美希「初めての」 (270)

「星井さん…!好きです!ぼ、僕とつつ、付き合ってくだ、ください…!!」

これで7人目、今日はちょっと少なめ、かな?

「ど、どうしてもダメですか?」

これもいつもどおり

美希「ん~、ミキ的にピンと来てないって感じなの」

「そんな…ど、どうしたら付き合えるんですか…?」

むー…諦めが悪いの、いつもなら今ので諦めてくれるのに

美希「あんまりしつこいと嫌われちゃうよ?」

「…っ」

美希「あはっごめんね、じゃあミキ用事あるから」

美希「ばいばい」

「……」ガク

美希「あふぅ」

諦めてくれたみたいでよかったの

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405358285

そういえば今日は事務所に行かなきゃいけない日だっけ?
たしか社長がミキに話があるって…

美希(ミキ何かしたっけ?)

わかんない

美希(行ってみればわかるよね)

その前に行きつけのおにぎり屋さんでおにぎり買うの!

美希「今日の具は何にしようかな~」

おにぎりがミキを待ってるの

美希「決めたの!今日は明太子で決まりなの!」

お腹が明太子おにぎりを食べたい~って言ってるの

美希(早くいかないと売り切れちゃうかもしれな)ドン

美希「ふぎゅ!」

「わわっ」ドテ

「いてて…す、すみません…余所見をしていたもんで」

ミキのほうが痛いの!

「怪我はないですか?」スッ

美希「大丈夫なの」パッパッ

「よかった…本当すみません」

美希「別にいいの、ミキ急いでるから!じゃあね」

「あ、あの!」

美希「…なに?」

新手のナンパ?

「あはは…恥ずかしながら今、道に迷ってまして」

美希「は?」

「急いでるところ悪いんですけど」

「○○通りってどっちに行けばいいか分かりますか?」

こんな下手くそなナンパ初めて見たの

美希「…あっちの道を突き当たって左なの」スッ

どうせ一緒に行ってくれないかとか言うんでしょ?

「あ、あっちですか!ありがとうございます」

「いや~このもらった地図じゃ分かりづらくて…助かりました!」

あれ?

「本当ありがとうございます!何かお礼を…」ゴソゴソ

美希「別にいいの」

わかった、お礼に一緒にご飯をとかいうんでしょ、このナンパ師さんは

「はい、イチゴキャンディ」スッ

美希「へ?」

「今これしか持ってなかったので…どうぞ」

美希「あ、ありがとう…なの」

「では、私はこれで…時間取らせてすみません、ミキさん」

「さようなら」ペコ

美希「……」

美希「行っちゃった…」

なんなのなの!

美希「意味分かんないの」

本当にただ道に迷ってただけ?

美希「むー…何か釈然としないの…」グー

あ、おにぎり

美希「早くしないと売り切れちゃうの!」タッ

そういえば○○通りって事務所のある通りだよね

美希(……)

美希「ま、関係ないの」

もう会うこともないだろうし

それよりおにぎりなの!

『売り切れ』

美希「……」

むー!!さっきのナンパ師さんのせいなの!
明太子が売り切れちゃってるの!!

美希「むぅ…じゃあシーチキンと梅を二つと…あと昆布も一つくださいなの」

「あいよー」

こうなったらやけ食いなの!
もし見かけることがあったら脛をけつってやるの!決めたの!

「おまち」

美希「…ありがとうなの」

はぁ…最悪な気分なの

美希「あむ…」ムグムグ

美味しい…でもミキは明太子が食べたかったのー!!

美希「事務所行くのめんどくさいなぁ」

でも行かなきゃダメだよね…はぁ

―――――――――――――
あ、もうなくなっっちゃった…あとは…イチゴキャンディーしかないの
むぅ…もう少し買っておけばよかったの

まあでももう事務所に着いたしいっか

ガチャ

美希「おはようなのー」

社長「おお、噂をすればなんとやらだね」

小鳥「おはよう美希ちゃん」

美希「おはようなの小鳥…はぁ今日は最悪な日だったの」

小鳥「あら?どうして?」

美希「変な人に絡まれて明太子おにぎりが買えなくて…」

「ミキさん…?」

美希「そう、こんな感じの人に…ってなんでナンパ師さんがここにいるの!?」

社長「おや?すでに面識があったのかね?」

小鳥「ナンパ師さんって…?」

「あ、いやちょっと…」

美希「ミキのことつけてきたの!?ナンパ師じゃなくてストーカーだったの?」

―説明中

社長「はっはっは、なるほど、すごい偶然もあったものだね」

小鳥「これって運命じゃないかしら」キュンキュン

美希「えっと…つまりどういうこと?」

社長「美希君、君を今日事務所に呼んだのは彼を紹介するためだったんだよ」

「こほん…えっと初めまして…じゃないな」

「道を教えてくれてありがとうね、本当助かったよ」

「今日からこの事務所で働くことになったPという者です」

P「そして君のプロデューサーをさせてもらうことになった」

P「これからよろしくね」ニコ

えっと…頭がぐるぐるーってなってて
訳がわかんないの

ナンパ師さんでストーカのこの人が私のプロデューサーになったってこと?

P「星井さん…?」

あ、何か言わなきゃ…

美希「…て」

P「て…?」

美希「てりゃあ!!」ゲシッ!!

P「ぐぁあ!?脛が!!」

小鳥「美希ちゃん!?」

社長「おや…」

美希「明太子の恨みなの!」

P「明太…子?」ジンジン

美希「食べ物の恨みは恐ろしいの!」

美希「とにかくミキは認めないの!!」

美希「帰る!」

小鳥「あ!美希ちゃん…!」

P「いてて…何かしちゃったんですかね…」

社長「ううむ」

むしゃくしゃするの!
あのナンパ師さんのストーカーにあってからいいことが無いの

美希(こんな時はウィンドウショッピングでもして気を紛らわすの)

美希「あ、このショールちょっといいかも」

「ねぇ、君かわいいね」

「これから暇?俺らとカラオケいかね?」

美希「ミキ?」

「ミキちゃんっていうんだ」

「可愛い名前だね」

ナンパ…
今日はもううんざりなの

美希「もうミキは家に帰らなきゃだから」

美希「ごめんね」

「じゃあさ電話番号だけでも教えてくんない?」

「LINEやってる?」

美希「すぐ家に帰るつもりだったから携帯持ってきてないの」

美希「じゃあね」タッ

「あ…」

はぁ、もうウィンドウショッピングする気もなくなっちゃった

美希「ん~近くに誰もいないみたいだし」カチカチ

ホントにもう帰っちゃお

美希「さっさとお風呂に入って寝るの」

うん、寝たらこの気分もきっと晴れるの

――――――――――――
美希「あふぅ」

今日はレッスンの日なの

美希「おはようございますなの」ガチャ

P「あ、おはよう星井さん」

げっ…そういえばこの人いたんだった
せっかく忘れてたのに

P「えっと、今日はレッスンの日だよね?」

美希「そうだけど、ナンパ師さんは来なくてもいいよ」

P「俺は君のプロデューサーだし社長にも今の実力を知っておけと言われてるから」

P「ついていくよ」

P「あとナンパ師じゃないぞ」

美希「じゃあストーカーさんなの」

P「ストーカーでもない」

美希「はぁ…邪魔はしないでよね」

P「ああ、わかった」

美希「じゃあミキ、先行くから」

憂鬱な気分はまだまだ続きそうなの

―ダンスレッスン

キュッキュキュッ
     タン タタン
キュッ

美希「はぁはぁ」チラ

P「……ふむ」カキカキ

美希「……」スッ

キュキュッ   ッタン

・・・・・・・・・・
・・・・・・

美希「ふぅ…」

P「お疲れさん」スッ

美希「……」

P「なんだよ…邪魔しなかっただろ?」

美希「…気が散って仕方なかったの」ゴクゴク

P「アイドルなんだから人に見られても問題なく踊れないとダメだぞ?」

美希「他の人なら問題ないの」

P「嫌われたもんだなぁ」ハァ

美希「ふん」

P「…じゃあ、おにぎりが好きだっていうことを音無さんから聞いて」

P「買ってきたこのおにぎりは俺一人で食べるしかないな」ガサ

美希「あ…明太子」

P「ん?欲しいのか?」

美希「き、今日は明太子気分じゃないの!」プイ

P「……じゃあ食わなくていいよな」

美希「あ、待つの!…一つだけならもらってあげても…いいよ?」

美希「あむ…」ムグムグ

P「結局3つも食ってるじゃないか」

美希「食べ物でミキをつろうなんてむぐもぐ」

P「十分つられてるから、あと食べてから喋りなさい」

美希「わかってるの」ムグムグ

P「…今日のレッスンだけど、ステップはよく出来ているが」

P「指先を抜いてるところがちらほらあったぞ」

美希「……」

P「その都度指摘したかったが邪魔するなと言われてたからね…」

P「完璧に踊れるからって手を抜いてたら大事な場面でミスするぞ?」

美希「ふん」モグモグ

知ったような口を聞くな!なの

P「さて、だいぶ遅いし」

P「送ってくよ」

美希「……別にいいの」

P「だめだ、何かあったらどうするんだ?」

P「ほら、乗って」

美希「そこまで言うなら仕方ないの」

P「シートベルトしたか?じゃあ出るぞ?」

美希「……」

P「なんか音楽流そうか?いろいろあるぞ」

美希「好きにすれば」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

P「えっと、ここでいいのか?」

美希「うん」

P「じゃあまた明日な」

P「明日はボイスレッスンか」

美希「邪魔しないでよね」

P「星井さんの力量次第だな」

美希「何それ、意味分かんないの」

P「ま、明日もよろしくな」

美希「……」

P「ドア閉めてもらえると助かるんだが」

美希「おにぎり…ありがと」ボソ

P「え?なんだって?」

美希「…!何でもないの!」

美希「おやすみ!」バタン

P「おお…おやすみ」

――――――――――

美希「ごちそうさま」

菜緒「もういいの?」

美希「うん、帰る前におにぎり食べちゃったから」

菜緒「そう、お風呂もういれてあるから入っちゃいなさい」

美希「わかったの」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

美希「ふぅ」チャポン

おにぎりをくれたくらいで気を許すわけないの
…でもそんなに悪い人でもないんだよね

ダンスもドキッとするようなこと言ってたし

美希(……)

ナンパ師やストーカー呼びはやめてあげるの

美希「おはようなの」

小鳥「おはよう美希ちゃん」

P「おはよう星井さん」

美希「…そこの人」

P「……あ、俺?」

美希「うん」

P「どうした?」

美希「今日のレッスンもついてくるんでしょ?」

P「ん?ああ、昨日も言ったけど、ついてくぞ」

美希「…ふーん」

美希「今日はおかかがいいな」

P「はい?」

美希「よろしくなの」ニコ

―ボイスレッスン

美希「あ~あ~あ~♪」

P「腹式呼吸を意識して」

P「喉から声を出すんじゃなくて腹から出す」

美希「やってるの!」

P「出来てないから言ってるんだ」

P「そんななぁなぁな歌い方じゃ安定しないし」

P「何より喉に悪い」

美希「むーわかってるの!!」

P「もう一回頭から!」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

美希「鬼なの」ゼーゼー

P「だが、最初よりはだいぶよくなったぞ」

美希「…ふん」

P「まぁこれだけ踊れて歌えるなら…」ブツブツ

美希「…?」

P「ん?ああ、すまんちょっと考え事してた」

美希「ふーん」

P「そうだ、ほれ、おかかのおにぎり」ポイ

美希「わっ…え?ホントに買ってきてくれたの?」

P「星井さんが欲しいって言ったんだろ?」

P「ま、コンビニのだけど」

美希「…一個しかないの」

P「あんまり食べたら夕飯が入らなくなるだろ?…って昨日は大丈夫だったのか?」

美希「……」フイ

P「…やっぱりか」

P「おにぎり好きなのもいいけど、ほどほどにな」

美希「頭の片隅には置いといてあげるの」

P「おい…まあいいか」

P「そろそろ出る時間だから準備して」

美希「わかったの」

P「まだ暗いというほどでもない…か」

P「どうする?送ろうか?」

美希「…じゃあお願いするの」

P「わかった、それじゃ車をまわしてくるよ」

―――――――――――
今日はびっくりしたの
まさか本当におにぎりを買ってきてくれるなんて

美希(今度からおにぎりの人って呼ぶことにするの)

それにボイスレッスン…あの人の言う通りにしたら
いつもより声の通りがよかったの

あんなに冴えなさそうな人なのに

美希「…変な人」

次はなんのおにぎりを買ってもらおうかなぁ

美希「あふぅ」

「付き合ってください!」

いつもの告白
変わらない毎日

「あはは…やっぱり無理か」

美希「…ねぇ、君って何か特技ある?」

「え?」

美希「あ、やっぱり何でもないの!ばいばい」

「???」

ミキ、なんであんなこと聞いちゃったんだろ?
訳わかんない

美希(今日は事務所に行く用事もないし)

適当にお散歩しようかな

「これからどっか行かない?」

「奢るよ」

「俺、すっげー楽しいとこ知ってるんだけど」

街を歩くとナンパナンパにナンパなの
これも変わらないの

美希「ん~、今日はそんな気分じゃないかな?」

じゃあどんな気分なの?

