男「俺の手が無いよ」(17)

男「朝起きたら両手首から先が無いよ。なんでだよ?」

女「はーっはっは!あんたの手はいただいた!」

男「お、お前はストーカーの....」

女「ん~?ここにあるのが....あんたの探す手だねぇ~?」

男「そ、それはまさしく俺の手!返せよ!」

女「や~よ」

男「頼む!」

女「あらやだ、手を合わせるポーズで頼み込んでる。哀れ滑稽みすぼらしいわねぇ?」

女「あんたの求める手を....弄んでるあたし」イジイジ

男「お願いだよやめて....すぐに返してくれよ」

女「喉からなんとかが出るって感じ?」

男「手が....手が無ければ何も出来ないじゃないか。その手を受け取るための手もない俺は無能だ....」

女「欲しいでしょ?欲しいでしょ?この手を必要としてるでしょ?」

男「ところで何が目的なんだ?」

女「この手を持ってたら....ほら。あたし手が4つになってしまったわ」

男「それがなんだよ。俺の0に比べりゃ何の話題性もないよ」

女「便利だわぁ~♪ほら見て、ジョッキがこんなに運べる」ガチャン

男「お....俺の手で勝手に物を運んでるんじゃねーよ」

女「今あたしはあんたの手を好きにできるわけだけど」

男「何にもせずそのまま返してくれ」

女「それじゃわざわざ奪った甲斐が無いでしょ?とりあえず舐めてみる」ベロン

男「や....やめろよ本当にさ....精神的にくる」

女「....なにその今更な」

男「どうすれば返してくれるのかな」

女「返さないわ」

男「そこをなんとか」

女「残念だけど」

男「なんでもする」

女「何もしなくていいのよ。」

男「何かやりたい。うずうずしてる」

女「何もしないのが現状最善策よ。何故ならあたしがそれを望んでるから」

男「何様だよ」

女「あんたの手を好きにできるんだからねぇ?例えばこれを焼いてしまったら、あんたはもう二度と自分で折り紙を折ったりできないんだから」

男「なんて恐ろしいことを。そんなのってひどいぞ」

女「あんた一々ずれてるよね。状況わかってる?」

男「手を奪われたんだよ。これ以上説明することがあるか?」

女「はぁ....んぷ」ジュプ

男「おい何をやってる....俺の手を勝手に口に入れてるんじゃない」

女「はむはむ」

男「おいまさか歯を立ててるんじゃないだろうな?やめろよ傷がついちゃうだろ」

女「んぐっ!?」オエッ

男「勝手に喉に押し込んで....ゲロをかけたりしないで欲しいな」

女「指輪をはめたいと思う」キラ-ン

男「高そうなものだな。どっから持ってきたんだ」

女「自分で買ったに決まってるでしょ?これのためにお金貯めたのよ」グッグッ

男「ふん、左手の薬指....サイズが合ってないんじゃないか?」

女「....」グッグッ

男「分かったろ、その指輪は入らない」

女「ぐぅ....」グイグイ

男「お、おい....?聞いてるのか?やめろ!」

女「ぐおぉっ....!」ズリズリ

男「やめろ無理があるだろ!?皮膚が破れる!血が出ちゃったらどうする気だ!」

女「ふぅ....なかなか入らないわね」

男「途中で休憩してんじゃないよ....さっさとその指輪を外せ!」

女「疲れたからタイム。後で続きをしましょう」ポイッ

男「お、お....俺の手を....ポイッと放りやがるなんて....」グヌヌ

女「お腹空かない?」

男「朝はあんまり空かない派なんだ」

女「あら残念。どっちにしろご飯持ってくるけど」

男「軽いのにしてよ。ココアとか」

女「それご飯?」

男「うるさいな。さっさと行けよ」

女「はいはい」バタン

男「さて....二度寝するか」

女「ココア作ったことないんだけど....どうやればいいのかしら」

男「....zzz」

女「まぁカレーみたいなもんよね....?あ、砂糖入れればいいのか」

男「寝て起きたら3時間も経ってやがる」

女「おはよう」

男「起こさなかったのか」

女「何故あたしが起こすの?」

男「さぁね....あれ、何してたんだっけ」

女「朝ごはんよ。はいこれ」

男「これココアか?気が利くじゃん...」ズズ-ッ

女「美味しい?」ドキドキ

男「」ブ----ッ

女「....」ビシャ-ッ

男「こ、これ....ゲホッ、なんだこれ....意味分かんない」ゲ-ッ

女「....謝んなさいよ」ポタポタ

