一夏「頭を優しく撫でてみたけど」(341)

最近ISのSS少なくて寂しい……
じゃあもう自分で書いちまおう一年振り位に


一夏「あ~そーいえばさ~、頭撫でてみたんだよ」 カチャカチャ

弾『やったんか~……やってしまうキミか~そうだよな~どうだった~?』カチャカチャ

一夏「いや、もうやっぱりいいねあれは。すごい幸せになるぜ」 カチャカチャ

弾『そりゃよかったな。回復そっちにないか?』

一夏「さっき取っちまったよ」 カチャカチャ

弾『おま…………イケるかこの敵の数……それで?鈴の頭撫でたんだろ?』カチャカチャ

一夏「なんでわかる?撫でたっていうかこう、くしゃくしゃーってな。あいつ犬みたいだったよ」 カチャカチャ

弾『それを撫でると言うのか?……よっしゃ最後の一匹だ』カチャカチャ

一夏「アーマー回収してくるわ。いや、アレはアレで鈴喜んでたっぽい……と思う…………」 カチャカチャ

弾『なら別に…………あ、味方が倒しちゃったな』カチャカチャ

一夏「偉いぞレンジャー。百万年無税」

<大群が来たぞーッ!!


一夏「ファッ!?」 カチャ


弾『絶望の看板に偽りなし……死んだな。このミッションは武器変えて再挑戦するか』カチャカチャ

弾『で、話の延長線ってわけでもないんだがよ……頭撫でてみたいか?』

一夏「あン?あ、俺死んだ。それって誰がお前の頭を……」

弾『なんで俺がお前に頭撫でさ
るんだよ。ちげーよ、蘭の頭でいいなら撫でてみてもいいんじゃねーかと思ってな』

一夏「……自分の妹の知らんところで勝手に言ってもいいのか?」

弾『だぁじょぶだぁじょぶ』

一夏「あと俺の復活希望」

弾『それは大丈夫じゃねぇな』カチャカチャ

弾『で、どうなんだ?撫でてみるか?』

一夏「そりゃ撫でてみたいっちゃ撫でてみたいけど…………」

弾『じゃ蘭に話してみるわ……はい死んだ俺。明日一夏休みだよな?飯食いにこいよ』

一夏「おう。じゃ久々にマヴカプでもやるか」

弾『だな。潰してやるよ。それじゃ俺落ちるから』

一夏「おう。俺も寝るよ。また後で連絡するから」

弾「ふぅ…………蘭だからまぁOKするとは思うけど……」

蘭「おにぃ~飯~」 ドガチャ

弾「おぉ、ちょうど良いところに。明日一夏が遊びに来るんだけどよ」

蘭「は?そマ、本当!?やだっ、明日着る服決めとかないと!!」

弾「ふっふ、それだけじゃないんだ、ぜ~?一夏がさ、お前の頭を撫でてみたいんだと」

蘭「……え?は……?一夏さんが……私の頭を?」

弾「そ、そ。で、俺はそれなら撫でてみりゃあいいじゃんって事で一夏を明日家に呼んだわけだ」

弾「ふぅ…………蘭だからまぁOKするとは思うけど……」

蘭「おにぃ~飯~」 ドガチャ

弾「おぉ、ちょうど良いところに。明日一夏が遊びに来るんだけどよ」

蘭「は?そマ、本当!?やだっ、明日着る服決めとかないと!!」

弾「ふっふ、それだけじゃないんだ、ぜ~?一夏がさ、お前の頭を撫でてみたいんだと」

蘭「……え?は……?一夏さんが……私の頭を?」

弾「そ、そ。で、俺は撫でてみりゃあいいじゃんって事で一夏を明日家に呼んだわけだ」

蘭「おにぃ、ナイス。よくやった!!」

弾「現金だなお前……てなわけなんで、明日予定は入れんなよ。あと頃合い見て部屋に差し入れよろしく」

蘭「オッケー!!あ、ご飯出来たから食べなよ?ふふ~?」 トタトタトタ

弾「……我が妹ながら……悲しい程になんとチョロいこと……一夏、お前も罪な男よ……」

おぉ、ミスった
どんまい、気にせずいこう

翌日・五反田亭

一夏「相変わらず……く、お前のバージルは……!!よく動く……!!」 カチャカチャ

弾「お前のモリガンも相当に……!!この、ヤロ、ちょこまかと……!!」 カチャカチャ

一夏「だ……この、良し!トドメだダークネスイリュージョン!」

<オ・シ・オ・キ!

弾「がっ!?喰らったー!!」

<キモチイイデショー?

一夏「っっしゃあ!!勝ったぁ!!」

弾「あ~……ちくしょ~……負けた~……これで……おぉ、二十勝二十二敗……四十試合やってたんか、そりゃ小腹空くわ」

一夏「確かに、やりまくったな…………飯はどうする?食いに行くか?」

弾「おいおい……ここ五反田亭でその発言はお前いくらなんでもそりゃないだろ。食ってけよ。今昼頃だからちょうど蘭が飯作ってるはずだって」

一夏「ん?そうなのか?じゃあお言葉に甘えてゴチになるかな」


コンコンコン!


弾「お~入っていいゾ~」

蘭「あ……一夏さん、こんにちわ……!!ちゅ、ちゅうちょ、昼食が出来たので……!よかったら……!」

弾「んな?」

一夏「おう、じゃあいただこうかな。しっかし蘭、やけに服に気合入ってるな」

蘭「んぅえ!?そ、そそそ、しょんなことありゃせんよよっ!?」

弾「お前…………クッソどうでもいいようなとこにズレて気付くのな」

一夏「ん?」

蘭「ご、ご飯が出来てるので!!さ、冷めないうちに!!」 トタトタトタ!

弾「じゃ…………ん~!飯にすっか」

一夏「だな、久しぶりに蘭の飯だ~」

弾「なンだ?そんなに嬉しいか?お前が俺の義理の弟になるなら毎日食えるんだぜ~?」

一夏「お前の冗談、時々切れ味竹光以下でどうすればいいのか迷うな」

弾「作り笑いの一つも浮かべず返すのもどうかと思う」

一夏「うっま!!蘭、美味いなコレ!!」

蘭「ほ!!本当ですか!?」

弾「…………」 モグモグ

一夏「あぁ、この魚の煮付け……日本人に生まれてよかったと思うぜ?」

蘭「んふふふ~……!!あ、お茶のおかわりは?」 ニヨニヨ

一夏「お、サンキュな」

蘭「いえいえ~」

弾(正直どのタイミングで頭撫でるんだ……?読めん…………そのタイミングは邪魔をあまりしたくないが……) モグモグ

蘭「その煮付け作るのに朝からすごい頑張ったんですよ~!!難しくって……」

一夏「そっか、朝から……ありがとうな蘭、こんなうまい煮付け作ってくれて」 ナデナデ

蘭「!?」 ビクッ

弾(こ、ここにきて、ここで、このタイミング……!?そして何故そんな自然に、他人の頭を撫でることが出来る!?しかしどうやって抜け出す……!?)

蘭「いぃぃちいちかさんッッ!?これこらここれ!」

弾「俺、あ~っと!!ケータイ部屋に忘れてきたわ~そろそろゲームの時間溜まったから回さなきゃな~」 ガダッ

蘭「ちょっ!?」

一夏「ん、なんかゲームダウンロードしてたのか?飯の途中だぞ?」

弾「あ、あぁ?うん、そう、時は金なりってな?!?」

蘭(なでなでが…………即、終わった……)

弾(マジかよ……!?即終了のそんな軽いもの……俺が席を立ったから…………!?こりゃやべぇ……!!後で蘭にドブにコロがされる……!!)

弾「だからちょっとケータイ取ってくるわ。ついでにさっきの、ケータイの写真に撮りたいからよ、面白いし、また頭撫でてやってくんね?」

一夏「?いいけど……」

蘭「……!?」 ガッツ!

弾「そんじゃ、よろしく~」

弾(我ながら……なんと、素晴らしい我が頭の閃きか!!)トコトコ

蘭「あの…………一夏さん……」

一夏「ん?」

蘭「私の…………あの…………頭…………撫でて……撫でごこち……どうです……か?」

一夏「……蘭の、頭の……」

蘭「!!」 コクコク

一夏「そうだな、蘭は髪の毛が柔らかくて……髪の毛が長いのに絡まなくて……触っててすごい癒されるかな。赤毛が撫でられて流れるたびに光の当たり加減で少し色が変わるのが綺麗だよな。あとほのかな良い香りがする」 ナデナデ

蘭「……!!」 キュン

蘭「そ、それじゃあ……じゃあって、あの…………アレですけど……髪の毛……嗅いでみます……?匂い……髪の毛……わた……、私……の」

一夏「そ、そんなそこまで……」

蘭「…………どうぞ……別に、一夏さんならいいかなって……えへへ!」

更識姉妹が可愛いから今回書く気になった

そーいえばIS2期、なんだあれは……(困惑)
鈴ちゃんの扱いの不遇さと言い展開のアレさと言い……

弾「こりゃ一体何がどうなって、ケータイ取りに行ってる間にどこでこうなった?」

弾「二階から階段ゆっくり降りてきたら、それがもう実はタイムスリップして……」

弾「一夏と蘭が結婚した並行世界?時間軸?にワープしたとか?」

蘭「あ~ん」

一夏「ほい。美味いな魚の煮付け」

蘭「私が作りましたからっ!!」

一夏「だよな。よく出来ました」 ナデナデ

弾「よぉ義弟。仲良くやってるな」

一夏「いつどこで俺が義弟?」

弾「人の、親友の妹を膝の上に乗せた上にあ~ん、だ。これは、それはそれはもう……幸せな家族だな」

蘭「あ~……幸せとは……こんなにも美味しい……いっそ一夏さんがお兄さんだったらよかったのに……!!」

弾「実の兄の目の前で本気の発言されたら俺の立場がねぇよ」

一夏「でも、蘭が妹ってのはいいよな。頭もいいし、料理も出来るし、人望もあるしな」 ナデナデ

弾「他人の芝生は青く見えるだけだ。曇り無き眼で見定めるとな、キッツいぞ~」

蘭「ちょっ!!お兄!?何がよ!?」

弾「あ~も~やろうか?それ?」

蘭「実の妹をそれ扱いするか!?」

一夏「くれくれ。ほら蘭も暴れるな暴れるな」 ギュッ ナデコナデコ

蘭「んん…………」 フナーゴ

一夏「ははっ、猫みたいだな蘭。うりうり」

弾「本当仲良しねお前ら……写真撮るぞー」 カシャー

蘭「あ、ちょっとお兄!!今目ッ、瞑ってた!!不意打ちやめてよ!!」

弾「へいへい。んじゃ一夏ー撫でてやってくれ~」 カシャー

一夏「こうかー」 ナデナデピース

蘭「にししし!!ピースピース!!」

前作はどっかまとめてくださってるから探してね

一夏「しかしさ、蘭のこの髪の毛の量……夏とか暑くないか?」

蘭「ん~……暑いといえば暑いですけど……慣れですよ?」

一夏「そっか~……そーいうもんか」 サラサラ

蘭「ッ!?」 ビクッ

弾(おいおいマジか!?いくら妹みたいに思っててもそこまでやって…………しまうお前だよなぁ……)

蘭(これってもう私完全に彼女だよね!?彼女になって良いのよね!?)トクントクント

一夏「蘭の髪の毛意外に太いのな。やっぱり暑そうだ」 サラサラ

蘭「で、ですかね!?切っても良いんですよ!!えぇ実際!!一夏さん切ってみます!?」

弾「落ち着け蘭、ちょっと訳のわからんこと言ってる」

料理回で油を暖めるセシリア可愛い
誕生日会でクッキーが胸に挟まるシャルあざとい
ラウラはなんだかんだ可愛い
色々と不遇な2組クソ可愛い
箒?おう、掃除用具の!?モップの!?よく知らねぇや!!

一夏「蘭の髪は切ったら勿体無いって。そうだな……蘭なら赤毛だし三つ編みとか似合うかもな」

弾「三つ編みのイメージに多大なる冒涜だ。キャラクター性が重要な昨今、果たしてこいつが三つ編み?告訴されるぞ?法廷で会おう」

蘭「お兄…………あんたそこまで言うか……」

一夏「まぁ蘭も活発なイメージあるしな。三つ編みよりかは…………うん、今の方が良いかもな」

蘭「そうですか!!ですよね!!」 パァァァ

弾(ただ単に答えに詰まっただけじゃあ……)

夕方

一夏「じゃな、そろそろ門限だし帰るよ」

弾「おう。また来いよ。夜は暇か?」

一夏「あ~多分な。なんだ、また地球を守るのか?」

弾「たりめーよ!!ストームチーム出動だぜ!!」

一夏「了解!じゃ時間あったら連絡するよ。またな」

蘭「んふふふふ~!!念願の 一夏さんとの ツーショット!!早速ホーム画面に……!!そしてこれを……ふふふふ……」

弾「う~ん嵐が来るぞ……嵐だ……」

IS学園


ギンリンギンリンマッハマッハー♪ギンリンギンリンマッハマッハー♪


鈴「は~……良いお湯だった~……ん~?珍し、蘭からメールが……来る…………なん…………っっじゃこりゃああぁぁぁッ!?」


一夏・蘭の厳選されたツーショット


鈴「なんッ、違う!!これは何がどうなってなんなのよ!?悪い夢ね!?あぁ!?あぁ!?げ、幻覚!?」

鈴「メッセージ……!!『一夏さんとのツーショットでーす!!見ればわかりますね、頭も撫でてもらいましたー(≧∇≦)』」

鈴「(≧∇≦)」

鈴「ぅうぉのれぇぇ小娘ぇ……!!少し頭を撫でてもらったくらいで調子に……!!」

鈴「…………」 ピッピッピッ

鈴「乗るなぁ!!」

五反田亭

蘭「んふふふふ~!!今頃鈴さんは慌ててるかな~?絶対慌ててる!!」


シャララシャカシャカ ドロロノノウズイ~♪

蘭「お、返信来た来た。さて、どんな遠吠えが……」


鈴が一夏の頭を撫でるツーショット

蘭「ファッ!?」

戻ってIS学園・一夏の部屋


一夏「ただいま~っと。あ~……蘭の頭……も、負けず劣らずだなぁ。撫でごこち良い事良い事……」 ボフッ


コンコンコンコン


一夏「誰だ…………ベッドに寝転がったばっかなのに……っぃしょ」


コンコンコンコン


一夏「へ~い今開けますよ~ってなんだ、鈴か。どした?」

鈴「はぁ~……ふぅ~……ふぅ~……こ、これ……!!」

一夏「ん……?んん!?こ、これは!?」

鈴「どーいう事よ!?アンタ何で蘭の頭なんか撫でてるのよ!?あり得ない程のこの事態は!?」

一夏「ま~その~……ね……?あの……リビドーがな?我が性的衝動を捧げた結果と言うか……」

鈴「これはもう……千冬さんに報告するしか……」

一夏「いやいやいや、勘違いするな?学園外の事だからなこれ?俺のプライベートのアレだから千冬姉は関係無いと言うかそうじゃないですか……?」

鈴「……ぐ…………まぁ……確かに……」

一夏「そ、そんな事よりも鈴、髪の毛濡れてるぞ?」

鈴「……お風呂出たばっかだからよ」

鈴「あ」

一夏「さ、さよか……早く頭拭けよ?風邪ひくぞ?」

鈴「じゃ……あ、の……じゃあだからってわけでもないけど……あんたが拭いて……よ…………?」

一夏「ん?……んん!?」

鈴「入るわよ!!お邪魔します!!早く頭拭きなさいよ!!」 ボスッ

一夏「はぇ!?へぇ!?何なの……?」

一夏「……じゃあ、拭くけども……下手くそだからって、文句言うなよ?」

鈴「言わないわよ。いやあんた次第よ。早く、風邪ひく」

一夏「へ~いへい」 ワシャワシャ

鈴「んむ…………」

一夏「…………」ワシャワシャ

鈴「…………」

一夏「…………」ワシャワシャ

鈴「…………ねぇ、ただあまりにも頭を拭くだけって悲しくない?」

一夏「いやだって……特に…………どうするったって……」コシコシ

鈴「大体さ…………いやそうよね、私が悪いわよね。一夏にそんな期待してもね。座りなさい」 ポンポン

一夏「はぁ」 ポス

鈴「さっ……て、と……じゃ、じゃあ?続き……しよっか?」 ポス

一夏「んな!?お前どこ座って!?」

鈴「ッッさい!!勝手でしょうが私がどこに座ろうと!!早く髪の毛拭きなさいよ!!」

一夏(だからってお前、膝の上ー!!)

鈴「は、早く。まだ髪の毛も乾かさなきゃならないのよ?そりゃもう言うまでもなくあんたが」

一夏「と、とことんだな……」

鈴「当たり前でしょ。こうなったらってのが今なのよ。どうなっても不思議じゃないのよ今は」

一夏「…………本当、好き勝手使いおってからに……」 ワシャワシャ

鈴「ん~…………後ろからってのは…………中々新鮮ね」

一夏(改めて何で……俺は鈴の頭を……?)

鈴(やっぱり……気持ちいいなぁ……一夏に頭わしゃわしゃされるの…………自分でやるのと違って……力加減が……う~ん…………私って……マゾ……?)

一夏「どうだ?」

鈴「うん……うん、まぁ、いいんじゃない?」 ニヘ

一夏「いいのか、うん。よかった」

鈴(も、絶対今の私顔ニヤけてる……!!ヤバイヤバイヤバイ振り向けない無理本当心臓ヤバイ音聞かれてないわよね?)

一夏「おい鈴、屈むな。頭が拭きにくい」 ワシャワシャ

一夏(鈴の……うなじ……ほっそいな~)

鈴「も、もういいわよとりあえずね!!とりあえずだから、あとは頭乾かして!!」

一夏「へー。ドライヤー取ってくる」

鈴「べ、つに私が……そんくらいとってきてあげる」 トテトテ

一夏「あぁそすか。洗面所の上辺りにあるから」

鈴「ふぅー…………っぶなぁ……アドレナリン出たわ~…………あいつ……まぁあいつの事だから気づいては無いだろうけど…………それって……なんだかなぁ~(阿藤快)」

鈴「ドライヤードライヤー…………ん?」

鈴「一夏の……カッターシャツ……」

鈴「…………」

鈴「…………」 スンスン

鈴「ってアホか私は!!マゾに輪をかけて変態か!!」 スンスン

鈴「……うぅ~…………なんで……こんな、いい匂いがするのよ……」 スンスン

一夏「お~い鈴、見つかったか?」

鈴「い、いいい今探してるわよ!!待ってなさいよ!!」 スンスンスンスン

一夏「へ~へ~。怒鳴らなくてもいいだろ……」

鈴「…………ビックリした……絶対見られたらヒかれる……」 スンスン

鈴「よし、おしまい!!もうおしまい!!」 スンスン

鈴「ん……」 スゥゥゥゥ

鈴「はいオッケ!」

鈴「一夏~嘘ばっか、ドライヤー下の方にしまってあったよ」

一夏「え?ウソぉ?そんなはずないけど」

鈴「ま、あったからいいけどね。はいじゃよろしく」 ポス

一夏「あ……やっぱり膝の上……て言うか股の間なんだな」

鈴「ベスポジだからねこれ」

一夏「んじゃ、さっさとやるか。お前の髪の毛長いから時間がかかりそうだ」 カチッ ブァァァァ

鈴「ん……」

一夏「こんだけ長いと手入れ大変だろうに」 サワサワ

鈴「慣れれば……そうでも…………ない……」

鈴(ギャップがぁー!!拭く時と違って手付きが優しい世界ッッ!?)

一夏「しっとり濡れて乾くのにもこりゃ時間かかるぞ……」 クシクシ

鈴「別に急ぎ、でも…………ないし……しっかり、やって……」 フルフル

一夏「ん~……まぁ楽しいからいいけど……しかし鈴お前小さいな」

鈴「小さい!?ああ、あああんた言っていい事悪い事があって!!私のは小さい訳じゃ……相応……!!なのよ!」

一夏「いや小さいだろ?だって箒とかシャルとか、みんな平均的な身長あるんじゃないのか?鈴はどう見ても……無いし……」

鈴「あ……そっち…………別に身長なんてどうでもいいわよ。人間こうなった以上は持ってる手札で勝負するしかないんだから」

一夏「?勝負?」

鈴「なんでもない!!手を動かす!!乾かす!!」

一夏「大分乾いてきたな~」 コオオオォ

鈴「ふ、ん……そう……」

鈴(そろそろ……終わっちゃう……こんな優しく……撫でられるのが……悪くないなんて…………)フルフルフル

一夏「っかしホント、アレな。髪の毛……?」

一夏「…………」

一夏(ぬぉわッッ!鈴のパジャマの上から覗き込んじまった!!控えめな胸に小さなチク…………!!)

一夏「いやぁいやぁなぁ?しかしなんでかね!?なんでだろうね!?」

鈴「……は?いきなり何がよ?」

一夏「あの~、あれ、なんでいい匂い……髪の毛ってなんでいい匂いするんですかねぇ!?」

鈴「はぁ!?なにそれ?」

一夏「いや……あの、特にそう思っただけで……」

鈴「…………一夏……は、さ…………匂い……私の髪の毛の匂い…………どう?」

一夏「あ……うん……いいと思う」

鈴「ドドメ色な解答ね……男ならはっきり答えなさい」

一夏「そんなこと言われてもよ」

鈴「じゃあ、もう……あの、さ?か、嗅い、で……みて?」

一夏「いぃ!?ま、マジで言ってるのか鈴!?」

鈴「もうここまで来たらいいわよ。やることやってあとで後悔するわよ!!」

一夏「言ってることめちゃくちゃ過ぎるぞ!?髪の毛の匂い嗅ぐとかそんな…………アブノーマル……」

鈴「私がいいって言ってるんだから嗅ぐのよ!!て言うかあんたがどう思ってるか気になってしょうがないからあんたが悪い!」

一夏「わけわからんくらいにテンパってるぞお前……」

鈴「っさい!!うるっさい!!どうなのよ!?私の髪の毛はいい匂いなの!?どうなのよ!?」

一夏「落ち着け、どうどう…………じゃ失礼して…………」 スンスン

鈴「ぅ…………ゅ……」

一夏「…………」 スンスン

一夏「…………」 スンスン

鈴「……っぁ、一夏…………なん、どう……なの……?」

一夏「…………ん……」 スンスン

一夏「……くさ」

鈴「はぁっ!?」

一夏「はっはっはは!!冗談だよ!!……あぁ、すごい……いい匂いだ……シャンプー……?リンスか……うん、いい匂い……」 スンスン

鈴「ちょっ、嗅ぐ!、嗅ぐなぁ……!!」 バッ

一夏「っと、何だよ、嗅げって言ったのお前だろ!?大丈夫、いい匂いだった!!…………結構好きな匂い、かな……」

鈴「~~ッッッ!!」 バシッバシッ

一夏「いたい、いた、いたい!」

鈴「変態!!」

一夏「この謂れのない理不尽さは何なんだ?俺が悪いのか!?」

鈴「帰ゆ!!」ガチャ

一夏「帰ゆって……噛む……あぁ、はい……え、何だったんだよお前は……」


鈴「…………」ピタッ

一夏「?」

鈴「…………ばーか」

一夏「な、何だとぅッ!?」

鈴「にひひひ!おやすみ一夏ッ!!」 パタン

一夏「まるで大嵐のように去って行きやがった……本当何だったんだ……」

一夏「…………鈴の奴、いい匂い……だったな…………って俺はマジに変態か!?」

鈴の部屋

鈴「…………」 ガチャ

ティナ「おかえりー。なんかすごい形相で出てったと思ったけど今はなんて事ない?」

鈴「…………ぁ、うん……」 トテトテ

鈴「…………」 ポスン

鈴「…………」 ゴロゴロゴロ

鈴(ヤバイ…………明日からどんな顔して一夏に会えばいいのよ……!!今更にして恥ずかしくなってきたー!!何なのあの時のわたしは誰ぞー!?)

ティナ「…………」 ポリポリ

ティナ「……トッポ食べる?」 ポリポリ

鈴「いや…………いらない…………」

ティナ「…………」 ポリ

ティナ「……鈴、すっごい顔真っ赤だよ?風邪?」

鈴「……あ~も~風邪だったらいいのにね~……」

一夏「……でもやっぱり…………頭撫でてると……満たされるなぁ……」

シャル「ふぅん?それで、一夏は誰の頭を撫でたんです?」

一夏「そりゃあ……ちょ、シャル、いつの間に笑ういてつく波動の中で超電磁砲を描く真夏の夜の淫夢を見ながら闇の右手に宝石のようにいらっしゃい!?」

シャル「一夏、ちょっと落ち着こう?」

一夏「凄くビックリした……え?あれ?いつ?いつからだ?」

シャル「ついさっきね。ノックもしたのに全くなんの返事もなかったから……」

一夏「そ、そうか……それでシャル、何のようだ?」

シャル「ん~……特に用ってわけでもなく来たんだけど……たった今さっき用事ができたと言うか……」

一夏「ん?」

シャル「一夏は……誰の頭を撫でたのかな?」 ニッコリ

一夏「ん?ん!?なんの!?なんなんなん?なんの事やろなぁ……!?」

シャル「織斑先生から釘を刺されてた撫で撫でを……一夏はしてしまったんだね……これは報告ですねぇ……」

一夏「…………こ、殺されてしまいます……」 カタカタ

シャル「それは一夏次第かな?だよね?」

一夏「…………だよね」

一夏「それで……具体的には何をいたしましょう……?」

シャル「撫で撫で……」

一夏「んへ?」

シャル「僕も撫で撫でかなー……って……」

一夏「…………正気か?シャル?自殺願望か!?」

シャル「違うよッ!?」

一夏「だってシャルそんなお前……密告する立場から一転、共犯って…………」 テノヒラクルー

シャル「それはそれ、これはこれ」

一夏「…………箒がどうなったか、知らないわけじゃないだろ?」

シャル「心配症だなぁ一夏は。バレなければ大丈夫だから!!」

一夏「お、おぉ…………シャルってそんなやんちゃな奴だったんだな。ちょっと新鮮だ」

シャル「そう、かな?」

シャル(一夏の撫で撫でが復活したんだもん……多少の、いやいや、例えインディ・ジョーンズの映画の吊り橋を渡るような危険でも!!)

