一夏「IS学園やて?」 (120)

一夏「大阪から来ました織斑一夏言います、趣味はジークンドー・商い・食べ歩きやからよろしゅう」

ザワザワ

IS学園、名前の通りISを学ぶための学校、言うてもISを操縦でけるんは女のみやから実質女子高みたいなもんなんやけど

何をトチ狂ったんか男の俺がISを起動させてもうたもんやから世間はえらい騒ぎになってもうた。

おまけに姉貴がモンドグロッソのてっぺんをとった「ブリュンヒルデ」こと織斑千冬なんが

火に油を注いでしもたんや、千冬姉とは昔とある事件に巻き込まれて以来会うてない。身内に会えるんは楽しみ

やけど、事件の後に大阪に逃げてもうてこてこての関西人になってもうた。

置いていった友達やらの近況も分からずじまい。

あっちで少しグレてもうたから大阪に友達はほとんどおらんし、こっちの友達が気になってしゃあない。

と  思っとったら

箒「一夏か…!?」

一夏「おお、箒やんけ」

ホームカミング初日で幼馴染と会えたんは幸先ええなあとか能天気に考えとった

「この時」はやけど

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千冬「私語を慎め」ブン!

一夏「堪忍してえな千冬姉」ヒョイ

千冬「ここでは織斑先生と呼べ馬鹿者」

一夏「考えときますわ」

箒「一夏、後で屋上に行くぞ」

一夏「かまへんで」


屋上

箒「まさかISを男のお前が扱えるとはな」

一夏「俺も驚いとるわ、しかも男子生徒俺だけやしな。色々かなんわ」

箒「その、関西弁…」

一夏「おーこれな、あっちおったら自然と身についとったんやわ」

箒「やはり住めば馴染むものなのだな」

一夏「せやな、箒もえらい変わっとるな、面影あって良かったわ、危うく気づかんとこやったわ」

箒「お前も、随分変わったな」

一夏「昔は箒の方がデカかったんやったな、今は俺の方がデカい」

箒「180あるんじゃないのか?」

一夏「目標はスパイク・スピーゲルさん目指して185欲しいな、ジークンドーもそれで始めたんやし」

箒「剣道はしないのか?」

一夏「…俺が拉致られたあの事件、覚えとるよな?」

箒「もちろんだ、忘れられるわけがないだろう」

一夏「あんときに考えてん、チビで非力やったんもあるけど、武器をいつでも携行しとくって難しいやん?

ほんなら体を武器にしてまえばええって結論出てな。で、ブルース・リーごっこいうわけやわ」

箒「しかし、武器を持った相手に素手というのは」

一夏「一応二度とあんなことないように修羅場は潜ってきとるで、剣道のチャンピオンにも負ける気せえへんくらいにはな」

箒「なんだと?」ピクッ

一夏「まあ待てや、負けへんにしても女ド突く趣味あらへんから勝負とかはせえへんぞ」

箒「言いたい放題言って逃げるのか!?」

一夏「そうとってもかまへんぞ、」

箒「ではなんのつもりなんだ」

一夏「簡単やで?俺のジークンドーはあくまでも身の安全のためのもんや、突然降りかかる不当な暴力を制するためのもんや

、それさえ果たしとったら俺は文句あらへん。それだけやわ」

箒「…」

一夏「もう一つ付け足すなら、正直お互い大怪我してまういうんが怖いんや、剣道のチャンピオン、日本一長物を扱える人間相手に無傷で勝てるほどの領域にはおらんからな。幼馴染の女と命のやり取りしてまで優劣つけたないねん。」

箒「…そういうことなら納得しておいてやろう」

一夏「すまへんな、大阪でちょっと荒れとったから口悪いねん。剣道優勝おめでとさん」

箒「褒められた気がしないぞ」

一夏「いやいや、これはほんまに祝っとるから安心してえな」

箒「わかったわかった、それではまた明日な、一夏」

一夏「おう、明日もよろしゅう、箒」

自室前

一夏(男は俺一人、つまり、部屋を独り占めでけるっちゅうのは役得やのー♪)ルンルン

一夏(学食のうどんもうまいし、たこ焼き定食は明日要チェックやで!)

???「ああすまない、先にシャワーを使わせてもらった、私はルームメイトの…」

一夏「え?」

箒「え?」ハラリ

一夏「///////////」クルッ!

箒「う、うわああああああ!!//////////」



一夏「部屋の都合がつかんかったと」ヒリヒリ

箒「そ、そういうことみたいだな」

一夏「しゃあないわな、男の俺が入学するなんぞ誰も思いつかんやろうし」ヒリヒリ

箒「とっさにとはいえ、殴って済まない」

一夏「こんくらい、アメ村の黒人のパンチに比べたら可愛いもんやで」

箒「そ、そうか…」

一夏「寝るには早いから、ちょっと体動かしてくるわ」

箒「そうか、頑張れブルース・リー」

一夏「任しとかんかい宮本武蔵」



一夏「シュッ!」シュパパパパ!

一夏(縦拳に捻りを加えて、空手の正拳を意識した方が…)シュパパパッ!

一夏「元祖の速さには程遠いな…」ブツブツ

千冬「上半身裸で何をしている一夏」

一夏「先生」

千冬「今は千冬姉でいい、それにしても、まさか徒手格闘技に移るとはな」

一夏「剣道が悪いんちゃうで、俺が弱かったんが悪いんや。俺は千冬姉を守れるくらいになりたいんや」

千冬「それなら試してやろうか?」

一夏「胸借りるで、千冬姉」スッ

千冬「来い」スッ

持参してきた竹刀を上段で構える千冬、一夏は足を千冬に対し正中線を隠すように45度のスタンスで開き、利き手の右を前に、左手は防御のために顎の前に構える。ジークンドーの基本ともいえる構えだった。


一夏(あー…、こらプロレスラーが可愛く見えるレベルの生き物や…)ジリッ

千冬(剣道三倍段、私に勝つには素手なら三倍実力がいる、それを分かって尚、意地を張るのか?一夏)ゴゴゴゴ

一夏(チンピラ、ヤンキー、ヤクザ…プロ崩れの格闘家もシバいてきたのに、まるで勝てる気がせえへんのはなんでや?)

一夏「行くで、千冬姉」スッ…

千冬「馬鹿者」ビュン!

ドゴッ!バキッ!ズン!

千冬「一つももらわなかったが、強くなったな一夏」クルッスタスタ…

一夏「強過ぎやわ千冬姉~……」ボロッ

自室

一夏「ただいまー…」ボロッ

箒「ああ、お帰り…ってどうしたんだその傷!?」

一夏「世界チャンピオンにやられましたわ」

箒「世界チャンピオン?千冬先生のことか」

一夏「いやー世界の壁はゴツイで」

箒「手当してやるから座れ」

一夏「シャワー浴びてから頼むわ、先に汗流したいねん」

箒「分かった、さっさと済ませてこい」

シャワー後

箒「見えなかった?」

一夏「せやねん、太刀筋が全く見えへんねん」

箒「もはや達人だな」クスッ

一夏「本身抜いた相手とカチ合うことは何回もあったけど、千冬姉の竹刀程の怖さは無かった、つまり俺は未熟も未熟いうことやろうな」

箒「お互い死ぬ気で鍛えるしかないな」

一夏「正直、限界を感じたわ」

箒「あきらめるのか?」

一夏「ちゃうわ、千冬姉はISドライバーやんけ、せやからそこに千冬姉に勝てる鍵があるかも知らん思てな」

箒「ISの稼働速度は人間を超えているからな、確かに理屈は通っている気はするが…」

一夏「ま、このIS学園でもらえる技術全部かっさらうつもりやから丁度ええわ、女相手に無傷で勝つ術も確立したいしな」

箒「私もお前に負けないからな」

一夏「俺もそのつもりじゃい」

箒「お休み、一夏」

一夏「お休み、箒」

翌日 教室

山田「では、今日はクラスの代表を決めたいと思います」

一夏「俺やります!」ノ

箒「私がやります!」ノ

????「お待ちなさい!」ガタッ!

一夏「ん?」

箒「オルコット」

セシリア「男にクラスの代表など任せられませんわ!イギリス代表候補生のこのセシリア・オルコットこそが相応くてよ!」

一夏「おー、おるやんけ良さげなんが」

セシリア「当然ですわ、私はエリート中のエリート、分かればさっさとその手を下げなさい」

一夏・箒「……」ノノ

セシリア「話を聞いてませんの!?」

一夏「いやいや、クラス代表譲る気あらへんで」ノ

箒「同じく」ノ

セシリア「中々骨のある方とお見受けはしましたが、実力もないのに随分と背伸びをしていらっしゃいますわね?」

一夏「実力?そら口喧嘩のことか?ほんなら降参やえらい達者な言葉遣いでんなぁ」

箒「お、おい一夏」

セシリア「いいでしょう、そこまで仰るなら模擬戦で白黒をつけることにいたしましょう!」

一夏「安心しろや、ケガはさせへんから」

セシリア「!」ブチッ

一夏「で、今からやるんか?やるんならさっさ来いやジョンブル」凸

セシリア「……来週ですわ」

一夏「お?来週にはビザ切れて勝負お流れでっか?外国人は逃げる言い訳のレパートリーが多くてよろしいなあ」

セシリア「来週の放課後、二度とISに乗る気が無くなるまでいたぶって差し上げますのでそのつもりで。愚民?」ニコッ

一夏「楽しみにしとりますわ、お嬢様?」ニコッ

箒「私も挙手してたのに…」ノ

模擬戦7日前

箒「打鉄というのがまあ基本的に使用されているISだ、バランスは良いが飛び抜けてもいないスタンダードな機体だ」

一夏「あのイギリス娘、専用機持ちらしいな?どんなISなんや?」

箒「私もよくはわからないが、遠距離型、つまり狙撃等に力を入れた機体らしい」

一夏「ほ~ん」

箒「乗ってみるか?」

一夏「せやな」

ライドオン

箒「さすがだ一夏!接近戦はなれたものだな!」

一夏「このくらい楽勝やな!」 

打鉄のブレードを難なく捌く一夏

箒「じゃあ、これはどうだ!?」ズドドドドドド!

突如後ろに下がりマシンガンを撃たれる

一夏「鉄砲も慣れとるで!」ズドドドドド

簡単に避けマシンガンを撃ち返す

そんなやりとりがしばらく続き・・・

一夏「なーんかちゃうねんなー」

箒「だな、代表候補生がこんな程度のはずがない」

一夏「いや、それもあるねんけどな。どうもなんかこう・・・ゲーム感覚やねん」

箒「?」

一夏「説明がむずいねんけど・・・うーん・・・」

箒「とにかく、クラス代表を目指さないと強敵に当たりにくいのは間違いない、ならばここは踏ん張りどころだぞ一夏」

一夏「絶対防御のせいで燃えへんのかなー?」ブツブツ

箒「それがないと死ぬだろ!」

一夏「いやいや、それが普通やったし、生身なら撃たれても切られても刺されても殴られても下手したら死ぬし」

箒「少しアンダーグラウンドに浸かりすぎなんじゃないのか?」

一夏「ぬるま湯よりはマシやろ」

箒「全く・・・」

一夏「打鉄、悪くないんやけどこれやとイギリス娘に勝てる気せえへんぞ」

箒「そういわれても、専用機などそうそう手に入るものでもないしな・・・」ムムム

一夏「まあ、イギリス娘に勝つべく人事を尽くそか!」

箒「それしかないな!」

模擬戦3日前

一夏「勝てんことはない気もするけど・・・」

箒「お前の上達速度は異常だ」

一夏「ケガさせてまうやん」

箒「あれ本気だったのか!?」

一夏「当たり前や、イギリス娘にはケガをさせずにこっちの実力向上の肥やしになってもらうつもりやで」

箒「二兎を追うものは一兎も得ずといってだな・・・」

一夏「二兎を追わな二兎手に入らへんやん?一石二鳥期待するほど甘えてへんぞ」

箒「あーもう分かった、とことん付き合ってやる」

一夏「おおきに」

一夏(とは言うても、イギリス娘はエリートや、ISの操縦の経験の差はまだまだあるはず・・・

何かあるはずやねん、あいつが安全に倒せるような方法が・・・)

束「やっほーいっくん!箒ちゃん!元気ーー!?」

一夏「おー、束はんご無沙汰やね」

箒「ね、姉さん・・・!?」

束「リアクションうっすーい」

一夏「いやいや、束さんやったらなにやらかしても不思議ちゃうからね。今から地球滅ぼしますとか言い出しても違和感ないわ」

束「いっくんひっどーい、・・・・・大阪で随分と活躍してたみたいだね」

箒「姉さん、私たちに何か・・・」

束「あ!そーだったそーだった!今日は、いっくんにプレゼントがありまーす!どんどんぱふぱふー!」

一夏「なんでっしゃろ?誰ぞの生首とかやったらいりまへんで」

束「束さんはそんな恐ろしいことしないよー!第四世代のISをいっくんにお持ちしましたー!!」

箒「!?」

一夏「あれ?今のISって第三世代までちゃうの?」

束「ほら、あたしって天才だから、いっくんのために一生懸命夜なべして作ったんだよーじゃじゃーん、これが第四世代『白式』でーす!」

一夏「真っ白やな」

束「千冬ちゃんの『白騎士』のコアを使ってマース!」

一夏「千冬姉の・・・」

束「装備はシンプル!雪片二型のみ!」

一夏「千冬姉の後継機みたいな感じか」

箒「お前、本当に驚かないな・・・」

一夏「分かりやすくてええわ、千冬姉はこれ一振りで世界を獲ったんや、前例があってできへん道理はないしな」

束「いっくんの強さへの貪欲さ、束さん大好き!」

一夏「ありがたく使わせていただきます、篠ノ之束博士」

束「やだなー、あたしといっくんの仲じゃない♪」

箒「・・・」

束「箒ちゃん、またね♪」

箒「さようなら、姉さん」

束「ばいばーい」

一夏「箒」

箒「分かっている、テストプレイに付き合えばいいんだな?」

一夏「頼むわ、また今度お礼するわ」

箒「やる気を出させるじゃないか。第四世代相手だ、こちらも最初から全力でいかせてもらうぞ!」

一夏「来いや!」

5分後

一夏「打鉄とは比べもんにならん性能やな、接近戦だけみてももはや別物や」

箒「これならオルコットが無傷で一夏は勝つことができるだろう」

一夏「あとは遠距離相手になれときたいから箒、頼めるか?」

箒「分かった」

模擬戦まで二日

箒「今日も練習するのだろう?」

一夏「いや、ちょっとやることあるんやわ」

箒「何かあるのか?」

一夏「弾のとこに行く約束しとってな」

箒「勝負の前に余裕過ぎないか?」

一夏「いや、元々約束してあったからな、こういうんは守っとかな気がすまんねん」

箒「お前らしいな」クスクス

一夏「お前に四六時中世話になるんも申し訳ないしな」

箒「私は、その、別に気にしていないぞ?///」

一夏「そういってもらえるんはありがたいけどな、人に頼りすぎるとやっぱあかんやろ」

箒「そういう意味ではないんだがな・・・」

一夏「そろそろ向かわな間に合わんからもう行くわ、ほなの」ノシ

箒「一夏のバカ・・・」

五反田家

弾「しっかし、親友が関西人になっちまうとはなー」

一夏(とんかつ定食を食べている)「んぐんぐ・・・大阪ええとこやで、ジークンドーの練習相手にも困らんし。栄えとるから商いにも困らんし」モグモグ

弾「俺もお前が大阪に行ってからキック始めたんだよ、スパーリングしねえか?」

一夏「俺たち」

弾「ひょうきん族!」

一夏・弾「うはははははははは!」ゲラゲラ

蘭「お兄うるさい・・・え!?一夏さん!?」

一夏「おー蘭ちゃん、久しぶりやね、お土産に551の肉まん持ってきたから食べや」

蘭「あ、ありがとうございます//////」

弾「お前は昔っからたらしだな」

一夏「あん?まるで俺がモテるみたいな言い方すんなや、たらすんは汗水だけやで」ズズー

蘭「//////」

弾「そういうとこ変わらねえなぁ・・・」

一夏「さてキックボクサー、スパーリングしよか」

弾「上等!」

公園

一夏「グローブ着けへんのか?」

弾「俺はお前が拉致られたときに何もできなかったからな、その為にキックやってんだ。誘拐犯はグローブ着けるのを待っててくれるのか?」

一夏「ええ心がけや」スッ

弾「行くぜ」スッ

アップスタイルに構える弾、対する一夏は先の千冬戦と同じ構えをしている。

弾の構えは膝による攻撃であると教えているようなもの、しかし、そんなことは関係なかった。

弾「シュッ!!」ビュンッ!

