ込んだ跡…え、建物の中に突っ込んだの?」

レン「取り敢えずスパイクが何処に行ったのか探らないと」

クード「まぁ、この様子だとすぐ見つかりそうだけど…」

レン「アイン、スパイクを臭いで追える?」

アイン「ワン!!」

クード「すっげぇ!!やっぱ犬の鼻っていいんだな」

アイン「ワンワン!!」

レン「ついて来いって言ってるのかな?」

クード「でもイマイチ信用できねぇんだよなぁ…。ホントにレンの言った通りスパイク追ってんのかな?」

レン「でも、あの壊れた入り口に向かってるよ?」

クード「あれこれ考えてもしゃーないか…。うっし!アインに付いてこう!!」

レン「うん」

―ジェット&エドside―

ジェット「しっかし…レッドドラゴンはスパイクが潰したハズなんだがなぁ…」

エド「でもでも、その抗争の時ってスパイクはズタボロさんになってたんじゃなかったっけー?」

ジェット「あぁ、相手のボスに致命傷を負わせて、その後自分もぶっ倒れちまったらしい」

エド「じゃーあ、なんでスパイクは帰ってこれたの?」

ジェット「なんでってそりゃあ、アイツは悪運の強さだけは誰にも負けねぇからなぁ…。死に損なったんだろう」

エド「そーじゃなくってー…。敵さんのお家に一人で行って、ボスさんを倒したとしても周りはまだ敵さんだらけでしょ?」

ジェット「いや、それがそうでもないんだ。レッドドラゴンはアイツの古巣でな…。
その時のボスってのもクーデタで組織を乗っ取ったばかりだったらしく、賛否分かれる状態だったんだと」

エド「じゃー今回はその乗っ取りさん一派の生き残りが黒幕さん?」

ジェット「その可能性が高いだろうな…。取りあえず、レッドドラゴン関係者の情報を洗ってくれ」

エド「りょーかい領海大漁かい?」カタカタ

ジェット「こっちは最近アークエイル絡みで不審な事はなかったか、ボブ辺りにでも当たってみる」

―クード&レン&アインside―

クード「…なんだよ、これ」

レン「人が…たくさん、死んでる…の?」

クード「これ、ほとんど銃創だ…」

レン「スパイク…」

クード「レン、覚えてるか?ビーゾンの屋敷に潜入するときの事。スパイクが囮に行く前に言ったこと」

レン「…うん。あの時の表情、なんか別人みたいだった」

クード「あんな事言えるのは、人を殺した事があるから…なんだよな、きっと…」

レン「でも、今のスパイクが良い人なのに変わりはない…」

クード「そうだな…。よし、引き続き頼むぜ、アイン!」

アイン「んふー」プイッ

クード「あ、あれ…?」

レン「お願い、アイン…」

アイン「ワン!」

クード「やっぱムカつくなぁ、この犬…」

―スパイクside―

スパイク「チッ、うじゃうじゃと!!」パンパン

曲がり角に隠れつつ、時折こっちに向かってくる敵を撃つ。

???「スパイク。そんな事では埒があかんぞ」クックックック

敵が構えている更にその奥から誰かがカツカツと歩み出てくる。

スパイク「ビシャス…ッ!!やっぱり生きていやがったのか!!」

ビシャス「あぁ、貴様を殺せるのは俺だけだ。同じように俺を殺せるのもお前だけだ。そう、思っていたんだがな…」

スパイク「なら、今度こそ俺が葬ってやるよ!!」パンパン

今や誰よりも前に出ているビシャスに対して発砲するスパイク。しかしビシャスは、右手に持っていた日本刀を数回振ると銃弾をすべて弾いた。

ビシャス「残念だよ、スパイク。今の貴様に俺は殺せないさ…。あんなガキどもと仲間ごっこをしている様ではな!!」

さらに歩を進め、スパイクに近づいてくる。

スパイク「!?何故、クード達の事を知っている!!」

ビシャス「何故?解らないのか、本当に?ここは何処で、貴様はここに来るまで誰と闘ってきた?」カツカツ

スパイク「…アークエイルを乗っ取ったのか?」

ビシャス「フッ、ハハハハハ!!人聞きの悪いことを言う!!ちょっと力添えを頼んだだけなんだがなぁ…」カツカツ

すると、ビシャスの足音がピタリと止まる。次の瞬間、スパイクもビシャスも飛び出す。
スパイクの拳銃はビシャスの頭に、ビシャスの刀はスパイクの首元に、それぞれ当てられていた。

ビシャス「スパイクよ、俺はあの日以来、夢から覚められずにいる…」

スパイク「奇遇だな、俺も覚めない夢を見ていたよ…あの日まではな」

二人が膠着状態になると、奥に控えていた敵が、スパイク目がけて発砲する。

ビシャス「手を出すな!!この男は、俺がやる」

スパイク「へぇ…力添えを頼んだにしちゃあ随分高圧的な態度なんだな?」

ビシャス「ふっ、貴様らの様な仲良しごっこは性にあわんのでな」

スパイク「援護を断ったこと、後悔すんなよ?」

ビシャス「貴様こそ、仲間を連れてこれば勝てたなどと抜かすなよ」

パァンブシャッ

―クード&レン&アインside―

クード「これ、アインに頼る必要もないかもな…」

レン「さっきから、人が一杯倒れてる所ばかり通ってるもんね…」

クード「スパイク、無事かな…」

レン「多分、無事ではないと思う…」

アイン「ワン!!」

クード「どうした、アイン?」

レン「近くにスパイクがいるってことかも…!!」パァン

クード「銃声!?あの角からだ!!」

レン「急ごう…!!」

―ジェット&エドside―

ジェット「ふぅん…じゃあ、レッドドラゴンが壊滅したのは間違いないんだな?」

ボブ『何度も言っているだろう?それに、お前さんだって関わったろ、あの件に関しちゃ』

ジェット「俺は何も知らん。全部スパイクが一人でやっちまったから、アイツの回収にいっただけだ」

ボブ『それとな、アークエイルに関してなんだが、確かについ最近までは「エディルレイド完全保護協会」として機能していたんだが…』

ジェット「最近はどうもおかしかった、と?」

ボブ『いや、地方の支部や一般の保護協会員はちゃんと働いているんだがな…。上層部がマフィアとの癒着があったらしい』

ジェット「まさかそのマフィアってぇのは…」

ボブ『あぁ、お察しの通りさ。レッドドラゴンの残党共だな』

ジェット「しかし、何だってアークエイルなんざと手を組んだんだ?」

ボブ『いや、こいつらは特にこことだけ癒着してたわけじゃなく、太陽系の人が住んでる惑星のほとんどに支部を置いているみたいだ』

ジェット「なにぃ!?そんな事が可能なのか…?」

ボブ『腐っても海鼠、って訳だよ』

ジェット「それだけの事をするってこたぁ、余程の馬鹿か、そんだけ憎い奴が居たってことか?」

ボブ『おぉ、今日のお前さんは冴えてるねぇ。現役時代にも発揮してもらいたかったもんだ』

ジェット「馬鹿言え、お前何ざよりゃよっぽど冴えてたぜ」

ボブ『まぁ、昔話は今は置いておこう。つまりだな、その組織を壊滅させた張本人を追ってるわけだ』

ジェット「ったく、あの馬鹿は…。壊滅させるならさせるで、何でもっとスマートにできないのかねぇ…」ハァ

ボブ『お前さんの相方じゃあ仕方の無い事だろう!』ハッハッハッハ

ジェット「なにぃ?俺ほど器用で繊細な中年はいねぇぞ」

ボブ『確かに、毛は細かったなぁ』

ジェット「チッ。どいつもこいつも頭髪の事馬鹿にしやがって。で?首謀者は解ってんのか?」

ボブ『あぁ、奴さんも隠す気はないみたいでな、ちょっと調べたらすぐ出てきたよ。
ビシャスって言う長身の男で、常にカタナを持ってるらしい』

ジェット「ビシャスだぁ!?なんでそれをもっと早く言わねぇんだ!!」

ボブ『おいおい、急にどうしたんだよ…』

ジェット「いや、すまねぇ…。兎に角、助かった」

ボブ『おう、また今度なんか奢れよ』

ジェット「金が稼げたら、な」ブツッ

エド「ねぇ~これ見て見て~」

ジェット「あん?なんだ、これは?」

エド「真っ赤なドラゴンさん調べてたら、生き延びた人たち、みーんな死んじゃってるの!」

ジェット「何だってそんな…。いや、待て。これ全部殺しか?」

エド「うん、データ上ではそーなってるけどねー…実際は半分くらいの人が生きてるんだー」

ジェット「って事は…クーデタ反対派が排除されるカムフラージュで死んだことにされてるのか…」

エド「でもねでもね、ビシャスって人だけ死んでないんだー」

ジェット「でもそれじゃあ、すぐに容疑者になっちまうだろ」

エド「もーっと面白いものが出てきたよー!ISSPのねーお偉いさんの預金口座の増えてる分とね、
ビシャスちゃんの組織から出てってるお金足した分とがね、時々一緒になってるんだー」

ジェット「成程、あっちもこっちも癒着癒着、か…」

エド「えービシャスちゃんは全身ネバネバなのー?」

ジェット「まぁ、間違っちゃいねぇ…」

―スパイクside―

スパイク「くっ…」

ビシャス「ぐぁっ…」

お互い、避けると同時に攻撃を繰り出す。
スパイクは首を斬られそうになるのを後ろにかわしたため、胸に切り傷を受け、
ビシャスはスパイクの体勢が崩れた事により右腕に銃弾を受ける。
お互い、一旦距離をとる。

クード「スパイク!!」

スパイク「クー!?なんで来た!!」

ビシャス「よそ見している余裕があるのか…!?」

ビシャスが刀で切りかかってくる。何とか拳銃で受け止めるが、若干押され気味だ。

アイン「わぅ!!」

アインは一吠えするとビシャスの足元に噛みつく。

ビシャス「チィッ。なんだこの畜生は…!!」

ビシャスはアインを蹴り上げる。壁際まで飛ばされるが、すぐに起き上り向かっていく。

アイン「きゃうんっ」

またアインが飛ばされる。それに合わせて、奥に控えていた敵が発砲を開始する。

クード「くそっ!!あのままじゃ…」

レン「クー、リアクトを…!!」

クードとレンはリアクトをすると、アインと銃撃部隊の間に入る。

クード「レン、捌けるか!?」

レン『大丈夫、私とクーならこれくらい…!!』

クードが大剣を軽く振るうと、風が巻き起こり銃弾が逸れる。

クード「アイン、危ないから下がってろ!!あっちは俺が何とかする!!」

しかし、アインはまたしてもビシャスに向かっていく。

スパイク「チッ、普段は馬鹿にした態度取るくせに…。泣かせてくれるぜ」

ビシャスがアインに一瞬気を取られた隙に刀を弾き返す。

ビシャス「ぬぅっ!!」

すぐにスパイクに向き直るが、それを見計らったかのようにアインが飛び上がり、ビシャスの肩に噛みつく。

ビシャス「いい加減にしろ!!」

激昂したビシャスは、腋の下へと刀を通し、そのまま上へ突き上げようとする。
その先にはアインが噛みついた状態でぶら下がっている。

スパイク「させるかよっ!!」パンパン

刀を持っている方の手に命中させ、刀を弾く。

ビシャス「スパイクゥ…!!貴様ぁ!!」

ビシャスは反対側の手でアインを掴むと、スパイクの方に放り投げる。
今まさに発砲しようとしていたスパイクだったが、一瞬手が止まる。
その隙にビシャスは刀を拾い、まだ空中に居るアイン目がけて突き刺そうとした。

スパイク「アイン!!」

スパイクはアインの方へ飛び込んでいき、空中でキャッチするとそのままビシャスに背を向ける形になる。

ビシャス「スパイク…昔のお前ならそんな犬など気にせず俺を撃ち殺していただろう」

ビシャスはそのまま刀を突き出してくる。

アイン「ガウッ」

だがしかし、アインがスパイクの腕を噛んだ。

スパイク「!?ってぇ!!」

噛まれた痛みによって、スパイクはアインを掴んでいた腕を緩める。すると、アインはそのままスパイクの肩の上に乗り、ジャンプした。

ビシャス「なんだと!?」

ビシャスの顔面にへばりつくと、頭に齧り付いた。ビシャスの刀は、目測を誤り、スパイクの肩甲骨辺りを浅く切りつけるだけに終わった。

スパイク「やるねぇ、馬鹿犬!!」パンパン

そう言うと倒れこんだ体勢から、今度は確実に左腕を仕留める。アインは飛び降りて少し離れたところから低く唸っている。

ビシャス「くっ…!!」

刀を取り落し、その場に膝をつくビシャス。だが、スパイクは容赦せず発砲を続ける。

ビシャス「クックックック…俺を殺せるのは貴様だけだが、貴様を殺せるのも俺だけだ。一緒に連れて行ってやるよ」

ビシャスは懐から短剣を取り出すとスパイク目がけて放る。何とか避けようとするが、
これまでのダメージで思う様に体が動かず、腹に突き刺さる。

スパイク「ぐはぁっ…」

それと同時に、弾丸がビシャスの眉間を貫く。バタリ、と二人ともが倒れる。

クード「スパイクっ!!」

クードはすぐに駆け寄ろうとするが、敵の射撃が止まない。

レン『だめ、クー。今動いたらクーもただじゃ済まない!!』

クード「んな事言ったってスパイクが!!」

レン『うん、だから皆まとめて守っちゃえば良いんだよ。クーもスパイクもアインも』

クード「それって…」

レン『感じて、私の歌を…』

「『昨夜覚し真人に

 何くれとも触ればい

 かを柵んばかち落えん』」

クード「リジェクトアウト!!」

レンの大剣が少し小ぶりになり、代わりにクードの周りを風の鎧が取り巻く。
敵から放たれた銃弾はその風の流れに乗って後ろへと受け流されていく。

クード「レン、頼むぜ!!」

レン『うん』

そういうと風の鎧が広がり、スパイクやアインも包み込む。

クード「おい、もうお前らのボスはやられたんだ!!これ以上戦う意味はないだろ!!」

取り敢えず危機を凌いだクードは、残った敵たちに訴えかける。しかし、相手方は攻撃の手を緩めない。

レン『クー、この防御もいつまでも出来る訳じゃない…。ここは、取りあえず皆気絶させる程度はしないと、逆に私達が危ないよ』

クード「…解った。でも、大技はなしな」

そういうとクードは一歩前に進む。相変わらず相手の銃撃は続いているが、風の鎧を纏う二人には何の脅威にもなり得ない。

クード「はぁー!!」

思い切り剣を横に振るう。すると物凄い風が起こり、敵は全員奥の壁や天井に叩き付けられる。
多くの人間が気を失うが、中には運悪く、破壊された壁から出ている鉄筋に突き刺さってしまう者もいた。

