アンドロイド「こんちはーっ」女「は?」 (24)

アンドロイド「……あれ?挨拶したら挨拶が返ってこなきゃおかしいのにな……」

女「なんだお前、何しにきた。っていうか部屋に鍵かかってたのに」

アンドロイド「ん?鍵?あんなの鍵って言わないよ。ボクにかかればね!」

女「………」

女「出てけ」

アンドロイド「え?」

女「出てけってんだよ!なんだポンコツなんて寄越しやがって!!」ブン

アンドロイド「わーっ!物投げないで!!凄い!凄い飛んでくる!!」ヒョイヒョイ

女「私は何されようが知らない!放っといて!」

アンドロイド「あー……放っとくわけにもいかないんだよね。ボクはあなたのために造られたから」

女「は?」

アンドロイド「ボクはあなたを一人の女性として、ばっちり更正させるために来ました!」

女「余計なお世話だ!」

アンドロイド「ボクの事は簡単にアンドロ、とでも呼んでね。あ、これはただの略称なんだけど……」

女「うるさいうるさい!!ポンコツ!あっち行け!!」

アンドロイド「ポンコツじゃなくて結構ハイテクだよ。他の製品より遥かに高性能だし」キュイングオン

女「おい……何するつもりだ……」

アンドロイド「とりあえず掃除しちゃうねっ。大丈夫大丈夫、パパッと終わらせるから!」ガガガガガ

女「あっ、やめ……あー!!ちょっと……きゃああああああ!!!」

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アンドロイド「完了!」スッキリ

女「てめー……」

アンドロイド「お、怒らないでよ……仕方がないじゃん、そうするようになってるんだから……」

女「……はぁ……もういい。ただもう出てって」

アンドロイド「それはできないよ!ボクはあなたと一緒にいるようになってるから」

女「……大体さ、うちにはお前を買う金なんてないのに……どこの悪徳商法のポンコツだ?」ゲシ

アンドロイド「あっ、痛い!蹴らないで!!」

女「はいはい、痛いって思うようにプログラムされてても、実際ダメージなんてこれっぽっちもないんだから気にすんな」

アンドロイド「うう……ヒドいよ……」

女「で?」

アンドロイド「あ、えと……ボクはこの家に、実験の最終調整のために配備されましたっ」

女「実験?」

アンドロイド「うん!ボクは人の心の環境を整えるシステムを搭載してて、今後人のケアに役立つかどうか実験中なんだ!」

女「役立たずじゃん。私、今ストレスがすっごいたまってる」

アンドロイド「え、ウソ……えと、どうすればいいんだろ……肩でも揉む?」

女「アンタが出てけばいいんだよ!触ろうとすんな変態!」

アンドロイド「わっ、蹴らないで!あっグーも駄目!!痛いのはイヤだっ」

女「………」

アンドロイド「ふぅ……落ち着いた……それでね、実験だから無料……どころか報酬もこの家に入るようになってるんだよ」

女「つまり実験のアルバイトか。お父さんもお母さんも、何か言ってくれればいいのに……」

アンドロイド「それで、ボクはあなたの事、なんて呼べばいい?」

女「……知るか」

アンドロイド「お姉さん?姉ちゃん?ご主人様?マスター?女王?主?」

女「あーもーうっさい!!勝手にすればいいじゃん!」

アンドロイド「むー……」

女「はぁ……疲れた」

アンドロイド「じゃあ!じゃあ!ボクの事はなんて呼んでくれる?」

女「はぁ?……ちょっと後ろ向いて」

アンドロイド「あいっ!」クル

女(個体番号は……T.PUPA-WCNE-04……蛹……引きこもりを外に出そうって意味?)

女(ムカつく……悪意あり過ぎでしょ、開発者)

アンドロイド「決まった?決まった?」

女「ポコ太」

アンドロイド「へ?」

女「ポンコツだから、ポコ太」

アンドロイド「ヒドいよ!個体番号でもっとカッコいいの思いついたでしょ!?それにボクは他の製品よりも圧倒的ハイスペックで……」

女「ピュー四郎」

アンドロイド「……………」

女「ピュー四郎」

アンドロイド「もうポコ太でいいよ……」

ポコ太(アンドロイド改めポコ太)「ああ……プログラムされちゃった……もっとカッコいい名前が良かったのに」

女「所詮実験でここにいるだけだし、すぐに違う名前になれるんじゃない?」

ポコ太「そうでもないんだよ。実験が終わった後も、ボクはここで生活する事になるんだし」

女「は?実験終わったら消えるんじゃないの?」

ポコ太「消えるってヒドいなー。そのままこの家の所有物にになるんだよ」

女「……最悪」

ポコ太「でしょ?だから名前が変えられな……」

女「そうじゃない。アンタみたいな人外と一緒に生活しなきゃいけないなんて、反吐がでるわ」

ポコ太「はは……ヒドいなぁ」

女「……」プイ

ポコ太「ボクはいつでもあなたの傍にいるからね」

女「あっそ」

女(このチビアンドロイド……面倒くさい。そもそも更正目的って………)

女(お父さんも、お母さんも、とうとう愛想尽かしてこんな機械に頼ってまで……そんなことするぐらいならさっさと捨てればいいのに)

