【マジェプリ】もしもイズルが一週間いなかったら (993)

EDF拠点

イズル「特別強化プログラム…ですか?」

リン「ええ。これから先、あらゆる状況での戦闘が予測されるわ。
   少しでも勝率を上げるためにも、この一週間は各自訓練に充ててもらうから」

アサギ「勝、率…」ズーン

リン「言っておくけれど最近の戦果を見て言っているわけじゃないわ。そんなに気にしないで」ニコリ

ケイ「あの、各自ということは…」オズオズ

リン「あぁ。そうね、それも説明しましょう」

リン「これが各自のスケジュールよ。皆別れて進めてもらうから、何度も確認しておくように」テワタシ

スルガ「…うげ。ハードォ」ウツムキ

タマキ「きゅーけーがぜんっぜんないのらー」ダラーン

ケイ「タマキ、ダラけないの」

アサギ「新しい訓練…緊張する」イガー

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368891908

イズル「…あれ?」パラパラ

アサギ「? どうかしたか?」

イズル「あの、僕だけこれ…」

リン「ええ。あなたはここを離れての訓練よ」コクリ

スルガ「へ?」

ケイ「え」バサッ

タマキ「うにゅー?」ダラン

アサギ「…それは」

イズル「えっと。どうしてですか?」ホオカキ

リン「あなたの場合必要なのはリーダーとしての判断力よ。それにはやはり経験がいる。
   そこで、とっさの判断力に定評のあるチームに頼んで訓練してもらうことにしたの」

イズル「もしかして、それって…」

「よう。また会ったな」

チームザンネン「!!」

アサギ「先輩方!」

イズル「あ、やっぱり」

ランディ「おう。俺たちが経験談と実践を交えてお前に生き残る術を伝授してやる」

ラケシュ「ま、ランディだけに任せてもよかったんだがな」

パトリック「まぁまぁ。先輩に任せると話が脱線しちゃいますし」

ランディ「パトリックー? そんなこと言うのはテメェのこの口かコノヤロー」ガッシ

パトリック「いたたっ! せ、先輩! ギブ、ギブですって!!」ギリギリ

ラケシュ「よさんか、ガッカリリーダー」

ランディ「お前もガッカリだろうが!」ガターン

ラケシュ「お前のようなボケと一緒にするな」

ランディ「何を!」

ザンネンズ「」クスクス

リン「――と!に!か!く!」パシーン

ザンネンアンドガッカリ「!」ビシッ

リン「…そういうことだからあなたは一週間別の拠点に滞在してもらうから。
   すぐに必要な荷物を纏めてきて」

イズル「は、はい!」







イズルの部屋

イズル「強化プログラムかぁ…」ゴソゴソ

スルガ「お前よくそんな笑顔でいられるな」

イズル「だって、強化プログラムだよ! これはヒー…」キラキラ

アサギ「はいはい、ヒーローには必須だもんな、特訓」

タマキ「ヒーローばかもたいがいなのらー」アキレ

ケイ「準備は大丈夫? 忘れ物はない?」

スルガ「お母さんかよー。…まぁ母親なんて知らねーけど」

イズル「うん、大丈夫」

アサギ「一週間、か」ボソッ

イズル「…ちょっと寂しいかもしれないけど大丈夫! すぐに帰ってくるよ」

スルガ「誰も寂しいなんて言ってねーけどな」ケラケラ

タマキ「そうだそうだー」

アサギ「少しはリーダーらしくなってこいよ」

ケイ「気を付けてね、イズル」

イズル「ありがとう、皆」ニッコリ

イズル「――じゃあ、行ってくるよ!!」

一日目

タマキ「うーんー」シュッ!ギューン!

スルガ「ほい、ほい、ほいっと」パンッパンッドシュッ!

ケイ「………」カタカタカタカタカタ

シュッ!ガキーン!パラララ…

演習用ホログラム「」カキーンッ!ヒュッ!

アサギ「ぐっ早…」キンッ!キンッ!

チュドーン!

リン『――ブルー1、今日はもう上がって』

アサギ「…はい」






アサギの部屋

スルガ「よう」テヲアゲ

アサギ「…おう」イグスリゴクッ

スルガ「どうだよ調子は」

アサギ「まぁまぁだ」

スルガ「あっそ。…あー疲れた」ガタ

タマキ「うあー今日はもー歩きたくなーい」ピシャ

ケイ「ふぅ。ホント、なかなかハードね」ピシャ

アサギ「…つーか、だから何でお前ら俺の部屋をたまり場にすんだよ」

スルガ「何となく」

タマキ「近い」

ケイ「タマキを放っておけないでしょ?」

アサギ「……おいリーダー、こいつらに――」

ケイ「…いないんだったわね。イズル」

スルガ「そういやそうだったなー」

タマキ「いつもなら何か的外れなこと言うのにー」ダラーン

アサギ「…ま、別にいいけどよ」

ケイ「一人でどうしてるかしらね」

スルガ「案外寂しくて泣いてたりしてな」クククッ

アサギ「まさか。先輩たちと無駄に熱入れて訓練してるだろうよ」

タマキ「ヒーローばかだもんね」






EDF拠点の一つ

ランディ「それで? 結局どういう娘が好みなんだ?」サケアオリ

イズル「あ、あの先輩。特訓は…」オズオズ

ランディ「一日目はゆっくりしろよ。心配しなくても明日からはみっちりとシゴいてやるから」サケツグ

イズル「は、はぁ…」グラスハナス

ランディ「で、どうなんだ? この間のエロビデオ以来何かあったりしないのか?」

イズル「ええと、ケイにビンタされたぐらいで特には」

ランディ「何だつまらん。もったいないヤツめ」

イズル「そんなこと言われても…」

ランディ「ったく、お前はじいさんじゃないんだぞ? もっと甘酸っぱいものをだな…」クドクド

イズル「はい……」

イズル(……何か、想像してたのと違うなぁ)

もっと書いてたと思ったらこれだけか…。
今日はこれだけしかないや、ごめん。とりあえずイズルのいないチームザンネンを書いていく。
あと、アニメ見てこれにハマった人だからそっち基準でいく。

筆が進むわー。まぁ少ないけどやる。

二日目

休憩室

アサギ「…」フー

スルガ「よ」

アサギ「…おう」

スルガ「何だよ珍しくダラけてんじゃねーか」

アサギ「別に。疲れてんだよ」

スルガ「ふーん…」ハッ

スルガ「あ、そこのお姉さーん!!」タタタ

アサギ「…見境ねーな」

スルガ「」ペチャクチャ

美人のおねーさん「」ドンビキアンドテッタイ

スルガ「」トボトボ

アサギ「お前、女なら何でもいいのか?」

スルガ「んなわけねーだろ。美人限定だ」

アサギ「そのわりにはケイとかタマキにはいかないんだな」

スルガ「いやアイツらは何か違うっつーか…こう」

アサギ「こう?」

スルガ「………あー! 思いつかねー!」

アサギ「何だそりゃ」アキレ

スルガ「とにかく! 違うんだよ何かさ」

アサギ「ふーん…」

スルガ「…そ、そうだ、そういうお前はどーなんだよ!」

アサギ「…別に、特に誰も」

スルガ「人に聞いといてそれかよ!」

アサギ「そう言われてもな」

タマキ「疲れたー」

ケイ「何してるの?」

スルガ「おう。アサギの好きな人聞いてんだ」

アサギ「まぁいないけどな」

タマキ「ふぇー」モグモグ

ケイ「喋りながら食べないの」

アサギ「そうだ、タマキも」

タマキ「ん?」クビカシゲ

スルガ「タマキは言わずもがなだろー」

アサギ「そりゃそうだ」

スルガ「じゃケイはどうなんだ?」

ケイ「え?」キョトン

スルガ「だからケイだよ。誰かいんのか?」

ケイ「…私は特に」メソラシ

スルガ「ちぇっ。どいつもつまんねーの」

ケイ「つまらなくて結構よ」

アサギ「まったくだ」

スルガ「イズル…はいないか」

アサギ「アイツがそんなこと考えると思うか?」

スルガ「そうか? でもアイツのあのマンガとか基本かわいい娘とヒーローばっか出てるじゃん」

アサギ「アイツの好みの反映ってことか?」

タマキ「ありふぉー」モグモグ

ケイ(かわいい…)ムゥ

タマキ「んー」ダラー

ケイ「こらダッコ禁止」

タマキ「ちぇー」

リン『チームラビッツ。訓練再開の時間です。至急各位置につきなさい』

アサギ「ほらいくぞ」

スルガ「はいよー」

ケイ「ほらタマキ」

タマキ「うー。終わったら塩辛大盛り食べてやるもん」






EDF拠点の一つ

イズル「…ふー」アセカキ

ランディ「ようし、今日はここまでだ」

パトリック「お疲れさま」

ラケシュ「今日やったことはしっかりと確認しておけよ」

イズル「はい、ありがとうございました」ペコリ

ランディ「おう。…後でメシに行こうぜ?」ヒラヒラ

イズル「はい、ぜひ。それじゃお先に失礼します」ペコリ

マンザイスリー「」テヲフル






イズルの部屋

イズル「ふー」ドサッ

イズル「何か疲れたなぁ」ゴロゴロ

イズル「皆はどう…いないんだったな」

イズル「……」

イズル(うーん。退屈だなー。いつもは皆と話とかするけど…)

イズル(……復習して、マンガ描こう)ゴソゴソ

イズル「」カキカキ

イズル「」ウーン

イズル「」ピーン!

イズル「」スラスラ

イズル「」スラ…スラ…

イズル「」フー

イズル「……何か、ペンが進まないや」

イズル「……やめとこう」

今日はこんなもん。
思ったよりずっと短くなりそう。
短くなったら短編を書く。それでは、マジェプリがもっといろんな人に知られますように。

こんな時間じゃ誰もいないかもしれないけど書く。
今回は短編。一回書きたかったネタで。

最悪の光景が目の前に広がっていた。
私の操る機体、パープル2の前に庇うようにしている真紅の機体。
私を守って損傷して動かなくなった機体。
そしてその先には追撃を加えんとする敵の機体。

――ああ、と思った。
私は、これに見覚えがある。

「僕は大丈夫だから、ケイは撤退して!」

真紅の機体に乗る彼の声がした。
何一つ大丈夫ではない状態で、震えそうになっているのを必死に抑えているような声だ。
隠そうとしても、異常聴覚を持つ私には分かる。

「何言ってるの! もう動けないじゃない!!」

「いいから! ヒーローは必ず生きて帰るんだ!」

そうだ、そんなことを言っていた。
ヒーロー、だなんて。
今じゃ笑えないけれど。

『パープル2! 帰還しなさい!』

教官の声がする。諦めろ、と命令する声が。
でも、私は引き下がらない。

「でもイズルが…ッ!!」

確か、必死になって、何か奇跡のような策はないかと考えていた。
もちろん、ないのは分かっていた。
まぁ、実際は先輩たちが来てくれるんだけれど。

そう、そのはず、なのに。

「大丈夫、僕は……」

現実は、非情なモノだ。

彼の言葉が全て出てくる前に、それを奪い去るような轟音が私の耳を貫く。
そしてその音に顔をしかめている間に、目の前にあった機体が消えていた。

「イズ、ル…?」

名前を、呼んだ。
彼の名を、呼んだ。なのに、何も返ってこない。
何、も。

私の脳が冷静に状況を判断する。
私の心が必死にそれを否定する。
二つの拮抗した思い。そして私はどちらにも耐えられず――

「いやああああああああっ!!」







「いやああああああああっ!!」

身を振り上げて、私は叫んだ。
けたたましく響くそれが自分のモノだと気付いたのは、乱れた呼吸が回復してからだった。
身体が震えている。耳鳴りがひどい。耳栓のせいで自分の叫びが余計に強調されてしまった。
私は慌てたように立ち上がって、備え付けの机まで向かっていく。
椅子に座ると、自動で明かりが点いて私の顔を照らす。
人工的な光を浴びて、ようやく落ち着いてきた。

――何て、最悪な夢だろう。

私は電気スタンドの光の先、自分がさっきまで身を預けていたベッドに目をやる。
もう一度そこに倒れる気は起きなかった。
また、あれを見てしまいそうで。

眠らないでどうしようか、と私は少し悩んだ。
まだ起床時間までかなりの猶予がある。
このまま部屋で茫然と過ごすのはごめんだ。
ならば、外へ出るしかない。
あっさりと方針を定めると私は与えられた部屋から逃げ出した。

「……」

どこに行こうか迷った結果、私は休憩用のテラスに来ていた。
というより、さまよい歩いていた結果辿り着いたといったところだけど。
私はガラスの窓まで、倒れこむぐらいに近寄る。
いつも、こういう場所で私は地球を眺めている。
美しく光るあの青い球体を眺めるのは好きだ。

聴覚の鋭さのせいか、私は心地いい音というモノよりも視覚に訴える美しいモノの方がまだ楽しめた。
世界には、音が溢れすぎている。
だから、雑音はいらない。何も、いらない。
そう、ついこの間まで考えていた。

今は、違うけれど。
今は、アサギがいて、スルガがいて、タマキがいて。
そして――彼がいる。

「――ケイ?」

声がした。
聞き慣れていて、それでいて、雑音ではないとはっきり認識できる。
私は振り返る。
やはり、彼がいた。

「――イズル」

私が呼ぶと、彼が笑って答える。
その笑顔に、一瞬思い出したくないことが浮かんだけれど、すぐに消した。

「何してるのさこんな時間に?」

不思議そうな顔をしながら、彼が近付いてくる。
そういうそちらは、と聞こうとして、止めた。
その手にスケッチブックを抱えているのに気付いて、すぐに何をしているか分かったからだ。

「ちょっと散歩よ」

眠れなくてね、と付け加えてから、私はガラスを離れて近くのベンチに座る。
ここからでも地球は鑑賞できる。

「そっか、僕は…」

「またマンガ?」

「あれ、何で分かったの?」

キツネに頬をつままれたような顔で、彼はキョトンとしていた。
見れば分かるのに、と言おうとしたけれど、面倒になる。

「ねぇ、座らない?」

空いてる隣を示して、私は何気なくまた球体観察に興じる。
どうせ彼は座るだろう、と何となく確信していた。

「うん」

素直な声色が耳に届いたときには、彼はあっさりと私の隣に腰掛けていた。
彼の気配が一気に間近になる。

「よくも飽きないものね、それ」

チラリと横目で彼を見る。
彼は相変わらずあの微妙なマンガを描いていた。

「ケイこそ、いつもいつも外を見てるじゃないか」

それだけ返すと、彼は何事もなかったようにまた紙に向かう。
たいした集中力だ。

しばらく、お互い黙って時を過ごしていた。
彼がペンを走らせる音だけが静かに響く。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ……。
少し、心地よく聞こえる気がした。

そうして過ごしてどれだけ経ったか分からない。
ただ、長い長い時間の末。

「ようし」

心地いい音も、止むときが来る。
彼のマンガの完成と共に。

「できたの?」

「うん」

私の質問に彼は実に満足げに笑う。
その笑顔に、やっぱり胸が少し痛んだ。
あれは夢なのに。どうしても、思い出してしまう。

「ケイ? どうかした?」

彼が私を見ながら心配そうに尋ねる。
私は今どんな顔をしていたんだろう。

いや、それはいいか。それより。
私は彼の顔に視線を滑らせた。
彼は戸惑ったような目で私を見返す。

この際だ。前から言いたかったことを言おう。
あんな夢を見たのは、きっとこれのせいだ。
だから、言おう。あの夢を終わらせるために。

「私を、庇ったとき」

「…? うん」

「あの時のお礼、まだ言ってない」

それだけ言ってから、私は若干言葉を溜めた。
少し、緊張した。誰かにこうして感謝を伝えるのは初めてだったから。

「……あり、がとう」

彼は、それを聞いても何も言わない。
ただ、私のことを見つめていた。
でも、それも短い時間。
彼は、また笑った。

「どういたしまして」

慣れたような調子で、スラスラと言った。
ヒーローならこう返すのは当然というような感じがした。
それがいつも通りの彼を表すようで、少し安心した。
ヒーロー、か。

「そろそろ僕は部屋に戻るけど、ケイはどうする?」

自分の荷物を片付けると、彼は立ち上がった。
辺りに設置されている時計を確認すれば、起床時間がすぐそこまで来ていることに気付いた。

「そうね、私も戻るわ」

そろそろ人が出てくる時間だし、一度部屋に戻って、後は静かに過ごしたかった。
そういうわけで私も立ち上がる。

「じゃあまた後でね」

「ええ」

短く別れを告げて、私と彼はそれぞれ反対に歩き出す。
五歩くらい進んだ辺りで、私はそっと振り向いた。
彼は迷いなく、振り返らずに歩いていた。

その歩みが羨ましい。
私を救ってくれたあの勇気を生んだ心が。

まぁ、その勇気は彼だからこそなのかもしれないけれど。
もし、そうだとするなら。

「頑張ってね、ヒーロー」

ただ彼を支える存在として、その光を見ていたい。
私はまた歩き出した。もう、あの夢を見ないことを祈って。

終わり。何だこれ。次は続き書く。
良ければ短編のネタフリとかしてやってください。もう思いつかないので。
それでは。



リンリン教官に似てるAV女優を見た時にもうちょいリアクションが欲しかった

それか教官と顔合わせた時に挙動不審になるイズルかアサギ或いは両方とか

よし、今日もやっていく。

三日目

執務室

リン「……」カタカタ

シュ

リン「司令!」ガタッ

シモン「彼らはどうだ」

リン「今のところ訓練に支障はないようです。ただ…」

シモン「どうかしたのか」

リン「……いえ、問題ありません」

シモン「そうか」

リン「……」






食堂

ケイ「……」カチャカチャ

スルガ「……」

タマキ「……」モグモグ

アサギ「……何か言えよスルガ」

スルガ「俺かよ。…特に何も言えねーよ」

アサギ「何だよ。いつもはペラペラ喋るくせに」

スルガ「何か気分じゃねーんだよ」

ケイ「別に無理に話す必要なんてないんじゃない?」

タマキ「ふぉーだよー」モグモグ

ケイ「タマキ零れてる」フキフキ

タマキ「んー」

スルガ「なーんか、最近物足りない気がすんだよなー」

アサギ「訓練は良い調子なんだろ?」

スルガ「そうなんだけどさ」ウーン

ケイ「気のせいなんじゃない?」

スルガ「そうなのかねぇ」

タマキ「何となく分かる気がするー」

スルガ「えー、タマキがか?」

タマキ「何そのバカにした目!」

アサギ「まったく…どうせ撃沈しすぎて疲れてるだけだろ」

スルガ・タマキ「」チーン

ケイ(固まっちゃったわ…)






格納庫

レイカ「それじゃ、皆お疲れー」

ピットクルー達「はい、おやっさん!!」

レイカ(さーて、今日は軽く大吟醸でも…♪)スタスタ

レイカ「…お、リンリーン!」フリフリ

リン「あ。…レイカ。それ、止めてって言ったでしょ? まぁいいわ、ちょっといい?」

レイカ「ん? いいけどどうかした?」

リン「ええ、ちょっとあの子たちのことで」

レイカ「ふーん」






リンの部屋

レイカ「…で。どうしたの? 今日もあの子たち絶好調で訓練してたと思うけど」グビッ

リン「それはいいんだけど…」

レイカ「何か不安でも?」

リン「…実は、この三日でチーム全員の精神面の調子がどうもいつもと違うみたいで」

レイカ「へー。どう違うの?」ポリポリ

リン「柿の種は止めてよ。…何というか、不安のようなモノが検出されてきているって」

レイカ「不安?」

リン「ええ。何か噛み合わないモノでもあるみたいで。……まぁ訓練に影響するほどではないみたいだけど」

レイカ「なるほどねぇ。そういえば、確かに最近皆ちょっと気が浮かない感じしてたわ」

リン「何かあったのかしら…」

レイカ「んー…」

レイカ「……」ピーン!

レイカ「たぶんだけど、五人一緒じゃないからじゃない?」

リン「え?」

レイカ「ほら、あの子たちお互いの仲は深いじゃない? 正直私たち相手でも少し遠慮がちなトコあるし」

レイカ「案外、仲間がいなくて寂しいんじゃない?」

リン「……それは」

レイカ「ま、推測だけどさ。…でも。だとしたら、良いことじゃない?」

リン「そう、ね」

リン(あのチームラビッツに『仲間意識』が生まれたなら)

リン(あの子たちも少しは未来に希望を持てる、のかしら)

レイカ「ほらー、そろそろ飲みましょ? これかなりの上物だからねー♪」サケツグ

リン「ちょ、ちょっと!? …もう、少しだけよ」






EDF拠点の一つ

食堂

イズル「ふぅ…」カチャ

ランディ「何だ、元気がないな」

イズル「え、そうですか?」

ラケシュ「うむ、どこか悪いってわけでもなさそうだが」

パトリック「この後の訓練、出れるかい?」

イズル「い、いえ。大丈夫ですから」スクッ

ランディ「どこに行くんだ?」

イズル「ちょっと食後の散歩に」

スタスタスタスタ…

パトリック「どうしたんでしょう、彼?」

ラケシュ「…仲間が恋しいのかもしれんな」

パトリック「あぁ…。そうか、もう三日もずっと一緒だった仲間に会っていないんですもんね」

ランディ「みたいだな。分かりやすいヤツだ」

ラケシュ「どうするんだリーダー。あれじゃ残りの数日が不安だぞ」

ランディ「さてな」ガタッ

パトリック「行ってらっしゃい、リーダー」

ラケシュ「しっかりフォローしろよ」

ランディ「さて、何のことやら」ニッ






休憩所

イズル「」カキカキ

イズル「…うーん」

イズル(昨日からそうだけど、ペンが進まないなぁ)

イズル「…何でだろうなぁ」

ランディ「どうしたんだ」

イズル「あ、先輩…」

ランディ「よう。ずいぶん調子悪そうだな」

イズル「うーん…元気なはずなんですけど」

ランディ「仲間が恋しくなったか?」フッ

イズル「え?」

ランディ「記憶を消されて以来、ずっと共にいたヤツらなんだろ?」

ランディ「お前にとって、いつの間にか必要になってるんじゃないか」

イズル「そう、なんでしょうか…」ウツムキ

ランディ「さぁな? それは俺には分からん」

ランディ「――お前だけだよ、お前を知っているのは」

イズル「……」

ランディ「さ、そろそろ訓練再開だ」

イズル「はい…」






EDF拠点

アサギの部屋

アサギ「…」フー

アサギ「……」ゴロゴロ

アサギ(…退屈なもんだな)

アサギ(昨日は部屋を皆に独占されたみたいで嫌だったのにな)

アサギ(今度は皆がいないのが、何か、違和感がある)

アサギ(訳分かんねぇな…)ゴロゴロ

アサギ(…そもそも。俺は本当に嫌だったのか?)

アサギ(スルガのしょうもない話の相手して、タマキのヤツにケイと呆れて)

アサギ(……まさか。本当は、あの時。俺は――)

アサギ(――ホッとしてたんじゃないか?)

アサギ(…どうなんだ、俺)

アサギ「……………」

アサギ「……ホント、訳分かんねぇな」フー

アサギ(何かが変わった、ってのは確かなんだろうな)

アサギ(どこから、かは…)

アサギ(やっぱり、あの拠点防衛戦から、か?)

アサギ(初めてアッシュに乗って、あろうことか、初めて活躍して――)

アサギ(……アイツがリーダーになってから、全てが変わってきてるのかもな)

アサギ(最初は、下手なマンガ描いては俺たちにツッコまれて)

アサギ(ヒーローになるとか何とか言って、呆れさせて)

アサギ(最初は、何でリーダーになったのかも理解できなかったし、納得いかなかった)

アサギ(…なのに、いつの間にか、アイツがリーダーじゃないとしっくりこなくなってきてる)

アサギ「……ホントに。変なヤツだよ、お前はさ。…イズル」

以上。七話見てきたけど、何あの死亡フラグラッシュ。
というかケイが死にそうでちょっとビビる。まさか、なぁ…?


あと別にsage進行じゃなくてもいいのよ



短編のネタなら、
激甘ケーキの食べ過ぎで虫歯になったけど耳が良いせいでドリルの音が怖いケイとかどうでしょうか
ラビッツの仲間がいかにフォローするか的な

どうも。今日も短編。
>>58のくれたものを参考にしたよ。ありがとう。

人生には多くの試練がある。
生まれ、這うことから歩くことを覚え、言葉を話す。
そこには一定の苦労や痛みがあるものだ。
しかし、言いたい。
こんなにも辛い試練があるものか、と。

「…しっかし、大変だなぁ」

私の部屋、その備え付けの円形のテーブル。
そこでの私の席の前、スルガが同情するように呟くのが聞こえる。
そう思うなら代わって欲しい、と思う。
まぁ不可能だけれど。

「だからってどうしようもないだろ」

スルガの隣、アサギが私に諦めろと暗に告げる。
正論だから、反論もできない。

「ケイが悪いよー」

私の右隣の女の子、タマキの言葉に内心で若干ムッとする。
それもその通りだけれど、普段からだらしない彼女に言われると少しイヤだ。

「ええと、ケイ。そういうことだし」

そして、私の左隣。
イズルもまた、諦めろと暗に告げる。

ふぅ、と心の中で踏ん切りの付かないため息を漏らす。
それから、私はテーブルの上に置かれた一枚の紙切れを憎たらしそうに見つめる。
それには、シンプルにこう書いてある。

――クギミヤ・ケイ。この者は虫歯治療のため、本日医療棟に来ること。
脱走は許しません。医療班一同。

つまるところ、だ。
私は今、この年にもなって虫歯にかかってしまっているわけだ。

原因は思い浮かぶ。
毎日毎日、懲りずに甘いものばかり食べていたせいだろう。作っては食べていたせいだろう。
イズルたちも言っていた。
あれだけの甘いものでは仕方ない、と。

仕方ない、とは思う。
思うのだが。
問題は治療にあった。

虫歯の治療はドリルを用いて削るというものだ。
現代でも昔でもそういうところに変化はない。
進歩すればいいのに、と思う。

そう、ドリル。それが私をひどく悩ませる。
私は聴覚が異常なまでに鋭い。
ドリルの稼働音は普通の人には何てことはないだろう。
だけど私は違う。私の耳は、必要以上に音を拾う。

これまでも、虫歯の治療では遠慮なく叫び声を上げていた。
口の中でもドリルの振動が響いてきて、頭がどうにかなってしまいそうだった。
それを思うと、身震いが起きてしまいそうになる。

「……どうすればいいのかしらね」

ため息混じりに呟く。
もうどうにもならないことを知っているのに。

それでも、仲間たちは真剣に考えてくれる。
そういう人たちだと、知っている。

「…耳栓とかダメなのか?」

まず最初にスルガが立案する。
もっともそうな意見だと思う。が、私はすぐに首を横に振った。

「どうしても響くのよ」

そう、もう耳栓は試していた。
だけど、耳栓をしていようといまいと、私の耳は確実にあの暴力的な回転音を聞き取ってしまう。

「なら必死に耐えるしかないだろうな」

冷たいけれど真っ当な意見をアサギが言う。
結局のところそれしかないのか。
分かってはいたけれど、やはりはっきりと言われるときついものがある。

「とりあえずー、そばについてるよー」

相変わらずのゆったりした口調でタマキが励ましてくれるように言う。
それは……素直にうれしい。
彼らがそばにいるということだけでも、少しは心が楽になる。…気がする。

「じゃあ、そろそろ行こうよ」

まとめるようにイズルが皆を促す。
…がんばろう。どうにか。






「お、逃げずに来たわね」

私だけで来なかったことについては何も言わず、医療班の人が感心したかのように出迎える。
…一応、私はもう十六なのに。

「じゃ、早速始めよっか」

あっさりと状況は進む。
私が心構えをしっかりと整える前に、もう準備ができていた。

私はガラスの窓があるちょっとした小部屋に通される。
さすがに皆はここまでだ。後は窓から私を見るだけだ。

私は部屋をぐるりと見回す。
もちろん、そこにはあの忌まわしい機械と寝台がある。

ふぅ、とまたため息を吐いた。ナーバスな気持ちは抑えきれない。
諦めた私は寝台に身を預ける。もう、この動作も慣れたものだった。

そうして瞳を閉じかけたその時――

『あ、あの』

ガラスの外から、イズルの声がした。
瞳を開いた先には、イズルたちが医療班の人に向かって何事かを言っていた。
それは、何かを頼むような態度だった。

数秒して、治療を担当する先生が部屋に入ってくる。
この人に会うのももう何度目だろう。
先生はいつも通りの人を安心させる笑顔でいた。
そして、いつも通り私を苦痛に導く。
当たり前のようなことだ。私は早く終わることを祈るしかない。
だけど、今回は違った。

「君、良い仲間を持ったね」

……?
いつもと違う言葉に、一瞬何を言っているのか分からなかった。
でも、それも一瞬。すぐに理由が分かった。

先生に続き、見慣れた顔が部屋に入ってくる。
アサギ、スルガ、タマキ、イズル。
私の、大切な仲間たち。

「邪魔をしない限りは近くにいて良いって」

状況の読めない私にイズルがそう説明してくれた。
そうか、私のそばにいてくれる、か。
こうやって私のことを、皆が近くで見守ってくれる。
…私は。……私は今、嬉しい?

「がんばれよ、ケイ」

「とっとと直してまたあのザンネンスイーツを作れよなー」

「がんばるのらー」

「ケイなら大丈夫。僕は信じてるから」

皆が笑っている。私を励ますように。
私もまた、笑った。いつの間にか、自然と不安はなくなっていた。
……うん、大丈夫。
私は。私は今。

「――ありがとう、皆」

とても、うれしい。

今日は以上。短いけどこれだけ。また次は本編をやる。
こんな感じでネタを振ってやってください。求められてるのと方向性違ったらごめん。
では、マジェプリがもっと知られますように。

どうも、本編やるつもりだったけど短編やる。
>>40 を今回は参考に。

――気まずい。

ヒタチ・イズルとアサギ・トシカズはそんなことを思いながら目の前の料理を口に運んでいた。
あまりの気まずさに味も分からない二人は、普段は来るなと願う訓練の時間を渇望する。

原因はただ一つ。
というか一人。

「……どうしたの? せわしないわね」

昼食を共にしている上官の存在。





どうすればいいんだろう、とイズルは必死に現在の状況のまずさを打開する策を練っていた。
そういう仕事は彼を知らず知らずに想うある少女の得意分野だが、彼女はいない。
状況を共にするアサギもそういうタイプじゃない。

「い、いえ。早く訓練に戻りたいな、と」

目を泳がせながら、アサギがかろうじて言葉を返す。
その声ははっきり言って上擦っていたが、よくやった、とイズルは言いたくなった。
それほどに現状は切迫している。

そもそも何故二人はこのようにリンに目を合わせることもできないのか。
それは単純な話で、先輩であるチームドーベルマンのリーダーから貸された、いわゆる『いけないビデオ』のせいであった。

仲間の一人、ケイにひっぱたかれた後も二人はそれを最後まで見たわけだが、その途中に問題はあった。
アサギがとんでもないことに気付いてしまったのだ。

ビデオに出ていた『エッチなおねえさん』がリンにそっくり、ということに。

その結果、二人は最後までそのビデオを見たものの、言い様のない罪悪感に苛まれてしまった。
それで、今日までなるべくリンを避けておくようにしていた二人だったわけだが。

「……どうかした?」

「「……い、いえッ! 何でも!」」

偶然にも、昼食で出くわしてしまった。
もちろん、相席にしよう、などという誘いを上官からされては断りようもなく。
こうして、地獄のランチタイムが始まっている。

チラリ、とイズルはアサギの様子を窺う。
彼もこちらを横目で見ていたらしく、目が合う。
その困ったような目を見て、自分も同じような目をしているのだろうか、と思った。

(……何とかしろリーダー)

(……どうにもなりそうにない)

視線のみで二人は会話する。
団結する力が足りない、と普段からリンに言われているチームラビッツだが、案外結束は固まり始めているものである。
きっかけを知ればリンはあのムチをピシャリと鳴らすだろうが。

そっとイズルはリンを盗み見る。
さっきアサギの言葉に『……そう』とだけ返して以来、彼女はただ静かに食事をしていた。
できればこのまま時に過ぎてほしい、と願う。

――無論、そんなことはないが。

「……ヒタチ君、アサギ君」

長い沈黙を破るように、リンの澄んだ声が場に流れる。
イズルとアサギは同時に体を震わせると、ぎこちない動作で顔を上げた。
その先には真剣そのものといった表情のリンがこちらをじっと見ていた。

「……な、何でしょう?」

若干震えた声を、イズルはようやく絞り出すように発する。
まさか、ビデオのことがケイから伝わったか、いや、まさか。
そんな風に慌てた思考に溺れかけたイズルは、予想外の言葉を聞いた。

「……私のことを、嫌ってるかしら」

その言葉の意味を理解するのに数秒時間を要した。
それから、慌ててすぐに口を開いた。

「そんなことありません!」

「そうですよ、どうして俺たちが!」

イズルの声にアサギも合わせる。
どちらも本心からの言葉だった。
が、リンはそれを聞いても表情を変えることなく告げた。

「……では、何故私を避けているの?」

う、と二人は口をつぐむ。
それを話すにはかなりの勇気が必要となる。
答えられないまま、イズルとアサギは行動停止する。

「……あのね」

そんな二人の様子を肯定と捉えたのか、リンはため息混じりに呟く。
それは、何かを諦めたようなある種の割りきりの決意を伝えるようだった。

「私を憎く思うのは仕方ないわ。若く、未来も過去もない君たちをこうして戦場へ送っているもの」

本当に寂しそうに、彼女は続ける。
寂しそうでいて、自らの行為を恥じるような声色だった。

そこでやっとイズルとアサギは気付いた。
自分たちのせいでリンは勘違いをしている。
勝手に誕生させられた自分たちを過酷な戦場へとリンたち大人が送っていることを恨めしく思っている、と。

そんな、そんなことは――っ!

「それは違いますっ!」

ようやく声を出せたイズルは、勢い余って立ち上がった。
それなりに人も減りつつあったとはいえ、それなりにまだ人がいる食堂中の視線が集まった。
集中力が突出しているだけあって、イズルはそんなことには一切気付いていないが。

「教官はこれまで厳しかったかもしれないけど、その、僕たちその訓練のおかげで生きていられてるんです」

一気にまくし立てるようにイズルは思ったままのことを告げる。
自分が何を言っているかも理解するのが追いつかないほどの速さだった。

「だから教官を恨むだなんて……むしろ、逆です」

理解が追いつくのと喋りが止まるのが同時に起こり、一つの間が生まれる。
そして、その瞬間的な余韻の末、イズルは最後に告げる。





「――教官がいてくれて、僕たち幸せですから!」





自然と、自分のできる最高の笑顔をリンに向けていた。
最初、イズルの勢いに圧倒されていたアサギも同じようにしていた。
自身はまだ気付いていないが、イズルには人を引き込む力があるらしい。

そして――

「…………っ!」

リンは口元を押さえながら、俯き加減に立ち上がった。
何かを抑えるように彼女はかがんだまま、急ぐように食器のトレイを持って戻る。

イズルたちが呼び止める間もなく、リンは食堂から去った。
後には、再び喧騒の戻った食堂にぽつんと立つイズルと座るアサギだけがいた。

「……座れよ」

思い出したようにアサギが言う。
その言葉でイズルは自分が何をしていたかを客観的に理解して、周りを見ながら席に着く。

「……教官、どうしたんだろ?」

「……さあ」

ゆっくりと食事を再開しながら、イズルは疑問の声を上げる。
さっきのリンの態度は怒っているわけではない、とは思うが、何だかいつもと違っていた。
まるで、そう、照れ隠しのような――照れ隠し?

「……後で教官にもう一回謝っとくか」

はっ、とアサギの声に思考を止めると、イズルはそちらを見る。
適当な言い訳も付けてな、とアサギは加えて言った。
とりあえず頷き返して、イズルは目の前の食器に意識を改める。
一秒前に考えていたことは、もう忘れていた。






「……何、してんのかしらね、私」

食堂から離れた一画。
そこでリンは壁に背を預けて一息吐いた。
彼女の目尻には明らかな濡れた跡が残っている。

『――教官がいてくれて、僕たち幸せですから!』

イズルの言葉が自然に頭の中で何度も反射するように流れる。
それに、イズルとアサギの心からのモノであろう笑顔も。

(……幸せ、か)

最初、この仕事に着いた時、彼女はこれからのことを考えて憂鬱になっていた。
未来のない子供を戦場に遣らなくてはならない自らの役割に対してあまりいい気分ではなかった。

実際、何度か夢にも見ていた。
まだ誰も送り出していないのに、誰かに恨み言を吐かれ続ける。
何度も何度も、繰り返し心臓を刺される。

この前も、そうだった。
あの日、レッド5を見捨てかけた日。
その時は夢の中でイズルに責められ続けて、うなされてろくに寝れもしなかった。

それも当然のこと、と割りきっていた。
その上で、自分はやらなくてはならない。
彼らと向き合い、鍛え、少しでも彼らの生存確率を増やすために。

憎まれる存在であれ。そう決めていた。
決めていた、はずだった。

「…………ッ!」

一度抑えた熱いモノが込み上げてしまう。
ダメだ、いけない。
自分は抑えていなくては――



「うっ……っ!」



ああ、なのに。
ぽろぽろと、リンはいくつもの雫を瞳からこぼす。
この感情を、思いを、抑えることなどできなかった。
嬉しくて嬉しくて、たまらなかった。
救われたような、気がしてしまった。

ただの自己満足。それを理解していても、リンはその気持ちを消すことはできない。
――何故なら、彼女は人間だから。一体の機械などではなく、一人の人間。

だからこそ、彼女はふさわしい。
厳しく子供たちを見守り、導く存在として。

以上で終わり。ごめん、ノリで書いてたら笑い話にならなかった。>>40 の所望したのとは違うだろうけど許してね。
次こそ本編やる。あと短編も。ジュリアシステムで本能(意味深)に目覚めるケイとか。
それでは、マジェプリがいろんな人に知られますように。

どうも。本編やれない。また短編。んでもって前半のみを。

クギミヤ・ケイがその日遅くまで起きていたのは『偶然』としか言えなかった。
仲間の一人であるイリエ・タマキの甘えのために、彼女が寝付けるまで付き添っていたのだ。
そのまま共に寝るという選択肢もあったが、部屋のベッドはそれぞれに支給されたものであって、二人用ではない。
なので、二人で寝るのは窮屈すぎるし、ケイがそのまま自分の部屋に帰るのは当然であった。

そこまではよかった。
その後が問題だった。

ケイは気まぐれで寝る前に散歩をすることにした。
それもまだよかった。散歩するコースを決めるまでは。

『偶然』ケイが選んだのは、指令室を通って展望デッキへと向かうルートだった。
彼女がそこを選んだのは、美しい地球を眺める、というだけの目的のためだ。
しかし、その目的は果たせなかった。美しいモノは、傷付いた心では味わえないのだから。

道を決めて、最低限の照明が点いた通路を歩き始めて数分。
スムーズに歩みを進めていたケイだったが、彼女は指令室で立ち止まった。
理由は単純で、暗い通路に、微かな明かりがその部屋のドアの隙間から漏れていたからだった。

誰かが起きているらしい。それも二人。
何故分かるかと言えば、ケイの鋭敏な耳が二人の人間の話し声を捉えていたのだ。
どちらが誰なのかもよく知っていた。

(……教官、と整備長?)

聞き慣れたそれらの音に惹かれるようにケイは近付く。
さながら誘蛾灯に群がる蛾のようだ、なんて思っていた。
人の話を何とはなしに興味本意で聴いてみようというのだから、あまり良いイメージではない。

そしてドアの近くで、ケイは話の中身を知った途端、二つ思い出した。
――悪い子供には罰が下る、ということを。
そして、知るべきではないことを知ることの恐ろしさを。

「……ねぇ、どう思う?」

「ジュリアシステム? 私は……どうにもならないことだと思う」

「パイロットを生き残らせるために本能を刺激して、感情をひどく揺さぶる――愛情、激情」

「増幅が過ぎて、本人の心の動きの制御が利かなくなることも……あるんでしょう?」

「……可能性、だけどね」
「もしそれがあの子たちに起きてるなら」

「……確かに、偽りの感情に目覚めちゃうかもしれない、かもね」

「……自分たちのやっていることが嫌になる瞬間、ね」

「……リンリン――」

すまん。ちょっと中断。

ガタッ、と。
整備長が何事かを続けて言おうとする前に、動揺にケイが震えを起こしてドアに音を与えてしまった。

「誰!?」

驚愕し慌てるような声を耳にしている時には、もうケイは走り出していた。
特に何も考えず、ひたすら、逃げるように――いや、実際逃げた。
恐ろしい。恐ろしくて信じられない。だから、逃げた。どこへ逃げればいいかも分からないまま。





「……ハァッ、ハァッ、ハ、あ…………!!」

荒い息を整えながら、ケイは周りを見渡す。
幸い、こんな夜中に出歩く人間はいないらしい。
目的地の展望デッキには誰もいなかった。
教官たちも、追い付いてこなかったようだ。
そのことを確認してから、やっとケイは安心――

――偽りの感情に目覚めちゃう、かもね。

「……っ、う」

また動悸が激しくなる。
心の底から溢れ出る苦しみに、ケイは必死にうっすらとした胸の辺りを押さえ込む。

――心の底から?
その心が本物かも分からないのに?
ふと沸き上がってきた疑念に、手が、足が、体が震え出す。
まるで、どうやって立つのかを知らない生まれたての小鹿のようだ。

我ながら良い例えだ、と自嘲気味に笑いながら、ケイは動揺に震える体とは裏腹に冷静な思考でいた。
私も、そうだ。本当に私は『私』なのか、分からない。生まれたてだ。
以前からずっと持っていた不安が、ここにきて押さえを失い始める。

純粋に怖い。怖くて仕方ない。
自分の心が本物ではないかもしれないなんて。
自分の感情が――想いが、分身の生んだ偽物なのかもしれないなんて。

やはり震えは止まらない。
助けて、と叫びを上げられるなら上げてしまいたい。
だが、誰に? この何も無い自分が誰に助けを求めればいい?

「……ず、る」

舌までまともに動かない状態で、ケイの頭は必死にその名を呼んでいた。
自分の心の拠り所になりつつある、大切な彼の名前を。切実な気持ちを込めて。

「――イズル……っ!」

名を呼ぶ自分の声か、その名前自体か。
或いはその両方に鼓舞されたように、ケイの足は動く。
行き先は、決まっていた。






その日、ヒタチ・イズルは相変わらずマンガを描くことに熱を上げていた。
誰に何と言われようと、彼にとってそれは呼吸と等しく大事なものだった。
ヘタでもいい、ザンネンでもいい。
彼にはそんなことなど関係ない。それが、彼の持ち前の長所、前向きなところだ。

「……よし」

ペンを置き、イズルは座ったままで伸びをした。
日付は変わりかけているが、今日の日課の分がようやく書き終わった。
夕食の後、ずっとペンを握っていたから、かれこれ四時間はマンガを描いていたことになる。
机の上の原稿を確かめる。……間違いなく、一ページも欠くことない完全なマンガが出来上がっていた。

さて、とイズルは立ち上がった。
もう夜更けになる。さっさと寝なくては、明日の訓練に支障が出るだろう。
またアサギ辺りにどやされるのはゴメンだった。
そういうわけでイズルは早々に眠る準備を始めようとする。

しかし――

「……はい?」

イズルの行動の出鼻はあっさりと挫かれた。
不意に響いた、部屋の外からするノック音によって。
誰だろう、と訝しげにしつつ、イズルは返事をした。
それを肯定と受け取ったらしい誰かがドアを開く。その先には、

「……ケイ?」

チームメイトの女の子が一人立っていた。
イズルは夜更けの突然の来客を不思議がる。
こんな時間にケイのようなマジメなタイプが起きているのが珍しいと思ったのだ。
いつもはタマキのような起きたがりをなだめて、率先して寝かせるというのに。

おかしな点はまだあった。
これは何よりもおかしかった。
彼女の身体はガクガクと不自然に震え、また、その瞳から大粒の涙をこぼしていた。

「……い、ずる」

力の抜けたような発音でイズルを呼ぶと、彼女はふらふらとした足取りで近寄ってきた。
まるで、そう、ケイの身体から魂でも抜けて、彼女が人形にでもなってしまったかのような印象を受けた。
それを見て、イズルはようやくただ事ではない雰囲気を感じ取る。

「だ、大丈夫!? どうしたの!」

ケイが近くに来るよりも早く、イズルは彼女に駆け寄った。
そうしてイズルがケイの目前に迫ると、彼女はそのまま安堵したようにほぼ崩れる形でイズルの方に倒れ込む。
そうなると、自然と彼はケイを抱き止めるしかなかった。
ケイは特にそのことに何も言わない。
それどころか、いつもはイズルよりも高い位置にある顔を彼の胸板に押し付けてきた。
長く下ろした髪からする女の子特有のくすぐるような甘い香りと普段と違う様子のケイに、一瞬イズルは戸惑いを覚える。

「……あなたは本物、よね?」

「……」

訳の分からない質問にイズルは困惑しながらも、とにかくケイを備え付けのテーブルまで連れていき、イスに座らせる。
どうも様子がおかしい。とにかく、まずはケイを落ち着かせるべきだろう、という考えからの行動だ。

されるがままにケイが座るのを確認してから、イズルはテーブルを離れ、紅茶を淹れる。
湯を沸かす間に、彼は一度ケイの隣に座った。話を聞いてみる必要があるだろう。

「……何か、あったの?」
「……」

ケイは答えなかった。
そもそも、イズルの声を聞いているかも怪しかった。
茫然と、ただ自分の目の前にあるテーブルを見ているだけのようだ。

困ったな、とイズルは思った。
彼女の瞳から涙はもう流れていないが、相変わらずカタカタとその身体は震えているし、何かただならぬ雰囲気を感じる。

(……医療班の人を呼んだ方が良いかな?)

少し悩んでから、今考えられる最善の選択肢を取ることにした。
このまま放ってはおけないし、かといって自分にどうにかできそうにもない。
そう決めると、イズルはすぐさま行動に移す。

「ケイ、ほら」

放り捨てるようにされた手を取り、自分のベッドにイズルはケイを寝させる。
座らせたままでは良くなさそうだ、と彼は考えたのだ。
さっきと同じで、ケイの身体は簡単にベッドに沈んだ。
その無気力な様子に不安を感じ、イズルは少し急いで部屋を出ることにした。
そのままベッドに背を向けて走りだす。

が、

「……イズル」

自分を呼び止める落ち着いた声に、イズルの足が止まる。
今度は何だろう、と振り返ってみると、ケイがすぐ目の前に立っていた。

思わずイズルは一歩後ろに下がってしまった。
あまりにもケイがイズルの近くにいたためだ。
それから、ケイの様子の新たな変化に気付く。
彼女の身体の震えは不思議なくらいあっさりと治まっていた。
そして。
冷たく、しかしどこか熱に浮いたような潤んだ目でこちらを見つめていた。
その目に、イズルは何か悪寒を感じ取る。

「……ど、どうしたの?」

「……」

緊張に喉を鳴らしながら、イズルはどうにか声を出す。
それに対してケイは答えない。
ただ、一歩前に進み、またイズルとの距離を詰める。
逃げ出せ、と脳の奥底から命令が聞こえる。
必死になって、イズルに現在の状況にそれとなく存在する危機感を伝えている。
しかし、彼の身体はケイの目に射抜かれたように動かない。

「……イズル」

様子とは裏腹に、落ち着いた優しげな声色でケイがまた名前を呼ぶ。
それだけなのに、ビクリ、とイズルは肩を震わせてしまう。心が、何かを恐れている。

しかし、もう警告をいくら出しても遅かった。

「……ケ」

もう一度彼女の名前を呼ぶ前に。
首に手を回され、音を出そうとしたイズルの唇が塞がれる。
――他ならぬケイの唇によって。

「……っ!?」

突然のことにイズルは目を見開く。
今自分が何をされているのか、理解に数秒の間を奪われる。
それだけあれば、ケイがさらなる行動をするのは簡単なことだった。

イズルが慌ててケイの身体を離すより早く、ケイは手をイズルの腰に回して身体を引き寄せる。
そのまま唇を離さずに、彼女は舌でイズルの唇を撫でた。

「……っ! ……!?」

ぞくり、と背筋が震え。
口を開けてしまった。
その隙を逃さず、ケイは舌を介してイズルの中へと侵入する。

「ん、ちゅ……」

「ふ、ん、ぅ……」

無理矢理に舌と舌を絡め、唾液を交換させられる。
ぬるりとした感覚を舌に受け、身体の底からゾクゾクとした。
遅れて抵抗しようとしていたイズルの身体からだんだんと力が抜けていく。

気持ち、良い……。
頭の中身がぬるく暖まっていく。
ふわふわとした浮遊感が心地良い。
気付けば、イズルも手をケイの腰に回し、身体を預けていた。

「……っ、はぁ……はぁ……」

「……ん、ふぅ……」

二人は一度息を吸うために唇を離した。
抱き合ったままの二人には、お互いの呼吸音しか聞こえない。
密着しているので、ケイの心臓が興奮して跳ねているのがイズルには分かる。たぶん、自分もそうだ。

「ケ、イ。どうして……ん」

荒い呼吸とぼんやりした意識のまま、イズルはケイの顔を仰ぎ見る。
そうして質問をしようとした彼を、ケイはまた黙らせた。
もはや抵抗の一つもできないイズルは、されるがままに蹂躙される。

また力が抜けていくイズルの身体を、ケイは引き寄せる。
唇を離すと、今度は軽く押されてしまう。

体勢を整えることもできずに、必然的にイズルはベッドに倒れ込んだ。
その上にケイはのしかかり、イズルの身体を押さえつけた。
男と女では力が違うが、ケイはイズルより背があるので、押さえつけるのは容易だった。

明るく照らす天井の照明を後ろに見つめながら、イズルはケイの顔を茫然と眺める。
逆光でその表情は窺えず、そうしているうちに、また唇を塞がれてしまった。






何故、こうしているのだろう。
何故、私は――

どこを歩いているかも分からないうちに、ケイはイズルの部屋に着いた。
そして中に入って、自分では気付かぬうちにただならない雰囲気でいたらしく、イスに座らされた。
涙は出なくなったものの、未だ身体は震えているせいか、イズルは真剣にケイを心配してくれた。
……もっとも、その心配するような声の内容は分かっていないが。

……イズル、と心の中で呟く。
いつぞやの休暇とその後の戦い以来、ケイは彼に惹かれ始めていた。
その実直さ、仲間を大切に思う心に。
どんどんどんどん、のめり込むように。転がり落ちるように。
最初は冷めた態度で聞いていた『ヒーロー』という言葉も、いつの間にか自分で真剣に言ってしまうようになった。

――それも、本物?
ふと、疑念がまた沸く。
この、心が温かくなる気持ちも、偽物?
機械が生き残りたい本能を刺激するために作ったモノ?

……イヤ、だ。そんなの認めない。認めない。認めない! 認めたくない!
よろめきながらも、ケイは立ち上がった。
いつベッドに寝かされたのかも分かっていなかったが、そんなことはどうでもいい。

イズル、イズル……。
彼女の心の中には、彼しかいない。
冷静に考える力は、狂った方向にしか向かっていない。

機械の作った気持ちじゃない。
私は――私は、イズルが好きだ。
彼が欲しい。彼に欲されたい。自分の居場所にしたい。彼の居場所にされたい。

もう、何でもいい。

ケイの身体から震えが消える。
急に、ピットクルーの人たちの言葉を思い出した。

「今時、消極的じゃダメよお嬢」

部屋を去ろうとするイズルの背中を見つめる。
彼を手に入れる、そのためには。
手段はもう選ばない、と決めた。

今、一人の少女は。狂ってしまったまま、愛情を暴走させる。
それが彼女の意思か機械の作った意思か。誰にも分からない。きっと、彼女にも。

前半終了。何がしたいのか自分でもわからなくなってきた。
全部ザンネン5がかわいいから悪いんだ。
続きはまた今度。本編進まないや。では、マジェプリの知名度が上がりますように。

ども。本編を急速に終わらすよ。

四日目

EDF拠点

スルガ「あ、そこのお姉さーん!!」

スルガ「」ペチャクチャペチャクチャ…

スルガ「………」

スルガ「…ふー、また失敗かぁ」

スルガ「…なーんか、ナンパする気分になんねーな」

スルガ「――カレーでも食うか」フー

スルガ「ん?」

タマキ「」グデー

スルガ「何してんだお前?」

タマキ「ぐでーってしてる」

スルガ「変なの」

タマキ「最近動く気になれないのらー」

スルガ「ふーん」

タマキ「何してんの?」グデー

スルガ「俺もグデーってすることにした」グデー

タマキ「あははー、変なのー」

スルガ「お前もな」






個人用キッチン

ケイ「…」カチャカチャ

イリーナ「うーすお嬢」

ケイ「…どうも」ペコリ

ジェーン「何ー反応薄いわねー」

ケイ「すいません…」

イリーナ「それ、愛しの彼にあげるの?」

ケイ「あいにくですけどそういう人はいないですから」

ロナ「ふーん」ニヤニヤ

ケイ「…何ですか」

イリーナ「別に、ねぇ? …あ、そうそう、レッド5の彼、予定が早まって今日帰ってくるらしいよ」

ケイ「そう、ですか」クチユルム

クルーたち「………」

クルーたち「」ピーン!

