まどか「おはようほむらちゃん」 (247)

登校路

まどか「あ……」

ほむら「……」テクテク

まどか(暁美さんだ……ど、どうしようかな。)

ほむら「……?」クルッ

まどか「んひっ!?……」

まどか(き、気付かれちゃったー……!)

テクテク

まどか「お、おはよう。あけm……ほ、ほむらちゃん」

ほむら「ええ、おはよう。まどか」

まどか「う、ん……」

テクテクx2



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叛逆ネタバレ有り 続編的物語 二番煎じ覚悟

まどか「……」テクテク

ほむら「……」テクテク

まどか(ど、どどど、どうしよう。

    一応、クラスメートだし、一緒に歩いて登校してるけど……

    昨日のこと、思い出すとなんか話しづらいなぁ)

まどか「……」テクテク

ほむら「……」クスッ

まどか「え?」

ほむら「なんでもないわ。昨日のテレビのことを、ちょっとね」

まどか「テレビ?」

ほむら「そう。

    そういえば、まどかはこっちに戻って来てからもうテレビは見たかしら?」

まどか「え、いや、引越しの色々で忙しくて、

    全然、見てないや」

まどか(あれ? 結構普通の会話だ。

    てっきり、また秩序がどうとか、なんかよく分からないこと言われるのかなって)

ほむら「動物、好きかしら?」

まどか「え? う、うん。」

ほむら「そう、好きな動物は?」

まどか「えっとね。うん、猫とか、ウサギとか、可愛いのが好きかもだけど、

    動物はなんでも好きだなぁ」ニコッ

ほむら「っ……ふふ、でも日本で見るのとあっちとでは違うわよね」

まどか「そうだね。お散歩してる犬の種類も結構違うかも」



ほむら「……」

猫「ニャー」

まどか「え?」

*****

まどか「何か居た?」

ほむら「猫みたいね」

まどか「……?」


ほむら「……大変、少しゆっくりしすぎたみたい」チラッ

時計「オッス」

まどか「え、あ! そ、そうだね!」

ほむら「急ぎましょう。まどか」スッ

まどか「っ!」

まどか(っ、アクティブな子だなぁ。 

    日本だと、会ったばかりの人の手をつなぐのなんてありえないと思ってた)

ほむら「ほら」

まどか「う、うん」

キュッ

ほむら「走るのは得意?」

まどか「えとぉ、そうでも……ないかなって」

ほむら「遅刻しないように、急ぎましょう。

    大丈夫、転びそうになっても支えてあげるから」タッ

まどか「わわっ!」タッタッタ



………………


学校 教室

キーンコーンカーンコーン

和子「目玉焼きなんて、そう、本当にどっちでもいいんですよ」

杏子『またかよ……』

さやか『まぁまぁ、きっと先生もアレで精神保ってるんだから……』

杏子『つったって毎日毎日こうだと先が思いやられるぜ。

   嫁き遅れって言葉が脳裏から離れねー』

マミ『二人とも、あんまりテレパシーを濫用しないでっ!』

さやか『っ、す、すみませぇーん』



和子「ねぇ、中沢君」

中沢「は、はい」

和子「ケチャップとソース。

   固焼きか半熟か……

   やがては、焦げ目の有無にまで……

   細かいことに固執するのは、よいことでしょうか」

中沢「えっと、多分、間違っているんだと思います」

和子「……」

中沢「……」タラリ

和子「……良いことなのか、悪いことなのか……

   実は、それすらもどちらでも良かったのです……」

全生徒(えー……)

………………


教室 昼休み

まどか(お弁当、どうしようっかな?

    まだあんまり話せてない子が多いし、

    ていうか、ほとんど知らない子だし)

ほむら「まどか」

まどか「っ、あ、ほむらちゃん」

ほむら「お昼、一緒にどう?」

まどか「 

    う、うん、一緒に食べよっ」

ほむら「あまり人に知られてない穴場があるの。

    案内するから、そこで食べましょう?」


まどか「うん  えへへ、ありがとうね」

ほむら「ありがとう?」

まどか「うん、その、まだ二日目だし、加わるコミュニティがないって言うか……

    ほむらちゃんに声かけてもらってちょっと安心した」

ほむら「……そう。

    …………ふふ、別に、貴方のためとかじゃないわよ。

    私が、貴方とお話したいって思っただけ」

まどか「えへへ、それでも、ありがとうだよ」

ほむら「……」





さやか「……」

杏子「さやか? おーい、さやか?」

さやか「んー、」

杏子「さやか?」

さやか「……転校生」

杏子「ああ、まどかだっけ?」

さやか「なんか、あの子見てるとすごく懐かしくなっちゃって」

杏子「ふーん……知り合いなんじゃね?」

さやか「あ、うん。そういえば、三年前……」

杏子「、お、おいマジかよ。それなら話しかけてやれよ!」

さやか「……三年前……?」




ほむら「」


まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「ちょっとね。やっぱり、もう二人くらいついてきたい人が居るみたいだわ」

まどか「え?」

さやか「ちょっとちょっと、クラス委員さん?」ツカツカ

ほむら「なにかしら?」

まどか「え、え?」

さやか「昨日から見てればさぁ、何かと転校生ちゃんを独り占めしてない?」

ほむら「独り占め?」

杏子「ちょ、さやかっ 何でいきなり喧嘩腰なんだよ」

さやか「やーね、冗談よ。

    それより、まどかとちょっと話したいんだけどさ」

まどか「え? 私?」

さやか「そう」

まどか「……」ジー

さやか「……」ジーッ









まどか「……さ、やか ちゃん?」


さやか「あは、やっぱり!

    まどかって、あのまどかだよね?」

杏子「……おいおい、なんだよ。知り合いかよ」

さやか「知り合いも何も、三年前はよく一緒に遊んでたんだけどねぇ」

まどか「そうだったね! うわー! 目の前で見るまで気付かなかったよ!」

ほむら「知り合いだったのね?」

まどか「うん。さやかちゃんとは三年前によく一緒に居て、

    それで……」

さやか「急にいなくなっちゃうんだもん。かなり寂しかったんだぞぉ?」

まどか「う、うん。ごめんね。あの時は立て込んでたのもあったし、

    言い出せなくて……」

さやか「いーのいーの。

    てなわけで、お昼ごはん、私も一緒でいーでしょうか?」

杏子「今なら杏子ちゃんももれなくついてきます」

ほむら「ええ、構わないわ。貴方たちも招待してあげる」

さやか「あんたにゃ聞いてないわよーだ!」

まどか「そんな、さやかちゃんってば」

さやか「騙されるんじゃないわよまどかぁ。

    こういうのに限って、

    真面目なクラス委員のフリして結構自分の願望上手にかなえてるのよー」ニヤニヤ

ほむら「ふふ、確かにそれはそうかもね」クスッ

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「だって、クラス委員であることを傘に着て、こうしてお昼に誘ってるんだものね」ナデナデ

まどか「わぷ、ほむらちゃん……?」

さやか「ほらほらそうやって独り占めしない」グイッ

まどか「きゃっ!?」



さやか「まったく子悪魔なんだから。

    それも、あんたって悪びれないあたり見ると、結構な悪魔よね」



ほむら「……」



まどか「?」

杏子「悪魔ぁ? そいつはおもしれぇww

   こんな人畜無害なクラス委員が悪魔なワケねーじゃん!」

さやか「意外性って奴だよ。ま、さすがに悪魔はちょっと言いすぎかなー。

    ごめんごめんw」

まどか「も、もう、さやかちゃん。少し口が悪くなったんじゃないかな?」

さやか「ごめんって! ほら、行こう!」

ほむら「ふふ、悪魔ね」

さやか「ちょ、根に持たないでよ!」

ほむら「いいえ。そういうわけじゃないわ。

    言いえて妙だと思っただけよ」クスッ

さやか「っ

    前言撤回! この笑い方はやっぱり小悪魔だ!!」

まどか「さやかちゃん!」

………………


放課後

さやか「でさー、そんときー……」ペチャクチャペチャクチャ

まどか「えー。そうなの!?」ペチャクチャペチャクチャ

ほむら「でも貴方はそういいながら……」ペチャクチャペチャクチャ

杏子「あははは!!」ペチャクチャペチャクチャ




さやか「っ」ガタッ

杏子「っ」ガタッ

まどか「え?」

ほむら「……どうしたの?」

さやか「えと、うん。なんでもない、ってワケでもないんだけど」

杏子「わりっ、そういや私たち待ち合わせしてるんだった」

まどか「え、そうなの? それじゃ急がないと」

さやか「うん、ごめんねまどか、また今度ゆっくり話そう!」

杏子「じゃーなー」

タッタッタ……





まどか「……行っちゃった」

ほむら「忙しい人達ね」

まどか「でも、よかった。

    なんか、さやかちゃんが居るって思ったら、

    前より帰ってきたって感じがするよ」

ほむら「まるで


    ずっと 一緒に居たかのような言い方ね」


まどか「うん。ずっと一緒だったもん

    ずっと……」


まどか「ずっと?」

ほむら「ねぇっ、まどか。

    門限とかは、大丈夫なの?」

まどか「あ、うん。そういうのはないけど、でもそろそろ帰らないと、晩御飯に間に合わないかも」

ほむら「そうね。じゃあ一緒に帰りましょう」

まどか「うん。あ、まってね。今荷物まとめるから」


………………


夕方
マミの家

ガチャッ……

マミ「ふぅ……」

マミ(魔獣との戦い……日に日に慣れていく連携)

ポフッ

マミ(今まで、一人で戦うことだけ考えていた。

   だけど、魔獣との戦い、そして魔法少女としての生活に、

   今、希望の光がさし始めている)

マミ(一人じゃない。そう思えるだけでとても楽になれた。

   彼女たちには、感謝しなくちゃね)



マミ(美樹さん。佐倉さん。

   今度は、どんなケーキでおもてなししようかしら)




………………


美樹家 二人の部屋

杏子「さやかー、宿題やったー?」

さやか「やってるけど見せない」

杏子「ちぇー。じゃあいいや。明日まどかに見せてもらおーっと」

さやか「あんたねぇ、少しは自分でやる努力しなさいよ!」

杏子「だってわかんねぇんだもん」



杏子(さやかと、マミと

   三人で魔獣と戦い始めてどれくらい経ったか。

   結構荒んでたのも今となってはちょっと懐かしい。

   最初の頃は、さやかにはちょっと悪いことしちまったなぁ、

   とか、ちょっと思ったり)


杏子「……わかんねぇけど、ちょっとは、自分でやろうかな」

さやか「お、めずらし」


杏子(一人で戦ってたときよりも、物足りねぇ感じがする。

   って言うのは、あまりにも不謹慎なんだろうなぁ。

   今まで一人で戦ってきたんだから、当たり前か)



さやか「……」

さやか(なんか、もやもや、する。

    イライラとか、じゃない。もやもやするんだ。

    何か、大切なことを忘れているような)



さやか「しょうがない、やる気を出した杏子ちゃんのために、

    私が少しお勉強を教えてあげようかしらね」

杏子「計画通り」ボソッ

さやか「んー? なにかいった?」




さやか(ま、いっか!

    今は、新米魔法少女としてがんばらないとねっ!)



………………


鹿目家
まどかの部屋

まどか「よいしょっと、これで、全部片付いたなぁ」

まどか(新生活、かぁ。

    ちょっと不安だったけど、何とかなりそうかな)

ポフッ

まどか(暁美さん……ほむらちゃんも、ちょっと変わってるけどいい人だし

    さやかちゃんにも再会できたし)

ゴロン

まどか(ああ、そういえば杏子ちゃんって子は面白かったなぁ。

    さやかちゃんと仲いいみたいだし、これからもずっと仲良くなれるよね)




知久「まどかー、お風呂準備できてるよー」

まどか「はーい!」



まどか(明日も、がんばろっ!)





………………



ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら「……」





ほむら「……」クスッ

Qべぇ「……」

ほむら「どうしたの?」

Qべぇ「……」

ほむら「ふふふ、そうね。喋るなと言ったもの。喋らないで居るのが当たり前よね」

Qべぇ「……」


ほむら「本当に、お利口さん」

Qべぇ「……」

ほむら「お利口さん過ぎて、どうにかしてしまいたくなるわ」

Qべぇ「……」

ほむら「最近、毛並みが悪いわね。

    私の覚えによると、貴方はいつもきれいな毛並みをしていたような気がするのだけれど?」

Qべぇ「……」

ほむら「答えなさい」

Qべぇ「僕達の肉体はあくまで動物のそれと似ているモノだ。

    毛並みと言うものにこだわるのであれば他の動物にするような手入れをしないといけないんだ」

ほむら「……そう。つまり、最近貴方を殺していないから、新しいQべぇが来ない。

    そのせいでいつまでも貴方は小汚いまま、ってことね?」

Qべぇ「その通りだよ」

ほむら「そう。もう喋らなくていいわよ」

Qべぇ「……」




ほむら(……嗚呼、充実している)

ほむら(まどかが居る。今この世界にまどかが居て、

    触れることができる、話すことができる、認識できる。

    それだけで、私は幸せ。

    何も憂うことはない)



ほむら「……ふぅ」ウットリ



ほむら(まどかのために、まどかの願いを否定し、この世界を作った。

    まどかの築いた世界を書き換えたこと、

    どこか後ろめたく感じるかとも思ったけど……

    不思議と、全然、そんな感覚は芽生えてこない)

ほむら(ただ彼女が彼女なりに幸せになること。

    それだけが私の望み。

    そのために円環の理も残したのよ。

    そして、このインキュベーターも)

Qべぇ「……」

ほむら(まどかの憧れの魔法少女。

    その夢は、大切にしてあげないと、ね)




クスクス……


………………

起きてる自信なくなってきたからいったん止める

よっしゃまどほむやんけ

何やら乙

台詞の途中で1行空けるのは読み辛いから
↓こういう風に間を詰めた方がいい

まどか「うん、その、まだ二日目だし、加わるコミュニティがないって言うか……
     ほむらちゃんに声かけてもらってちょっと安心した」

………………

翌日 放課後

さやか「お待たせー、まどか、今日は一緒にあそぼー!」

まどか「あ、さやかちゃん。ちょっと待って 私も準備するっ」

さやか「おやおや。暁美さんと仲良くしてたみたいですねぇ。
    もしかして二人ってもうあれな感じ?」

まどか「あれって?」

ほむら「妙な勘繰りをする暇があったら貴方自身の身を省みることね」

さやか「ぬ、ぐ……まぁ、それもそうだね」

杏子「さやかー!」ガシッ

さやか「はいはい引っ付くな引っ付くな」

まどか「あはは、二人とも本当に仲良いね」

さやか「妬かなくてもいい、私の嫁はまどかだけだよ」キリッ

まどか「あはは、何それw」

杏子「さやかなりの最上級の親愛の言葉だよ、適当に流しとけ」





ほむら「それじゃあ、私はこれで」

杏子「あん? 用事でもあるのか?」

ほむら「ええ。クラス委員の用事がね」

さやか「一応、私たち駅前周辺にいるから、来るんだったら連絡しなさいよね」

ほむら「ええ、分かってる。
    まどか、駅前は人が多いから気をつけるのよ」

まどか「気をつける、って。そんな、ママみたいなこと言わないでよ。
    大丈夫だってっ」

ほむら「ふふ、そうね」



………………


ビルの屋上


ほむら「魔獣の居場所は?」

Qべぇ「変わりないよ。
    このまま行くと、自然に杏子とさやかはまどかを巻き込んで戦うことになるだろうね」

ほむら「そう。それでいいわ」

Qべぇ「……」

ほむら「……それにしても、ずいぶん喋らなくなったわね」

Qべぇ「……」

ほむら「お願いしたのはこちらだけど、以前は黙りなさいと言っても黙らなかった貴方が、
    今こうして沈黙を保っているのはある意味不気味よ」

Qべぇ「……」

ほむら「興味があるわ。どうして一言も喋らないことを受け入れたのか」

Qべぇ「……」





ほむら「こたえなさい」

Qべぇ「君のお願いを守っているのは、何も従っているからと言う理由だけではない。
    僕達は多少饒舌であるべきとされているから、本当は喋ることもできる。

    君の機嫌を害してでも話をすることが必要であるなら、
    僕達は君に話し続けるだろう。

    だけど僕たちの中では、人間の感情を利用したエネルギーの採取方法は
    僕たちの手に余る、という決定がなされている。

    感情に訴えかけるという行為が必要ない以上、君たちに話しかけることは無駄だから、
    君にお願いされたように、喋ることは慎んでいるんだよ」

ほむら「そういうこと」

Qべぇ「僕たちの体もエネルギーの一部だから。殺されるよりは喋らない方がずっとマシさ」

ほむら「ええ、そうね。とてもお利口さん」




ほむら「でも、あまりにお利口が過ぎると、」

ガシッ

ほむら「……苛めたく、なるのよね」

ギリギリギリ……





ほむら(貴方たちさえ存在しなければ……私はもっと……)