女「ジュース」

ポコ太「はいはいっ!ジュースだね、姉さん!」

女「……姉さんって……まあいいや、勝手にして」

ポコ太「今作るからちょっと待ってて」

女「作るってアンタ……」

ポコ太「よっ、ほっ」ギガガ カシャコン

女「な、何それ……」

ポコ太「飲料水の積載スペースも完備してるからね。出てくる所は変形した手の部分だけど、人間と違って雑菌とかはいないから大丈夫!」

女「直接飲めるわけないでしょ」

ポコ太「あ、そっか!」メキメキメキ

女(ゴミのペットボトルを違う方の手で粉砕……うわぁ、巻き込まれてグチャグチャ)

女(つーか危なすぎ)

ポコ太「で、これを……こう成形して……」ピキキ

ポコ太「はいっ」

女「……」

女(うっとおしいから少しでも離せるようにジュース買ってこいって意味で言ったのに、なんでこの場で全部用意できるのよ……)

女「ポンコツの作ったジュースなんて飲めないし、もうあっち行って」

ポコ太「……うう……」ウワメズカイ

女「人間の真似事しても無駄だから」

ポコ太「むむ、アンドロイドの日々進歩してて、より人間に近くなれるようになってるんだからね!」

女「はいはい、所詮アンタは機械でしょ。どれだけ進歩しても、私の気持ちなんて分かるわけない」

ポコ太「分かるよ!!」

女「じゃあ、私が今なんて思ってるか分かる?」

ポコ太「……うーん…………寂しい?」

女「なっ……」カァ

女「……さ、さっきも言ったようにうっとおしいから出てけって思ってるんだよ!消えろ!」ゲシ

女「はぁ」

女(何もする気が起きないまま、ただずっとぼーっと過ごすだけ)

女(生きてるのか死んでるのか、どっちだっていいような状態)

女(もう何もかもが面倒くさい)

女(どうしてこんな気持ちにならなきゃいけないんだろ……)

女(生きるって、生き物なら普通で正しい事なのに面倒くさく思っちゃうようじゃ、とんだ欠陥だよ)

ガチャ

女「!……アンタねぇ!入ってくんなって……」

ポコ太「姉さん外出です!!お買い物に行きましょう!!」

女「…………何その格好」

ポコ太「何って……外出用の服だよ?カッコいい?」

女「男型アンドロイドなのにどうしてそんなフリフリしてるんだっての、頭おかしいんじゃない?」

ポコ太「え?」

女「ミニスカだし………機械の下着とか誰が得すんの」ペラ

ポコ太「違うよ!ちゃんと見えないようなズボンだし!」

女「……それでもキュロットは違うでしょ」

ポコ太「家にある服で、サイズの合うものを検索したから間違いはないよ!だってボクは高性能だからね!」

女「つーか、これ私の服じゃん」

ポコ太「え?」

女「私の服だって言ったの!どっから出してきたのよこんなの!」

ポコ太「いや、なんか押し入れの奥の方に……」

女「とりあえず脱げ!」グイグイ

ポコ太「あっ、やめて!裸なんて恥ずかしいよ!」

女「テメー最初から裸だったじゃんか!」

ポコ太「あれは外殻を変形させた装甲みたいなやつで、裸じゃないもん!」

女「人間様からしたら裸も同然なんだよ!とりあえず脱げ!」

ポコ太「ちょっ、ほんとにやめ……やだー!ボク今脱がされたらツルツルしててカッコ悪いもん!」バタバタ



ポコ太「………うう……」ツルーン

女「さっきの装甲使えばいいじゃん。ほら、さっさと元の姿に戻りな」

ポコ太「テレビでも色々見たけど、ボクみたいな格好で歩いてる人なんていないよ……」

女「だからって女物の服着るのもおかしいっての。……ちょっと待ってな」ガチャ

ポコ太「…………」

ポコ太「女物の服とかあるんだ……。そういう知識とかも普通に入れといてくれればいいのに」

ポコ太「別に必要ないからって、削除することないじゃんか」

ポコ太(おかげで姉さんの目の前で恥じかいた……)

ガチャ

女「ほら」バサ

ポコ太「わっ」

女「ハーフパンツとシャツだけど、とりあえずこれなら何も問題ないと思う。男型ならシャキッと男らしくしな」

ポコ太「おおお……これが男っぽい服装!」

女「男っぽいかどうかは知らないけど、さっきよりはマシ」

ポコ太「早速着替えます!」

女(……何手を焼いてるんだか、私)

ポコ太「じゃん!」

女「ふぁーあ……ねむ」ゴロ

ポコ太「あれ?見て見て!ねー!」

女「うっさい」

ポコ太「何寝てるの!今日はお買い物に行くんだよ?」

女「はいはい、一人で行ってきな」

ポコ太「それじゃ意味ないよ」

女「別に、何も買うつもりもないし、もし買うならネットで済むし」

ポコ太「そのまま寝てても体に悪いよ」

女「人間について何も知らない癖に知った口聞くな」

ポコ太「知ってるし!部屋に籠ったままお日様の光を浴びないと病気になったり、運動不足で筋力が落ちて代謝が降りたりする!」

女「ホントに高性能なのか分かんないね、アンタ。今時部屋の中でもある程度日光を浴びるのと同じ効果が得られるように照明も進化してるし、運動もできるようになってるんだよ」