シャル「じゃあ一夏、明日ね?」

一夏「明日?今日じゃないのか?」

シャル「もう今日は遅いからね!!明日またゆっくり、ゲームでもしながらだよ!!マヴカプ強くなったんだよ僕!!」

一夏「ほぅ……」 キラン

シャル「楽しみに待っててよ!!……あ、くれぐれも今日の事はみんなに知られないようにね!?」

一夏「わかってるわかってる。危険は冒したくないからな」

翌日

鈴「うぅ…………一夏に会いにくい……」

シャル「りーんッ!」 ガバッ

鈴「わ!?ちょ!?何後ろからシャルロット!?」

シャル「う~ん、やっぱり鈴の方がラウラよりも少し大きいねー!!」 ダキッ

鈴「…………身長?」

シャル「……?身長だよ?」

鈴「だよねだよね~!!」

シャル「ふふっ変な鈴だな~」 ナデナデ

シャル「ところでさ、こうやって頭を撫でて聞きたい事があるんだけど」ナデナデ

シャル「一夏に頭を撫でられて、どうだった?」 ナデナデ

鈴「」ダッシュ

シャル「しかし まわりこまれた」

鈴「…………私をどうする気?千冬さんに……」

シャル「しないよ?ええともしないよ?」

鈴「どういう魂胆で……」

シャル「僕が既に撫で撫での事を知っている~……けど~、それを報告せずに鈴に会いに来たって事でもう察しはつくんじゃないかな?」

鈴「そうね、争いは双方に無益だものね」

シャル「そうそう。今のところは鈴にアドバンテージがあるけど……今夜は僕がって事で」

鈴「言うまでもなくだけど、千冬さんに知られたらって事を覚悟しときなさいよ?リアルに言うわ、半殺しよ」

シャル「それは……うん、わかってる…………前回僕は処刑されたからね……」

鈴「ハイライト帰ってこ~」

シャル「でも、鈴はなんでだろうね?なんで処断されなかったのかな?」

鈴「……人徳?」

シャル「それはないよ」

鈴「言い切るわね~……ま、撫でられた私が言うのもあれだけど気を付けなよ?どこから情報が漏れるかわからないんだから。私だって終わって、それに怯えて今十字架を背負ってる気分なのに……」

シャル「も~本当に心配してくれるね鈴は!!大丈夫だよ!!」

鈴「日本ではそれをフラグと言うのよ」

シャル「思うにタイミング的にはまだバレないと思うんだ」

ラウラ「何がだ?」

鈴「っ!?」

シャル「ぴゃあぁッ!?」

ラウラ「?」

シャル「どど、どうってこともないでしょうえぇ!!」

鈴「おぉ~い落ち付け~落ち付け~」

ラウラ「そうだぞ。目に見えての慌てようだ」

シャル「あ…………うん、あ、そうだ!!」 ピコーン

シャル「ラウラ、今日の夕方は空いてるかな?」

ラウラ「あ、ぁ……別段用事はない」

シャル「そっかぁ!!じゃあシャワー浴びたら、お出掛けだね」

鈴「…………こうやって情報はなし崩し的に広まってくのよね~……」

ラウラ「問題はないが…………どこへだ?」

シャル「んふふふ?一夏の部屋だよ~」

ラウラ「……」 キラン

一夏の部屋


一夏「シャルのやつ……強くなったって言ってたけど……どうなんだ?やっぱり前とは違うメンバーで……」


コンコンコンコン

シャル「一夏ー、来たよー」

一夏「来たか。見せてもらおうか、俺を前にして豪語したあの言葉の真意を」

ガチャ

シャル「やっほ」

ラウラ「来たぞ」

一夏「…………増えてる?」

ラウラ「まったく水臭いぞ嫁よ。お前は私の嫁なのだろう?頭を撫でるのなら何故私を呼ばん」トコトコ

シャル「せっかくなのでラウラも一緒に来たんだ。大丈夫、バレてないバレてない!!」

一夏「いやそれは構わないが……二人の格好……お揃いの猫の……」

シャル「そーだよ?かぁいいでしょー?」 フリフリ

ラウラ「嫁よ、お菓子があるな。カントリーマァムだ」 フリフリ

一夏「確かに可愛いな。でもどっちかって言うとシャルは……犬……っぽいよな?」

シャル「……にゃーん」

一夏「いや、犬」

シャル「にゃーんッ!!」

一夏「猫な。猫猫」

シャル「僕は自分を曲げないよ!」

一夏「お手」

シャル「わん」 ポフッ

一夏「幻滅しました。シャルロッ党やめてブラックラビッ党になります」

ラウラ「我が部隊に来るのか嫁よ。よかろう、入隊を認める」

シャル「もう!……あのね、最初はマヴカプやろうかと思ってたけど……ラウラもいる事だしね、違うことをやろうと思うんだけど……」

ラウラ「む?」 モッモッ

一夏「だな。ってもゲーム自体はそんなに俺は持ってないぜ?」

シャル「ゲームじゃないんだなぁ。これ、映画見よ?」

一夏「ん~……ニューシネマパラダイス?」

シャル「結構古い映画なんだけどね、名作なんだって!!レ・ミゼラブルと迷ったんだけどね」

ラウラ「どんな映画なのだ?」

シャル「ん~……どんな映画……なんだろ?買ったばかりだからわかんないや」

一夏「ま、見れば分かるさ」 ピッウィーン

<ホ~ラ50リラダ~

<アルフレッドー

一夏「おぉ~……かっこいい!」

ラウラ「ふむ、地方の映画館の話なのか?」 モッモッ

シャル「なのかな?」

一夏「……ところで何故にラウラは俺の胡座の中なのか」

ラウラ「顎が起きやすいだろう?」

一夏「え?ま~……はい」

ラウラ「遠慮せずに置くがいい」

シャル「さすがに僕がそこには座れないからね……隣なら大丈夫だよね?」

一夏「え?うん……え?はい」

一夏(俺って……傍から見たらどんな羨ま状況だ!?)

ラウラ「ほら一夏、あ?ん、だ」

一夏「い、いただきます……」 パクー

ラウラ「美味いか?」

一夏「カントリーマァムはやっぱり美味いな」

ラウラ「よし、ならば頭を撫でろ一夏。カントリーマァムを口に運んだ報酬に私を慈しめ。さぁ撫でろ」 ドヤァ

一夏「はいはい、ありがとうなー」 ナデナデ

ラウラ「うむ。だがしかしフードが邪魔だな。さて、撫でるんだ」 ファサッ

一夏(……良い匂いがした……)

一夏「おう。ってラウラ、髪の毛ボッサボサだぞ」

ラウラ「!?」

ラウラ「ちがっ!?これは!!だな、油断した!!くっ!!」 ワタワタ

シャル「一夏、直してあげたら?」

ラウラ「!?」

一夏「ん……?あ、ラウラ……ちょっと手櫛になるけど、髪の毛整えてもいいか?」

ラウラ「ぁ…………ぅむ…………よろ、よろし、く……たのむ……」

一夏「おう」 サッサッ スゥー

ラウラ「ん……ふ…………ん……」 フルフル

ラウラ(き…………気持ちい……)

一夏「ラウラの髪の毛は……柔らかいな……細いし、作り込まれてるみたいだ……」 サラサラナデナデ

ラウラ「…………んん」 ビクッ

一夏「…………あははは、ほっぺたもぷにぷにしてる」 モニュモニュ

ラウラ「頬を撫でるなぁ…………!!つまむなぁ~!!」

一夏「あとそれに……良い匂いもする」

ラウラ「ばっ……!!やめろ!!」

シャル「一夏……それは流石に変態みたいかも…………」 ジトッ

一夏「待て、まてまて!そんなつもりじゃないぞ!?」

シャル「ほら、手が止まってる。ラウラも暴れないの」 クスクス

ラウラ「しかし……うぅぅ……一夏、その…………あ、か、あまり嗅がれると…………だな、…………私は…………困る……」

シャル(くっっ……はぁぁぁ~!!)キュ~ン

シャル「え~ラウラどーして?一夏は良い匂いって言ってくれてるよ~?ねぇ?」 ニヨニヨ

一夏「あ、あぁ……良い匂い…………です……」

ラウラ「……だって…………こーいうのは……女が……やるには…………その…………やはり……かっ、仲の、進んだかっぷるが……やるものだろう……?」

一夏「!?」

シャル(ッッ!?)キュンキュン

シャル「違うよぅッ!!仲の良い友達同士ならこんな事やっても不思議じゃないんだよッ!!ね、一夏!!」

一夏「え……ッと、そ……なのか?」

シャル「そうだよ~!!ほらほらもっと!!もっとはよ!!撫でてあげて!!」

一夏「…………」 ナデナデ

ラウラ「ふ…………うんぅ………………」

一夏「そう言えばラウラってさ、頭撫でられると…………どんな感じする?」 ナデリ

ラウラ「どん、な…………?どんなか……うぅむ…………そうだな」

ラウラ「気持ちがいい……のは当たり前なのだが、こう……違うのだ」

一夏「違うとな?」

ラウラ「あぁ、私は…………知っての通り試験管ベイビーだ。親の顔すら知らない。そして当然ながら……母親が我が子の額にするキスも、父親が娘にする撫で撫でも、知らん」

ラウラ「私は、こういう、親しみの深い行為にあまり馴れては居ないからな。だから一夏、お前が頭を撫でてくれる事が気持ちいい事に変わりはないとしても、やはりそれが何故気持ちいいのか……わからんのだ」

一夏「…………」

シャル「…………」

ラウラ「すまんな、面白くもない話だ。ん?一夏、手が止まっているぞ?早く頭を撫でないか、気持ちいいのだからな」

一夏「……」 ナデナデ ナデリナデリ ナデコナデコ

ラウラ「ん……一夏?気のせいか一夏の手つきが今まで以上に優しい気がするぞ?」

一夏「そうかな?…………そりゃあな。ラウラもそうやって言ってくれたからな……俺はそれに応えてやりたいって、普通は思うからな」

シャル「ラウラはね、ラウラのその気持ちは……多分子供の……子供が抱くようなそーいう純粋なのも在るんだよ。女の子ならみんな持ってる、そんな気持ち。誰かに甘えたいって思える気持ち」

一夏「俺は言葉にするのは苦手だからな……今は行動してるが、ラウラ……甘えても全然いいぞ?どんな気紛れでもいいからさ、俺が何してあげられてラウラが喜んでくれるならコレこの上ない」 ワシャワシャ

ラウラ「んむ…………そ、そうか……?ならば、いつかまた、私が撫でてくれと頼んだ時には……」

一夏「あぁ、いやまぁ千冬ねぇには内緒なんだけどな?でもいつでも来いよ? 気紛れで、ラウラは猫なんだから」 ナデナデ

ラウラ「そ、そうだな……!!ならば一夏!!もっとこう……たくさん撫でろ!!愛でろ!!」 フンス

一夏「おうよ、わしゃわしゃしてやる」 ワシャワシャ

ラウラ「ぬぁ~……!!」 ゾクゾク

シャル「んふふふ、まるで一夏はお父さんみたいだね~」

ラウラ「……ッ!!」

一夏「お父さんて……まだ俺、彼女も居ないのにステップ飛び過ぎだ」

シャル「じゃあ……ぼ、僕…………が、一夏の…………ラウラのお母さん、かな~……?」

ラウラ「だ、ダメだ!!シャルロットが母親なのはいいが一夏は私のだ!!例えシャルロットでも……!!渡したくはない!!」

シャル「ッ…………!」 キュゥーン

シャル「も~!!ラウラは可愛いねぇ~!!本ッ当にカワイイねぇ~!!」

シャル「よしそれじゃあシャルロットお母さんがラウラちゃんを撫でてあげよぅ~!!」 フンス!!

ラウラ「ぬ…………!!だから、お母さんではないだろう?」

シャル「も~ラウラ、ノリが悪いな~!!なら友達として撫でてあげるから!!仲の良い友達同士なら頭を撫でる位やるんだよ!?」

ラウラ「う……うむ…………では、頼む」ヨッコイショ

シャル「は~いいらっしゃーい!!一夏はそれでね!!それでね、僕の後ろに来て……頭を撫でてね?」

ラウラ「な!?ず、ズルいぞシャルロット!!そしてオイ一夏!!何故お前も当然とシャルロットの後ろだ!!」

一夏「イヤだって……気付いたらシャル居るんだもんよ……」


ラウラ「ぐぐぬぬ……ズルいぞ!!シャルロットズルいぞ!!ズルい!!」

シャル(カワイイ子供みたい)

一夏(カワイイ子供みたい)

シャル「まーまー、まだまだ時間はあるんだから」

シャル「それに…………交代した後は一夏に思いっきり甘えられるんだから……僕はそこまでは出来ないから……そこは譲って欲しいなぁ……」 ボソッ

ラウラ「……むぅ…………仕方が無い……」

シャル「ラウラありがとー!!」 ナデナデ

ラウラ「ん…………シャルロットだから譲っただけだ」

ラウラ「嫁よ、後でまた私の頭も撫でるんだぞ?約束だ」

一夏「わかってる。約束約束」

シャル「ん~……でもやっぱり一夏の言う通り……ラウラは良い匂いだよ~……えへへ~」 ナデナデ

ラウラ「だから!!シャルロット匂いを嗅ぐな!!」

シャル「もうラウラ、暴れないの!一夏にも迷惑かかるんだから」ムギュ

一夏(シャルの胡座の中にラウラが居て……俺の脚の間に二人が居る…………何だろこれ……映画が見れない……)

シャル(一夏とラウラに挟まれて…………これは……天国……!!)

シャル「一夏?もし手が空いてるなら……僕の頭も……ね?」 ワクワク

一夏「ん……あぁ、フード取るぞ?」

シャル「ん……」パサッ…

一夏(シャルも……良い匂いするな……)ドキッ

一夏「なぁシャル……髪の毛の解いていいか……?」

シャル「ぁっ…………うん……でも、痛くしないでね……?」 ドキドキ

一夏「そこは……頑張る」 シュルルル

ファサァ……


シャル「……ん、解けた……?髪の毛が……変な感じ…………」

一夏「あぁ……解けた……髪の毛がちょっと纏まってる」

シャル「じゃあ……ね、一夏は僕の髪の毛も梳きたくな~る梳きたくな~る。……ダメ?」

一夏「リノアかよ。懐かしいな」サッサッ スゥー

シャル「ひぅ」

シャル(あ、ダメだこれ、すごい気持ちいい)ムギュー

ラウラ「シャルロット……!!く、苦しい……」

シャル「あ、ごめん……!!で、でもね、一夏がね……気持ちよくてね!?」

一夏「俺のせいか」 ナデナデ

一夏「…………」 ナデナデ

シャル「……」 ドキドキ

シャル「ね、ねぇ一夏?」 ドキドキ

一夏「あい?」 スゥー

シャル「僕もさ……あの、ラウラみたく一夏にこうやって時々で良いんだ……ラウラの次で全然いいからさ、だからね、僕も……甘えに来ても、いい、かなぁ……?」

一夏「何言ってんだシャル」

一夏「そんなの、一々聞かなくたって言いって。仲の良い友達同士なら当たり前なんだろ?俺も……シャルにそうやって思ってられてるなら嬉しいしな」 サラサラナデナデ

シャル「…………うん!」

一夏「それに俺が撫でてみたいって本心もやっぱりあるんだ。シャルの髪は撫でてて、楽しいよ」

シャル「そ……かな?」 ナデナデ

ラウラ「私の髪の毛も気持ちいいだろう?」

一夏「あぁ、言うなればラウラの髪の毛はサラサラで、シャルはなんかふわふわしてるな。シャルが犬みたい……だからかな?」 ナデナデ

シャル「だから!!一夏、僕は今猫ですよー!!」 ニャー

一夏「はいはい、シャル、ハウス」

シャル「ここが僕のハウス!!」

一夏「お前の部屋があるだろうに……」 ムニムニ

シャル「んに…………」

一夏「…………」 ナデナデ

シャル「…………」 ナデナデ

ラウラ「…………」

ラウラ「なぜ喋らん」

一夏「……な、……んで?」 ナデナデ

シャル「…………ん」 ポヘー

ラウラ「私だけ手持ち無沙汰ではないか!!」 スクッ

シャル「あぁ!!ラウラどこに行くのー!!」

ラウラ「思うに私だけ匂いを嗅がれたのが割りに合わん!!嫁の匂いを知らずして何が夫か!!笑わせる!一夏、お前の髪の毛の匂いも嗅ぐ!!」

一夏「やめろ、割とマジで恥ずかしい」

シャル「でも一夏は嗅いだよね?」

一夏「はい……嗅ぎました……」

ラウラ「では…………」スンスン

一夏「大体男の髪の毛の匂いなんて嗅いで……どーすんだよ……恥ずかしい……だからラウラ!嗅ぐなよ!」

ラウラ「……」 スンスン

ラウラ「これは…………うむ……」 クンクン

ラウラ「……なるほど……」 クンカクンカ

一夏「なんか……ラウラが後ろから抱き付いて離れない」 ゾクゾク

シャル「ラウラは実はクンカーだった……?」

一夏「それな、シャルってちょいちょい日本のそーいう文化だすよな」

シャル「おフランス出身ですから」

ラウラ「嫁よ」

一夏「ん?」

ラウラ「良い匂いだ」 ハスハス

一夏「……さいで」

ラウラ「……ん」 ムギュー

一夏「絞まってる絞まってる!!ラウラ苦しい……!!」

ラウラ「癖になる……ような……そんな匂い……!!」 クンカクンカ

シャル「それは僕も……ちょっと興味……あるかな……?」 スンスン

一夏「わひっ!!」

シャル(一夏の首筋…………なんだろ…………良い匂い……確かに……癖になる…………)スンスン

一夏「ちょっ、い、シャル!!ラウラもー!!」

シャル(安心する……ずっと良い匂い…………温もり)スンスンスンスン

シャル「…………ん」 ムギュー

一夏「待てもう行き過ぎてるこれはマズイから!!」

一夏(これはなんだ、デジャヴですかね!?)

シャル(ん……こんな匂い…………一日中嗅いでたい……!!)ハスハスハスハス

ラウラ「一夏…………なんでお前はそう……良い匂いがする……?味もみておこう」 クンクンハスハス

一夏「待っ……」


がちゃ


千冬「………………」

一夏「シャルもラウラもやめろ!!落ち着け!!こんなのおかしいから……!!」

ラウラ「」クンカクンカ ハッ!?

シャル「」 ハスハス ハッ!?

一夏「ンゴ……」

千冬「…………」

ラウラ「…………」 クンカクンカ…

シャル「…………」 ハスハスハス…

千冬「……」

千冬「なぜ、ハムレットは死後に見る夢の事を苦に病んだりしたのだろうか。この世には生きていたって、さらに恐ろしい夢がやってくると言うのにな……」

シャル「ひィッ……!?」

ラウラ「…………」 ガタガタ

千冬「直立不動に、立て。小娘二人」

シャルラウラ「はいっ!!」

一夏「…………」 ガタガタ

千冬「さて…………一夏……私は言った。筈だ、などと曖昧な言葉は使わん。言ったのだ。頭を…………いや、それはいい。別に撫でようがどうしようが、それはお前の勝手だ。どこにも実害などないのだ」

一夏「……え?」

千冬「別に撫でる分には私も許す。節度を守ればな。お前が節度を守ったとして、しかしどうだこの二人は……オイ、何顔を俯かせている?私を見ろ」

シャルラウラ「イエス!!マム!!」

千冬「今回の事だ、おそらく貴様は……節度を守ったのだろう?そんな事は貴様の口から聞かずともこいつらに聞けばいいのだ……後でゆっくりとな……だが、こいつらがあろう事か、その行いのさらに先を踏み出そうと、領分を弁えずこの学び舎で、行おうとしたのだ。何をしていた?何をしていたのだ?」

シャル「それは……」

千冬「そうか、人の弟に?何だ?後で詳しく聞かせて貰おう。そしてこれは見せしめなのだ、そうせねばならぬのだ、なのだなのだと言い飽きたのだ、貴様ら二人!!指導室に来い!!死だけが求罪だと思い知らせてやる!!」

ラウラ「ひぃぃぃっっ!!」

シャル「ど、どうかお許しを…………お慈悲を……!!」

一夏「千冬姉!!ちょっと待ってく」

千冬「せっ」

一夏「かはっ…………」 ガクガク ドサッ

千冬「それで、貴様の罪は許してやろう。起きたのならば自力で眠るがいい…………さて、小娘二人には私から言葉を送ろう……しばしば勇気の試練とは死ぬ事ではなく、生きる事だ」

ラウラ「……で…………」

シャル「ですね…………」

翌日

一夏「モンテスキュー!?」 ガバッ

一夏「なんだ……夢か……」

一夏「しかしくっそ…………顎が…………いや俺の事よりラウラとシャル!!大丈夫なのか!?」


コンコンコンコン


一夏「ッはい!!今出ます!!」 ビクッ


がちゃ


箒「お、おはよう……」

一夏「なん……だ、箒か……」

箒「なんだとは何だ。失礼な!!」

一夏「悪い悪い、おはよう箒。どうした?」

ラウラとシャルはどうなったんだッ!?

箒「うむ、挨拶は大事だ。今日は早起きをしてな、よかったら……い、一緒に食堂に……」

一夏「飯か……そうだな。腹も減ったし……行こう、か」

箒「どうした?元気がないな……こんなに晴々としたいい天気に」

一夏「いやちょっと……な……」

セシリア「一夏さ~ん!!」

箒「チィッ」

一夏「あぁセシリア……おはよう……」

セシリア「私実は今朝早起きしまして……!!見てくださいまし、この髪の毛!!こんなにもふんわりと!毛先も……」

一夏「髪の毛……うっ……頭が……」

>>93
星になったのだ……

箒「ど、どうした一夏!?」

セシリア「えぇッ!?な、なぜにそんな……私の髪の毛が……」

一夏「違う!そうじゃない……!!ただ……いや……」

セシリア「どうしたのですか……?一夏さん……顔色が優れないようですが……」

一夏「……食堂で話すよ…………飯がうまくなる話でもないけどな……」

セシリア「……なんの事ですの?」

箒「さぁ……私にもわからん」

食堂にて

箒「…………またなのか……」

セシリア「懲りないと言うか……一夏さんも一夏さんですわ」

一夏「しょうがないだろ……俺のせい……でもあるけど……」

箒「だがしかしあの二人も大概だろう。ラウラはともかくとしてシャルロットは一度…………」 シュッシュッ

一夏「首をかっ切るような真似をするが死んでないぞ」

セシリア「しかし……死んだ方がマシだと思える事も……世にはあるのでして……」

一夏「セシリア、ハイライト眼中に無しか?箒もな」

鈴「っはよー。何三人とも暗~い顔してるのよ。太陽が湿気るわよ?」

一夏「よう鈴。ところでここに今二人足りない事に気付いたか?」

鈴「……?シャルロットとラウラ?二人して寝坊ってのも珍しいわね?」

一夏「いや……二人して一緒に千冬姉のところさ」

鈴「…………イイ奴らだった……としか」

一夏「死ぬのか?二人はそうまでして死ぬ扱いなのか?」

鈴「私は連行された事がないから知らないけど……この二人の反応を見れば……ま、多少はね?」

箒セシリア「あ、ちょうちょ……」

一夏「痛々しいよぅ……」

山田「え~……本日の…………え~……ボーデヴィッヒさんとデュノアさんは……え~…………こほっこほっ……ん~……」

山田「……」 ニ、ニコッ

山田「お休みです……」

一夏(作り笑顔が……また辛い……)


放課後……

千冬「織斑」

一夏「ち、ちふ…………んん、なんですか織斑先生?」

千冬「何故そうも構える……昨日お前に伝える事を忘れていてな……あの二人は明日の授業には復帰するから心配するな」

一夏「そ、そう……か…………です。いやあの用件は?」

千冬「あぁ、明後日の……祝日だが……夜に山田先生と飲むんだが。偶にはお前の作った飯を肴に酒を飲もうと思ってな……だからまぁ、その日の夜は空けておいてくれ。たまには姉孝行してもバチは当たらんだろ?」

一夏「了解。明後日の夜な。昼間は?」

千冬「六時頃には帰って来ていればいい。では私は行く。明後日だ、忘れるな?私の好物は肉じゃがだが山田先生はコロッケが好きだぞ」 カツカツカツ

一夏「コロッケに肉じゃが…………家庭的なもん注文するなぁ…………」

のほほん「や~おりむ~見~っけ~」

一夏「のほほんさん?どしたの?」

のほほん「ん~おりむ~捜してたんだ~」


のほほん「生徒会長に言われて」


一夏「ヒエ……」

のほほん「知ってるよ~?また誰かの頭を撫でるとは~おりむ~も罪な男の子よの~男の子だものね~仕方ないであります」

一夏「それ~は~……あの~……どこから聞いて……?」

のほほん「曰く、生徒会長にこの学園内で知らぬ存ぜぬ事はないのであ~る、だよ~?」

一夏「うぅ…………これはまた無茶難題が…………」

のほほん「そんなあなたにろ~ほ~です!!あの生徒会長に対抗できる手段があったり~なかったり~」

一夏「え!?曖昧なところが不安だけどマジですかのほほんさん!?」

のほほん「大マジでございます。確かな筋からの情報ですぜ、旦那!!」

一夏「でも~(情報料)お高いんでしょう?」

のほほん「そこはお互い勉強しましょう~!!」

一夏「だよね!!」

一夏「さて……」

一夏(あののほほんさんの情報…………ヘタこいたら俺死ぬぞ……?)

