菫「SHARP SHOOTER(s)」 (351)

咲×ソルキチというか、咲でソルキチする話です。
チーム虎姫創設秘話のでっち上げです。
ちょっとだけ、オリキャラモブが出てきます。
ソルキャラは出てこないです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404746079

今から一年前、8月



『新部長には、弘世を任命したい。誰か意見のあるものは…………いないな』

『それでは、麻雀部をよろしくな。弘世新部長』





『はい』

白糸台高校女子麻雀部。

その部長には、どんな人物が選ばれるのだろうか。




条件は二つ。

責任感が強いことと。
麻雀が強くないこと。




白糸台のレギュラーは、勝つことが仕事だ。
当然、部長としての仕事など、してる暇はない。

故に白糸台高校女子麻雀部部長に、強い者が任命されることはまずない。



それよりも、進んで雑務をこなし、後輩の面倒をよく見て、レギュラーの力になるために努力を惜しまない人間。
そういった者が、部長に選ばれる。



例えば、私のように。

それは、名誉で得あると同時に、不名誉。
白糸台をまとめる器であると同時に、レギュラーになれるだけの力はないということ。

それでも、構わなかった。

それでも、私は麻雀が好きだったから。




だから、私は気にせずにはいられなかった。



あんなにつまらなさそうに麻雀を打つ、彼女のことが。





~暴君攻略編~




菫「宮永。宮永はいないかー?」



誠子「あ、部長。おはようございます」

菫「おはよう、亦野。宮永がどこ行ったか知らないか? 今日も一軍の練習に参加してないそうなんだが…」

誠子「あー…またいつものところじゃないですか?」

菫「……またか。ということはそろそろ……」






ガラッ


「おい弘世ぇ!! またウチに『暴君』来てるぞ!? なんとかしろ」

菫「………だよな」

男子部長「お前これ何回目だよ!? お前らのところのなんだから、お前らがちゃんと管理しろ!!」

菫「悪かった。すぐに向かう」









男子麻雀部




「ツモ。4000・2000は4300・2300」




「ま…また……今度は8順で……」

「もう勘弁してくれよ…立直もかけれねぇ」

「う………うぅ………もうダメだ…なんとかなると思った俺がバカだった……」カタカタ






「4本場です」チャッ

ガラッ

菫「おい宮永ぁ! こんなところで何してる」






照「あ、菫。……何って、麻雀」

菫「それはみれば分かる。なんで男子のところで打ってるのかと聞いているんだ!」

照「だって、こっちの方が面白いし」

菫「そんな話はしていない。ほら、さっさと行くぞ。これ以上いると迷惑だ」

照「せっかくいいところなのに…しょうがないなぁ………あ、その前に」

照「そこのあなた。流局間際に聴牌狙いすぎ。連荘してツモられるぐらいなら、ノーテン罰符で流した方がいい」

照「あなたは字牌を切るタイミングをもっと考えて。東3局でオタ風を雀頭に平和ができた場面があったはず」

照「あなたはドラを不用意に切り過ぎ。もっと場をよく見て」

照「…………意識すれば、きっと今よりマシになる。それじゃあね」ガラッ

菫「あ、おいちょっと待て…!!」

菫「お前いきなり押しかけといて、あの態度はないだろ? というか、なんでそもそも男子の方で打つんだよ」

照「男子と打った方が面白いから」

菫「? 見下しているわけではないが、男子よりも女子のほうがレベルは高いだろ? 特に一軍はお前とともに今年優勝したメンバーで……」







照「あそこは…イヤだ。一人で打ってるのと、何も変わらない」


照「そんなところで打っても………調整にすらならない」





照「じゃあね」

菫「あ、おい!! ちょっと………行ってしまったか」





菫「……一人で打ってるのと変わらない? 一体…どういうことだ?」

ガラッ

誠子「あ。おかえりなさい、部長」

菫「ただいま。宮永は帰ってきたか?」

誠子「え? いえ、多分来てないと思いますけど……」

菫「………そうか。また勝手に帰ったのか……あいつ」





誠子「部長も大変ですね。ただでさえ部員数が多いのに、宮永先輩のことまで任せられっぱなしで」

菫「部長なんだから仕方ないさ。それに、大変なのはお前だって一緒だろ? 渋谷、今日も練習来てないじゃないか」

誠子「………ですね。声はかけてるんですけど…しばらくは麻雀はしたくないって……」

菫「あいつも宮永にコテンパンにされてたからなー。退部してないだけマシなんだろうが…これ以上休まれると、部内の立場も怪しくなるからなぁ」

誠子「宮永先輩と違って、尭深はレギュラーじゃないですからねー。誰も宮永先輩には勝てないんだから、気にしなくてもいいのに」

菫「…………そうだな。ま、渋谷に関しては、お前に任せっぱなしで悪いと思うが、よろしく頼むよ。亦野が一番仲良かったし……その、原因もアレだしな……」

誠子「はい、任されました!」

菫「ありがとう。さて、私はあの暴君をなんとかしないとな………」

翌日



菫「おい、宮永。どこへ行くつもりだ?」

照「どこって…男子麻雀部」

菫「昨日も行ったじゃないか。たまにはレギュラーと一緒に打てよ」

照「昨日も言ったでしょ? あそこで打ったって、調整にもならないって……」

菫「だからそれなら男子麻雀部だって……おい、人の話を聞け」

照「着いた着いた。お邪魔します」ガラッ

「ゲッ、もう来た!?」

「くっそ! まだ対策終わってねぇのに!!」

「ヤメロー、シニタクナーイ!!」

「お前は昨日打ったもんな。今日は休んでろよ」

「よし、今日という今日は負けないぞ! 暴君め……っと、今日は弘世も一緒なのか?」

「今日はわざわざ女子部の方まで呼びに行かなくていいですね、部長」






照「今日はだれが打つの?」

男子部長「よし。弘世も一緒みたいだし、今日は俺が打つ! 男だって負けてないこと、照明してやるぜ!! あと弘世。俺が泣きそうになったらこいつ連れて帰ってくれ」

菫「なに情けないことを言ってるんだ……ていうか、それならそもそも打たなければいいんじゃ……?」






男子部長「負けっぱなしは嫌だからな。意地があんだよ、男の子には」








菫「よし、そこまでだ。宮永、帰るぞ」

照「まだ終わってない。やっと私の親が流れたところなのに…」

菫「相手の部長さんが泣きそうだから、もうやめてやれ……宮永が居る状況で、1000点でもツモ和了したことはすごいと思うがな……」

男子部長「へ……へへ……。ようやく南場に入れたぜ……初めての快挙だ……」カタカタ







照「それじゃ、私は帰るから。さようなら」

菫「!? おい!! まだ女子の部活が残って……行ってしまった。まったく……なんであいつ、女子とは打たないんだ……?」

菫「ダメだ。宮永が何を考えているのか全くわからん。このままだと、いくらレギュラーとはいえ、二軍落ちにされても文句は言えないぞ…?」

菫「……最近、宮永に構いすぎて部長としての仕事が出来てないな。牌譜整理でもするか…」








菫「……やっぱ牌譜一つ見ても、一軍はズバ抜けているな。言いたくはないが、やはり宮永は男子よりも女子と打った方が練習に………ん?」

菫「この牌譜……いままでのものとは全然違うな……なんだこれは? 素人に毛が生えたようなベタオリ……本当に一軍か?」

菫「この一人だけえらく和了っているのは……宮永か。もしかして、二軍か三軍のやつが混ざっていたのか?」

菫「………? この牌譜も、ベタオリばかりだな。和了っているのは…また宮永か……」

菫「……この牌譜も、これも、こいつも。とても一軍とは思えないぞ? スランプにでも陥っているのか…にしては、他の牌譜では普通だし……」

菫「……宮永が打ってる牌譜って、どのくらいあるんだ? ちょっと探してみるか」






「…………もしかして、宮永が女子と打ちたがらないのって………?」




菫「宮永ぁ!!」

照「何? 私は今から男子と打ちに行くんだけど……」

菫「その前に、話がある」

照「? 女子と打てって話なら、何度も言ってるけど……」










菫「麻雀って、やっぱ孤独(ひとり)じゃ……楽しくない…よな?」

照「………………」

菫「お前だって…本気で麻雀が打ちたいよな? ただツモるだけの対局じゃ、満足できないよな?」

照「………………」











照「………ようやく、気づいた?」





菫『なぁ、亦野。聞きたいことがあるんだけど、いいか?』

誠子『はい? なんですか?』

菫『お前さ……一度でも、宮永が一人で麻雀の練習してるの、見たことあるか?』

誠子『…………はい?』

菫『牌譜のチェックでも、対戦相手の研究でも、指南書や麻雀雑誌を読んでるとかでもいい。一度でも、あいつが一人で麻雀関係のことをしてたことってあるか?』

誠子『そりゃあ、牌譜チェックや教本を読むくらい………あれ? そういえば、宮永先輩って一人の時はずっと小説読んでますね。言われてみれば……一人で麻雀関係のことやってるって、見たことないような……?』

菫『………やっぱりか……』

照「そう。………麻雀は、普通4人でやるもの。三麻や二人麻雀だってあるけど……一人では、『麻雀』は絶対にできない。…一人で牌を並べたって、面白くない」





照「あらゆる雀士が違う牌を並べ、違う動きをして、対局を作り出す。それがあって、初めて『勝利』に意味が生まれる」

照「一人より二人、二人より四人で打った方が…面白いに決まってる……!! それが麻雀!!」



照「…なのに誰もついてきてくれない…みんな私に振り込むことを恐れて、ベタオリばかり……」

照「…本気を出したら…ダメなの? 好きなことをやったら…ダメなの!?」

『う………うぅ………もうダメだ…なんとかなると思った俺がバカだった……』

『くっそ! まだ対策終わってねぇのに!!』

『よし、今日という今日は負けないぞ! 暴君め……』








菫「だから…男子麻雀部としか打たないのか……」

照「そう……実力とか以前の問題。彼らは私に勝とうとしてくれる。あの人たちと打ってる間は…私は、孤独じゃない」

照「でも、それももう終わり」

菫「? どういうことだ」



照「……もう、決めたから。私の居場所はここじゃない、と…そう感じたら、部活を辞めるって」

菫「はぁ!? ちょっ、待て! いくらなんでも話が飛躍しすぎだろ!?」

照「菫の中ではね? 私の中では、迷って、悩んで、その結果決めたことだから……」

菫「それで部活を辞めたとして、お前はどうするつもりなんだよ!?」

照「どうするつもりなんだろうね? 私にもよくわかんないや」

菫「お前…」



照「それでも…この環境で麻雀を打つよりは、きっと楽しいと思うよ」

菫(…ダメだ。そんなこと認められるか! 宮永はこの部の絶対エースだ! いくら一軍メンバーが強いと言っても、宮永一人が抜けた穴を埋められるほど強い奴はいない…)

菫(……いや、そんなことはどうでもいい。私個人として、宮永に麻雀部を辞めてほしくない!)

菫(あんなにつまらなさそうに麻雀を打つ奴を。楽しみたいだけの奴を。楽しむ努力をしてるのに、それが報われないままだなんて…見逃せるものか!!)

菫(………………)







菫「……じゃあ……私がお前に勝てれば、いいんだな?」

照「………?」

菫「私がお前と向き合って、お前を正面から超えていけばいいんだろ? そうすれば、お前はまた女子の練習にも顔を出してくれるんだろ?」

照「……本気で言ってるの? これでも今年のインハイチャンプだよ?」

菫「本気も本気さ。これでも今年の白糸台の部長だぞ? たった一人の部員とも向き合えないで、部長なんて名乗れるものか」

照「……言っとくけど、真面目にやった、とか、勝つ努力はした、とか。そんな言い訳は聞かないからね? それで逃げたって、私は貴女のことを認めたりはしないから…」

菫「もちろんだ。……けど。その前に少しだけ時間をくれないか? 一週間ほどでいい」

照「いや、一週間『ほど』って……。一週間ってかなり長いからね?」

菫「ま、ハンデだと思ってくれ。勝つための準備とか、色々あるんだよ」

照「堂々とズル宣言するってのも珍しいね。別にいいけど……メンバーはどうするの?」

菫「それも込みでの『勝つための準備』だ。一週間後を楽しみにしててくれ」

照「……その一週間、私はどうすればいいの?」

菫「好きにすればいい。ただし麻雀部は辞めるなよ?」

照「ふーん? ……わかった。それじゃあ、一週間だけ部にいてあげる。そこで貴女…いえ、貴女達? が勝てなければ、私は辞めるから」

菫「臨むところだ」







菫「と、いうわけだ」

誠子「なるほど。それで宮永先輩が来てないのに、部長がここにいるわけですね」

菫「あぁ。この一週間で、宮永に勝つためのプランを考えないといけないからな」

誠子「それで、尭深の力が必要だと……」

菫「あぁ。宮永に勝つためには必要な人材だ。都合のいい話だとは思うが、私も説得に協力させてくれ」

誠子「まぁ、私としては尭深が麻雀部に帰ってくるなら万々歳ですけど…今の尭深は手強いですよ? まるで……」









誠子「地雷原を相手にしてる気持ちになります」

今日はここまで。
一週間くらいで完結させる予定です。

おやすみなさい。

ジャンプから移動しても応援してるで新海ちゃん

こんにちはー。

一週間で書くとか言ってたけど、刹那で忘れちゃった。
まぁいいや、こんな約束。


LIGHTWINGの最初のコマの「メッシがまじ最高だった」がやりたかったのに、オランダ戦でメッシがあんま活躍しなかった。
くそぅ。


>>31
ソルキチのないジャンプに耐えれなくてこのスレは立てられました。





~地雷撤去編~




今日も、部活休んじゃおうかな。

でも、私が部活に行かないと…『また』、誠子ちゃんに迷惑をかけちゃうかも……



でもでも、言ったところで結局迷惑になるだろうし……。
それならいっそ…やめてしまった方がいいのかも……。





菫「来い、渋谷。お前の力が必要だ」





やめて……。
私に麻雀なんてさせないで…。



私は、最低の雀士だから。
迷惑をかけることしかできない、最低の人間だから……。





私に、声をかけないで………。

菫「……やれやれ。なかなか渋谷は首を縦に振らないな」

誠子「まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんですけどね。これも、尭深が優しいってことの裏返しですし…」

菫「優しさと臆病は違うぞ。そして残念ながら、今の渋谷は後者だ」

誠子「……ですねぇ…。ただでさえもう一人、宮永先輩と打つ人を見つけないといけないのに……」

菫「ん、もう一人ならすでに決まっているぞ?」

誠子「そうなんですか!? それはいったい……」



菫「お前に決まってるじゃないか。亦野」

誠子「わーぉ」

あの日、私は宮永先輩から逃げた。
そして、麻雀からも逃げた。


あの日、あのツモをした瞬間から。
私は、みんなと一緒にいる権利を失ったんだ。





誠子「尭深。私はもう、あの日のことは気にしてないよ? むしろ…あの日見せてくれた力を、今度は貸してほしい。一緒に、戦ってほしいんだ」





やめて。
許さないで。

そんなことされたら、私はまた同じ過ちを犯してしまう。



私はもう、麻雀なんてしたくないの。

麻雀なんて、したらいけないの。



だから……。





尭深「私のことなんて、放っといて……」

『ツモです』

『ツモ。一本場、入ります』

『ツモ。三本場です』

『…振込み…ね。………ううん? 別に怒ってなんかないよ? それしか私を止める方法はなかったし、考えなしのベタオリよりいいと思う』

『ただ…ちょっと決断するのが遅すぎたかな? 誠子…っとと、ツモ』

『これで南場入り…トバないように、気を付けてね』






『………ツモ、大三元で―――』






尭深「やめて!!!」








菫「ここ二日間で、渋谷にすごい避けられるようになった気がする」

誠子「気がするって…明らかに避けられてますよ。ただでさえ部活に行きたくないのに、部長が直々に来るとなったら逃げもするでしょう」

菫「だよなぁ。……そういえば、渋谷が一人でいるとき、ずっと何かの紙を見ていたようだが…あれは何だ?」

誠子「あれですか? この前チラっと見た時は、牌譜のように見えましたけど……」

菫「ほう。いつも読んでるのか?」

誠子「いつもというか…最近は一人でいる時はずっと読んでますね。今まではそんなことしてなかったと思うんですけど…」





菫「…………………なぁ、亦野。それ、いつぐらいからか覚えているか?」

誠子「いつぐらいから? ……そうですねぇ…………あ、強いて言うなら、尭深が部活に来なくなったあたりからですね……」

菫「…やっぱりか。……やはり、渋谷は私たちに必要な人材だ。……それに、渋谷のためにもこの戦いは絶対に避けることはできないぞ、亦野」







菫「やぁ、渋谷。元気か?」

尭深「!?」ガタガタ

菫「逃げるな逃げるな。少し話がしたいだけだ」

尭深「………なんですか? 私は部活には………」



菫「もう亦野とは、麻雀を打ちたくないのか?」

尭深「……」



あの日……。





照『さて、オーラスだね』

誠子『残り400点、立直も掛けられない。……これで逆転しようと思ったら……連荘いっぱいして、宮永先輩が毎回ノーテンか、リー棒出して…どっかで役満直撃……気が遠くなりそうですね』

照『じゃあ、ハンデあげようか? 私はこの局から毎回リーチを掛ける。そしてツモ和了はしない。これなら勝てそう? 誠子』

誠子『……そうですね。それなら、最後まで希望を持って散れそうです』



尭深(……何? この配牌…字牌がたくさん……なんだろう、どこかで見たような牌ばっかなんだけど……)

尭深(……でも、親でいい手が入った。撥の暗刻に白の対子…中もあるし、大三元が見える……これを宮永先輩に当てれば、ギリギリで逆転できる…!)