ポコ太「え?」

女「今時、外を出歩く人間なんていないっつの。仕事も、学校も、買い物も、すべて家の中でできるしもう外に出る必要はなくなったし」

ポコ太「い、いやいやいや……ボクがここに来るときは……」

女「外を歩いてるのは全部そういう機械だよ。もう、外に人間なんているのか分からない」

ポコ太「あ、お父様やお母様だって、外出してるじゃないか!」

女「…………二人は古い人間だから」

ポコ太「ほら!外には人だって歩いてる!」

女「あーあーあー面倒くさい。なんて言われても私は外に出ない」

ポコ太「むむー」

女「…………」

ポコ太「………」

女「………」

ポコ太「いや!このままじゃ駄目だ!!」

女「あーもうやっと静かになったと思ったのに!」

ポコ太「外に出よう!!」

女「全部の人間は家の中で管理されてるのが一番なのが分かんないかな」

ポコ太「せっかく生身の身体なのにもったいないじゃん。この世界はとっても素敵だよ」

女「死にたくないもん」

ポコ太「は?」

女「下手に外に出ると死ぬの」

女「もう安全で、綺麗な自然な外の世界なんてどこにもない。全部造られた偽物」

ポコ太「そりゃちょっと整備されてるような感じはしたけど……」

女「だからそんな所で生活したら、本当の自然を知ってる私が死ぬの。分かった?」

ポコ太「うん………全っ然分かんないや」

女「ま、分からなくてもいいわ。とにかく、私は機械の言うままに動いたりしないから」

ポコ太「強情だね!」

女「融通が効かない機械の方がよっぽど強情だっつの」

ポコ太「いいでしょう……それでは意地でも外に出します!」

女「機械が人間に手を出してもいいと思ってるの?通報しちゃえばアンタなんてスクラップだから!」

ポコ太「大丈夫!姉さんには何もしないよ。外に出せないなら、外にしちゃえば解決解決!」ガシャコン ギシン

女「は?……え?ちょ………」

ポコ太「指向性衝撃砲、システム異常なし」

ポコ太「あ、姉さん、布団被らないと危ないかもしれ」

チュドン バラバラ

女「…………」

ポコ太「ふぅ……うんうん、調整も上手くいったね。流石ボク!」フンス

女「……っふっざけんな!!」バキ

ポコ太「あ、痛い!」メキャ

女「家破壊するとか中身イカれてるんじゃないの!?ポンコツ!!」ゴト

女「」

ポコ太「あ、右腕外れちゃった」ボタボタ

ポコ太「わっわっ、液体が!えと、えーと……とりあえず右腕の循環止めて……」

女「………何やってんの、ホント……」

ポコ太「まさかこんなに華奢だったとは思わなかったよ!」

女「もうどうでも良くなってきた……あーもーどうすんの、コレ」

ポコ太「あの……申し訳ないんだけど、一緒にパーツ買いに行ってもらえないかな……」

女「誰が行くか!!家もこんなにしたアンタなんてそのまま回収されちゃえ!」

ポコ太「お願いだよー!アンドロイドだけじゃパーツ買えないし……管理者がいないと……」

女「アンタ作った会社にでも行けば?大体私はアンタの管理者なんかじゃ……」

ポコ太「証明書だよ!!お父様お母様の証印もバッチリ!!」ビコン

女「………あー……あーもー…………」

女(照明が眩しい……いつ以来だろう、日照時間中に外に出たのは)

ポコ太「~♪」

女(本当に何もかも変わってしまった。人間に有害になるものは全部遠ざけて、必要な自然の循環はすべて機械化)

女(ホント、面白くもない)

ポコ太「次の信号を右だね!」

女「この町に住んでるんだから修理屋の場所ぐらい分かってる。だから黙ってて」

ポコ太「連れないなぁ。ボクだって会話とか、そういうの楽しみたいのに」

女「そういうのはどっかの給電所でも行ってポンコツ同士でやってろ」

ポコ太「もう……」

女「着いたよ」

ポコ太「おおお~!ここが修理屋さん!」

女(お父さんの知り合いの人がやってるお店。よくここで遊んだっけ……)

女「…………」

ポコ太「姉さん姉さん!!早く入ろうよ」

女「うっさい」



店主「いらっしゃい。……んん?おお!女ちゃんじゃねーか!」

女「……ども」

店主「久々だなぁ……アレ以来全く見なかったから心配してたぜ」

女「……………」

店主「おっと、スマンかった。で、今日は何のようだい?」

女「このポンコツの修理」

ポコ太「どうも!アンドロイドのポコ太です!もっとカッコいい名前がよかったです!」

店主「おおー、見ねぇ型だな。とうとう女ちゃんもアンドロイド使えるまで復活か!」

女「そういうの、いいですから」ジロ

店主「おーっと……また派手にいってるな。取れた腕はあるかい?」

ポコ太「あります!」

店主「ふんふん、元気のいいヤツ入れてるな。いつだったか、弟連れてきた時みてーだなぁ」

女「…………」

店主「じゃ、ちょっと待っててくれ。俺様にかかればパパッと終わるからよ!ほら行くぞ坊主」

ポコ太「はいはーいっ!姉さん、行ってくるね」

女「直らなかったら廃棄でいいんで」

店主「なはは……ヒドいな女ちゃん」

女「……はぁ」

女(いつも裏口からこっそり入って、勝手に色々いじって、怒られてたなぁ)

女(危ない物は手の届かない所に片付けてあったり、そういう気は遣えるのに結構うっかりしてる所がたまに傷だけどね)