コンコンコンコン


はぁーいー>


一夏「織斑一夏です、生徒会長に呼ばれて来ました」


ガチャ


楯無「んふふふ~、よく来たわね一夏くん。さ入って」

一夏「失礼します」

楯無「座って楽にしてていいよ~?さてさて…………呼ばれた用件は察していると思うけど……何やら楽しそうな事をお姉さんに黙ってやってるみたいじゃない?」

一夏「何の事ですか?」 トス

楯無「あ~ら、とぼけるの?私よりも若いのに、正直は美徳よ~?美徳はお姉さん大好き」

一夏「…………用件は何ですか?」

楯無「お姉さんの口からそれを言わせるなんて…………一夏くんもサド……ねぇ?」 ススス…

一夏「頭を……撫でる、そんなつまらない事ですか?」

楯無「つまらない事じゃないわよ?だって現につまらないで済まされない事に織斑先生が動いた訳だし~…………そんなに背徳な事かしら?美徳も好きだけどある程度の背徳もお姉さん、好きだなぁ?」

一夏「はぁ…………ちふ……織斑先生は恐らく校内の風紀に対して厳しくしているだけです。俺は本当に頭を撫でてるだけなので……別に会長が思うような事は何も……」

楯無「あら、口がよく回る。そーいうのもキライじゃないけど…………男の子は口では無く行動で示さないと~……ね?」 ナデナデ

一夏「ここで逆らっても……多分俺は為す術も無く楯無さんに抑え込まれるんでしょうね……」

楯無「悲観しないの少年。諦めが悪いのが人生だ」 ナデナデ

山田てんてーを出すとは言ったが絡むとは言ってない

一夏(跨って……逃げられないようにされた……)

楯無「それで?一夏くんはどうやって頭を撫でるのかな?ん?」 ナデナデ

一夏「逆にどうやって俺は撫でれば……」

楯無「ま~ご~こ~ろ~♪」

楯無「誠意とも言うね。必要なのはあなたならではの、あなたの私に対する想いかしらね?」

一夏(こんなところでオモチャになるのもゴメンだ……!!ならばいっそのほほんさんの情報通りに……!!)ガバッ

楯無「いっ!?一夏くん!?」

一夏「…………」 ムギュー

楯無「お、お姉さん年上にそーいうことするのはあんまり感心しないなぁ~って」

一夏「…………」 ギュ…

楯無「あ~……あ、甘えたいのかな!?しょうがないなぁ~」

一夏「楯無さん……」 ギュッ ナデナデ…

楯無「ん……!!」 ビクッ

一夏(のほほんさんから聞いた情報…………楯無さんは、普段強気にガンガン攻めてくるのとは裏腹に…………こーいうストレートな態度に弱い!!言われた通りに抱き締めて頭を撫でてみるが……)ナデナデ

楯無「うぅ…………」 モジモジ

一夏(こうかは ばつぐんだ!!)ナデコナデコ

楯無「調子狂うなぁ……にゃははは……は……」

一夏「…………」 ナデナデ

一夏「会長……」 ナデコナデコ

楯無「…………ん?」

一夏「……楯無さん」 ボソッ

楯無「…………ッ!?」 ゾクゾクゾクッ!!

楯無「にゃに、かな?」

一夏「……楯無さんは……良い匂いがしますね……」 ナデリナデリ

楯無「だ!!ダメだよ一夏くん!!女の子の匂いを嗅ぐなんて変態だぞ!?」

一夏「しかし漂ってくるものですから…………仕方ありませんよ」

楯無「ふ…………うぅ…………!!」

一夏(学園最強、傍若無人、傲岸不遜……そんな人が俺の腕の中で形なしになるなんて…………形なし…………楯無……ちょっと違うか……)フフ

楯無「な、何笑ってるのかな……?」

一夏「いえ、大した事じゃあないです。本当に」 ナデナデ

楯無「でも驚いた……一夏くんがこんなにも積極的にくるだなんてねぇ……」

一夏「楯無さんにはいつもいいようにあしらわれてますからね…………たまにはこっちから楯無さんの動きを封じてみようと思ったんです」 ナデコナデコ

楯無「ふぅ…………ッん……!!」 ビクッ

楯無「ねぇ……何で頭を撫でてみたいなんて……思ったのかしら?」

一夏「これ言ったら馬鹿らしい事なんですけど…………最初はただ女の子の頭を優しく撫でてあげたいなぁって思っただけなんです。何か……なんて言ったら……与えてあげるような感じに」

一夏「ある程度は満足してたんですけど……またなんかキッカケで最近撫でるようになってしまって……」

楯無「……ふぅん。そんな一夏くんは……」 ムギュ

一夏「ほむっ!!」

楯無「お姉さんが抱き締めてあげようではないか」

一夏「は……て……!楯無さん……!!」

楯無「やんっ……こぉら、暴れないの……!!黙ってお姉さんの、胸の中で……撫でられてなさい……?」 ナデナデ…

一夏(なんて……柔らかい…………じゃなくて!!)

一夏「っっはぁっ!!」 ズボッ

楯無「きゃん!!こらこら、一夏くん?大人しくお姉さんに甘えなさいな?」

一夏(こ、ここで負ける訳にはいかんのだ!!流されるな俺!)グィッ

楯無「へ?」

一夏「…………」 キュッ

楯無(……抱き締められちゃった……)モフモフ

一夏「ふふふふ!!楯無さん、俺だってやられっぱなしな訳にはいかないんですよ?今回ばかりは楯無さんに主導権は握らせませんよ!」 ギュー

楯無(一夏くんの…………胸板…………腕の中……男の子の…………匂い……)スンスン

楯無「…………」 キュッ…

一夏「……こんな時に言うのもなんですけど……楯無さんって……最強だとか何だとか崇められてますけど…………でもやっぱり女の子ですね…………小さいです」 ナデリナデリ

楯無「……一夏くんはダメだねぇ……」

楯無「こんな事、私だってやっぱり女の子なのに。でもこんな事されたら…………女の子になっちゃうよ?」 ムギュー

一夏「…………」 ナデコナデコ

一夏(……一応、大人しくはなったし…………これで無事に終わる……か?)

楯無「…………」 スンスン

一夏「……」 ナデナデ

一夏「……まぁ」 ナデナデ

一夏「もう少し……したら帰りますからね」ナデコナデコ

楯無「…………」

楯無「…………」 コク

一夏(大人しくなってくれた…………でも楯無さんの髪の毛もまた柔らかいな)ナデナデ

楯無「うぅ…………」 フルフル

一夏「会長がこうやって大人しいのは新鮮ですね」

楯無「そう……?」

一夏「えぇ。いつもほら、活発……じゃないですか?」

楯無「うん…………そうだね…………一夏くんは、そんな私は嫌い、かな……?」

一夏「いいえ、今の楯無さんも活発な楯無さんも、楯無さんには変わりありませんから」 ナデリナデリ

楯無「……そっか」

楯無「えい」 バタン

一夏「ぬわっ!?」

楯無「便利でしょ?このソファー、リクライニングでベッドみたくもなるのよ?」

楯無「もう、一夏くんも攻められたいなんて……確かにお姉さんだけがずっと撫で撫でされてるのもお客様に悪いわよね~」

一夏「楯無さん……?な、なにするつもりです?」

楯無「…………どうしようか?」

一夏「…………え?」

楯無「だって……一夏くんがお姉さんをいいように扱うから……そりゃあお姉さんだってそのままされるがままってのは……」

一夏「つまり今はとりあえず俺を押し倒してるんですか?」

楯無「…………うん……あ~……調子狂うな~……」

一夏「……じゃあ、やっぱり頭を撫でさせてください」

楯無「え?」

一夏「撫でてみてやっぱり楯無さんの頭は撫でててすごく……すいません、先輩にこう言うのもアレですけど……気持ち良かったから…………」

楯無「……」 クス

楯無「いいよ、はい」コテン

一夏「楯無さんって結構甘える方なんですか?」 ナデナデ

楯無「さぁ、どうかな?私ってそう甘えるって事が想像出来ないからね~……一夏くん、私の頭の撫で心地はどうかな~?」

一夏(俺の胸元で楯無先輩が上目遣い……凄いな、新鮮で感慨深い)

一夏「最高ですよ。撫でやすくて、鈴とかラウラにも正直負けてないくらいです」

楯無「…………ほーん」

楯無「情緒と言うかデリカシーと言うか、君には大事な欠点があるね……」

一夏「え?……はい、すみません……?」

楯無「ん、許すまじ。お姉さんは傷付きました。慰めて欲しいので、よって一夏くんがするべき行為は?」

一夏「えっ……、と……頭、を~……撫でる?」 ナデリナデリ

楯無「んふ……半分正解。答えは~……今までになく、誰よりにも私の頭を撫でること。私を一番にすること。いいかしら?」

一夏「はぁ……はい。こ、こうですか?」 ナデナデ ナデコナデコ

楯無「ん…………!!あ……違う、あ~違う君の実力こんなものじゃないよ~お姉さん満足させないと襲っちゃうぞー」 ピク

一夏「えぇ!?っても、どうすれば……?」

楯無「…………そう……ね。男だったら、腕枕…………とか……?」

一夏「腕枕ッ!?あの!?腕、なんで!?」

楯無「お姉さんも、実ところはなんてことはなく恋する乙女ならばやっぱり腕枕を夢にするわけなのだよ少年。さぁ少年よ、私を抱け!!」

一夏「断ったら……」

楯無「あ~らぁ?逆にそれが出来るのかそれはそれでどうぞ見てみたいかな?」

一夏「うぅ…………ど、どぞ……」

楯無「そうそう、初めから腕枕をしてればね、それに一夏くんだって心底嫌って訳でもないでしょ?」 クテン

一夏「…………情けない話ですが、はい…………でも、だっ…………だってこれめちゃくちゃ……ど、ドキドキして…………」

楯無「だろうね?それがお姉さんには堪らなくて……ね?一夏くんを転がすのって今のところお姉さんの清涼剤になってるのよね~。学園最強の重圧、生徒会長の責務、そんなものも一夏くんと居ると…………楽になるから」

一夏「…………」

楯無「……あぁ、この腕枕気持ちー…………癒されるー……ん?」

一夏「…………」 ナデナデ

楯無「……一夏くん、わかってるねぇ…………それを言わずもがなやれるのが、満点よ~……?」 ゾクゾクゾク

楯無(しかし腕枕をやっている方の手で頭を撫でるとは…………普通いくらなんでも出来るわけ……こりゃあ天然のジゴロですなぁ…………)

一夏「楯無さん、なんて言うか……お疲れ様です」 ナデナデ サラサラ

楯無「あはははは…………うん……ありがと」

楯無(あ~…………正直お疲れって程でもないけども…………こ、こん……な、ねぇ?こんな抱きしめられるような形…………ドキドキする……!!)

十分後……



楯無「うん…………ありがとうね。もういいわ、今日のところは帰っても」

一夏「そうですか……ではまた今度、訓練の時に」

楯無「あら?訓練だけじゃないわよね?」

一夏「……と言うと?」

楯無「或いは一夏くんの部屋で、更にはベッドの中で、はたまた更衣室でも。私と会うかもね」

一夏「冗談……のようで会長だと冗談にならないから笑えない……」

楯無「それともここ生徒会室……かも。一夏くん、また……遊びにきてね?」 ウフフ

一夏「はい、遊びに来させてもらいますよ。その時はしっかりお土産でも持って。では失礼します」

がちゃ ばたん


楯無「……しかし、鈍感朴念仁はわかってた事だけど…………」

楯無「普通…………勃つ……わよねぇ……?」

楯無「ふむ……自信なくなっちゃうな~……」

一夏「なんの実害もなく……楯無さんとの強制イベントを終えられた……!!のほほんさんありがとう!!」

のほほん(いいのだよ~)

一夏(どっから直接脳内に……!?)

箒「い、一夏ッ!!」

一夏「へぃ!?」 ビクッ

箒「何をそんな驚いている……?」

一夏「普通は背後から大声で名前呼ばれたらビクってなるわな」

箒「それもそうだな。すまん、いや、別にそんな話はどうでもいい」

箒「一夏、映画を観よう」

一夏「え、いや」

箒「何故だッ!?」 クワッ?

一夏「あ、すまん……つい反射的に……昨日のな……アレを引きずってた…………しかし映画か…………別に予定もないしな。うん、映画観ようぜ」

箒「本当かっ!?そうかそうか!!ならばお前は部屋に戻っていろ!!すぐに選りすぐりの映画を持っていくからな!!」 シュタタタ

一夏「は~…………早いなあいつ。廊下走るなよ」

一夏の部屋


一夏「ほぅらご覧よ~、ふんふふふふ~ん、モノを思うには非ず~♪」

ここんこんこんこん!!

一夏「へいへ~い、あいてるぞ~」


がちゃ


箒「はぁ…………はぁっ……す、まん……待たせたな……!!」

一夏「いや……そんな急がなくても……さぁ」

箒「じかんは……はぁ…………はぁ……大事だ……!!こほっ、ふぅ……」

一夏「……冷たいお茶でも飲め、な?」

箒「う、うむ…………いただこぅ……」

一夏「そんで?何を見るんだ?」

箒「これだ!!私のスーパーオススメだ!!」

\壬生義士伝/

一夏「あ~それなんか知ってるぞ、かなり泣けるって聞いたけど」

箒「その通りだ……これはな、私のオススメも、本当にオススメの一本、私の中では三本の指に入るであろう名作だ。中井貴一と佐藤浩市の二人が織り成す侍の……真の侍の生き様……!!これを見たあとは涙無くしては居られないだろう!!」

一夏「正直なところ時代劇ものってどうかと思ってたが……そこまで箒が言うのなら見てみたいな。早速観ようぜ?」

箒「そうだ、見るべきだな!!」

斎藤『俺はこの時……一月程人を斬っていなかった……』


一夏「おぉ~…………吉村先生…………いきなり斉藤に殺されそうに……」

箒「この頃の斉藤はだな、まだまだ冷酷でな!しかし……この吉村と出会い、共にしていく内にだな!!」

一夏「箒、ネタバレはNGだぞ」

箒「うぐ…………そう、だな……」

一夏「箒は映画テンション上がると一人盛り上がっちゃうタイプか?」

箒「そんな子供ではない。ほら、いいシーンなんだ、いや全てがいいシーンだが映画に集中しろ一夏。後で感想を聞かせてもらうからな!!」

一夏(凄い盛り上がってるよ箒)

斎藤『おもさげながんす』

一夏「……」 ウル…

一夏(やべぇ…………男過ぎるよ斎藤も吉村先生も……確かにこれは……泣ける……)チラッ

箒「うぐ…………うぅぅぅ……ふぅ……っ!!」 グスングスン

一夏「あ~あぁ~やっぱり箒やっぱり…………わかりやすいなお前」

箒「これが……また……斎藤の心のあり方も……吉村の義も……!!どうだ!!激動の幕末を、男と武士を描いたこの作品を……!!一夏、どうだ……!!」

一夏「お前の言いたいことはわかったから、な?落ち着け、余韻も虚しくなる位に引くぞ?」 ナデナデ

箒「ぅ…………しかし……」

一夏「しかしなら、俺だって思うが箒はなんでこうも、頭を撫でるの落ち着くんだ?」 ナデナデ

箒「…………おちつく?」

一夏「な?もう、な?涙目でも泣き止んでるし…………ちょっとやり取りに間があるぞ」 ナデコナデコ

箒「いちか…………吉村はな……武士の生き方…………新選組だ。武士の……貫く反面…………父としての…………アレをな……」 フニフニ

一夏「うん、うん。面白いな箒。言いたいことはわかるから今の状態でも頑張って語ろうって気持ちもわかるから。喋れてない」 ナデリナデリ

箒「…………ん……」

一夏「……寝るなよ?目が眠そうになってる」

箒「…………ゃ」

箒「壬生義士伝を…………見た後に……寝れん……一晩語り明かせる…………」


束「ん~……でも束さん的には中盤まではまぁ良かったとして、後半がね~だるかったかな~って思うんだ」

箒「……」

一夏「ん?ん……?ん?箒さんや、涙表情諸々どこにいかれた?」

束「また、遊びにきたよ~!!いっくん!!箒ちゃん!!会いたかった~!!」

箒「もはやこの際現れた事には不問といたしましょう。だがこの映画の事だけは許されん。腹を切りなさい」

一夏「なんかもう別に……って感じだよな。いつの間にか束さんが現れようとも」

束「そんな事よりもね~!!またまた、まぁたまたいっくん、もーなぜ束さんを誘わないのかッ!!」

箒「待て。今……そん、言った、そんな事って、そんなこ、みぶぎ……今、壬生義士伝そんな事……!」

束「壬生義姉伝……そうだいっくん、箒ちゃんと結婚したら束さん、義姉だよ!!」 ピコピコ

箒「」 プツン

箒「すまないな一夏、畳を血で汚す事となるが……」

一夏「畳では、ない。やめろ、木刀を担ぐな!!木剣でもまともに当てれば汁が飛ぶって虎眼先生も言ってたから!!」

箒「大丈夫だ。伊達にして帰すだけだ」

一夏「それもそれでまずヤバイ!!ほら束さんも謝って!!」

束「ごめんね箒ちゃん。そうだよね良い映画だよね。ヨシヨシ」 ナデナデ

箒「……」 ペシン

束「うぅ~……アンチにされた~……」

一夏「ところで束さんはなんでここに?」

束「そうそう!!束さんね!!いっくんがまた良い事してるなぁって思ったからね!!来ちゃった」

箒「良い事?」

束「そ、そ!!いっくんてばもぅ~また女の子の頭撫でて~!!ね~?」

一夏「なぜ……」

箒「姉さんが知っているんです……?」

束「束ットワークを舐めちゃあいかんよキミィ~。まず電子の広大な海には束さんの網が其処彼処に張り巡らされてるのだ~!!」

束「そんな網にいっくん関連のものが引っかかる!!」

束「ピックアップ!!」

束「わ、わ、これ誰の頭撫でてるの束さんも行って、みよーかどー!!


束「凄いよね~!?」

一夏「犯罪的だ……!!」

箒「一夏、ケータイを見せてみろ」

一夏「は、あ…………なんで?」

箒「どんな画像がお前、姉さんのネットワークに引っかかったのか。私も興味があるだけだ」

一夏「そ~れ~……は~……え~……まぁ~その~……」

束「ご覧あれ!!」

一夏「ちょ、うわ束さん画像有りなんで?」

箒「…………ほぅ一夏、ほう……」

箒「頭を撫でてるこの画像……ツーショットだな。肝心要のこれは誰だ?学園の生徒ではあるまい。いや見覚えはある……な。確か夏祭りの時だったか、お前と一緒に居た女の子……だったか?」

一夏「…………あぁ、友達の弾の妹の蘭だ」

箒「……もはや今更の事をとやかく言いたくはない。が、これはどういう経緯だ?何故……この構図だとお前がこの蘭とやらを抱きかかえているようにも見えるが?」

一夏「だ……、抱きかかえるなんてそんな……いや、確かに膝の上には乗せたさ!!あぁ乗せたそうだよ乗せた!!ただ抱きかかえてなんていないぞ!!」

箒「これは姉さんどう見ますか?」

束「そーだね~…………黒には近いよね~?」

一夏「そーいう、今ここでの、三人なのに民主主義制度は良くないと思うんだ」

箒「……まぁ、私は、別に今更こんな事に怒ってもしょうがないと思っている」

一夏「じゃあなんで睨むんだよ……あいすいません、口答えしない俺」

箒「ただ私はだな、一夏と楽しく映画を見ていた、これからの所でだな、邪魔が入ったのが、これがもうダメで、姉さんは一体何をしている?」

束「いっくんいっくん~!!束さんと一緒にこれ見よ~!!」

一夏「クロコダイルダンディーとはまた古いですね~」

箒「…………」

一夏「怒ってる怒ってる、これ本気だ……」

箒「とりあえず、そうだな……膝を……一夏、すごい発見だ。なんだろうな、怒りが凄すぎて逆に冷静になってきたぞ!!だからとりあえず殺すとかそーいうのはちょっと一旦置いて姉さんの膝をブチ割ろうと思う。ふざけられないようにな」

一夏「おぉ…………怖ぁ……」

束「さすがの束さんもこれには心から謝らざるをえないのかも……?」

一夏「割と本気でそうした方が良いのかもしれないですよ……?」

箒「まず視界から消えると言う真っ当な選択肢がない所が実に気に入った。肘とあばらと、コンボボーナスで鎖骨も折っておこうか」

一夏「ほ、箒本当に!!マジで、一旦落ち着け!!」 ガシッ

箒「おい、一夏?離せ」 フゥーフゥー

一夏「絶対離すかッ!!」

束「その時束さんに100メガショーック!!いっくん!!箒ちゃんの頭を撫でてあげて!!」

一夏「それで一体何になるんです!?」

束「頭を撫でることによってねーアルファー波が出てねー多分、落ち着く!!」

一夏「なるほど!!ですね!!理に適ってる!!でもそんな訳ありますか!!」

箒「いやわからんぞ?私は冷静だが何をするかはわからないくらいにはキレているからな。頭を撫でれば落ち着くやもしれん。さぁ、撫でるがいい、ほら撫でるがいい」

一夏「お前本当の所はやっぱり冷静……か?」

箒「」 クワッ

束「きゃ~」

一夏「だぁぁぁっ!?も、落ち着け~!!鎮まりたまえ~!!」 ギュッ ナデコナデコ

箒「ふぅ~……ふぅぅ~…………!!」

一夏「…………箒?」ナデ…

箒「……一夏、何手を抜いている?もっと優しく、全霊を以って私を撫でろ」

一夏「わかった、わかったから睨むなよ……」 ナデリナデリ

一夏「……」 ナデナデ

箒「…………」 ムフー

束「ねーねーいっくん?束さんも頭撫でて欲しいかなー」

一夏「それで束さんが大人しくなるのならそうしたいのは山々……なんですけど」 ナデコナデコ

箒「…………ん?」

箒「姉さんなんだ、まだ居たんですか……」

箒「空気は読めるでしょう…………んん…………」

束「これで帰ったら束さん泣いちゃうよ?シクシク泣くよ?むしろ今その気になれば泣くよ?泣くよ?すぐ泣くよ?絶対泣くよ?ほら泣くよ?」

一夏「でも…………えぇと、じゃあ、あの、箒?」

箒「…………」 ポヤー

箒「……ん?」

一夏「た、束さんがね?あのな?あの~……頭撫でろって……俺、言われてさ……」ナデナデ

箒「……知らんぞ?」

束「箒ちゃ~ん…………束さんもいっくんに寵愛されたいよ~」

箒「…………あぁ……落ち着く…………」 ポワポワ

一夏「本当に鎮まるもんなんだなぁ……」 ナデナデ サラサラ

束「うぅ……そんな、後ろから抱き付いてなんて…………いっくんのスケコマシ!!」

一夏「ひ……人聞きの悪い事……!!だって箒がやれって……」

束「じゃあもういいもん!!いいもん!!束さんはいっくんの頭撫でちゃうから!!」 ガバッ

一夏「とわっ!?」

箒「…………」 ポヤー

箒「…………」 ハッ!?

箒「……姉さん!?何をしている!?」

一夏「うおぉぉぉぉぉををを束さんのやらかいやらかいパオパオ……!!」

束「本当は撫でてほしかったけど~……ここで束さんのお姉さん力を見せ付けていっくんの心を癒してあげるのも、いいよねぇ」 ギュー

箒「く、この、姉さん!!やめろ!!一夏を誑かさないでください!!」

束「この程度でいっくんが靡いてくれるならとっくにいっくんは束さんの旦那様だよ~。大丈夫!!一番良い所は箒ちゃんに譲ってあげるから!!」 ナデナデ

箒「うむぅ…………し、しかし……!!ああしかし!!」

一夏「た、束さん……後ろから……息を吹きかけるのは……」

束「だめ……?」 フゥー

一夏「だ……だ、めですから……!
うぁ…………!!」 ギュー

箒(ダメではない!!)ギュー

束「さ~ら~に~……んむ!甘噛む~!!」 ハミハミ

一夏「ひぁぁ!?」 ギュゥゥ

箒(いいぞもっとやれ!!)キュッ

束(箒ちゃん、アシストは任せて!!)