尭深(…積極的に動いていこう……)



私は……





照『立直』チャッ

誠子『うわぁ…相変わらず早いですね…っとと、それポンで!! ……まぁ、この局はまだ和了れないんですけどね』



尭深(……あ、大三元ツモ。…でも、これじゃあ逆転できない。張りなおした方がいいかなぁ?)

尭深(…今引いてきた牌は宮永先輩の現物だし…宮永先輩はツモでは和了らないらしいし、これを和了ったら、宮永先輩以外の二人がトんじゃって、連荘できないし……張りなおした方が……)

尭深(…でも、ここでチャンスを逃したら…またあの蹂躙が…………)







尭深『……………すいません。ツモ、大三元です………』







逃げ出したんだ………。






菫「お前が麻雀部を避けているのは、宮永にトラウマを植え付けられたからじゃない。亦野が、いるからだろう?」








尭深「……当たり前じゃないですか……。勝負を諦めたばかりか…勝負を諦めてなかった親友を犠牲にして…それでも笑顔を向けられて……私には、そんな優しくされる権利なんてないのに……どんな顔をして、今更雀卓を囲めっていうんですか?」

菫「…亦野が、それでもっと苦しんでいたとしてもか?」

尭深「…………」

菫「宮永に勝つつもりだったのにお前にトバされ、そのせいでお前が部活に来なくなって、声をかけても成果はなく、それでもお前の帰りを待っているんだぞ? そんな亦野の苦しみが、分からないお前じゃないだろう?」

尭深「…でも、私が部活にでたら、また誠子ちゃんに迷惑が…」

菫「お前のそれは、優しさじゃなくて臆病なだけだ。それも他人を言い訳に利用する、質の悪いタイプのだ」

尭深「…………」

菫「…亦野はお前に来られて迷惑だと、一言でも言ったか? あいつはお前に、部活に来てほしいと言わなかったか?」

尭深「……………」





菫「逃げるなら好きにしろ。辞めるならさっさとやめろ。だが、その理由に他人を使うな」

尭深「………………」

菫「お前が自分の意思で逃げるなら、私はもう引き止めはしない。……だが、私と亦野は待っているぞ? お前が力を貸してくれることを。……じゃあな」






尭深「そんなこと言ったって……無理です……」

尭深「………無理ですよ。今の私じゃ………」

尭深「………駄目ですよ。弱い私じゃ………」

尭深「………嫌ですよ。こんな私じゃ………」






















尭深「…………だから。生まれ変わらないと……」





誠子「尭深…部活、来ますかねぇ?」

菫「疑ってもいないことを私に訊くな」

誠子「あ、バレました? まぁ、なんだかんだで尭深は強いですからね。麻雀も、心も」

菫「そうだな、渋谷には『面白い能力』もあるし、問題はないだろう。むしろ…麻雀の腕が問題なのは、私たち二人のほうだ」

誠子「うぐっ……はい……………」




ガラッ



誠子「!」

菫「!」

尭深「………部長、今まで部活を休んで…申し訳ありませんでした………私も、戦わせてください…っ!」





菫「………ようこそ、対宮永対策本部へ。歓迎しよう、渋谷」

誠子「なんですか、その名前は……もっとマシな名前にしましょうよ……」

菫「え? うーん…じゃあ………リンギンガーデンとかどうだ?」

尭深「それ、ルノーがこの前参加してた、新しいバンド名ですよね…?」

菫「東京ヴェリタスとか!!」

誠子「いや、そういうサッカーチームありますし…」

菫「なんだよー。じゃあお前らが考えろよー」

誠子「こういうのは普通、組織のトップが決めることなんですって……」

菫「だってお前ら、文句ばかり言うし……そうだなぁ………それじゃあ……」











菫「チーム虎姫……とか、どうだ?」

誠子「チーム虎姫……かっこいいじゃないですか!」

尭深「でも、どうして虎姫なんですか?」

菫「『虎穴に入らずんば虎子を得ず』と言うだろう? 虎の巣に入って私たちが取ろうとしてるのは、虎の子ではなく、虎の姫だからな」

誠子「あー…なるほど。つまり、宮永先輩を味方に引き入れるためのチームってことですね」

尭深「正確には、そのために無謀な挑戦をしようとしてる、私たちのチームだね」

菫「そういうことだ。というわけで……チーム虎姫、第一回。宮永対策会議を始める!! 全員集合!!」



「「はい!!」」

というわけで、今日のところはここまでです。


ちなみに、まだタカミーの攻略は終わってません。
次回でテルーと同時攻略の予定。


それでは、さようなら。

このスレタイだと菫さんが東京が生んだ奇跡のドアホになってしまう…!

こんにちは。

すいません、もうちょっと時間がかかりそうです。
対局(とは言っても、点数の申告だけですが)が全然うまくできないんです。
軽めの対局描写だからと舐めてました、ごめんなさい。

今週中には書けると思うので、もう少しだけお待ちください。



あと、今日はジャンプネクストの発売日です。
みんな、買おう!!

ちなみに今回は番外編で続きは次回からみたいだね

こんばんわ。

対局書いてたら、色々めちゃくちゃになってきた。
点数移動は間違ってないはずですが、もし間違いや違和感などがあってもスルーの方針でお願いします。

めんどくさいかったので、役とかは書いてないです。




>>55
実は心を見るのは照魔境持ちの照の役目。
菫さんは心を射ぬくシャープシューターの方だったり…。

>>58
弦野が可愛かった。

一週間後





照「? …………なんか、雰囲気違うね…いったい何をしたの? 菫」

菫「別に。………さぁ、部室へ行こうか。麻雀をしに」

菫『さて、渋谷。お前ももう気付いているとは思うが…お前は麻雀において、ある能力を持っている………分かるか?』

尭深『……………毎局の最初の一打を、オーラスに集める能力…ですか?』






菫『あぁ。確証はないが、おそらくそれで間違いないだろう。牌譜を見れば一目瞭然だ』

誠子『すごいじゃん、尭深! これがあれば、オーラス限定とはいえ、役満和了放題だよ!』




菫『そう。この能力が宮永に勝つためのキーになることは間違いない。オーラスの役満ツモで40000点から48000点、親なら62000点までひっくり返せるからな』

菫『……だが、それには問題が三つある』

菫『一つ、それまでに宮永に飛ばされてしまっては意味がないこと。二つ、仮に飛ばされなくても、役満で逆転できなければ意味がないこと』

菫『これに関しては、渋谷は気にしなくていい。私と亦野は意地でも飛ばないし、点数が足りないようなら渋谷にもドンドン振り込んでいくつもりだ』












菫『そして三つめは……』







照「……それじゃ、サイコロ回すね」



東一局
親:尭深








菫(………なんだ? この、嫌な気配は……まるで、どこかから監視されているかのような……?)

菫(他の部員たちも何人か言っていたな。『宮永と打つと、東一局に嫌な視線を感じる』と)



菫(……この一週間、宮永の牌譜と対局ビデオだけを追い続けた………それを見ている限り、宮永には癖…というか、特徴がある)

菫(どんな相手であれ、東一局は絶対に和了らないこと…たとえ相手が格下であれ……)

菫(最初はその強すぎる故のハンデかとも思ったが…今年のインハイ決勝でも、東一局は和了に向かっていなかった。あの辻垣内や荒川が相手であるにも関わらずだ)



菫(…となると、あれが『手抜き』であるとは考えにくい。そして、この視線……むしろこれは、あいつが勝つために必要なプロセスなのではないか?)

菫(本気で打てないことに悩んで、部活を辞めようとしたほどだ。そういう意味であいつはきっと、『相手を選ばない』)

菫(誰に対しても全力で挑もうとしたのだろう。だからこそ、どんな相手であれ東一局は和了を狙わないんだ)





菫(…待っていろ、宮永。私たちは必ず勝つ。……もうお前を、孤独になんかさせない)



照(……前見た通り……。尭深はオーラスに最初の一打を持ってくる能力……ん? ……ふーん? どうやら本人も気づいてるっぽいね)

照(誠子は、三回鳴いたら有効牌を持ってくる能力……こっちはまだ無自覚かな?)

照(……うん。二人とも、まだまだ伸びしろがある。また打ちに来てくれてうれしいな)

照(さて…前はなんの能力もなかった菫は………うー…ん。残念だけど、平凡なまま……………っ!?)








菫「……………………」ジロッ








照(……見られてる? …………なにこれ……まるで私が照魔境でそうするかのように、私の動きがすべて…監視されてる………)

照(……そっか。菫はあくまで私に勝つことが目的だから、私だけを見ればいい……他の二人のことなんて、気にする必要がないんだ……)

照(なるほどね。オカルトに頼らずとも、実力で超えていこうってわけかぁ………誰だっけ? 長野に似たような選手がいたよね……? ……福路さんだ)オモイダシタ

照(……ツモった牌をどこに入れる? 理牌の特徴は? どの牌をよく見る? 字牌の上下は揃えるの? 萬子は? 索子は? 筒子でも向きを変えたりする? ……すべて、見られてる……)

照(………面白いっ! 私を倒そうとしてるんだもんね……そうこなくっちゃ!!)





菫『……私は今回、徹底的に宮永のみを狙う。二人は、私から直撃されることは考えなくていい。打ちたいように、ノビノビと打ってくれ』

菫『……ま、それじゃあ勝ちきれないから…最後には渋谷の能力に頼ることになるわけだけどな』

菫『後は渋谷。お前がどうするか、だよ』

尭深『………………』





誠子『……どうせなら、尭深の能力にもなんか名前つけません? こう、必殺技的な』

尭深『え?』

菫『……それもそうだな。うーん……『イヴァン雷帝(エゴイスティック・エンペラー)』とか!!』

誠子『確かにかっこいいですけど……オーラスに逆転する技なら………『偉大なる夢(アイ・アム・ア・ドリーマー)』とか…』

尭深『わ…技名とかいらないから……』

菫『そうか…それは残念だ……』





誠子「……あ、ツモりました。1300・700です」

照「………………」

誠子「っと、そのまま私の親ですね。このまま速度で押し切りたいなぁ……」

照「……誠子のそういう……『自分なら出来る!』みたいな考え方……いいね」

誠子「え? あ、ありがとうございます」

照「……頑張ってね? 私も、手は抜かないから……」





菫(東二局……こっから宮永は和了りはじめる。最初は低い打点から…徐々に点数を上げながら……)

菫(まずは第一関門…ここで飛んだら、元も子もない!)






尭深:23700
誠子:27700
菫:24300
照:24300





東二局
親:誠子




照「ツモ、500・300です」

誠子「え!? 私の番もう終わりですか!?」

照「手は抜かないって約束だからね」




菫(…やはり最初は低打点。速度を求めたといえばそれまでだが、もっと高めに手を育てることも出来たはずだ)

菫(これはどうなんだろうな? 単純に手を抜いているのか、少しでも長い間打ちたい故の工夫なのか、相手の心を折るための策なのか……もしかしたら、低い打点からしか和了れないデメリットという可能性もあるな)

菫(……いや、今はその中身はどうでもいい。今は宮永の手だけを追い続けろ…勝機は、この連荘の中にあるんだ……!)





尭深:23400
誠子:27200
菫:24000
照:25400




東三局
親:菫



照「ツモ、700・400」

菫「……私の親も、随分とあっさり流されてしまったな」

照「…次は私の親だね。ここが踏ん張りどころだから…頑張ってね?」

菫「…………」




尭深:23000
誠子:26800
菫:23300
照:26900




東四局
親:照



「ツモ、1000オール。一本場、入ります」


(そう。あいつの早和了は、親を流すための盾なんかじゃない。自分の親でバカみたいな点数を出すための、矛なんだよな)


尭深:22000
誠子:25800
菫:22300
照:29900




「尭深、それロン。3900は4200点。二本場…入ります」


(速度があるから誰にも止められない。止められないから、和了り続ける……)


尭深:17800
誠子:25800
菫:22300
照:34100




「菫、ロン。7700は8300。次、三本場」


(最強の盾と最強の矛、どっちが強いとかじゃない。どっちもを持った人間がいれば、それが最強だって話だ)


尭深:17800
誠子:25800
菫:14000
照:42400




「ツモ、3900オールは4200オール。四本場、入ります」


(だからこそ、武器を狙ってはいけない……狙うべきは…使い手!!)


尭深:13600
誠子:21600
菫:9800
照:55000



「ツモ。4000オールは4400オール」



(……頼む…………間に合え……っ!!)




「五本場……入ります」



尭深:9200
誠子:17200
菫:5400
照:68200




東四局、五本場




照「立直…」チャッ


菫(くっ…間に合わない……)







誠子「ポン!!」

菫「!?」





誠子「大丈夫です…ここで私が和了って、宮永先輩の連荘を止めて見せます……」

照「…………今の私に速度で挑もうっていうのは面白いけど…それだけじゃあ………」





尭深「ぽ、ポン!!」

菫「!?」

照「!?」







尭深「わ…私も……和了ることは出来なくても…鳴いて、宮永先輩のツモを邪魔することならできます……」

誠子「ここ一本、絶対に止めましょう!! 弘世先輩!!」





菫「………よし、。宮永の親、この局で絶対流すぞ!! まず取り除くのは、目の前の障害からだ!」

誠尭「はい!!」





照(う~ん…さすがに三対一でツモりあいになると、分が悪いかな? ……ま、それくらいしてくれないとむしろ困るんだけどね)

照(綺麗な勝負なんて望んでない。今、私が求めているのは、『なんとしても勝つ』っていう、ドロッドロの執念)

照(……なので対局中に喋りまくってることも、流してあげましょう)ワタシ、イイコ







菫(だが、このままでは駄目だ…! 親を流すだけでは、宮永には勝てない…)

菫(宮永に勝つためには、宮永の点数を減らさなくては……)

菫(……この一週間、この為だけに全てを費やしてきたんだ……これで間に合わなければ、意味がないんだ………っ!)

菫(次の局がラストチャンスだ……間に合え……!!)









誠子「弘世先輩、それロンです!!」

菫「……1000点のノミ手でさえ、2500点に化けるか…これで宮永の和了りなら、私がトンでいただろうな……」








照(…でも、私は和了れなかった。そして、貴女達は未来を戦う権利を得た……)

照(……だから、この局は貴女の勝ちだよ。菫)






尭深:9200
誠子:20700
菫:2900
照:67200





南一局
親:尭深











「………………間に合った………」











照(………? なんだろう、空気が変わった……なんで……?)



菫「………立直」





照(……念のため、照魔境で『視』といた方が………いや、ここで和了れないと、きっと流れを持ってかれる。差し込みで連荘が流れた今、少しでも強気に動いて、流れを取り戻さないと…)



菫「一発ツモ……は、ならずか」





照(………よし、菫に追いついた。役はないけど両面待ち。ここは追っかけて……)





照「リー…」

菫「ロン。……裏ドラは乗らず、3200」






照「!?」





照(七対子…事故だと思うこともできるけど…単騎待ちなら、普通字牌で待つはず……)

照(でも、菫は早めの段階で北と西を切ってる…他の字牌はすべてツモ切りだったし……)

照(点数が欲しかったから? でも、それならドラ単騎でいいはず。まだドラは一枚も見えてないのに、リーチしたのはおかしい……)

照(……でも、それが結果として、私に振り込ませた。筋引っ掛けでも字牌でも単騎待ちでもない、ただの七対子に)





菫「さ、次の局に行こう」




尭深:9200
誠子:20700
菫:6100
照:64000




南二局
親:誠子




誠子(……弘世先輩。もしかして…間に合ったのかなぁ……?)

尭深(ツモってから切るまでの動作がすっごく遅くなってる……そして、私たちに一切目線を向けなくなった)

誠子(……どうでもいいけど、それで寝不足なんですか? 目の下のクマがすごいとは思ったけど……)

尭深(じっと見る視線の怖さも重なって、すごく不機嫌に見える)




照「……リー」

菫「ロン。満貫だ」






照(また振り込んだ……照魔境、使いなおしたほうがいいかな…? ここから逆転されることはないと思うし…)




尭深:9200
誠子:20700
菫:14100
照:56000





南三局
親:菫




照(照魔境……対象は、菫)キィイイィイイイン

照(菫になにかの能力が目覚めたのなら、この局で対応すればいいだ……け………)

照(な、なにこれっ!?)





照(私が写ってる………ど、どういうこと?)