美希(なんだろ…?)

いつもと変わらないはずなのに
何か違う

…わかんない

美希「あ!」

P「ん?」

おにぎりの人

P「おお星井さん、偶然だね」

美希「何してるの?」

P「ちょいと遅めの昼飯だよ」

美希「もうすぐお夕飯の時間だよ?」

P「じゃあ夕食はもっと遅くなるな」

美希「何それ、ふけんこーなの」

P「確かに」

P「星井さんは真似したらダメだぞ?」

真似なんかするわけないの

P「星井さんは何してたの?買い物?」

美希「ううん、そこら辺をふらふら~って」

P「散歩か…」

P「なるほど、今日は天気もいいし散歩日和だね」

美希「うん!で、さっきまで色んな人にナンパされてたんだよ?」

P「ナンパかぁ…星井さんかわいいから当然かな」

P「あ、でも星井さんは一応アイドルなんだからそこらへんの分別はつけろよ?」

美希「わかってるの」

P「そ、ならいいんだ」

P「あ、そうだ」

美希「?」

なに?おにぎり?

P「はい」スッ

美希「なにこれ?」

P「今度出てもらうオーディションの資料」

P「次事務所に来た時渡そうかと思ってたけど、手間が省けたよ」

美希「オーディション…?」

P「うん、まあ星井さんの実力なら余裕だと思うよ」

P「あんまり大きなとこじゃないし」

美希「ふーん」

P「あれ?反応薄いな」

美希「ミキ、あんまり乗り気じゃないの」

P「え?」

美希「こんな小さなお仕事じゃちっともやる気でないの」

美希「どうせやるならもっと大きなとこでキラキラしたいの」

P「……」

美希「あれ?どうしたの?」

P「いや…」

P(なるほど、これだけのポテンシャルがありながら燻ってたのはこれが原因か)

P「星井さん」

美希「なに?」

P「もう申し込んじゃったからどの道受けてもらうしかないんだよね」

美希「えー」

P「ここで辞退したら事務所にも迷惑がかかるし」

美希「それはミキのせいじゃないの」

P「俺を助けると思って…な?」

美希「なんでミキが助けなきゃいけないの?」

P「おにぎり買ってあげるから!」

美希「むー…」

P「明太子におかか、シーチキンもつける!」

美希「……」

―――――――――――
ミキがおにぎりで簡単に動くと思ったら大間違いなの
…今回は仕方なく、だからね

美希「せっかくほんのちょっとだけ見直してたのに」

なんかがっかり

―オーディション会場

P「さ、今日は頑張ってね」

美希「あふぅ」

P「あはは、まあいつも通りが一番だな」

P(小さなオーディションとはいえここまで脱力出来るのも才能だな)

「それではオーディションを始めさせていただきます」

「番号の呼ばれた方はこちらの部屋のほうに―…」

P「お、始まるぞ」

美希「ん~」ノビー

適当にやって終わらすの

P「星井さん」

なに?適当にやるなって?

P「普通にやってもどうせ受かるだろうから…」

美希「?」

・・・・・・・・・・
・・・・・・

「それでは結果のほうを発表させていただきます」

「3番 ~~さん、11番 --さん」

「17番 星井美希さん 23番 ……さん」

P「無事受かったな」

P「おめでとう」

美希「当然なの」

美希「でもなんでパフォーマンスの時、審査員の目を見て踊れって言ったの?」

P「ん?オーディションでは当たり前なんだが」

P「そんな簡単なことも出来ない子がたくさんいるからだよ」

P「星井さんには余計なアドバイスだったかな?」

美希「……」

なんかいいように使われた気がするの

P「それじゃ、手続きをして事務所に戻ろうか」

美希「…わかったの」

P「なんでちょっと不機嫌なんだよ」

美希「別に…」

P「帰りにおにぎり買う約束は忘れてないぞ?」

そういうことじゃないの

P「とにかく、今日はちゃんとオーディションに出てくれてありがとな」ポンポン

美希「…! 勝手に頭触らないでほしいの!」

P「わ、わるい」

ふん
なんなのなの!

――――――――――
社長「おお、おかえり」

P「ただいま戻りました」

社長「聞いたよ、無事オーディションに通ったみたいだね」

P「はい、地方のテレビ番組ですが…」

社長「いやいや、それでもめでたいよ、いきなり大きな番組は厳しいだろうしね」

美希「ふん」

小鳥「あら…?どうしたのかしら…」

P「オーディションに終わってからずっとあんな感じなんですよ」

P「でもおにぎりはしっかり食べてたので大丈夫かと」

小鳥「そうなんですか…ふふ」

P「どうしました?」

小鳥「最初はどうなるかと思ってましたが」

小鳥「ちゃんとやれてるようで安心しました」

P「はは…まだまだですよ」

P「さてと…星井さん」

P「今日はお疲れ様」

美希「……」

P「いつまで不貞腐れてんの?」

美希「おにぎり…一個しか買ってくれなかった」

P「来週の収録の時にまた買うって言ったろ?」

美希「聞いてないもん」

P「あのときは言ってなかったからね」

美希「ずるいの」

P「買ってあげる事実は変わらないよ」

美希「むー!!」

卑怯者なの!嘘つきなの!
こんな意地悪な人初めてなの!!

P「ほら、うだうだしてないで早く帰りなさい」

P「遅くなってしまうよ?」

・・・・・・・・・
・・・・・・

美希「ふんだっ」プンプン

菜緒「ずいぶん機嫌が悪いのね」

美希「卑怯者に騙されたからなの!」

菜緒「卑怯者…?」

美希「何でもないの!ごちそうさま」

菜緒「今日はきちんと食べたのね」

美希「……ふん」

菜緒「あ、そういえばオーディションに受かったそうね」

美希「なんで知ってるの?」

菜緒「プロデューサーの方が連絡をくれたのよ」

菜緒「お父さんもお母さんも自由にやれっていってくれてるけど」

菜緒「あなたはまだ未成年で中学生だもの」

菜緒「こういう報告をくれるのはありがたいわ」

菜緒「それにしてもプロデューサーがついたのね、知らなかったわ」

美希「あんな嘘つきな人プロデューサーじゃないの!」

むしゃくしゃするの
あのしてやったり顔がムカつくのー!!

美希「絶対ぎゃふんって言わせてやるの!」

どうやって?

美希(…後ろからわーって驚かすとか?)

……なんか違うの

美希「うー」ゴロゴロ

あの人にあってからペースが乱されてる気がするの
それが一番むかむかする原因なのかな…?

――――――――――
P「お疲れさん」

P「よかったぞ」

褒めても何も出ないの

P「収録後はもう何もないし送ってくよ」

美希「…わかったの」

この人の車の後部座席に座るのもずいぶん慣れたの

P「シートベルトはしたか?」

そのセリフも聞きあきたの

P「そうそう、日程についてはまたあとで連絡するけど」

P「ラジオと営業の仕事をとってきたから」

美希「また小さなお仕事」

P「それはやってみてから言ってもらおうか」フッフッフ

…なにその不敵な笑いは

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

美希「―…って言ってたのに」

美希「本当に小さなお仕事だったんだよ!?」

菜緒「ふふ」

美希「そこは笑うとこじゃなくて怒るとこなの!」

菜緒「だって最近そのプロデューサーの話ばっかりしてるもの」

美希「え…?気のせいだと思うな」

菜緒「そうかしら?」

美希「そうなの!」

菜緒「ふふ、ならそういうことにしておきましょう」

美希「ホントだよ!」

ふんだ
ラジオのお仕事だって番組の宣伝をちょこっと言うだけだったし

営業なんかよくわかんない商品のキャンペーンガールで
ただニコニコしてるだけだったもん

美希(まあ…楽チンだったけど)

ミキはそんなことがしたいんじゃないの
もっと大きなステージでわーって踊って

キラキラ-って

美希(……)

うん
ミキはキラキラしたいの

今のままじゃ全然キラキラできないの

美希「あふぅ…」

もう寝るの

美希「おはようなのー!」

小鳥「おはよう美希ちゃん」

美希「うん…あれ?」

美希「あの嘘つきでおにぎりの人は?」

小鳥「プロデューサーさんのこと?」

美希「たぶんそれなの」

小鳥「プロデューサーさんなら外回りに行ってるけど、そろそろ帰ってくるんじゃないかしら」

美希「ふーん」

むしろいなくて良かったの

小鳥「何か用事かしら?今日は美希ちゃんレッスンだけよね?」

美希「うん、だから別に用事なんかないの」

P「ただいま戻りました」

小鳥「あ、おかえりなさいプロデューサーさん」

美希「……」

P「はい、お、星井さん来てたのか、丁度よかった」

ミキは丁度悪いの

P「仕事のオファーが来たぞ」

美希「どうせまた小さなお仕事なんでしょ」フン

美希「ミキやらないの」

P「まあとりあえず聞いてくれって」

P「一つ目は舞台の仕事だ」

どうせ端役とかなんでしょ

P「ま、これは星井さんが思ってる通り端役なんだけどね」

ほらやっぱり

P「でもこの舞台監督さんは業界でもかなり有名な○□さんで」

小鳥「えぇ!?○□さんっていったら舞台だけでなくテレビドラマでもよく聞く人じゃないですか」

小鳥「よく取って来れましたね」

誰それ、ミキ知らないの

P「正確に言うと取ってきたのではなくてオファーですね」

P「以前の番組を見ていてくれていたらしく、使ってみたいって」

小鳥「すごいじゃない美希ちゃん!」

美希「ふーん」

P「これを気にもっと大きな仕事が来るようになると思います」

美希「ミキはそんなのやら…」

P「ああ、あと大手お菓子メーカーの新商品のCMに星井さんを起用したいって話があって」

P「こっちは全国放送だから小さな仕事じゃあないと思うんだけど…?」

小鳥「CMのお仕事まで!?やったわね美希ちゃん!」

美希「……」

なんなのなの

P「星井さん、ちょっと前に大きなとこでキラキラしたいって言ってたよね?」

P「これはチャンスだよ」

P「確かに小さな仕事は地味で楽しくないかもだけど」

P「それを星井さんがちゃんとやったからこそ、CMの仕事や舞台の仕事が来たんだ」

P(まあ多少のコネもあるけど、ほとんど無名のこの子を使ってくれるとは思わなかったな)

P(この子本来の運も強いんだろうし、何よりビジュアルが圧倒的なのも大きな要因だろうな)