Qべぇ「……」

ほむら(……いえ、それは間違っていたわね。

    人類の発展に、魔法少女は欠かせなかった)

Qべぇ「……」

ほむら「……」パッ

Qべぇ「きゅっぷいっ」ポテッ




ほむら「インキュベーター いえ、Qべぇ。
    魔法少女は多いほうがいいでしょう? 魔獣を狩るのに効率を求めるのは当然よね?」

Qべぇ「ああ、それはもっともだ」

ほむら「もうすぐ紹介してあげる。

    私の、大切なお友達……」

Qべぇ「……」


ほむら「……それにしても、その毛並みじゃちょっとね。
    殺して新しいのを用意させてもいいけど、」

Qべぇ「……」

ほむら「気が向いたわ。ブラッシングしてあげる。
    巴マミのようにうまくはできないと思うけど」

Qべぇ「……」スタスタ

ほむら「ふふ、お利口さん
    ほら、おいで」

チョコン


Qべぇ「……」

ほむら「このまま、首を絞められるとは思わなかった?」

Qべぇ「そう思うよりも早く弾丸が飛んでこなかった時点で君に僕を殺す意思がないことは分かっているよ」

ほむら「そうね。よく分かっているじゃない」

サッ サッ サッ



ほむら「……」



………………


数分後


ほむら「まどかの様子は?」

Qべぇ「さやかと杏子が魔獣との戦闘に入った。そろそろまどかも魔獣に接触するころだろう」

ほむら「頃合いかしらね」スッ

Qべぇ「……」タッ

ほむら「先に接触しなさい」

Qべぇ「……」タッタッタ



ほむら「今、行くわよ。まどか」






………………


スタスタスタ

ほむら(まどかの理想は間違っていないと思う。

    魔法少女は人間にとって必要。いつの時代も、歴史の裏には魔法少女が存在して、
    そのおかげでこうして文明が発達している。

    魔法少女そのものを否定しなかったのはまどかの意志。
    そして、インキュベーターを否定しなかったのも、まどかの意志)

ほむら(でも、その理想を叶えるためにまどかは円環の理となった。
    一人の少女に背負わせるにはあまりにも残酷な運命)

ツカツカツカ

ほむら(だけど、私は、まどかがそう望んだのであればそれを尊重するつもりでいた。
    この世界を、まどかが望んだ状態にする。それが私の使命だと思っていた)

ほむら(ただそれでは満たされないものが多すぎた。

    ぽっかりと穴のあいたような心。
    あのリボンを握りしめても、私の心を隙間を埋める感情はなかった。

    本当はどうすればよかったのか、本当にまどかを失って得られたこの世界が正しいのか)



ほむら(空虚、後悔、喪失感……

    さいなまれて、耐え切れなくなったころ、途端に私のソウルジェムは輝きを失い、
    円環の理に導かれるの一歩手前まで来たとき、
    私の体はインキュベーターの実験に使われた)



ほむら(その時。私が作り出した世界に居たまどかは……
    本当にまどかだった)

    それがわかったからこそ、あの言葉 あの一言で、私の決意はより固まった)







………………


路地裏

まどか「はぁっ、はぁっ……」タッタッタッタッタ

Qべぇ「こっちだよ! まどか」タッ

まどか「う、うん!」



まどか「ね、ねぇ、あなた、なんなの?
    それに、うしろからおいかけてくるのは?」タッタッタッタッタ

Qべぇ「説明されても理解できる状況かい?」

まどか「無理ぃぃ!」タッタッタッタッタ

魔獣「   」

まどか「きゃああぁぁ!!」



………………



ほむら「すごい数ね」

Qべぇ(別個体「……」

ほむら「魔獣の操作までインキュベーターがやっているということは?」

Qべぇ「ないよ。信用させるために理由を述べると、
    僕たちにとって鹿目まどかは必要たる存在ではないからだ」

ほむら「魔女化させないほうが、貴方達にとっても都合がよくなったものね」

Qべぇ「その通りさ」

ほむら「……まどかに被害をもたらすようなことがなければ信用していてあげる」

ほむら(今となってはもはやインキュベーターがどこからのまわし者かとか、
    そのバックに何がいるのかなんてどうでもいいことだわ)

Qべぇ「……」

ほむら(今となっては、駒の一つでしかない)




………………


路地裏

まどか「えっ!? この先にっ、さやかちゃんたちがいるの!?」タッタッタッタ

Qべぇ「そうさ。彼女たちに助けてもらうんだ」

まどか「っ、そんなの、だめだよ。だってさやかちゃんと京子ちゃんまで巻き込んじゃうっ!」タッタッタッタ

Qべぇ「巻き込むのは君じゃないんだ。
    巻き込まれているのが、君なんだよ」

まどか「え?」

Qべぇ「あの路地を右だ! 急いで!」

まどか「そんな……っ!」



ほむら(迷っているようね。
    でもあなたの最後の選択は分かっている。
    ……わかっているからこそ)



まどか「っ、ごめん」

Qべぇ「まどか!? そっちは左っ」

まどか「よくわかんないけど、でも、さやかちゃんたちを危ない目にあわせられないよ!」タッタッタッタ

Qべぇ「やれやれ」



ほむら「助けなくちゃ、ね」



スタッ


まどか「わわっ!? ほ、ほむらちゃん!?」タッタッ

ほむら(魔法少女服「まどか、後ろにいなさい」

まどか「ほ、ほむらちゃん?」

ほむら「……いいから」スッ

まどか「!?」

ほむら「それとも、ずっとこうして抱き抱えていましょうか?」ニコォ

まどか「は、ひぇ……!?」(////

ほむら「……」クスッ

魔獣「    」

まどか「ひっ! ほむらちゃん、危ない!」



ほむら「大丈夫よ。もう、何度も、何度も、……倒してきた相手だから」

まどか「え?」



………………


数分後
路地裏

まどか「すご……い……」

ほむら「少し熱かったかしら? ごめんなさい。私、こういうの(銃器)でしか戦えないから」

まどか「え、ううん。大丈夫っっ
    それよりほむらちゃんこそ、大丈夫だった?」

ほむら「見ての通りよ」クスッ

まどか「そう、よかった。
    ……なんだか状況がよくわからないけど、ありがとう」




ほむら「……お礼は」

さやか「お礼は、私たちから言わなくちゃ、ってところかしらね」


まどか「え? さやかちゃん!?
    って、その格好は?」

さやか(魔法少女服「え、あーぁぁ、これはぁ、その」

杏子(魔法少女服「いや、この状況からごまかすのは難しすぎるだろ」

まどか「杏子ちゃんまで……、って、よく見たらほむらちゃんも!?」

ほむら「よく見たらって……」

さやか「あんたも、私たちと同じなの?」

ほむら「ええ、まぁそんなところね」

杏子「マジかよ。なんなんだこの見滝原ってところは、
   魔法少女のバーゲンセールかっての」

さやか「……」





ほむら「貴方達に敵意がなければ、私のことは味方だと思って構わないわよ」

さやか「まぁ、それはわかるよ。
    なんたって、あんたはまどかを守ってくれたしね。

    でも、ひとつだけ不満がある」

ほむら「何かしら?」フフン

さやか「あーもう、そのスカした態度ってばムカつくわね!!
    何が気に入らないかって教えてやるわよ!!」

まどか「ちょ、ちょっとさやかちゃん……?」
     
さやか「私のまどかをお姫様だっこしてるところだ!!」

まどか「あ、いや、これはその……」

杏子「ひゅーひゅー、おアツいねぇ。
   こりゃ駄目だぜさやか。私たちの入り込む余裕なんてないよ」

ほむら「ふふふ……」

まどか「あぅぅ……」(/////

Qべぇ「やれやれ」



………………





マミの家

ピンポーン

マミ「あ、はい。今あけるわね」

ガチャッ

さやか「どーも、ピュエラ・マギ・ホーリー・トライアングルのブルー、さやかちゃんです!」

杏子「なげぇ」

マミ「どうぞどうぞ……って、あら?」


まどか「……ど、どうも」

ほむら「はじめまして」


さやか「あの、ちょっと事情がありまして」

マミ「そうなの。まぁ、お話は中で聞きましょう。さ、あがって」ニコニコ

ほむら「おじゃまします」ニコ




………………

ここから書きながら投下




マミ「ごめんね。今回の現場からは遠い場所にいて、手伝うことができなかったの」

さやか「謝ることなんてありませんよ」

杏子「ま、ちょっとだけほむらに助けてもらったけどな」

ほむら「私がいなくても何とかなったみたいだけどね……もしかして、私はお邪魔だったかしら?」チラ

さやか「ま、ちょっとまどかにいいところ見せたいと思っていたからねぇ。
    その点に関してはちょっとジェラシイだけど」



まどか「……えっと」



マミ「あ、ごめんなさいね、鹿目さん。まだ何が何だかわからないわよね」

まどか「ええ、はい。なんだか、状況が目まぐるしくて……」


杏子「ま、単刀直入に言うとだな。あれだ、私たちは」

マミ「ここ、見滝原の平和を守る、ピュエラ・マギ・ホーリー・トr」



ほむら「魔法少女」

マミ「……」クスン



杏子「そ、魔法少女ってやつだ」

まどか「……魔法少女? って、え?」

Qべぇ(マミペット「信じられないかい?」

まどか「だ、だって……
    !? ど、動物がしゃべってる!!」

さやか「そうよねぇ、普通の反応はそうよね」

まどか「もう、さっきからドキドキしっぱなしだよ……」チラッ

ほむら「?」

まどか「っ」フイッ

ほむら「……」クスッ




Qべぇ「テレビアニメの魔法少女は知ってるかい?」

まどか「えっと、うん」

まどか(知ってるも何も……この年でちょっと憧れてるとか、言えない空気だよね)

Qべぇ「この世界には、人の負の感情が具現化したものが蔓延っている。
    僕たちはそれを魔獣と呼んでいるんだけど、
    その魔獣を放っておくと、人間にとって害を及ぼすことになるんだ」

まどか「……」

マミ「その魔獣を倒すのが、私たち魔法少女ってわけ」

杏子「わかりやすいだろ? 悪者をやっつける正義の味方さ」

まどか「そう、だったんだ。わぁぁっ……!
    みんな、すごいんだね」ランラン

マミ「あら、その様子だと、暁美さんの格好いいところはしっかり見られたみたいね」

ほむら「どうかしらね。ちょっと雑な戦い方だったかもしれないわ」

まどか「そ、そんなことないよ!
    ほむらちゃん、格好よかったよ。とっても、すごくっ!」ガタッ

ほむら「ふふ、ありがとう」

さやか「ちぇーっ、本来ならそのポジションは私なのにぃー」

まどか「あ、ご、ごめん、なんかはしゃいじゃって」

杏子「ま、無理もないさ。いきなり非日常にぶっ込まれて、
   テンションあがっちゃうっしょ」

まどか「えへへ、そうかも。
    それにしても、魔法少女かぁ……」




Qべぇ「……鹿目まどか。君は、魔法少女に興味があるようだね」

まどか「うぇひぃ!? そ、そんなこと」アタフタ

さやか「顔顔」

ほむら「そうなの? まどか」

まどか「え、えーっと、その」



杏子「……」

マミ「……」

まどか「うん。興味、あるよ。
    その、実は、結構憧れてたり、とか……」モジモジ

Qべぇ「じゃぁ、せっかくだし君も」



杏子「待ちな」

まどか「え?」

杏子「……生半可じゃねぇぞ。魔法少女は」

マミ「そうよ。見た目は華やかかもしれないけど、
   実は結構体力勝負だし、」

杏子「何より、必要もないのに魔法少女になろうとするなんて、
   甘い考えはやめといたほうがいいぜ」

まどか「……必要?」

さやか「……あのね、まどか。実は……」


………………


夕方 ほむら宅
天候:豪雨

まどか「おじゃましまーす」

ほむら「どうぞ」

まどか「なんか、ごめんね。迷惑掛けてばっかりで」

ほむら「迷惑だなんてことはないわ」

まどか「うわぁ……ビショビショになっちゃった」

ほむら「先にシャワー浴びてくるといいわ」

まどか「そ、そんな悪いよ。ほむらちゃんが先に入っていいよ」

ほむら「おもてなしするのは私のほうよ。
    風邪をひかれたら私のほうが困っちゃうわ」ニコ

まどか「あ、うー……それなら、えっと、お先に失礼します」

ほむら「ええ、ごゆっくりどうぞ」


………………


ほむら「……」

Qべぇ「……」

ほむら「概ね計画通りよ。よくやってると思うわ」

Qべぇ「……」

ほむら「ええ。わかってる。貴方にはこれが必要だものね。
    魔獣たちの残骸、グリーフキューブとかいったかしら?」

Qべぇ「……」ピクッ




ほむら「ほら」スッ

Qべぇ「……」

ほむら「--しなさい」

Qべぇ「……」

ほむら「教えたでしょ?  
    おねだりの仕方……ね?」

Qべぇ「……」コロン







Qべぇ「キュッキュキュー!」ゴロゴロ





ほむら「……プッ……クスクス。
    うふふ、あははは!
    あははははは!!」


Qべぇ「キュッキュキュー!」


ほむら「あはは、はぁ、はぁ……

    はーぁ……良いざまね」ポイッ

Qべぇ「おっと」パクン



ほむら「……上手におねだりできたから、
    どうしてこんなことをさせるのか教えてあげる」ポイッ

Qべぇ「……」パクン

ほむら「私はあなたが嫌い。
    だから、貴方が無様に私に媚びへつらうのを見るのが、
    愉悦なの。とても、愉快だわ。

    もちろん貴方にとって私に媚を売ることが屈辱的でないことはわかってる。
    貴方達は、血も涙もない存在だもの、
    感情のない貴方には無意味だってね」ポイポイ

Qべぇ「……」パクパクン

ほむら「……でも、やらずにはいられない。
    どうしてかしらね」ポーイ

Qべぇ「……」タタタッ パクン



ほむら「感想を述べることを許すわ。一言何か言ってみなさい」ポイッ

パクン



Qべぇ「……わけがわからないよ」

ほむら「でしょうね」


………………

トリオちゃうんか



ほむら宅 風呂

シャアアアァアァァ……

まどか「……」

まどか(魔法少女、か。
    なんだか、不思議な気持ち。
    テレビの向こうの話かと思ってたのに、お伽噺みたいなものだったのに、

    今、本物の魔法少女が近くにいるんだ)

シャアアァァァ…… キュッ

まどか「……」

まどか(でも、ちょっとだけ、考えてたのとは違ったなぁ)