イリーナ「あらー? お嬢、クリーム付っちゃってるわよー」

ロナ「…あ、あの子、例の彼じゃない?」ニヤニヤ

ケイ「…ッ!?」フキフキ!

ロナ「なーんちゃって」

ケイ「?」

ジェーン「帰ってこないわよ、彼」クスクス

ケイ「……ウソをつくのは止めてください」

マリー「ふふっ、そんなに慌てなくてもいいんじゃなーい?」

ケイ「…別に。人にみっともない姿をいつまでも晒す趣味はないですから」

イリーナ「そ。ま、そういうことにしてあげる」

ケイ「何ですかその言い方」

イリーナ「さーね。お嬢はかわいいってことよー」ナデナデ

ケイ「それも止めてください」ムッ

イリーナ「ふふっ。バーイ、お嬢」

スタスタスタスタ…

ケイ「…バカに、して」ボソッ

ケイ(イズル…)カチャカチャ

イズル『マンガも描きたいし、ケイのあの無駄に甘いケーキを食べさせてもらうんだ!』

ケイ(…そういえば、まだあの時の礼にあげてない……)

ケイ「…材料、まだあったかな」






EDF拠点の一つ

ランディ「よし。分かっていると思うが、最後の訓練である今日はアッシュを使っての訓練だ」

イズル「? でも僕のアッシュは…」

マユ「ちゃんと持ってきたよー、イズルっち」

イズル「あ、み、皆さん!」

デガワ「おう、元気してたか?」

ダン「久しぶりだね」

ランディ「ま、そういうわけだ」

ラケシュ「遠慮なく鍛えてやろう」

ランディ「俺のシメを取んなよ!」

ラケシュ「知るか」

パトリック「えっと、始めようか?」

イズル「…はい」






食堂

イズル「」フー

マユ「おーいイズルっちー!」ブンブン

デガワ「こっち来いよー」

イズル「あ、皆さん」タタタ

ダン「お疲れ」

マユ「お昼まだ? 今日のおススメは日替わり定食だね」

イズル「あ、じゃあそれで」

マユ「うん、待ってて」

デガワ「いやはや、相変わらずっぽくって安心したよ」

ダン「調子悪そうって聞いてたけど、訓練もいい感じじゃないか」

イズル「あ、ええと、どうも…」

マユ「お待たせ―。…何か浮かない顔だね、イズルっち」

イズル「…あ、あの」

ダン「ん?」

イズル「他の皆は、その、元気ですか?」オソルオソル

マユ「……ははーん」

イズル「な、何ですか…?」

ダン「イズル。寂しかったんなら電話でもすればよかったのに」

イズル「あ、いえ、その僕は…」

デガワ「無理するな お前の大事な 仲間だろ?」ニッ

イズル「……え、と」

ダン「微妙に字余りですよデガワさん」

マユ「ま、心配しなくても大丈夫大丈夫。明日には帰るんだし」

イズル「…え?」

ダン「聞いてないの? 明日は移動日だよ」

デガワ「そんでもって明後日は訓練の成果を見るための任務だ」

マユ「それでこの一週間の訓練はおしまいってわけ」

イズル「…そうですか」

マユ「あれ? 浮かない顔だね?」

イズル「いえ、そんなことないですよ」

デガワ「本当かぁ?」

イズル「あ、あの、いただきます」

クルーたち(あ、ごまかした)






五日目

EDF拠点

アサギの部屋

アサギ「今日はまるまる移動か」

スルガ「休むのも訓練って言われたけどよ」

ケイ「…暇を持て余すわね」

タマキ「うー、つまんなーい」ゴロゴロ

ケイ「タマキ、床で寝ない」

スルガ「何かおもしろいことでもねーかなー」

アサギ「少しは緊張とかねーのかお前には」

スルガ「お前の胃とは違うんだよ俺は」ケラケラ

アサギ「何だと…」

ケイ「止めなさいよ、まったく」

タマキ「つまんなーい」

スルガ「ま、久しぶりにイズルのヤツにツッコミできるのはいいけどな」

アサギ「…何だかんだ言って、すげー違和感あったな、この数日」

ケイ「そう、ね……」

スルガ「…アイツもリーダーっぽい感じになってるってことか」

タマキ「…」ピーン!

タマキ「そーだ! ねー、みんなー」

ケイ「急に大声出さないでよ」メヒソメ

アサギ「何だ、どうかしたか?」

タマキ「うーんとねー」

ヒソヒソゴニョゴニョ

スルガ「ふーん…」

タマキ「いい具合に時間つぶしになるのらー!」

アサギ「正直どうかと思うが…ま、たまにはいいか」

スルガ「へぇ、意外にのんのな」

アサギ「別に。気まぐれだよ、気まぐれ」

スルガ「そうかよ。ケイは?」

ケイ「…まぁ、いいんじゃない?」

タマキ「ふふー、じゃやろー」

スルガ「おう。準備しねーとな」

ケイ「私がりょ…」

アサギ「俺が食堂から貰ってくる。言えば何か用意してくれるだろ」ガタッ

スルガ「任せた―」

ケイ「……」






EDF拠点の一つ

輸送艦内部

イズル「…」ンー

イズル(僕は、皆をどう思っているんだろう?)

イズル(養成所以来の『仲間』で、ずっと一緒に戦ってきたけど…)

イズル(『家族』…っていうのは全然違うし)

イズル(ヒーローには『仲間』が付き物だと思うけど…)

イズル(僕には、そもそも『仲間』っていうのがよく分かってないのかなぁ?)

イズル(…そういうマンガ、あったけかな?)

イズル「…分からないなぁ」

イズル(皆に会えば、この気持ちも分かるのかな…)

イズル「今日はもう休もう…」

六日目

スターローズ

作戦室

タマキ「」ソワソワ

スルガ「……」

アサギ「……」

ケイ「……」

シュッ

ラビッツ「イズル!」ガタッ

イズル「あ、皆…」

タマキ「おそーい!」

スルガ「久しぶりだな。…って何だその暗いツラ」

イズル「え、そう?」

アサギ「ったく、自分のことぐらいちゃんと見ておけよ」

ケイ「そうよ、リーダーなんだから」

イズル「あ、あはは…」

イズル以外のラビッツ「?」

リン「」ピシッ

チームザンネン「」ビクッ

リン「…全員、揃ったわね?」

リン「任務を開始するわよ」






翌日…七日目

EDF拠点

廊下

イズル「」フー

イズル(結局、任務はうまくいったし、新しい連携もこなせたけど…)

イズル(結論、出なかったなぁ)

イズル(報告書出し終わって皆はどこか行っちゃったし…)

イズル「…はぁ」テクテク

イズル(…あ、着いた)

イズルの部屋の前

イズル「」ピピッ

シュッ

タマキ「おかえりー!!」

スルガ「遅かったじゃねーか!」

アサギ「ま、タイミングはよかったけどな」

ケイ「そうね」クスッ

イズル「み、皆! どうしてここに…」

スルガ「一週間もいなかったお前のためにうまいメシ用意してもらってやったんだよ」

アサギ「『一応』、お前がリーダーだしな」

ケイ「昨日もお疲れ様、イズル。これからも頑張ってね」

タマキ「がんばれー」

イズル「皆…」

スルガ「お前…もしかして泣いてる?」

イズル「」ハッ

イズル「お、おかしいな…あはは」ゴシゴシ

アサギ「しょうがねぇヤツだな」

ケイ「ホント、しょうがないんだから」

タマキ「私たちがいないとダメなんだからー」ムフフ

イズル「…うん、そうみたい」

イズル「――ありがとう、皆!」ニコリ








イズル(その後、食堂からの差し入れのおいしいゴハンを皆で食べて)

イズル(先輩に渡されたビデオをアサギと見る約束したり)

イズル(皆がいない間に顔を赤くしたケイに甘ったるいケーキをこっそりと食べさせられたりして)

イズル(とにかく、皆で騒いだ)

イズル(あの時、何で僕は泣いたのか分からず仕舞いだったし、結局僕が皆をどう思っているのか分からなかったけれど)

イズル(でも、いいや。だって――)

イズル(――僕は皆が好きだから!)



イズル「乾杯!」

ラビッツ「乾杯!」

カンッ!

急ぎ足だけど本編終了。イズルって仲間も設定って思ってそうだよね。
あと、コスプレとかは悪の拷問に耐えるヒーローとかヒロインみたいなシチュでイズルがケイに(ry。
次は短編の続きかく。ほかに何かこういうのを、とかあれば言ってやってください。ギャグは苦手だけど。
では、マジェプリがいろんな人に知られて愛されますように。

やぁどうも。
短編の続きを書くよ。

ケイは組み敷いたイズルの顔を見据えながら、軽くキスをした。
一度ではなく、触れるだけのさっきの濃厚なモノとは違う簡素なそれを何度も繰り返す。
最後にはまた舌と舌を絡め合う。
貪るように、互いの存在を味わうように。
こういった行為は未経験のはずなのに、二人はたどたどしさをあまり見せずに快楽を与え合う。

「…イズル」

インターバルに息を吸いながら、ケイはその名を呼ぶ。
その存在を確かめるように、その細い身体を抱きながら。

「……ケ、イ」

ケイの下、目を動揺に揺らすイズルが呻くように呟く。
何かを言おうとして必死に唇を動かせようとする彼の言葉を、ケイは黙らせようとはしない。
呼吸を整えて、彼は一言告げる。

「ダメ、だよ。こんなこと」

「――――」

その言葉に、ケイは反応しない。
イズルの言葉の意味を理解しているはずなのに、心がそれを嫌がっているような感覚がする。

――ダメ? 私じゃ、ダメ?
私に魅力がないから? 私をチームメイトとしてしか見れないから?
イヤ、そんなのイヤだ。

「イズル」

ケイの返事がないのを不安そうに窺っていたイズルが反応を見せる。
彼女が何を言うのか、戦々恐々とした様子だった。

「私、ね。イズルが好きよ」

ケイはただ真っ直ぐに想いを伝えた。
遠回しに言うことなんてない。
これが本能の作ったモノだとしても。

「僕だって、好きだよ」

後ろの照明が眩しいのか、目を細めつつ、イズルは言う。

――違う。ケイは心の中でもどかしいように否定する。
イズルのそれは、チームラビッツの――皆の中の一人として、だろう。
ヒーローという自分の中の『設定』の話だろう。
イズルの本心というものではない。

「なら、いいじゃない」

分かった上で、ケイは笑顔を向けた。
言ったところで彼はそんなことはないと言うだけだ。
だから、もう無視する。

「ケイ……っ!」

イズルをまたケイは黙らせた。
深く、濃く、長く。自分の存在をイズルに味あわせる。

ピットクルーの女性陣から無理に貸された女の子向けの雑誌か何かの知識を思い出す。
まさか、こんなことを本当に実践するとはケイはまったく思っていなかった。

イズルと両の手のひらを重ねさせる。
ケイよりも大きめな彼のそれに包まれて、ケイは何だか安堵の気持ちを抱く。

「ん…は、ぁ」

「う、ん……!」

インターバル。
潜るように深いキスに息継ぎを挿む。
ほぼ力の抜けきったイズルの身体は、ベッドにだらしなく投げ出されるようになっていた。

ケイはそれを確認してから、自分の服に手を掛ける。
慣れた動作で、若干の躊躇いを見せながらも、上から下まで全て脱ぎ去った。
下着を関係なく、彼女は生まれたままの恰好を初めて異性に披露する。

「あ……」

荒い呼吸を治めるのに集中していたイズルの視線がケイに、正確にはその均整の取れた肢体に奪われているのがすぐにケイは分かった。
控えめながらそこにある乳房。桜色に若々しさを感じる乳頭。締まったヒップライン。薄い茂みに覆われた、ピンクの淫口。

イズルが息を呑んで、圧倒されているかのようにまんべんなく、ケイの身体を視姦している。
そう思うだけで、ケイの身体の奥底から熱が湧いてきそうになる。

「…ど、う? 私、魅力ないのかしら」

ケイは悪戯っぽい笑みを浮かべてイズルに尋ねた。
本人は分からないが、彼女の顔は羞恥に紅潮している。
イズルも気が動転して一切気が付いていないが。

「あ、う…そ、その……」

顔を赤くして、イズルは首を横に曲げる。
見ないようにしている、と自分に言い聞かせたいのか、とケイはすぐに理解した。
何故なら、イズルは顔を逸らしているが、目でしっかりとケイの美しい肢体を眺めているからだ。

それに――

クスリ、とケイは微笑する。
イズルの顔から目線を離して、あることに気付いた。
イズルの腰より下、股間の辺りが妙に盛り上がっていることに。

どういうことかなど、言われるまでもなく、分かってしまう。
そして、ケイはやはりこの少年が可愛らしくて、愛おしくなる。

「――ねぇ、イズル」

自分でも驚くくらい、優しい声色でケイは呼びかけた。
妖艶な雰囲気を纏い、まるで悪女のように笑ってイズルの股間に手を伸ばす。

「あっ! 待っ……」

もちろん彼の制止など聞かない。
ケイは盛り立ったそこに触れる。

「――ん!」

ピクン、とイズルの身体がおもしろいくらいに跳ね上がった。
ああ、可愛いな。
ケイは込み上げる喜びに身を任せつつ、意地悪に問いかける。

「これ、何かしら?」

「あ、う……」

困ったような表情を見せるイズルに、ケイの加虐心がそそられる。
好きな子ほどイジメたいだなんて、まるで小学生みたいだと思う。
……まぁ、小学生の記憶なんて無いけれど。

「イズルのも、見せて?」

イズルの顔を覗き込む。
彼は何も答えない。おそらく、言われたことの意味がまだ理解できていないのだろう。
ケイにはそんなこと関係ないが。

ケイは遠慮なく、イズルのズボンのベルトに手を伸ばす。
その時点でようやくイズルが動き出した。

「だ、ダメだってば!」

慌てたようにケイの手を掴むイズルに、彼女は慌てずにイズルを無力化する。

「ん、む……っ」

イズルの口内を再び犯す。
いい加減彼も抵抗しようとしてきたが、行動が遅い。
さすがに分散されて進撃されれば集中力も意味をなさない。

「あっ……」

カチャカチャという音が不思議な緊張をもたらす。
遅れながらに、ズボンが下ろされる。
ついでに下着も脱がせた。

そして――

「これが…」

とうとう露見したイズルの男根に、ケイは感嘆の息を漏らす。
見たことなどなかったが、それは予想以上に大きく、よっぽどグロテスクで、目が離せなかった。
肉棒という俗称に相応しく肉肉しいし、少しばかりキツイ匂いを漂わせている。
ケイには、赤黒く筋張った怒張と目の前の少年のイメージがまったく重ならなかった。

「み、見ないでよ」

組み敷かれた下で、イズルは耳まで赤く染めて目を逸らした。
見るな、と言われたら余計見ていたくなる。
そもそも、イズルはケイの肢体を散々眺めたのだ。
自分がされたって文句は言えないだろう。

ケイはそっと肉棒に顔を近付ける。
匂いがさらに強烈になっていく。
キツくはあるが、嫌いになるわけではない。
ただ、あまりの強さに頭がクラクラしそうになる。

何がこの匂いの原因かはすぐに分かった。
肉棒の先端から、半透明のぬるりとした液体が染み出るように出ている。
イズルのそれは、その液体によって照明を受けてわずかに光っていた。

「ふふ、これは何かしら」

ゆっくりと、緊張に震えそうになりながらも、ケイは右の人差し指で肉棒の先端を突く。
意外にも粘性を伴っていた液体は、指に驚くくらい吸い付くように絡みついた。
その時、指に反応してか、肉棒がビクリと生き物のように震え、直後イズルの身体も同様に反応する。

「あうっ!」

普段聞かないような声を高く上げたイズルに、にちゃにちゃとわざと音を立てながら指を示す。
彼はそれを見つめながら、戸惑いの感情を露わにしている。

「私で…興奮してくれたんだ」

素直な喜びに唇が歪む。
嬉しい。周りの女性たちに比べて魅力のないこんな自分に、彼は性的な興奮を覚えてくれたのだ。

「ケイ…」

イズルが名を呼ぶ。
その声色から、彼が相変わらず自分を止めようとしているのが分かって、ケイはすぐに行動を開始する。
もう、そんなことを言わせないために。

「あ、む」

「――あっ!? ふ、んん!」

ケイのしたことは単純。
イズルの肉棒に再び顔を接近させた彼女は、一瞬の躊躇いの後、思い切ってそれを銜え込んだ。
いわゆる、フェラチオというわけだ。

(う……)

初めての行為に、ケイは不快感を覚える。
大きな肉棒はケイの口いっぱいに圧迫感を与えた。
すぐに苦しいと感じた。
舌に溢れてきた先走りの汁が触れる。それは苦くてしかたなかった。
また、怒張の持つ熱に口の中が火傷でもしてしまうかと錯覚してしまいそうになる。

それでも、ケイは咳き込んだり、口を離してしまわなかった。
イズルの顔が快楽に歪むのが見えたからだ。
彼を喜ばせたい。自分に夢中にさせたい。
そんな欲望が、ケイに行動を続けさせた。

「ん、ちゅう……ッ」

「う、あ、ああっ」

雑誌で仕入れた知識を総動員して、イズルに快感を与える。
舌を必死に肉棒に絡め、唾液を付け、上下に顔を動かす。
それらのぎこちない動作の一つ一つが、経験のない少年には焦らすようで、さらに熱を生み出す。

イズルの悶える声とケイの奉仕の音だけが、明るい部屋に響く。
その淫らな行為の熱に、ケイの秘所はいつの間にか温かな分泌液で濡らされてきていた。

「――ふ、ん。む、ぅ」

「あ、はぁ…っ、け、ケイ、もう、僕は…ッ」

イズルの声に若干の焦りのようなものが混じる。
それに呼応するかのように、怒張がケイの口内で跳ね始める。

あぁ、とケイは思った。
限界が近いのだろう。イズルはもう、射精するのだ。

そう認識して、ケイはさらに動きを早める。
もっとイズルに気持ち良くなってほしい。
ただ、その一心で。懸命に奉仕し続けた。

そして、その時は来た。

「あ、ああぁぁぁああっ、ケイ、ケイっ!」

――――びゅ、びゅるるるっ! びゅうううっ!!

イズルの狂ったような叫びと同時、肉棒が一際大きく跳ねて。
豪快な水音を立てて、イズルの精を放った。

「んんっ! う、く、んん………っ」

どくどくと口内に射出されるそれに驚き、目を見開きながらも、ケイはそれを飲む。
初めてのスペルマは熱い。それに――

「う、けほっ、けほっ……うっ」

途中でその苦さに耐えきれなくなり、ケイは口をやっと肉棒から離す。
まだ精液は勢いを失わずに出てくる。
それらは粘っこくケイの顔や髪に張り付くように飛着していく。

「…ケイ! ご、ごめん! ぼ、僕は…っ!!」

全て出し切って、イズルは我に返ったように顔を青ざめさせながら謝る。
それから、慌ててベッドの近くにあるティッシュ箱に手を伸ばし、数枚のティッシュを取った。
しかし、ケイはそれを受け取らない。
何故なら。

「……ん、うん」

こくん、とケイが喉を鳴らした。
その行動に、イズルは一瞬ケイが何をしているのか分からなかった。
が、すぐに理解した。
ケイが口を開いて、中身を示したことで。

「の、飲んだの!?」

そう、ケイは口内に出されたイズルの精を全て飲み切ったのだ。
苦く熱いそれを。イズルへの想いだけで。

「ごち、そうさま」

ニコリ、とケイはイズルに微笑みかけた。
顔が精液にまみれて汚されてしまったのに、彼女は本当に嬉しそうに笑っていた。

「ごめん、ごめん……っ」

それに対してイズルはひたすらに謝りながら、ケイの顔や髪を拭く。
汚された美しいそれらが少しはマシになるのに、数分は要した。

「…ん。ありがとう」

完全に綺麗に精液を拭き取ってもらったケイは礼を言う。
しかし、イズルはまったく浮かない顔でそれを聞いていた。

「どう、して…?」

「え?」

震えた声で、イズルが疑問の言葉を呟く。
何の疑問か分からず、ケイはそれについて聞こうとした。
その前に、イズルは告げた。

「どうしてこんなことをしたの…?」

理解できない、と言いたげな声色だった。
少し前まで、皆で和気あいあいと話していたはずなのに。
急すぎるケイの行動に、不安を抱くような声で彼は言った。

ケイは答える。ただ単純な気持ちで。

「好きだから」

「え…?」

「イズル、あなたが好きよ。――愛してる」

ケイの言葉に、イズルは瞳を揺らす。
それがまごうことなき『告白』であることは、いくら彼がマンガバカでも分かることだった。

「そんな――」

「私は、本気よ」

イズルが何かを言うより早く、ケイはもう一度真剣に告げた。
イズルは、何も言えなくなった。
彼には、どうすればいいか分からない、といったような困惑した目でケイを見つめることしかできない。

そうしている間に、ケイは先手を打つ。

「――ねぇ、イズル」

彼女は余裕のある笑みで、彼の名を呼ぶ。
誘うように、魅惑的に。
彼女は求める。まだ、これでは物足りない。

「今度は私も、気持ち良くして?」

火照った身体に身を任せて、ケイは自らの秘所の入口をそっと指で開く。
先走りと似たような半透明の液体が照明を受けて、そこを強調するように光らせる。
もう、この想いは止まらない。欲望は、止まらない。

以上。ごめん、まだこれ続く。我ながらなんてもんを書いてんだろ。
あんま興奮しなかったらごめん。こういうの初めてなんだ。
訂正。>>133 下着を関係なく、彼女は生まれたままの恰好を初めて異性に披露する。
→下着も関係なく脱ぎ捨て、彼女は生まれたままの恰好を初めて異性に披露する。
では、マジェプリがもっと知られますように。


タマキもしくはリンリンとイズルがちょっといい感じになって嫉妬するケイとか見たいなー(チラッチラッ

お久しぶり。
長い間を空けたけど、短編の続きをやっていくよ。

どうしてこうなったんだろう。
イズルはぼんやりとした気持ちのまま、ただ視線を投げ出すように前に向けていた。
目の前には、淫らな姿をこちらに披露する『仲間』であるはずの少女がいる。

彼女の想いなんて、イズルは少しも知らなかった。
自分のことなど、単に頼りないリーダーだとでも思っていると、そう勝手に考えていた。

どうすればいいのだろう。
イズルの脳内では、理解するのを止めた部分と必死になって現状への行動方針を打ち出そうとしている部分とがせめぎあっていた。

こんなとき、ヒーローなら。
ヒーロー、なら――

……そこでイズルの思考は真っ白になった。
彼が記憶のない自らの基盤としているヒーローは、こんな場面になど出会わない。
それも当然である。
彼の読んでいたヒーローマンガは所詮は子供向けのモノ。
英雄色を好む、というような言葉の出るタイプのヒーローをイズルは知らない。

だから、彼は。

「……んっ、はぁ……っ!」

「――む、う……っ!?」

ただされるがまま、ケイに奉仕するしかなかった。

「いず、るぅ……」

イズルの顔に向けてケイの腰が沈む。
強烈な香りが――そう、雌のフェロモンを目一杯染み込ませたような甘い香りがイズルの鼻腔をくすぐる。
イズルの鼻の辺りに触れたそこは、ケイの秘所だ。

若々しいピンクに染まったそこは、生物的に艶めかしく蠢いていて、少し怖い。
それでいて、その香りは蠱惑的で。
甘ったるく感じるケイの声を聞きながら、イズルは花の香りに誘われる蝶のように、舌を秘唇に伸ばしていた。
舌はすんなりとその中に入り、何だか分からないヒダ状の部分に触れる。
そのまま粘液のような半透明の液体を味わいながら、イズルは無我夢中で舌を動かした。

「――あ、んんっ! はぁ……あうっ! イズル! イズルぅっ!」

拙いながら愛撫を必死にした効果か、ケイは快楽に我を失ったようにイズルを呼び、身をよじらせた。
その叫びに呼応するようにどんどん分泌液が溢れて、イズルの口内に流れ込む。

――甘い。

コクリ、とそれを少しだけ味わう。
甘いお菓子が大好きな彼女の性格を表すような液体は想像よりも抵抗なく飲めた。

――もっと。

イズルはどうにか顔面上のケイを退かせようと動こうとする。
これがイケないことだ、と分かっている。
だからイズルは――

「ん、ちゅう……んくっ……!」

「あ、いず、ふ、あぁぁ……っ!」

イズルは授乳されている赤ん坊のように、ケイの愛液をさらに飲み込み、吸い込む。
――甘い。もっと、もっと………

――僕は、何を考えてるんだ?

自分の行動に、イズルは困惑する。
止めなくてはならないのに。
これは、イケないことなのに。
なのに…なのに。

イズルの行動は止まらない。
もっとこの液体を飲みたい。ケイを…気持ち良くしてあげたい。

――違う!
僕はこんなこと、望んでなんか――ッ!

イズルの行動は止まらない。
ケイにさらに快感を与えるために。
ビデオなどの知識を総動員して、舌を動かして小さな豆のような部分を転がし、吸い込む。

「あ、んんっ! は、ぁああ……」

ケイの身体が跳ねるように動く。
その動きに連動してか、彼女の秘唇から溢れんばかりに、決壊したダムのように、甘い分泌液がイズルの口内に流れ込む。
そのあまりの量に、イズルは舐めるのを止めて、一気に愛液を吸い込んだ。

「―――あっ! ん、くぅん! ………はうっ!」

一瞬、大きくケイの身体が揺れる。
それから、また液体が大量に溢れ出たと思ったら、糸が切れたように彼女はイズルの右隣に倒れ込んだ。

彼女の秘所が口元からようやく離れて、息をまともに吸えるようになったイズルは水を得た魚のように空気を吸う。
だんだんと落ち着きを取り戻してきてから、イズルは視線を右に移す。
その先にいるひどく荒い呼吸をするケイを見て、イズルはやっと何が起きたのか気付いた。

「……い、イった、の?」

おそるおそる尋ねた途端、無言のケイが握り拳を胸板に当てた。
勢いのなかったそれは、ぽすん、とそのままベッドのマットに落ちた。
顔を赤くし、いつものキツい目をして睨もうとしているらしいが、弱弱しく瞳を揺らしているケイに、イズルは目を奪われる。
その姿は、普段の毒舌家で、そっけなくて、落ち着いている彼女の雰囲気と違って――

何だか、ドキドキした。

「……ねぇ」

はっ、とケイの呼び掛ける声にイズルの集中力が戻る。
が、それを認識する前に、ケイに押し倒された。

「準備、いいみたいね」

「………っ!!」

微笑みながら、ケイが上からイズルを見下ろしている。
あぁ、やっぱりこのケイは何か違うな、といやに冷静な気持ちでイズルは自分の置かれた状況を認識していた。
そして、まさにイズルの目の前で、その行為は実行されようとしていた。

反応する間もなく、ケイの魅惑的かつ官能的な姿にすっかり元気を取り戻していたイズルの肉棒が彼女の手に包まれる。
無論、その時も快感の電流が身体を小さく流れていた。
それから、彼女はイズルを自らの秘所に導くようにあてがう。

「……ん」

そうして、彼女はゆっくりと、牛歩のようにゆっくりと、イズルを自らの体内で包もうとする。
そう、だ。
そう、このままいけば、イズルとケイは――

「――だ、ダメだ!」

挿入される直前、ようやくここでイズルは取り戻した集中力でケイの拘束から逃れた。
隙のできた彼女の身体を押し退け、無理矢理離れた。
自分が何をされたか少しの間分からなかったらしく、ケイは呆気に取られたような顔を見せる。

「…ごめん、なさい」

しばらく放心していたかと思うと、ケイは俯きがちに謝罪の声を発する。
その声色は、さっきとは違った。いつもの、冷静な彼女の雰囲気を纏っていた。
そして、イズルの行動の意味を理解したかのような口調で、彼女は続けた。

「……軽蔑、したわよね? こんな、無理矢理に関係を迫った淫乱女なんか」

自嘲気味の言葉だった。深く、今更になって後悔するような。
何故こんなことをしてしまったのか、そう自分に問い掛けるような言葉だった。

「ケイ」

なるべく優しい声で、イズルは彼女の名を呼んだ。
今の彼女は、先程とは違い、怖くない。いつもの調子で話をできそうな気がした。
その声にケイは答えなかったが、イズルは続けた。

「あのさ。ケイは、こんなことしちゃダメだと思う」

「そうでしょうね」

イズルに軽蔑された、と解釈したケイは笑う。
我ながら本当に最低だった、と彼に嫌われたことを悲しむような顔でもあった。

しかし、イズルは首を振る。
縦ではなく、横に。

「そういうのじゃ、ないよ」

え? とケイが顔を上げる。
イズルは、微笑んでケイを見つめていた。
彼は落ち着いて彼女を見つめて、一言告げた。



「――だって、ケイ、泣いてるじゃないか」



その言葉に心奪われた、という表現が適切だろうか。
数秒間、ケイは完全に動きを止めていた。
イズルは、何を言っているんだろう?
私は、泣いてなど――

「……あ」

ゆっくりと、ケイの暗い紫色の瞳の辺りに、イズルの右人差し指が伸ばされる。
ビクリとケイが反応する前に、彼はケイの両目尻を拭って、示した。
その指先には、透明に、照明を反射して輝く液体があった。

「ケイだって、その、経験するの、ホントは怖かったんだよね?」

じっと指から視線を離さないケイを見据えながら、イズルは話しかける。
諭すような口調で、彼は一字一句丁寧に伝える。
彼なりの言葉で、『ヒーロー』という概念を超えた言葉で。

「だから、ダメだよ、ケイ」

「………あ、あ」

ケイは、ただ、うろたえたように単語にもならない音を出して。
イズルは、迷わず、すらすらと出てくるセリフを素直に言った。

「ケイにとって、大事なことなら、それは大切にしなくちゃ、ダメなんだ」

彼は、いつも通りの太陽のような明るい笑顔を見せた。
少しでも、ケイが『いつも通り』になるように、願いを込めて。

「う、ああ…」

ケイの身体が、また、イズルの部屋に来た時のように震え出す。
何か、押し留めていたモノが、内側で暴れているような、そんな印象をイズルは抱いた。
決壊寸前のダムは、いつまでもその状態を保つわけではない。

だから、

「――――うああああああああんっ!!」

突然の叫びが、部屋中に響いて。
ケイがイズルの胸に顔を埋めた。服の胸元が、さっきの愛液とはまた違う、別の液体に濡らされる。
それはまるで、癇癪を起こした子供のように不安定で。
イズルには、何だかその仕草が可愛らしく思えた。






「…落ち着いた?」

「……」

数分後。
すっかり泣き止んだケイを抱き止めているイズルの心配する声に、ケイは小さく頷いて返した。

それから、彼女はそっと、名残惜しげにイズルの胸元から顔を離す。
ケイの両目は、真っ赤に充血していて、揺れていた。

「……」

「…え、っと」

急に、全裸の女の子とかなりの近距離でベッドに座っているという状況が気恥ずかしくなってきて、イズルは言葉に詰まる。
とりあえず、全裸の女の子、というところからどうにかしよう。
そう決めると、イズルは上着を脱いで、ケイに被せた。
彼女は特に何の反応も見せず、それをされるがままに頭に載せる。

「…あった、かい」

両袖を通さずに持って、彼女は自分を抱き締めるような恰好で内側に引き寄せた。
それから、静かに服に残っているイズルの香りを深呼吸するように吸い込んだ。

「あの、ケイ。ケイはホントに、僕を……?」

ようやく頭が冷えてきてから、ケイは聞こえたイズルの声に、目を細める。

「……女の子の方から何度も言わせる気かしら?」

「え、あ、その…」

非難めいた視線に、イズルは慌てふためいたように言葉を考え始めた。
そんな彼の様子に、ケイは愛しい気持ちで、クスリと笑った。

「冗談よ。……でも、この気持ちは、『本気』だから」

真剣な表情で、後半の部分は告げた。
それを聞いて、イズルも気を引き締めるような顔をした。

「イズルは――どう、なの?」

「分から、ない」

確かめるケイの質問に、イズルは迷ったような声を出した。
心の底から、本当にそうなんだと伝わってくる様子だった。

「ケイのこと、大切な『仲間』だって思ってた。その、『愛してる』のかは……僕には、分からないんだ」

「…そう」

分かっていたことだから、ケイはそれ以上何も言わなかった。
イズルは優しい。さっきのことで、ケイを拒否したりしないし、彼女のことを真剣に考えた上で答えてくれた。
だから、それでいい。無理に結論を聞きたくなんて、なかった。

「――ケイ」

「…何?」

今度はイズルから呼び掛けられた。
何だろう、と思いながら、ケイは続きを促す。
彼は伺いを立てるように言った。

「僕に、時間をくれないかな? ケイのこと、僕なりに答えを出すのに」

ケイの瞳が揺れた。
そうだった。イズルは――イズルは優しいんだ。
こうやって、ケイの気持ちをむげにしないぐらい、優しいんだ。
ケイは、震える声でそれに応える。

「……答え、絶対に出してくれるの?」

「うん」

「絶対? 何が起きても? 必ず?」

「絶対。何が起きたって、必ず」

彼は、はっきりと、ケイに告げた。
彼は本当に素直で、お人好しで。
本当に、愛しい。

「…なら、お願いね」

「うん!」

ケイの言葉に、イズルは笑ってみせた。
その吸い込まれるような真っ直ぐな瞳に、ケイも自然と笑みを浮かべていた。

「…っと、そろそろ寝ないと、明日も大変なんだから」

数秒ほど見つめ合ってから、イズルは思い出したように声を上げた。
確かにその通りだ、とケイはベッドのデジタル時計に目をやる。
表示では、時刻はすでに深夜の二時に差し掛かっていた。

もう、帰らないとならない。
思い立ったケイは自分の衣服を拾おうとして――

「…ねぇ」

「うん?」

ふと、あることをケイは思いつき、躊躇いながらも、イズルに声を掛けた。
とっくに裸を見せたり、思い切りなことをしたのだ。
躊躇することなどない。
自分に言い聞かせながら、緊張に心臓を高鳴らせながら、ただ一つ、提案した。

「今夜は――今夜は、一緒に寝てくれない、かな?」

何を今更緊張しているんだろう、とまるで恋する少女のように振る舞うのが馬鹿らしくて、自分を心の中で笑う。
だいたい、あんなことの後で、彼が了承するはず――

「ケイがいいなら、いいよ」

あっさりと、イズルは頷いてみせた。
ケイが不安な状態のままなのだろう、と彼なりに察しての行動だった。
そんなことは知らずに、また、心臓が大きく跳ねた。

「じゃ、じゃあ……」

動揺や緊張を悟られないように、落ち着けと内心何度も繰り返しながら、
照明を消して先に寝転がっているイズルの隣にケイは慎重な動作で寝た。
さすがにお互いに正面を向いて寝るのは何だか恥ずかしく、二人は背中合わせに横になる。

…………。
数分が経過した。ケイは未だに眠れない。
何だか、ドキドキとして、イズルが振り向いた先にいると考えるだけで頭が冴えてしまいそうになる。
彼はもう眠ったのだろうか。好きだ、と伝えた女の子が背中を隔てて一緒に寝ているというのに。
考え始めると、なおさら寝付けなくなる。

「…イズルは、暖かいわ」

沈黙に耐えられず、ケイは小さく呟いた。
少しでも、眠りやすくなるように、自分を安心させたかったのだ。
だから、彼女はそれに答える声なんて想定していなかった。

「ケイも、だよ」

反応を起こす、その前に。
ケイの身体が、後ろから抱き締められた。
誰か、なんて言うまでもない。
彼の両腕が、優しく彼女を包み込んだ。
驚きと喜びに、ケイは目を見開き、頬を朱に染める。

「……うん」

彼の両腕を抱き締めて、ケイは瞳を閉じた。
彼の体温を感じながら、彼女はゆっくりと、ゆっくりと、まどろみの中へと落ちていった。



――この想いが、例え機械が作り上げるようにしたモノだとしても。
――私は、この気持ちを受け入れる。ずっと、ずっと。

とりあえずまだ続く。次のイズルの返事編でこの短編は終わり。
次はお兄ちゃんとして苦労するアサギの話とか書かれてたネタで書いてみたいと思うのです。
他にもネタがあったらどうぞ書いてやってください。では、もっともっと、ラビッツの保護者の皆様が増えますように。

リンリンがイズル達が隠していた例のAV発見して出演女優が自分に似ていることに気づいてしまいそれ以降妙に意識してしまいイズル達の前で顔を赤らめギクシャクになるコメディ展開はよ

ども。今日はかなり短いネタを一つ。
>>177をまんまやる。

こまったおねえさん

戦艦ゴディニオン内部

リン「まったく…どうして私が室内調査なんて……」

レイカ「しょうがないんじゃなーい? リンリンが一応観察役なんだからさ」ケラケラ

リン「関係ない人はいいわね、気楽なこと言って」

レイカ「ふふ、じゃね、リンリン」

ツカツカツカツカ……

リン「」フー

リン「まずは、女子からかしらね」






リン「まったく…」

リン(ケイやアサギはよしとして、スルガやタマキは後で厳重注意でもしておこうかしら)

リン(特にタマキ。部屋の清潔度に気を配るように言っておかなければ…)ソウジキカタテ

リン(…さ、次でおしまいね)

イズルの部屋前

リン(といっても、問題ないでしょうけれど)

シュッ

リン(相変わらずマンガと描く道具しかないわね)

リン(これなら特に注意が必要ってことも……ん?)

リン「」ツカツカ

リン(これは、映像記録のためのディスク?)

リン(デッキと大型テレビも……)チラ

リン(……珍しいわね。何を見ていたのかしら)カチャ

リン「……」ウィィィン……

パッ!

アンッアアッソコゥッンン! ゲヘヘイイノカァ? パンッパンッ! グチョグチョ

リン「」

リン「」バッ カチッ

リン「い、今のは…」ソー

パッ!

アンッイイッソコウッ! ウッイイゾッイクッ! アァァンッ!

リン「」

リン「」

リン「……っ!?」カァッ

リン「」カチッ

アン…ブツンッ!

リン(…落ち着きなさい、私)

リン(年頃の子供にはあること、よ。ええ、そう)

リン(単純に、人畜無害そうなあの子がこんな内容のモノを見てるのに驚いているだけ)

リン「」フー

リン(というか…)

アンッアアアンッ!

リン(さっきの人、何か私に…)

リン「」ハッ

リン(何をバカなこと考えてるの私は)ブンブンブンブン

リン(じょ、冗談じゃないわ。生徒に、そんな……)





イズル『教官…僕、ずっと前から』ジリジリ

リン『ちょ、ちょっと、冗談は止しなさい』アトズサリ

イズル『僕、真剣です……っ!』ガバッ

リン『ま、待って! あ、そんな……』






リン「…」

リン「っ!」カァッ

リン「」ポカポカポカポカ

リン(…み、見なかったことにしましょう)

リン(そうすれば、全て解決するんだから)

リン「」ハァ

リン「…今度、レイカと飲みに行こう」

その後、しばらくの間イズルと目を合わせずらくなったり、その影響でチームラビッツとも上手く接することができなくなったり、
そのことについてレイカに酒の席で泣きながらいろいろとぶちまけるリンであったが、それは別の話。

おしまい。短いなこれ。続き思いついたらやる。
でもやっぱコメディ調は苦手。がんばって書くかな。
次はイズルの返事とアサギをやる。それでは、保護者の皆様失礼。

ども。今日は短編を書くよ。

アサギ・トシカズは実に気分が悪かった。
いつも通り、なんて言いたくもないが、胃はキリキリと彼の心を痛める。
そんな不調の理由は単純。
相変わらず彼はザンネンイケメンであったということ。
ただ、それだけだった。

「ヘボパイ、か」

大きな戦いをこなし、インターバルのような休憩期間。
アサギは自室で窓に寄り掛かって宇宙を眺めていた。
未だ帰還の完了しない味方の戦艦を目にしながら口にした言葉が、重く、のしかかるような錯覚を覚える。
そう、それはまるで古代の奴隷に付けられていた枷のような――想像するだけで、また胃が痛む。

「アサギ、どうかした?」

「また胃かー?」

「別に。何でもない」

心配そうな仲間の声に、アサギはあくまで平静を装う。
ここはアサギの自室であるはずなのに、いつの間にか仲間たちの溜まり場のようになっていた。
…まぁ、結局何を言ってもこの仲間たちはここに集まってしまうからどうにもならない。

それよりも、とアサギは憂鬱な気分のまま、後ろでくつろぐ仲間に表情が窺えないように窓に向いたままでいる。
チームの中でのリーダーがイズルだとしても、年長者は自分だ。
年長者がどうあるべきか、という考えをアサギは記憶のない自分の心の柱にしている。
だから必要以上に彼は気負い、こうして実力を出せずにいる。

そして――彼の悩みの種は彼自身以外のところにもあった。

「イズル、ちょっといい?」

「え? あぁ、どうかした、ケイ?」

後ろでドアが開く音、呼び掛ける声、それに部屋から遠ざかっていく足音が二つ、最後にドアが閉まる音がした。
振り返らなくても、何があったかはすぐに分かる。
またか、ともアサギは思った。
それは、チームの中ではもはや見慣れた光景だった。

「…なーんか、怪しいよな、あの二人」

三人だけになった部屋で、ぽつりとスルガの声が響く。
何だかんだ言って、スルガは結構チームを観察して、分析している。
内心、その言葉に頷いていまうくらいには。

ケイも分かりやすいもんだ。
このところはほぼ毎日ああやって、イズルと二人きりであの悪趣味な甘いものを食べるのに誘っているのだから。
まぁ、あの鈍感ヒーローは気付いちゃいないだろうけれど。

そして、そういう仲間内のことを思うと、また胃が痛むから止めておく。
こういうチーム内の関係で、年長らしく、なんて悩むところがアサギにさらなる重荷を加えるのだが、それを放棄できない。
それが、アサギという男だった。
不器用、というどこかの彼のそっくりさんも抱えているマイナス面であり、ある意味プラス面なのだ。

「えー? ケイがイズルとなんてないと思うけどー」

「いや、あれで結構息ぴったりなトコあんじゃん」

そんなアサギの内心の葛藤なんていざ知らず。
お子様、というか似た者同士コンビが何やら盛り上がり始めている。
お前らはいいよな、何も気負わなくて。こっちはいちいち胃が痛むぐらい悩んでるぜ。

「――アサギはどう思うよ?」

当然の流れのように、スルガが話を振る。
いや、当たり前といえばそうだけど。
アサギはとりあえず何とか平気そうな表情に建て直すと振り向いた。

「…別に。どうでもいいだろ」

「んだよ、つまんねー反応」

いつもの受け答えにスルガもいつもの反応を見せつつ、床に寝転がった。
おそらく、彼からすればこれも一時の話題に過ぎないのだろう。
チラリ、とアサギは壁掛け時計を見る。
もう、お子様は寝る時間だ。

「悪かったなつまらなくて。ほら、寝るなら部屋で寝ろよ」

慣れた調子で話を切り上げて、帰るように促す。
アサギとしても休みたかった。
ここ最近は気の休まる時間がないように感じる。

「へいへい」

気のない返事をしながらも、スルガはゆったりとした動作で立ち上がると部屋を出て行こうとする。

「おい待て。タマキも連れてけよ」

言いながら、アサギは自分のベッドを顎で指す。
そこにはついさっきまで起きてスルガに受け答えしていたはずの少女が見事に眠っていた。
何でこんな早く寝れるんだこいつは。っていうか俺の寝床取るな。
不満を抱きながらも、アサギは呆れた気分でため息を吐いた。

「俺筋力ねーから。じゃな」

「おい!」

と、ここまでがいつもの流れ。
面倒がるスルガがいそいそと退散して、アサギがそれを呼び止める。
それで、結局はアサギがタマキを背負って運ぶ。
完璧なまでに一部の狂いもない流れだ。
あまりにも隙がないせいか、落胆の息も出ない。

「…タマキ、運ぶぞ」

一応声を掛けてから、ぐっすりと眠りに落ちる眠り姫をアサギはおぶる。
これが眠り姫ってのはないな。むしろ王子かも。
年頃の女の子らしさの欠片もない寝相でいびきをかく少女を簡単に背に載せ、アサギは部屋を出る。
チーム全員の部屋自体はかなり近いので、目的の場所にはすぐに着いた。

「よっ、と……」

すっかり寝入ったタマキを、どうにかベッドに寝かせる。
彼女の部屋は、いつぞやスルガの言ったように、ひどくモノが散乱としている。
正直、モノが足の踏み場代わりになるような部屋はもはや物置だと思う。

……明日にでも掃除させよう。もちろん、監視して。
元からの性格のせいか、アサギは散らかった部屋なんて、見るだけでもイヤだった。
そういうところから来るストレスでまた胃がひどくなるだろう。
さっそく出来た新しい明日の予定に、アサギは疲れを感じた。

「あ、アサギ」

タマキの部屋を出たところで、ばったりとイズルに出くわした。
彼の周りからはこれでもかというほどに甘いクリームの香りがする。
疲れたところに胃を刺激する匂いは止めろ、と言わなかったのは、それ以上にげんなりとしていたからだろう。

「…お前、よくあんな食い物に付き合えるな」

「うーん。ケイのお菓子美味しいよ? ちょっと甘いけど」

「ちょっとじゃねーよ。かなりだ」

適当に言い合いながらお互いの部屋へと歩く。
といっても、すぐに到着するが。

「じゃあな。とっとと寝ろよ」

言い慣れた別れ文句を告げて、アサギは自室のドアを開ける。
さっさと寝て、また明日に備えなくてはならない。
こうしていつもの日々は終わりを告げる。

「――アサギ」

そのはずだったが、今日は違った。
部屋に入ろうとしてイズルに呼び止められた。

「…何だよ?」

また何か突拍子もないこと言うのか。まったく、ヒーローとかいうのは結構なもんだな。
そんな風にちょっぴり毒舌めいたことを心の中で呟く。

「ありがとう、アサギ」

――は?