菫『この一週間の間に、私は二つのことをしなければならない』

誠子『二つ? 一つは尭深を味方にすることですよね…? もう一つは……?』





菫『この一週間で、宮永の麻雀を脳に焼き付ける』





菫『こういうとき、部長はいいよな。牌譜も対局ビデオも持ち出し放題だ』

誠子『け、権力乱用ですね……』

菫『これも部のためを思ってのことだ。それに、ついでに牌譜整理とかもする』







菫『私はこの一週間。宮永に勝つためだけに生きる』





照(なに? これは……どういう、こと?)




菫(わかる…宮永の牌が…読める…牌譜の情報が……イメージが!!! 体の中にどんどん入ってくる!!)

菫(打ちたい牌が多すぎる!! 考えてる暇がない!!)

菫(どうにかして振り込ませなきゃ…寄せて………)

菫(射ち取れ!!)







菫「ロン!! 5200点だ」











照(また振り込んだ!? まるで私の牌が読まれてる……ううん、私の全てが、見られてるみたい……)

照(………おもしろい………)



照「面白い…っ!!」





尭深:9200
誠子:20700
菫:19300
照:50800




照「……ねぇ、菫」

菫「なんだ?」

照「私の牌、見えてるでしょ?」

菫「……なんだ、バレてたのか」

照「ううん、今気付いたところ。……すごいね、どうやったら能力もなしに、そんなこと分かるの?」

菫「……簡単な話だ。お前の全挙動に目を凝らせば、どの牌を持ってるかなんて九割九分は絞り込める。ま、お前にしか通じない手だがな」

照「どうやって? 挙動だけで持ってる牌なんて、読めないと思うけど……」





菫「そこは対局ビデオ様様だな。この一週間、文字通り穴が開くほどテレビを見続けた。……理牌の特徴、牌の向き、どの牌から見るか、盲牌できる牌、一瞬見間違いそうになる牌、紛らわしいと思っている牌、目につきやすい牌、頼りにする役、リーチの基準、オリの基準、頭を掻くのはどんな時か、目を細めるのはどんな時か………寝る間も惜しんで、網膜の上に焼き付けた」

照「……………………」

菫「どうだ? 全て、お前に勝つためにしたことだ」





照「ごめん。そこまでされると、少し気持ち悪いかも……」

菫「」

照「……ま。そんなことなら、話は簡単だよね。要は菫が聴牌する前に、私がツモればいいんだから」

菫「あぁ。そうなると、私たちには手の出しようがない………さっきまでならな」

照「?」




菫「この局は、私とお前じゃない。私たち三人とお前の、速度勝負だ」






照「……なるほど。ここまでで、12局……次で、13局目だね」

照「そして尭深の捨てた牌は…白白白発発発中中中、萬子の3と5に東……尭深の能力で逆転圏内に入れるためには、私のツモと貴女達の差し込みの速さを競うことになるね」

菫「その通り。卑怯だと思うなら、罵ってくれても全然構わないぞ?」

照「この卑怯者ー」

菫「勝った方が正義だ」









照「その通り。だから私の姿勢はいつも正しかったし、私から逃げて行ったみんなは間違ってたんだ」

菫「…………」

照「だから私は、いつも孤独だったんだ………」



南三局・一本場




照「能力の都合上、立直は出来ないから教えてあげる。今、テンパったよ」



菫(くっ…ここにきて、加速しやがった)

菫(宮永は二萬、五萬待ちの分かりやすいタンピン。そして、私の手はまだ形になっていない)

菫(このままではツモり負ける。いや、そもそもこの局は渋谷に9600点以上差し込まないと、意味がないんだ)

菫(でなければ第二関門、渋谷の逆転圏内に辿り着くことができない……)

菫(渋谷はこの局で、東を切った。大三元の準備はほぼ完成。……だが、この局での渋谷の手は高くはなさそうだ。どうすれば……)



誠子「……カン!!」




照「!?」

菫「!?」

尭深「!?」




菫(……なるほど。槓でドラを増やして、渋谷の打点を底上げするつもりか……ナイスアイディアだ!)

菫(ならば、渋谷に差し込む以外に…こういう手もある!!)ポイ



誠子「それ、ポンです!!」



誠子「……よし、加槓です!!」



誠子「さらに、カン!!」






菫(よし。これでドラが乗ってくれていれば幸いなんだが……どうだ渋谷? これで和了れるか?)ポイッ




尭深「…ロン………7700は、8000」



菫(ぐっ……微妙に足りない……宮永と渋谷の点差は今ので33600点…役満の差し込みではギリで逆転できない……)





照「それじゃあ…南四局だね……もちろん、アガリ止めはありだよね?」

菫「……あぁ。お前が和了れば、お前の勝ちだ。そして、渋谷が和了れなかった場合も、お前の勝ちだ」





尭深:17200
誠子:20700
菫:11300
照:50800



南四局



尭深(…よし、能力はちゃんと決まった! 大三元の一向聴、四萬のカンチャン待ち)

尭深(…でも、これは宮永先輩にもバレてる……振込みは期待できない……)

尭深(だから、自分でツモらないと……)




菫『そして、三つめは………』




尭深(……なんとしても、ツモってみせる)




照(ふぅ…前の局で尭深の打点が低くてよかった……あそこで9600点よりも上だったら、差し込みでも負けてたもんね)

照(この点差なら、役満を和了られても逆転できない。ツモられたら別だけど、手を変えられないカンチャン待ちなんて、ツモ和了りも期待できない)

照(……『あの方法』なら逆転できないくもないけど、そうなると今度は差し込みの方が……)





菫「……立直」




誠子(そうか! リー棒が二本あれば、尭深の役満で宮永先輩をギリギリ捲れるようになる!!)

誠子(よし。私も今回は鳴かずに聴牌して、リー棒を…………あ)




照(そう、立直をかけるということは、手を変えれなくなるということ。つまり、意図的な差し込みが出来なくなる)

照(つまり、尭深が二萬や六萬を引いて待ちを広く変えた場合、菫と誠子は手の中にその当たり牌を持っていても、振り込むことができない)






誠子「……………立直」






照(……それでも、勝ちの目がある方に賭けてきたね。やっぱり、麻雀はこうでなくっちゃ!!)



菫(渋谷はまだ、ツモ切りばかり。つまり、待ちは変わってないはずだ)

菫(私でも、渋谷でも、亦野でもいい……。四萬を、引け!!!)





誠子「………ツモ……らず、ですね……」ポイッ



  四
  萬




菫「!?」

照「!?」








菫(さぁ……あとはお前が和了るだけだ………勇気を出せ!! 渋谷!!!)




尭深「………………」







     裏切った


誠子ちゃんの希望を踏みにじって
 親友を  臆病者 
    優しい笑顔

  誠子ちゃんは諦めてなかったのに
 大三元ツモ   宮永先輩から逃げた

    私は逃げた 
許さないで  麻雀が怖い

 大三元
   だいさんげん



イヤだ
イヤだ
イヤだ




照「………和了らないみたいだね。菫、ツモって」

誠子「あ、ちょ、ちょっと待ってください!! 尭深がこれを和了れば……」

菫「………いや。ツモっての長考ならまだしも、他人が捨てた牌に対してそんなに長考されると、対局が全然進まなくなる。和了らないなら私がツモるが、いいな? 渋谷」




尭深「………はい」










菫『そして、三つめは………渋谷。お前が役満を和了れるかどうかだ』





菫『一番の理想は宮永が振り込むことだが…まぁ、これはないだろう』

菫『次に理想的なのは、渋谷のツモ。これなら48000点までひっくり返せるからな』



菫『問題は、私たちが渋谷に差し込まなければならなくなった場合だ』



菫『渋谷。お前、私や亦野から役満を和了れるか?』








尭深(……ごめんなさい、弘世先輩。……やっぱり私には、できない……。仲間を切り捨ててまで、勝利を手に入れたくなんて……!! 私は前に…進めない……)




誠子「……まだ……まだチャンスはあるっ!! 尭深が張りなおして、私が振り込めば……! いや、尭深がツモってもいい!! まだ、諦めるには早いよ……!!」

尭深「………誠子ちゃん………?」



誠子「何度だって、尭深が和了るまで……私は、尭深の当たり牌を、掴み続けてみせる!!」




尭深「…………誠子ちゃん………」



菫「渋谷。お前は臆病なだけだと、私は言った」



菫「違う。臆病な『だけ』ではない。お前はちゃんと、優しさだって持っている」



菫「お前の優しさとは、人を傷つけることに対する臆病。お前の臆病とは、自分が我慢することで他人の幸せを願う優しさ」



菫「いつか、亦野が言っていた。今のお前は、まるで地雷原にいるようだと」



菫「違う。お前が踏むのを恐れているのは、地雷ではない。……地面に撒いた、花の種だ」



菫「自分が傷つく覚悟と、他人を傷つける覚悟は全然違う」



菫「お前は、他人を傷つける覚悟ができない……優しい人間なんだ……」









菫「だが、お前は踏みにじっているんだ!! 亦野が決めた、自分が傷つく覚悟を!!」



菫「本当に仲間のことを思うなら、亦野の覚悟を認めてやれ!! お前が勝たないと、全てが無駄になるんだぞ!!」



尭深(……そんなこと言ったって……私には、他人を傷つけることなんて………)





尭深(……でも、誠子ちゃんは…そんな私のために、傷つこうとしてくれた……私が和了るまで、当たり牌を掴み続けるって、言ってくれた)

尭深(……それに、ここで私が勝たないと…今度は宮永先輩が孤独になって……傷ついちゃう……)

尭深(……どうすればいいの? 私は…どうすれば…………)




誠子「大丈夫、私は信じてる。尭深は人を傷つけたって、そのことに自分で傷つけれる人間だって」

誠子「だから、私も尭深のことを傷つける。こうやってトラウマを抉って、傷つけてる」

誠子「そして、自分も傷ついてる。尭深を傷つけたことに」

誠子「嫌いな人は相手だと上手くいかないかもしれないけど……尭深なら大丈夫。傷つけあった数だけ、お互いに強くなれる」

誠子「だから…傷つきあおうよ。尭深」






尭深「誠子ちゃん………」



尭深「……………………」タン




  三
  萬







菫(張りなおした…? これでフリテンは解消されたが…本当にテンパっているのか…?)

菫(…理想的なのは、六萬をツモっての47萬待ちだが……いや、大丈夫だ。渋谷を、そして亦野を信じろ)

菫(あの二人なら、きっと………)



誠子「……なんでだろうね。これ、分かるんだ…尭深の当たり牌だって」

誠子「…惜しいね。大会ルールじゃ、ダブル役満はないんだってさ」

誠子「尭深の好きな方を言うといいよ。…………はい」









  五
  萬




菫(…地雷なんかじゃない。渋谷の優しさは、植えた種を踏まないためのもの…)

菫(だから、もう大丈夫。お前が植えた種は、みんな立派に育った。亦野が育ててくれたんだ)

菫(怖がることはなにもない。もうお前は、種を踏む心配なんてないんだから)



菫(立ち上がれ。今が、収穫の時だ!!)










「ロン。大三元です」



尭深(誠子ちゃんに、申し訳ないと思っている)

尭深(『ごめんなさい』と、思っている)

尭深(謝りたいと、感じている)



尭深(……あぁ。だから『感謝』っていうんだ……)

尭深(…じゃあ、私が言うべき言葉は、ごめんなさいじゃなくて……)








「ありがとう、誠子ちゃん」

「どういたしまして」









尭深:51200
誠子:-12300
菫:10300
照:50800




終局
















照「………あー、楽しかった」

菫「約束だぞ? 私たちが勝ったら、ちゃんと部活に…」

照「分かってるって。照だけに」

菫「ホントか? まぁ分かってるなら別にいいが……」



照「あ、でも一つ。最後のやつは大会ではやらない方がいいよ? あからさまだと厳重注意、最悪失格だってあるかもしれないから」

菫「最後の? なんのことだ?」







照「最後の立直……あれ、ノーテンでしょ?」

菫「…なんだ、そこまでバレてたのか」



照「なんとなくね。ま、私としては面白かったから別にいいけど…」

菫「そこまで見透かされていると、勝った気がしないな。三対一でもギリギリだったしな」

照「実際に麻雀の腕だけで見たら、私の方が圧倒的に上だしね」

菫「おぉう…バッサリと言うなぁ……」




照「でも、私は貴女の闘牌に、心を掴まれた」

照「私のために、どんな手でも尽くしてくれる貴女に、ココロを掴まれた」




照「だから、この勝負は菫の勝ちだよ」

菫「…………………」



「なぁ、宮永。お前、私たちのチー…」

「照」

「え?」

「……照だよ。菫」






「照。私たちのチームに入らないか? チーム虎姫には、お前が必要だ」

「いいよ。……チーム虎姫…かっこいい名前だね」

「そうだろ? そう思うだろ? ……それでは…………」






「ようこそ、お姫様。チーム虎姫へ」




「なにが姫だ」







~暴君攻略編~
~地雷撤去編~


カンッ

というわけで、二人攻略完了。
次は誰でしょうかねぇ?

眠いので寝ます。
おやすみなさい。

こんばんわ。

めっさ時間があいてしまいました。
しかもあんま書けてないという……。

これは土下埋まりが必要かもしれませんね。


とりあえず投下します。








「はぁ~あ…つまんない~。こんなことなら、大会出とけばよかったかなぁ…」

「…でも、今年の優勝者もあんま強そうじゃなかったよね~。なんか、力出し切れてなさそうだったし」

「…はぁ~あ…さっきから溜め息ばっか…どっかに強そうなやついない……か…」

「……え…? あれって………」












「ここ………どこ……?」

「……いや、まだ慌てるような時間じゃない」

「今の私は、これまでの私とは違う。なぜなら……菫の電話番号を知っているから!!」ババーン

「さっそく電話………あ、もしもし菫? ……そう、道に迷って………近くに何があるか? えっと…………ビルが見える……交差点にいるよ?」

「え? もっと具体的に? ………ん~……あ、金髪の女の子が近くにいる交差点」

「それじゃあ分からない? それじゃあそれじゃあ……あ、ちょっと待ってて」







「すいません。ここってなんていう場所か分か……」

「…な……るだ……」

「え?」









淡「宮永照だぁっ!!!」

照「?」



















菫(照を味方に着けてから、部の雰囲気は激変した)

菫(三人がかりとはいえ、照に勝ったという事実は私たちの評価をかなり高くしたようだ)

菫(照が所属しているということもあり、気が付けば私たち『チーム虎姫』の四人は白糸台の一軍として扱われるようになっていた)

菫(………そう。私たち、『四人』だ)






菫「一人、足りない」





菫「というわけでチーム虎姫、緊急作戦会議を始める。議題は『五人目のメンバーについて』!!」





誠子「とは言っても、ほとんどのチームは大体メンバーが揃ってますからねぇ」

照「私のチームにいた人達も誘ってみたけど、無理って言われた。嫌じゃなくて無理だって、念を押されて言われた」

誠子「まぁ、気持ちは分からなくもないです。かなりトラウマになりますからね、宮永先輩の麻雀は」

照「すこやんよりはマシ」

菫「十年後にお前がそういう扱いを受ける可能性だってあるんだぞ?」

照「小鍜治プロが『すこやん』なら、私は『てるん』?」

菫「いや、もっとこう…あるだろ? てるりんとか、てるるんとか」

尭深「話が逸れてますよ?」





菫「さて、どうするか。聞いた話によると、監督は秋季大会の代表にも虎姫を出すつもりらしいし…」



照「秋は虎姫を隠して、別のチームを出すのはどう? 能力と雀力のデータをとらせないためにも」

菫「お前はそれでいいかもしれないが、私たちはそうもいかない。なんといっても、今まで公式戦に出たことなんて一度もないからな」

誠子「ですね。中学生の時はともかく、高校はずっと補欠でしたし」

尭深「私も。中学の時しかレギュラーになったことなんてないです……」

菫「私は中学の頃すら補欠だったがな」



照「でも、今の菫はかなり強いよ? この前の一戦で化けた。今なら県代表クラスの力はあると思う」

菫「白糸台の一軍は下手な県代表クラスよりも強いんだろ? じゃあ、私もまだまだだな」

照「そうだね。そうやって油断しないところは、菫のいいところ」

菫「というわけで、だ。自分の実力を図る目的も兼ねて、私は秋季大会に出たいんだ。最悪、優勝は逃してもいいと思っている」

照「なるほどね。……じゃあ、私は出ない方がいいかな? 実力を図るなら、菫たちだけで戦う方がいいでしょ?」

菫「それもそうだな。となると、メンバーは二人集めないといけないのか……大会出場のハードルが上がったな」







照「……あ。でも、来年の新メンバーなら一人、候補がいる」

菫「来年の? 随分と気が早いじゃないか……どこで知り合った?」

照「この前、道に迷ったときに菫も会ったでしょ? 金髪の女の子」

菫「あぁ、あいつか。…大星っていったか……あいつ、強いのか?」

照「かなり。直接打ったわけじゃないから断言はできないけど、今年の大会から出てきてた、神代さんや天江さん相手にも張り合える力はあると思う」

菫「おいおい化け物か。お前より強いのか?」

照「まだ負けないかな。ただ、いつか私より強くなる可能性はある」

菫「なるほどな。……ま、来年は来年、まずは今年のメンバー集めからだな。大星が入学する前にチーム虎姫がなくなってたら意味がないし、今年は私たちだけで結果を出してみるか」

照「頑張ってね。応援してる」
















「マジか!? オーラスから…あいつの能力か…!! 逆転しやがった」



「あいつの鳴き!! キカイみたいに正確だぞ!?」



「気を付けろ!! 白糸台の部長、1対1誘ってるぞ!! その後すぐ余剰牌狙ってくる!!」











照「優勝おめでとう。まさか本当に優勝するとは思わなかった」

菫「毎日のように高校最強に鍛えられているからな。それでも優勝できるとは思わなかったが」

照「でも、これで貴女達は名実ともに白糸台の一軍を名乗れるようになった。素直にすごいと思う」

菫「ここで勝っても意味はないんだがな。あくまで目指すは、全国優勝だ」















淡「へぇ~? 白糸台って、あの宮永照のいる高校っていうから見に来たけど…中々みんな面白い打ち方するじゃん?」

淡「…うん! やっぱり高校は白糸台にしよう! 宮永照以外の相手をするのも楽しそう!!」

淡「あ~、楽しみだなぁ。あいつもこいつも、みんなみんな……」








淡「叩っ斬りたいなぁっ!!!」










~刀魂全開編~




というわけで、次の攻略対象は高校100年生です。


もうちょっと投下速度あげたい。
それではおやすみなさい。

こんばんわ&お久しぶりです&申し訳ございません。

事後報告になりますが、ここ一か月ほど私用でゴタゴタしまして、全く投下できませんでした。すいません。
ようやく一段落付いたので、書き溜めが出来次第、また投下していきたいと思います。


ですので、すぐには投下できませんが、もう少しだけお待ちください。

…何!? 今…何て…リーチ!? リーチって言ったのか!?

