井尻又兵衛「おや、お主は…」ロボとーちゃん「あっ、…へへ、どーも」  (25)

又兵衛「これは驚いた…お主が何故ここにおるのだ」

ロボとーちゃん「えーと…はは、いやまあその」

ロボとーちゃん「…私がひろしだってよく分かりましたね」

又兵衛「そのようなくたびれた髭の持ち主なんぞヒロシ一人しかおらぬわ」

ロボとーちゃん「あー…はは、そうですね」

又兵衛「…しかし、お主がここにおるという事は」













ロボとーちゃん「…まぁ、そういう事ですよ」

又兵衛「…うむ、そうか」


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もう泣けてきた

又兵衛「しかし久しぶりじゃのおヒロシよ」

又兵衛「お前たち家族との日々は、今になってもわしの宝物よ」

ロボとーちゃん「あー…大変でしたねぇ」

又兵衛「おかげでここに来てからは酒に困ってはおらぬ、なっはっはっは」

ロボとーちゃん「おっ!って事はもしかして…」

又兵衛「うむ、極楽は良いところじゃ」

又兵衛「毎日びいるが好きなだけ飲むことができるからのお」

ロボとーちゃん「おお~!さっすが天国だぜ!」

又兵衛「どうだ、再会を祝って一杯」

ロボとーちゃん「あ、是非!」

又兵衛「うむ」









又兵衛「では、数千年振りの再会を祝って」 カンッ

ロボとーちゃん「かんぱーい!」 カンッ





又兵衛「っか~!美味い!」

ロボとーちゃん「んぐ、んぐ…くぅ~!このために昨日まで生きてきた!」

又兵衛「おっ、お主上手い事を言いよる!」

ロボとーちゃん「はっはっは!伊達に35歳も生きてきてませんよぉ!」

又兵衛「そうかそうかがっはっはっはっは!」

ロボとーちゃん「あっはははははは!」










又兵衛「…ところでお主、何故尻から酒を入れておるのだ」

ロボとーちゃん「あいやこれはその…色々あったんですよ。色々!」

又兵衛「そうかそうか!生きいれば色んな事があるからなあ!はっはっはっは!」

ロボとーちゃん「いや~でも良かった!」

又兵衛「どうした薮から棒に」

ロボとーちゃん「ははは…俺、こっちの知り合いなんて指折りもいませんから」

ロボとーちゃん「又兵衛さんに会えて本当に良かった」

又兵衛「うむ、そうかそうか」

ロボとーちゃん「はははは」

又兵衛「ふぅ…」

又兵衛「…ところでヒロシよ」

ロボとーちゃん「あ、はい」

又兵衛「確か貴様と俺と出会った時、歳は35だと聞いておったが…」

ロボとーちゃん「……あっ」

又兵衛「…いや、すまん。余計な詮索であったな」

ロボとーちゃん「いえいえ」









ロボとーちゃん「…又兵衛さんの考えてらっしゃる通りです」

又兵衛「…そうか」

ロボとーちゃん「でも、あっけないものですね」

ロボとーちゃん「これから一家の大黒柱として、妻一人と子供二人に犬一匹支えていこうと思っていたのに」

ロボとーちゃん「まさかこんなに早く…はは、逝っちまうなんてなぁ」

又兵衛「…みな、お主と同じ気持ちよ」

又兵衛「ここには恋人を、妻を、家族を置いて死んでしまった者たちで溢れておる」

又兵衛「それが故に未練を残し成仏出来ぬからこそ、こうやって上から世を見守っておるのだ」

ロボとーちゃん「へぇ~。そうだったのか…」












ロボとーちゃん「…じゃあ、又兵衛さんも」

又兵衛「……」

くそ!読みたいけどまだロボとーちゃん見てないからネタバレになっちまうじゃねぇか!