女(不格好だけど、小さなロボット組み立てた時は褒めてくれたっけ……)

女(いつからか、機械いじりが私の趣味になって……それで……いや、もう考えるのはやめにしとこう)

店主「……女ちゃん」ガチャ

女「あ、はい」

店主「あの子、どこで買った?」

女「いや……私が知らない間に親が……」

店主「そうか。いや、悪いが店としてはあの子は直せない」

女「は?」

店主「最先端っちゃあ最先端だが、腕を直すのは問題ないんだ。ただ……」

女「ただ?」

店主「思考を司るパーツがない。つまり心がないってことだな」

女「機械に心なんて元々ないじゃないですか」

店主「いや、人間の心と同等のシステムができたからこそ、アンドロイドは世の中に浸透してるんだ」

店主「善良な心。人間以上の力を持ちながら、力に溺れず正しい事のみを選択する心」

女「馬鹿馬鹿しい。ただ規制かけてるだけじゃん」

店主「人工知能はすばらしい発明だからな。いつか規制を解除するコードを自分で見つけちまう」

店主「人間よりも知的欲求がすさまじいんだ、皮肉だけどな」

女「それで?なんで腕がくっつけられないんですか?」

店主「制御する心のないアンドロイドは、悪用されかねない」

女「……犯罪に使おうって言うんですか?私が」

店主「いやー、そうは言ってないけどよ……法で決まってんだ。制御する心のないアンドロイドを修理した場合は~とかいう」

女「それじゃあもう廃棄でいいですよ。私も機械はもうこりごりなんで」

店主「でもよ、さっきの受け答えとか表情で判断すると、どうも自分で思考してるみたいで、単純な機械らしさがねえんだ」

女「回りくどいですね」

店主「スマン、性分なんでな。普通は頭に運動、計算、思考の三つのパーツがあるんだが、あの子には運動と計算の二つしかない。それだとどうしてもおかしくってな……」

店主「とにかく、規定の組み方してないアンドロイドは直せない。ま、その代わりと言っちゃあなんだが、工具は貸してやるからよ」

女「は?」

店主「大丈夫大丈夫、腕くっつけるぐらい女ちゃんならできるって」

女「できるとかできないとかじゃなくて、どうして私がそんな事……」

店主「欠損してる子は可哀想で見てられねえんだ、直してやってくれ。頼む」

女「……………」

店主「次の週末また来てくれ。その時に詳しくあの子の検査するからよ」

女「……はぁ……」

店主「気になる点がいくつかあるし、な」

女「はいはい、分かりました」

女「はぁ………」

ポコ太「………」

女(起きない間に直してやらないとちょっと面倒だぞ、とか言ってたけど……私が電源入れなきゃいい話じゃん)

女(仕方がない、ちょっと行程が書いてある紙だけ読んで、明日にでもやろう)ペラ

女「…………」

女(休眠状態から八時間で起動を開始するため……?)

女(うっわ、面倒くさい。自動起動システム入れてんのかよ。ダルいなぁ)

女「あーあ……ため息しかでないわ」

女(なんで私がこんな事)

女「…………」ガチャ

女(肩の根元からは壊れてないから、まずは液体循環用のチューブを取り替えて、ちぎれたチューブは取り除く)ギチギチ

女(腕を開いて、正しい位置に収めて……)

女(あーもー………部品多すぎるから番号ふってメモしとかないと後々面倒じゃん……クソ)ガチャガチャ





女「結局朝までかかりやがった……」ゲンナリ

女(もう寝てやる。うう……隙間風が身に染みる……)ドサ

ポコ太「………」

女(ああ、すっごくいい気分で眠れそう。久々に動いたし、程よい眠気が……)

ポコ太「起動」ピピピ パチ

女「………」

ポコ太「うううん…ぐっすりだったー……」ムニャムニャ

ポコ太「あれ?あ……右腕、直ってる!!」ブンブン

ポコ太「すっごくいい感じ!!前よりもスムーズに動いてるかも!!」

女「………」

ポコ太「んん?姉さん!!朝だよ!起きて!!!いつまでも寝てちゃダメだよ!!」ユッサユッサ

女「」プチ

女「うっせぇえ!!静かに眠らせろタコ!!テメェは昨日空けた穴の修理しやがれ!!」ガン

ポコ太「痛い!」

女「こっちは寒くてマトモに寝られそうにねぇのによ!なんでもかんでも私に関わんな!」バキ

ポコ太「痛い痛い!!ごめんなさい!直します、直しますぅ!!!」

女「寝る!だから静かにしてろ!」バサ

ポコ太「…………」

ポコ太「…ふぅ……」

ポコ太(姉さん、隈ヒドかったな……ボクが穴開けちゃったから寒くて寝られなかったんだ……)

ポコ太(ここはキチンと責任をとって直さなきゃ!!)