ワシワシワシ

まどか(願いを叶えてもらう代償として、魔獣との戦いを強いられる。
    私生活にも影響が出ちゃう。
    それを、さやかちゃんも杏子ちゃんも、マミさんも続けていられるのは、

    それだけ、大切な願いをかなえたってこと)

ゴシゴシ

まどか(願い事……魔法少女を受け入れてまで、叶えなくちゃいけないこと……
    
    私にはそんな願い事、あるのかなぁ)



キュッ シャアアアアアアア……



ほむら「まどか」

まどか「きゃっ!」

ほむら「まどか? どうかした?」

まどか「う、ううん、何でもないよ! 大丈夫、だよ」

ほむら「バスタオルここに置いておくから。
    それと、服。乾いたわよ」

まどか「ありがとうー……って、え? もう渇いたの?」

ほむら「ええ」

まどか「へーぇ、そっかぁ。
    もしかして、それも魔法、なのかな?」

ほむら「……今時の洗濯機の力よ」

まどか「そ、そう」



ほむら「悩んでる?」

まどか「え」

ほむら「魔法少女のことよ」

まどか「……」



まどか「悩んでる、っていうか
    少し勘違いしてた、かなって」

ほむら「……」

まどか「私、実は魔法少女ってすごく憧れだったの。
    ……だった、じゃなくて、今も、なんだけど。
    
    でも、実際の魔法少女はもっとシビアな世界で生きてて……」

ほむら「……その通りね」

まどか「……願うこともないのに魔法少女になりたいなんて、甘い。
    そう言われて、ちょっと図星だったんだ。

    私にとっては、魔法少女になることが願いだったから」

ほむら「……」

まどか「……私にも、できることってないのかな」





ほむら「佐倉杏子の言い分はもっともだわ。
    安易な気持ちで魔法少女になるのは、お勧めできない」

まどか「……」

ほむら「でも、いつか、必要に差し迫ったとき
    魔法少女になってでも叶えたいことができたときが来たとして」

まどか「……」

ほむら「その時は、私がちゃんとついていてあげる。
    戦い方も、教えてあげるから。

    だから焦る必要もないし、悩まなくてもいい。
    私は納得して魔法少女をやってるんだから」

まどか「……」






まどか「ありがとね、ほむらちゃん」





………………


ほむら(名演技だったね。と、きっとこいつは思っていることでしょうね)

Qべぇ「……」

ほむら(そうね。やがてはあの子も魔法少女になる。
    きっかけは何かしらね。

    まぁ、きっかけがなかったとしても、そんなものは作ってしまえばいい)



ほむら「まどか……ふふ、まどか……

    順調よ、全て……ね」




ピクッ

Qべぇ「魔獣だ!」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん? お風呂あがったけど
    もしかして……?」

ほむら「ええ、行かなくちゃいけないみたい」


まどか「っ、ほむらちゃん、私」


ほむら「まどか」キッ

まどか「あぅ、でも……
    ……ごめん、これじゃあほむらちゃんが困るだけだよね」

ほむら「……気持ちは嬉しいわ。
    その気持ちだけで十分よ。私も、美樹さやかもそれでこそ報われる」

まどか「ほむらちゃん。がんばってね!」

ほむら「ええ。
    それと、ここオートロックだから忘れ物のないようにね」

まどか「うん。わかった。ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「それじゃ、またね」




まどか「……ありがとう」

………………







現場 路地裏

ほむら「……」

さやか「遅刻だよクラス委員」

杏子「今度は私たちのほうが早かったなっ」

マミ「もう、二人とも、争ってどうするの?
   暁美さんのところからここまでは遠いんだから仕方ないじゃない」

杏子「ま、ご苦労さんってことで」

スッ

杏子「喰うかい?」

ピシッピシシッ

ほむら「っ……」

ほむら「……?」

さやか「杏子なりの最上級の親愛の言葉だよ、うけとってやんなよ」

杏子「なんだよ、いらねぇのか?」

ほむら「いいえ、ちょっとびっくりしたから。
    ありがとう、いただくわ」




杏子「さってと、そろそろ帰るかな。
   晩御飯間に合うかなぁ……」

さやか「今日はお父さん遅いし、もう少しゆっくりしてても大丈夫でしょ」

マミ「あら、それじゃあ……」

さやか「だーけーど、ちょっとごめんなさい。
    少し寄る所あるから、私このまま行ってくるね」

杏子「ん? なんか用事あるのか?」

さやか「ちょっとねー、仁美んとこ」

杏子「あー、あいつかー……あいつ、なんか調子狂うから苦手なんだよなー」

さやか「仁美はいい奴だよ。まぁ、確かにあんたとは育ちが違いすぎるかねぇ?」

杏子「そーいうこと言うー?」ジロリ

さやか「ごめんごめん。まぁ、先に帰っててよ。それとも真美さんとこ寄る?」

杏子「そうだなー、もう少しマミとゆっくりしてくかな」

マミ「あら、来てもいいけど、もうケーキは残ってないわよ」

杏子「しゃーねーなー。お茶だけで勘弁してやるか」

マミ「はいはい。暁美さんは、どう?」

ほむら「いえ、今日はこのまま帰るわ」

マミ「そう。じゃあ帰りは気をつけてね」

ほむら「ええ、ありがとう」

さやか「さて、じゃあ行きますか」



………………



表通り

ほむら「……」テクテク

さやか「……」テクテク



ほむら「……」

さやか「……」




テクテク

テクテク













………………

裏通り



ほむら「……」スタスタ……カッ

さやか「……」



ほむら「なにかしら?」

さやか「……」



ほむら「何か用があって着いてきてるんでしょ?
    志筑仁美の家は、こちらではないはずよ」

さやか「……」

ほむら「……」





さやか「あんたは、小悪魔なんかじゃない。



    悪魔だ。」




ほむら「!?」

さやか「どうしてだろうね。さっき、ふと思い出したんだよ」

ほむら「……まさか……っ」

さやか「どうだろうね、まどかも、もしかしたら元に戻ってるかもしれない」

ほむら「っ」パチン

さやか「……」

ほむら「……」
















さやか「どうしたの?
    記憶、操作しないの?」

ほむら「っ……なによ、これ。どうして」




さやか「……私、言ったよね。
    あんたがまどかの人の部分を取り出したせいで、

    円環の理の一部をもぎ取っていったんだ。
    魔法少女の希望だった救済の力を、ね」

ほむら「……」

さやか「それが出来るってことは、あんたは多分、
    魔女ですらない、もっと恐ろしいものになってしまっている。

    おそらく、まどかに匹敵する存在」

ほむら「……そうね。その点は否定しないわ」

さやか「でも、この世界で円環の理の歪みはそう簡単に露見しなかった。
    魔獣しか現れず、まどかの作った世界と同じ仕組みで動いている」

ほむら「……」

さやか「ただ、それは魔法少女の目線で見た考え。

    あんたや、まどか。そしてまどかに関わった『この』私の目には、
    この世界の在り方は変わって見えている」

ほむら「へぇ、見えるのね?」

さやか「今ならね。
    あんた、ずいぶん楽しそうなもの連れてるんじゃない」

ほむら「そうね……ずいぶん使い勝手がいい子たちだと思うわ」

さやか「……使い魔、ってやつ?」

ほむら「どうかしら、貴方にとっては『ナイトメア』って言っても通じるんじゃなくて?」

さやか「……」


ほむら「そう。あなたの言う通り。
    まどかを引き剥がしたせいで、この世界の理に歪みが生じた。

    その歪みを修正するのは、新しい世界を作り出したこの私。
    ひいては、その使いたるこの子たち、ナイトメアの仕事」



さやか「だとしたら、この世界はもっとあんたの思う通りに動くはず。
    そうでなければ、私がこうしてあんたと話せるわけがない」



ほむら「……」

さやか「……」





さやか「まぁ、偉そうに言ってるけど、実は私も何が何なのかわからないのよ。
    ぶっちゃけ、まどかの存在もいまだに感知できない。
    私も円環の理の一部だったのにね」

ほむら「どういうこと?」

さやか「わからない。もしかしたら、私がすべて思い出したというこの状況は、
    ほんの小さな歪みなのかもしれない」

ほむら「……」

さやか「……これが、だんだん大きくなっていったらどうなるんだろうね」



これは1st悪魔

ほむら「間違いだったとでもいうつもり?

    間違っていようがいまいが関係ないわ。
    私はまどかの幸せを願うだけ。

    我慢して寂しい想いをしているまどかを、
    私の近くに引き戻してあげたのよ」

さやか「あんた、わかってないよ。まどかはそこまで覚悟して……」

ほむら「わかってないのはあなたの方よ!!」

さやか「……!」

ほむら「覚悟なんて、しなくてもいい。
    生きたいように生きればいい。
    
    『誰とだってお別れなんてしたくない』なら、そう言えばいい」

さやか「……」

ほむら「そこまで覚悟、したつもりでしょうね。まどかは……
    でもまどかの本音はね。寂しいって言っていたのよ」

さやか「……そんな」

ほむら「きっとまどかは、私にも、貴方にもそんなこと言えなかったでしょうね。
    あの子は、強くて優しいから……

    だけど、あの時。私が魔女空間に呼び込んだまどかは、そう言っていたのよ」

さやか「……」

ほむら「……」







ほむら「この世界の歪みくらい、消し去ってやるわ」





さやか「……どうするつもり?」

ほむら「さぁ。それは今から考えることだわ」

さやか「……」



ほむら「貴方はどうするつもりなの?」

さやか「私、は」

ほむら「悪魔退治でもする?
    女神さまの騎士さん?」クスクス




さやか「どうしたいのか……正直、わかんない」

ほむら「……」

さやか「この世界は、まどかの望んでいることじゃない気がする。

    でも、ここにいて普通に暮らしてるまどかの笑顔も、本物なわけで……」

ほむら「……」


さやか「……だから、もしかして、だけど。
    このまままどかが、
    この世界で幸せに暮らしていけるんならそれでもいいのかなって、
    ちょっと思ったりもするんだ」

ほむら「……そう」

さやか「でも、あんたの心は歪んでる」

ほむら「……そうかもしれないわね」

さやか「あんたの心は壊れてるんだ。
    多分、まどかを失って相当辛かったんだろうね」

ほむら「あなたに何がわかるっていうのよ」

さやか「そうだね。あんたの気持ちを理解するのは無理かもしれない。
    でも、大切なものを失う気持ちなら、少しはわかるつもりだよ」

ほむら「……」

さやか「だから、同情もあるし、何よりまどかのためになるかもしれないってことなら」スッ

ほむら「?」



さやか「歪みの修正、手伝ってあげてもいいよ」



ほむら「どういうつもり?」

さやか「そのまんま。

    あんたがこの世界を維持するために
    円環の理の歪みを無くそうっていうのなら、
    今は協力してあげる」

ほむら「……今は、ということは?」

さやか「もちろん、まどかが本心からこの世界を否定したら、
    私は女神さまの騎士としてあんたに敵対するでしょうね。
    だから、いずれはまどかの本心を問いただす。

    これが条件かな」

ほむら「確約はできないわ。
    もしかしたらこの世界が気持よくて、元のまどかに戻らないかもしれないわよ?」

さやか「その時はもう一つの歪みを直して、あんたに全力で協力してもらうわよ」

ほむら「もう一つの歪み?」

さやか「言ったでしょう? あんたの心は歪んでる。
    私は、その歪みも修正できるよう手伝ってあげるって言ってんの」


ほむら「……それこそ願い下げだわ。私は今のままで十分幸せよ」

さやか「そう? ならいいけど、
    歪んだ愛でまどかに触れて、どん引きされたらどうするの?」

ほむら「……」

さやか「あれ? もうすでに経験した? 図星!?」

ほむら「……」シュン

さやか「わ、わーるかったって!
    でもあんたたち仲良いしさ、いまんとこ大丈夫なんじゃない?」

ほむら「そうかしら?」

さやか「も、もしかして、既にあんたの家で何かやっちゃった?」

ほむら「我慢してるわ」

さやか「うわぁ……」

ほむら「……」


さやか「ともかく、しばらくは悪魔と協力態勢、ってことですわ。
    これからどうなるかわからないけど、せいぜいよろしく」

ほむら「女神さまの監視みたいなものに思えてならないのだけど」

さやか「そうだねぇ。いざとなったらすぐに女神さまの刃となる覚悟はできてるよ」

ほむら「……結構よ。
    いくらなんでも、円環の理を消滅させるようなことはしない。
    まどかの希望を、失わせたりはしない」




さやか「じゃ、交渉成立ってことで。
    何かわかったことがあったらお互い連絡しよう!」

ほむら「そうね。せいぜいこき使わせてもらうわ」クスッ

さやか「おーこわ。ほんと、小悪魔な笑い方が似合うようになったわね」

ほむら「歪んでいるんだもの、仕方ないわよ」クスクス

さやか「はいはい」




………………

寝る

待ってる

これは良いほむまど
さやかも良い味出してる





ほむら宅 玄関前

ほむら「!?」

まどか「スゥ……スゥ……」zzz

ほむら「まどか?」

まどか「ひぇっ? あ、ほむらちゃん! あの……その、えっと」チラチラ

オートロックの扉「オス」





ほむら「……忘れ物、かしら?」

まどか「……うん、ごめんね」

ほむら「いいえ、気にしなくていいわ。
    それに、寒かったでしょう? もう一度あがって」

まどか「うん。ありがとう」



ガチャッ

………………

夜 ほむら宅


ほむら「結局泊まることになっちゃったわね」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「謝ることなんてないわ。この雨の中、それも夜道を帰すわけにもいかないし、
    それに、友達を泊めることくらい迷惑でも何でもないわ」

まどか「ありがとう。
    でも、本当、こっちに来てからほむらちゃんに助けてもらってばっかりだよ。

    なんか、申し訳なくて……」

ほむら「そんなこと、気にしなくていいのに。
    私は私のやりたいようにやって、貴方と一緒にいるの。
    それに対してあなたが悪いと思う必要はないわ」

まどか「っ……そ、そうなんだ」







ほむら「……」

まどか「……」




まどか「ほむらちゃんは、どうして……」

ほむら「……?」

まどか「……」

ほむら「どうしたの?」

まどか「ご、ごめん、なんでもない」




ほむら「……」

まどか「……」




まどか「実は、ね。ほむらちゃんが戻ってくるまでの間に、
    私夢を見たんだ」

ほむら「夢?」

まどか「うん。

    とっても、怖い夢だった。
    誰も私のことを覚えてなくて……すごく、孤独で……
    でも、私はそこで何かをし続けなくちゃいけない。


    それは、とっても尊いことなの」


ほむら「……」

まどか「だから、私はそれを続けなくちゃいけない。
    それは私が望んだことでもあるのだから」





ほむら「……辛かったのね」

まどか「少し、ね。
    でも、目が覚めて一番に『戻らなくちゃ』
    って思ったんだ」

ほむら「……」

まどか「その尊いことは、私がいなくちゃだめなことだったの」

ほむら「……それで、今でも戻りたいと思う?」

まどか「えへへ、夢だもん。別に戻る必要なんてないよ」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」






まどか「でも、なんでだろう。

    戻らなくちゃいけない気が、する」







ほむら「……そう」


まどか「ねぇ。ほむらちゃん」

ほむら「……なに?」

まどか「ほむらちゃんは、戻るべきだと思うかな?」
ほむら「絶対に思わない」

まどか「っ」

ほむら「あなたがいなくなるのは、嫌」

まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「もし行ってしまっても、無理やりにでも引き剥がす。
    辛いと思うのであれば、そんなことはしなくていい。


    私が……なんとかする……」


まどか「……」





ほむら「だから『一人ぼっちにならないで』、まどか」

まどか「……」






………………


ほむら(最近、よく夢を見る)