一夏「!」ゴッ!

弾の飛び膝蹴りは、どの飛び膝蹴りよりも速かった!ガードは間に合うも、肘、ジャブ、ハイキックのコンビネーションが

一夏を襲い続ける!かつての親友は強敵になっていた。

弾「打って来いよ!」ビシッ!バチン!ガッゴッ!

驚異のスピード、重さ、コンビネーション、並みの格闘家ならKOされていてもおかしくない

しかし織斑一夏は『並』ではなく

一夏「キックにしては速いやん」

織斑一夏、ファイトスタイル:ジークンドー

格闘技中最速の打撃を誇る流派の男

捌き、最短で打つ技術は他の追随を許さない

一夏「シッ!」スパァァァン!

勝負は一夏の一撃で幕を閉じる

一段落

弾「やっぱつえーな一夏」

一夏「まだまだや、千冬姉の領域には程遠い」

弾「だよなあ」

一夏「お前のキックスタイル、勉強させてもうたで、おおきに」

弾「お前のジークンドーは速すぎてよく分かんなかったよ」

一夏「無駄の無いように打つのがJKDの理念やからな、他の格闘技のええとこも盗んどるから効いたやろ?」

弾「俺も肘とか使ってんだけどなぁ」

一夏「肘の本場はムエタイやんけ、そういうとこから盗まなあかんわ」

弾「厳しいなおい」

一夏「勝つためならやれることは全部やらなな、負けたら死ぬほど悔しいし」

弾「俺も絶賛悔しんでるぞ」

一夏「悔しさはバネや、せやから俺は勝った分だけバネで伸び上がった人間以上に気合い入れて打ち込まな次はやられるからな、まだまだ死ぬほど精進するで」

弾「俺ももっと鍛えて、次はお前をKOしてやるぜ」

一夏「上等や」ガシッ

弾「首洗ってろよ」ガシッ

IS学園寮

一夏「ただいまー」

箒「お帰り一夏、どうだ?久しぶりに弾と遊んできて」

一夏「ええ息抜きになったわ、せや、551の肉まんいるか?ネットで注文しすぎてもうて」

箒「ああ、ぜひ頂こう」

模擬戦まで後1日

一夏「今日は練習でけへんのですか?山田先生」

山田「いえ、あと少しでアリーナの清掃と点検がありまして・・・おそらく今から20分程度しか出来ないんです」

箒「そういうことならしかたないな」

一夏「最大限20分をやるしかないのう」

山田「応援してますよ、織斑君」

一夏「ベストを尽くしますわ」

箒「行くぞ!一夏!」

一夏「応!」

20分後

一夏「やっぱ不完全燃焼やな~」

箒「こればかりは仕方ない、後は体の方を鍛えておくしかないな」

一夏「しゃあないわな」

道場

箒「いい太刀筋だ!しかも足運びにも無駄がない!これならオルコットにも必ず勝てるぞ!」

一夏「勝てるんは当たり前や、あくまでも『相手が無傷のまま勝つ』のが課題やねんからまだ足りへん。もっとやれることがあるはずなんや」

箒「私もその領域に必ず追いついてやるからな」

一夏「俺とお前なら絶対行ける、そう信じとる」

箒「ああ!」

模擬戦当日

セシリア「逃げずにここまで来たことは褒めて差し上げますわ、しかし、『ブルーティアーズ』の奏でるワルツで無様に躍らせて差し上げますわ!」

一夏「Shall We Dance?」

セシリア「貴方一人で踊ってくださいまし!」

IS展開

セシリア「さすがは男性で唯一ISを扱えるだけあって専用機を用意していただいたようですわね?」

一夏「白式いうんや、覚えたってな」

セシリア(装備は見たところあのブレードのみですわね・・・ならばブルーティアーズの敵ではありませんわ!)ズドン!

一夏「おっと」サッ

セシリア「まだまだいきますわよ」ズドンズドンズドンズドン!

一夏「そう逃げんといてえな」ヒョイヒョイスッ

セシリア(もう距離を詰められた!?)「しかし甘くてよ!」

セシリアは装備のブルー・ティアーズを発動レーザーとミサイルの波状攻撃に一夏は距離をとる

一夏「あれやな、ファンネルやな!」

セシリア「何をおっしゃってるのか分かりませんがこれで近づけませんわね!」

一夏(遠距離型か、相性悪いのう・・・六つのファンネルの内ミサイルファンネルが二基、レーザーファンネル4基か、さすがは代表候補生様、銭掛かっとるのう)

セシリア「まだまだ踊っていただきますわよ!」

織斑一夏の大阪での武勇伝は枚挙に暇がない、曰く、50人の不良を半殺しにした、曰く、銃を持った暴力団員相手に無傷で
勝った、曰く性質の悪い格闘技団体へ道場破りに出掛け、30分後には看板を叩き折っていた等である。

これらは大阪では悪童で通っていた一夏の実しやかに囁かれている伝説であり、事実を知るものは殆どいないが『事実』で
ある。

彼の欲する強さとは、初めはモンドグロッソ二連覇を逃した姉への贖罪であり、他意は無かった。

しかし、己を守るための地獄の鍛錬の成果は己のみを守ることに非ず、己を育み、時には蝕み、それでも尚愛おしいと
思える者を守るために使うべきであると彼は思い至った、かつての師はその志を笑うことなく、応援した。

以来彼は社会的に悪とされる者に対して矛を向けることになる、それが理解されず、西の地では悪童と囁かれることになってしまったのは、彼の心に修羅が潜んでいたことを弱者たる一般人は本能的に気付いていたからである。

一夏「ははっ・・・」ニタァ・・・

セシリア「!?」ビクッ

一夏(このファンネルを叩き潰せば、またイギリス娘に近づけるな、目は慣れてきたわ、あとは着実に一基ずつ潰したる!)

セシリアと一夏の距離、目測約80m、ミサイルとレーザーの雨を優雅に掻い潜り六基のブルーティアーズの内レーザー二基、ミサイル一基を破壊、ライフルで反撃されたため、距離をとる一夏。

しかし、取り直した距離は約40m、先程の半分の距離である。

セシリア(怖い!恐い!強い!)

撃てども撃てども当たらず、距離を詰められ、あまつさえ切り札も通用しない相手にセシリアは恐怖していた、

教室では飄々とした態度の極東の島国の賤の者に圧され続けている屈辱を忘れ、ただ恐怖していた。

セシリア(どうして当たりませんの!?どうして!?)

一夏の潜ってきた修羅場が、経験が、生身で命懸けで争ってきた常識がセシリアに牙を剥く

セシリア「~~~~~~~~~!!」

その時、一夏の白式が形態移行、一次移行した

今の今までの白式は本性を現さず、奇しくも一夏の修羅が見える瞬間と重なり

高潔な修羅の王をセシリアは目の当たりにした

山田「天使・・・」

箒「・・・」

遠目からみるそれはあまりにも美しく、優しくそれでいて父性を感じさせるような光を帯び

セシリア・オルコットの装備を全て破壊しつくした。

セシリア「・・・・・・」

一夏「ケガ、せんかったか?」

セシリア「私の完敗ですわ・・・一夏さん」

一夏「セシリアも強かったで、六回下手しとったらこっちが負けとったしな」ニコッ

織斑一夏 完全勝利

千冬(一夏め、そう遠くないうちに化けるかもしれんな)

山田「見ましたか織斑先生!天使ですよ!天使がいましたよ!」

箒「本当に相手を無傷のまま勝った・・・」

一夏「箒」

箒「お、おめでとう一夏」

一夏「お前がおらんかったらこうはならかったおおきに」ペコッ

箒「気にするな、私とお前の仲じゃないか」

本音「ねえねえおりむー」ツンツン

一夏「おん?どないしてんのほほんさん」

本音「二人って付き合ってるのー?」

箒「な!?」/////////

一夏「いや?幼馴染やねん、小学校の頃の」

本音「そーなんだー」

セシリア「・・・」

箒「・・・」ゴン!

一夏「痛っ!何すんねん!」

箒「一夏のバーカ」

セシリア「ほほぉ・・・これはわたくしにもチャンスがありますわね・・・」ニヤリ

一夏「どないしたセシリア?」

セシリア「いいえ何も」ニコニコ

本音「おりむー結構鈍いんだねー」

一夏「え?どういうことなん?」

本音「まだ教えなーい」

一夏「????」

箒「ふん!」

セシリア「そうですわ一夏さん、実は美味しい紅茶がありまして・・・」

一夏「ホンマか!美味いもんに目がないねん!」

セシリア「わたくしの部屋にお越し下さればご馳走出来ますわよ」

一夏「よっしゃ!ほんならお邪魔しますわ!」

箒「あ、おい一夏!」

本音「おりむーモテモテだねー」

一夏「茶請けならええ菓子折り置いとるから持っていくわ」

セシリア「あら、それはうれしいですわ、ぜひ一緒に食べましょう」

箒「一夏~~~~~!」

模擬戦から数日後

箒「なるほどな、つまりイメージに体を追いつかせるわけか」

一夏「せや、例えば俺ならブルース・リーの速さをイメージしながら打ち込むわけや、速すぎて映画やと半分の速度に編集されとるらしいで」

セシリア「一夏さんでも敵いませんの?」

一夏「もう亡くなっとるから分からんけど、速さに関しては全然追いついてないな」

箒「すごいな・・・」

一夏「そういえば、中国拳法やっとる奴が昔おってな・・・」

ガラガラ!

鈴「一夏、やっぱり一夏じゃないの!」

一夏「鈴!ちょうどお前の噂しとってん!」

鈴「そこまであたしのこと思ってたなんて・・・」//////

一夏「ほら、こいつがさっき話しとった中国拳法やっとる鳳鈴音や」

箒「ど、どういう関係なんだ?」

セシリア「私も気になりますわ!!」

一夏「んー、弾は知っとるけど、箒が転校した直後に来た、まあセカンド幼馴染やな、中国に帰っとったはずなんやけど」

鈴「あんたがファースト幼馴染っていう箒?」

箒「いかにも、私が『ファースト』幼馴染の篠ノ之箒だ」

鈴「よろしくね」バチバチ

箒「こちらこそ」バチバチ

セシリア「私セシリア・オルコットと申します、以後お見知りおきを」バチバチ

一夏「おお、やっぱ女子同士仲良くなるの早いなー」ウンウン

本音「火花散ってるんですけどー」

千冬「何をしているんだお前たちは」ゴン!

鈴「ったあ!?ちょっといきなりなにすんのよ!?」クルッ

千冬「お前は教室が違うだろう鳳、さっさと戻れ」ギロッ

鈴「ひい!?千冬さん・・・」

千冬「織斑先生と呼べ馬鹿者」

鈴「はい!すみませんでした織斑先生!すぐ戻りますぅ!!」ダダダダ!

千冬「まったく、授業を始めるぞ」

一夏「鈴の奴、まだ千冬姉のこと苦手なんやな~」

箒・セシリア「・・・」

今日はここまで寝る

昼休み 屋上

鈴「ま~たあんたは女の子侍らして・・・」ブツブツ

一夏「人聞き悪いこと言うなや、二人とも真面目に実力上げようしとる努力家やねんぞ」

箒「む、無論だ!私も剣道をやっているからな!」

セシリア「私はこの間一夏さんに完敗したので忠誠を誓っておりますわ」ニコニコ

一夏「え、そんな約束ちゃうやん、クラス代表の取り合いなだけやん」

セシリア「いいえ、そうはいきませんわ、本来決闘というのは負けた方が全てを失うもの。このセシリア・オルコットの全てを懸けてこそあの決闘の価値がありますわ!」ドン!

鈴「け、結構真面目じゃない・・・」

箒「いい心がけだな」ウンウン

セシリア「貴族として当然の心構えですわ!」

一夏「狙撃手させとくには惜しいな」

鈴「そういえばあんた覚えてる?あんたが大阪に行く前の約束」//////

一夏「あーーー、確か毎日鈴の酢豚を食え・・・やったっけ?覚えとるよ、お前の酢豚うまいし、懐かしいのう」

箒「一夏、そそそそそそそれって・・・」ワナワナ

セシリア「日本のドラマで見ましたわ・・・そういう約束はプロp

一夏「酢豚って、栄養バランスとか考えたらかなりええもんな。一日一食は食った方がええかも知らんな」

鈴「・・・」ピシッ

箒・セシリア「ほっ・・・」(鈍感で良かった・・・)

一夏「で、その約束がどないしてん?」

鈴「一夏、あたしって、中国の代表候補生なのよ」

一夏「知っとるで、一組のクラス代表なんやろ?」

鈴「せっかくだから、クラス代表同士で勝負しない?」

一夏「そらええなあ!やろうや!」

鈴「だけど、ただ勝負するのってつまらないからもう一つ条件をつけない?」

一夏「条件次第やな」

鈴「さっき、セシリアが言ってたように、自分の全部を賭けて勝負するってのはどう?」ゴゴゴゴゴゴ

一夏「・・・お前、言葉の重さ分かっとるんか?」

鈴「勝負は本気を出してこそでしょ?」ゴゴゴゴ

一夏「ええやろう、つまり、勝った方が負けた方の言いなりになるっちゅうこっちゃな?」

鈴「もちろん」ゴゴゴゴ

箒「え、それって」

セシリア「一夏さんが負ければ」

箒(・・・・マズい!)