一夏「束、さん……!!もうやめ…………本気で怒りますよ!?」

束「お説教なのかな!?それはごほーびだよねぇ!!正座するよ!!」

束「ん…………んん!?しかしいっくんの髪の毛良い匂い!!フレグランスなかほり!!」 スンスン

箒「なんだと!?それはNG行為ですよ姉さん!」

束「でも箒ちゃん…………嗅いだらね~、止まらないよ~!?」

一夏「ぅぅああッッ!?後頭部がゾクゾクするぅッ!?」

束「あ、だめ、ダメダメ……あ……あ、あ、ぁ…………」 スンスン クンカクンカクンカ スーハースーハー

束「あっ……」 ピクン…

箒「あっ……(察し)」

一夏「……?」 フルフル

束「は…………ふ、ぅ…………この匂いは是非に!!科学的に解明をして人類を次の段階にステップアップさせるべきににほひ!!」 ハスハスハスハス 

一夏「ッッぅひ!!?」

束「うなじに掛かる襟足との匂いも…………たまらないコラボだよ~!!」 クンクン

一夏「た、束さん…………も、やめ……ひに!?」

束「やめないよ?私はもう、それはそれは犬の如く犬の気持ち、いっくんの匂いを嗅ぐよ?」

箒「姉さん!!それは流石に目に余るッッ!?」 ビクッ

箒(い、いい一夏のととと吐息がががが耳にうなじにとめどなくくくく!!??)ビクビク

束「前もね~、いっくんをぺろぺろした時、束さんこれまでになくそりゃあ身体に衝撃が走ったもんさ~!!」 クンクンハミハミ

一夏「んッッ…………!!ふぁ…………!?ひッ…………」 ギュゥゥゥゥ

箒「ふぁぁ…………」

箒(一夏の声……!!一夏の吐息……!!一夏の温もり……!!一夏の身体……!!なんだこれは楽園か!?)

箒(…………)

箒(楽園だな!!)

束「ねぇいっくん……?ここまで来たらさ~、もうね、同じだよ?束さん、いっくんの裸見てみたいな~?勿論上半身だけで良いんだよ!?」

一夏「それは……絶対に無理です!!」

束「え~?つまんなーい!!でもでも、束さんがその気になったらいっくんは上どころか下もパージしなきゃならないよ?今ならまだ束さんもそこまでするつもりはないからね」 ペロ

一夏「ほ、箒!?助けてくれ!!」

箒「そうしたいのは……やまだまや……いや山々なんだが…………いかんせん、今は身体に力が入らなくて……」

一夏「なんでお前はこの必要な時に!?」

箒(誰のせいだ誰の!!)

一夏「それは流石にいくらなんでも罷りません。無理です!」

束「ほーん、実にいっくんらしい答えだね!!思った通りの!!しかし束さんは止まらないのであ~る。さてさて~いっくん~今日は三人で行けるところまで行こうね~!!」

一夏「こうなったら白式を展開して…………!!」


「そこまでだ!!」


パリーンッッ!!

束「むむッ!?何奴!?」

箒「はっ!?わ、私は何を……!?」

一夏「あぁ……窓が……」

げぇっ!?投稿する順番ミスった!
>>145の続き

束「箒ちゃんも動けないのだね?じゃあ、甚だ折り入って申し訳なく、剥いでいこうかな~!!」

一夏「た、たす…………いやそろそろ!!千冬姉がオチ付ける様に登場する筈!!」

箒「なるほど!!それは非常に困るぞ!?」

一夏「さぁウェルカム千冬姉!!」


…………


束「来ないね?」

一夏「……出でよー、千冬姉ー……?」

束「来ないよ?」

一夏「バカな!?何故だ!!こう、バットマンみたいに絶妙なタイミングで現れるはずだろ!!」

束「いや~前回の反省を活かしてちーちゃんは今動けなくてね~」

一夏「なにゆえ~!?」

その頃の織斑教官

千冬「たッ、束めぇぇぇ!!絶対に許さんぞ!!絶対にだ!!」 ガッチャガッチャ

束「引田天巧よろしく、鎖で束縛してあるのだ~!!ちーちゃん相手に不意打ちは卑怯ではないよね~?不意打ちは正攻法だよね~」

箒「姉さん!?あなた命知らずですか!?あの織斑先生に!!」

束「勿論、罰は甘んじて受けようぞ!!女一輪篠ノ之束、やったことに対しては認める所存ぞ!!」

束「ただし捕まった場合はね?」

一夏「あぁ…………ダメだ…………もう、ダメだ…………気付いたら上のシャツがもうない……」

箒「一夏!?何故お前は裸になっている!?なんだこの…………逞しい胸板は!!」

一夏「たまげたなぁ……」

束「ほっほう?いっくんめ、束さんの知らない所でこんなにも育っちゃって~……こんな身体で箒ちゃん抱き締めたらそりゃあ刺激が強過ぎるでしょう?」

一夏「と言うより上半身裸で抱き着いてるってのがとんでもない犯罪臭……」

束「そうだね~……いっくんの……ね、上から覗き込んで眺める首から鎖骨のアングルは犯罪的だね……!!」

箒(一夏の腹筋一夏の胸板一夏の二の腕一夏の吐息一夏一夏うわぁぁぁぁぁぁぁ!!)

一夏「束さん……俺の腕の中で箒が壊れて行ってるんですが……」

束「過負荷だねぇ~。さていっくん、下も脱ぐ気になったかな~?」

一夏「それは流石にいくらなんでも罷りません。無理です!」

束「ほーん、実にいっくんらしい答えだね!!思った通りの!!しかし束さんは止まらないのであ~る。さてさて~いっくん~今日は三人で行けるところまで行こうね~!!」

一夏「こうなったら白式を展開して…………!!」


「そこまでだ!!」


パリーンッッ!!

束「むむッ!?何奴!?」

箒「はっ!?わ、私は何を……!?」

一夏「あぁ……窓が……」

ラウラ「篠ノ之束博士とお見受けした!!学園内での、あまつさえ嫁への暴挙!!看過することは出来ぬ!おとなしく投降すれば危害は……!!」

束「鉄山靠ッッ!!」


ドゴォォッ!!

ラウラ「」

束「十年早い!!」

一夏「ラウラが一瞬で葬られた…………」

箒「窓を割りに来ただけだな」

シャル「ラ……ラウラー!?」

一夏「シャルも居たのか!?と言うことは千冬姉のお仕置きは終わったんだな!!」

シャル「あ……はい…………」

一夏「はい消えた!!一瞬でハイライト消えた!!」

シャル「そんな事よりも……そんな事でもないけど!!篠ノ之博士!!一夏に一体何をしようとしてたんですか!!」

束「あれ~?1、2、3…………この部屋……三人しか居ないのにどうして四人目の声がするんだろ~?束さん怖いよー!!」

シャル「……」

束「ところでいっくん!!あのね……この部屋に金蝿が飛んでるみたいだよ?も~、やだね~きちゃないきちゃない」

束「潰してしまおうそうしよう」

一夏「ダメです束さん!!人殺しはしちゃダメですって!!」

束「う~ん?人殺し?しないよ?害虫を潰すだけだからさ!!」

シャル「ひッ……!?」

箒「シャルロット逃げろ!!」

束「人の恋路によくぞまぁ飛び回る蝿は…………」



千冬「だな。髪の毛も指も思い出も骨も残さず。砕いてやるぞ束」


束「…………あれぇ」

一夏「千冬姉!!やっぱり来てくれた!!」

千冬「勿論だ。束、あんな鎖を隙間なく巻いた程度で私を束縛出来たと本気で…………めでたいな?付き合い何年だ?」

束「そ、そうだったね!!アダマンチウムで固めるべきだったね!!ところでちーちゃん、情け容赦も慈悲もないこのアイアンクローで、手打ちにしようよ!!」

千冬「デュノア、ボーデヴィッヒを医務室へ連れて行ってやれ。よくやった。貴様らの数秒でも貴様らにしてはよくやった」

千冬姉と言うオチ最適要員な

シャル「はい!!光栄至極!撤退いたします!!」 スタコラサッサ

箒「……早い」

千冬「……っあ~」 コキポキ

千冬「さて、私としてもやはり人間でな。鎖の脱出には骨が折れるもので、ここはどうぞ、束にも骨を折ってもらわねばな」 ミシミシ

束「多分肉も爆ぜるよね!!」

箒「ま、待ってください織斑先生ッッ!!」

束(ほ、箒ちゃん!?)

千冬「ほう、なんだ篠ノ之。束の弁護か?よろしい謳ってみせろ。気の利いた釈明を用意してあるんだろうな?」

箒「い……え、あの…………はい、すいません…………あの、姉の奇行は今に……すいません……始まった事ではなく…………すいません……なんと言うか……ですが、多少なりとも…………すいません……手心と言うか…………すいません……」

一夏「何回すいません言うんだ…………」

千冬「……ふむ」

千冬「一夏、お前はどうだ?」 ミシミシ

束「ダメだよちーちゃん、意識飛んじゃったら痛めつけてる意味無いよー?」

千冬「お前を汚し、辱めを与えようとしたこの成人を。お前はどうしたい?付け加えておくがデュノアもボーデヴィッヒも然るべき罰を受けている。偉いな未成年」

一夏「え~……っと……じゃあ……」

千冬「しかし男のお前だ、辱め、と言えども良い思いはそれなりにしたのだろう。そんな情状酌量の余地の入った答えを果たして全て鵜呑みにするべきか……?束、勝手に寝るのは許さんぞ?」 ミシミシ

束「ヤバイよ~ヤバイよ~今意識飛んじゃったよ~」

千冬「差し当たってどうだ篠ノ之、この歩く十八禁をどうするべきだ?」

箒「あの…………」

箒「二人と同じで……姉をよろしくお願いします…………」

千冬「そうか、そこが着地点か。よかろう、束。お前の頭蓋に穴を開けて調教してやる」

束「ロボトミーは近代的ではないよちーちゃん!!」

一夏「千冬姉!!さすがにそれは…………」

千冬「冗談だ。よかったな束……美しい姉妹愛でお前の即、死はなくなった。さぁ行くぞ夜は短い、(命)乞いせよ束。上手いことを言う。篠ノ之……貴様はさっさと部屋に戻れ」 ズルズル

束「ふぇぇぇちーちゃん、アイアンクローのまま引きずるなんて酷いよ~……!!」


パタン


一夏「……助かった……」

箒「私も…………助かった……で、よかったのか……?」

一夏「多分…………」

箒「姉さんは……さすがに……」

一夏「死にはしないだろ。多分……」

一夏「何にせよ…………怖かった…………あんな千冬姉は……怖かったです……」

箒「確かに恐ろしい……怒りの権化、シヴァ神だった…………わ、私は生きている…………これは……しかし一時的な保留だったり……」 シクシク ポロポロ

一夏「泣くな箒……気持ちはわからないでもないが……でも箒は別に束さんみたく暴走したわけではないんだし、千冬姉がここに来た時明らか、束さんがアレだったから……きっと……いや絶対大丈夫だ」 ナデナデ

箒「ん…………今日のところは私は帰ろう……流石にこれでは……」

一夏「そう、だな。俺もどっと疲れた…………食欲も無いし…………早く寝る事にするよ。また明日な箒」

箒「…………ん」 バイバイ

一夏「おう」 フリフリ

翌日


シャル「おはよう一夏!」

一夏「おうシャル、おはよう。あれ?ラウラは?」

シャル「……うん、昨日のね?あの~……アレで……今日一日保健室で安静だって。でもそこまで酷いわけじゃないよ!?」

一夏「そ、そうか……なんかラウラには悪い事したな……それに借りも出来た」

シャル「それじゃあ、さ……放課後、一緒にラウラのお見舞いに行こうよ?きっとラウラも喜ぶよ」

一夏「あぁ。土産にチョコパイでも買ってってやるか!!」

箒「おはよう」

シャル「ほ、箒!?あれ何で!?」

一夏「あ~……箒は、言っとくけど別に箒はそんな、襲い掛かってきたりはしてないからな?千冬姉だって問答無用ってわけじゃないんだ」

シャル「そ……そう、なんだ……よかったね?」

箒「……夢にな、昨日の光景が出て来てな……私の頭が危うく……」

箒「ぐしゃ」

シャル「一夏…………箒完全にトラウマ状態だよ……」

一夏「当事者だからな……あれの後無事に精神が安定してたらそれはもう人間やめるってよ、ってレベルでな……」

鈴「おはよーって……箒?どしたの?顔色が…………」

一夏「…………そうなってしまうよ」

鈴「はぁ?」

鈴「なるほどね……案の定篠ノ之束博士が乗り込んで来たのか……」

一夏「鬼神の如くとはまさにあれだな。角生えてた」

箒「ふぅぅ…………ふぅぅ…………」 ガタガタ

鈴「それで?あんたの救助に向かって口上より早く散ったラウラの具合はどうなの?」

シャル「それだったら心配はないよ。身体を強く打ち付けて今日一日は安静だけどね」

セシリア「皆さん、おはようございます」

鈴「セシリアおはよー」

一夏「おはようセシリア」

箒「ぉは…………お、おは、よう…………」 ガタガタガタ

セシリア「…………箒さんは一体全体どうなさったんですの?」

シャル「実はね……」

説明、割愛


一夏「箒ー、この絵が何に見える~?」

箒「包帯で真っ白な少女」


※箒さん、ただいま心のリハビリ中


セシリア「なるほど…………だからボーデヴィッヒさんの姿がお見えにならないのですね」

鈴「先に言っておくけど、忠告だけどね、あまり今は……こう、目立つような事はしない方がいいと思うわよセシリア」

セシリア「な、何ですのいきなり私にそんな脅しをかけるように……」

鈴「いやぁ、どーせあんたの事だから今日の放課後あたりに頭を撫でて貰おうなんて考えてたんじゃないかなぁって思ってさ」

セシリア「む、きゅぅ…………」

シャル「でもやましい事じゃなければ大丈夫だよ。現に箒は無事だった訳だしさ」

セシリア「シャルロットさんがそれを言うと確かな説得力が有りますわね……」

鈴「ね、現に連れて行かれた側のシャルロットさんだからね」

セシリア「やましい事をしたから連れて行かれたと言ってるようなものですわよ?」

シャル「あの時の僕は確かに織斑先生に連れて行かれても仕方がなかった事をしたと思うよ?でもね、そんな僕でもやはり後悔はしていないんだ……!!」

鈴「キラッキラな良い笑顔でもね、あんたのやったことって……さ」

シャル「でも考えてみても……おかしくないかな?みんな一夏と一緒に居て、さぁ!!盛り上がってまいりました!!の良いところで織斑先生が来るんだよ?タイミングがちょっとさぁ……」

セシリア「確かに、シャルロットさんの仰ることは一理ありますわね」

鈴「それがなかったらあんた……公共良俗に反する事をやろうとしてる様な口振り……まさか……」

シャル「…………」 メソラシー

セシリア「シャルロットさん!?いけませんわよそんな……!!はしたないですわ!!ズルイですわ!!」

シャル「現にそうなったわけじゃないからいいじゃないか!!そんな事より今は織斑先生の事だよ!!これじゃあおちおち一夏の部屋にも入れなくなっちゃうよ!!」

鈴「あ」

鈴「凄い説得力があって尚根拠のない事言っていいかしら?」

セシリア「なんですの?」

鈴「ほら、千冬さん……ぶっちゃけ、一夏を溺愛じゃない?あぁほらほらそんな不思議そうな顔しない。口調なんかは厳しくてもなんだかんだ一夏の事は心配なのよ。で、多分…………そんな千冬さんだからこそ一夏の危機がわかる?みたいな?虫の知らせと言うか、姉故のテレパシー……一夏限定危険予知……一夏KYとでも言うのかな?」

セシリア「確かに根拠もなく飛躍した話ですが……」

シャル「説得力はあるね」

鈴「でしょ?世の中全てが理論的に解決できるわけじゃない良い例ね」

セシリア「…………一夏さん」

一夏「はいはい」

セシリア「放課後……一夏さんの部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか?」

鈴「ちょ」

シャル「セシリア!?」

一夏「ん、まぁ…………大丈夫、だけど……俺はでも先にラウラのお見舞いに行くぞ?」

セシリア「構いませんわ。では、お暇が出来ましたら連絡くださいまし」

一夏「おう、わかった。さて箒、これは?」

箒「おすぎ」

一夏「違う。ピーコだ」

シャル「……セシリア、鈴の話聞いてた?」

セシリア「ええ、はいとも」

鈴「じゃ何故に一夏の部屋に?」

セシリア「まだ鈴さんの仮説が正しいとは決まってはいませんわ。それに…………皆さんだけ撫でられて私はただ出遅れただけで尻込みする程弱くはありませんので」

鈴「本音は?」

セシリア「羨ましいんです!!」

シャル「わかる」


ガラッ


真耶「はい皆さん、そろそろ予鈴がなりますので席についてくださいねー」

鈴「やば、触らぬ千冬さんに祟りなしだわ。じゃああたし二組に戻るから。くれぐれも重ね重ね言うけどセシリア、バカな事はしない様にね?」

セシリア「そんな釘を刺すように言われるまでもありませんわ」 フフン

シャル「でもセシリアも前回連れていかれてるからねぇ……」

千冬「…………」 カツッカツッ

一夏(うわ…………あからさまにえげつなくふきげんな顔……)

山田「え~……本日も、ボーデヴィッヒさんはお休みです。皆さんも気をつけてくださいねー」

シャル(何にとは言わないんだ……)

山田「あと、は~……え~ぇ……とっ…………」 チラッ

千冬「何か?」

山田「あ、いえ!!織斑先生は何か言うことは……ありますかなっ……と……はぃ…………」

千冬「特にはありませんが」

一夏(だからその顔で俺たちを見るな…………精神が削れる…………!!)

山田「じゃ、じゃあ!!えっと、皆さん今日も一日頑張っていきましょうね!!」

一同(胃が痛い……)

放課後

一夏「千冬姉~」

千冬「織斑先生と呼べと、お前の脳はまだそれを覚えんのか。それとももはや使い物にならんのか?脊髄に叩き込んでほしいか?」

一夏「ひ……ひでぇ言われよう…………やっぱり機嫌が悪いから……」

千冬「あ?」

一夏「いや、あの……やっぱりちふゆね…………織斑先生も学校で教師で仕事な訳だからさ、不機嫌なのはしょうがないにしてもそれは出しちゃあダメですよね?」

千冬「む…………ぐ……お前の言うことも尤もだな…………お前に諭されるとは……確かに私が浅はかだったな」

一夏「うん。まぁそれはそれとしてなんでそんなに不機嫌なんだ?」

千冬「…………た」

一夏「ん?」

千冬「束の奴めが、逃げてな…………少しだけ目を離した隙に消えたんだ。あいつめ、次に視界を過ぎったら即殺だ」

一夏「んな物騒な……確かに千冬姉に助けられて感謝してるけどさ……殺さなくても……」

千冬「阿呆。幾ら何でも殺す程はするわけがなかろう。ものの例えだ。死にたくなるくらい、と同じだ。死にたくなるくらいはするがな」

一夏「おう、より一層リアル生々しいよ」

千冬「それで?お前はお菓子なんぞ持ってボーデヴィッヒの見舞いか?」

一夏「千冬姉よく分かったな~。一応ラウラもさ、及ばずながら俺を助けてくれたんだし。あ、及ばずながらって俺が言ったらダメだよな」

千冬「お前の性格など知れている。それで今日も休んだボーデヴィッヒに少なからず罪悪感に似た何かを感じているんだろう」

一夏「ん……まぁね」

千冬「ならば言付けだ。よくやったと、ボーデヴィッヒに伝えておいてくれ」

一夏「わかったよ。じゃあシャル待たせてるし俺ももう行くよ~……っと、あと一つ、聞いていいかな?」

千冬「なんだ?」

一夏「いやさ千冬姉って毎回……こう、なんかヤバイな~ってなった時とか、これはもう見過ごせんって時に待ってましたと現れてくれるけど……あれは何でなんだ?」

千冬「愛だ」

一夏「…………あ……」

一夏「……え?……それ、ん……?愛?」

千冬「愛故に為せる事だ。まぁ冗談だがな」 フフン

一夏「冗談…………」

千冬「そら、とっとと見舞いに行ってやれ。お前の見舞いにボーデヴィッヒもさぞ踊るように喜ぶんだろうな。私も忙しい。忙しいからお前が労ってくれるであろう次の休みが楽しみだ」ツカツカ

一夏「……はい」

シャル「一夏~」 ヒョコッ

シャル「ゴメン流石に隠れて見てたよ。中国四千年曰く、触らぬ千冬さんになんとやら、あぁなんとやら」

一夏「なぁシャル」

シャル「ん?」

一夏「愛で、人は一体どこまで性能が上がると思う?」

シャル「……」

シャル「……一夏が愛について何かしら問うなんて…………なにごとなんだろうね……ちょっと逆に怖いよ……」

一夏「なんでだよ」

保健室

ラウラ「……ヒマだ」 ポスッ

ラウラ「もう寝飽きた…………一夏め、何故見舞いに来んのだ……」 コロコロ

シャル「ラウラー」

ラウラ「む?シャルロットではないか」

シャル「お見舞いだよ~」

一夏「俺もな」

ラウラ「嫁ッ!!遅いぞ!!名誉の負傷である私の見舞いならば誰よりも早く来るはずだろう!」

一夏「ごめんごめん、ラウラが保健室で今日一日休みって、今日のホームルームで知ったからさ。ほら、お土産だ」

ラウラ「ほう……ほう!!チョコパイだ!!」 ペカー

一夏「美味いもんなチョコパイ。エンゼルパイじゃないから安心しろ」

ラウラ「アレは好かん」

シャル「僕は好きだけどな~……エンゼルパイ」

一夏「え?ちょっとよくわからないですねシャルロットさん」

ラウラ「シャルロット、あれは何と言うか……詐欺だぞ?」

シャル「そこまで言う程ではないよね?美味しいじゃないかあのマシュマロ」

一夏「いや、あれがあるくらいならむしろ無くてもいいと俺は思う」

ラウラ「嫁は良いことを言う。無しでも良いな。うむ、美味い」モムモム

シャル「あれ~……なんか僕ショック……」

一夏「そーだラウラ。千冬姉がさ、ラウラは良くやってくれたってさ。褒めてたぞ」

ラウラ「ッ!?」 モクモク

ラウラ「……身に余る光栄だ…………勿体無いお言葉だ……!!」 ジーン

一夏「勿論俺も感謝してる。ラウラが来てくれなかったら、あと少しでもタイミングが遅れてたら…………束さんも含めてみんな取り返しのつかない状況になってただろうしな」

ラウラ「ふふん、嫁を守るのもまた夫としての当然の務めだ」

シャル「ねぇねぇ、僕には言ってなかった?」

一夏「え~……とシャルには特に触れること無く……」

シャル「何で~……僕も頑張ったのに~……」

一夏「……頑張った?まぁ敢然と立ち向かう者ではあったよな」

シャル「そうだよ!!すぐに織斑先生が来てくれたけどね!!」

一夏「シャルもありがとな」

シャル「同情するなら行動で、ね?」

一夏「え~、っ?ご、ごめん何をすれば、行動?」

シャル「例えば……頭を撫でてあげる……とか……色々あるでしょ!!」

ラウラ「む!!それはシャルも懲りずに良いことを言うではないか!!」

一夏「本当、懲りてない。全く懲りてない。ナイスな君たち」

一夏「で、どうだラウラ?身体の方は痛むのか?」

ラウラ「ふっ……私は軍人だぞ?並大抵の事で再起不能になるものか。…………はッ!?」


その時ラウラに電流走る

ラウラ、電話にて

ラウラ「と言うわけで今日は一日暇なのだ」

クラリッサ『なるほど……隊長程のお方でも篠ノ之束博士は倒すことは出来なかったと……』

ラウラ「間合いに入られたことすら気付かなかった……あの人は恐らく織斑教官に近い実力を持つだろう」

クラリッサ『ところで織斑教官で思い出しましたが、織斑一夏殿はまだ隊長のお見舞いにはいらしては?』

ラウラ「…………いない」

クラリッサ『それは好都合。いえ、隊長をいの一番に見舞わない点に於いては看過できませんが、まだ来ていないのならば作戦を実行できます』

ラウラ「作戦だと?何をするつもりだ」

クラリッサ『はッ!!この間隊長にお聞きしたい耳寄りな情報……どうやら織斑一夏殿はマッサージが上手いと……』

ラウラ「あぁ、教官もお墨付きでな。と言うより教官の専属と言い換えてもいいやもしれん」

クラリッサ『そのマッサージ…………受けてみたくは有りませぬか?』

ラウラ「ッ!?」

ラウラ(クラリッサ曰く…………マッサージは療法としての面もあると言う…………日本ではかつて按摩師と呼ばれる者も存在していた程……!!)

ラウラ「アー、イヤー、からだがまだほんちょうしではないなー」 チラッ

シャル「え、何その棒読み」

ラウラ「うーん、いたいよーいたいよーこれはもうマッサージくらいはしてもらわないとやわらがないぞー」 チラッチラッ

一夏「……いやマッサージて……身体打ち付けてるのにマッサージて、いかんのじゃないか?」

シャル「僕もよくわからないけど……少なくとも素人が何かやろうとするのはあまり良くないんじゃないかな?」

ラウラ「…………」

ラウラ(そんな事を言われた時の事もクラリッサから対処法は聞いている!!)