夜遅くにこんばんわ。

あわあわ編が地味に長くなりそう。
とりあえずできた分だけ投下していくよー。



>>129
菫「頼む、リー棒だ!! リー棒を出してくれ!!」

虎姫にも春がやってきた。


別に男が出来たとか、私たちの青春はこれからだとか、そんなんじゃない。
ただ普通に、物理的に、春がやってきた。



やれ桜前線だとか、やれ花粉症だとか、やれ黄砂だとか。

そんなこんなに紛れて、白糸台麻雀部にも嵐がやってきた。



大星淡である。

淡「ねぇねぇ宮永先輩! さっそく打ちましょーよーっ!」

照「……それは出来ない」

淡「えー? なんで~?」

菫「お前の実力がまだ分かっていないからだよ、大星。スカウトで集められた実力者ならともかく、一般入試組のお前がいきなりチームのエースと対局なんて出来るわけないだろ?」

淡「別にあなたには訊いてないですよーだ。それに私、宮永照…じゃなかった、宮永先輩以外には負けると思ってないし。というか宮永先輩にも負けると思ってないし」

菫「口だけならなんとでも言える。まずは実力を示してからだ。お前に本当に実力があるのなら、二週間後には照と麻雀を打てるようになってるはずだ」

淡「え~? めんどっちいな~。…まぁ、二週間の辛抱だし、別にいっか」






………そんな会話をしたのが二週間前。
私は今、大星淡と同じ卓を囲んでいる。




………こいつ、本当に二週間でここまで上がってきやがった。






淡「ねぇねぇ。チーム虎姫って、白糸台の一軍なんだよね?」

菫「今はな。あと敬語使え」

淡「それで、そのチーム虎姫のキャプテンの弘世先輩。それと対局してる私」

菫「………何が言いたい?」







淡「ここで私が勝ったら、宮永照と戦ってもいいよね?」



菫「………そうだな。だが、私とて簡単に負けてやるつもりはないぞ?」

淡「無理無理。部長さんの麻雀じゃ私には勝てないよ」







菫(また五向聴。……偶然の一言で片付けられなくもないが………大星がなんかやっていると考えて、間違いないだろう。…昨年の団体戦でも似たようなことをやらかしてたヤツがいたなぁ。確か…天江衣、だったか)

菫(天江衣の対局では、対戦相手の手が一向聴で止まることが多かった。それと同じようなものか……五向聴縛り…厄介だな)

菫(まぁ、それはまだいい。問題は………)




淡「リーチ!!」




菫(ダブルリーチ、こっちの方だ)





菫(ヤバいぞ、これ。実力差もさることながら、相性が最悪だ…)

菫(ラックがそこまで高いわけではない。牌効率の計算も早くはない。読みと、直撃だけに狙いを絞った手作りで、ようやく人並みに戦えるようになったというのに……こう毎回ダブルリーチされてちゃどちらも生かせん)

菫(困った……)








淡「ツモ! 点数は今までと同じねー」

菫「………………………」





菫(ちゃんと点数申告しろと言いたいが…本当に今までと同じだから笑えない。なんだこれ……本当に麻雀か?)

菫(…これに比べれば、照との対局はまだ麻雀だった。照だって、少なくとも手作りというものをしていた……………これは、なんだ?)





淡「もっかい、ダブルリーチ!!」





菫(こっちの手は遅く、大星はダブリーからカンして和了るだけ……こんなものを、麻雀と呼んでいいのか?)





淡「んしょっと…カン!!」





菫(こいつ…………下手すりゃ照よりも………!?)




淡「ツモ。今まで通り、ハネ満っ!!」





淡「……あ~ぁ…結局、いつも通り。『コレ』だけで、叩っ切っちゃった」

照「……………………」







淡「………さ、て、と。ようやく打ち合えるね……宮永照!!」








照「………菫」

菫「なんだ? 負けたことに対する説教なら後で……」

照「本気…出すね」

菫「……………あぁ。思う存分、やってこい」







照「淡」

淡「何? てr…宮永先輩」

照「…………貴女の実力が高いことはよくわかった」








「次は私を………叩き切ってみなさい」




とりあえずここまで。

次は割と早めに投下できるかも?



今日は眠いので寝ます、おやすみなさい。




どうでもいいけど、白糸台女子高なのかよ。
ここにいた男子部員たちは照の妄想が生み出した産物なんだろうな、きっと。
もしくは幽霊。

こんばんは。

淡の能力がよく分からん。
全然書けてないけど、今できてる分だけ投下するよー。

東一局





淡「さてさて、最初っからブンブン行くよ~っ! 最初の配牌は……っと!」



菫(照の配牌、淡の表情……まただ。さっきの対局で、嫌というほど見せられた展開……)



淡「来た来た…リーチ!!」



菫(…もはや疑いようもない。……淡の能力は…『配牌五向聴縛り』……『確定ダブルリーチ』…そして……)



淡「ん…と、カン!」



菫(『カン裏』。……たった、これら三つのことで防御、速度、打点…その全てを両立させている……)

淡「さて、と。次のツモは~?」




菫(小学生が考えたような、シンプルすぎる強さ。……それゆえに、誰にも止められない)




淡「ツモった! 6000・3000」




菫(勝てるヴィジョンが見えない……こんな化け物、どうやって倒せばいいんだ)







照「……………はい、点棒」








菫(…………それでもなお、照が負けるところを想像出来ないのが、恐ろしいよ)






……ーン…。




東二局



淡「………東一局は様子見? なんか、嫌~な視線を感じたけど?」

照「………それ、チー」

淡「沈黙は皇帝と受け取るよ? サイレントエンペラーだねっ!!」

照「……?」






菫(照が鳴いた? 早和了で仕掛けていくのか………だが、ダブリー相手に五向聴から仕掛けて、間に合うのか……)

菫(………照の手は、やはり五向聴だった。つまり単純に考えて、淡の支配力は照を上回っているということ……だが、そのまま黙ってやられる照ではないはず)

菫(……どうやって五向聴縛りを破るのか……今後の参考に、見せてもらうとするか)






照「ロン。役牌のみ」

淡「安っ!? そんなのじゃ何回和了っても追いつけないよっ!?」

照「……分かってるくせに」

淡「……んっふふ~。こっからどんどん高くなってくんでしょ? いいねいいね~、楽しみだねぇ!」

菫(今回は照が先に和了ったか……だが、淡の言うように打点は低い。淡が一度の和了で絶対に跳満以上を出す以上、普通に戦えば稼ぎ負ける…)

菫(低打点も、いつもの照だと思えばよくあることだが……果たして連続和了を許してもらえるかどうか……)

菫(照は和了る度に打点と聴牌速度が上がっていく……それでも、淡の五向聴縛りを抜け出せる保障はない…)

菫(まして、聴牌速度だけ見るなら、確定でダブリーできる淡の方が上。……涼しい顔をしているが、勝てるんだろうな? 照)






……カ…ーン…。




照「ツモ。タンヤオ三色」

照「ツモ。対々役牌」

照「ロン。ピンフ一通赤1」





淡「……凄い」

照「一本場、入ります」

淡「あれから毎局和了ってる……それに、本当に和了るごとに点数高くなるんだ。………しかもこれ、高くなってるだけじゃないよね? テレビで見た時より、早くなってない?」





照「……貴女に合わせて、速度に特化してみた。鳴くから打点はさらに下がっちゃうけど………角にたどり着く前には、ほぼ確実に和了れる」

淡「!? ……へぇ? そこまで気付いてるんだ……」




照「色々考えてみたけど…これが『貴女の』五向聴縛りの、一番簡単な対処法」

照「…配牌五向聴を破れないなら、最速の六順目で和了ればいい。貴女が角…9、あるいは10順目まで待ってくれるなら、そもそも支配なんて破る必要すらない。…少なくとも、私なら先に和了れる」



淡「………………………」







菫(……こんな反則染みた能力が、破る破らないの勝負にすらならないのか…この化け物め。……私が戦うとしたら…どうすれば……?)





照「本気で来て。…ダブリーだけが貴女の麻雀じゃないでしょ?」







……ーン……カァー…。









「おもしろい……」









…ーン…。

カ…ァーン…。









菫(………さっきから、気のせいか? 何かの、音が聞こえるような……)









カァーン…カァーン…。









菫(何かを叩くような…違う、何かを『打つ』ような)









カァーン…カァーン…カーン…カーン…。









淡(ずっと探してきた。ダブリーを使う必要すらない奴。ダブリーだけで手も足も出なくなるような奴)









カーン…カン……カーンカーン…。









淡(どいつもこいつもつまらない。そんな人たちと麻雀打っても、私は強くなれない)









カーンカーンカーンカーン。









淡(もっと…もっと…もっと、もっと、もっともっともっともっと……もっと強い人と打ちたい!!)









カン…カンカン…カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン……。









淡(やっと見つけた……私と……)









カーンッ!!!









淡(『打ち』合える人!!!)





淡(この人を……叩っ切る!!!)




今回はここまでです。
淡の麻雀書きにくい…なんか脳筋になってまう……。


どうでもよくない話だけど、ソルキチやっぱおもしろすぎだろ。
止められない淵先輩、割とギャーギャー言うタイプの人だったのね。
あそこから第一話カラー背景の笑顔になるかと思うと宗篤。


おやすみなさい。
誰も見てなくても気にしない。

お久しぶりDEATH!

かなりお時間開けてしまいましたね、すみません。
こんなスレ、刹那で忘れちゃったとか言わないでくださいお願いします。
一応今回で淡vs照が終わりです。
点数とか書いてなくてかなり適当ですがお許しください。

それでは投下していきます。

淡「♪~♪♪~」





菫(照の手は…六向聴。まだ淡の支配は生きているようだが……なんだ? さっきまでと空気が違う…)

菫(照の打点的に、次は4翻か? 立直が掛けれるのならそんな時間がかかる手でもないはずだが……どうなるやら)







淡「んっふふ~、今回はダブリーはなしだよ~? えいっ!」

照「…………」







菫(ダブリーは、かけれなかったのか。それともかけなかったのか…ここで淡の真の実力が見れるというわけか?)







淡「あれれ~? 鳴かないの? テルー…あ、それポン」

照「淡がダブリーしないなら、わざわざ鳴く必要もないでしょ?」

淡「ふっふーん、それはどうかな~? ………あ、それもポン」








菫(……淡のやつ、ダブリーなしでもちゃんと打てるのか。だが、ただ鳴くだけでは照の連続和了は止められ……)

淡「………カン!」





菫(!? ダブリーなしでもカンは出来るのか!? というかこの場合カン裏って……)





淡「……っと、ツモ! 槓ドラって後だっけ? 先だっけ?」

菫「……暗槓は先、明槓は後だ」

淡「やった! ラッキー!! …それじゃあリンシャンカイホウ&ドラ4だね!」

照「………ダブリーは『しなかった』んだね」

淡「ん~、なんのことかな~?」





菫(……今の局。捨て牌と和了の形を見るに、淡は最初からテンパってたはず。それを和了らず、鳴いて照の有効牌を喰いながら手を作ったのか……)

菫(普段の照ならいざ知らず、今は淡の配牌支配の下…さらにさっきまで速度に特化した連続和了だった。打点を上げるのもそう簡単にはいかないか……ただ、あまり淡らしい打ち方とは言えない局だったな)





淡「よーし、それじゃあ南場だねっ! ブンブン和了っていくよー!」






カンカンガンガンカンカンカンカンカンカン!!









淡「よーし、先制リーチ!!」

菫「…今度は普通のリーチ。しかも……」

照「また最初からテンパってたよね? 待ちをよくしたのかな?」

淡「おー、バレたかぁー。………ま」







淡「止められなければ意味ないけどね…ツモ!!」








菫「……お手本のようなメンタンピン。さっきまでに比べて、随分麻雀らしい麻雀じゃないか」

淡「む。さては部長さんったら、私のこと舐めてたでしょ? ダブリーなんかなくったって私は最強なんだからね!?」







ガンガンギギンガンガンガンガンギンギンガンガン








淡「それポン!! ………そういえば、虎姫にすっごく鳴く人がいたよね?」

照「……………誠子のこと?」

淡「そうそう! 強さはともかく、あの人の鳴きはおもしろいよね!! 強気で攻めるのと、安全に攻めるのを同時にしてる……こんな感じかな? チー!!」

照「……………」

淡「……よぉし、ツモ!! 点数は低目だけど、テルーは嫌なんじゃない? 速度重視の鳴き麻雀と配牌支配のコンボは」

照「……………」

淡「さ、て、と。連荘連荘♪」






菫(…今の一局、確かに亦野と似ていた。能力そのものじゃなく、オリを残しながらも強気で鳴く打ち方が、だ)

菫(そこに淡自身の配牌支配。こいつ…亦野の打ち方にアレンジを?)






ギギギンガガンガンガンギンギンガガガガガガガガン








淡「ん~、なかなか難しいねぇ。この辺……なのかな?」

照「………残念だけど、その打ち方は私には通じないよ? 虎姫…ううん、白糸台で一番よく打ってる相手の打ち方だから」

淡「え~っ!? そういうのは先に言ってよ!! せっかく寄せてみたのに」

照「……………胸を?」

淡「牌をだよっ!? っていうか照って全然むね……」

照「それ以上言ったら、対局とか関係なくぶちのめすよ?」

淡「ご……ごめん………あ、流局だ」







菫(……会話の内容はふざけているが、こいつ……私のシャープシュートの真似してた? それも、明らかに照を狙って)

菫(ダブリーだけのトンデモ雀士だと思ったが…こいつ、打ち方が多彩だ)

菫(……もしかして、こいつの強さって……)










ガガガッガガガギギギンギギギギギン








淡「……そういえば、インターミドルのチャンピオンの打ち方も強そうだったなぁ。出来るかな?」

菫「インターミドル優勝者……確か去年は…原村、だったか?」

淡「だったっけ? 要は多く引けそうな牌の周りを残せばいいんだよね? 簡単簡単」

菫「流石に舐めすぎだろ……」








菫(……とは言ったものの、基本は抑えている。ただ待ちが多い方ではなく、残っている牌の枚数で待つ。安手ならリスクは踏まず安牌を打って手替わりを待つ)

菫(問題は、本当に淡がデジタル打ちを理解しているかだ。これがただ原村の打ち方を真似てるだけなら、ちょっとやばすぎるぞ。こいつ)









照「……淡、それロン。タンヤオのみ」

淡「相変わらず安っ。そしてやっぱ"でじたる"は難しいねぇ、親流れちゃった」

照「…あと二局。逆転は出来そう?」

淡「まっかせて!! 点差もあんまないし、周りを飛ばすだけでも勝てるけど、テルーに直撃当てて勝ってみせるよ!!」






ギンギンギンギンガンガンギンギンギンガガガガガンギンギンギギギン








菫(照はまだ連荘を始めたばかり…ここで稼がないと少しマズいぞ……)



菫(もう疑う余地もない…淡は強い、化け物のように)

菫(配牌支配、ダブリー、カン裏。そのどれらも強力なものだったが…淡の一番の武器ではない)





菫(淡の一番の武器……最強、一位への異常なまでの執着。その為なら、自分の打ち筋だって曲げることができる強さ)

菫(……結局、淡の強さを引き出したのは照か……やはり化け物同士…私たち凡人じゃ到底たどり着けないというのか………)





淡「……まだテルーの連荘も始まったばっか。そんなに和了りも早くないよね?」

淡「じゃあ、ここは純粋な力と速さの勝負だよ……ダブルリーチ!!」

照「………面白いね、それ……じゃあ、リーチ…」



菫(ここにきて両者リーチ…なんでそんなポンポンとリーチがかけれるんだよ。さて、捲り勝つのはどっちか……)

菫(…ラス親が残っているとはいえ、ここで和了れないとキツイぞ……照。……勝てるんだろうな?)