セシリア「い、一夏さん、鈴さんも、そこまでしなくても・・・」

一夏「やめるんなら今の内やで鈴」

鈴「あんたこそ」

一夏「お互い引く気ないからセシリア、無理やわ」

鈴「三日後、あんたをもらってやるから覚悟しときなさい!」

一夏「お前も、吐いた唾飲まんとけや」(もらうってなんやねんな?)

勝負まで後三日

一夏の鍛錬場所(ただの広場)

一夏「うっしゃ、やるか」

箒「真剣は用意したが、何に使うつもりだ?」

一夏「それで俺に斬りかかってきてくれや」

箒「正気か一夏!?」

一夏「鳳鈴音、中国拳法家、無手も武器も多彩なやつやねん、大阪でジークンドー覚えるまであいつにようけシバかれとってな」ゴキゴキ

箒「あいつのISは中距離タイプだと聞いているが・・・」

一夏「装備にそういうのがあるのと、今までそれだけでやれて来ただけやろ、セシリアかてファンネル隠しとったんやから」

箒「だが、さすがに人を斬るのは・・・」

一夏「アホ、当たらんかったらただの扇風機や」

箒「後悔するなよ一夏、腕なんて簡単に斬り落とせるんだからな」シャキン!

一夏「ブッ殺すつもりで来てくれや」スッ・・・

箒「行くぞ!」ピッ!

一夏「しっ!」ガキン!

箒の真剣の面打ちを左フックで逸らす一夏

箒「これは躱せるか!?」

次いで胴抜きが一夏を襲う

ゴッ!

一夏「さすがにやばかったわ」ギリギリ

肘と膝で刀身をとらえ、すかさず箒の後ろ回し蹴りが一夏を突き飛ばす、正に真剣勝負

お互い一撃を喰らうこと即ち死であるということが常、二人の技術以上のものを引き出すには充分な緊張感である

篠ノ之箒もまた、更なる高みへと昇っていく

斬る、躱す、突く、捌く、打つ、蹴る、

攻防の数が優に200を超えた頃

一夏「ハイストップ」はあ・・・はあ・・・

箒「・・・・・・・」はあ・・・はあ・・・

このままでは鍛錬ではなく死合になると判断した一夏は、あっさりと熱を冷ました。

一夏「やっぱお前が無傷のまま勝つんはしんどいな」ぜえぜえ

箒「なめすぎだぞ一夏」ぜえぜえ

一夏「このままやとどっちか死んどったな」ふうーーー

箒「すまない、歯止めが利かなかった」

命のやり取りの際、最も必要なものは何か?

『迷わない』ことである

ある一定の実力者同士が立ち会った際の死合の凄惨さたるや、筆舌に尽くしがたい。

篠ノ之箒:ファイトスタイル剣道

10代に於いては最強の剣士、彼女もまた織斑一夏と並ぶかそれ以上の修羅。

一夏との再会でなりを潜めてはいるが

優秀すぎる姉を持ち、優秀すぎる姉のせいで人生を変えられ、鬱屈しているうちに彼女も心に修羅を目覚めさせてしまっていた。

一夏「鈴に関しては、何でもやりよるいうんが怖いな」

箒「近接も飛び道具も備えているからな、それらを扱う技術も相当なものだろう」

一夏「しかもあいつ俺シバくとき手加減せえへんねん、基本ええ奴やねんけどなんやクラスの委員長と話しとるだけでシバかれたり、キレどころの分からん奴やったな」

箒「朴念仁」

一夏「いきなりえらい言われようやな!?」

セシリア「一夏さーん!ついでに箒さーん!飲み物お持ちしましたわ!」つアクエリアス

一夏「おおきにセシリア」

箒「私もついでにありがとう」バチバチ

セシリア「いえいえお気になさらず」バチバチ

一夏「♪」ゴクゴク

短いけどここらで寝る

乙やが、鈴は二組なんやで

>>36 ミスった、すんまへん

勝負まで二日

一夏「部屋の都合ついたんやな」

箒「ああ、だがお前の練習には付き合うからな」

一夏「それはありがたいわ、これからもよろしゅうな」

箒「ああ、荷物をまとめるから今日は付き合えないが明日はISで訓練しよう」

一夏「そのほうがええな」

箒「では、また明日」

一夏「おう、よろしゅう」

アリーナ

一夏(箒がおらんとISの訓練もやれること限られるのう)ブンブン!

一夏「山田センセはISをパートナーとして扱えと言うてはったけど、それだけやと足りへん気がするな・・・」ブツブツ

セシリア「一夏さーん!」

一夏「セシリア、どないしてん」

セシリア「今日は箒さんがおりませんので抜け駆け・・・ではなく、私が訓練をお手伝いしようかと思いまして」

一夏「ホンマか、助かるわ!おおきに!」

セシリア「いえいえ、お気になさらず」//////

一夏「ほんなら教えてもらいたいねんけど、セシリアの場合ISをどういうつもりで扱っとるん?」

セシリア「私は、そうですわね・・・ブルー・ティアーズとはレディのつもりで接しておりますわ」

一夏「レディ・・・」

セシリア「そうですわ、わたくしの専用機ということもありますし、何より愛着というものがありますもの」

一夏「なるほどのう」

セシリア「一夏さんはどのようにお考えですの?」

一夏「それが、結論が出てへんねん」

セシリア「そうですの・・・」

一夏「ふと山田センセの言うてたことを思い出してのう、どういう向き合い方をしたらええのんかさっき考えだしてん」

セシリア「こればかりは人それぞれですものね」

一夏「おおきに、参考になったわ、いきなりで悪いねんけど30~40mくらいから撃ちまくってくれへんか」

セシリア「鈴さん対策ですわね」

一夏「そういうこっちゃ」

セシリア「手加減はしませんわ、撃って撃って撃ちまくりますわよ!」

一夏「来いや!」

訓練後

一夏「やっぱあの距離から躱すんは大変やな」

セシリア「ブルー・ティアーズの全弾をあそこまで躱せる方はそうはおりませんわ、胸をお張りになってくださいまし」

一夏「雪片二片ではじいたりしたけどな」

セシリア「私は入学試験で唯一試験官を倒しましたのよ、もっと得意気になっていただかないと私の立つ瀬がございませんわ」

一夏「俺も勝ったで、山田センセの自滅やったけど」

セシリア「え、試験官なのに自滅しましたの?」

一夏「全速力で壁に突っ込んでったわ」

セシリア「まあ、山田先生ですし・・・」

一夏「一つ、俺の大阪であった話しといたるわ」

セシリア「なんですの?」

一夏「昔、師匠の道場で一番弟子やってんけどな」

セシリア「一夏さんならそのくらい当然でしょうね」

一夏「たまにやけど、交流試合をしによその格闘家が来たりすんねん」

セシリア「ふんふん」

一夏「その時は師匠が留守で俺が一番弟子やからでそういう奴の相手すんねん」

セシリア「・・・」

一夏「背の丈が160後半あるか無いか位のちっちゃいオッサンがその日来よってな、舐めて掛かって試合したんやわ」

セシリア「まさか」

一夏「そのオッサン、師匠の大親友やって、空手の免許皆伝、つまり九段か十段の人でのう、舐めて掛かったことも手伝ってボコボコにされたんやわ」

セシリア「そんなことが・・・」

一夏「もちろん免許皆伝の空手の化身みたいなオッサン相手に舐めようが肚括ろうが勝ち目なかったんやけど、その時俺は相手を舐めて掛かったことを死ぬほど後悔したんや」

セシリア「上には上がおりますわね・・・」

一夏「せやからセシリア、山田センセがしょうもない自滅したからってそれがセンセの実力の底や思ったら痛い目見るで」

セシリア「すみません、わたくしの失言でしたわ」

一夏「まあ、そういうことを俺に教えるために師匠が手配しとってんけど」

セシリア「弟子思いの師匠さんですわね」

一夏「あの人には頭が上がらんわ、機会があればセシリアと箒、後は鈴にも紹介したりたいのう轡木十蔵って先生やねんけど」

セシリア「轡木・・・どこかで聞いたような・・・?」

一夏「珍しい名前やし、大阪でも三本の指に入る達人やからな、海外でも名前売れとるかものう」

セシリア「轡木・・・うーん・・・」ムムムム

一夏「今日はおおきにセシリア、箒呼んで飯行こうや」

セシリア「そうですわね、行きましょう一夏さん」

用務員(轡木十蔵)「織斑君、随分と成長しましたね、さすがは私の一番弟子・・・」ウルウル

食堂

一夏「たこ焼き定食うまいのう」モグモグ

箒「炭水化物と炭水化物だよな?」ズルズル

セシリア「よく食べますわね一夏さん」カチャカチャ

一夏「死ぬほど体動かして死ぬほど食うのがええんや」モグモグ

箒「私も食べる方だがお前ほど入らないぞ」

セシリア「一夏さんを見ていると私まで食欲が湧いてくるのが不思議ですわ」

一夏「食わな体持たんのやから二人とも食うた方がええで」ガツガツ

本音「おりむーおりむー」

一夏「なんやのほほんさん」

本音「そんなに食べて、どうして太らないのー?」

一夏「そら簡単や、箒とか俺みたいに死にもの狂いで運動すんねん、精神論のつもりはないけど、目標を持って鍛錬する奴と目標のない鍛錬する奴は同じメニューの鍛錬でも結果がちゃうからな」

本音「なるほどー」

一夏「女子やから痩せたいとかの気持ちも分かるけど、健康的に痩せとる奴が俺は好きや」

本音「なるほどー、いい勉強になったよー、ありがとおりむー」

鈴「そこ、空いてる?」

一夏「おお鈴、空いとるで」

鈴「ありがと」ストン

箒「何しに来た鈴」

セシリア「そうですわ、もうすぐ勝負ですのにどういうつもりですの?」

一夏「今すぐ始めるんちゃうからええやんけ、のう?鈴」

鈴「そういうこと、あたしは単に幼馴染とごはん食べたいだけだし」モグモグ

一夏「弾の家行ったんか?」

鈴「まだ、今度の休みにいくつもり」モグモグ

一夏「あいつ、キックやっとったで」

鈴「あいつが?似合うといえば似合うけど」クスクス

箒「そういえば言っていたな」

セシリア「私も何か始めましょうかしら・・・」

一夏「截拳道」キラキラ

箒「剣道」キラキラ

鈴「中国拳法」キラキラ

セシリア「す、少し考えさせて下さいまし・・・」タジ

一夏「しゃあない、待っとるで」

箒「いつでも剣道場に来い」

鈴「あんたカンが良さそうだからすぐに一人前になるわよ!」

セシリア(武道家というのは意外と根は似るものなのでしょうか・・・?)

鈴「ちょっと今日は疲れたからもう戻るわね」

箒「またな、鈴」

一夏「おやすみ」

セシリア「おやすみなさい」

鈴「じゃあねー」

一夏「あいつ、仕上げとるのう」

箒「だな」

セシリア「どういうことですの?」

一夏「鈴、飯に来るんが遅かったやん?」

セシリア「なるほど・・・一夏さんに勝つためにあちらも努力なさっておりますのね」

箒「一夏、負けるなよ」

セシリア「私もお手伝いいたしますわ!」

一夏「二人ともおおきに」



勝負まであと一日 アリーナ



一夏「二人とも、準備はええか?」

箒「OKだ」

セシリア「同じくですわ」

一夏「箒は近接で、セシリアは中距離から俺に攻撃してきてくれや」

セシリア「お任せ下さい」

箒「覚悟しろ一夏、訓練のつもりはないからな」

一夏「俺もそのつもりや」

訓練後

一夏「はあ・・・はあ・・・」

セシリア「はあ・・・はあ・・・」

箒「はあ・・・はあ・・・」

一夏「途中から三人のバトルロイヤルなっとったやんけ!」

箒「せ、専用機持ち食い下がってやったぞ!どうだ!」

セシリア「まさか箒さんにまで決定打を与えられませんとは・・・」

一夏「まあ、これもええ訓練かものう」

セシリア「私も何かを掴めた気がいたしますわ」

箒「私も同じだ」

一夏「俺も喉までは出かかっとるのに、出てけえへんのがもやっとするわ」

箒「とはいえもう時間だ、そろそろ引き上げるぞ」

セシリア「ですわね」

一夏「う~~~~ん・・・」グヌヌヌヌ

勝負当日

鈴「それじゃ、始めよっか」

一夏「おう」

IS展開

一夏「専用機って派手な機体ばっかやな」

鈴「あんたのも派手じゃない、真っ白で」

一夏「白式っていうねん」

鈴「あたしのは甲龍(シェンロン)っていうのよ」

一夏「ドラゴンボール・・・」

鈴「言うと思ってたわよ!」

鈴は双天牙月で一夏に斬りかかる

箒との鍛錬で斬撃に対しては強い、雪片二片で捌ききる

鈴「やっぱこれだけじゃ無理ね!」

そういうと双天牙月が二つに分かれた

一夏「二刀流かい」

名前の通り双天牙月は手数を双つにする

一夏はかつて見た香港映画のアクションシーンを身をもって味わうことになる

二つの刃が猛威をふるう、かと思えばまた一振りの青龍刀として一夏に襲い掛かる

変幻自在、臨機応変、中国『剣』法に苦戦を強いられる

一夏「たまらんのう」

一夏は笑っていた、自分よりも食事をする時間が遅かった、食事の後すぐに休むほど疲弊するまでの鈴の努力の結晶をぶつけられることが嬉しかった。

鈴「ヘラヘラしてんじゃないわよ!」

「俺の努力は間違っていなかった」そう一夏は確信していた、五反田弾、篠ノ之箒、セシリア・オルコット、そして鳳鈴音。

この四人ともが血の滲むような鍛錬の果てに一夏を追いつめている。そんな彼らが誇らしかった。今すぐ叫びたかった
「俺の親友は素晴らしい」と

しかし今は真剣勝負の真っ只中で己の全てを賭けている、誇らしいなら、愛おしいなら相手を打ち倒すのが最大の愛情表現であると一夏はより一層死合に没頭した。

側から見れば、一夏の真剣勝負の最中の笑顔は不誠実に捉えられるだろう。事実、鈴は不快感を露わに一夏を更に激しく攻め立てている。

しかし、一夏の努力を知るものは理解している、一夏は嬉しいのだ、努力の結晶をぶつけ合えることがたまらなく好きなのだ。

初めは不快感を隠さなかった鈴もその事実に気付くと、笑みがこぼれた。まるで芍薬のような笑顔で一夏と向き合う。


互いの存在を慈しむような死合は次の局面を迎える

鈴「あんたにはあたしの本気を見せてあげる」

そういうと50mほど一夏から距離をとり、龍咆を放った。

箒「そんなところから届くのか!?」

セシリア「それよりも、攻撃が見えませんわ!」

龍咆、衝撃のみで相手を破壊する兵器、実弾どころかエネルギーの発生源である砲身すら視認できない兵器、これだけでも驚異である

一夏「弾が見えへんだけで、狙い先は俺やろが」

弾が見えないとういう恐怖感は嫌というほど味わっている、砲身が見えないだけで狙いは自分であることを冷静に踏まえあっという間に距離を詰める一夏。

鈴「だからあんたには貫通咆しか撃ってないわよ」

鈴の装備を破壊するべく、一夏は振りかぶった矢先、鈴の芍薬のような笑顔から悪意ある泥のような笑顔に変わったことに気付く、拡散衝撃咆を一夏は寸でのところで躱した。

しかし、躱したところで今度は双天牙月が襲ってくる。距離をとることに意味はないと一夏は青龍刀の猛攻と拡散・貫通衝撃咆を雪片二型の間合いで避ける。

しかし攻められない

背後をとったところで咆撃の餌食、しかし正面からは牙月、確実に一夏は苦境に立たされていた。

鈴「あんたは強いけど装備がそれだけで勝てるほど甘くないわよ」

一夏(確かに、雪片二型だけやけどのう・・・絶対に勝つ方法があるはずやねん。何か・・・)