ラウラ「…………ぇ~っと…………うーんよめをまもるためにからだをはったからななーがんばったからなー」

一夏「そ、それは感謝しているけども……でもラウラ、安静にしているのが一番、じゃないのか?」

ラウラ「うーん!!身体が!!労いを!!求めているのだなー!!」 クワッ!!

一夏「わかった!!わかったから!!マッサージしてやるから!!」

ラウラ「おぉそうか一夏よ!!すまんな!!ではお言葉に甘えるとしよう!!」 ヌギヌギ

一夏「ラウラ!!なんッ、いや待て何故脱ぐ!!」

シャル「そ、そうだよ!!マッサージだよ!!何と勘違いしてるのさ!?」

ラウラ「何故脱ぐか?ストレートな愚問だな、一夏それでもお前は嫁である前に世界の日本の民族か?古来按摩師に指圧を施してもらう際、服は脱いでいたと言うではないか。確立された歴史ある方法で行えば治療にも良いはずだ」

ラウラ「そしてそれに包帯で前は隠れているからな。見えるわけでもあるまい。まぁ……なんだ……それは置いて別に私は……見られようが…………別にな……?」

一夏「わかった!!わかったから!!とりあえずじゃあもううつ伏せ!!な?まずはうつ伏せからな!?」

シャル「……」 ベシッ

一夏「ッた!?な……なんでシャル……?」

シャル「知らないよー。ほらラウラ待ってるから早くやってあげれば?」

ラウラ「まだかまだかと私は待っている」

一夏「う…………わかったよ。じゃあラウラ、やるからな」

シャル(一夏のマッサージ…………僕も受けたいなぁ…………お願いしたらやってくれるかな?)

ラウラ「さぁ……早く私にマッサージをだな……」

一夏「お、おう」 グニッ

ラウラ「む…………?ん、ん?」

一夏「疲れを取るマッサージはやるけど……療養のマッサージなんて知らないからな…………痛かったら言うんだぞラウラ」 グッグッ

ラウラ「ぅに…………!にッ……!ぁ、……ふ……ぅ!」

ラウラ(なんだこれは…………!?)

ラウラ(気持ちが良過ぎる!!)

一夏「……っ、ふ、どうだラウラ?」 クックッ

ラウラ「ふゃぁ…………っぁ、は…………き……気持ち……いい…………」 トリョーン……

一夏「そかそか。そう言ってくれると嬉しいねぇ」 ギューギュー

シャル(そ、んな顔、蕩けた顔になる程のものなの……!?うぅ…………僕も怪我をしていれば……)

ラウラ「……むゃ……!!ぁ……ふにぃ…………!!」 トロロ

シャル「ラウラー?よ、涎垂れてますよー?」

ラウラ「むぃ…………?ぅぁ、いかんいかん……」 スズ

シャル(普段キリリと可愛いラウラの顔があんなに締まりなくなるなんて…………ぅぅ……)

ラウラ「ぅあ~…………一夏よ~……腰はもういいから、次は…………前を頼む……」 コロン

一夏「ま!?前って、前ってどこにある前だ!?ま、……ラウ……シャルこれどうするんだ!?ラウラの身体が!!」

シャル「僕っ、あのアレ!?とにかく一夏は目を閉じて!!ラウラ!?ちょっと前のマッサージはないと思うんだ!!」

ラウラ「ないのなら今作ればいいだろうッ!!」 クワッ

一夏「うおッ!?」

ラウラ「物事の歴史は全ては無からだ!!そしてあらゆる事が起きて今に至るのだ!!」 ガバッ

ラウラ「今に一手!!歴史に一さじ!!それでこそ歴史なのだぞ!!お前の手で歴史を刻めぇ!!」

シャル「すごい…………熱のこもりこもった説得力……!!」

はらり…………


一夏「おやッ!?」

ラウラ「んむ?」 プル

シャル「らうッ……!!一夏!!」

ラウラ「胸に巻いていた包帯が解けたな。だからなんだと言うところだが……すまんな一夏」

シャル「はぁ…………はぁ……あの、間違っても悪いのは…………多分間違いなく僕…………ゴメン一夏……」

一夏「あぁぁぁぁ……目がぁ……目がァ…………」

ラウラ「シャルロットよ、例えダーティプレイ推奨の軍隊格闘でも、目は可哀想だと思うんだが」

シャル「…………ラウラ、服を着て今日は健やかに寝てなさい。僕が看病兼ねマッサージしてあげるから……お話もしてあげる。寝れないような一方的な……」

ラウラ「」 ゾク

シャル『ゴメンね一夏、ラウラとお話しあるから今日はもう……ね?ありがとうね一夏ゴメンね一夏』

一夏「一方的に帰らされた……まぁ良いもの見れた……し…………イカンイカン……そんな…………」

一夏「でも…………アレがラウラの…………?んん?」

千冬「……」 カッコッ

鈴「…………」 ズルズルズル

一夏「鈴が千冬姉に……引きずられ……これはこれからドナられる予感……?」

千冬「織斑」

一夏「はい何でしょうと聞く前にまずそれこそ……何でしょう?」

鈴「あ……一夏…………あ、の」

千冬「喋るなチャイニーズ。織斑、お前の聞きたい事がそのまま答えだ」

一夏「はぁ……で、鈴が一体何を?」

千冬「……」

鈴「…………!!」 オネガイ オネガイ

千冬「……ふむ。なに、この小娘は罪を犯しただけだ。ただそれがなんなのかはお前には言えん。し、伝える必要もない。だが弁護しようとも考えるな。まずお前が何も言わなければいいだけだからな」

一夏「罪をって、そうなのか鈴?」

鈴「そ、そーでございます……はい…………」

一夏「敬語?なんでそんなバツの悪そうな」

千冬「それは罪とバツだ」

一夏「え?バツ……あ、罪……ギャグ?」

千冬「…………」

千冬「織斑、私は行くが……しっかり戸締りはしておけ。いくら学園内と言えどもな。学園内……とりあえず鳳は明日一日居ないとだけ言っておくぞ。よかったな明日が祝日で。どっこい祝日を潰さねばならんと考えるか?ん?」 カッコッ ズルズル

鈴「…………」ドナドナドーナードーナー

一夏「そんな悲そうな瞳で見るなよ……何しでかしたんだアイツは」

こんな進みの呪いSS見てくれてあんがと。感謝感謝


数分前に時間は遡り一夏がラウラのお見舞いに行っていた頃……


ガチャ

鈴「一夏ーそーいえば、って……まだ居ないんだっけか……」

鈴「と言うより何故鍵をかけないのよアイツは……開けてしまう私も私だけど……」

鈴「…………」

鈴「おじゃましまーす」 トコトコ

鈴(帰って来るまで待たせてもらおうかな)ポスン

鈴「…………一夏のベッド…………」

鈴「…………うーん」 ゴロリンコ

鈴「ふーん、悪くないかな。主に匂いが」 クンカクンカ

鈴「……なんか、しかし何、あの日以来匂いが……気になってしょうがない」 スンスン

鈴「なんなのアイツはこの良い匂いは……」

鈴「……」 クンクン

鈴「……アイツ、洗濯物……ちゃんと洗ってるのかしら……そー言えばってレベルだけど、一応ついつい気になる悪いアタシ……」


かちゃ


鈴「溜まってる……感じね。見たところ量は二日位?まったくズボラで、大丈夫かしら……」

鈴「そして私はいつの間に一夏のトランクスを握り締めて……?」

鈴(ダメよアタシ、それはダメ、超えてはダメなラインを跨ごうとしてるのよパンツを?どうするのアタシ?まだ引き返せる……!!)

鈴「…………」 スン……

鈴(あぁぁあぁあやっちゃったー!!やってしまったー!!ゴメンねお父さんお母さんこんな娘に育って……)クンカクンカ

鈴「……ッ」 クンカクンカ スンスンスン

鈴(でもやめられないのよー!!止められないのよー!!匂いが全てを支配して……アタシがアタシでなくなっちゃうようなー!!)フスフス

鈴(だってアタシだって思春期ですからー!!女の子にも思春期くらいありますからー!!だから好きな人の匂いぐらい嗅いでも不思議じゃないのであってー!!)スーハースーハー

鈴「ん……!!」 スゥゥゥゥ

鈴(男だって女の子のパンツに興奮するでしょーが!!女の子だって好きな人のパンツあ、ヤバ良い匂い!!)スーハスハ

鈴「…………ヤバイ……行動もアレだけど何より自分の思考もアレ過ぎてちょっと冷静になれた……」

鈴「て言うかこんなところ見られたら死ねる。千冬さんに見つかったら高い信頼と長年の実績で更に死ねる」

鈴「だからここは一つ自分の部屋に持ち帰って堪能するべきよね!!(錯乱)」

鈴(そうとなれば……服の中に隠して)

鈴(そして何事もなかったかのように努めて平静を装い……部屋に戻る)スタスタスタスタ

モブ(わ……!?凰さんが不自然な歩き方してる……!?)

鈴(ふふ…………!!頬が緩むわ……!!待って緩んでないわよね……!?これって私ヤバイ事に目を瞑ればかなりリードしてるわよね!!)スタタタタタ

鈴(これで……今日の夜は…………今からでも胸が踊る……!!)


ドン


鈴「ひゃっ!?あ、ごめんなさい……!!」

千冬「なんだ凰、曲がり角を勢い良く……気を付けろ」

鈴(キャーーー!!??死んだアタシー!!人生の曲がり角ー!?)

鈴「ぁ…………ぅ……ぁの……」

千冬「?どうした惚けた顔をして。どこか痛むのか?」

鈴(って、そうよ!!私が一夏のパンツを盗んだのはバレてないわけで!!それが普通、通常!!ここは一つ普段のアタシを見せるのよ鈴音!!)

鈴「いえ…………大丈夫です。すみません……私の不注意でした」

千冬「ならばいいが……次からは気を付けるように」

鈴「はい!!それでは……」スッ


パサー


千冬「うん?おい凰、何か落とし……た…………ぞ?」

鈴「げっ…………!?」

パンツ「わしじゃよ」

千冬「ほほう……これはこれは……男物の……パンツ……女のお前がか?」

鈴(しまったー!!曲がり角でぶつかってパンツなんてラブコメか!?落とすのはパンツだけじゃ済まない予感がー!!)

千冬「まさか驚きのお前が履いていたパンツ……と言うわけではあるまい?なんだこれは?」

鈴「いえあのハハハ……さ、最近部屋着用に!!トランクスはホットパンツ代わりになったりするんですよー!?あは、あはははあは!?」

千冬「ほう、それはそれは。そんな女子力とやらが低下しそうな格好をするのか貴様は。まぁ貴様がどんな格好をしようともいいが……このトランクスは貴様のものか?」

鈴「で、ですよー?当たり前でアタシのです!?誓って!!」

千冬「それは、何に誓ってだ?神に誓ってか?」

鈴「は、はい!!」

千冬「はっ!!ふふふはははは!!笑わせる。お前に神などいない!!」

千冬「これが織斑のものだと言うことはわかっているぞ?」

鈴「はぅッ!?」

千冬「その反応ズバリ図星か?お前は嘘が苦手なようだ」

鈴「だ、カマかけ……!!表情豊かな自分が恨めしい……!!」

千冬「貴様には何も……怒りを通り越して呆れしかない…………語るに及ばんな」

鈴「アタシは……どうなるんですか……?」

千冬「篠ノ之一回、オルコット一回、ボーデヴィッヒ一回、デュノアが業の深さで二回。これが懲罰房行きの回数だ。そこに貴様が加わって五人コンプリートだ」

鈴「ぁ~……私もそこに行くんですね……」

千冬「そうだ。パンツを盗むような小娘は矯正せねばならんからな。これは教師の務めだ」

鈴「はい……ぐうの音も出ない程の正論です…………ですが、アタシ神妙にしますので……どうかこの……何故首根っこを掴むのでしようか……?」

千冬「ん?神妙にするとお前が言おうが別に私には関係ない。抵抗もおとなしくするも自由だ。そして私がお前をどう連れて行こうがそれも……自由だ」 ズルルズルル

IS学園内のどこか(千冬領・治外法権)

千冬「さぁ入れ」

鈴「とうとう私もここに来てしまったか……ぅ…………血糊……なの……?」

千冬「ここで起きる事は口外は出来ない。過去ここに入った四人は勿論口にしていないはずだ……そして凰、お前のこの先の人生順風に進んであと七十余年……辛いこともあるだろう。そんな時はここを思い出すがいい。ここよりも辛いことはないよう、私も奮ってお前に刻み込んでやる」

鈴「と言うより刻まれる……!!どんなありがた迷惑……!!」

鈴「ん……?何か文字が掘ってある……?」

CHARLOTTE WAS HERE
(シャルロット ここにあり)

鈴「……こ、これは……!!」

鈴「…………」 ガリガリガリ


CHARLOTTE WAS HERE
(シャルロット ここにあり)
SO WAS LINGYUN
(鈴音もここにあり)


鈴「…………よし」

千冬「遺言でも遺したのか?」

鈴「こ、殺されるんですか……?」

千冬「お前は私をなんだと……」

一夏「鈴の奴……本当、何やらかしたんだ……?っと、そーだ、セシリアに連絡しないと」 ポチポチポチポチ

プルル

セシリア『はい一夏さんもしもし!!』

一夏「うぉ!?……出るの早いなセシリア」

セシリア『それはもう、私電話を待ってましたから。』

一夏「え、マジ?ゴメン連絡少し遅れたかな?」

セシリア『いえそんな……待てることが出来て初めて淑女と言えるのでしてよ?それに本を読みながらでしたので待つ時間も有益に過ごしましたから』

一夏「セシリアがそれを言うとまさに、まさにそれだなって感じだよ。さすが英国令嬢」

セシリア『うふふふ!!もう、もう一夏さんったら!!では私はこれか、一夏さんのお部屋に伺えば?』

一夏「ん~……だな。お見舞いも終わって……あ、ラウラは元気そうだったよ。飯までは時間もあるし……って今更ながら聞くけどもセシリアなんの用事で俺の部屋に?」

セシリア『……そ、そうですわね……(な、何をしましょうか……!?)』

一夏「特にそうやることがないならさ、申し訳ないって先に言っておくけど……ちょっと買い物に付き合ってくれないかな?」

セシリア『か、か!!かいか、買い物ですの!?』

セシリア(これはとんでもなくレアですわ!!まさかデートのお誘いが一夏さんから!!)

一夏「あ……いやゴメンな、俺の都合で。ゆっくりしたいよなセシリアも。それじゃあ今日は……」

セシリア「いえ!!いえいえ!!結論が早いですわよ一夏さん!!そう、ならばいざ早速買い物に行きましょう!!書を捨てましょう!街へ出ましょう!!」

一夏「おぉ、どこかで聞いた事あるような……それじゃあ三十分後に校門で待ち合わせって事でいいか?」

セシリア『はい!!』

セシリア(用意は既にバッチリでしてよ一夏さん……なんなら今からお出掛けでも!!)

校門

一夏「ん~……しかし三十分後って言っちまったけど……女の子って用意に時間が掛かるって言うしなぁ……セシリアには急いで用意させることになっちまうから迷惑掛けたかな……」

セシリア「心配には及びませんわ一夏さん」

一夏「っっと!?びっくりした……」

セシリア「ふふ……準備は既に出来てましたから……さ、一夏さんエスコートしてくださいます?」 スッ…

一夏「手を……繋ぐ?」

セシリア「えぇ……あの、えと……嫌ではなかったら、ですけど……」

一夏「むしろ俺が聞きたいくらいだ。俺で良いのか?その……エスコートの……って事なら尚更」

セシリア「一夏さん?私、誰彼でもエスコートを頼む訳ではありませんのよ?私に相応しく、そして任せられる方であれば、それは寧ろ私喜んでそのお方に任せますから……このままでは私右手が寂しいですわ……」

一夏「そっか……悪いな野暮なことを言わせちまって」 キュ……

セシリア(あぁ……今一夏さんから手を…………!!このセシリア、これ以上のない幸福!!このまま二人で人生を歩いて行きたいくらいですわ……!!)キュ…

一夏「しかしそっか……そうかそうか…………俺もセシリアにそこまで認められてたなんてな……なんか感慨深いぜ」

セシリア「あまり自分を卑下なさらないでくださいまし。一夏さんは私が知る殿方の中で一番のお方でしてよ?」

一夏「……ぅぉ、そ……そっか……テレるな……はは」

セシリア「うふふふふ!!ところで今からお買い物と言う事ですけどどちらに向かうんでしょうか?」

一夏「あぁ、明日って祝日で休みだろ?千冬姉がさ~家で飲むから肴を作れって俺に言ってきてな。まぁ姉孝行って事で、とりあえず食材を買いに来たんだ。勿論そのお金は後でキッカリ払ってもらうけどな」

セシリア「まぁ!!そうでしたの?でも一夏さんもお優しいですわ。わざわざ料理を作って差し上げるなんて……あの……よろしかったら……私も明日お手伝いに……」

一夏「…………っ!?き、気持ちは嬉しい!!けど、セシリアはもっと自分を大事に……な?飲んで酔った千冬姉の相手をすると考えると……うん、やめておいたほうがいい」

セシリア「そ……そんなに酷いものですの……!?」

一夏「無茶振りも良いとこの、傍若無人が容赦無く襲い掛かる世の不条理が煮詰まったような世紀末で……果たしてセシリア……無事に帰れると?」

セシリア「…………も、申し訳ありませんが…………一夏さん明日は…………頑張ってくださいとしか……」

一夏「が、頑張る……」

一夏(っっぶねー!!セシリアの申し出の気持ちは、気持ちは嬉しいが、気持ちだけなら嬉しいが伴うものがな?……アレを出したら最後、千冬姉は下手をしたら……どてくり返すぞ……セシリアを)

一夏「ま、そんなわけだからさ。俺のワガママでセシリアを付き合わせちゃってるわけだし、セシリアもこの際何処か行きたいところがあったら遠慮なく言ってくれ。当然俺は付き合うからな!!」

セシリア「はい。ですがまずは一夏さんの用事を先に済ませてから、ですわよ?」

一夏「ありがとな。自宅の近くの商店街で買い物済ませてから一旦家に帰るって予定だから」

セシリア「何処へでも付いて行きますわ!!」 キュ!

セシリア(普通に一夏さんとお出かけだなんて……!!ああ!!これぞ私が夢見た……一夏さんとのデートなのですね……!!)

………………

…………

……


一夏「いやー……そこそこに買っちまったな……商店街が近くにあるとついつい買っちゃうよ」

セシリア「商店街と聞くと、食品店ばかりが軒並み連なっているイメージでしたが……存外に洋服屋さんや雑貨屋さんもあるのですね」

一夏「そうだな。俺も商店街って言うのは人情溢れる下町のってイメージがあるけど、今日行った商店街はどっちかって言うと近代的な空気があるよな~」

セシリア「……一夏さん? お荷物……半分お持ちしましょうか?」

一夏「ダメダメ、これは俺の買い物で、ましてやセシリア、お前は女の子だぞ?女の子に荷物を持たせる程俺も出来ない男じゃないよ」

セシリア「で、ですが…………いえ……あぁもう!!いいから半分持たせてくださいまし!!」 バッ

一夏「うぉ、っと、セシリア?」

セシリア「一夏さんのお気持ちもよ~くおわかりになりますが私も、ここ日本の郷に入っては郷に従えと言う言葉を実行させてもらいますわよ?」 フフン

セシリア(恋人同士は……こう、買い物の荷物を……半分こで持つと言いますから……!!これでもう私と一夏さんは……こ、恋仲!?)

一夏「はは……悪いなセシリア。セシリアがそうまでして持ってくれるならありがたく手伝ってもらうよ」

セシリア「これも日本の文化に従ったまでですわ一夏さん」

一夏「こーいう文化はあんまり知らないけど……なぁ……」

セシリア「素晴らしき日本の伝統……こうしていると……まるで……そう……!!まるで……!!私たち、こ、こい…………こい……!!」

一夏「そーだな、思えば……思い出した。鈴がまだ中国に帰る前、よく食材の買い出しに付き合わされてさぁ、それでアイツ、今みたいに半分持てって言うんだ」

セシリア「…………」

一夏「いや自分で買ったんだから自分で持てよと、思うんだけどやっぱり女の子って力無いんだな~って…………セシリア……さん?」

セシリア「何か……?」

セシリア「お気になさらず続けて、どうぞ」

一夏(え……なぜ?何故にセシリア、半目で微笑みながらも冷ややかな目を向けるんだ!?怒ってる……!?)

セシリア「えぇ、えぇ、それは確かに。一夏さんは殿方ですのでレディの荷物を持つのは当然ですものね?」

一夏「はい……!!まこと、仰る通りで……」

セシリア「…………これではいけませんわ……この形は大変よろしくないですわね……一夏さん、やはり申し訳ないですが荷物を持っていただけます?反対の手で」

一夏「あ、はい……ですよね、やっぱり自分で持たなきゃですよね」 ガサ

セシリア「では御手透きの方は……」 ニギ

一夏「っやか!?」

セシリア「やはりエスコートをしてくださいますか?この男卑女尊と言われる昨今ですが殿方を立ててこそ、やはり淑女ですので」

一夏「こ、この握り方は……!?」

セシリア「……日本では……こう、指を絡めて手を握るのが一番ポピュラーであると聞きましたが……?」

一夏「これ、あの、一応……日本では恋人同士がやるもんだぜ……?俺初めてなんだけど……」

セシリア「…………で」

セシリア「…………」ムー

セシリア「……も……間違えただけですわ!?わかってましたわ!?えぇ本当に!!ですけどそして私にやり直せと!?後には引けませんの!!」 ニギニギ

一夏「どうして後に引けないのか……いやまぁ、セシリアがこれで構わないのなら俺も別にいいけど。セシリアとこうやって手を繋げると……なんだ、俺も男冥利に尽きるな……」

セシリア「みょうり?」

一夏「嬉しいなって事だよ」

セシリア「いち!?嬉し……!!」 ポッ

一夏「ん?立ち止まって……セシリア早く行こうぜ」 クイ

セシリア「あん…………一夏さんそんな強引に…………でも……それが……」 キュン

一夏「そんな強く引っ張ってないけどな」

セシリア「うふふふふふ!!どこまでも着いて行きますわ一夏さん……!!」 テコテコテコ

織斑宅


一夏「よっし……食材は全部入れたし……セシリア、お茶でも飲むか?」

セシリア「なら私が……」

一夏「セシリアは客だぞ?そんな事させられないよ。それにセシリアの飲むような紅茶が出せるわけでもないしな。冷たい麦茶ならある」

セシリア「そうですわね。ではお言葉に甘えて……」

セシリア(気遣いの出来る一夏さんですこと。でも……こうやって二人で居ると…………新婚生活の……!!)