ごめん、ネタバレ注意書くべきだったわ

ロボとーちゃん「ん?でも俺がここにいるのに…廉姫さんはもうとっくに」

又兵衛「俺と貴様は、生きていた時代が違う」

又兵衛「故に見える現世もまた別…そういう事で良かろう」

ロボとーちゃん「あ、なるほど…」

又兵衛「……」

ロボとーちゃん「……」

ロボとーちゃん「…後悔、ですかね」

又兵衛「何を申すか。武士として戦で死ぬことができたのだ、後悔なんぞあるわけなかろう」

ロボとーちゃん「あ、そうですか…はは」














ロボとーちゃん「…私でしたら、聞きますよ。又兵衛さんの未練」

又兵衛「…ふっ、言いよるわ」

グビッ


又兵衛「ふぅ…」





又兵衛「…情けないものだ」

又兵衛「一国の姫君とその家来。…そうケジメをつけて仕えておったのに」

又兵衛「男としての情は、何時までも姫様を諦める事はなかった」

又兵衛「それが故に姫様にも辛い思いをさせてしまった…武士として仕える者としての恥よ」

ロボとーちゃん「…そう、ですかね」

又兵衛「なんだ、間違ってると申すか」

ロボとーちゃん「たとえ身分の違いがあっても、又兵衛さんと姫様は男と女じゃないですか」

又兵衛「む…」

ロボとーちゃん「その男としての気持ちがあったからこそ、姫様は又兵衛さんを好きになったんじゃないですかね」

又兵衛「…だが、それは姫様にとって大きな傷を残す事になった」

又兵衛「誰の元にも嫁がぬとは…康綱様はさぞかし悲しんでおるだろうに…」

ロボとーちゃん「あー…それはまあ、はは、そうでしょうね」














ロボとーちゃん「…でも、嬉しいことじゃないですか」

ロボとーちゃん「姫様の心には、いつまでも又兵衛さんがいるんだって事ですよ」

又兵衛「…それが枷となるならば、男として半人前であろう」

ロボとーちゃん「はぁ~でもいいなぁ~」

ロボとーちゃん「愛する妻にそれだけ愛されるだなんて…いやいや、羨ましい!」

又兵衛「だ、誰が妻と申したか!?べ、べつに俺は姫様にとととと嫁いでなどおらぬわ!」

ロボとーちゃん「いやいや、もう結婚したも当然ですよ!はっはっは」

又兵衛「き、貴様からかいおって…!」

ロボとーちゃん「ははは」

又兵衛「全く…態度だけは大きくなったわ」

ロボとーちゃん「でも、羨ましいなあ本当に」













ロボとーちゃん「…愛する人に、ずっと愛してもらえるなんて」

又兵衛「…ぬっ?」

又兵衛「何を言うかヒロシよ」

又兵衛「お主にはみさえがおったであろう」

又兵衛「あのような強い絆で結ばれた男女は他にはおらぬ」









ロボとーちゃん「…はは、そうですね」

ロボとーちゃん「えぇ、居ますよ……今でも、ずっと」

又兵衛「…なんだ、やけに含みのある言い方をするのだな」

ロボとーちゃん「……」

又兵衛「……」










又兵衛「話してみよ」

又兵衛「それがお主のその身体にも何か関係があるのだろう」

ロボとーちゃん「…まあ、そうですね」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


又兵衛「……」

ロボとーちゃん「…まぁ、こんな所ですかね」

又兵衛「ううむ、」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



又兵衛「……」

ロボとーちゃん「…まぁ、こんな所ですかね」

又兵衛「ううむ、お主も色々と苦労したのだな」

ロボとーちゃん「ははは。でもこの体、しんのすけには好評だったんですよ」

又兵衛「しんのすけか…懐かしい響きだ」

又兵衛「今頃お主がいなくて寂しい思いをしておるだろう」

又兵衛「まだ齢5歳だと言っておったな…悲しい事よ」










ロボとーちゃん「…いや、しんのすけはいつも通りだと思いますよ」

ロボとーちゃん「家族は、ちゃんと4人と1匹、揃っているからなあ」

又兵衛「…そうか」

ロボとーちゃん「…一時期は、この体を便利だと思いましたよ」

ロボとーちゃん「人間のオレなんかより、数倍も仕事が出来て、家族サービスもこなせる」

ロボとーちゃん「生まれ変わったスーパーとうちゃん!なんてな。ははは」







又兵衛「……」

ロボとーちゃん「でも、この身体が家族を傷つけるハメになりましてね」

ロボとーちゃん「なんとか丸く収まったんですけど…まぁ、私はこの通りです」

ロボとーちゃん「しんのすけの強くて格好良い父親になれた事が、私にとっても誇りだと思いました」












ロボとーちゃん「…でも、俺は愛する夫にはなれなかった」

ロボとーちゃん「みさえに、夫婦としてのぬくもりを与えてやることは出来なかったんですよ」

又兵衛「……」


ロボとーちゃん「…当たり前、ですよね」

ロボとーちゃん「こんな、冷たくて硬い鉄の身体じゃあ、みさえを抱きしめてやる事が出来ない」

ロボとーちゃん「みさえの心の中を、半分も満たしてやる事が出来ない」

ロボとーちゃん「そんな男じゃあ、夫として失格なんですよ」

又兵衛「…ヒロシ」














又兵衛「涙を拭け。 …今のお前は見れられん」

ロボとーちゃん「あれ?おかしいなぁ…俺、スイッチ押さないと…泣けない、のに」

ロボとーちゃん「なんでだ…変だなぁ …はは、は」

