団長の手刀を見逃さなかった人「ハンター試験……?」(125)

殺し屋「殺しにしか興味ないオメェでも、聞いたことぐらいあんだろ?」

殺し屋「なんでもプロハンターになりゃ、数えきれねェほどの特権が手に入り」

殺し屋「しかもハンター証は売るだけで、七代遊べるほどの金が手に入るって話だ」

殺し屋「なんにせよ、仕事がやりやすくなるってのは間違いねェぜ」

殺し屋「ただし、いちいち試験を受けなきゃならねェってのが難点だがな」

団長の手刀を見逃さなかった人「ふうん……」

団長の手刀を見逃さなかった人(こんなお得な情報、オレでなきゃ聞き逃しちゃうね)

団長の手刀を見逃さなかった人(ハンター試験……受けてみるとするか)

─ ザバン市 ─

<定食屋>

店主「いらっしぇーい!」

団長の手刀を見逃さなかった人(匂う、匂うぞ!)クンクン…

団長の手刀を見逃さなかった人(良質な肉の匂い……オレでなきゃ嗅ぎ逃しちゃうね)

店主「ご注文は?」

団長の手刀を見逃さなかった人「ステーキ定食」

店主「……焼き方は?」

団長の手刀を見逃さなかった人「弱火でじっくり」

店主「あいよー!」

店員「お客さん、奥の部屋どうぞー!」

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなきゃここまでたどり着けないだろうね)

<地下道>

団長の手刀を見逃さなかった人(──と思いきや、結構たどり着いてるじゃないの)

団長の手刀を見逃さなかった人(さっきオレがもらったナンバープレートが406だから)

団長の手刀を見逃さなかった人(おそらくそれがそのまま参加人数ってとこだろう)

団長の手刀を見逃さなかった人(ん?)



トンパ「君たち、お近づきにジュースでもどうだい?」

ゴン「ありがとう!」

レオリオ「へへっ、ちょうどノドが渇いてたんだ」

クラピカ「いただこう」



団長の手刀を見逃さなかった人(あのジュース……なにか細工がしてあるな)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなきゃ見逃しちゃうね)

団長の手刀を見逃さなかった人「あんたら、そのジュース飲むのはやめときな」

団長の手刀を見逃さなかった人「よくない細工がしてあるからさ」

トンパ「な、なんだと!? なにを根拠に……!」

団長の手刀を見逃さなかった人「んじゃさ、三人に渡したジュースを飲んでみなよ」

団長の手刀を見逃さなかった人「飲めないだろ?」

トンパ「う、ぐぐっ……」タタタッ…



ゴン「ありがとう!」

団長の手刀を見逃さなかった人「ああいう手合いには気をつけなよ、ボウズ」

レオリオ「オレは最初からあの野郎は怪しいと思ってたぜ!」

クラピカ「後からならなんとでもいえるよ、レオリオ……」

ゴン「オレはゴン!」

レオリオ「オレはレオリオだ」

クラピカ「私はクラピカという者だ」

ゴン「おじさんの名前は?」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレの名は──」



「うぎゃあああああっ!!!」



ヒソカ「人にぶつかったら謝らなきゃね◆」

受験生「オレの、オレの腕がァ~!」



団長の手刀を見逃さなかった人(匂うねェ……アイツはオレと同類……)クンクン

団長の手刀を見逃さなかった人(殺人中毒者……!)

受験生(うぅぅ……血は出てねえけどもうダメだ……)

団長の手刀を見逃さなかった人「ちょっと見せてみな」

受験生「あんたは……!?」

団長の手刀を見逃さなかった人「今すぐ引き返して、この住所を訪ねろ」スッ…

団長の手刀を見逃さなかった人「コイツは優秀な医者でな」

団長の手刀を見逃さなかった人(というか、念能力者なんだけどね)

団長の手刀を見逃さなかった人「元には戻らんだろうが、だいぶマシにはなるはずだ」

受験生「あ、ありがとう……」

団長の手刀を見逃さなかった人(腕がなくなって困ってる奴──)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなきゃ放っておいちゃうね)

団長の手刀を見逃さなかった人「おっと、話の途中で抜けてすまなかったな」

ゴン「ううん、いいよ! ところで、おじさんの名前は?」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレの名は──」



ジリリリリリリリリッ!!!



サトツ「これよりハンター試験を開始いたします」

サトツ「私についてきて下さい」スタスタ…

ドドドドド……!

レオリオ「なんか……どんどんペースが上がってねえか?」

クラピカ「ああ、すでにマラソンのようなペースになっている」

団長の手刀を見逃さなかった人「なるほど」

レオリオ「なるほどってのは?」

団長の手刀を見逃さなかった人「つまり、これ自体が試験だっていうことさ」

クラピカ「そうか……!」

クラピカ「第二次試験会場まで行くこと……それが第一次試験というわけか!」

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなきゃ気づけないね)

ゴン「オレは親父みたいなハンターになりたくて、試験を受けに来たんだ!」

キルア「ふうん」

ゴン「キルアは?」

キルア「オレ? オレはハンターに興味ないし、ただの暇潰しさ」



団長の手刀を見逃さなかった人(ゴンの人懐っこさは大したもんだ)

団長の手刀を見逃さなかった人(しかし、あのキルアとかいう小僧……)クンクン

団長の手刀を見逃さなかった人(……危険な匂いがプンプンするね)

─ ヌメーレ湿原 ─

サトツ「さて、ここからは今まで以上に注意してついてきて下さい」

サトツ「この湿原の動物は、非常に狡猾で貪欲です」

サトツ「だまされると死にますよ」

試験官「ウソだ! そいつはウソをついている!」バッ

試験官「そいつは人面猿が化けたニセ試験官なんだ!」

ザワザワ…… ドヨドヨ……

団長の手刀を見逃さなかった人「いや……そんなことないんじゃない?」

試験官「なにっ!?」

団長の手刀を見逃さなかった人「だってあんた、人間って感じがしないもん」シュッ

ドスッ!