セシリア「くふふふふ……ふふふふ」 ニヨニヨ

一夏「なんだセシリア……一人ニヤニヤと笑って……」

セシリア「はっ!?いえ!!ただの思い出し笑ですわ!!おほほ、おほほほほ!!お茶いただきますわね!!」

一夏「ん。おあがんなさい。そーいえばさ、今日セシリアに会う前に鈴が……千冬姉に連れて行かれてたんだ」

セシリア「ッ……!?ん……?何故、でしょうか?」

一夏「それが、ま~わからん……わからん中でただ一つ言えることは何かしらやらかしたんだろうな」

セシリア「そうですわね…………でないとあの織斑先生が連れて行く筈などあり得ませんから……」

一夏「ま、いくらなんでも千冬姉が鬼だとしても命なんかとられるわけでもないしな」

セシリア「鈴さんもとうとう連れて行かれてたのですね……」

ミスった
セシリア最後のセリフ連れて行かれた……だ。補完よろ

一夏「俺達が鈴の心配したところでどうにかなるわけじゃないしな。ところでセシリア、これこの後どうする?」

セシリア「この後ですか……考えてはいなかったですわね……」

一夏「セシリアは買い物しなかったし、門限まではまだ時間がある。ただ一方的に俺が連れ回しちゃあ忍びないこと忍びないこと。だからさ、セシリアはどこか近場で行きたいところはあるか?」

セシリア「はぁ……近場……ですか……近場で…………」 ムーン

セシリア「!?」 ピーン

セシリア「ならば…………あの、よろしければ……げ……ん……んん!!ゲームセンター……に、行ってみたいですわ」

一夏「ゲーセン?珍しいな、セシリアがまさかゲーセンに行ってみたいってのは」

セシリア「あら?私とて一人の人間のやはり女の子。知的探究心で進化をしてきた人類ですもの。ゲームセンターがどんなものなのか位には好奇心が有るのですわよ?」

一夏「言い回しがこんがらがるような巡らせ方だな。要するに遊びたいって事だろ?一夏様が奢ってやろうぞ」

セシリア「あら頼もしいですわね?」

一夏「セシリアの財力を以ってすればゲーセンでは無双だろうけどな。まぁ俺も千冬姉の恩赦で今は懐があったかいから」

ゲームセンター


セシリア「うぅ…………こ、ここは何故こうも騒々しいのでしょうか…………?」

一夏「そりゃあ…………ゲームはうるさくないと盛り上がらないだろ?で、何からやってく?」

セシリア「いえ……すいませんあの、私初めてなものですから……正直何が、ゲームセンターではまずどれから手をつければマナー違反では無いのか……それすらも……」

一夏「マナーて……セシリア、マナーって……ここゲーセンだからな?所詮ガキの、大きなお友達の遊び場だからな?人の迷惑にならなければ好きなように遊んで良いんだぞ?」

セシリア「そうですか……ではあれは?」

一夏「あれは……太鼓の達人だな。要はリズムとマークに合わせて太鼓を叩いて、コンボを稼ぐんだ。今やってる人みたいに。しかしあの人上手いな」

セシリア「時折連れている女性に見よやこれとチラチラと反応を伺っているのを見ると……」

一夏「セシリア!!言うな、気持ちは分かる!!言うな!!お黙りください」

セシリア「では、あれはなんでしょう?」

一夏「あ~あれはメダルゲームだな。コインをお金で買って、スロットや……あのデカイ機械はなんて言うのか知らないけれど……まぁコインを稼ぐタイプの遊びだ」

セシリア「カジノですの!?日本……日常的にこんなものが……末恐ろしい…………!!」

一夏「いやいや、メダルゲームだから。ただ増やして暇を潰していくだけだから。正直俺はメダルゲームが何故楽しいのかはわからん……」

セシリア「換金はしないのですね」

一夏「しないしない。お金使ってメダルゲーム以外に使い道の無いコインを買って、使い道の無いコインを時間を掛けて増やす遊びって…………」

セシリア「…………えっと、何のために?」

一夏「楽しい人には楽しいんだろうな。ただ、メダルゲームは基本時間がかかるから他のもので遊んだ方が良いぞ?」

セシリア「でしたら……」 キョロキョロ

セシリア「これはなんなのでしょう!?」

一夏「これは画面に向かって銃を撃って迫り来るゾンビを倒すゲームかな。これならあまり時間を気にせずやれるからやってみるか?」

セシリア「やります!!」

一夏「ほいきた。じゃあ二百円投入して」 チャリンチャリン


ドーン


一夏「セシリアは射撃が主体のISだからな、これはかなり高得点が期待出来そうだ」

セシリア「あら一夏さん?ハードルを上げられると困りますわ?それでも……自信がなければやろうとはしないですけども」 フフーン

一夏「弾丸の補充は画面の外に向かってトリガーを引けば補充されるからな」

セシリア「これだけで弾が補充されるなんて……まったく、戦いはそんな楽に進みませんことよ?」

一夏「ま、所詮はお遊びだからな。お遊びだから御都合主義で弾切れなんて事もありえないし」

セシリア「うふふふふふ、さぁアンデッド達、踊りなさい。このセシリア・オルコットの奏で、ちょっ、待ってく……あた、あの当たりませんわ!!」 カチカチカチ

一夏「そりゃあ狙いが合ってないんだもんよ」 カチカチカチ

セシリア「ぞ、ぞんびが来る……!!このこの、何でですの!?ちゃんと撃ってるではありませんか!!」 カチカチカチ

セシリア「いやぁ!!ぞん……助け、一夏さん助けてくださいまし!!弾切れがー!!」 カチカチカチ

一夏「おう、ちょっと待て。こっち片付けてからな」 カチカチカチ

セシリア「そんな時間なんてありませんわ!!私がゾンビに襲われてしまいます!!あぁァァッ!?ダメージが!!」

一夏「いやいや驚き。セシリア、数撃ちゃ当たるで敵を倒していってるんだもんなぁ。ほら撃たなきゃやられるぞ~?」 カチカチカチ

セシリア「そんなこと言われても……撃ってます!!撃ってますけど当たらないのですわ!!きゃあ!?また!?」 カチカチカチカチカチカチ

一夏「当たってないって事は狙いが出来てないって事だろ?ほら、落ち着いて落ち着いて」 カチカチカチ

セシリア「落ち着いてなんかいられ……あぁ!!ライフが!!残り1!!」

一夏「あ~あ、死ぬなこれ。死んだ」

セシリア「…………」

一夏「俺も死にそうだけど……あい死んだ。どーする?続きは……」

セシリア「次ですわ!!」

一夏「だな」

一夏「しっかしセシリア、あんだけ豪語してたのにいざやってみたら……くくくくっ!!思い出すと笑える……!!下手だったなぁ~。ドヤ顔から一転狼狽えるわで」

セシリア「もう!!忘れてくださいまし一夏さん!イジワルですわ!!」

セシリア「……」

セシリア「ドヤ顔もしてませんわ!!」

一夏「ごめんごめん、ほら気を取り直して次のゲームやろうぜ?」

セシリア「それもそうですわね……ん~……ところであの、たくさんあるガラス張りの機械は?」

一夏「うん、まぁゲーセンと言えばUFOキャッチャーだわなぁ。これはもう見たとおり、景品を掴んで落とすゲームだ。実際は掴めない。ズラして落とす」

セシリア「一夏さんなら取れますか?」

一夏「UFOキャッチャーとは一発目で見極めて、あとはお金を積めばなんとかなるもんだ。金がものを言う遊びだな」

セシリア「つまり一夏さんは……」

一夏「お、お金でなんとかなるゲーム!!なんとかならない時もある!!」

セシリア「ダメな雰囲気が滲んで染み渡るように感じられますわ……」

一夏「そもそも本当に欲しかったら数千円突っ込むよりどこかのホビーショップで買った方がはるかに安上がりだ」

セシリア「なんとも風情のない仰りようですわね」 フフフ

一夏「実際そうだからな。店によってはアームの力がそりゃあもう弱いところもあってな、本当に欲しかったら買う。取った達成感が味わいたいならいくらつぎ込んでもってところだな」

セシリア「私も特別欲しいと思うものはありませんですし…………ん?んん!?」

セシリア(み、見つけましたわー!!)

セシリア「一夏さん!!一夏さん!!あの!!一夏さん!!あれを!!あれは……!!」

一夏「別にそんな呼ばなくても……あれはプリクラだけど?その食いつきようは……いかごと?」

セシリア「プリクラ!!」

セシリア(そう、プリクラ!!日本の誇るカップル御用達、カップル証明写真!!仲の良い以上の関係の男女が二人で写真を撮る為の!!)

セシリア「あれをやりましょう!!コレを機にいざ早くさぁ早く!!地球が三秒後に終わらない保障も無い世の中ですので!!」 グイグイ

一夏「うぉっ!?せ、セシリアそんな引っ張るなよ。何わけわからんこと口走って……ていうかプリクラは知ってるんだなセシリアは。あぁ、そりゃあそうだよ女の子だもんな」

一夏「プリクラなんて撮るのは初めてだ。中は案外と広いんだな」

セシリア「あら?一夏さんも撮った事がございませんの?」

一夏「まぁな。男同士でってのもあるにはあるんだろうが、俺は撮らないし……基本女の子が友達と撮るものだと思ってるし」

セシリア(てっきり鈴さんと撮ってるかと思ったのですが……これはこれでボーナス!!)

セシリア「では私も初めて。一夏さんも初めて。と言うことで頑張って撮りましょうね?」

一夏「何をどう頑張って撮るのかわからんけど。あ、四百円なのな」 チャリンチャリンチャリンチャリン

セシリア「え……と……色々と選ばなければならないのですね…………どうしましょう?どれが良いのでしょうか?」

一夏「いやだから俺本当、初めてだから。むしろ女の子ってアドバンテージでセシリアが選んだ方が良いんじゃないか?直感が神明の如く冴え渡って良い選択が出来るんじゃ」

セシリア「むむむ…………そうは言われましても。どう違うかはそれなりにわかりますが、どう映るかはわかりませんものね……とりあえず過度な設定は控えめで……」 ポチポチ

プリクラ「では撮りま~す!カメラを見て~!」

一夏「え!?もう撮るのか!?」

セシリア「ほら早く一夏さん近付いて!!」

パシャ

セシリア「撮れてます?」

一夏「撮れてる……?撮れてるはず」

プリクラ「次は二人でハートマークを作ろ~う!!」

一夏「二人で……?」

セシリア「ハートマーク……!?」

一夏「ハートマークってぇと……二人で……こ、こうか?」 スッ

セシリア「こう、ですわね……」 スッ

セシリア(これは……なんてとろけるように甘美に……!!幸せですわ……!!)

パシャ

プリクラ「次は後ろから抱き付いてみよ~!!」

セシリア「一夏さん、お願いしますわ。ぎゅーっと抱きしめる方向で一つ穏便かつそれとなく大胆に……」

一夏「おいおい待て待て待て!!サラッとお前さん、サラッと!!抱きしめるの?」

セシリア「こーいう遊び場で、そーいう機械で遊んでいるのですわ。ノらなけば逆に失礼と言うもの!!早くせねばシャッターが降りてしまいます!!記念に一枚ハリーハリーハリー!!」 クワッ!!

一夏「は、はい!!」 ギュッ

セシリア「ほにゃっ」

セシリア(思いがけずに一夏さんからのハグいただきましたー!!そしてこれが世に言うあすなろ抱き!?悪くないですわー!!)

パシャ

一夏「…………」

セシリア「……一夏さん?」

プリクラ「次は全身を撮るよ~!」

セシリア「一夏さん?次は全身ですわよ?」

一夏「ん……!?んあ、あぁ悪い悪い、ちょっとボーッとしてたよ」

一夏(セシリアがあまりにも良い匂いしてたもんだから……一瞬我を忘れてた……って、抱き締めてるじゃねぇか俺はー!!この形でボーッとしてたら……!)

セシリア「……ッ」

セシリア(一夏さんの吐息が掛かる……温もりも感じる……私の首に回った腕の逞しさ……存在を、一夏さんを感じますわ……)スッ

一夏「……セシリア?」

セシリア「私の両の手が淋しかったもので……」 キュゥ

一夏(セシリアの首に回した腕に手が添えられた……)

パシャ

パシャ

プリクラ「ほな、また……。」

一夏「ぅ~……なんなんだろ、急かすように写真撮られて……気疲れしたな……」

セシリア「そうですわね……あ、出来上がった写真に色々と描けるみたいですね?」

一夏「これこそ苦手だ。何書けばいいのかさっぱり……カイゼルヒゲでも描くか?」

セシリア「おやめくださいまし!!」

一夏「はっはは、冗談だよ。しっかし……これな、目がな、デカッ!?」

セシリア「た、確かに……目だけが誇張され過ぎて眼力すら感じられますわ」

一夏「なんだコレ……俺の目は何割増しでデカくなってるんだ……?おっかねぇ……殆ど虎眼先生じゃないか……なんだよ今時の女の子にウケる機能なんだろうけど……」

セシリア「え~っ……と……日付を書いて……一夏さん、時間がありませんわ。一夏さんも書いてください」

一夏「いぇ?書くの!?俺も?」

セシリア「せっかく二人で撮ったんですもの……最後まで二人でやり遂げましょう!!」

一夏「んん~…………!!悩む……ハートマーク……感謝するぜ……これまでの全てに……と。百式観音描かなきゃな~」

セシリア「一夏さん?ふざけないでくださいと私、もう一度優しく言うべきでしょうか?それともどうでしょう?人生一番の怒りを見せましょうか?」

一夏「ご……ごめん…………なさい」

セシリア(もう……まったくもってもう……!!念願の一夏さんとのツーショットですのに……でも……二回目のあすなろ抱きの一夏さん……素敵ですわ……)

一夏「かゆい
うま……よし!!」 カキカキ

一夏「さって……そろそろ戻ろうか」

セシリア「そうですわね、少し早いですが帰るには良い時間ですわ。一夏さん、今日はありがとうございます」

一夏「いやいやこちらこそ。悪いな付き合わせちまって」

セシリア「それを言うのなら私もですわ。ゲームセンターに連れて行ってもらい、奢っていただきましたもの」スッ

一夏「…………その手は?」

セシリア「あら?一夏さん、帰るまでがエスコートでしてよ?それともこの手は寂しいままですの?」

一夏「……だな。エスコートしてこそ男だとセシリアに教わったばかりだもんな」ニギ

一夏「ところでさ、こう……近いじゃん?季節は夏じゃん?暑くないか?」

セシリア「そ、それは……暑いと言えば……暑いですけど……」

一夏「そしてそんな最中、あんなところにかき氷屋さんがあるですよ」

セシリア「そうですか……そうですわね、暑いですものね」

一夏「暑いからな」

セシリア「えぇ、暑いですから、冷たいものに誘惑されるのは致し方のないことですわね」

一夏「かき氷なんて腹の足しにもならんからな。晩飯前に食べてもなんの問題はないな」

セシリア「帰るにはまだ少し早いことですものね」 ウキウキ

一夏「やはり夏と言えばかき氷だよ。お兄さん、かき氷二つ!!いちごミルクと……セシリアは?」

セシリア「私、レモンを」

IS学園


ラウラ「しかし一夏は遅いな」

シャル「気付いたらセシリアも鈴も居なかったし……セシリアは分かるとして……」

箒「セシリアが何かあったのか?」

シャル「……そっか。箒ってばあの時完全に心神喪失してたもんね。セシリアが一夏を誘ったんだよ今日」

箒「何!?と言うことは二人で、で、デート!?」

シャル「可能性は高いと思うよ?」

ラウラ「っ!?」 ムシャムシャ ゴクン

ラウラ「一夏めぇ……私がベッドの上で安静の間貴様はのうのうとデートとは……!!」

モブ「聞いた!?さっき織斑くんとオルコットさんが二人で帰ってくるの!!」

箒・シャル・ラウラ「なッ!?」

モブ「聞いた聞いた!!しかもアレね!!手を繋いでたって!!」

箒・シャル・ラウラ「あぁッ!?」 ピシャーン!!

箒「……どうまかりまちがってそうなった……?」

シャル「さぁ……?でもコレは詳しい話を聞かなければならないと思うよ?」

ラウラ「なんッッたること…………不覚……手を繋いでるなんて……二人は恋人同士ではないか……!!」

シャル「ラウラ、それは違う。断じて違う。そうであってはならないのだよ。願望の域は出ないけどそれはあってはならない事だよ」

箒「そもそもあの朴念仁が……なんだ?デートか?デート違うか。いやデートか。デートだな、ありえん。人の好意を振るいにかけて恋愛感情のみ取り除いて受け取るような一夏が、ふざけた冗談が現実になるものか」

一夏「ふぃ~腹減った~」

セシリア「流石にアレだけ動いたのですからお腹も空きますわね。あら?箒さん達がいらっしゃいますわね?」 フフン

シャル「来た……!!」

箒「しかもあのイギリス……!?こちらを見てほくそ笑んだ……!?」

一夏「お?じゃあ席はあそこ取っといてくれよ。俺、飯取ってくるから。セシリアは何にする?」

セシリア「はい。B定食でお願いしますわ」

一夏「了解」

シャル「セシリア……こっちに来たよ……」

ラウラ「確かめよう。さっきの話が真実なのか……!!」

セシリア「みなさん、ごきげんよう」

箒「ご……ごきげんようから入った……!!」

ラウラ「セシリア……ご機嫌のようだな」

セシリア「えぇもう。それはもう。しかし日本の夏には困ったものですわね……暑くてかないませんわ」

セシリア「一夏さんからの、お誘いで!!街に繰り出したはいいですけれど…………二人で!!かき氷を食べてしまうくらい暑くて……あぁレモン味……」

シャル「二人で……かき氷……!!レモン!?」

箒「ありえん……イギリス人何故だ!!日本の……日本の食べ物だぞ!!」

ラウラ「いかん、論点が変わるほどに箒が壊れた」

セシリア「あ、そうですわ!!私、今日初めてゲームセンターに行きましたの!!そして!!二人でプリクラを撮ったのです!!」 フフーン

ラウラ「ぷり…………なんだ?何を撮った?」

シャル「……な?ぁえ?セシリア……二人で……プリキュア?」

セシリア「プリクラですわ」

シャル「…………見せて?」

セシリア「ええ、よろしいですわよ?でも、いざ人に見せるとなると照れくさいですわね……うふふふふ」

シャル「え……え?はん!?ふた、ハートマーク!?」

箒「んな!?マテまて待て!!これはなんだ!!あすなろ抱きだと!?しかも二回!!」

ラウラ「それもあるが二人とも目がでかいぞ!?なんだ怖いぞ!?」

セシリア「えぇ……あすなろ抱きですわ……一夏さんの腕はそれはもうたくましくて……吐息が耳にかかった時私、あぁ、この方に抱かれる為に産まれてきたのだと確信いたしましたわ……」

シャル「こ、これは……何ももう僕からは言えない…………考える時間が欲しい……二人でプリキュアなんて……」

箒「セシリアに……グンと差を付けられた…………!セシリアを見失った……そんな……プリキュアではないだろう……!!」

ラウラ「うぬぬ…………セシリア……一夏に抱かれてさぞご満悦な顔を……わ、私も一夏との写真が欲しい!!」

セシリア「うふふふ!!お互い初めてのプリクラでしたが…………良い思い出でしたわ」

セシリア(そして今回でわかりました……私、出過ぎた真似はいたしません。前回は余程人に言えはしないことをしてしまったが為に織斑先生に連れて行かれましたが……)

セシリア(ならばそう、裏を返せば真っ当に遊びに行ってしまえば!!普通に過ごすだけならば……!!なんの実害はない、と言うこと!!頭を撫でる、それだけに捉えられて皆さん大局を見失ってますわよ)

一夏「セシリアお待たせ~って、何で三人とも固まってるんだ?」

セシリア「さぁ?うふふふふふ!!ではいただきましょうか」

翌朝

一夏「く~…………」 zzz

一夏「んん…………」 zzzz


かちゃ


楯無「ど~も~……寝起きドッキリで~す……鍵?そんなもの、ありはしませんよ」

楯無「わたくし只今…………朝早く、一夏くんの部屋へと来ておりま~す……」

一夏「…………」 zzz

楯無「それにしても一夏くん……寝顔がまたあどけないですね~……それでは失礼して……」 モゾモゾ

楯無「ふむ……クーラーの聞いた部屋で適度な温もり……これは……一夏くんラブの女の子にはとても心地よいことこの上ないでしょう……」

一夏「ん……~……」 モゾモゾ

楯無「ゃん」

楯無「一夏くんの寝坊助さんめ、今私の胸を触ったよ?それとも実はもう起きていて、寝た振りしてわざと触ったかな?」

一夏「すー……」 zzzz

楯無「……寝てるよね~……そうですよね~……」

楯無「ふふゎぁ~……んにゅ……早起きなんてするものじゃないわね。眠くなってきちゃった……」

楯無「…………寝起きドッキリで~す……」 ギューッ

一夏「んぐ…………」

楯無「逆に枕にしてやる~、ふふ!!カワイイね~」

一夏「んん……ん、んぐ…………ん……あつ…………え……?えぇ?」

楯無「あ、起きた。一夏くんおハロー」

一夏「楯無……さん……?…………」

一夏「楯無さん!?」

楯無「寝起きドッキリで~す!」 ギューッ

一夏「むくっ!?」

楯無「お目覚めがお姉さんの胸の中だなんて贅沢よね~。たっぷり堪能しなさい」

一夏「ぷぁッ!!」 スポッ

楯無「あらやだゴーイン」

一夏「こ……殺す気ですか!?」

楯無「おっぱいで窒息死ってある種男の願望の一つであると勝手に推測してみるわ」

一夏「と言うより何故に楯無さんが俺の部屋、俺のベッドの、て……なんッて格好してるんですか!!」

楯無「下着に裸ワイシャツって男子の憧れだと勝手に思ってるのよね~。どう?どう?グッとくる?正直グッとくる?」 ペラペラ

一夏「……捲らないでください!!」

楯無「こーら!!人とお話しする時はちゃんと目を見て話しなさい」

一夏「と言いつつあなたは何故ボタンを外す……!!」

楯無「一夏くんがこっちを見てくれない限り、お姉さんはどんどん脱いでいける自信があるわよ?だって一夏くんは見てないわけだし~」

一夏「わかりました!!じゃあせめて下は隠してください!!」

一夏「で……何の用ですか。あ、絶対に布団はズラさないでくださいね」

楯無「うん。あのね、一夏くんは今日暇かな~って」

一夏「いえ……あ~……っとまぁ、特に忙しい訳では……夜の六時からは居ないですけど」

楯無「ならよかった。今日はね、一夏くんに頼み事があって来たのよ」

一夏「頼み事?なんでしょうか?あと脚出さないで。太もも、見えてます」

楯無「むしろ太ももから先は見えないこのジレンマが~……まいいわ。あのね、私頭撫でてもらったじゃ無い?」

一夏「あぁ、はい、撫でました」

楯無「それでね、私だけってのもどーもね……アレ君が思う以上に気持ち良くてね?」

一夏「簪……ですか?」

楯無「一夏くん正解!!テッテーテーン!!ゴールデン更識人形プレゼント!」

一夏「……どうも」

楯無「それでね、多分あの子今日の朝からドックに居るはずだから、会いに行ってあげてくれないかな?」

一夏「それはまぁ別に構いませんけど……朝食食べた後でも構いませんか?」

楯無「そりゃあもう!!あ、ただ私の差し金ってのはバレっ子無しね?自発的に一夏くんが会いに行ったって事で」

一夏「会いに行ったって、ていでいいんですね?」

楯無「てい、って言わないの。ゴールデン更識人形、ボッシュートです!!ふぁふぁっふぁふぁっふぁわわわわわ?ん」

一夏「あぁゴールデンが……」

楯無「ま、頑張るあの子に私からのささやかなエールと言うかね?モチのロン一夏くんも一夏くんなりに労ってあげてね?」

一夏「……楯無さんのお願いを抜きにしても簪には世話になりましたからね。はい、俺なんかで良ければ…………あの、元よりと言うか俺なんかで労いになりますかね……?」

楯無「え?君それ本気で言うかね?」

一夏「え……?えぇ、はい…………大丈夫……ですかね?」

楯無「だいじょぶだいじょぶ。お姉さんの言うことに間違いはないわよ?これ神託レベルで大丈夫よ?」

一夏「そこまで保証してくれますか。んじゃ俺朝飯食べてくるんで楯無さんも早く出て行ってくださいね?」

楯無「はいはい。お姉さんは用が済んだらポイですか。悲しいわ~」

一夏「いや、男の部屋にほぼ下着姿がマズイんですよ。ですから、ね?お願いします」

楯無「しょ~がないにゃ~」 ポフン

一夏「二度寝しようとしないでください」

楯無「だいじょぶだいじょぶ。ちゃんと起きるから……」

一夏「絶対起きないでしょうに!!ほら早く出てって!!鍵閉めないといけないですから!!」

楯無「簪ちゃんに、よろしく!!」

一夏「それはもうわかったっての!!出て来てくださいよ!!布団……も、包まるな!!」

楯無「でも剥がそうとはしない一夏くんなのであった。優しいじゃない」

一夏「そりゃ剥いだら下着姿の楯無さんを見てしまいますからね」

楯無「ん~……やだ~お姉さんはここが気に入ったの~」

一夏「…………」

一夏「じゃあもう今日は簪のところには行きませんから」

楯無「……」

楯無「あ~……も~……そーいうこと言うから」

楯無「うりゃぁ」 バサァッ

一夏「どわっ!?」

楯無「ふっふっふっ、捕獲!!一夏くんはどーしてこうも意地悪になっちゃったかしら?そんな交渉術まで使っちゃって~……お姉さんそんな子に育てた覚えはな~いのよ?」

一夏「そりゃ楯無さんに鍛えられましたから……近いですって楯無さん!!」

楯無「そうね、育てて無いわね。鍛えたものね。でもそんなの別にどうだっていいの。キスするわよ?都合良く近いから」

一夏「わ……わかりました……ちゃんと簪のところに行ってきます。だから、あの、ダメです、近いです!!近付いてます!!」

楯無「どうせなら、ね?何事も経験で最近ねお姉さん、一夏くんなら別にいいかなって、思う時もあるのよね~」

一夏「……」 ナデナデ

楯無「……なんで頭を撫でるのかしら?」

一夏「や……あの、大人しくならないかなぁって」

楯無「……なると思うの?」

一夏「なってほしいなぁって……」 ナデナデ ナデコナデコ

楯無「……」 ムー

一夏「……」

楯無「止めたらキスしちゃう」

一夏「あ、はい!すいません!!」 ナデリナデリ ナデナデ

楯無「ん……」

楯無「しょうがない、カワイイ後輩を虐め過ぎて嫌われてもなんだし。じゃあお姉さん行くから、一夏くんも、簪ちゃんに会いに行ってあげてね?」パタパタパタパタ

かちゃ ぱたん

一夏「はやい……!!本当、頭撫でると大人しくなるのな…………あっ!?」

一夏「あの人、俺の布団持って行きやがった!!」

楯無「ふぅ~…………だから、いきなり頭撫でるのは反則なのに」

楯無「一夏くんめ戸惑いなく躊躇いなく頭撫でるからね~……天然ジゴロめ…………」

楯無「…………」

楯無「ヤバかった~……!!あ、一夏くんの布団持って来ちゃった……」

楯無「ま、いっか。これ今日から私のにしようかしらね!!」

朝食後


一夏「簪はドックに居るって言ってたっけ…………ここかな?」 コソ

簪「…………」 カタカタカタ

一夏「居た…………一人か……よ、簪」

簪「一夏……おはよう」

一夏「おぉ、おはよぉ。祝日なのに篭って整備か?」

簪「……うん。今日はキリの良いところまでやっておきたいから」

一夏「そっか。しかしすげーよな簪は。整備も操縦もこなせてさ。俺なんか操縦だけでもう手一杯なのに……」

簪「一夏は」

一夏「……ん?」

簪「一夏はなんでここに来たの?」

一夏「ん~……っと」

一夏(そーいえば考えて無かった……!!あれ?予想外!?いや予想出来たろ俺!!どーする!?楯無さんの名前はまかり間違っても出せないし……)