「アサギのおかげで――何て言うかな、皆も安心していられるっていうかさ。とにかく、ありがとう」

「…おう」

無邪気な笑顔でイズルはそんなことを言うと、あっさりと引っ込んでいった。
誰もいない廊下に、アサギだけが突っ立っている。

安心? 皆が? 俺の――おかげで?
その言葉の意味を、アサギはじっと考えた。
考えて、考えて、考えた。

「……ふん」

それから突然、アサギは誰に向かってというわけでもなく鼻で笑うと、自分も部屋に入った。
今度こそ無人になる廊下に、チームの殿を飾るようにアサギの帰る音が響く。

アサギ・トシカズはやっぱり気分が悪かった。
胃は痛いし、チームのことを考えると重荷を感じる。
ただし、彼はそれに文句は言わない。

何故なら――――

当然だろ。俺は、俺は――最年長だからな。

終わり。短くまとめた。次の短編は養成所時代とか嫉妬ケイとか。スルガとかタマキの話もやりたい。
イズルの返事編はまだダメだ。良ければネタを出してやってください。今日の放送楽しみだ。
では、十二話の女性陣のコスプレ回に期待。

や、ども。ちょっと時間できたからまた来たよ。
今回は養成所編。

人の一生は自らの行動で決まる、という一節が『知識』にあった。
自己啓発系の一節に過ぎないそれは、彼らにとっては苦笑いの対象以上にはなり得ない。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

グランツェーレ都市学園。
MJP――Military Junior Pre-academy――そう呼ばれているとある軍事機関の養成学校である。
その学校施設の、昼時で賑やかな食堂の一角。
そこに、彼らはいた。

チームラビッツ。
MJPの訓練兵の一員である五人の少年少女の班である。
特異なMJPの中でも、さらに特殊な班である彼らはおよそ一般的ではない付加価値を備えている。
といっても、それはマイナスの面でしか今は語れないが。

各々は圧倒的に一つの分野では計り知れない能力を持つ。
が、彼らにはチームとしての行動に必要不可欠なモノが足りていない。
――結束力。仲間を思い、共に行動する力が欠如している。

そんな彼らの様子はそれぞれでまったく別々だった。

一人は、イカの塩辛と白飯の大盛りを活発そうにかっ食らいながら、周りを見回して。

一人は、チームの人間に目を移さず、ただ食堂でキビキビと働く女性を見つめ。

一人は、黙々と甘いお菓子をまるで昼食のように食べて。

一人は、無関心そうに――それでいて若干の気まずさを抱えながら、年頃の少年らしくない軽食を取り。

一人は、そんな四人を気に掛けた様子で何度か目を移しながら食事をしていた。

「…あ、あの」

いつまでもお互いに会話のない少年たちの中、彼は遠慮がちに声を出す。
自然とメンバーの視線が彼――イズルに向けられる。
不思議そうに、訝しむように。

「…何だよ」

黙している女子メンバーを余所に、年長であるアサギが一応の返しをする。
それに対して、イズルは。

「……あ、えと…………ごめん、何でもない」

何かを言おうと数回口を動かそうとするが、結局モゴモゴと彼が口にしたのは、謝罪の言葉だった。
そんな彼に、メンバーは何も言わない。
ただ、またそれぞれの行動に戻っただけだ。

どうすればいいのだろう。
イズルはここ数日、迷っていた。
このチームの仲は最悪と言っても良い状況にあった。
演習は上手くいかず、かといって、お互いに声を掛け合うこともできずにいる。

イズルはただ一人、この現状に悩んでいた。
彼としては、折角チームになったのだから、彼らと仲良くしたい。
しかし、チームのメンバーはまだお互いの距離を掴み切れていない。

当然と言えば当然のことだった。
何せ、彼らは自分がどういう人間だったかも知らないのだから。

MJP――この軍事機関に入隊する際、新兵たちはエピソード記憶を――思い出を消去されている。
理由としては、おそらくは過去のしがらみにこだわり戦場から脱する、ということを避けるためなのだろう。
それは、遠慮なく彼らを戸惑いの世界に引きずり込む。

そうして、元からの性質なのか、警戒心の強いメンバーとは話せず、かといって比較的薄いメンバーはアクが強すぎるために結局話せず。
こうして、最悪の演習結果と仲で今を迎えている。

何かないかなぁ。せめて、話をするきっかけが――
そう、イズルが考えているうちに。

「…行くぞ」

はっ、と気付かない間に、昼の休憩が終わっていた。
イズル以外の皆は早々に立ち上がると、教室に向かっていった。
あぁ、困ったな。まだ何も思い付いていないのに。
いそいそとイズルも立ち上がり、彼らを追いかける。

そして――転機は訪れた。






「…う」

頬の痛みに、イズルは呻き声を上げる。
膨らんだほっぺからヒリヒリとした痛みが襲ってくる。

「……これで、大丈夫」

薬品やら何やらを薬箱に仕舞いながら、ケイが短く言う。
彼女の手当ては少しぶっきらぼうだったけれど、確かに効果はあった。

「ありがとう」

とりあえずイズルはなるべく笑顔を作って礼を言う。
無論、頬は痛いけれど、しんみりした顔で礼を言うのは何だか効果がなかったようで悪い。
ケイはただコクリと頷いて、箱を元の場所に戻しに行った。

授業中であるはずの時間に、チームラビッツの面々は保健室に集まっていた。
イズル以外のメンバーは、どこか重苦しそうな顔をして何をするでもなく、そこに立っている。

昼休みの後の授業は、講評会のようなモノだった。
各チームの訓練成績を見て、お互いに良い部分と改善点を指摘し合う、という趣旨の授業だった。
が、そこで教官である女性に最悪な点を指摘され、メンバーの中ではアクが強いスルガが不謹慎なことを言って、事態は傾いた。

その言葉に、メンバーの中ではかなり真面目なアサギが、最近の訓練の成果も相まってか、つい激情に駆られ、スルガの胸倉を掴んだ。
そして、いくつかの言葉の応酬の後、感情に身を任せたアサギは迷いがちにその拳を振り上げ。
イズルが咄嗟に前に出て、スルガを庇って殴られた。
その治療のために、皆で授業を抜け、こうして保健室にいるのだ。

「……悪い」

立ち上がったイズルに、アサギは近付くと俯きがちに謝罪の言葉を口にする。
彼はチームでの最年長のメンバーだ。故に、チームメイトを殴った、という事実を彼は大きく悔やんでいた。
ついでに言うと、訓練の悪い成果も、自らの責任だと感じてしまいがちなところがある。

「…俺も、悪かったな」

アサギに続くようにスルガも同様に声を上げる。
いつもは女性を口説くのに軽い気分でいる彼も、さすがにこの時は違っていた。

「良いんだ、その、皆イライラしてただろうし」

ようやく話しやすくなったかな。…ちょっと痛いけど。
そう考えながら、イズルは続けて、ずっと言いたかったことを口にする。

「あのさ、皆、もっと話さない?」

「……」

「……」

「……」

「……」

誰もその提案には答えない。
イズルの言うことの必要性は理解してはいるが、実際に対応はできない、という風な表情で彼を見ていた。
イズルは構わず続ける。とにかく、自分の考えを皆に伝えなくてはならない。
自らの行動で一生が決まるなら。
きっと、チームのこれからは全員の行動で決まるはずだ。

「僕たち、確かに記憶がなくて不安だけど」

だけどさ、とイズルは前置きをする。

「何もないなら、皆で作ろうよ。何もないけど、ううん、だからこそ、僕たちは何でも作れるんだ」

「――兵士になるしかないのに?」

冷めた声で、ケイが聞こえるように呟く。
その一言は、ひどく正論で、残酷に皆を落とす。
しかし、イズルは――

「そうかもしれない。でも、作る」

「……え?」

その先の回答なんて予測していなかっただろうケイは、目を丸くした。
イズルはニコリと明るい笑顔でチームを見渡す。

「作るんだ、僕たち」

「だから兵士になるしか――」

「ないなら作る! なくても作り出す!」

心の底から、イズルははっきりとそう言ってみせた。
そんな可能性がないとしても、用意されていなくても。
自分で作ればいい。自分の道を、勝手に。
彼のポジティブな思考回路はすでにそうやって結論付けていた。

チームメイトたちは、静まり返っていた。
それぞれ、イズルの言葉を噛み砕いて、取り込もうとしているように見えた。
そして、数秒ほど経って。

「うーんと、よく分かんないけどー、さんせー!」

特にイズルの言葉を理解はしていないだろうが、タマキが両手を挙げて笑った。
彼女も、内心、チームの仲を気にしていたのかもしれない。

「……ったく、訳分かんねーな、お前」

呆れたように、スルガが言った。
その顔には、笑みがあった。
あまりにもくだらない、とでも言うように、ニヤリと、不敵な笑顔を浮かべていた。

「…そうね、ヘンよ、あなた」

ケイが――警戒心が強く、ろくに話さないケイが、初めて人に同調した。
それに、あろうことか、ふ、とうっすらと笑ってくれた。

「…まぁ、話をしよう、ってのには同意する」

まだ戸惑いを隠せない様子で、アサギはイズルに頷く。
彼は笑ってはいなかったけれど、それでも、初めて少しだけ柔らかな表情を見せた。

「うん! がんばろう、皆!」

イズルは笑う。
まだ、結局は何一つ達成してはいないというのに。満足そうに笑った。
ようやくスタートが切れたような気がして、嬉しかった。






――これが、始まり。

タマキ。
スルガ。
ケイ。
アサギ。
イズル。

この五人の、『タスケアイ』の、スタート地点。

はい終わり。今日の放送楽しみです。
じゃ、また今度。

次回予告のナースケイちゃんがイズルとお医者さんごっこ(意味深)する展開が見たいです

どうも。今日も短いがやる。
>>148を参考に嫉妬ケイを。
前提としてイズルとケイはそういう仲になってることにしてください。

スターローズ内部――格納庫

リン「それじゃ、今日はもう解散していいから」

ツカツカツカ…

アサギ「はい、お疲れ様でした!」

スルガ「ふぃー、終わったァ」

イズル「今日はもう寝たいね」

アサギ「まったくだ」イガー

スルガ「早く胃薬の摂取しねーとな」ケラケラ

アサギ「ふん。この苦しみの分からないヤツはいいよな」

タマキ「」ウツラウツラ

ケイ「…大丈夫、タマキ?」

タマキ「んにゅうー」コクリコクリ

スルガ「こりゃダメだ」

アサギ「やっぱり子供だな」フー

タマキ「……んー、いずるーおんぶー」ノリカカリ

イズル「えー…もう、しょうがないなぁ」

スルガ「すっかりタマキの面倒見る係だな」

アサギ「まったくだ。もうお前がコイツに付き合ってやったらどうだ」

スルガ「気の合う者同士でな」ハハハ

タマキ「んー…それもいい……」ギュー

イズル「あ、動きにくいからそんなくっつかないでよ」フラ

ケイ「…そうよ、タマキ。それじゃイズルが大変じゃない」

タマキ「やだー、いずるだからいいのらー♪」ギュ

イズル「わ、だから止めてってば」

ケイ「」ムッ

ケイ「…そうみたいね」プイッ

スタスタスタスタ…

スルガ「ありゃりゃ」

アサギ「…ご立腹だな」フー

イズル「へ? 何が?」

スルガ・アサギ(ホント大したリーダーだな…)

タマキ「……んぅ。おとーさん……」スゥ






ケイの自室

ケイ「…」カチャカチャ

ケイ(つい作り始めちゃったけど…この量はさすがに多かったかしら)カチャカチャ

ケイ(…それもこれもイズルが…悪いんだから)パラパラ

ケイ(あんな、タマキとばっかり…)バタン…ピッ

ケイ(私は…『特別』じゃないの?)スワリ

ケイ「…イズルの、バカ」

イズル「――えっと、僕ってそんなおバカかな?」

ケイ「そうでしょ。いつもいつもタマキとばっかり仲良くして…」

ケイ「私が、恋人だっていうのに。最近は全然二人でいられないし」

イズル「ご、ゴメン。そんな風に考えてたんだ」トナリニスワリ

ケイ「そうよ。少しは反省――」

ケイ「」チラ

イズル「ん? どうかした?」

ケイ「」

ケイ「」ガタッ

イズル「」ビクッ

ケイ「な、何でイズルがいるの!?」

イズル「何でって…僕ノックしたけど」

ケイ「き、聞こえなかったわよ!」

イズル「あ、そっか。じゃあゴメン」

ケイ「気を付けてよ…そ、そうじゃなくて!」

イズル「えっと、タマキを送ってさ。ちょうど時間あったし、会いたいなぁって」

イズル「ほら、さっきケイの言った通り、全然最近は話してなかったし」ニコリ

ケイ「…っ」カァ

イズル「ケイ?」

ケイ「あなたって人は…」フー

イズル「…もしかして、また呆れられちゃった?」

ケイ「そうね。まったく、呆れるわ」

イズル「な、何かゴメン」

ケイ「…そう、思うなら」

イズル「うん」

ケイ「こ、今度。二人でどこか行きたい」

イズル「うん、行こう。デート」ニコリ

ケイ「……ええ。で、でーと、よ」メソラシ

イズル「うん!」

ケイ「……ケーキ」

イズル「?」

ケイ「また、たくさん作っちゃったから…食べる?」ホホエミ

イズル「――うん!」

以上。短っ。もっと長くすべきだったか。
あれだ、これはシリーズで書く。次はリンとかで。
あと>>217そんなんこっちが見たいわ。書くけどえっちぃのにしかならないよ。それでもいいならやる。
イズルの返事が書きあがらん。じゃ、また。

どうも。早朝から書いていく。
イズルの返事編。これで本能(意味深)は終わり。

「ふぅ……」

スターローズの自室の中で、イズルは一つため息を吐いた。
相変わらずマンガを描いてる彼なのだが、その手は一切進まず、ただペンが空を切っている。
いつもの精神安定剤もまともに取れないのには、理由があった。
それは、別に戦地でへこむような敗北をしたからとか、そういった兵士らしいモノではなく、どちらかと言えば若者らしい悩みだ。

つい二日前、ケイに聞かされた告白の返事に、彼は未だ答えを出せずにいた。

時間を掛けても構わない、とは彼女に言われたけれど、やはり早い方が良いに違いない。
そうイズルは考えていたが、困ったことに結論は出ない。

自分はケイをどう思っているのか。
大切な『仲間』。別にプライベートでも、嫌いなんかじゃない。
じゃあ――愛情は?

ここで、思考はすっと止まってしまう。
どうしても、はっきりとしない。
そもそも、イズルには愛情がどういうモノかも理解できていないかもしれない。
彼には――というか、その仲間もだが――まともに人生経験が足りていない。
だからこそ、彼は悩む。

どうすればいいんだろう。
イズルは椅子に背を投げ出すように預けて、天井を仰いだ。
こういう時は――

「――おい、イズル」

「……あ、アサギ」

そこへ、状況を変えるわけではないが、ありがたい変化が現れた。
彼――アサギは、椅子にだらしなく身を傾けたまま、首だけ動かして声の方に向いたイズルに呆れた顔を見せた。

「もう夕食だろ? お前が皆を誘ったってのに」

あ、とイズルの表情がしまった、と歪む。
今日は、チームの親睦を深めよう、という名目でメンバー全員と食事をする約束をしていたのだ。

「ごめんごめん、すぐに行くから」

マンガを描く道具を仕舞い込んで立ち上がる。
何はともあれ、少しは気分が変わるかもしれない。
――その食事会にケイも来ることを忘れて。






「…おー、遅かったな」

それなりに人が入り浸っている食堂の隅のテーブル席。
そこに現れたイズルに向かって、スルガがカレーを食べながら言う。

「ええと、ごめん。他の皆は?」

四人分のスペースが空いたテーブルに座り、イズルは周りを見る。
まだ女性陣はこの場にいなかった。
あ、そっか。ケイも来るんだ。
そこに至ってようやくイズルは失念していたことを思い出し――

「おまたせー」

「…早かったわね」

そのタイミングで、彼女がタマキとやってきた。
イズルの視線が声のする方に向かう。
その先でケイとタマキがいつものように一緒にいた。

「俺たちも来たばっかだけどな」

「俺はおねーさん口説きに先に来たんでね」

「なんだー」

「…そう」

それぞれ適当なことを言いながら、皆が席に着いた。
それから、ほぼ同じ瞬間にイズルに目を集中させる。

「……へ? 何?」

どうしたの? と不思議そうに首を傾げるイズルに、皆は一斉に呆れたような顔をした。

「いやお前が呼んだんだろ?」

「何か言うんじゃねえのかよ」

「挨拶とかー」

三人に言われるのを流れるままに聞き、納得して。
その流れで来る次の言葉に、少し――ほんの少し、困る。

「…そうよ」

「……あ、えと、う、うん」

………? と周りの視線が不思議そうにイズルとケイに刺さる。
それを無視して、イズルはようやく食事会を始めた。






結論から言うと、食事会はあっさりと進行した。
スルガやタマキがよく喋り、アサギやケイがそれに辛辣にツッコミ、時にイズルが空気を読まない発言をして、皆にため息を吐かれて。
『いつも』のような楽しい時間が、流れていった。
ケイとは、あまり話ができなかったけれど。

「…じゃあ、タマキを連れていくから」

「んー…」

「あぁ、じゃな」

「また明日な」

「じゃ、じゃあね」

宴も進み、夜も深くなり。
疲れて小さな子供みたいにだらしなく身を預けるタマキを支えながら、ケイは帰って行った。
彼女たちがいなくなって、イズルたちも解散する雰囲気になっていく。

「…ほら、俺たちも戻るぞ」

「おう」

短く会話を済ませ、アサギとスルガも席を立つ。
イズルも促されるように立ち上がる。
そうだな。そろそろ部屋に――

そこで、イズルはまたケイのことを考えて、動きを止めた。
結局、彼女のことは何も考えられなかった。
何一つ。ただ、少し気分を逃避に向けただけだ。
そして、このまま帰っても。一人じゃ、何も出せない。

どうしようか。僕だけじゃ…。
そこまで思ってから、イズルは何かに導かれるように帰ろうとしている二人の仲間の背を見る。
それから、去りゆく彼らにイズルは躊躇いがちに――

「ま、待って!」

「…あん?」

「何だ?」

呼び止める声に、二人は訝しげに振り返った。
声を出してから、イズルは自分の行動に疑問を抱いた。
何故二人を止めたんだろう。二人に相談したって――相談?
そうか、とイズルは気付く。
一人でダメなら、三人だ。







「――それで、何なんだ?」

イズルの自室。
そこの床で、男性陣は円卓のように腰を下ろして、座談会を始めていた。
イズルの「相談が、あるんだ」という言葉に仕方なく、といった感じで付き合ってきてくれた二人に、イズルは神妙に口を開く。

「実は、さ――ケイに、その……こ、告白、されたんだ…」

「……は?」

「な、何ィ!?」

イズルのびっくりな『告白』にアサギは目を細め、スルガは逆に目を大きくする。
えーと、と困ったような表情を見せるイズルに、二人はしばし呆然とした。
といっても、その硬直もすぐに解けたが。

「…ま、そうなるとは思ってたけどな」

「あの、ケイがなぁ」

そんな風に反応を見せると、二人はあっさりとそれを受け入れたように、頷いた。
あ、あれ? 皆そんな驚いてない…の?
本人から伝えられた時はかなり驚かされて、言葉も出なかったイズルはそこに戸惑う。

彼は知る由もないが、チームラビッツのメンバーは結構仲間内のことに敏感だったりする。
タマキでも、何となく直観的に理解している。
イズルの場合は…彼の集中力が他のことに向きすぎているせい、といったところかもしれない。

「…で、何を相談したいんだ?」

戸惑っているうちに、アサギがすっかり調子を戻して話を進める。
そうだった。相談…しよう。
すぐに思考を戻し、イズルはまた、口を開く。

「その、返事に困ってるんだ」

「あん?」

怪訝そうにイズルを窺うスルガに、イズルは続ける。

「僕も、確かにケイは好きだけど…これがそういう意味での好きなのか、分からなくて」

「……まぁ、お前はそういうヤツだもんな」

納得のいった顔で、スルガは頷くと、視線を遠くにやるように外の宇宙へ向ける。
彼からすれば、そんな相談は門外漢だった。
何せ、そういうことを考える経験はないのだから。

「…お前は、どうしたい?」

沈黙していたアサギが質問する。
真剣な調子の言葉に、イズルは一瞬黙してから、返した。

「僕は、はっきりしたい。ケイが、その、そういう意味で好きなのか、どうか」

さらにイズルは続ける。自分の今を整理するように。

「……ときどき、ケイにドキドキすることもあるんだ。でも、だからってそうなのか、分からなくて」

それは、記憶のない彼だからこその迷いだった。
人生における一般的な経験の足りない、彼の。

「…俺たちも、恋だの好きだのって言われたってなぁ」

スルガが小さな声で呟く。
そうだ。彼らもまた、同じだった。
スルガだって、ナンパの先にあるモノを知らない。
彼が上手くやっているところなんて、見たこともなかったのだから。

「…イズル」

長い沈黙の末、アサギが胃を撫でながら顔を上げる。
彼は、至って真剣な顔でいた。
イズルの悩みも、気持ちも理解した上で、彼は告げた。

「それはお前の気持ちだから、悪いが、最後はお前が決めることだ」

それは、人によっては投げやりな少し冷たい言葉に聞こえたかもしれない。
もちろん、イズルは、アサギがそんな冷たい人間ではないことは知っている。
事実、ただな、とアサギは付け加えるように言った。

「俺は、どっちに転んでもお前とケイの味方だ」

「アサギ……」

常にチームのことに気を配り、年長者たる振る舞いでいようとする。
それが、アサギ。
チームラビッツの中で、頼れる兄貴分だ。

アサギはそれだけ言うと、スルガを促し、共に部屋を出て行った。
ありがとう、とその背にイズルは礼を告げた。
何も決まらなかったけれど、それでも、相談して良かったと思えた。
そうしてまた一人になった彼は、そのまま脱力したように床に寝転がった。

「……」

僕は。僕は――






夜は更けていく。気付かないうちに日付が変わっていた。
壁の時計を見てそれを知ったイズルは立ち上がり、外に出た。
部屋にいても、考えはまとまらない。外にでも出よう、と結論を出した。
近くの休憩所のバルコニーへ来てみれば、真上で星が輝いている。

あの時も星がキレイだったなぁ。
ふと、イズルはケイとバカンスの時にケーキを一緒に食べたことを思い出した。
ケイに先行きのことを相談されて。自分なりの答えを返して。
そういえば、あの絵、ボロクソに言われたっけ。結構自信あったのに。

その時のことの一つ一つが、何だか遠い昔のような感覚がして、おかしくなる。
…あの時は、まだ気楽だったのに。
今では、すっかり困っている。

ケイ。
彼女の名前が頭の中を、何度も何度も通り過ぎては消える。
知らない人。知らない人からチームメイト。そしてそこから――どこに行くのか。

最初は、ただイズルの空気を読まない言動に呆れ。
ヒーローだなんて、年甲斐もなく子供みたいなことを言うイズルに冷たい目をしていた。
イズルはそれを気にしてなんていなかったけれど。

そして、あのバカンスと奇襲作戦から。
だんだんとお互いに和やかな雰囲気で接して。
それで、あのケレス大戦の時には、一緒にヒーローになってくれると言ってくれた。

あれ、嬉しかったなぁ。やっとヒーローの仲間が出来たんだ、って。
気にしない、と思っていたけれど、やっぱり分かってくれる誰かが欲しかったのかもしれない。

イズルは俯く。
自分の気持ちは、結局どちらへ向いているんだろう。
愛情? 友情?
どちらが正しいんだろう?

つい二日前のことを思い返す。
出来れば忘れてしまいたい、最低の自分がいた日のこと。
流れに身を任せかけて、もう少しで取り返しのつかない結果になっていたあの行為。
ケイがどうしてあんな行動をしたのか、結局聞けていない。
というより、あの日の翌日に、言い辛いなら、と無理に聞かなかったのだが。

今、必要なのは、明確な返事。
待ってくれるとは言ったけど、それは永遠ではない。

二日前は、どうだった?
あの行為の最中、自分は何を思っていた?

無理矢理にキスされて、組み伏せられて、愛撫されて、本能的に流れに身を任せて愛撫仕返して。
嫌がってた、のかな。でも、僕はいつの間にか合わせてた。それどころか、自分から…してた。
イズルは思考を深める。自分の気持ちを知るべくして。最初から知っていたことを、改めて認識するために。

そうだ、それで――ケイが、可愛いと思ってしまった。
快感で乱れた姿を見せた時も。行為を止めて、泣いていた時も。からかうように笑っていた時も。
一緒に寝ようと、緊張した顔で提案してきた時も。

いつもいつも、冷静で、毒舌で、でも、優しくて。
皆のこと、お母さんみたいに――お母さんは知らないけれど――面倒を見ようとしてる彼女の、隠そうとしてた弱さを知って。
それで――ヒーローは、こういう人を守るんだって思って。

いや、そうじゃないや。イズルは、一つ気付いた。
自分の気持ちで、守りたい、ってあの時思ったんだ。
だから、寝るときに抱き締めた。不安にさせたくなくって、抱き締めたんだ。

自分の両手を、イズルは見た。
あの日の自分のした行動の理由が、今更になって分かった気がした。
ずっと、それも不思議に思っていた。
一緒に寝るだけで良かったのに、進んでケイをその手で包んだことを。

必要なんて、なかったはずなのに。
それを、それでもその行動を選んだのは――

「……僕は」

イズルは視線を手から離し、顔を上げた。
天蓋の先では、太陽と月が二つの方向に見えていた。
いつの間にか、夜明けが来ていた。
空気がしんみりしたモノからすっきりと爽やかなモノになったような錯覚を抱いて、何となく深呼吸した。

吸い込んだ息を吐くのと同時、イズルはその想いを口にする。
やっと問題が解けた、という実感を持って。
答えは、もう知っていたんだ。
ただ、気付かなかっただけで。

「…僕は、ケイが『好き』になっていたんだ」

朝日が、差し込む。
気持ちが暖かくなる光を受けながら、イズルは歩き出した。

この結論を早く伝えなくてはならない、という焦燥感に駆り出されていた。
持前の集中力も相まって、彼は立ち止まりはしない。
こんな、まだ人々は眠っているであろう早朝にいきなり返事をしに行くのは迷惑かもしれない。
そんな考えが消えるくらい、気がはやっていた。






ケイの部屋には、すぐに着いた。
全速力でやってきたせいか、息はすでに上がっていた。
一度呼吸を整えてから、イズルは身を正して、緊張した面持ちでノックを一度した。

「――はい?」

幸運なことに、ケイは起きていた。
少しばかり低血圧なためか、彼女の声には僅かに張りがなかった。

「…ケイ、良いかな?」

「……」

ノックの主がイズルだと分かった瞬間、ドアの向こうで、ケイが一瞬戸惑ったのが分かった。
それから、彼女の返事がないまま、ドアが開いた。
入っていい、ということらしい。
イズルは遠慮がちに一歩踏み出す。

相変わらずお菓子作りの道具が置かれている部屋に、ケイはいた。
ベッドのそばに立っている彼女は、強張った笑顔でイズルを出迎えてくれた。

「…おはよう、イズル」

「うん、おはよう」

伝統的な朝の挨拶をしてから、イズルはケイに改めて向き合う。
彼女の笑みは、緊張しているのか引きつっていた。
あまりイズルも人のことを言えないくらい笑顔が作れていないが。

「その、返事……しに来たんだ」

前置きを伝え、イズルは笑顔を頑張って維持する。
ケイはもう笑う余裕が失せてしまったらしく、緊張した面持ちで真剣な眼差しをイズルに向けていた。

その様子を見て、イズルは話す準備が出来たと確信して――始めた。

「色々、考えてたんだ。ケイと初めて会ってからのこと、これまでのこと。それから――おとといのこと」

ポツリ、ポツリと言葉を紡ぐ。
出来た結論をどう伝えるか、大事に考えながら。

「僕さ。ケイは『仲間』だから、大切にしたいんだ、好きなんだって、ずっと思ってた」

その言葉に、ケイの表情は変化しない。
彼女は、それをずっと理解していた。
そのことが分かって、イズルは特に止めず、続ける。

「でも、それは違った。ケイは――ケイは言ってたよね? 自分の先が不安だって」

あれが始まりだったんだよ、とイズルは告げた。

「ケイって、皆を不安にさせないように怖いとか絶対に言おうとしないし、自分の不安を誰かに相談したりしないじゃない?」

イズルは続ける。大丈夫だ、今のところすらすらとちゃんと言えてる。

「あの時、僕嬉しかったんだ。ケイが相談してくれて」

「――それは、ヒーローだから?」

ケイが聞いた。
低血圧のせいか、少しだけ頼りない声で。
対して、イズルは首を横に振って答える。

「最初はそう思ってた。でも違う。おとといのことで、やっと気付いたんだ」

イズルは告げる。自分の中で、一番に大切なことを、言葉に変えて、想いに変えて。
ただ、真っ直ぐな心で、伝えた。

「ケイのこと、守りたいんだ。ヒーローだからとかじゃなくて、僕が僕として――ヒタチ・イズルとして、守りたい、って思ったんだ」

「……」

ケイは下を向いていた。
何も言わず、ただ俯いて、その言葉を聞いていた。

「…ケイ?」

いつまでたっても何も返さないケイに、イズルはそっと近付く。
後はこの想いに対する彼女の声を聞かせてもらいたかった。

そして、もう一歩でケイの前に立つ、というところで。
彼女の声がした。

「……本当に、良いの? 私みたいな、女なんかで」

その声は、震えていた。
実感の湧かない答えに戸惑うような調子だった。
イズルは一歩進んで、ケイの目の前に立つ。
彼は自分の両手をまじまじと見つめた。

そして――

「あ……」

ケイの肩に手を置き、引き寄せ、その背に手を回し、抱き締めた。
突然の人と触れる感触に、ケイは棒立ちのまま、驚きに目を見開く。

「なんか、じゃないよ。ケイは」

イズルは彼女の頭に右手を載せる。
男の大きく少し武骨なそれは、優しくケイの頭を撫でた。

「僕の、一番大切な人なんだ」

身体を離して、イズルは心からの笑顔をケイに見せた。
眩しく、太陽のように暖かく、心を落ち着かせる笑みだった。

「――イズル…っ」

ケイが慌てたようにイズルの胸板に顔を埋めた。
一瞬窺えたその目に、大きな雫が光っていたような気がしたけれど、イズルは何も言わない。
ただ、手の中の彼女の感触をしっかりと確かめて、大事そうに掴んだ。






「……もう、いいわ」

数分もすると、もういつもの冷静な表情の彼女がいた。
名残惜しい気持ちを抱きながらも、イズルはケイを離した。

「……」

「……」

奇妙な時間が流れる。
イズルとケイはそれぞれ相手の目を見つめてた。
何もしないで、飽きもせずに瞳を覗いていた。
もちろん、そんな時間もすぐになくなるが。

「……とりあえず、食堂行こっか」

お互いに何か言うこともなく、イズルが思いついたように言う。
時計を見ればもう結構な時間だ。積もる話はたくさんあるけど、今は自分の仕事をしなくてはならない。
そろそろ仲間たちも起きて、向かっているだろう。
納得したようにケイはコクリと頷くと、先にドアへと向かう。

――あ、そうだ。
その後ろ姿を眺めながら、イズルは一つ思い出した。

「ね、ケイ」

「…何?」

イズルの声に、ゆっくりとケイは振り向いた。
彼女は不思議そうな顔でイズルを見つめる。
うん、と頷いてから、彼はさも当然のようにこう言った。

「手、繋ごうよ」

「……え?」

「だって、その、恋人になったんだよね、僕たち」

マンガの資料で読んだ小説、という実は結構偏ってる知識からイズルはその言葉を出した。
恋人同士なら手を繋いで移動する。一緒に、歩く。
そういうものだと、イズルは素直に受け入れてしまっていた。

「……で、でも、そんな、急に…う」

さすがにいきなりそれは恥ずかしい、という気がしてケイは断ろうとした。
が、それを察して寂しそうにするイズルの純真無垢な眼差しに、あっさりと根負けしてしまう。

「はい」

ニコリと無邪気に笑って、イズルは左手を差し出した。

「…ん」

そっと、それをケイが慎重に握った。

イズルはじっと、自分の左手とその先の右手を見た。
ただ一つ、二人を繋ぐ、手と手の橋。

「よーし、行こう!」

「ちょ、ちょっと、イズル! やっぱりこれは…っ」

快活な少年の声と、恥ずかしげな少女の声が艦内に響く。
彼らの道の先にあるものは、希望かもしれないし、絶望かもしれない。
しかし、きっと大丈夫だろう。お互い、一人ではないのだから。



ザンネン二人。だけど二人で一人。未来への道は遠くても、いつか必ず辿り着く。

はい終了。正直微妙な出来になったかも。
まぁいいや。次はスルガで書く。何かネタがあったらどうぞよろしく。
それでは。

スルガがメカに集中しすぎてお姉さんの行為に気付けなかったパターンで

どうも。今回はスルガのお話を一つ。

――アタル、とどこかで俺の名前を呼ぶ誰かの声がした。
慈しむようで、聞くと心が安らぐようなそれに、俺は自然と頬を緩ませていた。
……感覚がした。

それから、背中に回される二つの手の感触。
俺はそれに応えるように手のひらに力を込めて、抱き締める相手を捉えた。

顔を上げる。視線の先には、はっきりしない、輪郭のぼやけた誰かの顔。
もっと。もっと、名前を呼んでくれ。
俺の名前を――



ピピピ――!

けたたましい電子音に、俺は覚醒した。
開けた視界の先の天井を呆然と確認してから、起き上がって周りを見渡す。
誰もいない。俺の名前を優しく呼んでくれた誰かも。

……ああ。そういうことね。
俺は妙に納得して、少し沈んだ気持ちで、ため息を吐いた。
分かってるよ、また――夢なんだろ?
慣れた気分で俺は無言のままベッドから立ち上がった。

もうこの夢にも飽きてきた。
どうして俺だけ、こんなにも現実味があるモノを見るんだろう。
いや、それも分かってるけど。
俺の異常な記憶力は、記憶を消されても、なおアレだけ覚えていたらしい。

なまえをよんで、おとうさん、おかあさん。
……なーんて、な。

自分の考えを笑いながら、俺は着替えに移る。
今日は仕事なし、気楽にぶらぶらするのも良いかもな。
そんなことを思いながら、俺はまず食堂に向かう。
これももう慣習化してんなぁ。

「おう、起きたか」

食堂にはまだアサギしかいなかった。
珍しいなと思いつつ、俺は席に着く。
タマキはともかく、イズルやケイがまだいないなんて、ちょっといつもと違った。

「イズルとかはまだなのか?」

「……とっくに皆起きてどっか行っちまったよ」

何だ、俺が一番遅いだけか。やれやれ、今日は調子わりーや。

「今日はねぼすけさん?」

と、俺が来るところを狙ったように、あの人の声がした。
いつものように、俺は心からの笑みでそれに答える。

「おはようございますお姉さん! 毎朝お姉さんに起こしてもらったら僕も早起きに――ぶっ!」

言い切る前にトレーでポカリと殴られるのもいつも通りだ。
食堂のお姉さん――ナトリ・シオンとかいう名前だ――はステキな笑顔を俺に向ける。
この笑顔があれば、俺のちょっと沈んだ気持ちも元通りだ。
割と真剣に。

「ほら、今日もカレーでしょ?」

そう言うと、お姉さんはいつもの俺専用の特製カレーをテーブルに置いてくれた。
毎食カレーは飽きるだろ、というヤツはいるが、これも武器と同じで俺のアイデンティティってモンだ。

「さっすがお姉さん! 俺の好みもバッチリ! やっぱり二人は狙撃手と観測手のように密接に――」

「はいはい、食べ終わったらトレーはそこによろしくね」

あっさりといなされて、俺は仕方なく引き下がる。
なあに、まだ話す機会はいくらでもあるってもんだ。

「ったく、お前も諦めの悪いな」

「うっせー、まだいくらでもチャンスがあんだよ」

「よく言うよ」

適当に会話しながら、俺はカレーに集中する。
…うん、今日も美味い。

「さて、と」

どうするか。今日は何もなくて暇だし。
とりあえず、きっちりとカレーを食べきって食堂を後にした。
アサギの話によれば、イズルとケイはどっかに出かけて、タマキはオペレーターの一人と出かけたらしい。
んでもって、アサギはアサギで自分のピットクルーの連中と出かけるらしい。

……どいつもこいつも、出かけてばっかだ。
この流れにつられて、特に目的もなく外に出るのも良い。中で適当にゴロゴロするのも悪くない。
どうしたもんか、と俺は悩む。
そうしていると――

「お。スルガ君」

聞き慣れた声に、俺は速攻で振り向く。
あ、やっぱり。チャンスはいくらでもあんじゃねえか!

「お姉さん! もしかして非番ですか!? でしたらぜひとも僕と一緒に――」

「んー? いいよ?」

「……へ?」

「いや、だからさ、出かけるんでしょ?」

お得意のミリタリートークも出せないまま言葉を遮られたと思ったら、お姉さんに誘いをオーケーされた。
訳の分からない状況だ、と思った。

……これ、まだ夢とかじゃねーよな?
私服姿のお姉さんは、ニコリと笑った。
あ、やっぱこの人良い。何がどうとかじゃなくて、良い。
ついでにこの笑顔は夢の世界のモノじゃない、と確信した。

………いいいいいやっ、ほおおおおおおっ!!
内心叫びながら、俺は久しぶりに脳天気に喜んだ。
こんなに美味い話があるわけもないことに気付かずに。

「えーっと、あと確かこれが足りなくてー」

「お、おねえ、さん?」

「んー?」

「ま、まだ…運ぶんですか」

「そりゃーねー」

お姉さんの言葉に、俺はガクリと膝を着きそうになる。
そんな俺の背中には、大量の食料品の数々がある。
どれもこれも、およそ一般的ではない香辛料とか食材だとかフルーツだ。

普通に注文でもすりゃ良いのに…。
愚痴りたくなって、止めた。
事情は聞かされているし、これが無いといつものカレーが食えない。

お姉さんの話はシンプルにすると、こうだった。
食堂の食材が不足している。
…これだけ聞くと、さっきの俺の言葉通りだ。
が、その単純な話に問題が発生した。

何でも、食堂にある食材には二種類の区分けがあるらしい。
普通のメニューに載っている料理に使う普通の食材。
こっちはスターローズの艦内で栽培やら養殖やらされているので確保は簡単。
問題は、特殊な料理――俺の特製カレー、ケイのパフェなんかは分かりやすい例だ――にあった。

こういう特殊な料理については街の業者に頼んで運搬してもらっているらしい。
ただ、今日は業者が他の供給先に運搬をどうしても優先しなくてはならないらしく、食材が来ない。
そこで、シオンさんが車を出して業者に出向いて食材を回収することになった、という訳だ。

で、偶然にもお姉さんに出会った暇な俺がついでに食材を車に詰める手伝いをしている。
……まあ、分かってたよ。俺が美味しい目に会えるわけねーよな。
………ちっきしょう。

「はい、これで全部ね」

「…だー」

間の抜けた声を上げながら、俺は地面にへたり込む。
体中に汗が噴き出して、とんでもなく気持ち悪い。
…イズルじゃねーけど、トレーニングでもしたみてーだ。

「お疲れ、はい」

「ど、どうも…」

笑顔でお姉さんが自販機から買ってきたドリンクを手渡してくれる。
……ふー、少し生き返った。

「ホントにゴメンね、大変だったでしょ?」

「お姉さんも、汗すごいじゃないですか」

言いながら、同じくドリンクを飲むお姉さんの様子をチラリと窺う。
俺と一緒に食材を運んだお姉さんも、かなりの脱水を起こしているように見えた。
女の人なんだから無理しなきゃ良いのに。

「まま、これぐらいどうってことないわよ」

「すげー…」

元気そうにガッツポーズしてみせるお姉さんに、俺はただ感嘆の声を送る。
俺の周りにはトンデモ体力の持ち主が多いな。

「じゃ、戻ろっか。このお礼もするわよ?」

ウィンクしながら、お姉さんが先に車の中に入る。
そ、それって――!?
目を丸くしてから、俺はちょっと慌ててそれに続いた。

「はい、特別サービス」

「うっひょーっ!」

戻ったころにはすっかり昼を過ぎていた。
スターローズの食堂はランチタイムを過ぎてガランとしている。

そこで、俺はお姉さんの特製カレーを食べていた。
特製って言っても、今回のは今朝よりもっと美味い。
色々とお姉さんが新しく試した結果の集大成らしい。
ああ、これを俺のために――なんて、ちょっと感動する。

「美味しい?」

「ええすっごく!」

俺の前の席に座ってニコリと笑うお姉さんに満面の笑みを返す。
周りにはまだ誰もいない。
こ、これは…二人っきりってヤツか?

「やー、良かった。頑張った甲斐があるってもんよ」

それだけ言うと、お姉さんは俺の顔をじっと見つめた。
え、何? 何だこれは? 急にチャンスなのか? 俺のモテキなのか?
…というのは冗談だけど。

「あの、どうかしました?」

つい、お喋りな調子が外れる。
それぐらい、今の状況は不思議だった。

「…元気、出てきたみたいね」

「え?」

意外な言葉に、俺は馬鹿みたいな顔をする。
いやさ、とお姉さんは照れ臭そうに笑っていた。

「朝からちょっと元気なさそうだったでしょ? …ま、その様子だと私の勘違いだったかな」

じゃね、とお姉さんはそれだけ言うと厨房に引っ込んでいった。
俺はその背中を呆然と見送ることしかできなかった。

「…元気、かぁ」

すげえ観察力、と素直に出てきたのはそんな言葉だった。
俺、結構分かりやすいのかね。
ふぅ、と本日二度目のため息を吐いた。

――アタル、とどこかで俺の名前を呼ぶ誰かの声がした。
またかよ。今日で二度目だぜ?
それなのに、俺はやっぱりそれを心地良く聞いていた。
抱き締められる。優しく頭を撫でられた。
…そこまでは、これまでと同じだった。

誰かに、俺は手を引かれる。
抱き締めて、撫でて、俺を呼んでくれた誰かとは違う。
冷たい、事務的な様子だった。

さっきの優しい誰かが、俺の名前を呼んだ。
振り返れば、その人は――泣いている、ように感じた。





「……っ」

俺はふと目覚めた。
いつの間にか、居眠りしていたらしい。
周りには、誰もいない。

何だよ、あれ。
はぁ、とまた飽きるくらいにため息を吐く。
まったく、いい加減にしてほしいぜ。

しかも――何だこれ?
俺は頬の辺りに濡れた感触を得て、手で拭う。
涙、だった。
……泣いてた、のか? 俺。

「スルガ君? 起きた?」

突然の声に、俺は慌てて顔をきっちりと拭う。
それと同時に厨房からお姉さんが現れた。
セリフからして、結構長い時間寝てたのか?

「すみません、どーも眠くて」

「大丈夫? もう休んだ方がいいんじゃない?」

お姉さんの本気で心配する声に、俺は無言で立ち上がると、ペコリと一礼して食堂を出た。
……もう、今日は冗談言う元気もねーや。

そうして、俺は一日を過ごした。
あの夢のことも、何もかも分からねーけど。
ただ、いつかあの誰かのことを知りたい、と思う。
俺のことでまだ泣いてたら、気分悪いし。
その日まで、俺はあの夢を見る。
この考えを、いつまでも忘れないために。

――アタル、とどこかで誰かが俺の名前を呼んだ、気がした。

以上。やっぱり特に意味ない。
次書くなら>>247を取り入れてみます。よく分からないけど。
それでは、次はタマキでいってみます。

ども。今日はタマキのお話。

たまきにっき

×月○日

きょーは珍しく早起きした。
と思ったらイズルがランニングに誘いに来た。
早起きするんじゃなかった。

キツイランニングもダニール様のことを考えてたらどうにか乗り切れた。
こうなったら塩辛と白飯を大盛りで食べるのら。

「タマキ、たまにはバランスを考えて食べなさいよ」

食堂でたっぷりと白飯をかっくらう私にケイがジトリとした視線を送る。
ケイに言われると何か納得がいかない。
パフェばっかり食べてるくせにー。

「ケイも人のこと言えないと思うけど…」

イズルが私の代弁をしてくれた。
ついでだから、そうなのらーっ! って一緒になって主張する。

「う……」

何も言い返せなくなってケイが黙る。
ふふん、と私は誇らしげに胸を張った。
当てつけ? ってケイに聞かれたけど…どういうことだろ?

きょーはひばん。
特に誰かと一緒に過ごすことなく、私は外に出た。
何て言うか、久しぶりに一人でいたかった。
こーいう気分の時は、散歩が一番。

「おや、子猫ちゃんじゃないか」

じ、ジュリアーノ様っ!
思わぬ出会いに私は目を輝かせた。
し、私服のジュリアーノ様もステキ…!

「お出かけかい? 気を付けてね」

は、はい! あの、よろしければジュリアーノ様も…!

「うーん、キミみたいなかわい子ちゃんに誘われて申し訳ないけど、今日は先約が入っててね」

せ、先約!?
う、ううう……。ザンネンなのらー。

「じゃ、気を付けて」

それだけ言うと、ジュリアーノ様はいなくなった。
……散歩、いこー。

きょーは風が気持ち良い。
さっきのガッカリした気持ちもすっかり元通りになる。
…はぁ、彼氏が欲しいのらー。

何でこんなに彼氏を欲しがってるのか、自分でも分かんない。
でも、誰かが欲しい。
私と一緒にいてくれるナイト様が欲しい。
誰かに…守ってほしい。

……きゅーにマジメなこと考えちゃった。
…やめよ、私っぽくないしー。

いつの間にか街全体を見渡せる小さな丘に来てた。
これが、今の私の世界。
あぁ、誰か王子様にこんなトコから連れ出してほしいのらー。

何となく、養成所時代に読んだ絵本を思い出す。
ああいうお姫様が羨ましい。
何も引き換えにしないで、王子様との未来が約束されてるんだもん。

あーあ。ダニール様、ジークフリート様、ジュリアーノ様。
誰か、私をここから連れ出してほしいのらー。

夕方。
皆で集まってごはんにする。
やっぱりきょーも白飯と塩辛。

「…まったく、お前も飽きねーな」

スルガにバカにされた。
スルガだってカレーばっかじゃん。

「お前、カレーの飽きない魅力を知らねーな?」

だったらスルガも塩辛の魅力を知らないのらーっ!

「…はいはい、もういいから止めとけよ」

アサギに言われて、すごすごと引き下がった。
こんな議論、しても無駄だって気付いた。

「…えっと、魅力って大事だよね」

イズルがまた場違いなことを言った。
ホント、イズルって訳分かんない。

もう寝る時間になった。
きょーはいいことなかったなー。

「ほら、おとなしく寝なさいよ」

ケイに布団を被せられる。
私を寝かせるのがケイの役目みたいにいつの間にかなってた。
子供扱いもいいトコで、ちょっとムカつく。

完全に寝る態勢になった私を確認して、ケイは出て行こうとしてた。
あ、そうだ。忘れてた。

…ケイー。

「はいはい、何?」

ポンポンってしてー。

「また? まったく、ホントに子供ね、あなた」

いいからー。

「……」

ケイはちょっぴり面倒そうにしてた。
だけど、私のベッドの狭いトコに入って、ちゃんと私のお腹の辺りに手を伸ばして、軽く叩いてくれた。

そー。それでいい……。
ケイの優しい手の感触を感じて、だんだんと落ち着いて眠れるようになっていく。
……あったかい。

「――おやすみ、タマキ」

小さな声で、ケイが囁いた。
それを聞きながら、私はぐんぐん意識を手放していく。

………んう、おやすみ、おかーさん……。

あ、終わった。短すぎたかな。
ちょっとまだ何か書いてきます。できればリンリンの続きを。少しお待ちあれ。
いったん失礼。何かこういうのを、というのがあれば書いてやってください。

リンリンの続きが書けました。
やっていきます。

こまったおねえさん パート2

イズル『教官…教官だって、ホントは期待してたんじゃないですか?』

リン『な、何をバカなこと…っ』

イズル『じゃあ、これは何ですか?』ニチャ

リン『あんっ! あ、う……うう………』カァ

イズル『やっぱり……』

リン『ち、違うの…こ、こんなの、私は』

イズル『ウソなんて吐かないでくださいよ…きょう・かん?』ヒソ

リン『!?』ゾクッ

イズル『ホント、リンリンってエッチなんだね…』ヒソ

リン『そ、その呼び方はや、止めなさ…』ゾクゾクッ

イズル『そうやって嫌がるフリは止めようよ…リンリン』

リン『あ、うう…』

イズル『ほら、どうしてほしいのか、言ってみてよ。………リンリン?』ヒソ

リン『ひっ! あぁっ、ダメ、ダメなのぉ! ヒタチ、君っ!』






リン「――だ、だめええっ!!」ガバッ

リン「」ハァハァ

リン「」ハッ

リン「……」カァ

リン「」ポカポカポカポカ

リン(な、何て、夢を……)

リン「……最低ね、私」

リン(この数日あの子とろくに目を合わせられないし)

リン(その影響でラビッツのメンバー全体と上手く話せないし)

リン「何やってるのかしらね…私」

戦艦ゴディニオン 会議室

リン「――以上で、作戦の説明を終わる。何か質問はあるかしら?」

チームラビッツ「」タガイヲチラミ

チームラビッツ「」ブンブン

リン「…そう。それじゃあ、作戦開始時間まで各自自由行動にしてよし」

リン「――解散」

スタスタスタスタ…

イズル「……やっぱり、教官、いつもと違うね」

スルガ「だなぁ。何かあんのかね」

アサギ「単にお疲れなんじゃないか? …主に俺たちのことで」

ケイ「そういうこと言わないでよ…」

タマキ「んー。よく分かんないのらー」

スルガ「そりゃお前じゃ分かんねーだろうよ」ケラケラ

タマキ「むっ! スルガにバカにされたーっ!」

ケイ「二人ともいい加減にしなさいよ」

イズル「えっと、とりあえずここ出ようか」

アサギ「だな。…教官のことは、食堂ででも話してようぜ」






格納庫

レイカ「各自、機体の整備は完了したー?」

ピットクルーたち「はい、大方完了しています」

レイカ「オッケー。…じゃ、私たちも一度休憩ね」

ピットクルーたち「はい! お疲れ様です!」

レイカ「」フリフリ

レイカ(さて、と。適当に休もっかなー?)

リン「――レイカ」

レイカ「ありゃ、リンリン。どうかした?」

リン「ちょっと、相談があって」

レイカ「どしたの? ずいぶんと深刻そうな顔しちゃって」

リン「そのことは部屋で話すから…」

レイカ「…うん。じゃ、行こうか」

リンの部屋

リン「それでね、相談っていうのは――」

レイカ「はい待った」

リン「何?」

レイカ「何だかしんみりした話っぽいし…」ゴソゴソ

レイカ「こういうのでテンション上げてこー!」ジャジャーン

リン「…悪いけど、こういうの飲む気分じゃ……」

レイカ「いいからいいから! こういうときだからこそ、こうやってぶちまける道具を使うのよ」トクトク

リン「……分かったわよ」



レイカ「――ええっと? 話を纏めると、イズル君の部屋を探してたらリンリンそっくりのエッチなお姉さんのビデオを見つけちゃった。
    それで、驚いちゃったリンリンはそのままイズル君やチームラビッツの皆と話しづらくなっちゃったと」

リン「」コクリ

リン「…まったく、我ながらダメダメよね。仕事に私情を挟んじゃうなんて。これじゃ、上手く作戦の指揮とかできなくなっちゃいそうで…」グスッ

レイカ「はいはいストップストップ」フキフキ

リン「レイカぁ…私はどうすればいいのぉ?」グスッ

レイカ「――あのねぇ、リンリン」フー

リン「…うん」

レイカ「いつも通りに接すればいいでしょ?」

リン「…え?」

レイカ「エロビデオが何? そっくりさんだから何?」

レイカ「そんな、あの年の子供によくあることで、
    いちいち対応に困るようになっちゃうような程度なの? あの子たちとあなたが築いてきたモノは?」

リン「あ、え、そ、それは……」

レイカ「あの子は知らないんでしょ? 笑ってやればいいじゃない。
    リンリンがそんなんだから、他の皆が余計話しづらくなるんじゃない?」グビッ

リン「………」

リン(そっ、か。私、バカだ)

リン(勝手に舞い上がって、あの子たちを傷つけたかもしれない…)

リン(……ホント、バカね)

リン「……レイカ」

レイカ「うん?」

リン「…ありがとう。ちょっと、目が覚めた」

レイカ「どーいたしまして」ニコリ

リン「――ちょっと行ってくるわ」ガタリ

レイカ「行ってらっしゃい、リンリン」

リン「それ止めてよ」クスリ






食堂

イズル「うーん…」

アサギ「結局、訳分からず、か」

スルガ「なー、別にいいんじゃねーか?」

ケイ「…そうね、私もそう思うわ。分からないなら、考えたって無駄だもの」

タマキ「しょうがないのらー?」

イズル「そう、だね。じゃあ――」

リン「…ここ、いいかしら」

チームザンネン「!?」

イズル「え、あ、ど、どうぞ」

アサギ「どうしたんですか。この時間に教官が食堂に来るなんて…」

リン「たまには、あなたたちと話をしようと思ってね」

リン「ほら、最近はちょっと、気まずかったし」

スルガ「えっ、と……」チラリ

ケイ「…」チラリ

タマキ「?」クビカシゲ

アサギ「…」チラリ

イズル「――そうですね! ぜひご一緒しましょう!」

リン「……ありがとう、ヒタチ君」

アサギ「あ、教官の分取ってきますよ!」

タマキ「一緒に塩辛食べましょきょーかん!」

スルガ「バカ、ここは特製カレーを…」

ケイ「…ここのパフェ、とても美味しいです」

イズル「えっと、すみません。騒がしくて」

リン「ふふっ。良いのよ。その方があなたたちらしいわ」

イズル「!」

リン「……? どうかした?」

イズル「あ、いえ。教官、笑ってくれたなぁって」

リン「え?」

スルガ「皆で話してたんですよ。教官が最近浮かない感じだって」

リン「……そう」

アサギ「あ、いや、その、僕たち別に、その…」

リン「――心配かけたわね。ありがとう、皆」

ザンネン5「」ポカン

スルガ「(おい何か教官変だぞ)」

タマキ「(えーそう?)」

アサギ「(どう見たってそうだろ!)」

ケイ「(イズルはどう思う?)」

イズル「(えっと、教官元気になってよかったね!)」

イズルとタマキ以外(ダメだこいつ……)ハァ

リン「…どうかしたの?」

スルガ「い、いえっ、何でも!」

イズル「……じゃ、一緒に食べましょうか」

リン「ええ、よろしくね、皆」ニコリ

はい終わり。
次は…ナースケイ書きたいけどまだ本編やってないから放送後にやります。
さっきも書きましたが、何かネタがあればお願いします。それでは。

ケイちゃんがアサギとイズルの2ショットをみてホモに目覚める展開はよ

シモン指令のお茶目な一面はよはよ

ケイがタマキのためにイカの塩辛を作ってあげたら甘かった、これ甘辛煮じゃね?みたいな料理エピソードを

時間できたのでまた来ました。
今度は>>287を参考に。

「えーっ!」

宇宙ステーションスターローズの食堂前で、私の隣でタマキが素っ頓狂な声を上げた。
うなだれた彼女に丸い背中を眺めつつ、私も内心ため息を吐いた。
いつもは開いている食堂の入口のガラス戸は閉まり、真ん中の辺りに一枚の張り紙があった。

『本日、年に一度の食堂の大掃除のため、休ませていただきます。申し訳ございません――従業員一同』

そう、今日は食堂は開いていない。
街へ出るなりして食事を済ませてくれ、ということだ。
仕方ない、と私は思った。
ここでタマキと食事をする約束だったが、街に出るしかないだろう。

「行きましょう、タマキ」

私はそう促すと、さっさと振り向いて歩き出そうとする。
いつまでもここにいたってお腹は空くだけだ。

「えー……」

私の後ろで、タマキがとても不満そうな声を出している。
どうしたんだろう。別に街にも食事のできる店はいくらでもあるはずだけれど。

「どうかしたの?」

私が振り返って聞いてみると、タマキはやはり不服そうな顔で私の顔を見つめていた。
タマキはゆっくりと口を開く。

「…塩辛」

「え?」

「おいしい塩辛、ここにしかないんだもん」

…あぁ、なるほど。
ようやく言いたいことが分かって、私は少し、困った。

タマキは塩辛が大好きだ。
特にこの食堂の塩辛を食べてからは、ここ以外じゃ食べない、と主張してしまうくらいだ。
ふむ、と私はどうしようか考える。タマキは一度決めると意地になるタイプだ。
とりあえず、一つ提案してみる。

「…たまには違うモノを食べたら?」

「えー、塩辛がいいのらー」

口を丸めて、不満を口に出された。
やっぱり、通じないか。
まぁ、私も甘いもの以外を食べろ、と言われたら同じようにしている。
…いや、別にぶーたれるとかじゃなくて。

さて、どうしようか。
このままでは、ちょっとタマキがかわいそうだ。
今日も塩辛を食べることにわくわくとしていたし。

………。あ。そうだ。
チラリと見た艦内の地図を見て、私は一つ閃いた。

「じゃ、作りましょう」

「へ?」

私の言葉に、タマキは分かりやすい顔をした。
何を言っているんだろう、という疑問の表情だった。
私は改めて言い直した。

「だから、一緒に作りましょう。お昼」






スターローズの艦内には、様々な部屋がある。
食堂や私たちのための個室もそうだ。
そして、今回用があるのは、簡易キッチンルームだ。
ここは、文字通り食堂ほどの広さではない調理のための部屋だ。
食堂の営業時間外に夜食を食べたい人のために開かれた部屋。
私もよくお菓子を作るのに利用しているので、勝手はよく知っていた。

「さ、始めましょうか」

言いながら、私はエプロンを身に纏う。
タマキにはもう先に私が着せておいた。
もっとも、タマキには全然似合わない恰好だったけれど。

材料は街で買ってきた。
レシピも、食堂のお姉さんを探してきて、教えてもらった。
まぁ、問題ないはずだ。……たぶん。

「しーおっからーしーおっからー♪」

浮かれた調子の歌声を出すタマキに、ちょっとだけ不安を抱くけれど、どうにかなるだろう。
ほぼ作るのは私だし。
私は包丁を握り、タマキには簡単な調理の指示を飛ばす。
そんな風に、束の間のお料理会は進んでいった。






「やったーっ! 出来たのらー!!」

わーいわーい、と小さな子供みたいにはしゃぐタマキに呆れながら、私はテーブルの上をを見た。
そこには、完成した塩辛と白飯の大盛り、私のお菓子が並んでいる。
二人がかりではあったものの、タマキが料理に不慣れだったために、結構な時間を使ってしまった。
まぁいい。今は食事にして、この空腹をどうにかしたい。

「…さ、食べましょう」

私の声で、タマキは待ってましたと言わんばかりに素早く椅子に座った。
仕方ない子だ、と思うけど、特に何も言わない。
せっかく、自分が作ったということに満足感を得ているようなのだ。
水を差すのは悪い。

そうして、私はタマキとようやくお昼ごはんにする。

「いっただっきまーすっ!!」

「…いただきます」

声と同時にタマキは塩辛の皿を取り、白飯の上に載せて、一気に食べた。
実に美味しそうな動きを見せ、美味しそうに噛んで、タマキは笑顔を見せていた。

――はずだった。

「……あ、れ?」

「どうかしたの?」

塩辛ごはんを飲みこんだタマキが急に不思議そうな顔をした。
これではない、というような顔だった。

「…ケイ、これって塩辛だよね?」

何を当たり前のことを言うのだろう。
タマキが食べているのは、食堂のお姉さん直伝の塩辛のレシピ通りの塩辛のはずだ。
そう思っていると、タマキはこう付け加えた。

「…何か、甘い」

「……え?」

意外な言葉に、私は目を丸くする。
すると、タマキは私に例の塩辛を一口食べさせてくれた。

…何、これ? まるで砂糖を大量に入れたみたいに――
しつこいくらいに広がる甘い味に、私は困惑して。
数秒してから、気付いた。

「ケイ!?」

ガタっと椅子を鳴らしながら私は席を立つと、慌ててキッチンに行く。
それから、調味料の入ったケースを見て――

「……っ!」

ガクリ、と膝から崩れた。
しまった、と思った。どうにもならない、とも思った。
私は――私は、塩と間違えて砂糖を使っていた。
いつもの癖だ。甘いお菓子に砂糖を使う習慣が、私にこの失敗をさせてしまったのだ。

「――ケイー?」

呆然と床に座り込む私に、タマキが後ろから声を掛けてくる。
ああ、本当に、何て仕方ない失敗をしたんだろう。
謝らなくては。こんなにも塩辛を食べたがっていたタマキをガッカリさせてしまった。

「ごめんなさいタマキ!」

「え?」

突然の謝罪に驚いた表情をするタマキに、私は説明した。
イカを塩ではなく砂糖に漬けてしまったこと。
それに気付かず、全てのイカを砂糖漬けにしてしまったこと。
全て話して、謝った。とにかく謝った。

「……」

タマキはずっと無言で説明を聞いていた。
怒りもせず、ただじっと私の言葉に耳を傾けていた。

「…ごめんなさい。私、あなたをガッカリさせてしまったわ」

最後にそう言うと、私は罪悪感から目を逸らした。
まともにタマキの顔が見れそうにない。
それぐらい、申し訳なかった。

「――ケイ」

タマキが、ようやく口を開いた。
私に怒って、言葉をぶつけるのだろうか。
でも、彼女の言葉は予想とまったく違った。

「別にいいのらー」

「……え?」

意外な言葉に、私は何も言えない。
タマキは続けた。

「ケイもがんばって作ってくれたしー、無茶言ったのは私だしー」

それにー、とタマキは付け加える。

「けっこー慣れるとおいしいのら!」

タマキはそう言うと、笑った。
心からの笑顔だった。ように私には見えた。

そうだ。タマキは、こういう子なんだ。
たまに子供っぽくって、でも、素直で優しい。
それが、タマキだ。私の仲間で、友達。

「――ありがとう」

私も笑って返した。
いつの間にか、二人して、何だかおかしくてクスクス笑っていた。






「こーいうのもたまには悪くないのらー」

甘い『塩辛』を食べながらタマキが言った。

「…今度はちゃんと作るわ」

言いながら、私はお菓子を食べる。
お詫びにいくらか食べてと言ったけれど、タマキは何故か遠慮した。

「そうじゃなくてー」

違う違う、と言うと、タマキは訂正してきた。

「皆で今度ゴハン作るのー」

「え?」

「アサギとスルガとー、あとイズル!」

「……それもいいわね」

なかなか楽しいかもしれない、とタマキの提案に思いを馳せる。
カレーを作って、胃に優しいモノを作って。それから――ウナギの蒲焼き?
クスリ、と内心で小さく笑う。
本当に楽しそうな気がした。

「あ、あとね、ケイー」

「何?」

そうしていると、タマキがまた話しかけてくる。
タマキはニコリと笑みを浮かべて、こんなことを言った。

「またこの甘いの作って」

「え? でもこれ…」

「何か気に入っちゃったのらー」

おねがーい、と甘え声で頼むと、タマキはまた『塩辛』を口にした。
本当に、美味しそうに。

「――ええ、任せて」

頼まれたなら、そうしよう。
ちょっとだけ、嬉しい気持ちで、私は答えた。
こうやって美味しく食べてくれるなら、それ以上に嬉しいことはないから。

うん! とタマキは嬉しそうな顔をした。
嬉しい、というような表情を私も浮かべた。
ランチタイムは続く。暖かな午後の光の中で。

はい終わり。このネタ気に入ったのでシリーズでやっていこうと思います。
他の方々のネタもやれるだけやりたいと思います。
何か他にもあったら書いてやってください。それでは。

ケーキ製作時に使うブランデーの量を間違えて酔っ払ったケイと襲われたイズル

喋ってない時は実はモテてるスルガ

偏った食事を控えるように注意されたケイ、タマキ、スルガで

どうも。今日は>>300で一つ。

暴走スイーツ

ケイ「」ジー

チーン!

