【モバマス】奇妙な列車での出来事 (17)

◆モバマスSSです。
◆キャラが崩壊するかもしれません。
◆思い付きでやったので書き溜めがないです。遅筆になってしまいます。
◆コレジャナイ感が漂う可能性が有ります。生暖かい目で見守って下さい。

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列車の中で、一人の少女と壮年の男性が話をしている。

「君、なんでまたこんな列車へ?」

「実はまゆは、今から愛する人のもとへ向かうんですよ」

「青春してるねぇ。羨ましいよ。自分の頃は友達の家でファミコンすることばっか考えてたもんだ」

「それもそれでいいと思いますよ」

「ははは、ありがとう。こんなやつのよもやま話に付き合ってくれるなんて」

「いえいえ。まゆも一人では心細かったですから」

「それで、親御さんは?」

「許可を出してくれました。まゆは一人で暮らすことになりますけど、いつか二人で……」

「ま、苦労できるうちにした方がいい、とどこかのお偉方も言ってたしね」

「うふっ、障害ってあればあるほど燃えるものですよ」

「そうかい。ま、行き先が同じだったら私を頼りなさい。少しくらいの援助をしてあげよう」

「本当ですか?」

「茶菓子とちょっと渋めのお茶しかだせないがね」

「いえ、ありがとうございます」

「あ、そうだ。これを持っていくといい」

「これは……、リボン?」

「紅のリボンだ。彼としっかり結ばれるように願掛けでもしてみなさい」

「うふっ。大事に使わせてもらいますね」

そう言うと少女はどこか遠い車両に向かって歩いて行ってしまった。男性はあくびをすると、ひと寝入りするために椅子に深く座り直した。

カツカツ、とわざわざ大きな音をたて若い女性が入ってきた。

「ちょっと話でも聞きなさい」

「随分と不遜なお方だ。初対面の人間に対する言葉遣いじゃあないね」

「ま、こんなのが好きなら聞かなくてもいいのよ」

女性はピシリ、と鞭を振るった。

「とても嫌いだと言っておきましょうかね」

「ふふ、まあ長い話じゃないわ」

「どうだか」

「私はね、人生に退屈しているのよ」

「退屈、ですか」

「そう。何も刺激的なこともない。平凡な毎日」

「いや、そういうのが一番いいんですよ」

「私は人を虐げるのが好きなの。その他は何もいらない、ってくらいにね」

「そういうのは人に言うもんじゃないでしょう」

「そうね。何か面白いことはないかしら」

「何か運命的な出会い、で変えられるかもしれませんねぇ」

「……、まあ、私だったら引き寄せられるかしら」

「さあ。運は誰にもわかりませんよ」

「知ってるって顔よ、それは」

「ご冗談を……」

「邪魔したわね。ゆっくり休むといいわ」

「では、お言葉に甘えて……」

若い女性は、音をあんまり立てずに他の車両へと歩き出した。男性は少し横になるために体勢を崩した。

静かに一人の女の子がやってきた。

「あの……、すいません」

「ん、ああ。すまない。ここ最近意味なく疲れていてね」

「あ、いえ、大したことじゃないんです。でも聞いておいて欲しいかな、って」

「うーん、分かった。聞こうか」

「私、ずっと子役をやっていたんです。それで、事務所をずっと移籍してて……、何て言うか、その……、お金で売られてるんです。契約とかあれだとか言っていますけど……、私にはわかるんです。都合に子どもが欲しいだけなんだ、って」

「うーん、難しいね。でも、君の言いたいほんしつが分からないんだけど……」

「……、人を信じたいんです」

「難しいこと言うねぇ、君」

「あ、すいません」

「私のことも信じられない感じ?」

「信じるも何も初対面じゃないですか」

「ははっ、そうだね。すっかり失念していた」

「ふふっ」

「……、君いつも笑えているかい?」

「なんでそんなことを……」

「いいから」

「いえ……、事務所でもモノ扱いされて、家に帰ればモノにならないことを怒られて……」

「……、なら、さっきみたいにさ、笑おうよ。そうしないと人を信じるとかそういうことじゃなくてさ、たぶん、人間が嫌いになっちゃうよ」

「……、そうですね」

「まあ、笑いのセンスがないから私にはなんにもできないけど。君ならできるって信じているよ」

「根拠は……」

「ないけど、それは重要なことじゃないよね」

「ふふっ、そうですね。ようやく信じられます、人も私も」

「それは何より」

女の子はバタバタと音をたてて走りながら他の車両へと飛び移った。男性は、次に来るであろう乗客を待つことにした。

静かに一人の女の子がやってきた。

「あの……、すいません」

「ん、ああ。すまない。ここ最近意味なく疲れていてね」

「あ、いえ、大したことじゃないんです。でも聞いておいて欲しいかな、って」

「うーん、分かった。聞こうか」

「私、ずっと子役をやっていたんです。それで、事務所をずっと移籍してて……、何て言うか、その……、お金で売られてるんです。契約とかあれだとか言っていますけど……、私にはわかるんです。都合のいい子どもが欲しいだけなんだ、って」