淡「……ぬっふふ~。この勝負、貰ったかなぁ~? それロン!!」

菫「!?」

照「………………」

淡「ダブリーだけだけど、逆転だね!! あとは最後の一局を和了らせなければいいだけ……この勝負、貰ったよ!! テルー!!!!」






ギギギギギギギギギギンギンギンギギギン





菫(ウソだろ………照が、負ける? あの高校最強が? あの照が? そんな……あり得ない………)






淡(ふっふふ~、ありがとね~。あなたのおかげで私は更に強くなれそうだよ、テルー!!)






照「…………………」











ギ……







淡「!?」ゾクッ










ギ…ギギ……






淡(な、なに? 今の音……私の音じゃない……何の音!?)






ギギィ……ギギギギギィ~………





淡(私の『打つ』音じゃない……まるで、そう! 扉を開くような……重い音……)









ギギギギギギ……ギギ…………







淡(何? 何が起こるの? いったい……)









「―――――――――――――っ」




































照「………ありがとうございました」

淡「………………………あ、……ありがとう……ございました………」











菫「…………まだ、あんな能力を隠し持ってたのか……。高校最強…この、化け物め………」




とりあえず今日はここまでです。

投下遅すぎて申し訳ないです(土下埋まり)。
あと菫VS淡やったら完結ももうすぐなので、適当にお付き合いください。

今日はもう寝ます。
おやすみなさい。

あけましておめでとうございます。
一昨日に書き溜めが消えたり、休みが無かったり、投下予定日に書き溜めが消えたりで全然投下できず申し訳ありません。
全部言い訳ですね、はい。

とりあえず復元できたところまで投下しますね。

新入部員、大星淡と我が部のエース、宮永照との対局から一週間が過ぎた。







菫「大星を春大会のメンバーに?」

照「うん。どうかな?」

菫「ん~…どうと言われても…。まぁ実力は申し分ないと思うが……」

照「実力もだけど、淡には夏までに少しでも公式戦に慣れてほしくて。今のところ、チーム虎姫の最後のメンバーの最有力候補だから」

菫「ふむ…。だが、チーム虎姫候補なら、むしろ夏まで隠しておいた方がいいんじゃないか? 大星の強さはもうみんな知っているから反論もないだろうし、大星は公式戦の出場記録がないからその方が対策も取られにくい」

照「私もそれは考えた。でも、淡は打てば打つだけ強くなるから、やっぱり大会に出た方がいいかなって思って。……それに、隠すべきはむしろ……」

菫「渋谷の方……か?」






照「うん。尭深の能力はとても優秀だけど、対策も取りやすい。だから、少しでも人目には付かないようにしたいよね」

菫「それに関しては私も賛成だ。能力そのものの対策はしにくい亦野、そもそも能力のない私、すでに能力が知れ渡ってるお前に比べて、渋谷の能力はバレることによるデメリットがデカすぎる。他の面子に結託されて、早和了でもされたらたまらないからな」

照「そういうこと」




菫「と、なると。春大会は虎姫はお休みか? 大星を主軸に据えた新チーム……そうだな、去年の主力チームの上級生の抜けた穴に大星を入れ……」

照「ううん。チーム虎姫を土台に、尭深を外して淡を入れた変則チームがいいかなって、私は思ってる」



菫「ほう。その理由は?」

照「まず、私は当然出るべき。なぜなら、インターハイに出てきそうな主力選手を照魔境でリサーチしておきたいから」

菫「まぁそこはいつも通りだな。亦野は?」

照「誠子は単純に、もっと試合に慣れてほしい。誠子は強気な攻めが持ち味なのに、団体戦になると保守的な打ち方になる傾向があるから」

菫「まぁ、お前の作った大量リードを守ろうと思うと、攻めがネガティブになる気持ちは分かる」

照「もっとガンガン攻めていく打ち方が誠子の本来の打ち方。それを団体戦でも出せるようにしてほしいから」




菫「私は?」

照「菫の打ち方は、むしろみんなにどんどんバレるべき。直撃される恐怖を戦う前から植え込んでおくことは、後々生きてくるはず」

菫「なるほどな」

照「私が今考えている最終的なチームの構図は私、菫、尭深、誠子、淡の並び。私が削って、沈んだ一人を菫が狙い打つ。尭深も誠子もツモる能力だから、相手がオリに徹してくれた方が力を発揮できる」

菫「ふむ……さっきから聞いてたら、なんか随分と攻撃に片寄った組み合わせだな。そんなので大丈夫か?」

照「攻撃は最大の防御って言うでしょ? 誰か一人を沈めやすい状態にして、他の2チームに二位争いを強要することが、そのまま私たちの防御になる」

菫「ふーん? ……でも、それなら大星か渋谷が次鋒の方がいいんじゃないか? それでツモで削って、私のシャープシュートの……そうだな。シャープシュートのキリングレンジに入った敵を狙い打って一位抜けを確定した方が………何がおかしい?」







照「しゃ…シャープシュートの……プッ、き…キリングレンジって………んふふっ」

菫「………どうせ私のネーミングセンスはださいですよー」

照「そんなことはない。虎姫っていう名前『は』私も気に入ってる」

菫「『は』を強調するな。『は』を」

照「………キリングレンジ………ふふ…。……キリングレンジ…オブ……シャープシューター……かっこつけすぎ……」ププ

菫「……………」

照「ごほん。ちょっと話がそれたね。まぁ、菫の作戦も一理あるよ? 部長は菫だし、最終的には監督と菫にメンバーの決定権はある。………ただ………」

菫「ただ……?」








照「個人的には、菫がすぐ後ろにいてくれるのが……一番嬉しいかな?」

菫「………キリングレンジだけどな」

照「……………ププッ」

菫「笑うな!! お前だって今恥ずかしいこと言っただろ!?」

照「あ、恥ずかしいって自覚はあったんだ。キリングレンジ・オブ・シャープシューター」

菫「お前が笑うからだ! というか変な呼び方するな」

照「……とはいっても。その前に問題が一つ残ってるよね」

菫「……大星のことか?」

照「うん。淡はまだ私のことしか認めてないみたいだから。菫の言うことは聞いてくれないかも」

菫「ポ○モンかっての。……まぁ、そこは私がなんとかするさ」

照「なんとかって、心当たりはあるの?」

菫「当たり前だ。私をなんだと思っている。これでも白糸台の部長だぞ?」

照「……でも、どうやって言うこと聞いてもらうの?」

菫「決まっているだろ?」










菫「麻雀で勝って認めさせる」

照「……菫ってさ? たまにとてつもないバカだよね」

菫「なんだとっ!? 誰がバカだ、誰が」

ここまでしかできてないです。

とは言っても、大体話の内容は出来てるので、次の投下は結構早めかも?
書き溜め前にはなかったジェイソン先輩ネタとかも入れていきたい。


「淡の『刀』が、菫の『弓矢』に射抜かれた!?」

的な?



そんな感じで、とりあえずおやすみなさい。

ごめんなさい。
2か月近く放置してしまって。

ようやく投下する余裕ができましたので、投下します。


一応今日であわあわ編が終わる予定です。

菫『大星、頼みがあるんだ。……もう一度、私と対局してほしい』







そんなことを言われたのが、今朝のこと。


わざわざ一年の教室まできて、頭を下げられて。
回りの人が見てるのもお構いなし。


部長さん、もっと自分の人気を自覚すべきだよ……。
あの後私が同級生たちにどれだけ問い詰められたと思ってるんだか。




まぁ、『私は君が欲しい』なんて言われなかっただけマシだと思わなきゃ。
部長さんにそんなこと言われたら、背後から誰かに刺されてもおかしくないし。




というわけで、はい。

嫌です。













菫『え ? 嫌? ……あっ。……なるほどなるほど。つまりあれだ、大星。……お前、私と戦うのが怖いわけだ』

ムカッチーン。
なんで私が自分より弱い人にビビらなきゃいけないわけ?

あなたと打つよりも、テルーと打った方が楽しいってだけだもん。






菫『まぁ照は私との対局、断ったことないけどな。ふむふむ…こんなところからすでに差が生まれているわけだ。そりゃ照に勝てないよな』






ムカムカムカッ!!

いいよ、そこまで言うんならやってやろうじゃんか!!
部長さんの気が済むまで相手してあげるよ!!!









菫『………『気が済むまで』相手してくれるのか?』









当然!!
高校100年生は偉そうな先輩にも寛容なのだ!









菫「ありがとう、大星!! それじゃあ放課後、虎姫のミーティングルームで待ってるからなっ!! 私の気が済むまで対局してくれ!!」










……あ~……私、いらないこと言ったかも。







と いうか、今にして思えば幼稚すぎる挑発だったよね…なんで乗っちゃったんだろ……。
そんなことを思い返しながら部長さんのもとに向かう私、大星淡なのであった。まる。








菫「というわけだ」










誠子「ふむふむ……結論を言うと。つまり、大星と部長が対局するわけですね」

菫「簡潔に言うとそうだ。そして、そこにお前たち二人にも入ってほしい」

尭深「それは別にいいですけど…今回は作戦とかは考えてあるんですか? 宮永先輩の時のように」

照「お菓子おいしい」モグモグ

菫「作戦……というか、打ち方はあるな」

誠子「!? 大星の弱点、見つけたんですか!?」







菫「いや、まったく」

尭深「? 弱点が見つかってないのに、打ち方は決めてあるんですか?」

菫「あぁ。打ち方といっても、大星に勝つための打ち方じゃない。むしろ、私と大星の一騎打ちを促すためのものだ」

誠子「? それって、どういう……」










菫「二人とも。大星からは和了らないでくれ。……頼む」

照「菫。さっきの指示は……?」

菫「私の我が儘だ。大星と直接対決で決着がつけたくてな」

照「じゃあ、誠子と尭深はツモ切りするだけ?」

菫「おいおい……あいつらは機械じゃないんだぞ? そんな退屈な対局、可哀想じゃないか。相手は一年生だし、せめて私以外からの失点はなくしてやろうっていうハンデだよ」

照「……大丈夫? そのルールじゃ勝てないよ? というか、多分普通のルールでも勝てないと思う……正直に言うと」

菫「……だろうな。…………それでも大星とは 、真っ向勝負で決着をつけたいんだ」

照「………どうして?」




菫「……大星に認めてもらうためだ」











菫「照……お前は仲間を欲しがっていたな。同じ方向を向いて前に進める、お互いのあり方を肯定できる……そういう仲間を」

菫「…多分……大星は違う。大星が探し求めている仲間っていうのはきっと、遠慮なく互いに正面からぶつかり合える、相手のことを全力で否定して、それでも笑ってられる………そういうやつだ」

菫「淡が欲しているのは、いわゆる『好敵手』ってやつなんだと……私は考えている」

菫「……故に、一対一じゃないとだめなんだ。大星の正面に一人で立って、ようやく私はあいつの仲間としての最初の段階をクリアできる。……ただの、白糸台麻雀部部長としての、意地だ」

照「………多分、何度も何度も負けるよ? 菫の自己満足でそんな打ち方をさせられたら、誠子や尭深の信頼も失うかもしれない……ねぇ?」







誠子「…………」

尭深「…………」

菫「…そうだな」




照「菫のメンタルの強さは分かってるつもりだけど……多分淡は、菫に気を遣ったりはしないよ? いつまでも勝ち続ける。多分、普通にはやめてくれない」

菫「…だろうな」

照「……怖くはないの? 逃げたくても逃げられない、今まで手にしてきた後輩からの信頼も手放しちゃうかもしれない……そんな……」

菫「……怖いさ。……正直言うと、凄く怖い……」












菫「……でも、だからこそ。そんな恐怖を乗り越えて、あんな凄い奴が味方になってくれたら…もっと麻雀が、楽しくなる気がするんだ」



菫「だからこそ、認めて貰う。例え相手が『二人目の魔物』だろうが!! 『弘世菫はついていくに値する部長だ』と!! 認めて貰う!!」



誠子「……でも、その勝負……部長が負け続ける限 りわたし達も負け続けるってことですよね?」

尭深「部長が勝つより先に、私たちの心が折れるかもしれませんよね……」





菫「うっ……そう、だな。その……嫌なら別に……」





誠子「その勝負……私たちに指示されてる打ち方は『大星からは和了らない』だけですよね?」

菫「う……うむ。ま、まぁ最悪、別のメンバーに変わってもら…」

尭深「……じゃあ、別に部長を勝たせる必要はないわけですよね……?」













菫「…………私が言うのもなんだが……お前たち……バカだな」

誠子「バカですよ。バカなんで、この勝負を降りる理由が見つけられないんです」

尭深「申し訳ないですけど…部長も、大星さんも…… 誠子ちゃんも倒して、一位は私が頂きます……」















菫「ありがとう、二人とも。……覚悟しとけ、お前らも倒す」




菫「大星を見返してやろう。あいつに見限られた、今からが本当の勝負だ」











淡「……へへん。なんか納得いかないって顔してる?」

尭深「……前も見たけど……」

誠子「相変わらず理不尽な能力だね……配牌支配……」

淡「ふふん? 降参するなら今のうちだよ~?」







チーム虎姫のミーティングルームで待っていたのは、虎姫の4人。
テルーもいるけど、今回は打たないみたい。


テルーが打たないなら、配牌縛りだけでもいいかなー。





ま、ここでみんなをボコボコにしちゃえば、テルーも私と打ってくれるでしょ。
それでもダメなら、テルー以外が私と打ちたくならないくらいにヘコませちゃえばいいだけだし。




淡「あ、それロン。私の勝ちだねん」

菫「……対局、ありがとうございました」






淡「どうするー? もうやんないなら、テルーと……」

菫「もう一局、よろしくお願いします」

淡「…………ふ~ん…?」













照(……やっぱり、淡は強い。……私や、咲くらいの能力があれば5向聴縛りの上から和了れるかもしれないけど……それでも、絶対に勝てるとは言い切れない……)

照(それに、まだ使ってないダブルリーチ。あれを止めようと思ったら、全体支配系……去年の天江衣さんみたいな能力がないと多分だめ)

照(わたしだって今はまだ負けてないけど、いつもギリギリのところまで迫られてる)

照(たった一回でも…菫に勝てるかどうか………)

淡「リーチ!!!」

誠子「うっへぇ。こっちはまだ全然形になってないってのに……」








ふふん。

緑先輩、驚いてる。
メガネ先輩もビックリしてるみたいだし…やっぱ私には遠く及ばないな~。








菫「………………」








………何かな~? その目は。
睨まれて、ちょー怖いんだけどー。




そんな脅しじゃ、私は怯まないよ?










淡「あ、ツモっちゃった。また私の勝ちだね~」

淡「ねぇ、 まだやるの? 私は実力で言えば……ん~っと、高校100年生くらいなんだから、勝てなくたって…」

菫「もう一局、お願いします」

淡「………ふ~ん……」








照(……菫、ずっと淡の手を見てる。きっと理牌のクセを見切ろうとしてるんだろうけど……それじゃあ今はともかく、本気になった淡は射抜けないよ……?)

照(ある意味、最悪の相手。ダブルリーチ相手にシャープシュートなんて不可能。だって、淡の切る牌はすべてランダムだから……)

照(……菫。貴女はいったい、何を狙っているの……?)

照(……まさか『アレ』じゃないよね? …いや…案外、それくらい単純な作戦のほうがいいのかな?)

淡「……はいそれポン!! 」

誠子「うっわ……そういうのは私の十八番なんですけどー……」

尭深「……この局はオリ……かな……?」

淡「…………ねぇ、部長さん。さっきから、何か狙ってるよね? ………あ、ツモ」

菫「………………………………」




淡「ねぇ、もう諦めたら? 認めたくないのは分かるけど、私に勝つ方法なんて…」

菫「集中しているんだ。少し静かにしてくれないか?」

淡「……へぇ? 集中したら、私に勝てそう……? ………ふ~ん………」












淡「ちょっと……私のこと、舐めすぎじゃない?」














淡「……適当に流すつもりだったけど…やっぱ気が変わっちゃった………貴女はここで、完膚なきまでに叩っ斬る!!!」




菫「…………ようやく『その気』になったな……? ……これでようやく、戦える」

あ~ぁ…一応お先輩だからってことで、おとなしく戦ってたけど……別にいいよね?