…ガチャ

ケイ「…うん、出来た」ホホエミ

コンコン

ケイ「はい?」

イズル『ケイ? 来たけど…』

ケイ「ああ。いいわよ、入って」

プシュ

イズル「うわ、何かすごいクラクラする匂いがするね」

ケイ「…ブランデー、使ったから」

イズル「でもいいの? 新しく作ったお菓子、食べて」

ケイ「思ったよりも作りすぎちゃったから…イズルくらいしか食べる人はいないし」

イズル「そっかぁ。じゃ、お言葉に甘えて」

ケイ「ええ、食べて?」

イズル「」パクリ

ケイ「」パクリ

イズル「……うん、甘いね、これ」

ケイ「だから。甘くないケーキはケーキじゃないわ」

イズル「…うーんと、そうなんだけどさ……」






イズル「…ねぇ、ケイ?」

ケイ「…どうかした?」

イズル「何か、熱くない? 暖房でも入れてるの?」チラリ

ケイ「そんなこと、ないはずだけれど…」フラリ

イズル「――あ、危ない!」ガシッ

ケイ「あ、きゃっ!?」

ドターン!

イズル「いてて…ケイ、大丈夫?」ヨロ

ケイ「え、ええ…ごめんなさい、助かったわ」

イズル「暖房、別に動いてないね」カクニン

ケイ「…そう? おかしいわね」アカラメ

イズル「? ケイ、顔赤いよ、大丈夫なの?」

ケイ「……え? あ…」カガミヲミル

イズル「ちょっと…」ピト

ケイ「あ……」カァ

イズル「熱は、ないね」ウーン

ケイ「じゃあ、何かしら? …まぁ、別に平気だけど」

イズル「ホントに?」

ケイ「ええ。それに…」

イズル「ん?」

ケイ「イズルも同じよ。大丈夫なんじゃない?」テワタシ

イズル「あ、ホントだ」カガミヲミル

ケイ「単に空調設備が故障でもしてるんじゃない?」

イズル「…かなぁ。じゃ、場所変えようか?」

ケイ「そうね、あなたの部屋なら反対のブロックにあるわけだし、大丈夫じゃない?」

イズル「うん、じゃ、ケーキ持っていこう」






イズル「ええ、と…。ごちそう、さま?」クラリ

イズル「ケーキ、食べきったのはいいけど…何か、ふらつく、よう、な」

イズル「ケイ、ケイは、大丈夫?」チラリ

ケイ「………」マッカ

イズル「……ケイ!? 顔すごい赤いよ! だ、大丈夫?」カオチカヅケ

ケイ「!」

ケイ「……」ジー

イズル「……ケイ?」

ケイ「――んー」チュウ

イズル「!?」カタマリ

ケイ「ん、ぅ」ダキ

イズル「………っ」カァァ

イズル「ぷはっ、け、けけけ、ケ……」アワアワ

ケイ「どーかしらー? いずりゅー」ニコー

イズル「ちょ、ちょっと、何か変だよ、どうかしたじゃなくてさ…」

ケイ「わらしはーいつもどーりー♪」ギュー

イズル「い、いや、どこもいつも通りなんかじゃ…何かタマキみたいっていうか」

ケイ「」ムッ

ケイ「いずる!」

イズル「は、はい!」

ケイ「ぎゅっとして」

イズル「…へ?」

ケイ「いいから!」

イズル「は、はい…」ソー

ケイ「♪」ギュ

ケイ「ん、ぅ」ダキ

イズル「………っ」カァァ

イズル「ぷはっ、け、けけけ、ケ……」アワアワ

ケイ「どーかしらー? いずりゅー」ニコー

イズル「ちょ、ちょっと、何か変だよ、どうかしたじゃなくてさ…」

ケイ「わらしはーいつもどーりー♪」ギュー

イズル「い、いや、どこもいつも通りなんかじゃ…何かタマキみたいっていうか」

ケイ「」ムッ

ケイ「いずる!」

イズル「は、はい!」

ケイ「ぎゅっとして」

イズル「…へ?」

ケイ「いいから!」

イズル「は、はい…」ソー

ケイ「♪」ギュ

イズル(ど、どうしよう……。な、何とかしないと、まずい、よね?)

イズル「」クラッ

イズル(うぅ…何でか分からないけど、さっきよりふらつく…)

ケイ「」スリスリ

イズル(――っ、あ、ケイ、何か、良い匂いする…それに、柔らかい)ボー

ケイ「いず、るぅ……」ウワメヅカイ

イズル「――! うう…」タジロギ

ケイ「…………えい」トンッ

イズル「あ、わ」ポスン

イズル「う…」マブシイ

ギシッ

ケイ「」ニコリ

イズル「あ……」

ケイ「――いっしょに、ねよ?」






ピピピピピ…

ケイ「……ん、うぅ」ムクリ

ケイ「……」キョロキョロ

ケイ「………ここ、どこ?」

ケイ「――っ、頭が、痛い…」チラリ

イズル「…ん」スゥ

ケイ「」

ケイ「」

ケイ「――っ!?」ドターン!

ケイ「な、あ、な……っ!?」

ケイ(ど、どうして私が、い、イズル、と…!?)

ケイ「……っ、うう、頭が…」キーン

ケイ(と、とりあえず……服は…着てる)サワサワ

ケイ(な、何もしてない…わよね?)

イズル「……んー?」ゴロン

ケイ「…」カァ

イズル「――あ、ケイ」ムク

ケイ「……い、イズル」

イズル「大丈夫? 昨日は、その…」

ケイ「わ、私に何もしてないでしょうね!?」

イズル「い、いや! 何もしてないよ!」ブンブン

ケイ「…ほ、ホントに……?」

イズル「う、うん……」

ケイ「……」

イズル「……」

ケイ「…と、とにかく。私、戻る、から」タッ

イズル「あ、ケイ…」

ケイ「き、昨日のことは!」

ケイ「その、お互い、忘れましょう。いいわね?」

イズル「えっと…」

ケイ「い・い・わ・ね!」

イズル「は、はい!」ビクッ

プシュ

イズル「」ボー

イズル(昨日は…)



イズル『け、ケイ?』

ケイ『んー……』スゥ

イズル『ええっと、困ったなぁ…』ポリポリ

ケイ『』クー

イズル『どかせると、また…面倒そうだし』

ケイ『いず、るぅ…』ギュ

イズル『………仕方ない、よね?』ハァ

イズル『――おやすみ、ケイ』スゥ

ケイ『――♪』



イズル「」フゥ

イズル「……何か、疲れたなぁ」





その後、数日は目を合わせるだけで顔を赤くしたり、仲間内でそれを不思議がられたりした。
ついでに、ブランデーお菓子の作り直しの試食会を開いたりもしたが、それはまた別の話。

終わり。あぁ、イベント行きたかったなぁ。
行った人がちょっと羨ましい。
次はまたスルガで。>>301とかでやってみます。それでは。

どうも。公式のコスプレは何かがおかしい。
あとアイキャッチのレッドファイブの夕方アニメっぽさは異常。
今日はスルガのお話。

スターローズ――軍部の食堂

スルガ「おお、そこのあなた! 何て美しい瞳なんだ!
    さながらシルバーチップの表面のように荒々しいながらも美しいその瞳に僕のハートも射抜かれて――」

ケイ「……またやってる」

イズル「元気だね、スルガ」

アサギ「そういう問題じゃねぇよ」

タマキ「あ、すいません! 塩辛おかわり!」

ケイ「…こういうときはタマキの方がまだマシね」

アサギ「まったくだ」

イズル「あ、お疲れ」

スルガ「おかしい…何でこーも上手くいかねーんだ?」

アサギ「そりゃあの調子じゃな」

スルガ「うっせー、ナンパもしたことねーくせに」

イズル「でもアサギって結構人気あったんじゃなかったっけ?」

アサギ「…別に。関係ないけどな」

スルガ「かーっ、もったいねーヤツ! 今に神から裁きのスティンガーが飛んでくるね」

アサギ「んな物騒な神がいてたまるか。…だいたい、それを言うならお前らもだろ」

イズル「へ? 僕?」

ケイ「…それ、どういうこと?」

アサギ「風の噂で聞いただけさ。イズルもスルガも、結構買われてた、って」

イズル「えーと、それはウソだと思うけど…」

スルガ「そうだそうだ、だったら何で俺に来ないんだよ?」

ケイ「あんな話をしてればそれもそうでしょうね」

スルガ「えー……」

アサギ「ま、だろうな。お前、一度ミリタリーから離れてみればいいんじゃねぇの?」

スルガ「そりゃ困るな。俺のアイデンティティだし」

イズル「カレーもそうじゃないの?」

スルガ「バカ。たった一つだけだとバランス悪いだろ」

タマキ「けっこー考えてたんだねー、スルガ」

スルガ「おめーとは違うんだよ、ノーテンキ」

タマキ「らにーっ!?」ガタッ

ケイ「タマキ、立たない」

アサギ「ま、好きにすりゃいいさ。お前がモテるかどうかなんてどうでもいいし」

スルガ「うーん……」

イズル「スルガはいつも通りでいいと思うけどなぁ…」






スターローズ―― 一般居住区

スルガ「……」

キレイなお姉さまたち「」アッ!アノコッテ…

スルガ(ん? うっひょお! 美人があんなに! へへ、さっそく…)

アサギ『お前、一度ミリタリーから離れてみればいいんじゃねぇの?』

スルガ(……い、いや、ミリタリーは俺の…うーん)

キレイなお姉さまA「ね、キミ! スルガクンでしょ?」

キレイなお姉さまB「テレビで見るよりかわいいね!」

キレイなお姉さまC「もしかして今日は非番? 一緒に美味しいお菓子でも食べない? 地球のヒーロークンのお話たくさん聞いてみたいな」

スルガ「よ、よとこんで!」ウッヒョー

キレイなお姉さまB「あははっ、照れてるの? かーわいいー」

スルガ「え、えへへ…」テレ






その辺のデザートバイキング店

キレイなお姉さまA「スルガクンって彼女いるの?」

スルガ「いえいえ! 全力で募集中です!」

キレイなお姉さまB「あら、なら立候補しちゃおっかな?」

スルガ「えーホントですか? 僕、冗談は苦手ですよー?」

キレイなお姉さまB「やだー、本気よー?」ニコニコ

キレイなお姉さまC「そうよ? この子ったらキミの大ファンなんだから」

スルガ「うわー、嬉しいです!」

キレイなお姉さまB「ふふ、あ、ケーキもう一つどう?」

スルガ「いただきまーす!」

スルガ(……ぐふふ、アサギィ、あの言葉、感謝するぜーっ!)






スルガ「」ペラペラ

キレイなお姉さまたち「」キャッキャッ

スルガ「」ペラペラ

キレイなお姉さまたち「」クスクス

スルガ「」ニコニコ

キレイなお姉さまたち「」ペラペラ

スルガとキレイなお姉さまたち「」アハハ…

スルガ「」ペラ…

キレイなお姉さまたち「」キャッキャッ

スルガ「……」

スルガ(…何か、調子出ねーや)






カァーカァー

キレイなお姉さまたち「じゃーねー、スルガクーン!」

スルガ「はーいっ! お姉さんたちもさよーならー!」ブンブン

タノシカッタネー!キョウハサイコウダヨー…

スルガ「…さ、行くか」

スタスタスタスタ…

スルガ(今日は最高だったなー! あんなにモテたのなんて、人生初、だよな?)

スルガ(………)

スルガ(最高、だったよな?)

スルガ(…あんなにも、キレイなお姉さんたちにちやほやされたし、楽しかった)

スルガ(でも、なのに、何かやっぱり物足りねー)

スルガ(おっかしいなー)ウーン

スルガ「…何でかねぇ?」

???「おらぁ! どうしたしょうねーんっ!」コンッ

スルガ「あたっ、だ、誰だ…」フリムキ

シオン「おっす! どうかしたの、スルガ君?」ニコリ

スルガ「あ、お姉さん! いやあ、今日もお姉さんの笑顔の輝きはかのシーウルフ級潜水艦のように…」

シオン「はいはい、まったく…君はいつも通りってわけね?」アキレ

スルガ「ははっ、お姉さんも休日だったんすか? ご一緒したかったです!」

シオン「あら、食堂の荷物運び手伝ってくれるの?」

スルガ「…やっぱ、遠慮しときます」

シオン「あはは、素直でよろしい。今日もカレー食べにくる?」

スルガ「ええぜひとも! お姉さんのカレーは宇宙一ですから!」

シオン「よく言うわね、じゃ」

スルガ「あとでー!」

タタタ…

スルガ(うーん…)

スルガ(……今のノリの方が、何かしっくるくるなー)

スルガ(でも、これで行くと…やっぱモテねーんだろうなぁ)

スルガ(……うーん?)






スターローズ――軍部の食堂

スルガ「うめーっ! カレー最高!」ガツガツ

イズル「結局、いつも通りにすることにしたの?」

スルガ「おう、やっぱり、こう、しっくりこなくてな」

アサギ「…ま、その方がお前っぽいけどな」

ケイ「そうね。スルガらしいわ」

タマキ「なのらー」

スルガ「ちぇっ、誰か一人くれー、せっかくだから変えないでー、とか言ってくれてもいいのに」

アサギ「そう言われてもな」

イズル「僕ら、いつものスルガの方が好きだよ」

ケイ「…まぁ、まだマシね」

タマキ「かれー食べないスルガなんてスルガじゃないよー」ニコニコ

スルガ「へっ、違いねーや」ニッ

以上。十二話で思ったことだけど、イズルがピットクルーに読んでもらってたのは七話でダンが言ってたピットクルー主役のマンガだったとかなのかな?
ケイのコスプレネタは面白そうだからやる。
あとは、嫉妬シリーズと組ませて>>285>>286>>302、あと何かと見かけるしリンリンとのラブラブ挑戦したい。
では。

ペコさんの素顔についての話とか

ども。久しぶりにまずは短いネタを一つ。
>>336で。

スターローズ――アサギの部屋

イズル「ペコさんの素顔?」

スルガ「そーそー」

アサギ「別にどうでもいいだろ、素顔なんて」

スルガ「でもよー、気にならねーか? 目も見えないんだぜ?」

イズル「確かに気になるね。言われるまで気にしてなかったけど」

シュン

タマキ「おー、皆ここにいたー」ニコニコ

ケイ「何を話していたの?」

スルガ「おう、ペコさんの素顔が気になるって話」

ケイ「ペコさんの?」

イズル「うん。ケイたちは見たことある?」

ケイ「…特にないわね」

タマキ「そーいえばわたしもー」

スルガ「どんな感じなんだろうな?」

ケイ「さぁ。興味が湧かないわね」

イズル「やっぱり、小動物みたいなかわいい目をしてるんじゃない?」

タマキ「あんがいキツメかもー。ケイみたいに」

ケイ「悪かったわね、怖い目で」

イズル「大丈夫だよ、ケイは美人だから」

ケイ「…お世辞を言っても何も出ないわよ」プイッ

イズル「え? お世辞なんかじゃないよ?」

スルガ「はいはい。…ったく、ま、きっと美人なんだろうなーペコさん」ニヘヘ

タマキ「スルガ、まだ口説く気だったの?」

スルガ「もっちろん! 俺はまだチャンスがあるって見てるぜ!」

ケイ「呆れた根性ね…」

イズル「そう? むしろ尊敬するなぁ」

ケイ「意味不明…」フゥ

タマキ「とりあえずイズルはマネしないほーがいいかもー」

イズル「そうかな?」

スルガ「ふん。とにかく、見てみてーなぁ、素顔」

アサギ「……本人に頼めば見せてくれるだろ?」

スルガ「あ、そうか。それもそうだな」

イズル「何か失礼じゃない? いきなり顔を見せてくださいって」

スルガ「なーに、一言断りゃいいんだよ」

アサギ「…まったく」アキレ

スルガ「何だよ、お前もやっぱ興味あんじゃねーか」

アサギ「ちげーよ、そろそろメシだ」

イズル「あ、そうだね、そろそろ行こうか」

ケイ「ペコさんもこの時間なら食堂にいるんじゃない?」

スルガ「おう、じゃあ行くか」

タマキ「ごっはん、ごっはん」ウキウキ

食堂

ペコ「んー? 素顔ですかー?」モグモグ

スルガ「いやー、失礼だとは思ったんですけど。気になっちゃって」モグモグ

アサギ「すいません。このバカにはよく言っておくんで」

イズル「ええっと、あの、イヤでしたら、その」

ペコ「別にいいですよー? はい」カミアゲ

スルガ「……」ジー

アサギ「……」ジー

イズル「……」ジー

ケイ「……」ジー

タマキ「?」モグモグ

ペコ「……? どうかしました?」キラキラ

スルガ(ま、まさか…)

アサギ(予想外だ…)

ケイ(キレイ……)

イズル(わぁ。少女マンガみたいだ……)キラキラ

スルガ「すっごくステキです! ああ、その瞳まさに…うげっ!?」ドスッ

ケイ「どうもすみません」ペコリ

ペコ「気にしてませんよー。…スルガくん、大丈夫ですか?」

スルガ「は、ははっ。だいじょーぶっす」フラリ

イズル「あ、あの。すみません。今度マンガの資料にしたいのでスケッチさせてもらってもいいですか?」

ペコ「いいですよー。あとでイズルくんの部屋ででも描きますー?」

イズル「はい、お願いします!」

ケイ「え…」

アサギ(二人きりか。さすがだな…この天然バカ)フゥ

スルガ(な、い、イズルゥ……)グヌヌ…

タマキ「すいませーん! 塩辛お代わりーっ!」

短いけど、こんなもんで。次はケイのコスプレやる。また後で。
ペコさんの目はどんな感じでしょうね? いつかやるといいな。

はいどうも。じゃあケイのコスプレ話やってみよう。

……困ったなぁ。
それが、今僕が抱いている気持ちだった。

僕の部屋のベッドの上。仰向けに倒れ込む僕は前を見る。
その視線の先には、覆い被さるようにケイが――僕の大事な人がいて、僕を見下ろしている。
あいにく、顔は見れないので、ケイがどんな表情をしてるかは分からない。
というか、それを深く考える前に、ケイに集中力と唇を奪われてしまった。

事の発端は、僕の何気ない言葉にある。

「…わぁ」

ピットクルーのダンさんにいつかの時に言われたマンガを描き上げて、見せに行った帰り。
その途中で艦内の広いロビーみたいな一角のテレビに、MJPの宣伝活動に出ていたケイとタマキが映っていた。
それを見て、僕は感嘆の声を上げていた。

液晶の画面には、色んな職業の恰好をしていたケイとタマキがいた。
ナースさん、消防士さん、署長さん……。
たくさん、夢のありそうな恰好だった。

これも、マンガのネタになるかな………。
そんな風に呑気なことを考えながら、その実、僕はケイに見とれていた。
いつもと違う雰囲気のケイを見ると、ちょっとドキドキとする。
後で、見せてくれるように頼んでみよっかな…。






「……あなた、バカ?」

うん、そう言われると思ってた。
スターローズの食堂前の談話スペース。
皆で食事を済ませてから、僕はケイをそこに誘って、テレビでしてた恰好を見せてくれないかな、と頼んでみた。
当然だとは思ってたけど、それを聞いて、ケイはとてもイヤそうな顔をした。

「えっと、ダメ?」

「う……」

ヒールを履いているためか、僕よりも高い視点にいるケイを見上げる。
ケイはちょっと困ったような顔をしていた。
まぁ、仕方ないや。疲れてるだろうし、無理にしてもらうのは悪いし。
諦めて、僕はとぼとぼと自分の部屋に戻ることにした。
とりあえず、またマンガの続きを――

「ま、待って」

え?
ケイの呼び止める声に、僕は立ち止まって振り返る。
ケイは、何かを覚悟したみたいな顔で僕を見ていた。

「よ、夜」

「うん」

突然の言葉にとりあえず頷く僕に、ケイは躊躇いがちにこう言った。

「あなたの部屋、行くから」

横を向いているケイの言葉の意味を、僕は少しの間考えた。
それから、すぐに気付いた。そ、それって――

「――! 分かった、待ってるね!」

嬉しくって、つい笑ってしまう。
我ながら子供っぽいけど、仕方ない。それくらい嬉しいんだ。

優しい目で僕に微笑むと、ケイは先に行ってしまった。
楽しみだなぁ。そんな風にこの後のことを考えながら、僕は浮足立った気持ちで部屋に向かった。






「…ど、どう?」

そういう訳で、ケイの仮装会が僕の部屋で密かに開催された。
もちろんこの場には誰もいない。僕とケイの、たった二人の世界がここにある。

一つ目の恰好はナースさん。
何で注射器まで持ってるんだろう。ただの宣伝活動なのに、そんなに細かいんだなぁ。
とりあえず僕はさっそく恰好を褒めてみることにした。

「うん。似合ってるよ」

「…っ」

そう言うと、ケイはぷいっとそっぽを向いた。
…もしかして、照れたのかな。ケイって分かりやすいなぁ。そういうところも、かわいい。。
もちろん、そんなことを言ったら機嫌を損ねちゃうのはもう知ってることだから言わないけど。

「えっと、スケッチするからちょっとそのままでね」

「は、早くしてよ」

そんな調子で、色んな恰好のケイを画用紙に残していく。
うーん、ケイはどっちかっていうとスレンダーだから、抑え目な服の方が良いんだろうな。
どこが、とは言わないけど。

そして、最後の服。
婦警さんの恰好で出てきたケイは、さすがに慣れた様子でポーズを取ってくれた。
………。あれ?
ここで僕は初めて、物足りないなぁ、と思った。
実のところ、ケイのあの恰好を見て、ヒーローっぽいからスケッチをしたいと思ったんだけど。
何かが足りないや。もっと、こう…。

「うーん、何かセリフとか言ってくれないかな?」

「……せ、セリフ?」

「うん。具体的なイメージが付かなくて」

思いついた無茶ぶりに、ケイは目を丸くした。
いきなりすぎたかな。でも、何かインパクトが欲しいし…。

僕も必死にセリフを考える。
うーんと。うーんと。
『逮捕しちゃうぞっ!』『正義の元にあなたを倒すッ!』
…ちょっと違うかなぁ。
そのままずっとあれこれ楽しく考えていると、ふと、ケイの声が聞こえた。

「あ、あなたを」

ケイも思いついたんだ。どんなセリフを出してくれるかな?
想像しながら、わくわくした気持ちでケイを見つめる。
一瞬、ケイは迷ったような素振りを見せたけど、意を決したようにポーズまで取ってくれた。

「あなたを、乙女心窃盗容疑で、逮捕しましゅっ!」

「あっ……」

セリフにもだけど、思わず、驚いて声が出た。
ケイ、今、もしかしなくても、噛ん…。

「……今のは、なしにして。お願いだから」

俯きがちにケイが言った。
耳が赤いよ、ケイ。
こういうときは、何か、フォローしないと。

「え、えっと。あ、いや、気にしなくていいよ。その、ありがとう」

「……」

スケッチブックを仕舞う僕の言葉に何も反応しないで、無言でケイは荷物を纏め始めた。
……。言うこと、間違えたかな。
ケイへのフォローを考えつつ、僕は描き上げたイラストをどうマンガに使うかということに思いを馳せていた。

「い、イズル」

「うん?」

と、急に背中からしたケイの声に、僕は後ろを向く。
ケイは婦警さんの恰好のまま、僕を少し上から見ていた。
何か迷ってるような表情のケイは小さな声で遠慮っぽく口を開いた。

「わ、私はあなたの言うこと、聞いてあげたわ」

「うん。ありがとう」

もう一度お礼を言うと、ケイはそうじゃないと言いたそうな目で僕を見つめる。
どうしたの? と僕が尋ねる前に、ケイはさらに続けた。

「か、代わりに…あなたも何かするべきじゃない?」

「あ」

そういえばそうかな。
僕だけ頼むだけ頼んでありがとうで済ませるのは良くない。

「ごめんごめん。そうだね、僕にできることなら何でもするよ」

「……ホントに? 何でも?」

「…? うん。ケイにはだいぶ頼んじゃったし」

そんなに確認することなのかな? …まさかスターローズパフェのスぺシャルサイズとか言わないよね?
うーん、ちょっと軽く了承しちゃったかもなぁ。
こうして僕は反省するけど、次の日にはもっと違う理由で反省することになった。
と、いうのも。

「――なら」

突然、空気が変わった。気がした。
何でだろう、と思ったら理由はあっさり分かった。
ケイがまた怖い目をしていたんだ。
いつの間にか、ジリジリとケイが僕との距離を詰めてきている。

「え、け、ケイ?」

思わず動揺する僕にお構いなしに、ケイはどんどん距離を狭めていく。
もう、僕の目の前にケイはいた。

「取り調べ、させてもらうわよ?」

ニコリ、とケイが笑った。
やっぱり、いつかの、悪くて、怖くて……ええと、エッチな目をしていた。

「わっ、ちょ、ちょっとま…」

気圧される僕を、ケイはとん、と軽く突いて。
僕は情けない声を上げながら、ベッドに倒れ込んだ。

それで――現在の状況になった。

今、僕は見事にケイに主導権を奪われている。
こういうときのケイは積極的で、結構驚く。

「……はぁ」

「ん……」

唇を離して、呼吸を整える。
お互いの顔の距離は、抱き合ってるせいもあって、かなり近い。
部屋が暗いし、ケイの顔は上にあるから影になっててよく見えない。
……ちょっと、ドキドキする。

「…ケイの、エッチ」

僕は反抗的な目で、ジトリとケイの顔を見上げる。
こんな風にしなくたって、僕は……そ、そういうことだって、するのに。
僕の追及するような視線に、ケイはぷいと顔を逸らす。
て、照れるくらいならしなくてもいいのに。

「ち、違うわよ。私はそんな…」

「ウソつき。こんなに…ええと……」

そっと右手をケイの足の付け根まで持っていく。
スカートの中の下着越しに、ネットリとした液体の感触がそこにあった。
これは、あの、つまり。

「……言えないなら言おうとしないで」

顔を真っ赤にしたケイに言われて、僕も顔が熱くなる感覚がした。
う、い、言うんじゃなかったかな…。

「……ごめん」

僕が小声で謝ると、ケイは黙ってしまった。
少しだけ、微妙な空気が僕らの間に流れる。
……ええと、何か言わなきゃ。
そうしていると、ケイに先を越された。

「…別にいいわよ。私が、その、エッチだとして」

ケイは言い辛そうにしてから、開き直るような声で続けた。
自惚れだけど、惚れた弱み、という感じの声だった。

「い、イズルなら、いいから」

「ケイ……」

僕は見えないケイの顔をじっと見つめた。
やっぱりケイがどんな顔をしてるかは分からないけど、たぶん、すごくかわいい顔をしているに違いない。
だって、ケイだから。
僕はケイのそういうところが大好きだった。

「…っ、だ、だいたい、イズルだって」

「! んっ…」

照れをごまかすようにケイが僕のズボンの辺りに手を伸ばす。
いきなり下半身から電流が流れるみたいな感覚がして、僕は小さく呻いた。
とても熱くなっているそこを、ケイのひんやりとした手が包んでいるのが、気持ちいい。

「こ、こんなになってる…」

「あ、いや、その…」

何だか恥ずかしくなって、ケイの目が見れなくなる。
あぁ、ケイもこんな気持ちだったのかな。

「だ、だって。ケイ、だから」

素直に言って、僕も開き直ったような声を返す。
見上げてみるけど、ケイの表情は分からない。
ただ、ちょっと呆れてるような雰囲気をしているらしいのは分かった。

はい終わり。続き?知らないなぁ。まぁ希望があれば書きますけど。
次は>>285と料理シリーズをやります。それでは。
また何かあれば書いてやってください。

はい終わり。続き?知らないなぁ。まぁ希望があれば書きますけど。
次は>>285と料理シリーズをやります。それでは。
また何かあれば書いてやってください。

「…しょうがないわね。私たち」

ザンネンそうにケイは言った。
僕も同じことを思っていた。
僕らは、どうしようもないくらいお互いを想っているんだ、って。

「…うん、しょうがないよ」

僕が言うと、ケイがクスクスと笑みを零し出した。
つい、僕もそれにつられてしまう。
ケイが笑えば、僕も笑う。

そんな小さな笑いが起きて。
少しだけ、和やかな空気が流れて、僕は妙な安心をした。
たぶん、ケイも同じだ。
一緒に同じ気持ちを持ってくれる人がいることに、安心しているんだ。
『僕ら』が生まれたときに、そんな人は誰もいなかったから。

ケイがそっと僕の背中に手を回す。
それに応えるように僕も同じようにした。
ぎゅっと抱き寄せたケイの身体は柔らかい。
ちょっとだけ照れ臭そうに、ケイはこほん、と咳払いをする。

「じゃ、じゃあ。…続き、する?」

「えっと…うん」

あぁ、今日はあんまり眠れないかもなぁ。
こういう日は、二人して元気になっちゃうもんな。
そんなことを呑気に考えながら、僕はゆっくりとケイの身体に手を伸ばす。
もう、止められないや。

オチを忘れるとは…。ザンネンだ。失礼した。

ピンクのナース服姿のイズルを見たケイさんの反応が知りたいです

アサギ「自分の部屋で寝ろ」
タマキ「やらーアサギのベッドいいにおいなのらー」
アサギ「早く出てかないと隣で寝るぞ」
タマキ「はい」
アサギ「本気にするな」

どうも。少し時間ができたので来ました。
まずは料理大会から。

「料理?」

ちょっとした休日の、いつも通りのアサギの部屋。
いつもの三人が集まるそこで、開口一番、アサギは訝しげな声を上げた。
そんな彼に、イズルはニコリと無邪気な笑顔でそれに答える。

「うん、ケイたちに誘われたんだ。二人も呼んで、って」

いきなりやってきたイズルの話はこうだった。
この間、ケイとタマキが昼食を作った。
それが思いの外楽しくて、どうせなら皆で昼食を作ってみないか、という話になった。
それで、さっそくイズルがその伝令役になった、というわけだ。

急だな、と思いはしたが、目を輝かせるイズルを見ると、アサギは一応の興味を示してやる方がいいだろうと考えた。
いつぞやのビーチボールの時みたいに落ち込まれても困るのだ。

「何作るんだ?」

「カレーと胃に優しいモノと、ウナギの蒲焼き…だったかな」

「何だその無秩序な並び」

あまりにも繋がりのない料理のリストに、呆れたような顔でアサギはため息を一つ吐いた。
今更なことだが、チームラビッツの好みは、あまりにも滅茶苦茶だ。
ここに塩辛やらやたら甘いケーキやらが加わるのを考えると、少し胃が痛くなる。

「いいと思うんだけどな。皆で料理」

気付かないうちにアサギは難しい顔をしていたらしく、イズルはわずかにザンネンそうな顔をする。
それを見て、アサギは内心でため息を吐いた。
仕方ないヤツだ、とも呟く。

「……後で行く」

「俺も行くぜ、おもしろそうだし」

アサギの言葉に同調するようにスルガも参加の意思を告げる。
それだけで、イズルはあっさりと表情を喜びに輝かせて、頷いた。
単純なヤツだ、とまたアサギは心のうちに呟いた。






「それじゃあ、始めましょうか」

「おーっ!」

「うん!」

「カレー! カレー!」

「……」

スターローズ内の小型キッチンの中で、アサギは初めて来るそこを興味のある視線で見回す。
無理矢理に着せられた淡い青のエプロンの彼は、それから仲間たちに視線を移す。
燃えるような赤色のエプロンのリーダー、大量の砂糖を用意したらしい紫のパティシエ。
子供向けのピンクのエプロンを、着ているというか着られている感じのする塩辛バカ。
黄色のエプロンに身を包む、自前で勝手にスパイスを持ち込んだらしいカレーバカ。

……大丈夫か、これ?
何となく不安を抱きながらも、アサギもさっそく料理に加わることにする。
正直、胃に優しい特製ハーブ粥というのには興味が大きくあった。

「スルガ、そこにルーを入れて」

「おう。…お、カレーの匂いだ!」

「あ、いいね。ケイ、蒲焼きのタレはこれでいいの?」

「…ええ、大丈夫よ。イズル、少し味見してくれる?」

「うん。……ええと、甘いね」

「そう。ならいいわね」

「おーし、俺流のすげーカレーにしてやるぜ」

「おいスルガ、それは入れすぎだ!」

「え? そんなことねーよ、たぶん」

「アサギー、そこのイカ取ってー」

「ん? あぁ、ほら」

「ありがとー」

「…おう。……っ!? スルガ! タバスコなんて入れるな!」

「いやいや、これ絶対美味いって。ほら」

「………。――!? ……ッ!? げ、ほっ!! ごほっ! うえっ…!」

「ありゃ? アサギー?」

「お、おま、えなぁ……っ」

料理会は意外にもゆっくりとは進まなかった。
スルガとタマキが騒がしく場を盛り上げ、イズルとケイとアサギが、それのフォローに回る。
ただそうして過ごしているうちに、料理は完成した。
何も考えられないくらい、皆、いつの間にか楽しんで過ごしていた。






そして。ようやく昼食の時間が来た。
アサギたちはキッチンを出た先の小さな部屋のテーブルに人数分の料理を並べ、席に着く。
五人の前には、せっかくだからそれぞれの料理を皆で食べてみよう、というイズルの提案もあり、小皿で分けたそれぞれの料理がある。

「よーし、食うか!」

「おいスルガ、フライングすんな」

完成した料理たちに、スルガがさっそく食らいつく。
制止する間もなく、彼は自分の特製カレーを味わう。

「うめーっ! 俺って天才!」

自分を褒め称えながら、スルガはスプーンを素早く動かす。
そのあまりにも美味しそうに食べる様子につられるように、残りのメンバーもカレーを一口食べてみる。
そして――

「……!」

「……っ、う……」

「――きゃ、きゃら……!!」

「わぁ、美味しいね!」

一人以外、あまりの辛さに悶絶する。






そして。ようやく昼食の時間が来た。
アサギたちはキッチンを出た先の小さな部屋のテーブルに人数分の料理を並べ、席に着く。
五人の前には、せっかくだからそれぞれの料理を皆で食べてみよう、というイズルの提案もあり、小皿で分けたそれぞれの料理がある。

「よーし、食うか!」

「おいスルガ、フライングすんな」

完成した料理たちに、スルガがさっそく食らいつく。
制止する間もなく、彼は自分の特製カレーを味わう。

「うめーっ! 俺って天才!」

自分を褒め称えながら、スルガはスプーンを素早く動かす。
そのあまりにも美味しそうに食べる様子につられるように、残りのメンバーもカレーを一口食べてみる。
そして――

「……!」

「……っ、う……」

「――きゃ、きゃら……!!」

「わぁ、美味しいね!」

一人以外、あまりの辛さに悶絶する。

「にゃんだ、きょのきゃらさはーっ!」

ヒリヒリと痺れる舌の感覚に震えながら、アサギは怒りの声を上げた。
正直、この辛さには涙が出そうになる。

「えー? イズルは美味そうに食ってるぜ?」

「イズルと同じ基準で考えてんじゃねー!」

頭と胃を抱えながら、アサギは唸り声を上げる。
こいつには二度と料理を作らせないようにしなくてはならない、とも胸に刻む。

「ええと、ほら、アサギ。アサギのお粥美味しいよ?」

「お前にフォローされたくない」

アサギの言葉にイズルはやはりザンネンそうに笑うと、自分の蒲焼きに箸を動かす。
はぁ、とため息を吐きながらも、アサギは自分の粥を口にする。
あぁ、確かに美味いな、と少しだけ感動を覚えてしまいそうになった。
それほどまでにスルガのカレーはマズかった。

「ケイー、塩辛美味しいのらー」

「そう? よかった」

ふと、隣から聞こえたケイとタマキの声に、アサギは自分の分の塩辛に箸を伸ばしてみる。
よく考えてみると、塩辛というのは食べたことがなかった。
どんな味なのかを想像しながら、アサギはそれを噛んでみる。

「…何だ、これ?」

意外すぎる味に、アサギがつい間の抜けた声を出す。
初めて食べる塩辛は、甘かった。

「それねー、ケイの特製なのー」

不思議そうな顔をするアサギに、タマキが自慢げに解説してくる。
いわく、ケイのミスで砂糖漬けになったイカをこの前の料理会で食べたらしく、しかしながらそれを気に入ったタマキは、今回もそれを頼んだ、ということだった。
これ塩辛じゃないだろう、とタマキの話に思ったことをとりあえず心の中でツッコミつつ、アサギはまたそれを食べた。
まぁ、悪い味じゃない、と感想を出す。

「うーん、ケイのケーキはやっぱり甘いね」

「甘くて当然よ。…ウナギ、結構美味しいわ」

相変わらずの甘いケーキを味わうイズルの声がする。
ケイのケーキについては、イズル以外の全員は遠慮した。
何故彼はあんな砂糖の塊についていけるのか、分かることはきっとない。

そんなことを思いながら、ウナギの蒲焼きを次に食べてみる。
ウナギも、なかなかに美味かった。

「……こういうの、悪くねーな」

スルガが小さな声で呟く。
そうだな、お前のあのカレーがなけりゃな、と若干の非難の声を胸のうちに上げる。
皆で集まって、一緒に昼食を作り、食べる。
案外、悪くないものだ。

「また今度やろうか」

「そうね。いいかもしれないわ」

「また塩辛を作るのらー!」

仲間たちの同意の声を聞きながら、アサギはそんな風に思った。
アサギはゆっくりと口を開く。
素直な気持ちを吐き出すことはない。だが、自分の思いはしっかりと伝えるとしよう。

「…まぁ、付き合ってやるよ」

のんびりとした時間が流れ。
胃に優しいランチタイムは、当分はまだ続くことになりそうだ。

一度終わり。
イズルのナース見てきたけど何あれ? 何故野郎どもの広報をしなかった、公式よ。
おもしろそうだから>>365もやる。ではあとで。

はいどうも。それじゃあ二つ短いのをやっていきます。

腐った方向に目覚めたケイ

スターローズ――アサギの部屋

イズル「アサギー、ちょっといい?」

アサギ「ん? 何だよ?」

イズル・アサギ「」ペラペラ

スルガ「ちょっとは仲良くなったなぁ、アイツら」

ケイ「イズルがリーダーになりたての頃は、ずいぶんだったものね」

タマキ「うんうん。いいことなのらー」

ケイ「」ジーッ

スルガ「? どうかしたかケイ?」

ケイ「」ハッ

ケイ「……別に何でもないわ」プイッ

スルガ・タマキ「?」

イズル・アサギ「」ワイワイ






ケイの部屋

ケイ「……はぁ」

ケイ「何よイズルったら。アサギとばかり。タマキのときに散々言ったのに」

ケイ「これじゃ寂しいでしょ……」

ケイ(……私が、アサギだったらな)



イズル・アサギ『』ペラペラ

イズル『それでね、そのときデガワさんが…』パクリ

アサギ『…おい、イズル』

イズル『ん? どうかした?』キョトン

アサギ『クリーム。付いてる』トントン

イズル『え? どこ?』サワサワ

アサギ『』フゥ

アサギ『ここだ、ここ』スー

アサギ『』パク

イズル『あっ…』

アサギ『どうした?』

イズル『い、いや。…ありがとう』ニコリ

アサギ『…おう』




ケイ「……」

ケイ「」ハッ

ケイ「な、何を想像してるの私は…」

ケイ「ないわよ。今のは。いくら寂しいからって、そんな…」

ケイ「……これで五度目。もう、イヤになるわね」

ケイ「…ちゃんと、イズルに言おう」ハァ


もちろんこの後は普通にイズルに甘えてみたりするケイだけれど、
世間の影のような部分でひっそりと流行している薄っぺらいマンガの存在を知ったり、
自分の想像をさらに上回る人の存在を知ったりして、げんなりしたり目を輝かせたりするのでした。

これで終わり。次はナース。

ナースごっこ

食堂近くの談話スペース

イズル「えっと、どうしたのケイ? 話って」

ケイ「この間のスケッチのことなんだけど…」

イズル「あぁ…え、まだ何かお礼を?」

ケイ「わ、私はたくさん披露したのよ? あれだけで済ませるのはどうかと思わない?」

イズル「…う。そうだけどさ…何をすればいいの?」

ケイ「そ、そうね…」ジーッ

イズル「?」

ケイ「あ、あなたも…」

イズル「僕も?」

ケイ「あなたも、同じ恰好して見せてよ」

イズル「…え?」

イズル「――えー!?」






イズルの部屋

ケイ「イズル、まだなの?」アシヲクミカエ

イズル『も、もう少し――あ、で、出来た…』

イズル「あ、あの。これで、いい?」ガチャ

ケイ「……へぇ。似合うじゃない、婦警さん」ジーッ

イズル「あ、あんまり、見ないでよ…」カァ

ケイ「私のスケッチのお返しなんでしょう? 私がいくら見てもイズルに文句を言う権利はないわ」

イズル「う…そうだけどさ……」

イズル「だいたい、何でこんなのをお礼にしようと思ったのさ」

ケイ「…私ばっかり恥ずかしいことさせられてるからよ」メソラシ

イズル「…そんなにだったの? あれ」

ケイ「ほ、ほら。次の衣装に着替えてよ」

イズル「わ、分かったよ…」イソイソ






イズル『こ、これで最後だよ』

ケイ「ええ。見せて?」

イズル「――は、はい」ガチャ

ケイ「最後にナースだなんて…ずいぶんね?」ジロジロ

イズル「こ、この順番に積んだのはケイでしょ!」

ケイ「…知らないわ」プイッ

イズル「……」ハァ

ケイ(……にしても、何よ、これ)

イズル「」モジモジ

ケイ(私よりもかわいいような……)ムゥ

イズル「あ、あの、ケイ?」オソルオソル

ケイ「………。どうかしたのイズル?」

イズル「いや、これいい加減脱いでもいいよね。僕ももう十分――」

ケイ(……そうだ)ピーン

ケイ「――僕、じゃないでしょ?」スッ

ケイ「今、あなたは女の子なのよ?」サワ

イズル「ひっ――」ピクンッ

ケイ「ふふっ、おかしいわね? これは何かしら? スカートの中に何を隠してるの?」サワサワ

イズル「ちょ、ちょっと、ケイ。止めてよ」テヲツカム

ケイ(もう、そんな顔して……弄りたくなっちゃうでしょ?)

ケイ「私は質問してるのよ? ちゃんと答えて?」テヲツッコム

イズル「あ、う……っ! ん………」ビクンッ

ケイ「かわいい声上げちゃって…気持ちいい?」ニコリ

イズル「や、け、い……っ」プルプル

ケイ「ほら、イズル…」チュウ

イズル「! む、ぅ…っ」クラリ

ケイ「…ん、はぁ」ギュ

イズル「あ、ん……ふぅ」

ケイ(ふふ。もっと恥ずかしくしてあげましょう。…これぐらい、仕返しにはいいわよね?)