試験官「が、はっ……!」ドサッ…

団長の手刀を見逃さなかった人「それに仮にもハンター予備軍を試験しようって奴が」

団長の手刀を見逃さなかった人「こんなに脆いわけがない」

クラピカ「たしかにな……」

ヒソカ(へえ……◆)

サトツ(ふむ……かなり鋭い観察眼を持った受験生のようですね)

サトツ「それでは出発しましょう」スタスタ…

レオリオ「チッ、霧が濃くなってきやがった!」

クラピカ「前方を見失わないようにしなければな」

団長の手刀を見逃さなかった人「あんたら、そろそろ前に出た方がいい」

クラピカ「……なぜだ?」

団長の手刀を見逃さなかった人「さっきの44番の男が、危険な匂いを発している」

レオリオ「だがよ……こんなに密集してちゃ前に出られねーよ!」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレでなきゃ見逃しちゃう隙間を通る」

団長の手刀を見逃さなかった人「さぁ、ついてきな」スイッスイッ

レオリオ(すげェ……! この人ごみを縫うように走ってやがる!)

クラピカ(しかも、我々に速度を合わせて誘導している……!)

─ ビスカ森林公園 ─

ゴン「レオリオ! クラピカ! 二人もクリアできたんだね!」

レオリオ「おうよ!」

クラピカ「彼のおかげでな」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレでなきゃ誘導できなかったね」

キルア(あのオッサン……かなりの使い手だな)

ゴン「ありがとう、おじさん! あ、そういえば、おじさんの名前は?」

団長の手刀を見逃さなかった人「ああ、オレの名は──」



メンチ「さぁ、二次試験を始めるわよ!」

ブハラ「オレもうお腹ペコペコだよ~」グルルルル…

ブハラ「ってわけで、さっそく試験を始めよう! 二次試験は料理だよ!」グルルルル…

ブハラ「まずは“ブタの丸焼き”を作ってきてくれ!」グルルルル…

グレイトスタンプ「ブオオオオオンッ!」ドドドッ

団長の手刀を見逃さなかった人「よっと」

ザクッ!

グレイトスタンプ「ブギィィ……」ドザァッ…

団長の手刀を見逃さなかった人「コイツの弱点は頭部……オレでなきゃ見逃しちゃうね」



レオリオ「よっしゃ、倒せたぜ!」

クラピカ「私もだ。巨大な鼻は、額を守るために進化したもののようだな」

ゴン「オレも!」

キルア「さっそく火を焚いて焼いちゃおーぜ」



団長の手刀を見逃さなかった人「そうでもなかったね」

バリバリボリボリ……!

ブハラ「ふうっ、おいしかった! もうお腹いっぱい!」



レオリオ「ブタの丸焼き70頭を食い切りやがった……バケモンじゃねーか」

ゴン「やっぱりハンターってすごいんだね!」

キルア「……ああはなりたくないけどな」

クラピカ「おかしい! 明らかに奴の体積より食べた量の方が多い!」

団長の手刀を見逃さなかった人「恐ろしい食欲……オレでもその謎は見抜けないね」

メンチ「さぁ、二次試験後半を始めるわ! あたしのメニューはスシよ!」

メンチ「あと、スシはスシでもニギリズシしか認めないわよ!」



団長の手刀を見逃さなかった人(スシ……ねぇ)

団長の手刀を見逃さなかった人(“ニギリ”という言葉と調理器具から察するに──)

団長の手刀を見逃さなかった人(さほど大きい料理ではないようだ)

団長の手刀を見逃さなかった人(さらにこのライス……)

団長の手刀を見逃さなかった人(酢という調味料を混ぜると、いい匂いがする)クンクン

団長の手刀を見逃さなかった人(この匂いには──)

団長の手刀を見逃さなかった人(食材は魚介類がマッチする気がする)

団長の手刀を見逃さなかった人(とりあえず……作ってみるか!)

団長の手刀を見逃さなかった人「できたよ。食べてみてくれ」スッ…

メンチ(あら、形はそれっぽいわね)

メンチ「…………」モグッ…

メンチ「!?」

メンチ「こ、これは……」

メンチ「寿司に不向きなビスカの森の魚を使いながらも」

メンチ「シャリとタネの味が絶妙なハーモニーを生み出してるわ!」

メンチ「し、しかも……この握り具合、とても素人とは思えない……」

メンチ「お、美味しい……!」

メンチ「合格よ!」

オォ~……

団長の手刀を見逃さなかった人「オレでなきゃ作れなかったね」

しかし──

メンチ「結局、合格者はコイツだけじゃないの! 情けないったらありゃしない!」

メンチ「いくらみんなでゴネても、三次試験に進めるのはコイツだけよ!」

団長の手刀を見逃さなかった人「コイツコイツって、オレにも名前はあるんだけど」

メンチ「あら、ごめんなさい。そういえばなんて名前なの?」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレの名は──」



ネテロ「それにしても合格者一名はちとキビしすぎやせんか?」ザッ…

メンチ「ネテロ会長!」

ネテロ「どうじゃな、もう一度チャンスを与えてやるわけにはいかんか」

メンチ「分かりました……。それじゃ、次の課題は“ゆで卵”にします」

ネテロ(チチでけーな)

団長の手刀を見逃さなかった人(このジイさん、ずっと胸を見ていやがる)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなきゃ見逃しちゃうね)

─ マフタツ山 ─

レオリオ「うん、うめぇ~! これがクモワシの卵か!」モグモグ…

レオリオ「それにしても、助かったぜ! あんなんで不合格じゃたまらねーからな!」

クラピカ「うむ」

キルア「やっぱこういう体を動かす系なら楽勝だな」

ゴン「だけど、おじさんはすごいや!」

ゴン「一人だけスシを作って、ちゃんと試験を突破してたんだから!」

団長の手刀を見逃さなかった人「なぁに、それほどでもないさ」

二次試験が終わり──

<飛行船>

ゴン「キルアのお父さんやお母さんって、何してる人なの?」

キルア「みんな殺人鬼。オレんち、暗殺稼業なんだよね」

ゴン「へぇ~」

キルア「へぇ~って、お前みたいな反応した奴、初めてだぜ!」



団長の手刀を見逃さなかった人(あのキルアという小僧……やはり只者じゃなかったか)

団長の手刀を見逃さなかった人(しかし──)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレのような根っからの殺人中毒者とはちがう)

団長の手刀を見逃さなかった人(なんというか“造られた殺人者”という匂いがするね)

ネテロ「…………」

カッ!

