765秒の奇跡 (56)

AM8:59

765プロ事務所

P「クソッ…どうしてこんな…」

アイドル達「……」

ガチャッ


P「!」


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AM9:00

新P「おはようございますPさん」

P「アンタ…」

新P「新社長がお呼びですよ」

P「俺は…俺はどうなってもいい!でもこの娘達はッ!」

新P「落ち着いてくださいPさん」

新P「新社長がお待ちになっていますよ?」

P「あ…」

新P「……」

P「……すまない」

ガチャッ

新P「さて…おはよう!今日から僕が皆の新しいプロデューサになります」

アイドル達「……」

新P「ん、元気がないなぁ?皆体調がよくないのかい?」

春香「…プロデューサーさんはどこに行ったんですか?」

雪歩「プロデューサー辛そうな顔をしてました…」

新P「…Pさんは病気なのでしばらくの間お休みすることになったんだ」

春香「病気…?」

新P「あぁ、いつも忙しく働いていただろう?」

新P「病気のまま働くのは身体に良くないし、しっかりと休んで治す方が皆だって安心だろう?」

雪歩「それは…」

新P「大丈夫、キチンとPさんとお話しして仕事の事とかは引き継いでいるから任せてくれ」ニコッ

新P「さて、この朝の時間ってPさんは何をしていたのかな?」

真「…仕事の打ち合わせとか」

伊織「…他愛の無い会話もしていたわね」

新P「なるほど…でも、仕事の打ち合わせもするけど僕は皆に色々知って欲しいんだ」

新P「だから僕はこれから毎日、こうやって情報誌やファッション誌、CDなどを持ってくるから」ドサッ

新P「みんなはそれを好きに活用してくれて構わないよ」

やよい「……」

新P「はは…皆の好みには合わなかったかな…?」

千早「これ…もう廃盤になって手に入りにくいCD?」

真美「こっちの雑誌もプレミアついてる号だよ!」

新P「あぁ、こういう業界だからね、なるべく手に入るものは集めているんだ」

亜美「ねぇねぇ…真美、もしかしてこの新しい兄ちゃん、兄ちゃんより有能なんじゃない?」

真美「確かに…兄ちゃんよりスラッとしてるしイケメンっぽいよ?」

伊織「あのバカみたいにセクハラしてこない所は褒めてもいいかもしれないわね」

新P「ハハハ、少しだけ距離を縮められたかな?」

春香「……でも」

新P「いつか慣れてくれたら、僕にも春香の手作りお菓子を食べさせてくれるかな?」

春香「え!?」

新P「お菓子作りが趣味なんだろう?」

春香「は、はい」

新P「律子は資格取得が趣味で、最初は事務員として入ってきた」

律子「え゛!?なんでそんなこと……」

新P「あずささんは迷子癖があって」

あずさ「あらあら…」

新P「真は乙女なアイドルになりたいんだよね」

真「う…なんでそんなこと知ってるんですか…?」

新P「皆の資料に目を通したからね、3日間使って全員分の情報を暗記したんだよ」ニッコリ

律子「ふ~ん、中々やるみたいですね」

貴音「…確かに、プロデューサーはたまにわたくし達の声を聞き分けられない時があります」

新P「皆とのコミュニケーションは大事だからね、繰り返しになるけど皆これからよろしく」

響「…認めないぞ!」

真「響…?」

響「みんな!騙されちゃ駄目だぞ!!」

響「こうやって自分達を手懐けようとしてるんだ!!」

新P「…どうしたんだい響?急にそんな…」

響「自分知ってるんだぞ!事務所を買収して乗っ取ったって!!」

新P「……」

雪歩「ひっ…乗っ取り?」

新P「響、君は勘違いしているんだよ?乗っ取りなんてそんなことある訳」

響「じゃあ高木社長はどこに行ったんだ!!」

新P「……」