ケイ「…ん。ナースさん、私、お注射が必要みたい」メクリ

イズル「え、あ……っ!」ゴクリ

ケイ「して、くれるわよね?」アカラメ

イズル「――も、もう知らないからっ!」ガバッ

ケイ「ん………♪」ギュー






翌朝

ケイ「え、えっと…」

ケイ「わ、私が悪かったから…」ペコリ

イズル「………」モゾモゾ

ケイ「お願いだから布団から出てきて?」

イズル「知らないよ、ケイなんて」プイッ

ケイ「い、イズル……」

イズル「…僕だって、イヤだったのに」

イズル「ケイにさせたからってガマンしたんだよ?」

イズル「それなのにケイは…あろうことか、その…あ、あんなエッチなことするんだもん」

ケイ「……ご、ごめんなさい」

イズル「当分、ケイは僕の部屋出入り禁止ね」

ケイ「……えっ!?」

イズル「う、有無は、言わせないから」

ケイ「…はい」ショボン

イズル(い、言い過ぎた、かな……)フトンヲチラリ

ケイ(…はぁ。私のバカ。調子に乗りすぎたわね)

ケイ(どうかしてたわ。イズルがあんなにかわいいからって…)フゥ

イズル・ケイ「「はぁ………」」ガックリ

イズル・ケイ「「え?」」

イズル・ケイ「「あ…」」

イズル・ケイ「」カァ

ケイ「じゃ、じゃあ」バタン

イズル「……うん」



その後、コスチュームプレイ、という大人の世界の言葉を知ったイズルがヒーローモノのコスチュームの存在を知って、ケイと一緒に着たり、
さらには、妙な趣味に目覚めて男装や女装を試してみたりするけれど、それは彼らがザンネンである故にザンネンながら語られないお話。

終わり。ちょっと最近はダメな感じばかりだ。
今度はもっと純粋な話をやろう。二人のおデートとか。
それでは。また何かネタがあればお願いします。

乙乙

五人の父親的ポジションになろうとして試行錯誤するシモン指令とか

リンリン教官を「お母さん」と呼んでしまうラビッツの誰か
って電波を受信したんだが境遇的に重かった

ケイが出入り禁止=イズルがケイの部屋に夜這いするんですね

と考えて悶々とするケイさんを

どうも。今日は二つやっていきます。
まずは>>302から。

スターローズの、イズルの部屋。
そこに、彼らは集まっていた。

チームラビッツ。
相変わらずのザンネン5、円卓に座っているその五人のうちの三人――ケイ、スルガ、タマキは沈んだ顔でいた。
残りの二人――イズルとアサギは顔を見合わせると、困ったような表情を浮かべて、黙り込む。

「……はぁ」

沈黙を破るスルガの声に、タマキも

「どうすればいいのらー……」

明るい二人にしては珍しく、落ち込んだ雰囲気の声だった。
それに引っ張られるように周りの空気も重くなる。
能天気二人組はその存在だけで光となっていた、ということをイズルは思い知る。

そんなスルガたちの落ち込みの原因は単純。
イズルはそっと視線を円卓の上の三枚の用紙に落とす。
その紙には、こんな文章が載っている。

『クギミヤ・ケイ、スルガ・アタル、イリエ・タマキ。以上の者たちはいずれも
 今季健康診断の結果、異常の兆候あり。今後当面の食事について指定以外のものを摂取することを禁ずる』

つまるところ、だ。
バランスの悪い食事ばかりの三人の健康状態が悪くなるかもしれないから、当分の間は食事制限をする、というわけである。
当然といえば当然のことでもあった。
ケイは甘いお菓子の食べ過ぎによる血糖値の上昇。タマキは塩辛による塩分過多。スルガはカレーの食べ過ぎによる栄養不足。
いい加減にしておかなくてはならないほどのことなのだから、どれほどそのような食生活を続けていたか、察することは容易だろう。

「ええと、ほら。いつもと違う美味しいモノに出会えるかも」

「私からケーキを奪ったら何が残るというの…」

「俺も。カレー取られたら生きてけねーよ」

「私もー。塩辛ぁ……」

イズルの必死のフォローも一切通用しない。
それほどまでに、彼らにとって食事には価値があった。
…食事以外に、今は大した気晴らしがないからだろう。

「諦めろよ、バランス悪いメシ食ってたお前らが悪いんだから」

「つめてーヤツめ」

「冷たくて結構」

適当に言い合いながら、スルガとアサギが立ち上がる。
あ、そうか、とイズルは自分の部屋の時計に目をやる。
もう、食事の時間だった。






「……はぁ」

「うーん…」

「……」

「ええと…」

「……」

微妙な空気の中、昼食の時間は始まる。
ケイたちに出された食事内容はバランス重視の和食だった。
美味しいと思うんだけどな、と一緒になって食べるイズルは感想を心の中で漏らす。
やっぱりケイたちは渋い顔でそれを淡々と食べていた。

「塩辛…」

「まだ言うか」

「だってぇ……」

時折不満そうな声を漏らすタマキに、アサギが呆れ気味に言う。
彼は和食のあっさりとした胃に優しい味が気に入ったらしく、機嫌が少しだけ良さそうだった。
そんなタマキを尻目に、スルガとケイは黙々と自らの口に料理を運ぶ。
どうやら、文句を言うのは諦めたらしい。

「ほら、タマキ。塩辛解禁になったら僕が奢ってあげるからさ」

とりあえず宥めるようなことを言うと、タマキは素早く顔を上げた。
その顔には、喜びの感情が浮かんでいる。

「ホント! 塩辛奢ってくれるの!!」

「え、あぁ…うん」

あまりの勢いに、ついイズルは気圧されてしまう。
しまったかな、とも思った。
軽率に言うと、後で厄介なことになるかもしれない。
実際、厄介になった。

「何だよー、イズル、俺にもカレー奢れよ」

「…私はスターローズパフェのスペシャルサイズよ」

「え、ええー?」

「軽率すぎるんだよ、お前」

アサギの憐れむような声を聞きながら、イズルは頬を掻く。
まぁ、いいか。これで少しは皆が元気になるなら。
そうポジティブに考え直し、イズルは仲間たちに笑顔を向ける。

事実、この提案の効果はあったのか、この食生活に、大した不満は結局起きなかった。
もちろん、食事制限が解禁される後はイズルがそれぞれの食べたいモノに付き合わされて、結構苦労することになったのは言うまでもないが。
そういったところも、彼がリーダーたる所以というヤツだろう。
ザンネン5は、今日も今日とて、ザンネンに毎日を進む。

以上。短い。次はおデート。やりたいようにやってみました。

ある日の地球。日本の東京、宇宙用無重力エレベーター場にて。
二人の少年と少女が太陽の光の下に現れる。

「ん…良い天気だね!」

「……そうね」

快活に笑う少年――イズルの隣で、少女――ケイは眩しそうに手を額の辺りにかざした。
今日の彼らは兵士の服は着ていない。
イズルは、彼の性格に合う明るめの赤と黒の入り混じったシンプルなシャツに簡素なカーキのパンツとスニーカー。
ケイは、モノクロのボーダーシャツに爽やかな青のデニムジャケット、
それに薄い茶のショートパンツと黒のレギンスとブラウンのショートブーツ。
それぞれがそれぞれなりに用意した私服を身に纏って、二人は歩く。

久しぶりの人工ではない暖かい光に、二人は自然と浮いた気持ちへと変わっていく。
それはいいことだ、とイズルは思う。
だって――今日はデート、だから。



話の始まりは、少し前へと遡る。






「デート?」

チームラビッツの拠点、スターローズのケイの部屋。
イズルはケイと一緒にケイのお手製のケーキやクッキーを食べていた。
その席で、イズルはそんな提案をして、ニコリと笑う。

「うん。言ってたでしょ?」

イズルの言葉に、ケイはどういうことかを思い出す。
確かに、少し前にタマキに嫉妬したときにそんな約束をした覚えがあった。

「でもいいの? 明日は…」

「教官――じゃなかった、艦長に頼んだんだ。そしたら、出ていいって」

はい、とイズルはポケットから二枚のチケットを出した。
その一枚を受け取り、ケイはまじまじとそれをよく観察する。
どうやら、日本の有名なテーマパークの入場券らしい。

「話したらくれたんだよ。これ、すごい券なんだって」

そう言いながら、イズルは細かく説明をした。
このチケット一枚で、あらゆる乗り物や食事のサービス、パーク内のホテルまで全て無料で優遇されて利用できるらしい。
イズルたちだからこそ、手配のできた最高級のチケットパスとのことだった。

「……と、泊まり、なの?」

「…あ」

ケイのふとした疑問に、イズルは考えていなかったように驚いた顔をする。
ちゃ、ちゃんと考えておいてよ。
思いながら、ケイは期待しているようなことを示唆したようで、恥ずかしくなって俯く。
イズルもまた、そのことを想像して、少し顔を赤らめて、黙り込む。
それから、おそるおそる口を開いた。

「け、ケイがいいなら…」

「わ、私は…問題ないわ」

「そ、そう…」

「うん…」

お見合いでもしているかのような慣れない空気を出しながら、二人は黙々とケーキに手を伸ばす。
結局、その後は細かい時間を決めて、大した会話もないまま、別れた。

「…デート、か」

ぽすん、とベッドの座り込んで、ピットクルー特製のいずるくん人形を抱き寄せながら、ケイは呟き、思いを馳せる。
荷物と服装は大丈夫。ピットクルーの皆に相談して、一応の準備は完了している。
心構えも大丈夫。散々アドバイスをされたんだ。きっと、上手くいく。
そんな風に初めてのデートに少し緊張した気持ちを抱きながら、彼女は寝転がり、瞳を閉じた。
ドキドキとワクワク、二つの感覚を噛み締めながら、ケイは眠った。

そして、現在に至る。
イズルとケイは、テーマパーク近くの駅に降り立つと、まっすぐに向かう。
気付かないうちに手を繋いでいる二人の姿は、誰にも彼らが兵士だということを認識させないだろう。

「ようし、何から回ろうか?」

チケットを見せてゲートをくぐり、イズルはパーク内の地図を広げる。
世間ではどうやら今日は平日だったらしく、大して人がいるわけでもないようだった。

「イズルは何かあるの?」

無意識に顔を近付けて、ケイは地図を覗き込む。
ケイはこのテーマパークのことは、あまりよく知らなかった。

「うーん。あんまりよく知らないんだ、僕」

ザンネンそうに言うイズルに、なるほど、と納得する。

「無計画ね、あなた」

「あ、あはは。ごめん」

申し訳なさそうにするイズルに、ケイは笑って答える。

「別に責めてないわ。おかげで二人とも想像しながら回れるじゃない」

ケイにしては珍しくポジティブなセリフだった。
これもイズルの影響かもしれない、と思う。
はぁ。惚れた弱みってヤツね。
無邪気に笑う彼を愛おしく想いながら、ケイはまた手を繋ぎ、一緒に歩き出した。






「あー、楽しかったね!」

「そうね。騒がしいのはどうかと思うけど」

パーク最速、という触れ込みのジェットコースターの出入口から元気そうに二人は出る。
普段アッシュに乗って散々強力なGを味わった身としては、これぐらいのものは何てこともない。

「次はケイが選んでよ」

「私が?」

「うん。僕はもう三つ選んだし」

「じゃあ…」

地図とパーク内をぐるりと見渡しながら、ケイは集中して考える。
とりあえず、人がいない乗り物がいい。
二人っきりに積極的になれ、というアドバイスを思い出しながらケイは探す。
そして――

「あれにしましょうか」

「うん、分かった!」

二人はさっそく目標へと歩いた。






乗り込んだのは、遊覧船のようなアトラクションだった。
イルミネーションで明るく演出された暗い建物内の川を、のんびりと小舟で進んでいく。
雰囲気を作るためか、中は想像以上に涼しく、外の暑さから逃れるには最適とも言えた。

「わぁ――」

あちこちに興味津々にイズルは視線を送る。
イルミネーションの中には、小人や人形、人魚など、ファンシーなモノなどが置かれている。
あれもこれもマンガのネタになるかな、と思い巡らしながら、ケイに微笑みかける。
彼女もまた、イズルと同じように辺りを見回していた。

小人を見つけては頬を緩め、美味しそうなお菓子の形の光を食い入るように見つめて。
そんな普段の彼女らしくないことをしてしまうぐらい、不思議で、かわいらしい空間だった。
こういう場所を気に入る辺り、ケイも女の子なんだな。
そんなことをイズルは思う。

「…何?」

と、イズルに向かってケイが取り繕ったように不機嫌そうな声を出す。
イズルの、ニコニコと笑顔で見守るような視線に羞恥を抱いたらしい。

「何でも。ケイがかわいいな、って」

「……っ」

イズルの言葉に、ケイは慌てたようにそっぽを向く。
こういうことを素直に言ってしまえる彼の性格が、ちょっとだけ憎い、と思った。
イズルの顔をチラリと窺う。
彼は大して変化も見せず、また景色に夢中になっていた。

ずるい。ずるすぎる。平然としている彼が羨ましい。
私だって、素直に――

「…あ」

「ん?」

「…あり、がと」

ぶっきらぼうに告げると、ケイはおもむろに手を差し出す。
イズルは、不思議そうにその手とケイの顔を交互に見返して。

「ええと、どういたしまして」

人を安心させるような柔らかな笑みのまま、その手を握りしめた。
もう、船は終着点に辿り着くところだった。






「…じゃ、そろそろごはんにしようか」

建物を出て、少し歩いた先のレストランを見据えて、イズルが提案する。
特にケイからも反対の声はなく、二人は中に入っていく。

やはりあまり人は見受けられなかった。
しかし、それはいいことだった。彼らは一応の有名人だ。
せっかくのデートに変に後ろ指を指されるのも嫌だった。

「何を食べようか?」

メニューに目を通しながら、イズルはケイに尋ねる。
ケイは特に迷う様子も見せず、ただメニューを指で示した。

「ああ、ケーキ?」

昼食にケーキはおかしいだろう、などという一般的な感想は起きない。
見慣れた景色であったし、普通なのだろうとイズルは受け入れてしまっていた。

「……あと」

少し遠慮がちにケイはメニューをめくって、あるページに指を置く。
つられたイズルの視線の先には、あるデザートが一つ。

「ええと、ランド特製スペシャルパフェセット?」

こくり、とケイは頷く。
それは、縦の大きさ十五センチに及ぶ巨大なパフェとケーキとアイスが三つずつ付いてくる、カップル専用のメニューだった。
さすがだなぁ、と感心しながら、イズルはそれも注文しておくことにする。




「うーん、すごい量だね」

昼食を食べ、運ばれてきた食後のデザートのパフェをイズルは見上げる。
こんなに大きいのかぁ。十五センチってすごいんだな。
客観的な気持ちで少し感動する彼に、ケイは無言でスプーンを手渡す。
その目は、ずっとパフェに釘付けになっていた。

「ほら、イズル」

渡されたスプーンを右手で受け取り、それをしげしげと眺めながら、イズルはケイの声に顔を上げる。
その視線の先では、先端のアイスの部分を削り取ってイズルに差し出すケイの姿があった。

「え? ケイ?」

「ん」

何も言わずに、ケイはぐいぐいとスプーンを突き出す。
反射的に、イズルはそれを口の中へと入れる。
銀色に光るそれが引っ込んでから、イズルはそれを味わう。

こ、これって、あーん、ってヤツだよね?
冷えたアイスを食べながら、少し熱い頭で理解をする。
そうしてじっと味わっていると、ケイがこちらをずっと見ていることに気付く。
その目は、ケーキの感想を待っているときの目に似ていた。

「えっと、あ、美味しいよ」

視線に応えるように口を開く。
しかし、彼女はそれに対して、首を横に軽く振った。

「……?」

イズルは首を傾げた。
感想を求めているわけではなかったらしい。
それでは何だろう? とイズルが思う前に、ケイは自分の持っていたスプーンをイズルに示す。

あ、もしかして。
その動きで、イズルは思いついたように自分が渡された同じモノに目をやる。
そ、そういうことだよね?
少し緊張に身を固めながら、イズルは先程ケイがやったようにアイスを掬う。

それから、ゆっくりとケイの口元にそれを持っていく。
すると、ケイも若干ぎこちない動きでスプーンにパクリと食らいついた。
あ、何かかわいい。ネコとかにごはんあげてるみたいで。
そんなことを思いながらも、イズルは手を引いてスプーンを回収する。

「ん…お、美味しいわね」

顔を赤らめながら、ケイはニコリと笑った。
実に満足そうにしていたので、イズルもつい微笑んでしまう。
二人で食べればもっと美味しいんだね、とも付け加えると、彼女は少し恥ずかしげに頷く。
うん、ケイが嬉しいなら、僕も嬉しいな。そう、イズルは思った。



こうして、この後もお互いに恥ずかしがりながらパフェを食べさせ合って、のんびりとしたランチタイムを楽しんだ。

「えっと、あ、美味しいよ」

視線に応えるように口を開く。
しかし、彼女はそれに対して、首を横に軽く振った。

「……?」

イズルは首を傾げた。
感想を求めているわけではなかったらしい。
それでは何だろう? とイズルが思う前に、ケイは自分の持っていたスプーンをイズルに示す。

あ、もしかして。
その動きで、イズルは思いついたように自分が渡された同じモノに目をやる。
そ、そういうことだよね?
少し緊張に身を固めながら、イズルは先程ケイがやったようにアイスを掬う。

それから、ゆっくりとケイの口元にそれを持っていく。
すると、ケイも若干ぎこちない動きでスプーンにパクリと食らいついた。
あ、何かかわいい。ネコとかにごはんあげてるみたいで。
そんなことを思いながらも、イズルは手を引いてスプーンを回収する。

「ん…お、美味しいわね」

顔を赤らめながら、ケイはニコリと笑った。
実に満足そうにしていたので、イズルもつい微笑んでしまう。
二人で食べればもっと美味しいんだね、とも付け加えると、彼女は少し恥ずかしげに頷く。
うん、ケイが嬉しいなら、僕も嬉しいな。そう、イズルは思った。



こうして、この後もお互いに恥ずかしがりながらパフェを食べさせ合って、のんびりとしたランチタイムを楽しんだ。






「――お待たせいたしました、ヒタチ様」

「あ、はい」

そして、時間はあっという間に進み、夜になり。
完全に遊び倒した二人は、パーク内の最高級のホテルの一室に案内してもらっていた。
さすがに最高級の部屋なだけあって、設備も素晴らしい。
ルームサービスだけで一流のレストランを開店できるほどのものだった。

「…ふぅ。疲れたわね」

「うん。楽しかった」

パークで買った仲間たちへのお土産を仕舞うと、イズルは部屋の外のテラスにいるケイの隣に座る。
部屋やテラスの明かりは点けなかった。何となく、人口的すぎる光はこの場には無粋に思えた。
彼女はイズルの言葉に対して、呆れたようにクスリと笑う。

「まだ遊び足りなさそうね」

「え、そうかな?」

「そんな顔してる」

言い合いながら、二人は空を見上げる。
地上三十階なだけあって、ここからは夜空がよく見えた。
いくらでも見てきたはずなのに、二人の視界は、その美しい夜の幕に奪われ続ける。

「――ね、イズル」

「うん」

唐突に沈黙を破るケイの声に、イズルは視線をケイに移す。
彼女は星空を見つめたまま、ポツリと言葉を紡ぐ。

「今日は、ありがとう。楽しかったわ」

ただ、一言。お礼を言うと、彼女はまた黙った。
気恥ずかしそうに、目線をわずかにイズルから離して。
イズルは答えを考える。自分の気持ちを素直にさらけ出せる言葉を。
そして、閃いた答えは単純。

「――うん。ケイもありがとう。ケイがいたから、楽しかった」

その言葉に、ケイは顔をイズルに向けて、無言のままイズルを見つめる。
イズルもまた、自分に焦点の合った薄紫の瞳を吸い込まれるように見る。

ゆっくりと、イズルの顔がケイに近付く。
だんだんと、互いの距離を確かめるように、更新するように。

「あ……」

そうして、息がかかる距離まで二人の顔は近くなった。
そっと、イズルはその両肩に両手を載せる。
ぴくり、とケイのそこが跳ねた。

「……」

イズルは無言のまま、さらに顔を、正確にはその唇を近付ける。
ケイの薄い唇へと。

「……いず、る」

瞳を揺らしながら、ケイはまぶたを閉じる。
それに合わせるようにイズルも、瞳を閉じて。

そして――そして、今。




二人の、影は――――――






――ドーンっ!



「…へ?」

「……?」

突如として夜空に響く音とまぶたの裏に焼き付くような光に、イズルとケイは間の抜けた顔で音源を見る。
そして、言葉を奪われた。
そのあまりの美しさと平和な音に。

「花火だ……」

呆然とイズルは呟く。いつの間にか立ち上がって、できるだけ近寄って華の咲く様を眺めていた。
そうだ。今日はパーク内でパレードがあるんだった。ケイは人込みが嫌いだから事前に止めておいたけれど。
オレンジやグリーン、ブルーに輝く炎の華が、闇の中のイズルとケイに光と音を与えていたのだ。

「キレイね……」

「うん。火薬の音が、こんなにいいって思えるなんて……」

スルガがいたら興奮していただろうな、とふと思った。
きっと、タマキも同じくらいに騒いで。アサギが胃をさすって。
クスリ、と笑みが零れた。
簡単にそんな光景が思い浮かんだ自分がおかしくって、笑ってしまった。

「イズル?」

急に笑ったイズルに不思議そうな顔をしたケイに、彼は身を改める。
それから、どうして笑い出したかを説明した。

「ふふ、なるほどね」

全て説明すると、ケイも同じような反応をした。
きっと彼女も容易に想像ができたに違いない。

「また、ここに来ようよ」

今度は皆でさ、と付け加えて、イズルは明るい空を見上げた。
皆がいれば、もっと楽しいに違いない。
二人っきりのときとはまた別で。

「――そうね。いつか、また来ましょう」

同意するケイの声を耳にしながら、イズルは空の先、宇宙へと目をやる。
そうだ。きっと、またいつか、皆で無事に帰ってくるんだ。
それから、ここだけじゃない、色んなところに遊びに行こう。
内心、イズルは新たな決意をして、大きく頷く。

それから、イズルはふと思い出したようにケイの肩に手を伸ばした。
細いそれを掴んで、イズルは自分の方に彼女を引き寄せる。
ケイは何も言わない。ただ、無言でイズルに身体を預けるようにした。

華が咲く。彼らの多難であろう道を照らすかのように。
この先を、道の続きを示すように。遠い宇宙の先まで、この希望の咲く音が届くように。

終わり。これは長くなった。次は>>286 >>396 >>397 >>399のどれかで。
では。何かネタがあればどうぞよろしくお願いします。この調子で一スレ埋まるといい。

食事制限中のケイがどこからか入手した「甘いキス」という情報から
イズルにキスをせがむ

いつの間にかロリコン疑惑を立てられて噂を払拭したいアサギと
それでもどうにかアサギに甘えたいアンナちゃんとか

盆栽に名前を付けて可愛がるアサギ

アサギのアロマコレクション

どうも。時間できたからちょっとやります。
皆さんアサギ好きですね。もっとタマキとかスルガでもネタ出していいんですよ?

盆栽を一つ

アサギの部屋

アサギ「……」スッ

アサギ「…っ」チョ、キン

アサギ「………ふぅ」

アサギ「…よし、完璧だ」ニコリ

シュッ

アンナ「――アサギー? いるかー?」

アサギ「ん。何か用か?」

アンナ「あのな、じいちゃんが…」

アンナ「……」ジー

アサギ「…?」

アンナ「……はっ」

アサギ「おい何だその笑みは」

アンナ「別にー? ヘボパイの趣味はじじくさいなー、なんて思ってねーぞ?」ハン

アサギ「…お前みたいなちんちくりんには分からん。この儚さと美しさは」ハッ

アンナ「」ムッ

アンナ「言うじゃねーか、このヘボ。私に分からないモノなんてない!」

アサギ「…ならやってみるか?」フッ

アンナ「おー上等だ! やってやろうじゃねーか!」スタスタ

アサギ「とりあえずこいつでやってみるか」






アンナ「…」ソー

アサギ「そう、そこだ。慎重にいけ」

アンナ「……っ」チョ、キン

アサギ「…よし。良い感じになったな」ウン

アンナ「ふ、ふー。ら、ラクショーだぜ」アセヌグイ

アサギ「ほー。ここまで三十分ぐらいずーっと一つ枝切るのに使ってか?」ニヤニヤ

アンナ「」カァ

アンナ「お、お前の教え方が悪いんだろ!? 私は何も……」ハッ

アンナ「ま、待って! 今何時!?」

アサギ「だから、あれから三十分…」

アンナ「いっけない! パパたちが…」

アサギ「そういえばお前何しに来たんだ?」

アンナ「パパとじーちゃんにお前を夕飯に誘ってこいって言われてたの!」

アサギ「ああ…そりゃ行かないとな」

アンナ「早く! パパとじーちゃん待たせちまうと悪いだろ!」グイグイ

アサギ「あーはいはい。さっさとな」ヨット

アンナ「お、おう」トコトコ

シュッ

アンナ「…な、なー、アサギ」トコトコ

アサギ「…何だよ?」

アンナ「ま、また」

アサギ「ああ」

アンナ「また、盆栽付き合ってやるよ。その…ど、どうせ誰もやってくれなくて寂しいんだろ?」

アサギ「…へぇ」

アンナ「な、何だよ!?」

アサギ「いや。ありがとよ」ニコリ

アンナ「……おう」ニッ

いったん終わり。次は>>397をやります。
それとは別に>>286 >>396のシモン司令については彼のキャラが掴めてないので当分はやりません。
じゃあまた後で。

イケメンで実力があって気遣いもできるアサギがなぜモテないのかラビッツで徹底検証

はいどうも。さっそくやっていきます。

始まりはいつだったろうか。
それは誰も覚えていない。

「お母さん」

ただ、その一言が引き金だった。

スターローズのイズルの部屋。
そこに、何となく集まっていたチームラビッツのメンバーは、声の主――イズルに視線を集中させる。
それに対して、イズルは自分に集まる視線にはっとしたようにキョロキョロとチームメイトの顔を見渡す。

「…何だよ、急に」

面倒そうに、最年長であるアサギが口を開く。
イズルは自分の言動を顧みるように、ゆっくりとそれに返した。

「いや。あの、スズカゼ教官――じゃなかった、艦長がさ」

「…艦長がどうかしたの?」

躊躇いがちに言葉を探す素振りを見せるイズルに、ケイが続きを促す。
すると、彼はようやく溜めていた言葉を出しきった。

「僕らの、お母さんみたいだな、って」

「……」

「……」

「……」

「……」

イズルの言葉に、全員何も返さなかった。
ただ、イズルの顔を見て、無言を貫く。

「…何だ、そりゃ」

「何を言うかと思えば…」

数秒して、やっとスルガが呆れたような声を出す。
それに同調するようにアサギもため息混じりに返す。
そんな仲間たちの声に、イズルも頭のてっぺんの辺りを掻きながら、苦し紛れの笑みを浮かべた。

「そ、そうだよね。はは…」

そうやって笑ってごまかそうとした。
そうすれば、思い入れしたくない――いや、できない過去のことから、逃れられる。

両親のことですら知らない彼らにとって、それは知識。単語の世界のモノでしかない。
掘り起こすな。分からないモノは分からないで押し通していればいい。
だって、そんなことを考えたって…意味なんてないんだから。
そういった諦めのような結論を早いうちから出していたチームラビッツにとって、『お母さん』は知られざる禁句となっていた。

「…ホント、何を言ってるんだか」

「……おばからー」

そんな風にツッコミを入れられて。この一瞬の世間話は終わりを告げる。
――はずだった。






戦艦ゴディニオンのブリーフィングルーム。
スズカゼ・リン艦長は手にしていたムチをピシャリと鳴らす。
それだけで作戦説明のときですら流れるチームラビッツの緩い緊張感が鋭くなる。

「――以上で作戦の説明は終わりよ」

何か質問はある? と加えて、彼女は鋭い気配のままその場を眺め回す。
生徒であり部下でもある少年たちからは特に何も言葉はない。
コクリ、と頷き、リンは部屋の出口へと向かい――

「あっ…」

と、そのとき。
チームのリーダーであるイズルが手を上げる。
何か聞きたいことがあったらしい。
彼は少し自分の世界に浸りがちなところがあったから、おそらくはぼうっとリンの話を聞いていて反応が遅れたのだろう。

イズルは口を開く。
そして、艦長、といつもの通りにぎこちない声で言う、はずだった。

「――お母さん」

しかし、その言葉はもっと意外なモノだった。
リンの思考が真っ白になる。
あまりにも聞いた言葉の違和感に、空白が生まれてしまったのだ。

「…え?」

呆然と呟くことでしか反応できなかった。
何も返せない。
その言葉の意味を考えて、止まることしかできない。

「あ……」

自分の声に驚いたような顔をしたイズルに、周りにいる彼の仲間も目を見開いて沈黙していた。
その周囲の空気は、実に張り詰めていた。
それを何となく肌で感じたのか、イズルは数秒ほどの混乱をその顔に表してから、ペコリと頭を下げた。

「す、すみません! あの、その、間違えました。艦長」

慌てたように取り繕う声に、ようやくリンの思考も動き出す。
それから、冷静になるように言い聞かせた頭で、淡々と言葉を発する。

「…何かしら、ヒタチくん」

躊躇いがちにイズルは促されると、自分の質問を口にする。
簡単な質問にさっさと答えると、リンは部屋を今度こそ出た。
去り際にチラリとチームラビッツの顔を窺う。
彼らは、少しだけ緊迫感から解き放たれたような顔をしていた。






その日、サイオンジ・レイカは実に機嫌が良かった。
自らの仕事であった機体の整備が困難を越えてようやく完了したから、というのもある。
しかし一番の理由は、単純に以前から発注していた期間限定販売の日本酒が届いた、ということだろう。
さて、とにもかくにも彼女は実に機嫌が良かった。
そんなわけで、彼女が休憩室で幼馴染を見つけて気分よく話しかけるのも当然のことであった。

整備が終わり、後の片付けをピットクルーたちに任せて、自室に帰る途中。
通りかかった休憩室に古くからの友人を見つけ、レイカはそっとその中に入る。

「何してるのーリンリン?」

「レイカ? 仕事は?」

「終わったわよ。そっちは?」

言いながら、レイカはリンの隣に座る。
何故か彼女は少し――落ち込んでいるように見えた。
リンは、特にレイカに対して注意を向けず、ベンチに座って小さな窓から外を眺めている。
その手には、甘い飴ばかり舐める彼女のイメージには合わない、ブラックの缶コーヒー。

「ちょっと、サボり」

「あら珍しい。リンリンがサボるなんて」

本当に意外そうにレイカは言った。
このマジメな昔馴染の女性は、むしろそういう行為をする人間を非難するタイプなのだ。

ははーん、また何かやったな?
鋭く察して、レイカは無言を貫く。
こういうときは、勝手に向こうから語り出す。
レイカは経験則で理解していた。

「…レイカ」

「…うん?」

そらきた。
予想通りの展開に特に驚かずに彼女は何気なく身を乗り出す。
この友人は何かと抱えて絶えないストレスを抱く。
少しでも自分のような人間が軽減してやらなくてはならない。

リンはそんなことを思うレイカのことは知らずに、そっと喋り始める。
その声色は、戸惑いに包まれていた。

「今日、さ。『お母さん』って呼ばれちゃった」

「あの子たちに?」

「うん。イズルに」

「…そう」

あの子ならやりそうね、と感想を心の中で漏らす。
イズルという少年は、どうにも少しぼんやりしているところがある。

しかし、よくあることじゃない、とはレイカには言えない。
何故なら、『お母さん』という言葉はこの場合にはある重みがあるのだから。
親も知らずにいる彼らチームラビッツには、それが押し込められている辛さを考えさせるきっかけになりかねないのだから。

「何て言えばいいか、分からないけど」

リンはレイカの言葉を待たずに続ける。
手に持っている缶コーヒーは、もう中身がないらしく、振っても何の水音もしない。

「母親って、こんなに辛い気持ちになるものなのかしらね」

ため息を吐くようにリンは言い捨てて、立ち上がって空き缶をごみ箱に捨てる。
それから座らずに外に視線をやっていた。
何かから逃れることを望むような目で。

「――リンリン」

「私は彼らの、そんな存在じゃないのに。もっと、ひどい存在なのに」

レイカの呼び声を遮るようにリンは続ける。
困ったわね、とレイカは思った。
酔っているときと違って、冷静なのが厄介だ。
思考がぶれたりなんてしていないのだから。

「私、最低よ。――それを聞いて、嬉しい、って思っちゃったんだもの」

冷徹に、自嘲するような声でリンは呟き、笑った。
吐き捨てるように彼女はさらに加える。

「母親とやらは失格よね」

その言葉を最後に、リンは黙った。
それから、ごめん、とレイカに一言謝った。
こんな話は聞かせるものじゃないわ、と。

レイカは呆れ気味に息を吐く。
まったく、この子は……。

「リンリンってさ、マジメすぎるわ」

考えを纏めると、レイカはさっさと行動に移った。
あまりにもリンは真剣すぎた。
それは彼女の長所でもあるが、短所となり彼女の心に牙を剥く。

「別にさ。『お母さん』じゃなくたっていいじゃない」

特に何の反応も示さないリンを気にせず、レイカは続けた。
これまで見てきたことを踏まえながら、むしろリンの悩みを祝福するように。

「リンリンはリンリンよ。あの子たちにとっての特別な誰かなの」

そう、それはもう明らかなことであった。
これまで、イズルたちチームラビッツは、極端に人と触れ合うことが少なかった。
だからこそ、ほぼ唯一の付き合いの長い大人であるリンを、何かと頼っている。
アッシュに乗って戦うときも、学校を卒業してスターローズに来たときも。

リンは答えない。
その事実を理解しているからか、何も返さず、ただ外に目を向けて、レイカの声を聞いていた。

「それで満足しましょうよ。気負う必要なんてないし、分かってるじゃない」

レイカは立ち上がった。
それから、リンの顔が見えるところまで近付き、隣に並ぶ。
そして、彼女に向かってとびきりの笑顔を見せてやった。
ただ一つ、母親かどうかは別として、存在している事実を教えるために。

「リンリンは母親なんかじゃない。あの子たちの――保護者なんだからさ」

「…レイカ」

レイカの言葉に、リンはやはり顔を背けた。
もう、泣き虫なんだから。
昔からの癖にレイカは安心する。
こうだからこそ、彼女はリンと友人でいられるのだ。

「あ、言っておくけど、私とピットクルーたちもね」

ふと、思い出したように付け加える。
自分のことも計上しておかないと、ちょっと不満だ。
何も彼らはリンだけの子たちではないのだから。

「あの子たちは、もう私たちにとって家族も同然だから」

レイカはそう言うと、それぞれのピットクルーの面々のことを思い浮かべる。
最近は彼らとラビッツのメンバーでよく出かけることもあるらしい。

「…そうね、私たちはもう、そうだったわ」

横を向いたまま、リンは、ふっと唇を綻ばせた。
ふう。やーっと、笑顔になった。
自らの仕事を達成したことに、レイカも改めて笑みを浮かべる。
たぶん今日も美味しいお酒が飲めるだろうな、などと考えながら。






「まったく。素で間違えるか? 普通」

スターローズの食堂。
アサギはサンドイッチを片手に、隣のイズルに呆れたような声を出す。
その声に、集まっていたチームラビッツのメンバーたちもイズルに呆れたような目を向ける。
それを受けて、イズルは困ったような笑みを浮かべた。

「あはは…さっきの、つい引っ張っちゃったみたいでさ」

「……しょうがないわね」

「艦長絶対怒ってたぜ、あれ」

「か、かなぁ…」

スルガの言葉に、イズルは急に自分がとんでもないことをしでかしてしまったような気がしてしまう。
艦長、怒らせると怖いもんなぁ……。
ムチの音を高く鳴らすリンの姿を想像して、そわそわと箸を動かす手の動きが落ち着かなくなる。

「謝った方がいいんじゃなーい?」

タマキが能天気な声で提案する。
確かに、作戦前に何とかして謝っておいた方がいいかもしれない。
かといって、リンには時間がないだろうし、機会はない可能性もある。

――が、そんなイズルの考えとは裏腹に、唐突にそのチャンスはやってきた。

「…あら、あなたたち」

聞き慣れた声にイズルは顔を上げる。
自分の前、タマキの隣にいつの間にか座った人物に、思わず素っ頓狂な声が上がった。

「っ!? あっ、きょ――じゃなくて、艦長」

先程からずっと話題に上がっていた人物、リンが昼食らしいトレーを持ってそこに座っていた。
も、もしかして、さっきのことを――?
そんなことを考えながら、イズルは慌てて挨拶した。
それにつられるようにチームの仲間にも同じように挨拶する。

そして、リンが口を開く。
作戦説明のときの呼び間違えを怒っているかもしれない彼女。
その唇から紡がれた言葉は――

「無理に呼ばなくてもいいわよ」

ずっと、想像の範囲外にあったモノだった。

「え?」

思わず、イズルの目が点になった。
彼女はそんなイズルの反応に対して、穏やかな笑みを返す。

「好きに呼んでいいって言ってるの」

それだけ言うと、真っ先にスルガが反応する。
彼はカレー用のスプーンを握りながら、ニコニコと笑顔で提案した。

「あ、ならなら、リンリンって…ふげっ!?」

「すみません」

「ふふっ、ナイスだったわ、ケイ」

ペコリと、まるで姉のように頭を下げるケイにリンは笑みを零す。
このチーム、こういうところがザンネンなのだが、リンは決して彼らのこの緊張感のない空気が嫌いではなかった。
ケイに遠慮なく机の下で足を踏まれたらしいスルガは少し呻くと、ちぇっ、と唇を尖らせながらまたカレーに意識を向ける。

「あの、艦長」

「何かしら?」

そこを狙ったように、イズルが話しかけてくる。
返事をしながら食事を始めるリンに、彼は遠慮がちに言葉を紡ぐ。

「先程は、その…」

「別に気にしてないわ」

途中で、リンはその言葉を遮った。
何が言いたいのかは分かったし、それは謝る必要のないことだったからだ。
リンは告げる。レイカにも言われたたった一つの結論を。

「私はあなたたちの保護者よ。忘れていないかしら?」

「あ……」

言いながら、イズルに微笑みを向けて、リンはその頭をくしゃくしゃに撫でた。
少しばかり慣れのないぶっきらぼうなそれは、それでいて、イズルをひどく安心させてくれた。
されるがままのイズルの頭から手を離し、リンは笑みを崩さずに向ける。
それを見て、イズルも笑った。いつものような快活さで。

イズルが笑ったことを確認してから、リンはまた口を開いた。
もう一つ、言っておかなくてはならないことがあった。

「ああ、でもお母さんはできれば止めてほしいわね。私はまだそんな歳じゃないし」

「おかーさん」

リンが付け加えた言葉を言い終える前に、タマキがその単語を言う。
リンはそれに素早く反応すると、すぐさま訂正をした。

「タマキ、それはなし」

「……ダメなの?」

禁止する、というリンのセリフに、タマキは隣のリンに下から覗き込むようにする。
その目は、『お母さん』と呼べないことを寂しがるように、ザンネンそうに沈んでいた。
純粋なその瞳に、思わずリンはうろたえてしまいそうになる。

「っ……。し、仕方ないわね」

諦めたようにそれだけ言うと、リンはそっぽを向いた。
タマキは、その了承の言葉にあっさりと笑顔を取り戻す。
一方で、それを聞いたスルガが、ニヤリと不敵な笑みで、からかうように一言リンに告げた。

「お母さーん」

甘えるようなその声に、リンは返す代わりにムチをピシャリと鳴らした。
反射的に固まるスルガに、リンは顔を赤らめつつ、ルールを一つ取り決めた。

「…タマキ以外は禁止」



こうして、しばらくの間、タマキがリンを『おかーさん』と呼んで甘えたり、スルガが『リンリン』とからかってみたり、
ケイが照れ気味に『…お姉さん』と呼んだり、アサギが頑なに『艦長』と呼んだり、
イズルが『お母さん』とやはり間違えて呼んでしまったりする。

さらに言えば、この流れがMJPの他の生徒たちに伝わって、
こっそりとリンが色んな呼び方をされてしまったりするが、当人の知るところではない。

終わり。次は>>399 >>423 >>424 >>425 >>427 >>436 のどれかで。
ネタがたくさんあって楽しいです。アンジュが来たらまた増えるでしょうね。
それでは。中の人もザンネンそうで個人的には何よりです。

どうも。
今日は>>424をやりたいと思います。

スターローズ――第一回廊

アサギ「」スタスタ

アンナ「」トコトコ

アサギ「」ン?

アサギ「……」クルリ

アンナ「」ン?

アンナ「」パァ!

アンナ「おーい! アサギー!!」ブンブン

アサギ「……」タッ

アンナ「え、お、おい!?」タタッ

アサギ「!」ダダッ

アンナ「待てよー!」ダダダッ

アサギ「」ピュー

アンナ「」タタタッ

アンナ「」タタ…タ

アンナ「」ゼーゼー

アンナ「…あ、あの、ヤロー…何の、つもり、だー」ペタン






アサギの部屋の前

アサギ「はぁ…」フリムキ

アサギ(…何とか振り切った、か?)

アサギ(まったく…アンナのヤツ、人を見つけるやいなや向かってきやがって)

アサギ(ちょっとは気遣えってんだよな)ハァ

シュッ

アサギ(…いや。まぁ勝手に俺が避けてんだけどさ)

アサギ(スルガの野郎、気楽にアサギスペシャル2なんて笑いやがって)

アサギ「……誰がロリコンだっつーの」ハァア…






翌日――食堂

アサギ「」パクパク

MJPのメンバー「」ヒソヒソ

アサギ「」ムッ

MJPのメンバー「」サッ

イズル「えっと、大変だね、アサギ」

アサギ「お前にそんなこと言われたくない」

イズル「……」ポリポリ

スルガ「まーまー、良いじゃん別に。今さらザンネン以外の呼ばわりが増えても」

アサギ「良くねえよ!」デコピン

スルガ「あたっ」ヒリヒリ

タマキ「アサギってロリコンなのー」グデー

アサギ「違うっつーの。だいたい、誰だそんなこと言ったヤツ」

ケイ「さあ。噂なんてどこから出てくるからは誰にも分からないものよね」

イズル「大丈夫だよ、僕らアサギのことは信じてるから」

アサギ「あーはいはい、ドウモアリガトウ」ハァ






スターローズ――第一回廊

アサギ「」フゥ

アサギ(まったく気晴らしにもならなかった…アイツらにそこまでの効果なんて求めてねーけど)

アサギ(そもそも、アンナのヤツが人にあんなに構ってきやがるから――)

アンナ「」ヨロ…ヨロ…

アサギ(…俺は何だ? 一日歩いてるとコイツに一度は出会わなくちゃならない宿命でも背負ってるのか?)

アサギ(……まだ気付いていない、よな?)

アサギ(逃げるが勝ち、だな)クル…

アンナ「ふぎゃっ!」ドターン

アンナ「うう…。いた……」ヒリヒリ

アンナ「くっそー。じいちゃんに素直に頼めば良かったか…」チラリ

アンナ「どーしよ……この荷物」ハァ

アサギ(………)

アサギ「」スタスタ

アサギ「」スタスタスタスタ

アサギ「」スタスタ…ピタ

アサギ「――っ!」

アサギ(だいったい! 誰か手伝ってやれよな! だから俺みたいのが――)

アサギ(俺、みたいのが――)ハァ

アサギ「…何やってんだお前は」

アンナ「」ハッ

アンナ「アサギ! ちょうどいいトコに来た! 手伝ってくれ!」ニコー

アサギ「何で俺が…」

アンナ「いいから! 何か礼くらいするからさ!」グイグイ

アサギ「裾を引っ張んな。……しょうがねぇな」ヨット

アンナ「♪」トコトコ

アサギ「…おい」スタスタ

アンナ「何だ?」

アサギ「昨日は、悪かったな」メソラシ

アンナ「……? 何がだ?」キョトン

アサギ「何がって…お前――」

アンナ「?」

アサギ「……いや、何でもない」

アンナ「何だよ? いつもより変だぞ?」

アサギ「俺はそんなに変じゃないだろ」

アンナ「何言ってんだこのヘボパイ」ハン

アサギ「…あ、急用を思い出したわ、じゃあな」

アンナ「え、ちょ、ちょっと待って!」

アサギ「……冗談だよ、冗談」

アンナ「お、お前なぁ……」

アサギ「ほら、早く行くぞ。礼してくれるんだろ?」ニコリ

アンナ「……お、おう」テレ

終わり。
次は>>399>>425で。
それでは。

実はリンリンが憧れてた先輩がイズル似とかいかがっすか

なんらかの事情によりパイロットとピットクルー?整備班?を一日シャッフルとかどうだろうか

スルガ→お姉さん達
イズル→マッチョ達
みたいな感じで

どうも。時間ができたのでまた来ました。
>>425を一つ。

アサギの癒し

アサギの部屋

スルガ「……」

アサギ「………」ソー

イズル「……」

アサギ「…っ」チョキン

タマキ「……」

アサギ「……」ジー

ケイ「……」

アサギ「……」ニコリ

スルガ「前から思ってたんだけどさ…」

アサギ「何だ?」

イズル「アサギのそれ、何?」

タマキ「木がいっぱいだよねー」ジー

ケイ「見たこともないモノばかりね」

アサギ「何って…盆栽だよ。知らないのか?」

スルガ「さっぱり」

イズル「初めて見たなぁ」

タマキ「盆栽って何するのー?」

アサギ「ざっくり言うと、この木をどれだけキレイに美しく見せられるかを考えて枝を切ったりするんだ。
    …要するに木の演出ってことだ」

タマキ「ふーん…それっておもしろいの?」

アサギ「とりあえず癒しになる」

イズル「見た感じどれも似た木に見えるけど…一個一個違うの?」

アサギ「ああ。そこの低い背のがシンタロウ。で、あっちの枝の太いのがジュンヤ」

ケイ「…? 何だか人の名前みたいね」

アサギ「そりゃ俺が付けたからな」

スルガ「何だそりゃ?」

アサギ「愛着が湧いてくると名前が欲しくなるんだよ」

イズル「へぇー。何かいいね」

スルガ「おいおいただの木だぜ? 名前なんて付けるか?」

アサギ「別にいいだろ。しっくりこないんだよこうじゃねぇと」

タマキ「ねー。こっちのは何て名前ー?」ペシペシ

アサギ「あ! バカ! ヒロキに触るな! 枝が折れちまうだろ!」アワアワ

ケイ「そんな必死にならなくても、木だから簡単には折れないでしょ?」

アサギ「繊細なんだよこいつは。…まったく」ナデナデ

イズル「うーん。お父さんみたいだね、アサギ」

スルガ「相手は木だぞ?」

タマキ「でもー。何かアサギっぽくていいのら」

ケイ「それはどうかと思うけれど…」

アサギ「ん? お前も枝が伸びちまったなぁ…。しょうがない、切ってやるか」ニコニコ

一度終わり。
次は>>399 >>423 >>427 >>436 >>471 >>475 をまとめてやれるだけやります。
それではまた後で。

どうも。今日は>>399 >>423 >>475をやります。
では順番に。

恋をすれば誰もが乙女

スターローズ――ケイの部屋

深夜

ケイ「……」ゴロリ

ケイ「……」ハァ

ケイ(一人って退屈ね…知ってたけれど)

ケイ(……イズルに会いに行きたい)

ケイ(確かに、私が悪かったけど…)

ケイ(だからって、こんなにも長くプライベートで会えないなんて)

ケイ(部屋に出入り禁止って言われてからもう一週間…せめて私の部屋に来てくれたら…)

ケイ(……。その場合どうなのかしら? イズルが、来るとして……)

ケイ(イズルが、ま、まさか、夜這い…とか?)

ケイ「……」




ケイ『……ふぅ』

シュッ

イズル『――ケイ、いる?』

ケイ『い、イズル? どうしてここに?』

イズル『どうして、って――』ガシッ

ケイ『やっ…い、イズル!?』

イズル『いつかのお返しに来たよ』ニコリ

ケイ『あ、あれはもう、謝ったじゃ…むぅ』

イズル『………ぷはっ。あれだけで済むと思ってたの? ケイは甘いね』

ケイ『あ、んんっ! せ、せめて、ベッドで…』カァ

イズル『ダメ。それじゃケイに仕返しできない』ガバッ

ケイ『あっ……』




ケイ「………」

ケイ「」ハッ

ケイ(な、無いわよ、そんなの! あ、あのイズルよ!? そんな、ことするわけが…)

ケイ(…………。で、でも)

ケイ(もし、そうなったら…。わ、私は…)

シュッ

ケイ「!?」

ケイ(え、だ、誰? まま、まさか、そんな、ウソ…!)フトンカブリ

ケイ(い、イズル、が……!?)

???「……」スタスタ

ケイ(こ、こっちに…!)アワアワ

???「……」ジーッ

ケイ(ど、どうしよう? どうすれば…)

???「」フトンメクリ

ケイ(……あっ)

ケイ「――い、イズル! ダメよ、そんな…」

タマキ「……ほえ? いずるー?」ボー

ケイ「……え?」

タマキ「んんー、いずるがどうかしらー?」コックリコックリ

ケイ「…な、何でもないわ。そ、それよりもタマキ、その、どうしたの?」カァ

タマキ「きょーもねれないのー」

ケイ「…もう。しょうがないわね、ほら」テマネキ

タマキ「んー、ありがとー」フトンカブリ

ケイ「はいはい」ナデナデ

タマキ「――ん、ぅ」スー

ケイ「まったくもう、寝るの早いじゃない」

ケイ「……」ゴロン

ケイ(……はぁ。私ってバカね。恥ずかしい)

ケイ「…おやすみ、タマキ」スゥ

ケイ(――イズルも、ね)

区切り方を間違えました。
次、行ってみよう。

「キスして」

部屋に入ってくるや、彼女はそんなことを言った。

チームラビッツの拠点、スターローズの個人用に支給されている一室。
その部屋の主――イズルは突然すぎる言葉に首を傾げる。
あまりにも、それは突飛で、脈絡も何もないモノだった。
とにもかくにも、視線を入口近くに立つ少女――ケイに向けて、彼は疑問を投げ出す。

「ええと、どうして?」

「理由がいるのかしら?」

質問に質問で返すのは感心しないなぁ。
などと思っているうちに、彼女はいつの間にか目の前に立ってイズルの首に後ろから手を絡める。
そのままぐい、と引っ張られて、一気に二人の顔が密接になる。

「や、ちょっと…」

抗議する間もなく。
あっさりと、イズルの唇がケイの柔らかな唇によって塞がれた。
…もう、仕方ないなぁ。
諦めて、イズルはそのまま行為を継続する。
とりあえず、ケイから離れるのを待たなくてはどうにもならない。

「………ん」

ちゅっ、と。
小さなリップ音を立てて、二人の唇は綺麗に離れた。
触れるだけのそれの余韻に浸りながら、イズルはケイの細い身体を抱き締める。

余韻も終わると、イズルはケイの様子を観察してみる。
彼女はといえば、実に物足りなさそうな顔をしていた。

「…甘く、ない」

「へ?」

訳の分からない呟きに反応すると、ケイが顔を上げた。
若干顔を赤らめている彼女は、恥ずかしげにしながら、やっと先程の質問に答えてくれた。

「甘いキス、っていうのがあるんですって」

ケイの説明はこうだった。
その説明の前に、ケイの現在置かれていたある状況についての説明が必要になるが。

今、ケイは食事に制限がかかっている、
というのも、それは彼女の健康状態が原因だった。
ケイは、普段からごはんや野菜、肉も摂ろうとしないで、甘いお菓子ばかりを食事のときに食べている。
そんな彼女の健康状態は医療班も見ていられないほどだったらしい。
それで、ケイはこの一か月ほどは栄養バランスの良いモノのみを食べるようにさせられている。

ここまでが話の前提。
そしてここからが本題。

大好きな甘いモノが食べられなくなって我慢のならないケイは、ある情報を耳にしたらしい。
それが誰からのモノなのかはあいにくと聞けなかったが。

とにかく、話を戻すと。

『甘いキス』というモノが存在するらしい、という情報をケイは得た。
そして、それがどういうモノかも知らずに、彼女はイズルの部屋にやってきていきなりキスをせがんできた、ということだ。
どうすればいいのかも知らずに慌てて来る辺り、彼女も甘いお菓子がなくて相当参っているらしい。

「……何て言うか、ちゃんと調べるべきだったんじゃない?」

「…ごめんなさい」

イズルの指摘に、ケイはとてもザンネンそうな顔をした。
…そんなに甘いモノに飢えてるんだ。
何故か少しだけ罪悪感を抱きながら、イズルもその情報について考えてみる。
このままでは、自業自得とはいえ、何だかかわいそうすぎる。
それに、恋人を助けてあげられないようなヤツはヒーローではない。

そう決意すると、イズルは高い集中力で思考を深めていく。
『甘いキス』というだけあって、何か特殊な方法が必要なのかもしれない。
でも、どうすれば――

「……あ」

それは唐突に脳裏に閃いた。
雷光の如く駆けていく思いつきに、イズルは身を任せて行動を開始する。

「イズル?」

背後で不思議そうにするケイの声も耳に入らない。
イズルは自分の部屋の冷蔵庫に向かって進み、その扉を開く。
あぁ、やっぱりあった。

そっと手を伸ばして目的の物を手に取る。
振り向いたイズルの手の中のそれを、ケイはつい凝視してしまう。
何故なら、それはケイが欲して止まない甘いお菓子だったから。

「どうするの、チョコレートなんて」

イズルの持つお菓子――銀の包み紙に入った板チョコレートを見つめながら、ケイは疑問の声を上げる。
ケイは甘いモノを食べてはならない。
そんな彼女に、それはあまりにも毒々しかった。

それを分かっているはずなのに、イズルはそれを取り出した。
もちろん、彼なりの考えと発想によって。

「こうするの」

短く答えて、イズルはチョコレートを適当なカケラに割ると、口に放り込む。
そして、その様子を羨ましそうに眺めていたケイの前にまた立つ。

「……え?」

ケイが驚く間もなく。
イズルがケイの唇を塞いだ。
彼女が何かする前に、イズルはそのままケイの口内へと舌を滑らせる。

「――!?」

突然のことに混乱するケイに、さらなる驚きの事態が起こる。
口を開いた彼女の舌に、何かが流れ込む。
それに触れた瞬間、ケイはそれが何かを理解して、また、飲み込んだ。

これは――チョコレート?