そう考えるも、無情にも衝撃咆が一夏を吹き飛ばした

箒「一夏!」

セシリア「一夏さん!」

地面に叩き付けられ、その衝撃で意識が朦朧とする中、一夏は思い出していた。

轡木「いいですか織斑君、武器とは、体の一部なのです、それを忘れないでください」

一夏「いやいや、何言うてますのん?体が武器なんが截拳道なんちゃいますん?」

轡木「そうですよ、ですがそれだけでは満点ではありません」

一夏「ん~~~?」

轡木「ははは、すぐにわかるものでもありません、それに気付くことができれば君は更に強くなれますよ」

一夏「やれるとこまでやってみますわ」

とどめを刺すべく、鈴は貫通衝撃咆で一夏を捉える、その刹那。

一夏は双天牙月を甲龍の手からはじき飛ばしていた。

一夏「やっと分かったわ、武器は体の一部なんやな」

鈴「何いってんのあんた?吹っ飛んでおかしくなったんじゃない?」

一夏「おかしいかも知らんのう、今までこんな簡単なこと分からんかってんから」

鈴はためらわずに貫通咆を放つ、しかしまるで攻撃を見透かされたかのように当たらない。

一夏「今の俺はISに乗っとるけど生身や、お前の全身で何するか分かる」

はったりではない、明らかに動きが数十秒前より生きている。そう理解した時にはもう遅く。

腕部と肩部にあった見えない砲身も破壊されていた。

鈴「本気でやったんだけどね」

一夏「ホンマ死ぬか思たわ」

鈴「約束よ、これからあたしを好きなようにしなさい」

箒「いや、それどっちにしてもお前が得するだろう・・・」

セシリア「いけませんわ!一夏さんがけだものに・・・!」

一夏「ほんならまた弾と箒と俺とセシリアと鈴で遊ぼうや」

箒・鈴・セシリア「は?」

一夏「親友同士、思いっきり遊ぶねん、絶対楽しいで!」キラキラ

箒「お前は・・・」

セシリア「一夏さんらしいといえばそれまでですが・・・」

鈴「そうね、また男共二人痛めつけるのも悪くないわね!」バキボキ

一夏「シバくんは勘弁してつかぁさい!」

鈴「だめー」ニコニコ

箒「おい鈴、私も手伝うぞ」ニコニコ

セシリア「私も少し運動がしたくなりましたの、参加してもよろしいかしら?」ニコニコ

一夏「え、ちょ、俺しかおらんのに・・・しかもケガしとるのに」

ヤメテ!タスケテ!イヤヤアアアアアアアアアアア!

轡木(その若さでもう気付くとは、私を超えるのも時間問題ですかねえ・・・)

千冬「学園長」

轡木「いえいえ、あくまでもこの学園の長は妻ですよ、私はしがない用務員です」

千冬「そういうことにしておきましょう、それより、弟はどこまで登り詰められるのでしょうか?」

轡木「彼次第ですが、きっと誰も辿り着かなけなかった場所まで行くことも不可能ではないでしょう。きっと育ての親がよかったのでしょうな」

千冬「自慢の弟です」

轡木「私としても自慢の弟子です、織斑先生もかなりの親バカですなぁ」

千冬「/////////」


箒・鈴・セシリア「ふん!」

一夏「し、死ぬ・・・」ボロッ

数日後 休日

一夏「弾ー遊びに来たでー」ノシ

弾「おう一夏!鈴も箒も!しかも何か金髪美人まで!?」

箒「久しぶりだな弾」

鈴「弾、後でリンチね」

エ!?ナンデ!?

セシリア「私はセシリア・オルコットと申しますわ」

弾「さささ、皆さんお水ですがどうぞ!こんなむさくるしいところで申し訳ありませんが・・・」

一夏「焼肉定食大盛りで!」

箒「私は天ざるを」

鈴「あたしは回鍋肉!」

蘭「一夏さん!と箒さん、鈴ちゃんまで!その金髪の人は・・・?」

セシリア「私(ry」

蘭「ぐぬぬ・・・またライバルが」

一夏「セシリアは何食べるん?」

セシリア「日本の食事なら・・・とんかつが食べたいですわ!」

一夏「セシリアにはかつ丼で」

厳「おう一の字、蘭泣かしやがったらブッ殺すからな!」

一夏「なんやようわからんけどはい」

セシリア「なるほど・・・蘭さんもなのですわね・・・」

箒「そうだ、しかも来年IS学園に入学するつもりらしい」

鈴「あの子昔からあたしを目の敵にしてたから、そろそろ決着つけたいのよね」

弾「なあ一夏、飯食ったら街に出掛けね?」

箒・鈴・セシリア・蘭「!」ピーン!

一夏「たまには出掛けたかってん、付き合いまっせ兄貴!」

鈴「ちょっと弾?相談あるんだけど」ニコニコ

箒「同じく」ニコニコ

セシリア「わたくしもですわ」ニコニコ

蘭「あたしもお兄に頼みがあって」ニコニコ

弾「・・・ですよねー」

一夏「はははは!弾モテモテやな!」ゲラゲラ

弾(ああ・・・殴りたい、この笑顔!)

昼食後 街

一夏「あれ?他の奴は?」

箒「みんな見たいものあるそうだ」

一夏「ほーん」

箒「まあ、あいつらもその内合流するだろう、それよりもうまいパフェの店を知っているんだ、デザートに食べないか?」

一夏「甘いもんも好きやで!」

喫茶店

箒「ここのパフェは絶品なんだ、さっそく頼もう」

一夏「何がええかな~」

店内 離れた席

セシリア「キィーーー!一番を逃すなんてわたくしとしたことが!」←二番

鈴「大事なのは順番じゃないわ、あいつのハートを射止めることよ!」←三番

弾「二人とも本当にあいつのこと好きなんだな」←四番

蘭「お兄まで一夏さんと遊びたがるのがキモイ、しかもあたしより先に遊ぶのが更にキモイ」←五番

弾「あいつは親友だから遊ばねえと損だろ!?」

箒「そうだ、私と一夏で違うものを頼んで分け合うのはどうだ?」

一夏「ええやん素敵やん!」

箒「そうと決まれば、私はチョコパフェを頼もう」

一夏「俺はイチゴパフェや」

店員「イチゴパフェとチョコパフェです」

一夏「おー美味そうやな」

箒「美味いんだこれが」

一夏・箒「いただきます」

一夏「うまいわ~」

箒「だろ?チョコパフェも食べてみろ」つ一口

一夏「おおきに」パクッ

キイーーーーーーーーーーーーーーー!!

一夏「ん?誰かえらいキレとるのう」モグモグ

箒「ど、どうだ一夏?」

一夏「チョコもたまらんわ」

箒「私もイチゴパフェ食べたいんだが・・・」//////

一夏「お、すまんすまん」つ一口

箒「//////」パクッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!

一夏「うまいやろ?」

箒「・・・・幸せだ」//////

一夏「大げさやのう」

ありがとうございましたー

箒「すまないな、出してもらって」

一夏「いつものお礼や気にすんな、次はどこ行くん?」

セシリア「一夏さーん!」

一夏「セシリア、見たいもんあったんちゃうん?」

セシリア「もう済みましたわ」

箒「おっと、私もみるものがあったのを思い出した、またあとで合流しよう」

一夏「わかったわ、後でな箒」

セシリア「では行きましょうか一夏さん」

ブティック

セシリア「ここですわ」

一夏「おー、ハイソやね」

セシリア「一夏さんはどのような服装の女性がこのみなんですの?」

一夏「んーまあ普通に似合っとるならなんでもええよ」

セシリア「そうではなくて、私に着せるならどのような服がよろしいんですの?」

一夏「セシリアならこういう清楚なワンピースとか似合いそうやな」

セシリア「買って来ますわ!ここで装備していきますわ!そのままピリオドの彼方まで行きましょう!」

一夏「ちょっと落ち着こか」

セシリア「いけませんわわたくしとしたことが」コホン

箒(おい、セシリアの奴私たちを出し抜く気だぞ)

鈴(そう簡単にいかないけどね)

蘭(やっぱり外国人は積極的だなあ)

弾(お、このシャツ渋い)



一夏「金出すのに」

セシリア「いいんですわ、私も気に入りましたもの」

一夏「普段の礼がでけへんやんけ、箒はパフェおごらしてくれたで」

セシリア「また改めて考えますわ」

一夏「まあええけど」

鈴「一夏~!」

一夏「おお鈴」

鈴「ごめんね、ちょっと熱中しちゃって」

一夏「あるある、周りみえんようになるねんな」

セシリア「ごめんなさい一夏さん、少し野暮用がありまして、後で合流しましょう」

一夏「おーわかったわ」

鈴「ゲーセン付き合いなさいよ」

一夏「久しぶりに行こか!負けへんで」

鈴「うん!」

眠い

寝る

おやすみ

無人機こないのは大会じゃないから?

>>55 ひ・み・つ

ゲーセン

一夏「なにやるん?」

鈴「エアホッケー!」

一夏・鈴「負けた方がジュースな(ね)」

勝負

一夏「よっしゃ勝ったで!コーラな!赤いのん!」

鈴「一点差のくせに偉そうに!」プンプン

一夏「勝てば官軍ですー」

鈴「腹立つ・・・まあいいわ、勝ってくるわよ」

一夏「おう」

鈴「全く、日本人のくせに接待プレイとか全っ然しないんだから・・・」ブツブツ

一夏「・・・やっぱ尾けられとるのう」

弾「おい、やべえよ、一夏の奴に気付かれたぞ!」

蘭「大阪で何があったらそんなに鋭く・・・」

箒「しかし、人の気持ちの機微にはその分疎い」

セシリア「暖簾に腕押しとはこのことのようですわね」

弾「何か、よその国の人間がことわざを的確に使うと感心するよな」

セシリア「当然ですわ、私はエリートですもの」

箒「それより一夏からもっと離れるぞ!」

蘭「あ、こっち来る」

弾「撤収!」

ダダダダダダダダダ!

一夏「おろ?カン鈍ったんかな、おらんやん。戻ろ」

鈴「おまたせー、いやー遅くなってごめんね?ペプシの自販機しかなくて」つコカコーラ

一夏「ペプシさん対抗心すごいからな」ゴクゴク

鈴「たまに飲むとおいしいけどね」ゴクゴク

一夏「ふう、次はなにすんねん?」

鈴「ん、プリクラ」

一夏「そんなんしておもろいんか?」

鈴「思い出づくりみたいなもんでしょ」

一夏「ふーん、ほんなら撮ってみよか」

鈴「えへへー」

撮影後

一夏「これを世の若人は携帯に張りーの、鞄に張りーのするわけやな」フンフン

鈴「あんたもその若人だから」

一夏「いやー、ムキムキのオッサンに囲まれとったら自分も三十路いっとる気がしてのう」

鈴「・・・むさくるしそう」

一夏「むさくるしいで、間違いなく」

鈴「ですよねー」

一夏・鈴「ははははははは!」

弾「俺たち」

一夏・鈴「ひょうきん族!」

一夏・鈴・弾「うははははははははははは!」

鈴「はははは!ちょ、ちょっと落ち着きたいから後で合流するわね」

弾「おう、知らないおじさんについていんじゃないぞー」

鈴「あたしは子供か!」

一夏「あとでのう」ノシ

鈴「あとでね」ヒラヒラ

弾「っつーことで一夏よ、昔を思い出してむさくるしく遊ぼうぜ!」

一夏「さすがにこんなとこでスパーせえへんぞ?」

弾「お前はホント格闘技バカだな!息抜きに遊ぶんだよ、童心に帰るんだよ」

一夏「・・・お前、食ったもんあたってそんなまともなことを・・・」ウルッ

弾「あたってねえよ!素面でまともなこと言ったんだよ!」

一夏「冗談や、ほんならこっから近いし、無頼のおっさんとこ行かんか?」

弾「賛成だ」

無頼ラーメン

無頼「らっしゃい、一の字、五の字」

一夏「久しぶりやのう、無頼のおっちゃん。チャーシュー麺と餃子とチャーハンで」

弾「久しぶりっす、俺はとんこつラーメン、バリカタで、から揚げと白飯ください」

無頼「あいよ」

弾「なあ一夏」

一夏「おん?」

弾「俺の弟って嫌か?」

一夏「んー、分からん」

弾「蘭が女房だっつったら嫌か?」

一夏「蘭ちゃんがか」

弾「そうだ」

一夏「結婚とか、正直生まれて一回も考えたことないからのう。やっぱり分からんわ」

弾「親友として忠告しておく、もっとそこらを考えてみてくれ、その結果に思い浮かんだ相手が蘭じゃなくてもいい。強くなることと同じくらい大事なもんがあるはずだ、忘れないでくれ」