キルア「!」バッ

ゴン「!」バッ

団長の手刀を見逃さなかった人「!」バッ

団長の手刀を見逃さなかった人「いや……そっちだ」サッ

ネテロ(ほう、あやつはワシの今の動きを見切ったか)

ネテロ(まあすでに念を習得しとるっぽいし、それぐらいはやるじゃろうな)

ネテロ「どうじゃ、おぬしらワシとゲームでもせんか?」

ネテロ「もしワシに勝てたら、ハンターの資格をやろう」

ゴン「オレ、やる!」

キルア「オレも付き合ってやってもいいよ」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレは遠慮しとこう」スッ…

ゴン「え、どうして?」

団長の手刀を見逃さなかった人「ゲームって気分でもないもんでね」

団長の手刀を見逃さなかった人「ま、やりたきゃやんな。止めやしないさ」

団長の手刀を見逃さなかった人(あのジイさん、恐ろしい強さだ)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなくとも見逃さないほどの濃厚なオーラ……)

団長の手刀を見逃さなかった人(血は騒ぐが……ここはやめとくのが賢いってもんだ)

ネテロ「ほっほっほ」

ネテロ(こやつ……なかなか鋭い眼を持っておるようじゃのう)

今回はここまでです(二次試験終了)

─ トリックタワー ─

<頂上>

団長の手刀を見逃さなかった人「ボウズども、あのジイさんとのゲームはどうだった?」

キルア「負けてやったよ。ゲームで本気になるのもバカらしいしさ」

ゴン「オレは勝ったよ! ネテロさんに右手を使わせたんだから!」

キルア「それって主旨変わってねー?」

キルア「そういえば、オッサンの名前は?」

団長の手刀を見逃さなかった人「ああ、オレの名は──」



ビーンズ「これより第三次試験を開始します!」

ビーンズ「これは試験官からの伝言ですが」

ビーンズ「三次試験の内容は、このトリックタワーを生きて下まで降りること!」

ビーンズ「制限時間は72時間!」

ビーンズ「皆さん、頑張って下さいね!」

レオリオ「なんか……どんどん人数が減ってねーか?」

クラピカ「床にはなにもないように見えるが、下に通じる隠し扉があるのだろう」

団長の手刀を見逃さなかった人「ん……?」コトッ…

団長の手刀を見逃さなかった人(わずかに床がへこんだ)

団長の手刀を見逃さなかった人(恐ろしく分かりにくい扉、オレでなきゃ見逃しちゃうね)

団長の手刀を見逃さなかった人「お二人、お先に失礼するよ」スッ…

ガコンッ!

レオリオ「!」

レオリオ「よっしゃオレたちも続くか──って入れねェ!?」グイグイ

クラピカ「どうやら一つの扉につき、入れるのは一人のようだ」

レオリオ「よぉし、なんとしても扉を見つけなきゃな!」

ゴン「オレも手伝うよ!」

キルア「んじゃ、手分けして探そうぜ」

<内部>

団長の手刀を見逃さなかった人「……結局、この五人で一緒になっちまったな」

ゴン「よろしくね!」

団長の手刀を見逃さなかった人「チームを組むのは趣味じゃないが、まぁいいだろう」

クラピカ「しかし、この五人でいったい何をしろと──」

『どうやら五人揃ったようだね』

五人「!」

『その道は多数決の道!』

『互いの協力が絶対必要条件となる難コースである!』

『諸君の検討を祈る!』

団長の手刀を見逃さなかった人「この五人で多数決を取りながら進むコースってわけか」

団長の手刀を見逃さなかった人「ふうん……血が騒ぐぜ」

クラピカ「幸いにもこの五人は、他の受験生同士に比べ、気心が知れている」

クラピカ「だれかリーダーを決めた方が多数決もスムーズにいくだろう」

レオリオ「それもそうだな! じゃあクラピカ、お前やれよ!」

クラピカ「いや……私よりも適任がいるではないか」チラッ

団長の手刀を見逃さなかった人「オレかい?」

ゴン「うん、それいい! おじさんがこの中で一番年上だろうしね!」

キルア「そうだな、オレもオッサンが向いてると思う」

クラピカ「むろん、強制はしないが……」

団長の手刀を見逃さなかった人(やれやれ、こんなことになっちまうとは)

団長の手刀を見逃さなかった人(だが……悪い気はしないね)

団長の手刀を見逃さなかった人「分かった、オレがリーダーをやろう」

団長の手刀を見逃さなかった人「いきなり……右なら○、左なら×、か」

レオリオ「おい、どっちにすんだよ?」

団長の手刀を見逃さなかった人「…………」

団長の手刀を見逃さなかった人(右から匂いがするねえ……オレの好きな匂いだ)

団長の手刀を見逃さなかった人「右だ」

○5 ×0

クラピカ(この男、“左の法則”を知っていたのだろうか?)

クラピカ(そういえば、まだ私はこの男の名前を知らなかったな)

クラピカ(機会があれば聞いてみるか……)

団長の手刀を見逃さなかった人「おっと、行き止まりだな」

クラピカ「ところで聞いておきたかったのだが……名前はなんというんだ?」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレか? オレの名は──」

キルア「おい見ろよ、変な奴らがいるぜ」



ベンドット「我々は“試練官”である!」

ベンドット「お前たちがここを通過するには、我々から三勝しなければならない!」

ベンドット「さぁ、受けるなら○、受けないのなら×を押されよ!」

レオリオ「へっ、こんなのリーダーの指示を仰ぐまでもねえよな?」

団長の手刀を見逃さなかった人「恐ろしい二択、オレでなきゃ×を押しちゃうね」

レオリオ「押さねーよ!」

○5 ×0

【第一試合】

ベンドット「一番手はオレだ! さぁ、そちらは誰が来る!?」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレが行こう」ズイッ

団長の手刀を見逃さなかった人(奴もそれなりの殺人者の匂いがする……)クンクン

団長の手刀を見逃さなかった人(少しは楽しめそうだ)ニィ…

ベンドット「ぬ……!」

団長の手刀を見逃さなかった人「勝負方法は自由らしいが、オレは面倒なのは嫌いでね」

団長の手刀を見逃さなかった人「戦闘でケリをつけたいが、どうだい?」

ベンドット「よ、よかろう……」

団長の手刀を見逃さなかった人「んじゃ、一対一(サシ)で始めようかい」ズズ…

ベンドット「ま……参ったァ!」ガバッ

ベンドット「!」ハッ

ベンドット(くっ、こいつの殺気で反射的に降参しちまった……!)