一夏「さ……んぽ、散歩かな?あぁ、俺にだってそーいう日もあるってな!?うん!!」

簪「天気いいからね」

一夏「そ、そ。天気いいからな」

簪「天気いいのに室内の、ここまで散歩?」

一夏「うぐっ……」

簪「散歩?」

一夏「本当は……簪に会いに来た」

簪「ッ!?」 ドキッ

一夏「んにゃ、簪って休みに何やってるのかなーって思ってさ。多分機体の整備かなーって思ったら案の定機体の整備だった。って事でほい、ジュース」

簪「さ、あ、差し入れ……用意がいいね……ありがと」

一夏「まぁな。手ぶらで会いに来るほど失礼じゃないさ。それで今は何か調整してたのか?」

簪「あ……ぇと、あの、量子変換のメモリの見直しを……ジャンクションしてる武装と部分展開の一部のアビリティを見直す事で、IS起動時の展開速度と容量の確保を取れないかなって。それと機体の先進率をプルバックと釣り合うように」

一夏「あぁあぁごめんすまない許してください。俺にはなんだ……アレ過ぎてちょっと……」

簪「ふふ、説明してて、そうだと思った」

簪「ん…………ふぅ」 コクコク

一夏「なぁ、俺が来て邪魔じゃなかったかな?」

簪「ん……ん~ん。大丈夫。ずっと作業で詰めてたから……ちょうどいい休憩」

一夏「そか。なら良かったよ。一人でやってるみたいだけど、ちゃんとみんなを頼ってるか?一人であれやこれやなんでもやろうとしてないか?」

簪「そこも大丈夫。本音達も手伝ってくれるから。そうじゃないと私だけじゃ無理」

一夏「それも良かったよ。簪は一人で頑張り過ぎる節があるからな。甘えるって事は大事だ。友達ってのはそーいう甘えるってのが出来て、頼られて、嬉しいもんだからな」

簪「うん……そう、だと思う」

一夏「説教臭くなったな。悪い悪い」

簪「悪いと思ってるなら、一夏も手伝って。演算機能の改善」

一夏「そ…………んなの、……電卓でも積んどけば……多少はね?」

簪「ふふふふっ!!ごめんごめん、意地悪だった。ねぇ一夏、一つ聞いていい?」

一夏「おう、一つと言わず二つと言わず」

簪「一夏は…………撫で……頭を撫でて回ってるって…………ほんと?」

一夏「ぶはっ!!」

簪「その反応……ずばりなんだ……」

一夏「こほっ!!けほっ……っっっえほっ!!げほっ!!だ、誰から……言い方に語弊があるぞ!!」

簪「本音。嬉しそうに話してた。撫でてもらったって」

一夏「のほほんさ~ん…………あの、のほほ、おぇ~ぃ……」

のほほんさん(因果は応報されるものなのでして~)

一夏「今!!今のほほんさんの声が!!」

簪「?何にも聞こえなかったけど……」

一夏「ウソマジ…………」

簪「それでなんで一夏は頭を撫でてるの?」

一夏「その質問に答える前に俺もいいか?」

簪「いいよ」

一夏「……はい、簪さん、あの怒ってます……か?」

簪「別に。怒ってない。生まれつきこんな声なだけ。こんな顔付きなだけ」

一夏(声がさっきと違いますやん……目付きちゃいますやんかぁ……)

簪「一夏、私の質問答えて」

一夏「あ、はい。話すような事なのか……聞くまでのことなのか…………あの、すげーくだらねーレベルの話だからな?」

簪「私が判断する」

一夏「んだよな、俺が勝手に決めて言い訳ないですよね」

………………

…………

……


一夏「と言うわけだ」

簪「つまり、一夏の、ただの願望?」

一夏「そうです。私の、願望です」

簪「ふぅん……」

一夏「……怖い」

簪「織斑先生が抑止力として出たって、あったけど。それ、何なの?」

一夏「いやまーそのー何と言いますかね……頭撫でてると、一部……そのね、何でやろなぁ…………ヒートアップしたみたいに……俺、噛まれたりしてるんだ」

簪「噛む……」

簪(おそらくあの五人……そこまで……)

一夏「別にだからって俺がどーなったってわけでもないんだけどな」

簪「そう」

簪「…………あの、あ……」

簪「一夏は…………私の頭も撫でてみたい…………?」

一夏「んぅ?……え?え?何、いきなり」

簪「答えて」

夏「そりゃ願望……みたいなもんだからな…………撫でてみたいちゃあ、撫でてみたい……よな?」

簪「一夏は今まで色んな人の頭を撫でて来たのに……ここに来てまだ頭を撫でてみたいの?見境ないの?」

一夏「ぐはっ」 グサァー

簪「ふふ、いいよ?」

一夏「……?」

簪「一夏なら……撫でてもいいよ?」 ポスッ

一夏「かん……ざし……!?」

一夏(うぅ……!!胸元に簪の頭が……!!)

簪「……恥ずかしいから、撫でるなら早く撫でて」

一夏(そりゃあーた、頭を俺に預けてるから恥ずかしいんじゃよ……!!これ…………ほっといたらどーなるんだろ……)

簪「……」 ムッ

簪「…………」 グリグリ

一夏(うぉ…………頭でグリグリしてきた……!!ちょっとこそばゆい……)

簪「……撫でないの?」

一夏「撫でさせていただきます」ナデナデ

簪「んぅ…………」

一夏「あの、簪……気持ち良く無かったら、とか、不快だったらすぐに言ってくれな?」 ナデコナデコ

簪「ううん…………不快じゃ、ない…………むしろ良い……」 ポー

一夏「あぁ、良いんだ……よかった」 ナデリナデリ

簪「ねぇ……一夏って、他の人…………なんでも無い」

一夏「……?」 ナデナデ

簪「…………私ね、頭を撫でてあげるって、頑張った相手にしてあげるものだと思う」

一夏「なんだ、いきなりの自論だな。それもでもまぁ間違ってはないんじゃないか?例えばお父さんが息子に初めて」

簪「手……」

一夏「え?」

簪「止まってる」

一夏「あぁ、はいはい。ごめんごめん」 ナデナデ

簪「それで私、さっきも一人で頑張ってた。一人で機体の整備をしてた。今までも、本音達の手を借りたとしても一人で頑張ったと思うの」

一夏「お、おう。頑張ってる流石簪」

簪「つまりあなたは私を撫でる義務がある……と、思うけど……」

一夏「……」

簪「な、撫でてもいいよ……撫でて……?」

そもそも簪ちゃんの口調ってこんな感じでええんやろか

一夏「簪……お前って、何だろうな。めんどくさい考え方するのな?」

簪「……」 グリグリグリグリ

一夏「うぉぉぉぉい、ごめんって。頭でぐりぐりするなよ」

簪「めんどくさいって言い方はないでしょ?」

一夏「ないな。なかったな。でも俺がこういつまでも簪に構っていてもいいのか?」

簪「どういう意味?」

一夏「だってさ、さっきまで作業中で俺が来たから中断してくれたんだろ?何て言うか……俺って邪魔してないかなって」

簪「言ったでしょ?あなたが来てくれたからちょうど良い休憩だって。それに作業なら……」 ピッ

キュゥゥ……ン……


簪「今日はもうお終い。電源も落としたから」

一夏「そ、そうか……中々ストレートに強引だな……簪も頭を撫でられると気持ちいいものなのか?」 ナデコムナデコム

簪「人によると思う。ただでも私は……嫌いじゃない……と思う」テレテレ

一夏「そっか。ところで簪の髪の毛……内に向いてる癖っ毛なんだな。でもちょっと枝毛が目立つぞ?」

簪「ッ!?い、一夏、そんなとこ見ないで……!」 ペシペシ

一夏「悪い悪い!!今のちょっとデリカシーなかったな。でも、それを含めても簪の髪の毛って……綺麗だと思う」

簪「ふぁっ!?」

一夏「これは別にアレだぞ?点数稼ぎとか口が滑ったから機嫌直そうとして言ったわけじゃないぞ?本当にそう思ってるんだ。少し硬めな髪質だけど、殆ど真っ直ぐで、指なんか入れると…………入れていいかな?」

簪「う……ぅ、うん……どぞ……どぞ……!?」

一夏「じゃあ、失礼して……」

さっ……さっ……

簪「っぁは…………」 ゾク

一夏「やっぱり綺麗だよ簪」

簪「ゃぁ…………!!」 ゾワワワワワ!!

一夏「ずっと撫でてたいくらいだ。ちゃんと手入れをすればもっと綺麗になるぞ?」 サワサワ

簪(い、一夏の手櫛…………!?撫でられる度に電気が走るみたい……!!)

簪「い……いひか…………だめ、一夏……そこ、座ろう……?」

一夏「おぉ。立ったまんまってのも疲れるしな。簪もずっと作業して疲れてるだろうし。なんだったら膝貸そうか?何て……」 ハハツ

簪「一夏の膝……借りる」

一夏「え……?マジ?本気か!?」

簪「お、男なら!!言ったことは覆さないで!!」 ストン

一夏「え!?マジ!?こんな座り方……!?え?違うくない?」

簪「なにが……?」

一夏「こんな対面してって……あの…………俺もさ男だしさ?ちょっと恥ずかしいなって……な?」

簪「でも一夏、膝貸すって……」

一夏「普通膝枕だと思うんだけどなぁ」

簪「…………ッ」 カァァァァッ

簪「や、その……ッ!!これ……」 アタフタ モゾモゾ

一夏「おあおあか、簪!暴れるなよ!?」

簪「ご!ごめんね一夏……!?迷惑だった……?重かったよね……!?」

一夏「いや別に重くはないさ。何たって女の子だしな。そんな女の子一人の重さに音を上げる俺じゃないぞ?あとな……しかしその、言うと恥ずかしいけど……近いから当たる……」

簪「んにゃ……!?あの、違うの!!これはそういうのじゃなくて……!!ご、ごめんなさい!!」

一夏「簪が謝らなくても!!俺殴られても仕方が無いなってくらいだから!!正直他の奴らだったら俺のこと絶対殴るって!!」

簪「え……?私は、わ、そん……そんなこと一夏にしないからッ!!絶対に!!」

一夏「だよな。簪はしないよな……しないもんな!!」

簪「むしろ私こそ……こんな貧相な身体で……ごめんね……?」 ショボーン

一夏「貧相て、簪さんや……」

一夏(確かにセシリアとか箒とか楯無さんに比べればそうなるよって話かもしれないけど簪だって十分女の子の身体してるからな!?ラウラとか鈴に比べたらそれはもう……!!)

その頃のボーデヴィッヒさん

ラウラ「シャルロット」

シャル「ん?どうしたのラウラ?」

ラウラ「私は今、どうしてだ、説明出来ないが、悲しい……虚しい、やるせない」

シャル「……」

シャル「……」 ギュー

一夏「あの~……簪さんはそう自分を仰いますが、ええ、はい、あの、簪こそ、女の子だぜ?」

簪「でも…………本音もお姉ちゃんも……その…………大きいし…………」 ショショボーン…

一夏「あ~…………うん。のほほんさんは普段着ぐるみだから目立たないけど……確かに……」

簪「一夏……?なんで本音の体型を知ってるの……?」 ジトー

一夏「いや!!勘違い……、違う!!りんかいがっ……違う!!も、やだ違う!!前にプールで会ったから!!それだけ!!決して俺がそんないかにもなわけが無い!!」

簪「……うん。そうだね、一夏だもんね。色んな意味で」

一夏(知ってるは知ってるってだけで口に出せばこうも災いかー……!!危うく勘違いされるところだった……!!)

一夏「それで、えっと……いつまでこれ?言ったように俺、男。簪、女の子。不味いンでないかなーって」

簪「一夏はイヤ……?」

一夏「イヤなわけ……!!あ、でも困るっていうか、仮に二人が良くても見られたらなーって……」

簪「ちょっと……だけ。このままでもいいかな……?お願い……」

一夏「お、おう……わかった、任せろ」 ドキドキ

簪「私、アニメとか観るの好きだから……こー言うのをヒロインと主人公がやってるのを見て……少し憧れてたから……」

一夏「ほー。簪はそう言えばってレベルだけど、そー言えばアニメやら特撮好きだったもんな。簪から借りた特撮面白かったぜ」

簪「うん…………うん!!あの、面白かった?」

一夏「カッコ良かったなー。特にあそこがお気に入りだ、『壊れた世界でおよそ正常なのは私とお前だ。さぁ、どちらが最後に壊れるかを決めるのだ!』ってヒーローが言うところな。アツかった!!」

簪「私は……『貴方の隣に立つことに一生を賭けました』って、ヒロインが言う所が好き……!!」

一夏「最後の辺りのところか~。俺も不覚にもウルッときちゃったよ」

簪「最近の特撮は、ストーリーも良く出来てるから…………よ、良かったらまた今度、違うもの貸してあげる……!」

一夏「おう!!簪のチョイスと言うのかセンスに期待してる」

一夏「それはそうと簪、疲れてないか?」

簪「どうして?」

一夏「いや、いくら座ってるったって跨って背もたれなしで、ちょっとばかし疲れてないのかなぁって思ってさ」

簪「別に大丈夫だけど……でも、なら一夏の膝……今度こそ借りるね」 コロン

一夏「おぉう……膝枕……」

簪「本当はこうする筈だったなら……今更ながらでもしても良いよね……?」

一夏「おう、俺の膝で良ければいくらでも使ってくれ。ところで、なんで、膝枕って言う割に太ももなのか」

簪「……」 ポフポフ

簪「良い…………」

一夏「…………」 ナデナデ

簪「…………ん……?」 ビクッ

一夏「ごめん、驚かせた。撫でたくなっちまうんだよやっぱり」 ナデナデ

簪「一夏が……撫でたいなら…………もっと撫でてもいいよ……?」

一夏「そうか。じゃあ……うん、程々に撫でるよ」 ナデナデ

簪「ん…………♪」 ゴロゴロ

一夏「一応、腕前はお墨付き貰ってるからな」 ナデナデ

簪「ん~……♪」 フニフニ

一夏「聞いちゃいないよこの娘」 ナデコナデコ

簪「…………ん……ふ……」 スースー

一夏「簪……?おーい?」

簪「すぅ…………すぅ……」 zzz…

一夏「寝付きいいな簪…………どーすんだよこの体勢、動けないし……」 ポムポム

簪「…………にぅ……♪ふふ……」 zzzz

一夏「気持ち良さそうな顔して寝おってからに…………ふぁぁぁ……ん……俺も……眠くなってきた…………」 ナデ…ナデ……

一夏「…………すぅ」 コク…コク……

ぺしぺし

一夏「……んぅ…………ん……」

ぺちぺち

一夏「は……ん…………?」 ボーッ

のほほん「おはよ~おりむ~。寝惚け眼でございますな~」

一夏「のほほん……さん?」

のほほん「あいあい。かんちゃんの、ちょっと頑張るところ見てみたい!って思って見に来たら~、ややや、此は何事ぞ!?かんちゃんを膝枕してるじゃないですか~、うらやま!!」

一夏「ぁ、そっか……俺も寝ちまって……寝て…………あの、簪は何で俺の指を?すっぽんみたいに抜けない」

簪「みゅ…………ぅゅ……」 チウチウ

のほほん「ちうちうたこかいな?それはね、寝てる時に口元にちょうどいい指があれば!!あるならば~!!咥えてしまう乙女心ってもんじゃ~ないですか~ねぇ~?」

一夏「ああまぁ確かにそんなところに手を置いて寝た俺の有責?」

簪「にゅ…………」 チュパチュパ

一夏「のほほんさん、寝てるのにこの娘ってば意外にテクニシャン」

のほほん「ん~、良い夢見てる顔だぁね~?」

一夏「お~簪~?起きるんだ簪~?」 ユサユサ

のほほん「お~かんちゃん~起き~ろ~かんちゃん~起き~ろ~♪」

一夏「…………こりゃ起きないか?」

一夏「……あ、口の中で指を動かして起こすって言うのはどうだろう?」

のほほん「それはやってみる価値はありますな。価値はあるだけでやらなくてもいいと思うでありますが」

一夏「簪?簪~?」 クニクニ

簪「ぁぅぅ~…………んゃ……」 ハムハムハム

一夏「あ、なんだろ、どうしよ、のほほんさん」 クニクニ

のほほん「はい?」

一夏「なんか、楽しい」 クニクニ

簪「んんん…………!!」 ハムハムハム

簪「ひぅ…………」 ビクッ

のほほん「ビクった」

一夏「ビクった」

簪「ん…………ん……む、」 チュウチュウ

一夏「今なら抜ける」 ヌポォ

簪「ぇぁ…………やぁ…………」

のほほん「おぉ!涎が糸を引いてはかとなくセクスタシー!!」

簪「…………んー」 ポー

一夏「簪、ええと、おはよう?」

簪「ん……一夏…………?」 ムクリ

簪「一夏…………♪」 ギュウ

一夏「ぬぉぅわ!?か、簪?」

簪「……♪」

のほほん「あ~これは~寝惚けてます~な~」

一夏「わかる、すげーわかる。俺は今一気に真っ新目が覚めた。どうしよ?この……素敵な面倒……」ナデナデ

簪「……♪……」 ウトウト

一夏「あ、も、あ……あ、簪寝ちゃいそ……」

のほほん「撫でてしまうおりむ~にも責任あるのだよ?そして然るにキスで目が覚めるかと……?」

一夏「そん、そんな事……!!テキトー!!」

のほほん「じゃあわっちが失礼するやも~!!」

一夏「ほぇ?」

のほほん「かんちゃん、いただきまふ」チウ

簪「ん……ふ……♪」 チウ

一夏「…………!?!?」

一夏は
固まった。
身体の一部男子的局所の次元の話ではなく、身体の髄から際に至るまで。

およそまるで普通男子とは掛け離れた人生で、自分の毛先が触れてしまうような近距離で、美少女と美少女の甘い接吻(キマシタワー)が、繰り広げられるとは思ってもおらず。
そして彼はそれが値千金の光景だとは思わず。


簪「…………ん、」 レロ

のほほん「……ん!?」 レロ

簪「…………へ!?」

キスの最中に進化したよもやベロチューが、テレビよりも近く、自分が居ないもののようによく出来た演劇を観るように起こるとは。

まさかそんな夢にも思うまい。


簪「」

のほほん「」

一夏「…………!?ふ、二人、二人とも……あの、……舌、入ってました……?」

簪「きゃ…………きゃあぁぁぁぁぁぁッッ!?」

のほほん「ふわぁぁぁぁぁぁ!?ふわ、舌……ふわぁぁぉ!?」

………………

…………

……


一夏「事故だ!!な?事故だから!!簪ものほほんさんも!!気にしない!、過去は無い!!ノーカン!!」

簪「……一夏…………でも……み、でも……見たよね……?」

一夏「あまりにも一瞬の出来事で……よく覚えてませんでしたが…………見ました……」

のほほん「……!!」 ペシペシペシ!!

一夏「いた、いたい!!だって、目の前で流れ作業のようにやられたら目を閉じる暇もなく!!そもそものほほんさんが」

のほほん「……ッッ!?」 ペペペペペッ!!

一夏「袖を鞭のようにしない!!あたッ!?」

簪「本音…………キスは……シャレにならないよぅ……」

本音「も~しわけない~…………かんちゃんがまさか舌を入れてあまつさえ~、ね?テクニシャン…………本当にビックリだよぉ~。おりむ~も試してみる?」

一夏「斜め袈裟斬りのキレのある冗談だな、のほほんさん。あれ……いや待てそー言えば今って、のほほんさん何時?」

本音「ん?ん~?お昼過ぎて一時ですなぁ」

一夏「おう!?マズイ、用事があるので俺はこれで失礼するよ!!簪、機体の整備頑張ってな~!!」ダッ

簪「あ、一夏~…………!」

のほほん「ばっはっは~い」 フリフリ

一夏(本当はもーちょい居ても問題ないんだけど、あんなん見た後だから居づらいんだよな~……)スタスタ

一夏「さて、家で少し眠ってからおつまみ作りでも……」

ドン

一夏「わぷっ!?」フニョン

山田「あらあら織斑くん、前を向いて歩かないと危ないですよ?」

一夏「すいません……あの山田先生……」

山田「はい?あ、今日は織斑先生と一緒に飲むんですけど、織斑くんがご飯を作ってくださるんですよね?先生楽しみです!!」

一夏「あ、はい。味の程は居酒屋みたく保証は出来ませんけど……え~っと……山田先生の好物って何でしたっけ?」

山田「はい~、私はコロッケが大好きですね。後は唐揚げも、です!!」

一夏「わかりました。腕によりをかけて作らせていただきます。六時頃にいらっしゃると聞いたんですけど」

山田「そうですね~、もしかしたら少し遅れるかもしれませんが……ごめんなさい、織斑くん、今日はお世話になりますね?」

一夏「いえ、どうせやることもないですし。それじゃあ俺行きますんから、また後で」

山田「美味しいコロッケをよろしくお願いしますね~」

一夏「さて一時……どうするかな、ここで飯食ってから行くか、何か買って家で飯を食うか…………」


タタタタタタタッ!!


