絵里「凛って髪の毛ふわふわ」 (31)

絵里「凛、起きてー」

凛「うーん、もうひとがんばり……」

絵里「何の夢見てるのよ」

凛「んー……んん?」

凛「……あ、あれ? 綱引きは?」

絵里「おはよう凛。ここは学校よ」

凛「もうちょっとで勝てたのに」

絵里「睡魔には負けたみたいね」

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凛「あれれ? 凛、何で寝てたんだっけ」

絵里「練習終わった後、凛が眠そうだったから一旦生徒会室に連れてきたの」

凛「あ、思い出した」

凛「絵里ちゃんと一緒に帰りたいって言って待ってたんだ」

絵里「そうそう。私が仕事してるの手伝うー、とか言って散らかすんだから」

凛「えへへ、ごめんなさい」

絵里「いいのよ。久しぶりに生徒会室に人がいるのはうれしいことだから」

凛「やっぱり凛も手伝った方がいい?」

絵里「ううん、もうすぐ終わるから」

絵里「待たせてごめんね」

凛「ううん、いいよ。だってかよちんは真姫ちゃんと一緒に帰れるし、希ちゃんはにこちゃんと一緒に帰れるでしょ?」

凛「そしたら絵里ちゃん、1人ぼっちになっちゃうもん」

絵里「それは最近希とにこが勉強頑張ってるから早く帰ってるせいよ。いつもはちゃんとみんなで帰るわ」

凛「でも今は違うよ?」

絵里「そうね。ありがと」

凛「いいよいいよ」

凛「ちょっとお外曇ってるね」

絵里「雨降るのかしら……傘持ってきてないわ」

凛「凛も。今日雨降るって言ってなかったし」

絵里「天気予報ってそういうのあるから困るのよねぇ」

凛「だよねぇ。やっぱり靴を放って占ってるのかな?」

絵里「それは厳密には占いじゃありません」

凛「なるほど」

絵里「雨、降ってほしくはないわね」

凛「じゃあ凛がてるてるぼうず作ってあげる」

絵里「ん、頼むわ」

凛「とびっきりのやつを作るね!」

絵里「そんなのあるの?」

凛「なんかね、ネットで見たんだけど……えーと、確かお供え物がいるんだって」

絵里「それはダメなやつよ。普通のにしなさい」

凛「はーい」

凛「あめあめふーれふーれかあさんがー」

凛「じゃーのめーでおーむかーえうーれしーいにゃー」

凛「ぴっちぴっちちゃっぷ……」

凛「……?」

凛「あーっ!? これ雨が降っちゃう歌にゃ!」

絵里「やっと気づいたわね」

凛「じゃあ逆に雨の降らない歌って何?」

絵里「さあ、聞いたことないわね」

凛「うーん、てるてるぼうずさんに頑張ってもらわないと」

絵里「あ、凛が歌ったからもっと曇ってきた」

凛「ええっ!? 今来られると困るよ! てるてるさん頑張って!」

絵里「凛、てるてるさん逆さまになってる」

凛「あー!」

凛「つ、ついに降って来ちゃった……」

絵里「凛の活躍も空しく、ね」

凛「うう、どうしよう……帰れないよぉ」

絵里「どこかに傘があればいいんだけど……ん? あの校庭に落ちてるのってビニール傘じゃない?」

凛「え? どこどこ?」

絵里「あれあれ」

凛「わ、ほんとだ! 凛、拾ってくるね!」

絵里「え、ちょっと凛!? 今の雨じゃ……」

凛「……!」

絵里「あああ、本当に校庭に出てるし……」

凛「!?」

絵里「あ、凛!?」

凛「……」

絵里「転んじゃったかぁ……」

絵里「もう……世話が焼ける子ね」

凛「り、凛の制服が泥んこになっちゃった……」

絵里「それよりほら、髪の毛とかこれで拭きなさい」

凛「ごめんね、絵里ちゃんに心配させちゃって」

凛「凛のところに来たせいでこんなに濡れちゃって……ごめんなさい」

絵里「いいのよ、気にしないで。それにちょっと楽しかったし」

絵里「でも凛、すごい転び方したわね。ケガはない?」

凛「制服以外はどうってことないよ!」

絵里「うん、それならよかった」

絵里「あー、生徒会室も私たちが着たせいでべちゃべちゃになっちゃったわね」

凛「あとでちゃんと掃除しなきゃ」

絵里「それよりもまず体を拭かないとね。凛、頭こっち向けて」

凛「はーい」

絵里「ドライヤーか何かがあればいいんだけど」

凛「ごめんね」

絵里「だからいいっていいって。それにしても凛って髪の毛ふわふわなのね……」

凛「え? ラーメン食べたい?」

絵里「言ってない」

絵里「制服も着替えちゃいましょうか。ジャージある?」

凛「今日は体育なかったから持ってきてないにゃ」

絵里「じゃあ私のを使って。長袖でいい?」

凛「え? でもそしたら絵里ちゃんが風邪引いちゃうよ」