団長の手刀を見逃さなかった人「これはオレの勝ち、ってことでいいよねぇ」

団長の手刀を見逃さなかった人(たっぷりいたぶってやろうと思ってたが……)

団長の手刀を見逃さなかった人(殺気とともにオーラを出したのがマズかったな)

団長の手刀を見逃さなかった人 ○ ─ × ベンドット



ゴン「やったぁ!」

レオリオ「なんでえ、ただの見かけ倒しだったのかよ」

クラピカ「いや……おそらく相手が実力差を悟ったのだろう」

キルア(今、あのオッサンから“得体の知れない力”を感じた……)

キルア(たまに親父や兄貴から感じるような……)

【第二試合】

セドカン「ゲームをしよう」スッ…

セドカン「この二本のローソクを一本ずつ手に持って」

セドカン「先に火が消えた方が負けだ」

ゴン「うん、いいよ!」

セドカン「さぁ、長いローソクと短いローソク、どっちにする?」

セドカン「多数決で決めてくれ」

ゴン「う~ん……」



団長の手刀を見逃さなかった人「待ちなよ」

セドカン「!」ギクッ

団長の手刀を見逃さなかった人「どうせローソクは“四本”あるんでしょ?」

団長の手刀を見逃さなかった人「なんならゴンにボディチェックさせてもいいんだ」

セドカン「ぐ、ぐぐ……っ!」ススッ

ゴン「あ、ホントに四本持ってた!」

団長の手刀を見逃さなかった人「もちろん、ゴンが持つのは──」

団長の手刀を見逃さなかった人「“細工されてない長いローソク”だ」

団長の手刀を見逃さなかった人「あんたは残りの三本から、好きなのにしな」

セドカン「く、くそぉっ……!」ガクッ…

団長の手刀を見逃さなかった人「“不自由な二択”に隠されたイカサマ──」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレでなきゃ見逃しちゃうね」

ゴン ○ ─ × セドカン

【第三試合】

マジタニ(やべえ……あんなに洞察力がある奴がいるのかよ!)

マジタニ(んじゃあオレが見かけ倒しってのも、すぐバレちまうんじゃねーか!?)

マジタニ(ど、どうしよ……)ゴクッ…

クラピカ「始めようか」バサッ

マジタニ(くそぉ、やるしかねえ! だが一応、保険はかけておくか……)

マジタニ「勝負方法は……デスマッチを提案する!」

マジタニ「決着方法は敵のノックダウンか、ギブアップのみ!」

マジタニ「ただし、相手を殺したら負けってのはどうだ?」

クラピカ「それはデスマッチではないと思うが……それでいい」

マジタニ「んじゃあいくぜっ! ──ひゃおっ!」ダダダッ

バシィッ!

マジタニ「ほげっ!」ドサッ…

クラピカ(だいぶ手加減して殴ったつもりだが、これでも強かったようだ)

クラピカ ○ ─ × マジタニ

団長の手刀を見逃さなかった人「え~と、これでこっちの三勝だよね?」

団長の手刀を見逃さなかった人「道を譲ってもらおうか」



ジョネス「せっかくのシャバの肉をつかむチャンスを無にしやがって……」

ジョネス「手は使えなくても、足は使えるんだ」

ジョネス「せめて、この足でお前たちの肉を砕いてやる……」ズイッ

レルート「ひっ……! あ、あんた、なにするつもりよ!」

ヒュオッ!

サクッ……!

ジョネス「あ、が……っ!」ドサッ…



団長の手刀を見逃さなかった人「八つ当たりで仲間を攻撃しようとする輩……」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレでなくとも見逃せないね」

レオリオ(あの距離の相手に、ナイフを当てやがった!)

キルア(ふうん……やるじゃん)

試験は進み──

<最後の多数決地点>

レオリオ「色々な罠があったが、あんたのおかげですんなりここまで来ちまったな」

レオリオ「残り時間がすげえ余ってるぜ」

団長の手刀を見逃さなかった人「仕事柄、罠に対する勘には長けているからな」

レオリオ「そういやまだ聞いてなかったし、あんたの名前を教えてくれよ」

団長の手刀を見逃さなかった人「ああ、オレは──」



『扉を選んで下さい』

『五人で行けるが長く困難な道、三人で行けるが短く簡単な道』

『長く困難な道なら○、短く簡単な道なら×、を選んで下さい』

団長の手刀を見逃さなかった人「まだ時間はたっぷりあるし……○にしちゃおうかい」

ゴン「うん! そっちの方が面白そうだしね!」

キルア「面白そうって……しょうがねーなー」

<出口>

団長の手刀を見逃さなかった人「結構ギリギリになっちゃったね」

レオリオ「だが、五人全員でクリアできたぜ!」

ゴン「こっちの道のがよかったよ! 難しかったけど楽しかったし!」

クラピカ「あっさりクリアしてしまうよりも、いい鍛錬になったともいえるな」

キルア「今までの試験よりは、少しは歯応えあったかな」



ヒソカ(五人とも来た、か……)



『タイムアップゥ~!』

『これで第三次試験を終了いたします!』

リッポー「諸君、タワー脱出おめでとう」

リッポー「さてさっそくだが、これから君たちにはクジを引いてもらう」

リッポー「“狩る者と狩られる者”を決めるためにね」

……

……

……

リッポー「全員ひき終わったようだね」

リッポー「では説明しよう。今ひいた番号の受験生が、君たちのターゲットだ」

リッポー「自分のターゲットである受験生のナンバープレートは3点」

リッポー「自分のナンバープレートも3点、それ以外は1点」

リッポー「最終試験に進むために必要な点数は6点」

リッポー「ゼビル島で滞在する一週間で、6点分のナンバープレートを集めること」

リッポー「これが第四次試験の内容だ」

<船上>

団長の手刀を見逃さなかった人「よう」

ゴン「!」ギクッ

ゴン「おじさん……!」

団長の手刀を見逃さなかった人「元気がないみたいだが、どうした?」

ゴン「あの……」

団長の手刀を見逃さなかった人「三次試験では手を組むことになったが──」

団長の手刀を見逃さなかった人「ここからはまたライバル同士だ」

団長の手刀を見逃さなかった人「手加減はしないから、そのつもりでいてくれよ」

ゴン「う、うん……」

団長の手刀を見逃さなかった人(といっても、オレのターゲットはゴンじゃないがね)



カラ「まもなく島に到着しま~す」

四次試験開始──

─ ゼビル島 ─

団長の手刀を見逃さなかった人(オレのターゲットは362番……)

団長の手刀を見逃さなかった人(ケンミとかいう坊主頭だったはずだ)

団長の手刀を見逃さなかった人(この島は広い……)

団長の手刀を見逃さなかった人(ターゲットを探すのは骨が折れそうだ)

団長の手刀を見逃さなかった人(もっともこういうミッションは)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレの得意分野でもあるわけだが、ね)クンクン…

試験三日目──

バキィッ!