クード「くっ…。やっぱり全員無傷ってのは無理か…」

レン『それよりも、早くスパイクを連れていかなきゃ…!!』

クード「…なぁ、レン。あのケガしている人とかってさ、放っといたら死んじゃうのかな?」

レン『…そうかも知れない。けど、クー。私達は戦える力はあっても、無敵な訳じゃないよ』

クード「…解ってるよ。こんな考え、高慢なだけだってのも解ってる。ただ、やっぱりスパイクみたいに割り切れはしないぜ…」

レン『多分、スパイクも昔はそうだったんだと思う。ただ、自分の無力さで大事な人を失った経験があったら…こうなるのも仕方ないかも』

クード「そっか…。ごめんな、レン。嫌な事言わせた」

レン『ううん、戻ろう?』

クード「そう、だな…」

アイン「くぅん…?」

クード「はは、この馬鹿犬。普段は、あんななのに…こーいうときは、慰めてくれんの、かよ…」グスッ

レン「クー、私もいるよ?」ピカー

クード「ありがとな、レンもアインも」

アイン「ワン!!」

クード「…うっし!しんみりした雰囲気は俺にゃ似合わねーし、戻るか!!」

レン「おー」

アイン「ワン!!」

―ビバップ号―

ジェット「こいつぁまずいな…」

エド「どーしたのー?」

ジェット「恐らく、スパイクの野郎はビシャスをやれば事態は収束すると考えているかもしれんが…」

エド「違うのー?」

ジェット「組織内でまたトップ争いが起きるだろうな…。下手すりゃアークエイルもそれに巻き込まれて、この星はとんでもないことになる」

フェイ「実質的トップがここに居たんだから、ここが争いの場になってもおかしくないでしょーね」

エド「あ、フェイフェイお帰りー!!遅かったねぇ」

フェイ「アンタが機体滅茶苦茶にしてくれたおかげでしょうが!!」

エド「えへへー」

フェイ「褒めてないっつの…」ハァ

ジェット「おまけにビシャスはここを拠点として活動するつもりだったのか、組織の主な部分を火星から移設しちまってる」

フェイ「マジィ?ヤバいんじゃないの?」

ジェット「壊滅させるならさせるで、綺麗さっぱり潰してくれりゃあいいんだがな…」

フェイ「どーせあの馬鹿の事だから、ビシャスさえやれりゃ他はどーでもいいってスタンスでしょーよ」

エド「それよりー、ハンターさん達はどーなったのー?」

ジェット「…そーいや、スパイクの事ばっか気にしてたが、クーたちはあの二人の捜索もしてんのか…?」

フェイ「さぁー?でもレンちゃんの執着ぶり見る限り、大丈夫なんじゃない?」

エド「執着、集客、いらっしゃーい!!」カタカタ

ジェット「エド、今度は何してんだ?」

エド「んっとねー、邪魔邪魔な電波さんにバイバーイってしてるの!」

フェイ「あーあの電波ね、鬱陶しかったわ…」

ジェット「すぐには出来ないんじゃなかったのか?」

エド「んー、でもクーたちが出てった頃から並行してやってたからー」

エド「あ!来たー!!もしもーし、聞こえまーすかー?」

クード『うわぁ!?通信できないんじゃなかったのか?』

エド「電波さんはねーもう居ないよー」

レン『それより、ジェット!!スパイクが…!!』

ジェット「あのバカがどうした!?」

スパイク『よぉ、旦那…。ちょっとヘマしちまってな…。悪いが迎えに来てくれねぇか…?』

ジェット「チッ、くたばったのかと思ったじゃねぇか…」

フェイ「ちょっと、結局大丈夫なの!?」

スパイク『なんだ、二人とも心配してくれてんのか…?』

ジェット「ふん、お前がくたばりゃ食い扶持が減って少しは楽になるなって期待しただけだ」

フェイ「アタシも借金が少し減って清々すると思ったのに…」

スパイク『おい、二人とも、トーンがマジだぞ…?照れ隠し、だよな…?』

ジェット「そんなことよりだな、クー、レン。ヴォルクス達は見つかったのか?」

スパイク『そんなことってアンタ…。俺割と重症なんだぜ?』

フェイ「頭の方が、ね。ホント独りで飛び出すなんてどうかしてる」

スパイク『…』

クード『それがさぁ、取りあえずスパイクが邪魔だから撤退しちゃったんだよ』

スパイク『お前ら怪我人にはもうちょっと優しく出来ねぇのか?…ってて』

ジェット「ハァ…仕方ねぇ、今から迎えに行くから、エドとアインをお守りにつけて皆で探すか…」

スパイク『俺ぁガキとケダモノは嫌いなんだがな…』

アイン『ワゥッ!!』

スパイク『うわッ!!悪かったから噛むなよ!!』

ジェット「ったく…」ハァ

フェイ「言葉の割にニヤけてるわよ」クスッ

ジェット「あぁ?俺は元々こういう顔だったぞ」

取り敢えず今回はここまでです。
アークエイル編、終わる予定だったんすけどね…
次回にちょっとだけ続きます。

おまけ

玉翠「あの男もダメだったデショ…」

玉翠「まぁ、初めから余り期待はしていませんでしたが」

玉翠「彼に執着しすぎた結果デショ。アークエイルをもっとうまく使えば彼女の捕縛など容易かったはず」

来蕾「なー何ブツブツ言ってんだー?」

玉翠「何でもないデショ」

来蕾「でさ、こいつらどーすんの?」

玉翠「連れていくデショ」

来蕾「えー、でもこいつら一回寝返ったじゃん!」クルクル

玉翠「一度負けただけで、別に寝返ったわけではないデショ」

来蕾「そうなの?って言うか何の話だっけ…こいつらどーすんの?」クルクル

玉翠「ハァ…」

そうですね、すみません
じゃあ月初めに生存報告だけでもなんとかします
生存報告ついでに思いついたネタを…


スパイク「ん…あれ?」キョロキョロ

フェイ「何アンタ、火も着けないでタバコなんか咥えちゃって」

スパイク「いや、一本吸おうと思ったんだが灰皿がねぇんだよ。知らねえか?」

フェイ「昨日アタシが吸った時まではあったわよ?アンタが寝ぼけてどっかやったんじゃないの?」

ジェット「おいスパイク!台所にあった灰皿知らねぇか?」

スパイク「そっちも無いのか?」

ジェット「あぁ?どーゆーこった?」

フェイ「こっちにあった灰皿もなくなってんのよ」

スパイク「…って事は」

ジェット「…まぁそうだろうな」ハァ

フェイ「え、何。何で二人だけ目で会話してんのよ?そーいう関係?」

スパイク「頼むから黙っててくれ…」ハァ

ジェット「以前タバコ吸ってたとこを寝起きのレンに襲われてんだよ…」

フェイ「じゃあもしかして今回の事って…」

スパイク「レンだろうな」

ジェット「ったく…最近の若いのはどうしてそんなに煙草を嫌うかねぇ」

スパイク「全くだぜ!それどころか最近じゃ世間様が禁煙禁煙って煩いのなんの…」

フェイ「あー確かにねー。アタシ子供の頃普っ通に電車とかでも吸ってたし、テレビの生中継中に吸ってる人もいたわ」

スパイク「お前の子供の頃っていつだよ…。俺たちの親も生まれてねぇんじゃねーか?」

フェイ「失礼な!!流石にそこまで前じゃ…あれ、それくらいか…?」

ジェット「どちらにせよ、愛煙家には厳しい世の中になっていってるのは間違いねぇな…」

スパイク「…禁煙しようかな」

ジェット・フェイ「「無理だな(ね)」」

スパイク「アンタらもな…」シュボッ

お久しぶりです。時間は少しずつ取れるようになってきたのですが…
迷走しております。取りあえず、次までの繋ぎの話だけでも投下していきます。
後、エドが難しいので、違和感があれば指摘していただけると、今後の参考になります。

―ビバップ号―

ジェット「で…捜索したはいいが」

クード「あの二人どころか人っ子一人居なかったぜ」

スパイク「流石に誰もいないってのは不自然じゃねーか?」

フェイ「そーなのよねぇ…。負傷したのとかアークエイルの職員とかは何処へ行ったって話よ」

クード「やっぱりあのクソブローカー共をとっちめるしかねぇ!!」

レン「私もクーに賛成。どちらにしろ、向こうも私を狙ってるし」

フェイ「でも、どーやってとっちめるのよ?こっちは向こうの居場所も、名前すら知らないのよ?」

スパイク「賞金首だな…」

ジェット「あぁ、俺もそれが良いと思う」

フェイ「前々から思ってたケドさぁ…アンタら何でそんなに息ぴったりなの?デキてんの?」

ジェット「俺がぁ!?コイツとぉ!?…冗談でもよしてくれ」ハァ

スパイク「俺もごめんだな。男色に走るとしてもせめて髪の生えた奴を選ぶさ」

エド「リストアーップかんりょー!ただね、そっれぽい人が沢山居てあんまり当てにならないかもかも」

フェイ「ちょっと待って、私まだ話についていけてないんだけど。勝手に進めないでくれる?」

クード「なんだよ、まだ解んねーのかよ?ブローカーの取引相手捕まえて吐かせようってんだろ?」

レン「クー…珍しく冴えてる…」ワラワラ

クード「あの、レンさん…?なんで機械にビビってる時と同じ反応なんだよ…」

スパイク「レンにとっちゃそれくらいビビることだったんだろ」

クード「うっせ!怪我人は黙って寝てろってんだ」

ジェット「はぁ…どうでもいいが話を進めるぞ。まぁ、さっきクーが言った通りだ。賞金首の中から誘拐犯だとか、ハンターと思われる者を追う」

エド「ただの誘拐犯ならお金にしてバイバーイ、ブローカーさんと繋がってたら取引現場を押さえてどっかーん」

クード「いや、どっかーんしちゃったらヴォル達の居場所解んなくなるじゃんか…」

ジェット「まぁ、どちらにせよ、賞金首を追ってればいつか手がかりがつかめるはずだ」

フェイ「じゃあなぁーに?結局今までとやることは変わんないってこと?」

スパイク「追っかける賞金首の選び方が、金額じゃなくなるってことさ」

フェイ「えぇー私雑魚には興味ないんだけどー…」

ジェット「そういう事は雑魚でもいいから捕まえてきてから言え」ハァ

スパイク「賞金首自体は小物でも、追ってるもの自体はデカいからな…。良いねぇ、乗ってきた」

レン「スパイクはまず、身体を治さないと…」

クード「そーそ。いつも無理するんだからこーいうときくらい休んどけって」

ジェット「アイツらの救出も急務だが…スパイクの怪我が癒えるまでは余り大々的には動かない方が良いか…」

レン「でも、賞金無いと、生活費も…」

フェイ「そーよねー…。アタシも今すっからかんだし…」

スパイク「お前は寧ろ持ってる時のが少ねぇじゃねーか」ハァ

エド「うーんとねーここからちょっと行ったとこに賭け試合できるとことがあるよー!」

クード「ってもなぁ…。一番強いスパイクはこの様だし、俺も格闘技とかはあんまりだし…。ジェットが出るのか…?」

フェイ「何々…あら、これエディルレイドも出られるらしいわよ?」

クード「いや、でもレンを賭けの道具になんて…」

レン「クー、出よ?クーが私の事道具や武器みたいに扱わないのはもう知ってるから、大丈夫」

クード「だけどよぉ…。危ない目にだって遭うかも知れないぜ?」

レン「それなら実戦の時も同じ。寧ろ試合って銘打ってる分、安全だと思う」

スパイク「まぁ、そりゃレンの言うとおりだわな。いーんじゃねぇのか、修行と思って参加してくれば」

クード「けど、エディルレイドを使った賭け試合なんて絶対違法なやつだろ?安全かどうかも解んねーぜ?」

ジェット「行ってから参加するかどうか決めればいい。寧ろ逆に、違法な所の方が個人情報とか公開せずにやれたりするから、現状考えるとそっちのが安心かもな」

クード「…けどやっぱり」

フェイ「もーけどけど煩いわね!!男なら一発やってやる!くらい言えないの!?」

クード「フェイ…」

フェイ「別にアンタを励ましてんじゃなくて、出たら目一杯賭けてやろうってだけだからね」

クード「なんだろう、普通照れ隠しのセリフなのに…フェイが言うと本気にしか思えない…」

フェイ「そりゃあ本気だもの」

レン「フェイ…守銭奴?」

フェイ「ぐっ…。あの馬鹿とかに言われるならまだしも、レンちゃんに言われると何かこう、クルものがあるわね…」

スパイク「なんだオタク、マゾヒストだったのか?」

フェイ「クルってそーいう意味じゃないわよ!!」

ジェット「ったくテメェらは喧嘩以外のコミュニケーションは取れねぇのか…。んで、クー。どうするんだ?」

レン「クー…。今までは何とか勝ってこれたけど、戦い方を学んで、確実に勝てる様にしておいた方がいいと思う。今まで、スパイク達が居なかったら負けてた戦いが多いよ?」

クード「そう…だな。うっし!いっちょやってやりますか!!」

レン「おー」

ジェット「そうと決まればその街に行くか。エド、街の名前は解るか?」

エド「んーとね、ラズフェアンクル?ってとこだよー!レズフェイクルみたいだねー」

スパイク「流石に無理やりすぎねぇか、それは…」

???「ねぇさん、こっちの服も着てみない?あ、次の試合の時なんかこの服はどうかしら?」

???「ちょ、ちょっと待てリィリア…。僕にこの格好で試合に出ろっていうのか?」

???「折角最後の試合なんだから、おしゃれしていかないと!」

???「だ、だからってこの超ミニスカとへそ出しはやりすぎだろう!?」

???「大丈夫、とっても似合ってるわ、ねえさん」

???「そういう問題じゃない!!」


と言う訳で次回からラズフェアンクル編です。でも前回リジェクトアウト発動しちゃったし、シンクロ率や
力の使い方についてもちょこちょこやっちゃったしで、どうしようか悩んでます。
ただ、熱狂的なファンの子は今後の展開上出会ってもらわなくては困るので省略するわけにもいかず…。
ぶっちゃけ姉妹の方は居ても居なくてもストーリーには関係ないので僕の趣味ですが
カウボーイビバップしか見てない人はラサティ、リィリア、フィロで調べておいてください。リィリアが可愛いです。

―ビバップ号―

クード「なぁ、まだつかないのかー…?」

ジェット「もうじきラズフェアンクルが見えてくるはずだ」

フェイ「ったく最近のガキンチョはホントに辛抱できないわね」

クード「だってよー…この中居てもやる事ねーんだもん。途中街とかで休憩いれてくれてもいーじゃんよー」

ジェット「寄り道したらその分時間はかかるし、この船の大きさだと一度エンジン停めたら再起動するのも燃料の消費が馬鹿にならねーんだ」

スパイク「いっつも目的地に直行してたのはそんな理由だったのかよ…」

フェイ「賞金首を早く捕まえるため、とかもっとマシな理由だと思ってたわ…」

ジェット「うるせぇ。だったらもっと稼いできやがれ」

クード「にしても遅すぎだろ!?もう二日はこの調子だぞ!!宇宙船ならもっと速く飛べるだろ」

ジェット「燃え尽きてもいいなら宇宙を航行している時の速度出すぞ?」

クード「へ…?」

スパイク「そんな難しい話したってこのガキにゃ解んねーさ。そもそもこの星自体、最近宇宙開発が始まったばかりなんだ。学のない奴ぁ知らんだろ」

クード「さっきから遠まわしに馬鹿にされてる…?」

フェイ「ド直球で馬鹿って言われてんのよ」ハァ

クード「んなっ!?」

レン「クー、馬鹿でも仕方ないよ。子供の頃から学校どころじゃなかったんだもん」

クード「…っうぐ」

スパイク「レン、フォローになってないみたいだぞ」

ジェット「まぁ簡単に言えば空気があるからあんまり速度出すと摩擦で燃えちまうんだよ」

フェイ「ま、どーせ出せても燃料費ケチるためにゆっくり行くでしょうけど」

スパイク「お、なんだかんだジェットの事解ってきたんだな!」

フェイ「そりゃあ、ね…。堅物でケチで禿ってくらいしか特徴無いもの」

スパイク「まだあるぜ?」

スパイク・フェイ「「お人好しでお節介」」

ジェット「ったく…。人を馬鹿にするときだけ息ぴったりになりやがって…。そのコンビネーションを戦闘時にも出せってんだ」

エド「ぴったりキッカリ到着でーす!!」

スパイク「おぉ、着いたのか?」

クード「ひゃっほう!久々の外だ!!」ダダダダ

フェイ「あーら、中々良い街じゃない。ショッピングとか行ってこようかしら」イソイソ

ジェット「…はぁ。二人ともすぐに外に飛び出していきやがったが、この街に来た目的忘れてねーだろうな」

スパイク「まぁ、大丈夫だろ。二人ともそう簡単に船から出られないさ。この街、セキュリティとかしっかりしてそうだし」

ジェット「あぁ?どーいうこった?」

スパイク「今に解るさ」

ジェット「まぁ、良い。エド、取り敢えず賭け試合についてネットの方から探ってくれ。
詳しい事は直接街に出てみた方が探りやすいかもしれんが、補助的なモンだと思ってくれ」

エド「あいあーい」

スパイク「俺は?聞き込みとかあんまり好かねぇぜ?」

ジェット「好み以前にテメェは動けねぇだろ。留守番だ」

スパイク「戦闘は無理でも多少なら動けるさ」

ジェット「そーいうことはソファの独占を止めてから言うんだな。ここ数日、風呂とトイレ以外そこに転がりっぱなしだろーが」

スパイク「やれやれ…。俺も甘く見られたもんだぜ。逆に風呂とトイレには行けてるんだから外を歩き回るくらい…」

ジェット「俺とクーが肩を貸してなきゃそこに居続けただろうが」ハァ

スパイク「…オーケィ、了解だ。今は傷を早く治すようにするよ。だからそんな心配そうなツラすんな、レン」

レン「…っ!気付いてたの?」

ジェット「…俺の説得はなんだったんだか」ハァ

スパイク「説得?説教ならされたがな」

ジェット「…ったく」

レン「ジェット、嬉しそう」

ジェット「し、仕事の邪魔されなくて良かったってだけだ!」

スパイク「おっさんの照れ隠しとか誰も見たくねーよ」ハァ

ジェット「隠さずに照れて見ろ。それこそ見たくねぇだろ」ハァ

エド「溜息、溜め池、落っこちた!!」

―港―

港職員「えーと…ビバップ号ビバップ号…あったあった!火星を拠点に活動?はぁ、態々こんな遠くまでこんなボロ船でねぇ…」

クード「いや、俺は元々この星に住んでたんスけど…。成り行きで同行することになって…」

港職員「はぁー…そうですかー。で、そっちの方は?」

フェイ「アタシ?アタシは…あれ、なんて説明したら良いのかしら…。話せば長くなるんですけどぉ…」

港職員「あ、いや、結構です。身分証の提示だけお願いしますー」

クード・フェイ「「身分証…?」」

港職員「もしくはエディルレイドの方なら核石を見せて頂くだけでも結構ですー」

フェイ「…ねぇ、おにぃさん?それって絶対見せなきゃだ・め・?」

港職員「ダメですねー。あとすみません、私男性にしか興味ないので」

フェイ「何よ!?なんでこんな所に務めてるのがホモなのよ!!」

港職員「ホモ?今ホモって言いました?侮辱罪ですね。あと、速やかに身分証を提示しない場合は公務執行妨害も付加します」

フェイ「ちょ、ちょっと待ってよ!!冗談だって、冗談!!全くお役所仕事は冗談が通じないんだから…」

クード「なぁ、俺子供の頃親に捨てられて空賊育ちだから身分証なんて持ってないんだけど…」

港職員「それはお可哀想に…」

クード「だ、だからさ!通してくんね?」

港職員「それとこれとは別です。あと、空賊育ちって仰いましたね?
窃盗罪、もしくは強盗罪に値する可能性があります。後ほどお話を詳しく…」

クード「い、いやちょっと待ってくれよ!!空賊って言っても悪い空賊団じゃないんだ!!
寧ろ、脱税とか、悪い事して儲けてるやつから盗む義賊みたいな感じだったんだよ!!」

港職員「盗んでいるなら同じことです。法治国家である以上、善悪は感情ではなく法が定めます」

フェイ「…クー、ちょっとこれ不味くない?」ヒソヒソ

クード「このままだと俺ら絶対捕まるって…」ヒソヒソ

フェイ「なら…」

クード「いっその事…」

港職員「?」

フェイ・クード「「逃げる!!」」ダダダダ

港職員「あ、こら!!待ちなさーい!!」ダッダッダッダ

クード「うわぁこっち来た!!つーか速ぇえ!!」

港職員「あー、こちら2番港。密入者二名。片方は追跡中。もう片方は20代の女。外見的特徴は、カチューシャと露出の多い服」ザザッ

港本部『本部了解。二番港を封鎖する』ザザッ

クード「よっしゃぁあ!!このまま行けば追いつかれる前に…って!?」ガラガラガラ

港職員「もうここの港は封鎖しました。さぁ、一緒に来てもらいます」

クード「ま、マジか…」

フェイ「ちょ、解ったってば触んないでよ!!歩けばいいんでしょ!?」

クード「フェイもあっさり捕まってるし…」ハァ

港職員「では、こちらへ」ガチャッ

クード「うへぇ…手錠とかされるとなんか犯罪者みてぇ」

フェイ「みたい、じゃなくて逃げた時点で犯罪者だけどね」

港職員「そういうことです。では処分は追って知らせますので…。
しばらくここで大人しくしていてください。くれぐれも変な気は起こさぬ様お願いします」ガチャン

フェイ「はいはい、もう逃げないってば。逃げたところで顔が割れてちゃ意味ないしねー」

ゲリラ的に投下してみました。
彼らは中々ミリアルドトレイに行ってくれません。
暖かくなる前にラサティ達と会えると良いなぁ…。
いつものおまけも割愛させていただきます。
という訳でまたその内。