ガガガガガ

女「おいポンコツ」ガシ

ポコ太「ひゃ、ひゃい」

女「静かにやらないとバラすから」

女「…………」モグモグ

ポコ太「………」

TV「ホンジツソウチョウ、オオクノアンドロイドガハカイサレルジアンガ……」

女「………」ガチャ カタン

ポコ太「姉さん、食器部屋の外に置いてどうするの?」

女「どうするもこうするも、これでいいの」

ポコ太「だって片付けとか……」

女「後は勝手にやってくれるし、どうでもいい」

ポコ太「ふーん」

女「……寝るわ」

ポコ太「またぁ?動こうよ!」

女「寝起きだし、動きたくないの」

ポコ太「どうしてそうやって外に出たり、誰かと離したりしようとしないの?」

女「面倒だし、アンタには関係ないわ」

ポコ太「ボクはこうやって動けてるだけで、色々な事知りたくなってくるのにな」

女「だったらどこへでも行けばいいんじゃない?一緒にいても私の考えは変わらない」

ポコ太「どうしてそんな風に周りの事を嫌うの?」

女「知るか、タコ」バサ

ポコ太「…………」

女「…………」

ポコ太(はぁ……これからどうしよう。姉さんを更正させるために頑張るって、ボクには難しすぎるよ)

ポコ太(このままじゃ、ボクはこのまま出来損ないってことで、研究所に帰ったら処分されちゃうのかな)

女「…………」スースー

ポコ太(ほんの少し、ご飯食べるだけで後は全部残して、寝てしまう)