響「社長は知らない人に車で連れて行かれたんだ!!」

響「社長をここに連れてきて説明してよ!」

新P「…高木社長はね、レッスンに行ってるんだ」

あずさ「レッスン…?」

新P「そうさ、皆がレッスンをして技術を高めるように社長も経営の技術を高めに行っているんだ」

新P「間違った判断をしてしまったらそこを直していかないといけないだろう?」

響「社長は悪くないぞ!高木社長は沖縄から来た自分を温かく迎えてくれたんだ!!」

新P「響、僕は高木社長を悪いなんていっていないよ、ただ間違ったものは直していかないと駄目だろう?」

新P「ダンスレッスンと一緒さ、ステップを間違えたらちゃんと正して完成度を高めるだろう?」

響「……」

新P「高木社長も同じで皆の為に頑張っているんだ、だから皆も高木社長の為にも頑張っていかないとね?」ニコッ

響「……」

新P「響の誤解も解けたことだし、一つ皆で団結力を高めてみようか」

真美「高めるって何をするの?」

新P「皆でトップアイドルになれる様に、神様にお祈りをするんだ」

伊織「そんなんでトップアイドルになれたら苦労しないわよ!」

新P「まぁまぁ、皆でひとつになればもしかしてってこともあるだろう?」

新P「目を瞑って、神様、どうかトップアイドルにしてください、こう言ってみよう」

アイドル達人「「「神様、どうかトップアイドルにしてください」」」

響「馬鹿げてるぞ…こんなんでトップアイドルになれる訳…」

亜美「ひびきんもやろーよ!もしなれたらラッキーじゃん!」

真美「そうそう、駄目でもともとっしょ!」

響「うー…」

アイドル達「「「神様、どうかトップアイドルにしてください」」」

新P「よし、じゃあ目を開けてみようか」

アイドル達「……」

新P「……」

亜美「なんにも起こんないよー!!」

伊織「少しだけ期待した私が馬鹿だったわ…」

千早「くっ…」

新P「う~ん、神様じゃお祈りする相手が違ったかな?」

新P「じゃあ今度は、新社長様、どうかトップアイドルにしてくださいって言ってみよう」

春香「新社長様?」

新P「なんでも挑戦だ、行くぞ?」

アイドル達「「「新社長様、どうかトップアイドルにしてください」」」

新P「……」ピッ

新P「私です…30秒後にお願いします」ボソボソ

アイドル達「「「新社長様、どうかトップアイドルにしてください」」」

新P「よーし、じゃあ目を開けてみよう」

アイドル達「……」

律子「…いくら何でもそんな子供騙し」

プルルルルルルルル

新P「はい、765プロダクションです」

律子「…え?」

新P「えぇ、えぇ、ありがとうございます」

新P「ではまた後日改めて、えぇ、よろしくお願いします」ガチャッ

新P「ふぅ…」

貴音「今のは何の電話なのでしょう?」

新P「みんな、今スポンサーの方から電話があってライブの開催が決定したぞ!」

春香「えぇ!?」

やよい「すごいですー!お祈りしたら効果がありましたー!」

響「嘘だ!!」

貴音「響…?」

響「自分薄目を開けて見てたぞ!!そいつの仕込みなんだ!自分で電話して事務所に電話させるように指示してたんだ!!」

新P「……」

響「インチキだ!!」

新P「…そうだね、響の言うとおりだ」

あずさ「え?」

新P「確かにこのライブは僕が事前に取った仕事を皆を驚かすためにこうやって使ったんだ、許して欲しい」ペコッ

響「……」

新P「でもみんな分かっただろう?神様とか実体の無いものにすがっても何も与えてくれない」

新P「新社長や僕、結局与えてくれるものっていうのは人なんだ」

新P「だから、もっと僕達に頼って、頑張っていかないといけない。響はそれを証明したんだ」

響「え?…自分…」

新P「響は賢いなぁ」

真美「さっすがひびきん」

あずさ「響ちゃんすごいわぁ…」