スパイク「年度末って何で皆忙しそうなんだろうな」

ジェット「働いたことねぇお前さんにゃ解らんだろうが、決算だとか送別会だとか色々あんだよ」

クード「決算はまだ分かるけどよ、送別会ってもう仕事ですらなくね?」

フェイ「お偉方がそれに託けて飲みたいだけなんでしょ」

ジェット「付き合わされる方としちゃあ仕事と余り変わらん」

スパイク「あーやだやだ。そういう風習があるから働きたくない若者も増えてるんだぜ、きっと」

フェイ「でもさぁ、そーいう社会不適合者って犯罪犯すこと多いからアタシ達の糧にもなってる訳じゃん?」

スパイク「送別会万々歳だぜ」

ジェット「ったく、相変わらずテメェは…」


ごめんなさい、取り敢えずこのオマケだけで勘弁してください
暇が出来たら本編進めますんで…

とりやってしもた…
久々にタブでやったもんですみません
同じIDで新しいとり付けます…

次回からこのとりで
今月中に更新できるよう頑張ります

ービバップ号ー

クード「…アリガトウゴザイマス」

ジェット「たっく…」

スパイク「まぁ、ジェットのお陰で釈放されたのは良いとしてだ」

フェイ「問題はこれからどーするかってトコよね」

ジェット「元同僚の根回しでも流石に下船許可まではなぁ…」

クード「身分証でっち上げちゃうのは?」

スパイク「まぁその辺の技術はジェットもフェイもあるだろうが…」

ジェット「犯罪者を追う俺たちが犯罪者になっちゃ元も子もねぇだろ」

フェイ「今更な気もするけどね」

ジェット「今更だからこそだ。これ以上罪を犯さないようにだな…」

クード「でもさぁ、この星においての警察ってアークエイルなんじゃねぇの?」

クード「俺たち思いっきり奴らにケンカ売っちゃったんだからさ、犯罪もクソもないよーな気が…」

レン「そもそも、クーは空賊時代に指名手配されてるし…」

スパイク「ンな事言い出したらそこの女も指名手配犯だし、レンだって懸賞金かかってるだろ」

フェイ「大体、アンタ達だって賞金首捕まえる時に犯罪じみた事してんじゃないのよ」

ジェット「ハァ…。解ったよ。エド、バレないようにこの星の住民データ弄れるか?」

エド「うーん…できるけど、何するの?」

スパイク「まぁ、身分証でっち上げただけじゃその場しのぎでしかないからな」

ジェット「あぁ、だからもうお前の住民データを実在させてしまう」

クード「え⁉︎でも俺指名手配されてるんじゃ…」

スパイク「んなもん実名じゃなければいい」

エド「実名偽名名演技ー‼︎」

フェイ「相変わらず何言っているか解らないわね」

レン「クーが、クーじゃなくなるの?」

スパイク「まぁ、普段は別にクード・ヴァン・ジルエットでいいだろ」

ジェット「取り敢えず、名前を決めるか」

フェイ「行方不明の奴とかにしとけばー?」

スパイク「フラッと出てきたらどうするんだよ?」

エド「この人はー、何年も前にいないな~いしたけど、バァってする前に別の名前になってるよー」

ジェット「同じ様な事をやってる奴か…。そいつでいんじゃねぇか?」

スパイク「どんな奴だ?」

エド「えっとねー、ケビン・レグナードさんって人ー」

エド「何か周りの人が次々亡くなっちゃってて、その直後に消えちゃってるの」

クード「なぁ、大丈夫なのかそれ…?」

ジェット「まぁ、見た所前科は無いが…。問題が発生すればバックれればいい」

スパイク「それがさっきまで綺麗事言ってたおっさんの台詞かよ」

フェイ「ねぇ、そーいやずっと無視されてるけど、アタシはどーすればいいワケ?」

エド「フェイフェイはー、昔の自分の戸籍が残ってるよ~‼︎」

ジェット「あん?事故で失われたんじゃなかったのか?」

エド「最近になって地球にあった古~い媒体からデータの抽出に成功したんだって~」

スパイク「んで、さっそくそれにハックしたのか?」

クード「なんだかんだすごい奴なんだなぁ…」

フェイ「でもさぁ…それっておばあちゃんの年齢になってんじゃないの?」

スパイク「そんくらいエドが何とかしてくれるさ」

エド「もう終わったよー」

フェイ「えらく速いわね…って何よこれ⁉︎まだ30もいってないっての‼︎」

ジェット「いいだろ、別に。80とかだったら怪しまれるかも知れんが、20も30もそんな大差ない」

スパイク・フェイ「「それはアンタだけだろ(でしょ)」」

レン「相変わらず…仲良しなんだね」

エド「仲良し中落ち牛カルビー」

ーラズフェアンクルー

クード「っかぁー‼︎ようやく船から出れたぜ」

レン「そういえば外出るの久し振りだね」

フェイ「にしても外出て最初にやる事が必要雑貨の買い出しってどーなのよ…」ハァ

ジェット『だったらテメェが留守番するか?』

フェイ「冗談でも止めてくれない?モジャ男とガキンチョとケダモノの相手なんて一人じゃ手に負えないわ」

クード「俺とレンだけで良いって言ったのにフェイが無理やり付いてきたんじゃねぇーか!」

フェイ「だってアンタはバカだし、レンちゃんはボーッとしてるしでちゃんと買い出しできないでしょ」

クード「バカって何だよ⁉︎流石に買い出しぐらいできるわ!」

レン「あ、クー、前…」

女の子?「きゃあっ‼︎」

フェイ「あーあー、何処ぞのラブコメかってくらい見事な押し倒しね」

クード「あ、悪りぃ、大丈夫か⁉︎」

女の子?「は、はい大丈…」

男?「おい、お前‼︎リィリアに何している‼︎」

クード「ご、誤解だって‼︎ただぶつかっただけで…」

男?「ぶつかっただけで胸まで揉むか!」

クードは弁明する事に必死で態勢を立て直す事に頭が回らないためか、いつまでも少女の上にいた。
それが更に男?の逆鱗に触れたようで、いきなり殴りかかる。

リィリア「ちょ、ちょっとねぇさん‼︎」

リィリアと呼ばれた少女が制止するが意味はなく、クードの顎を的確に殴り抜けた。
余程人を殴り慣れているのか、クードは一発KOだった。

取り敢えずここまで
長い期間お待たせしたのに待っていてくれた方アリガトウゴザイマス
これからは描き溜めずに思いついたら即投下していこうと思います。
書こう書こうって思って今度でいいやってなっちゃうので…

クード「ん…うん?」

レン「…!クー、大丈夫?」

クード「あぁー…レンか?ここ何処?」

リィリア「あ、クーさん、目醒めたんですね!」

クード「君は確か…」

リィリア「リィリアです。あの、先程は姉さんが失礼しました…」

クード「…?何かあったっけ?」

レン「クー、さっきリィリアのお姉さんに殴られて気を失ってたんだよ」

クード「…あー‼︎思い出した‼︎って言うかアレ女なのかよ?」

ラサティ「悪かったな、女らしくなくて」

クード「えぇー…謝るのそっちかよ…」

レン「クー、今のは嫌味だと思う」

リィリア「もう、姉さん!」

ラサティ「…勘違いとは言え殴って悪かった」

リィリア「お詫びと言っては何ですが、ご飯召し上がっていってください」

クード「マジで⁉︎ラッキー‼︎」

クード「うっわぁー、美味そう‼︎」

リィリア「一杯食べてくださいね?」

クード「おう!いっただきまーす」

レン「クー、そんなにガッつくと…」

クード「…っ‼︎ガッ、ゴホッゴホッ」

レン「リィリア…お水貰える?」

リィリア「う、うん!すぐ持ってくる!」

レン「そんなに急がなくても良いよ。いつもの事だから」

クード「れ、レンざん…流石に酷ぐないでずか…」

ラサティ「クード、少しだけ同情するよ…」

リィリア「は、はいお水!」

レン「ありがとう。ほら、クー飲んで」サスサス

クード「ゴクゴクゴクッ…っはぁー‼︎死ぬかと思った‼︎」

リィリア「何か、夫婦みたい」

クード「な、ななな何言ってんだよ!俺とレンがふ、夫婦とか…」チラッ

レン「ん?何?」

クード(ですよねー。レンさん全く意識してらっしゃらない…)

レン(クーが、旦那さん…。恋人とかの方がポカポカする)

ラサティ「面倒なカップルだな、全く…」ハァ

リィリア「姉さんが言える事じゃないでしょ」クスッ

クード・レン・ラサティ「?」

クード「あ、所でさ。二人はこの街で賭け試合とかしてる所知らないか?」

ラサティ「…知らないな。知っていたとして、聞いてどうするんだ?」

レン「実は、私エディルレイドなの。それで、クー一緒に出ようと…」バンッ

ラサティ「クード、お前は…お前もそういう奴だったのか…」

リィリア「ね、姉さん!」

ラサティ「下がっていろリィリア。クード、お前はレンの事を武器として使うのか?」

レン「ラサティ、クーは…」

クード「ふざけんな‼︎俺はレンの事武器だなんて思った事は1度もないし、そんな風に扱った事もない‼︎」

ラサティ「フン、どうだかな。今まで多くのプレジャーを見てきたがあいつらは良い気になってエディルレイドを振り回している最低の輩だったぞ」

クード「確かに、中にはそんな奴もいるかもしれない。けど、俺はレンと…」

クード(俺はレンとどうなりたいんだ…?エディルガーデンに連れて行くって約束は果たす)

クード(けど、その後は?それでさよならか…?)

ラサティ「やはり答えられないじゃないか!お前がそんな奴だとは思わなかった」

レン「待って、ラサティ‼︎私たちは…」

ラサティ「なんと言い繕っても無駄だ。現に、レンを使って非合法な賭けで金を稼ごうとしているじゃないか!」

クード「違う!正直、レンの事どう思ってるのかとかは良く解んないけど…」

クード「それでも武器としてじゃなく、一緒に戦ってるんだ‼︎」

ラサティ「何がどう違うのか僕にはさっぱりだ。もういい、出て行ってくれ」

リィリア「姉さん、何もそんな追い出すようなことしなくたって…」

クード「こっのぉ~…。お前が過去にどんなプレジャーに会ったか知らないけど、話も聴かずに一方的に決めつけんじゃねーよ‼︎」

レン「クーも落ち着いて…」

クード「こんなとこ、こっちから出てってやるっての‼︎」

レン「あ、待ってクー!」

フェイ「はろー、買い物終わったわよーって…」

フェイ「あっらぁ~…。アタシってばお邪魔かしら?」

ラサティ「フン、あんな奴知るかっ‼︎」

リィリア「ごめんなさい…。姉さんとクーがケンカしちゃって」

フェイ「貴女が謝る事ないじゃない。所で、アタシずっと聞きたかったんだけどぉ…」

フェイ「ラサティ、貴女随分戦い慣れしてると言うか…もっと端的に言うなら人を殴り慣れてるわね?」

ラサティ「…っ!だったらどうした?」

フェイ「闘技場について教えてくれない?」

ラサティ「生憎、僕はそんなもの知らないな」

フェイ「…まぁエドのおかげでほぼ当たりは付いてるんだけど、警察の見張りが厳しくなったとかで入り口の合言葉が今週から変わるみたいで困ってるのよねぇ…」

ラサティ「な⁉︎そんな話僕は聞いてないぞ!」

フェイ「そりゃそうでしょ。嘘だもの」

ラサティ「な…」

フェイ「じゃ、案内よろしくねん」

次回からミリアルドトレイです。
そして次回から投下後のコメントも無くそうと思います。
投下終了のレスの最後につづくって付けます。
ではでは

ービバップ号ー
スパイク「それで?なんの収穫もなく帰って来たってか?」

クード「だってよぉ…。アイツ、人の話全く聞こうとしないんだぜ?」

ジェット「そうじゃねぇ。その女、絶対闘技場について知ってるだろ」

レン「何で?」

スパイク「人を一撃で気絶させるってのは案外難しいんだ。そこらの喧嘩慣れしたチンピラじゃあとても出来る芸当じゃない」

クード「え、という事はラサティは賭け試合に出てるかも知れないって事か⁉︎」

ジェット「あぁ。クーへの態度も、賭け試合に来るプレジャー達を見て偏見があるんだろう」

レン「じゃあ、戻って教えてもらわないと」

クード「う…やっぱそうなる?あんな感じで飛び出してきたから今更聞き辛いんだけどなぁ…」

レン「私たちも出場して、ラサティの誤解を解かなきゃ。リアクトは悪い事じゃないって」

クード「そう…だな。よし、行くか!」

レン「うん!」

フェイ「もしもーし、お二人で盛り上がってるとこ申し訳ないんだけどぉ~」

クード「うわっ!フェイ居たのかよ⁉︎」

フェイ「相っ変わらずムカつくガキンチョねぇ…。さっきから居たわよ」

ジェット「おい、テメェ買物はどうした?」

フェイ「いや、ちゃんと買物は済ませたんだけどね、ちょーっと途中でお金が必要になっちゃって…」

スパイク「売ったのか…。つーか生活必需品何てよく買い取ってもらえたな」

フェイ「流石にそんなもの買う馬鹿居ないわよ。返品してきただけ」

ジェット「で?どこで擦って来やがった」

フェイ「そんな怒ると禿げるわよ?」

ジェット「ほぉう…。逆にどうやったらこれ以上無くなるのか教えてもらいたいね」

フェイ「ヒゲかしらね」

スパイク「あぁ、そこ以外ねぇしな」

ジェット「はぁ…。もういい。お前らの相手するくらいなら闘技場について探ってた方が生産的だぜったく」

フェイ「じゃあアタシが案内するわ」

クード「…え?」

フェイ「さっきから何度も説明しようとしてんのにアンタ達が話の腰折るから」

スパイク「あー…じゃあ何だ。さっきまでそこで賭けてたのか?」

フェイ「そうよ。ラサティに鎌かけたら簡単にボロ出したわ」

ジェット「珍しくいい働きだな…」

レン「でも、お金擦っちゃったんでしょう?」

ジェット「…確かにな。これからどうするか…」

クード「え、もしかしてあのお金って…」

ジェット「今使える分全部だったんだよ‼︎だからアイツ一人じゃなくお前らも同行させたんだろうが…」ハァ

スパイク「じゃあ明日から文無し生活かよ⁉︎」

ジェット「賭けるにしろ出場するにしろ金もいるしな…。バイトでもするか」

フェイ「いやいや、こんなおっさん誰が雇うのよ?」

つづく

流石に行動パターン読まれてますか…
丁度昨日書こうかなと思いたってスレ開いたら…
お待たせしました

ー喫茶店ー
クード「…はぁ、仕事ったって俺今まで空賊以外した事ねぇしなぁ」

レン「いらっしゃい、ませ」

クード「レンは可愛いからすぐにここで雇ってもらえてるけど…」チラッ

クード「なんか楽して稼げる方法ねぇかなー…」

クード(スパイクは用心棒とか探すって言ってたし、ジェットはこの辺で賞金首を追っかけるらしいし…)

クード「…翌々考えたら俺ってできる事何にもないじゃん」

クード(取り敢えず表ぶらつくか…)カランカラン

ーラズフェ=アンクル繁華街ー
スパイク「なぁ、この辺で用心棒でも募集してるとこないか?」

おっさん「あぁ?やめとけやめとけ!もっと田舎の方ならいざ知らず、こんな街中で用心棒雇うような奴は後ろ暗い事がある奴だけだよ。そんな輩に関わってちゃ兄ちゃんも危ないぜ?」

スパイク「こう見えて、修羅場は慣れてるんだ。だから心当たり教えてくんねーかな?」

おっさん「そりゃあ色男なら修羅場慣れはしてるだろうさ!だがね、世の中女より怖いものもあんのさ」

スパイク「へぇ、女より怖いものなんざ聞いた事がねぇな。是非教えてくれ」

おっさん「そうだな…例えば、ガマガエル、とかな」

スパイク「…そりゃいい。確かにガマガエルは触りたくねぇしな」ハァ

おっさん「この街には悪いガマガエルが居るんだよ。そいつは蛇とかに食べられないように守って欲しがってるかも知れん。ココに行ってみな」

スパイク「へぇ。ガマガエル、ねぇ…。助かったぜ、おっさん。」

おっさん「いいってことよ」

スパイク「…所で、何で急に教えてくれる気になったんだ?」

おっさん「あんたが女なんざ怖くねぇとか抜かす奴だったら教えなかったね」

スパイク「ナルホド。昔っから女運は悪くてね。一度殺されてんのさ」

おっさん「結婚はよう考えてしな。俺なんて毎日女房に…「アンタ‼︎また仕事サボってんのかい⁉︎」…い、いや今若い兄ちゃんに仕事紹介してたんだよ!」

スパイク「おっさんも大変なんだな…」

ービバップ号ー
ジェット「流石にアークエイル支部があるだけあって、大した賞金首はいねぇな…」

フェイ「えー雑魚なんか幾ら捕まえた所で足しになんないじゃない!」

ジェット「そう思うならテメェも仕事探して来やがれってんだ!」

フェイ「やーよ、アタシみたいな美人は男に貢がせるのが仕事ですもの」

ジェット「ほぉう…じゃあテメェに貢いでくれそうな男を引っ掛けに行くんだな。それが仕事だ」

フェイ「あぁらダンナ、その頭とってもチャーミングね。アタシとイイコトしない?」

ジェット「…ハゲのおっさん誘う時にそれだけは言うなよ?」

フェイ「ハゲなんか誘わないわよ。若ハゲでも坊主頭でも御面ね」

ジェット「…はぁ。もういい、早く行ってこい」

フェイ「イイ男捕まえたら戻ってこないかも」

ジェット「そりゃいい。食い扶持が減りゃあこっちとしても大助かりだ」

フェイ「またまた~。ホントは寂しい癖にぃ」

ジェット「ったくようやく出て行きやがったか。…そう思うならちゃっちゃと稼いで戻って来やがれってんだ」

フェイ「…何よ、急にデレたって何にもないわよ」

ジェット「な⁉︎聴いてたのか⁉︎」

フェイ「煙草、忘れたのよ。どうしてもって言うなら真面目に働いて戻ってくるわよ?」

ジェット「真面目に働けるんなら普段からそうして貰いたいね!」

フェイ「ま、取り敢えず行ってくるわ」ヒラヒラ

エド「これはアインにも食べられないねー?」

アイン「ワウッ」

ジェット「これの何処が痴話喧嘩だっ!」

エド「きゃーパパが怒ったー」

ジェット「お前は娘の設定なのかよ…」

ー繁華街ー
クード「なぁなぁ、おっさん。俺にもできる仕事とかない?」

おっさん「あぁ?仕事ねぇ…。寄港してる船の掃除とか依頼で来てるぞ」

クード「えぇー…掃除とかじゃなくさ、何かもっと楽に稼げそうなの無いのかよ?」

おっさん「ガキがナマ言うんじゃねぇ。稼げる仕事はそれに見合った危険があんだよ」

クード「ちぇー。俺だってそれなりに修羅場潜ってきたっつーの」

おっさん「あぁはいはい。じゃあこんなのはどうだ?」

クード「何々…子供のお守りぃ?」

おっさん「子供のお守りってのも結構修羅場なもんだぜ?奴ら何をするかわからんし、ちょっと怒ったら泣き喚くから逆にこっちが追い詰められる」

クード「こんなのスパイクに知られたらどんだけ馬鹿にされるか…」

おっさん「ん?スパイクってのはあの背の高いモジャモジャの兄ちゃんか?」

クード「そーだけど…。もしかしてスパイクもここに仕事探しに来たのか?」

おっさん「あぁ、あの兄ちゃんなら任せられると思って用心棒の仕事回したよ。本人もそれ以外探してないようだったし」

クード「じゃあ俺にもそれ紹介してくれよ!」

おっさん「あーダメダメ。あいつの所は本当にヤバいんだ。お前さんみたいなガキじゃ務まらねぇよ」

クード「けっ。もういいや、"俺たち"のやり方で稼ぐから」

おっさん「何する気か知らねぇが、ここいらじゃ厄介ごと起こしてくれるなよ?警察より質の悪い輩がいるからな」

クード「へーへ。じゃあな、おっさん」

ーオーナーの屋敷ー
スパイク「どーもー。用心棒雇ってくれるって聞いて来たんスけど…」

メイド「あぁ、ではこちらへ。主の部屋に案内致します」

スパイク「どうも」

オーナー「おぉう、貴様が今日から…?」

スパイク「あぁ、期限付きだけどな。よろしく頼む」

スパイク(ガマガエルとはよく言ったもんだ…。如何にも悪者って感じだな)