ケンミ(強すぎる……!)ドサッ…

団長の手刀を見逃さなかった人「流血沙汰にして、誰かに匂いを探られても面倒なんで」

団長の手刀を見逃さなかった人「とりあえずは生かしておいてやることにするよ」

団長の手刀を見逃さなかった人(それじゃ気絶させてプレートを──)スッ…



シュパァッ!



団長の手刀を見逃さなかった人「!」

団長の手刀を見逃さなかった人(オレのプレートが釣り針でかすめ取られた!?)

団長の手刀を見逃さなかった人(このオレが見逃しちゃうとは!)

団長の手刀を見逃さなかった人(つまりオレを“狩る者”は──)チラッ

ゴン「!」ビクッ

ゴン「おじさん……ゴメン!」

ダッ!

団長の手刀を見逃さなかった人(なるほど)

団長の手刀を見逃さなかった人(船の上で浮かないツラしてたのはそういうわけか)

団長の手刀を見逃さなかった人(そしてオレ相手では直接対決では敵わないからと)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレの隙……)

団長の手刀を見逃さなかった人(つまり“オレがターゲットを仕留める瞬間”を)

団長の手刀を見逃さなかった人(ずっと待ってたってわけか)

団長の手刀を見逃さなかった人(うふふ、やるじゃない……)

団長の手刀を見逃さなかった人(全力で追えば、ゴンに追いつくこともできるが──)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレだから見逃しちゃおう)



「うわぁぁぁっ!」



団長の手刀を見逃さなかった人(ゴンの声……!?)

ゴン「ヒ、ヒソカ……!」

ヒソカ「やぁ◆」

ヒソカ「実はね、ボクのターゲットはキミなんだ◆」

ヒソカ「だから……キミのプレートをボクにくれないか?」

ゴン「だれがやるもんか!」グッ…

ヒソカ「ククク……いい顔だ◆」

ヒソカ「じゃあムリヤリ奪うことにしよう◆」

ヒソカ「安心していいよ、今ここでキミを殺すつもりはないから◆」

ゴン(くっ……闘るしかない!)グッ…



団長の手刀を見逃さなかった人「あんた……ヒソカ、だっけ?」ザッ…

ゴン&ヒソカ「!」

団長の手刀を見逃さなかった人「狩りを終えたばかりのゴンを狙う無粋な輩を──」

団長の手刀を見逃さなかった人「見逃すなんてとてもできないね」

ヒソカ「ふうん……ボクと闘るつもり?」ズズ…

団長の手刀を見逃さなかった人「そのつもりだよ」ズズ…

団長の手刀を見逃さなかった人(やはりコイツも念能力者、か……とてつもない上玉!)

ゴン「おじさん……やめて! オレのために闘うなんて!」

団長の手刀を見逃さなかった人「いやコイツは、オレと同じ殺人中毒者……」

団長の手刀を見逃さなかった人「いずれ闘り合う運命だったろうよ」

ヒソカ「じゃあ、一対一(サシ)でやろっか◆」スッ…

団長の手刀を見逃さなかった人「ああ!」スッ…



シュバババババッ! ギギギギギンッ!



ゴン(ヒソカが投げるトランプを、おじさんも全てナイフで迎撃してる!)

ゴン(おじさんもすごい速さでナイフを投げ返すけど、ヒソカも軽々かわす!)

ゴン(オレが割り込む余地なんて、全然ない……!)

団長の手刀を見逃さなかった人(恐ろしく速いトランプさばき!)ギンッ

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなきゃ見切れないね!)キンッ

ザシィッ!

団長の手刀を見逃さなかった人「ぐっ!(オレも見切れなかったか!)」

ヒソカ「かなりの枚数投げたのに、傷一つとは結構やるね◆」

団長の手刀を見逃さなかった人(飛び道具では不利──接近戦に持ち込む!)ダッ

ガガガガッ! ドガガッ! バキィッ!

団長の手刀を見逃さなかった人(体術も超一流とは……とんだ格闘ピエロだ)ザッ…

ヒソカ「最後の蹴りで、首をヘシ折るつもりだったんだけどな◆」

ゴン「おじさんっ!」

ヒソカ「…………」

ヒソカ「ちょっと待った◆」

団長の手刀を見逃さなかった人「?」

ヒソカ「…………」パラララッ

団長の手刀を見逃さなかった人「戦闘中だってのに、何してんの?」

ヒソカ「トランプ占い◆」パラララッ

ヒソカ「ふんふん、なるほど……◆」ピッ

ヒソカ「ボクの占いによると──」

ヒソカ「キミはいずれ魚に食べられちゃう運命にあったみたいだけど……」

ヒソカ「どうやらその運命がずれてきてるみたいだね◆」

団長の手刀を見逃さなかった人「魚に食べられる……?」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレでも意味が分からないんだが」

ヒソカ「占いに深い意味を求めるのは、ナンセンスだよ◆」

ヒソカ「だけどボクのトランプ占いって、これでもわりと当たるんだよ◆」

ヒソカ「もし当たっているとすれば」

ヒソカ「キミもゴンみたく、まだまだ強くなれる余地があるってことだ◆」

ヒソカ「まだ食べるには惜しい……ここはボクから退かせてもらうよ◆」

団長の手刀を見逃さなかった人「!」

ヒソカ「いずれキミたちがもっともっと熟したら……」

ヒソカ「その時こそ美味しく食べさせてもらうよ◆」ニィィ…

団長の手刀を見逃さなかった人「…………」

ゴン「…………」ゾクッ…

ヒソカ「さぁて、三人分プレートを狩らないと◆」ザザッ…



団長の手刀を見逃さなかった人「ふうっ……」

ゴン「おじさん、大丈夫!?」

団長の手刀を見逃さなかった人「ああ、大した怪我じゃない」

団長の手刀を見逃さなかった人(ヒソカは“能力”も使わず、遊んでいやがった)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレとて余力は残していたが──)