「うーん、難しいね。でも、君の言いたいことの本質が分からないんだけど……」

「……、人を信じたいんです」

「難しいこと言うねぇ、君」

「あ、すいません」

「私のことも信じられない感じ?」

「信じるも何も初対面じゃないですか」

「ははっ、そうだね。すっかり失念していた」

「ふふっ」

「……、君いつも笑えているかい?」

「なんでそんなことを……」

「いいから」

「いえ……、事務所でもモノ扱いされて、家に帰ればモノにならないことを怒られて……」

「……、なら、さっきみたいにさ、笑おうよ。そうしないと人を信じるとかそういうことじゃなくてさ、たぶん、人間が嫌いになっちゃうよ」

「……、そうですね」

「まあ、笑いのセンスがないから私にはなんにもできないけど。君ならできるって信じているよ」

「根拠は……」

「ないけど、それは重要なことじゃないよね」

「ふふっ、そうですね。ようやく信じられます、人も私も」

「それは何より」

女の子はバタバタと音をたてて走りながら他の車両へと飛び移った。男性は、次に来るであろう乗客を待つことにした。

静かに一人の女性が姿を現した。

「少しお時間いいかしら?」

「私は終点までずっと乗っていますよ」

「そう。では遠慮なく話すわ。私ね、仕事をやめたの。仕事しか取り柄も楽しみもないのに。どうしたらいいのかしらね」

「新しい仕事を見つければいいでしょう。あなたみたいな人をすぐに新しい職に就くものですよ」

「見つけたくない、のかもしれないわ」

「また、どうして」

「怖いのか、それともプライドなのか、依存なのか、わからないけどそんなところよ。前の職場が、いえ、仕事が良かったわ」

「同種の仕事につきたい、とかですか?」

「かもしれない。けど、もうやりたくないのかもしれない」

「わがままですね」

「そうね、今だから言えるわ。上司も誰もいない今だから」

「やっぱり、あれですね。運命ですね」

「……、そうね。やっぱり、そうよね」

「薄々勘付いてたんですか?」

「ええ。でも、来るのかしらと不安になるわ」

「来るんじゃないですかね」

「そうね。気にしても来るものじゃないもの」

「そうですね。私もそんな力があるなら欲しいくらいです」

「持っているかもしれないわ、あなたなら」

「……、だといいのですが」

「あら、こんな時間。運命に出会うためにちょっと出かけて来ようかしら」

「まあ、ご自由に」

「ありがとう」

女性はまた静かに去っていった。男性は意味もなく時計を見てため息を付いた。

随分と時間が経ったように感じた。男性は少しウトウトしている。そこにオドオドしながら女の子が入ってきた。

「あ、あのぉ……」

「あ、ああ、ごめん。次の駅についての質問かな?」

「いいえ。その……、聞いて欲しいことが……」

「ん、なんだい?」

「その……、人前に出るのが怖くて仕方ないんですけど……」

「じゃあ、出なきゃいいじゃないか。という話でもなさそうだね」

「はい……、もりくぼは人前に出るのが苦手なのに……」

「それなのに出そうとする誰かがいるわけだ」

「ううっ……、わかってくれますか?」

「ああ。で、君はどうしたいんだい?」

「もりくぼは静かに暮したいです。それだけなんです」

「でも、今まで得てきたものを否定できない。そうだろう」

「……、私はそんなことまで言ってないのにどうして」

「いや、そうでも無ければ私に話す理由もないかなぁ、って」

「やっぱり、もりくぼはイヂメられるんでしょうか?」

「うーん、君が得たものを否定しない限り無理だよ」

「ひどいです。もりくぼにそんなことできないって分かってるくせに……」

「でも、それ以外答えはないと思うよ」

「……、でも、私はあなたに会えて良かったです。真面目に話が聞いてもらえて。こんなこと無かったから」

「また、話に来ればいいと思うよ。私はまだここにいるしね」

「ありがとうございます。もりくぼは少しだけ強く生きていけそうです」

「そう。じゃあ、また。何かが嫌になったらおいで」

女の子はオドオドすることなく、そのまま去っていった。男性は駅の表示を確認する。終点は池袋らしい。

若い男性が走りながら入ってきた。女性ばかりだったので壮年の男性は彼を呼び止めた。

「なあ、君。そんなに急いでどこに行くんだい?」

「え、そういえば、そうですねえ」

「君は自分が急いでいる理由も知らないのか」

「まあ、なんとなくわかっているような、分かっていないような、そんな感じです」

「うーん。私には分かりかねるがね」

「誰かが待ってるんですよ」

「誰がだい?」