P「この仕事を成功させればもっともーっと大きな仕事が来るよ」

P「キラキラしたいならやらない手はないよね?」

美希「う…」

P「ん?おにぎりなら好きなのを買ってあげるよ?」

なんなのなの
こんなこと言われたら断れるわけないの

P「星井さん?」

確かにミキはキラキラしたいし
大きなお仕事がしたい

小さなお仕事は嫌だし
めんどくさいこともいやなの

美希「……」ジッ

P「?」

この人は嘘つきで小さな仕事も平気でミキにやらせてくるの
でも…ちゃんと次につながるお仕事を持ってきた

小鳥「美希ちゃん?」

悔しいの…
今の美希より絶対この人のほうがキラキラしてる

美希「い…」

P「い?」

美希「イチゴババロアでも可なの」

P「よしきた!」

小鳥「ふふ、美希ちゃんたら」

ホントこの人はずるいの
こんなはずじゃなかったのに

悔しいけど認めちゃった
この人はきっとミキをキラキラさせてくれるって

P「んじゃ、とりあえず今日はレッスンに行かないとな」

美希「はいなの!」

小鳥「頑張ってね美希ちゃん」

――――――――――――――

「美希ーCM見たよ~」

「あの衣装超可愛かった~」

「お化粧はやっぱりメイクさんがするの?」

「なんか舞台もやってるんだって?」

美希「そうなの!今日もこの後稽古があるの」

「へぇ~」

「どんなことするの?」

美希「えっとね~」

CMに出るようになって学校では友達だけじゃなく
色んな人が話しかけてくれるようになったの

あと

「俺と付き合えよ」

こういうのは前の倍くらいは増えたの

美希「おはようなのー!」

小鳥「おはよう美希ちゃん、今日も元気ね~」

美希「プロデューサーは?」

小鳥「応接室でお話し中よ」

美希「まだかかりそうなの?」

小鳥「さぁ、どうかしら…」

美希「ふーん」ソワソワ

小鳥「…今日の稽古までまだ時間あったわよね?」

美希「うん」

小鳥「冷蔵庫にプリンがあるから食べてもいいわよ」

美希「ホント!?」

小鳥「それを食べながらプロデューサーさんを待ちましょう、ね?」

美希「そうするの!」タタッ

小鳥「ふふ、最初の険悪さが嘘のようね」

P「はい、ではそれで…はい!こちらこそよろしくお願いします!」

P「ありがとうございました!」

ガチャ

P「ふう…」

美希「あ、プロデューサー!」

P「お、星井さん、おはよう」

美希「むー、美希って呼んでって言ってるでしょー」

P「はは」

小鳥「お疲れ様ですプロデューサーさん、ところでどんな話をしてたんですか?」

P「ああ、今度の星井さんのグラビアで表紙を飾ってくれるようになりまして」

美希「ほんと!?」

P「ああ、で、その詳しい話をしてたんですよ」

小鳥「わぁ、美希ちゃんどんどん有名になって行きますね~」

P「はい、でもまだまだもっとこれからですよ」

美希「なの!」

―――――――――――――

「今日はここまでー」

美希「ふぅ」

P「お疲れさん」

美希「あ、プロデューサー!ミキ今日監督さんに褒められたんだよ」

P「お、えらいぞ」

美希「えへへ、もっと褒めてもいいんだよ?」

P「流石は星井さんだね」

美希「むー」

P「次は雑誌の取材があるから着替えて準備してくれ」

美希「わかったの」

P「じゃ乗って」

美希「うん」

P「シートベルトはしたね」

美希「見ればわかるの」

P「あはは、そうだね」

P「最近は助手席に乗るようになったからな」

P「それじゃ、出発するよ」

美希「はいなのー!」

「星井さんくらい可愛いとやっぱりナンパとかされるのかな?」

美希「うん、あ、でも前はナンパとかよくされてたけど」

美希「最近は人だかりが出来ちゃうからどうなんだろう?」

美希「だから最近は変装しないとゆっくりショッピングも出来ないの」

「はは、それだけ有名になってきたってことだね」

美希「あはっ、そうかもしれないの」

「じゃ、余談はこれくらいにして、次の質問だけど―…」

美希「ん~、それはミキ的には~…」

・・・・・・・・・
・・・・・・

P「お疲れさん」

美希「あふぅ、疲れたの」

P「そういうと思ってイチゴババロア買っておいたぞ」

美希「あはっ流石プロデューサーなの!」

美希「ん~おいしいの!」

P「前も聞いたけどナンパされるのは相変わらずなんだね」

美希「うん、あと学校で告白される回数も増えたの」

P「そっか」

P「まあプライベートなことをあまりとやかく言いたくはないけど」

P「星井さんも今やそこそこ名の売れたアイドルだからね」

P「くれぐれもスキャンダルとかは無いように」

美希「わかってるの」

P「はは、前もそう言ってたな」

「すみませーんプロデューサーさんいらっしゃいますか?」

P「あ、はーい!ちょっと行ってくる」

P「帰りは送っていくからここで休憩してて」

美希「はーい」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

美希「でねミキはそっちの赤い服の方がいいんじゃないかなって言ったのに」

美希「結局ピンクの方選んじゃったの」

P「はは」

美希「ミキ的には絶対赤のほうがよかったと思うの」

帰りを送ってもらうこの時間が
今は一番好き

P「人の好みはそれぞれだからね」

美希「プロデューサーならどっち選んでた?」

P「ん~実際に見てないから何とも言えないけど」

P「話を聞く限りじゃ俺も赤い服のほうかな」

美希「でしょ!やっぱりプロデューサーはわかってるの」

だって色んな話が出来るもん
お仕事以外の全然関係ないお喋り

友達とおしゃべりも楽しいけど
こっちはなんだかもっと楽しいの

なんでかな?

P「っと、そんなこと話してたら着いたな」

美希「え?もう?もっとお話してたいの」

いいでしょ?プロデューサー

P「そうは言ってもなぁ」

P「俺はこれから事務所にもどって書類を片づけないといけないし」

P「何より今日は稽古に取材で疲れてるだろ?」

美希「そんなことないの!ミキはまだまだ元気だよ…あふぅ」

P「はは、ほら早く帰ってゆっくり休みなさい」

P「話なら明日も出来るだろ?」

美希「むー…わかったの」

P「おやすみ、星井さん」

美希「おやすみなさいなの」

美希「ただいま」

菜緒「おかえりなさい」

菜緒「ご飯は?」

美希「まだー」

菜緒「そう、丁度よかったわ」

・・・・・・・・・
・・・・・・

美希「でねでね、プロデューサーもミキとおんなじ服がいいって言ってくれてね」

菜緒「ふふ」

美希「どうしたの?」

菜緒「よっぽどプロデューサーが気に入ったのね」

美希「うん、プロデューサーは冴えない感じに見えたけど」

美希「全然そんなことなかったの」

菜緒「前は嫌ってるように見えたんだけど」

美希「前は前なの!」

そう、前は前なの!
今は明日が待ち遠しい

美希(明日はレッスンと収録…あとなんだっけ?)

ま、いっか
プロデューサーが教えてくれるよね

美希「あふぅ」

早く明日に…ぐぅ

―――――――――――

美希「あふぅ」

小鳥「美希ちゃん、そろそろレッスンの時間よ?」

美希「ん~…プロデューサーは?」

小鳥「外回りからまだ帰ってきてないわ」

美希「む~…」

小鳥「今日は早く来てたのに残念ね」

美希「本当なの」

美希「今日はレッスン見てくれるって言ってたのに」

小鳥「美希ちゃんが売れてきてからプロデューサーさんも忙しいのよ」

小鳥「許してあげてね」

美希「むぅ、今度何か買ってもらうの」

小鳥「ふふ、程ほどにね」

美希「それじゃ、行ってくるの」

・・・・・・・・・・
・・・・・・・

美希「ふぅ」ハァハァ

P「よっ」

美希「あ!プロデューサー遅いの」

P「悪い悪い、話し合いが長引いちゃってな」

P「それにしても最後の通ししか見れなかったけど」

P「しっかり踊れてるじゃないか」

P「指先までちゃんと意識出来てた、えらいぞ」ナデ

美希「んっ」ピク

P「っと悪い、勝手に撫でて」パッ

美希「あ…」

…ずるい

P「さて、次は収録、そのあとはグラビア…」

P「小忙しくなってきたな…それに―…」

さっきまでむかむかしてたのにもうどっかいっちゃった

P「―…ったことだしって聞いてるか?」

美希「え?…あはっ」

全然聞いてなかったの

P「ったく」

P「まあ後でまた話すからとにかく移動だ」

P「もう車はまわしてあるから早く準備してくれ」

美希「わかったの!」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「収録もグラビアの撮影もいい感じだったな」

美希「うん!特にグラビアの撮影は色んなポーズをパシャパシャ~って撮ってもらえて」

美希「とっても気持ちいいの」

美希「それにこういうお仕事のカメラマンはミキのこととーっても可愛く撮ってくれるから」

美希「写真撮影のお仕事は好きなの!」

P「そっか」

美希「あ、あと収録でミキとおんなじゲストで出てた女優さんなんだけど」

美希「近くで見たらすっごく綺麗だったの」

美希「こんどネイルのやり方教えてもらう約束しちゃった」

P「星井さんは誰とでも仲良くなれるよね」

美希「ん~、そうかな?」

P「少なくとも俺にはそう見えるよ」

美希「あはっ、プロデューサーが言うんだったらそうなのかも」

P「なんていうのかな、星井さんは裏表なく接してくれるから」

P「付き合いやすいんだろうね」

P「好きなものは好き、嫌いなものは嫌いってはっきりしてるしね」

美希「そうだっけ?」

そんなことあんまり意識したことなかった

P「最初は脛蹴られたし、ナンパ師やストーカー呼ばわりもされてたな」

美希「あ、あの時はミキにもいろいろ事情があったの」

そういえば最初はプロデューサーのこと嫌いだった
嘘つきだったし

P「はは、まあそれだけ自分を出せる星井さんだからこそここまでこれたんだろうね」

美希「むー…プロデューサーはいじわるなの」

じゃあ今は…?

P「それに、ついに来たって感じだね」

美希「?」

P「さ、着いたよ」

美希「あれ…?ここ家じゃなく、事務所なの」

P「収録行く前軽く言ってたけど、聞いてなかったみたいだし」

P「どうせなら日程とかその他資料とかも一緒に見せようと思ってね」

美希「何のこと?」

P「まあまあ、とにかく事務所にあがるよ」

美希「わかったの」

??
何があるのか見当もつかないの

社長「おお、おかえり二人とも」

小鳥「おかえりなさいプロデューサーさん」

小鳥「まだ仮ですけど、大まかなレイアウトは出来あがってますよ」

P「ただいま戻りました、音無さんありがとうございます」

美希「ただいまなの」

小鳥「美希ちゃんもおかえりなさい、疲れてるでしょ?」

小鳥「お茶を淹れてくるからソファーでゆっくりしてて」

美希「…わかったの」

P「社長、あの資料はもう届いてますか?」

社長「ああ、先ほど君のパソコンにデータを送っといたよ」

P「ありがとうございます」

……
ミキ、完全に置いてかれてるの

小鳥「はい、美希ちゃん」コト

美希「ありがとうなの」

美希「…ねぇ小鳥」

小鳥「はい、プロデューサーさんの分も淹れてますよ」コト

P「あ、すみません、ありがとうございます」

美希「ねぇってば!」

小鳥「ふふ、大丈夫よ美希ちゃん、今からプロデューサーさんが説明してくれるから、ね」

P「お待たせ、星井さん…さて」

美希「どうしたの?改まって」

P「最近テレビの仕事も増えてきたし、来期のドラマのヒロインにも抜擢されたよね」

美希「うん」

P「そして持ち歌も新曲も充実してきて、確実に有名になってきてる」

美希「…それがどうしたの?」

P「だからね、そんな星井さんのさらなる活躍の起爆剤として」

P「単独ライブを行うことが決定した」

美希「……単独…ライブ?」

社長「うむ、うちの事務所としては初の試みとなるね」

P「場所は資金の関係で都内からは少し外れるんだが」

P「充分な広さのライブ会場を押さえることが出来た」スッ

P「ここね」

P「今の星井さんなら話題性もあるし、集客も充分見込めるだろう」

小鳥「宣伝用のポスターもこんな感じに出来てるのよ」

小鳥「後は衣装をきた美希ちゃんの写真を撮って合わせればほぼ完成ね」

社長「いや~感慨深いねぇ、他の子たちも合同ライブとかでちょくちょく出させてはもらってるんだが」

社長「うちが取り仕切るライブというものはまた格別なものだね」

P「スポンサーもかなり好条件で取引してくれましたし」

P「確実にいい風が吹いてますよ」

P「それに単独ライブといっても」

P「菊地さんや我那覇さんにバックダンサーとして踊ってもらう予定なんだけど…」

P「星井さん?」

美希「……あ、あのねプロデューサー」

なにこれ…胸の奥がすっごく熱いの

美希「なんかね……えっとね…上手く言えないんだけど」

ドクンドクンっていってる…今までにないくらい
なんなの…これ?どう言ったらいいの

美希「あの、ライブ嫌なんかじゃないよ…むしろ嬉しいの…でも」

P「星井さん」

美希「…プロデューサー?」

P「たぶんそれは武者震いってやつだね」

美希「武者震い…?」

P「目の前の出来事に全力で挑戦する心構えをしてるんだよ」

心構え…

P「だって今の星井さん、すっごくいい顔してるよ」

美希「そう…なの?」

わからない…自分が今どんな顔してるのか
でも…

美希「そうなの…かも」

美希「ミキね、今の話を聞いてからライブの光景が頭に浮かぶの」

美希「大きなライブって経験したことないから分かんないんだけど」

美希「ファンのみんなと一体になってわ~って盛り上がってるの」

美希「それでね、こう目を瞑るとキラキラしてるミキが見えるの」

P「うん、俺にも見えるよ」

あはっプロデューサーがいうならきっと間違いないね


P「星井さん、このライブは俺たちが今まで活動してきた中で一番大きな仕事になる」

P「他の仕事や稽古の合間にレッスンすることになって、今まで以上に大変になるだろうけど」

P「うん…今の星井さんならやれるね!頑張ろう、一緒に」

美希「はいなの!!」

P「ま、もちろんこれで終わりじゃないし、これより大きな仕事だっていずれ入ってくるだろう」

P「けど、ここまでよく頑張った星井さんにご褒美をあげようかなって…ね、社長」

ご褒美…?

社長「うむ、美希君、お腹は空いてないかい?」

美希「…そういえば空いてるの」

社長「食べたいものがあったら何でも言ってくれ、寿司でもピザでもなんでも頼んであげるよ」

社長「車もあるから行きたいとこがあれば言ってごらん?」

P「ご家族にはすでに連絡してあるから何も気にすることないぞ」

小鳥「せっかくの単独ライブなんですからお祝いしなきゃね!」

P「はい、ライブの成功も祈ってぱーっとやりましょう!」

P「さ、星井さん、今日は美味しいものをたくさん食べて英気を養おう」

美希「えっと…じゃあ」

―――――――――――

美希「ふぅ…」

…まだ胸が熱いの

美希「ふふ、今思い出しても笑えてくるの」

皆でおにぎり握って食べたり
小鳥が買ってきたジュースを適当に混ぜてプロデューサーに飲ませたり
その時のプロデューサーの顔ってば

美希「ふふふ…あははは」クスクス

美希(あんなにはしゃいだの久しぶりなの)

一番おいしく握れてたのは小鳥だったの
プロデューサーのは…うん、ミキのほうが上手だったの

美希「…」

すっごく楽しい時間だったの
ライブが終わったらまたやるって言ってた

美希(楽しみなの)

毎日が楽しい
きっとプロデューサーがミキをキラキラさせてくれてるからだよね

ライブでキラキラして
もっと大きな仕事が来たらもーっとキラキラして

美希(あれ?これ以上キラキラしたらどうなっちゃうの??)

