男「ねぇねぇ」 女「なになに」(34)

男「月がキレイだねぇ」

女「そーだねぇ」

男「なんか月見してるみたいだ」

女「そんな季節じゃないよー」

男「そうだねー」

男「でも何か食べたくなってきた」

女「ならなんか作ろっか?」

男「助かります」

女「おはよぉ」

男「んぅ~おはよぉ」

女「あははっ、寝癖ついてるー」

男「ほんと?」

女「ほんと」

女「寝起きの顔かわいいー」

男「照れるよ」

男「あ、キミもついてる寝癖」

女「ほんと?」

男「ほんと」

女「へへへ」

男「かわいいー」

女「照れるよ」

女「朝食できてるよ」

男「助かります」

男「暑いなぁ~」

女「そうですなぁ~」

男「扇風機ついてる?」

女「扇風機ついてる」

男「うそー全然風こない」

女「わたくしが独占しているからーアァー」

男「こいつーこっちにもかぜー」

女「じゃあこっちに来てよ」

男「わかった」

女「えいっ」ガバッ

男「ちょっとー暑いよー」

女「暑いですなぁ~でも幸せぇ~」

男「ぼくもー、でも暑ーい」

女「なら、お昼はそうめんにしようか、用意してくるよ」

男「助かります」

男「トランプしよう」

女「2人で?」

男「2人で」

女「何する?」

男「ババ抜き」

女「2人で?」

男「2人で」

女「いいよ」

女「やっぱ2人じゃつまんない」

女「キミ弱いし」

男「うぅ…次こそは…」

女「まだやる?」

男「いや、次はオセロをしよう」

女「いいよ」

女「くそぉ…負けるなんて思ってなかった」

男「ふふふ、思い知ったか、私の実力を」

女「いいよーだ、ババ抜き勝ったから」

男「あら、すねちゃった?」

女「すねてない」

男「すねてる」

女「…もうっ」

男「ふふ、かわいー」

女「かわいくなーい」

男「かわいい」

女「もうやめてー」

男「ごめん、ごめんからかい過ぎちゃった」

女「許さん」

男「えー」

女「ギュッてしてくれたら許す」
男「えー」

女「…むぅ…」プイッ

ギュッ

女「わわっ、もうっ」

男「ふふ、やっぱりかわいー」

女「ふんっ」

女「仕方ない、許してやるか」

男「助かります」

男「もう7時なのにまだ明るいねぇー」

女「そーだねー」

男「このまま夜がこなかったらいいのに」

女「そーだねー」

女「でも夜は誰にだってくるよ」

女「望んでいなくとも」

男「残酷だなぁ」

女「でも朝だって誰にだってくるよ」

女「望んでいなくとも」

男「朝を望まないか…」

男「それは、悲しいな」

女「うん」

女「夜ごはん、作ってくるね」

男「待って」

男「夜ごはんいらない」

男「だから、もっといっぱい一緒に居よ」

女「わかった」

男「ねぇもう1日だけってのはダメなの?」

女「うん、ダメ」

女「これでも延長したんだから」

男「そっか、そうだよね」

女「うん」

男「……」

女「……」

男「今日も、月がキレイだねぇ」
女「うん」

女「昨日よりは少し欠けてしまったけど」

男「本当にキレイなものは欠点があるからキレイなんだろうな」

男「いつか、なくなっちゃうから、貴重で、キレイなんだ」

女「……」

男「キレイだ…」

男「手、握るね」

女「うん」

ギュッ

男「白くてやわらかい手」

男「死人みたい」

女「……」

男「…震えてる、怖い?」

女「少し」

男「大丈夫」

男「ぼくがいるから」

男「泣かないで」

男「ぼくも悲しいけど」

男「最後は涙見せないで、ね」

女「…うん」

男「キミの作る料理おいしかった」

女「うん」

男「キミはババ抜きが強い」

女「うん」

男「オセロはぼくの方が強いけどね」

女「うん」

男「キミの声が好きだ」

女「うん」

男「キミのこの小さな手が好きだ」

女「うん」

男「キミの…キミが…」

男「キミのことを愛してる」

女「」

男「あぁ、もう行っちゃったか」

男「…月がキレイだねぇ」

男「…ありがとう」

男「それじゃあ、もう思いっきり泣くね」




おわり

見てくださってありがとうございますm(__)m


この話は後日談です(^^)


自分の気持ち的に書いているので続き遅くなるかもしれませんがお付き合いくださいm(__)m

夢だとわかっている


……だが、頬をつたるこの冷たくもあたたかい感触はなんだろうか彼女に触れたい
重い腕を少し上げて彼女に触れようとした


触れた、しかし触れなかった

確かに視覚的にはぼくの手は彼女の頬と接触していた
しかし、彼女のあの柔らかく、なめらかな頬の感触はぼくの脳に伝わってこなかった

キミはゆるしてくれるだろうか


泣いた、泣いた、泣いた


いままでプロジェクターで投影された静画のような彼女が腰をあげた
そして、口を開いた

女「あははっ、寝癖ついてるー」


あぁ、ありがとう
ごめんね、がまん強くないぼくで
すぐにキミに会いたくなってしまった


彼女の頬を触れている感触が
手先から通じて脳に到達した


柔らかい
なめらか
白い
あたたかい
キレイだ


もう離さない
美しさは欠けてはいけなかったんだ




ホントにおわり

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