「わかりません」

「そうか……」

「はい」

「でも、私は君を待っていた気がするんだよ」

「はぁ……」

「君はもしかしたら『運命』ってやつかもしれない」

「そうなんでしょうか?」

「たぶん、そうだよ」

「あ、もうこんな時間急がないと!!」

「たぶん、君を待っている女の子がたくさんいる。行ってあげなさい」

「はい」

若い男性は行ってしまった。椅子に深々と座り直すとアナウンスが聞こえた。

次はー、池袋、池袋

終点じゃないか。彼はいそいそ立ち去る準備をした。

一人の白衣を来た少女が入って来た。

「どうも終点の池袋だ」

「……、どういうことかな」

「君は……、そうか、私のことを覚えてなかったな。すまない」

「君は私を知っているのかい?」

「とてもよく知っているよ」

「そうかい」

「君が覚えてないついでだ。話をしよう」

「ああ、いいとも。始めてくれ」

「私はこう見えてもロボとかそういう工学系では天才と呼ばれる身でな」

「そうか、まあ、賢そうには見えるかな」

「小賢しい、の間違いだろう。おっと、続けよう。そういう身分にあったにも関わらずだ。私はどうしてもたどり着けないところがあった。それは……」

「人間の心、かい?」

「なんだ、わかっているじゃないか。君は文系かい?」

「ああ、多分ね」

「それでだ。人と人との交わりをな、やろうとしてもうまくいかないのだよ」

「どうしたらよいか、ってことかな?」

「ああ。教えてくれ」

「たぶん、その必要はないね」

「ん?」

「君は十分にわかっている。二度も同じ話はしないほうがいいだろう」

「……、いや、聞かせてくれ」

「それはね、人と話す。それだけだよ。誰かと話さなきゃ、自分と人、そして自分の心も見えてこない。人と一緒にいるだけでもいいのかもね」

「……、この答えが聞きたかったんだ。ありがとう」

「いや、礼を言われることはしてないさ」

「ああ、そうだ。君はここで『列車から降りる』が気にせず楽にしていてくれたまえ」

「そうかい」

「忘れ物がないかくらいはチェックして欲しいがな」

「ないよ。絶対に」

「そうだな」

そのまま男性は女の子を見送ることなく眠りについた。

「すまないな、社長。黙って実験台にしてしまって」

「本当だよ。死んだらどうするんだ」

「私の発明に限ってそんなことはない」

「で、なにこれ?」

「簡単に言えば、シミュレーターだよ。記憶を一時的に消し、知り合いを初対面にする。ただそれだけの機械だ。もちろん、君も覚えていまい」

「……、そうだね」

「でも、研究データを見ることはできるぞ。どうする?」

「見ても一緒だよ、きっと」

「そうだな」

「失礼します」

「お、まゆに泰葉じゃないか」

「あら、晶葉ちゃんまで。ああ、発明品ですね」

「うむ。自信作だ」

「で、何しにきたんだい」

「ちょっと、遊びに来ました。と言ったら変でしょうか?」

「いや、別に?人を勝手に実験台にするやつもいるしな」

「おいおい。あんまり責めないでくれ。こうするしか方法がなかったんだ」

「うふっ、少し座っていいですか」

「ああ。そのリボンは私があげたやつかな?」

「ええ、紅のリボンですよ」

「まだ残ってたんだなあ」

「私にも何かくださいよ」

「泰葉、そんなことをいわれてもなぁ。ここには茶菓子と少し渋いお茶しかないよ」

「ふふっ、それでいいです」

「じゃあ、社長が直々に入れてあげよう」

「助けてください、社長!!プロデューサーがもりくぼをいじめるんです」

「乃々、仕事だぞー。社長室に逃げ込むなよ」

「むーりぃー」

「おいおい。焦りすぎだよ。一服する時間くらいあるだろう。飲んでいかないかい。まゆも泰葉もいるしさ」

「でも、時子さんと留美さんを待たせてるんで」

「二人共呼んできなさい。用意しておくから」

「はぁ……」

「呼ばれるまでもなくいるわ」

「時子さん。あまりPくんを困らせないの」

「留美さんは豚に甘すぎなのよ」

「茶菓子はいるかい?」

「私はコーヒー」

「なら、私も同じのにしようかしら」

「はいはい」

ゆったりと時間が過ぎていく。もし、何もかもが違ったら彼らは巡り会えたのだろうか。あの列車はもう走ることはないだろうし、誰も乗せないだろう。でも、今、この時間という列車にも似た何かはゆっくりと彼らを乗せて走っていくに違いない。   おわり

久々に真面目なの書いたら途中で疲れて投げっぱになってしまいした。許してください。なんでもしますから。

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