一夏「今一つピンとけえへんのう・・・」

そこから弾と一夏はまた元の親友同士に戻っていた

すまん、寝る短くてめんご

無頼「またこい」

一夏・弾「ご馳走様です」

弾「うまかったな、相変わらず」

一夏「大阪でもあんなうまい店少ないからのう」

弾「っと、ちょっと顔出すとこあるから後でな」

一夏「おう」

蘭「一夏さん」

一夏「おお蘭ちゃん」

蘭「せっかくだし、公園でお話しませんか?」

一夏「ええで」

公園

一夏「そういえば蘭ちゃんもIS学園志望らしいな」

蘭「ISランクAなんですよ」

一夏「ホンマか、代表候補生並みやん」

蘭「鈴ちゃんと箒さんから聞きましたよ、一夏さん、イギリス代表候補生のセシリアさんと中国の代表候補生の鈴ちゃんに勝ったんですよね」

一夏「俺の実力は裏技みたいなもんやからのう」

蘭「裏技ですか?」

一夏「大阪でちょっと荒れとるうちに、喧嘩の相手が銃とか刃物とか出してきとったし」

蘭「危ないですよ!」

一夏「俺のう、千冬姉を守れるようになりたいねん」

蘭「千冬さんに・・・」

一夏「昔誘拐されて暗くて狭いところで閉じ込められて、怖くて泣いて震えとった時に、颯爽と助けてくれた千冬姉が忘れられへんねん」

蘭「・・・」

一夏「俺の師匠でも千冬姉に勝てるか分からんくらいやから、雲の上を目指しとるわけやねんけど、俺は更にアホなこと心に決めてのう」

蘭「何をですか?」

一夏「千冬姉にケガさせへんように勝ちたいねん」

蘭「一夏さんならできます!絶対に!」

一夏「笑われるの覚悟で言うてんけど、まさかそんなに力いっぱい肯定されるとはのう」

蘭「一夏さんだからですよ、お兄なら鼻で笑ってお終いです」//////

一夏「そういう兄妹の愛情表現かのう」

蘭「な!」//////

一夏「あいつも俺も、なんやったら箒も鈴も、セシリアは多分会ったばっかやから分からんやろうけど、ちゃんと蘭ちゃんが優しい子やって分かっとるで」

蘭「///////////////////」

一夏「もう少し分かりやすいように弾に優しくしたればええねんけどのう」

蘭「それは嫌です、お兄すぐ調子のるんで」

一夏「うははは!」

箒「すまない一夏、遅くなった」

セシリア「すみません一夏さん、せっかく皆さんと会わせていただきましたのに」

鈴「ごめん一夏」

弾「今度うちの定食タダで食わせるから勘弁してくれ」

一夏「構へんで、なんや一人ずつ腹割れた気するし」

弾「腹を割ったところでまだ飯入るだろ?」

一夏「おう、まだ三分目や」

弾「五反田食堂でディナーなんてどうよ?」

一夏「俺は賛成や、みんなは?」

箒「私もちょうどおなかが空いていたところだ」

鈴「あんたんとこの中華メニューイケるのよね」

セシリア「次は天ぷらにチャレンジいたします」

蘭「それでは四名様ご案内~」

弾「いらっしゃいませ~!」

こうして彼らの休日は終わる

ちょっと、商談あるからあとで

休み明け 教室

山田「今日は転校生を紹介します、フランスからの転校生で、織村君と同じく男性でISを扱えるんですよ」

ザワザワ

一夏「探せばまだまだ見つかるやろ」

箒「一度でいいから見てみたい、一夏がびっくりするところ」

一夏「歌丸かい」

セシリア「うたまる?」

シャル「初めまして、フランスから来ましたシャルル・デュノアといいます、どうぞよろしく」

きゃあきゃあ

箒「優男だな」

セシリア「最近の男性といった風情ですわね」

一夏「女みたいな顔しとるのう」

山田「では、織斑君の隣が空いてますのでそこにかけてください」

一夏「よろしゅう、デュノア」

シャル「よろしく、織斑君」

箒「よかったな、この学園初の男友達じゃないか」

一夏「せやな」

セシリア「次は移動しないといけませんわね、一夏さんが案内して差し上げるとよいかもですわ」

一夏「そのつもりやで、今のとこ珍しい男のIS乗りやから、質問攻めの前に逃げるで」

シャル「う、うん。ありがとう」

更衣室

一夏「男は俺とシャルルだけやからどこ使てもええで」

シャル「うんありがとう」

一夏「着替えよか」ヌギヌギ

シャル「なっ!」//////

一夏「はよ着替えな間に合わんぞ」

シャル「う、うん、僕着替えるの遅いから先行っててよ!」

一夏「どこで授業やるんか分からんのちゃうんか?」

シャル「そ、そうだけど・・・」

一夏「まあええわ、着替えるん見られたないんか知らんけど外で待っとくわ」

シャル「あ、ありがとう」

更衣室前

シャル「着替えてきたよ」

一夏「うっしゃ、こっちや、時間やばいから走るで」

アリーナ

一夏「間に合うた」

シャル「結構離れてるんだね」

一夏「男はシャルルが来る前は俺だけいう状態やったしのう」

シャル「そういえばそうだよね」

一夏「自分、体力あるのう、モヤシや思たけど」

シャル「サバットしてたから、体力はあるんだ」

一夏「ホンマか、俺もJKDしとるで」

シャル「また手合せしてみよう」

一夏「上等や」

千冬「静かに今日は山田先生とISで勝負してもらう」

山田「私の使う機体は打鉄です、せっかくなんでここはシャルル君にやってもらいましょうか」

シャル「え?僕ですか?」

山田「ええ、ちょうどいい機会ですし」

一夏「さすがに先生と一対一はマズくないでっか?」

千冬「なら一夏、お前が付き合ってやれ」

一夏「ええですよ、山田センセのホンマの実力知れるチャンスやし」

山田「大した実力でもないんですけどね」

一夏「信用でけへんですわ」

シャルル「あ、僕実家から専用機もらってるんでそれ使っていいですか?」

千冬「構わん、確かラファール・リヴァイヴをカスタムしたものだったな、それでやってみろ」

一夏「男の意地の見せ所やのう」

一夏「俺の白式の装備、この雪片二型だけやから」

シャル「シンプルだね」

一夏「これが大和魂や」

シャル「じゃあ、僕は援護にまわるよ」

一夏「頼むで」

山田「ではスタート!」

一夏は不安を覚えていた、一度勝った相手とはいえその勝利は偶然である。ほぼ未知の、しかもISを教えられる程に理解が深く、姉である千冬が全く山田の心配をしていない。

不安になる材料としては十二分であった

そして雪片二型の間合いに入ったところで不安は確信に変わる

打鉄という、自分もかつて使い、その性能を把握していたにもかかわらず全く自分の攻撃が当たらない。

山田は真剣な表情で、一夏の攻撃を躱し続ける。

シャル「一夏!少し離れて!」

無理な注文だった、間合いを取り直したいのに山田はぴったり離れた分の距離を詰めてくる。

速くはない、気迫も十人並み、足が竦むなど修羅場の住人にはありえない。

平凡なはずの一撃達が確実に一夏を追い込んでいく。

一夏は肌で感じていた。山田真耶はわざと打ち込む隙を作っている。

ISを己が手足として扱うのはもちろんのこと、無駄がなく見える隙は全て偽物。

条件反射で打ち込んでしまうも偽物ゆえ当然のごとく防御されてしまう。

実質隙が無いといっても過言ではなかった、そこで一夏は賭けに出る。

賭けるものは己の命、そんなゲームの切り札はシャルである

一夏「シャル!俺を狙って撃て!」

シャル「何をいってるんだ一夏!?」

一夏「撃ってくれたら勝てるんや!」

シャル「どうなっても知らないからね!」

一夏の真意は掴めないが近くで傍観しているシャルには山田の技術の怖さを理解できた。

起死回生に必要なことなのだろう、急所を外して盾殺しを撃つ。

白式の左腰部に命中、それを景気付けに力技で山田の打鉄の葵を弾き飛ばす

が、しかし、すかさず焔備で撃たれる。左腰部の損傷で白式は運動性能を落とし、なぶり殺されるかのように白式のシールドエネルギーをゼロにした。

そこからはシャルのラファールも似たようなもので、手も足も出ずに敗北した。

千冬「意外と食い下がったな織斑、デュノア」

一夏「負けた~~~~~~~~~~~~!!」

シャル「仕方ないよ、あれは先生の技術が凄かったんだ、もっと僕らも頑張ろう」

箒「あの一夏が・・・」

セシリア「一夏さんの言う通りでしたわ・・・」

山田「すみません、勝っちゃいました」

千冬「まあ、山田先生も日本の代表候補だったからな、当然の結果だ」

一夏「そら打鉄もあんなバケモンみたいなるわな」

セシリア「人は見かけによりませんわね」

箒「代表候補だったのか、知らなかったぞ」

山田「確かにISの性能は大事ですが、それ以上にいかにISを上手に使うかも大事なことです。皆さんもよく理解しておいてください」

シャル「説得力すごいね」

一夏「まだまだやらなあかんことあるのう」

山田「織斑君、彼は一年生の内にかなりの次元まで来ています、卒業まで、いえもしかすると二年への進級までに私以上のISドライバーになっているかもしれませんよ織斑先生?」

千冬「だとしてもそれをあいつには言わないでおいてください、調子に乗るかもしれませんので」

山田「分かりました」

一夏「次は絶対勝つで!」

箒「その意気だ」

セシリア「応援しておりますわ!」

シャル「僕もリベンジするよ」

夜 一夏の部屋

一夏「ちょっと体動かしてくるわ」

シャル「うん、いってらっしゃい」

一夏「おう」

鍛錬所

一夏「しっ!」シュバッ!

一夏「はあはあ・・・」シュババババ!

一夏「今日はこの辺でやめやな」

一夏の部屋

一夏(もうシャルル寝とるやろし、静かにシャワー浴びよ)コソコソ

シャワールーム

一夏「ふう」ガチャ

シャル(女・全裸)「あ・・・」///////////

一夏「/////////」バタン!

シャル「み、見た・・・?」////

一夏「すまん、ばっちり見てもうた」////

シャル「とりあえず言い訳するから一夏が入った後でいいかな?」//////

一夏「おう」//////

一夏シャワー後

シャル「とまあ、こういうわけなんだ」

一夏「大体わかったわ、シャルも災難やのう」

シャル「居場所がなかったから逃げるのにちょうどよかったのもあるけどね」

一夏「人に歴史ありやのう」

シャル「とにかく僕が女であることがバレた以上、日本にはいられないからフランスに帰るよ・・・短い間だけどありがとう一夏」

一夏「俺が黙っとったら済む話やんけ」

シャル「え?」

一夏「ええか?まずこのIS学園は治外法権みたいなもんやん?ここに在籍する以上国は手出しでけへんわけや」

シャル「それは分かっているけど、僕は君をだましたんだよ?」

一夏「いや、別に損してへんからかまへんぞ、しかもどっちか言うたらそんな無茶させた連中のほうが腹立つやん」

シャル「だけど」

一夏「まだ15の青少年が汚い大人の都合押し付けられとるんみて返品させられるかい!」

シャル「・・・」

一夏「もう一回いうけどまだ15やで、戻ったところで似たようなことやらされるんがオチやと思うで」

シャル「一夏・・・」

一夏「人にさせられるにしても自分からするにしても、もっと自分の価値観を固めてからするもんや、何も分からんうちに都合のええように人を使て悪さする畜生にそろそろ逆らわんかい」

シャル「うん・・・・うん・・・・」グスッ

一夏「今から三年ある、その三年でこの学園からお前の親の会社で何か示せるんとちゃうか?」

シャル「分かったよ、やってみるよ」グスッグスッ

一夏「最悪なんもならんならこのまま日本人になったらええやん」

シャル「それって・・・」//////

一夏「ええで日本、飯うまいし治安も割とええし」

シャル「だよね・・・」はあ・・・

一夏「溜息ついてどないした、もう眠いんか?」

シャル「まあね、そんなところだよ、おやすみ一夏」

一夏「おやすみシャル」

ここまで、もう寝るわ

翌日

一夏「まあ、あれやな、昨日の今日でカミングアウトって結構ゴツイ勇気やんな」

シャルロット(女生徒服)「実は僕、女でした」

えええええええええええええええええええええええええええええええ!?

薔薇は!?ホモォは!?

乙女ロードの新たなバイブルがあああああああああああ!!

セシリア「薔薇・・・?ホモォ・・・・?乙女ロード・・・?」

箒「分からないが知らなくていい世界な気がする」

山田「というわけで、シャルル・デュノア君は実はシャルロット・デュノアさんでしたということです」

一夏「ま、別に誰が困るでもないやろ、この学園ではのう」

シャル「改めてよろしく一夏」//////

箒・セシリア「!!」

一夏「よろしゅう」

山田「さて、授業を始めます」

キーンコーンカーンコーン

一夏「サバットって杖術もあるんやったな」

シャル「そうだよ、ラ・カンっていうんだ、それにボックス・フランセーズ・・・早い話がフランス流の蹴りが主体のボクシングだね、それと最後にパリジャン・レスリングを使うのがサバットさ、一夏のJKDにもサバットの技術が入っているよね」

一夏「せや、ブルース御大は、本人がやっとった格闘技まとめはったからのう」

シャル「僕は女で体重も軽いからほとんど蹴りで勝負を着けちゃうね」

一夏「ほーん」

シャル「あ、今はスカートだから手合せしないよ?見えちゃうからね」

一夏「アホ、分かっとるわ」

シャル「あ、それはそれで傷つくなあ」

箒「ならば私の剣道とラ・カンとやらでやってみないか?」

シャル「一応杖はあるから構わないよ」

道場

一夏「互いに礼!」

シャル・箒「・・・」ペコッ

一夏「構え!」

シャル・箒「・・・」スッ

一夏「始め!」

箒は竹刀を脇構えに、シャルは杖の間合いを隠すように片手で構える。

先に仕掛けたのは箒だった

箒の一太刀を手首のスナップが効いた横薙ぎで面打ちを逸らし、的確に喉を捉える。

箒はこれを躱し改めて胴へと打ち込むも、今度はスウェイバックで躱される。

お互い手の内を明かさぬように腹を探り合いながら剣対杖の戦いは続く。

セシリアは結果を見抜いていた、そしてそれは正しいものであると確信していた。

審判の一夏はシャルと箒の応酬に全て自分ならどうするかのイメージトレーニングをしつつ

試合を見守る。

シャルは至って沈着に箒の太刀筋を見極める、箒は莫大な剣道の経験により自然と体が的確に動く。

シャルロット・デュノア、ファイトスタイル:サバット

彼女は何でも卒なくこなす、勉強も運動も仕事もやれば出来てしまう。

しかし、必ず出来るとは言えないのが勝利である。

シャルは勝つための執念に欠けていた、不利な体格の中、大の男を一蹴に伏せていく内に勝って当たり前という油断が

巣食っていた。これは恵まれた才能と、周囲に己以上の才傑がいなかったということによるところが大きい。

シャルは「勝たなければいけない」という考えではなく、「負けなければいい」という致命的な甘さを抱えていた。

しかし、箒と闘っているうちに己の中に燃え上がるものがあるということに気付いた。

箒は全力で己を倒しに来ている、その熱がシャルの闘争本能に火をつけた。

シャルは初めて『サバット』を使う。杖で、蹴りで、組み技で箒に喰らいつく。

箒もシャルの本気を見られて更に燃え上がる、互いの炎がより一層燃料を呼び、いつしか死合となっていた。

一夏が審判の立場上止めなければならないほど急所の狙い合いとなるも、一夏の格闘家の血が二人に決着をつけさせようと邪魔をする。

何度も何度も、互いが斃れるまで続くであろうこの死合は突如現れた乱入者により終焉を迎える。

セシリア「あら鈴さん、もうすぐお二人は」

鈴「こらああああああああああああああああ!」ゴスッ!ゴスッ!ドゴォッ!!