オーナー「こちらこそ頼むぞ。私の財産を狙おうという輩は腐るほどいるからな」

スパイク「で、俺は何処で待機すればいい?」

オーナー「そうだな…。話によれば相当腕が立つらしいから、私のすぐ側で守ってもらおうか」

スパイク「オーキードーキー」

前回は終わりを書き忘れてしまいました…。
お詫びとしてゲリラ投下します。

ーーーー
スパイク(ってもこのおっさんと四六時中一緒てのはキツイな…)

スパイク「ま、仕事だし真面目にやりますかね」

ラサティ「オーナー‼︎この前の賞金です」

オーナー「おぉ、ラサティよ。良くやってくれているな」

スパイク(ラサティ、ねぇ…。クードの奴がヤられたって女か。どんなゴリラ女が出てくるかと思ったらまだ少女じゃねぇか)

ラサティ「オーナー、そちらの方は?」

オーナー「あぁ、気にする必要はない。新しいボディガードだ」

スパイク「どーも、お嬢さん」

ラサティ「そうですか…。所で、もう少しで貴方の仰った金額に届きます」

スパイク(無視かよ)

オーナー「お、おぉそうだったな」

ラサティ「約束は…守って頂けるんですよね?」

オーナー「勿論だ。あと少し、頑張ることだ」

ラサティ「えぇ、言われずとも」

スパイク(約束、ねぇ…。そもそも、何で金を払ってるんだか。何か裏がありそうだな)

ラサティ「では、今宵もゲームがありますので、失礼します」

オーナー「あぁ、期待しているよ」ニヤリ

スパイク(解り易く何か企んでんなー…)

オーナー「さて、我々も行こうか。トレイの準備もある」

スパイク「俺はずっとアンタと居ればいいのか?」

オーナー「あぁ、特等席で観覧できるぞ」

スパイク「そりゃあ役得なこって」

スパイク(どっちかって言うと出たいんだがな)

数日後
ービバップ号ー
クード「なぁ、結局金は貯まったのかよー?」

フェイ「そーよー。私達の頑張りの成果はー?」

ジェット「テメェらなぁ…。ほとんど稼いでねぇだろうが‼︎レンとスパイクだけだぞ、まともに金手に入れてんの」

レン「私は…もう働きたくない…。眠くなる…」

クード「レン、無理すんなよ?」

ジェット「お前は2人を見習ってちょっとは無理しろ」

フェイ「でー?その稼ぎ頭のモジャ男は何処にいんのよ?」

ジェット「アイツは用心棒として住み込みらしい」

クード「でもさ、ちょっとは金貯まったんだろ?なら賭け試合しに行こうぜ」

ジェット「まぁ、クーとレンの実力は確かだし、賭ける価値はあるが…」

フェイ「行くしかないでしょ!上手くすれば、クーの賞金と私達の賭け金とでダブルアップできんのよ?」

レン「それに…もしかすると、この試合の主催者から何か情報を掴めるかも」

クード「まぁ確かに賭け試合なんて開催してるくらいだからなぁ。裏社会と繋がりがあってもおかしくなさそうだぜ」

ジェット「気を付けなきゃいかんのはそこだ。どういった形で繋がっているか解らんからな。協力関係にあった日にゃあ最悪だ」

フェイ「じゃあ何?目立たずこそこそと小金稼ぐしかない訳ぇ?」

クード「逆にさっさと大金稼いでトンズラこきゃいーんじゃねーの?」

レン「でも、ラサティもあそこで闘ってるなら、そう上手くはいかないかも…」

クード「うっ…」

ジェット「確かにな。リアクトしていなかったとは言え、ここまで割と場数は踏んできたクーを一撃で倒した訳だからなぁ」

クード「あ、アレは油断してただけだって!マトモにやりゃあ負けねぇさ!」

ジェット「まぁフェイのギャンブルにつぎ込むよりゃ勝算あるか…」

フェイ「アタシだってそんなにいっつも負けてる訳じゃ無いわよ!」

ジェット「トータルで負けてるなら同じ事だ」

ーミリアルドトレイー
実況『はぁい、紳士淑女の皆様!歓喜と惜嘆の賭闘場へようこそ!』

実況『今宵もクラスファイター達が己の誇り、名声、腕を賭けて繰り広げる熱き戦いをお見逃しなく!』

スパイク「で、アンタは何を考えてる?ここ数日見てる限りじゃこんなにボディガードを雇う必要がある様には思えないんだが」

オーナー「ワシはただ有事の際に備えてるだけだ。何事もなければそれでいい」

スパイク(嘘くせぇーなぁ…。いっそここで俺が暴れてやろうか…)

オーナー「今日の第1ゲームは初参戦の…何だまだ子供じゃ無いか」

スパイク(へぇ…。クードの奴、とうとう出るのか)

オーナー「こんな試合に興味は無い。終わったら教えてくれ」

スパイク「俺はここで見ててもいいか?」

オーナー「あぁ、すぐ隣の部屋にいる」

クード「よっしゃあ!やってやろーぜ、レン!」

ジェット「馬鹿野郎!…誰に見られてるとも知れないのに名前を叫ぶ奴があるか!」ゴツン

フェイ「そーよぉ。つい先日もアンタが動いた所為で面倒に巻き込まれたんだから」

クード「イッテェー…だからって殴る事ないだろ⁉︎」

ジェット「良いからさっさと準備して来い!」

クード「エントリーしたは良いけど、俺ら何処いきゃいいんだ?」

レン「…眠くて聴いてなかった」

クード「さいですか…」

フェイ「アンタだってバニーさんに見惚れてて話聴いてなかったでしょうが」

クード「そ、そんなことねぇよ!確かに話は聞き逃したケド、決してバニーさんに見惚れてた訳じゃ…」

レン「ジーッ」

クード(レンの目が何時もより冷たい…⁉︎)

ジェット「何だテメェら揃いも揃って、何にも聴いてなかったのか?」

クード「だってフェイもお金のやり取りに目の色変えてただけだし…」

ジェット「ったく、ちょっと便所行ってる隙にこれだ…。俺は保護者じゃねーんだぞ」

レン「ジェットは、良いお母さんになる」

ジェット「そのネタはもういい!」

フェイ「にしても困ったわねぇ…。受付に聞きに戻ろうにもエントリーする人がわんさかいてゲームに間に合わないわよ」

???「何かお困りですかー?」

レン「貴女は…?」

フィロ「あぁ、私ったら名乗りもしてなかった!フィロって言います」

レン「そう…私はレン」

フィロ「それで、さっきのやりとり聞いちゃったんだけど、お困りごと?」

クード「いやぁ、それがさぁ~…。エントリーしたのは良いんだけどその後どーすれば良いか誰も聞いてなくって…」

フィロ「あぁ、それなら私が案内したげる!私結構ここに通ってるんだヨ」

クード「そりゃあ助かるぜ!」

フィロ「こっちこっちー」

クード「行こうぜ、レン」

レン「うん。二人とも、また後で」

フェイ「行ってらっしゃ~い。期待してるわよ」

ジェット「頑張って来い!」

フェイ「…で?ダンナはどう思う?」

ジェット「ありゃ確実にクロだな」

フェイ「でも、それなら私達の前に態々姿現すかしら?」

ジェット「テメェも何かキナくせぇと思ったからそんな話振ってきたんだろうが」

フェイ「意外と当たる、女の勘ってヤツよ」

ジェット「俺もデカの勘ってヤツだ」

フェイ「でも、理性は否定してる」

ジェット「あぁ、あんな子がそんな訳ないってな」

フェイ「どちらにせよ、しばらく様子見するしか無いわね」

ジェット「…そうだな」

フェイ「って事で、今はパァーっと賭けを楽しみましょ!」

ジェット「…お前って奴は。久々に真面目な話したと思ったらすぐこれだ」ハァ

ーーーー
今日はここまで

最初に無があった
無は有を生んだ
これが全ての真理

>>297
俺は好きだよそのセンス
けどsageてね


フィロ「さ、クー君着いたよ!ここが出場者控え室!順番に呼ばれるから待ってればいいヨ」

クード「へー…結構エディルレイドプレジャーも多いんだな」

フィロ「まー基本的に強い人は大体プレジャーかなー?あ、でもでも、ラサティっていうクラスファイターは武器も使わないのに無敗の若虎って異名が付くほど強いんだよ」

クード「ラサティか…」

レン「大丈夫、私達ならラサティにだって負けない」

フィロ「あれ?なんかもうラサティさんの事知ってるカンジ?」

クード「まぁ、ちょっとな」

フィロ「ま、何はともあれ、まずは第1戦目だよ!上でジェットさん?達と見てるから!」タタタタ

クード「おう、バッチリ決めてやるぜ!な、レン」

レン「うん」

クード「それにしても、何であの子…フィロだっけ?出場者控え室場所なんて知ってたんだろーな?普通に観戦に来てただけなら知らないと思うんだけど」

係員「ケビンレグナード様ー!」

レン「クー、呼ばれてる」

クード「へ?あ、そっか!偽名の方で登録してたんだった!」

レン「そんな事大声で言っちゃダメだと思う…」

クード「き、気を付けるよ…」

ーーーー
実況『さぁーいよいよ始まります本日の第1戦目!ランクホワイトポーンにエントリーしたのは初登場のケビンレグナード選手です!彼のデータはまだありませんので、実力の程は未知数です!ですが、お互いプレジャーと言う事で私達を楽しませてくれるはずです!』

クード「へへ、よくよく考えて見ると最近はバイトばっかでリアクト自体久しぶりかも」

レン『うん、でもいい感じ』

WP「小僧、お前みたいな奴がお金を落としていってくれるのはこちらとしても楽で助かるよ」

クード「ヘッ!そんな事言っていられるのも今のうちだぜ!」

WP「威勢だけはいいな」

クード「そいじゃ、行くぜー‼︎」

そう叫ぶと同時に、クードは大剣を後ろに振りかぶりながら駆け出す。対するWPは自身のエディルレイドを構えるだけで動こうとはしない。

クード(よっぽど自信あんだな…)

その余裕の構えを見て迂闊に近付くのは危険だと判断したクードは、ギリギリ互いの武器が届かない距離まで来ると大剣を振りかざした。すると突風が巻き起こり、WPを飲み込む。

WP「中々イイモン持ってんじゃねぇか!」

WPが同じ様に武器を振りかざすと風が掻き消えた。

クード「ま、簡単にヤれちゃったらつまんないから…これくらいは耐えてくれなきゃな!」

今度はより大きく大剣を振り回す事により、先程よりも強い風を巻き起こす。WPも掻き消そうとするが弱めるのが精一杯の様で、防御の姿勢をとる。

WP「チッ。あまり調子に乗るなよ、小僧!」

そう言うと、今度はWPの方から突っ込んでくる。
一方のクードは避けるでも防御するでもなく、逆に突っ込んで行った。まさかそう来るとは思っていなかったのか、一瞬、WPの勢いが弱まる。

レン『クー‼︎』

クード「おう!そこだぁああ‼︎」

一気に間合いを詰めると、横一文字に薙ぎ払う。勿論、切り裂かないように手加減はしたが、それでも発生した風圧によりWPは場外まで吹き飛ばされる。

実況『WP場外‼︎チャレンジャードミネート‼︎』

クード「うっし!やったな、レン!」

レン「うん、クーも大分慣れてきたね」

クード「そりゃあ、それなりに修羅場潜ってきたからなぁ…」

レン「この調子なら私まだまだ闘えるよ?眠くないし」

クード「…うーん、どうっすかなぁ~。いっちょ全制覇でもしてやりたいのは山々なんだけど…」

レン「どうしたの?」

クード(レンにあんまり無理させたくないし、正直金ならスパイクが結構稼いでるしなぁ)

ジェット「よぉ、お疲れさん」

フェイ「あ、この飲み物飲む?」

クード「な、何か…」

レン「目がキラキラしてる…」

ジェット「いやぁ、お前が勝つなんて大穴だったみたいでなぁ!」

フェイ「ほら、こんなにガッポリよ!」

クード「ゲンキンな奴らだなぁ…」

フィロ「あははは…中々変わった人達だね…」

レン「これは、変人って言うレベルだと思う」

ジェット「…何かレンに言われるとキツイな」

フェイ「…そうね、クーになら何言われても気にならないのにね」

クード「へーへーそーですかー。どーせ俺はチミっこいし、ライトシップの操縦もできないし、レンと一緒じゃなきゃ役に立った事もありませんよーだ」

クード「…ったく何で勝って帰ってきたのに馬鹿にされなきゃなんねーんだよ」

フィロ「えーでも闘ってる時のクー君、カッコ良かったヨ!」

クード・フェイ・ジェット「「「⁉︎⁉︎」」」

レン「…?」

フィロ「何でクー君まで驚いてるのさー!」

クード「いや、だって俺今までカッコいいとか言われた事ねぇし…」

フェイ「ちょっとフィロちゃん?だっけ?大丈夫?ここの熱気で頭おかしくなったりしてない?」

クード「いやいやフェイさん?そりゃ幾ら何でも言い過ぎでしょ…」

ジェット「コイツをカッコいいって言うくらいなら俺の方が余程男前だぜ」

フィロ「いやー…ちょっと髪の毛が無いのはキツイかなーって…」

ジェット「……」

クード「お、おいジェット⁉︎そんなその場に崩れ落ちる程ショックだったのかよ!」

レン「フィロ…流石に今のは…」

フィロ「タハハハ…ジェットさん、ごめんなさい!」

ジェット「髪の事はいじられ慣れたと思っていたんだがな…。未だに若い子に言われるとショックを受ける自分に落ち込んでるだけだ…」

フェイ「あー…わかんないでも無いわ、その気持ち…」


今日の分終わり

ちょっとだけ導入部を…


スパイク「へぇ…やるなぁ」

スパイク「…っと次はラサティの番か。おっさん呼びに行かなきゃな」

スパイク「おい、次ラサティの試合だぜ」ドンドン

オーナー「ほぅ、もうあの小僧は終わったのか」

スパイク「いや、まぁ終わったっちゃ終わったけど…」

オーナー「挑戦者が勝ったのか…ふん、使えん奴め」

スパイク(あー、やっぱムカつくぜこのガマガエル)

スパイク「ところで、何でラサティの試合は見に来たんだ?」

オーナー「…まぁ貴様になら話してもよかろう。ラサティの親が死んだ後、親戚に預けられたあの姉妹をワシが買ったのだ」

スパイク(親心ってやつか…?とてもそうは見えないが…)

オーナー「その時の金を返すことで自由にしてやるという約束でな」

スパイク(あの時ラサティが言ってた『約束の金』ってやつか)

オーナー「だが今ラサティは稼ぎ頭だ。なんとか手放さずに済む方法は無いかと思ってな」

スパイク「約束しちまったもんは仕方ねぇだろ」

オーナー「あぁ、しかも今日で返済予定だ…もう、ラサティ『は』諦めるしかないだろう」ニヤ

スパイク「悪巧みすんのは結構だが、お天道様は見てるもんだぜ?」

オーナー「ふん、もしそんなモノが実在するならとうの昔に裁きを受けている」

スパイク「…あぁ、そうだな」

スパイク「…殺すのか?」

オーナー「…」

スパイク「それならちょっとばかし待ってくれよ」

オーナー「あの小娘は頑固だぞ?どうするつもりだ」

スパイク「ミリアルドトレイで働く気にさせりゃいいんだろ?アンタよりゃ上手くやるさ」

オーナー「では今日の閉会まで待とう」

スパイク「オーキードーキー。充分だ」


ここまで

お待たせしました…
意外と文量が多くなってしまい時間がかかりましたが、今回でミリアルドトレイ編終了です

フェイ「ちょっと!クードアンタやるじゃない!」

ジェット「まさかここまで勝ち進むとはなぁ…。取り敢えず暫くは金銭的に困ることはなさそうだぜ」

クード「当たり前じゃん!だって俺とレンなんだぜ?負けるわけがねぇよ」

レン「うん、今のクーとならまだまだ闘える」

フィロ「あーでもでも、次の対戦相手は厳しいかもね…」

クード「どんな奴が来たってヘッチャラさ!な、レン?」

レン「そうかな?次、ラサティだって」

フェイ「あぁー…アタシ次のは向こうに賭けようかしら…」

ジェット「そうだな…今までの儲けをチャラにしたくないしな…」

クード「ったく、俺達が勝っても後悔すんなよ!」

レン「クー?調子乗っちゃ、ダメ」

クード「…はい」

クード「と、取り敢えず全力を尽くしてくるぜ!」

ーーーー

スパイク(さてと…。ガマガエルにはああ言ったが、アイツの思い通りにさせる気はねぇ)

スパイク(第一、アイツが約束を守るとも思えないしな)

スパイク(精々ラサティが最後の試合で勝つまでだろう)

スパイク(その間に俺が出来ることは…)プルルルル

???『はぁい?アンタからかけてくるなんて珍しいじゃない。って言うか仕事中じゃないの?』

スパイク「あぁ、ちょっと頼みたい事があってな…」

???『それ、アタシにメリットある?』

スパイク「無いな」

???『はぁ…。まぁ良いわ。ここまで散々稼がしてもらったし』

スパイク「じゃあ頼んだぜ?こっちはこっちでやれることをやっとく」ブツッ

スパイク(さてお次は…)プルルルル

???『はいはーい!どちら様ー?』

スパイク「俺だ、頼みがある…」

???『りょうかーい!でもでも、ちょっと時間かかるかもしんなーい』

スパイク「珍しいな、そんな難解な頼みだとは思わないが」

???『だってね、そこの地下闘技場、地図の上だと何にもない事になってるの』

スパイク「そうか…解った。可能な範囲で良いから頼む」

???『おーきーどーきーどーきどきー』ブツッ

スパイク(こっからは俺1人でどこまで出来るか、だな)

ーーーー
実況『さぁてお待たせしました!いよいよ次の対戦カードは本日の目玉!』

実況『ここまで無敵の強さを見せてくれています、無敗の若虎ことラサティvs.本日初エントリーにも関わらずここまで勝ち上がってきたケビン選手‼︎』

実況『それでは両者登場して頂いてぇ…?おっとここでアクシデントか⁉︎ケビン選手が現れない!』

ラサティ「ふん、クードめ…。恐れをなして逃げ出したのか」

ラサティ(最後にキミを倒して終われたらスッキリしただろうに)