ちょっとつまらなくなっちゃうかもだけど……こんな人たちと対局するよりも、テルーと対局する方が大事だし。




さっさと終わらせちゃお。










淡「ダブルリーチっ!!!」






誠子「……うわっ……現物現物……」

尭深「……私も…とりあえず、現物で……」





菫「…………………」

淡「そんな睨まないでよ、部長さん。怖いって……っとと、槓!!」

菫「…………………」

淡「……ツモ!! ダブリーのみ……カン裏のって、18000!!!」















菫「……もう一局、お願いします」





「もう一局、お願いします」









「もう一局、お願いします」









「もう一局、お願いします」









「もう一局、お願いします」

















「もう一局……お願いします」

淡「…ねぇ、部長さん。先輩たちも…もう疲れた~。どうせ何度やっても結果は同じなんだし、もうそろそろやめない?」

誠子「……ぐぬぬ」

尭深「全然勝てない……」

淡「ねぇ、テルー。そろそろ私と打ってよ~。テルーなら私に勝てるでしょ~?」

照「……そんなこと言ってていいの? 次辺り、コロっと負けちゃうかもよ?」




淡「え?」

照「淡は気付かないかな? 菫の捨て牌のおかしさに……」

淡「… …捨て牌? なんのこと……?」

菫「………照は気付いたのか。まぁ、普通気付くよな? 渋谷と亦野も気づいてる感じか。………けど、こんなバカな方法でしか勝てると思わなかったんだ。もう少しだけ、内緒にしといてくれ」

照「……うん」

捨て牌の違和感……?

なんだろう……そういえば、他人の捨て牌とか、あんまし考えたことなかったかも…?




というか、麻雀って相手より先に和了るゲームじゃん。

相手の捨て牌とか見てる暇があったら、自分の手作りをした方がいいと思うんだけどなぁ……。

菫(そうだ……多分、淡の唯一と言っていいほどの弱点。………お前、他人の捨て牌に興味持ったことないだろ)




菫(ダブリーすれば、捨て牌は関係ない。魔物クラスの才能があるせいで、オリなんて知らなくても勝ててしまう)




菫(たまに見せるオリは、おそらく他人の模倣。淡レベルの才能があると、見ただけで何を根拠にオリればいいかわかってしまうんだろう……)




菫(……つまり淡には、基本となる捨て牌読みの『型』がない。攻撃の『型』と見様見真似の防御だけでここまで戦ってきたんだ)




菫(……だからこそ、淡はおそらく『この役』の防御手段を知らないし、河を見ても『この役』の存在に気が付かない。普通に考えたら分かることかもしれないが、淡は『この役を受ける』ことを前提とした打ち方をしないからだ)




菫(……今日中にこの役が出る保証はない。いや、普通に考えたら出ない。淡の五向聴支配がいい方向に転ぶことを期待した、わずかな望み。だが……私のような凡人が勝つためには、これしか思いつかなかった)




菫(……たった一回でいい。かならずや、淡を倒して見せる)
















菫(………『国士無双』で)





なんだろう……ちょっと怖くなってきたよ……。
部長さんが狙ってるもの……。



まずはさっきのテルーの発言を思い返してみよう。





『淡は気付かないかな? 菫の捨て牌のおかしさに……』





これだね。

捨て牌……そういえば、あまり意識したことなかったなぁ。
捨て牌読みとか、あんまやったことないし。
というか、やったことない。




でも、 あれでしょ?
3が捨ててあったら4と7が危ないんでしょ?
……うん、そうだよね?
3と5があって、6を引いたら3が邪魔だから切るんでしょ?

あとは、字牌は字牌でしか和了れないから安牌になりやすかったり、四枚見えてる牌の隣が結構安全だったり。




うん、捨て牌読みなんて簡単じゃん。
他のだって似たようなもんでしょ?









例えば、この局。
私の東を捨ててのダブルリーチ。



メガネ先輩は現物。
まぁ、当然だよね? それしか安牌ないし。







部長さんは……4筒?
安牌がなかったのかな?

緑先輩はそれに合わせて4筒。







そして、私がカンした直後のタイミング で、部長さんが東切り。

ふむ……二年の先輩二人はいわゆる『オリ』っていうのをしてるんだよね?
部長さんは……なにか切る牌を選ぶ理由があるのかな?





……そういえば。
部長さんの捨て牌、あんま字牌がないね。


というか、今の東だって手出しだった。
もっと早く切っておけばよかったんじゃないかなぁ……。





字牌を切るのが…遅い?


これがテルーの言ってた、捨て牌のおかしさ?










例えば、例えばだよ?
私に才能が全然なくて、そして私のような天才雀士を相手にしてたとするよね?


ダブルリーチ!! うっひゃあ!! ドッカーン!!


なのに、現物の字牌を切らなかったのは……なんでだろう。






……多分、私がカンするまで字牌を切らなかった理由は……わかる気がするよ。

カン裏乗らないと打点も出ないから、かな?
ダブリーと裏ドラしか役がないってことは、逆に裏ドラ捲るまでは手は安いってこと……。
最初っから安牌を切るより、打点が高くなってからの安牌を確保する……うん、一応辻褄は合ってるよね。





……つまり、部長さんは私に振り込まないために、安牌になりやすい字牌を抱えながら手作りしていた……ってこと?





うん。
これが正しいっぽいね。







なんだ、全然大したことないじゃん。
そんな腰抜けチキンな打ち方じゃ、私は負けないよ!!

照(淡は、決して頭は悪くない。ちょっとおバカなところもあるけど…何かを考えることに関しては、多分一般人より上)


照(でも、淡じゃ答えを出せない。淡はこの、初心者でも分かりそうな国士一本狙いに気付けない。だって淡は、逃げるために捨て牌を読んだことがないから)


照(淡は強すぎた。他人の手なんかまったく意識しなくても、自分の手作りだけで勝てちゃうくらいに)


照(まして、淡の能力は強力な支配。国士無双なんて和了られたことないでしょ? だから、警戒もできない)


照(………麻雀は4人でやるゲームなんだよ? 淡、貴女が倒そうとしてる相手…その全員が貴女にも牙を剥いてることを忘れちゃだめ)


照(……この対局が終わったら、淡はきっとさらにさらに強くなってるんだろうなぁ……)

誠子「……よっし、ツモです!! タンヤオのみだけどドラ2つ!!」

淡「……さっきから、緑先輩はちょくちょく和了るね」

誠子「テンポよく鳴けたら、そう簡単には負けないぞ? ……あと、私は緑先輩じゃなくて、亦野誠子だ」



淡「……ふ~ん?」












尭深「………………リーチです」

淡「………メガネ先輩は、オーラス限定で聴牌するのがすっごく早い…と。『それ』自体は知ってたけど、まさか私の支配よりも強いとはね」

尭深「……わたしだって、ただダブリーに対してベタオリしてるわけじゃないんだよ? ……あと、私はメガネ先輩じゃなくて、渋谷尭深」



淡「……なるほどね……」














淡「……で、謎の作戦は今回も不発? 部長さん?」



菫「……もう一局、お願いします。 あと、私の名前は………いや、まだ部長でいいか」

淡「………ねぇ、まだ続けるの…? 部長さんがよくったって、他の二人は……」




誠子「もう一局、私からもお願いします。次こそは勝てる! 気がする!」



尭深「私も…」
















淡「………あ、そう」


……変な人達。
なんでつまらないことを続けられるのかなぁ……私なら絶対に無理だね。



麻雀なんて勝てるから面白いのに……こんな勝負、ささっと辞めちゃえばいいのにね。


別に大会に出てほしいって言われれば出てあげるし。
虎姫って、まだ4人しかいないんでしょ? じゃあ私が入れば完璧じゃん。




なのに、なんでこんな無駄な対局を続けるの……?






勝てないと、麻雀なんてつまらないのに……。















淡「どうして勝てない勝負を、ずっと続けるのかなぁ……」







菫「……どうしてだと思う?」





淡「えっ!? あ、もしかして声に出てた? えっと…別に悪気があったわけじゃ……」

菫「その答えは、今のお前になら分かるだろ?」

淡「…え?」






菫「お前、照に勝ったことないだろ? なのに毎回毎回、照と打ちたがるじゃないか。どうしてだ?」

淡「どうしてって………あれ? なんでだろ」










……ホントだ。

テルーと戦うときって、全然つまらなくないや。




なんでだろ……負け続けてるのに……。

菫「……まぁ、これは私の独り言だと思って聞き流してくれたらいい。…多分、お前は麻雀が好きだったんじゃない。勝つことが好きだったんだ」


淡「…麻雀が 好きじゃない……? ………ダブルリーチ」


菫「今までのお前はな。……頂点は寂しかったろ? 一人ぼっちで立つ頂きは。……それで、勝つことに楽しみを覚えられなくなってしまったのが照だ」


淡「……………カン」


菫「………その点、多分お前は勝つこと自体が好きだった。だから麻雀そのものがつまらなくても、麻雀を続けてこれた。勝ち続けてきたから」


淡「………それ、ロン」


菫「あ、しまった。………だが…お前は照と対局して、初めて麻雀そのものを楽しむことが出来た。同じ高さで戦える人をみつけた」




淡「…………」




菫「勝てなくたって、そりゃ楽しいさ。なんたって、麻雀はこんなにも面白いんだからな」




淡「……何が言いたいの?」










菫「私も、亦野も、渋谷も、楽しいさ。こんなに生意気なお前に、麻雀で敗北を味わわせてやれるかもしれないと思ったら、なおさらな」
















淡「……もういい、怒った。全力で………叩っ斬る」




菫「やってみろ。お前の麻雀と私たちの心、どちらが先に折れるかな」







「ダブルリーチ!!!」













…カーン……。




菫(さて。かっこつけたはいいが、全然勝てる気がしない。そもそも国士なんて今まで一度も和了ったことないしなぁ……)




菫(……可能性の話だけするなら、国士無双が一番出やすいはずなんだよ。淡の配牌支配によって、配牌には平均4枚程の字牌が含まれる……。一九牌も含めれば、最高7枚までは見ている)




菫(ただ、やはりそれ以上は無理だ。国士までの向聴数もしっかり勘定に入れられてるみたいだな)




菫(………流石に、最終下校時刻を過ぎれば対局の続行は無理だ。春大会の出場が決まってるとはいえ、遅くても八時には帰される……。それまでに、一度だけでも……)




淡 「ロン」




…カーン……。




淡「ツモ」




カーン……カーン……。




誠子「ツモです」




カーン…カーン…カーン…。




誠子「…よし、もいっかいツモ」




カン…カンカンカン……。




淡「ロン」




カンカンカンカンカンカン……。





尭深「ツモ…」




カーンカーンカーンカーン……。




淡「ツモったよ」




カーンカーンカーンカーンカーン。




菫「よし、私もツモった」






カーン……カーン……。




カンカンカンカンカンカンカンカン……。












淡「ツモ!! ダブリーのみに裏4つ!!」










カーンッ!!




菫(………やはり、聞こえてくる……何かを叩くような音。この局に来てようやく、淡が私たちを叩き斬りにきたっ てことか)


菫(……あまり時間もない。これで南4局。おそらくこれか、よくて次の半荘が最後…)


菫(可能性で考えたら、大星か渋谷が和了る可能性が高い。だが、私のラス親だし、できればここで和了って、ついでにこの半荘で大星にも勝っておきたい…。…今までは淡の支配のおかげで6枚か7枚の么九牌が来ていた……国士来い国士……)


菫(…そういえば……渋谷が積み込んでた牌ってなんだったか……。大星しか見てなかったから覚えてないな)


菫(……まぁいい。さて、配牌は………)






















2258二五五八九②③⑤北撥



















菫「なんじゃこりゃ!?」




淡「!?」




尭深「!?」




誠子「!?」




照「!?」

菫(……ふぅ、危ない危ない。あまりに酷い配牌に思わず声が出るところだった……)




菫(だが…一番国士が欲しいときにこの配牌はおかしいだろ……今からでも普通の手を目指すか? …いや、安手でも大星に速度で勝てる未来が見えない)




菫(………………)

部長さん、いきなり大きな声出すからビックリしちゃったよ。
……でも、あの様子だとよっぽど配牌が酷いみたいだね。この局ももらったかな?







部長さんの作戦は分からないけど、この局もどうせ字牌を抱えてのチキン戦法でしょ? そんなんじゃ私には勝てないって。

どれどれ……部長さんの最初の捨て牌は………?










『五』。









うん、やっぱり字牌を抱える作戦みたいだね。
ラクショー。
これはメガネ先輩だけ警戒しとけばいいか。













「ダブルリーチ!!!」








『五』







『2』







『2』







『②』







『③』












……何アレ?







連続対子落としに塔子崩し? それも全部手出し。

気持ち悪っ!!




部長さん…何狙って…………あ。













あれ、国士無双?




菫(……よし。南ツモった!)


菫(これで……19一⑨東南北撥……あと5向聴!!)
















照(うわぁ…鬼ヅモ。……まぁ、これも菫の作戦通りなんだろうけど)




照(今回の対局では、尭深が淡に対して安牌を切りながらハーベストタイムを狙ってたから、オーラスで尭深がツモルのはオール中張牌)




照(淡の支配を考えると、誠子と菫で平均7枚くらいのヤオチュー牌が来るはず)




照(淡はダブリーしか役が付かないから、白発中と風牌の南北を暗刻で持つことはまずない。つまり、山の中には字牌がいっぱい……それでもあの配牌から国士目指すのは勇気がいると思うけど……そこはさすがの菫!)




照(……問題は、淡が『アレ』をするかどうかだね)





菫(……よし! 三元牌が全て揃った!! これで一向聴、1筒か西が引ければ聴牌だ。出来れば13面張がよかったが、そう上手くはいかないよな)




菫(…………たった一つ。たった一つ懸念すべきは、淡の手。……多分、あの辺に暗刻があるんだが……あれ、まさか西じゃないよな……?)













そっか……部長さん、ずっと国士を狙ってたんだ…道理で字牌が出ないと思ったよ。


…言われてみれば、国士狙いなら河見たら一発で分かるね。なんで逆に気付かなかったんだろう。


……だから『次辺り、コロっと負けちゃうかもよ?』か。
役満だからねぇ…。






23488四五⑦⑦⑦西西西











……そうだって知ってたら、ダブリーなんて掛けずにこの西から処理したのに……マズったなぁ……。



どうしよう……7筒でカン出来たら問題ないんだけど……確か、国士無双って暗槓でも槍槓できるんだよね?


7筒引け……7筒引け……!!。











親の役満直撃なんて喰らったら…さすがに私だって………………。


















ちょっと待って。










なんでわたしは、『負けること前提』で話してるの?













違う。

これは私のキャラじゃない。






私は、もっと、もっともっと強かったはずだ。







役満がなんだ!




部長さんがテンパるより先に西を暗槓しちゃえば部長さんはもう和了れないってことでしょ!!




7筒で槓できたら?
ふん、7筒なんていらない。







ここで先に西引いて、部長さんを叩っ切る!!!!
















西来い!!




西来い!!!!




西来い!!!!!!




















淡「なんでよっ!?」




菫「!?」




尭深「!?」




誠子「!?」




照「!?」







…………ふぅ…危ない危ない……。あまりにも理不尽なツモに思わず声が出ちゃうところだったよ。



でも、よりによってこんなところで安牌引いちゃうなんて……。
これじゃあまるで私が逃げたみたいじゃん!!!




ぐぬぬ……。










淡「カン」










うぅ~…逃げたみたいだし、部長さんが西引く可能性も出てきちゃったし…やってらんない!!






……イヤだ。
こんなの、イヤだ。










叩っ切りたい!!

叩っ切りたい!!!

叩っ切りたい!!!!







カンカンカンカンカンカンカンカン!!!!










叩っ切りたい!!!!!

叩っ切りたい!!!!!!

叩っ切りたい!!!!!!!












ガガガガガガガガガガガガガガガガガガンッ!!!!!!!!












照(……淡の能力の形が変わった…? …ホントに……どこまでも強くなるね……)









部長さんを倒すためにはどうすればいい?
完膚なきまでに、叩きのめすためには。




もう、部長さんを普通に倒すのは無理だって分かった。
じゃあ、どうすれば負けを認めさせれる?





簡単。
部長さんの最終奥義を真正面から叩っ斬る!!


もう槓はしちゃった。


今まで通りなら、このまま和了れるとは思う。





でも、そんな勝ちじゃ部長さんは諦めない。






私は、部長さんの国士をブチのめしたい!!





なら ……どうすればいい?









もう一回! 槓すればいい!!









やったことないけど……できる!!

違う!! やる!!!






私の力で、部長さんを叩っ斬る!!!








『北』







違う、お前じゃない。







『6』







全く関係ない。どっか行け。










『三』







また後で、出直してきな。























『西』









来た!!!








さぁ、部長さん。

貴女はもうテンパってるかな?






これで……終わりっ!!!

















淡「カン!!!!」




























菫「ロン。国士無双…48000です」























………あぁ~……負けてたかぁ……。







さっき3萬で和了ってたら、勝ってたのかな……?