ほむら(この世界が出来上がって、まどかが転校してくるまで何度も見た夢。
    私が、どこか遠くへ行ってしまう夢だ)

ほむら(どうやら、夢まではコントロールできないらしい。
    この世界の事柄なんて、たいていのことはどうにはできると思っていたのに……

    夢の中の私は、どこか遠い場所へと行ってしまう)

ほむら(まどかと、会えない。苦しい。耐え切れなくなって起き上がって。
    そんなことを何度も続けた。)

ほむら(続いてみる悪夢。

    しばらくの間私は、寝不足だった)










まどか「おはよう、ほむらちゃん」












ほむら「!」ガバッ

まどか「ふふっ、意外とお寝坊さんなんだね」




ほむら「……まどか」

まどか「あ、よく眠れたみたいだね」スッ

ほむら「えっ……?」

まどか「っと……  少し目のクマ、薄くなったよ」

ほむら「っ! み、見ないで……」(/////

まどか「あれ、赤くなっちったw」ニコニコ



ほむら「嘘、私、そんなに酷かった?」

まどか「えっとぉ……実は、ちょっと」

ほむら「ーーーっ!  は、恥ずかしい……」

まどか「でも、今は全然、元気そうだよ」

ほむら「……そう? 私、変じゃない?」オロオロ

まどか「あはは、少し変かなー。だって、いつものほむらちゃんじゃないみたい。
    なんだか可愛いよ」

ほむら「っ、ま、まどか……」(/////


まどか「まぁ、ほむらちゃんのいろんな顔が見れて、私も嬉しいけどね」テレリ

ほむら「あ、あまりからかうものではないわよ」フイッ

まどか「ごめんごめん。

    あ、それとね、お礼っていうのもなんだけど、
    近くのスーパーで買ってきたもので朝ごはん作ったから、
    一緒に食べようよ」

ほむら「まどかの、手料理?」

まどか「えと、お口に合うかどうかわからないけど」

ほむら「いただくわ。是非」

まどか「うん!」



















ほむら(今日は、夢を見なかった)






………………


休み明け登校日
学校
昼休み



さやか「っはぁー、で、あんた出会って二日くらいなのにもうお泊まりさせたんだ」

ほむら「状況が状況だったのよ」

さやか「まんざらでもなかったんでしょう?
    でもまだ二日しか話してない時点でそれって、
    まどかってばチョー萎縮してたんじゃないの?」

ほむら「そんなことはなかったわ。いたって普通よ」

さやか「……へぇ」

ほむら「それどころか朝ごはんまで御馳走になってしまったわ」

さやか「んな!! 私でさえ超レアイベントとして認識している、

    まどかの手料理だってぇぇぇ!?」

ほむら「フフン……」ファサァッ

さやか「む、むかつく……この女っ
    あんた、本当に本性は小悪魔だったんじゃないの?」

ほむら「どうかしらねぇ。ただ、昔の自分がこれを見たら泣くでしょうね」

さやか「全くだよ。あの頃のあんたはねぇ……
    うん」シミジミ

ほむら「人の過去を勝手に懐かしまないでくれるかしら」

さやか「黒歴史?」

ほむら「今の方が腹黒いわ」

さやか「お、おう」




ほむら「それよりどうなの。何かわかったことはある?」

さやか「あー、そうだね。本題に入ろうか……」

ほむら「一応こちらでは

    とりあえずインキュベーターの動向を探ったわ」

さやか「ちょっと待った。なに、あんたQべぇまで従えてるわけ!?」

ほむら「ええ」

さやか「聞いてないし!!」

ほむら「聞かれてないし」

さやか「そういうことは、自主的に早く言いなさいよ!!」

ほむら「ともかく、インキュベーターに変化は見られないようだわ。
    ただ一つ分かったことは、インキュベーターにとって、
    魔女化はもはや計画の外らしいわ」

さやか「はぁっ!? あんなに固執してたのに!?」

ほむら「ええ」


さやか「どうして……? 
    あんたみたいな莫大なエネルギーを得られるかもしれないのに?」

ほむら「手に余る力だと悟ったそうよ。
    それに、私との『話し合い』で決着はついているから、
    今後も彼らが敵としてたちはだかる心配はないみたいね」

さやか「……どんだけよ」

ほむら「それと、ナイトメアによる歪みの調整は、概ねいつも通りだわ。
    特に変化は見られない」

さやか「……そっかぁ。

    そっちで何かあったんならあんたの管轄だからすぐうまくいくと思ったんだけどなぁ」

ほむら「では、貴方の視点からだと、この歪みはどう見えるのかしら?」

さやか「……実はね、円環の理は、やっぱり私には関知できないみたい。
    ……ごめん」

ほむら「……そう」

さやか「……







    まぁ、あんたのせいなんだけどね」ケロッ

ほむら「そうね。反省はしてないし後悔もしてない」ケロッ

さやか「収まれ私の右腕……」プルプル



ほむら「でも、何か一つ手は打ったみたいね」

さやか「ほほう、よく気付きましたなぁ!
    私もただ無駄に休日を過ごしていたわけじゃないんだよ」

ほむら「だけど、昨日はまどかと遊んでいたそうね」

さやか「あー、いやー、それはー……」

ほむら「別にかまわないわ。お友達だものね」

さやか「流石にあんたの前では嫁とは言えませんわ」

ほむら「ふふ、お利口さんね」

さやか「はいはい。ま、とにかく、私が手をうったってのは、」






なぎさ「丸投げしといて手をうったなんてて言わないでほしいのです」



ほむら「……そういうことね」

なぎさ「よくも円環の理をめちゃくちゃにしてくれましたね!
    あちこちで歪みが観測されているのです!!」プンスコ

さやか「どーどー……いくら今は味方でも神様レベルに喧嘩売らないのっ」ガシッ

なぎさ「むぅー!」

ほむら「こんなんでよく協力してくれたわね」

なぎさ「あなたに協力するってわけじゃないのです
    なぎさは円環の理とチーズのために頑張ってるのです」

さやか「そういうわけだから、チーズのストックは用意しておいた方がいいわよ。
    その方が頼み事しやすいし」

ほむら「参考にするわ。

    で、魔女の視点からすると何か見えてくるものがあったのね?」

なぎさ「その通りなのです。

    おやつのカマンベールチーズを食べようとしたその時。
    ふと以前の記憶が蘇ってきたのです。
    そしたら間もなくさやかが現れて、情報交換の後に各々の調査に乗り出しました」


さやか「私は円環の理の異変を探して、なぎさは、魔女の視点から何が起こっているのかを探して、ってね」

なぎさ「そしたら目を凝らすまでもなく異変に気づけました」

ほむら「……何があったの?」

なぎさ「あちこちから漏れだしてきているんです。



    魔女の呪いが」



ほむら さやか「魔女の呪い……!」

なぎさ「最初はほむらの、悪魔としての力かと思ったんですが、
    なぎさの鼻では、明らかに魔女のものだと判断できました」





ほむら「魔女がどこかにいるってこと?」

なぎさ「本体は確認していませんので、まだ何とも言えませんが」
    寧ろ、魔女がいるのではなく……
    魔女の呪いだけがあふれているんじゃないかって思うんです」

ほむら「……円環の理の、歪みから?」

なぎさ「その通りです。円環の理に空いた、まどか本体の分の穴。
    そこから魔女の呪いがあふれているだけかもしれません」

ほむら「だけど、私はその穴をナイトメアによって補っていた」

なぎさ「そうなんです。多くのあふれた呪いはナイトメアが回収して消滅させていました。
    これだけなら、もしかしたら円環の理を補完させる役割にも成り得るんですが、

    しかし、ここ見滝原にあふれた呪いの消滅度合いが、異常に低いことがわかったんです」

ほむら「……」

なぎさ「そのせいか、魔獣の発生率も上昇していると思うんですけど」

さやか「そういえば、この間なんかはものすごい量の魔獣が出てたわよね」

なぎさ「……現時点では、使い魔すら出現しない程度の量ですが、
    このままだと、いずれ……」




ほむら「Qべぇ」

Qべぇ「……」ット

さやか「うわぁ! いつのまに!?」ビクッ

なぎさ「うげ……」

ほむら「各魔法少女の監視用は各都市に一匹までに限定、
    予備の素体を全てナイトメアと協力させなさい」

Qべぇ「わかったよ」スッ



ほむら「Qべぇなら、魔女の呪いを全て感知できる。
    ナイトメアに感知できない呪いも、見つけさえすれば消滅させることができることでしょう」

なぎさ「……あいつらを使いこなすなんて、どうかしてるですよ」

さやか「そうだね」


ほむら「……やがては、世界の歪みも修正される」

さやか「そうね。あんた達の対応が間に合えばだけど」

ほむら「一応、協力には感謝する。
    何か望みがあるなら言ってみてもいいのよ」

さやか「無駄だろうしやめとくわ」

ほむら「ええ、そうかもしれないわね。
    歪みが修正されたら、貴方たちの記憶はもう一度消させてもらうしね」

なぎさ「なんて自分勝手なんですか、せっかくいろいろ思い出せたのに!」

さやか「……」

なぎさ「さやかも何か言ってやってください」






さやか「……」

ほむら「……」










さやか「行こう、なぎさ」グイッ

なぎさ「ふぇ!? ちょっ、なんですか!?」

ほむら「……」



…………

以下書きながら投下


商店街
クレープ屋台

さやか「チーズクリームとラズベリージャム一つずつ。
    あ、ラズベリーの方はトッピングでチョコソースも」

なぎさ「……」ムスッ



さやか「ほい、おまたせ」

なぎさ「……ありがとうございます」シュン

さやか「……」ハムッ

なぎさ「……」アム……

さやか「……」モグモグ

なぎさ「……」モグモグ……





さやか「……私、この世界のこと……さ。

    嫌いじゃないよ」

なぎさ「……っ」

さやか「納得するのに時間はかかったけど、
    でも、ここには欲しいものが全てある。

    マミさんも、杏子もいて、まどかもいる。
    何よりここは、まどかが寂しい想いなんかしなくていい世界なんだよね」

なぎさ「それでも、あの悪魔の思惑通りに歪みが修正されるとは思えませんし……
    円環の理の歪みも見過ごしてはおけません」

さやか「……それを、ほむらは一人で何とかしようとしてるんだよね」

なぎさ「自分で自分の尻拭い、ですか」

さやか「まぁ、そうだね。正直自業自得だと思った。
    けど、もしかしてほむらは、わかっててやってるんじゃないかな」

なぎさ「まどかを自分の勝手で引き剥がして、
    その結果生まれた歪みを仕方なく修正しているだけなのでは?」

さやか「私やなぎさ、あのQべぇまでも利用して歪みを修正しているのよ。
    仕方なく、というには積極的すぎる」

なぎさ「……」


さやか「あいつ、もしかして……円環の理を、少しでも肩代わりしようとしてるんじゃないのかな」

なぎさ「まどかのために、ですか?」

さやか「そう。今のあいつは、まどかのためなら何でもする。
    それでいて、まどかは自分のそばに置いておきたい。

    だからまずはまどかを円環の理から引き剥がして、
    その穴埋めを自らの手でするようにした。

    円環の理を失うことは、まどかが望まないことだから」

なぎさ「……」

さやか「まどかの望みをかなえるというのなら、
    円環の理をこのままにするつもりはないと思う。
    
    それで、今の歪みが何とかなるんだったら……
    もしかしてこの世界は、私たちにとっても理想的なんじゃないかな」

なぎさ「……っ」

さやか「……私は、まどかがいて、杏子がいて、マミさんがいて……
    そんな生活が、充実してた。

    まどかとの関係はちょっと変っちゃったけど、
    でも、あの子が幸せそうなのを見てたら……
    ほむらのこと、あんまり強く否定できないんだよね」

なぎさ「でも、でもっ!」



さやか「でも、なぎさ、あんたは違う」




なぎさ「っ」

さやか「あんたは、何もかも忘れた方が幸せだ」

なぎさ「ち、がう……違います! 
    だって私、いろいろ思い出して、さやかとの思い出も、マミとの思い出も!」

さやか「……あんたは、あんたの人生を取り戻しなよ。
    魔法少女とか、魔女とか、そういうのは私に任せてさ」

なぎさ「いやです。私だって円環の理の一部なんです!」

さやか「なぎさ」

ポフッ

なぎさ「っ」





さやか「あんたは、もう十分働いたと思うよ。
    これ以上多くのものを背負い込む必要なんてない」

なぎさ「さやかは、さやかはどうするんですか?」

さやか「私は……

    私はまどかの親友だし、
    どうにかなっちゃったほむらも、友達だし、

    もう少し付き合わないといけないなぁって」

なぎさ「なら、なぎさも一緒に付き合います!」

さやか「あんたにこれ以上は求められないよ。
    小学生には過酷すぎる」

なぎさ「中学生だってたいして変わりませんよ!」

さやか「まぁ、それもそうだけどさぁ。
    なんていうか……」




百江母「あら、なぎさ?」

なぎさ「っ! お、お母さん」ビクッ

百江母「てっきり家にいると思ってたのに、もうそろそろ暗くなるから一緒に帰りましょう?」

なぎさ「でも、その、お友達が……」

*******

なぎさ「あれ、お友達……?」

百江母「?」

































なぎさ「……なんでも、ない」

百江母「お友達とはまた明日学校で会えばいいじゃない。
    さ、帰りましょう」

なぎさ「うん……」?