団長の手刀を見逃さなかった人(もしあのまま闘り合ってたら、奴に分があっただろう)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレとしたことが、敵に見逃されちゃったね)

ゴン「おじさん……ありがとう!」

ゴン「おじさんが来なかったらオレ、ヒソカにプレートを奪われてたよ」

団長の手刀を見逃さなかった人「なぁに」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレもヒソカ相手は分が悪かった、似たようなもんさ」

ゴン「はいっ! さっき奪ったおじさんのプレート返すよ」サッ

団長の手刀を見逃さなかった人「いや、それはお前が持っておきな」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレに顔面パンチを浴びせられるほど強くなったら」

団長の手刀を見逃さなかった人「そん時返してくれりゃいいさ」

ゴン「……分かったよ、おじさん! オレ絶対強くなるから!」

団長の手刀を見逃さなかった人「お前は磨けば、信じられない程の上玉になるはずだ」

団長の手刀を見逃さなかった人「んじゃ、オレは行く。気をつけなよ、ゴン」ザザッ…



ゴン(しまった……また名前聞きそびれちゃった)

試験四日目──

団長の手刀を見逃さなかった人「お、キルアか」

キルア「オッサン! オッサンは今、何点分プレート持ってんの?」

団長の手刀を見逃さなかった人「3点だ」

キルア「んじゃ、オレのプレートやろうか? ちょっとプレート奪いすぎちゃってさ」

キルア「捨てるのもなんだし、処分に困ってたんだよね~」

団長の手刀を見逃さなかった人「いいのかい?」

キルア「オッサンにゃ、多数決で世話になったしね」

キルア「ほら、二枚やるよ」

団長の手刀を見逃さなかった人(197番と198番、か)

団長の手刀を見逃さなかった人「サンキュー、キルア」

キルア「礼なんていいって。じゃね、オッサン!」ササッ

団長の手刀を見逃さなかった人(これで5点……あと1点か)



キルア(あ、オッサンの名前聞くの忘れてた……ま、いいや)サササッ

試験六日目──

団長の手刀を見逃さなかった人(あと一日……)

団長の手刀を見逃さなかった人(ゴンやキルアと出会ってから島中を探し歩いたが)

団長の手刀を見逃さなかった人(出会った受験生はプレートを奪われた奴らばかり)

団長の手刀を見逃さなかった人(“あと1点”がなかなか見つからないね)



団長の手刀を見逃さなかった人「──ん?」

団長の手刀を見逃さなかった人(怪しい洞窟……オレでなきゃ見逃しちゃうね)

団長の手刀を見逃さなかった人(よし……入ってみるか)

<洞窟内>

団長の手刀を見逃さなかった人「……まさかオレまで罠にはまっちまうとはね」

クラピカ「残念ながら、蛇使いバーボンはすでに死んでしまったが」

クラピカ「今は私とレオリオ、ゴン、ポンズの四人が」

クラピカ「どうやったらバーボンの罠を抜けて洞窟を出られるか考えていたところだ」

団長の手刀を見逃さなかった人「ようするにある程度、蛇を退治すりゃいいわけだ」ズズ…

クラピカ「なにをする気だ!? 出口に向かうのは危険だ!」

団長の手刀を見逃さなかった人「心配しなさんなって」スタスタ…

ニュルニュルニュル……

ズザザザザッ!!!



団長の手刀を見逃さなかった人(恐ろしい数の蛇……オレでなきゃ倒せないね)チャキッ



ズババババババババッ!!!



ゴン「すごい速さで蛇を切り飛ばしてる!」

レオリオ「なんてナイフ捌きだ……見えやしねえ!」

クラピカ(まるで刃に何か“特殊な力”が宿っているような切れ味だ!)

ポンズ「な、なんて奴なの……」

団長の手刀を見逃さなかった人「こんだけ退治すりゃ、もう洞窟を出られるはずだ」

ポンズ「あ、ありがとう……」

団長の手刀を見逃さなかった人「その代わり、あんたのプレートをもらおうか」

ポンズ「あんな光景を見せられて、抵抗するつもりはないわ……。はい、あげる」スッ

団長の手刀を見逃さなかった人「ありがとさん」

団長の手刀を見逃さなかった人「それじゃ、こいつはレオリオにやるよ」ポイッ

レオリオ「なんかわりぃな……。あんたには助けられてばっかだ」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレも蛇使いのプレートで6点だ。お互い様さ」



362番(3点)+197番(1点)+198番(1点)+103番(1点)=6点

第四次試験合格──

今回はここまでにしちゃうね(四次試験終了)

<飛行船>

ネテロ「ほっほっほ! 10人中7人がルーキーとは、豊作じゃのう!」

ビーンズ「しかし、406番だけ名前が分かりませんね」

ビーンズ「申し込み用紙に名前は書いてあるんですが、字が汚すぎて読めないんですよ」

メンチ「よくそんなのが試験を受けられたわね……」

ブハラ「ま、いいんじゃない? スシも作れたし、実力はたしかだしさ」

サトツ「そうですね、彼の観察眼は驚嘆に値しますよ」

サトツ「すでに“念”も習得しているようですしね」

サトツ「ところで会長、最終試験はどんな内容になるのですか?」

ネテロ「一風変わった決闘をしてもらうつもりじゃ」

ネテロとの面談──

ネテロ「最終試験の参考にするため、ちょいと質問させてもらうぞよ」

団長の手刀を見逃さなかった人「なんでも聞いてちょうだいよ」

ネテロ「まず、おぬしはなぜハンターになりたいのかな?」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレはいわゆる殺し屋をやっていてね」