……
プロデューサーなら分かるのかな?

美希「あふぅ」

瞼が重くなってきたの
もう少しこのままの気持ちで起きてたかったけど

美希(でも大丈夫なの)

明日もキラキラな一日が待ってるから
おやすみなさいなの

とりあえず一旦寝る

上にも書いてたけどVIPでやってたやつを完結させるために来ました

間が空きすぎたのと遅筆だからこっちの方がいいかなって

まだ半分も貼り終わってないけど、のんびりやっていこうかと思います

美希「今はライブに集中したいから無理なの」

もう何回この断り方をしたんだろ

「美希また告られてたの?」

美希「うん」

「最近になって一段と増えたね」

美希「ん~、もう一々覚えてられないの」

「うわっ、そんなセリフ一度言ってみたいわぁ」

美希「? なんで言えないの?」

「あんたみたいに告られる事なんてありませんからね!!」グリグリ

美希「いたいの」

「痛くしてんのよ」

美希「ひどいの」

「ひどいのはどっちよったく」

美希「むー」

「……ねぇ」

美希「なに?」

「あんたってあれだけ告られたり、ナンパされたりするのに」

「なんで付き合ったりしないの?結構いい男もいたでしょ?」

美希「え?ミキ付き合ったりしてたよ?」

「え?」

美希「え?」

「全然知らなかった」

美希「ん~、まあそれはそうかも」

「なんでよ、教えてくれたっていいでしょ~」

美希「だって一番長くてもどんくらいだっけ…?多分3日くらいで別れちゃってるもん」

「短っ!」

「え?なにそれ」

「それ付き合ってるっていえるの?」

美希「さあ?わかんない」

「なに?わがままばっかり言って愛想尽かされるとか?」

美希「あはっ、それも無いとは言えないの」

美希「でもどちらかというと美希が振るって感じ?」

「あ、やっぱり?」

美希「デートとかお話とかしててなんか違うなぁってなったらそれっきりなの」

「悪女なの」

美希「それミキのマネ?全然似てないの」

美希「ま、今はアイドルのお仕事が楽しいからそんなこともないんだけどね」

「スキャンダルはとかになったら大変だもんね」

「あ、あとライブもあるって言ってたもんね」

美希「うん」

「ほーぅほーう」

美希「なにそれ?今度はフクロウのマネしてるの?」

「いや~我が校を代表するアイドルの星井美希さんの貴重なお話が聞けて」

「とっても満足してるんですよ」

美希「ふーん、そうなの」

「あんたそのたまにする無関心っぽい返しは控えた方がいいよ、傷つくから」

美希「あ、フクロウのマネも全然似てなかったの」

「フクロウのマネなんてしてねぇよ!」

美希「あれ?」

「はぁ、男子共はなんでこんな抜けた子がいいのかねぇ」

「…そういやあんたの場合向こうから言い寄ってくるから引く手数多だけど」

「あんたからいくことってないよね?」

美希「そうだっけ?」

「てか話を聞く限り人を好きになったことなさげなんだけど」

「今まで誰か好きになったことないの?」

美希「友達はみんな好きだよ?」

「そういうんじゃなくて、ラヴのほうよ」

美希「ラブ…?」

「15年生きてきたら恋愛の一つや二つするもんじゃないの?」

「ずっと一緒にいたいとか、目を閉じたら頭に浮かんでくるとか」

「この人の為なら死ねるとか」

美希「意外とロマンチストなの」

「ほっとけ」

「で、誰かいないの?あんたにとって特別な人とか」

美希「特別な人…」

「あ、たまに話に出てくるプロデュ」

キーンコーンカーンコーン

美希「あ」

「やばっ予鈴!?もうそんな時間!?」

「あ~あたしのクラス移動教室じゃん!」

「じゃ、またね美希」

美希「ばいばい」

……
特別な人…?

そう聞いたときパッとプロデューサーが浮かんだの
うーん…でもプロデューサーはミキをキラキラさせてくれる人だから

美希(ラブなほうとは関係ないよね?)

じゃあラブってなに…?

美希「あふぅ」

よくわかんないの

―――――――――――――――

―レッスンルーム

真「このとき腕を振り過ぎないように注意して…」

響「じゃあもう一回通してみようよ」

美希「あふぅ、おはようなの」

真「あ、美希」

響「はいさい、稽古は終わったの?」

美希「うん、今日はあとこのレッスンだけなの」

響「そっか、じゃあ存分に練習できるね!」

真「ボクたちさっきまで練習してたんだけど」

真「やっぱり美希が入ってくれた方がイメージしやすいしね」

響「でも、単独ライブとかホントわくわくするよね」

響「自分、バックダンサーだけどすっごく燃えてるんだ」

美希「あはっ、ミキも二人が一緒だといつもより気持ちよく踊れるの」

真「へへっ、とにかく練習を始めよう!」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

真「ふぅ…」

響「やっぱり美希はすごいな」

響「自分たちより練習時間短いはずなのに、自分たちよりずっと踊れてるぞ」

美希「ん~、今やった曲はミキ、踊り慣れてるし」

美希「響たちが後ろにいるって思ったらきちんと踊らなきゃってなるの」

美希「それにちゃんと踊れるからって手を抜いちゃダメなの」

美希「練習中に抜いちゃったら本番でダメになっちゃうの」

響「そっか、そうだよね!」

真「いいこと言うじゃないか美希!」

響「よーし、じゃあ自分も一つ一つの動きを丁寧に踊ってみるね」

真「あ、待って…ちょっとまだあやふやなとこがあるから詰めてもいい?」

響「いいぞ、真はどこら辺があやふやなんだ?」

真「間奏中の―…」

響「だいぶ良くなってきたんじゃないか?」ハァハァ

真「そうだね、最初よりはずいぶんマシになってきたよ」ハァハァ

美希「ふぅ」

P「お、やってるな」

P「お疲れさん」

美希「あ、プロデューサー!」

響「あ、美希の」

真「お疲れ様です」

P「差し入れ持ってきたから適当につまんでよ」

真「わあいいんですか!?」

響「自分ちょっとお腹空いてたんだよね!」

P「飲み物も適当に買ってきたから好きなのどうぞ」

美希「ありがとうなの」

P「調子はどう?」

美希「ん~、まだ始まったばっかって感じだから何とも言えないの」

美希「あ、でも最初の曲はさっき合わせたけどいい感じだったの」

P「そっか、じゃあ後で見せてもらおうかな」

美希「わかったの!」

響「プロデューサーが見てくれるのか?」

真「ぇえ!?…ちょっと緊張しちゃうなぁ」

P「あはは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」

P「さっきまでやってたことをそのままやってくれたらいいんだから」

真「は、はい、そうですよね、えへへ」

響「あはは、真は緊張しいだな、自分なんか全然余裕だじょ」

美希「あはっ、響も真君もがっちがちなの」

・・・・・・・・・・
・・・・・・・

響「はぁはぁ」

真「ど、どうでした?」

P「うん」

P「我那覇さん」

響「自分!?な、なに?」

P「所々、足早になってるとこがあったな」

P「ちゃんと曲を聴いて合わせるように」

響「わ、わかったぞ」

P「菊地さんは…」

真「は、はい!」

P「ミスしたとき顔に出てるとこがあったよ、焦るのはわかるけど」

P「表情に出すのはちょっとまずいかな」

真「す、すみません」

P「ま、でも今の段階でここまで出来てるなら、これからが楽しみだよ」

P「なにより合わせようって気持ちが伝わってきたからね」

P「二人にバックダンサーを頼んでよかった」

響「えへへ」

真「こちらこそ選んでくださってありがとうございます」

美希「よかったね二人とも」

P「そうそう指先までちゃんと意識して踊ってたのは驚いたよ」

響「あ、それは美希が教えてくれたんだぞ」

P「星井さんが」

美希「あはっ」

P「そっか」

P「よし、もういい時間だから」

P「あと一回通したら今日は終わろうか」

「「「はい!」」」

P「星井さんも独りよがりに踊ろうとせず、周りをしっかり見てね」

美希「わかったの」

P「それじゃ始めるよ~」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「じゃ、送ってくから乗ってくれ」

美希「ほら、二人とも早く!」

響「これがプロデューサーの車かぁ」

真「なんかボクたちまで送ってもらうことになって…すみません」

P「気にしなくていいよ、どの道送るつもりだったんだから」

P「えっと、この中で一番近いのは…」

響「多分自分だぞ」

響「自分の家は事務所からそんなに遠くないからここからもそんなに遠くないぞ」

P「そうなんだ、じゃあ我那覇さんから送っていくね」

真「響の家からならボクのうちが次に近いですかね」

P「わかった、じゃ、出発するよ」

美希「みんなシートベルトはした?」

響「オッケーだぞ」

真「あはは、まるで美希の車みたいだね」

P「結局最後になっちゃって悪いな」

美希「ううん、今日は二人がいてすっごく楽しかったの」

P「こんなに車内が賑やかになることなかったもんな」

美希「むー、ミキだけじゃつまらないってこと?」

P「そんなこといってないだろ」

P「でも、今日のレッスンを見てよりライブのビジョンが鮮明になってきたよ」

美希「…うん、ミキもうずっとドキドキしてるの」

美希「早くステージに立って歌って踊って」

美希「みーんなで盛り上がりたいの!」

P「はは」

美希「? どうしたのプロデューサー?」

P「ステージの真ん中でキラキラ輝く星井さんがはっきり見えるよ」

美希「!」

あれ?今また胸がドキってしたの

変なの

P「星井さん?」

美希「え?あ、なに?」

P「いや、着いたよ」

美希「へ?あ、ホントなの」

美希「じゃあ、またねなのプロデューサー」

P「ああ、疲れを残さないようにしっかり休むんだよ」

美希「う、うん分かってるの!それじゃおやすみ、プロデューサー」

P「おやすみ」

あれ?どうしたんだろう
プロデューサーの顔…うまく見れない

美希(どうして急に?)

わけわかんないの

美希(うーん…)ゴロゴロ

わかんないの

菜緒「ご飯出来てるわよ~」

美希「はーい」

うん、分かんないことは考えても無駄なの

美希「ご飯食べてさっさと寝るに限るの!」

美希「おはようなのー!」

P「おはよう星井さん」

P「すぐドラマの撮影だから準備してね」

美希「はいなの」

普通に見れるの
やっぱあれは気のせいだったの

・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「お疲れさん」

P「ちょいと遅くなってけど、お昼はどこか近くのファミレスにでも寄ろうか」

美希「ミキ、今はスパゲッティの気分なの」

P「はは、まあ好きなのを頼むといいよ」

――――――――――――――
―レッスン

P「今日はここまで!」

「「ありがとうございました!」」

P「うん、皆いい感じに仕上がっていってるな」

響「ホント!?」

真「へへっやーりぃ!」

P「もうライブまで日がないから」

P「後は最終調整と当日の動きの確認をして~…」


響「当日、すっごく楽しみだね美希!」

美希「うん!このメンバーなら絶対成功するの!」

真「うわぁ、今からドキドキしてきた」

真「身体動かしてないと落ち着かないや」

真「今日は走って家まで帰ろっと」

真「それじゃ、美希、響また明日!」ダッ

響「じゃあね~」

美希「ばいばい~」

響「あ、そうだ!自分みんなのご飯買わなきゃいけないんだった」

響「それじゃ、自分も帰るぞ!ばいばい」

美希「うん、また明日ね、響」

美希「…あふぅ」

プロデューサーも仕事があるっていって
事務所に帰っちゃったし

美希(久しぶりに時間が出来たの)

街のほう行ってみようかなぁ
新しいアクセのチェックもしときたいし

ふんふ~ん♪

美希「あ、この髪留め結構いい感じなの」

響の服にピッタリ合いそうなの

美希「このブレスレットは真君な感じがするの」

やっぱりここは流行の最先端を扱っててえらいの
あ、このマニキュア可愛い

美希(ん~、でもドラマの撮影があるからつけるといろいろ言われそうなの)

こういうとき好きに出来ないのはちょっと辛いの
見てるだけでも楽しいは楽しいんだけどね

美希「あ、メガネコーナー、ちょっと大きくなってる」

あはっこのメガネ、ツルの部分がデコレートされてて可愛いの
プロデューサーもこれくらいのつけたらちょっとはイケるんじゃないのかな

美希(……)