さやか「仕事が早い事で、」

ほむら「……」




さやか「なぎさはさ、魔法少女に関わらなかったらまどかのことを知ることはなかったでしょ。
    だから、元の生活に戻れるならそれが一番いい。

    あんたも、そう思ってるんでしょ」

ほむら「私は、私のやりたいようにしているだけ。
    そういう憶測は嫌いよ」

さやか「憶測なんかじゃない。
    あんた、自分で思ってるほど悪魔になりきれてないよ」

ほむら「……」

さやか「まどかのためとなると、悪魔にもなれる。
    だけどそれ以外は、ちゃんと人間してるよ。

    世界を書き換えたとき、なぎさのことだけ魔法少女からちゃんと外してたもんね」

ほむら「……偶然じゃないかしら」



さやか「……」

ほむら「……」


さやか「私があんたに協力する条件、覚えてる?」

ほむら「……まどかの意思の確認」

さやか「あれ取り消す」

ほむら「……」



さやか「まどかが幸せそうなら、私は、この世界をこのまま保つことをよしとするよ」

ほむら「……」

さやか「だから、歪みの件。私にも協力させて」



………………

見てるぞ、がんばれ
今のところ叛逆後日談では個人的に一番だと思う



数日後 
マミ宅

さやか「おっじゃましまーす!」

杏子「ふぃー、疲れたー」

マミ「鹿目さん、留守番ご苦労様」

まどか「みんなお疲れさまっ」

ほむら「……」ニコ



……



杏子「最近、魔獣の数が増えてきたんじゃねぇか?」

マミ「それもそうね。出動回数も増えた気がするし、
   一度に倒している魔獣の数も増えている気がする」

さやか「私たちが手ごわいから、向こうも頭数増やしてきてるのかな?」

ほむら「そうかもしれないわね。局所的に魔獣が現れる回数が増えてきた。
    魔獣の連中にも集団行動という意識があるのかしら」

杏子「ま、数で押そうとしても、私らの敵じゃねぇけどなっ!」

さやか ほむら「……」

まどか「……ごめんね、みんな」

マミ「鹿目さん?」

まどか「私には、こういう風に、
    みんなが疲れてる時にご飯作ってあげることくらいしかできなくて……

    本当は、みんなと一緒に戦えればいいんだけど」

杏子「前にも言ったろ? 理由もなく魔法少女になったりするんじゃねぇっての」

まどか「それは、わかってるつもりなんだけど」

杏子「それに、ひよっこ一人増えるよりも、
   こうしてうまい飯を用意してもらってくれた方が何倍もうれしいってもんさ」ニヤニヤ

まどか「む、そりゃ、私は闘い方なんて知らないけどさ」ムッ

マミ「鹿目さん。私たちは、貴方がこうしてご飯を作ってくれてることに、とても感謝してるわ。
   こういう時間に戦いがあったりすると、どうしても晩御飯の時間がずれてしまうもの」

さやか「そうそう、それに、ここに来ればおいしいごはんが食べられると思うからこそ、
    戦いにも力が入っていつもよりも強くなれるってね」

まどか「そ、そう?」

ほむら「まどか、貴方は、貴方が思っている以上に人の役に立っているわ。
    本当に、ありがとう」

まどか「っ、え、えへへ……うん、わかった。ありがとね。みんな」



………………


帰り道

ほむら「すっかり遅くなってしまったわね」

まどか「うん。そう、だね」

ほむら「それにしても、こうして何度か晩御飯を作ってくれているけど……
    家の方は大丈夫なの?」

まどか「うん。まぁ、その辺は何とか。
    さやかちゃんとも口裏合わせて、ママにはうまく誤魔化してるよ」

ほむら「どうかしら」

まどか「え?」

ほむら「今頃あなたののママは、貴方に彼氏ができたかもしれないって思っているかもしれないわよ」

まどか「か、かかか、彼氏!?」(///

ほむら「貰ってみたいなぁ、って言ってたわよね。ラブレター」クスッ

まどか「それはそう言ったのはたしかだけど、でも、彼氏かぁ……」

ほむら「……」




ほむら「いずれ、貴方は……」

まどか「?」

ほむら「いずれ、貴方は、素敵な人と出会って、
    恋をして、
    やがては家庭をもつようになって、」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「もしかして、子供も出来たりして」

まどか「……」


ほむら「今のあなたにはそれを望む権利がある。
    だけど、多分。私たち魔法少女には、そんな当たり前の幸せを望むことはできない」

まどか「……え」

ほむら「いざとなったら、家庭をなげうってでも魔獣を倒さなくてはいけない。
    魔法少女って、そういうものよ」

まどか「……」

ほむら「やっぱり、私は、貴方には魔法少女になってもらいたくn」


まどか「だれが、そう決めたの?」

ほむら「……え」

まどか「魔法少女が、当たり前の幸せを望む権利がないなんて、
    そんなの、絶対おかしいよ」

ほむら「まどか……」

まどか「ほむらちゃんだって、望んでいいんだよ。
    希望を持って魔法少女になったほむらちゃん達が、
    幸せを手放さなくちゃいけないなんてこと、ない」

ほむら「……っ」

まどか「きっと、全部わかっても受け止めてくれる人だっているよ。
    私だって、全部わかった上でほむらちゃんたちをさせてあげたいと思ってこうしてるんだし」

ほむら「……ありがとう、まどか」ボソッ

まどか「そうだ! ほむらちゃん!」

ほむら「?」









まどか「私たち結婚しよう!」


ほむら「……」






























ほむら「え」

まどか「……」ジーッ























ほむら「えええええええええぇぇぇぇぇぇええぇぇぇぇえええ!?!?!?!」(////



まどか「私はほむらちゃんのために働いて、
    家事もして、ご飯も作ってあげるから、
    ほむらちゃんは魔法少女として頑張って!」

ほむら「そ、そそそ、そんな、まどかにだけ家事を押し付けるわけには」ワタワタ

まどか「そこ突っ込むところ?」クスクス

ほむら「あ、そ、そうじゃなくて! 年齢を重ねればそのうち魔法『少女』でもなくなるし」ワタワタ

まどか「いや、そこでもないってば」クスクス



ほむら「はっ!  お、女の子同士だもの!!」


まどか「えへへ、そうだよね。

    でも、たぶん私が男の子だったら、ほむらちゃんみたいな子放っておけないな」

ほむら「……そう、思う?」ドキドキ

まどか「うん。ほむらちゃんは、格好よくて、勉強も出来て、スポーツも万能で」

ほむら「……」

まどか「でも、実は結構押しに弱くて、可愛いところもある」

ほむら「っ」

まどか「そして、本当はとっても頑張り屋さん。
    勉強もスポーツも、人一倍努力してる上に、
    魔法少女として戦ってくれている」

ほむら「……」

まどか「……支えてあげたくなっちゃうよ。
    もちろん、みんなのこともそうなんだけど、
    私、ほむらちゃんのことは特別にそう思ってるかも」

ほむら「まどか……」

まどか「……

    ねぇ、今日、泊って行っていいかな?」

ほむら「え、いい、わよ」

まどか「わぁい! ありがと!」

ほむら「……」ドキドキ



………………



ほむら宅



まどか「……」ジーッ

ほむら「?」

まどか「……」

ほむら「まどか? どうかしたの?」

まどか「ほむらちゃんは……ずるい」

ほむら「え?」

まどか「初対面の時とかは、不思議な人だと思ったけど、
    基本カッコイイ感じの女の子で、実は結構憧れてたんだよね」

ほむら「あこがれる? 私に?」

まどか「うん」

ほむら「格好いい女の子が、まどかの理想なの?」

まどか「そうかも。私、ママみたいになりたいなーって思ってて。
    話したよね。バリキャリ詢子」

ほむら「ふふ、ええ。自らの手腕と陰謀で、
    海外に追いやった上司を左遷させて日本に舞い戻ったのよね」

まどか「そう。流石にそこまで最強の社会人になりたいわけじゃないけど、
    かっこいいなぁって思っててあこがれてて……

    だからかな。ほむらちゃんと最初にお話しした時は、
    実は結構変な子だと思って引いたんだけど―――」

ほむら(っ)グサッ


まどか「―――格好いい女の子だって気づいてからはすぐに興味がわいたんだ。
    それに魔法少女だってわかってからは、もう、なんていうか、
    非の打ちどころがないほど憧れの存在、っていうか……」


ほむら「褒めすぎよ、まどか。私はそんなに、格好いい人じゃない」

まどか「そう、それに気づいてからはもっとほむらちゃんのこと好きになったんだよね」

ほむら「……あげたり落としたり……まるで言葉のジェットコースターね」

まどか「格好いいばかりかと思ったら、寝起きの顔見られたくらいで真っ赤になっちゃったり、
    可愛いところもあるんだなぁって思った。

    そしたら、なんか放っておけなくなって、
    私が支えてあげなくちゃって思うようになったんだ」

ほむら「……」

まどか「変、かな。十日くらいしか一緒にいないのに、
    私、こんなにほむらちゃんのこと放っとけなくなってる」

ほむら「変なんてことないわ。
    ……友達なんて、そんなものじゃない?」


まどか「そうかな。
    でも、なんか不思議なの」

ほむら「なにが?」

まどか「……ほむらちゃんと私は






    初めて会ったような気がしないんだよね」






ほむら「……」



まどか「もっと前から知っているような……
             っ
    それも、ず と、ず と前から思ってきた人みた に、思えて……」ピシッ
         っ                い


ほむら「まどか」


まどか「会いたか   った、のに……
    どうして、今ま  で 会えなかったんだろう?」ピシシシ……
            




ほむら「まどか、落ち着いて」



まどか「ほむら ち   ゃんが遠 くにいたから?
           


        がう
     ち



    私がトオくに
      
            いたから?」ピキッ




ほむら「まどか!!」ガシッ



まどか「!?」



ほむら「……まどか」ギュッ

まどか「……ほむらちゃん」ギュッ




ほむら「考えすぎは、よくないわ」

まどか「………………」







ギュッ

ほむら「んぅっ……」

まどか「……」ギュゥゥッ

ほむら「……まどか?」


まどか「ごめんね。ちょっと、落ち着いた」

ほむら「そう、よかった」




まどか「……」

ほむら「……」











まどか「あ、そうだ! そういえばね」ガサゴソ

ほむら「どうしたの?」


まどか「はい、これ」

ほむら「!」

まどか「ちょっとした、プレゼントなんだけど、受け取ってもらえるかな」

ほむら「……私に?」

まどか「うん」

ほむら「……」

まどか「あ、あれ、こういうの、だめだった?」

ほむら「う、ううん。違うの。びっくりして、
    でも、すごく嬉しいわ」

まどか「あは、よかったっ!」

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「うんっ。ね、開けてみて?」

ほむら「うん、」

カパッ



ほむら「赤いリボン?」

まどか「あの、最初に会ったとき、私がリボンなくしちゃって、
    それで急きょ、ほむらちゃんがリボンをくれたでしょ?
    ほら、今日もしてるんだよ、ほむらちゃんのリボン」

ほむら「そうだったわね」

まどか「それで、あげるって言われたものを返すのもどうかなって思ってて、
    そうこうしてるうちに、ほむらちゃんと仲良くなってきたら、
    このリボンがだんだんとお気に入りになってきて……

    でもね、私、ほむらちゃんにも赤いリボン似合うと思うんだ
    だって、初対面の時にこのリボンしてた時はしっくりきてたし」

ほむら「……そうかしら」

まどか「それに、その。
    これ着けてくれたらさ」モジモジ

ほむら「?」



まどか「お揃い、じゃん?」



ほむら「!」

まどか「お揃いって、なんか、特別って感じで良くない?
    はじめはちょっと恥ずかしいかもだけど、さ」モジモジ

ほむら「あ、あ……」

まどか「どう、かな?」



ほむら「……」ゴクリ



ほむら「す、すごく、良いと、おもう!」



まどか「、そう思う?」

ほむら「ええ。うれしい。すごくうれしいよ。まどか」

まどか「……えへへ、よかった。私もすごくうれしいな」ニコッ

ほむら「ありがとう。ありがとね、まどか……」ウルッ

まどか「? ほむらちゃん?」









………………

寝てた 寝る


なんだろう、まどかの口調に違和感が現れ始めたような

さっすが帰国子女は考え方が進んでるぜ……
続き待ってるぜ


設定が丁寧で好感が持てるな

まどほむ結婚するのか祝い

概念円環が魔法少女の天国みたいな所でさやかもなぎさも運営に協力してるなら
別に一人でもなんでもないよね

円環の理では導いた魔法少女と一体化してるらしいから基本一人みたいだよ


翌日
登校路


さやか「おはよっ、まどか! と、小悪魔さん」

まどか「おはよう、さやかちゃん」

ほむら「おはよう」

さやか「昨日はお泊まりしてたんだって? そういうのは私も混ぜなよぉー!
    パジャマパーティーと恋バナぷりーず!」

まどか「あ、いいね、パジャマパーティーっ!
    マミさんと杏子ちゃんも誘ってお泊まりするのとても楽しそう!」

さやか「うんうん、みんなと一緒が楽しいって。

    あ、どっかの誰かさんはちょっと残念かしらぁ?」ニヤニヤ

ほむら「貴方こそ相方との蜜月を邪魔されたくないのではなくて?」

さやか「……あははー、そういうこと言うのはその口かー、あぁぁ?」


まどか「あれ、そういえば杏子ちゃんは?」

さやか「なんかダルイんだって。風邪気味っぽいって」

まどか「え、大丈夫なの?」

さやか「大丈夫、ただ、うつると悪いからお見舞いは来なくていいって言ってたよ」

ほむら「そう……」

さやか「ま、帰りにお菓子でも買っていくわよ」

まどか「あ、一緒に行っていい?
    お見舞いに行けなくても、何か一緒に買うよ」

さやか「そうするかー。
    そんでもってあえて今は食べられないようなものを見せびらかすのも面白いかもねw」

まどか「さやかちゃんてばぁ」

ほむら「腹黒い女ね」

さやか「あんたに言われたくはな……って、



    お?」




ほむら「なにか?」


さやか「なになに、あんたたちお揃いのリボンなんかしてぇ……
    ただならねぇなぁ?」ニヤニヤ


まどか「あ、こ、これはぁ……」モジモジ

ほむら「まどかから貰ったのよ。いいでしょう?」クス

さやか「お揃いかぁー、いいなぁー」

ほむら「残念。これは私とまどかの特別な証しなのよ」

まどか「ほ、ほむらちゃん。何かそれ恥ずかしいよぉ」(///

さやか「はいはい、おアツいこって」



………………


登校路



マミ「……」テクテク

マミ(鹿目さんの料理、美味しかったなぁ。
   なんだか味付けが私の好みに似てたかも、
   
   最近身の回りがにぎやかになってきて、とても楽しい。
   ……楽しいんだけど、

   どうしてかな、最近寝不足みたい。
   体が重いわ……)


マミ「……」ボーッ







なぎさ「……」フラフラ

マミ「……」

なぎさ「……」トンッ

マミ「きゃっ  あら?」

なぎさ「……」ボォー……

マミ「ごめんなさい、ぶつかっちゃったわね。
   痛いところない?」

なぎさ「……ありません」ボォー……

マミ「?  そ、そう、よかった、わ」

なぎさ「……」

フラ フラ……



マミ「……」




………………


無人の展望台

なぎさ「……」フラフラ

マミ(様子がおかしいから後をつけてみたけど、
   一体あの子何をしているのかしら、
   平日に、ランドセル背負ったまま展望台なんて……)

なぎさ「……」

マミ(……様子がおかしいなんてものじゃない。
   何より、あの子と接触してからというもの、
   周りの風景から雰囲気、何から何までおかしい)

なぎさ「……」クルッ

マミ(っ   気付かれた?)

なぎさ「……」フイッ

マミ(……何をするつもり?)

なぎさ「       」

マミ「!?」

マミ(口から、何かが出てきた。あれは!?)












お菓子の魔女「     」ズゥゥゥン……





マミ(尋常じゃないわ……何が起こってるの?
   あの子は、いったい何者なの?)

お菓子の魔女「?」クルッ

マミ「!?」(やっぱり、気づいてる!?)

お菓子の魔女「    」グォォォォ!