ポコ太(顔色も良くないし……このままじゃ……)ピピピピピ

ポコ太「」

ポコ太「T.PUPA-WCNE-04メインシステム起動します」

ポコ太「…………」

ポコ太「姉ちゃん、僕……」ピピ

ポコ太「これより索敵開始、対象を発見次第殲滅行動に移ります。キケン、キケン、人間は避難してください」

ポコ太「………」

女「………」スースー



警備ロボ1「今日の案件、覚えてるな?」

警備ロボ2「そりゃ当然よ、人間じゃああるまいし」

警備ロボ1「人間様を貶めるような発言は控えろ。綺麗さっぱりデータ消されて置物になりたいか?」

警備ロボ2「おお、怖い」

警備ロボ1「何者かがアンドロイドを壊して回ってる。装備は人間には扱えない物を使ってる」

警備ロボ2「おほー、同族が同族を壊して回るってのは恐ろしい事だねぇ」

警備ロボ1「…………」

警備ロボ2「最近流行のグループなんだけどさぁ、もう少しメタリックな感じでもいいと思うんだよねぇ」

警備ロボ1「つけられてるな……」

警備ロボ2「あ、分かります?」

警備ロボ1「知ってたのか」

警備ロボ2「俺の方がスペック上だし」

警備ロボ1「ま、行動を起こさない限り、俺たちは規制が入ってて何もできない」

警備ロボ2「あら、お堅い。俺たち世代じゃ疑いをかけてる時点で行ける」

警備ロボ1「………はぁ、なんと言うか、先代機ってだけで虚しいな」

警備ロボ2「行くか?」

警備ロボ1「任せる」

警備ロボ2「………そこのお前、武装解除して地面に伏せろ」クル

「…………」

警備ロボ2「音の入力部品が壊れてんのか?アンドロイド」

「…………」ガチャ

警備ロボ1「………聞く耳持たず、か。俺の方の規制は解けた。行けるぞ」

「………」ズダン

警備ロボ2「反応しないアンタが悪いんだからな」シュウウウ

「…………敵対、排除」ブシュ ボタボタ

警備ロボ1「来るぞ……」バキャ

警備ロボ1「」

警備ロボ2「あ、頭が吹っ飛んで………テメェッ!」ガシャコン

「…………」ピキン

警備ロボ2「く…………ID不一致?武装展開失敗?こりゃあ酷い」カチカチ

「………」ガギギ

警備ロボ2「随分と酷い兵器を造ってくれたもんだ」バキ

警備ロボ2「」

「………ノルマ、後三十七機。早くしなきゃ」

_______________________

女「男ー、準備できたー?」

男「待ってよ姉ちゃん。忘れ物がないかしっかり確認しないと」

女「心配性だなぁ。人は忘れる生き物だから気にしない気にしない」

男「そういうガサツな所、直した方がいいよ」

女「几帳面すぎて余計な物を溜め込みすぎるのもどうかと思うけどね」ギュ

男「あのー、準備できないんだけど……」

女「準備ばっかで、私の事ほったらかしなのが悪いんです」

男「後々困って、ほったらかしにする方が嫌だし」

女「………」

男「?」

女「もう準備なんていいから学校行くよ、バーカ」

男「あ、ちょっと待って……まだ……」

女「お天道様はいつまでも昇っててくれないぞー」グイグイ

男「あー、あー……もう……」

女「男といる大事な時間。少しも無駄にしたくはないのだ」

男「うん……ありがと」

女「行くぞちびっ子!今日は抱っこして学校まで連れて行ってやろう」

男「ちびっ子呼ばわりはそろそろやめて欲しいかな。僕だって姉ちゃんと同い年だし」

女「そういう小動物的な感じがたまらない!」ダキッ

男「……む……むね……」

女「んんー?」

男「なんでもないです」ムスー

女「可愛いなぁ、このこのー!」

男「可愛いのはどっちだバーカ!」

女「男!」

男「姉ちゃんの方が可愛いし……」ボソ

女「う……く、ほらほら!学校行くぞー!」カァ

男「ほらみろ、赤くなった」

女「なってない!私はカッコいい!」

男「はいはい」

_______________________

_______________

女「何あれ?」

男「ん?」

女「煙が上がってる。ほら、学校の方」

男「ホントだ。火事?」

女「学校燃えてないかなー」

男「不謹慎だよ、姉ちゃん」

女「ま、燃えてても消火アンドロイドが向かってるみたいだし、どうせ学校はあるんだけどねー」

男「そうだね。ほら、行こう」ギュ

女「手、繋いじゃうんだ」

男「フラフラどこかに行っちゃいそうだもん」

女「どこかに行く前にずっと離さないようにしてないとダメだからね!」

男「分かってるよ」

女「ふふん」

ピーピピーピピピーピピー

「………」ガシャン

女「へ?」

男「危ない!!」グイッ

「熱い……脳みそが焼けそうだ……冷却装置はどうした。私の頭の中は今、どうなってる……」ギコギコギコ

男「走って!!」ダッ

女「わ、うわわ……」ダッ

「逃亡者発見逃亡者発見……アンドロイドは排除……………熱いぃ……」

武装アンドロイド「見つけたぞ!最近同士を壊して回ってる化け物め!」

「一匹ぃいいい!!!」

武装アンドロイド「ピギッ」ゴシャン

「熱い……あれ?人間?んん?ちがうちがう、これはアンドロイドだ……うん……」キュイン

男「やっば……!追ってくる」

女「なになになんなの!?」

男「姉ちゃん先に逃げて!僕が囮になってヤツを巻く!」バッ

女「な、何言ってんの!?イカれたアンドロイド相手に人間が敵うわけ……」クル

男「」プシ

ゴト

女「ひ………っあ………」

「熱い……熱いよぉ………あアアああ……身体……動かない……」

女「いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

_____________________

女「……………」パチ

女「………ろくでもない……」

ポコ太「…………」

女(全部……メチャメチャだ。……ガラクタの寄せ集め共が)

女「………」カチ カチ

ポコ太「起動」ピピピ

ポコ太「んんー……よく寝たー」ノビー ガシャン

ポコ太「………姉さん」

女「………」チラ

ポコ太「なんか、身体のパーツがボロボロ落ちるんだけど」

女「私が知るかポンコツ」

ポコ太「酷い!酷いよ!自動整備もちゃんとしてて、異常箇所なんてなかったのに!!」ゴト ビキ

女「……はぁ」

ポコ太「うえええええええええん!」

女「一人で直してもらってこい。私はもう付き合う気なんてないから」

ポコ太「歩けません」

女「ふーん……」

ポコ太「あ、ちょ……何?なんでハンマーなんて持ってるの?」

女「直すのが勿体ないし、廃品回収にでも出してやろうかなって」

ポコ太「あ、動く!動きます!!わーっすっげー!動く!自分で行きます」

女「さっさと行け、目障り」

ポコ太「ひゃい……」トボトボ

女「はーあ……」カチ

女(少し前から話題になってるアンドロイド破壊事件)

女(どこの誰か知らないけどどんどんやっちまえ。あんなポンコツども存在する価値なんてないね)

女「………つか」

女「あのクソ野郎そこら中に部品落として行きやがって!」

女(帰ってきたらクソ野郎に自分で始末させよう。面倒面倒)

女「………ふぅ」

ピンポーン

女「…………」

ピンポーン

女「……」

女(あの野郎もう帰ってきやがったの?勝手に入ってこればいいのに)

ガチャン

女(そう、勝手に……あれ?)

ガチャ

男「……」

女「な、な……変態……変質者……」ガタッ

男「違法アンドロイド所持の疑いで強制捜査だ。余計な真似はするなよ」

女「は?アンドロイド?」

男「変態でも変質者でもない。私は警察だ」

小型ロボ「」ウィンウィンウィン

女「うわっ、キモ……つか、なんなの?どういう事?」

男「本日の深夜、武装巡回アンドロイドが多数破壊されてな」

女「それがなんなの?突然すぎて何がなんだか……」

男「この家に、アンドロイドを破壊した個体が出入りしている情報が入った」

小型ロボ「」ワラワラ

男「危険な個体を所持することは法律で禁止されているし、民間用アンドロイドに武装するのは違法改造だ」

女「ぷっ、あはは!あんなポンコツがそんな危ないわけないじゃん」

男「はぁ………」チラ

小型ロボ「パーツ確保、照合中、照合中」

男「まぁいい、改造はしていなくても危険な個体を所持していた事態が罪だ。逮捕する」

女「は?」ガチャン

小型ロボ「照合結果。コ二カ社」

男「…………」

女「ちょっと待てよ、何?おかしくない?」

男「車へ運べ。危険個体は今この家にはいないようだが……周辺の調査を開始してくれ」

小型ロボ「」ワラワラ-

女「うっわキモい!寄んなよ!」

男「妨害行為は余計な罪を増やすだけだぞ、大人しくしろ」

女「待ってよ、全然意味が分かんない……」

男「…………」

小型ロボ「」ウィンウィン

女「おい!!!」バタバタ




ポコ太「マスターの異常を察知、メインシステム起動」ピピピピピピピ

店主「あれ、坊主?女ちゃんに渡す資材……行っちまった……」

男「…………」

女「クッソ、警察だかなんだか知らないけど、ホントムカつく」

男「違法改造したのが君や、ご両親でなければすぐに解放される」

女「してないっつの。だいたいいきなり家に転がり込んできたようなもんだし、あのポンコツ」

女(あのクズのせいで、悪い事ばっか続くわ……)