そう、イズルの食べたチョコレートがいくつか彼女の口内に流れていったのだ。
久しぶりに味わう甘味を、ケイは落ち着かない気持ちのまま、必死に堪能する。
あぁ、これだ。これをずっと待ち望んでいた。
唇が離れて、しばらくしても、ケイは動けなかった。
余韻がずっと、彼女の舌に残っていたからだ。

「まぁ少しくらいなら大丈夫でしょ」

そう言いながら、イズルは微笑んだ。
ケイの喜びに満ちた表情を見て、彼は実に満足そうにしていた。

「……ありがとう」

ようやく余韻が消えて、ケイは平静になり、お礼を一言告げる。
今、冷めてきた頭で考えると、かなり恥ずかしい頼みをしてしまったことに気付いて、少し顔の温度が上昇する錯覚を抱く。

「どういたしまして。えっと、『甘いキス』だったかな?」

「っ、わざわざ聞かないで…」

素でこういうことを言うから、彼は手に負えない。

「…よ、良かった、わ……」

しかしながら、ケイのセリフから、失敗したのかな? と目に見えて落ち込んでいる彼を見ると答えないわけにもいかない。
そんなケイの気持ちも知らずに、イズルは嬉しそうに明るい表情になる。
はぁ、とため息を吐きながら、ケイは踵を返す。
一度自分の部屋に戻って、一人でいたい。

そう考えながらケイは歩き出す。
後ろから、じゃあね、などと言うイズルの声が聞こえる。
………。

「ケイ?」

もう一度、ケイは振り返った。
その視界の中では、イズルがそんな彼女を不思議そうに見ていた。
そんな彼に対して、ゆっくりと、躊躇いがちに、ケイは口を開いた。

「…ま、また。お願いしても、いい?」

言ってから、ケイは目を逸らした。
最初のお願いといい、なんて仕方ないことを頼んでいるんだろう。
しかし、さっきのアレを体験した後だと、今の状況には必要なことだった。
だから仕方がない。……仕方がないのだ。
そう自分に言い聞かせるケイに、イズルから数カケラのチョコレートをもらう、という考えはなかった。

「もちろん。いつでもいいよ」

イズルはあっさりとそれを了承した。
彼にとっては、それは大して気にならない問題だった。
何故なら、ケイとは恋人だから。
キスは確かに慣れないけれど、そういうことは必要だ。
そのようにマンガの知識で認識していた。

「…それじゃ」

「うん、またね!」

そうして二人は別れた。
また会うことと『甘いキス』をするということを約束して。





――その後、二人は本当の『甘いキス』のことを知る。
さらに、それをよく実践していたことを知り、少しばかり気恥ずかしくなって、普通のキスもできなくなったりもする。
もちろん。そんなことで彼らの愛情は冷めないし、また燃えたりもするが。
そのことについては、本人たちのみが知ることなので、この場では語られない。

はい、終わり。
それでは次に。

戦艦ゴディニオン――格納庫

アサギ「ピットクルーの入れ替え?」

リン「ええ」

ケイ「どうしてそんなことを? それぞれの専用機に専用の技術を持ったクルーたちが整備に当たるのでは…」

リン「それはこちらに説明してもらうわ」

レイカ「んーとね、何で変えるかって言うとさ。まぁ単純な話、確認作業みたいなモノなんだよね」

イズル「確認、ですか?」

レイカ「そそ、さっき言ってくれたけど、皆の専用機だから、専用の技術持ちが担当してるんだけどさ。
    それに慣れすぎてるからこそ、見落としちゃうトコとかもあるかもしれないわけよ」

スルガ「だから、入れ替えるんですか?」

レイカ「まーね。ま、たまにはいいんじゃない? 見慣れたクルー以外と話してみるのも」

アサギ「はぁ…」

リン「それじゃあ、私は戻るから。後はお願いね」

レイカ「はいはーい」フリフリ

スルガ「(大丈夫なのかよ、そんな急に…)」

ケイ「(不安だわ…)」

タマキ「(私は嬉しいけどなー)」

アサギ「(そりゃお前だけだ)」

イズル「(ええっと、ほら、大丈夫だよ、きっと)」

アサギ「(適当なこと言うなよ…)」






ブルー1の整備場

アサギ「…お疲れ様です」

シンイチロウ「…ん」カタカタカタ…

シンジロウ「」カタカタカタ…

シンサブロウ「」カタカタカタ…

アサギ「……」

シンイチロウ「」カタカタカタ…

シンジロウ「」カタカタカタ…

シンサブロウ「」カタカタカタ…

アサギ(…何だこの気まずさは)イガ






パープル2の整備場

ケイ「…お疲れ様です」

ダン「ああ、お疲れ」

マユ「お疲れ様、ケイっちー」

ケイ「……何ですか、それ」

マユ「? ケイだから、ケイっちよ」

ケイ「は、はぁ…」

ケイ(なるほど、アサギっちってこういうこと…)ホホエミ

マユ「どうかした?」

ケイ「いえ。…イズルがいつもお世話になってます」

ダン「ははっ、そんなにかしこまらなくていいよ。イズルはおもしろくていいヤツだしね」

ケイ「そうですね、ヘンです」

デガワ「男はな 外じゃなくて 中身だよ」

ケイ「…えっと」

マユ「あー。相手しなくっていいよ」

デガワ「何だよ、今の結構ウマかったろ?」

ダン「どこがですか…」

マユ「まったく、デガワさんは…」

ケイ「……ふふっ」






ローズ3の整備場

アンナ『わー、すっごーい!』キャッキャッ

タマキ『もっと早くするー?』ビューン

アンナ『もっと、もっとー!』

タマキ『よーし! 一気に行くのらー!』カチッ

アンナ『わ、わー!? ちょ、は、ひゃや…』グルグル

ディエゴ「…大丈夫かなぁ、アンナ」ピッピッ

マテオ「なーに、子機だけだから加速制限はついとるし、頑丈な子じゃ。だいたい、あれに乗ってみたいと言ったのはアンナじゃぞ?」

ディエゴ「そうだけど…」ウーン

マテオ「お前はどうも過保護なところがあるのう。この間もアサギくんに…」

ディエゴ「いや、あれは彼がアンナを連れ回すから…」

マテオ「そこからして親バカじゃ、お前は」

ディエゴ「う…」

アンナ「うえっ、気持ち悪い」グデー

タマキ「だいじょーぶー?」セオイ

アンナ「ご、ごめん、助かる…」

タマキ「お姉さんに任せるのらー♪」






ゴールド4の整備場

スルガ「いやー、お姉さま方! お疲れ様でーす!」

イリーナ「ああスルガくん。ちょうどいいところに来たわね」

スルガ「何ですか? 僕でよければ何でも聞いちゃいますよ!」

ロナ「今度お嬢が例の彼とデートに行くらしくてさ」

ジェーン「私たちで全力でコーディネートしてるんだけど、やっぱり男の子の意見も聞きたいじゃない?」

スルガ「えっと、お嬢ってのは…」

イリーナ「あ、そっか。ごめんごめん、ケイのことよ」

スルガ(ケイのヤツ、そんな風に呼ばれてるんだな。っつーか、誰だよ、例の彼って)

ロナ「でね? こっちの服とこっちの二つなんだけど…」

スルガ「うーん、こっちですかねー?」ヒョイ

ロナ「あ、やっぱりそう思う?」

マリー「ええー? こっちの方がいいと思うけどなー」

スルガ「うーん、確かにそれもいいですけど…」

ジェーン「あ、こういうメイクもしたら映えるんじゃない?」

スルガ「ああ、それだとこっちがよくなりますねぇ」

イリーナ「うーん…簡単には決まらないわよねぇ」

スルガ「こっちはお姉さんに似合いそうですねー」

ロナ「あらどうも。でもそれじゃお姉さんたちは落ちないわよー」

スルガ「やだなぁ。僕は全然そんなつもりありませんよー」ハハハ

イリーナ「まったまたぁ。あ、これなんていいんじゃない?」

マリー「あら、本当」

スルガ(…女の園、さいっこーっ!!)ヒャッホー






レッド5の整備場

イズル「――よし、完走しました!」ダダダッ

ヒデユキ「うむっ! 次は腕立て二百回だ!」

イズル「はい!」グッグッ

ノリタダ「いいぞ! 最初は軟そうだと思っていたが、お前! なかなか筋肉の教えが分かっているようだな!」グッグッ

イズル「僕はヒーローになるんです! 鍛えなくっちゃ!」グッグッ

タカシ「いい心がけだ! これが終わったら休憩とランニングに行くぞ!」グッグッ

ヒデユキ「その後は腹筋だ! きっちりとやりきるぞ!」グッグッ

イズル「はい! お願いします!」グッグッ

フィジカル3「おうっ!! 全ては筋肉のために!」グッグッ

イズル「筋肉と、ヒーローのために!」グッグッ






――その後、食堂に集まったチームラビッツは、お互いの顔を見合わせる。
楽しそうにしている者、辛そうにしている者、逞しくなった者など、全員、それぞれが様々な様子でいた。
しかし、それもまた、元のクルーに戻ると、何事もなかったかのように元通りになるのであった。
もちろん、変化をそのまま受け入れた者もいたが。

これで今日は終わり。とうとう半分超えましたね。
次は>>427 >>436 >>471をやります。
本日発売の月刊ヒーローズ(200円)にレッド5のクリアファイルが付いてきます。
かっこいいしマンガも読めてお得ですね。それでは。

どうも。今日は>>427 >>436をやります。

アサギのステキアロマ集

スターローズ――アサギの部屋

アサギ「」シュッ

燭台「」ポッ

アサギ「」ジーッ

アサギ「」スー

アサギ「……」ウンウン

イズル「…アサギのそれ、何?」

スルガ「アロマだとよ。落ち着くんだろ」

イズル「へー、初めて見たよ。何かキレイだね…」

アサギ「…まぁな。このカモミールなんかは香りも良いし、癒しの効果はかなりある」

タマキ「私それ煙いから苦手ー」

ケイ「あんな至近距離で吸うからでしょう? まったく、犬じゃないんだから」

イズル「ね、アサギ。他にはどういうのがあるの?」

アサギ「何だよ急に?」

イズル「ちょっと興味が湧いてきてさ、いいかな?」

アサギ「…そう、だな」ウーン

アサギ「」ゴソゴソ

アサギ「アロマって言っても色々と種類がある」

アサギ「例えばこれだ」ドンッ

イズル「ん。さっきのとは違うの?」シゲシゲ

アサギ「アロマってのは、抽出する油の種類で効果が変わるんだよ。
    ちなみにこれはイランイラン。ストレスを解消するのに使われるんだと」カチッ

スルガ「まさにアサギ向けってワケだ」ケラケラ

アサギ「うっせー」

イズル「わぁ。良い匂いする…」

ケイ「……そうね。とても甘くて、優しい香りだわ」

スルガ「……ま。悪くはねーな、こういうのも」

タマキ「うーん…」クンクン

タマキ「――あ、煙くなーい!」パァ

アサギ「普通はそうだよ。っつーか、あれはお前が近すぎただけだから」

イズル「ね、アサギ。これ借りてもいい? すっごく気に入っちゃった」

アサギ「…別に。持ってって構わねぇけどな」

イズル「ありがとう!」

スルガ「ついでだから俺もいいか?」

ケイ「私も欲しいわね。この匂い、すごく落ち着いてくる」

タマキ「塩辛の匂いとかないのー?」

アサギ「あるワケねぇだろ! ……まぁ、貸してやるけどさ」ハァ

イズル「ありがとうアサギ!」ニコリ

スルガ「悪いな」フッ

ケイ「ありがとう」ニコリ

タマキ「ありがとー」ニコニコ

アサギ「…おう」プイ



その後。何かとアサギにアロマを借りに皆が部屋に入り浸るようになり。
一人でのんびりしていたい、というアサギの願いは叶うこともなく。
それをザンネンに思いながらも、年長者として頼られていると言い聞かせて、アサギはいつも通りに振る舞うのであった。

終わり。次行ってみよう。

アサギザンネン発表会――何故彼はモテようとしないのか。

グランツェーレ都市学園

寄宿舎――イズルたちの部屋

ケイ「――それで? どうして私たちを集めたの?」

イズル「ええっと、僕も聞いてないんだけど」

タマキ「っていうか、アサギはー?」

スルガ「おう。今日集まってもらったのはだな…」

ケイ「…何なの? こんな休みの日に呼んだからにはちゃんとした用事なんでしょうね?」

スルガ「アサギのことなんだけどな」

タマキ「何なのらー」

スルガ「――アイツって、何でモテないんだと思う?」

タマキ「何それー」

イズル「えっと…」

ケイ「」ガタッ

スルガ「待てケイ。話を聞け」

ケイ「あまりにもくだらないお話に呆れてるの。こんなことだったらお菓子でも作ってるわ」

イズル「ま、まぁまぁ。一応スルガの話も聞いてみようよ」

ケイ「イヤよ。どうして私がそんなことに…」

イズル「ほ、ほら。スルガ、どうしてそんなことを?」

スルガ「いやな? アイツって、俺が言うのもあれだけど、気遣いはできるし、成績優秀だし、ツラだって良いしさ。
    何で、それでモテないのか気になってよ。それに、もしかしたらそれを解明したら俺のナンパも……」

タマキ「…言われてみれば。最後以外は確かに気になるのらー」

ケイ「本音だけ言えばよかったのに」フゥ

イズル「…そういえば、アサギがラブレター? っていうの、貰ってたの見たことあるなぁ」

スルガ「何!? ホントかよイズル!」

タマキ「それどういう状況?」

ケイ「何でタマキまで突っ込んでいくのよ……」

タマキ「スルガの言う通り、もしかしたらこれが突破口になるかも!」

ケイ「…見上げた根性ね」ハァ

スルガ「ホメても何もでねーぞ?」

タマキ「もー、いきなりホメないでよー」テレテレ

ケイ「……イズルに負けないポジティブさね」

イズル「へ? 僕までそんなホメなくても…」ハハハ

ケイ「…もう、いいわ」

スルガ「で、イズル。詳しく聞かせろよ」ズイッ

イズル「ええと、この間の帰りなんだけど。スルガがナンパに行って下駄箱にいなかったときにさ」

タマキ「うんうん」

イズル「その下駄箱に入ってたんだよね、アサギ宛ての手紙」

ケイ「…かなりのベタね」

スルガ「それで、アイツはどうしたんだよ?」

イズル「うーんと、話を聞いた感じだと、断ったみたい」

スルガ「何ーっ!? あ、あの野郎…もったいねーことを……」プルプル

タマキ「何て断ったのらー?」クビカシゲ

イズル「『今はそんなこと考えてる場合じゃないだろ。アンタも生き残るために訓練したらどうなんだ』
    ……って、言ってさようならしてきたんだって。相手の子、泣いてたらしいけど」

スルガ「………うわぁ」ドンビキ

タマキ「ひどいのらー」

ケイ「下手な断り方ね。アサギらしいけれど」

イズル「あ、ケイもそう思う? 僕もそう言ったら怒られちゃった」

スルガ「そりゃ怒るわな。…しかし、これで分かったぜ」

タマキ「何がー?」

スルガ「アサギのモテない理由、っつか、彼女のいない理由」

イズル「えっと、それって何?」

スルガ「ズバリだな……」

ケイ「……ズバリ?」ハァ



スルガ「――マジメすぎるっ!!」

タマキ「あ、そっかーっ!」

イズル「…まぁ、そうだね」

ケイ「そうね。あなたたち二人には無いわね、それ」

スルガ「…っ、待てよ……。ってことは、だ…」ハッ

タマキ「うんうん!」

スルガ「俺たちはこのままを貫いてりゃモテるってことじゃねーか!」

タマキ「――そっかーっ!」ガーン

イズル「ええと……」

ケイ「……もう放っておきなさい、イズル」ガタッ

イズル「ケイ? どこに…」

ケイ「話は終わりみたいだし、ケーキ作ってくるわ。……あなたもどう?」

イズル「え? …まぁ、よければ」ヨイショ

スルガ「よーし! がんばってモテるぞー!」ワー

タマキ「ぞー!」ワー

終わり。書き溜めのMJPフォルダがアサギの名前でいっぱいです。
アサギ率高いんですね、ここ。次は>>471で。ちょっとシリアスなお話をやります。
では。またネタがあれば書いてやってください。

女子力について女性メンバーで語り合う話とか如何っスか

男sが身体タマキ中身ケイ、身体ケイ中身タマキの妄想大会

どうも。今日は>>471でやっていきます。

最初に彼に抱いたのは、大した感情ではなかった。
他の生徒たちと同じ、ただ、私が教え、導かなければならない一人。
一つ、違うモノを抱いたとすれば。
あの人に似ている、という私的な感想だった。

「ヒタチ君? 聞いているの?」

グランツェーレ都市学園。
現在の私――スズカゼ・リンの職場の、私に与えられた一室。
サイズの大きい椅子に背を預けながら、私は目の前でしんみりとした表情の少年に鋭い目線を送る。

彼――ヒタチ・イズルは、私の目が怖いのか、若干目を逸らしながら、ペコリと頭を下げた。
ふぅ、と私はそんな彼の態度にため息を漏らす。
それから、自分の幅広の机に顔を下げる。
その先には、今ではもうあまり使われていないスケッチブック。
そして彼が私に呼び出されている原因。

「どうして授業中にこんなことをしていたのかしら?」

そう、彼は人が授業をしている最中に、学生らしからぬ行為――具体的に言うと、イラスト描きをしていた。
ここ、グランツェーレ都市学園に属するMJP機関は、将来の士官を育成する、言わば士官学校なのだ。
その中での学生とはつまり、将来軍人になる人間で。
その授業の中で、趣味に時間を割くようなマネをする者がいれば、当然叱る必要がある。

「す、すみませんでした」

顔を上げて、ようやくそんな言葉を返すと、イズルはまた頭を垂れた。
……仕方のない子だ。
心の中で、呆れ気味に呟く。
私は怒っている。もちろん、授業中の行為もだが、もっと別の理由もある。

「君は、将来戦うのよ? 自分を生き残らせるためには、備えなくてはならない。分かるわね?」

「……はい」

そう、私は…どちらかと言えば、心配をしていた。
これは彼に限った話ではないが、私にとって、この学園の生徒たちは全員が気にかかる存在だった。

私は昔、パイロットとして、前線で戦っていた。
現在は違う。敵との戦いで私の部隊は全滅し、私はもう二度とパイロットとしてはいられなくなった。
そんな私がここに来たのは、唯一部隊で生き延びた私の経験を伝えて、将来の兵士たちに少しでも生きて欲しいからだ。

だから、生徒たちには真剣でいて欲しい。
戦って、戦い抜いて。その先の人生を生きていて欲しいから。
…これは余計だったわね。この子たちに、未来はないのだから。
そう自らの考えを評価しながら、私は回転式の椅子を後ろに回す。
いつまでも説教をする必要はない。

「…もういいわ。今日はもう帰りなさい」

「し、失礼します……」

私の声に、何度か礼をしながらイズルはその場を去った。
私以外に誰もいない部屋で、一人、外に目をやる。
空は今日も変わりなく、街の方も平和な世界であることだろう。
今、この瞬間も宇宙では誰かが死んでいるのに。

「……」

無言のまま立ち上がり、私は部屋を後にする。
もう今日の仕事は終わりで。後は――友人に会うだけだ。






「リンリン、今日もお疲れ」

「…お疲れ」

近所の居酒屋で、私は昔からの友人――サイオンジ・レイカと酒を酌み交わしていた。
仕事が終われば、私もただの人間だ。
こういうプライベートのときは、少し力が抜ける。
もちろん、こんな姿を生徒には見せられないけれど。

「いい加減慣れた?」

吟醸酒を煽るように飲むレイカは私にいつもの質問をする。
この仕事に不安を抱えている私に対する心配の声だ。
学園に赴任が決まってから、彼女はずっと私のことを気にしてくれている。
そもそも、この仕事に対する先行きの心配をしていることを言ったのは私だ。
本人には言わないけれど、それを受けてこうして聞いてくれるのはありがたいことだと思う。

「そう、ね」

「歯切れ悪いわねぇ」

「うん……」

答えながら、私はアルコール度数の低い酒を控えめに口にする。
レイカと違って、私はあまりたくさん飲まない。
彼女の場合、ビンが何本も並ぶため、比較の対象にもならないけれど。
それはともかく、その酒の熱に任せて、私は遠慮がちに話題に切り込んでいくことにする。

「実は、さ」

「うん」

「――あの人に、似てる子がいてね」

その言葉に、レイカの眉がぴくりと跳ねた。
何を言っているのか理解しているのか、彼女は口を噤む。
それから、今度はつまみのつくね串を頬張って、やっと声を上げた。

「それって…」

「ええ。この前も言ったかしら」

「ヒタチクン、でしょ?」

「……ええ」

頷く私に、レイカは遠くを見るようにして、無言になった。
彼女は、イズルのことは名前と話でしか知らない。
彼女が黙ったのは、どちらかと言えば、『あの人』のことが理由だろう。
まだ、その言葉を口にすると、私たちは沈黙してしまう。
きっと、レイカなりに気遣っているんだろうな、と思う。
私もまた黙っている。『あの人』のことを思い返して、意識が過去に向くから。






今から数年前、私はまだ新人の兵士だった。成績は最高で人望も厚い、とも期待されていた。
士官学校を卒業し、優秀なパイロットとして私が配属されたのは、同じく優秀な人間が集まる特殊な部隊だった。
初めて仲間となる人々との出会いはまだ記憶に新しい。
何せ、そこで『あの人』と私はお互いを知ったのだから。

『スズカゼ少尉、だな』

『貴官は?』

スターローズ、と呼ばれるGDFの拠点である宇宙ステーション。
初めてその中に入った新兵たちを出迎えるように、一人の男が立っていた。
彼は新人の中の一人である私を見て、勝手に頷いていた。
その表情は、私が来るのを実に楽しみにしていた、ということを伝えている。
何のつもりだろう、と思った私の質問に、彼は実に不敵な笑みを浮かべていた。

『これからお前の上官になる男だ』

『っ! よ、よろしくお願いします』

思わぬ言葉に私は慌てて挨拶をした。
他の兵たちも同じようにする。
しかし、彼は上官に対する無礼には反応せず、ただ快活に笑っていた。
マジメにしている私たちを、くだらないと一笑されているようで、私は少しだけ――本当に少しだけ、不安を感じた。






結論から言うと、『あの人』は実に不真面目で、めちゃくちゃな人物だった。
命令違反などの問題行動も多々見られているし、部隊内でも上下の関係を軽んじて、上層部からは顰蹙を買っているらしい。
それでも、彼が部隊のトップでいられる理由は、その優秀さにあるのだろう。
豊富な発想力。無謀と勇気を分けて実行する作戦遂行能力。危機的状況でも諦めずに仲間を皆助けようとする精神力。
次第に、私や他の新兵たちは、彼がリーダーとしては申し分ない人間であることを理解する。

『大尉。よろしいですか』

『おう。何でも聞けよ』

『大尉ー。食堂の新作カレーパンいかがですー?』

『お、すぐ行くぞ! 俺の分取っておけよ!』

『大尉、マジメに聞いていますか?』

『ああはいはい、お前もどうだ、カレーパン』

『…後でいただきます』

思い出せば、そんな会話しか出てこない。もちろん、戦いの記憶もあるけれど。
というより、戦場を駆けてきたのだから、そのような場面が印象深く残っていることは普通はないことのような気がする。
それなのにそういった日常のような声が聞こえてくるのは、きっと『あの人』のおかげに違いない。

そうやって、いつもいつも、ふざけながらも、仲間のために真剣に戦い、勝ってきた『あの人』。
私が彼に憧れてしまうのも、無理はなかった。
味方を信じ、引っ張り、生き延びてきた彼の力と精神を、私は尊敬していた。
少しでも彼のその強さを盗むために、必死に付いていった。






そして、『あの日』まで私は生き延びてきた。

『次の作戦…勝てるのでしょうか』

母艦の作戦会議室を離れ、長い廊下を歩みながら、私は隣を呑気そうに笑顔で歩く大尉を窺う。
今回、私たちに与えられた任務は、敵――ウルガルという外宇宙生命体だ――の基地を奇襲する、モノだった。

味方と敵の予想戦力では圧倒的にこちら側が優勢だけれど、それこそが穴に見えて仕方がなかった。
敵の技術は、数などでは覆らないほどの段階にある、と私は評価している。
これまでも、小さな部隊との戦いでは、敵を追い払うマネしかできなかったというのに。
倒せる、のだろうか。

『どうにかなるさ、きっと』

私の不安に、『あの人』はいつものように明るい語調で言った。
その声に、神経が昂ぶっていて、つい、私は噛みつくように質問をしてしまう。

『大尉は、何故…そんなに前を向いていられるのですか?』

『……どうしてって、お前な…』

私の言葉に、大尉は意地の悪い笑みを見せた。
まるで私は分かっていない、というような声色で、彼はバカにするようにして、前を向いた。

『スズカゼ。お前、何か夢はあるか』

――夢?
質問に、私は一瞬言葉を濁す。この場合は、きっと軍人以外のことを言え、という意味だろう。
そう意味での夢は、確かにある。ありは、するが。
私は躊躇いがちにそれを告げる。本当に話してもいいか、最後の瞬間まで迷った。

『…教師に、なりたいです』

『ほう。それは何故?』

エレベーターに乗り込む。
一度止まることとなった私たちだったけれど、大尉は階数表示を見上げて、私の方を見ないでまた聞いた。
私はその背中を一瞥してから、俯く。
こんな状況で、そんなことを話していいのかを考えてしまったのだ。
今は、戦うしかないのに。
しかし、私は話す。大尉の言葉の意味を知りたかった。

『これから先、生まれてくる子供たちに……この時代をどう生きていくかを伝えたいんです』

この戦いの時代に生まれてしまうことになる子供たち。
戦いはこの先でまだ終わらない、という確信が、軍人としてあるからこそ、私は未来を生きる子供たちに教えたい。
大切なモノが何か、どうやって、この先の時代に希望を持って生きるのか。
私自身、子供のときの経験が、今の軍人として戦う覚悟や希望を作ってくれたから。

私の答えに大尉は身体を震わせた。
クスクスと抑え目に笑う声がして、私は音の元を知る。
夢を笑われているということに気付き、私は怒りの声を上げようとした。
しかし、その前に大尉が振り返る。
その顔には、笑みなどなく。ただ、私を慈しむような瞳で見ていた。

『お前らしい理由だ。…きっとお前は生き残るぞ』

『それは…』

どういう論拠ですか、と私が聞く前に。
彼はそれに答えた。

『簡単。お前には自分の願いがある。人は本当に目指したいモノがあれば強くなれる。ならなくちゃ、いけなくなる』

輝く瞳で、重々しく呟くように言うと、大尉はまた向きを変える。
話は終わりだ、とその背は語っていた。
しかし、私は口を開いた。
そのような真剣なことを言う彼が珍しくて、もっと会話を続けたくなったのだ。

『大尉も、ですか?』

彼は黙って横顔を見せると、深々と頷いた。
その瞳はまるで深海のように静かで、落ち着いていて――少しだけ、目を奪われた。
彼はそのまま、その唇を動かす。
私はすっかりとそこから紡がれるであろう言葉に耳を集中させて――

『もちろん。キレイなねーちゃんと酒が飲みたい』

『……』

あまりの呆れた答えに、私は大尉の横顔を睨み付けた。
彼は特に悪びれた様子も見せず、豪快に笑った。

『冗談だよ、冗談』

『目は真剣であったように見えましたが』

『ふ、お前とも一杯やりたいな』

『お断りします』

『何だ、酷いな』

『ふざけている大尉に言われたくありません』

この人に少しでも期待した私がバカだった……。
そう思っているうちに、エレベーターは目的の階に着き、私たちはそこで会話を止め、降りる。
任務の時間は近付いてくる。格納庫へと続く長い通路を歩ききれば、もうその時だ。
私と大尉は無言で歩みを進める。
というか私は先に待機しているであろう仲間たちのことを考えていて、喋る余裕がなかった。
もうすぐで、私はまた――

『……ホントのこと言うとな』

突然の大尉の声に、私の注意がそちらに向く。
大尉は、やはり前を向いていた。

『…はい』

私の応える声に、大尉は微笑みを浮かべた。
それは、純粋さのある彼らしい、幼い子供のようなモノだった。

『皆で生き残って、花見がしたい』

『花見、ですか?』

さっきよりはマシではあるけれど、やはりくだらない。
そう思いはしたが、私はそれを不思議と否定する気になれなかった。
大尉はさらに続けた。意気揚々とした調子で。

『おう。風情があるだろ? ウチの部隊、外国出身が多いし、おもしろくなると思うんだよな』

『……やはり能天気ですね、あなたは』

呆れ気味に私は大尉の夢を笑った。
あまりにも呑気で、平和で、それで…楽しそうだったから。
私の言葉に、大尉は私の方を見て、悪戯っぽく唇を歪めた。

『キライか?』

『…別に。悪くありません』

ぷいっ、と首を曲げて、別の方を見た。
何となく、彼を直視できない。
たぶん、素直にその提案を気に入ったと言えないからだろう。

『なら嬉しい』

大尉はそれだけを、本当に嬉しそうに言うと、先を急ぎ始めた。
その背中は、これからを待ち望んでうずうずとしていた。

そして、私たちは格納庫へと辿り着く。
大尉は振り返らない。厚い入口の壁を見つめ、その先にいる自分の部下を眺めるようにしていた。
彼は、その扉を開き、私に向かってか、仲間たちに向かってか、一言だけ発した。

『さ、出撃だ』

『はい!』

私は大尉を追って、歩き出す。戦いの場へ。覚悟と夢を持って。
しかし、世界は甘いモノではない。それだけのモノがあっても、足りないことはある。

――だから、結果は言うまでもなかった。






「……」

戦艦ゴディニオンの、休憩所のテラス。
そこで私は、一人で飴を舐めていた。
時刻は既に深夜、ということになっている。
今いるのは宇宙空間なので、実際にはいつも夜みたいなものだと思うけれど。

敵の補給基地を叩く、という一つの作戦が終わり、私はひどく疲れていた。
そのはずなのに、今はまったく睡眠を取る気にはなれなかった。
何故かは、分かっていた。

私は、作戦の中で、教師として最低のことをした。
ただ一人の生徒を見捨てて、逃げようとしたのだ。
その後悔はもう散々レイカにもぶちまけた。
だけど、泣き腫らしても眠れる気はしなかった。

そうして外に出て、ここでぼんやり過ごしている。
その中で、さっきまで『あの人』のことを考えていた。

結局、私は『あの人』の死に様は知らない。
あの作戦の日、激戦の末、気付けば病院の一室にいたのだ。

きっと、彼らしく諦めずに戦い続けたんだろう、というのは予想できる。
それは知っていた。彼の機体の破片が見つかったとき、その後ろに部下の機体の残骸が漂っていたと聞いていたから。
『あの人』らしく、仲間を庇って――――

そこで、さっきの作戦がフラッシュバックした。
仲間の少女を絶命の危機から救い、身代わりとなった彼――ヒタチ・イズルのことを。
チームラビッツ。特殊な部隊の中でも特殊なリーダーである彼。

そう、私は。
知らず知らずのうちに、彼を気にしていた。
『あの人』と同じように、諦めず、仲間を助け、ひたすら前を向こうとする、彼を。
もちろん、彼は『あの人』と違ってもう少しマジメだけれど。

「あれ。教官?」

はっ、と。
私の意識が虚空から蘇る。
ふとした声に――聞き覚えのある少年の声に、私はすっかり耳を傾けていた。
そして、その声のする方向を向く。

「…こんな深夜に散歩かしら?」

私は数メートル先の暗闇から浮かび上がってくる影に話しかけた。
影はゆっくりと近付いてきて、やがてそのシルエットを露わにする。
そこにいたのは、ヒタチ・イズルだった。

私の呼び掛けに、彼は頷くと、相変わらずの無垢な笑顔を見せた。
それは、私の心に自然と鈍い痛みを与える。

「はい、眠れなくって」

そう言いながら、隣いいですか? と彼は尋ねる。
私は特に言葉を出さずに、顎で示して、彼に許可を出した。
彼は実に嬉しそうに私の隣に並ぶ。
それから、笑顔のままで外の景色に目をやっていた。
彼が子犬だったら、しっぽでも振っているのだろうか、なんてどうでもいいことを一瞬考えた。
もちろん、すぐに私はそれを振り捨てて、イズルの言葉に追及をする。

「それは…」

「やっぱり、怖かったん、でしょうね」

唇を苦笑の形に変えて、イズルは自分の手のひらを眺めた。
その行動が、自分が生きていることを改めて確認するように、私には見えた。

「……そう」

それを思い、私は伏し目がちにそれだけ答える。
彼のその言葉は、私が一番言わせたくはなかったモノだった。
明確な死の恐怖。そんなモノを味わうのは、彼には――彼らにはまだ早すぎる。

私のその反応を最後に、私たちの会話は止まった。
そもそも、私は彼と話をできる気なんてしていない。
私は、彼を見捨てることを選んだ張本人なのだから。
そうだ、私は――彼に、なじられたって仕方ない人間だ。
彼が優しい人間だから、そうしないだけで。

「あの、教官」

「……何かしら?」

私の思考に割り込むように、イズルの声がした。
平静を装いながら、私はその呼び声に応える。
そちらに顔だけを向ければ、彼が私を見つめていることに気付く。
それを確認して、私は躊躇いながらも身体ごと彼の方に向きを変えた。

そして、促されたイズルは私の行動が終わると同時――

「すみませんでした」

頭を、下げていた。

「何が、かしら」

戸惑いを隠して、私はその行為への疑問を口にする。
訳が分からなかった。……彼に謝られる理由なんて、私の記憶には心当たりがない。

すると、イズルは頭を上げて、神妙な顔を見せた。
まるで悪いことをして怒られた子供のような――学園で教えていた頃を思い出させる様子でいた。

「今回のこと、その、ご心配をおかけしたそうで」

「……それは違うわ。謝るべきは、私よ」

冷めた声色で、私はそう返し、一度黙る。
イズルの行動は、鋭く私の心に突き刺さる。
その気持ちを、伝えるべきは、私だ。
なので、私は真っ直ぐに彼を見据えて、その気持ちを言葉にした。

「私の判断で、あなたを見捨てたのだから」

私のせいで、イズルは死にかけた。
これは変わらない。無謀な作戦であれ、それに噛みつかなかったのは私だ。
無理にでも、自分の立場を危うくしてでも、私は止めるべきだった。

イズルは私の言葉を黙って聞いていた。
最後までそれを聞いてもなお、彼はやはり深刻な表情をしている。
そして、彼には珍しく、真っ当な反論を見せた。

「教官。でも、教官が判断しなかったら、ケイまで…だったかもしれません」

はっきりとは言わずに、イズルは答える。
……そう。あのままでは、せっかく助けられたケイまでもが死んでいたかもしれなかった。
現実的な判断では、あれしかなかったのかもしれない。
イズルはそれを踏まえて、さらに言った。

「だから、いいんです。僕は、教官の判断が正しいって思ってますから」

…そうじゃない、と私はその言葉に声を荒げてしまいそうになる。
私は軍人としての最高の一択を理解している。
なのに、それを否定したがっている。教師としての、私が。
それでは、その選択では――

「ヒタチ君、違うのよ。君も生き残るの。皆で」

イズルの声を打ち消すように私は早口で告げた。
彼以外が生き残るのではない。チームラビッツ全員が、進まなくては。
ここまで私が見守ってきた生徒たち。だから、この先も見ていたい。
彼らの未来を。失われてしまった先の可能性を。

「皆で…」

私の言葉をイズルは噛み締めるように繰り返した。
その意味を考えているような素振りを数秒見せると、彼はすぐに申し訳なさそうな顔をした。
イズルは、すぐに人の考えを理解し、それを取り入れることができた。

「すみません。また、怒られちゃいましたね」

もう、間違いませんから。
それだけ言うと、イズルはもう一回頭を下げると、そのまま振り返った。
このまま部屋に帰るらしい。彼は、おやすみなさい、と去り際に言って歩き出した。
私はその背を見送る。少し、頼りないけれど、可能性に満ちた背中を。
『あの人』にも感じた、希望のある――

「…ヒタチ君」

「はい?」

自分の声を驚きながら私は聞いた。
無意識に、私はイズルを止めていた。
そのことを考える間もなく、私はさらに言葉を繋いだ。

「あなた、夢はあるかしら?」

「夢、ですか?」

「ええ」

どうしてそれを聞いたのか、自分でも理解できない。
ただ、『あの人』を思い出していたら、自然と言葉になって出ていた。

イズルはそんな私に大して訝しむような視線も向けず、素直に考えだした。
そして時間にしてみれば十秒にも満たない中で、彼ははっきりと答えた。
彼だけの変わらない想いで。

「…ヒーローになることです」

「…そう」

私はそれだけ返すと、何も言わない。
その言葉を、頭の中で何度も確認していた。
ヒーロー、か。

『キライか?』

…いえ。悪くないです。
脳内に響いてきた懐かしい声につい反応してしまい、私は自分を馬鹿みたいだと笑う。
やはり、根本が似ているのかもしれない。

「えっと……」

そんな中、イズルが反応を示さない私を心配するような声を出す。
あぁ、いけない。さっさと彼を寝かせてやらないと。

「それだけよ。私は何も気にしていないわ。もう、寝なさい」

おやすみなさい、と私は言って、イズルを帰した。
彼は律儀にまたおやすみなさい、とだけ返して、その場を後にした。

完全に彼の姿が見えなくなってから、私は飴を取り出して、舐めた。
私が自分の考えを整理する時間と並行するように、じわじわと甘い味が存外疲れていたらしい頭脳に癒しを与える。
飴がなくなり、棒だけになり始めて、私はやっと、結論を固められた。

「――大尉、ご覧になってますか?」

誰もいやしない虚空に向かって、呟く。
私のこの気持ちを確かめるために。
いつかのように、覚悟を決めていくために。
私は、自分のありのままを自分に向かってさらけ出した。

「私は、あなたのようには、なれません」

その言葉に、不思議と悔しさはなかった。
たぶん、受け入れているからだ。
結局、私は誰かを庇うような勇気があるわけじゃない。
諦めずに、前だけを見続けることもできない。

ですが、と私は一つ加える。
それで構わない。私には、私だけの役目がある。
この決意を、この世界のどこかでさまよっているかもしれない亡霊に誓おう。

「――彼らに、また同じようなことが起きないように、戦っていたいです」

新しい夢。
『あの人』の言葉だ。人は本当に目指すモノがあれば強くなれる。そう、ならなくてはならない。
なら、私は。あの子たちの笑顔のために、強くなって、戦おう。
あの子たちとは違う、大人の戦場で。

以上で。長くなりましたね。
最新話はアンジュが意外すぎましたね。ケイがかわいいです。ついEDに期待を抱いてしまいますね。
次は>>531 >>532で。それでは、ネタがあればまたお願いします。

ケイちゃんの圧倒的ヒロイン力。そんなわけでケイがファンの野郎に絡まれるところをヒーロー参上するのがみたい。

どうも。今回は>>531 >>532 >>565でやってみましょう。
それでは、どうぞ。

目指せ! 53万!

ケイの部屋

ピピピ…

ケイ「」ガチャ

ケイ「…」スタスタ

ケイ「……いただきます」

シュッ

タマキ「ケイー」

ケイ「…何かしらタマキ? ケーキでも食べに来たの?」

タマキ「いや、それは遠慮するのらー」

ケイ「そう? …じゃあ、どうしたの?」

タマキ「ねね、ケイは女子力ってどうすれば上がると思う?」ストン

ケイ「……また雑誌?」パク

タマキ「何で分かったの!? ケイってエスパー?」

ケイ「あなたの抱えてるそれは?」

タマキ「あ…何だぁ」

ケイ「……女子力、ね」

タマキ「うん。ケイは…あんまりだよね?」

ケイ「…私、これでも料理とかはできるけれど?」

タマキ「…お菓子以外じゃん」

ケイ「……あなたの言ってることは理解できないけど。とりあえずもっと女の子らしくすることね」

タマキ「それってどうすればいいのー?」

ケイ「それは……そうね。まずは塩辛の大食いかしら」

タマキ「ええー?」

ケイ「…あのねぇ、あれじゃ男の子みたいよ、あなた」フー

タマキ「むー」

ケイ「後は、そうね…お、お裁縫、とか?」

タマキ「おさいほうー?」

ケイ「え、ええ。ほら、あるでしょ? 裾のほつれとかをさりげなく直してあげたりとか」

タマキ「何かベタなのらー」

ケイ「何よ、悪かったわね」

タマキ「んー、もっと色んな人に聞いてきた方がいいかな?」

ケイ「そうね、私では埒が明かないわ」スクッ

タマキ「あ、ケイも来る?」

ケイ「…まぁ、ケーキも食べ終えたし、付き合ってあげるわ」






戦艦ゴディニオン――艦長室

リン「女子、力?」

タマキ「はい! きょーかんなら、何か知ってるかなーって」ニコニコ

ケイ「すみません、止めたんですが…」

リン「べ、別に、いいけれど…あ、艦長よ、私は」

タマキ「かんちょー、教えてくださーい」

リン「………」ウーン

リン「…………」ムー

リン「………」アメペロペロ

ケイ「…あの、無理にお答えいただかなくても…」

リン「!」

リン「だ、大丈夫よ、少し考えていただけで…」

レイカ「リンリーン、無理しない方がいいわよー」

リン「れ、レイカ!」

レイカ「まったくぅ、そんなのあったら、私たち行き遅れていないよねー?」

リン「う……」

レイカ「ごめんねー、二人とも。私たちじゃ力になれないわ」

ケイ「お、お気になさらず」

レイカ「っていうか、イリーナたちに聞いてみたら? そういうの、あの子たち得意よ?」

タマキ「へー、ならそうしまーす! いこ、ケイ!」

ケイ「え、ええ…それでは」

ツカツカツカツカ…

レイカ「いやー、若いのは大変ねー」

レイカ「さ、てと」

リン「行き、遅れ………」ズーン

レイカ「リンリーン、飲もうか?」

リン「ええ……」



その後、女子力向上、とやらを経て、さらに乙女と化したケイが相変わらずの奥手っぷりを発揮したり、
活発な子がウケる、という情報を見て、タマキが結局いつもの路線で過ごすことにしたり、
行き遅れ二人組が酒にまみれて、やっぱり行き遅れたりするのでした。

はい終わり。では次に。

入れ替わり、立ち代わり

スターローズ――アサギの部屋

スルガ「うーん…」

アサギ「何だよ? 珍しく考え込んで」

スルガ「珍しくは余計だ。…いやな、実はさ」

シュッ

イズル「あ、二人ともここにいたの?」

アサギ「何だ、お前か。どうした?」

イズル「いや、二人にまたマンガを…」

スルガ「それはパス」

アサギ「同じく」

イズル「えー…。まぁ、いいけど」

アサギ「で、何の話だっけか、スルガ」

スルガ「おう、そうだった。ついでだ、イズルも聞けよ」

イズル「うん。何の話?」

スルガ「…ケイとタマキが性格逆だったら、俺たちどうなってたんだろうなーってさ」

イズル「ええっと…何か想像できないね」

アサギ「お子様みたいなケイと面倒見のいいタマキか…」



ケイ『あー…パフェ、美味しいー』ニコニコ

タマキ『ケイ。いい加減にしておきなさい』

ケイ『えー、だってー』

タマキ『だってじゃないでしょう、まったくもう…』フキフキ

ケイ『え、タマキ?』

タマキ『クリームが付いてるわよ…仕方ないんだから』

ケイ『ありがとー』

アサギ「…確かに、ないな」

イズル「何か、タマキがすごくお姉さんっぽいね」ハハ

スルガ「それだとタマキもモテそうだな」

アサギ「確かにな。面倒見がよくて、一応かわいくて、スタイルも…まあまあだしな」

イズル「そう、かな…」

スルガ「…っつーか、手当り次第に告白するケイってのがまずありえないけど」

アサギ「はは、そりゃそうだ」

イズル(……ケイが、か)



ケイ『あ、あの、よかったら…私と』

イケメン『ご、ごめん、俺そういうつもりじゃ…それじゃあ』

ケイ『あ……ま、待って!』

ケイ『……。また、フラれた』ガックリ

アサギ「全然想像つかんな」

スルガ「なー」ケラケラ

イズル「……」

スルガ「どした? イズル」

イズル「何か、それはイヤだな、って」

スルガ「ん?」

イズル「ケイがそんな風にしてるの、想像したくないっていうか」

スルガ「何だよ、珍しい。嫉妬か?」

イズル「え、うーん、そういうのじゃないんだけど…」

アサギ「…ま、俺もお断りだな。そんな二人」

スルガ「まぁ、そりゃそうだ。そんなの気味悪いしな」

イズル「結局、普通が一番ってことだね」

シュッ

タマキ「――あー、皆ここにいたのー?」

ケイ「…まぁ順当でしょうね」

アサギ「おう、よく来たな」

スルガ「どうした?」

タマキ「うーんとねー」

ペラペラペラペラ……

ケイ「」クスクス

イズル「……」ジー

ケイ「? …どうかしたの、イズル」ノゾキコミ

イズル「ケイはいつも通りでよかったな、って」ホホエミ

ケイ「何、それ? 訳が分からないけど……。そうね、あなたもいつも通りみたいね」

イズル「はは、そうかも」

イズル(ちょっとキツイけど、でも、面倒見がよくって)

イズル(実は、一番甘えたがり――)

イズル(――そんな、いつものケイが、僕には一番ちょうどいい)

終わり。次で最後。

ファンって大変

スターローズ――民間居住区

ケイ「」スタスタ…

通りすがりの人「あ、あの!」

ケイ「…は、はい? どなた、ですか?」

通りすがりの人「クギミヤ少尉、ですよね。よければ、その、サインいただけませんか?」

ケイ「…す、すみませんが、私は芸能人ではないので」

通りすがりの人「あっ…。し、失礼しました。つい、舞い上がってしまいまして…」

ケイ「いえ。お気になさらず」

通りすがりの人「あの、せめて、握手してはもらえませんか?」

ケイ「あ、えと、その…」

ケイ(どうしましょう…断ったらイメージダウンでもする、のかしら。そうしたらこの前の広報の意味が…でも、私は…)

???「あ、あの」

通りすがりの人「え?」

ケイ「あっ…」

イズル「すみませんけれど、僕たち、次の作戦で急いで戻らないといけないので…えっと」

通りすがりの人「そ、そうでしたか。いえ、その、すみません。失礼しました」

通りすがりの人「が、がんばってください、ヒタチ少尉、クギミヤ少尉」

イズル「はい、ありがとうございます」

ケイ「はい。がんばります…それでは」ペコリ

通りすがりの人「はい。さようなら」

スタスタスタスタ…

ケイ「――ありがとうイズル、助かったわ」

イズル「ううん、いいんだ」

イズル「…あ、あのさ、ケイ」

ケイ「何?」

イズル「ああやって、その、よく話しかけられるの?」

ケイ「え?」

イズル「あ、いや。その、ほら、ちょっと気になってさ」

イズル「ごめん、行こうか」

ケイ「……イズル、もしかして、心配、してくれているの?」

イズル「…うん。というか、その…」

ケイ「?」

イズル「何だか、ケイが知らない人に取られちゃったみたいで、さ。ちょっと、その…」

ケイ「妬いて、いるの?」クスリ

イズル「…っ! う、うん…」カァ

ケイ「大丈夫よ。私は、私は…えっと――イズルだけの、モノだから」

イズル「け、ケイ!? それは、ちょっと、語弊があるっていうか…」

ケイ「……っ! あ、いや、あの、私、う…」カァ

イズル「……」

ケイ「……」

イズル「も、もう行こうか」

ケイ「……ええ」

スタスタスタスタ…

イズル「――あのさ」

ケイ「うん」

イズル「さっきの言葉、すごく、嬉しかった」スタスタ

ケイ「うん」テクテク

ケイ「……イズル?」

イズル「何?」

ケイ「私、まだあなたの言葉を聞いていないわ」

イズル「あ、そっか…」

イズル「僕はケイを信じてる。僕のこと、全部見せて、一緒に考えてほしいくらい」

ケイ「……前の、テオーリアさんやジアートのときみたいに、何も言わないことはないってことかしら?」

イズル「あ、あれは、悪かったよ。でも、もうしないから」

ケイ「……うん」

ケイ「ね、イズル」

イズル「うん」

ケイ「戻ったら、またケーキを焼くから、手伝ってくれる?」

イズル「――うん!」

以上。EDはやっぱり思うところが皆さんあるみたいですね。
次回放送が楽しみです。
それでは、またネタがあればどうぞ。


本編のケイが更に露骨になっててニヤニヤ
このSSのケイが可愛すぎて更にニヤニヤ

作戦中のアンジュの罵倒が衝撃的過ぎて影響を受けちゃう五人と苦笑or冷や汗を流すor頭を抱える、リンリン艦長とブリッジクルーとかどうだろう

地味にあのイケメンオペレータの二人好きなんでどうか出番を

ケイとイズルがくっ付いてない前提で
ケイの恋を冷やかしたり応援しようとお節介焼いたりするピットクルーのお姉さん達とか

人生ゲームとかスマブラとかで
皆でゲーム

どうも。今日は>>594 それと、>>591の言うのとは別でオペのお話を一つ。

ザンネンクルー

スターローズ――タマキの部屋前

ジュリアーノ「おお、ここだな」

ジークフリート「まったく、何故私まで付き合わねばならんのだ…お前だろう、頼まれたのは」フゥ

ジュリアーノ「何を言っている。疲れている子猫ちゃんを癒してやるのは、我々の仕事だと思わんか?」

ジークフリート「……仕方ないか」

ジュリアーノ(まったく…こう言うとあっさりとはな。カタブツめ)

コンコン

タマキ「はーい! あ、ジュリアーノ様! ジークフリート様!」ガチャ

ジュリアーノ「や。さっそく一緒にご飯に行こうかと思ってね」

ジークフリート「君も大変だったし、迷惑だったかもしれないかな?」

タマキ「いえ! 行きます行きましょうさぁ早く!」キラキラ

ジュリアーノ「うん、行こう」ニコニコ

ジークフリート「う、うむ」

食堂

ジュリアーノ「さて、と。塩辛ご飯、だったかな?」

タマキ「はいにゃん!」ニヘー

ジークフリート「ふむ。…塩辛というのは初めて食べるのだが、美味しいのかい?」

タマキ「とってもですっ! とっても!」

ジュリアーノ「ふふ、なら楽しみにしようかな」

ジークフリート「あぁ、私はビールも頼もう」

ジュリアーノ「またか…この典型的なドイツ人め」

ジークフリート「いいだろう、好きなんだ」

タマキ「ビール…美味しいんですかー?」

ジークフリート「ああ素晴らしいぞ。…もちろん、君は大人になってからだけれど」

ジュリアーノ「お堅いヤツめ。そこは少し飲んでみるかい、だろ」

ジークフリート「馬鹿かお前は。まだこの子は子供なんだぞ」

タマキ(こ、子供…うう、大人っぽい人のがいいの?)