箒・シャル・一夏「痛い!?」

鈴「あんたら何殺し合ってんのよ!?外からでも物騒な音してたわよ!?それと一夏!あんたが止めなさいよ!バカじゃないの!?」ウガーーーーーー!

一夏「いつつ・・・いやー、途中から観客になってもうたわ」

鈴「こんのバカアアアアアアアアアア!!」ドゴッドゴッドゴッ!

一夏「ぶるああああああ!」

鈴「箒!シャルも!あんたたちもどうかしてるわよ!たまたま通り掛かって変な音がすると思って道場のぞいたら殺し合いとか冗談じゃないわよ!最初は一夏を取り合ってんのかと思ったじゃない!」

セシリア「あら、それでしたら私が狙撃しておりましたわよ」オホホホホ

鈴「もうやだこの命知らず達・・・」はあ・・・

一夏「」チーン

セシリア「一夏さんが死んでますわ!?」

鈴「ほっとけばすぐ起きてくるわよ、それよりみんなには説教があるんだから!」

鈴「ガミガミガミガミ!」

箒・シャル・セシリア・一夏(正座)「すみませんでした~~~~~!」

本音「ん~?どういう状況なんだろ~」

シャル「いやー、鈴も怒らせると怖いね」

箒「私はどうも一度火が付くと歯止めが効かないようだな」

一夏「名勝負やったで」

セシリア「どの道お二人は引き分けだったと思いますわ」

鈴「何で分かるのよ?」

セシリア「女のカンですわ!」

一夏「女のカンのう」

セシリア「私、狙撃専門ですので見る目には自信がありましてよ!」

鈴「納得するような・・・」

箒「まあいい、シャルも恐ろしく強いんだな」

シャル「しかも逃げ足も速いんだよ、パルクールも覚えてるし」

一夏「あれやってみたけど気持ちええよな」

鈴「あんたホント何でも盗むわよねえ」

箒「ある意味強くなるために一番真面目なのが一夏なのかもしれんな」

一夏「真面目かは知らんけど強くなるためなら何でもする気やで」

箒「末恐ろしい奴だ」

シャル「僕ももっと頑張らないとね」

鈴「だからって仲間内で殺し合いはしないでよね」

セシリア「そういえば、中国拳法は同門対決が禁じられておりますものね」

鈴「あら、よく知っているじゃない、うちの門派に入る気になったの?」

セシリア「いえ、格闘技というものを勉強しておりますの。知識があると仕合の魅力を味わえて楽しいですわ」

一夏「ギャラリー専門か、今のところは」ギラッ

シャル「まあまあ、そのうちこっち側に来るよ。セシリアには素質があるからね」ギラッ

箒「ふふふふふふふ・・・共に竹刀を握る日が楽しみだ」ギラッ

鈴「時間の問題よね」ギラッ

セシリア「ひっ!」ビクッ

これが狩られる感覚なのだとセシリアは直感した。

一夏「冗談は置いといて、なんか千冬姉から聞いてんけどのう」

セシリア(絶対本気でしたわ!)

シャル「どうしたの?」

一夏「千冬姉がドイツ軍で教えとった弟子が近いうちに来るらしいわ」

箒「弟子?というより私たちと同い年で軍人がいるのか?」

一夏「先進国では中々レアなケースやな、クラヴ・マガの使い手らしい」

シャル「どんな屈強な人が来るのかな・・・」

箒「屈強だろうが何だろうがいきなりクラヴ・マガで殴り掛かることはないだろう」

鈴「そんなことしたら軍人失格よ」

セシリア「ありえないですわ」

全員「はははははははは!」

謎のドイツ軍人編入当日

山田「四回目の転入生紹介コーナー!」

Yeah!

一夏「山田センセノリノリやな」

箒「何があったのだろう・・・」

セシリア「きっと転入生の方が素晴らしいレディだったのでしょう」

シャル「やっぱり織斑先生の弟子だから礼儀正しいんだよきっと」

ガラッピシャン

ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」ビシッ

一夏(小さいけどあら擬態やな、相当強い)

ラウラ「・・・」ツカツカ

一夏「よろしゅうな」

ラウラ「念のために確認しておこう、貴様が織斑一夏だな?」

一夏「せやで」ニコッ

ラウラはおもむろに暗器を一夏の頭に振り下ろした、無駄もなく、的確に頭蓋骨の縫合を外す見事な一撃だった。

が、一夏は難なく躱した。

ラウラ「ほう、中々どうして鍛えているみたいだな」

一夏「二度と御国には姉をお邪魔させたくないもんでのう」

山田「やめなさ~い・・・」おどおど

ラウラ「はっ!お騒がせして申し訳ありません!」ビシッ

シャル(今の、殺す気だった!)

箒(何だこいつは!?どうしてあそこまで躊躇わずに頭を砕けるんだ!?)

セシリア(これが軍人なのですわね・・・)

ラウラ「ふむ、腕が立つ奴が三人、見る目だけの奴が一人といったところか。平和な国にしては上出来だな、私の部隊の敵ではないが」

一夏「ご挨拶やな、ゲルマンいうんは殺しが好きなんか?」

ラウラ「私が殲滅する相手は貴様だけだ、隙あらば殺す。覚えていろ」

放課後

一夏「いやー、生きた心地せえへんのう♪」ルンルン

セシリア「結局あの後暗器で一回・ナイフで三回・ビルジー(目突き)が一回・ISの実技授業で二回、一夏さんの命を狙っていましたわ」

箒「だが一夏も見事な防御だった」

シャル「軍人というより暗殺者じゃないの?」

鈴「ていうかなんで一夏の奴いつもより楽しそうなのよ・・・」

一夏「楽しいわけないやん♪」ウキウキ

箒「もう私たちはツッコみ疲れた」

シャル・セシリア「・・・」ウンウン

鈴「はあ・・・」

一夏「あ、忘れもん取りに行ってくるわ」

鈴「あんた自分の立場わかってんの!?」

一夏「獲物やろ?」

鈴「そうよ!」

一夏「死んだらそれまでの人間やっただけや、んじゃ行ってくるわー」ノシ

鈴「待ちなさい!って足速っ!?」

シャル「僕たちを巻き込まないようにうまいこと狙わせてたんだ」

箒「最初の自己紹介を合わせた八回の襲撃に私たちが巻き込まれたことはない」

セシリア「私たちがどうこういって止まる一夏さんではありませんわ」

鈴「アホのくせに抜け目ないんだから・・・」

広場

一夏「♪」

ラウラ「・・・忘れ物は私か?」

一夏「おう」

ラウラ「教官は貴様の話をするとき、軟弱な顔をされる。あの方にそんな弱みは不要、教官の絶対的な強さの為に死んでもらう」

一夏「よう分からんけど、お前の強さの物差しが偏っとるんは分かった」

ラウラ「ほざくな一般人、ここで排除してやる」

一夏「遊んだるわ」

ラウラ・ボーデヴィッヒ、ファイトスタイル:クラヴ・マガ

彼女は織斑千冬の弟子であり、部下でもあった。

一夏に対しては千冬をドイツ軍へと招き入れる原因を作ってくれたことに関しては感謝の念を忘れたことはない

しかし、千冬の時折話す弟の自慢話で見せる優しい顔が嫌いだった。

あのブリュンヒルデが、織斑教官が、己の知る中で最も強い人間があんな顔をしていいはずがない。

織斑千冬とは孤高で、非情で、血の通わない鋼で出来た闘神であると信じて疑わない。

ならば今の教官は世界を制して尚未完成であると考え、日本のIS学園へ入学を志願し、織斑一夏を生贄に織斑千冬の完成を

謀ったのだ。

しかし、暗殺がことごとく失敗し、彼もまた己と同じ千冬へのあこがれを抱いて強くなったことに気付き、正面から一夏を殺すべく現れた。

立ち会ってみて思い知る、教官の血縁者なだけあって底が見えない。

ラウラは眼帯を外し、今までは使わなかった軍人の『愛刀』マッドドッグを両手に構えた。

一夏「やっと本気で来よるか」

ラウラには一夏の軽口は通用しない、心を亡くし、己の理想である鋼で出来た闘神を模倣する。

小柄な体を生かし、懐に潜り込み左手で心臓を刺すも、一夏に捌かれる。

間を置かずに首、肩、鳩尾と狙うもやはり躱され、反撃される。

「速い」と感じる前にラウラの顔面の手前で拳は止まる。

一夏「ケガはさせへん、安心して殺しに来いや」

ラウラ「~~~~~~~~~ッ!!」ブチッ!

命を狙っている相手に命の保証をされる、ラウラの心の急所を抉った。

先程の亡くした心は、己の格闘技術を忘れさせる内なる敵へと変化した。

当たらないどころか攻撃になる前に指一本で制止される。

「当たらない」から「手が出ない」から「動けない」程追い詰められた。

一夏はそれでも油断せず、ラウラを的確に弱らせていく。

まずラウラの足を乙女座りにさせ、ラウラの腕からマッドドッグを叩き放させ、空いた手に人差し指を一本だけラウラの両

人差し指に絡ませ寝かし付ける。

実質的に指先ひとつでラウラをダウンさせた。

ラウラはもがく、しかし身長差30センチ以上、体重差も恐らくそれに近く、逆転は不可能であった。

暗殺者との決着は静かに着いた。

ラウラ「殺せ」

一夏「ケガさせへんのに殺すわけないやんけ、アホか」

ラウラ「これは殺し合いだ!殺せ!」

一夏「負け犬が命令すんなや」

ラウラ「・・・」

一夏「さっきのお前のあのナイフ、マッドドッグ、正にお前のためのナイフやったな」ケラケラ

ラウラ「笑えばいい、どうせ私は負け犬だ」

一夏「狂犬から負け犬になった気持ちをどうぞ」

ラウラ「ノーコメントだ」

一夏「負け犬の次は何かになれるとええのう」

ラウラ「!」

一夏「あ、そうそう、来週ISでクラス対抗戦あるらしいねん」

ラウラ「だからどうした」

一夏「で、各クラスの参加メンバーの枠が二人やねん」

ラウラ「ほう」

一夏「うちのクラス専用機持ち自分合わせて四人もおるねん」

ラウラ「リベンジには持って来いだな」

一夏「そういうこと、また参加してや」

ラウラ「後悔させてやる」

一夏「待っとるで」ノシ

鈴「対抗戦ねえ」

一夏「おう、鈴は二組やからどっちにしろかち合うけどのう」

箒「いつまでも狙われるよりはマシだな」

セシリア「そうですわね」

シャル「もし一夏が負けたらどうするの?」

一夏「さあ?そこまで細かく約束してへん」

鈴「テキトー過ぎんでしょ!」

シャル「あははは・・・」

箒「まったく、いつもこうだ」

一夏「負けたら殺されるつもりでおるからのう、基本的に自分が勝つことを疑わん性分やねん」

箒「まさに命懸けだな」

シャル「なるほど、そう考えればいいんだ」

鈴「昔はよくあたしに泣かされてたくせに」

一夏「幸か不幸か転機が訪れたからのう」

四人「あ・・・」

一夏「こうやって修羅場潜っとるとあれで良かったて思えるから不思議やな」

箒「お前の強さの源が一つ分かった気がするよ」

シャル「僕も頑張らないとね」

セシリア「私も皆さんとは方向が違いますが、精進いたしますわ」

鈴「あたしがあいつをやっつけるかもしれないわよ」

一夏「そうなったらあいつは今のところそこまでやったっちゅうことやからええんとちゃうか?」

シャル「誰が相手でも全力で臨むよ」

箒「だな」

セシリア「勝つのは私ですわ!」

鈴「ま、あたしはあんたたちのクラスで一、二番目に強い奴と戦うから実質シードみたいなものよね」

一夏「ものは考えようやな」

鈴「ポジティブなのと行動力があたしの取り柄なのよ」

一夏「さて、もう遅いし寮に戻るで」

四人「はい!(うん!)」

クラス対抗戦の代表決定戦

山田「クラス対抗戦ですが、代表がやりたいという人は挙手してください」

ラウラ「・・・」ノ

一夏「出るで」ノ

シャル「僕も出ます」ノ

セシリア「私も出ますわ!」ノ

箒「私が出よう」ノ

山田「他にはいませんか?」

しーん

山田「いないみたいですね、ではこの五名で予選を行います、アリーナへ皆さん集まってください」

アリーナ

山田「奇数のメンバーなので今からバトルロイヤル形式で戦ってもらいます、乱戦になりますが著しく多対一が見られた場合にはその選手は失格となります」

箒「なるほど」

山田「最後に場外へ出ますと失格になります。つきましては、篠ノ之さんは打鉄ではなくラファールを使っていただきます。よろしいですね?」

箒「使ったことがあるので問題ありません」

シャル「いいISだよね」

箒「だな」

ラウラ「ふん、馴れ合っていろクズ共」

セシリア「少し言葉が過ぎるのではなくて?」

ラウラ「クズにクズと言って何が悪い」

シャル「いいよ、言わせておこう」

箒「勝てなければクズ以下だしな」

ラウラ「全員で来てもいいぞ」

一夏「失格になるがな」

ラウラ「お前に勝てば実質対抗戦も優勝したようなものだがな」

一夏「そうでもないと思うけどのう」

山田「それではカウントします!」

「5!」

「4!」

「3!」

「2!」

「1!」

「スタート!」

シャルはラウラめがけて加速する、しかし一夏を捉えたラウラにシャルは硬直する。その時、ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンのワイヤーブレードは箒のラファール・リヴァイヴを絡め取り場外へと投げ飛ばした。