美希「ぷふっあははは」

絶対ないって思うな

次はどこに入ろうかな

「美希?」

美希「ん?」

「やっぱ美希じゃん!こんなとこで何してんの?」

美希「よくミキって分かったね、一応変装してるのに」

「帽子とメガネかけただけであたしを騙せると思うなよ?」

「で、どしたの?買い物?」

美希「そんなとこなの」

「へぇ、じゃあ一緒について行ってもいい?」

美希「うん、いいよ~」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

「はぁ」

美希「どしたの?」

「いや、実際のナンパを見たのは初めてだっからさ」

「あんたよくあしらえるね」

美希「そう?普通だよ」

「イチゴパフェお待たせしましたぁ」

美希「あはっ来たの♪」

「あ、美味しそう!あたしもそれにすればよかったかも」

美希「イチゴちょっといる?少しなら分けてあげるの、はい」

「さんきゅ」

美希「あ~ん」パク

美希「ん~美味しいの!」

「ホント、美味しいわ」

美希「でね、今日もレッスンだったんだけど」

美希「真君って子は走って帰っちゃったの」

「レッスンって大変なんじゃないの?すごい体力だね」

美希「真君は事務所で一番体力があると思うの」

「へぇ、写真とかないの?」

美希「ちょっと待って、確かこの間撮ったのが…あ、あったの」カチカチ

美希「はい、右が真君だよ」

「何これイケメンじゃん!」

美希「そうだよ?真君はカッコ良いの」

「え?男?君付けしてるし、紹介してよ」

美希「多分女の子なの」

「そこはハッキリしてなよ…」

「この左の子は?」

美希「響?響もバックダンサーなの」

「ふーん、小さいのに頑張ってるんだね」

美希「胸は響のほうが大きいよ?」

「おいこら、どこ見て言ってんだ?」

美希「大丈夫なの、もっと小さい人が事務所にいるの」

「なんの慰めにもなってないから」

「はぁ…でもまあ元気にしてるようでよかったわ」

美希「ミキはいつも元気だよ?」

「最近メールぶっちするのはどこのどいつだ?」

美希「忙しいからよく忘れちゃうの」

「だから心配してたんでしょ」

美希「あ、なるほどなの」

「それはそうと、あんたちょっと見ない間にまた可愛くなってない?」

美希「そう?ミキは変わらないと思うけど」

「いーや、あたしが言うんだから間違いない!」

「何か変わったことがあるんじゃないの?」

美希「変わったこと?」

「たとえばカッコ良い俳優に迫られたとか、ラヴいことがあったとか」

美希「ん~、別に変ったことなんてないって思うな」

「え~、じゃああたしの勘違いかなぁ」

美希「あ」

「なになに?やっぱ何かあったの?」

美希「ううん、あれは気のせいだったみたいだし」

美希「なんでもないの」

「何よ、期待させるんじゃないわよ」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

「は~喋った喋った」

美希「あふぅ、疲れたの」

「近況がいろいろ知れて楽しかったわ」

美希「ミキも久しぶりにお喋りしたって感じ」

「んじゃ、そろそろ帰るわ、じゃあね~」

美希「ばいば~い」

ミキも帰るとするの

菜緒「ライブってもうすぐだったかしら」

美希「うん、今月末だからあと一週間ちょっとかな」

菜緒「そう、当日は忙しくて見に行けないけど、頑張りなさい」

美希「うん!」

菜緒「あ、でも無理はしちゃだめよ?」

美希「分かってるの」

美希「ごちそうさま」

美希「お風呂沸いてる?」

菜緒「沸いてるわよ」

美希「じゃあミキお風呂入ってくるの!」

美希「……」ジー

うん
鏡を見てもいつものミキなの

美希(どこも変わってないの)

じゃあなんであんなこと言われたんだろ…?

美希「へくち…」クシュ

うー冷えちゃった
早く湯船につからなきゃ風邪ひきそうなの

美希「はふぅ」チャプン

極楽極楽なの

美希(……)

ライブまで後一週間ちょっと…か

美希「……」

真君も響もダンスとっても上手になったの
すっごく頑張ってくれてる

美希(ミキも負けてられないの)

ミキにとって今までで一番大きなお仕事
絶対成功させたい

美希(ミキの全力をぶつけたいの)

あと一週間…今のミキに何か出来ることないかな?

美希「ん~…」ブクブク

あ!

―――――――――――

P「さて今日も頑張りますか」

美希「あ!プロデューサー」

P「ほ、星井さん?なんで事務所にいるんだ!?」

美希「朝練がしたくて早起きしたの」

美希「でもレッスン場開いてなくて、どうしようもなかったから」

美希「事務所でプロデューサーが来るの待ってたの」

P「なんでまた…まあとりあえず開けるからちょっと待ってね」ゴソゴソ

美希「あふぅ」

P「で、どうして急に朝練なんかを?」

美希「ライブまであとだいたい一週間でしょ?」

美希「ミキ、絶対成功させたいの」

P「だからって今更根詰めることもないだろ?」

P「もう充分練習はしてきたんだし」

美希「別にがっつりやるなんて言ってないの」

美希「動きを確認したり、発声練習を軽くするだけでも全然違うと思うの」

P「……」

美希「真君や響と合わせるレッスンはリハーサルを除けばあと2、3回くらいでしょ?」

美希「ミキはその間もお仕事があるし」

美希「ライブを成功させるためにミキが今出来ることを全力でしたいの」

美希「プロデューサーなら分かってくれる…よね?」

P「星井さん…」

P(驚いた…この子がここまでやろうとするなんて)

美希「プロデューサー?」

P(本当…キラキラしていたいんだな)

P(これがもっと大きな仕事だったら…)

美希「ねぇってば」

P「ははっ」

P(今、この子のやる気を削ぐのは得策じゃないな)

P(ビジュアル、才能、向上するモチベーション…)

P(本当この子はトップアイドルになる逸材だな)

P「よし!」

美希「?」

P「今日はもう無理だけど、明日からレッスン場を使えるよう連絡しとくよ」

美希「プロデューサー…!」パァ

P「星井さんがそこまでやる気なんだったら、それをバックアップをするのが俺の役目だ」

美希「ありがとうなの!」

P「それから朝、どうせなら迎えに行くよ」

P「少なくとも歩きで行くよりは楽になるだろう」

美希「…いいの?」

美希「お仕事…大変なんじゃないの?」

P「大丈夫だよ」

P「それに担当アイドルが無理をしないように見ておくのも俺の役目だからね」

美希「……」ドキ

あれ?また胸がドキッてなったの
この前感じたのと…同じなの

美希「……」ポー

P「星井さん?」

美希「はっ!?な、何か言った?プロデューサー」

P「いや、特には」

P「早起きしたから眠たいのかもね」

美希「あふぅ…」

そうかも

P「まだ時間あるから寝ててもいいぞ」

美希「わかったの~」

寝ればきっと治まるの

小鳥「おはようございます…あら?」

美希「あふぅ」zzZ

小鳥「美希ちゃん…?」

P「あ、おはようございます」パサッ

美希「ん…」

小鳥「プロデューサーさん」

P「ライブまで日がないので、朝練をしたかったらしく」

小鳥「それでこんな早くに」

P「ははっまぁ今日は何も出来なかったんですけどね」

P「とりあえず仕事の時間まで寝てもらってます」

小鳥「なるほど、では静かにしないといけませんね」

P「はい」

P「……」カタカタ

小鳥「……」カタカタ

小鳥「……」カキカキ

P「あ、そっちに送った資料、目を通してもらえました?」

小鳥「はい、あ、ここなんですけど―…」

P「そこは今日あちらから連絡が~…」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

P「ふぅ…」

小鳥「お疲れ様です」コト

P「あ、ありがとうございます」

小鳥「そろそろ美希ちゃんのお仕事の時間ですね」

P「はい、一息ついたら出発しようかと思います」

P「星井さん、そろそろ仕事の時間だぞ」ユサユサ

美希「ん…あふぅ」

P「起きた?そろそろ出るよ」

美希「ん~」

P「ほらしっかり立って」

美希「あふぅ」

P「やれやれ…」

・・・・・・・・・・
・・・・・・・

ハイカットーオッケー

「いや~美希ちゃん今日もいい感じだね」

美希「あはっありがとうなの!」

「それじゃ次8のシーンに―…」

P(すごいな、さっきまで寝ぼけてたのにしっかり出来てる)

・・・・・・・・・・
・・・・・・

美希「―でね、スタッフさんが大慌てで探してて」

P「なんでもいいけど口にご飯粒ついてるよ」ヒョイ

美希「あ、ありがとうなの…」

P「撮影は問題無かったし、この後は雑誌の取材だけで今日はおしまいだから別にいいけど」

P「顔にご飯粒ついたままじゃみっともないからな」

美希「あはっ、そうだね」

おかしいの
またドキッてした

「すみませーん、そろそろ取材のほうを始めたいんですが」

P「あ、はい分かりましたー!ほら、行くぞ」

美希「はいなの」

ミキ、変になっちゃったの?

―――――――――

美希(ふぅ)

今日は変な日だったの

美希「プロデューサー…」

そう、プロデューサーなの
プロデューサーがミキに

美希(ミキに…)

前の時も

美希「うー…」ドキドキ

なんなのこれ
なんなのなの

美希(変だけど…不思議)

全然嫌じゃないの

これがラブってやつなの…?

わかんない

美希「……」


 










美希(プロデューサーともっと一緒にいたら分かるの…かな?)

休憩します

美希「あふぅ」zzZ

小鳥「ついにライブまであと3日ですね」カタカタ

P「はい、皆いい感じで仕上がってます」カタカタ

小鳥「ふふ、楽しみですね」

P「ええ、本当に」

ガチャ

社長「お、二人とも早いね、おはよう」

P「おはようございます、社長」

小鳥「おはようございます」

社長「うむ、そうそうキミ、例の件は考えてくれたかな?」

小鳥「例の件…?」

社長「ん?音無君には言ってなかったかね?」

小鳥「ええ、何も聞いてませんよ?」

社長「ふむ、美希君は単独ライブを行えるほど有名になった」

社長「これからさらに有名になっていくだろう」

小鳥「私もそう思います」

社長「それもこれも彼の手腕のおかげだ」

小鳥「はい」

社長「ということで、彼に他のアイドルもプロデュースしてもらえないか話をしていたんだよ」

社長「今薦めてるのは如月君なんだがね」

小鳥「えぇ!?ということは美希ちゃんのプロデューサーをやめてしまうんですか?」

美希「そんなのダメなの!!」

小鳥「あ、美希ちゃん」

社長「おお、美希君…いたのかね」

美希「プロデューサーはミキのプロデューサーなの!」

美希「ミキの担当から外れちゃうなんて絶対やっ!」

美希「それにプロデューサーがいなくなっちゃったらミキはどうなるの!?」

社長「お、落ち着きたまえ美希君」

社長「なにも美希君のプロデュースをやめてもらうわけじゃなくてだね」

社長「同時にプロデュースをしてもらおうと考えてるんだよ」

美希「でもそれってプロデューサーがミキのプロデューサーでいる時間が短くなるってことでしょ?」

社長「それは」

美希「ねえプロデューサー!ミキのこと嫌になっちゃった?」

美希「もうミキのことプロデュースしてくれないの?」

P「星井さん…」

美希「プロデューサー」

P「社長、すみません」

P「この件ですが今は星井さんのプロデュースに専念したいと考えています」

美希「プロデューサー!」パァア

P「ライブも目前に控えてますし、何よりライブの後が大事だと思ってますので」

P「他の子を見ている余裕は今の私にはありません」

社長「ううむ、そうか」

社長「わかった、私が早計過ぎたようだ…許してほしい」

よかった、本当によかったの

美希「あふぅ」

安心したら眠気が来たの

社長「だが、いずれは他の子たちのプロデュースもしてもらうことになるのは覚えといてくれ」

P「はい!」

美希「あふぅ」zzZ

―レッスン室

響「美希、なんだか機嫌がいいな」

真「なにかあったの?」

美希「うん!」ニコ

プロデューサーはずっとミキのプロデューサーでいてくれる

響「何があったのさぁ」

美希「ん~響に言っても分からないって思うな」

それだけでにこにこしちゃうの

響「うが!自分をバカにしてるのか!?」

美希「あはっ」

P「そろそろ休憩終わるぞー」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

美希「今日はとってもいい感じだったの」

美希(……)

あれ?そういえばミキなんであんなに必死で止めたんだろう

美希(別にミキのプロデューサーをやめるわけじゃないって社長も言ってたのに)

美希(……)

美希(………??)