今のお前は見れられん

今のお主は見ていられぬ

又兵衛「…ヒロシよ」

ロボとーちゃん「……」

又兵衛「お前の最期は、寂しいものであったか」

ロボとーちゃん「…いえ」

ロボとーちゃん「…家族全員が、俺の最期を、見届けてくれました」

ロボとーちゃん「しんのすけは、最後まで俺を父親として見ていました」

ロボとーちゃん「カッコよかった、強かったよ、って…みさえも、あなた…って」

ロボとーちゃん「そう、言ってくれてっ…」

又兵衛「…そうか」













又兵衛「…なら、お主は妻に、家族に見捨てられてなどおらぬ」

又兵衛「例えカラクリの身体だとしても、心は家族を愛する漢の鑑だ」

又兵衛「しんのすけも、みさえも、それが分かっておったからこそ…お主の死を見届けたのだのであろう」

又兵衛「お主は偽物などではない…野原家の当主。野原ひろしだ」

ロボとーちゃん「…はい。…っ…っはい!」

ロボとーちゃん「……」

又兵衛「…未練は無くなったか」

ロボとーちゃん「…そう、ですね」

又兵衛「…そうか、良かったのう」

ロボとーちゃん「又兵衛さんのおかげです」

ロボとーちゃん「二度も助けて頂き、ありがとうございました」

又兵衛「それはこっちの申す事だ」

又兵衛「礼を言う。…楽しい時を過ごす事が出来た」

ロボとーちゃん「へへ…それほどでも」




















ロボとーちゃん「じゃあ、お先に失礼しますね」

又兵衛「うむ、達者でな」

又兵衛「……」

又兵衛「また、一人になってしもうたか…」

又兵衛「……」 グビッ












「おい、青空侍。」












又兵衛「…!」

又兵衛「姫…様」

又兵衛「……」

又兵衛「…ふっ、雲を眺めてそのような名を囁くとは」

又兵衛「誠に、難儀な事ですな」


















又兵衛「…姫様」

又兵衛「私の様な芋侍を、心からお慕い頂き」



















「…誠に、光栄でございました。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「しんのすけー!バスが来たわよー!」


「ほーい」


「しんのすけー!しんちゃ…ってコラァーっ!」


「何でまだパジャマのままで寝てるのよ!バスが来たってママ言ったでしょう!?」


「んー今日はおしりが二つにわれてるからようちえんお休みしようかと」


「お尻に三つ目の割れ目入れてやろうかアンタァーっ!!いいからさっさと着替えなさい!」


「いやあああああんけだものおおおおおおお!オラたち親子なのにいいいいいいいっ!!」


「ご近所に誤解されるでしょうがああああああああああああ!!!」








みさえ「すみませんすみません…後で送って行きますので…」 ペコペコ

よしなが先生「あはは…ではよろしくお願いしますー」


みさえ「はぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」 キコキコ

しんのすけ「おお~!かあちゃんいつになく漕ぐのが早いゾ~!ダイエット?」

みさえ「やかましいっ!アンタ罰として今日おやつ抜き!」

しんのすけ「えぇ~!?そんなガムたいなぁ~!」

みさえ「それを言うなら御無体なでしょうがっ!!」

しんのすけ「そうともゆう~」










ひまわり「とっと!とっと!」

しんのすけ「…お?どしたのひまわり?」

ひまわり「たいや!たたいのお!ていっ!」

しんのすけ「んもうお空の雲なんか見て嬉しがるなんて子どもだなあ~」

ひまわり「たたたいっ!ぎーっ!たいやっ!」

しんのすけ「うわあ!分かった分かったから!見ればいいんでしょ見ればー!」

ひまわり「たいやっ!」

しんのすけ「んもうひまったらせっかちさんなんだから~」

しんのすけ「…お?」
















しんのすけ「…おおっ!」

しんのすけ「おじさんの旗だ!」

しんのすけ「ロボとーちゃんの顔もあるゾ!」

ひまわり「たいやっ!」

しんのすけ「さっすがひまわり!オラの妹だ~!ほ~らよしよし~」

みさえ「自転車漕いでるのに立つなこのおバカ!三日間おやつ抜き!」

しんのすけ「ひいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!」







~おわり~

ロボとーちゃんがあまりに衝撃的だったから勢いで書いた。反省も後悔もしてない


読んでくれてありがとう

乙。
この二人はズルいな…普通にホロリと

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月14日 (木) 03:13:47   ID: nIGFF7x8

普通に凄いと思う

2 :  SS好きの774さん   2015年04月16日 (木) 03:46:47   ID: Xs4qxRJn

スゲー感動しました。ロボ父ちゃんけっこうお気に入りです

3 :  SS好きの774さん   2015年04月16日 (木) 16:51:14   ID: TeWD8UwY

感動した
ロボとーちゃんいい映画だったよ

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