山田「篠ノ之選手失格!」

篠ノ之箒 リタイア 残り四名

シャルロット・デュノア  セシリア・オルコット  ラウラ・ボーデヴィッヒ 織斑一夏

千冬「私の弟子と弟が闘うのは複雑です」

轡木「あのお嬢さんも相当手塩に掛けられたようですな」

千冬「間違いなく弟子としては最高傑作ですよ」

轡木「生身では私の弟子が軍配を上げさせましたが、ISとなると結果が見えませんな」

千冬「どちらも一撃で戦局がひっくり返ることを知っています、最後まで見えませんよ」

轡木「残り二人のお嬢さん方には悪いですが、私たちの弟子の二人ともが勝ち残るでしょうなあ」

千冬「いえ、私の弟子も弟も執念深いですのでここで決着は着くでしょう」

轡木「はっはっはっ、いやはや若いですなあ」

千冬「不肖の弟子と弟です」ククク

轡木「いやいや、あなたの弟子も弟も強さに対して真摯だ、これに勝る才能はありませんよ」

千冬「昔の私を思い出します」

轡木「織斑先生もお若いのに私ですら敵わない領域まで達していらっしゃるのですから、若さとは恐ろしくも面白いですな」

千冬「ご謙遜を」

轡木「謙遜ではないのですがねえ」

千冬「私など理事長がその気になれば首から上が砕け散ってしまうでしょう」

轡木「その時に私の首が斬り落とされていなければ謙遜と嫌味で同じことを言うのですがねえ」

千冬・轡木「はははははははは!」



舞台はバトルロイヤルへと戻る

一方セシリアは硬直したシャルの一瞬の隙を突き、ライフルを発射、シャルは咄嗟にガーデン・カーテンで防御。

そのままセシリアのブルー・ティアーズに盾殺しが届く距離まで急接近。

しかしセシリアは自分から間合いを詰めていく

狙撃手が己から距離を詰めるという愚行に驚くも冷静に盾殺しを発射、同じくセシリアもブルー・ティアーズのミサイルとレーザーを全弾命中させる

山田「オルコット・デュノア選手両名エネルギー切れにより失格!織斑君とボーデヴィッヒさんは勝負を中止してください」

セシリアは、接近戦の時点で己の勝利を諦め、忠誠を密かに誓った一夏のためにシャルロットと刺し違えた。

シャルロットは命懸けの意味を思い知らされ、引き分けという結果以上に敗北感を痛感することとなる。

セシリア・オルコット  シャルロット・デュノア  リタイア  

クラス対抗戦メンバー決定

ラウラ・ボーデヴィッヒ  織斑 一夏

しかし、二人は勝負をやめる気配がない。

一夏はラウラのAICとワイヤーブレード、プラズマ手刀、ブリッツ、つまり一つの盾と八つの刃、二つの砲身に苦戦を強いられていた。

ラウラの方も一振りの刀にこれほど苦しむとは思わず、一夏への敬意よりも弱い自分に苛立っていた。

生身で暗器を仕込み、後ろから狙いを定め、もっとも油断するであろう仕掛けた攻撃も通用しない。

指一本で取り押さえられた正面からの戦い。

ラウラをドス黒い感情が蝕んでいく

そして一夏がとうとうブリッツの砲身を斬り落とした。

それを皮切りに、一夏はワイヤーブレードを破壊、次いでプラズマ手刀を破壊。

ラウラは二度目の敗北を喫する。

ラウラ「お前が・・・」

セシリアとシャルロットが勝負の中止を呼びかけようとしたその時

ラウラも知らないVTシステムが発動、中止を呼びかける二人に照準を合わせる。

エネルギー切れでISは展開できない、まともに喰らえば跡形も残らない攻撃を前に二人は死を覚悟した。

まばゆい光が辺りを包む、しかし二人は生き延び、代わりに一目で瀕死の重傷を負った一夏が横たわっていた

箒「一夏あああああああああああああああ!」

場外に飛ばされただけで実質無傷の箒が間一髪のところでシュバルツェア・レーゲン『だった』のものの追撃から三人を救出する、山田真耶が大急ぎで応急処置を施すもあることに気付く。

山田「呼吸が止まって・・・!」

的確に心臓マッサージをし、何とか一夏は息を吹き返す。

一夏は意識が戻った瞬間に、先程の暴走機のフォルムを思い出す。

間違いない、あれは千冬姉の白騎士だ。

理解した瞬間に頭に血が上り跳ね起きる。

全身打撲及び重度の脳震盪を起こして痛みと三半規管が狂い、立てるはずのない体を気力と怒りによって生み出されたアドレナリンで支える。

周りの声は爆発音で鼓膜がやられたのだろう、まったく聞こえない、一夏は怒りのまま先程の機体の元へと駆け寄った。

千冬「下がっていろ!」

聞こえないが気配と強者特有の気迫を察知し振り向くと、あの誘拐事件から今日まで追い続けた姉が心配そうな顔で何かを叫んでいる。

言わんとしていることは分かっている、しかし先程のセシリアのように、刺し違えてでもこの偽物の引導は自分の手で渡したかった。

千冬姉の白騎士はこんな汚い黒色じゃねえ、白騎士はこんなにに無慈悲な暴力装置じゃねえ、千冬姉は人の血の通った人間だ。お前が千冬姉の形をするな。

気力と体力の全てを振り絞り、何とか雪片二型までは展開できた。乾坤一擲、そんな決意をしていると。

零落白夜が作動、死に直面している人間にのみ起こる経験則、見聞きしていた知識が動物的な野生の勘という形でその機能を教えてくれる。

これを振り下ろせばこの偽物を破壊できる、その一心で黒い白騎士を切り裂く。それと同時に一夏の意識は深い闇へと落ちていった。

一夏「あれ、なんやここ」

一夏は明らかに現実世界とはかけ離れたところにいた。まるで昔箒の家でみた曼荼羅の様な世界だった

ラウラが一夏を見据えて尋ねる

ラウラ「強さとは何なのだ?私は間違っていたのか?」

一夏「知らんがな、そういうんは自分で見つけるもんや」

ラウラ「ふふっ・・・教官と同じことを言うんだな」

一夏「世の中広いからのう、その広い世の中から自分がこれやと出した答えが強さなんちゃうか?」

ラウラ「お前は教官よりも親切なのだな、そんな答え初めて聞いた」

一夏「親切かは知らんけど、負かした相手にアドバイスはするで、後々化けてこっちも勉強になったりするからのう。情けは人の為ならずっちゅうやっちゃ」

ラウラ「お前となら私も強くなれるだろうか?」

一夏「強くなるにはまず己の弱さを認めるところから、この理屈で言えばまあ何か掴めるかものう」

ラウラ「それはいいことを聞いた・・・」

不意に声が遠くなり、一瞬の浮遊感の後にいつもつるんでいる顔が現れた。

鈴「一夏ぁ!」

シャル「一夏!」

箒「無茶をしおって!」

セシリア「一夏さああああああああん!」

記憶ははっきり残っているが、どうも頭が働かず、なのに現実は非情で。

一夏「痛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

抱き付いてきた四人の少女によってもう一度曼荼羅の世界へ旅立った、今度はラウラはいなかった。

一週間後

全治二か月の診断を受けた一夏は、わずか五日目で完治し、医者が医療の発展のために実験体になってくれという頼みを断り、二日間は念のためにと休みをとり、その間で鍛錬の遅れを取り戻し復帰した。

何事もないかのように教室に入り、箒がこちらを一瞥して物凄い速度で二度目してきたことがツボに入り大笑いしていたところシャルとセシリアに回復を祝福される。自分が庇ったことを重ねて礼を言われたので気にしないように釘をさしておく。

箒「お前人間なのか?」

鈴「あんたショッカーに改造されたんでしょ?」

シャル「一夏が無事で良かった・・・」

セシリア「あやうく私も後を追うところでしたわ」

一夏「命は粗末にしたらあかんで」

鈴「あんたが言うな!」

箒「ま、まああれだシャルとセシリアを助けた一夏はかっこよかったぞ」//////

ラウラ「一夏」

一夏「おおラウラ、お前も退院したんか」

ラウラ「私はお前と違って無傷だったからな、検査入院だ」

一夏「だから言うたやん、ケガさせへんて」

ラウラ「そうだったな」チュッ

四人「」

一夏「・・・・」

ラウラ「今日からお前は私の嫁だ、最初とは違う意味でターゲットだ、覚悟しろ。じゃあな」ツカツカ

一夏「俺男やから婿ちゃうんか?」

四人「一夏あああああああああああ!?(一夏さんんんんんんんんんんんん!?)」

一夏「え、俺が悪いん?」

ところ変わって

轡木「やはり一夏君を弟子にとって良かったですよ」

千冬「私の完敗です」

轡木「競ったのは弟子たちですからねえ、私たちはあくまでも武の手ほどきだけですよ」

千冬「実質一年で最強なのは一夏でしょう」

轡木「そうなるのが自然でしょう、何せ大人でも勝てる人間を探す方が大変なのですから」

千冬「ますます敵はあいつを欲しがるでしょうね」

轡木「鼠は始末しても始末しても湧いてきますからねえ」

千冬「やはりあのVTシステムの混乱に乗じて動きましたか」

轡木「何せ一夏君と違って素手でお相手せねばなりませんので、老体に鞭を打って何とか帰っていただいてますよ」

千冬「地球上にISを素手で破壊できる人間がいると思っているのですか・・・」

轡木「私のような未熟者が可能なのですからいくらでもいるでしょう」

千冬「まったく読めない方だ」

轡木「あくまでも弟子の成長を祈る余生ですよ、あまり若いうちに現実を教えても意味がないですから」

千冬「義妹候補生達もいますのでそろそろ必要だとは思いますがね」

轡木「はははは、織斑先生がご結婚なさる前にその様なことを言いなさるな」

千冬「それもそうですね」クスクス

轡木「彼のプレイボーイなところは我流で仕上げましたからねえ」

千冬「それも追々気付かせなければ四人・・・今は五人か、あいつらに愛想を尽かされる前に唆しておきますよ」

轡木「青春ですなあ」

間違って送信しちゃった

一夏「何で嫁なん?」

ラウラ「日本では気に入った相手のことを○○は俺の嫁という風習があるのだろう?」

一夏「極一部の文化やな」

鈴「あんたの日本の文化の知識誰由来なのよ・・・」

シャル「あ、でもフランスでも日本のアニメ好きでそういう人確かにいるよ、少ないけど」

ラウラ「マイノリティ上等!ツッパってくんで夜露死苦ぅ!」

箒「古すぎる・・・」

セシリア「確か性格としては真反対だったような・・・」

一夏「嫁とか旦那とか誰かに捕まる気はないけどのう」ケラケラ

セシリア「聞き捨てなりませんわ!」

箒「それはなぜだ一夏」

シャル「教えてくれるとうれしいな」ニコニコ

鈴「返答次第じゃ血を見るわよ・・・?」

ラウラ「私の嫁だからだろう?」

一夏「全員ハズレ、単に格闘家人生で必要ないと思っとるだけや」

シャル「でもそれって考えが変わったりするものだよね?」

一夏「別に死ぬまで独身とかいうてへんがな、あくまでも千冬姉に半殺しにされたりしとるうちは誰か捕まえる気も誰かに捕まる気もないねん」

鈴「しかもあんた、千冬さんが無傷のまんまで勝ちたいんでしょ?何年後の話よ?」

一夏「十年かかるかも知らんし、五年で済むかも知らん、俺の努力次第なんとちゃうか?」

五人「・・・」(何かを決意したようにうなずき合う)

一夏「大阪に師匠もおるし、あの人も千冬姉と同じかそれ以上の壁やねんけど、あの人は男やからシバけたらええねん」

箒「私もお前の修行を手伝おう」

鈴「あたしも」

シャル「僕も」

セシリア「私もですわ」

ラウラ「無論私も手伝う」

一夏「ホンマか!おおきに助かるわ~、自分らもええ修行なるしWIN-WINで素晴らしいのう!」

織斑千冬には負けないと決心した五人だった

数日後 朝

一夏「んーーー、八時間睡眠ほど疲れ取れる睡眠時間はないわ」

???「んん・・・」ゴソゴソ

一夏「!?」バサッ

ラウラ(全裸)「ん・・・おはよう嫁」

一夏「ええから服着ろや、っちゅうかなんで俺の部屋おんねん!?」//////

ラウラ「私の嫁だからな、夫婦とはこういうものなのだろう?」

一夏「結婚してへんから、とにかく服を着んかい!」/////////

ラウラ「んー」イソイソ

一夏(乳無くて良かった・・・これが山田センセならホンマヤバかった!)//////

箒「一夏、すまないが少し竹刀の手入れを

一夏「え」

ラウラ(半裸)「おはよう箒」イソイソ

箒「・・・何か言い遺すことはあるか?」

一夏「部屋に曲者が入って来たんです、俺は無罪です」キリッ

箒「そうか、分かった」ドゴッ!

一夏「壁に穴開けんなや!」

箒「避けなければ壁に穴は開かないだろう?」ドゴッ!ドゴッ!

ラウラ「嫁に何をする!」バッ

一夏「いや、お前のせいやからな!?」

シャル「こっちにラウラ来てない?」

セシリア「朝からドスドス何の音ですの?」

鈴「やっぱあんたの部屋だったのね」

三人(事情を把握)「・・・」

箒(GOサインを出す)

三人(一斉に一夏を取り押さえる)

一夏「離してえな!箒の木刀とか食らいたないに決まってるやん!」

箒「知らん!」ゴスッゴスッゴスッ!

ぎゃあああああああああああああ!