ラウラ「嫁ぇぇぇぇッ!!」ダキッ

一夏「へぶしっ!?」ゴシャッ

シャル「なんでラウラの擬音と一夏の擬音とが違うのか……」

一夏「ほぉぉぉぉ…………っく……おぉ…………」 プルプル

ラウラ「一夏!!すまん!!だがどうでもいい!!昨日セシリアとプリクラ……?」

シャル「プリクラ」

ラウラ「プリクラを二人で撮ったのを見せてもらったぞ!!なぜだ!!ずるいぞ!!」

一夏「それが何故俺がこんな仕打ちを…………」 プルプル

ラウラ「うむ、それは全く関係なく、すまん……勢い余ったのだ。しかしプリクラはズルイぞ!?」ユサユサ

一夏「うあうあうあ~」 ガクガク

シャル「まぁまぁラウラ落ち着いて。何も一夏もセシリアも悪いわけじゃないんだから」

一夏「そうそう。俺何も悪い事してないよな?考えてみるまでもなく。そんなだったらラウラ、今度プリクラ取りに行くか?」

ラウラ「む!?」

シャル「ん……?」 ピクッ

ラウラ「ほう……殊勝な心掛けだな一夏よ。我が嫁として、二番目なのはまぁ目を瞑るとして……うむ……しかし二人でプリクラ…………よし!!行こう!!」

シャル「はいじゃあその次僕で!!」

一夏「え?」

シャル「え?って一夏……傷付くよ……」

一夏「あ、いやいやそんな意味ではなくてな?嫌だってわけじゃないんだ。ただ驚いただけで……シャルならプリクラくらいとったことあるだろ?」

シャル「ないよ?」

ラウラ「私も、ない。しかしクラリッサに聞いた話ではプリクラなるものは仲の良い男女間で撮るべきものだと聞いた」

一夏「それは一理あるな」

シャル(これは一夏は勘違いしてるようだけどいつも通りだし僕は何も言わない)

ラウラ「そうと決まれば、ならばいつ?今だろう!!今をおいて他にない!!昼食も兼ねて外に行くのだ!!一夏、シャルロット!!ついて来い!!」 フンスフンス

シャル「ちゃんと僕を誘ってくれるのがラウラの優しさだなぁ……」

一夏「いや待て、今から行っても時間がないぞ?」

シャル「?まだ一時だよ一夏?遊んで帰ってくる余裕くらいは普通にあると……」

一夏「あぁ、俺は今日六時までに料理を作らなきゃいかんのだよ。千冬姉が久々に家で飲むからって、俺に酒の肴を作って欲しいんだと」

ラウラ「……ん?」

シャル「そっか~……な、ならね?それなら僕とラウラも付き合うよ!?ほら、料理なら三人で作れば時間短縮で……」

ラウラ「ダメだシャルロットォォォ!!行ってはならん!!」

シャル「ひっ!?」 ビクッ

一夏「いきなりどこのスイッチが入ったんだ?」

ラウラ「これは……おぉ……もう……私の経験上の話をせねばならんな……言っておくが本当だぞ?本当に本当の話だぞ?」

一夏「なんだよ仰々しく」

ラウラ「教官がまだドイツに居て我々にご指導をしてくださっていた頃の話だが」

一夏「続けて」

ラウラ「ある日の訓練が終わり我々もその日の疲れを取るためにシャワーで汗を流し終わった頃……」

ラウラ「私を含む数名が教官の部屋に呼ばれた。私は今日の訓練で何処か悪かったのか、はたまた呼ばれた我々は異動するのか……そんな様々な考えを思い巡らせて教官の元に行ったのだ……」

シャル「そ、……それで?」

ラウラ「そこから先は曖昧だ。まず教官が笑顔でピルスナーを我々に注いでくださった…………未成年と言えど我々は軍人、立場は部下、相手は教官。いただきます」

一夏「なんか役満揃ったって感じな」

ラウラ「注がれた酒を飲み干すと教官は上機嫌で…………後から思えばもはや既に出来上がっていて…………記憶は断片的だが、覚えているのは悪ノリした教官に弄られた事…………私が軍服をひん剥かれたのは後にも先にも教官のみだ」

一夏「…………うちの姉がとんだ粗相を……申し訳……」

ラウラ「本能で覚えていることは金輪際教官とは飲まない、いや飲めない。そしてその後の二日酔い…………右手にナイフがあれば間違いなく己に刺していただろうな」

ラウラ「シャルロット、悪いことは言わない、やめておけ。万が一にも教官と飲むことになれば地獄を見る。私を連れて行かないでくれ…………お前がどうしても行くというのなら止めはしないがどうぞ頼むから私の事は置いていけ…………頼むから頼む…………」

シャル「話して行くうちにラウラの顔色が失われていくのを見て、真実かつ行くべきではないと僕は思いました」

一夏「俺はこれからそこに行くんだけどなぁ…………でも前にも千冬姉は家で飲んでたけど……そんなことは無かったぞ?」

ラウラ「これも後に聞いた話だが慣れない外国、立場、諸々のストレスなど溜まり溜まったものが酒によってポテトマッシャーのピンを外すように爆発したと本人曰く」

一夏「……たまたまってだけか。千冬姉は言わば動き回るモロ爆弾。ツイてた、ラッキー、こうして笑う俺だがあの時の俺は一言間違えて死ぬ瞬間だったのかもしれないな……」

ラウラ「そうだ。酔った教官は言わば天災、癇癖は読めないからな。飲んだ酒の種類によって実は良い方向にでも入ったのかもしれん」

シャル「…………そ、ん……な、そんなまで言うほどの……言われるほどの……言われるほどかもなぁ……」

一夏「ま、そんなわけだからシャル、俺についてくるのはあまりオススメしないな。素面で千冬姉の相手は無謀にも程がある」

シャル「うん……大人しくお留守番しておくよ」

ラウラ「うむ。まさにそれが正しいな。シャルロットの人生史に大いなる正しい歴史が刻まれた」

一夏「じゃあ俺はそろそろ行くよ」

ラウラ「一夏、幸運を祈る」

一夏「ありがたや。祈られてるよ」

織斑邸
六時

一夏「コロッケだろ、肉じゃがだろ、唐揚げだろ、漬物、刺身、サラダ、厚焼き卵に五目そば……コレならいいだろ」

一夏「我ながらよく作ったもんだよ。そろそろ千冬姉と山田先生が来る頃かな?」


三十分後


一夏「…………遅い。料理覚めちまうがな」

一夏「あれ?千冬姉から着信着てる……」

一夏「もしもーし?はえ?少し遅れるかもだから待っててくれって……いや、もっと早くそー言う連絡してくれよな……」

一夏「うん、六時頃が一番美味く食べれるように作ったのに…………ん、俺の料理はいつ食べても美味いのはわかってるよ」

一夏「へいへい、七時頃になりそうなんだな?わかった、待ってるよ。仕事お疲れ様」 ピッ

一夏「…………腹減ったなぁ……昼飯抜いちまったから」 グゥゥゥ

七時


千冬「帰ったぞ一夏!!」

山田「お邪魔しますね~織斑くん」

一夏「二人ともお疲れ様。千冬姉はおかえり。山田先生、いらっしゃい」

千冬「今日が楽しみで昼はあまり食事を取らなかったのだ!!さぁ、飲もう!!」

一夏「飲もう、て……あ、山田先生、上着は預かりますよ。掛けときます」

山田「すみません織斑くん、お願いしますね」

千冬「おぉ!!さすが一夏だな、美味そうな料理だ。さて、ビールビール~命の水よ~」 カシュッ!!

山田「織斑先生はもう始めちゃいましたね……でも確かに美味しそう…………織斑くんはスペックの高い男の子ですね~!!」

千冬「ふふふ、そうでしょう。正直誰かにやるのが勿体無いくらいだ」 グビグビ

一夏「多少は冷めてますけど、味に問題は無いはずですよ?ドーゾドゾ」

山田「では……いただきます」

千冬「おい一夏、注げ」

一夏「へいへい、千冬姉は今日もお疲れ様でござんした」 コポポポポポ

千冬「うむ、うむ。疲れた疲れた」

千冬「んぐ…………ッ~……!!」

千冬「……!!ぷはぁッ!!これがまた美味い!!ん?おい一夏、何をしている。グラスを持て。注いでやる」

一夏「おいおいおい教師お~い、未成年者だ俺は」

千冬「何をこまい事を。飲んだとて些か犯罪なだけだ。それにな、私はお前の姉だぞ?忘れたか?」

一夏「…………じゃあ……はい、一杯だけなら……」

山田「織斑くん!?あの、ちょ、織斑先生!?」

一夏「すいません教師の目の前でって…………言うのもアレですけど千冬姉がこれなもので…………はい……」

千冬「いーんだいーんだ。私の家だ。許可する」

山田「ぅぅぅぅ……これは教師として止めるべきなのでしょうが…………」

一夏「すみません山田先生……後をお願いします……!!」 グビッ

千冬「馬鹿者!!未成年の分際で酒を煽りおって!!罰としてもう一杯だー!!飲め!!山田先生も飲みなさい!!」

山田「え、!あ!?の、はい、いただきます……!!」 グビッ

一夏「千冬姉…………まだ酔ってない筈なのになんだよこの出来上がりの完璧さは…………」 グビッ

一時間後


一夏「やっべ~相当酔ってるや、今の俺~!!歌の一つでも歌いたい気分だ~!!」

千冬「うふはははは!!歌え歌え!!近所迷惑なんのそので歌えぃ!!カラオケ機器はあるぞ!!」

山田「…………」 クピクピ

山田「……ッぷにゃ」ハフゥ…

一夏「え~僭越ながら織斑一夏、歌わせていただきます、曲は学生街の喫茶店で」

山田「ッぶっ!!けほっ!!えほ!!ふ……古いですね~…………」

千冬「ッッひっく、大概の歌謡曲やらフォークソングは私が教えましたからね……山田先生もほら、遠慮せずに何か歌うといい」

一夏「きっみとよっくこっの店~に~来た~ものさ~♪」

千冬「わっけもなっく~お茶を飲~み~話~したよ~♪」 グヒグビ

山田「ん~…………ぃっく!!……望郷じょんからでも歌いましょうかね……」

さらに一時間後


千冬「もしも~二人がぁぁぁあ!!愛せる~ならば~……窓の~景色も~……変わぁってゆ~く~だ~ろ~う~♪」

一夏「いよ!!お!!千冬姉のジュリーはやっぱり上手いなぁ!!」

千冬「当たり前だ。しかしまさか山田先生がベッツィ&クリスを入れるとは…………」

山田「あははは~!!織斑先生デュエットありがとうございます~!!でも織斑くんのアリスもカッコよかったですよ~?」

一夏「俺が生まれてない時代なのにアツい曲ですからね~……」

千冬「山田先生、ここは学校ではないですので此奴なんて一夏と呼び捨てで構わんですよ」

山田「そんなそれは~……織斑くんに悪いですよ~」

一夏「いえいえ、一夏でいいですよ。と言うか呼んでくださいよ。千冬姉とはまた違った響きで」

山田「ん~……じゃあ……一夏くん?」

一夏「……ワンモア」

山田「一夏くん?」

一夏「はい」

一夏「と、思わず言いたくなってしまうこの呼ばれ方…………ていうか俺の周りに一夏くんと呼んでくれる人は居ないからなぁ…………新鮮……かつ、山田先生と言う偉大な包容力が相俟ってこう…………なんか嬉しい」

山田「んふふふ~一夏くんは変なところで喜ぶね?」

一夏「それ!!キマした敬語なしどハマり!!ヤバイ。新しい姉のようだ……!!感涙しそう」

千冬「…………」 ピクッ

千冬「ほう…………新しい、姉とな?」

一夏「山田先生って……すごい優しそうだし頭もいいし……美人ですし……もう本当姉だったら……」

山田「やん、もう一夏くん?そんなに褒められたら先生嬉しくなっちゃいますよ~!!」 イヤンイヤン

千冬「愚かな一夏、姉と言うものはな、ポッと思いついてなれるものではないぞ?」 ポンポン

一夏「え~っと…………千冬姉が太ももを叩いてるのは何故~?」

千冬「姉力場を発揮する。来い一夏、膝枕をしてやる」

一夏「えぇぇぇぇ~……いやいやいや別に……」

山田「いいじゃないですか一夏くん。お姉さんに甘える機会なんて滅多に無いんですから!!」

一夏「おわ、と…………」 ポフ

一夏「…………」 ポフポフ

一夏「…………」

千冬「……どうした一夏?そんなに実の姉の膝枕が良いのか?」 フフン

一夏「……うん」

千冬「そ…………そうか…………そう……だな……なで……頭も…………頭もな、撫でてやろう……」 ナデ……ナデ……

一夏「ぅぁ…………」 ビクッ

千冬「考えてみれば……思い返せば最後にお前の頭を撫でたのはいつだったかな……」 ナデナデ

一夏「ん~……俺は割と最近撫でられた覚えがあるんだけど……」

千冬「何?嘘をつけ。私は知らんぞ」 ナデリナデリ

山田「織斑先生、見たことないくらい優しい顔をしてますよ?」

千冬「ん…………ん?そうですか?」 ナデリナデリ

一夏「ん…………」

千冬「頭を撫でるで思い出したな。また小娘共の頭を撫でおってからに。だから奴らが調子付く」 ナデコナデコ

一夏「うっ…………それは~……やはり抑えきれずに……?と言うか流れで……?」

山田「あ~……でも気持ちは分かりますよ~……だって唯一の男子、それに気立ても良くてかっこいいですからね~……撫でられたくもなっちゃいますよ」

千冬「やはり…………そう、ですかね?山田先生から見てもこいつは良い男ですかね?」

山田「それはもう!やはり流石織斑先生の弟とはこの事を言うと言っても過言ではないくらいに」

千冬「そう……ですか……やったな一夏、山田先生程の女性に認められてさぞや嬉しいだろう?」

一夏「まぁ……嬉しくないって言うのは嘘になるけど……千冬姉はどう思う?」

千冬「……」 ナデナデ

千冬「……ふん」

千冬「前にも言っただろうが。お前はまだまだだとな」 ナデナデナデナデナデリナデリ

一夏「そっか~…………まだまだか~……」

山田(でも織斑先生の顔は嬉しそうなんですよね~……っと)

山田「ところで織斑先生……一夏くんでも構いませんよ?頭を撫でたって……言うのは……?教えて貰えますか?」

千冬「……と、言うことだが一夏くん?」

一夏「そうなん…………ですか?俺?」

一夏「……え?」

一夏「…………よっこいしょ、と」

一夏「……」

一夏「え?話すの?俺が?」

千冬「勝手に私の膝枕から逃れて…………姿勢を正し、さぁ謳え」

山田「はい。聞かせてね?」

一夏「いや…………いや、いやいや……あの~……ただ俺は……自分の欲望……?に従ってしまいまして……箒やラウラやらの頭を撫でましたけど…………いやそれだけの話なんですけど……」

千冬「それだけ……それだけの……?」 カシュッ

千冬「んく…………」 グビグビ

千冬「……ぷは、それだけの話だったらあの五人はぶち込まれては……ま、その話は置いておこう。で?どうだ?今の状況は」

一夏「今……?」

千冬「とぼけるなよ?山田先生直伝の評価の私の弟のくせに手癖の悪いことをしおって。重ねて察しも悪いときたか?ここに今、お前の言う撫でられる頭が二つあるだろうが」

山田「あれ?……そうなんですか?撫でてくれるんですか?」

一夏「逆にそこは俺こそ撫でても構わない……んですか?」

山田「私は~……恥ずかしながらあまり経験が……ないものですから…………一夏くんにしてもらえるならなぁって…………ちょっと期待してみてもいいかな?」

千冬「お前、わかっているのか?撫でてもいいがそれ相応の腕はあるのか?」

一夏「じゃあハードルの……低いであろう山田先生の頭を…………失礼します、撫でてもよろしいですかね?構いませんかね?」

山田「ど、どぞ!!おねぎゃいします!!」

千冬「…………」

一夏「うわぁ…………うわぁ…………」 ナデナデ

山田「どうです、か?」 モジモジ

一夏「はい、あの、正直……年上……先生の頭って初めて撫でたので…………凄い、緊張と、感動が…………年上の女性が甘えてくれるとこんな…………言葉にできない……」 ナデナデナデナデ

山田「ふふ……もっと撫でてもいいんですよー?」

一夏「はい……山田先生……」

山田「真耶って、呼び捨てでもありかな~って…………それか……真耶ねぇ……でも……!!」 テレテレ

千冬「…………真耶ねぇ…………ですかぁ……そうですかぁ……」 クピ……

山田「真耶、でお願いします」

一夏「呼び捨て……ですか……」 ナデナデ

一夏「……真耶……」 ボソッ…

山田「ぉぉ………………」 ゾクゾクゾクッ!!

山田「こ、これは良いものですねぇ…………!!年下の男の子に名前で呼び捨てされるのって……」

一夏「いいんですかね……こんな呼び捨てで……年上を、しかも先生を……」

千冬「本人が良ければ良いんだ」

千冬(くそ……変に意地を張ったせいで私から撫でてくれとは言い難くなってしまったではないか……)

一夏「山田先生の髪の毛って…………ふわふわしてますよね」 ナデコナデコ

山田「一夏くん、真耶……ですよ?今だけはそう呼んでください」

一夏「う…………真耶……?」

山田「はい!!それでどうですか?私の頭の撫で心地は?」

一夏「もう、良いんですけど多分今までで一番緊張してます」 ナデナデ

千冬「の割にはなんだ、お前の手は絶好調に稼働しているな?」

一夏「抑え切れるものでもないんだコレが。実際やま…………えと、真耶の頭はすごく撫でてて落ち着く」 ナデナデ

山田「うふふふ~」 ポヤポヤ

一夏「そしてこんなにも幸せそうな顔をされたらそりゃあ手も加速しちまうって!!」 ナデリナデリ

千冬「あぁ…………あ、そう……」

千冬(くそぅ…………山田先生め、なんと羨ましい……)

一夏「あ…………っと、いきなりで無粋な質問してもいいですかね?」 ナデナデ

山田「はい~なんでしょう~?」

一夏「真耶には彼氏とか…………良い人は居ないんですか?」 ナデナデ

千冬「おまっ」

山田「…………」

山田「そこ、あっ~……あっあ~あ~そこ、あの核、突いてしまいます?」

一夏「…………あの、なんか無粋な、って前置きで言ったけど今の質問やっぱり無しで……」

山田「いいえ!!なしになんてできません!!過去はなくならないのですから!!」

千冬(馬鹿者が…………酒の入った山田先生に恋バナはご法度……代表候補生になるために何を犠牲にしたのかわからんのか…………!!)グビグビ

千冬「…………私もか」

山田「居ませんでしたよそして今もいませんよ!!私はこの歳で未だにしy」

千冬「うぇーいうぇい!!山田先生チューハイでも飲みなさい!」

山田「私だって……キュゥゥーンと来るような恋を経験したいですよぅ……」 クピクピ

千冬(どうするんだ一夏!!酒にネガティブスイッチの入った山田先生は面倒だぞ)

一夏「…………」

一夏「……あの……ん~…………」

一夏「なんでか理解出来ないんですけど……もはや普通世の男どもは何故に山田先生を放っておくのかが…………全く理解出来ないです」ナデコナデコ

山田「ふぅ……?」

一夏「だって山田先生、綺麗だし可愛いし……それに優しいですし…………奥ゆかしさも有りますよね。俺だったらこんな素敵な女性を見過ごせないですよ」ナデナデ

山田「……本当ですか?」

一夏「はい、これに関しては嘘は言いません。と言うより俺はただ思ってる事を言ったまでですよ?」 ナデナデ

千冬(頭を撫でながらそんな甘い言葉を吐くような男になってくれて私は複雑だ……)

山田「…………一夏くん?もっ……もう一回……真耶って呼んでもらえますか……?」

一夏「……真耶」 ナデナデ

山田「……ッッッ!!」 キュゥゥーン

一夏「……」 ナデコナデコ

山田「も……も、もっ回!!」

一夏「真耶…………」 ボソッ

山田「さ……囁かれたらそんなッ……!!先生勘違いしちゃいますよ…………!!」

山田「私はもうここで死んでもいいです…………確かに一夏くんの撫で撫では…………癒される以上に明日への活力ですね……」

山田「お……織斑先生ッ!?」

千冬「なんですか山田先生?」

山田「一夏くんを……!!私にください!!」

千冬「は?」

一夏「え?」 ナデナデ

山田「と……年上が、あまつさえ教師がこんな事を言うのは間違っていますけど…………!!私の人生で恐らく一夏くん以上の男性に出逢える事はないです!!お願いします!!」

千冬「わかったか一夏。お前の撫で方一つで行き着く先がこれだ。哀れにも独り身の二十ピー歳をここまで勘違いさせたお前の罪は優しくて重い」

一夏「ん~…………でも実際山田先生がまだお付き合いしたことがないって言うのは信じられない事だしな~。本心で言っただけだけど山田先生ならそんな事の一つ二つ言われたことあるだろ?」ナデコムナデコム

千冬(頭を撫でられながら甘く囁くように言われたことは多分ないだろうな)

山田「織斑先生~……私なんでそんな酷い言われよう…………だってこんな頭撫でられてしまったら堕ちない方がおかしいですよぅ~…………織斑先生はこの撫で撫での素晴らしさを分かっているんですか……!?」

千冬「あ…………ぁぁうむ……しかしあなたは撫でられた程度でころっと堕ちるような安い女性ではないでしょうに……」

千冬(兇悪だとは思うが)

山田「いえ、いえ。撫でられて堕ちるのならば……この撫で撫でで堕とされるのならば……例え愚かでも私は構いませんけど……!!」

一夏「俺は頭を撫でる欲求を満たせる。山田先生は撫でを気に入ってくれた。win_winと言うやつですな」 ナデリナデリ

千冬「お前ちょっと頭撫でるの止めろ」

山田「なぜこの素晴らしさを織斑先生は分かってくださらないのか…………一度撫でられてみてください!!」

千冬「いやそれ…………ん……?」

一夏「千冬姉を…………撫でる……いや流石にそれは…………先生……」

千冬「そうだな…………なんでも頭ごなしに水を差すのもアレな話だ。いいだろう一夏、撫でてみろ。あの時と比べて上達したか私が身を以って確かめてやる」 イソイソ

千冬「さてではじゃあそうだな、うむ、膝を借りるか」 コロン

一夏(世界最強が俺の膝の上にいらっしゃる……と言うか千冬姉の髪の毛……長いなぁ……)

一夏「えと…………どう撫でれば……?」

千冬「お前の実の姉に思う気持ちをそのまま撫でることで現してみろ」

一夏「えぇ~……ん~……」 ナデ…

一夏「んん~…………」 ナデコナデコ

一夏「…………ぁ」

一夏「千冬姉……いつもありがとうな」 ナデナデ

千冬「くはっ!」 ズキュゥゥンッ

山田「こ…………これは……恋愛感情すら超越した家族愛の究極形……!!」

千冬「ほほぅ…………!!ほ、ほぅ…………その、そ、その気持ちを、努努忘れるなよ…………!!」

一夏「はは、俺はいつでも千冬姉には感謝してますよ~」 ナデナデナデ

千冬「果たしてそうかな?実は口うるさい姉だと思っているんだろ?」 フフン

一夏「そんなこと、あるわけないだろ?自虐的過ぎる。しかし千冬姉、ちゃんと髪の毛の手入れしてるか?」 ナデナデ

千冬「む……ん?」

一夏「ちょいとな、ゴワゴワしてる?長いから手入れも大変だろうし忙しいのも分かるけどさ……千冬姉、美人だからもっとそー言うところも気を回さないと……」

千冬「び…………!?んん!!むぅ……しかし……しかしな……なんだ、女のくせして私にはどうすればいいのか皆目な……」

一夏「とりあえずそうだな……千冬姉、ちょっと待っててな」 ヨイショ

山田「……一夏くんは本当に裏表のない良い子ですねぇ……」

千冬「ふ…………時々それで困る時もあります。色々とね。ところで本気ですか?……一夏が欲しいなどと……」

山田「割かし存外、大体本気ですよ?もちろん、残りの本気ではない部分はこれから付き合っていったとしての話で、一夏くんに本気にさせていただきますけども、ね?」

千冬「まったく……ふふ、そこが未経験でも小娘どもとは比べ様もなく大人の女性の面目と言ったところですかね?」

山田「大人の女性は、良い歳した大人の女性は頭を一つ撫でられて堕ちませんよ?ただ…………一夏くんに撫でられたならそうも言ってられないですけど」

一夏「ほ~いおまたせ……っと、と…………」 フラフラ

千冬「酔ってるのか一夏?」

一夏「誰が飲ませたんだよ……全く、ほら」 ポンポン

千冬「お前はなぜ、さも俺のこの膝の上に座れと膝を叩く?」

一夏「まさに俺の言いたい事ズバリだよ千冬姉。ブラシ持ってきたから応急処置と言うか何と言うか髪の毛、梳くから」

山田「え…………一夏くんはそんな頭を撫でつつもそんなオプションまで付けてくれるんですか……!?いくらなんですか!?学園で商売だなんて先せ…………お姉さん許しませんよ!?」

一夏「商売て先生、これは頭を撫でるのと一緒ですって。そんな誰彼にもやるわけでもないですけど……」 サッサー

一夏「千冬姉は、髪の毛多いからなぁ……ボリュームもあって撫でてる方も楽しいけど、やっぱり綺麗な髪の毛じゃないとな」 サッサ、スゥー

千冬「ぅ……今まで気にしてはいなかったが……そんなひどいのか?」

一夏「ん?ん~、でも気にするほどでもないかな?本人が良ければだけど。あぁそれとあと誰にも髪の毛を触らせないならね」 ナデナデスゥー

千冬「ん…………おい……!?無闇に指を……んひぃッ!?」 フルフル…

山田「うわぁ……わぁ…………」

一夏「もう千冬姉、動かない動かない…………」 サッササッサ

山田(なんでしょう…………こう、ご姉弟と言うのはわかりますが……美男が美女の髪を梳いている画は……絵になりますねぇ…………) ハフゥ…

一夏「……あれ?でもその割りにはなんだ千冬姉…………」 スンスン

千冬「ふ……ぁ……なんだ一夏……?」

一夏「いやさっき俺千冬姉の髪の毛どうとか言ってたけど、不思議と千冬姉……って…………髪の毛が良い香りする……」スンスン

千冬「ッッ!!おい!?」

一夏「ぅゎぁ…………ぉぉ」 スル…

一夏「やっばい…………千冬姉の髪の毛の香り……今までで一番良い匂いがする…………」 スンスンスンスン

千冬「ッこら!!嗅ぐな!!髪の毛を口にあてがうな!!へ、変態か!!」 ドキドキドキドキ

一夏「なんで…………?なんでこんな良い匂い……が?」 スンスンクンカクンカ

千冬「だ…………め……は!!」 ビクビク

山田「はぁい一夏くん。そ・こ・ま・で・ですよ~?」 ギュッ

一夏「ぬぁ!?山田先生抱き締めたら……!!」

山田「抱き締めたら?なんですか~?ダメですよ~、お姉さんを困らせたら~だぁめ、ですよ?」 ムニュ

一夏(うわうわ山田先生のわがままボディが!!なんで山田先生もこんな良い匂いが!?アイエエ!?柔らかいのナンデ!?)

千冬「はぁ~…………はぁ…………ふぅ…………」 ドキドキ

一夏「あの…………ごめんなさい……ちょっと調子に乗っちゃいました……か?」

山田「…………」 スンスン

一夏「山田先生……?その……あの」

山田「一夏くんも……良い匂いがしますよね?私は好きな匂いです…………」 クンカクンカ

千冬「ふぅぅ~…………はぁ~…………一夏、ふぅ~……女性にあそこまでした始末、拭うよな?やられてもそれこそ文句は言えんよなぁ……?差し当たって山田先生」

山田「はいなんでしょう?」 スンスン ギュー

千冬「そのまま捕まえておいてください。さて、まずはそうだな。私と山田先生の間にまず座れ。まぁ座れ。酒を飲みながら頭を撫でられてみようか?」

一夏「えぇ~…………はい……」

翌日!!

ラウラ「ん?一夏はどうした?」

鈴「そう言えば帰ってきてないわね」

セシリア「鈴さん、おかえりなさい。痩せましたか?」

鈴「ただいま。それはね、気のせいよ?」

シャル「そう言えば織斑先生も山田先生もいないよね?」

箒「あぁ、そのことなら一夏から連絡があってな」

ラウラ「なんと?」

箒「三人とも体調不良で休むそうだ」

おしまい!!終わり!!
長かった二ヶ月以上掛かった……と言うかもうネタが無かった
でも楯無さんと簪ちゃんかけて満足満足
千冬姉は最近の歌とか歌わないイメージあるよね、水原弘とか歌ってそう

また書いたらよろしくお願いします

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