女「林業復興公社…?」(8)

………


???(ジト…)
女(まいったなぁ)

―ひとまず会ってみればいい。この子ならば投薬も少なく済むし、それに―

女(銃を持たずに済む…って、ジリアーニさんは言ってたっけな)
???(ジー)
女(枕を抱いて…防御態勢…)
女(両足が痛々しいな…でも…うーん)
???(ジー)
女「ねえ、つらいよね」
???「……誰…?」
女「ん、私はリサっていうんだけど… それじゃあえっと…突飛でもないけれど」
リサ「あなたは選ぶことができるの」
リサ「もう一度荒れ山を分け入って戦うか、真っ白なこの部屋で過ごすか」スッ
???(ビクッ)
リサ「私に、賭けてみない?」ニコッ
???「……」スッ
ギュッ


………

………


ガガッピー
エミリ(リサさん…目標前20mです 予定通り進行します)
リサ(それじゃあよろしくね 無事帰って、婆ちゃんの昔話も予定通りにしよう!)


エミリ「ア、あの…」
門番「…んだよ嬢ちゃん、こんな僻地に用か?」
門番「ここには怖ぁいおじさんらしかいねぇぞ?裏山ならイノシシくらいはいるかもなぁ」
エミリ「ここニ来れば…私デもお仕事ができるっテ…」
門番(移民の子どもか…ったく…反吐が出るな こんな仕事)


チャッ ガチャガチャ ガチャン ギイィ
門番「入れ…あの奥の扉で3回ノックしろ そしたら」バチイッ ドッ ズルズル…バタン
エミリ(…図面通り…奥へ開く扉…あの先…!)
門番(ぐ…クソ…)ガクッ

コンコンコン  ゴソゴソ…ン、ナンダ、マイゴカ?
エミリ「アノ…お仕事ガ貰えるっテ…」
マタカ…サイカワセンセイハ ドコデネテイタ?
エミリ「…?」(しまった、入り口で、ちゃんと聞いておくべきだった)
オイ…キコエテ
エミリ「サイカワ先生は…」スッ
バギャン グアッ
エミリ「扉にぶつかって、寝てしまったってことで!」


ワアア
ヤB「どこのもんじゃぁ!」
ヤC「シカの餌にしてやらぁ!!」
エミリ「きゃあああ!」
ヤD「なっ、アマぁ、どっから入って」
ウワッ ドッ タァン パパパパパ ゴッ ドカッ―


………

………


リサ「ただいまー、と」
エミリ「ただいま、婆ちゃん!」
婆「…おかえりリサ、エミリ いつもの森の近くだったんだってね 様子は見てきた?」
エミリ「いっぱい増えてたよ!少し採ってきたから、またお風呂に入れてみるね!」
婆「そう…よかったわ 楽しみね」ニコッ
エミリ「ねえ、昔はもっと大変だったんでしょ?やっぱり私は素手だけなのかな…」
エミリ「リサもジリアーニさんも、銃はダメって言うし…」ショボン
リサ「えへへ…」
婆「香水にしては過激だから、銃を持たない血を被らないはすごくいいと思うわね」
婆「それに…」
リサ「それに?」
婆「いい兵士は、武器を選ばないものよ?」


………

………


リサ(これは…P90、ボロボロのP230、男の子向けの服…)
リサ(1期生の子たちとその担当官が残した…いや、まだ…)
?????「ああ…いたいた」
リサ「あれ、ベリサリオ先生 めずらしく外回りですか?」
ベリサリオ「先日の処理で忙しいらしくてね 電話線じゃここはつながらないし」
ベリサリオ「予定より早くエミリの投薬をするから、彼女にも伝えて欲しい」
リサ「分かりました スケジュール変更のほうはもう?」
ベリサリオ「もちろん済んでる 何か予定が?」
リサ「いえ、施術後にまたお仕事でしょうからね」
ベリサリオ「それもあっての呼び出しだから それじゃ よろしく頼むよ」
リサ「はい 了解です!」
リサ(…なるほど、確かに蛇みたいな人ね)


………

………


マルコー「先日と同様、死亡した森林所有者の名義を無理やりブン取ってる輩がいる」
マルコー「この国の悪い連中は、表立ってる奴らはわかりやすいが裏はどうにもいけ好かない」
マルコー「先陣はサンドロとベルナルド お喋り中に撃つんじゃないぞ 裏口は―」

エミリ(ねえ、ねえリサ、どうして撃っちゃいけないの?)
リサ(サンドロもベルナルドも”軽い”人だからね)
エミリ(軽い…?)
リサ(お喋りさんは、舌を噛みきっちゃうかもしれないね?)
エミリ(ひゃー)ゾワゾワ

マルコー「屋上からリサと…おい、聞け 俺の仕事はお前らに天寿をまっとうさせることだ」
リサ・エミリ「は、はい!」ビシッ
マルコー「すっ転んで頭を打って死なれても困るんでな よろしく頼むぜ」


………

………


ジュリア(事の顛末を知り、国外にまで飛ばされ転々として早数十年)
ジュリア(結局ツテで就職して森と関わる平和なお仕事かと思いきや)
パァン バーン タタタタッ パァン
ジュリア(これが猟銃ならまだマシなのかな…ああでもここ市街地だし…)
エミリ「行きます、ジュリアさん、後援を!」サッ パァン
ジュリア「ねえ、エミリちゃん」チャッ タァン タタタタッ
エミリ「はい!」パァン タッタッタッ
ジュリア「帰ったらまたサッカーよろしく!」タタタタッ 
エミリ「はい、こちらこそ!」ニコッ
ジュリア(日本も危ないところは危ないのね ひとまずは)チャッ
バァン
ジュリア(気を抜かず生き延びて、たまに息抜きってところね)


………

………


エレノラ「リサ、陣中待機にしたんですね」
マルコー「話を聞かん奴を前線へは出せんからな」
マルコー「ジュリアのほうが役に立つ いざとなったらしっかり頭にシュートしてくれるだろ」
エレノラ「それ本人に言わない方がいいですよ…と、あ、調べ物終わりました」
エレノラ「この地域も間伐は手付かずです 地元の組合では林班管理とGIS情報もごっちゃですし」
マルコー「いまはどこもカツカツだからな 6割弱が補助金じゃ、成り立ってませんって言ってるようなもんだ」
エレノラ「金のなる森を投資ではなく支配…皮肉なものですね」
マルコー「知る人ぞ知る、といったところだからな 知らない奴らにとっては狂気の沙汰だろう」
マルコー「たやすく目先の金が手に入るから、ついつい売りに出しちまうんだろうさ 山の土地なんて持ってても税金払うくらいしかないしな」
エレノラ「金儲けはいつだって搾取の連続ですね」
マルコー「金儲けが汚いってのは、それは違うぞエレノラ」
エレノラ「え?」
マルコー「いつだって汚いのは人間だけだ」


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