男「あの製品のモニターをしてる、とか言ったな」

女「成り行きでね」

男「あのアンドロイドにはもう関わらない方がいい。たとえどんな事があっても」

女「もうこの先二度と関わる気なんてないね」

男「君の所のアンドロイドを造った会社……何年か前に事故を起こしてる。暴走事故さ」

女「………へぇ」ピキ

男「あの会社の奴らは気が狂ってるとしか思えない……ふむ、ちょっと昔話をしようか」

女「勝手にすれば?どうせ私はどうしようもないし」

男「俺には昔、妹がいた。彼女は結構優秀でね、人の為になるアンドロイドを造るために、ある企業に就職した」

男「人が永遠に幸せになるにはどうすればいいのか、人が家族として過ごせる時間はどれくらいなのか、世の中に出回っている武装型は必要なのか……そんな事ばかり研究してた」

女「はっ、あんなポンコツに頼る時点でそんなの研究してもムダムダ……」

男「人の形を保つ事ができれば、それは解決する。そして人の形をした偽物はいらない……それがその企業でまとまった、簡単な方針だ」

男「そしてある時、あるアンドロイドが完全に独自の技術で造り上げられた。その時、俺の妹は死んだ」

女「なんだそれ、クッソ唐突じゃねぇか」

男「人を殺してから、死んだんだ」

女「は?」

男「君の弟さんを、殺してからね」

女「……っテメェ……」

男「君の弟さんを殺した張本人の兄なんだ、俺」

女「ふざけてるとぶっ飛ばすぞテメェコラ!!!」ガシッ

男「運転中だから暴れるな。公務執行妨害とかいう、どうでもいい罪も追加されるぞ」

女「クソ……」

男「だが……すまなかった」

女「…………でも待てよ?弟を殺したのは、暴走したアンドロイドで、人間じゃあなかった」

男「そこが奴らの気が狂ってる所だ。老いて、朽ちていく身体は必要ない……それが答えだったらしい」

女「ってことは……人が乗ってるの?」

男「正確には、ここだ」トントン

女「頭?」

男「脳みそだけを入れてるんだ。他の物は全部作り物にして」

女「な……」

男「羽化できない蛹、蝶になるから死んでいく。蛹のまま、永遠に幸せに過ごしていく。殻に閉じこもったまま、ずっと」

男「T.PUPA-WCNE-01……思考コンピューターに人間の脳を使用したアンドロイドの一号機。それが俺の妹の最期の姿だ」

ドガゴォッ 

ポコ太「マスターの姿を確認。救出行動、開始」

男「参った、さっさと署に戻りたかったんだがな……」

女「あ……」

男「どっか掴まってろ!」

女「私……に、逃げる必要ないんじゃ」

男「仕事なんでな、お前を逃がすわけにはいかない」

女「そんな状況じゃないでしょ!!」

男「っ……」グォオオオオオオン

女「ちょっ、わっ」ガクンガクン

ポコ太「…………」ガシ

男(何故ただの寄生主にしか過ぎない人間の危険を察知するんだ?コイツが護衛対象にする必要はどこにもないはずだが……)ギャルルルルルル

小型ロボ「」ワラワラーガガガガガガ

女「うっげ、キモいチビロボ……」

ポコ太「っ!……」ガシャン

男「…………振り落とせたか」

女「………」

ドンッ!!!

女「あの、チビロボ吹っ飛んだんですけど」

男「参った」

ポコ太「シアワセ、それはあらゆる人が望む安息、魂の叫び」カシャコン

男「伏せろ!!」

女「も……おかしいでしょ!?」

ズドッ

ガガッドシャァア

女「きゃああああああああ!!!」

ポコ太「……車両の走行停止を確認、マスターの安全を確保します」カシャ カシャ カシャ

男「く……ぐぅ……」

女「信じらんない、ひっくり返ってんじゃん……」ズル ズル

男「出るな、後は……こちらの戦闘用アンドロイドが始末する」

女「はぁ!?今出なきゃマズいだろ!?」

男「今出た方がマズい」

ポコ太「新たな敵性信号を察知、最優先事項を変更、迎撃に移ります」

ポコ太「…………」クィンガシュン

男「………たかが武装してるぐらいで、戦闘用に勝てると思うな…化け物め」

ポコ太「………」ジー

チュボンッ

ポコ太「」

女「ひっ」

男「ふん、頭を飛ばせば機能停止だ。もういいぞ」

ポコ太「」

女「そんな……また……こんな……」

女「アイツは……死んだの?」

男「多分な。頭さえ吹っ飛ばせば、なんの信号も出せなくなって機能停止だ」

女「……そう」

男「……」ズルズル

女「はー、最悪、すっごい汚れた」

男「悪いな。ほら、手を貸してやる」ス

女「いらねーし、キモい」パシ

男「そうか」

女「………」

男「原因の危険個体の排除も済んだし、少し面倒な手続きだけで解放してやる」

女「はいはい。あー、上から目線ってうぜぇ」

ポコ太「」キシキシキシ

男「少し待ってろ、本部に連絡する」スタスタ

女「……」

男「……戦闘用の引き上げを……ええ、処理しました。それと移送用の車両を手配してもらいたい」スタスタ

女「…………」

女「テメー、死んだのか」

ポコ太「」

女「私の更正の話、なんだったんだよ。ろくに何もしてねーじゃん」

女「結局私の居場所を散らかして、トラウマほじくり返して、ホント使えねー」

女「お前も哀れなヤツだな、こんなガラクタの中に詰め込まれて」

ポコ太「……アワレ………」ビビ

女「!」ビク

ポコ太「ソウナノカモ、シレナイ」ギィ

女「ま……まだ動くの?」

ポコ太「僕ハ、アワレカナ?」ギギギガガ

女「哀れだよポンコツ。おい刑事!コイツまだ動----」ガシ



男「……………やられた」

男「戦闘用の再要請と、足取りを掴むために……クソ、小型はさっきダメにされたか」

男「………」ガチャ

男(頭は飾りみたいなもんか……肝心の脳みそは胴体のどこか……)