絵里「えー? 大丈夫よ」

凛「ダメだよー! 病は気からって言うでしょ?」

絵里「それとこれとは関係ない気が……」

凛「ダメダメ、凛のために絵里ちゃんが風邪引いちゃうのは絶対ダメ!」

絵里「そうねぇ……じゃあ半分こにしましょうか」

凛「半分こ?」

絵里「そう。私が体操服の上着とジャージ、凛がハーフパンツと長袖を着るの」

凛「あぁ、2人羽織じゃないんだ」

絵里「2人羽織って何するのよ……」

凛「生徒会のお仕事」

絵里「遠慮します。ていうかもう終わったわよ」

凛「すごいよ絵里ちゃん、早い!」

絵里「慣れよ、慣れ」

凛「じゃあ絵里ちゃん、着替えるけどこっち見ちゃダメだよ?」

絵里「あら凛、恥ずかしいの?」

凛「ううん、なんとなく雰囲気だけでも」

絵里「そんなこと気にしなくていいから、早く着替えちゃいなさい」

凛「はーい」

絵里「あ、凛。私の大きいと思うから――――――――」

凛「にゃーっ!?」

絵里「……やっぱり見られたら恥ずかしいんじゃないの」

凛「絵里ちゃんのえっち」

絵里「凛、もう着替えた?」

凛「着替えたよー」

絵里「……ってやっぱりぶかぶかね。脱いだのはハンガーにかけておいて……」

絵里「ってそっか、そのジャージの下は……」

凛「下着だけだよ」

絵里「……私と上、交換する?」

凛「ううん、ぶかぶかだからあったかいし」

絵里「それでも寒いでしょ?」

凛「じゃあ絵里ちゃん、温めますか?」

絵里「え?」

凛「凛を温めますか?」

絵里「あ、はい。温めます」

凛「ぎゅーっとして、温めてくれますか?」

絵里「ああ、そういうことね」

絵里「はい。ぎゅーっとして温めます」

凛「絵里ちゃんぎゅーっ!」

絵里「それ、凛が私を温めてない?」

凛「これでいいの。凛は絵里ちゃんに抱き着いてみたかったから」

絵里「どうして?」

凛「あんまりこうやってスキンシップしたことないもん」

絵里「確かにそうかもね」

凛「だから今のうちに、ぎゅー」

絵里「……凛って案外小さいのね」

凛「え、絵里ちゃん!? どこ見てるの!?」

絵里「あ、違う違う。身長がね」

凛「そりゃあ凛は、絵里ちゃんと比べたらちっちゃいよぉ」

絵里「うん。だから並んでみて初めて、こんな感じなのねと思って」

凛「絵里ちゃんはもっと背の高い子の方がよかった? 真姫ちゃんとか」

絵里「ううん、凛の抱き心地は悪くないわ」

凛「うれしいにゃ」

絵里「うん、私も幸せよ」

絵里「じゃあてるてるさんをちゃんと元の向きに戻しておきましょう」

凛「うん、雨止まないしね」

凛「……!」

絵里「……凛、離れてくれないと戻せないんだけど」

凛「……雨が止んだら絵里ちゃんとスキンシップできなくなっちゃう」

絵里「あらあら。別にそんなことないわよ?」

凛「ほんと?」

絵里「ほんとほんと」

凛「絵里ちゃーん、って呼んだら抱きしめに来てくれる?」

絵里「授業中以外ならね」

凛「今日みたいに凛を助けに来てくれる?」

絵里「凛が呼んでくれたら」

凛「また、今日みたいに一緒にいてくれる?」

絵里「もちろんよ」

凛「じゃあ離れていいよっ」

絵里「ありがとう」

絵里「よいしょっと、これで大丈夫よね」

凛「絵里ちゃーん」

絵里「はいはい、今いきますよ」

凛「ぎゅーっ」

絵里「ふふ、凛ちっちゃい」

凛「絵里ちゃんでっかい」

絵里「それはなんかやだ」

凛「えー」

凛「あ、絵里ちゃん見て見て」

絵里「ん? わ、雲が……」

凛「すごーい! てるてるさんパワーだよっ!」

絵里「こんなに効き目があるなんて……凛、お供え物とかしてないわよね」

凛「してないにゃ」

絵里「ならいいんだけど……あ、凛、あそこ見える?」

凛「どれ?」

絵里「あの方向に、ほら」

凛「わぁ! 虹が出てる!」

絵里「いいものが見られたわね」

凛「うん!」

絵里「それじゃ、帰りましょうか」

凛「制服はどうしよっか」

絵里「……乾くまで待つ?」

凛「うん、そっちがいいにゃー。その方が絵里ちゃんと長くいられるからね!」






      おわり

えりりんは姉妹っぽい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月16日 (水) 22:23:50   ID: 1Tv50kuB

絵里になりたい♪

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