ジュリアーノ「…まぁいい。子猫ちゃん、君が大人になったら、こいつが良い酒をご馳走してくれるらしいぞ、我々に」

タマキ(そ、それって、数年後までのデートのお約束!?)ハッ

ジークフリート「待て。この子はよしにしても、何故私がお前にまで」

ジュリアーノ「お前と二人きりにさせて子猫ちゃんに何かあっては困るからな」

タマキ(そ、そっか。二人きり…ふみゃー)キャー

ジークフリート「あのな…私をお前のようなヤツと一緒にするな」

ジュリアーノ「それに。いつかのリューデスハイマー・ベルク・ロットランド・リースリング・アウスレーゼのお返しが欲しかったしな」

ジークフリート「あれはお前の奢りだろうが。意外に根に持つじゃないか」

ジュリアーノ「そりゃな。…まぁいい。そういう訳でだ、子猫ちゃん」

タマキ「はいにゃん?」

ジークフリート「どういう訳だ」

ジュリアーノ「黙ってろ。良いこと言おうとしてたんだから」

ジークフリート「お前がか? 信じられん」

ジュリアーノ「……君は生き残らなくちゃならなくなったよ。この先、少なくとも五年は」ナデナデ

タマキ「あ……」

ジークフリート「………自分を大事に、今回のようなことがもうないようにな」

タマキ「――はい!」ニコリ

ジュリアーノ「うん、いい返事だ」ニコリ

ジークフリート「そうだな。…我々は君をいつでもサポートする。十分に頼ってくれ」ニコリ

シオン「塩辛と大盛り白飯お待ちー!」

ジュリアーノ「さ、食べようか」

タマキ「はいにゃん!」

以上。次に行ってみよう。

人生はクソゲー(至言)

戦艦ゴディニオン――格納庫

イズル「それじゃ、今日は失礼します」

ダン「ああ、お疲れイズル」

マユ「お疲れー…あ、そうだ、いーちゃんちょっと待って」

イズル「はい? どうかしましたか?」

マユ「これ、貸してあげる」

イズル「ええと、何ですか、これ?」

マユ「今売れてるボードゲームなんだって。私たち忙しいし、もらっちゃったんだけど、いらないからもらってくれないかな」

イズル「は、はぁ…」

デガワ「楽しめよ 仲間と遊ぶ その時を」

ダン「…なかなか面白いし、俺も薦めるぜ、イズル」

デガワ「おい俺を無視するなよ」

イズル「じゃ、じゃあ…借りますね。ありがとうございます」

マユ「うん、じゃねー」ヒラヒラ

アサギの部屋

アサギ「――で、何だそれは?」

イズル「ピットクルーの人たちにもらったんだ。皆で遊べ、って」

スルガ「ふーん。まぁ話には聞いたことあるけどよ…おもしろそーだな」

タマキ「うん! おもしろそー!」

ケイ「いいわね、そういうのも」

アサギ「ま、別に付き合ってやるけどさ」

イズル「アンジュも呼んでくるよ。皆でやりたいし」

ケイ「大丈夫? 来てくれるかしら…」

イズル「大丈夫、来てくれるよ、きっと」






アンジュ「あ、あの…誘っていただいて、あの、あ、ありがとうございます」アカラメ

イズル「気にしないで! 皆で楽しもう!」

スルガ「楽しもうぜ!」

タマキ「たのしもー!」

アサギ「待て待て。ルールくらいちゃんと読めよ」

ケイ「そうよ、しっかり理解しないと後で面倒になるわ」

イズル「あ、そっか」

スルガ「出鼻挫かれるなー…」






イズル「じゃ、僕から行くよ」

スルガ「おう、ルーレット回せよ」

イズル「何とかマンガ家になりたいなぁ…」

ケイ(ふふっ、そんなに真剣に見ちゃって…)クスリ

イズル「えいっ!」クルクルクル…

アサギ「六、だな」

イズル「ええっと…あ! やった、マンガ家だ!」

ケイ「……お、おめでと…」

アンジュ「先輩、おめでとうございます」

イズル「あ、ありがとう、アンジュ」ニコリ

アンジュ「い、いえ…」カァ

ケイ「……」

タマキ「よーし! 次行ってみよーっ!」

スルガ「おし、回せよ!」

アサギ(…ドンマイ、ってトコだな)






イズル「そろそろ、中盤だね」(職業:マンガ家)

スルガ「結構長いな、これ」(職業:電気技術者)

アサギ「…その辺はリアルになってるのかもな」(職業:製薬会社の研究者)

アンジュ「……何というか、良く出来てるんですね」(職業:デスメタルバンドのボーカル)

タマキ「じゃ、次ケイね!」(職業:保母さん)

ケイ「ん……」(職業:パティシエ)

スルガ「ええっと…八だな」

イズル「あれ、このマス何も書いてないね」

アサギ「あー、これは確か、あれだろ。条件満たすと効果が出るヤツだ」

タマキ「あ、ホントだー。隠してあるー」

ケイ「条件は…異性キャラのコマが同列に入ること?」

アンジュ「じゃ、じゃあ…可能性のあるのは、ケイ先輩の後ろのアサギ先輩とイズル先輩だけ、ですね」

イズル「そうだね」

アサギ「……」

スルガ「アサギー。次お前だろー」

アサギ「…じゃ、回すか」クルクルクル…

ピタッ

アサギ「こ、これは…」

タマキ「七、だねー」

スルガ「あー、通り過ぎたか」

ケイ「まぁ、そうそう起きないわよね」

アサギ「……あぁ、そうだな」

アンジュ「じゃ、じゃあ次はイズル先輩ですね」

イズル「うん、えいっ!」クルクルクル…

ケイ「」ジーッ

ピタッ

イズル「あ、六だ!」

ケイ「!」

アサギ「!!」

スルガ「おー、すげー」

タマキ「やるじゃんイズル!」

アンジュ「す、すごいです、先輩!」

ケイ「じゃ、じゃあ、捲るわね…」

イズル「? うん」

スルガ「ええっと…。
   『同じマスに止まった君たちは運命を感じて結婚した!
君たち以外のプレーヤーから一万円ずつ、ご祝儀と十万円のボーナスが支払われる!」

ケイ「け、結婚…」

アサギ「…ほら、一万円」

スルガ「かー、こういうのありかよー」

タマキ「むー、何か釈然としないのらー」

アンジュ「ええっと、おめでとうございます」

イズル「わー、すごいお金になっちゃったね、ケイ」

ケイ「……え、ええ。そうね」メソラシ

イズル「? どうかした?」

ケイ「い、いえ。何でも…」

アサギ「…ほら、次タマキだぞ」

タマキ「うん! よーしっ、私にも来い! 春!」

アンジュ「先輩には来そうにないですけどね…」

タマキ「そういうこと言うと傷付くのらー!」






イズル「よ、ようやく…」

スルガ「終盤まで、長すぎだろ…」

アサギ「まったく…こりゃいい時間潰しになったな」

ケイ「そうね…時間が経つのは早いわ」

アンジュ「二つの意味で…ですね」

タマキ「もーおばあちゃんかぁ」

ケイ「いつの間にか孫まで出来てるし…」

イズル「あはは、じゃ、終わりも近いし…やろっか」

スルガ「…そーだな、人生、終わりか」

アサギ「ああ…終わりだ」

ケイ「……」

タマキ「?」

イズル「ま、回すね」クルクルクル…

ピタッ

アンジュ「あ……」

スルガ「九、か」

アサギ「もう、ゴールだな」

イズル「う、うん…」

ケイ「…『こうしてあなたの人生は幕を閉じました。
     …しかし、これをプレイするあなたの先はこれからです。がんばって、より実りのある、人生を』」

アサギ「…よくある終わり文句だな」

スルガ「ま、テンプレってヤツだ」

アンジュ「…そう、ですね」

タマキ「これからかぁ…」

イズル「うん、これからだよ」

タマキ「私、保母さんになれるかなー」

アンジュ「先輩…」

アサギ「……」

スルガ「……」

ケイ「…なれるわよ、きっと。タマキなら」

タマキ「! …ケイ」

ケイ「だって、あなたは優しいし、良い子だから。だから、その…きっと、良い人も見つかって、この先も楽しく生きていられる、と思う」

イズル「……うん、そうだよ」

タマキ「…イズル」

イズル「僕たちなら、きっと。これよりもっと楽しい人生を過ごせるよ」

アサギ「だと、いいな」

アサギ(こんな、ゲームなんかじゃなくて。きっと、俺は…)ジー

スルガ「…何でもいいけどよ、そろそろ帰るわ。明日も早いだろ?」

アンジュ「そうですね。解散しましょうか」

イズル「うん。じゃあね、皆」

タマキ「おやすみー」

スルガ「じゃな」

アサギ「…よく寝ろよ」

アンジュ「おやすみなさい、先輩」

ケイ「また『明日』ね、イズル」

イズル「あ……」

イズル(……また『明日』…そうだよ)

イズル(これからも、皆と、また『明日』って言うんだ)

イズル「――皆、また『明日』!」



その後、マユから対戦式のカートレースやらロボットゲームやらでまた仲を深めていくチームラビッツなのでした。
ゲーム廃人に近くなる、というおまけ付きで。

以上。ノリと勢いは大事です。
では、次は>>591 >>593で。
またネタがあればお願いします。それでは。

私がいるではないか

どうも。今日は>>591 >>593で。

困る子

戦艦ゴディニオン――ブリッジ

『編隊を組むヤツは皆変態だ!』

『ちょ、アンジュさん…』

『指図するな、この無能が!』

『えっ…』

『あ、あなた、イズルに何てこと言うのよ!』

『黙れ足手纏いが。いい的は大人しくしていろ』

『……っ!』

『…すげぇ毒舌』

『こりゃとんでもないな…』

『びっくりなのらー…』

ジュリアーノ「……」

ジークフリート「……敵、完全に消滅」

リン「…チームラビッツ、帰還しなさい」

『りょ、了解…』

『す、すみません先輩! わ、私…また……』

『き、気にしないで、アンジュ。君のおかげで作戦はうまくいったから』

『………す、すみません、でした………』

リン「」フゥ

レイカ「何て言うか…大した子がやってきたわね」

ジュリアーノ「彼らの精神面における問題がまた増えたように見えますが」

ジークフリート「しかし優秀なパイロットだし、問題といっても大きい訳でもないだろう」

ジュリアーノ「それはお前のマジメセンサーのお話だろう」ヤレヤレ

リン「……何でも良いわ。私がうまくやっておくから」

ジークフリート「お疲れ様です艦長」

レイカ「ま、がんばって、リンリン」

ジュリアーノ「これが終わったらどうです、また四人でお酒でも…」

レイカ「あ、賛成!」

ジークフリート「仕事中だジュリアーノ。それに整備長も」ジロリ

リン「まったくよ…あなたたちね……」

レイカ「二人してマジメなんだからー。いいじゃない仕事の疲れの癒し方の相談したってー」

ジュリアーノ「まったくです。…疲れを癒すことを考えるのは、そのまま仕事の展開に繋がるとは思わんのか?」

ジークフリート「思わんからこう言っているんだ」アキレ

リン「レイカ。少しは真剣にして」

レイカ・ジュリアーノ「「はーい……」」

終わり。次行こう。
トリップ間違えた…。

おせっかいなお姉さん

戦艦ゴディニオン――格納庫

ケイ「それでは、失礼します」ペコリ

イリーナ「お疲れ様、お嬢」

ケイ「それ、止めてください。それでは」スタスタ…

ロナ「じゃあね」ヒラヒラ

マリー「ね、私たちも休憩にしない?」

イリーナ「いいわね。整備も問題なさそうだし」

ジェーン「お茶入れてくるー」

ワイワイ

イリーナ「…お嬢のあれ、どう思う?」

ロナ「リーダー機の子のこと?」

イリーナ「そうそう、イズル君」

ジェーン「どう見たって、ねぇ?」

イリーナ「問題はお嬢が自覚してないところね」フゥ

マリー「そうねぇ…。あれは恋してる目なのに…」

イリーナ「ああいう子は鈍いっていうか、どうも見てるモノが違うっていうか」

マリー「ぐいぐい行かないとね。お嬢、元はかなりいいんだから」

ロナ「そーそー。今度の休日に服買ってあげましょうよ」

ジェーン「メイク道具もね」

マリー「一度落とせば後は一直線よ、あの手の子は」

イリーナ「そうねぇ。二人きりで出かけたりとかすればいいチャンスになるかしら」

ロナ「あ、これなんていいんじゃない?」

ジェーン「あー、駅前のスイパラ? カップル割引やってるんだっけ」

ロナ「そうそう、これならお嬢も誘いやすいってもんでしょ。券、ちょうど余ってるのよねー」

マリー「じゃ、それでいきましょ」

イリーナ「明日にでもうまいこと言っときましょうか」






翌日

スターローズ――食堂

ケイ「ね、ねぇ。イズル」

イズル「ん? 何?」

ケイ「じ、実はね、その…今度の休みは暇かしら?」

イズル「うん。どうかしたの?」

ケイ「その、イリーナ…私のピットクルーの人たちに、こういう券もらって…」ピラ

イズル「へぇ。よかったね!」ニコリ

ケイ「そ、それでね、これ、二人組じゃないと使えなくて…」オソルオソル

イズル「あ、ホントだ」

ケイ「よかったら、一緒に来てくれないかしら?」メソラシ

イズル「うん、いいよ。どうせ暇だしね」

ケイ「そう? それじゃあ後で細かいことは伝えるから」パァ

イズル「うん、楽しみにしてるね」ニコ






そして、当日

ケイの部屋

ロナ「あ、お嬢こっちも着てみて」

ケイ「は、はい…」

ジェーン「あら、いいじゃない! あ、動かないで」パタパタ

イリーナ「そうねー、これなら男の子なんてイチコロよ」

ケイ「わ、私はそんなつもりは……」メソラシ

ロナ「まぁまぁ。おしゃれするのって、女の子にとっては大事なことよ」

イリーナ「そうそう。あ、当日の日程は決まった?」

ケイ「え? …ま、まぁ」

イリーナ「うんうん。せっかくの休日だもの。たくさん楽しんでくるといいわ」

ケイ「……あ、ありがと、ございます」アカラメ

イリーナ「ふふっ、どういたしまして」

コンコン

イズル『ケイ、そろそろいいかな?』

マリー「十分前…予想通りね」

ロナ「服オッケー!」

ジェーン「メイクバッチリ!」

イリーナ「じゃ、出発ね」

ケイ「は、はい…」スタスタ…

ケイ「」ピタッ

イリーナ「?」

ケイ「…い、行ってきます」フリムキ

クルーたち「――行ってらっしゃい、お嬢!」ニコリ

終わり。
次はアマネさんでやってみます。>>619さんは…入れないでしょうけどね。左遷されるだろうし。
他にもネタがあればどうぞ。それでは。

どうも。今回は時間がないのでアマネ大尉のお話を一つだけ。

AM7:00

食堂で朝食を済ませる。
食事をしながら、昨日残した、というか渡された書類仕事を片付ける。

「まだ終わっていなかったのかね、大尉?」

作業中にその仕事を私に託した張本人が嫌味っぽく話しかける。
申し訳ありません、とだけ平謝りをしてから、何事もなかったように仕事を続ける。
ふん、とだけ笑って、上司は消えた。

AM9:00

今日の仕事が始まる。
戦況の確認。今後の作戦立案の会議。広報担当との打ち合わせ。上司の視察の付き合い。
様々なタイプの職務を一気に果たしていく。
といっても、見守る上司以外の部下たちも手伝うので大して問題にはならない。

作戦会議の中では、これから先は一般兵ではなく、MJPを中心とした戦線の再編成が決まった。
最後までその決定には納得がいかなかったけれど、私には決定権はない。
幼い子供たちを戦線に送る手筈を整える。
上司は、特に何も考えていないらしく、手放しに喜んでいた。
……少し、苛ついた。

PM14:00

しわ寄せのような仕事を片付け終わり、遅い昼食を取る。
もちろん、この間にも仕事は増える。
それ故に、食事をメインに、とはいかず、仕事をしながら食事を片手間に取る、といった感じで過ごしていく。
上司はこの場にいない。
彼は今日、昼からの休暇をもらっていた。

PM16:00

仕事もほぼ終わりかける。
休憩に入り、テレビを見てみた。
その画面には例のMJPの女性兵士たちが映っていた。

広報、という名目で新機体の搬入を密かに行う、という任務だと聞いていた。
しかし、それを知っていても、やはり気分は良くない。
これでは、彼らが偶像か何かのようにしか見えない。
何より、戦勝、という宣伝が虚言だと理解しているせいで、心が痛む。
今朝、がんばれと言ってくれた人々に嘘を言っているようだ。
そのことを深く考える前に、私の元にまた仕事が舞い込んだ。

PM20:00

仕事が終わる。
残ったモノもあるが、それは翌日でも間に合うような戦いには関係ない些事。
今日は、これで終わり。

夕食のために食堂に向かう。
人ももうあまりいないそこで、一人で簡素な食事を済ませる。
空がよく見えるように、窓際の席を選ぶ。
ふと、上司が濡れながら宿舎に戻っていくのが窓の外から見えた。

釣りに出かけた、とは聞いていたが、そのようにずぶ濡れになるモノだろうか、と少し首を傾げる。
…まぁ、あの人ならありえなくもない。それぐらいには不器用な人間だ。

PM22:00

入浴を済ませて、睡眠の準備に入る。
明日やるべき仕事の内容は完璧に予測できていた。
後は、またあの上司がどれほど予想外の仕事を斡旋してくるかだ。
そのことを悩みの種に思いながらも眠る。
疲れのおかげでよく眠れる、と考えると、それなりに問題も気にならなくなる。

……明日も、がんばろう。守るべき人のために。

以上。オチなし。
アマネさんはたぶんこんな感じに日々を過ごしているに違いない。
次は新EDネタで一つ。リンリンの一日を一つ。
もっと他の人もMJPで書けばいいのに。
では、ネタがあればお願いします。

どうも。今日はEDネタで一つやります。

「皆で散歩に行こう!」

突然、彼はそんなことを言った。

外宇宙用ステーション、スターローズ。
その一室、イズルの部屋に集まった私たちは声の主――イズルに視線を集中した。
彼はいつも通りの突発的なアイデアを口にして、そのまま不思議そうに私たちの目を見る。
どうしてそんな顔をするの、という風にでも言いそうな表情だ。

「…何で急にそんなことを?」

いつもの調子で、アサギがまず質問する。
イズルの提案には、最初に彼が理由を探る役目を持っていた。

「うん、皆で出かけたら、少しはアンジュと仲良くする機会になるかな、って」

なるほど、思ったよりもずっと普通の案だ。
あの子――アンジュが来てから、私たちは未だに上手くやれている自信がない。
その機会を多く作るのは、大事なことだ。

「……なるほど。まぁ、いいかもしれないな」

私と意見がちょうど一致したらしく、アサギが同意の声を上げる。
それに賛同するように、タマキとスルガも同じようなことを言った。
この二人はあのアンジュの戦いぶりで距離を取りかけていたけれど、ちゃんと縮めようとしたいらしい。

「そうね、私も賛成よ」

皆に窺うような目で見られて、私が最後に意見を述べた。
反対する理由は、どこにもない。
それぐらいには、私はイズルたちの考えを信用している。

「よし、じゃあ僕誘ってくるね」

珍しく全員から賛成をもらってか、イズルは若干嬉しそうな声でこの会議を締めた。






「…あ、あの。先輩方、誘っていただいて、その、ありがとうございます」

「いいっていいって。俺たちこそ急に悪かったな、アンジュ」

「ふふん、センパイだからってエンリョしなくていいのらー」

「そーそー、リーダーからしてこんなんだしな」

「こんなのってヒドイよ、スルガ」

「ふふ、そうね。リーダーからこうだから、気にしないで接してね?」

「ケイまで……」

適当な言葉を交わしながら、私たちは早朝にスターローズ内を歩いていた。
私たちの軽口に、アンジュも少しずつ緊張が解れてきているのが分かる。
といっても、まだまだ自分から話すようなことはないけれど。

そうして歩いているうちに、ふと、前を行くイズルが立ち止まった。
そのすぐ斜め後ろを進む私も、思わず止まる。
イズルの見ているモノを見て、停止するのも仕方ないと思った。

「わぁ…」

「……っ」

「…眩しい、な」

「うー、キレーだけど痛いー」

「ん。久しぶりに拝んだな、これ」

「そうか、先輩方はこちらがもう長いんですね」

私たちの前、虚空の闇を明るく照らすそれを、私は目で捉える。
通路を抜けて開けた場所の先。ガラスの向こうの物体。
それの名前は、太陽、といった。
その光に、私たちは息を呑む。
アンジュの言う通り、私たちはここでの生活に慣れていたせいか、あの清々しい光を珍しく感じていた。

「人工とは、なんつーか、違うな」

スルガが人並みな感想を漏らす。
確かにそうだ、と内心で私は同意する。
人工的に、どこか作られた――私たちと同じだ――あの輝きには、大した感慨を抱いたりしない。

しかし、この光は違った。
何も見えない先を遠慮なく、全て照らし出すこの明かりは、私たちまでその輝きの世界に連れて行ってくれる。
自然と、気分が高揚する。

「ちょっと、見て行こうか?」

私と同じように感激でもしたのか、少しだけ調子の良さそうなイズルの提案に私たちは無言で同意する。
私たちは当たり前のように一列に並んだ。
並び順は、適当だった。
左からアンジュ、スルガ、私、イズル、アサギ、タマキ。

そう、私が――イズルの隣に、いつの間にかいる。
いつからかは分からない。けど、ここじゃないと、落ち着かない。
不思議な気持ちだった。

彼の近くにいないと、心が不安になる。
話していると、心が安らぐ。
大事にしたい、と自然に思ってしまう。
これは、何なんだろう。

「ケイ? どうかした?」

「……いえ、何でもないわ」

イズルに話しかけられて、深い思考の世界から戻ってくる。
何を考えていたんだろう、私は。
少し目を逸らしている私に、イズルは相変わらずの笑顔でいた。
純粋で、私には少し眩しい、あの笑顔だ。
自分の心が悟られたみたいで何となく気恥ずかしくなって、イズルから顔を背ける。

その先で、イズルと同じくらい輝く太陽に、私は目を細めた。
チラリ、と周りの様子を窺う。
……皆、その光に見とれていた。
誰も彼もが、少しずつ私たちの世界を彩るそれに、目を奪われていた。

こうして、暖かく照らされるなら。

私の、この想いも――

私は、ゆっくりと、右手を伸ばす。
その先には、イズルの左手が宙ぶらりんになっている。
そう認識しながら、私は自分のそれを彼のそれと重ねようと、した。

「……っ」

けれど、手が引っ込んだ。
肝心なところで、私は何となく気後れした。
妙な緊張が手から伝わってしまいそうで、怖くなった。
私の、ヘタレ。

「……」

「……?」

ふと、視線を感じた。
それは、そう、私の右隣から。慈しむような、優しい気配。
あの太陽と、同じ。
誰からのモノかは、言うまでもなかった。

ぎゅ、と。
私の右手が取られた。
私より少し大きくて、年頃の男の子らしく、逞しい手。

「……ぁ」

小さく漏らした声は、チームの皆には聞こえなかったらしい。
私がその声を向けた、彼以外には。

私の顔が熱くなる錯覚を感じるのと、彼の顔を見返したのはほぼ同時だった。
もう一度見たその顔には、やはり笑顔。私の心まで温める、暖かすぎる太陽。

それを眺めて、私は。私は……

同じように、笑いかけた。ぎこちなく、だけど、心の底から。
彼はそのまま満足したように頷くと、また目の前の光に向き直った。
その横顔は綺麗で、見ていて嬉しかった。
私だけの彼が、そこにいる。
それだけで、私の世界はもう満たされていた。




私も、光と向き合う。光はその体全てを現わし、私と彼の手を照らす。
そうして、暖かくなった繋がりを感じながら、流されるままに、彼の手と指を絡めて、握り返した。

終わり。次はリンリン。嫉妬ケイ。ケイばっかり書いてるなぁ。
またネタがあればよろしくお願いします。

「家族なんかいらない、一人は気楽なんて言ってるわりにいっつも一緒にいるよねぇ」「まるで兄弟みたい」とかツッコまれて
「はぁ?こんな奴らが兄弟とか絶対イヤだ!」みたいな反応するけど実はまんざらでもないラビッツとか

もしもタマキがある日突然
「イズルってイケメンかも…」とかふと思って呟いたらどうなるの

ジアートの1日とか見たい

おままごとに挑戦

どうも。今回は短く二つやっていきます。

乙女っていいよね

戦艦ゴディニオン――格納庫

イズル「あ、アンジュさーん!」タタタ…

アンジュ「どうかしましたか、先輩」

イズル「マンガの評価、してほしいんだけど」

アンジュ「わ、分かりました。では、原稿を…」

スルガ「まったく、イズルのヤツ、ベタベタだな」

アサギ「そりゃ、自分のマンガ真っ向から評価してくれるヤツなんていなかったからな」

タマキ「ケイー、どうかしたのー、じっと見てー」

ケイ「……別に、何でもないわ」

タマキ「……」ンー?

タマキ「……」ピーン!

タマキ「あ、そっかー! アンジュ取られてシットしてるんだー!」

ケイ「は?」

タマキ「うんうん。私も分かるー。アンジュカッコいいもんねー」

ケイ「…あんたと一緒にしないで」

タマキ「あれ? 違ったのら?」

スルガ「おめーもまぁ地雷へ突っ込んでいけるよな」

アサギ「まったくだ…。アイツはアイツで何も気にしてないし」

アンジュ「ですから、ここのコマはこう割った方がインパクトが出て…」

イズル「そ、そっか!」メモメモ…



その後、アンジュの的確すぎる指摘のおかげか、さらなるマンガの上達を見るイズル君なのでした。

終わり。短すぎるくらいですね。
次はプロットのつもりの台本形式を一つ。

勘違いって、大変

スターローズ―― 一般居住区

ケイ「」スタスタ…

ケイ(せっかくの休みなのに…どうしてこんなところを歩いているのかしらね)

ケイ(この辺り、だったわね。あの、テオーリアさんと、イズルが会ってたのは…)

ケイ(本当に、何でこんなところに、来たのかしらね、私は)

デモボクハ… イズルワタシハ…

ケイ(………っ、この声は…)カクレ

イズル「」ペラペラ

テオーリア「」ニコリ

ケイ(イズ…ル? それに、テオーリア、さん)

イズル「」ニコニコ

テオーリア「」ニコリ

ケイ(どうして、イズル? あなた、そんな顔、私たちの前じゃ見せてなかったじゃない)

ケイ(どうして、その人なの? 昔を知っているから? まるで、物語のヒロインみたいだから?)

ケイ(私が、あなたと同じヒーローを目指しているから?)

ケイ(どうして、なの……。あなたなんて、あなたなんて……)

イズル「テオーリアさん、僕は…」

テオーリア「……」

ケイ(止めて。それ以上、先は言わないで。そんな、ヒーローみたいな顔をしないで)

イズル「――あなたのヒーローになります!」

テオーリア「イズル……」ホホエミ

ケイ(っ! う…)ウズクマリ

イズル「あ、招集が…失礼します!」タッ

テオーリア「……」ジー

ダニール「…戻りましょう、テオーリア様」

テオーリア「ええ…」クル

ケイ(私も…行かないと……)ソー

テオーリア「……イズルのこと、お願いしますね」

ケイ(!)

テオーリア「彼には、生きていてほしいですから」ポツリ

ケイ(……)

ダニール「テオーリア様?」

テオーリア「今、参ります」

スタスタスタスタ…

ケイ「……」スクッ

ケイ「……何よ、それ」

ケイ(全て分かったような顔して…)

ケイ(何なんですか、その余裕は)

ケイ(これじゃ、張り合おうとしている私が、バカみたい…じゃないですか)

ケイ「…………私じゃ、あなたには届かないんですか」

以上。いつかこれを地の文でドロドロとやりたいと思います。
今週の話の密度は素晴らしかったですね。
個人的に予告でケイが真っ先にイズルのところにいたのが良いと思いました。
次は>>656 >>657 >>658 >>659のどれかで。それでは。

イズルへのプレゼントに悩むケイちゃん

イズルの看病するケイちゃんやタマキにアタックするパトリックも良くない?

やったねタマキ!イケメンな先輩に惚れられたよ!
でも今後のアタックの仕方やタイミング次第ではパトリックがアンディ以上の死亡フラグを立てかねないような……


という訳で漫画の参考にしようと死亡フラグについて調べた結果
チームドーベルマンの言動一つ一つにハラハラしてしまうイズルなんてどうでしょうか

買い物をしていたらタマキと会って二人でいるところをケイに見られる…

イズルかアサギがなんとなくタマキの乳さわる

皆で各々の二つ名・キャッチコピー的なものを考える

お久しぶりです。
今日は>>656 >>659 >>674 リンリンの四つで。

家族、とは。

戦艦ゴディニオン――格納庫

アサギ「だから、ここはこうやって回路を変えてやるとだな…」

アンナ「なるほどー、それは知らなかったな…」

イズル「――アサギー、そろそろケイがケーキ焼けるってー」テクテク

アサギ「おう、今行くよ」

アンナ「…アサギって、兄貴みてーだな」

アサギ「は?」

アンナ「いやさ、レッドファイブのヤツが呼びに来るの、何かアサギの弟みたいでさ」

アサギ「弟? アイツが…」

イズル『兄さーん』ブンブン

アサギ「」ブンブン

アサギ「ないな。それは絶対」

アンナ「そっかー?」

アサギ「アイツが弟とかはまずありえねぇな」

アサギ「っつーか、俺には家族はいないしよ」

アンナ「ふーん…。ま、そう言うならいいけどさ。じゃーな、アサギー」

アサギ「…おう」フッ






ケイの部屋

シュッ

スルガ「お、来たか」

アサギ「…おう。ケイは?」

イズル「タマキ呼びに行ったよ」

アサギ「そうか…で、問題のブツは?」

スルガ「……ここ」フー

青色の物体「」ケーキダヨー

アサギ「もう色からしてアウトだろ、これ」ウゲ

スルガ「はぁ。腹くくれよ、アサギ。腹キツイだろうけどよ」

イズル「ま、まぁまぁ。ほら、皆で食べればきっと…」

アサギ「どうにもなんねーよ」

スルガ「と、とにかく、頼むぜ、アサギ、イズル。俺は犠牲はゴメンだ」

アサギ「俺だってゴメンだ。お前も一緒に生贄になれ」

イズル「ここまで来たらがんばるしかないよ、スルガ」

スルガ「はぁ…。しょうがねーか」

シュッ

ケイ「皆揃ったみたいね」

タマキ「あーん、私いらないって言ったのにー」

ケイ「遠慮なんていらないわよ、タマキ?」

タマキ「えー…エンリョなんてしてないのらー」

スルガ「諦めろよ、タマキ」

イズル「あはは…ほら、ケイのケーキ、きっと美味しいよ……甘くて」

アサギ「」フー

ケイ「さ、召し上がれ」ズイ

黄色の物体「」ウケイレヨ

タマキ「うわーん! 助けてアサギにーちゃん!」

アサギ「誰がにーちゃんだ、誰が」

スルガ「アサギにーちゃん…くくく」

アサギ「っ、笑うな!」

イズル「ええと、あの、それだけアサギが頼りになるってことだよ、たぶん」

アサギ「都合の良い解釈すんな」

ケイ「…もう、お喋りよりもほら、食べてよ」ズイ

イズル「あ、えっと、うん」

アサギ「…ほら、タマキ。食えよ」






アサギ(ったく、何が兄さんだよ。くだらない)

アサギ(俺が長男、ケイが長女、イズルが次男、スルガが三男、タマキが次女……ってところか)

イズル「」モグモグ

スルガ「」ウヘー

タマキ「」グスッ

ケイ「」ニコニコ

アサギ(…ホント、くだらない)フッ

終わり。次行こう。

死にそうスリー

戦艦ゴディニオン

イズル「ええと、ご無事でしたか、先輩」

ランディ「おう、お前に助けられる時が来るとはなぁ」

チャンドラ「ふ、この借りはいつか戦場で返してやろう」

イズル「え、あ…」

ランディ「? どうした? 慌てたようなツラして」

イズル(い、今の言葉…マンガで見たことある)

イズル(た、確か…死亡フラグっていう……)アワアワ

シュッ

パトリック「――いやー、タマキちゃんはかわいいですねー」テクテク

ランディ「ったく、お前も分からんな。確かにあの子はかわいいが」フー

チャンドラ「まさかお前がな…」

パトリック「いいじゃないですか、僕が誰に好意を持ったって。きっとこの戦いが終わったら全力でアタックしますよ」

イズル(い、今…のも……)アワアワ

チャンドラ「ま、この戦いが終わるのはいつになるか分からんがな」

ランディ「ははは、そーだな」

イズル「……」ウツムキ

パトリック「……大丈夫だよ、僕らなら。生き延びれるさ」

ランディ「そうだぜ、イズル」

イズル「そう、ですよね」ニコリ

ランディ「おう、そうだその顔だ。教えたろ?」ニッ

イズル・ランディ「「ヒーローは顔が良いこと!」」

イズル「」クスクス

マンザイスリー「」ニッ

イズル「…じゃあ、失礼します」

ランディ「おう、またな」

チャンドラ「ふ、今度会う時はこの馬鹿の手綱取りが終わってるかもしれんがな」

イズル(っ!? そ、それも危ないですよ、先輩っ!!)

終わり。何やかんやでイズルが一番フラグを立てる。
次行こう。

おままごと

ケイ「おままごと?」

タマキ「うん」

イズル「何それ?」

タマキ「ごっこ遊びなんだってー、前の仕事でおこちゃまに教えてもらったのらー」ニコニコ

アサギ「…で?」

スルガ「…まさか、俺たちにそれ、付き合えってのか」

タマキ「うん!」

ケイ「…どうしてそうしようと思ったの?」

タマキ「だってー、すっごくおもしろそーだったんだもん」

アサギ「そりゃ、相手は幼稚園児だもんな」

スルガ「おもしろくもなるわな」

タマキ「でしょ!」

ケイ「さすがにやらないわよ。私たち、いくつだと思ってるの?」

タマキ「ええー……」

イズル「ええと、ほら、タマキ、えっと…」

ケイ「無理にフォローしなくていいわよ」

アサギ「そうそう。無茶言ってるのはタマキだ」

スルガ「ほら、諦めろよ、タマキ」

タマキ「ううー……」ガクリ

イズル「……」

イズル「」ウーン…

イズル「」ピーン!

イズル「じゃ、僕たちだけでやろっか、タマキ」

タマキ「!」

タマキ「え、いいの!」

イズル「僕も少し興味あるし、付き合うよ」

タマキ「ありがとーイズル!」ニコニコ

ケイ「…仕方ないわね」フー

タマキ「ケイ?」

ケイ「私も付き合うわよ。二人だけじゃ、つまらないでしょ?」

タマキ「ホントー!? わーい!」

イズル「ありがとう、ケイ」

ケイ「いいわよ、しょうがないものね」

アサギ「……」

スルガ「……」

スルガ「ったく、しょうがねーな、ホント」

アサギ「!」

イズル「あ、スルガもやってくれるの?」

スルガ「ま、暇だしな」

タマキ「ありがとー」ニコニコ

アサギ「………」

アサギ「仕方ねーな、まったく」

スルガ「んだよ、アサギ。お前と違って俺たちはお子様なんだよ」

タマキ「そーだそーだー!」

アサギ「好きにしろよ。俺はここで見物だ」

イズル「え、そう?」

アサギ「さすがに俺はやらないからな」

ケイ「まぁ、仕方ないことね」

イズル「うん。じゃ、始めようか」

タマキ「おー!」






イズル「ただいまー」ドアアケルフリ

タマキ「おっかえっりー!」タタタ

スルガ「お帰りー」フリフリ

ケイ「お帰りなさい、あ…あ……あな……」ウツムキ

イズル「? ただいま」ニコリ

ケイ「!」カァ

アサギ「……」

ケイ「…ごはん、出来るから」プイッ

イズル「うん。今日は何かな?」

タマキ「塩辛ーっ!」

スルガ「カレーっ!」

イズル「バラバラだなぁ」

ケイ「何言ってるの、パフェよ」

イズルたち「ええー…」

ケイ「……冗談よ」

アサギ(…見事に喜劇だな、これ)






イズル・タマキ・スルガ「「「ごちそうさまでした!」」」」

ケイ「…ごちそうさまでした」

タマキ「よーし、おとーさん、遊ぶのらー!」

スルガ「おいおい、今日は俺と格ゲーやるんだよ」

タマキ「ええー、スルガずるいー」

スルガ「昨日、一昨日と占領してたくせに…」

タマキ「あにをーっ!」

イズル「ええと、二人とも…」

ケイ「こら、ケンカしないの」

タマキ「でもー」

スルガ「だってよー」

イズル「あ、そうだ。じゃあ、三人でパーティーゲームしよ? ほら」

タマキ「あ! それいいのらー!」

スルガ「…しょうがねーなー」

ケイ「さりげなく私を入れないとはいい度胸ね、あなた?」

イズル「へ、あ、ケイもやる? てっきりこういうのは…」

ケイ「やるに決まってるでしょう? 私だって、家族と団欒したいもの…。普段はあなたはヒーローでなかなか一緒にいられないし」

イズル「あ……。ごめん、ケイ…」

ケイ「…別にいいわよ。ほら、始めましょう?」クスリ

タマキ「おとーさんおかーさん早くー」

スルガ「ほら、コントローラー」

イズル「うん、やろっか」



アサギ(なかなか皆演技うまいな……)






タマキ「」コックリコックリ

スルガ「タマキ、眠いなら寝ろよ」

タマキ「やーらぁ…。まだ、あそぶー……」

イズル「タマキ、そろそろお父さん疲れちゃったし、止めよう?」

ケイ「そうよ、タマキ。また明日、皆で遊びましょう?」

タマキ「……んー…あしたー?」

スルガ「そ、明日」

タマキ「……しょーがない、のらー」コクリ

タマキ「」スー

ケイ「ホントに寝ちゃったわ…」

スルガ「…じゃ、終わるか」

イズル「そうだね。もう、時間も遅いし」

アサギ「結構熱中してたな、お前ら」

ケイ「そうね、かなり集中してたわ」

イズル「今度はアサギもやらない? 結構おもしろいよ」

アサギ「いや、いい。なんつーか、見てるだけで十分だ」

スルガ「そっか? 俺は結構見てみたいけどなー、アサギおじいちゃん」

アサギ「待て、俺のポジションそこか? せめてイズルの兄貴とか…」

イズル「あ、それいいね! 兄弟でヒーローかぁ…」

アサギ「勝手に職をヒーローにすんなよ…」

ケイ「――ふふっ、何だかんだ言って、私たち楽しんでたのね」

イズル「うん。また今度、皆でやろう!」

スルガ「…ま、そうだな」

タマキ「…んへへー、もっとあそぶー……」ニコニコ



その後、新たにお父さんのお兄さんが加わったり、
近所のおばさ…お姉さんたちが加わったり、新しく黒い子供が入ったりして、賑やかな家庭が生まれるのでした。

終わり。子供の遊びって下手すると大人の方がハマることもある。
では最後行きましょう。

スズカゼ艦長の一日

AM5:00

いつも通りの時間に起床する。着替えを済ませてから、今日一日の予定を確認。
チームラビッツには任務は入っていないけれど、艦長としての職務は多い。
シャワーを浴びつつ、行動をシュミレートしておく。

AM7:00

食堂にて朝食を取る。
今日は珍しくチームラビッツのメンバーたちと一緒だ。

「それでね、教官…」

「タマキ。教官じゃなくて艦長だ」

「ったく、いつになったら慣れんだよ、お前」

「むー」

「ええと、すみません、教官」

「あなたも間違えてるわよ」

「あ…」

「先輩、さすがにそれはまずいですよ」

今日も今日とて、彼らの連携はバッチリのようだ。
大っぴらにすると、威厳がなくなるので、こっそりと笑みを零す。

AM9:00

戦闘の下準備のような事務的な仕事を終わらせていく。
今後のチームの運用、具体的な作戦計画、広報処理、パイロットの衛生会議……。
とにかく忙しい。オペレーターを始めとして多くの部下が手伝ってはくれるが、それでもギリギリ捌けるくらいだ。
移動の途中、訓練中のチームラビッツを見つける。
あぁ、彼らにムチを片手に教えていた頃がずいぶんと遠くに感じられる。

PM13:00

少し遅めの昼食を取る。
今度はオペレーター二人が一緒だ。

「しかし、こうも忙しいとおちおち遊びにも出れんな」

「馬鹿、今の状況を考えれば当たり前だ」

「いや、だとしてもだ。今は海水浴の時期というじゃないか。美しい海岸で麗しい子猫ちゃんたちと遊びたくなるだろ?」

「……お前にはほとほと呆れるよ」

軽いノリのジュリアーノに真剣なジークフリートがツッコミを入れる。
なかなか、良いコンビネーションをしている。
会話の中で、ジュリアーノに海水浴に誘われたが、遠慮なく断る。
まぁ、下心を隠そうともしない点については評価しておきたい。

PM14:00

午後は機体の整備について、シモン司令、サイオンジ整備長を交えての会議が始まる。
司令と私の細かな要望に、整備長が意見を出して、最善の改良を決める。
予想よりずっと長引きはしたが、具体的な案がはっきりと出来る。

PM20:00

会議と残っていた仕事がひと段落する。
すっかり人のいない食堂でそうそうに食事を済ませる。
明日からはまた作戦行動だ。
早めに眠らなくてはならない。…という予定だったのだけれど。

「あ、リンリーン」

自室に帰る道で、それなりに酒を呑んでいたらしいレイカに捕まった。
なすすべもなく、寝酒に付き合わされることとなった。

AM1:00

レイカの酒に付き合って、愚痴を零していたら日を跨いでしまっていた。
ぐっすりと眠るレイカを尻目に彼女の部屋を出る。
慌てて戻ることにしたものの、身体がふらふらしてうまく帰れない。
……何やってるんだか、私。

「あれ、艦長?」

そのとき、廊下で偶然にもイズルに出くわす。
どうやら眠れないらしい。さもなければ、翌日に作戦が控えている中で散歩なんてしないだろう。
何にせよ、申し訳ないがありがたいタイミングだ。
酒でうまく動けない、とは言わずに少し気分が悪いので部屋まで送ってくれるように頼んだ。
いつも通りの優しさで、彼は二つ返事で了解してくれた。

「ええと、いつもお疲れ様です。僕らのために…」

私の身体をおんぶしながら、彼はそんなことを言った。
…あのひよっこがずいぶんなことを言うようになったものだ、と思う。
しかしながら、それを言う気持ちにもならない。
彼の背中は、それぐらいには大きくなっていた。
ふ、と背中の中でまたこっそりと笑みを零した。

「――それじゃ。おやすみなさい、艦長」

気付けば、部屋に戻っていた。
彼が頼りになりそうな笑顔で去っていくように見えたのは、私が酒でだらしなくなっているからだろうか。

それとも――

そこまで考えて、私の思考は眠りに沈む。
ふと、目についたイズルの背中をじっと見届ける。
あぁ、きっと親鳥はこんな気持ちで見送るのだろうな。
今は酒の力。でも、きっといつかは真剣に。
そうして、私はまた、明日も彼らの『教官』になるのだ。

終わり。戦いが終わる日がくれば、ラビッツも本当に『卒業』するのでしょうね。
次は>>657 >>658 >>672 >>673 >>676 >>677 >>678 のどれかで。
では、またネタがあればどうぞお願いします。

チームラビッツ達の結婚式ネタはどう?
イズケイ、アサギとタマキ、スルガとアンジュとか

タマキと一緒に買い物に出かけたケイがブラのサイズに驚く話

ケイちゃんのバストアップ大作戦とか

どうも。今日は>>657 >>658 をやります。

気の迷い

戦艦ゴディニオン――タマキの部屋

タマキ「」ダラーン

ケイ「」ペラ

タマキ「…ねー」

ケイ「何?」

タマキ「ひまー」

ケイ「…そう」

タマキ「えー、それだけー?」

ケイ「他に何を言えば良いの?」ペラ

タマキ「…さっきから何読んでるのー?」ソー

『男の子の胃を掴む料理とは? これであなたも彼をゲット!』

タマキ「ほえー、意外、ケイもそういうの読むんだー」

ケイ「…別に。暇潰しよ」ペラ

タマキ「ん、そっか」

タマキ「」ゴロン

タマキ「えー、それだけー?」

ケイ「他に何を言えば良いの?」ペラ

タマキ「…さっきから何読んでるのー?」ソー

『男の子の胃を掴む料理とは? これであなたも彼をゲット!』

タマキ「ほえー、意外、ケイもそういうの読むんだー」

ケイ「…別に。暇潰しよ」ペラ

タマキ「ん、そっか」

タマキ「」ゴロン

タマキ「…ねーねー」

ケイ「今度は何?」

タマキ「…イズルってさー、意外にカッコいいトコあるよね」

ケイ「…いきなり何?」

タマキ「うんとね、昨日、ほきゅーかん叩く任務で助けてくれたじゃん? あのとき、イズルが何だかカッコいいな、って」

ケイ「……そう。いつもの病気ね」

タマキ「ううん。そういうのとは違うの。ただ、カッコよかったな、って」

ケイ「……」



イズル『僕はヒーローになるんだ! こんなところじゃ死ねないよ!
    マンガの続きだって描きたいし、ケイのあのやたら甘いケーキを食べさせてもらうんだ!』



ケイ「……まぁ、いつもよりかは、ね」メソラシ

タマキ「ねね、今度イズルやアサギとかスルガにお礼しようよ」

ケイ「お礼?」

タマキ「うん、昨日の作戦、何だかんだ言っても皆に助けられたしさ」

ケイ「……そう、ね。付き合ってあげる」

タマキ「うん! ありがとー、ケイ」ギュー

ケイ「こら、抱き付かないの」ピシッ

タマキ「いたっ」

終わり。次も>>657ネタで。

やっと気付いた。

スターローズ――食堂

イズル「」カキカキ

イズル「!」パァ

ケイ「」モグモグ

イズル「」チョイチョイ

ケイ「」ン?

イズル「」バッ

ケイ「……」

ケイ「」ブンブン

イズル「!」

イズル「」ズーン

タマキ「……」ジー

アサギ「どうした、タマキ?」

タマキ「…イズルって、イケメンだよね」

スルガ「!」

アサギ「!」

ケイ「!?」

イズル「?」

アサギ「どうした急に。お前らしくもないことを言いだして…」

スルガ「ホントだぜ、お前、俺たちなんて眼中にないんじゃなかったのかよ?」

タマキ「うーん。でもでも、イズルは何かカッコいいなぁ、って」

ケイ「……ど。どうせいつもの病気よ、きっと」

タマキ「そーかなー?」

ケイ「そうに決まってるでしょ。ええ、まったく。アンタはいつもそうなんだから。
   少しは慎むことを考えたら? そもそもいつもいつもそうやって勘違いしては玉砕して…」

スルガ「おい落ち着けよケイ。早口で喋るの俺の専売特許だからな」

アサギ「いや誰のでもないだろ」

イズル「ええっと、タマキ…」

アサギ「お前は喋るな。ややこしくなる」

イズル「えー…」

スルガ「っつーか、そう言うならアサギもだろ?」

タマキ「うーん、そうなんだけどー…あれ、そうかもー」ンー?

アサギ「やっぱりいつものヤツじゃねーかよ…」ハァ

ケイ「分かりやすいわね、ホント」

タマキ「うーん…」

スルガ「あ、そうだ。俺はどうよ、俺は」

タマキ「悪くないけどねー、やっぱりー…」

スルガ「おいやっぱりの続きはねーのか、やっぱり何だよ」

タマキ「うーんと…」

イズル「ほら、スルガも生き生きしてて良いよね」

スルガ「お前が言うのかよ!」

タマキ「……うーん、やっぱりイズルかなー」

ケイ「……」

アサギ(…また、面倒そうだな……)イガー

終わり。次で本編含めて50ネタ目。
受け入れよ。

皇子の一日。

不定の時間に起床。
今日は侍女の一人の部屋で目覚める。
早々に服を着てからその場を去る。

兄上やレガトゥスと共に朝食を取る、という予定を勝手に変更する。
別の侍女の元に向かい、適当な食事を済ませた。

その後、今度は自らの機体に向かう。
今度のシカーラのために、万全の状態でいたい。
何せ、あの『地球人』とやらは、この私に一撃を加えたのだ。
次の時は、完全な状態で臨まねばならない。

機体の調子を確認してから、今度は遊技場で軽いシカーラをする。
が、やはりあれ以上のラマタなどおらず、あっさりと飽きてしまった。

さらにその後、ルティエルの元で食事を取る。
この女と共に飲む酒はなかなか悪くない。
あいにくと一度もこの女自体の味を見ることはないが。

「…いかがしました、プレ・エグゼス?」

ふ、そなたの味はどのようなモノかと思ってな。

「ふふ、それはまた。…そうですわね、この酒よりはもう少し味わい深いとでもおっしゃらせていただきますわ」

それはそれは。楽しみになるな。

「ええ、機会があれば」

上手なことを言うものだ。こうしてあっさりとかわされてしまうと、それはそれで気が引かれるが。

食事を済ませ、またシカーラに興じる。
今度は少しだけ長く遊べた。
もちろん、ほんの少しだが。

夕食のために一度王宮に戻る。
さすがに何度も予定を変えるのは兄上に申し訳ない。

「プレ・エグゼス。お帰りですか?」

途中、ルメスに出くわした。
いや、この男のことだ。私を待ち構えていたに違いない。
共に兄上の元へ向かいながら、適当な言葉を交わす。
この男のことは、ある程度は信用している。
他のレガトゥスたちの笑い話を持ってくるのも、それなりに気に入っている。

「ジアート。やっと戻ってきたか」

兄上に挨拶をする。
兄上はこちらの行動など分かりきっているらしく、大して激情も見せず、ただそれだけ言った。
他の連中――特にドルガナは何か言いたそうにしていたが、その一言で全てを察したらしく、黙していた。

夕食が済み、すぐさま王宮を出た。
この後は、特に予定はない。
また兄上の侍女にでも手をつけてしまうのも悪くない。
そう考えながら、まだ見ぬラマタのことを考え、昂ぶる心を諌めた。

終わり。次回はずいぶんとコミカルなあらすじでしたね。
次は >>672 >>673 >>676 >>677 >>678 >>712 >>716 >>717 のどれかで。
では、またネタがあればよろしくお願いします。

酔ったリンリンに偶々散歩してたイズルが会っちゃった的な感じのネタを出来れば

男子が乳の話をする

乳にまつわる話でリンリンが過去にレイカのパイオツに嫉妬していたっと・・・

どうも。
今日は>>672 >>673 >>676 >>716 を参考に。

勝手に修羅場認定はよくない(至言)

スターローズ――商店街

イズル「」スタスタ…

イズル(何とはなしに外に出たけど…暇だなぁ)

???「あ、イズルー」

イズル「? あ、タマキ」

タマキ「何してんのー?」

イズル「えーと、散歩かな? タマキは?」

タマキ「おねーさんにオススメされた塩辛を食べに行くのー」

イズル「へぇ。あれ、今日は一人なの?」

タマキ「うん、ケイがお買い物に一人で行きたい、って」

タマキ「そうだ、イズルも来ない? 暇なんでしょ?」

イズル「ん、そうだね、そうしよっかな」

タマキ「よーし! 行くのらー!」グイグイ

イズル「や、そんな引っ張らなくても塩辛は逃げないよ」

タマキ「いいからー」ニコニコ






スターローズ――お菓子作り専門店

ケイ「……」スタスタ

ケイ(確か、この辺りに…あ、あった)

ケイ(ここにしかないのよね…強烈濃縮砂糖とハチミツ)

ケイ(今から帰ってケーキ焼いても、イズルぐらいなら食べてくれるでしょ)

ケイ(…よし、これでケーキの材料、それに……)チラリ

裁縫セット「」

ケイ(良いお守り、出来るといいけど…)

ケイ(イリーナたちも、何を勘違いしたのか知らないけど。これは皆のために作るんだから)

ケイ(イズル、たち。喜んでくれるかしらね…)

ケイ(……出ましょう)フー

アリガトウゴザイマシター

ケイ「ん…。日が強いわね……」

ケイ「……あ」

タマキ「♪」グイグイ

ケイ(タマキ? それに、あれは……)

イズル「」スタスタ

ケイ「イズル?」

ケイ(珍しい組み合わせね…どうしたのかしら?)