男「お前も馬鹿な研究に生きたな」

女「離せよ、タコ」

ポコ太「…………」ス

女「私を抱えて逃げ出せるまで頑丈だとは思わなかったよ」

ポコ太「一応、戦闘時ニハ装甲が強化サレル仕組ミニナッテルカラネ」

ポコ太「ダカラ生活状態ノ時ニハ武装ヲ使ッテ腕ガ壊レタリスル」

女「あっそ、ポンコツだと思ったけど随分とハイテクじゃん」

女「だけど、私を連れてきてこれからどうすんの?」

ポコ太「僕ハ……モウ一度、コウシテ姉チャント話シタカッタ」

女「はぁ?まだ話し足りなかったわけ?」

ポコ太「今マデ話シテタノハプログラムデ、僕ジャナカッタカラ」

女「なるほど、お前は脳みその部分か」

ポコ太「アノ時、死ンデカラズット、ズット会イタカッタ」ギュ

女「やめろ」

ポコ太「?」

女「やめろってんだよ、離せ」バシ

ポコ太「………」

女「脳みそだけになって、どうしようって言うの?」フルフル

女「殺されて、使われて、アンタの気持ちだけ残して私の目の前に現れてどうすんだよ……」ポロ

ポコ太「………」

女「あの刑事に話を聞いて、少し気づいたんだ」

女「あの時の後、葬式で遺体の首がなかった事や、アンタの両親が急に裕福になって消えた事とか、いろいろな疑問があってさ」

女「それが全部繋がって、こんな風になってたのかって」

ポコ太「姉チャンモ、僕二会イタカッタンジャ?」

女「ああ会いたかったよ、できればもう一度一緒に居られればいいと思ってた」

ポコ太「ジャア……」

女「でも好きだった人間が化け物になって現れても、この先どうすんの」

ポコ太「………」

女「なぁ、教えてくれよ。姿形が変わっても中身は~とかって甘い考えでもしてんの?」

女「確かにアンタはアンタだけどさ、これじゃあ私、馬鹿じゃんか」

女「今ではコンピューターが発達して、学習機能もあって、どれも人間と大して変わらないぐらい頭がいいんだよ?」

女「作り物に相手に恋愛ごっこする馬鹿も増えたさ……でも私たちは人間なんだ」

女「人として一緒に生きる事にこそ価値があるのに……どうすんだよ」ガン

ポコ太「ナンニモ、デキナイネ」

女「それでも良いって言う人間もいるかもしれないけどさ、考えれば虚しいだけじゃん」

女「たしかに嬉しいよ、嬉しいけど……私が欲しかったアンタは……こんなんじゃなかったよ」

ポコ太「ボクハ……コレカラ、ドウスレバイイ?」

女「…………」

ポコ太「…………」

女「………………」

ポコ太「ボクハ、コレカラコウシテ、シネズニヒトリボッチノママナノカナ」

女(私は、目の前で死んだアンタの事を想って、今まで生きてきた)

女(私の中で生きていた男は、本当は私の中になんていなくて、ずっとこうして生きていた)

女(蝶になれずに、ずっと閉じ込められて夢を見るだけの蛹)

女(それが幸せだと、そう考えてこんなポンコツ達を作り出す奴らは最低だ……)

女(とっても……辛い………)

ポコ太「………ナイテルノ?」

女「泣くわけないじゃん」

ポコ太「ソッカ」

女「……………」

ポコ太「………」

女「今、アンタはどこにいる?」

ポコ太「サァ?ネエチャンノイウ、ボクガイナイノナラ、ドコニイルンダロウ」

女「あの世にでもいるのかな」

ポコ太「デモ、ボクハマダ、イキテルヨ」

女「………私は、アンタのいないあの世に行ってどうすればいい?」

ポコ太「…………」

女「待っててなんて言えんのかよ。なぁ、私はずっと、アンタを………」

ポコ太「…………ウン、ソウダヨネ」

女「…………」

ポコ太「ボクハ、コンナカラダデ、コウシテルバアイジャナイ」

女「………………」

ポコ太「シアワセニデキナカッタ、ケド……ボクハチャント………」ギギギギギ

女「先に、いってて。私もすぐいくよ」

ポコ太「ウン、ツギハ、ホントウニマッテル」ギギギガガ

女「まぁ、さっさと追いかけて、行き違いにならなくてよかったよ」

ポコ太「ソウダネ」ガガピ

ポコ太「…………姉ちゃん、ありがとう」

女「うん………」

女「………………」

女「………」

ガシャン

女「………お疲れ、すぐいく」」




駄文、亀進行、失礼しました。
読んで下さりありがとうございました。
今回のも、いろいろと不足で申し訳ありませんでした。

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