実況『ここで運営から情報が入りました!ケビン選手、どうやらパートナーの体調不良で棄権という事です!』

実況『いやぁ、残念ですねぇ~。ただ、ここまで激しい戦いを乗り越えてきましたから、エディルレイドにも負担がかかったのでしょう』

実況『と言う事で!ラサティ選手の不戦勝です!』

オーナー「ふん…決着は持ち越しか…」

スパイク「まぁ、棄権じゃ仕方ないだろ」

オーナー「あんな小僧に負けては商品にならん。勝ったとしても借金返済だった。これがお前の根回しによるものなら素晴らしいぞ」

スパイク「まぁ慌てるなよ。まだまだこれからだぜ?」

オーナー「期待しておこう」

スパイク「そりゃどーも」

ーーーー
クード「なぁ、何で棄権なんかしたんだよ!しかも医務室に隠れるとか意味わかんねぇよ」

フェイ「あーもううっさいわね!ガキンチョは黙ってなさいよ」

ジェット「いや、俺もそれは気になるんだが…」

フェイ「アタシだって知らないわよ!」

レン「…スパイクが言ったの?」

フェイ「そうよ。アイツ、一方的に用件言って切りやがったのよ!」

フィロ「それでやけにイライラしてたんだネ…」

クード「スパイクからは他に何か言われてないのか?」

フェイ「なーんにもよ。ただクードを試合に出すなってだけ。理由聞こうとする前に切られたのよ」

ジェット「まぁあいつの事だ、何か考えが…」

レン「あるかな?」

フェイ「なさそうね」

フィロ「その人よっぽど信用ないんだ…」

ジェット「アイツだってたまには考えて動くだろ…」プルルルル

クード「何か鳴ってんぞ」

ジェット「あぁ、どうしたスパイク」

スパイク『クードとレンはそこに居るか?』

ジェット「そりゃお前さんが棄権させたからな」

クード「スパイク、何考えてんだよ?」

スパイク『も少ししたら一悶着起こすつもりだ』

ジェット「おいおい勘弁してくれ!非合法な施設だぞ⁉︎余計な事して全員お縄なんざ御免だ」

スパイク『非合法な組織に関しちゃアンタよりよっぽど慣れてるさ』

ジェット「そう言う話をしてるんじゃなくてだな…」

フェイ「それ、儲かるんでしょうね?」

ジェット「おいおい正気か?儲かる以前にリスクがデカ過ぎるだろうが!」

スパイク『上手くすればここのオーナーから援助受けられるようになるかもな』

ジェット「一度考え直せ!そんな端金のために面倒を起こさんでくれ」

クード「で?オレ達に何かさせる為に棄権させたんだろ?」

スパイク『あぁ、騒動が起こったらお前はレンとリアクトしてラサティを守ってやってくれ』

クード「ラサティを?守る必要あんのか…?」

スパイク『保険だと思ってくれればいい。彼女に危害が加わる前に俺が片付けられれば問題ないしな』

ジェット「なぁ、頼むから誰か俺の話を聞いてくれ…」

フェイ「オーケー、何する気か知らないけど乗ってあげましょ」

クード「オレも棄権なんてして不完全燃焼だったからな!暴れてやろうぜ、レン!」

レン「うん。ラサティ達を傷付けさせない」

ジェット「クソったれ!絶対ヘマすんじゃねぇぞ!」

スパイク『ガキだけじゃ不安だから、保護者のアンタに監督して貰いたいんだけどな』

フェイ「アタシが居るじゃない。大人のレディよ?」

ジェット「ったく、仕方ねぇな…」

スパイク『ありがとう』

フェイ「ちょっとお二人さん?無視?ねぇ無視?」

ジェット「あくまでお前らが捕まったら俺の身も危ないからだからな!」

レン「ツンデレ…?」

フィロ「レンちゃん、そんなの何処で覚えてきたの…」

ーーーー
ラサティ「オーナー‼︎見ていたか⁉︎」

オーナー「あぁ、見ていたよ。素晴らしい試合だった」

ラサティ「今ので、金は全て返した!約束通り、僕達を自由にしてもらうぞ」

オーナー(チッ…結局あの小僧の策略とやらはダメだったのか。仕方あるまい…当初の予定通りに…)

オーナー「あぁ、しかしどうだ!会場の熱気や冷めやらず…未だ盛り上がっているではないか!」

ラサティ「なにぃ?」

オーナー「我々はお客様を楽しませるエンターテイナーなのだよ、ラサティ。それを自分の都合ばかり優先してはいけないだろう」

クイーン「だからワシらと闘ってもらうぜよ」

筋骨隆々な男がそう言う。リング上に二人の男が現れており、もう片方は喋ろうとしないが、熊のような体格で、その圧倒的な巨体から殺気を放っていた。

実況「おおっとこれはどう言う事だぁ⁉︎ラサティ選手の試合が終わったと思ったらランクキングとクイーンが現れた⁉︎エキシビジョンマッチかぁ⁉︎…え、何?この試合は実況しちゃダメ?あ、はい」

ラサティ「⁉︎」

ランククイーンの持つ大棍棒が振りかざされる。ラサティはギリギリで躱すが、更にランクキングの拳が追撃を仕掛けてくる。強烈な一撃にリング外にまで飛ばされる。

ラサティ「…グハァッ」

クイーン「おいおいおい…無敗の若虎っちゅうんはこんなもんなのか?」

リィリア「もういや!止めて!」

レン「貴女がここからいくら叫んだって状況は変わらないわ」

リィリア「え…?」

レン「私とクーは、今から貴女のお姉さんを助けに行く」

レン「貴女は…どうするの?」

リィリア「でも…私には何も出来ない…ここで見ていることしか…」

レン「なら、見ていてあげるといいわ。お姉さんは貴女のために戦っている…貴女が戦わなくていいように。その思いを無駄にする事はないもの」

リィリア「レン、こんな事言うのはおかしいのかも知れないけど…。姉さんを助けて!」

レン「うん。クーならなんとかしてくれる。スパイクも何かしてくれてるみたいだし」

クード「レン、話はもう良いのか?」

レン「大丈夫。言いたい事は言った」

クード「うっし!じゃあひと暴れしてくっか!」

本来ならば場外になった時点でラサティの負けは決まる。しかし、彼等はここで完全にラサティを潰す気でいるようで、リング外に落ちたラサティの頭を掴み持ち上げる。

クイーン「このまま頭潰してやってもええんじゃが…それじゃあつまらんよのぉ」

もう一度戦えとばかりにリングの中央に放り投げる。若干よろけつつも立ち上がるラサティの眼光には諦めはなかった。

クイーン「なんじゃぁその眼は?」

大棍棒を回転させながら突っ込んでくるクイーンに対し、側面に腕をぶつける事で軌道を逸らすと、そのまま反撃に移ろうとする。

リィリア「姉さん!」

クイーンを殴り飛ばすと、すぐ後ろにキングが近付いていた。

ラサティ「しまっ…」

右腕のエディルレイドをラサティに振り下ろすキング。しかし、その攻撃は空を切る。

クード「へへ、待たせたな!」

風の鎧を纏ったクードとレンが、キングとラサティの間に割って入っていた。

ラサティ「クード…ッ⁉︎貴様僕との試合を放棄しておいて何をしている‼︎」

クード「んな細かい事どうだって良いだろー?」

キングとクイーンがゆっくりと立ち上がる。ちょうどクード達を挟む形だ。

クイーン「のぉ、坊主。あんまりお痛が過ぎると…」

クード「るせーよ!俺はランクキングにエントリーすっからクイーンはラサティの相手してろよ」

レン『クー、それじゃ目的が…』

クード「まぁまぁ、見てなって」

クイーン「ほぅ…言ってくれるのぉ…ラサティに恐れをなして試合放棄した奴が」

クード「つったって所詮クイーンてキングより弱いんだろ?ならキングに勝てればお前より強いって事じゃん」

クードが得意げに語っている背後からキングが襲い掛かる。風の鎧は纏っているが、それごと吹き飛ばす程の威力だ。

クード「くっ…」

クイーン「ざまぁないのう坊主!」

クードはなんとか姿勢を崩さないよう堪えたが、続いてクイーンが大棍棒を突っ込ませてくる。すると下方から蹴りが飛び、クイーンはそれをもろに食らう。

ラサティ「激昂して周りが見えなくなるなんてらしくないじゃないか」

クイーン「ラサティ…やってくれる…。じゃがここで終わりじゃあ!」

今度は標的をラサティに替え大棍棒を振りかぶる。ラサティは何とか腕で受け流すが、一撃一撃が重いため、次第に疲労がたまっていく。一方クードは、キングをラサティに近付けないようにするので手一杯で、こちらも次第に消耗していた。

レン『クー、このままじゃ…』

クード「ハァハァ…わ、解ってっけどさ…」

レン『一旦リジェクトアウトを切ろう?』

クード「でもそれじゃあアイツの攻撃受け切れないじゃ…」

レン『ここでリアクトが解けるより良いと思う。それに、まだジェットやフェイもいる』

クード「そっか…解ったぜ!『勝つ』よりも『負けない』方が良いんだな」

風の鎧を解除すると、キングはそれまでの牽制ではなく、本気で攻撃をしだした。

クイーン「残念じゃのうラサティ、お前さんの味方はもう力切れみたいぜよ」

それを見ていたクイーンは、こちらも終わらせるとばかりに猛攻を開始する。対するラサティは防戦一方だが、ダメージは最小限に留めている。

クード「スパイクに賭けるしかなさそうだな…」

ーー観覧席ーー
オーナー「ふっふっふ…あの小僧もここで一緒に殺してしまおう。そうして、エディルレイドは私が保護してやる」

スパイク「そうはさせねぇぜ」

スパイクがオーナーの背後から拳銃を構え現れる。すぐに周囲にいた護衛が間に入るが、気にも止めずに歩み寄る。

オーナー「お前の言動からあいつらに噛んでいるであろう事は予想できた。ここに来た時点でお前の敗けだ」

オーナーが指を鳴らすと、護衛達が一斉に襲い掛かる。2、3人が発泡する中を、残りの5、6人がナイフを手に駆けてくる。

スパイク「そいつはどうかな?全部が全部アンタの予想通り行くと思うなよ」

そう言うとスパイクは、走って部屋から飛び出して行った。

ちょっと予定入ったので続きは今晩

オーナー「はっはっは‼︎確かにそれは予想外だったよ。しかし、逃がすわけがないだろう」

護衛達がスパイクを追おうと部屋から出た瞬間、1人が図太い腕に頭を掴まれ、そのまま壁に叩きつけられる。護衛達は一瞬怯んだが、直ぐにそちらに銃口を向ける。すると、敵の姿を目視する前に、背後からサブマシンガンによる銃撃を浴びる。

ジェット「おいこら!俺ごと撃ち殺す気かテメェ!」

フェイ「だってアタシが撃たなきゃアンタ、今頃そっちの拳銃で蜂の巣よ‼︎」

スパイク「おいおい…敵さんの目の前なのに言い争いしてる場合かよ」

フェイ「元々アンタがこんな無茶な計画立てなければこんな事になんないのよ!」

スパイク「俺が悪いってのかぁ⁉︎」

フェイ「アンタ以外誰が悪いってのよ⁉︎」

ジェット「おい、そんな言い合いは後にしろ!奴が逃げるぞ」

スパイク「アンタがそれを言うかよ…」

フェイ「ちょっと!モタモタしてたら見失うわよ!」

スパイク「大丈夫だ。逃走経路は粗方潰してある」

フェイ「嫌に手際がいいわね…ただ…」

ジェット「こう上手くいってるように思える時ってのは、俺たちにとっちゃ良くない前触れな気がするんだよなぁ…」

スパイク「心配性だな。だから毛も抜けたんじゃないか?」

ジェット「頭髪の話はもう御免だ。それより、念には念を入れて追うぞ」

スパイク「りょーかい」

フェイ「じゃあ捕まえた人が取り分の半分って事で!お先!」

ジェット「あ、おい!…ったく、行っちまいやがった。何を勘違いしてるのか知らんが、ここのオーナーは指名手配されてねぇんだから取り分もクソもないだろう」

スパイク「まぁいいんじゃないか?それでアイツのモチベーションがあがるなら」

ジェット「それより後の文句が面倒くせぇって言ってんだよ」

スパイク「その辺のことはアンタに任せるぜ、お母さん」

ジェット「だから俺はお前らの保護者じゃねぇってんだよ」

スパイク「あ、そうだジェット。ガマガエルの捜索よりもガキのお守りを頼む」

ジェット「何度言わせるんだ?俺は保護者じゃない!」

スパイク「だったらガキのことなんざ放っておいてガマガエル捜索するか?」

ジェット「…チッ。解った、解ったよったく。あくまでレンの賞金を手に入れるまでの間だからな、面倒見るのは…」

スパイク「そーいうことにしておくぜ」

ジェット「あ、おい!…ったく、行っちまいやがった。何を勘違いしてるのか知らんが、ここのオーナーは指名手配されてねぇんだから取り分もクソもないだろう」

スパイク「まぁいいんじゃないか?それでアイツのモチベーションがあがるなら」

ジェット「それより後の文句が面倒くせぇって言ってんだよ」

スパイク「その辺のことはアンタに任せるぜ、お母さん」

ジェット「だから俺はお前らの保護者じゃねぇってんだよ」

スパイク「あ、そうだジェット。ガマガエルの捜索よりもガキのお守りを頼む」

ジェット「何度言わせるんだ?俺は保護者じゃない!」

スパイク「だったらガキのことなんざ放っておいてガマガエル捜索するか?」

ジェット「…チッ。解った、解ったよったく。あくまでレンの賞金を手に入れるまでの間だからな、面倒見るのは…」

スパイク「そーいうことにしておくぜ」

ラサティ「吼号穿・龍!」

ラサティはその一瞬を突いて手から闘気を放つ。ギリギリで気付いて回避行動をとったクイーンだったが、避けきれずに吹き飛ばされる。そのままリング外の壁に叩きつけられると、気を失ってしまった。今の一撃で力を使い果たしたのか、ラサティもその場に崩れ落ちる。

クード「ラサティ‼︎」

一部始終を見ていたクードは駆け寄ろうとする。

レン『クー、ダメ!まだあの人が…』

レンの心配通り、クードの後ろからキングが襲いかかってくる。ラサティに気を取られてしまっていたクードは、気付くのが遅れ腹に重い一撃を食らう。

クード「ぐはぁッ」

キングは何の感慨もなさ気に自らのエディルレイドをクードの頭上に振り下ろそうとしていた。しかし、振り下ろされる前に一発の銃弾が彼のエディルレイドを弾いた。その影響で軌道が変わり、クードの顔の横を掠めるだけだった。

ジェット「よぉ、クード。生きてるか?」

クード「ジェット…?」

レン『スパイクかと思った』

ジェット「俺が助けにきちゃ不満なのか?えぇ?」

クード「いや、そんな事ねーけどさ…」

ジェット「ったくどいつもこいつも好き勝手言いやがって…」

ジェットが独りごちていると、キングがクードからジェットに標的を変え、エディルレイドを突き出す形で突っ込んでくる。ジェットはそれを右に躱すと、相手の左腕に蹴りを繰り出す。寸での所でキングは右手のエディルレイドで攻撃を受けるが、勢いを殺しきれず数メートル後ろに押される。相手が近付いて来ないように拳銃で威嚇射撃をしながら、クードの元へ向かう。

ジェット「まだ戦えるか?」

クード「無茶言うぜ…」

レン『大技とかは、無理だけど…』

ジェット「レンの力なら充分だろう。俺が引き付けるからお前らは倒れたフリを続けて隙を伺え」

クード「えー…そんなズルっこい真似すんのかよー…」

ジェット「お前らが万全な状態なら戦わしてやっても良いんだがな」

クード「へーへ、すんませんね、万全な状態で一対一で戦ってこの状態ですよーだ」

ジェット「おぉ、皮肉が解るようになったか。ま、そういうことだ、頼んだぞ。俺じゃプレジャーにあまり有効打を与えられないからな」

そう言い残すとジェットはマガジンを取り替え、拳銃を撃ちながらキングに近付いていく。一方のキングは痺れを切らし、急所以外の防御を捨て銃弾の雨の中突っ込んできた。

ジェット「何⁉︎」

相手の思わぬ行動に動揺するジェットであったが、そこで射撃の手を止める程愚かではなかった。寧ろ、進行を止めようと脚を重点的に狙いだす。数発ヒットするが、怯む様子も止まる様子もない。

ジェット「とんだ化物だぜ…こういうぶっ飛んだ奴の相手はスパイクの役目だろ…」

射撃は続けつつも、逆にキングとの距離を取り始めるジェット。キングは段々と加速してくる。それにつれてジェットも速度をあげようとするが、撃ちながらでは限界があり、徐々に二人の距離は縮まっていく。

ジェット「チッ。あの野郎、どんだけ体に銃弾浴びてんだ!全部筋肉で止められるとでも言うのかよ…」

二人の距離はあと数メートル、巨体のキングが腕を伸ばせば届きそうな距離だ。実際、キングは右手を大きく振りかぶっていた。ジェットが撃ち殺すより先に、彼のエディルレイドがジェットを捉えるくらいの距離だ。しかし、どちらの攻撃もお互いに届くことはなかった。

クード「いっただき‼︎」

クードとレンが横から小さな竜巻を発生させ、キングを吹き飛ばしたからだ。

クード「いやぁ、正面や後ろからだと踏ん張っちゃうからさぁ、あの熊男」

壁に思い切り叩きつけられたキングは、それでも尚気を失わず、寧ろダメージすら与えあられていないように見えた。

ジェット「ピンピンしてるな」

クード「あっれぇ…おかしいなぁ…ハハハハ…」

ジェット「おかしいなぁ…じゃねぇ‼︎不意打ちでもあの程度ってこたぁまともにやったって勝てねぇぞ」

クード「んなこと言われてもなぁ」

レン『来る!』

キングは瓦礫から飛び出すと、クード目掛けて一気に距離を詰める。慌てて構えるクードであったが、受け止めた攻撃の勢いに負け、再び吹き飛ばされる。

クード「くっ…っそ‼︎どうーすりゃ良いんだよあんなの⁉︎」

レン『謳が使えない以上、体術メインでいくしか…』

クード「そうだな…。レンに頼りっぱなしってのもカッコ悪いしな!」

クード(水のように…相手の力を受け流す…)

クードは目を閉じ相手の出方を待つ。キングは止めだと言わんばかりの大振りで詰め寄る。目を開くと、キングの右腕に下から剣を振り上げる。それ程勢いのある一撃では無かったが、タイミングが良かったのか、そのままキングは上方に飛ばされる。クードはそれと同時に向きを変え、キングの落下地点目掛けて脚を回転させる。落下寸前で脚払いを食らったキングは縦に回転し、頭から地面に落下していく。そして、最後にレンの風を使って飛び上がると、上からキングを叩きつけた。