でも今日ミキのプロデュースに専念したいって言ってくれたとき嬉しかった

美希(ドキッてしたし…)

あ!そうだ
プロデューサーともっとずっと一緒にいないとミキ、ダメなんだった

美希(だってこの気持ちをもっと知りたいんだもん)

この心地のいい変な気持ちを

――――――――――

P「で、ここまでが一連の流れで―…」

P「ここで菊地さんが……で、それから我那覇さんは―…」

真「はい!」

響「分かったぞ」

P「星井さんは出ずっぱりになっちゃうけど、ここのとこでいったん引いて少しだけ休憩が出来るから―…」

美希「はいなの!」

P「よし、それじゃああと一回通したらリハーサルは終わりだ」

P「それじゃ音響お願いしますー」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

真「ふぅ…」

響「…明日、お客さんがいっぱい見てる中で自分たち踊るんだよな」

真「うわぁ、やめてよ響!考えないようにしてたのに…」

真「もーほら、緊張してきちゃったじゃないか」ブル

響「ご、ごめん!でも楽しみな半面失敗しちゃったらって不安に思う自分がいて」

響「こんなに大きな舞台初めてだから…」

P「大丈夫だよ」

真「あ、プロデューサー」

P「緊張しすぎなのはよくないけど、適度な緊張はむしろいいパフォーマンスをするためには必要だからね」

響「そうなの?」

P「ああ、君たちは今日まで頑張ってきた」

P「普段通りの自分を見せるだけでいいステージになる」

P「今日のリハーサルを見てそう確信してる」

真「そんな…」

P「でも、君たちはきっと普段よりもっと素晴らしいパフォーマンスを明日のライブで見せてくれて」

P「最高のステージになると思ってる」

響「なんでそんなこと分かるんだ?」

P「明日のライブ、成功させたいからこそ今君たちは緊張してるんだ」

P「そしてそれは君たちがまさにいいパフォーマンスをするための適度な緊張をしている状態というわけさ」

響「な、なるほど」

P「明日のライブはもう楽しむだけ!それだけで大成功だ」

真「へへっプロデューサーにそう言われるとなんだか安心します!」ニコ

美希「プロデューサー、そろそろ閉館時間だから出る準備をしてくれって係の人が言ってたよ」

P「お、もうそんな時間か」

響「美希どこに行ってたんだ?」

美希「え?トイレだよ?」

真「美希は全然緊張してなさそうだね」

美希「ミキ?緊張してるよ」

響「え?それでか?」

美希「でも今日までみんなで頑張ってきたんだから絶対大丈夫って思うな」

美希「だから後はキラキラ~ってみんなで楽しむだけなの!」

真「……」

響「……」

真「あはは」

響「流石美希だぞ」

美希「?」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「それじゃ、明日は頑張ろうね」

美希「はいなの!」

P「…はは」

美希「?」

P「いや、明日のライブ、楽しんでね」

美希「もちろんなの!」

P「星井さんがキラキラしてる姿、傍で見てるよ」

美希「!」

美希「…うん、絶対見ててね!一瞬も目を離したらやなのっ!」

P「ああ、じゃ明日」

美希「ばいばい」

菜緒「いよいよ明日ね」

美希「うん」

菜緒「頑張るのよ」

美希「うん!」

菜緒「それじゃお風呂入って明日に備えなさい」

・・・・・・・・・・
・・・・・・・

ドキドキ

ドキドキ

美希(ずっといってる…ミキの胸)

明日、きっとミキはキラキラしてる
それがたまらなく待ち遠しいの

美希(でも、きっとそれだけじゃない)

ミキのこの胸の高鳴りは―…

―ライブ会場

ザワザワ

響「もう開場したんだ…」

真「す、すごい人数」

美希「……」

P「昨日も言ったけど、もうここまできたら後は楽しむだけだ」

P「失敗だとか成功だとかもちろん重要なことだけど、今はそんなこと忘れて」

P「今日までやってきたこと、頑張ってきたことを存分に出してくるんだ!」

「「「はい!」」」

響「うおーやるぞー!」

真「うん!ボクも全部出し切るよ!」

P「星井さん?」

美希「プロデューサー」

美希「ミキねすっごくワクワクしてるの」

美希「昨日までずっとドキドキしてたけど、今日はそれの比じゃないの」

P「はは」

美希「プロデューサー?」

P「今の星井さんに俺から言うことは何もないね」

P「すごくいい状態だ」

響「美希~円陣組もうよ!自分一回やってみたかったんだ」

美希「響」

P「ほらっ、もうすぐ時間だよ、行っておいで」

P「俺はここで見てるから」

美希「…うん!」

響「ほら、美希」グイ

美希「もうっ、響ってばごーいんなの」

真「美希、ボクたちを代表して何か言ってよ」

響「今日の主役は美希だからな」

美希「ん~…ミキね、響や真君とこうやってライブに出れてとっても嬉しいの」

美希「レッスンも大変だったし、たまにケンカになっちゃったこともあったけど」

美希「休憩中にみんなで食べたおにぎりはとーっても美味しかったの」

美希「あそこのおにぎり屋さんはノーチェックだったから、今度からあそこをお気にの店にしてもいいかなって」

響「何の話をしてるんだ?」

美希「あ、ちょっとずれちゃったの」

美希「えっとね、とにかく今日は響や真君といーっぱいキラキラしたいって感じなの」

美希「だから、よろしくね二人とも!」

響「こっちこそよろしくだぞ!」

真「へへっ、頑張ろうね!」

美希「それじゃあ、いくの!ファイトーっ」

「「オーッ!!」」


小鳥「うっ…ぐす」

P「大丈夫ですか?音無さん」スッ

小鳥「あ、ありがとうございます」ズビー

小鳥「私、こういうのには弱くて…美希ちゃんたち、今日まで頑張ってきましたもんね」

P「はい、あとは見守るだけです」

手の平がじんわり熱い
…少し汗をかいてるの

ドクンドクン

もうすぐステージが始まる…
この静けさもとても心地いいの

美希(……)ドキドキ

パッ

\ワァアアアアアアアアア/

美希「ARE YOU READY!! I`M READY!!」

美希「始めよう やれば出来る~ きっと」

美希「絶対~私NO.1♪」

美希「~♪」

あはっ
すごいの!

響「~♪」タタッ

真「~♪」キュッ

楽しい…楽しいの!!
もっと、もっともっと!

美希「――、-…っ!!」

スポットライトが

フットライトが

音楽が

ファンのみんなの声が…このライブのステージ全部が

ミキを…ううん、ミキたちを
キラキラさせてくれている

ミキが憧れてたキラキラ…ずっとワクワクしてたキラキラ

美希「……」チラ

P「…」ニコ

美希「!!」

ああ
今分かったの

美希(ううん)

ホントはちょっと前から分かってた
でも今、はっきりと確信したの

美希「…あはっ」

真「美希?」

美希「なんでもないの!…みんなーまだまだ盛り上がっていくのーっ!!」

美希「次の曲は”M@STERPIECE”なのーっ!!!」

\ウォオオオオオオオオアアアアアアアアア/

これが好きって気持ち
これが恋って気持ちなんだって

・・・・・・・・・・
・・・・・・・

美希「はぁはぁ」

P「お疲れさん、って言っても衣装チェンジだからあんまりゆっくりは出来ないけどな」

「メイク直すのでこちらに―…」

P「お、行って来い」

美希「ねぇ」

P「ん?」

美希「ミキ、キラキラしてる?」

P「ああ、最高にキラキラしてるぞ」

美希「~~っ」

美希「えへへ」ニコ

美希「それはハニーn」

P「ほら、菊地さんと我那覇さんが繋ぎをしてくれてる間に早く着替えて!」

美希「……」

むぅ

P「どうした?」

美希「なんでもないのっ」プン

美希「…ライブの後半もしっかり見ててね?約束だよ」

P「ああ、分かってるよ」

美希「あはっ、じゃあ行ってくるの」


小鳥「美希ちゃん輝いてますね」ズズッ

P「ええ、いつも以上の実力が出せてます」

P「もちろん菊地さんも我那覇さんもよく頑張ってくれてるのもあると思います」

小鳥「すごい歓声…うぅ、すみませんまたティッシュくれますか?」ウルウル

P「どうぞ」

小鳥「ありがとうございます」チーン

美希「みんな、今日は来てくれてありがとうなの!」

美希「ミキね、今、とーっても気持ちいいの」

美希「響に真君、それからここにいるみんなでこんなに盛り上がれて」

美希「ホントに最高なの!」

美希「ずーっと終わってほしくないけど、次で最後の曲なの」

\エェーーーーーーー/

美希「あはっ、最後の曲も…ううん最後の曲だから、もっともーっと盛り上がっていくよっ!」

美希「大丈夫だよね響」

響「もちろんさー!」

美希「真君」

真「へへっ、当然!」

美希「みんなーっ!」

\ワァアアアアアアアアアアア/

美希「ふふっ、それじゃあ…いっくのー!!”自分REST@RT”!!!」

\オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!/

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「みんなお疲れ様」

響「つ、疲れたぞ」ハァハァ

真「でも…すっごく楽しめたよね」ハァハァ

美希「みんなキラキラしてたの」

P「ああ、観客も盛り上がってたし」

P「何より君たちの顔を見るだけで、今日のライブは大成功だったと言えるな」

響「えへへ」

真「へへっ」

P「それじゃ細かい反省会は事務所でするとして、着替えて帰る準備をしてくれるかな」

P「俺はスタッフさんと話しがあるからまだしばらくは休憩出来るけどね」

真「わかりました」

P「それじゃ、またあとで」

響「うん!」

ガチャ

P「お待たせ、そろそろ帰るぞ…ってあれ?星井さんは?」

真「あ、プロデューサー!美希ですか?そういえば着替えてからいないなぁ」

響「美希…?トイレでも行ったんじゃないか?」

真「それにしては長過ぎることない?」

P「ええ…まいったなぁ」

P「もしトイレだったら俺は入っていけないからちょっと見てきてくれるかい?」

響「わかったぞ」

P「ありがとう」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「やっと見つけた」

美希「あ、ハニー」

P(…ハニー?)

P「トイレにもどこにもいないから探したよ」

P「まさかステージにいるなんてな」

美希「うん」

P「そろそろ帰るよ?他の二人はもう準備出来てるんだから」

美希「うん」

P「星井さんも早く準備して…って聞いてる?」

美希「うん」

P「星井さん」

美希「ハニー…もう少しだけ、もう少しだけここにいさせて」

P「……」

美希「ライブ、もう終ったのにね…全然気持ちが収まらないの」

美希「もっと歌いたい、もっと踊りたい」

美希「もっとキラキラしたいって」

P「星井さん」

美希「ここに立ってると今もライブをしているような感覚になるの」

美希「ライトがミキを照らしてくれていて」

美希「わくわくして、ドキドキして、みんなの声がわぁーって」

美希「とっても心地いいの」

美希「すーっはーっ」

美希「ハニー、ミキ決めたの!」

美希「ミキねトップアイドル目指すの」

美希「今までは何となくキラキラ出来てればいいかなって思ってたの」

美希「でも今日、ミキは分かったの」

美希「それじゃもう満足できないって」

美希「もーっと大きなステージでライブがしたいって」

美希「もっともーっと大きな…」

美希「あはっ、こういうのって武者震いって言うんでしょ?」

美希「だから、ね、ハニー」

美希「ミキをトップアイドルにして」

美希「ミキをもーっとキラキラさせて」

美希「ね?」

P「……」

P(…今までにないくらい最高のモチベーションだな)

美希「ハニー?」

P「ああ、それはもちろんだけど…」

P「そのハニーっていうのはなに?」

美希「ハニーはハニーなの!」

P「答えになってないよ」

美希「ハニーは特別だからハニーなの!」

P「いやだから…ね、星井さん」

美希「やっ!」

P「え?」

美希「ミキって呼んでくれなきゃ、やなの!」

P「えぇ…」

真「プロデューサー!探しましたよ!」

響「美希ぃ~美希の荷物重いぞ~」

P「菊地さん、我那覇さん」

真「もう時間だから楽屋から出てくれって言われて」

響「美希の荷物も全部持って二人を探してたんだぞ」

美希「あはっ、ありがとね、響」

P「すまなかったね二人とも」

真「はい…ってうわぁ、ボクたちってこんなとこで踊ってたんですよね」

響「また踊りたいぞ」

美希「踊れるの」

美希「もっと大きな舞台で」

響「美希」

真「へへっそのためにはもっと頑張らないとね!」

響「うん!とりあえずは美希みたいに有名にならないとだぞ!」

P「はは、そのやる気があれば、きっとすぐに有名になれるよ」

真「いいなぁ、美希にはプロデューサーがいて」

響「自分も羨ましいぞ」

美希「ふふ~ん、ハニーは誰にも渡さないの!」

真「は、ハニー?」

P「はは…」

P「とにかく、今日のライブは二人にとっていい宣伝になったと思うよ」

P「これがきっかけで今までより仕事が増えてくるんじゃないかな?」

響「そうかな?えへへ、そうだといいな」

美希「むー、ハニーはミキのプロデューサーなんだからね!」

P「はいはい、立ち話はこれくらいにして事務所に戻るよ」

真「あ、そうですね」

P「君たちは疲れてるだろうし、さっさと反省会して帰ろうね」

P「あ、荷物もつよ」

真「ありがとうございます」

響「全部持つのか!?重たくない?」

P「はは、これくらいなら平気だよ」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「星井さん」

美希「あふぅ…」

P「星井さん、着いたよ」

美希「んぅ…」

P「疲れたよね、反省会の時のみんなも眠たそうだったし」

P「ほら、だから後はベットの上でゆっくり休みなさい」

美希「ハニー…?」ボー

P「あれから散々言ったけど、ハニーって言うのやめてね」

美希「やっ!」

P「…はぁ」

美希「あふぅ」

P「こら、また寝ようとしない!着いたって言ってるでしょ」

美希「ん~」

ふわふわ
ドキドキ

夢心地

美希(あはっ)

わくわく
キラキラ

本当に楽しかったの

美希(それから…)

ハニー

美希(…えへへ)

今日はいい夢が見れそうなの
あれ?見てたのかな…?