団長の手刀を見逃さなかった人「ハンター資格があると色々と便利そうだからね」

ネテロ「なるほど。ではおぬし以外の受験生で注目しているのは?」

団長の手刀を見逃さなかった人「一番っていわれたら、405番かな」

団長の手刀を見逃さなかった人「あいつは伸びるねえ、まちがいなく」

ネテロ「では受験生の中で、一番戦いたくないのは?」

団長の手刀を見逃さなかった人「44番だね」

団長の手刀を見逃さなかった人「奴とはこういう試験って枠組みの中とかじゃなくて」

団長の手刀を見逃さなかった人「もっとオレたちに相応しいステージで闘りたい」

ネテロ「ご苦労じゃった。下がってよいぞよ」

三日後──

─ 最終試験会場 ─

ネテロ「最終試験は一対一のトーナメント形式で行う」

ネテロ「組み合わせはこうじゃ!」バサッ…

【トーナメント表】
http://i.imgur.com/bD2xcgd.png
※一回戦が「団長の手刀を見逃さなかった人VSゴン」で、他は原作通り

ネテロ「なおこのトーナメント、たった一勝で合格である!」

団長の手刀を見逃さなかった人「負けた者が抜けていくトーナメントってことか」

ネテロ「そのとおり、つまり不合格者はたった一人じゃ」

ネテロ「勝敗は“まいった”のみ。なお、相手を死に至らしめても失格じゃ」

ネテロ「不合格者が一人出た時点で、試験は終了となる。よいな?」

団長の手刀を見逃さなかった人「恐ろしく厄介な試験、オレでなきゃ見抜けなかったね」

ネテロ(ちょいうぜーなコイツ)

ネテロ「ではさっそく始めようかのう」

【第一試合】団長の手刀を見逃さなかった人 VS ゴン

団長の手刀を見逃さなかった人「よう」ザッ…

ゴン「…………」ジリッ…

団長の手刀を見逃さなかった人(コイツを“まいった”させるのは骨が折れそうだ)

ゴン「おじさん」

ゴン「オレ四次試験の時、本当は正面から挑んでおじさんからプレートを奪いたかった」

ゴン「だけどできなかった……」

ゴン「それにおじさんがいなきゃ、多分オレはここまで来れなかった」

ゴン「だから……今は負けでいい!」

団長の手刀を見逃さなかった人「!」

ゴン「オレがもっと強くなったら──また勝負してね!」

団長の手刀を見逃さなかった人「……待っててやるよ、ゴン」

団長の手刀を見逃さなかった人(恐ろしく感動的な場面、オレでなきゃ泣いてたね)

マスタ「ではゴン選手、降参ということでよろしいですね?」

ゴン「うんっ!」

レオリオ「へっ、ゴンらしいぜ! 試合放棄を責める気にもならねー!」

クラピカ「そして彼がハンター第一号というわけだ、おめでとう」

キルア「あのオッサンなら仕方ないな」

ヒソカ(いずれ、ゴンも彼もボクが狩る……◆)

ゴン「そういえばおじさんの名前は?」

団長の手刀を見逃さなかった人「ああ、オレの名は──」

マスタ「ではゴン選手、このままハンゾー選手との試合です!」

ゴン「あ、はい!」

【第二試合】ゴン VS ハンゾー

ハンゾー「ワガママすぎんだよお前は! アホかァッ!」

ドゴォンッ!

ハンゾー「ってわけだ。ぶっ飛ばしちまったが、オレの負けだ」



団長の手刀を見逃さなかった人(もう少しで乱入しちゃうところだったね)



【第三試合】クラピカ VS ヒソカ

ヒソカ「…………」ボソッ…

クラピカ「!」

ヒソカ「ボクの負けでいいや◆」クルッ



団長の手刀を見逃さなかった人(あの二人の因縁……ただごとじゃなさそうだ)

【第四試合】ハンゾー VS ポックル

ポックル「ぐっ……!」ドザッ

ハンゾー「悪いがあんたには遠慮しねーぜ」メリッ…

ポックル「ま、参った……!」



団長の手刀を見逃さなかった人(無駄のない脅迫……オレでなきゃ降参しちゃうね)



【第五試合】ボドロ VS ヒソカ

ボドロ「まだ負けては……おらぬ!」

ヒソカ「…………」ボソッ…

ボドロ「私の……負けだ」



団長の手刀を見逃さなかった人(ま~た、ヒソカがなにか耳打ちしやがった)

【第六試合】ポックル VS キルア

キルア「オレの負けでいーや」

ポックル「なにっ!?」

キルア「悪いけどあんたとは戦う気がしないんでね」



団長の手刀を見逃さなかった人(キルアらしい判断だけど、なんか嫌な予感がするなぁ)



【第七試合】ボドロ VS レオリオ

レオリオ「オイ、ボドロはまだ戦える状態じゃねーだろ」

レオリオ「試合を延期してくれねーか?」

ボドロ「かたじけない……」



団長の手刀を見逃さなかった人(このフェアプレー精神、オレでなきゃ拍手しちゃうね)

【第八試合】キルア VS ギタラクル

ビキビキメキメキ……

キルア「!?」

イルミ「久しぶりだね、キル」

キルア「兄貴……!」

イルミ「キル、お前はハンターには向かないよ」

イルミ「お前の天職は殺し屋なんだから」

イルミ「お前は自身では何も望まない何も欲しない、熱を持たない闇人形だ」

イルミ「オレと親父にそう造られたんだからね」

キルア「…………!」



団長の手刀を見逃さなかった人(なるほど)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレはキルアに“造られた殺人者”って印象を抱いたが)

団長の手刀を見逃さなかった人(この兄貴どもの仕業だったってわけね)

キルア「オレだって……望んでるものぐらいある!」

イルミ「ふーん、いってごらん?」

キルア「ゴンと……友達になりたい! ……ゴンと友達になって、普通に遊びたい」

イルミ「無理だね。お前はいつかゴンを殺したくなるよ」

キルア「…………!」ビクッ

イルミ「例えばオレが今ゴンを殺そうとしたら、キル、お前はオレと戦えるかい?」

イルミ「さあ、どうする?」ズイ…

キルア「……参った。オレの負けだよ……」

イルミ「あーよかった。でもこれではっきりした」

イルミ「お前に友達を作る資格はない、必要もない」

イルミ「これまで通り、仕事をこなしていればそれでいい」



レオリオ「野郎……! キルアの気持ちも考えず、好き勝手ほざきやがって……!」

クラピカ「よせ……レオリオ!」グッ…

団長の手刀を見逃さなかった人「…………」

【第九試合】ボドロ VS レオリオ

マスタ「では両選手、前へ!」

レオリオ「全快はしてねえだろうが、手加減はしねェぜ」ザ…

ボドロ「うむ、全力で来てくれ」ザッ…

キルア「…………」ユラ…

シュバァッ!

ガシッ!