クード「ふぅー…。な、なんとかなったぁ…」

ジェット「お疲れさん、まるでアイツを見ているかのようだったぜ」

レン「クー、大丈夫?」

クード「あぁ、まぁ後はあの二人に任せるか…」

ーー隠し通路ーー
オーナー「クソックソックソッ‼︎何で私がアンナ奴らにこんな目に遭わされなきゃいかんのだ!」

オーナー「リィリアは捕まえたんだろうな!アイツはエディルレイドだから金になる!」

スパイク「ふぅー…。よぉ、遅かったなおっさん」

オーナー「な、何故貴様がここに⁉︎」

スパイク「ちょいとばかし有能なハッカーが居てね。図面じゃ何も解らなかったらしいが、監視カメラをハッキングしたら大体ここの構造が掴めたそうだ」

オーナー「チッ、お前らこいつを殺せ!」

スパイク「俺を殺しても無駄だぜ?この先の道は何故か突然天井が崩落したみたいでな。通れないぜ」

オーナー「ふん、ならば彼女がどうなっても良いのか?」

リィリア「ん~!」

スパイク「へぇ…何だか小物臭いことをするんだな。だが残念、俺はその少女のことは余り知らないんだ」

オーナー「見殺しにすると?」

スパイク「出来れば助けたいさ…でも、自分の命を差し出してまで助けようとは思わないね」

オーナー「チィ…」

スパイク「それに…ちゃんと部下の顔や体型くらい覚えといたほうが良いぞ」

オーナー「なに…?」

フェイ「はぁい、御機嫌ようガマガエルさん」

オーナー「誰だ貴様⁉︎」

フェイ「ただの通りすがりの美女よ」

リィリア「ぷはっ。も、もう良いの…?」

フェイ「えぇ、人質のフリご苦労様」

スパイク「どうやら負けたのはアンタの方だったみたいだな」

オーナー「ぐぬぬ…」

スパイク「バーン」

フェイ「ちょ、殺してないでしょうね⁉︎」

スパイク「安心しろ、麻酔銃だ」

ービバップ号ー
フェイ「あーあ…結局また大して稼げてないじゃない…」

エド「骨折り損のー!くたびれ儲けー‼︎」

アイン「ワウ!」

フェイ「こんのクソガキムカつくわね…」

ジェット「まぁ、幼気な姉妹を救ったと思えばこれ位の損害どうってことない」

フェイ「…おかしいわね、アンタってそんな事言う奴だった?」

スパイク「うーん…いやでもあの占い娘の時も…」

フェイ「あー…そいえばそうね…」

スパイク・フェイ「「やっぱロリコン?」」

ジェット「はぁ…何でそうなる…」

クード「なぁなぁ、結局ラサティ達はどうなったんだ?」

ジェット「…あぁ、なんでもミリアルドトレイをちゃんとした合法の闘技場にするらしい。結局検挙もされてないから、あの施設は放っておいても別の人間が引き継ぐだけだろうしな」

フェイ「じゃあ何、アタシ達闘技場の支配人に貸しがるワケ?」

スパイク「言い方は最悪だけどそういう事だな」

フェイ「お金に困ったらココによれば良いワケね!」

ジェット「歳下の女の子に金の無心して、情けなくならねぇのか…」

フィロ「そんな事思う人ならもっと早くにまともになってると思うナー」

クード「フィロ⁉︎お前、どうしてここに⁉︎」

フィロ「えへへ~、クー君とランクキングの戦い見てたらクー君のファンになっちゃいました!」

スパイク「だからってなんでこの船に乗ってんだよ?知ってるか?俺は女とガキと獣が嫌いなんだぞ?」

フィロ「その割には全部揃ってるケド…」

フィロ「ここにいる事に関してはジェットさんに了承いただきました!」

スパイク「はぁ⁉︎」

フェイ「なんでまたオッケーなんてしたのよ?」

ジェット「いや、このガキ中々しつこくてな…」

レン「やっぱり…ロリコンなの?」

ジェット「ぬぁっ⁉︎違う違う‼︎兎も角、次の街までって約束だ」

エド「ロリコン、大根、演技下手ー」

ジェット「演技なんざしてねぇ‼︎」

フェイ「必死で否定すると余計怪しいわよ?」

スパイク「そーそ、そういう時は自分の気持ちを偽らず、素直に受け入れちまう方がストレスもないぜ」

ジェット「はぁ…最近また生え際が後退してきた気がするぜ…」

フィロ「生え際…?」

今日のところはここまで

クード「重力波って何かかっこいいよな」

ジェット「あぁ?急にどうしたよ」

フェイ「そもそもアンタ、重力波が何か分かってんの?」

クード「へ?何か…重力がブワーって広がる感じ?」

ジェット「んなワケないだろ」

クード「じゃ、じゃあ2人は分かるのかよ⁉︎」

ジェット「あぁー…重力同士ぶつかって波が起きる…とか…?」

フェイ「意味わかんないわよ、その説明」

フェイ「大体、そんなの知ってったって一文の得にもなりゃしないわ」

クード「結局知らねぇーんじゃん」

エド「重力波はねー、いないいなーいしてるものもバァってしてくれるんだよー」

ジェット「…さっぱりだ」ハァ

エド「えっとねぇ、簡単に言うと時空がグネグネ~ってするんだよー」

エド「そのグネグネ~が見えれば、見なかったものも見えるようになるの!」

スパイク「小難しい話は良いんだよ。そんなんが俺たちの生活に関わるのか?」

フェイ「あらお早いお目覚めで」

ジェット「お前が言えた義理か」

エド「位相差ゲートにも応用されてるよー」

スパイク「へぇ…」

ジェット「これが発見されてなきゃ俺達ゃ皆地球人だったワケか」

スパイク「それどころか生まれもしてねーな」

フェイ「ありがとう重力波」

ジェット「まぁ巡り巡ってあのゲート事故もなかったがな」

フェイ「FUCKIN´」

スパイク「ゲンキンな奴だ…」

クード「…zzz」


オマケでした
というワケで来週から再開します
お待たせしちゃってごめんなさい

重力波についてはクソ文系の自分にはよく分かりませんが、ざっと調べた感じと以前読んだヒッグス粒子やらの本を参考にこうかな、と
間違ってたらごめんなさい

ジェット『おい、スパイク。ターゲットは見つかったのか?』

スパイク「見つかったも何も今俺の目の前に居るぜ」

ジェット『なにぃ?もう捕まえたのか⁉︎』

スパイク「逆だ。捕まった」

ジェット『はぁ⁉︎何やってんだよ…ったく…』

スパイク「幸い通信機はバレてねぇけどな」

ジェット『っても奴は目の前に居るんだろ?』

スパイク「あぁ、俺と一緒にお縄さ」

ジェット『…一体何やらかしやがったんだ』

スパイク「話せば長くなる」

ジェット『どうせそっちに着くまで暇だ、聞かせろ』

スパイク「りょーかっい」

ーーーー
スパイク「豪華客船?」

ジェット「あぁ、今回はその船に潜入してもらう」

スパイク「俺が?独りで?」

ジェット「まぁ流石にお前だけじゃ不自然だからな。今回はフェイにもついて行ってもらう」

スパイク「アンタはどうするんだ?」

ジェット「お前さんがしくじった時誰が助けるんだよ」

スパイク「俺がしくじった事があるかよ?」

ジェット「…タバコ1カートンじゃ足りないくらいには」

スパイク「10なら両の手で例えた方が楽じゃねぇか?」

ジェット「本数だ馬鹿野郎」

スパイク「まぁ、そんだけ仕事しようとはしてるって事だな。上司としてはその姿勢を褒めこそすれ、結果をばかり責めるなよ」

ジェット「生憎俺はお前を部下にした覚えはないんでな。同僚の尻叩きくらいするさ」

スパイク「都合の良い時には同僚になるんだな、船長さん」

ジェット「お前こそ都合の悪い時は船長の意見を無視するだろうが」

スパイク「…解りましたよ、船長さん。ったく、アイツと仕事なんて絶対ろくな事になんねぇんだよ」

ジェット「…そうだ、ついでにクーとレンも連れてってやってくれ」

スパイク「ガキの手も借りたい程俺に信用ねぇってのか⁉︎」

ジェット「2人とも、ここ最近の戦いで疲れてんだ。主に精神的にな。たまにはリフレッシュさせてやりたい」

スパイク「…なぁ、あくまでも俺たちはレンの懸賞金狙いだよな?」

ジェット「…何が言いたい」

スパイク「…いや、船長サマのお決めになられた事なら従うだけですよっと」

ジェット「…解ってんだよ、自分でもな…」

スパイク「まぁ、それがアンタの良いとこでもあんだ。ただ…」

ジェット「もういい。早く行ってくれ」

スパイク「…オーキードーキー」

ジェット「ったく…」

フェイ「そんなだからお母さんとか言われるのよ」

ジェット「…いつからいやがった」

フェイ「呼ばれた気がしたの」

ジェット「あぁ、スパイクについて豪華客船に潜入してもらう」

フェイ「あらステキ。バカンスかしら?」

ジェット「仕事に支障が出ない程度なら楽しんでこい」

フェイ「…なんかあったの?」

ジェット「うるせぇ、良いから行ってこい」

フェイ「はいはい」

フェイ「…あの馬鹿に何言われたか知んないけど」

ジェット「あ?」

フェイ「あんまり気にしない方が良いわよ。意味深なこと言ってカッコつけてるだけなんだから」

ジェット「ハナっから気にしてなんざいねぇよ」

フェイ「そ。ならイーケド」

短いですが取り敢えずここまで
新編突入です

レン「クー。私、クーの事…」

クード「え⁉︎ちょ、ちょっと待って」

ーー物陰ーー

フェイ「レンちゃんやるー」

スパイク「でも唐突すぎやしないか?」

ジェット「若い恋なんて急なものさ」

フェイ「なぁんかジジ臭い言い方するわね」

スパイク「ジジ臭いと言うか本当にジジイなんだろ」

ジェット「何でお前らはいつもいつもそうなのかね…」

ーーーー
レン「ごめんなさい、クー…」

クード「ななな、何でレンが謝るんだよ⁉︎寧ろ俺は嬉しかったと言うかなんと言うか…」

レン「違うの、実は今日は…」

クード「へ?」

エド「4月1日!エイプリルフールだよー」

クード「…だ、だよなー!レンがそんな事言うワケないよなー!お、俺も別に何とも思ってなかったし?」

レン「…クーのばか」

クード「あ、あれ?レン寝ちゃうのかな」

ーー物陰ーー
フェイ「あーあ…」

スパイク「コレは中々キツイな…」

ジェット「あの嘘は流石になぁ…」

フェイ「アンタ達ホンっとに女心が分かってないわねぇ…。寧ろ今レンちゃんの方が傷付いてるわよ」

ジェットスパイク「「はぁ?」」

ジェット「これだから女ってのぁわからねぇ」

ーー甲板ーー
クード「なんか新鮮だなぁ…」

レン「クーはずっと船に乗ってたんじゃないの?」

クード「いや、船には違いないんだけどさ、俺たちの乗ってた船は空を飛んでたから…」

レン「海、綺麗…」

クード「そうだな…」

スパイク「なぁ、あいつらやっぱジェットと一緒にし過ぎたんじゃねぇか?」

フェイ「確かになぁんかジジ臭い光景ね…」

フィロ「そうカナ?レンちゃんは元々あんな感じだった気もするけど」

フェイ「まぁジジ臭いってレンちゃんには似合わないしねぇ」

スパイク「ババ臭いって言っちまうと何処かの誰かさんの事になるしな」

フェイ「フィロ、アンタなんか言われてるわよ?」

フィロ「アハハ、私じゃないと思うけどなー…」

クード「お前らなぁ‼︎折角良いムードだったんだからどっか他所でやれよ!」

レン「スパイク、ここ禁煙」

スパイク「へーへ、ったく船の上くらいどこで吸ったって変わんねぇだろ…」

フェイ「レンちゃんは気にしてないみたいね」

クード「う、うるせぇ!レン、もう行こうぜ!」

レン「クー、私ぷーるに行ってみたい」

クード「へ?この船プールまでついてんの?」

レン「うん、さっきフィロが教えてくれた」

フィロ「お、ナニナニ?プール行く感じ?私も行きたーい」

スパイク「お前も行ってきたらどうだ?いっつも水着みたいなカッコしてんだし」

フェイ「これはファッションよ!全く、年がら年中暑そうなジャケット着てる奴に言われたかないっての」

クード「はぁ…。2人きりにはなれそうもないなぁ」

レン「クー、どうしたの?」

クード「あ、いや!何でもない何でもない!」

ジェット『おい、さっきから聞いてたが仕事だって事忘れてねぇだろうな?』

スパイク「はいはい、ちゃんと探ってますよ」

フェイ「取り敢えず怪しいの2人くらい居たかしら」

クード「え、お前らいつの間にそんなん見てたの…」

レン「じゃあその人たちをどうするの?」

スパイク「取り敢えず放っておいて大丈夫だろ。所詮こそ泥レベルの獲物だ」

フィロ「なんか…スパイクさんカッコいいですね!」

スパイク「は?」

フィロ「まぁクーくんには及ばないですケド」

フェイ「ぷっ…はははは!ちょ、フィロちゃん!どっちも無いって!」

クード「ねぇ、俺なんもしてないのに何で傷付けられてんの?」

スパイク「俺だって聞きてぇよ…」

ジェット『結局遊んでるだけじゃねぇか…』

スパイク「心配すんなよ旦那。夜には動くさ。クー達に気付かれないように」ボソッ

フェイ「何よ、やっぱりアンタもガキンチョ共に甘いんじゃない」

スパイク「俺はただ足手纏いを増やしたくないだけさ」

フェイ「アタシも足手纏いって言いたいわけ?」

スパイク「何だ、解ってんじゃねぇか」

フェイ「じゃあ精々アンタのお手並み見させてもらうわ。言っとくけど、一切手貸さないからね」

スパイク「上等だ」

ーー夜、客室ーー
スパイク「ここか…」

こそ泥「zzz…」

スパイク「何でこいつ寝てんだよ」

こそ泥「…」

スパイク「まぁこっちにゃ好都合だ。さっさと捕まえちまおう」

スパイクが手錠を持ってこそ泥に近付くと、チャキ、という音がする。

スパイク「っ‼︎」

すぐに気付いたスパイクは横に身をかわす。すると、銃声と共に壁に穴があいた。

こそ泥「チッ」

スパイク「へっ、やっぱこうじゃなきゃな」

スパイクも拳銃を取り出し相手に向ける。こそ泥はベッドから跳ね起きると、シーツを投げ視界を塞ぐ。同時に2、3発の銃声が響く。

スパイク「クッ…やってくれるぜ」

スパイクも数発応戦しながら、キャビネットに身を隠す。その陰からチラとこそ泥を窺うと、威嚇射撃をしながら扉の方へ走っていた。

スパイク「クソッ待ちやがれ!」

スパイクもすぐに後を追い、扉を開け放つ。すると、こそ泥が廊下の少し先で警備員に取り押さえられている。

スパイク「は?」

呆気に取られていると、他の警備員達がスパイクも取り押さえようとする。

スパイク「え、いやどういう事だよ⁉︎」

警備員「安全な船の旅を妨害する輩は牢屋にぶち込んどけって言う決まりなんでね」

スパイク「いや、俺はあいつを捕まえようとしただけだって!」

警備員「結果として銃撃戦が起きたのはお前の所為ってことだろう」

スパイク「はぁ⁉︎なんだそりゃ⁉︎」

警備員「兎に角、目的地に着くまで牢屋に居てもらうからな」

スパイク「ありえねぇ…」

ーーーー
スパイク「…と言う訳だ」

ジェット『お前なぁ…。そうやってすぐドンパチするから幾ら稼いでも…』

スパイク「あーはいはいすんませんね」

ジェット『ったく、本当に解ってんのかこの馬鹿は…』

スパイク「それより、この船おかしくねぇか?」

ジェット『あ?』

スパイク「牢屋だぜ?俺が今居るの。それもかなり立派な鉄格子付きの」

ジェット『そう言えば普通に流してたが…妙だな』

スパイク「それに、自分で言うのも何だが、数人がかりとは言え俺が警備員如きに取り押さえられたんだぜ?」

ジェット『普通の豪華客船にしちゃあ、ちと警戒し過ぎな気もするな』

スパイク「普通の豪華客船ってのもおかしな響きだけどな…」

ジェット『解った、こっちで調べてみよう』

スパイク「一応日中船内回ったから船の間取りとかも送っとくぜ」

ジェット『…ホントに働いてたんだな』

スパイク「初めっからそう言ってんだろ!」

お待たせした割に少なくてすみません
だいぶオリ要素が多くなってきて書くのに難航しておりますので…

ー甲板ー
グレイアーツ「なんだぁ?」

ココウェット「なぁに?どうしたのグレイアーツ君?」

グレイアーツ「いや、流石にそろそろ『仕事』すっかなーって思ったんだけどよ」

ココウェット「だからレーダーみてたのね」

グレイアーツ「それがおかしいんだよなぁ。ここ、この一箇所にすげぇ数のエディルレイドが集まってんのよ」

ココウェット「あ、でもぉ、ここに一個だけ離れてるのあるよ?」

グレイアーツ「お、マジじゃん。じゃあ取り敢えずコイツ襲っとくか」

ココウェット「あはっ♪さっさと片付けて2人で船旅楽しもーよ♪」

グレイアーツ「えぇー、俺潮風嫌いなんだけど…」

ココウェット「もう!じゃあディナーに連れてってね!」

グレイアーツ「へいへい、じゃあいっちょやりますか」

ー客室ー
クード「なぁー、スパイクの奴は何処行ったんだ?」

フェイ「うっさいわね!知らないわよあんなヤツ!」

クード「な、何怒ってるんだ…」ヒソヒソ

フィロ「さ、さぁ…?」ヒソヒソ

フェイ「ちょっとそこ!聞こえてんのよ!」

レン「…zzz」

フェイ「って言うかクー、アンタ何でここに居んのよ?」

クード「だってよ、スパイクが居ないと俺の部屋独りじゃん?」

フェイ「寂しいとかガキみたいな事言うんじゃないでしょうね」

クード「違ぇよ!俺もレンも一応命狙われてるんだから、独りになるのはどうなのかって思っただけだって」

フィロ「もークー君。寂しいって素直に言えば私が一緒に居てあげるのにナー」

クード「だから違うってぇの!」

フェイ「レンちゃんが心配なんでしょ」

クード「は、はぁ!?別にそんな事言ってねぇだろ!」

レン「…違うの?」

フェイ「あら、レンちゃんおはよう」

レン「おはよう。…それで、クー、どうなの?」

クード「いや、なんて言うか、その…」

クードが言い淀んでいると、扉が突然吹き飛ばされた。

グレイアーツ「クードヴァンジルエット!悪いがその命頂くぜ!」

その場にいる全員が固まる。

グレイアーツ「あれ…?俺なんか間違えたか?」

ココウェット『なんか取り込み中だったみたいだケドー、グレイアーツ君は悪くないって!』

クード「あ、アンタら何モンだ…?」

グレイアーツ「言わなきゃわかんねーワケ?」

ココウェット『アンタ見た目通りイケてないんだねー』

クード「なんかムカつくなアイツ…」

フェイ「同感ね。あのキャピキャピした感じ最っ高にムカつくわ」

ココウェット『妬いてんのー?オバサン』

フェイ「オバッ⁉︎チョーシこいてんじゃないわよ…」

グレイアーツ「ま、兎に角死んでもらうぜ!」

グレイアーツがココウェットを振るうと、衝撃波がクードに襲い掛かる。

クード「クソッ!」

寸での所で回避するが、勢い余って転倒する。

クード「レン!リアクトを!」

転がった勢いのままレンの元へと辿り着くと即座にリアクトする。

グレイアーツ「へぇ…それが七煌宝珠か」

クード「お前らが何者かは知らねぇけどさ、レンを狙ってるって言うなら手加減はしねぇぞ」

グレイアーツ「お前はレヴェリーメザーランスの力ではなく、彼女を守りたいんだな?」

グレイアーツは構えを解き、両手を広げてクードに歩み寄る。

クード「だったらなんだよ?」

グレイアーツ「いやね、俺が上から言われてんのはレヴェリーメザーランスを使えるようにして回収する事なんだわ」

グレイアーツ「つまり、俺が所属しているオルガナイトってぇ組織は、その娘の力さえ手に入れば良いワケよ」

クード「だから!俺を殺してレンを攫うんだろ?そんなのはいそうですかって言えるか!」

グレイアーツ「話は最後まで聞こうぜ、クードヴァンジルエット」

フェイ(何か胡散臭いわね、このチャラ男…)