男「自業自得だ。なんならカップに残った分も被っとけ」

女「あんたがね」デロデロ

男「....」ボタボタ

女「お風呂なう」パシャッ

男「素っ裸で写真とってんじゃないよ。俺まで巻き込んで」

女「うp....」ポチポチ

男「やめろや!」

女「シャワー」ザァァァ

男「あったかぁ....」ザァァァ

女「シャンプー」ワシャワシャ

男「気持ちよぉ....」ウットリ

女「体も洗うけど」

男「優しくしてね」

女「ココはピクリとも反応してないし」

男「何に反応するんだよ?」

女「あたしのDカップに」

男「手があったら揉んでるのになぁ....と思うと」ショボ-ン

女「ドライヤー」ブォォォ

男「普段自然乾燥なんだけどな」

女「耳かき」クリクリ

男「ひざまくらでか....本来なら幸せな状況だ」ムスッ

女「ほらほらここがいいんでしょ」カキッ

男「ひうっ」ビクン

女「意地張ってないで....」カキカキ

男「あっ....あふぅ....」ウトウト

女「素直になっちゃいなよ」フゥ-ッ

男「あう....zzz」

女「よく寝るわね」クリクリ

男「おう....寝覚めがいい」パチッ

女「おはよう。はいお水」

男「....味はないな。麦茶に見えたのに」

女「えへへぇ....」ギュウ-ッ

男「俺を抱き枕にするな」ムスッ

女「可愛い....」プニプニ

男「なんで突然こうなった?」

女「大好き。愛してる。私にとってあなたが一番。」

男「俺はお前が嫌いだよ」

女「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き........」ブツブツブツ

男「おま....なにが....」ウトウト

女「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き」

男「なん....ねむ....」フッ

女「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き」

男「大............好き............zzz...」

男「....また寝てたのか。今何時だ?」

女「............」ビシッ

男「時計曰く午後の6時ね。なんか喋れよ」

女「....大好き大好き大好き大好き」ギュウ-ッ

男「またこれか....何がしたいんだ?」

女「大好き大好き大好き大好き大好き」

男「ていうかちょっと黙ってくれないかな。いい加減うるさいっていうか」

女「大好き」ガシッ

男「えっ....なんで顔つかむ」

女「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き」ジィ-ッ

男「な、なんだよ....お前さっきから何やってんだ」

女「大好き大好き大好き大好き大好き大好き」

男「お前....口動いてない....?」

女「大好き大好き大好き大好き大好き」

女はそれからずっと俺の顔を掴み、目を合わせたまま動かなかった。

俺は抵抗もできず、女の顔を眺めていた。時々何か喋りかけても返答はなく、ただひたすら大好きの声が頭に響いた。

何時間の間そうしていたのか。女の顔はもう目に焼き付いてしまって、何がなんだな分からなくなっていて。 

ふと視界の端に黒いものが映った。煙のようなそれは段々と大きくなり、部屋を埋め尽くしていった。

見えるもの全てが黒いものに覆い尽くされ、真っ暗な部屋の中で女の顔だけがぽっかり浮かんでいた。

微動だにしないその顔と、聞きあきた大好きの声だけが世界に残っていた。

男「........................」ダラン

女「これでもう....腕も足も無くなった。れろ....」ベロン

男「........................」

女「私だけが見えてるんでしょう?聞こえていないだろうけど。」ベロベロ

男「............................」

女「はやく舐め回したい....ダメよ、楽しみは後にとっておくのよ....」ハムハム

男「................................」

女「この先あなたはこのまま死ぬまで....あたしだけの世界で暮らすんだから。先は長いんだからね♪」

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