いや、この話はなしだね。

そこで和了らなかったんだから、私の負け……。













菫「一本場、入ります」











淡「…………は?」








菫「なんだ? その顔は……」




淡「なんで? 和了止めしとけば勝ちなのに……」




菫「まだ時間はあるんだ……出来る限り続けよう」




淡「……なんで? 部長さんは私に勝つことが楽しみなんじゃ……?」




菫「言っただろ? 私は麻雀そのものが楽しくて仕方ないんだと。その楽しみが続くことに比べたら、お前に勝てるかどうかなんて些細なことだ」













菫「ほら、もっと魅させてくれ。弘世菫が、どうやって大星淡を倒すのかを」





……バカだ。

この人……大バカだ。



こんなバカな人に着いていく二人の先輩も、どうしようもないバカだ。

こんなバカな人を信頼してるテルーも、おバカさんだ。









でも、一番バカなのは……私だ。






見たいと思ってる。


この人たちがどうやって私を倒すのか、見たいと思ってる。







どうやって叩っ斬りにくるのか。

どうやって踏み潰しにくるのか。

どうやって釣り上げにくるのか。

どうやって摘み取りにくるのか。

どうやって射ち抜きにくるのか。





見てみたい……見て…見て。
もっと上に行きたい。








菫「さぁ。連荘だ。ここらで軽く、大星をトバしとくか」

誠子「私も、そろそろ直撃狙いに行ってもいいですか? やられっぱなしは好きじゃないんで……」

尭深「ハーベストタイムも続行……この局二回目の役満が出ちゃうかもしれないですよ?」








淡「いいよ!! みんな超イケてんじゃん!! 『スミレ』も『セイコ』も『タカミー』も……みんなまとめて叩っ斬る!!!」










ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!!





照(……すごい……さっきから、淡の能力がすごい勢いで進化してる………)

照(……違う……。進化してるのは淡の能力だけじゃない……)

照(刀だけじゃない……鎚が、金床が、火床が、鑢が、火箸が。淡の進化をさらにさらに激しくしてる…。…淡本人が……さらに成長してる……)

照(……私も、負けてられないな……)










照「それ終わったら私も混ぜて? もうそろそろいいでしょ?」

菫「まぁまて。こっから私が120連荘くらいするかもしれ…」

誠子「あ、それロンです部長」

菫「」

菫「ま……まだ時間はある……あと一局くらいは……」

淡「一局? まだまだやるよ~!! とりあえず菫を倒す!! 菫が参ったって言うまで何度でも打つ!!!」

菫「はぁ!? なんで私なんだよ!?」

淡「だって今私に勝ったじゃん。菫を参らすまで終わらないよ!!!」

菫「参らすってなんだよ!?」

照「じゃあ、私も。菫と淡が一騎打ちするんなら………私は誠子を参らす」

誠子「はぁ!? なんで私なんですか!? 尭深にしてくだ……」

尭深「じゃあ私お茶入れてきますね」

誠子「逃げられた!?」























「………ど………どーした? 大星…もう終わりか……?」










「こ……これで勝ったなんて思わないでよ…。いずれ絶対…スミレ……アンタを斬る!!」










「……やめろよ。ヤダよ。怖いよ。………私はもっと…上に行くよ……」









~刀魂全開編~




カンッ

長いことやってしまってすいません。
次で最後になる予定です。

このスレもようやく終わりが見えてきました。

今日の投下はここまでです。
それでは、さようなら。

夜遅くにこんばんは。
今日で最後の投下のつもりです。

>>1で誕生秘話とか言っておきながら、今回のみ未来の話になってます。
元々この話が書きたくて建てたスレなんで、どうしようもないです。

それでは、投下行くよ!!

チーム虎姫のメンバーは5人。


宮永照。
弘世菫。
渋谷尭深。
亦野誠子。
そして、大星淡。




チーム虎姫を結成してから、一年近くが経った。




去年は大星がいなかった。

今年の春は渋谷を温存した。




ゆえに、IHは最初で最後。
チーム虎姫が全員で臨む、唯一の公式戦となった。







そういう意味では、初めての本番だったともいえる。



校内リーグのレベル自体がかなり高いとはいえ、相手は見知った相手ばかりだ。
リーグ戦という都合上、負けたからと言って希望が断たれるわけでもない。


だから、きっと彼女にとっては初めてだったのだろう。



あんな経験をするのは。

「ロン」




やめて…。




「ツモ」




やめて。





「ロン」





奪わないで…。






「ツモ」





これ以上、私から……。








「ツモ。4000・8000」






居場所を、奪わないで……。










~優しい止り木編~
















誠子「っ……」

照「……鳴く?」

誠子「……いえ。なんでもないです」








菫「……亦野。あれから調子悪いな」

尭深「……ですね。…多分、本番であんなに削られたの、初めてだと思いますし……」

菫「……大星の方は?」

尭深「…そっちは多分、大丈夫だと思います」








淡「…………スゥ~~~……パァ~~~……………ノヴァアっ!!!!」

淡「……よっし!! これで今度こそ叩っ斬る!!」







菫「……なんだあれ?」

尭深「…新しい必殺技(?)だそうです」

菫「……そうか。まぁ、凹んでないのなら別にいい。なんだかんだで決勝戦までには仕上げてくるだろ」







菫「問題は……やはり亦野だな。…決勝で、いつもの打ち方が出来ればいいんだが……」

尭深「………誠子ちゃん…」







誠子「…ぁ………いえ。すみません、なんでもないです………続けてください」

照「……鳴かないんだね…?」

誠子「…はい」

照「……分かった………」






このままじゃダメだ……。
自分でもわかってる……。





でも、怖いんだ。




振り込むのが。
失点するのが。



みんなの点棒を、取られるのが。

みんなに、置いて行かれるのが。

一人だけ、置いて行かれるのが。

私の居る場所を、奪われるのが。





最初から、こんな場所にいなければよかった。

こんな上まで、来なければよかった。





私は、自分の力で、飛べないから。





菫「どうだ? 照。亦野の様子は」

照「ダメ。完全に自信喪失してる。今までみたいな積極的な鳴きができなくなってるみたい」

菫「……責任は照以外のみんなにある。亦野一人が悪いわけでは……」

照「誠子はそう思ってないよ。あの子は責任感が強いから…良くも悪くも……ね?」

菫「……決勝戦が始まるまでに……なんとかしないとな……」

照「だね。私も出来るだけ励ましてみる…菫も癖のチェックが終わったら来てね」

菫「あぁ。なんとか今日中に見つけて、修正してみるよ」










菫(……本当にそれでいいのか? 励ませば、今までの自信を取り戻せるのか?)

菫(……それで…決勝戦で勝てるようになるのか………?)








淡「ねぇ、セイコ。元気出そうよ~」

尭深「二位抜けはみんなの責任だから……誠子ちゃんだけが背負う必要はないんだよ?」

誠子「……私のせいだよ。50000点以上のマイナスなんて、普通の対局なら二回もトんでる……私がいなければ、きっと一位で通過できたはず……」

照「……でも、ちゃんと勝ち上がれた。準決勝でのミスは、決勝で取り返せばいい」

誠子「…今までの打ち方と照らし合わせても、ミスなんてしてないんです。今まではあの打ち方で勝ててた……単純に、全国上位に私の麻雀が通じなかった……それだけなんですよ……」

淡「そ、そんなことないよ!? だって、今まで勝ってきたのだって…セイコが頑張ったから……」



誠子「違う!! 宮永先輩が稼いで! 部長が削って! 尭深が突き放して! 淡が押さえ込んできたから!!! だから勝てた!!!」







誠子「私なんか、いない方がいいんだよ……」

誠子「……私は…虎姫のメンバーに……相応しくないんだよ………」









自分に言い聞かせてきた。

私は強いって。
私は負けないって。



だって、…優勝候補のチーム虎姫。そのレギュラーなんだから。

強くないと、いけないから。
強くないと、ここに居れないから。





だから、自分を信じて、自分を偽って、強い自分を守ってきた。






本当は分かってたのに。




私は、弱い。








菫(……違う。……ただ励ますだけじゃダメ……なんだと思う……)

菫(亦野は今回の対局で、自信を喪失してしまった……だが、それを取り戻すだけではダメだ……)

菫(……今までの自信を取り戻したとして…それでは準決勝の二の舞だ)

菫(それに……もし決勝で勝てなかった時………きっと亦野は、一生立ち直れなくなる……)

菫(だって……亦野の自信は………)



菫(……………………………………)













菫「賭けて…みるか…。……………信用してるぞ、みんな」














菫(……亦野は強い。能力、強気な攻め……多少失点しようが、強引に和了をもぎ取っていけるだけの実力がある)

菫(いや。そんなこと、本当はどうでもいい……そんな理論の話じゃない……)

菫(……お前は、このチームに必要なんだよ……亦野……)












菫「………どうだ? 照」

照「あ、菫……癖はみつかった?」

菫「……いや。『そっち』はまだだ」

照「!?」





照(『そっち』は……ってことは……別の何かは見つかったってことだよね? ……誠子の自信を取り戻す方法、思いついたのかな?)





菫「亦野」

誠子「は、はい!?」





菫「…亦野。…決勝戦に出るのは怖いか?」

誠子「…………はい」

菫「………自分のせいで、白糸台が…虎姫が負けるのは怖いか?」

誠子「…………はい」





照(? ……なんだろう。菫、少し震えてる? ……まるで、何かに怯えてるみたい………)





菫「……いい方法がある。亦野がこれ以上、傷付かないための」

淡「えっ!?」

尭深「ホントですか!?」

菫「あぁ。誰もが幸せになれる、最高の方法だ」





なんだろう……。
この人は、どうやって私のことを励ますつもりなんだろう。



いっそ、励まさないでほしい。


あなた達の励ましは、一層私の惨めさを際立たせるから。





皆とは違うんだ。


私は、あなたたちと同じ場所に立てるような選手じゃないんだ。





もう、放っておいて!!









照「………もったいぶらないで、教えて? どうするの?」

菫「簡単なことさ」



















菫「亦野を虎姫のメンバーから外そう」










…………………………………え?







淡「…………………え?」

尭深「…ど……どういうことですか………?」








菫「言った通りの意味さ。決勝では亦野をはずして、別のメンバーを入れる。…そうだな、校内リーグ二位のチームから誰か呼んでくるか」

照「……菫? …な……何を言ってるの……?」

尭深「…そんなことしていいわけ……っ!!」




菫「ん? メンバー交代が出来るのかって話か? まぁ、基本的には認められていないが……40度の熱を出してぶっ倒れたとか言っておけばいいだろ」

淡「違…そうじゃなくって……」

菫「そうすれば、ついでに亦野の名誉も守れるぞ? あれだけの失点も40度の熱が出ていたなら仕方ない。むしろ、その状態でよく打った!! そんな評価になるだろう」

尭深「待っ…待ってくださ……」








菫「それに、白糸台は史上初の三連覇がかかっている。そんなチームがメンバー不足の不戦敗だなんて、運営側も望んでないはずだ。多少の融通は利くだろう。……そうと決まればすぐに控えメンバーを…」

照「ねぇ、待って!! 部長だからって、そんな勝手に……」

菫「………じゃあ、亦野に直接訊いてみるか? ……亦野、お前はこの案について……どう思う?」





誠子「……………………」







………そうだよ。
これで……いいんだ。


……さすが部長だなぁ……部員のこと、一番よくみてる。


だから、私が望んでることもわかって…………。






菫「ハッキリ言わせてもらう。亦野……お前は実力不足だ。チーム虎姫には相応しくない……違うか?」

誠子「………はい。私もそう思います」

菫「そりゃそうだ。さっきお前自身が言ったことだもんな? じゃあさっそく……」








尭深「ちょっと待ってください」


菫「……なんだ? 渋谷。私は忙しい。要件があるなら手短に……」






尭深「誠子ちゃんに謝ってください」






誠子「………………え?」














尭深「誠子ちゃんに謝ってください!! 今すぐに!!!」







ちょ、……何言ってるの!? 尭深。

駄目だよ……先輩にそんな口の利き方しちゃ……。







淡「そうだよ!! 冗談でも、言っていい冗談とダメな冗談があるでしょ!?」





淡「ふざけないで!!!」





淡まで…。




やめてよ……。

先輩の言う通りなんだよ……。




みんなだって、ほんとは…私のこと、いらないって………。






菫「お前らだって、本当は思ってるんだろ? 亦野はこのチームに必要ないって。いない方が勝て…」

尭深「誠子ちゃんがいたから!! ここまでこれた!!」

淡「セイコがいないと!! このチームはここまで来れなかったよ!!!」







菫(そうだ……怒れ。もっと……もっとだ!!)









菫「チーム虎姫は勝つためのチームだ!! 亦野よりも強いやつを入れるのが、チームのあるべき形だ!!! このまま決勝で亦野を使ったって、みんなの足を引っ張るだけだ!!」







「違います!!」

「そんなことありません!!」

「ちょっと待ってよ!!」

「やめてください!!」

「ふざけないで!!!!」









誠子「!?」

尭深「!?」

淡「!?」




菫「……ちょうどいいところに来た。お前たちの中から誰か一人、亦野の代わりにチーム虎姫に入れる話をしていたとこ……」







「私たちは、『誠子のいる』チーム虎姫に負けてるの!! なのに誠子がいらないってどういうこと!?」

「そうですよ!! 亦野先輩の代わりなんているわけないじゃないですか!!!」

「弘世先輩が間違ってます!! 亦野さんに謝ってください!!!」

「この5人で『チーム虎姫』として出ないと、私は絶対アンタを許さないわよ!?」

「失望しました!! 弘世先輩のファンやめます!!!」










他のチームの人まで……。

だめだよ……これじゃあチームがバラバラになっちゃう………。



私は平気だから…これ以上は……。








菫(もっと……もっとだ!! 思ってることを全部…ぶつけて来い!!!)







菫「お前らがなんと言おうが、亦野は外す!! それがこの部を仕切る、部長としての判断だ!!」



淡「笑わせないで!! テルーからもなんか言ってやってよ!! アホのスミレに!!!」

尭深「私からもお願いします!! 部長にガツンと言ってやってください!!」

淡「それともなに? テルーはスミレに賛成だっていうの!?」

照「え……あの………」











照(菫……何を考えているの……? ………しょうがない。……対局以外だとそこまで精度も高くないけど、照魔境で………っ!?)




菫「……………………」








照(……いや、違う!! 菫が望んでるのは、こんなことじゃない!! 今、私がすべきことは………)










照「菫」

菫「……なんだ? 照。お前からも言うことがあれば…」







照「歯、食いしばって………」









ドバンっ!!!






誠子「!?」

尭深「!?」

淡「!?」




菫「…っ、く………」







「宮永先輩が……」

「部長を……殴った!?」








照(今、私がすべきことは……私の思っていることを、全部ぶつけることだ!!)




照「みんなが正しい! 菫が間違ってる! 私から言えることは、それだけ」

照「私が菫のために言えることは、一つもない!!!」
















菫「…さんきゅ、照………」








「そうですよ!! 誠子先輩は虎姫の一員として、ずっとチームに貢献してきたはずです!!」

「貴女が宮永さんに勝ったときも! 淡に勝ったときも!! 誠子は弘世様に力を貸してきてたはず!! 誠子がいない虎姫なんてありえない!!」

「というか、誠子に一度も勝ったことがない私に喧嘩を売ってるんですか!? 菫様!!!」







弘世菫ファンクラブの人まで…。

やめてよ……なんでみんな先輩に逆らうんだよ……。


私一人のために、そこまでしないでよ………。










菫(そうだ……チーム虎姫は、亦野がいないと生まれなかったチームだ。それは誰よりも亦野の力を頼りにしてきた私が一番知っている)

菫(照に挑んだ時も。渋谷を連れてこさせた時も。大星と同卓させた時も。嫌な顔一つせずに手を貸してくれた)





菫(……だからこそ。『その言葉』を言うのは私じゃダメなんだ)



菫(5、6、7………よし、これで部員は全員集まったな。みんな…思ったことを全部……ぶつけてくれ!!!)







