獣人「なぁ、そろそろ殺してくれへんか?」新米騎士「黙っていろ」(19)

獣人「なぁ、そろそろ殺してくれへんか?」

新米騎士「黙っていろ」


獣人「まあ、そう言わんと。暇やねん、相手してや」

新米騎士「貴様と話す許可は下されていない、静かにしていろ」

獣人「綺麗なねーちゃんと話してて、大人しくしてられへんて。興奮すんねん」

新米騎士「ふ・ざ・け・る・な!」

獣人「実は一目惚れやってん。そう怒らんとってや」


新米騎士「…………黙れ」

獣人「あれ?今、ちょっとヨロっときた?チョロいなー、ねーちゃん」

獣人「まぁ、冗談やってんけどな?」

新米騎士「貴様、私をからかってるだろうっ!?」

獣人「あ、そこはわかったんや。えらいなぁ」

新米騎士「…………」イライラ

獣人「まぁ、そう怒らんときって。名前なに?年は……まだ若そうやなぁ」

新米騎士「…………」

獣人「哀れな囚人に、ちょっとばかし同情したってもええと思うねんけどなぁ?そうは思わへんか?」

新米騎士「犯罪者に同情の余地などない」


獣人「…………そうやな……その通りや……」

新米騎士「…………」

獣人「…………」


新米騎士「………何の」

獣人「ん?」

新米騎士「何の犯罪を犯したんだ、貴様は」

獣人「…………殺人や」ハハハ

新米騎士「…………」

獣人「やっぱ、ねーちゃん優しいな。聞いてくれるんか」

新米騎士「言ってみろ」


獣人「あんがとさん。でもなぁ、ほんまに下らん話やねん。オレが殺したんは、貴族やったってだけや」

新米騎士「貴族……」

獣人「そうや。どんだけ恨んだかて、相手が貴族じゃ諦めなあかんのは分かっててんけど、どうしても許せんかった」

新米騎士「何が……あったんだ?」


獣人「金があったら偉いんか?金があったら……命でも買えるって言うんか?」

新米騎士「…………」

獣人「たった一人の……家族やってん。大事な……妹や……」ギリッ

新米騎士「…………何を……」

獣人「オレの妹を……そいつは無理矢理………」グッ


新米騎士「…………だが、殺してしまってはっ……」


獣人「…………まぁ、オレに家族とかおらへんねんけどな。嘘や。騙されやすすぎやろ、ねーちゃん」

新米騎士「………………は?」


獣人「別に殺しとかもしてへんで?マジにならんとって欲しいねんけど。軽いネタやん」

新米騎士「…………」プルプル

獣人「えっ!?マジで信じたん?嘘やろ?」

新米騎士「………貴様……」チャキッ

獣人「ねーちゃん、あれやで。資料くらいは読んどかなあかんって。
 ほんなん、貴族なんて殺せるわけあらへんやん、こちとらしがない小市民やで?」

新米騎士「………それで……貴様の罪は何だ?」ギリッ


獣人「罪もなんもあらへんわ、歩いてたらいきなり捕まっただけや」

新米騎士「はっ!凶悪犯のため、充分に注意しろと上からは言われている」

獣人「ほんで、ねーちゃんはそれを丸っと信じとるーと」

新米騎士「その通りだ」

獣人「じゃ、その凶悪犯はこれからどーなると思うん?」

新米騎士「中央で然るべき裁判を受けることになるだろうな」

獣人「…………」


新米騎士「なんだ?何か私は間違ったことを言っているか?」

獣人「人間やったらな?間違ってへんのとちゃう?」

新米騎士「どういう意味だ」

獣人「さー?どういう意味やろなー?」

新米騎士「ちゃんと答えろ、どういう意味だっ!」

獣人「まぁええやん、オレ、ねーちゃんになら殺されるのもええわ、おっぱいでかいし」


新米騎士「ふざけるなぁッ!何なんだ貴様はっ!!」ガツッ

獣人「牢屋を蹴ったらあかんって、女のコやろ?そない怒ったら、かわいー顔が台無しやで?」

新米騎士「私は女など捨てて……って、そんなことは関係ないっ!黙っておけと言ってるだろっ!!」

獣人「黙ってろゆーたり、喋れゆーたり、忙しいねーちゃんやなあ」ケラケラ

新米騎士「――っ!だから、貴様の罪は何だっ!?」


獣人「せやなー、じゃあ詐欺師あたりもあげとくかー?」

新米騎士「漸くそれらしい犯罪をあげてきたな」

獣人「頭のユルそーな貴族様から、がっぽり儲けさせてもろたわー」

新米騎士「フ、フン、やり過ぎた報いだな」

獣人「せやからな、裁判どころやなく、これから殺されんねん」ニイッ


新米騎士「…………」

獣人「死んだ方がマシやってくらい嬲られるやろなぁ?」

新米騎士「………そんな、ことは……」

獣人「…………」


新米騎士「…………おい、何か言え」

獣人「アカンで、詐欺師と話したりしたら。逆に心配なるわ。騙されたいん?」

新米騎士「貴様はッ!喋りたいのか、喋りたくないのか、どっちなんだ!?」

獣人「もちろん、喋りたいに決まってるやろ。言うまでもあらへんわ」

新米騎士「……ッ!そ、そうか」

獣人「嬉しいんかい……やっぱ、チョロいなぁ、ねーちゃん」

新米騎士「誰も嬉しくなどないわっ!」

獣人「まぁ、そう怒らんと。そんなにでかい声だしとったら誰か来てまうで?」

新米騎士「…………」

獣人「そうそう、エロい声やったら、もっと出して欲しいくらいやけどな」

新米騎士「虫唾が走るッ!」

獣人「あ、ねーちゃんはアレん時って声でかい方なん?」