キルア「!」



団長の手刀を見逃さなかった人「恐ろしく速い貫き手による背後からの不意打ち……」

団長の手刀を見逃さなかった人「オレでなきゃ見逃しちゃうね」



ボドロ(私は、助けられたのか……!?)

キルア「オッサン……なんで、なんで止めたんだよ!」

キルア「オレは……人を、殺さなきゃ……ならないんだ……」

団長の手刀を見逃さなかった人「キルア」

団長の手刀を見逃さなかった人「お前は重度の殺人中毒者であるオレや──」

団長の手刀を見逃さなかった人「あの人形みたいな兄貴とはちがう」

団長の手刀を見逃さなかった人「“普通”になれる人間だ」

団長の手刀を見逃さなかった人「お前の“普通さ”を、オレは見逃しちゃいないよ」

キルア「オッサン……」



イルミ(あーあ、余計なことしてくれたなぁ)

イルミ(まあいいや、どっちにしろこれでキルはハンター試験不合格だし)

ネテロ「99番キルア、試合乱入により失格じゃ」

ネテロ「この時点でレオリオとボドロの両名はハンター試験合格とする」

レオリオ「なんでだよ! だったらオレを失格にしろよ!」

レオリオ「それがダメならせめて、オレとキルアで試合をさせてくれ!」

ネテロ「ダメじゃ」

レオリオ「ぐっ……!」



ボドロ「すまぬ、助けられた……」

団長の手刀を見逃さなかった人「なぁに、見逃さなかっただけさ」

キルア「兄貴……。オレ、一度家に戻るよ」

イルミ「へぇ……どういう風の吹き回しだい?」

キルア「いっとくが、殺し屋になるためじゃない」

キルア「お袋と兄貴を刺して家出したことに……ちゃんとけじめをつけるためだ」

イルミ「ん~、まあそれでもいいよ。戻ってくれるんなら」

イルミ「母さんも喜ぶだろうしさ」



キルア「オッサン……さっきは止めてくれてありがとう」

キルア「あとオレのこと、ゴンに伝えてくれるか?」

団長の手刀を見逃さなかった人「もちろんちゃんと伝えよう」

団長の手刀を見逃さなかった人「きっとゴンはお前に会いに行くはずだ」

キルア「……うん」

………………

…………

……

そして──

<教室>

ビーンズ「──では、これにて説明会を終わります」

団長の手刀を見逃さなかった人(長いようで短いハンター試験だったが)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレもついにプロハンター、か)

ネテロ「これでワシらは仲間であり、同時に商売敵にもなるわけじゃ」

ネテロ「諸君らの息災を祈っておるよ」

ネテロ「では解散!」



ゴン「オレ、キルアの家に行くよ!」

クラピカ「私も一緒に行こう」

レオリオ「もちろん、オレも行くぜ! このままじゃ収まりがつかねえ!」

団長の手刀を見逃さなかった人「ふふ、じゃあオレはこれで──」

ゴン「待ってよ!」

ゴン「おじさんも、一緒に行かない? キルアんち」

団長の手刀を見逃さなかった人「ん? ゴン、なんでオレなんかを誘うんだ?」

ゴン「だってオレたち……友達じゃない!」

団長の手刀を見逃さなかった人「!」

団長の手刀を見逃さなかった人「友達……?」

団長の手刀を見逃さなかった人(今さらオレが“まともな道”を歩めるはずもないし)

団長の手刀を見逃さなかった人(そのつもりもないが──)



ヒソカ『ボクの占いによると──』

ヒソカ『キミはいずれ魚に食べられちゃう運命にあったみたいだけど……』

ヒソカ『どうやらその運命がずれてきてるみたいだね◆』



団長の手刀を見逃さなかった人(あのヒソカの占いを信じるわけじゃないけど)

団長の手刀を見逃さなかった人(もし、人間には絶対逆らえない“運命”ってもんがあり)

団長の手刀を見逃さなかった人(もし、それを変えられる“抜け道”があるとしたら──)

団長の手刀を見逃さなかった人(オレでなきゃ見逃しちゃうね)

団長の手刀を見逃さなかった人「ま、いいよ」

団長の手刀を見逃さなかった人「興味はあるし、少しの間だが同行させてもらおう」

ゴン「ホント!? やったぁ!」

レオリオ「よっしゃ、暗殺一家のアジトに乗り込む前に、頼もしい仲間が増えたぜ!」

クラピカ「たしかにそれはいえるな。道中、よろしく頼む」

ゴン「あ、そういえばおじさん! 今度こそ名前を教えてよ!」

団長の手刀を見逃さなかった人「おっと、まだ教えてなかったっけ」

団長の手刀を見逃さなかった人「それじゃ改めて自己紹介させてもらおう」



団長の手刀を見逃さなかった人「オレの名は──」









                                   ─ 完 ─

完結させちゃうね

ってことで団長の手刀を見逃さなかった人のハンター試験終了です
ありがとうございました!

あとトーナメント表ですが最初は番号だけにしようと思いましたが
名前あった方が絶対面白いなと思って名前をつけました
物語中のキャラは番号だけのトーナメント表を見てると思って下さい

レスありがとうございます
>>92>>93の間で投下漏れがありました
幸いあってもなくても問題ない内容だったので放っておこうと思ったのですが
せっかく書いてたので置いておきます

団長の手刀を見逃さなかった人「ぷっ……」

団長の手刀を見逃さなかった人「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」

団長の手刀を見逃さなかった人「はっはっはっはっは!」

ゴン「!?」ビクッ

団長の手刀を見逃さなかった人「くくくくく、うふふふふっ、ひひひひっ!」

団長の手刀を見逃さなかった人「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」

ゴン「お、おじさん……?」

レオリオ(このオッサン、こんな笑い方するキャラだったのかよ)

クラピカ(意外だ……)

団長の手刀を見逃さなかった人「友達……。友達ねえ……」

団長の手刀を見逃さなかった人(こんなこといわれたの、もしかしたら初めてかもな)

以上
失礼しました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月18日 (月) 00:19:15   ID: KpW1tZbC

素材セリフ少ないのによくここまで頑張ったなw

2 :  SS好きの774さん   2014年08月22日 (金) 03:44:00   ID: ewvYReCq

これは良スレ
俺でなきゃ見逃がしちゃうね

3 :  SS好きの774さん   2015年02月19日 (木) 14:14:32   ID: 9wCvv1nw

今更読んだけど面白かった

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