…どっちでもいいの

美希「あふぅ」

今はこの気持ちのまま…おやすみなさい

キリがいいので今日はここまで

明日以降はかなりスピードが落ちると思うけど

のんびり付き合って下さい

おやすみなさい

「やほっ、美希、久しぶり~」

美希「あ」

「ライブ大成功だったらしいじゃん」

美希「うん!すっごく楽しかったの」

「それにしてもすごい人気だね」

美希「そうかな?まだまだなの」

「いや、窓の外にあんたを一目見ようと男子が集まってるから」

美希「あ、あれそうだったんだ」

「気付かなかったのかよ!」

美希「ううん、いつもなら声かけてくるのになって」

「ああ、いつ声をかけるかタイミングをはかってるのかもね」

「で、」

美希「?」

「愛しのハニーとはどうなの?」

美希「全然なの」

「あらま」

美希「だってミキがハニーって呼んだら怒るし、まだ名前で呼んでくれないし」

「大人の事情があるんでしょ」

美希「むー」

「あんたはアイドルなんだから余計なリスクは負いたくないだろうし」

美希「ミキ的には問題ないって思うな」

「いやいや、アイドル的にどうなのそれは」

美希「アイドルも頑張ってるよ?」

「それは知ってるけど」

「でもま、あたしは応援するけどね」

美希「ありがとうなの」

「それに、あたしの目に狂いはなかったようだし」

美希「?」

「やっぱり可愛くなってるってことよ」

美希「ああ」

「それにすっごくいい顔してるよ、あんた」

美希「…えへへ」ニコ

「頑張りなさい」

美希「うん!」

「あ、あの、星井さん」

美希「なぁに?」

「お、邪魔者は退散しますか」

「ライブすごくよかったです…それであの」

あ、そっか
前はライブあるからって断ってたんだっけ?

美希(久しぶりの学校だから忘れてたの)

「もしよかったら付き合ってもらえませんか?」

美希「ん~…」

美希「君はミキをキラキラさせてくれるの?」

「え?」

美希「ミキね、トップアイドルになってキラキラしたいの」

美希「それにハn…あ、これは言っちゃダメなんだっけ?」

「あの…」

美希「あはっ、とにかくごめんなさいなの」

ちょっと意地悪な言い方だったかな?

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

美希「ハニー!!」ダキ

P「うおっと…おはよう、星井さん」

美希「むー!ミキって呼んでって言ってるの!」

P「はいはい、とりあえず離れて」

美希「やっ」

P「はぁ…そのハニーって言うの絶対よそで言ったらダメだよ?」

美希「あはっ、じゃあ事務所でならいいんだね!」

P「出来ればそれもやめてほしいんだけどね」

小鳥「微笑ましいわぁ」ニコ

P「音無さん、見てないで助けてくださいよ…」

でも今は…
ハニーに夢中だから仕方ないの!

美希「ハニー」

P「どうした?」カタカタ

美希「呼んでみただけなの」

P「そっか、まだ仕事まで時間あるから寝てていいぞ」

美希「ミキはハニーを見ていたいって感じ」

P「俺を見ても何も面白くないから」カキカキ

美希「ミキは楽しいの」

P「そうかい」カタカタ

むー、なんか相手にされてないって感じなの

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

P「お疲れさん」

美希「ハニー!今日のミキはどうだった?」

P「よかったよ」

P「ちゃんと番宣も出来てたし、歌も決まってた」

美希「えへへ」ニコ

あはっ、ハニーに褒められると嬉しいの
胸がキュンキュンしちゃう

P「ライブ終わってからさらに忙しくなってきたけど大丈夫か?」

美希「うん!ミキ、まだまだ頑張れるって思うな」

P「えらいぞ」

うん!ミキ頑張るの
だからもっと褒めて、ハニー

――――――――――――

美希「あふぅ」zzZ

小鳥「ふふっ」

P「どうしました?」

小鳥「いえ、美希ちゃんが事務所で寝てる姿ももうすっかり見慣れちゃったなって」

P「ああ…最近は仕事のない日もよく事務所に来て寝てますもんね」

P「まさに今日とか」

小鳥「プロデューサーさんに会いに来てるんですよ」

P「う~ん…どうにかなりませんかねぇ」

P「仕事がない日くらいしっかり休んでもらわないと…」

小鳥「ん~、でも今の美希ちゃんとっても楽しそうですよ」

小鳥「毎日活き活きしてますし、仕事のモチベーションもかなり高いですし」

P「確かにそうなんですが…」

小鳥「仕事といえば真ちゃんと響ちゃんも最近お仕事が増えてきましたね!」

P「ああ、この間のライブがいい宣伝になったようですね」


小鳥「このままみんなのお仕事もどんどん増えていくといいですよね」

P「そうですね、そうなったらもっと人を雇わないと大変なことになりそうですが」

小鳥「社長はピンとこないと雇いませんからねぇ」

P「そういえば初めて会ったときに言われたなぁ、それ」

小鳥「ふふ、でも目は確かですからね…ってあら?」

P「どうしました?」

小鳥「コピー機のインクが…確か予備がここに…って切れてる」

P「あらら、俺買ってきますよ」

小鳥「いえ私が行きます」

P「そろそろ今度の企画で使うものの買い出しと見ておきたいものがあって出るつもりだったんで」

P「ついでに買ってきますよ」

小鳥「そうですか…?ならお願いします」

P「はい、任せてください」

P「あ、何か他に欲しいものとかありますか?」

小鳥「そうですね…赤や青のボールペンとかが少なくなってきますね」

小鳥「コピー用紙はまだ予備もありますし、今はそれくらいです」

P「分かりました」

小鳥「すみません…雑用させてしまって」

P「いえいえ、どんどん使ってください!」

P「よいしょ、それではちょっと行ってきます」

小鳥「はい、気を付けてくださいね」



小鳥「ふふ、ホントいい人ね~」

小鳥「ふぅ、それじゃ事務作業に戻りますか!」

小鳥「プロデューサーさんが戻ってくるまでにこの資料を…」カタカタ

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

P「インクとボールペンはよしっと」

P「後は企画用の小物と…」

美希「ハニー!」

P「え?」

美希「やっと見つけたの!!」ダキ

P「ほ、星井さん!?事務所で寝てただろ?あと離れて!」

美希「ハニーがどっか行く音が聞こえたから起きちゃったの」

P「……」

美希「ねぇハニー?これからどっか行こっ」

美希「ミキ、遊園地行きたいの!」

P「遊園地には用事ないから…」

美希「むー、じゃあ」

P「…その前にこっち」グイ

美希「やんっハニーってば積極的なの」

P「はい、とりあえずこれつけてこれかぶって」

美希「あはっ、ハニーってばセンスいいの」

P「どうせ帰れって言ってもついてくるんだろ?」

P「変装くらいしてくれないと」

美希「ハニーもやっとミキのこと分かってきたみたいなの」

P「こういうとこはあんまりわかりたくなかったけどな」

美希「ミキ、これ大事にするね?」

P「適当に買ったんだから、すぐに捨ててもいいんだぞ?」

美希「ぶっぶー、捨てるわけないの!」

P「…まぁ、好きにしてよ」

美希「うん!好きにするの」

P「はぁ…余計な出費だなぁ」

美希「えへへ」ニコ

美希「ねぇハニー、これとかどう?」

P「それはちょっと色が派手過ぎるな」

美希「あはっ、ミキもそう思うの」

美希「じゃあこれは?」

P「う~ん…ってまてまて、俺は星井さんの服選びに来たんじゃないから」

美希「むー、ミキって呼んでって言ってるでしょ」

P「自分勝手な子は呼んであげないぞ」

美希「あ、ハニー!そういえばこの間行ったアクセ屋にハニーに似合いそうなメガネがあってね」

P「聞いてる?」

美希「いいからいいから!そこに行くのー!」

P「こ、こら、押すんじゃない!歩くからったく…」

美希「ぷっ、あははははっ!ハニーそれすごくいいの!」

P「どこがだよ」

美希「ミキがにらんだ通り、やっぱり絶対なかったの」

P「じゃあかけさせないでくれ」

美希「じゃあ次は~これとか?」

P「もうかけないぞ!ってかこっちは仕事で出てるの」

P「遊んでる暇なんかないんだぞ?」

美希「今更なの」

P「確かに…だが、まずは用事を済ませてからだ」

美希「しょうがないの」

P「しょうがなくない」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

P「とりあえず買うものは買ったけど」

美希「~♪」ニコニコ

P「上機嫌だね、星井さん」

美希「うん!これでハニーが私服ならもう完璧って思うな」

美希「あ、でも今のハニーをミキがコーディネイトするのも全然ありなの」

P「コーディネイトしなくていいから」

あはっ、もうこれってデートだよね?

美希「あ、ねぇハニー!プリクラ撮ろっ!」クイ

P「こらこら…」

美希「フレームは可愛いのにして~♪」

デートってこんなに楽しいんだね
ミキ知らなかった

美希「ほらハニー!早くポーズとってっ」

P「こ…こうか?」

美希「あははは」

このままずーっと遊んでたいな!

P「結局遊んでしまった…もう夕暮れじゃないか」

美希「ミキはとっても楽しかったよ?」

P「いや俺も楽しかったけど…うん」

P「流石にそろそろ帰らないとな」

美希「え?もう?」

ミキはまだまだ遊びたいの

P「音無さんに頼まれたものを渡さないといけないし」

P「今日の仕事はまだ済んでないしな」

美希「むー…」

P(現状を音無さんに報告したら、親指立てた絵文字だけ返って来たのを)

P(勝手に了承と受け取ったんだが)

P(流石にこれ以上は待たせられないしな…)

美希「じゃあハニー、ミキあと一カ所だけ行きたいとこがあるの」

美希「いい?」

P「あと一カ所くらいなら…まあ」

美希「あはっ!じゃあこっちなのついてきて!」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「へぇ、繁華街の外れにこんな公園があるなんてな」

美希「ここはね、ハニー!ミキのお気に入りの場所なの」

美希「人通りもそんなに多くないし、風が気持ちよくて、そこのベンチに座ったらあふぅって」

P「流石にアイドルが公園で寝るのは問題になるからやめてね」

美希「冗談なの、そんなことたまにしかないから大丈夫なの」

P「いや、たまにでも困るから」

美希「もー、ハニーはだめだめ言い過ぎなの!」

美希「ちょっとはカモ先生を見習うべきなの!」

P「カモ先生…?」

美希「うん、カモ先生」

美希「あ、ほら!あそこでぷかぷか浮いてるよ!」

P「ぷかぷか…ってアレはカモか…?」

美希「だからカモ先生だって言ってるでしょ?」

美希「ハニーはあのぷかぷか自由に浮いてるカモ先生みたいに」

美希「もっと楽に生きた方がいいの」

P「……」

美希「そしてもっとミキを甘やかすべきだって思うな」

P「いや、それは関係ないでしょ」

美希「あはっ、バレちゃったの」

P「ったく…」

P「でも、いい所だね」

P「すごく落ち着けるし、星井さんがお昼寝したくなる気持ちも分かるよ」

P「はは、まあ今は夕方だけどね」ニコ

美希「ハニー」

はぅ…胸がきゅんきゅんいってるの
お気に入りの場所にハニーがいるだけで全然違って見える

P「ふぅ、じゃあそろそろ帰ろうか」

美希「あ…」

もう終っちゃうの?
もう少し…もう少しだけ終わらないで

美希「ハニー」キュ

ミキはまだハニーと一緒にいたいの

P「…星井さん?」

美希「あのね、ハニー」

美希「ミキ、ハニーのことが好き」

P「ほ、星井さん…」

美希「ハニーといると胸がきゅんきゅんっていってるの」

美希「他の男の子たちとは全然違う」

美希「ドキドキして、キラキラさせてくれるハニーが好きなの!」

P「……」

美希「ねぇ、ハニーは?」

美希「ミキのことどう思う?」

美希「ミキのこと…好き?」

あれ?ミキ、ハニーともう少しいたいだけだったのに
なんでこんなこと言ったんだろ…でも

P「……」

知りたい
知りたい…けど知りたくない

美希「……」ドキドキ

知りたくない
知りたくない…けど知りたいの

P「あ」

美希「ああ!!ま、待ってハニー!!」

美希「何も言わないで!」

美希「どっちの答えでも、ミキおかしくなっちゃいそうなの!!」ドキドキ

美希「ハニー、ミキ、今日はもうここで帰るの!」

P「星井さ…」

美希「じゃあね!ばいばいっ!!また事務所でなのーっ!!」タタタ

P「……」

ドクンドクン
いつまでも収まらないの

美希(逃げちゃった)