タマキ「! あ、ケイー!」ブンブン

イズル「あ、ホントだ」

タタタ…

ケイ「二人とも何をしているの?」

イズル「ええっと、散歩してたらそこでタマキと会ってさ」

タマキ「ケイにも言ったでしょ? 塩辛ー」

ケイ「ああ、昨日言ってた…」

タマキ「そー、それ。でね、ケイの代わりにイズルに付き合ってもらおうと思ってさー」

ケイ「…なるほど。何だか悪いわね、イズル」

イズル「別に気にしてないよ? 僕も暇だったし」

タマキ「ケイはお買い物終わったー?」

ケイ「え? …ええ」

イズル「何を買ったの?」

ケイ「あ、その…」

イズル「?」

ケイ「け、ケーキの材料よ、ケーキの」カクシ

タマキ「あ、そうなんだー。それなら別に一緒に行くのにー」

ケイ「あら、試食してくれるの?」

タマキ「ぜんげんてっかーい…」

ケイ「だから何でそんな嫌がるのよ…」

イズル「あ、あはは…。そうだ、ケイも一緒に来ない?」

タマキ「あ、それ良いのらー」

ケイ「…ごめんなさい、これからまだ用事があるから」

イズル「そう? じゃあしょうがないか」

タマキ「んー、じゃあ私たち行くねー」

ケイ「ええ、行ってらっしゃい。タマキをお願いね、イズル」

イズル「うん、分かった」

タマキ「行こ! イズルー」グイグイ

イズル「わ、だからくっつかないでよ動きにくいし」

ケイ(兄妹みたいね…)クスリ

ケイ「それじゃ、楽しんできなさい、タマキ」

イズル「じゃあね」

タマキ「じゃーねー!」ブンブン



その後、「今度はケイとか皆もー」というタマキの言葉で、チーム全員でお出かけしたり。
こっそりとお守りを作ったケイがメンバーたちに手渡したりするのでした。

終わり。さすがに妹分に嫉妬するわけないじゃない。
次行こう。

胸囲の格差社会

スターローズ―― 一般居住区、デパート

タマキ「ふへー、おっきいのらー」

ケイ「…ほら、行くわよ」

タマキ「あ、待ってー」トコトコ

ケイ「まったく…アンタねぇ、十五にもなって一人で買い物にも行けないの?」

タマキ「いやー、だってどこで買えばいいか分かんないしー、ケイも一緒だと嬉しいじゃん?」ニコニコ

ケイ「……まったく」ハァ

ケイ(まぁ、私も服や下着を買おうとは思ってたけれど…)

ケイ「」ジー

タマキ「」タユンタユン

ケイ「」チラリ

ケイ「」ストーン

ケイ(どうしてこうも違うのかしら…)ハァ

タマキ「?」






タマキ「わー、色々あるのらー」

ケイ「そうね」

ケイ(イリーナたちに薦められて来てみたけれど…すごく、場違いみたいだわ)

キャラデザによくある可愛いモブ1「」タユンタユン

キャラデザによくある可愛い(ry2「」タユンタユン

ケイ「」ハァ

タマキ「ケイー? どうかしたー?」

ケイ「アンタには分からない悩みよ……」

タマキ「?」




ケイ「まぁ、これかしらね」

ケイ(後は服と…)

タマキ「ケイー!」

ケイ「ああ、タマキ。決まったの?」

タマキ「うん! これでよろしくー」テワタシ

ケイ「はいはい。どれ…」

ケイ「」

ケイ「」チラ

タマキ「?」

ケイ「」

タマキ「……ケイ?」

ケイ「…何で、かしらね……」フー

タマキ「へ? 何が?」

ケイ「何でもよ、ホントに何でも」

ケイ(何よ、Jって…私なんて、A…)ハッ

ケイ「――ほら、行くわよ!」グイグイ

タマキ「わ、ちょっと、ケイーっ!?」

終わり。平井さんのモブは何故ああもかわいかったりカッコいいのか。
次行こう。

いつからか、それは理解している。
とにかく、私はその感情を抱いていることを、改めて認識した。

「……」

スターローズの、個人用の病室。
ある人の眠るベッドの前で、私は椅子に腰掛けていた。
周りには、誰もいない。いや、仲間がさっきまでいたけれど、皆一度出て行ってしまった。

「……ふぅ」

ずっと同じ体勢でいるせいか、どうにも疲れを感じる。
もちろん、ため息を吐いたのはそれが理由じゃない。
自分の無力さが、嫌になってしまっただけだ。
私の前で、規則的に息をする彼に、私は何もできない。
ただ、こうしてじっと見つめて、目を覚ますことを祈るしかない。

「イズル…」

名前を呟きながら、彼の手を取ってみる。
彼は穏やかな顔で眠っていて、その手は暖かく、彼の生命が確かにここにあることは分かる。
しかし、何故か安心はできなかった。
すぐにでも彼の身体に異常が生まれるのではないか、と思うと気が気でない。

先程の、あのジアートとの戦い。
あの中で、イズルは驚異的な戦闘を繰り広げて見せた。
その無茶がたたっているのではないか。――そう、ルーラ医師は言っていた。
だから、目覚めが少し遅いだけだ、とも言っていた。そんなに心配しすぎることはないのだ、と。

理屈ではそのことを完全に理解している。なのに、私は不安でいた。
どうして、だろう。彼のこととなると、私は落ち着かない。
心配で、たまらなくなる。彼が傷を負うと、自分の身体の一部が失われるみたいに感じてしまう。

……なんて、いつまでも、分からないフリなんてしていられない。
分かっている。どうして、こうも私らしくもなくなるのかぐらい、分かっている。
自分のことだ。自分で一番理解している。

つまりは。私は――どうしようもなく、彼を好いているんだ。

愛おしくて、たまらなくなる。彼が喜ぶと、自分のことみたいに感じてしまう。
そんな風に錯覚してしまうほどに、彼に依存し始めている。

それがはっきりとしたのがいつかは分からないけれど。
一つ言えるのは、今、私がその感情を完全に認識しているということだ。

早く目覚めて、と願う。
またいつもみたいに笑って。いつもみたいに、ヒーローなんて子供っぽいことに目を輝かせて。
またいつもみたいに、私のお手製のケーキを食べて。いつもみたいにマンガを読ませて。

ぎゅ、っと。強く強く、願いを込めて、手を握り直した。

そして――

「う……」

「イズル!」

私の願いが届いたのか、時が来たのか。
彼が小さく呻いて、その瞳を薄く開いた。慌てて、私は立ち上がって彼の顔を覗き込む。
彼の目は焦点があっていないけれど、必死に何かを探そうとしているように見えた。
その瞳の先に誰かを求めるように、私の手を握り返した。

何を求めているの、と私が疑問を抱く前に。
残酷に、答えはやってきた。

「テオー、リアさん……僕は、ヒーロー、に……」

「――っ!」

一気に、私の手から体温がなくなるような感覚がした。
彼の手を握る力が失われてしまう。
私と彼とを繋ぐ橋は、一方的に断たれた。
彼の手が、求める先を失い、ぶらんとだらしなくシーツに落ちた。
それを謝るよりも先に、彼はまた眠ってしまう。

「……」

数秒間、私は立ち尽くしたままでいた。
頭の中で情報だけが流れていって、何も思考は纏まらない。
イズル、私、ヒーロー、ジュリアシステム、テオーリアさん、お友達、昔の記憶……。
ただ単語の羅列が並んでは消えていくだけで、私は何も理解していない。

それでも、少しすれば勝手に脳は冷静になる。
そして、理解できる。彼が求める人。それが、誰なのかなんて。

とす、と椅子に落ちるように座る。
無気力に、彼の穏やかな寝顔を見た。

何もなかったように、彼は眠り。
何かがあったように、私は起きていた。

それから先であったことなんて、私は何も覚えていない。
脳が正常に記憶しだしたのは、イズルが改めて目覚めたところから。
今は彼の目覚めを、喜んでいたい。
私は――私は、何も聞いていないし、見ていない。

終わり。次行こう。

「………」

スターローズの一般居住区。そこの、あるデパートの入口。
私はそこで、一人立っていた。
いつもはタマキとよく来るけれど、今日は違う。
そっと、私は中に入る前に、お財布を取り出して、そこに入っているメモを見る。

「……イズル、喜ぶかしら」

一言、呟いた。
そう、今日の私は自分のための買い物に来ているわけではない。
今、入院――といえばいいのか、休暇中といえばいいのか分からない――イズルのためにその、お見舞いをすることにしたのだ。
せっかくのお見舞いだし、どうせだから彼の欲しがりそうなモノを渡そう、と決めた。
そのこと自体はもう彼にも伝えておいたし(彼は「ありがとう、行ってらっしゃい」と言っていた)、サプライズはないけれど。

というようなことを伝えたら、ピットクルーの人たちが何故か真剣に相談に乗ってきた。
私としては、それは嬉しいけれど、ただ、終始変に穏やかな笑みを浮かべていたのが、気になった。
まぁ、そんな紆余曲折があって、私はこうしてイズルへのお見舞いの品を求めてきている。
開店した店内にさっさと入る。
早く買い物を済ませて、イズルに会いに行こう。早く、早く。

そして、現在。

「……」

デパートのある文房具店で、私は困り顔をしていた。
目の前には、Gペン、とかいうモノみたいなマンガを描く道具が羅列している。
調べてから知ったことだけれど、今ではイズルみたいに手書きでマンガを描く人はいないらしい。
実際、調べた結果、ここのマイナーなアンティークの専門店ぐらいしか扱っていない。

で、問題もなく店に着いたのだけれども。
弱ったことに、売り物の種類が多すぎる。
一つのペンだけでも、何やら機能や性能に違いがあるらしい。
こういうことのためにある程度調べてきたのに、どれを買えばいいかさっぱり分からない。

…どうしよう。いっそ全て買ってしまおうか。
一瞬考えたバカらしい行動に、ため息を吐く。
軍からいくらかはお金のことを保障されている。
多少、無茶をしても…いや、それではイズルが困るかもしれない。
いらないモノを無駄に買うのも、あまりいいこととは思えないし。
そうして、私が悩みに悩んでいると。

「お客様、お困りでしょうか」

いつの間にか、隣に店員さんが立っていた。
何やら見た目の割にずいぶんと落ち着いた雰囲気のお姉さんに対して、私は急な声につい慌ててしまう。

「は、はい…あの、この中で一番良いモノって何でしょうか?」

私の妙に上ずった声に、お姉さんは何も反応せず、少しばかり品物を眺めてから、いくつかの品を見せてくれた。
いわく、昔アナログな方式でマンガを描いていた『マンガの神様』と呼ばれる人の品物なのだそうだ。
少しだけ触らせてもらうと、なるほど、確かにそれほど昔の品物だというのに、他の新品よりもむしろ輝いて見える。
きっと、これの持ち主であった人は本当にマンガを描くことが好きだったのだろう。道具の手入れは完璧だった。

私はあっさりとそれらの品を買うことを決めた。
変に迷っても仕方ない、ということもあるけれど、『マンガの神様』という言葉が気に入った。
それだけの人が使っていたのだ。きっと、イズルのマンガを良くしてくれる。持ち込みを、上手くいくようにしてくれる。
ガラにもない、そんなオカルトめいたことを思って、私はそれらを手に入れた。

レジで、「彼へのプレゼントかしら?」なんてことを聞かれて、言葉に詰まったりもしたけれど、問題なく買い物は終わった。
イズルとは、別にそんな関係じゃない。ただ、仲間として、お見舞いしてあげようと思っただけのことだ。

「お帰りなさい、お嬢」

スターローズの拠点に戻ってきた私を、イリーナが出迎えてくれた。
彼女はニコニコと優しい笑顔でいた。
その笑顔は、やっぱり、ちょっと苦手だ。
普段はチームの中でも年上として行動しているせいなのかもしれない。
と、そんな感想はともかくとして、私は本題に入ることにした。

「…あの、イズルはまだ…」

「病室にいるわよ。早く行ってくると良いわ」

私の質問を途中で察したのか、それだけ言うと、イリーナはお見舞いの品以外を持って行ってくれた。
ありがとう、とその背中に小さく言葉を向ける。
聞こえていないだろう、と思っていたその声は、意外にも届いていたらしく、彼女は振り返って手を振ってくれた。
その手に応えてから、私もまた、歩き出す。

歩きから、途中で全力の走りに切り替えて、私は長い長い通路を駆けていた。
待ち遠しい。すぐにでもこれを渡して、彼の驚く顔が見たい。笑顔が見たい。
私の顔が今どうなっているのかは分からない。
あいにくと道中では誰にも会わなかったこともあって、予想がつかない。
でも、たぶん、普段らしくもなく、必死な表情でいたに違いない。

「……っ」

ようやく、辿り着いた。
一度、乱れた呼吸を取り戻す。
だらしない恰好では会いたくない。それじゃ、ちょっと決まらない。

呼吸が戻る。それとは別に一度深呼吸をした。何だか、緊張していた。
手の中の品をもう一度見る。大丈夫、一つも欠けていない。
最後に、自分の様子を近くのガラスのドアで確認する。
大丈夫、だらしなくなっていない。ちゃんと、笑顔も出せる。

改めて、私は病室の前に立つ。
少し震える手で、二回ノックした。

「はい?」

ほどなくして、彼の声が返ってくる。
あぁ、よかった。彼は、この先にいる。

私はそっと、ドアに手を添える。スキャンを経て、ドアは開いた。
私はそっと、一歩踏み出す。完全に入室すると、ドアが閉まった。

そして、あの声がする。私を迎えてくれる、大切な声。

「――お帰り、ケイ」

「――ええ、ただいま」

終わり。どうでもいいけど胸のネタがどれだけお好きなんですかね。
次は >>676 >>678 >>712 >>717 >>738 >>739 >>740 のどれかで。
では、また何かネタがあればどうぞお願いします。



スルガの食いっぷりに釣られて久々にカレー食べたイズルとアサギによる
カレーには醤油かソースか論争とかどうでしょう

ケイのケーキ食ってなのか電気ショックなのかイズルが戻った理由どっちだろ……心肺停止する甘さか、それと此処のネタを原作で見れるとは思わなかったw

リクエストはイズルと自分を比較するアサギを頼みます。

ジュリアーノ「胸をさわらせてほしい」
タマキ「はいにゃん!」

パトリック「オパーイ揉ませて!」
タマキ「え」

どうも。今回のお話はレッド5の意外性を知るモノでしたね。
今日は >>766 を参考に一つ。

自分の価値や特徴について、深く考えてみる。
神経質。プレッシャーに弱い。エリート気質。総合的な実力ではトップクラス。
個人演習でも、誰にも負けはしなかった。チーム戦は別としても。
…最近は、チームの中でも、作戦や指示で頼りにされるようにはなった。
十分に、年長者としてチームを支えているはずだ。

アイツの価値や特徴について、深く考えてみる。
能天気。プレッシャーなんて、物ともしない。集中力が驚異的。
個人演習じゃ、負けてばかり。チーム戦も同じ。
…なのに、チームの中で一番に頼られている。
完璧に、チームの支えとして、皆を引っ張っている。

……それは、俺も含めて。

「――アサギ?」

アイツが俺を呼ぶ声がして、はっと意識が戻る。
いかん、珍しく考え事にハマっていた。

「んだよ珍しい、もう任務だってのに」

横からスルガが軽口で笑った。
コイツはいつだってこうだ。
軽い調子で、戦いへの不安を掻き消そうとしている。

「別にいいだろ。俺だって、たまにはこういうこともある」

言いながら、らしくない自分に若干の苛立ちを感じて、スタスタと先に格納庫に向かう。
後ろからスルガが何かを言っていたが、無視した。

「ええっと、頑張ろうね、アサギ」

慌てて俺を追ってきたアイツが横に並ぶ。
俺はさらに歩く速度を上げて進む。
アイツは負けじと俺を追う。

……何だ、コイツは。

「何だよ。人にぴったりと」

抗議すると、アイツは相変わらずの悪意のない無邪気な笑みを見せる。

「いや、僕たち前衛だし、チームワークのためにも、お互い声を掛けあうモノかなって」

「…今度はどこのマンガからだ?」

呆れたようにそれだけ返す。
コイツなんかに、チームワークとか言われたくない。
こんな、俺よりだらしない、リーダーなんかに…。

そこまで考えて、俺は自分の思考が情けなくてこっそりとため息を吐いた。
何をバカなことを…俺は最年長なんだ。
コイツに当たってどうするんだよ。

あまりにも浅はかな自分に嫌気が差す。
俺は、皆の支えになりたいのに…。

と、そんな風に自分を嘲る俺に、アイツはただ迷いなくこう言った。

「マンガじゃないよ。僕なりに考えたんだ。アサギとちゃんと頑張りたいんだ。アサギがいなきゃ、僕はダメだしさ」

「……」

そうか、と聞こえないぐらい小さく呟く。
コイツだって、分かってるんだ。
自分だけじゃどうにもならないから、知ってるんだ。
仲間と協力していくことの意味を。
俺みたいに、仲間をどこか守るだけのモノだなんて考えてしまっているヤツとは違う。

それなら、俺は。
俺も、コイツのようにそれを知ることができるのだろうか。
いつか、少しずつ頼られるんじゃなくて。

それがいつかは分からない。
でも、きっと、いつか。

「……行くぞ」

それだけ吐き捨てるように言うと、俺は一気に走った。
コイツとは並ばない。並べない。
遠いのか近いのか分からない将来。仲間たちと並べる日が来るまでは。

終わり。次回はアサギ回みたいだし楽しみですね。
次は>>678 >>712 >>717 >>738 >>739 >>765のどれかで。
すみませんが、自分でも書けそうなネタとそうでもないネタがあることが分かったので、選ばせていただきます。
誰か私の代わりに書いてください。それでは、またネタがあったらお願いします。

ケイが耳いいのに歌オンチだったらいいネタになるな作中で歌うま設定があるならどうでもいいけど

タマキが実は頭いいけど無能なフリしてる疑惑

イズルの上着見つけてこっそり羽織ったりちょっとだけ匂い嗅いだりしちゃうケイちゃん

試しにヒーローもの以外の漫画を書いてみたら普通に評判良くてイズル困惑

テレビ局のMJP美男美女特集

アサギ幼児化する話

どうも。今日は>>678 >>717 >>738 >>776 >>781 を参考に。

ヤンデレ2

タマキの場合

スターローズ――食堂

タマキ「イズルー」

イズル「? 何?」

タマキ「たまには一緒にごはん食べよー?」

イズル「あぁ、いいよ。塩辛も?」

タマキ「もちろん。はい!」テワタシ

イズル「ああ。ありがとう…」パクパク

タマキ「♪」パクパク






スターローズ――廊下

イズル「」ウツラウツラ

イズル「おかしいな…何か、ごはん済ませてから、眠いなぁ…」

タマキ「あれ、イズル? どーかしたー?」

イズル「あ、うん…何か、眠く、て」フラ

タマキ「」ニコリ

イズル「…? タマ、キ…」バタリ

タマキ「ふふ……イズル♪」






イズル「う……」

タマキ「あ。イズルーおはよー」

イズル「た、タマキ? ここは…」

タマキ「私の部屋ー。倒れたから運んであげたのらー」

イズル「そっか、ごめん」

タマキ「ううん。たまにはのんびりするのらー」ギュッ

イズル「へ? ちょっと、タマキ…」

タマキ「いいじゃんこれぐらいー」

イズル「うーん……。まぁ、いいけどさ」

タマキ(…これからはクスリの量増やそうかなー?)

ケイの場合

ケイの部屋

イズル「ね、ねぇケイ?」

ケイ「何かしら?」ニコニコ

イズル「ええっと、何で僕はこんなことに?」シバラレメカクシ

ケイ「何でって…そんなこと、気にしなくていいわ」ソッ

イズル「あ、え、け、ケイ!?」ビクリ

ケイ「今日はせっかくの休日だもの…ずっと一緒にいたくて」

イズル「あの、ケーキならいくらでも付き合うし、こんなことしなくても…」

ケイ「そう言って、また、テオーリアさんに会うんでしょう? ダメよ、そんなの」ギュ

イズル「ちょ、ちょっと! あ、や、ケイ…いた……っ」

ケイ「あ…ごめん。つい、あの人のことを思い出しちゃって…」

イズル(い、いつものケイじゃ、ない…怖い)

ケイ「ふふ、イズル♪」ギュ

イズル「あ、うぅ……」

ケイ「今日は皆のじゃなくて…私だけのヒーローでいてね?」チュ

イズル「ん、うぅ………」

終わり。何このこれじゃない感。
野郎どもとアンジュはまた今度。
次行ってみよう。

「皆の通り名とかを考えたいんだけど…」

いつもの激務明けの朝、イズルがそんなことを言った。

「通り名ァ?」

突然の言葉に、スルガが呆れたような声を上げる。
そりゃそうだ、と思う。
いきなり訳の分からないことを言うのはいつものことだが、今回は突拍子がなさすぎた。

「えっとね、ほら、僕たちヒーローじゃない? だから…」

「そういう呼び名が欲しい、ってこと?」

ケイが補佐するように言って、イズルはうんうんと頷いた。
……なるほど、いつも通りのヒーローバカってわけだ。

「あの、通り名とかは、その、自分で名乗るモノではないのでは…」

アンジュが真っ当なツッコミを入れる。
あぁ、コイツは貴重なツッコミ要員だな。
最近はケイがちょっとイズルに流されつつあるから、心底ホッとする。
俺も続ける。

「そうだぞ、っつーか、俺はイヤだ」

「二つ名かー……」

否定する俺の横で、タマキがまんざらでもなさそうに呟く。
おいおい、お前までヒーローバカが感染してんのかよ。

「うん。例えばアサギならね…」

「おい、話を聞けよ」

俺の声を無視して、イズルが続ける。
この野郎、人の話を聞けよ。

「駆ける蒼穹とか、稲妻のブルーとか…」

「やめろ、それは絶対ににやめろ」

何だよその古めかしい感じの呼ばわり。
俺はそのノリはいらないっての。
そんな俺の心の声は、きっちりとイズルの声に無視される。

「ケイならね…」




目を輝かせて、イズルはそのまま語り出す。
ケイの場合は『皆の柱』、『天地のパーブル』。
タマキの場合は『癒しの三番』、『疾風のピンク』。
スルガの場合は『速攻スナイパー』、『波風のゴールド』。
アンジュの場合は『秘めたる一撃』、『激烈のブラック』。

よくもまぁ、そんなに考えたモンだな、と思う。
ちなみに言っておくと、イズルのこの語りは皆(俺以外)の意見を取り入れた結果だ。
ったく、どいつもこいつも影響受けすぎなんだよ…。

「アサギはどう思う?」

「ん?」

と、俺がぼんやりと自分の意見を考えていると、イズルが声を掛けてくる。
何の話だっけか。すっかりと聞いていなかった。

「イズルの二つ名よ。何かない?」

「…俺に聞くか? それ」

何で俺がコイツのを考えなくちゃならないんだ。
っつーか、皆のを考えておいて、自分のは考えてなかったのかよ。

「……『燃え盛る真紅』とか、『守護のレッド』とかでいいんじゃねぇの?」

…はっ。俺は何を言ってるんだか。
俺まで影響受けてどうするんだよ。これじゃマジで俺までバカみたいじゃねぇか。
なしなし、今のは……。

「いいね! それ!」

「なっ……」

マジかよ。これでいいのかよ。アバウトすぎるだろ。
と思ったが、今さら訂正は効きそうにない。
純粋に目を輝かせるイズルの様子に、水を差すことはできそうもない。
というか、俺以外の皆まで満足そうに頷いていて、口を出す機会がなかった。

「ありがとう、アサギ!」

満面の笑みで、イズルは俺に礼を言った。
……っ、く、そ、そんなツラすんなよ。何か罪悪感湧くだろうが。

「…おう」

そっぽを向いて、俺はそれだけ返す。
チラリと時計を見れば、もう昼だ。
朝からずっと付き合ってたんだな。ったく、俺たちコイツに甘すぎるだろ。
……まぁ、いいけどよ。

終わり。次行ってみよう。

作り物じゃ、いかんのです

スターローズ――ケイの部屋

ケイ「」ペラ

ケイ「……」パタン

ケイ「…ふぅ」

ケイ(これもあんまりね…)

ケイ(イリーナたちに貸してもらった雑誌や本…これで全部か…)

ケイ(…だ、だいたい。無理に胸なんて大きくする必要なんかないわよね)

ケイ(その、イズルも気にしない、って言ってくれたし)

ケイ「」ペタペタ

ケイ「」ストーン

ケイ「……」ハァ

ケイ(と、とりあえず。興味本位として、やってみましょう)

ケイ(…まずは、この肩甲骨エキササイズから)

ケイ(肩甲骨を緩めて…と……)

ケイ「」グッグッ

ケイ(床に向けて突き出した胸を沈めて、っと)

ケイ「…これを一日三回、ね」

ケイ(次は…運動後だし、牛乳でも飲みましょう)

ケイ(確か、きなこ牛乳がいいのよね…)

ケイ「」ガチャ

ケイ「砂糖も大さじ一、っと」オタマデブワー

ケイ「」ゴクゴク

ケイ(思ったより…キツイわね)

ケイ(ハチミツを入れるとまだマシになるのよね、確か)

ケイ(これも一日一杯…)

ケイ「……さて。じゃ、じゃあ、最後にしましょう、か」

ケイ(で、でも、これ、ホントに効果あるのかしら…)

ケイ(で、でも、これは、そう、ほら、スキンシップも兼ねる、っていうし…)

ケイ(で、でも、これ、ホントに…)イカループ



ケイ(……っ、い、一度決めたらはっきりしなきゃ)






イズル「ええっと、ケイ? 呼んだ?」

ケイ「う、うん…」

イズル「? またケーキの試食?」

ケイ「い、いえ。そういうのではなくてね? その…」

イズル「うん」

ケイ「む、胸を…その」ウツムキ

イズル「?」

ケイ「も、揉んで、欲しい、の……」カァ

イズル「へ……?」

ケイ「」カァァ

イズル「あ、あの、ケイ…。その、今日は僕…あれ置いてきちゃってるし…」

ケイ「そ、そういうことじゃないわ! へ、変態!」

イズル「ええっ!?」

ケイ「あ、あのね…」






イズル「ええっと、つまり…胸を大きくする方法に、その、す、好きな人に揉んでもらうと大きくなるっていうのがあって…」

ケイ「わ、私としてはね、ば、バカらしいとは思っているけれど、その、噂は確かめてみないと気が済まないというか…」

イズル「わ、分かったから、そんな近寄らないで、か、顔近いし」カァ

ケイ「あっ…」カァ

イズル「……」

ケイ「……」

ケイ「な、何よ、さんざん人にあんなことをしておいて…」ウツムキ

イズル「け、ケイだって僕に結構イロイロとしたじゃないか…」ウツムキ

ケイ「……やめましょう。お互いによくないわ」

イズル「う、うん…」

ケイ「そ、それで…お願い、できるかしら」

イズル「ま、まぁ、僕はいいけど…」

ケイ「そ、そう。それじゃ、お願い、ね?」ウワメヅカイ

イズル「う、うん…」

ケイ「」ドキドキ

イズル「」ソ、ソー

ケイ「ひゃんっ!」ビクン

イズル「……っ」ムニムニ

ケイ「ん、ぅ……」カァ

イズル「」ムニムニ

ケイ「は、あ……っ」ピクリ

イズル(ぼ、僕まで変な気持ちになっちゃうなぁ……)

ケイ「い、いず、いずるっ」バッ

イズル「わ、え、ケイ?」

ケイ「も、もっ、いい、から……」ハァハァ

イズル「あっ……ご、ごめん…」

ケイ「……」ハァハァ

イズル(ケイ…顔真っ赤だ……それに、汗かいてて、何か、いつもと違う……)

イズル「」スッ

ケイ「い、イズル…ん」

イズル「」ギュッ

ケイ「ん……」

イズル「…ぷはっ」

ケイ「ちょ、ちょっと、イズル…!」

イズル「ごめん、ケイ。我慢できなくなっちゃった…!」ガバッ

ケイ「あ、い、いず……」ポスン



結局、色々と試してみた結果、ちょっぴりだけ胸のサイズが大きくなったケイがイズルと大喜びしたり。
その後、あまり大して変わらないケイの胸ではありましたが、イズルとの仲はさらに良くなったようです。

終わり。ケイの大さじは絶対おかしい。
次行こう。

そこまで行くなら頼んじゃえばいいのに

戦艦ゴディニオン――チームラビッツの待機所

シュッ

ケイ(…あら、誰もいないの?)

ケイ「」キョロキョロ

ケイ(……まぁ、待ちましょう)

ケイ「」ストン

ケイ「……」

ケイ「…あれ、どうすればいいのかしら……」ジー

イズルのパーカー「」ポーイ

ケイ(まったく…どうしてこうもテキトウなのかしらね)ジー

ケイ(自分の服なんだから、ちゃんと管理しなさいよね)ジー

ケイ「……」

ケイ「」キョロキョロ

ケイ「」スタスタ

ケイ「まったく、もう…」ヒョイ

ケイ「どこかにちゃんと置いておかないと、しわになっちゃうし…」

ケイ「仕方ない、わよね」スタスタ

ケイ「」ストン

ケイ(お、置くなら椅子の近くよね…決して近くに置いておきたいわけじゃなくて…)

ケイ「……」キョロキョロ

ケイ(…よ、汚れとかないかしら……)

ケイ「」ソー

ケイ(そう、これは確認よ。だいたい、イズルが放っておくから悪いんだから)

ケイ「!」クン

ケイ(な、何かしら…何だか、良い匂いが、する……)

ケイ「」クンクン

ケイ「」クラリ

ケイ「……」

ケイ「――ふ、ふふ…」ギュー

イズル「……えーと、ケイ?」

ケイ「」ビックゥ

ケイ「い、いいい、い……」

イズル「あの、それって、その…」

ケイ「あ、や、こ、これは、あああの…」オロオロ

イズル「ええっと、その、そんな、あれだったら…それ貸すけど……」

ケイ「――っ! ち、違うわよ! ほら、返すから!」グイグイ

イズル「あ、いや、うん」

ケイ「……お、お願いだから」

イズル「う、うん」

ケイ「誰にも、言わないで…」ウツムキ

イズル「うん…」

ケイ「……」

イズル「……」

シュッ

スルガ「やー、疲れたーっ!」

タマキ「塩辛ーっ!」

アサギ「もうちょっと落ち着けってんだよ」

イズル「あ、皆、遅かったね」タタタ…

ケイ「そ、そうね。ずいぶんとのんびりしてたみたいね」

スルガ「んだよ、お前らが早いだけだろ?」

タマキ「そうだそうだー」

アサギ「今日はたまたまだよ、たまたま」

イズル「はは、そっか」

ケイ「……」プイ



その後、気兼ねなくイズルの上着を借りに行ったり、むしろイズル本人を求めたりしちゃうケイだったのでした。

終わり。
次行こう。

どうしたものかなぁ。
僕はひたすらに目の前の状況に関して、悩んでいた。
ここはスターローズ――いつもなら、僕の部屋なんだけれど。
今日はそこじゃなくって、ええっと……。

「んぅ……」

「あの、艦長。着きましたよ」

そう。今、僕はスズカゼ艦長の私室にいる。
時刻は深夜。おまけに僕は艦長を背中に載せて――つまりはだっこだ――いる。
…見る人が見ると、たぶん親子みたいなんだろうなぁ。
一応、艦長の年齢を考えるとそんなことを考えるのは失礼なんだけど。

「ん、いずる…?」

「わ、耳元で声出さないでください」

いつもよりずっとだらしなくて弱々しい声で囁かれて、ちょっと力が抜けそうになる。
そんな艦長の様子はどう見てもおかしい、ときっとチームの皆も思うだろうな。
艦長は、その、ひどくお酒に酔っているらしかった。
実際、お酒の少しキツイ匂いが漂ってくるし。
そもそも、何故僕がこうしているのかにはちょっとした原因がある。

ほんの数分前、僕は日課のマンガを描き終えて、軽い散歩に出た。
これは前からの習慣で、マンガを描ききった興奮を冷ます意味もあるし、いつもとは違う艦内を歩くのは楽しい。
それで、今日は少し違うことが起きた。
酔ってふらふらした動きをする艦長に出くわした。

そのときの艦長は、結構印象に残っている。
いつもと違って、着崩れた軍服。
紅く染まったほっぺ、わずかに濡れた跡のある瞳。
思わず、普段との違いがはっきりすぎて、目を奪われていた。

「艦長?」

とりあえず話しかけてみた。
最初に艦長の姿を目にしたとき、何だか困っているように見えたから。
困った人を放っておくのは、ヒーローじゃない。

「…いずるー?」

呂律が少しばかり怪しい感じ――まるでタマキみたいな――で艦長は僕の声に応えると、そのまま近寄ってきた。
その足取りは、慌てて教え子に対してしっかりした姿を見せようとしているようで、むしろはっきりしていなかった。
だけど、そんな急な動きに身体が付いていけないらしく、艦長はふらふらしたまま、僕に倒れ込んで来てしまう。

「だ、大丈夫ですか?」

ぽすん、と僕の身体に細身の艦長が頭をうずくめるように寄り掛かる。
大人の女の人の柔らかい身体と、お酒の匂いが混ざっているけど、微かにする何とも言えない甘い香りに、少しドギマギする。
う、こうしてみると、艦長ってオトナなんだなぁ。
や、失礼なのは分かってるけど。

「だいじょうぶ、よ…」

やっぱり頼りない感じの声色で、艦長は言うと、その場を動かない。
それどころか、僕にもっと寄って来てるような気がする。
…全然大丈夫じゃないような……。

どうしようか、と僕は考える。
このまま放っておいて、この人が自分の部屋に戻れるか不安な気がする。
いや、戻れるかじゃない。確信できる。たぶん戻らない。

酔うと全然きっちりしない、って前に整備長さんが言っていたし。
となると、このままにはしておけない。
僕は、いつものようにすぐに結論を決めた。

「…部屋に、お連れしますね」

艦長を一度離して、背中に負った。
艦長はまるで羽みたいに軽くて、背負うのに苦しくない。
何か言われるかと思ったけど、艦長は何も言わないで、僕の背にしがみついた。
……何だか、僕が保護者みたいだなぁ。

――と、こうして、今の状況に戻る。

「ええっと、寝かしますよ…」

「んー……」

知ってる人に会うこともなく、艦長の部屋には迷いなく辿り着いた。
部屋の場所自体は知っていたから、特に問題はなかった。
いや、実際のところは艦長の部屋に入るための認証カードを探すために、その、少し艦長の服を……。
うん、僕は何も見てないし、触ってない。

部屋に入って、背中の艦長に断りを入れてからベッドに寝かせる。
艦長はだらしない声を気だるげに伸ばしながら、身体を投げ出すようにした。
…ふぅ、これで終わり。
満足して僕は頷くと、くるりと身を翻す。

「いずるー…」

「え?」

突然の僕を呼ぶ声に、ついまた振り返る。
そして――

「…ん」

「わっ!?」

思わず、マヌケな声が出た。
次に認識したのは、ぽすん、と僕が柔らかいベッドマットに落ちる音。
それから、僕を抱き締める人の柔らかい感触。

「か、艦長!」

間近にあったその顔に、僕は驚いて、反応に困った。
どうやら、艦長が僕を引っ張って、ベッドに引き込んで、抱き枕みたいにしているらしい。
早くも艦長はぐっすりと眠っているし。

ど、どうしようかな…?
艦長が思ったより強く抱き締めてくるせいで、無理に引き剥がすこともできそうにない。
というか、こんな穏やかな寝顔を見せられちゃうと、離そうと思えなくなっちゃうなぁ。

「…ん、ね」

「え?」

まじまじと艦長のかわいらしい寝顔(言ったら怒られるだろうけど)を観察していると、そっと艦長の唇が動いた。
何だろう、寝言かな? なんて考えて、僕はそれに耳を澄ませる。今日は珍しいことばかりだ。
そして、僕がそうしているうちに、何かを言葉にしようとしているらしいその口が、ゆっくりと、はっきりと、ある言葉を紡いだ。

「――ごめんね、いずる」

…その言葉の意味は、分からなかった。
どうして僕に謝るのか、どうしてそんなにも悲しそうな声をするのか。
どうして――涙を流しているのか。僕には何も分からない。
分からなくて――少し、困惑した。

「……えっと」

僕は聞いてもいないだろうけど、艦長の言葉に何かを言うことにした。
聞いていないとしても、僕なりに何か言わないと気が済まなかった。
一方的に、謝られても、僕には何のことか分からないから。

「あの、謝らないでください。僕、感謝してますし。教えのおかげで今も生きていられてますし」

とりあえず思ったままを伝えてみる。
向こうも一方的だったし、僕も一方的でもいいだろう。
だから、この言葉も、一方的。

「ありがとうございます。――教官」

それだけ言うと、僕はその身体を抱き締めてみた。
教官の身体は柔らかくて、枕なんて比べ物にもならない。
ああ、僕も…。
……眠く、なっちゃったな…。



そのまま、僕は一晩を過ごした。
もちろん、翌朝は艦長に色々と言われちゃったし、それを知ったチームの皆――特にケイに――怒られちゃったけど。
でも、気持ち良く眠れたから……まぁ、いいかな。

終わり。
次は >>738のリンリン視点。>>712 >>739 >>765 >>780 >>782 >>784 >>785 のどれかで。
それでは。

一緒にお風呂に入るイズルとケイ

どうも、お久しぶりです。
今日は >>836を参考に温泉ネタで一つ。

一緒だって、いいじゃない。

スターローズ―― 一般居住区

イズル「ええっと、この辺りだよね?」スタスタ

スルガ「新設された温泉施設かぁ…」

アサギ「ったく、何で俺が…」

スルガ「いいじゃねーかよ、ほら、このお湯とか胃にいいらしいぜ?」

アサギ「……しょうがねぇな…」フー

イズル「きょうか…艦長のおかげで貸し切りで入れるんだよ? せっかくだしさ」

タマキ「温泉ー、温泉ー」

ケイ「…まったく、子供ね」

タマキ「いいじゃん、テンション上がったってー。ふふん、キレイになってモテモテなのらー」

ケイ「アンタねぇ…だいたい、アンタにはあの先輩がいるでしょうが」

タマキ「う……あの人のあれ、分かんないもん」

アンジュ「いや、パトリック先輩のあれは分かりやすいじゃないですか」

タマキ「あぅ……」カァ

ケイ「…まったく、子供ね」フッ

タマキ「っ、ふーんだ!」タタタ…

イズル「あ、タマキ。勝手に進んじゃ……あ」

アサギ「? あぁ…あったな」






温泉入口

イズル「じゃ、皆、後でね」

ケイ「ええ、それじゃあ」

アサギ「タマキ、のぼせんなよ?」

タマキ「子供扱い禁止ー!」ムッ

スルガ「よく言うよ。……それで、いいのかよ、アンジュ」

アンジュ「はい。こういうところはどうも落ち着かなくて…」

イズル「そ、そっか。まぁ仕方ないよね」

アサギ「(せっかく男かどうか分かるチャンスだったのにな…)」

スルガ「(まったくだな…まーいいけどよー)」

ケイ「(どっちでもいいでしょうに…)」フー

男湯

イズル「わぁ……」

スルガ「おぉ……」

アサギ「へぇ……」

プールサイズの浴槽ズ「」イラッシャーイ

スルガ「すっげー、すっげー! 広すぎんだろこれ!」ヒャッホー

アサギ「はしゃぐな見苦しい。ほら、まず身体洗えよ」

イズル「うん、そうだね」



女湯

タマキ「わーっ、すごいすごーいっ!!」ピョーンピョーン

ケイ「……」ハァ

タマキ「? どうかしらー?」

ケイ「跳ねない。飛び込まない。身体洗う」

タマキ「…はーい……」






男湯

スルガ「おりゃあ!」ヒャッホーイ

ザバーン!

アサギ「っ、おい、飛び込むな、飛沫が掛かるだろ!」

スルガ「ん? あぁ、悪い悪い」

イズル「あはは。でもすごいね、こんなに広いと、ちょっと落ち着かないや」

スルガ「そーかー? かなりイロイロできていいぜ? ほら」ザブザブ

アサギ「おい、泳ぐな。みっともない」

スルガ「みっともないも何もねーだろ、誰もいないし」

アサギ「そういう問題じゃねぇよ」

スルガ「ちぇっ。……お、あっちのヤツおもしろそうだな、見てくる」

アサギ「おい! ったく、気ままなヤツめ」

イズル「まぁまぁ。いいんじゃないかな、ああいうのも」

アサギ「ったく。まぁいい」ザブ

イズル「あれ、アサギ?」

アサギ「例の温泉探してくる。じゃあな」

イズル「うん。じゃあね」

イズル「」カポーン

イズル「……僕も、どこか行ってみようかなぁ」トテトテ

イズル「あ、ここ何だろう?」

扉「」

イズル「何も書いてないけど…ちょっと行ってみようかな」ガチャ






女湯

タマキ「♪」チャプチャプ

ケイ「タマキ、バタ足しないの」

タマキ「ええー、いいじゃん。どうせあたしたち以外誰もいないしー」

ケイ「そういう問題じゃないでしょ」

タマキ「はーい……」

ケイ「……」

タマキ「♪」ノビー

ケイ「……」ジー

タマキ「♪」タユンタユン

ケイ「……」ストーン

ケイ「」ハァ

タマキ「? どうかしたのー?」

ケイ「別に。何でもないわ」

タマキ「? ……あ、あたしあっち行ってくるー!」ザブッ

ケイ「え、あ、タマキ…」

ウォータースライダー風お風呂「」ウェルカーム

ケイ「…お子様」フゥ

ケイ「……私も、色々と見て来ようかしら」ザブ

ケイ「」トテトテ

ケイ「…? 何かしら、ここ」

扉「」

ケイ「何も書いていないけれど…行ってみようかしら」ガチャ






???

イズル「」チャプ

イズル(入ってみたけど…ただのお風呂だ)

イズル(うーん……何もないなぁ)

イズル(…出ようかな?)

ガチャ

イズル(? アサギかスルガ、かな)

???「…ふぅ」

イズル(……)

イズル(あれ、今のって…え?)

イズル(いや、でも、ここって、男…)ザバ

???「…え?」

イズル「あ」

ケイ「……」スッパダカ

イズル「……」スッパダカ

イズル「け、ケイ!?」タオルカブリ

ケイ「イズル!?」タオルカブリ

ケイ「な、ななな…な、ぁ」

イズル「あ、いや、えっと、あの……」

ケイ「な、何で、こ、ここに…っ!」

イズル「そ、それはケイだよ! ここ男湯だよ!」

ケイ「な、何を言ってるのよ! ここは女湯…」ハッ

イズル「……あ、も、もしかして…」

イズル・ケイ「「こ、混浴……?」」

イズル「」カァ

ケイ「」カァ

イズル「…えっと、その……」

ケイ「…あの、えっと……」

イズル「…と、とりあえず、出るね」

ケイ「わ、私も、出るわ」

イズル「う、うん…」ソー

ケイ「」ソー

イズル「…じゃ、じゃあね」

ケイ「え、ええ…」

ケイ「……い、イズル」

イズル「う、うん」

ケイ「見て、ないわよね?」

イズル「…あ、当たり前だよ」カァ

ケイ「そ、そう…」

イズル「うん…その、ケイこそ…」

ケイ「み、見てないわよ!」カァ

イズル「そ、そっか。それじゃあ」ガチャ

ケイ「え、ええ…」ガチャ




イズル(…と、とんでもないモノを見ちゃったなぁ)

イズル(……ケイ、キレイだったな…)

イズル「」ハッ

イズル「」カァァ



ケイ(…と、とんでもないモノを見てしまったわ)

ケイ(……イズル、たくましかったな…)

ケイ「」ハッ

ケイ「」カァァ



イズル・ケイ「「…はぁ」」



その後は何事もなくイズルたちは無事に温泉を楽しみました。
のんびりと、ゆったりと。
そして、今度はアンジュも一緒に温泉に入る約束を交わし、ひそかにそのときを待つ男たちなのでした。

終わり。我ながらやっつけもいいところですね。
今度改めて>>836をやりたいと思います。
残り150レスほどですし、おそらくは次スレを建てることになるでしょう。それでは。

>>1さんじゃないけど適当にネタ書いてみた

タマキ「ダニール様もジュリアーノ様もジークフリート様もドーベルマンもみんなかっこいいのら〜!」

[ピザ]スリー「三次元はあっちいってろ」

タマキ「ふんーだ!好きであんたらのとこにきてるんじゃないのら」

タマキ「イケメンクルーならいいのにー」

A『チーム変えてください』

タマキ「ピットクルー変わんないかなー」

イズル「クルー総入れ替え!?」

リンリン「慰安旅行で5日だけ代理が入るの」

アサギ「ついでにチーム変わらねーかな」ぼそっ

ケイ「ただでさえピットクルーと会話しづらいのに」

スルガ「やったー!美人なお姉様こい!」

リンリン「話はこれで終了よ戻っていいわ」

ケイ「うれしくないのタマキ?」

タマキ「わー!イケメンこないかなー!」

スルガ「棒読みじゃねえか」

どうも。見ない間に書いてくださっている人がいるとは…。
だがしかし、ここのルール上、申し訳ないが自分でスレッドを建てていただきたい。
つまり、だ。続きをはよ。マジェプリのssもっと見たいのです。
私は私で今日書いていきます。

頭が、痛い。
スターローズの長い廊下を私はよろよろと進んでいた。
今日もレイカに付き合って遅くまで酒を飲んでいた。
ちなみに、肴は私の愚痴と悩み。

その中身は、かなり重たいモノで、レイカぐらいしか話せる人がいなかった。
ジュリアシステム、その使用者たるパイロットへの弊害。
――イズルの変化。自我の崩壊。

その話にレイカは何も言わなかった。
いや、何も言えなかった、といったところだろう。
当然だ、私だって、今迷っている。
問題の当人である彼にこのことを伝えてしまうべきか。
その仲間たちには?
――私には、答えが出せない。

そして、少し静かな空気の中で、二人だけの飲み会は終わった。
微妙な面持ちのまま、私とレイカは別れて、現在に至る。

「んぅ……」

悩ましげな吐息が私の唇から零れ落ちる。
軍服は着崩れてしまっているけれど、それを気にするような心境ではなかった。
こういうところを生徒たちに見られたら困る。
困るが、そんなことを考える余裕がない。

このまま、部屋に戻るのも億劫なくらいだ。
いっそ、このままどこかまで朝まで散歩してしまおうか。
そこまで、私は考えて――

「艦長?」

私の意識が、一気に目の前の現実に向けて集中する。
照明を落とされた暗がりの中から、一人の少年が現れた。
普段と変わらない、どこか頼りない印象を持ったあの少年が。

「…いずるー?」

呂律の回らない状態で、私はその名を呼んだ。
我ながら情けないけれど、あいにくと訂正はできない。
お酒の力は怖い。

それでも、普段の冷静な姿を本能的に見せようとしたのか、身体が勝手に動いた。
イズルに近付きながら、きっぱりとした足取りをしようとした。
が、突然の動きに身体は付いていけず、ふらついたまま、私はあっさりとイズルに身を預けてしまう。

イズルの胸板に頭を埋めてみる。
そこは思ったよりも固くて、何だか落ち着いてしまう。
それに、筋肉もそれなりにあることに気付き、自分の特訓は実を結んでいたことを知る。

「だ、大丈夫ですか?」

慌てたようなイズルの声が頭上から響いてくる。
心配する声に、私は意地を張ることにした。
私は彼の上司だ。だらしのないところをこれ以上は見せられない。

「だいじょうぶ、よ…」

何と頼りない声だろう、と自分でも思った。
おまけに、そんなことを言いながら、まったく身体はイズルから離れない。
ああ、情けない。

どうしてしまおうか、と考える。
このままでは、イズルも困るだろう。
明日だって、早い。急げ、すぐに元の艦長に戻らなくては。

が、私がそうするよりも先に。

「…部屋に、お連れしますね」

その声に応える前に、私の身体が広くて暖かい場所に載せられて、上昇した。
……そこがイズルの背中だと気付いたのは、掛けられた声の意味を理解したときだった。
何か言うべきか、と思ったけれど、そこの居心地の良さに言葉が詰まって、何も言えなかった。
揺られ、揺られて、私は意識を手放した。

イケメン?クルー1「ヘーイ」

イケメン?クルー2「チャンタマシクヨロデース」

イケメン?クルー3「キミかわうぃーね!」

タマキ「チェンジで」

イズル「わー皆さん絵うまいですね」

元絵書きクルー「そうか?これくらい普通だろ」

元アニメ作画「君ね、これじゃアニメ化どころかマンガ家なんて無理だよ」






「ええっと、寝かしますよ…」

次に意識が聞いたのは、イズルのその声。
そして、認識したのは、自分がベッドに寝かせられる音。

心地いいマットの感触を抱きながら、そっと瞳を閉じてしまう。
一瞬、イズルの顔がチラリと見えた。
純粋無垢な少年のそれだった。
あの、いつかの自信家のような振る舞いの彼のモノではない。

分かっている。でも、いつか。
いつか、『彼』がヒタチ・イズルとなるときが来るのかもしれない。
それを思うと、胸が張り裂けそうになる。
私が生徒だと思い、見守ってきたこの子が。
また、誰でもない人に戻ってしまうのかと思えば、気が沈む。

狸寝入りから何とか戻って、顔を上げてみた。
開けた私の視界の中には、くるりと踵を返してここを去ろうとする彼がいる。
その背中が、不思議なことに消えてしまいそうに見えた。
きっと、さっきまで考えていたことのせいだ。
そう分かっていたのに、私の身体は動いた。

「…いずるー」

まず、寝ぼけた調子でその名を呼んだ。眠気はあったから、あまり意味はないが。
ん? と不思議そうに彼は振り向く。
………何とも隙だらけで、少し心配になった。
そんな感想を置いておいて、私は手を伸ばして彼の身体を無理矢理引き寄せ、ベッドに沈めた。

すみませんリロってなかった。自スレ立ててきます

「か、艦長!」

彼が叫ぶ声を耳にしながら、私は寝相の悪いフリをして彼を抱き枕にする。
……あくまでも、目的は別のことだけれど、彼の抱き心地はとても良かった。
もちろん、関係ない。
私は自分のしたかったことを、改めて実行する。

「ごめんね、いずる」

目を閉じているために何も見えない中、軍人としての勘を生かしてイズルの頬に手を伸ばす。
私は滑らかな感触のそこを、そっと撫でた。
私の声がはっきりと聞こえていなかったのか、彼は何も言わなかった。
私はもう一度、今度は聞こえるように言った。

「ごめんね、いずる」

私はあなたを救えない。あなたを、あなたとその仲間を使って戦わせることしかできない。
それを口にした途端、想いが込み上げ、自然と涙を流していた。
酒に酔っていたせいだ、と思う。泣き上戸なせいだ。こんなにも情けない心持ちになってしまうのも。

静寂に私の周りが包まれていく。
あるのは、目の前にあるであろう少年の暖かい感触だけ。

彼は何も言っていない。反応もない。
きっと、理由の分からない寝言程度に思っているのだろう。
それはそうだ。さっきの言葉は、ただの一方的な謝罪だ。
何を謝るのかも分からない謝罪。それに反応できることはない。
そう思うなら、話してしまえばいいのに、そうしない。

命令があるからだ。責任ある立場として、教えてはならないからだ。
そうやって、言い訳する。自分の心を守るために。
本当に最低な自分を知りつつ、私は本格的に意識を流していく。
眠ってしまえば、そこに逃げ道がある。弱っていた私には、他に選択はない。

「……えっと」

無くなりかけた意識の中で、私は声を聞いた。
聞き慣れた少年の声、戸惑うように、言葉を紡ごうとする声。
その先の内容は、聞こえなかった。
もう脳や耳の活動限界がやってきていた。
何も分からない。彼が私に何を言ったのか。何を伝えたかったのか。

だけど、一つ、分かることはあった。
彼に抱き締められたこと。優しく、包み込むように。
ああ……暖かい。思わぬ感覚に安心を覚えてしまう。
ごめんなさい、と呟いて、私は腕を彼の背中に回した。
あなたには、私は甘えっぱなしだ。本当は、私が甘えさせるべきなのに。
そう思ったことだけを私の脳は覚えて。ゆっくりと眠りに落ちて行った。
心地良く、安らいで、ゆっくりと。

終わり。リンリン視点でした。
>>875 いえいえ、楽しみにしてますよ。
次、夏コミのポスターを見て思ったネタを一つ。

海開き

スターローズ――作戦会議室

アサギ「また、一日半の休暇…ですか?」

リン「ええ。今回の戦闘、敵もそれなりに打撃を受けた、という予測があってね」

レイカ「ま、こっちも結構大変なんだけど。それでアッシュも大幅な整備が必要になっちゃってねー」

リン「次の敵の攻撃予測時間も長いし、あなたたちには一度休んでもらう、ということが決定したのよ」

スルガ「ち、ちなみにどこに?」

リン「どこの宇宙ステーションのリゾート地も危険だから、ね」シタヲユビサシ

イズル「? 下、ですか?」

アンジュ「いや、先輩。そうじゃないかと…」

ケイ「…もしかして」

タマキ「ち、ちきゅーっ!?」

???「おまけに超有名な海水浴場近くの別荘地だ」

イズル「え、ランディ先輩!? 皆さん!」

ランディ「よう。俺たちも休暇に同行することになってな。挨拶しにきたぜ」

パトリック「やぁ、タマキちゃん」フリフリ

タマキ「こんにちはー」ニコニコ

イズル「先輩たちも、なんですか?」

チャンドラ「ああ。俺たちは俺たちで休暇ってわけだ」

ランディ「お前らが休むついでさついで。お前らとは一度遊んでみたかったしな」

リン「……そういうことだから。行ってらっしゃい」フッ

チームラビッツ「は、はい!」






某南の県――海水浴場前

太陽「」ピカー

イズル「あ、熱いね……」

アサギ「くっ、容赦ねぇなこの照り付け…」

ケイ「まったくね…」