新P「そうだ、今度765プロ13人全員でユニットを組むんだけど、それのリーダーに響を推薦したいと思うんだ」

響「え、え、ちょっと待って…」

貴音「確かに、響なら安心して着いて行くことができます」

真「うぅー、カッコイイなぁ響ィ!」

新P「皆、響がリーダで賛成な人!」

アイドル達「「はーい!!」」

新P「やったな響!みんなお前をリーダーとして認めてくれるってさ!」

響「自分…リーダーか…ヘヘ」

新P「じゃあ、リーダーとして新生765プロの抱負を考えてもらおう」

響「抱負…?」

新P「そうだ、新しい765プロのリーダーとして相応しいものを頼むよ?」

やよい「響さんすごいですー!」

亜美「いいなーひびきーん!」

響「でも…自分抱負なんて…」

新P「難しく考える事はないよ響?皆のリーダーなんだから胸を張ってやればいい」

響「う、うん」

新P「それじゃあ、新しい抱負を飾る場所を確保しないとね…アレ、外しちゃおうか?」

雪歩「え、で、でもそれは社長が書いた抱負で…」

新P「うん、みんながこの抱負を大事にしているのは分かるよ雪歩?」

千早「なら…」

新P「でもね、本当に大切なことってこうやって張り出しておかないと忘れちゃうものかな?」

真「それは…」

新P「本当に大事なことは皆の心の中にしまって、いつも忘れないようにするのがいいんじゃないのかな?」

律子「……」

新P「その方が高木社長だって喜ぶと思うよ?」

真美「…確かにそうかもしれないね」

新P「じゃあ、響、この抱負の額を外してくれないかな?」

新P「え?自分がか?」

新P「あぁ、頼むよ」

響「でも…いいのかな…?」

亜美「ヘイヘーイ!ひびきんビビッてるのー?」

真美「真美が代わってあげようかー?」

響「う、うるさいぞ!自分がリーダーなんだから自分がやるぞ!」ガタガタ

新P「……」

響「…よいしょ、取れたぞ?」

新P「…じゃあ、その額を投げてみないか?」

響「投げる?どういうこと?」

新P「新しい765プロの出発として、今までの765プロを壊すような切り替えが必要だと思うんだ」

新P「だから、その額を窓から下に投げよう」

響「な、何言っているんだ!?そんなことしたら危ないぞ!」

新P「大丈夫だよ、事務所の掃除をしたから今下はゴミ置き場になってるんだ」

新P「そこにめがけて投げれば危険じゃないよ?それに今回だけだ、普段は危ないからやらせないさ」

亜美「やろーよひびきん!!中々こんな事できないよ?」

やよい「わたしも…少しだけ見てみたいかなーって…」

響「じゃ、じゃあやるぞ!!」

響「うりゃー!!」ブゥン

ガシャァァァァァン

「うわーっ凄いよ!!」

「大迫力だね!!」

「さすが響!」

ワイワイキャッキャッ


新P「……」チラッ

AM9:13

「よーし!新Pと新社長の下で新生765プロ誕生だー!!」

「あれやろうよ!」

「いいねぇ!」

「新生765プロ!ファイトー……」

「「「オーー!!!」」」

ワイワイキャッキャッ





新P「……」ニヤァ

小鳥「競争が激しいアイドル業界」コツコツ

小鳥「言葉巧みに近寄ってくる人間も少なくはありません」コツコツ

小鳥「そんな男の言葉の前に純粋なアイドルの心を捉えるのは至極簡単なことなのかも知れません」ピタッ

小鳥「貴方の所のアイドル達も気をつけてください」

小鳥「洗脳とは実に容易く行われているのですからね…?」ニタァ



世にも奇妙な765語り

原作は小説ですが、これは世にも奇妙な物語でアレンジして放送されたものを
元ネタとしています、原作も面白いので気が向いたら読んでみてください

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