マミ「っ、戦うしか、ないみたいね!!」ガチャリ



ズドォン! ズドォン!



~~~~~








マミ「はぁ、はぁ……えらくタフね」

お菓子の魔女「    」グパァッ

マミ「やたらと、お腹が空いているみたいね」

お菓子の魔女「    」グオォォォ

マミ「そんなに食べたいなら、喰らわせてあげるわよっ」ジャコン












マミ「ティロ=フィナーレ!!」

ズドォォォォォオオオオオ!!!!!







お菓子の魔女「     」ズォォォ……

マミ(っ、本当に、タフ。
   ティロ=フィナーレで力勝負するなんて初めて……!)

お菓子の魔女「     」ゴゴゴゴゴゴゴ……

マミ(ダメ……押し、負ける……!)

















「マミ!!」




ガスン!!!

お菓子の魔女「     !」ジタバタ

マミ(っ!? 誰かが加勢してくれた!

   これなら押し勝てる!!)



ズドオオオォォォォォ……







マミ「はぁ……はぁっ……」フラフラ……

「おい、大丈夫か?」

マミ「ふふ、やっぱり、あなただったのね」

杏子「無理すんなって、ほら、ちょっと座れ」

マミ「……」

杏子「安心しな。女の子は生きてるみたいだし、周りにほかの敵はいない」

マミ「……そ、そう。ありがとうね」

杏子「別に……」










杏子「……」

マミ「……」





杏子「なんだったんだ、さっきの」

マミ「わからない。魔獣ではなかったけど、何か根本的には似ている気がしたわ」



杏子「初めてだ、こんな感覚。
   確かにマミの言う通り、魔獣に近い気はするけど、

   もっとなんか、気持ち悪い気がした」

マミ「そうね。魔獣の負の感情を、もっと濃くして、もっと不安定にしたような……」

杏子「……魔獣の親玉みたいなもんか?」

マミ「そうなのかも。
   正直、あんなのが立て続けに来たらと思うとゾッとするわ」

杏子「だろうな。あんたでも手こずるんじゃ、あのひよっこにはもっと手ごわいだろ」

マミ「ふふ、そうかしら。あの子、キャパシティ半端ないわよ」

杏子「ああ? そうかぁ?」








マミ「……助けてもらっちゃったわね」

杏子「……」

マミ「……ちょっと、思い出しちゃった。私たちが、二人で戦ってた頃」

   貴方は私の教えることをよく覚えて、
   優秀な魔法少女に成長したわね」

杏子「……」

マミ「でも、貴方はあの一件で……」

杏子「……」



マミ「でも、また戻ってきてくれたわ」

杏子「それはあいつのせいさ」

マミ「ええ、美樹さんが魔法少女になったことで、貴方はちょっと変わった」

杏子「変わってねぇって」

マミ「変わったわよ」

杏子「……ふん」


マミ「私との対立で貴方は一人で魔法少女をつづける選択を選ぼうとしていた。
   だけど、貴方によく似た、人の為に願いを使ったさやかさんを見て、
   貴方は放っておけなくなった」

杏子「あの馬鹿が目立ちたがるから、お灸をすえてやっただけだよ」

マミ「事あるごとにちょっかい出して、
   でも、そのたびに貴方達の溝が埋まっていって……

   やがて、私とあなたの間は美樹さんで取り持たれる形となって、
   私たちはまた、一緒に魔法少女を続けることができた」

杏子「何がいいてぇんだよ」

マミ「……」

杏子「マミ?」




マミ「実は、私、貴方に嫌われてると思ってた」


杏子「はぁ?」

マミ「だって、貴方が自分の町に帰ってから一度も連絡なかったし、
   三人で戦うようになってからも、二人だけで会話ってほとんどないし」

杏子「はぁっ?」



マミ「……もしかして、美樹さんの前では無理して、取り繕ってるんじゃないかな、って……」

杏子「……あのなぁ」フイッ



マミ「……だって  本当は、ちゃんと仲直りしたかったのに……」

杏子「……ぁー……」



マミ「いつの間にか、いなくなっちゃうし……連絡もくれないしっ……
   何度か探しに行っても、気配もしないし……」

杏子「……」




マミ「せっかく、初めてっ……できた……
   魔法少女の、友達だったのに」グスン

杏子「ちょ、な  泣いてんの?」


マミ「っ……」

杏子「な、なにも泣くことねぇだろ。今は今だっつの」

マミ「だ、だってぇ……」ポロポロ

杏子「ああもう……

   そりゃ、最初はあんたのこと避けてたよ。
   喧嘩別れしてからは気まずかったしな」

マミ「っく…………グスッ……」

杏子「でもな、さやかとあんたとで協力する話になった時には、
   少しは考えも変わって…………」

マミ「……」

杏子「……」

マミ「……?」






杏子(……そっか。
   私、変わったんだ)






杏子「……ま、まぁ、なんだ。
   さやかと一緒にやるようになってからは、
   あんたともうまくやっていきたいって思ってて、さ」

マミ「……」

杏子「でも結局は喧嘩別れした相手だろ?
   気まずいっちゃ気まずいし……
   だから、昔のことは話さないようにしてた。

   避けてたのは事実だけど、
   ……別にあんたのこと、嫌いになったわけじゃないよ」



マミ「……っ」

杏子「ま、まぁなんだ。とはいえ、仲直りしたいってんなら、
   仲直りしてやってもいいんだぜ?」





ギュッ

杏子「へ?」



マミ「うわぁぁぁぁああん!」ポロポロ





杏子「わぁっ! な、なんだよ! 
   泣くなよ!離せよ!くっつくなよ!!」

マミ「だって、だってぇ……」ポロポロ

杏子「……」ハァ






杏子「よしよし、悪かったよ。あんたを一人にしちまってさ」

マミ「う、うぅぅ……っく……グスン……」

杏子「……一人ぼっちは寂しいもんな」














杏子(……私も、本当は寂しかったしな……)
























なぎさ「んむ……んん?」ムクッ


杏子「ぇひいっ!?」ビクッ

マミ「!」ゴシゴシ



なぎさ「……ふぁぁあ………………あれ?」

杏子「な、なんだ、起きただけか」

マミ「……さっきの変な感じは、見られないわね」

杏子「たぶん、さっきの中から出てきた奴が問題だったんじゃねぇのか?」



なぎさ「……え? あれ、ここは」

マミ「大丈夫? あなたここでベンチに寝転んでたのよ」

なぎさ「! え、っと」ピキッ

杏子「大丈夫、ビビらなくてもいいって。立てるか?」スッ



なぎさ「マミ!!」



マミ「あら?」

なぎさ「気を付けてください! 何か、何かおかしいです!!」

杏子「ああ? 何言ってるんだよ?」

マミ「……魔獣?」スッ

杏子「混乱してるだけだろ。ソウルジェムはしまいなって」


マミ「え……嘘」

杏子「マミまでどうしたんだ? ここにはほかに魔力なんて感じられないぞ」

マミ「何、これ」

杏子「自分のソウルジェムなんか見てどうしたんだよ……」



マミ「こんな、私。こんなに魔力を消費したつもりなんてないのに……!」



杏子「ちょ、おい。ソウルジェムが真っ黒じゃねぇか!!」

マミ「……」ギュッ

杏子「ま、待ってろ。グリーフキューブのストックがある」

マミ「ストックって、あなた……」

杏子「こういうときのために貯蓄があった方がいいだろ? そんだけだよ」ジャラッ

マミ「……ありがとう」



ホワァ……













マミ「……どういうこと」

杏子「チッ、なんで、だよ!
   なんでちっとも穢れが晴れねぇんだ!!」



なぎさ「……まさか、これは!」





マミ「うぐ、うぁああっ!!!」ビクビクッ





杏子「っ!?」

ドサッ


マミ「嫌っぁあっぁっ!! あ゙あ゙ぁ゙ぁぁあ!!」ジタバタ


杏子「マミ! マミ!? どうしちまったんだよ!!」

なぎさ「杏子、マミから離れてください!!」

杏子「はぁっ!?」

なぎさ「マミは、これから恐ろしいことになります。近くにいると危険です!」

杏子「ふざけんな! ここまで来て、今更マミのこと見捨てられるかよ!!」

マミ「っ、っぐぅぁあぁあっ!! 」ビクン


なぎさ「でも、この呪いの量では……!」

杏子「グリーフキューブはもうないけどさ。
   穢れを払う方法は、もう一つあるんだ」








杏子「私のソウルジェムも使う」








なぎさ「そ、そんなこと……」

杏子「うるせぇっ! できるったらできる」

なぎさ「確かに、性質上可能ではありますが、
    そんなことをしたら杏子のソウルジェムが……!」

杏子「今はそれしかない!」バッ






























杏子 なぎさ「えっ……」


杏子「……冗談だろ……」

なぎさ「っ……」

杏子「私は、大した魔法なんて使ってないのに……っ!



   なんで、ソウルジェムが真っ黒なんだよ!!!」



なぎさ(やっぱり、歪みは抑えきれなかったんだ……!)


杏子「おい、マミ。マミ、しっかりしろ!!」

マミ「はぁ、はぁ……っく、いや……いやぁぁ……」

杏子「ぐっ!!!」フラッ

なぎさ「杏子!」

杏子「おかしい……円環の理って、こんな、辛いもんなのかよ。ウグッ」

なぎさ「違う、違います。これは円環の理じゃありません。
    歪みが、円環の理を崩壊させているのです……」

杏子「歪み……!?」

なぎさ「っ……ごめんなさい。うまく、説明できません」

杏子「ぐ……あんた、何か知ってるんだな?」

なぎさ「は、はい」

杏子「なら、私の意識があるうちに逃げろ……
   なんか、やべぇことになりそうだっ……あ、がはっ……!」

なぎさ「……っ」

杏子「早く行け!!」






なぎさ「ごめんなさいっ!!」ダッ



















ゴゴゴゴゴゴ……

マミ「っく、……ひっく……」

杏子「っが、あ、……はぁ、はぁ……」






………………


なぎさ「はぁっ! はぁっ!」タッタッタ……


なぎさ「はぁっ! はぁっ!」タッタッタ……



なぎさ「はぁっ! はぁっ!」タッタッタ……





なぎさ「はぁっ! はぁっ!」タッタッタ……











さやか「!?」タッタッタッタ

なぎさ「!」


ほむら「……行くわよ」タッタッタッタ








なぎさ「ちょ、無視すんなです!!!!」


さやか「えっ!?」

ほむら「……まさか、記憶が?」

なぎさ「歪みが増大したせいでいろいろと貴方の手を離れ始めてるんです!!
    見てください! 私の魔法少女の力も戻ってしまいました!!」キラッ

ほむら「……っ」

なぎさ「もうお気づきでしょうけど、あの二人はもう既に危険な状態です」

さやか「……」

ほむら「どういうこと?」




なぎさ「あの二人は、魔女化しかけています」





ほむら さやか「!」

さやか「なんで、どうして!?」

なぎさ「円環の理の歪みは、ここ見滝原を中心に広がっています。
    というよりも、中心は……まどかなんです」

ほむら「……!」

なぎさ「己の魔女を使役しているさやかと、
    魔女を超えたあなたはともかく、
    まどかに近しい杏子とマミは、今歪みに飲み込まれているんです。

    まどかのいなくなったことでできた穴が歪みを加速させました。
    ほむら、貴方が大変なことをしてくれたおかげで、


    円環の理は崩壊の一途をたどっているのです!!」



さやか「っ……」

ほむら「……そんな……私、私は……」


なぎさ「今すぐにまどかを元に戻してください、そうしないと……!」



さやか「……あんたはどうやって魔女から元に戻ったの?」

なぎさ「え?」

さやか「したんでしょ、魔女化。あんたも」

なぎさ「……そう、ですけど。いえ、でも、よく考えたらそうじゃないっていうか」

さやか「どういうことかわかる?」

なぎさ「……わかりません。
    でも、一応、知覚できたのは、
    私の魔女の力が膨れ上がって、外に出て……
    私の魔女は気が付いたら外に出ていました」



さやか「……魔女と分離した、ってこと?」



なぎさ「! そう、そういうことかもしれません。

    円環の理によって、呪いは魔法少女から分離されている。
    でも、歪みのせいで呪いが溢れ出しているから、


    魔女は魔法少女の外に出てくるんです!」



さやか「で、その魔女さえ倒してしまえば……?」

なぎさ「私みたいに、治るかもしれません!」

ほむら「……っ」

なぎさ「でも、急いでください。
    長いこと魔女が出続けると、
    魔法少女の精神が魔女に持って行かれてしまうかもしれません」

さやか「急ごう! ほむら!

    って、いねぇし!!」ダッ

なぎさ「あ! 待ってください!!」ダッ




タタタタ……


………………


展望台



マミ「……」

杏子「……」



おめかしの魔女「    」フワフワ……

武旦の魔女「     」ズゥゥン……






ほむら「……」

さやか「……」

なぎさ「……っ」




ほむら「魔女さえ倒せば、とは言ったものの」

なぎさ「……勝てるんですか? あれに……?」

さやか「ねぇ、ほむら。あんた、何度も世界を繰り返したって言ったじゃない」

ほむら「……ええ」

さやか「二体の魔女を相手に戦ったことってあるの?」

ほむら「……無いわ」

さやか「……」


なぎさ「でもでも! こっちは三人、それも全員魔女の力も使える、
    ただの魔法少女じゃないんですよ!」

さやか「無理しないの。あんたはもうフラフラでしょ?
    下がってなさい」

なぎさ「う、うぅぅ……」

さやか「それに、あんたをかばって戦えるほど、甘い相手じゃないしね」

ほむら「ええ、そうね。
    何せ相手は、あの巴マミと佐倉杏子。


    それも、魔女」


さやか「こりゃ、腕の一本や二本は、覚悟しないとね」

ほむら「どうせまた生えるでしょう、貴方は」

さやか「痛いもんは痛いんだよ。軽く言うな!」

ほむら「まぁ、いざとなったら助けてあげる。
    本当は、本気を出したくはないのだけれど」

さやか「その前にちゃっちゃと終わらせてやるわよ」


ほむら「……なら、佐倉杏子は任せるわ」



さやか「大丈夫? あんた、マミさんに勝てるの?」

ほむら「……大丈夫? あなた、佐倉杏子に勝てるの?」




さやか ほむら「……」








おめかしの魔女「    」フワフワ……

武旦の魔女「     」ズゥゥン……



さやか「……」

ほむら「……来る……!」


運が良ければ深夜に投下
一応今日はここまで

意外とありそうでなかった叛逆後ほむさやの共闘がこんなにも熱いとは思いませんでした(小並感)でもキャンデロロ雑魚なんだよなぁ


~~~~~

武旦の魔女「     」ブォンッ

さやか「っと、その槍重そうだねぇ」ヒョイ

武旦の魔女「     」ブォン!

さやか「ほっ、遅い遅い!」ヒョイ

武旦の魔女「     」ブン!

さやか「大振りな攻撃は―――」スッ

ヒュン 剣投擲→武旦の魔女



武旦の魔女「     」ザクゥッ

さやか「―――反撃のチャンス、ってね。
    あんたからの受け売りだよ」


~~~~~



おめかしの魔女「     」クイッ

ほむら(! いつの間に、リボンを……)

パシッ!

ほむら(掴まれた……っ!)

おめかしの魔女「     」クイッ

パシッ!

ほむら「っ……」

赤い使い魔「    」ヒュンッ



*****



ほむら「そう何度も貴方のリボンに捕まったりはしない」ガチャリ

おめかしの魔女「     !」

ガォゥン!!



~~~~~


ほむら(とはいえ、銃器では無数のリボンに弾かれてしまう……)

さやか(相手の攻撃は大振りだけど、隙があまりにも少なすぎるっ)

ほむら さやか(長期戦は禁物か……それとも)チラッ





さやか「ほむら、伏せて!」ヒュッ

剣投擲→ほむら

ほむら「構わないわ」

回避→剣 おめかしの魔女へ

おめかしの魔女「  !」ヒュルルッ

さやか「いくらマミさんでも、剣をリボンで防ぐのは難があるでしょう?」

ズバズバズバッ

ほむら「あとは任せて」ジャコン

さやか「それより、何か手頃なもの頂戴」

ほむら「……勝手に取って」対戦車ロケット弾「ズドォン!!!!」

さやか「はいはい」



おめかしの魔女「     !?」対戦車ロケット弾「カッ」



さやか「とぅっ!」

武旦の魔女「    !」ブォン

さやか「これなら、少しの隙でも大ダメージってね!」グイ カチャッ

武旦の魔女「     」ブゥン

さやか「そういやあんた、酸っぱいもの苦手だったよねぇ?」

武旦の魔女「      」ブォン!

さやか「っ、じゃ、戦場のパイナップルは大っきらいってところかしら?」ポイッ

カッ




ドドォォォォォォン!!!x2





~~~~~


おめかしの魔女「    」フワフワ……

武旦の魔女「     」ズゥゥン……


ほむら「……ふぅ」

さやか「はぁ、はぁ……っと……ほむら、大丈夫?」

ほむら「無事よ。貴方こそスタミナ切れじゃないの?」

さやか「そこまでじゃないけど、でも結構動かされた。
    早目に決着はつけたいところだね」

ほむら「あちらもそういうつもりみたいよ」

さやか「やだねぇ……ただでさえ厄介なのに、二体協力してくるわけ?」

ほむら「こちらも連携していきましょう。
    今度は、リボンを私に任せて」

さやか「銃器じゃ無理なんじゃなかった?」

ほむら「時間を止める。その間にリボンをどかして、貴方は直接斬りに行きなさい」

さやか「そういう絶好のタイミングがあればいいんだけどね」

ほむら「使い魔にも気を配るのよ」

さやか「わかってるって!」チャキッ



~~~~~


なぎさ「……」


なぎさ(おめかしの魔女の戦闘能力はさほど高くもない。
    ただ、おめかしの魔女の本領が発揮されるのは、他の個体を援護するとき。

    それも、武旦の魔女。戦闘能力に長けた魔女の援護をするとあっては……)



さやか「はぁ……はぁっ……」

ほむら「っく……」


武旦の魔女:おめかしの魔女「      」






なぎさ(さやかが魔女の力を使って、ほむらが時間を止めて援護してでも、
    でも、魔女二体の連携にはかなわない……?