返事を聞くのが怖かった
お仕事失敗しちゃうことよりも、舞台監督さんに怒られる時よりもずっと

美希(ハニー…)ゴロン

ミキに告白してくれた男の子たちもこんな気持ちだったの…かな?
だとしたらすごいな…

美希(ミキ、こんなに意気地なかったんだ)

知らなかった

美希「あふぅ」

今日のこと全部夢だったらいいのに

美希「……」

夢だったらいいのに…

・・・・・・・・・・・
・・・・・・

ガチャ

小鳥「あ、おかえりなさい、プロデュサーさん!」

P「はい、ただいま戻りました」

P「すみません遅くなってしまって…」

小鳥「全然構いませんよ!それより美希ちゃんと楽しんでこれましたか?」

P「そうですね、はは…まあ、いろいろ振り回されました」

小鳥「ふふ、プロデューサーさんとお出かけなんてそりゃ美希ちゃんもはしゃいじゃいますよね」

P「……」

小鳥「プロデューサーさん?」

P「え?あ、はい、俺もそう思います」

小鳥「大丈夫ですか?疲れてるんでしたら今日は…」

P「ああ!大丈夫です!全然元気ですよ!!ほらこの通り!」グッグッ

小鳥「は、はぁ…」

P「残してた仕事はちゃんと終わらせてから帰りますので安心してください」

小鳥「あ、私の方はもう終わらせましたからお手伝いしますよ」

P「いえ、大丈夫です、音無さんも激務で疲れてるはずなので」

P「休めるときに休んでください」

小鳥「でも…」

P「それに、ちょっと一人で考えたいことがあるんです」

P「ですから今日はもう俺一人に任せてください」

P「戸締りもちゃんとしときますので」



小鳥「そう…ですか」

小鳥「…分かりました、それじゃあ、先に上がらせてもらいますね」

小鳥「お疲れ様ですプロデューサーさん、頑張ってくださいね」

小鳥「くれぐれも無理をしないように、ですよ?」

P「はは、はい、気をつけます」

小鳥「ふふ、よろしい…!では」

P「はい!今日はありがとうございました!」

P「お疲れ様です!」


P「…ふぅ」

P「さて…と」キィ

P「……」カタカタ…

P「……」

・・・・・・・・・・
・・・・・・・

遅筆ですみません

少し休憩したらまた書き始めます

美希「ハニー!おはようなのー」

P「おはよう星井さん」

美希「今日ね、おにぎり屋さんでサービスしてもらったの」ガサ

美希「だから一緒に食べよ!」

P「ああ、まだ仕事まで時間もあるしいいよ」

美希「えへ、やったの!」

P「じゃあ、お茶淹れてくるから少し待ってて」

美希「分かったの!」

小鳥「ふふ、美希ちゃん相変わらず元気ねぇ」ニコ

美希「でね、~が休み時間に―…で」

P「はは」

美希「それから~」

P「……」

P(普段と変わらないように振舞ってはいるけど)

P(今日は抱きついてこないし、今も隣じゃなく正面で話してる)

P(やっぱりあの事を気にしてるようだ)

P(まあ気にするなって言っても無理だろう)

P「さて、そろそろ時間だし移動するか」

美希「はいなの」

美希「……、―…っ!」

オッケー!ジャアツギノシーン…

P(ふむ…)

・・・・・・・・
・・・・・

P「お疲れ様」

美希「ハニー!ミキどうだった?」

P「よかったよ、ってハニー呼びはやめなさい」

美希「むぅ」

P「ただ撮影中にあくびするのはいただけないな」

美希「出ちゃうのは仕方ないの」

P「せめて我慢しようとする素振りくらいは見せようね」

美希「次から気をつけるの」

P「よろしい」

P「じゃ、今日は事務所に戻って成果報告、連絡事項を確認したら終わりだ」

美希「ねぇねぇハニー、事務所に戻る前に駅前のカフェに寄ってもいい?」

美希「あそこのケーキはクリームがふわふわでとーっても美味しいの!」

P「この時間にケーキなんて食べたら夕飯が食えなくなるぞ」

美希「じゃあハニーと半分こするの」

P「もっとダメだろ」

美希「ミキ的には大丈夫って思うな」

P「何一つ大丈夫じゃないよ」

美希「ぶー」

P「はいはいケーキは今度にしてさっさと事務所に戻るよ」

美希「…はーい」

―――――――――――――

P「―…という感じです」

社長「うむ、御苦労さま」

美希「あふぅ」zzZ

小鳥「お茶入りましたよ~」コト

社長「ああ、ありがとう音無君」

P「ありがとうございます」

社長「はっはっは、しかし素晴らしいじゃないか」

社長「あのライブ以降CDの売り上げも更に伸びて」

社長「全国放送のレギュラーも決まったなんて」

P「星井さんの頑張りのお陰です」

社長「いやいや、キミも含め二人の頑張りの賜物だろう」

P「はは、ありがとうございます」

P「あ、そうだ…来月頭のフェスに参加しないかという話が来まして」

社長「ほう」

P「こちらが資料です」スッ

P「参加事務所も多く規模も大きめですので、もちろん参加させていただこうと思っています」

小鳥「フェスですか…そう言えば美希ちゃん、ちゃんとしたフェスってほとんどしたこと無いんじゃないかしら?」

P「はい、意図的に避けてたわけではないのですが、フェスに出る機会はほぼありませんでしたね」

P「ですが、星井さんなら充分な活躍をしてくれると思います」

社長「ふむ…」ペラ

P「どの事務所も名の知れたアイドルたちが参加するようですのでかなり盛り上がるのではないかと」

P「その中で、ある事務所だけシークレットになっているのも今回のフェスの売りみたいです」

P「一応調べてみたのですが、当日まで一切の情報を公開しないそうです」

P「事前の情報が重要なフェスでここまで情報規制が出来るとは、事務所の大きさの違いを感じました」

社長「…961プロか」

P「まあ、まだ日はありますので、調べられるとこまで調べてみようかと思います」

P「フェスの経験不足は情報力でカバーしときたいですから」

P「その他の対策としては、今回のフェスで新曲を披露したいと考えています」

P「リスクもありますが、この規模のイベントで発表できるチャンスを逃す手はありません」

社長「……」

P「しゃ、社長…?」

社長「ん?ああ、すまない」

社長「少し気になることがあってね」

P「気になること…ですか?」

社長「うむ、少しキミには話しておかなければならないことがある」

P「なんでしょうか?」

社長「あぁ、ここじゃなんだ…社長室まで来てくれるかい?」

P「…分かりました、こちらも今後懸念される事と、もう一つ、話しておきたいことがありますので」

P「すみません音無さん、少し星井さんをお願いしてもいいですか?」

小鳥「はい、大丈夫ですよ…って言ってもぐっすり眠っちゃってますけど」

P「はは…えっと、帰りは送っていきますので待っていてもらえるよう伝えといてください」

小鳥「分かりました、あとでコーヒーでもお持ちしますね」

P「ありがとうございます」

社長「それじゃ行こうか」

P「はい」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

P「お待たせ、星井さん」

美希「遅いの!」

P「すまない、社長との話が長引いちゃってね」

美希「…ケーキ」

P「…分かった、もう店は閉まってるだろうから、今度時間があるときに行こう」

美希「じゃあ許すの!」

P「ありがとう、それじゃ車をまわしてくるね」

美希「うん」

P「さて、事務所でも言ってたけど、来月頭にあるフェスに参加することになった」

美希「えっと、他の人たちと一緒にステージをして、どっちがより盛り上がったか~ってやつだよね?」

P「ああ」

美希「あはっ、燃えてくるの!」

P「うん、星井さんはいつも通り頑張ってくれればいい」

美希「ミキはいつも頑張ってるよ?」

P「はは、そうだね」

P「そうそうフェスでは新曲を披露するからもーっと頑張らないとね」

美希「新曲かぁ…えへへ、楽しみなの!」

美希「ねぇ、ハニー?」

P「ん?」

美希「今度のフェスで、ミキが一番盛り上がったら何かご褒美ちょうだい」

P「ん~…俺が用意できるものならいいよ」

美希「ホント!?」

P「ああ」

美希「んふふ~…何にしようかなぁ」

P「あんまり高いものはダメだぞ」

美希「分かってるの!」

何か買ってもらうより
ハニーに何かしてもらう的な感じにしちゃお

P「あ、星井さんに言わないといけないことがあるんだ」

美希「?」

あらたまってどうしたの?

キリのいいとこまで行きたかったけど行けなかった

全然進まなくて申し訳ない

これからは数日に一回はこんなペースですが進ませたいと思います

おやすみなさい

美希「言わないといけないこと?」

P「ああ、今後の星井さんの活動に影響する大事な話だからちゃんと聞いてね」

美希「大事な話…」

なんだろ…
なんだか胸のあたりがざわざわするの

P「まあ、この間のことで―…」

美希「やっ!」バッ

美希「ミキ聞きたくない!」

P「星井さん…この話は聞きたくなくても聞いてもらわないといけないんだよ」

美希「やなの!ハニー、お願いだから言わないで!!」

美希「この間のことはもう忘れてなの!!」

P「いや違うよ、これはそういうのじゃなくて…」

美希「何も違わないの!!」

美希「あっ!ここもうミキの家の近くだからここで降ろしてなの!!」ガチャ

美希「あれ?開かないの…」ガチャガチャ

P「…そりゃ鍵かけてるからね」

P「とはいえ危ないから走ってる車のドアを開けようとしたらダメだよ!」

美希「……」キョロ

P「待った、鍵を開けようとしない」

美希「うー、降ろしてなの…」

P「はぁ…分かったよ」

P「今の星井さんは言おうとしても聞いてもらえそうにないからね」

美希「ハニー…ありがとうなの」

P「ま、もうここまで来たんだから、家の前まで送るよ」

美希「うん…」

P「ふぅ…」

美希「……」

P「……」

P「着いたよ」

美希「うん…」

美希「ハニー」

P「ん?」

美希「ごめんなさい」

P「……」

美希「でもミキは、今のままがちょうどいいって感じなの」

美希「アイドルのお仕事も楽しくて、ファンのみんなとキラキラ出来て」

美希「ハニーがいる…そんな毎日が好きなの」

美希「だから…」

P「星井さん」

美希「ハニー…」

P「星井さんの言いたいことは、十分伝わってるよ」

P「このまま何も変わらずってのは難しいけど、星井さんが望んでるような毎日が続くように」

P「俺も出来る限りのことはするよ」

美希「ハニー!うんっ!!」

P「じゃ、もう遅いから帰りなさい」

P「ゆっくり休むんだよ」

美希「うん!またね、ハニー」

P「おやすみ」

P「……」

P(う~ん…困ったなぁ)

P「すぐに分かる事とはいえ…ちゃんと話しておきたかったんだけどな」

P(メールで……いや、やめとこう)

P「はぁ…やっぱり無理にでも言っとくべきだったかな」

――――――――――――――

美希「おはようなのー!」

P「ああ、おはよう星井さん」

P「今日のレッスン、悪いけど一人で行ってくれるかな?」

美希「えー?ハニーは?」

P「俺は午後までに終わらせないといけない書類があってね」

美希「ぶー」

P「はは、収録には間に合うようにするからさ」

美希「むぅ…分かったの」

P「ありがとう」

美希「じゃあ行ってくるの」

P「行ってらっしゃい、車に気をつけるんだよ」

美希「分かってるの!」

P「音無さんこの資料のコピーお願いできますか?」

小鳥「はい」

P「で、これをこうして…っと」

P「うーん、思ってたより時間かかってしまったな」

P(星井さん怒ってるだろうなぁ…)

「おはようございます」ガチャ

P「え?あ、お、おはよう」

P「あれ?確か打ち合わせは明後日のはず…なんだけど」

「え?ですが、社長は今日と…」

P「社長が…?」

「はい」

P「…あー、まあせっかく来てくれたんだから打ち合わせしようか」

P「ちょっと準備するから応接室で待っててくれるかな?」

「わかりました」

・・・・・・・・
・・・・・

美希「……」プイ

P「そろそろ機嫌を直してくれないかな」

美希「…収録には間に合うって言ってたの」

P「だから、こうして謝ってるんじゃないか」

美希「ミキは謝って欲しいんじゃなくて、収録に来てほしかったの!」

P「本当に悪いと思ってるよ、でも急な予定が入ってしまって仕方なかったんだ」

美希「そんなのミキに関係ないの!」

P「星井さん…」

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