すると突然、グレイアーツはココウェットととのリアクトを解く。

グレイアーツ「そこで、だ。レヴェリーメザーランスの力だけ譲渡してくれりゃあ、皆シアワセになるとは思わねぇか?」

クード「力…だけ?」

グレイアーツ「そ、力だけ。エディルレイドの力ってのはこんな核石に宿ってんだよ」

グレイアーツはココウェットの胸元を捲る。そこには紫色で三日月を歪めた様な形の石が、皮膚と一体化していた。

ココウェット「いやぁーん、グレイアーツ君以外に見られたくないのにぃ」

グレイアーツ「つまりだな、そこの嬢ちゃんの石だけ貰えりゃこちらとしては任務完了ってワケよ」

グレイアーツ「お前を殺して無理矢理連れてったとしても、メザーランスが素直に従うわきゃねぇから、どっちにしろリサイクルの必要はあるだろうしな」

クード「で、でもそんな事…」

グレイアーツ「お前らにだってメリットはあるんだぜ?メザーランスから力が失われれば、余計な追手から逃げる必要もなくなるし、本来人間より長生きしちまうエディルレイドが人間と同じ様に歳を取る事になる。つまり、アンタ等が一生添い遂げる事ができるワケだ」

クード「…」

グレイアーツ「それとも何か?彼女を守りたい、なんてのは建前で、本当は力が欲しいだけか?」

クード「そんな訳ねぇだろ!例えレンがただの女の子でも守りたいと思ったさ!」

グレイアーツ「なら良いじゃねぇか」

ココウェット「そーそ、これはグレイアーツ君の優しさなんだからね!本気でやりあったらアンタなんて2分ももたないわよ」

クード「…そう、なのかな…」

クード(レンの力を使いこなせてないってのは確かだし、力がなくなればレンも人間に迫害されたり、誰かに追い回されたりする事もなくなる…)

レン『クー、ダメだよ』

クード「レン…でもさ、俺これ以上レンを危険な目に遭わせたくない」

レン『力を取り除けば、私は安全かもしれない。でも、私の力で他の人を傷付けたくない』

クード「…そっか」

レン『うん。だから、2人で一緒に私の力も、私も、クーも、皆も、纏めて守ろう?』

クード「へへっ、そうだな!それくらい貪欲な方が、このクードヴァンジルエット様に相応しいぜ!」

グレイアーツ「どうやら交渉決裂、みたいだな…ココ!」

ココウェット『もぅ、始めっからこうすれば良かったのにぃ。グレイアーツ君ってばお人好し♪』

クードとレンの間で話が纏まったところで、再び場に緊張が戻る。
クードが駆け出すと同時に、グレイアーツとココウェットも再リアクトしていた。

グレイアーツ「もう手加減は無しだぜ!」

グレイアーツが衝撃波を発生させると、真っ直ぐ突っ込んでいたクードは避ける事が叶わず、レンで受け止める。

グレイアーツ「俺はただ一人の聴客の為に、この歌をうたう!」

そう言うと、グレイアーツとココウェットが詠唱を始める。しかし、その音は人間の出す音域を超えていた。

クード「ぐっ…なんだよこれっ…!」

レン『多分っ、あのエディルレイドがプレジャーの歌声を増幅させてる…』

クードは堪え切れず両耳を塞ぐが、それでも芳しい効果は得られない。

クード「クソッ、このままじゃ相手の攻撃をもろに食らっちまう‼︎」

レン『取り敢えず、この狭い船室じゃ不利だから、外に出よう?』

クード「幸い、この騒音の所為で窓は割れてるしなっ…」

クードは割れた窓から外に飛び出す。当然外は海が広がるばかりだが、海面に向けて風を起こし、甲板に着地する。

クード「ここまで響いてきやがるぜチクショウ」

と、そこで唄が止む。

クード「追ってくるか…ッ⁉︎」

グレイアーツ達が、クード達と同じ様に甲板に来る。

グレイアーツ「広いとこに逃げれば避けられるとでも思ってんのか?」

ココウェット『もう最ッ高!グレイアーツ君の歌でぇ、この船もメロメロになっちゃってるよ~』

先ほどの歌の影響で、操舵系の機械に故障が出たのか、船の挙動がおかしくなっている。

クード「ケッ。そんな歌如きで俺たちがやられるかよ」

レン『うん、私達なら大丈夫』

グレイアーツ「中々の自信じゃねぇの。んじゃ一丁見せてもらうぜ、メザーランスの力!」

ココウェット『言っとくけどぉ、次は逃げらんないからね?』

再びグレイアーツがココウェットを水平に構える。

クード「リジェクトアウト!」

クードの周囲に風の鎧が現れる。その中で詠唱を始めるクード。

グレイアーツ(俺の歌が効いてない?風で受け流してるってワケか)

グレイアーツ「なら良いぜ!単純な力比べといこうじゃねぇか!」

グレイアーツ「サーバスレンジ‼︎」

クード「ノトスコード‼︎」

2人は同時に攻撃を繰り出す。お互いの攻撃がぶつかり合うと激しい衝撃が周囲に広がった。

クード「クッ…」

グレイアーツ「どうしたぁ‼︎七煌宝珠ってのはそんなモンか⁉︎」

クードとレンの攻撃は僅かに押し負けていた。ノトスコードで相殺しきれなかった分の衝撃波がクードを襲う。

レン『大丈夫。クー、信じて』

風の鎧でも受け流しきれなかった為、クードは数メートル後ろに押されるが、ギリギリで持ち堪える。

クード「ありがとう、レン」

グレイアーツ「おいおいマジかよ…」

ココウェット『でもでもぉ、結構ギリギリなカンジだしぃ?次で決めれちゃうよ!』

クード「…これ以上やったら本当に船が沈むんじゃね?」

何とか攻撃は受け流したが、船体へのダメージが大きく、また衝撃によって船が揺れていたため、浸水し始めてもおかしくない状況だった。

レン『うん、でもあの人達はこっちが攻撃しなくたって歌い続けるよ』

クード「クソッ!やるっきゃねぇのか!」

クードはヤケクソ気味に叫ぶと、既に詠唱を始めているグレイアーツ達目掛けて走り出す。しかし、クードはあと一歩間に合わず、グレイアーツの詠唱が終わる。

グレイアーツ「ったく、つまんねぇ終わり方だなぁおい!」

眼前にまで迫っていたクードに、ココウェットを振り下ろす。

レン『クー!』

クード「うおりゃぁあ!」

レンの声と共にクードは左手を振るった。ココウェットの攻撃は相殺されることなく繰り出される。

グレイアーツ「なん、だ…?」

しかし、グレイアーツとココウェットの全力はクードも船体も傷つけてはいなかった。代わりに、海水が巻き上がり、船上に飛沫を撒き散らしていた。

クード「へへッ、これ以上暴れられちゃ困るからな」

よく見ると、グレイアーツの右手にはロープが巻き付いていた。
クードが、攻撃を受ける寸前に振るったのはレンを持っている右手ではなく、アンゲルを格納してある左手だった。

クード「覚悟しやがれ…」

攻撃を受け止めるのではなく、アンゲルによって腕を引っ張り、攻撃を逸らしたのだ。その間に詠唱は済んでいた。

クード「ゼフィロスアート‼︎」

グレイアーツ「グ…ッ!」

咄嗟に防御をするが、ゼロ距離でまともに食らったため、船外へと吹き飛ばされる。

グレイアーツ「クソッ…」

吹き飛ばされる直前、グレイアーツはリアクトを解き、ココウェットを船の上へと投げ飛ばす。

ココウェット「きゃっ!グレイアーツ君⁉︎」

既に彼はその直後に気を失っていたが、その頬には薄っすらと笑みが浮かんでいた。

クード「レン!頼めるか?」

レン「ゴメンね、クー…も…無理…zzz」

リアクトが解けて眠ってしまったレンを、その場に寝かせクードは駆け出す。
しかし、行く手にココウェットが立ちはだかる。

ココウェット「何するつもりよ?」

グレイアーツと居た時には考えられないほど、非常に厳しい表情をしている。

クード「何って、お前のプレジャー、このままじゃ溺れちまうだろ!」

ココウェット「自分でやっておいてよく言うわね」

吐き捨てるように言うと、ココウェットが殴りかかってくる。

クード「ちょ、待てって!助けなきゃ!本当に死んじまうぞ⁉︎」

リアクトをしていない彼女の腕力は、年頃の少女のそれと変わらず、大した威力のない拳がクードの胸をポカポカと叩くだけだった。

ココウェット「うるさいわね!助けたところで、彼はもう処分されちゃうのよ!オルガナイトに‼︎」

クードは、そのまま拳を受け続ける。
もう彼には立ち尽くすしかなかった。

ココウェット「任務失敗した時点で!私も彼も処分されるのは決定なのよ!それを、せめて私だけでも助けようと…」

ガクッとその場に泣き崩れるココウェット。
クードは、ただただ、グレイアーツが飛ばされていった方角の海を眺める。

ココウェット「どうせ私も…生きているのがバレたらオルガナイトに消されるわ…。最悪、石だけ持って行かれてリサイクルされるんでしょうね…」

クード「そ、それなら命だけは助かるんじゃないのか?」

ココウェット「私はオルガナイトで改造を受けてるから、石が離れたらその場で死ぬのよ」

その時、レンが眠気を無理矢理抑えながら、と言った感じで立ち上がる。

レン「なら、私達と一緒に来ればいいわ」

クード「エェ⁉︎レンさん?この人俺たちを狙ってた刺客だって解ってます…?」

レン「クー、もう彼女に戦う力はないわ。それに、私達もオルガナイトに狙われてるっていう立場は一緒だし」

クード「そ、そりゃそーだけどよ…」

ココウェット「彼を殺した張本人と仲良くしろって?」

レン「別に仲良くする必要はないわ。私達だって貴女と打ち解けられるか解らないし。ただ、一緒に来て、必要な時にお互いの力を借りるだけ」

クード「うーん…それもアリ…なのか?いやいや…でもなぁ…」

レン「それに、まだ彼だって死んだとは限らない。そのおるがないとって言う所がどういう所か解らないけれど、もしかしたら命までは取らないかも知れないし」

ココウェット「彼が生きていたら裏切るかもしれないわよ?」

レン「大丈夫、その時はまた私達が倒すから。ね、クー?」

クード「おうよ!ってアレ、もうその方向で決定なのか?」

レン「それに、私達がもしおるがないとを倒したりしたら、貴女達も追われる心配から解放されるわ」

クード「…え?なんか段々話が壮大になってきてね?」

ココウェット「…解った。じゃあグレイアーツ君を見つけるまで、貴方達を利用させてもらうわ」

クード「えぇー…これから毎日暗殺の恐怖と戦いながら生きていくのか…?」

レン「彼女が居なくてもそれは変わらないと思う…」

ココウェット「そうね、オルガナイトは貴方を殺そうと躍起になってるから」

クード「…俺そんな危険な状況だったの?」

ココウェット「解ったらこれからは安易にバニーちゃんとかに寄って行かないことね」

クード「なっ⁉︎ななな、何でそんな事…俺のトップシークレットな情報なのに…」

レン「…バニーちゃん?」

クード「いや、違うんだレン!こ、これはだな…」

フェイ「静かになったからどうしたのかと見に来てみれば…どうして敵の女の子とイチャついてんのよ、このガキんちょ」

フィロ「…!もークー君ってば、やっぱりモテるのかぁ~。ライバル増えちゃったなぁ…」

ココウェット「…さっきも気になってたけど」

フィロ「私フィロって言います!よろしくね!」

フィロ「…貴女の事は報告しない。代わりに…」ボソボソ

ココウェット「…余計なことしなければ、私も余計な事言わないわ」ボソボソ

ココウェット「えぇ、よろしく」

フェイ「何でこっちのガキもスッと受け入れてんのよ…」

お待たせでした。
今回はココまで。
グレイアーツ君は倒したけれど豪華客船編はまだ続きます。

うわっ
そんな経ちますか…
長い事お付き合いいただいている皆さんありがとうございます
久々に軽くオマケだけ…

ーーおまけーー
スパイク「なぁ旦那」

ジェット「あ?どうした」

スパイク「アンタは年上派か?年下派か?」

ジェット「…急に何だ?頭でも打ったのか?」

スパイク「女の好みの話だよ。男同士、たまにはこう言う下世話な話もいいだろ」

ジェット「お前と上品な会話をした覚えがないがな」

スパイク「それ誰かと勘違いしてるぜ」

ジェット「はぁ…で?女の好みがどっちかって?俺ぁ断然年下だな」

スパイク「…ろr」

ジェット「違う!年下って言っても自分の年齢より2、3歳下くらいだ」

スパイク「へぇ、そりゃまた何でだ?」

ジェット「まず余り歳が離れていると一緒にいても疲れる。年上だと、多少気を使ってしまいこれまた疲れる」

スパイク「…要するに一緒にいて楽なのが年下だと」

ジェット「あぁ」

ジェット「そういうお前はどうなんだ?」

スパイク「どちらかと言われるとどちらでもなかったんだが…」

ジェット「?」

スパイク「同い年が一番気を許せるかな、と思っていたんだ、昔は」

ジェット「今は違うのか」

スパイク「あぁ、ここ数年は年下ばかりの環境に身を置いているからな…」

ジェット「…まぁな。フェイは扱いが難しいが、他はエドにレンにフィロ、か…」

スパイク「そんな環境下で俺は年上派だったんだと気付いたよ」

ジェット「…そうか。だがスパイク、冷静になれ」

スパイク「ん?」

ジェット「お前にとっての年上って言えば、もうアラフォー間近、いや突入しちゃってるんじゃねぇか?」

スパイク「…旦那、アンタの好み最高だぜ。心から共感した」

ジェット「それで良いのか、お前…?」

フェイ「で?またアンタはオンナノコを引っ掛けて来たってワケぇ?」

クード「説明聞いてなかったのかよ⁉︎」

ココウェット「私はグレイアーツ君一筋だしぃ」

フィロ「なんだかボケ担当の人ばっかりでツッコミが追い付いてないネ…」

クード「俺の境遇解ってくれるのはフィロだけだよ…」

レン「…」クイクイ

クード「ん?どうしたんだ、レン?」

レン「……。なんでもない」

フェイ(なぁんか甘ったるい空気になってるわね…)

ココウェット(いや、それくらいワカンでしょ!何コイツ、グレイアーツ君より朴念仁⁉︎)

フィロ「たははは…クー君今のは流石に…レンちゃんどっか行っちゃったし…」

クード「え?俺なんかやらかした⁉︎」

ココウェット「アンタまだ気付いてないわけぇ⁉︎信じらんない…あの娘可哀想になってきたわ…」

クード「えぇー…そんな事言われたってさぁ…」

フェイ「良いからさっさと行きなさいよこの馬鹿!」

クード「うぇえ⁉︎なんで怒られてんの⁉︎」

フェイ「ったく…。そう言えば、もう一人の馬鹿はどうしてんのかしら」

フィロ「んん?…あー!スパイクさんの事!」

ココウェット「言われてみれば、聞いてたより1人少ないわね」

フェイ「そっちの馬鹿はヘマして捕まってんのよ…」

ココウェット「捕まってるって、この船で?」

フェイ「えぇ、しょーもない賞金首捕まえようとして衛兵に捕らえられたのよ」

フィロ「でもおかしな話だよネー?スパイクさんは寧ろ、この船をその賞金首さんから未然に守ろうとしてたわけなのに…」

ココウェット「で?捕まった後は何処に連れて行かれたの?」

フェイ「それがまた変なのよね…。最下層の牢屋に捕らえられてるって」

ココウェット「最下層、ねぇ…」

フィロ「何か思い当たる事でもあるの?」

ココウェット「いや、ちょっとね。私達が貴女達を襲撃する時にどうやって居場所突き止めたと思う?」

フェイ「そりゃあ明るいうちから探し回ってたんじゃない?」

ココウェット「夜を選んだのは邪魔が入りにくい様にする為。それに、貴女達の外見的特徴は軽くしか教えられていないから大人数の中から見つけ出すのは不可能ね」

フィロ「…その話、今関係あるのかなー?」

ココウェット「大ありよ。実はエディルレイドだけに反応するレーダーを使ったの」

フェイ「へぇ、そんな便利なものがあんのね~…」

ココウェット「ここからが本題。実はその時、レーダーにはレヴェリーメザーランス以外に無数のエディルレイドの反応があったの」

フェイ「…?」

ココウェット「それでも、そんな中からレヴェリーメザーランスを見付けられたのは、そのエディルレイド達が一箇所に集まっていたからよ」

フィロ「…まさか」

ココウェット「この船の最下層、貴女達のお仲間が捕まってる所にね」

フェイ「…どういう事よ?」

ココウェット「恐らく、この船は表向きは豪華客船だけど、それは違法にエディルレイドを取引する為のカムフラージュって事」

フィロ「イリーガルな事してるからやけに強い衛兵さんだとか牢屋だとかがある、って考えたら、確かに矛盾は無いカモ?」

フェイ「つまり何、あの馬鹿は結構な窮地ってワケ⁉︎」

ココウェット「予想通りならね。それに、私とグレイアーツ君が知らされてないとなるとオルガナイトは関与していないって事でもある。だから、レヴェリーメザーランスについても最悪邪魔なら消せってなるかもね」