「同じ部の仲間になんてことを言うんですか!? 見損ないましたよ!!」

「誠子が今までどれだけ頑張ってきたか、部長は見てなかったんですか!?」

「確かに誠子ちゃんは部長の足を引っ張ったかもしれません……でも、だからってそこまで言うことないんじゃないですか!? チームメイトですよ!?」

「亦野の攻めの迫力を知らないわけじゃないでしょ? それでも亦野がいらないなんて、とんだ節穴ね!!」

「亦野さんを今外したら、きっと後悔するのは菫様です!!! もう一度考え直してください!!」

「亦野先輩は準決勝以外の試合をすべて+収支で終えています!! 亦野先輩がチームに貢献していることは明白!!」

「大体、弘世だって準決勝はマイナスだったじゃない!! 亦野を攻める前に自分のダメなところを見直したら!?」









菫「私だけじゃない!! 監督も!! 白糸台を応援してくれるみんなも!! お前たちだって本当は思ってるはずだ」

菫「『亦野誠子はチーム虎姫には必要ない』と!!!!」








淡「いい加減にしてよ!!!」

尭深「これだけはハッキリ言わせてもらいます!!!」

照「たとえ他の誰がなんと言おうと!!!」








淡「セイコは!!!」

尭深「誠子ちゃんは!!!」

照「誠子は!!!」







「「「「「「「「チーム虎姫に――――――っ!!!」」」」」」」」























誠子「………みんな……………」


















ずっと、劣等感と闘ってきた。

私はこのチームにいらないんじゃないかって、ずっと思ってきた。





みんな、すごい才能を持ってて。
あるいは、そんな才能に負けないくらい努力ができる人たちで。

私なんて、このチームに相応しくないんじゃないかって…ずっと考えてた。







だから、せめて心だけでもあの人たちに並びたくって。
ずっと自分を信じて、自分を偽り続けてきた。



私は強いって。
そこらの県代表にも負けないって。
このチームの副将を張るに相応しいって。




だって。そうしないと。

私はこの場所に立っていられなかったから。







だけど、そんな実力全然なくて。
準決勝で、それを自覚させられて。


金メッキの自信は、すべて剥がされてった。



















「セイコ…大丈夫かな?」


「お前は亦野より自分の心配をしたらどうだ? 勝てそうか? 阿知賀の大将には」


「勝つよ? セイコがちゃんと私の番まで残してくれてたらね?」


「ふふ…淡ちゃん。それはどっちの意味で?」


「モチロン! セイコが全員飛ばしちゃわないか心配って意味で!!」


「そうなったら、淡は高鴨さんに負けっぱなしってことになっちゃうね」


「あわっ!? それは困る!」


「流石に期待しすぎだろ……」


「どうかなぁ? 今のセイコならやっちゃうかもよ~? なんかセイコも新しい『必殺技』思いついたらしいし」


「必殺技?」








ずっと昔から知っていた。

私には、高く飛ぶためのツバサなんか無いって。

みんなと同じ場所には、届かないんだって。





だから、せめてみんなが休める止り木になりたかった。

みんなが少しでも過ごしやすくなるように、頑張ろうって決めた。





先輩にだって、同級生にだって、後輩にだって気を遣ってきた。

そうすれば、私は必要としてもらえそうだったから。







でも、根本的な解決にはならなくて。

どれだけみんなに必要とされても、試合で勝てなかったら意味がなくて。

試合で勝てない私なんて、誰も必要としてくれなくて。







みんなに、置いて行かれた気になってた。







(……なんだろう。牌が軽い…まるで指に吸い付くみたい……)


(……河もよく見える……今なら鳴いてもよさそう……)


(……今までで一番集中できてる……『あれ』…出来るかも……)






誰も、私のことを『いらない』とは言わなかったけど。

『いてほしい』とも言ってくれなかった。



だから、私はここにいるための資格が欲しくって。

資格がないのなら、どこかへ行ってしまいたくって。










あの言葉を、聞くまでは。





















『セイコは!!!』

『誠子ちゃんは!!!』

『誠子は!!!』









『『『『『『チーム虎姫に、必要だ!!!!!!』』』』』』













『……聞いたか? 亦野。チームのみんなが……いや、チーム以外のみんなも、お前を必要としている』

『……お前が自分の価値を認められないのなら、それでいい』

『……それでも、私達にはお前が必要だ』







『!? スミレ!?』

『っ!? まさか…誠子ちゃんに、あんな酷いことを言ったのは……?』

『……私達の本音を……引き出すため………』






『…照に挑むとき、最初に声をかけたのは亦野だった』

『…渋谷を部活に連れ出すのなんて、亦野に任せっきりだったな』

『…大星と打ち合った時は、亦野なら手を貸してくれると勝手に決めつけてたよ』

『…おそらく。この部でだれよりも亦野の存在を必要としていたのは、他ならぬ私だ』







『亦野。まだ自分に自信は持てないか?』

『……………いえ。もう、大丈夫です』

『そうか。……副将、任せたぞ?』

『………はい!』






自分に自信なんて持てなかった。
私は弱かったから。



だから、過剰な自信を支えにしてきた。



重すぎて、つぶされそうになって。
それでも、そうしないと立ってられなかったから。



そうしないと、みんなの止り木になれなかったから。






でも、もうそんなのいらない。








そこらの県代表を凌ぐ? そんな自信いらない。
優勝候補チームのレギュラー? そんな自信いらない。
私は強い? そんな自己暗示も必要ない。




ずっと憧れてきた、最強のメンバーが。
届かないと諦めてた、最強のメンバーが。
日本最強の、白糸台のみんなが。





私を必要だと言ってくれた。






これ以上の自信なんて、ありえない!







(…これで三副露。5順以内に有効牌を引ける)

(…もう聴牌しちゃってるから、引くのはきっと和了牌……普段の私なら、ここで終わってた)



(……今日行くのは、その向こう側)







「…ポン」







(⑨)   ⑧⑧⑧ (二)三四 5(5)5 西西西西






「ほう?」

「4副露……9筒の…ドラ単騎? 誠子ちゃんには珍しいですね」

「しかもこれ、役無しだよ? ドラはいっぱいあるけど…」

「…照には何か見えてるか? 今までとは別のものが」



「誠子……今、釣竿捨てたよ」

「…………は?」







「ってことは……出るのかなっ!?」

「さっき言ってた……必殺技?」







何が白糸台のフィッシャーだ。
何が県代表を凌ぐだ。
何が優勝候補だ。



そんな飾りは必要ない。




私はチーム虎姫の、白糸台のメンバーだ。


それだけで。






私には十分すぎる、名誉だ。






(3鳴きで有効牌が引けるってことは、もう一度鳴いてツモをずらせば、自分の有効牌を相手に押し付けれるってこと)


(普通に考えたら自分の和了を潰しちゃうだけだけど、立直をかけてる相手なら話は別)


(私の有効牌で和了れない限り、私からは逃げられない)


(……違う。みんなのために、勝つために……逃がさない!!)









河が見えなくってもいい。
釣れなくってもいい。

それでも、逃しはしない。





もし、魚が釣れないのなら。





川底ごと、引きずり出してやる!!








(……来た。計算通り、流局直前!!)



「…………ロンです」









(⑨) (⑨)   ⑧⑧⑧ (二)三四 5(5)5 西西西西









「…河底撈魚。ドラ4」







「それだよセイコーーーー!!!!」

「かっこいい!!!」



「……へぇ? 引くはずだった有効牌を相手に押し付けてから、河底ロンか。確かに『必殺』だな…」

「……河底撈魚……うん。一番『誠子』らしい役だね」














「亦野は、他人に気を遣いすぎる……自分に自信がないから」


「…そうだね」


「みんなが稼いだ点数を失いたくないから受けに回る。なのに、みんなの攻める打ち筋を曲げたくないから攻める」


「…だから、結果としてどっちつかずになっちゃうんだよね」


「…でも、そんな気遣いは必要なかったんだ。あいつが、亦野が私達のために手を貸してくれる…それだけで、私達は嬉しかった」


「…菫がみんなの本音を引き出したことで、誠子はゆるぎない自信を手に入れた。そして……私達と同じ場所に来る、覚悟を決めた」











『私も……』

『ん?』




『私も……ここにいていいですか? …みんなと同じところを、目指してもいいですか?』
















『『『『当たり前だ!!!!』』』』









「亦野は覚悟を決めた。どれだけ自分が傷ついても、私達の横に並び立つ覚悟を」







「亦野。お前は、止り木なんかじゃない…。お前は、私達が帰る『巣』を作ってくれてたんだ……」

「お前だって、私達と同じなんだよ。お前だって、飛べるんだよ。…………だから」











「一人だけ飛べないなんて、言わせない」

「私達と一緒に、飛んでくれ」

















「すみません。お待たせしました」



















誠子「私もようやく……飛べる!!!」












カンッ



というわけで、長かったこのスレも全部終わりです。
ソルキャスレなのにLIGHTWINGで締めちゃった。


亦野さんってバーテンダーの服が似合いそう(唐突)。


最新のソルキチが熱すぎますねぇ。
照を金井淵式ダイビング攻略したかった。



このスレは明日にでもHTML化依頼出してきますよー。
今日はもう眠いので。


今まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
それでは、おやすみなさい。






~後日閃『300点ワールド』~





インターハイが終わった。



激選の末、大会終了と同時に緊張の糸がプッツリと切れてしまった私達チーム虎姫の面々は、なぜか会場近くのボウリング場にきていた。

ボウリング場ですることといえば、ただ一つ。




ボウリングだ。



菫「シャープシュートッ!!!」





カコーン。





尭深「部長。これで三連続ストライク(ターキー)ですね……」

誠子「お~、すごい!!!」

菫「ふふん。狙い撃つことに関しては負ける気がしないな。これなら大星や照にも勝て……」





ガコーン





大星「よしっ!!」





菫「なっ…四連続(フォース)だとぉっ!?」

誠子「すげーっ!!!!」

尭深「すごーい」










菫「お前たまには先輩を立てるとかしたらどうなんだ」グイグイ

淡「そんな考え二秒で切り返してよ。ていっ」

菫「二秒で次投げるな!!」





照「まぁまぁ、菫。そんなカリカリしないの」

菫「うるさい! ……っというか、そんな上から目線な言い方してるが、今のところお前がビリなんだぞ?」

照「え? うん。まぁ倒す本数自体は増えてきてるし、この調子なら………」















誠子「1ゲーム目!! 一位は宮永先輩!!!」

照「ふふん」

菫「ぐぬぬ…フレーム進むたびに打点あげやがって……」

淡「ズルイ!! 2ゲーム目は私が大暴れしちゃうんだから!!!」




尭深「みんな、頑張って」

菫「……とか言っときながら、渋谷。どうせお前も収穫の時(ハーヴェストタイム)での逆転を狙ってるんだろ! もう油断はしないぞ!!」

尭深「……そうですね。私も狙いたいんですけど………収穫の時(ハーヴェストタイム)は、今まで倒したピンと同じピンを最終フレームで全部倒す技……」








尭深「……ガーターばっかで全然ピン倒せないので、そもそも発動のしようがないんです……」

菫「……そっか」







菫「まぁいい!! 今度こそ一位になるぞ!!! ………あれ、亦野がいない?」

淡「セイコならあそこでクレーンゲームしてるよ? なんか次のゲームの優勝賞品を用意してくるとかで」

菫「はぁっ!? あいつ何やって………上手いな!?」








誠子「一つだけ取って優勝賞品にするつもりが、めっちゃ取っちゃったので好きなだけ持って帰ってください」

菫「いや、一人4個ずつぐらい持って帰ってもまだ余るんだが……」



照「じゃあ、あそこの人たちにも分けてあげよっか」

菫「あそこの人たち……?」







パカーン






玄「うわぁ!!! 灼ちゃんすごーい!!! ここまで全部ストライクだよ!?」

憧「う~ん…やっぱ本職は違うわねぇ…」

灼「これだけは負けられな…」

穏乃「おーーっし!! 私だって負けませんよぉ!? ドリャア!!」

玄「え? ドラ?」







淡「あーーーーーーっ!!! タカカモシズノ!! あと他の人たちも!!!!」

菫「あ、おいこら淡!!」

憧「ん……ふぇっ!? し、白糸台高校!? どうしてここに!?」

宥「多分、私達と一緒じゃないかな…? お疲れ様会……」






菫「やめろ、絡むな淡!!! 試合以外で会うとなんかハズイじゃないか!!」

淡「え? そんなことないけど?」

菫「あるよ!! なぁ!?」

灼「あるある……」

宥「あるある……」

玄「ある……かな?」





久「私達もいるわよ!!」

菫「いきなり清澄高校!? なんで!!」

久「そりゃあ会場近くのボウリング場なんてここしかないもの。同じ目的で来たなら鉢合わせするでしょ?」

菫「それもそうだぁ!!」






和「……そして、どうやら考えることはみんな同じみたいですね?」

咲「え? どういうこと……?」

優希「あっ!! あそこにいるのは!?」

京太郎「臨海に姫松に有珠山に……」

まこ「大阪の千里山に九州の新道寺……Aブロックの準決勝のメンツじゃのう」





ネリー「こんな玉転がすだけでお金を取られるなんて……納得いかない…」

智葉「まぁそう言うな。一位になれたらメグがラーメン奢ってやるから」

ダヴァン「What!? 聞いてまセンヨッ!?」

郝s「和(フー)…どうやら私に、スペアはいらないようです(ストライク)」

明華「LAAAAAAAA~~~」






成香「素敵に入りました!!(スペア)」

誓子「この短時間でかなり上手くなったね! なるか」

爽「入るといえば、トイレって入れるところじゃなくて出すと…」

由暉子「そこまで。全然関係ない話を振らないでください」

揺杏(みんな楽しそうで何よりだけど…私はガーターばっかで楽しくないんだけどなー)







洋榎「さてさて。ここで勝って、30円の借金はチャラにしてもらおか~」

セーラ「ほざけ。勝ち負けは別にして、金は返さんかい」

恭子「主将……金無いんやったら立て替えますよ?」

洋榎「いらん! ここでチャラにする!!」

浩子「ウチは愛宕家ちゃうからな~。あの借金タレ目とは何の関係もないで~」

絹恵「あ、浩子ちゃん! ご無沙汰やねぇ」

怜「…この勝負……1フレーム目はセーラが8本…愛宕お姉ちゃんの方が9本で向こうが若干有利やな」

竜華「またしょうもないことに能力つこて……」

漫「あああああっ!!! 爆発しとるのにピンが三本しか倒れへん!! このままじゃまたデコされる~~~!!!」

泉(…倒れてるの、全部789のピンや……逆に器用すぎるやろ……)









哩「リザベ-ション……5!!!」

姫子「!?」ビビクン

美子「5本…ストライク確定?」

煌「ですね……ただ、これだと部長が姫子に絶対勝てないのでは……?」

仁美「……いや、これはむしろ……」






哩「……スマン! 姫子!!(ガーター)」

姫子「しょうがないですよ、ぶちょー(ガーター)」







菫「…………なんだこれ?」






穏乃「和! こっちで一緒に遊ぼうよ!」

和「……えぇ。今行きます…よければ咲さんと優希も一緒にどうですか?」

咲「……じゃあ、私も一緒にいこっかな?」

優希「当然私もいくじぇ!!」

淡「あ、じゃあ私も私も!! 混ざる混ざる!!」

泉「あ、ならウチも!! 絶対倒すで~、原村和!!!」






久「…あら? 変なところが残っちゃったわねぇ。シンシナティだっけ?」

セーラ「あ~らら。清澄の部長…あんな離れた二本が残ったら難しいんとちゃうか?」

洋榎「いや…多分逆やなぁ。あんなん一番得意にしてるはずやで? 清澄のは」

久「ふふん? もしかして私の話しちゃってる? そんな期待されても困るわよ?」







京太郎(……有珠山の一年の子…やっぱでけぇなぁ。白糸台だと中堅の人だな。…千里山の黒髪の人もいいものをお持ちだな)

玄(あの人は清水谷さんという、三年生の方ですのだ。あと白糸台の方は渋谷さんです。ついでに有珠山の人の名前を教えていただけると嬉しいです)

京太郎(こいつ直接脳内に…!? ちなみにあの人は真屋さんというらしいです)

玄(ほうほう……それに比べて………)





咲「あ、お姉ちゃん! ………………お姉ちゃんも…………一緒にやろ?」

照「…………………………」

咲「…………………………」

照「……………ちょっと待ってて。……こっちのゲームが終わったらね……」

咲「!? うん!!!」






玄(いい話風にしてるけど、どちらもおもちではないですのだ)

京太郎(遺伝子って、時に残酷ですね)

照(後で麻雀しよっか)

咲(そうだね、お姉ちゃん。この『4人』で、麻雀しよっか)

玄(!?)

京太郎(!?)






絹恵「……あ、次うちの番やな? 原村さん、ウチのボールとってもらってええ?」

和「あ、はい。これですね」

憧「!?」

絹恵「はいな。ありがとさん」





穏乃「ねぇ。和…今、エトペン渡してなかった?」

和「え? そんなまさか…だってエトペンはここに………あら? これ……」

淡「そうそう。さっきから実は疑問に思ってたんだけど………なんでノドカはさっきからそんな大事そうにボーリング玉を抱えてるの?」

優希「……まさか…この展開は……」





絹恵「えーーーーーーいっ!!!」パカーン

和「え…エトペーーーーーーーン!!!!」







誠子「ねぇ尭深。どれが欲しい?」

尭深「……じゃあ……あの奥の方にいる……ペンギンちゃん」

誠子「……原村さんと同じやつ……気に入ったの?」

尭深「…うん。…くりくりしてて、かわいいなって……」

誠子「……よぉし、任せてよ!!」

尭深「よろしくお願いします」

誠子「その代わり、取ったら私にもモニモニさせてね」

尭深「うん」





ネリー「……あの人形…どれくらいで売れるかな?」

明華「なんの話ですか?」

ネリー「…あの人に150円渡して、100円であの人形取ってもらって、それを200円で売れば……!!」

智葉「値段のスケールがずいぶんと小さいな……」








菫「…………なんだこれ?」





菫「なんだこれ?」





















菫「……まぁいいや。せっかくだし、私も臨海のダヴァンと射撃武器の良さについてでも語り合いに行こう」










カンッ




とかいう蛇足を入れてみたり。


というわけで、HTML化依頼出してきまーす。
さようなら~。

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