ギンコ「ゲゲゲの鬼太郎?」(9)

ギンコ(…雲行きが怪しいな、こりゃ一雨来そうだ……)チラッ

ギンコ(……あの木の下でしばらく休むとするか)ザッザッ




ゴロゴロ

ギンコ(参ったな……これはしばらく止む気配がしないぞ……)

ゴロゴロッ ピシャッ ドゴーンッッッ

ギンコ「うおっ!?」

ギンコ(かなりに近くに落ちたな……ここも危ないか?)

カランッ コロンッ カランッ コロンッ

ギンコ(うん?下駄の音?)チラッ

カランッ コロンッ カランッ

ギンコ(子供……?なんで子供がこんな山奥に……?)

鬼太郎「すみません、隣いいですか?」

ギンコ「あ、ああ……俺は構いはしないよ」

鬼太郎「ではお言葉に甘えて……」ヨッコラショ

鬼太郎「ふぅ……山の天気には困らせられますね」

ギンコ「…そうだな、俺も長年旅をしているが山の天気は正確に読めんからな」

鬼太郎「へぇ、お仕事は商人か何かですか?」

ギンコ「いいや、蟲師をやっているが……あんた蟲って知ってるか?」

鬼太郎「ええ」

ギンコ「じゃあ別に説明しなくてもいいよな、先日この山の向こうの里に異変があって呼ばれたんだが……俺が着いたときにはもう解決していてな」

鬼太郎「へえ」

ギンコ「そういうあんたは何故こんな山奥に?」

鬼太郎「友人の家を訪ねに来たんですがどうやら不在だったらしくて……」

ギンコ「お互い骨折り損ってわけか」

ギンコ「……煙草いいかい?」

鬼太郎「あっ、どうぞ」

ギンコ「……」フッー

鬼太郎「……普通の煙草じゃなさそうですね?」

ギンコ「ああ、蟲煙草って言ってな。俺は蟲を寄せる体質だからな、吸ってなきゃ辺りを蟲だらけにしちまうんだ」

鬼太郎「ああ、だからこんなに集まって来てるんですか……」チラッ

ギンコ「……あんた蟲が見えるのかい?」

鬼太郎「ええ」

ギンコ「そうか……見えないものが見えちまうと何かと不便だろ?」

鬼太郎「いえ、僕は別に不便に思ったことはありませんよ。見てて面白いし」

ギンコ「……そういや、まだあんたの名前聞いてなかったな。俺はギンコってもんだがあんたは?」

鬼太郎「僕は鬼太郎、ゲゲゲの鬼太郎」

ギンコ「鬼太郎か…なんだか知らないけどあんたとは気が合いそうだ」ニッ

鬼太郎「僕もなんだかそんな気がしますよ」ニコッ

シトシト…… シト……

ギンコ「おっ、雨上がったな」

鬼太郎「それじゃあそろそろ行きますか」ヨイショ

ギンコ「ああ、達者でな」

鬼太郎「ギンコさんこそお元気で……といっても…」

ギンコ「?」

鬼太郎「またすぐに会うことになるかもしれませんけれど」カランッ コロンッ カランッ コロンッ

ギンコ(……どういうことだ?)





???「で、お前から見てあの男はどうじゃった?」

鬼太郎「そうですね……なんというか人間らしくない、って感じがしましたね」

鬼太郎「でも良い人のようですし、彼にならあの件を頼めそうです」

???「全く、しかし面倒なことになってしまったのう」

鬼太郎「仕方ないですよ、まあ気長のんびりいきましょうよ」

???「トホホ……おまえは相変わらずマイペースじゃな」

鬼太郎「父さんの息子ですから」

カランッ コロンッ カランッ コロンッ


ギンコ「じゃまするぞ」

化野「おお、ギンコか」

ギンコ「水を少し分けて貰いたいんだが……」

化野「構わんぞ、ちょっと待ってろ」

化野「あ、そうだ」

ギンコ「どうした?」

化野「実はお前に見てもらいたい物があるんだ」

ギンコ「何だ?また贋作でも買わされたのか?」

化野「違う!……贋作と言えばお前がこの前持ってきたあの絵だが……」

ギンコ「で、どれだい?」

化野「はぐらかすな!……まあ、いい。付いてきてくれ」



ギンコ「これは……凄いな……」

化野「村の子供が見つけたんだがいつから有ったのかは分からないらしい」

ギンコ(熊じゃない……もっと大きな生き物の爪跡だな……)

化野「どうだ?蟲師の目から見て?」

ギンコ「……蟲の仕業ではないと思う」

ギンコ「こんな大きな力を持った蟲が現れれば周りの蟲も何かしら影響を受けるはずだ。しかし、見たところこの辺りの蟲に異変はない」

化野「そうか……と、なると一体なんだっていうんだこれは……」

ギンコ「分からん、ただ警戒するに越したことはない。村の連中に注意を呼び掛けておいたほうがいいぞ」

化野「お前はどうするんだ?」

ギンコ「知り合いの蟲師に文を送って情報を集めておく。返事が返ってくるまではこの辺りを調べてみることにするよ」

化野「すまんな。俺の家でよかったら自由に使ってくれ」

ギンコ「何、気にするな。こういうのを調べるのも俺の仕事の内だからな」

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