新米騎士「なっ!?そんなことはッ………煩いッ!貴様に答える義務もないっ!」

獣人「うわー真っ赤やん。スマンスマン、こういう話は苦手やったかー」

新米騎士「黙れッ!」

獣人「そう怒らんとって?ねーちゃんがあんまりかわええから、ついからかいとうなっただけやねん」

新米騎士「それが本気で言い訳になるとでも思っているのかッ?」


獣人「まぁまぁ、ほんでねーちゃんはどれやったら信じられる?」

新米騎士「その軽っそーな口調は詐欺師に相応しそうだなっ!!」

獣人「どれになったかて、結局ねーちゃんとは今夜でお別れや、仲良ォしよ」

新米騎士「何故、私が貴様と仲良くしなければならん」

獣人「誰とも話さんと牢屋に閉じ込められるとか、俺が可哀想やん?」

新米騎士「図々しいにも程があるな」

獣人「ま、可哀想な虜囚の話し相手になったってや、朝まで」

新米騎士「フン……残念だが、もうすぐ交代の時間だ」


獣人「そりゃあ残念やな、じゃあ、交代の前にいっちょさくっといっとこか?」

新米騎士「何をだっ!!」

獣人「何をって、そりゃあ……なぁ?」


新米騎士「」ゾワッ


獣人「そこまで固まらんでもええやろ。冗談通じへんなぁ」

新米騎士「ふっ……ふざっ……」プルプル

獣人「…………」

新米騎士「くそっ!もう貴様とは本当に喋らんぞっ!!」

獣人「…………」ピクッ

新米騎士「そもそも、私は貴様などと喋ったりしないと、初めから……」ブツブツ

獣人「なぁ、ねーちゃん?」

新米騎士「今度はなんだっ!!」ハッ!

新米騎士「――ッ!もう何も喋らないと言っただろう!」


獣人「あんがとさん」

新米騎士「………は?」

獣人「ねーちゃんやったら、ええ騎士になれるやろ」

新米騎士「…………」

獣人「せやから、信じる前によう頭使わな。今より、ようけ見えんもんが見えるよーになるわ」

新米騎士「………何を?」

獣人「詐欺師からのアドバイスやで?役に立てとき」

新米騎士「だから、貴様は何を……」

獣人「しー……そろそろ、交代来そうや。自分の立場考え」

新米騎士「…………」

獣人「…………」ニヤッ

ベテラン騎士「新米騎士、そろそろ交代だ」ガチャッ

新米騎士「――ッ!?ハイッ!」

ベテラン騎士「……?どうかしたか?」

新米騎士「いえっ!何でもありませんッ!」

ベテラン騎士「そうか。では今日はもうあがって構わん、休め」

新米騎士「ハッ!それでは、私は失礼します!」

ベテラン騎士「………うむ」


新米騎士「…………」チラッ

獣人「…………」


ベテラン騎士「どうした?早く下がれ」

新米騎士「……ハイ」ガチャッ…バタン……


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女騎士「――と、そんな妙な獣人がいてな。その後裁判の記録もなく、奴の行方もわからん」

魔法使い「…………そうだったの……」

僧侶「そんなことがあったんですね……」


女騎士「とりあえず、コケにされてムカついたので、見つけ出して殴ってやろうと思ってね」キリッ

魔法使い&僧侶「は?」

女騎士「散々、チョロいだの思慮が足りないだのと言われたからな!ぶん殴ってくれるわ」


魔法使い「………ないわ……その理由はないわよ、女騎士」

僧侶「そうですよっ!せっかく今夜は勇者様が別室なんですよっ?」

魔法使い「そうよ!だから、女同士の本音の話でも出来るのよ!?」


女騎士「ん?旅の目的を聞かれたから答えただけだろう。何かおかしかったか?」

僧侶「そっそれは、確かに旅の目的を聞きましたけど……」

魔法使い「そもそも、アンタが男を追い掛けて旅をしてるって言い出したんでしょっ!?」

女騎士「その通りだろう?まぁ、男というより、雄だが」


魔法使い「………アンタに色っぽい理由とか求めたアタシがバカだったわ……」

僧侶「女騎士さんっ!せめて、こう、もうちょっと艶っぽい理由とかは?」

女騎士「なんの話だ?」

僧侶「ないんですね……」シクシク

魔法使い「待って、僧侶。流石に脳筋、男女と言われる女騎士にだって少しくらいは……」


女騎士「クックックッ……あれだけ馬鹿にしてくれたんだからな、私直々に剣の錆にしてくれる」

僧侶「あると思いますか?」

魔法使い「………ないわね」ガックリ

僧侶「魔法使いさん、むしろ、これは好機だと思いましょう!」ハッ!

魔法使い「は?どういうこと?」

僧侶「この調子だと女騎士さんはライバルにはなりません!」


魔法使い「そっ!そうねっ!!勇者は譲らないわよ、僧侶!」バチバチ

僧侶「こちらこそ、勇者様を譲る気はありませんよっ、魔法使いさん!!」バチバチ


女騎士「~♪~~♪」




女騎士(覚えてろよ、獣人。絶対に私が見つけ出してやる)

女騎士(そして、今度こそ貴様の本当の話を聞き出してやるからな……)


女騎士(それまで……絶対に…………)



---- 或るハーレムパーティのガールズトーク 終劇 -----

勢いだけで書いた
むしろ反省はしていない
続きも前も本編もない
読んでくれたらありがとさん

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