フェイ「…チッ。折角面倒事が一個片付いたと思ったらもっと面倒になってんじゃないのよ!何でこう男って余計なトラブルばっか持ち込むのかしら…」

フィロ「えーと…もしそうだとするなら、クー君達も結構ヤバくないかな?さっきの騒ぎで多分警戒態勢になっちゃってるんじゃ…」

フェイ「ったくどいつもこいつも‼︎何だってのよ⁉︎ほら、ボサッとしてないでアイツら探すわよ‼︎」

ココウェット「何だか報告にあったのと大分違うのね。少しだけ…羨ましい」

フェイ「なに、何か言った?」

ココウェット「何でもないわよ」

フィロ「…」

本日ここまで
オマケその頃の2人
ーーーー
スパイク「…ったく、いつ出られるんだこれ?」

ジェット『まぁ、クー達も一件落着した様だし、そろそろ救出してくれるんじゃねぇのか?』

スパイク「はぁ…折角の豪華客船だってのに牢屋で過ごすなんて予想してなかったぜ」

ジェット『お前は今回役に立ってねぇんだ、諦めろ』

スパイク「少なくとも新たな盗みが出ることは防いだだろ」

ジェット『一緒に捕まってちゃ世話ねぇがな』

スパイク「女子供への優しさを少しは俺にも分けて欲しいぜ…」

ジェット『なら優しくしたいと思える振る舞いをしてくれ』

スパイク「…取り敢えずロリっぽい格好すればいいのか?」

ジェット『そんなおぞましいものは冷蔵庫に閉じ込めて宇宙に捨てる』

スパイク「アレと同じ扱いかよ…」

何か色々ありまして…
私情を挟むべきではないと思いますので謝罪だけはさせていただきます…
スレ建て当初の気持ち通り、時間は掛かっても完結はさせたいと思います…
顔も出せず申し訳なかったです…
とりあえず少しだけ投下してきます…

レン「……」

クード「なぁ、レン。何が嫌だったのか言ってくれなきゃ解んないぜ」

レン「わからない」

クード「?」

レン「私にも…わからないの。何でクーにあんな態度とっちゃったのか」

クード「…そっか」

レン「うん」

クード「なら、それは後で考えれば良いか。兎に角戻ろうぜ」

レン「…うん」

警備員「ちょっとそこのキミ達、さっき物凄い音が聞こえたんだけど何か知らないかな?」

クード「へ?あー…」

クード(これって俺らのせいってバレたらやっぱ不味いよなぁ…)

レン「少し喧嘩してただけだから大丈夫」

警備員「喧嘩?それにしちゃ船全体が揺れるくらいの衝撃だったけど」

クード「いや、あのーほら、ちょっと火薬持ってる奴がいて…」

警備員「それはキミの知り合いかい?そんな危険人物は放っておけないから何処にいるか教えてくれないか」

クード「えっ⁉︎」

警備員「ん?何か問題があるかな?それとも…嘘でもついたのかな?」

クード「いやぁ…なんってーか、その…」

レン「待って!クーは多分私の為に嘘をついたの…」

警備員「ほう…君の為に、ね」

レン「実は…私はエディルレイドなの」

クード「レン⁉︎」

レン「さっきも私の力を奪おうと襲われて、それを撃退しただけで…」

警備員「…エディルレイドか。可哀想に…そんな身分でなければ…」

クード(あれ、何かイイ感じ?)

警備員「こうして俺もお前らの前に立ちはだかる必要もなかったんだがな」

そう言うと、警備員は腰に提げた警棒の柄を強く引っ張った。
キラリと月明かりを反射したと思った時にはクードの前髪を数センチ切り落としていた。

クード「な、なななな何だ⁉︎」

警備員は警棒に刀を仕込んでいたのだ。それを抜くと同時にクードに斬りかかっていた。
クードは、突っ込んでくる警備員の勢いに驚いて尻餅を着いたことで、辛うじて回避できたのだった。

レン「クー!」

警備員「リアクトされると面倒だ」

警備員は懐からナイフを取り出すと、レンにめがけて投げつける。
1つも命中はしないが、レンの服を掠めて行くことで、レンの身動きを封じてしまった。

警備員「誰が貴様らを襲ったのかは知らんが、誰かに狙われるという事はそれなりに希少価値のある石なのだろう?プレジャーを殺して、商品に加えてやる」

クード「商品…?っ‼︎お前、ブローカーか⁉︎」

警備員「ふ、俺はその使いっ走りだがな」

自嘲気味に言うと、再び勢いよく突っ込んでくる。
今度は不意打ちではなかったため、なんとかアンゲルで受け止める。

クード「くっ…」

警備員「そんな小さな武器でよくやるもんだ」

クード「るせぇ!」

アンゲルで剣を弾き何とか距離を取ると、周囲を見回す。
アンゲルを使うにあたって一番の利点は上下方向への移動が可能な事だ。

警備員「残念だがこの甲板ではそれの使い途も乏しいようだな」

彼の言う通り、上方が開けているこの空間ではアンゲルの利点を生かしきれない。
警備員は切っ先をクードに向けたままジリジリと詰めてくる。

クード(どうすりゃいいんだ⁉︎この距離じゃ、レンとのリアクトも間に合わない…!どうにかアンゲルでひとっ飛び出来ればっ…)

警備員が距離を詰めるのに合わせて、クードも一歩一歩下がる。
改めて周りを見るが、甲板の端をグルリと囲う手すりしかない。
しかし、アンゲルに収縮機能はなく、あくまでも振子運動を利用した移動がメインだ。

警備員「諦めたらどうだ?素直に命を差し出すなら、彼女の航海中の安全は保障しよう。尤も、その後の事は使いっ走りの俺にはどうにも出来んがな」

クード「へっ、使いっ走りごときに降参してたまるかよ」

警備員「口だけは達者だな。だが…それもこれまでの様だ」

そう言うと警備員は剣を一段高く構える。
クードは更に後ずさろうとするが、下ろした腕がカツン、と手すりに触れる。
最早言葉はなかった。何も言わず、ただ剣を振り下ろした。

クード「痛いのは御免だぜ!」

しかしクードは不敵に笑うと、バク転でもする様にそのまま海へと飛び込む。

レン「クー⁉︎」

警備員「チッ」

確実に殺せねば、レンの能力を利用できないため、警備員は少し焦る。

警備員「まぁこんな海のど真ん中に落ちたら生きてはいられんだろうが…」

一応、と言った感じで端まで行き海面を確認しようとする。
しかしそこで、彼は手すりに何かが引っ掛かっている事に気付く。

警備員「…っ!アレは!」

クードのアンゲルだった。
すぐに駆け寄り、ロープを切り落としてやろうとしたが、既に遅かった。

クード「レン!リアクトだ!」

手すりに腕をぶつけた時に、アンゲルを引っ掛け、充分な長さ分落下した後、勢いそのままにレンのところへと大ジャンプをしていたのだ。

警備員「くっ…」

気付いてすぐにナイフを投擲するが、そこにはもう風の障壁が存在していた。

クード「そんな攻撃、オレとレンに掛かれば屁でもねぇぜ!」

クードが右手を軽く振るうと、警備員は壁に叩きつけられる。すぐに気を失った様だ。

クード「あー…マジで焦ったぜ…。今回ばかりは流石にダメかと思った…」

レン『クー、らしくないね』

クード「ま、勝ったから結果オーライっしょ」

リアクトを解くのも忘れてのんびりと談笑していた二人だったが、急にダッダッダッダと複数の足音が聞こえてきた。

クード「な、何だ⁉︎」

レン『もしかしたら、あの人が応援呼んでたのかも…』

直ぐに包囲される二人。全員がハンドガンで武装している。

クード「丁度いいや。あのオッサンだけじゃ物足りなかったんだ!」

リーダーらしき人物の手が振り下ろされると同時、一斉に360度から射撃された。
しかし、リジェクトアウトを展開している二人には一発の弾丸も届かない。

クード「…っても流石にこの状態が続くのはキツイな」

レン『でも、まだ。今動いたら何処か隙間ができちゃうかもしれない。そうじゃなくても連戦だから…』

クード「あぁ、解った。もうちょっと耐えてくれよ、レン」

そうして暫く、相手の銃撃をやり過ごしていた。

クード「ハンドガンの装弾数なんてたかが知れてるから、すぐに隙が出来ると思ったけど…」

レン『順番に入れ替えてるみたいだね』

クード「どうすっかなぁ…。いっそ一か八か飛び出してって…」

クードがしびれを切らしそうになった時、唐突に包囲の一角が崩れた。
正確には、何者かの放つサブマシンガンの弾に倒れた。

クード「な、今度は何だよ⁉︎」

フェイ「レンちゃーん!助けに来たわよ!」

そこには、サブマシンガンを手当たり次第に放ちながらフェイが立っていた。
突然の襲撃に、包囲していた警備員たちは標的をフェイに変更しようとする。
しかし、フェイは未だに撃ち続けている為、反撃に出る前に次々と倒れていく。

クード「ちょ、フェイ!こっちにも弾来てるって!」

フェイ「知ったこっちゃ無いわよ!今撃つの止めたらアタシが撃たれるじゃ無い!」

クード「考えてから援護しろよな!」

クードは、未だ残っている一角に風を放つ。
それで粗方片付き、残りはフェイが銃口を向けたら去っていった。

フェイ「どう?無事だった?」

クード「寧ろソレで殺されそうだったよ…」

フェイ「あ、レンちゃん。悪いんだけどもう少しそのままで居てくれる?ちょっとあの馬鹿を助けなくちゃいけないから」

レン『スパイク、危険なの?』

クード「まぁさっきの警備員が襲って来た時点で何となく察しはつくけど」

フェイ「アンタ…何か悪いモンでも食べた?」

クード「うっせ!それより、フィロ達は?」

フェイ「あぁ、あの子達は戦えないし足手纏いだから部屋に置いてきたわよ。探すだけならコキ使っても良かったんだけどね、途中で銃声が聞こえ出したから」

クード「…で?こいつら何者なんだ?」

フェイ「まぁそれは追い追い。まずはアタシらの安全も確保しなきゃイケないし」

ーーーー
スパイク「なぁ…」

ジェット『何だぁ?』

スパイク「さっきからドンパチ聞こえるんんだけど」

ジェット『俺ぁ何にも聞こえねぇぞ?聞き間違いじゃねぇのか?』

スパイク「そりゃ通信機越しじゃあ聞こえねぇだろうな!」

スパイク「アンタさっき、一件落着したとか言ってなかったか?」

ジェット『あぁ、プレジャーとやらは排除したみたいだぞ』

スパイク「で、すぐまたこれか?」

ジェット『…みたいだな。やれやれ、厄介事が好きな連中だぜ』

スパイク「やれやれ、じゃねぇよ!俺は何時になったらココから出られるんだよ⁉︎」

ジェット『ったく…。助けてもらうことばっか考えるんじゃなくて、ちったぁ自分で逃げ出す事も考えろよ』

スパイク「この檻頑丈過ぎんだよ!このこのこのくぉの!」

ジェット『…大丈夫か?すげぇ息上がってんぞ?』

スパイク「ほっといてくれ…」

ジェット『お前から通信してきたんだがな…』

以上です。
取り敢えず、年内は更新出来るか怪しいです。
…ハロウィンだから天国の扉見たかったけど今年は無理そう

クード「なぁ」

フェイ「何よ」

クード「…この船って朝には港に着くんだよな?」

フェイ「そうね」

クード「それまで待ってからの方が良いんじゃねーの?」

フェイ「何をよ?」

クード「スパイク助けるのをだよ!」

フェイ「何言ってんのよ。着いたら助ける間も無く殺されるわよ」

レン『でも、船員の人達が全員知った上での事だったら…』

クード「全員縛り上げた場合、どうやって港まで行くんだよ?」

フェイ「そんなもん操縦できるやつ1人解いて銃でも突きつけときゃ良いのよ」

クード「それ普通に乗っ取りだよな…」

レン『港にも仲間が居たら…私たちが逆に犯罪者にされるかも』

フェイ「何よ、今更一つ二つの犯罪歴くらい…」

クード「オレやフェイは良くても、フィロやレンは…」

レン『クー、そういう問題じゃないと思う…』

フェイ「…ならバレない様にやるまでよ」

クード「…確かにバレなきゃ問題ないな!」

レン『…出来るの?』

クード「空賊にとってはお手の物よ!」

フェイ「アタシだってこれまで潜入なんて幾らでもこなしてるわよ」

レン『でもクー、私を盗んだ時の空賊の手口って…』ザザッ

ジェット『テメェも潜入なんて最初だけでいつも結局ドンパチしてるだろうが、フェイ』

フェイ「あらやだ、盗み聞き?流石ブラックドッグはやる事が違うわね」

ジェット『落ち着けって。幸い、まだあのバカとの通信もできるんだ。ちゃんと考えてから動いたってーー』

クード「もう遅いみたいだぜ!…行くぞ、レン!」

廊下の先からマシンガンを構えた警備員が数人現れた。
確認する事もなく突然発砲してくる。

ジェット『遅くはーー』

クードは力を使いすぎない様気を付けているのか、弾を弾く事だけに専念する。
その合間にフェイが少しずつ相手の数を減らして行く。

フェイ「アンタまだそんな事言ってんの?向こうはこちらが何者か確認せずに撃ってきたのよ?」

ジェット『…はぁ。お前らがもっと慎重に動いてりゃ…』

フェイ「あーもう!ウダウダうっさいわよ!こっちはなんとかするから事後処理の方法考えといて!オーバー!?」

ジェット『あぁもう滅茶苦茶だ…』

レン『頑張って…』

クード「取り敢えずここは片付いたけど…」

フェイ「この装備、益々怪しいわね。普通、客船の警備兵がこんなもん持ってないわよ」

クード「ま、それでもやるっきゃないんだろ?」

フェイ「て言うかあの馬鹿なら何とかして自力で逃げ出しそうなもんだけど」

ジェット『檻がべらぼうに硬いみたいでな。今もガンガンガンガン暴れてらぁ』

クード「止めさせろよ⁉︎」

フェイ「いえ、逆に好都合だわ。どっかで暴れてる音が聴こえれば見つけたも同然じゃない」

レン『その前にやられなければ良いけど…』

ジェット『まぁ大丈夫だろう』

フェイ「寧ろ警備の奴が不用意に近付けば締め上げて逃げ出すわよ」

クード「スパイクってそんなしょっちゅう捕まってんの…?」

ーーーーーー
スパイク「クッソ!良い加減脚がいてぇぞこれ!」

こそ泥「…アンタ、ここから出たいのか」

スパイク「そりゃもちろん」

こそ泥「俺も手伝うから、頼みを聞いてくれないか」

スパイク「はぁ?」

こそ泥「実は、この下に俺の大事な人が捕らえられてるんだ!」

スパイク「…」

ジェット『おいおい、スパイクよ。まさかこそ泥なんぞに手を貸すつもりじゃないだろうな』

スパイク「まだ何も言ってねぇだろ」

こそ泥「この船は!ブローカーの取引に使われているんだ!港に着いたらもう俺には手が出せない!」

スパイク「既に現状、手どころか足も出ねぇけどな」

こそ泥「だから…頼む!」

スパイク「…悪いな、俺たちも生活がかかってんだ。オタクの事情は解ったが、アンタを引き渡して賞金稼がねぇと明日も肉なし回鍋肉とかになっちまう」

ジェット『それはもうただのキャベツ炒めだ』

こそ泥「…」

スパイク「だが、そのブローカーとやら、恐らく借りがあるんでね。ここの壊滅はやってやろうじゃないの」

こそ泥「…!本当か⁉︎」

ジェット『はぁー…。スパイクよ、頼むから面倒ごとは…』

スパイク「ただし、アンタにはここに居てもらう。だから俺がここから出る手伝いだけをしてくれ」

スパイク「見た所、アンタじゃ戦力になりそうもないしな」

こそ泥「何をすれば良い…?」

スパイク「覚悟さ」

こそ泥「は_____」

そう言うとスパイクは、こそ泥を思い切り殴りつけた。
立ち上がる間も無く、脚を振り下ろす。
襟首を掴み持ち上げる。

スパイク「ほら、早く助け呼ばねぇと死んじまうぞ?」

更に腹へと膝蹴りを繰り出す。
腕を離すと、崩れ落ちそうになる背中を回し蹴りした。
こそ泥は勢いよく鉄格子に突っ込み、物凄い音を立てる。

こそ泥「だ、誰かぁ!助けてくれぇ!こ、殺されぶっ」

言い切る前に頭を踏み付け、鉄格子に押さえつける。

スパイク「お前の所為で俺まで捕まっちまったんじゃねぇか!こそ泥の分際で!」

最早ただの八つ当たりで、こそ泥に蹴りが命中しているのかどうかすら解らないほど、何度も鉄格子を蹴り続ける。
その間も、「た、助けぐぇっ」とこそ泥は叫びを上げる。

ジェット『おい!スパイク!自分が何してるか解ってんのか⁉︎』

スパイク「あぁ!八つ当たり!だよ!この!この!」

異常に気付いたのか警備兵が駆け付けてくる。
その間もずっとガンガンと音は鳴り響いていた。

警備兵「貴様!何をしている!」

こそ泥「た、助けてくれ!どんな所でも良い!こいつと別の牢にしてくれ!殺されちまう!」

スパイク「はぁ⁉︎俺はさっさとテメェを捕まえて!束の間のバカンスを楽しみたかったんだよ!クソっ!」

スパイク「それを台無しにしやがって!畜生!」

警備兵「蹴るのを止めろ!二人とも、格子の間から手を出せ!今から解錠する!」

こそ泥「あ、ありがとう、本当にありがとう…!」ガチャッ

警備兵「ほら、そっちのモジャモジャも早く手を出せ」

スパイク「チッ」

スパイクが格子から腕を出そうとした所で、こそ泥が警備兵の腰から拳銃を抜き取る。

警備兵「貴様!何を____」

するとスパイクは腕をスッと伸ばし、警備兵を締め上げる。
こそ泥は手錠のかかった手で、取り上げた拳銃をスパイクに投げ渡す。

スパイク「ナイスだぜ、こそ泥ちゃん」

警備兵「貴様等っ…」

スパイク「ほら、こっからなら解錠出来ない事はないだろ?」

警備兵「くっ…」

腕を震えるほど伸ばし、何とか鍵穴に差し込む。
ガチャリ、と解錠する。

スパイク「サンクス」

そう言うとスパイクは腕に力を込め、一気に締め上げた。
警備兵は気を失い、その場に倒れこむ。

スパイク「アンタはここで待ってな!この船ジャックしたら戻ってきてやるよ」

そう言って警備兵を牢の中に入れ、鉄格子と手錠で繋いだ。
その後再び牢の鍵を閉め、去っていく。

こそ泥「頼んだ…」

ーーーーーー
ジェット『無茶しすぎだ』

スパイク「結果オーライってヤツさ」

ジェット『あの場でこそ泥が、拳銃をお前に向けていたらどうする気だったんだ』

スパイク「アイツが本気で救いたい人がいるなら、無力な自分より俺に託した方が良いって思うだろ」

ジェット『逃げたいが為の嘘だったら?』

スパイク「そんな覚悟のない奴に遅れを取るほど落ちぶれちゃいねぇさ」

ジェット『ったく…』

本日ここまで
長らくお待たせした割に少量でごめんさい
ただ絶対にエタりはしないので…

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom