亜美・真美「大人になりたくないと思った日」 (85)

【ある日】

P「あむ……」

亜美「あー!兄ちゃんそれ!」

真美「自分だけそんなのずるいよー!」

P「ん……?もしかして、これの事を言ってるのか?」

亜美「そーだよ!亜美にもちょうだい!」

真美「真美も真美も!」

P「はぁ……お前らな。俺が好きでカロリーメイト食べてるとでも思ってるのか?」

真美「違うの?」

P「違うな。時間がないから仕方なくだ。俺だって普通のご飯が食べたい」

亜美「ん?じゃあ要らないって事?」

P「いや、これ食べなかったら昼飯抜きになるだろうが……」

亜美「あー……そだね」

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P「そだねってお前……」

真美「でもでも、カロリーメイト美味しいでしょ?」

P「美味しいか美味しくないかで聞かれたら、まあ美味しいんだろうけどさ」

亜美「けど?」

P「昼飯時にこんなパサパサした物を食べたい訳ないだろ。それに甘ったるいし」

P「大体、こういうお菓子みたいなの嫌いなんだよな。やたら喉が渇くし、お腹に溜まらないし」

P「ま、春香のクッキーは——」

ガサッ……パラパラ……

春香「プロデューサーさん……私のクッキー、嫌いだったんですね……」

P「は、春香!?いつからそこに!?」

春香「いつだっていいじゃないですか……大事なのは、私のお菓子なんてパサパサだって事ですよ……」

P「違うんだ!春香のクッキーはしっとりしてて美味しいって言おうとしたところなんだ!」

春香「いいんですよ、フォローなんてしなくても……でも——」

春香「うぅ……ぐすっ……プロデューサーさんのバカアアァァァ!」

ダッ!

P「待ってくれ春香!誤解なんだあああぁぁぁ!」

亜美「行っちゃったね……」

真美「うん……」

亜美「兄ちゃん、どうするのかな?」

真美「さぁ……?」

亜美「…………」

真美「ま、まぁ……カロリーメイト、食べとく?」

亜美「そうしよっか……」

【数時間後】

P「はぁ……はぁ……誤解が解けてよかった……」

亜美「あ、戻って来た」

真美「どうやって解いたの?」

P「とにかく春香のクッキーは大好きなんだって言って……それで……」

亜美「それで?」

P「新しくリボンをプレゼントしたら……はぁっ……許してくれたよ……」

真美(うわぁ……お金で解決したよ……)

亜美(大人って皆こうなのかな……)


春香編——END

【別の日】

亜美「ねぇねぇ兄ちゃん、何飲んでるの?」

P「これか?これはただの麦茶だけど」

真美「あれ?前までは緑茶飲んでなかったっけ?」

P「ああ……ここのところ、暖かくなってきたからな。もう緑茶なんて飲んでられないんだよ」

亜美「でもあれ、つめた〜いで緑茶あったっしょ?」

P「あるにはあるけど、大抵美味しくないじゃないか」

真美「あ、兄ちゃん……後ろ……」

P「そもそも、緑茶なんて冬の飲み物だからな。この暑いのに飲むなんてありえないだろ?」

P「まあ、雪歩が入れたやつだけは——」

ガシャーン!

雪歩「うぅ……プロデューサー……そんな風に思ってたんですね……」

P「雪歩!?まさかさっきの話を……」

雪歩「いいんですよ……どうせ、私なんて気が利かなくてダメダメなんです……」

P「いやっ……ちがっ……」

雪歩「違わないです!さっき、『この暑いのに飲むなんてありえない』って言ってました!」

P「それは誤解で——ああいや、あながち間違いでもないんだけど——じゃなくてだな!」

P「俺は、雪歩の入れたお茶なら話は別だって言おうと——!」

雪歩「フォローなんてやめてください……よけい惨めです……」

雪歩「そうですよね……この暑いのに何をお湯なんて沸かしてるんだって話ですよね……」

雪歩「沸いてるのは私の頭だけで十分でしたよね……でも——」

雪歩「そんなに……そんなにはっきり言わなくてもいいじゃないですか!プロデューサーのバカアアァァァ!」

ダッ!

P「雪歩っ!俺の話を聞いてくれええぇぇぇ!」

亜美「なんか、前にも見たよね……」

真美「せっかく真美が教えたのに……」

亜美「どうする……?」

真美「んー……やる事ないし、取り敢えずそれ、片付けようか?」

亜美「あー、びしょびしょだもんね」

真美「じゃ、雑巾取ってくるね—」

【数時間後】

P「た、ただいま……」

亜美「あ、おかえり兄ちゃん」

真美「許して貰えたの?」

P「まあな……」

真美「……ちなみにだけど、どうやって?」

P「取り敢えず、雪歩のお茶なら毎日でも飲みたいって言って……」

亜美「ふむふむ」

P「それと、割れた急須と湯呑を、お詫びのしるしに上等なやつにして……それで、玉露を買ったら許してくれたよ……」

真美(まただ……)

亜美(まただね……)

真美(ていうか、お金で許してよかったの雪ぴょん……)

亜美(亜美にはもう分かんないよ……)


雪歩編——END

【違う日】

亜美「兄ちゃん見て見てー!」

真美「ほら!今日は暑いからトレーニングウェアで来てみたんだ!似合うっしょ?」

P「お前らなぁ……女の子なら女の子らしい格好しろよ……」

亜美「不評ですなぁ……」

真美「イケてると思うんだけどなー」

P「イケてる訳ないだろ。大体、なんでトレーニングウェアなんだ。涼しい格好にしてももうちょっとやりようがあるだろ」

P「例えばスカートを履いてくるとかさ。その年になってトレーニングウェアで外出するって……」

亜美「あ、兄ちゃん。その辺で……」

P「何がその辺だ。今日は徹底的に言わせて貰うぞ」

P「お前達は女の子だという自覚がなさすぎる。せっかくオシャレができる年頃なのに、そんな男っぽい格好して……」

P「まあ、朝に運動してくる上に似合ってる真だけは——」

ドサッ……

真「プロデューサー……ボクの恰好の事、そんな風に思ってたんですね……」

P「真!?くそっ……またこのパターンか!」

真美(兄ちゃん、学習しなよ……)

真「パターンって何の話ですか……?もしかして、ボクの恰好がワンパターンって話ですか……?」

P「違う!そんな事言ってないから!お願いだから話を聞いてくれ!」

真「ちゃんと話は聞きましたよ……ボクの恰好は男っぽいって事ですよね……」

P「ああっ!そんなところだけ抽出しないで!『似合ってる』って言ってたところを思い出して!」

亜美(あ、油注いだよこの人)

真「似合ってるって……男っぽい格好がですよね……」

P「また曲解——いや、曲解じゃないんだけど——そうではなくてだな!」

真「いいんですよ……どうせ、真王子とかなんとか言われ続ける運命なんです……でも……」

真「プロデューサーだけはっ!分かってくれてると思ってたのにっ……!」

真「もうボクは一生王子様のままなんだ!うわああぁぁぁん!」

ダッ!

P「違うんだって!話を聞いてくれ!真おおぉぉぉ!」

亜美「亜美、気を利かせてみたんだけど……」

真美「仕方ないよ、兄ちゃんがアレじゃ」

亜美「うん。仕方ないよね……仕方ない」

真美「……取り敢えず、着替えよっか」

亜美「そだね。兄ちゃん居ないし」

【数時間後】

P「ぜぇっ……はぁっ……くっ……」

亜美「あ、兄ちゃん帰って来たよ」

真美「あれ?何だか前より疲れてない?」

P「真は……運動不足にはキツイ……」

亜美「まこちん、足速いもんねー」

真美「それで、今回はどうやって許して貰ったの?」

P「追いついてから、お前が女の子らしい事は誰よりも分かってるぞって言って……」

亜美「ふむ……それで、どうしたのかね?」

真美(兄ちゃんにここで止めておくという考えはないのかな……)

P「フリフリのスカート買ってあげて……それで許して貰えたよ……」

真美(服をプレゼントし始めたんだけど)

亜美(これ、続いたら最後にはどんなのプレゼントする事になるのかな……?)


真編——END

【更に別の日】

亜美「へいへい兄ちゃん!これ見て!」

真美「新しいストラップなんだー!いいでしょ?」

P「どれどれ……って、何だこれ?」

亜美「カエルだけど?」

真美「見て分かんない?」

P「いや、分かる訳ないだろ……何か潰れてるし」

P「と言うか、潰れてる以前にミンチなりかけみたいな顔してるんだが……」

亜美「キモカワってやつだね」

P「はぁ……キモカワねぇ……」

P「俺は、キモカワって言うのは率直にキモイという事だと思うんだがな」

P「そもそも可愛いなら可愛いでいいじゃないか。なのにキモイなんて付くって事は、要するにキモイんだろ?」

P「お前達もアイドルなんだし、もうちょっとマシなセンスを身につけないとな」

P「まあ、思い出の品って事なら別だろうけどさ。例えばやよいの——」

べちょっ……←べろちょろの落ちた音。なお、若干潰れている

やよい「うぅ……プロデューサー……私、アイドル失格ですか……?」

P「やよい!?何でこうもタイミングよく!?」

やよい「そうですよね……美希さんとかのセンス見てたら、こんなのありえませんよね……」

P「いや、俺は可愛いと思うぞ。うん」

やよい「いいんです……私のセンスがないって事は、よく分かりましたから……」

P「そんな事はないんじゃないかなぁー。ホラあれだ、キモカワとか言うしさ」

真美(墓穴……)

やよい「それ、つまりはキモイって事なんですよね……」

P「いやっ……そのだな……」

やよい「分かってます……キモイんだって……でも」

やよい「そんなっ!追い打ちをかけなくてもいいじゃないですかぁ!プロデューサーのばかぁっ!」

ダッ!

P「ちがっ……追い打ちとかそんなつもりはなかったんだああぁぁぁ!待ってくれ、やよいぃぃぃ!」

亜美「行ってしまったわ……」

真美「円環の——って、違うでしょ」

亜美「でも、繰り返し同じ事してるから割とあってるような気も……」

真美「……そだね」

亜美「時間できちゃったね、どーしよっか?」

真美「やよいっちのべろちょろ、汚れちゃってるから磨いとく?」

亜美「あ、それ名案だね」

真美「えーと、綺麗な布ってあったっけ……」

【数時間後】

P「やっと分かって貰えた……」

亜美「おかえりー」

真美「もう慣れたもんだねー」

P「慣れたくなんてなかったんだけどな……」

真美「で、今回はどうしたの?」

P「ああ……実は、財布を買ってやろうと思ったんだけど断られてな……」

亜美(うわぁ……)

真美(流石にやよいっちには効かなかったか……)

P「仕方ないから、俺の鞄にべろちょろのステッカーを貼ることにしたんだ」

P「べろちょろは可愛いって事の証明だな。そしたら許してくれたんだ」

亜美「どこにあるの?」

P「これだ」

亜美・真美「……キモッ」

P「ああ……なんか、平面になると凄くキモイんだよな、これ……」


やよい編——END

【またある日】

P「ズズッ……」

亜美「あ、兄ちゃんそれってコーヒー?」

真美「いいなー。真美も飲みたーい!」

P「一応言っておくが、コーヒーなんてそんな美味いもんでも何でもないぞ」

亜美「じゃあなんで飲んでるの?」

P「眠気覚ましの為だ。そうじゃなかったらこんなもん飲んでない」

P「そもそも、これは缶コーヒーだし」

真美「缶コーヒーだとなにか違うの?」

P「違うな。缶コーヒーは黒く濁った苦いだけの水って感じだ」

P「あと、『微糖』とか書いてあるやつは大抵『微』どころじゃなく甘かったりする。ふざけてんのか」

真美「兄ちゃん、一応言っておくけど……あ、もう遅いか」

P「何がだ?……とにかく、インスタントコーヒーも味なんて知れてるし、できれば飲みたくないな」

P「まあ、音無さんが淹れて——」

ガシャーン!ベシャァッ!

小鳥「プロデューサーさん……ごめんなさい……」

P「音無さん!?音無さんは俺の話、最後まで聞いてくれますよね!?」

小鳥「最後までって……もしかして、私が淹れると断りづらいって話ですか……?」

P「違いますって!なんでそんなにネガティブなんですか!?」

小鳥「ネガティブなんかじゃないですよ……事実をありのままに受け入れただけです……」

P「それ事実と違います!俺が言おうとしたのは『音無さんのコーヒーは美味しい』って事で……」

小鳥「フォローなんていいですよ……私をフォローしたって、何もいい事ありませんし……」

P「いや、いいとか悪いとか以前に誤解なんですってば!」

小鳥「いいんですよ、無理しなくても……でも」

小鳥「私は……プロデューサーさんが疲れてるだろうと思って……!」

小鳥「ふざけてなんかないんですっ!ううぅぅぅっ……!」

ダッ!

P「待ってください音無さん!俺は好きなんですってばああぁぁぁ!」

亜美「愛の告白?」

真美「ムードの欠片もないけどね」

亜美「ま、冗談は置いといて……これ、どうしようか?」

真美「コーヒーって落ちるのかなぁ……?」

亜美「あの白い粉どこだっけ?」

真美「クレンザー?あー……真美、取ってくるね」

亜美「よろよろー。亜美は雑巾持ってこよっと」

【数時間後】

P「ただいま……」

亜美「おー。兄ちゃんおかえり」

真美「掃除大変だったんだからね」

P「手間を掛けさせてすまないな……」

真美「まあいいけど。で?」

P「ああ。今回は割とあっさり片がついてな」

P「コーヒーの缶を見せたら納得してくれたよ」

亜美「ピヨちゃん大人だねー」

真美(もう一波乱ありそうな気がする……すっごいする……)


小鳥編——END

【更に違う日】

亜美「へーい兄ちゃん!このファッションとかどうよ?」

真美「ちょっとドキドキしてこない?」

P「お前ら……なんつー格好してるんだ……」

亜美「ファッション誌に載ってた最近の流行だって」

真美「そんな事より感想プリーズ!」

P「あー……一言で言うとだな、似合ってない」

亜美「むー……失礼な!どこが似合ってないというのか!」

真美「真美達大人になってきたし、こういうの似合うお年頃だもん!」

P「いやでもな……そんな際どい格好しなくてもいいだろ」

P「大体な、子供の内にしか着れない服もあるんだ。そういう露出度の高い服は大人になってからでいいんだ」

P「考えてもみろ。50過ぎたおばさんがフリフリの服着てたら引くだろ?」

亜美「兄ちゃん後ろ——って、これ聞いてないね」

P「だから、子供は子供に合った服を着るべきなんだ。それに、あんまり布面積が少ないと大人っぽいというより下品だぞ?」

P「まあ、スタイル抜群の美希なら——」

ドサッ……

美希「ハニー……ミキの事、そんな風に……」

P「お前ら俺に恨みでもあるのか!?——じゃなくて、誤解なんだ!」

美希「誤魔化さなくてもいいの……ハニーはミキの事、下品な女だって思ってたんだよね……?」

P「思ってないから!むしろスタイル抜群とか言ってたから!」

美希「あはは……嬉しいの……」

P「ならせめて笑ってくれないかな?全然嬉しそうに見えないんだけど……」

美希「でもいいの……今度からもっと子供らしい服にするね……」

P「いや、美希はそのままでもいいっていうか……俺は、本人に似合ってる服を着るべきだという事をだな……」

美希「ごめんね……ミキ、これからは『I LOVE おにぎり』Tシャツ以外着ない事にするの……でも」

美希「ミキはっ……!ハニーに『可愛いね』って言って貰いたかっただけなのにぃっ……!うわああぁぁぁん!」

ダッ!

P「だからせめて話を聞いてくれって!美希ぃぃぃ!」

亜美「……今度はどうやって仲直りするか予想しようか?」

真美「服とアクセサリーに一票」

亜美「あー……これ勝負になんないね」

真美「……だね。それじゃ、ミキミキの荷物拾っとこうか」

亜美「なんか最近、後始末ばっかりしてる気がするね」

真美「まあ、誰も居ないしたまにはいいんじゃない?」

亜美「そだねー。イタズラばっかりでも飽きちゃうもんね」

【数時間後】

P「ふぅ……長かった……」

亜美「ねぇねぇ兄ちゃん」

P「なんだ?」

真美「服とアクセ、見に行ったでしょ?」

P「おお!お前達凄いな!エスパーか?」

亜美(兄ちゃん、自分を顧みた方がいいよね?)

真美(そうなんだけど、多分言っても無駄だよね)

亜美(そんな事は——)

P「しっかし。なんで分かったんだろう?」

亜美(……なかったね)

真美(うん。もうどうしようもないね)


美希編——END

【またも別の日】

亜美「ふんふんふ〜ん♪」

真美「ふふふふ〜ん♪」

P「……ご機嫌なところ悪いが、気が散るから止めてくれないか?」

亜美「鼻歌ぐらい許してよ—」

真美「退屈で死にそうなんだよー」

P「人間、そう簡単には死んだりしない。大体、歌ならレッスン場で歌ってきただろ?」

亜美「それとこれとは別なの」

真美「レッスンはお仕事だけど、こっちはプライベート的な?」

P「言いたい事は分かるが、それを言うなら俺だって今はお仕事中だ」

真美「兄ちゃん、一応言っといてあげるけど、今やめといた方がいいよ?」

P「そうやって説教を回避する魂胆か?引っかからんぞ」

亜美(人の親切心を無にする兄ちゃん……救えないよ……)

P「人が集中してる時に鼻歌なんて舐めてるのか?それとも俺に仕事をさせないつもりか?」

P「そもそも、鼻歌って言うのは耳障りなんだ。俺が鼻歌歌っててみろ。ウザいだろ?」

P「それと同じで、他人の鼻歌なんて騒音でしかないんだよ」

P「まあ、千早レベルになると——」

ガシャッ←音楽プレイヤーが落ちた音

千早「プロデューサー……私、鬱陶しかったんですね……」

P「千早か……俺、終わったな……」

真美(もう慌てすらしないね)

亜美(悟り世代ってやつ?)

千早「ふふ……私、知りませんでした……自分の鼻歌がそこまで嫌われてたなんて……」

千早「でも、そうですよね。人の鼻歌なんて鬱陶しいに決まってますよね」

P「いや、決まってないっていうか……そもそも千早の鼻歌は珍しいから結構好きだったりするんだけど……」

千早「いいんですよ……所詮、私の歌なんてそんなものですから……」

千早「セイレーンがどうの、なんて……恥ずかしいメールまで送ったりして……」

千早「何がセイレーンですか……良くてマンドラゴラの金切り声だろって話ですよね……」

P「いや、そこまでは言ってないんだけど。俺の評価を妄想で下げていくのはマジで勘弁してください」

千早「でも……プロデューサーが『千早の歌って好きだぞ』って言ってくれたから……」

千早「だから自分の歌を好きになれたのにっ……!そんなの酷いですっ!うああぁぁぁぁっ……!」

ダッ!

P「だから千早の歌は好きなんだってば!千早に届いて!この想い!」

亜美「……コント?」

真美「コントだね」

亜美「それにしても、兄ちゃんってばバリエーション豊富だよね」

真美「大人の情けない部分のバリエーションなんて要らないよ……」

亜美「……そうだよね」

真美「それはさておき、千早お姉ちゃんの音楽プレーヤー、壊れてないみたいでよかったよ」

亜美「おー。キズもないとは奇蹟ですな」

真美「テーブルの上に置いといて……後は兄ちゃんを待つだけか」

亜美「お決まりのパターンだねー」

【数時間後】

P「これは痛い……」

亜美「兄ちゃんおかえり。何が痛いの?」

P「いや、千早に『お前の歌が好きなんだ』って言ったらな」

真美「言ったら?」

P「千早が『じゃあ、私の歌をずっと聞いていてくれますか?』なんて言うものだからさ」

亜美「うん」

P「納得させるために、俺の家にオーディオとか買ったんだよね。千早の曲を流すから。その出費が痛くてな……」

真美(信頼を得るにもお金か……)

亜美(兄ちゃんはこれでいいのかな……)


千早編——END

【今までとは違う日】

亜美「兄ちゃ—ん」

真美「これ可愛いでしょー?」

P「なんだ……?ああ、ぬいぐるみか。確かに可愛いな」

亜美「でしょでしょー?兄ちゃんにもこの可愛さが分かるようでよかったよ!」

真美「うむうむ。それにしても、これ、今日一日は手放したくないなぁ」

P「え?いやいや、流石にお前らの年にもなってぬいぐるみ持って歩くのはヤバいだろ」

亜美「何が?」

P「何がって……ぬいぐるみ持って歩いてるのが許されるのは、せいぜい幼稚園が限度だろ。それ以上は精神疾患を疑うね」

真美「あ、もういいよ兄ちゃん」

P「話は終わってない。もしお前達がそんな暴挙に出るんだとしたら、俺は責任を持って病院に連れていかなければならない」

P「まあ、ぬいぐるみを持ってるのが一種のアイデンティティになってる伊織は——」

ウサッ……←シャルルが落ちた音

伊織「あんた……私をそんな目で見てたのね……」

P「見てないよって言っても無意味なんだろ?そうなんだろ?」

伊織「そうよね……よくよく考えてみれば、この年でぬいぐるみ持ってるなんて狂気の沙汰よね……」

P「狂気の沙汰とか言ってないぞー。言ってないからな—」

伊織「でも、精神疾患を疑うんでしょう?」

P「それは勿論——あ」

伊織「いいのよ……私なんてウサちゃんが居なかったら情緒不安定になるもの……立派に精神疾患よ……」

P「いや違うんだって。お前のウサちゃんはアイデンティティなんだってば」

伊織「つまり、ウサちゃんが本体って言いたいのね……分かってるわ……」

P「分かってないわ」

伊織「でも、私だっておかしいって思ってるけど……それでも」

伊織「もうずっと一緒なんだから!愛着があってもいいじゃない!」

P「だから!悪いとは言ってないじゃない!」

伊織「あんただけは分かってくれてると思ってたのにっ……!もう知らないんだから!バカアアァァァ!」

コピペミスりました、もう一回同時やつ入れさせて貰います

伊織「そうよね……よくよく考えてみれば、この年でぬいぐるみ持ってるなんて狂気の沙汰よね……」

P「狂気の沙汰とか言ってないぞー。言ってないからな—」

伊織「でも、精神疾患を疑うんでしょう?」

P「それは勿論——あ」

伊織「いいのよ……私なんてウサちゃんが居なかったら情緒不安定になるもの……立派に精神疾患よ……」

P「いや違うんだって。お前のウサちゃんはアイデンティティなんだってば」

伊織「つまり、ウサちゃんが本体って言いたいのね……分かってるわ……」

P「分かってないわ」

伊織「でも、私だっておかしいって思ってるけど……それでも」

伊織「もうずっと一緒なんだから!愛着があってもいいじゃない!」

P「だから!悪いとは言ってないじゃない!」

伊織「あんただけは分かってくれてると思ってたのにっ……!もう知らないんだから!バカアアァァァ!」

ダッ!

P「くそっ……!連日のダッシュで膝が痛い!待ってくれ、伊織ぃぃぃ!」

亜美「今日のお相手はウサちゃんでーす」

真美「よく見るとちょっと汚れちゃってるね」

亜美「いおりん、大事にしてる割には手入れ雑だよね」

真美「というより、やり方が分かんないじゃないかな?」

亜美「あー、そうかも」

真美「という訳で、真美達がやってあげますか」

亜美「そだね。ヒマだし」

真美「兄ちゃんは大忙しだけどね」

【数時間後】

P「伊織の説得……まさか自己同一性の話からになるとは……」

亜美「兄ちゃん、なんだかやつれてない?」

P「いや、まあ自業自得だから気にしなくてもいい」

真美(あ、その自覚はあったんだ)

亜美「今日の兄ちゃんはどうやって説得したの?」

P「ファンシーショップに行って、俺用のぬいぐるみを買ってきた」

P「伊織も俺がぬいぐるみを持つって分かったら許してくれてな」

真美(あぁ……相手にお金が使えなかったら、自分に使うようになるのか……)

P「最初は抵抗あったんだが、こうしてみると案外似合ってないか?ほら、どうだ?」

真美「兄ちゃんが言った事が正しかったって分かるぐらいには似合ってるよ。ね、亜美?」

亜美「うん。病院行った方がいいくらい似合ってる」


伊織編——END

【更なる別の日】

亜美「ねえ真美、これでいけるんじゃない?」

真美「んー……もうちょっと尖ってるやつのほうがよくない?」

P「何の話をしてるんだ?」

亜美「あ、兄ちゃん。ちょうどいいところに」

真美「ピアスの穴って、どうやって開けるの?」

P「は——?いや、待て!早まるんじゃない!」

亜美「ん?」

P「ピアスの穴なんて自分で開けるものじゃないんだぞ!?分かってるのか!?」

真美「あ、今開ける訳じゃないよ?どうやって開けるのか興味あるだけ」

P「そ、そうか……怖い事言わないでくれよ……」

P「ピアスなんかしないに越した事はないからな」

亜美「何で?——あ、これ訊いてもいいのかな?」

真美「今何を言っても無意味だし、いいんじゃないかな」

P「訊いてもいいっていうか聞け。いいか?ピアスはアホのするものだ」

P「そもそも人間の身体に金属なんて付いてないんだ。なのに何で異物を付ける必要がある?」

P「時折、金属が溶けだして炎症を起こしてるやつもいるし……何より分からないのは輪になってるピアスだな」

P「何かの拍子に引っかかって耳たぶ千切れたらどうするつもりなんだ?頭足りてないのか?」

P「まあ、うちの響はそんな——」

ドサッ……

響「プロデューサー……自分、頭足りてなかったんだな……」

P「……やあ響、おはよう。それはそうと俺の話を聞いていかないか?」

響「話なら聞いたぞ……自分、アホだったんだな……」

P「いや、アホとは——言ったけど——そうじゃなくてね?」

響「いいんだ……自分、いつも先走っちゃうし、それで迷惑かけてたんだな……」

響「いつも先走る癖にピアスの穴はちゃんとお医者さんに開けて貰ってごめんなさい……」

響「自分で開けて炎症起こせばよかったよね……本当にごめんなさい……」

響「あ……もういっそ全身炎症起こせばよかったのか……その場合、火だるまっていうのかな……?」

P「違うんだって。あと火だるまがどうのなんて考える余裕あるなら俺の話聞いて。そして理解して」

響「分かってるよ……輪っかのピアスしてるやつは耳たぶ千切れればいいって事でしょ……?」

P「分かってないよ!?『千切れろ』なんて言う訳ないだろ!?」

響「弁解しなくていいぞ……事実だもんな……でも」

響「前は『ピアスカッコいい』って褒めてくれたのにっ……なのにっ……!」

響「そんな、陰で悪口言わなくてもいいじゃないかっ……!うわああぁぁぁん!」

ダッ!

P「だから陰口とかじゃなかったんだって!これは二人に言い聞かせて——ああもう!待ってくれよ響ぃぃぃ!」

亜美「行ったね」

真美「いつも通りにね」

亜美「……これって、亜美達が悪いのかな?」

真美「そうだねー……亜美達と兄ちゃんで1:9ぐらいは悪いと思うよ」

亜美「なんか……少なくても犯罪の片棒を担がされてるみたいで嫌だね……」

真美「真美もそう思う……」

【数時間後】

P「くそぉ……響も足が速かったの忘れてた……」

亜美「兄ちゃんお疲れさまー。どうだった?」

P「ああ……ただいま。今回はあれだ。新しいピアスと、それだけじゃバカにしてるみたいだからイヤリングを一つな……」

P「勿論、試着してみて褒めるのも忘れなかったぞ」

真美「なんか、確実に許して貰おうっていうのが透けて見えるんだけど……」

P「バカを言うな。俺なりに考えて出した仲直り方法だぞ?」

真美(考えた末に辿りついたのがお金かぁ……)

亜美(やっぱり、大人って皆こうなのかな……)


響編——END

【また後日】

亜美「あー疲れた。ゴージャスセレブプリンってあったよね?」

真美「うん、確か冷蔵庫の中に」

亜美「じゃー頂きますか!」

真美「自分へのご褒美ってやつだね!」

P「待て」

亜美「ん?兄ちゃんどうしたの?」

P「いや、さっき酷い発言が聞こえたものだから、ちょっとな」

真美「真美としては、兄ちゃんは黙っておくのをお勧めするけど」

P「いや、これは意識の問題なんだ。二人には変な女になって欲しくないからな。聞いてくれ」

P「まずだな。さっきの発言をするやつは総じて地雷だ」

P「ご褒美云々いいながら、実際のところは自制のできないただのバカだ」

P「際限なく甘味やら脂質やらを貪り食って、ぶくぶく肥え太るのが目に見える」

P「それに、そういうやつは往々にして頑張りが知れてる」

P「世の中にはもっと頑張ってる人もいるんだ。というか、頑張りは自分で決めるものじゃないだろと」

——————

貴音「ふふ……仕事終わりのかっぷらぁめん……さしずめ、自分へのご褒——」

——————

P「つまるところ、自分へのご褒美とかほざく女は大抵、自分の管理ができなくて、卑しいうえにはしたない欲望に塗れたろくでなしって事だ」

P「ただ、俺から見ても頑張ってる貴音とかは——」

ドチャッ……←カップラーメンが無残にも地に落ちた音

亜美「亜美し—らない」

真美「真美もし—らない」

貴音「プロデューサー……わたくしの事をそんな風に見ていらっしゃったのですね……」

P「いや違う!なあ貴音。貴音なら俺の話を冷静に聞いてくれるよな!?」

貴音「ええ、わたくしは至って冷静です。あなた様の仰りたい事も全て理解しております……」

P「うんうん。俺は、貴音みたいに頑張ってるやつはいいんだって言おうとしたんだよ。そうだよね?」

貴音「それはふぉろーなのでしょう……?わたくしも、分かってはいたのです……」

貴音「何かある度にらぁめんを食べ……あなた様が健康に響くからと止めてくれたにもかかわらず……」

貴音「地雷……ですね、わたくしは……はしたなく卑しいちゃぁしゅうでございましたね……」

P「……そう思ってるなら、せめて豚肉を連想するのはやめたらどうだ?」

貴音「はっ!?わたくしとした事が……本当に自制の利かない女ですね……しかし」

貴音「あのらぁめんは……あなた様がわたくしに買ってくれたものではありませんかっ!それをっ……!」

貴音「自分から『ご褒美だ』なんて渡しておきながら……こんな仕打ちをなさるなんて……」

貴音「あなた様の……あなた様のいけずぅぅぅ!」

ダッ!

P「待って貴音!そんな事一言も言ってないんだああぁぁぁぁ!」

亜美「いやー分かりやすいですなぁ……」

真美「展開丸分かりの漫画読んでる気分だよね」

亜美「ジャンルは?」

真美「……ギャグじゃない?」

亜美「だよねー。にしても、これ……」

真美「ああ、カップラーメンね……お姫ちん、よっぽどショックだったんだね……」

亜美「ラーメンだけは大切にすると思ってたけど、あんな事言われたら仕方ないよ」

真美「だね。じゃ、とっとと片付けちゃいますか」

亜美「りょうかーい」

【数時間後】

P「ぜぇ……はぁ……」

亜美「あ、帰ってきたね」

真美「お疲れ—。ていうか、疲れすぎじゃない?」

P「いや、スカートとヒールだから遅いかと思ってたんだが、人混みを縫うように走られてな……はぁ」

亜美「ありゃ、お姫ちんそういうのもできるんだ」

真美「万能だねー。で、どうやったの?」

P「お前ははしたなくないぞって。素晴らしい女性だって言って……」

真美「ここまでくると、『言った』で終わらない事に安心すら覚えるよ」

P「それで、新発売のカップ麺とかスウィ—ツとか買って……あとは食べ歩きして許して貰えた」

真美(またお金か……でも、それよりも)

亜美(お姫ちん……煩悩ダダ漏れだよ……)


貴音編——END

【また数日後】

亜美「兄ちゃん兄ちゃん。これどう?」

真美「大人のメイクやってみたんだー。似合う?」

P「なんだその顔は……さっさと落としてこい」

亜美「えー、苦労したのにー」

P「そんな苦労は要らん。なんで子供がメイクする必要があるんだ」

真美「レッツゴーアダルトってあったでしょ?あれで」

P「あー……アレに影響受けたのか……取り敢えず、落としてからお説教な」

亜美「ヤバいと思うよ?」

P「何がだ。今ヤバいのはお前のメイクだろうが」

真美「真美は責任持たないからね。行こうか亜美」

亜美「はいはーい」

P「何の話だ……?」

【メイク落とし後】

P「さて……メイクについての話だが」

亜美「うんうん」

真美「まあ、聞いといても損はしないよね(兄ちゃんは別だけど)」

P「聞く準備ができてるようでいい事だ。……確か『おとなのはじまり』だったか?」

亜美「そだよー」

P「メイク道具のところ、覚えてるよな?」

真美「うん。『赤いルージュ♪薔薇のく〜ちびる♪』

亜美「『マスカラカール♪かがや〜く瞳♪』」

真美『ほんのりチーク♪色づ〜いた頬♪』」

亜美「『こんな宝物!!♪大人ってズルい!!♪』って感じだよー」

P「うむ。で、お前達に聞きたいんだが、これって本当に宝物か?」

亜美「宝物だよー!だってあんなに綺麗になるし!」

真美「色っぽいよねー。いいなぁ……」

P「そういう認識なんだな……まあ、確かに宝物と取れなくもない。だが、裏を返してみればどうだ?」

律子「裏?」

P「そうだ。メイク道具は宝物だが、それが意味するところはなんだ?」

あずさ「う〜ん……分からないですねぇ……」

亜美(何か、兄ちゃんピンチじゃない?)

真美(でも、ここで止めても真美達巻き添えだよ?)

亜美(そっかー、なら仕方ないか)

真美(うん、仕方ない仕方ない)

P「答えは『それがないともうどうしようもない』だ。メイク道具がなかったら外も歩けないって事だな」

律子「勉強になります」

あずさ「ええ、ホントに」

P「勉強熱心でなりよりだ。俺が言いたいのは、つまりはこうだ」

P「メイク道具って確かに宝物なんだけど、真に宝物なのは肌の張りと艶だって事なんだよ」

P「そもそも、メイクなんて子供の頃からしたら肌を傷めるし、いい事なんて何もないぞ」

P「大体、『赤いルージュ、薔薇の唇』って何だよ。ルージュなかったら枯れてるじゃないか」

P「それに『マスカラカール、輝く瞳』もだ。マスカラが無かったら目小さいんだろ?」

P「あとは『ほんのりチーク、色づいた頬』だっけか?あれ、基本的に色づき過ぎてるからな。桜でんぷじゃあるまいに」

律子「なるほどなるほど」

あずさ「ためになるわ〜」

P「要するにだ。メイクなんて時間掛かるし、マスカラが崩れると悲惨だし、ファンデーションは地層みたいになってるし、色々もったいないんだよ」

P「お前達はその『若さ』という財産をもっと大切にすべきなんだ」

P「あれだぞ?すっぴんで出歩けるやつなんてごく僅かなんだぞ?大人になれば皆無と言っても過言じゃない」

P「それを自分から手放すなんて……何を考えてるんだ」

律子「何を考えてるんでしょうね」

あずさ「分からないですねぇ」

P「いいか?大人になってもいい事なんてそんなにないんだ」

P「肌は荒れるし、皺は増えるし、髪もつやが無くなるし、唇はカサカサするし」

P「化粧という仮面で覆い尽くさなきゃ外も歩けなくなってしまうんだ」

P「だからお前達はそうならないように気を付けるんだぞ?気を抜くとあっという間だからな」

P「まあ、うちの皆はそうは——」

律子「ええ、よく分かりましたよプロデューサー」

あずさ「私達の事、そういう風に思ってたんですね〜」

P「うん……?あれ?二人増えてるなー、おかしいなー……」

律子「何か言う事はありますか?」

P「えっと……いつからそこに……?」

あずさ「プロデューサーさんが『裏を返せば』とか言ってたあたりですかね〜」

P「いやその……これは違うんです」

律子「ほほう……何がどう違うんですか?」

P「俺はただ、あの二人に化粧は早いって伝えたくてだな……」

あずさ「でも、私達って見れない顔してるんですよね?」

P「それは誤解です!ちゃんと『うちの皆はそんな事ない』って言おうとしてたじゃないですか!」

律子「いいんですよー?確かに私達は化粧しなきゃ出歩けないですから」

P「だから違うんだって……!話を——」

あずさ「私の顔って仮面だったんですね〜。知らなかったわ〜」

P「いや、あずささんは美人ですって!」

律子「……あずささん『は』ってどういう事ですか?」

P「勿論律子もだぞ!?ていうか、何で話を聞いてくれないんだ!?」

あずさ「まあ、話を聞く聞かない以前に……」

律子「ええ。誠意を見せて貰わないとですよね」

P「誠意……?ど、どうすればいいんだ!?」

あずさ「さぁ?」

律子「自分で考えたらどうです?」

P「えーと、その、あの……」

P「——化粧品、要ります?」

律子・あずさ「……バカにしてるんですか?」

真美(兄ちゃん、それはないっしょ……)

亜美(今までのツケが全部回って来てる感じがするね……)

P「じゃあ、その、えーっと、あの……」

律子「——なーんて、冗談ですよ。許してあげます」

P「え……?」

あずさ「私も許しちゃいます。まあ、ちょっとは怒ってますけど……」

P「いいんですか……?」

律子「ええ、いいですよ。ただし——」

あずさ「向こうの人も、お願いしますね。そしたら全部許してあげちゃいます」

P「向こうの人って……」

小鳥「生きててごめんなさい……」

P「……なんでこうもタイミング悪いんだああぁぁぁ!」

律子「じゃあ、私は業務に戻るので。あとはよろしくお願いします」

あずさ「ちゃんと慰めてあげなきゃだめですよ?」

P「ああ、待って……置いていかないで……」

ガチャ、バターン!←まだ怒っていた

P「ひぃっ……!」

P「仕方ない……俺だけでなんとか……」

小鳥「うぅ……肌の張りも艶も無くなって……私なんて所詮、その程度なんです……」

P「音無さん。音無さんは美人ですよ。俺が保証します!」

小鳥「ぐすっ……本当に……?」

P「ええ!こんなに美人で気立てがいい人、今まで会った事ないですよ!音無さんは最高の女性です!」

小鳥「……なら、結婚してくれますか?」

P「……え?」

小鳥「本当に私の事を……その……綺麗だって言ってくれるなら、結婚してくれますか……?」

P「いや……それはその、また別問題というか——」

P「音無さんには俺なんかより素敵な人がいるっていうか……」

小鳥「やっぱり……駄目ですよね……こんな三十路手前で腐りかけの女なんて……」

小鳥「しかも、腐ってるくせに肌はカサカサなんですって……おかしいですよね……笑っちゃいますよね……」

P「いや、そんな事は断じてないです!もっと自信を持ってください!」

小鳥「じゃあ結婚……」

P「それはあれです。そんなに軽く決めていいものじゃないんですよ」

小鳥「私、軽い女じゃないもん……」

P「ああっ!この人面倒臭い!」

小鳥「そうですよー……どうせ面倒臭い女ですよー……」

P「さっきのは違います!面倒臭くないですよ!」

小鳥「なら、貰ってくれますか?」

P「それとこれとは話が別です。音無さんと俺じゃ釣り合いませんよ」

小鳥「皆そうやって私から逃げていくんですよね……はぁ……」

フラッ……←窓に近づく音

小鳥「死にます」

P「待って!早まらないで!音無さぁぁぁん!」

亜美「なんか、最後に凄いの見たね……」

真美「うん、なんて言うか……大人ってあんなんなんだなぁって……」

亜美「あれだね。取り敢えずお金で解決する事とか」

真美「あと、物で釣るとか……」

亜美「隙あらば結婚迫るとか……」

真美「それに、自分の言いたい事をそのまま言っちゃ駄目な事とかね……」

亜美「デリカシーって大事だよね」

真美「そだね、まあ、とにかく……」

亜美「何よりも……」

亜美・真美「大人には、なりたくないなぁ……」

こうして、亜美と真美は大人に近付いたのであった。


律子&あずさ&小鳥編(化粧編)——END

どうして兄ちゃんは学習しないんかね?

これにて全編完結です。お楽しみ頂けましたか?

亜美と真美の誕生日当日には書けそうにないので、フライングで書かせて頂きました。

あずささんと律子は分けようかとも思ったんですが、化粧に一番身近だったので合せました。
期待を裏切ってしまったらすみません。

小鳥さんをオチ……は、やっぱり読まれてたみたいですね。

あと、作品の都合上、女性をバッシングするような内容になりました事を、ここで謝罪しておきます。
化粧品を差し上げますので、どうかお許しくださいませ。

少し早いですが、亜美と真美、誕生日おめでとう。

>>71 実際、子供にお説教するのって大変だと思うんですよ

>>72
化粧品くれ

>>75 化粧品ごときで許して頂けるのでしたらいくらでも……

つ化粧品

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