    やはり、杏子とマミの魔女だから?)


ほむら「……あなた、動きが鈍ってるわよ」

さやか「っ……そう? まだ全力じゃーないんだけどなぁ」

ほむら(確かに、まだ限界というほどではない。
    ただし、今の美樹さやかでは、あの槍に一度でも当たれば危ない)

さやか(さっきから何度突撃してる?
    ほむらだって、もう何度も時間を止められないはず……)



なぎさ「っ……」






なぎさ「ほむら!」


ほむら「……」

なぎさ「ほむら! 悪魔の力を使うのです!!」

ほむら「っ……」

さやか「っ」


なぎさ「あまり長引かせてはいけません!
    もう、マミと杏子にも、呪いがうつりはじめています!!」

さやか「まさかっ!」

ほむら「……」

さやか「……ほむらっ……」

ほむら「まだ、戦える。
    次の一手で、決めれば……!」

なぎさ「確実な手を使うしかありません!
    何を迷ってるんですか! はやく、悪魔の力を!」

さやか「……」

ほむら「……」

なぎさ「ほむら!!」



さやか「……あれ使ったら、まどかの記憶、戻っちゃうんだよね?」

ほむら「っ……そうね。まどかの記憶を押さえつけている余裕はないかも……」




なぎさ「……それでも、マミと杏子を失うよりは……!」

ほむら「わかってるわ……」

さやか「だから、早く決着をつける!」



***** 時間停止



ほむら(このタイミングなら、美樹さやかも相手の攻撃をかわせる

    彼女が攻撃する隙間を作って……


ほむら(解除するなら今……!)



***** 解除


武旦の魔女:おめかしの魔女「      」ヌゥッ

ほむら「っ!? 読まれた!?」

さやか「しまったっ……」

武旦の魔女:おめかしの魔女「      」ブォンッッ!!

ガズン!!

さやか「あ、がっぁっ!!」

なぎさ「さやか!!!」

ほむら「っ……!」



















































ほむら(使うしか、ない。



    まどかがすべてを思い出しても、
    それでも、あの子が守りたいと思った仲間を、
    助けなくちゃ……)





なぎさ「ほむら……」

ほむら「……伏せてなさい」チラッ

なぎさ「っ……」ガバッ


ほむら(唯一の救いは……ここにまどかがいないことかしらね)



ほむら「見せてあげる。

    貴方達が知らない、魔女を更に超越した、
    
    卑しく、穢れた存在の力を……」

ブワァッ……!



ほむら(まどか……




















     ごめん)





































まどか「ほむらちゃん?」



ほむら「!?」

カカッ!

………………

多分本日夜最終回かも
寝る


まどほむエンドお願いしますなんでもしますから

乙!
最後まで期待してるぞ

あやめのコメント欄でまどほむ厨が発狂した某問題作のリメイク?

それ、タイトルは?

ある程度書き終えたから予告

本日夜八時に投下開始 やっぱり最終回

なぜ銃しか使わないのだろう?
記憶が曖昧だった叛逆の結界の中ならともかく…





夜 展望台



さやか「っ……ん、ぅ……」

なぎさ「さやか! さやかが起きたのです!!」



さやか「……あれ、私……」

マミ「美樹さん……」

杏子「……」

さやか「……お!?
    
    あ、杏子!? マミさん!
    てことは……」

なぎさ「ええ、杏子の魔女もマミの魔女も消滅しました。

    ソウルジェムも落ち着きを取り戻しています」

さやか「そっかぁ、いやーよかったよかった……
    まずは一件落着ってところかね!」





マミ「……」

杏子「……」



さやか「……って、あれ?」

マミ「ごめんなさい。私たち、何が何だかわからないけど……」

杏子「なんだか、尻拭いさせちまったみたいだな」

さやか「……いーよ。気にしなくて
    何が何だかわからなくても大丈夫です。



    こんなこと、二度と起こらない」

マミ「とは、限らない」



さやか「……」

マミ「そう聞いたわ。ベベからね」

さやか「……そっか
    って、ベベ? まさか、マミさん」

杏子「私も、思い出させてもらったよ」


さやか「……もしかして、なぎさが?」

なぎさ「はい。

    ほむらが悪魔の力を行使する直前に、
    私はみんなの記憶を保持しておいたのです。

    咄嗟だったのでどこに置いたか分からず、
    探そうとしている間に、ほむらに勝手に記憶を消されてしまいました……」

さやか「……そうだったんだ」

なぎさ「もう一度記憶が戻った時には魔女の呪いの侵食を受けてしまい、
    マミに助けてもらうことになりましたけど、

    なんとか展望台にあった皆さんの記憶をこうして元に戻した次第です」

杏子「とんでもねぇことを忘れてたんだな、私たち」

マミ「ええ。そんな、大切なことを……」

さやか「……」





さやか「ところで、ほむらは?」

マミ「……」

杏子「……」

なぎさ「……あの、ですね。さやか……ほむらは」



さやか「……?」







……………………


半月の映える草原




ほむら「……」











ほむら(欠けている

    全てが、半分に)

サァァァァァ……

ほむら(……月も  大地も)

サァァァァ……

ほむら(……私の、心も)





***** 回想

展望台
悪魔の力解放直後

まどか「っ……ほむら、ちゃん?」

ほむら「まどか……」

まどか「……どう、したの? なんかおかしいよ。

    その格好、魔法少女じゃ、ないよね?」

ほむら「待って、まどか、違うの、これは……」スッ

まどか「……!」ビクッ

ほむら「っ!?」


まどか「どうしちゃったのかな……ごめんね、ほむらちゃん。

    なんか、私……その姿、知ってるかも……って」

ほむら「まどか、思い出さなくていいわ」スタスタ

まどか「……」

ほむら「あなたは、あなたのままで……」ソッ



まどか「い、いやぁっ!!」パァン!

ほむら「っ」






なぎさ「っ! まどか?」

まどか「はぁ……はぁ……」

ほむら「ーーーっ?」
















まどか「……っ  ご、めん……ほむらちゃん……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」






なぎさ「……」

























ほむら「うふふ、うふふふ……」


まどか「っ」

ほむら「……言ったでしょう?
    私は、私のやりたいようにやってるだけ。

    あなたがどう思おうと、ね」

まどか「……」

ほむら「……今度こそ、貴方だけは幸せにしてあげられると思ったのに……

    どうして、こう上手くいかないのかしら」








ほむら「ねぇ、まどか……巴さんなら、もっと上手く立ち回れたのかな?」

まどか「……」




ほむら「ねぇ、まどか……美樹さんなら、もっと筋のとおった道を選べたのかな?」

まどか「……」




ほむら「ねぇ、まどか……佐倉さんなら、もっと格好よくできたのかな?」

まどか「……」










ほむら「ねぇ……まどか……

    あなたが私なら、どうしたい?」



まどか「……」








ほむら「……だれかが大切だと思っても、その人のために何かをすることは、
    時として、その人の気持ちにそぐわないことかもしれない。

    その人の信条を捻じ曲げてでも、



    まどかの、決意に泥をかけてでも、

    私は、貴方を救いたかった」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「……百江なぎさ」



なぎさ「は、はい!?」

ほむら「……後は頼んだわ。せいぜい、歪みに飲み込まれないよう気をつけることね」

なぎさ「?」



まどか「……」




*****


ほむら「……」

   さやか『痛いもんは痛いんだよ。軽く言うな!』

ほむら(……そうね)



ほむら「……痛い、わ」

ほむら(頬も、心も)




ガサッ

ほむら「!?」クルッ





Qべぇ「……」プルプル

ほむら「……」

Qべぇ「……」プルプル

ペタン……







ほむら「貴方達にも、心が痛むことってあるのかしら?」

Qべぇ「……」プルプル

ほむら「ないわよねぇ……だって、心がないんだもの」

Qべぇ「……」プルプル

ほむら「……でも肉体的な痛みくらいは知ってるでしょう?」

Qべぇ「……」プルプル

ほむら「貴方の肉片を、何度飛び散らせたことか……

    そうね、貴方を殺してせいせいするときもあったわね」

Qべぇ「……」プルプル

ほむら「本来在るものが欠けるって、それだけ痛いことなのよ。
    痛覚くらいはあるんでしょう? うふふ……」

Qべぇ「……」プルプル

ほむら「……」








ほむら「……」

Qべぇ「……」プルプル





………………


展望台

さやか「……あれ、何?」

マミ「わからないわ。ただ、さっきよりも大きくなってる」

杏子「なんなんだよ。あの真黒いところ……」

なぎさ「……まるで、世界が、欠けていくような……」



Qべぇ「その通りだよ」



さやか「Qべぇ……?」

マミ「なんだか、元気がなさそうね」

杏子「……へっ、こいつに元気も糞もあるかよ」

Qべぇ「暁美ほむらにこき使われたからね。
    流石に今回ばかりは僕たちも疲弊したよ。
    下手に大量に殺されるよりも、全個体をフル稼働させられた方がたちが悪い」

さやか「最近見ないなぁって思ったら……」

Qべぇ「それにしても、意外に早く世界の消滅が始まってしまったね」

なぎさ「どういうことですか?」


Qべぇ「……君たちの記憶に、エントロピーという言葉は残っているかな?

    木を作る為のエネルギーと、その木を燃やしてできるエネルギーでは
    エネルギー変換効率が悪い、といった話だ。

    この世界のエネルギーは減っていく一方だった。
    それを僕たちインキュベーターが、魔女という存在を利用して修正していく、
    それがこの世界を安定させていた」

さやか「……私たちを食い物にしてね」

なぎさ「どうやら、インキュベーターの記憶も戻ったみたいですね……」

Qべぇ「しかし、やがて鹿目まどかが魔女を救済する概念となった。
    いわゆる円環の理だね。

    僕たちはそれを研究し、支配するつもりだった。
    より効率的に魔女を生産し、エネルギーを多く得るつもりだったんだ。

    だけど、暁美ほむらの悪魔の力を前にその計画はとん挫した。
    人間の感情という危険なものは、僕たちの手には負えないからだ」

マミ「諦めたってわけ?」

Qべぇ「そうだね。魔女を使った計画はあきらめた方が無難だ。
    
    だけど、円環の理には欠点があった。
    その欠点を補うことこそが、今度の僕らの課題だった」

杏子「欠点?」




Qべぇ「ああ。円環の理は、暁美ほむらがまどかを引き剥がす以前に欠陥品だったんだ」





さやか「ふざけんな! まどかがつくった円環の理に、
    欠点なんて……」

Qべぇ「……百江なぎさ。補足をしてくれるかな?
     僕の言葉なんかより、君が肯定してくれた方が納得してもらえそうだ」

なぎさ「……」



マミ「……本当なの?」

なぎさ「……はい。円環の理には……もともと、一部に歪みがありました」

さやか「!」

なぎさ「それは、もしかしたら……鹿目まどかの迷い、だったんじゃないかと」

さやか「迷い……」

なぎさ「……ほむらの作り出した世界のまどかは、言ってました」


まどか『誰とだってお別れなんてしたくない
     もし他にどうしようもない時だったとしてもそんな勇気私にはないよ』


なぎさ「……まどかの決意は固かったと思います。
    でも迷いがあるのが人間です。
    概念としての寂しい世界を受け入れるには、私たちは弱すぎます……」

Qべぇ「その歪みのせいで、魔獣の存在だけではエネルギーを補えなくなった。
    それに、呪いが全て魔獣になるわけでもなく、
    世界のどこかに、呪いは溜まっていく一方だったんだ。

    呪いは溜まるし、エネルギーは足りなくなり、



    宇宙はやがて、呪いに覆い尽くされてしまうことになる」




さやか「そんな……」




Qべぇ「暁美ほむらが鹿目まどかを円環の理から引き剥がした後は、
    さらにその穴から呪いがあふれだした。

    しかし、そこで暁美ほむらは、
    自分のあけた穴から漏れる呪いしか処理してこなかった。

    彼女はどうやら鹿目まどかを心酔しているようだからね。
    きっと、まどかの作った円環の理に欠点などないと思ったんだろう。

    目を凝らせば見えたはずの呪いを、次々と無視してね」

なぎさ「……さやかにはともかく、
    ほむらになら、あの呪いは気づけてもよかったはずです……」

Qべぇ「あるいは最初から暁美ほむらが歪みの修正に全力を注いでいたとして、
    それでもどう試算してもほむらだけであの歪みは修正しきれなかった。

    ほむらがもう一人いれば修正は追い付いて、歪みの修正が完成しただろうに」

さやか「……」

Qべぇ「ただ、僕たちはそれでよかった。

    より早く手遅れになった方が、僕らの計画も進みやすい。

杏子「また何か企んでやがるな!!」





Qべぇ「僕たちの目的は、世界のエネルギーの安定。

    その為に、暁美ほむらには迷いを捨ててもらいたかったんだ。

    この壊れかけの世界を救うための決意を、より固めてほしかったんだよ。
    もう二度と歪みなんて発生しないようにね」

なぎさ「ほむらは、どうするつもりなんですか?」

Qべぇ「……僕たちの人間観察が正しければ、今頃暁美ほむらは……」











………………


ほむら「……」







ほむら(闇にすべてが侵食されていく……

    音もなく、無くなっていく……

    まどかが、自分を犠牲にしてまで作り出した世界が……



    私のせいで)









ほむら(私、いったい何をしたかったのかしら?

    まどかの守った世界を守りたかった?
        まどかを救いたかった?
             まどかと一緒にいたかった?



    でもその全ては叶わないと知って……

    そう、まどかの守った世界を、諦めた)




ほむら(結果、孤独からまどかを救えた。
    
    まどかと一緒にいられるようになった。

    ……でも、やっぱり世界までは守れなかった。



    世界を守れなくては他の二つの願いは叶わないというのに……)






ほむら「……」





ほむら(どれか一つを諦めなくちゃならない。
    そうだとしたら……)スッ







ほむら(世界を書き換えるだけの力が、今の私にはある。
    おそらく概念と化したまどかに匹敵するか、あるいはそれ以上の……

    まどかの願いが希望でかなえられたものならば、
    私の絶望の果てに得た力で叶えられる願いは……?)


スタスタ


ほむら「この力で、新たな理を作ることはできるのかしら?」

Qべぇ「……」

ほむら「答えなさい」

Qべぇ「きっと、そうだろうね。今の君の力は僕たちにも想像がつかないけど、
    円環の理に匹敵する力を持っているのであれば
    同じような理を作ることはできる。
    
    しかし、力のベクトルが違う以上、作られる理はまどかとは逆方向だと思う」



ほむら「まどかはこの世界を肯定した。
    だから、魔法少女の存在を認め、魔法少女の希望を尊重した。



    ……だとしたら、私には、その逆の理を作ることができる?」




Qべぇ「そうだろうね。


    どうするつもりだい?」

ほむら「……」






ほむら「円環の理の歪みが世界を狂わせていて、
    まどかの穴を埋めないと、歪みは加速度的に成長する。

    なら、その穴を、円環の理を補う、新たな理で埋めれば?」

Qべぇ「それは……」







ほむら「私が生み出す理、それは、絶望

    この世界を否定し、
    魔法少女の存在を認めず、魔法少女を無に帰す。





    この世界の希望たる魔法少女を、消滅させる」









Qべぇ「……」

ほむら「円環の理は、絶望を消滅させ、
    私の理は、希望を消滅させる。

    魔法少女の絶望も希望も奪い尽くし、
    存在を否定し続ける」

Qべぇ「永遠に、希望と絶望が相殺しあい、
    魔法少女は存在しなくなる。

    そんな理が出来上がると、この世界は進まなくなるかもしれない」

ほむら「進まなくたっていい。
    まどかがまどかとして生きていける平和な世界があれば、それでいい……」

Qべぇ「まどかの夢を消滅させてでもかい?」

ほむら「いつまでも少女じゃいられない。
    夢は、いつか覚めるもの。


    まどかの夢も終わり……
    そして、これで私の悪夢も、終わる。




    ようやく、眠りから覚めることができる」






Qべぇ「……君の話を聞いて、ある偶像の生物を思い出したよ。
    その理のシステムに関係する、ね」

ほむら「……なにかしら」

Qべぇ「ウロボロス 死と再生の象徴。
    僕が思い描いたものは、二匹の蛇がお互いの尻尾を喰らい合う様子だ」

ほむら「……」

Qべぇ「欠けた円環の理に、君の理が介入して、新たな理となる。
    おそらく、それで世界の歪みは修正される。

    世界の消滅はなかったことになり、
    新たな世界でのエネルギーの安定はまた別な方法で行われることだろう。

    僕たちとしてはそれで構わないさ。
    その世界にあるものでエネルギーを作り出すことが僕たちの仕事だからね。

    しかし、魔法少女の消滅は、君たちにとっては進化の道を閉ざされることにもなる」

ほむら「……」





Qべぇ「覚悟はいいのかい?」

ほむら「くどい」







Qべぇ「そうかい。

    なら、そのまま歩を進めるといい。
    
    その暗闇を君自身が補うことで世界は変えられる」

ほむら「……」

























































ほむら「……さよなら。

    まどか」




フワッ
























まどか「ほむらちゃん!」

ガシッ

ほむら「……」

まどか「待ってよ、ほむらちゃん……」ハァ ハァ……

ほむら「……まどか」





まどか「はぁ、はぁ……探したよ……ほむらちゃん……」ハァハァ……

ほむら「どうして?」

まどか「……私……ほむらちゃんに言いたいこと、たくさんある。
    さっきのことも謝らなくちゃ、だし……」


ほむら「そんなこと、いずれどうでもよくなる」


まどか「どうでも、って……」

ほむら「このまま待っていれば、新しい世界が作られる。

    あなたは寂しい思いをしなくてすむし、
    魔法少女の責務を負わなくていい。

    そういう世界が今から作られるのよ」

まどか「そんなの、だめだよ。
    だって、魔法少女は、みんなの希望なんだよ!」





ほむら「希望なんていらない。
    私は、あなたさえ無事ならそれでいい」





まどか「っ……」


ほむら「もう思い出しているのでしょう? まどか。
    あなたを孤独から救ったのは、私よ」

まどか「でも、それでも……」

ほむら「何度も言わせないで、まどか。
    私は、貴方のためと言いながらすべて自分のためにやってきたの。

    私が満足したいからあなたに尽くしてきたの。
    それはこれからも変わらない。
    
    私が理を補完した後も、永遠に」

まどか「……」



ほむら「だから、離しなさい」

まどか「っ、離さない!!」




ほむら「貴方が望もうと望むまいと、私は私のために、あなたを守る。
    たとえ忘れ去られても」

まどか「だめだよ……ほむらちゃんがいなくなるんじゃ……
    そんなのダメだよ……」

ほむら「……」




まどか「……ほむらちゃんに一緒にいてほしい!
    
    ほむらちゃんがそばにいてくれないと……嫌だもんっ……!」





ほむら「……っ」









ほむら「……ありがとう」

まどか「……ほむらちゃん?」

*****




































………………

新月の暗闇に包まれた平原


まどか「ほむら、ちゃん?」

Qべぇ「……」

まどか「どこ!? ほむらちゃん!」

Qべぇ「暁美ほむらはもういないよ」

まどか「!!」

Qべぇ「新しい理、ウロボロスの誕生だ。
    君と暁美ほむらの、共同作品だね」

まどか「……そんな……」






…………………………






カツカツカツ









カツカツカツ
















カツカツカツ



































ほむら「……」


ほむら(まどかという人間としての部分が欠けた、神としての力。
    同じ概念となった私には、こう見えるのね)

まどか「……」




ほむら(まどかの偶像。円環の理の象徴が、ここにある。

    まどかの形を模した石像が)

まどか「……」





ほむら(これはまどかの形をしているだけ。中身は伴わない。
    まどかの神としての力だけだというのに……



    もう、それだけでも、愛おしい)



まどか「……」











ほむら(本当は、寄り添うだけでも良かった)



ほむら(……それだけを望んでた、はずなのに……

    ここまで来るなんてね)

まどか「……」



ほむら(でも、これでようやく、まどかはまどかとして生きられる世界を得た。

    もう、この体で、この世界に縛られる必要もない)





ほむら(そのためにも、今生まれつつある希望を……

    生まれようとしている魔法少女を、

    否定する)





ほむら(夢を終わらせて、
    眠りから覚ます……

    それが私の役目)



ほむら「目を覚ましましょう。
    全て……

    夢を見る時間は、もう終り」

ほむら(……さようなら、まどか)








カツカツカツ……


















end












































of uroboros.






まどか「ひとりぼっちにならないでって、言ったじゃない」

ほむら「!?」

ギュッ


まどか「もう逃がさないよ。ほむらちゃん」

ほむら「まどか!? どうして……」

まどか「それはほむらちゃんが聞いちゃうかな?」

ほむら「……聞く、わよ。
    だって、なんであなたがここにいるのか、全然……」



まどか「魔法少女を否定したほむらちゃんは、ウロボロスの一部として、
    私たちの前に現れた。

    希望を、消滅させるために。

    そう、ほむらちゃんを迎えに行った、あの時の私のようにね」



ほむら「……っ、あなた……まさか」

まどか「うん。ほむらちゃんに干渉するためには、ほむらちゃんと同じにならないとね」




ほむら「……」

まどか「ちょっと前までは私カミサマだったのにね。今はほむらちゃんと一緒、悪魔だよ」

ほむら「……なんて、馬鹿な事を……!

    理は修正されたのよ。そのまま、世界の書き換えに身をゆだねれば……」

まどか「いやっ」

ギュッ

ほむら「っ!」


まどか「……もう離したくないんだもん。
    私は、ほむらちゃんのそばにいたい。

    そう思って、ここまで来ちゃった」

ほむら「……まどか……」

まどか「それに、ここに居続けることも、もう嫌」

ほむら「?」

まどか「ごめん、ほむらちゃん」ソッ

ほむら「ちょ、まどか!?」

まどか「ちょっと、びっくりするかも」

ほむら「まどか、顔、近……」


ッ……





まどか「ん……んむ……」

ほむら「……ん……」






ピキッ

ほむら(体が、変……)

ピキキキッ

ほむら(裂けちゃいそう……)






ほむら(私が……二つに……)



ピキッ!!



まどか「んは、ぁ……

    えへへ、この間の仕返しだよ」

ほむら「……っ どうして、こんなこと」(////



まどか「円環の理の補完、だよ」



ほむら「!」

まどか「今私は、ウロボロスを崩壊させた。
    ここに新しくできたのは、歪みを修正した円環の理」

ほむら「……でも、悪魔の力じゃ、円環の理とはベクトルが違う……」

まどか「それでも、『魔法少女の力』はそうじゃないよね?」

ほむら「え?」

まどか「魔法少女の力は、希望の力。
    円環の理とベクトルは同じ。

    ほむらちゃんの魔法少女の力だけを使って、円環の理は保管された。
    ね、見て?」

ほむら「?……っ!」

まどか「石像が増えたでしょ。これはそういうことなんだよ」

ほむら「……」

まどか「……」


ほむら「……でも、本当に、これでいいの?」

まどか「何が?」

ほむら「たとえ歪みがなくなっても、もしかしたらどこかから綻びが見つかるかもしれない。
    ……私たちがいないせいで……」

まどか「……うん、もしかしたら、そういうこともあるかもしれない。
    私だって、あんなに覚悟した円環の理に欠点があるなんて思わなかったし」

ほむら「そうね……」

まどか「でもね、そんな綻びがあったとしても、それを埋めるのは一人じゃないんだよ」

ほむら「……」

まどか「二人でなら、大丈夫」

ほむら「……ええ……っ!」

まどか「まぁ、二人ででも大変かもだけど、
    叶えたいこといっぱいあるから、仕方ないよねっ」



まどか「でも、一緒に歩いていけば……
    いつか全部、叶うよね」



ほむら「そうね」ニコッ

まどか「うん! 絶対!」ニコッ






まどか「そろそろ、世界が書き換えられるよ」

ほむら「……私たちはどうなるのかな?」

まどか「うぅーん……ほむらちゃんの悪魔の力の修正がなくなったから、
    本当の基の世界の通りになると思う」


ほむら「ということは……また、入院することになるのかしらね。私は」


まどか「あ、そういえばそうだったね」

ほむら「上院のベッドで目覚めるのって、結構寂しいのよ」

まどか「確かに、そうかも……」

ほむら「でも……大丈夫。学校に行けば、まどかに会えるもの」

まどか「そうだね。また私保健係だと思うから、何でも言ってね!」



ほむら「この記憶を引き継ぐから、
    貴方に頼るよりは頼られる方が多くなりそうなのだけど?」

まどか「そ、それはそうかも、だけど……
    私だってほむらちゃんに勝てることくらいあるもん!」

ほむら「そうね、可愛さでは断トツだわ」

まどか「ほむらちゃんだって顔真っ赤になった時なんか、
    みんなから可愛い可愛いって言われてんだからね!」

ほむら「っ、そ、そん顔したこと……」

まどか「眼鏡時代の自分を忘れちゃいけないよ」ニヤニヤ

ほむら「むぐ……」

まどか「それとねぇ、今なら私、ほむらちゃんよりもちょっとだけ強いんだよ?」

ほむら「え?」

まどか「だって、ほむらちゃんは今、悪魔の力しかないんだよ?

    でも、私には、残っていた魔法少女の力と悪魔の力がある」

ほむら「ど、どういうこと?」

まどか「歪みが極限まで大きくなったら、なぎさちゃんの魔法少女の力も元に戻ったでしょ?

    私も、最後には魔法少女の力が戻ったんだよ。
    その直後に悪魔になったわけだけど……」






ほむら「……つまり?」

まどか「私がほむらちゃんを押し倒しても、ほむらちゃんは抵抗できないってこと」

ドンッ






ほむら「きゃっ!」ポフッ


まどか「……ね、ほむらちゃん。

    悪魔になる条件って、絶望もそうだけど……

    募らせすぎた『何』が、必要なんだっけ?」

ほむら「あ、あぅぁ……その……」

まどか「ねぇ?」フゥッ

ほむら「ひゃぁん! そん、な、やだ……恥ずかしい……」

まどか「教えてよ……」

ほむら「……っ……わかってるんでしょ……なら、聞かないでよ……っ」

まどか「やっ  ほむらちゃんの口から聞きたい」

ほむら「―――っ!……」(////

まどか「ねぇ……?」チュッ

ほむら「や、わかった、から……首、くすぐったいから……」

まどか「……」クスクス








ほむら「…………ぁ、……ぁい」フイッ











まどか「……きーこえなーい」


ほむら「あ、……愛……です」(/////


まどか「……ふふ、あはは。ほむらちゃん可愛い」

ほむら「やだぁ、見ないで……」(////

まどか「隠さないでよ」ガバッ

ほむら「っ!」
















まどか「ね、    これから、もっと恥ずかしいことしよう?」

ほむら「ひぇっ!?」(//// ボムッ!!




まどか「両想いなんだし……いいでしょ?」

ほむら「ちょ、ちょっとまって! えっと、

    そ、そういうのはやぶさかではないけど、

    でもほら、その、私、汗臭いかもしれないし!」

まどか「ほむらちゃん、またちょっと気にするところがずれてる」

ほむら「そ、それに! ちゃんと、ベッドで……」

まどか「んー、それでいいなら場所は移すけど……」

ほむら「私たちまだ中学生だし!!」

まどか「ふふ、そうだね。
    それに女の子同士だし?」

ほむら「そ、そうよ……

    こんなの、変よ」

まどか「そうかもね。変」



まどか「でもそれは世界にとって変なだけだよ。
    私たち二人にとっては、変なんかじゃない」

ほむら「……」

まどか「それに、私たちは悪魔なんだよ?」ソッ

ほむら「あ……」

まどか「世界の理にあらがうのは、当然でしょ?」

ほむら「……んんっ……」










まどか「ほむらちゃん

    私、もっとほむらちゃんを感じていたいよ……

    もっと、深く……ね」

ほむら「……ぁっ」キュッ


























end of world.



go next

…………………………


病院

ほむら「……ん……」モソモソ



ほむら「……」ムクッ











「おはようほむらちゃん」











今度こそ終わり

自分でも書きながら夢見られました。
もしまどまぎの続編があったらこのスレのことは忘れてください。
妄想を吐き出させてくれてありがとう。


2人目の悪魔爆誕かww
続編は一応構想中らしいよ

なかなかに良かった

興味深いスレであった
大儀である。

まあ乙

純真で天使のように可愛かったまどっちが淫魔になってしまった…

ところで次にまた書きたいと思ってるのがあるんだけど、
タイトルについて悩んでる。


まどか「魔法双女まどか☆ハエタ」



まどか「魔法少女まどか♂ハエタ」



にしようと思うんだけどどっちの方がいいかな?

あ、そういうのはいいです

素晴らしいまどほむやんけ

(´・ω・`)
書き終わったらHTML依頼スレ直行でいいのかな?

生やすならほむまど二人とも生やして相互挿入して欲しい
タイトルはどっちでもいいです

>>237
それでおk>HTML依頼スレ
タイトルはどっちでもいいよ。立ったら読むし

ありがとう


まどほむっぽいから読んでたけどそれを抜きにしても良い作品
だが改めてまどかマギカにまどほむ要素は必要だと思い知らされた

まどかに恩を売る言い方するあたりに性格の醜さが見える
さやかちゃんが天使な分ほむクソの醜さがよく分かるssだったわ

剣投擲→ほむら
回避→剣 おめかしの魔女へ

↑こういう雑な説明が目立ったのが気になった
全部地の分でやれとは言わないけど台詞と効果音で説明できない部分は地の文書いた方がええで

マミと杏子の魔女戦あたりから微妙
それまでは面白かった

面白かったわ乙
でもこりゃさやかちゃん報われませんわー

さやかちゃんがめっちゃ綺麗なssだった


まどかのほむらの痴話喧嘩というと身も蓋もないけど
神話の神様連中だって似たようなことやってんだし
こんな世界でもいいんじゃないかなと思いました(小並感)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月24日 (火) 04:16:56   ID: XXu5ZYaZ

乙乙乙乙乙
いーんだよ、愛だよ
妄想おーけーだよ、まどほむの極みだよ
愛乙、1乙

2 :  SS好きの774さん   2015年02月24日 (火) 04:32:35   ID: XXu5ZYaZ

なんか今日の愛Dかっこいいから(XYZ)もうひとコメいくぜー!

この五人には!彼女らには!みんな幸せになってもらいたいんだっ!YO!マジで!!マジでなっ!!
もう泣かせたくないんだYO!
だから愛
万事オーケイ グッ!!!!!

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