食堂

一夏「三回目の曼荼羅が見えた・・・」ボロッ

箒「ふん!」

セシリア「不用心な一夏さんも悪いですわ!」

鈴「次はあたしの青龍刀だからね!」

一夏「死ぬわ!」

シャル「だけどラウラもダメだよ?」

ラウラ「嫁のベッドに入って何が悪い」

一夏「主に俺の都合が悪い」

箒「まったく・・・」ブツブツ

シャル「あ、そういえばこの間のあれでクラス対抗戦は中止になったんだよ」

箒「元々専用機持ちがうちのクラスだけ多すぎたから正直なくて良かったと思うけどな」

セシリア「イギリス、フランス、ドイツ、日本と、予選敗退の結果が知られてしまうと各国示しがつきませんものね」

一夏「商いは好きやけど、政は好かんのう」

鈴「そんなこと聞くとあたしはある意味二組で良かった気もするわね」

一夏「よくもまあ何も知らん人間がデカい顔して偉そうに自分ではでけへんこと言いよるもんやで」

箒「姉さんはそういう連中のことが嫌いだったな」

セシリア「篠ノ之博士のことですわね」

シャル「まあよく知らないけどそういう天才は苦い思いをさせられそうだよね」

一夏「あの人の場合はそういうアホを利用する頭と立場を築く頭を併せ持っとったからのう」

ラウラ「・・・私の祖国も一夏の一件をだしに教官を呼んだからな」

一夏「別にラウラが悪いわけやないし、千冬姉の一番弟子になるまで努力しとったんなら行った甲斐あると思っとるで、あの姉貴は」

ラウラ「しかし私はお前に負けた、弟子失格だ」

一夏「俺も色々ボロのチョンに負けとるしのう、それに一回負けてハイサイナラする千冬姉ちゃうがな」

箒・鈴「・・・」ウンウン

シャル「そうだよ、そんな人が教職に就くわけないんだし」

セシリア「負けた後に何を感じ取るかが重要だと思いますわ」

一夏「弟子は弟子なりの乗り越えるもんを乗り越えて、師匠は師匠なりの乗り越えるもんがある、師弟関係言うんは言わば二人三脚やな。ラウラがずっと落ち込むと千冬姉も落ち込んでもうてそれこそ目も当てられへんことになるで」

ラウラ「・・・それもそうか」

一夏「ただまあ、負けたら次無いなっちゅうやつもおるから勝つ負けるともう一つ逃げる選択肢も入れといた方がええで」

シャル「なるほど・・・」

箒「生き延びてこその成長だからな」

セシリア「さすが一夏さんですわ」

鈴「あんたも色々経験してるわね」

ラウラ「・・・亡国機業という組織があってな」

一夏「・・・」

セシリア「その組織は一体なんですの?」

シャル「聞いたことがあるようなないような・・・」

箒「あまり健全な組織ではなさそうだな」

ラウラ「私が落ちこぼれていたころに数名我が軍でそのメンバーを捕えたことがあってな、任務から外されていたので詳しくは知らないがそいつらをたまたま一目見て直感したよ、『こいつらは危険だ』と」

一夏「・・・」

ラウラ「尋問の前に全員歯の裏に仕込んでいた毒で自殺して何も分からずじまいだったが、あの時以上に恐怖を感じたことは無かった」

一夏「・・・そういう危なさを感じ取れる勘は持っといて損は無いやろ」

箒(一夏・・・?)

ラウラ「そうして怯えていたところを教官は『見込みがある』と私を育ててくれたのだ」

鈴「今のあんたの敵じゃないでしょ」

ラウラ「私もそう思っているが、規模も所属も何もかも不明な組織だ、どんな怪物がいるのかも分からないとなるとな・・・」

一夏「この学園には一年坊の俺らよりも先輩方もおるし、規格外の先生もおるから安心やろ」

箒・鈴・シャル・ラウラ・セシリア「・・・」

この時、一夏本人は隠しているつもりだったが、食堂にいた全員が一夏の全身が燃え盛るような錯覚を覚えていた。

今日はここまで、忙しいねん堪忍したってや

千冬「私達はこれから臨海、林間学校の下見に行ってきます、留守はお任せしますよ山田先生」

轡木「何かありましたら山田先生が指揮をとってください」

真耶「私なんかで本当に大丈夫なんでしょうか・・・」

轡木「他の先生方とちゃんと連携をとれば問題ありませんよ、山田先生も素晴らしい実力をお持ちなのですから」

千冬「自信を持てとは言いませんが、あくまでも生徒を守り抜いてください。では行ってまいります」

轡木「お土産期待してて下さいね」

山田「はあ・・・ホントに大丈夫かなこの学園」

一時間目

一夏「何でまた二つ一気にやろう思ったんや?」

山田「名目上、山と海でのIS操作の研修旅行ですから」

ラウラ「よし一夏は私と同じ班だ」

シャル「僕も!」

セシリア「私もですわ!」

箒「わ、私も・・・」//////

山田「皆さんで話し合って決めてくださいね」

一夏「一班六人やったらあと一人足りへんのちゃうん?」

山田「別のクラスからでもいいですよ」

一夏「ほんなら鈴やな、これで格闘家チームでけるし」

セシリア「私は違いましてよ!?」

一夏「まあまあ、みんな最初はそう言うねん」ニコニコ

シャル「だけどある日突然気づくんだよ」ニコニコ

箒「あ、人を倒すのって気持ちいいとな」ニコニコ

ラウラ「そしてそれが癖になる」ニコニコ

鈴「そこから抜け出せなくなるともうこっち側よ?」ニコニコ

セシリア「恐ろしい話を笑顔で語らないでくださいまし!というより鈴さんいつの間にこちらへ!?」

鈴「二組の先生に今度の林間、臨海学校のメンバーが別のクラスでもいいって言われたからすぐ来たわよ」

セシリア「何かどんどん格闘技色に染まりそうですわ・・・」

シャル「さて、セシリアの洗脳は今日はこれくらいにして」

セシリア「洗脳!?」

一夏「一週間分の用意がいるんやな、買い出し行かな」メモメモ

ラウラ「よし、嫁は私と買い出しだな」

箒「なあラウラ、朝の一件があってお前たち二人で買い物に行かせると思うか・・・?」

シャル「もちろん班の皆で買い出しだからね?」

鈴「抜け駆けは無しよ?」

セシリア「フェアな勝負こそレディの嗜みですわよ?」

ラウラ「う、うむ・・・分かった」ブルブル

一夏「みんな浮かれとるのう」

箒「今度の休みに買い物に行くぞ」

一夏「ええで」

セシリア「一夏さんを悩殺して見せますわ!」

ラウラ「そういえば水着を買わねばな」

シャル「僕も持ってないからそれも見ていこう」

鈴「何買おっかなー」

一夏(俺、みんなの水着買うのまで付き合うんかな、んなわけないわな)

二時間目

一夏「・・・・」カキカキ

箒(真面目に勉強はするんだよなこいつ)カキカキ

ラウラ「山田教官」

山田「はいなんでしょうボーデヴィッヒさん」

ラウラ「速度域の値が恐らく違うと思われます」

山田「あ、すみません!書き直します!」ワタワタ

箒(どれどれ、あ、本当だ)カキカキ

一夏(あれ、あのミスって引っかけちゃうかったんか)カキカキ

セシリア(勉強している一夏さんも素敵ですわ)ウットリ

シャル(うーん、一夏とデートしたいけど、他の四人の目を盗むの大変だなあ)ムムム

ラウラ(嫁の部屋の合鍵は作ったが、バレると怒られるし何かいい方法はないものか・・・)ガリガリ

一夏「・・・・」カリカリ

シャル「・・・・」ムムム

箒「・・・・」カキカキ

セシリア「・・・・」ウットリ

ラウラ「・・・・」ガリガリ

山田(真面目に勉強してくれて、先生冥利に尽きますよ)ホロリ

その頃二組は

鈴(うーん、一夏の奴にどうやって気持ちを向かせよう・・・)ウーン

先生「はい、ではこの問題を鳳さん」

鈴「4二乗です」

先生「はい正解ですね」

意外と文武両道の六人であった

三時間目

一夏「やっと体動かせるわ」

シャル「基礎的なことしかまだしないみたいだけどね」

セシリア「基礎こそ大事な技術ですわ、それがないとお話になりませんもの」

ラウラ「全くだ」

箒「やってみると楽しくなってくるんだこれが」

山田「今日はISを使う前に生身でスポーツをしてもらいます」

一夏「そういうのもええな、っちゅうか元々それ専門やったし」

シャル「僕はどっちでも楽しいよ」

箒「具体的には何をするんだ?」

セシリア「そういえば気になりますわね」

ラウラ「教官がこう言い出したときは大体」

山田「逮捕術を教えちゃいます、ボーデヴィッヒさん、私に殴り掛かって来てください」クイクイ

ラウラ「・・・分かりました」

山田真耶、ファイトスタイル:逮捕術

一夏とシャルの専用機二機を圧倒し高いIS運用技術は全員に知れ渡っているが、それとは別に恐ろしい一面があった。

一通り何事においても並以下にみられがちだがあくまでそれは一般評価であり、千冬には及ばないものの高い運動神経・聡明な頭脳・そして世界的に見ても高いIS操縦技能を併せ持っている。

彼女の持つ技術を知る者は極僅かで、それ故に足元をすくいやすい。

かつては日本代表の座を千冬と争える位置にいた人間が弱いはずがないのだが、彼女の持つ人柄が、実力を羊のベールで覆い隠す。

彼女はブリュンヒルデどころかヴァルキリーにもなれなかった。

それはあくまでも『競技者』として不向きなだけであって、世界でも有数のIS操縦者ではあった。

千冬が彼女を副担任に据えたのは伊達ではない。人一倍勉強に励み、オリンピック選手顔負けの運動量をこなし、千冬を追いかけてきたことを踏まえてのことである。

誰よりも努力をした結果は、指導者として生かされることになる。

優しい気性の彼女が逮捕術を選んだのは必然である。

日本の警察機関が正式採用している逮捕術は、相手を制圧するところに重点を置いている。

相手を傷付けずに無力化する。

一夏の目指しているものに限りなく近い格闘技が逮捕術である。

そしてその技術は一夏の格闘技人生に多大な影響を与えることになる。

ラウラ(的確に捌かれる!)

山田「クラヴ・マガの良さを引き出せてません、本当はもっと恐い格闘技なんですよ」

ラウラも山田真耶の実力を知っているため、手を抜いていない、一夏を殺しに掛かった時と同じ気持ちで彼女を攻めるも
まさに子ども扱い、打・投・極、全ての格が違う。

一夏よりは速さもない、力もない、なのに気が付くと眼前に拳がある。

気が付くと優しく投げられている

気が付くと優しく極められている

そのままラウラは手も足も出ずに制圧されていた。

ラウラ「全く歯が立たない・・・・・・」

一夏「ここまでやとは・・・・・」

箒「織斑先生に隠れてとんでもない怪物がいたものだな」

シャル「・・・・・・・」

セシリア「山田先生、つかぬ事をお聞きしますが」

山田「なんですかオルコットさん?」

セシリア「先程の制圧、実にお見事ではありましたが、十七手前のラウラさんの防御が最も狙い目ではありませんでしたか?」

一夏「!?」

箒「ど、どういうことだ?」

ラウラ「私にもさっぱりわからんぞ」

シャル「全部見えてたの!?」

セシリア「ええ、少し離れてさえいればあとは大体の動きは見切れますわ」

山田「素晴らしい目をお持ちですね、確かにあのタイミングが一番綺麗に極められたんですがあくまでも授業ですので・・・・」

一夏「ほんだらあれでっか!?山田センセ、あんたホンマの子ども扱いしよったいうことやんけ!」

山田「ええ、そういうことになりますね」

ラウラ「~~~~~~ッッッ!」ギリッ

山田「ボーデヴィッヒさんを選んだのは簡単な理由です、まず一つは『命を懸ける』ことに慣れていることです」

一夏「・・・・・」

山田「二つ目が「小柄ゆえのスピード自慢」ということです」

箒「しかし、それにしてもあの技量は凄まじいです」

山田「早い話、私が最も苦手な格闘家を選んだだけのことですね」

シャル「だから一番強い一夏を選ばなかったんですね」

山田(正直織斑君相手だとすごく手こずるんですが、それを言うと織斑先生に怒られるんです!まあ、まだ織斑君に負ける気はしませんけどね)「そういうことです、皆さん、ある日突然謂れのない暴力に晒されることもあります。しかし、それらをただ逃げたり、泣いて過ぎるのを待てばいいというわけではありません。

自分の身を守り、人を守れるような素敵な大人になってくださることを心から願っています」


一夏(逮捕術、こらブルース・リー御大も截拳道に取り込んどいて欲しかったわ、しゃあないから今見たもんをモノにせやなあかんな)

セシリア「真剣な一夏さんもいいですわ~」

シャル(どうやってセシリアをサバットに誘おう・・・・)

箒(今晩一夏と鍛錬しよう)

ラウラ(悔しい・・・・が、さすがは教官の副官だ、クラリッサももっとしごいて切磋琢磨しよう!)


ドーーーーーーーーーーーン!

一夏「!」

セシリア「何ですの!?」

箒「あ、ISの部隊がアリーナを破壊しただと!?」

シャル「あまり友好的なお客さん達じゃないみたいだね!」

ラウラ「負けた腹いせに無事には帰さん」

山田「私に任せて皆さんは避難してください!」

一夏「白式!」

箒「ラファール!」

セシリア「ブルー・ティアーズ!」

シャル「マークⅡ!」

ラウラ「シュバルツェア・レーゲン!」

山田「避難しなさい!」

一夏「なんぼセンセでも六対一で勝てるわけないやんけ!あとで個人授業してもらいたいから死なさんで!」

山田「こ、こここここここここ個人授業!?」/////////

箒「もちろん逮捕術のことですよ」

山田「ほっ・・・・」

セシリア「先生も油断なりませんわね」

シャル「まったくだよ」

ラウラ「貴様ら何の話をしてるのだ?」

一夏「よっしゃ、いっちゃん強そうなやつもろたで!」

事実ナンバーワンの正体不明のISは一夏を軽くあしらい、最短距離で山田の元へと向かっていった

山田「ッッ!?」(つ、強い!)

不意打ちに近い初撃を辛うじていなし、互角の攻防を見せるナンバーワンと山田。セシリアはある違和感を覚えていた。

セシリア(通信が出来ない・・・ではなく、元々そのような機能が無いかような・・・)

答えに行きつく一歩前の瞬間、セシリアは咄嗟にサイドステップをする。

それは正しかった、セシリアの元いた場所にはレーザーの弾痕が刻まれていた。

セシリア「私を狙撃しようなんて十年早いですわ!」

今の今まで観察してきたものを支えに、謎の狙撃ISと壮絶な打ち合いを繰り広げるセシリア。

ラウラ「ふん、貴様が私の八つ当たり先か」

鼻で笑うもラウラは隙を見せない、相手にも隙が見当たらず睨み合ったまま膠着する。同じ穴の狢だろう、ラウラはそう判断し、西部劇のガンマンのごとく永い探り合いとなった。

が、そのラウラを背後から撃ち抜こうとする機体、それを阻止したのがシャルである。

シャル「せっかくだから僕とも遊んでいってよ!」

盾殺しを放つも躱され反撃される、バランスの良い機体であることをシャルは見抜き、同じくバランスの良い機体の自分が当たったことに安堵する。

その安堵に付け込まれる形で相手のライフルの発射を許してしまうも。なんとか回避、泥仕合は幕を開けた。

箒「いい性能のISだな」

問いかけるも全く返事がない、死合ならば当然と気を更に引締め己の修羅を完全に目覚めさせる。

箒の転機となる死合いは無情にも始まってしまう

そして

一夏「残りもんに福があるとええけどのう」

相手の武装もブレード一振り、と見せかけて隠し玉はあると考え己の間合いから相手を逃がさない様に正面から向き合う。

刀のISは正眼の構えを解かず、一夏を見据えて離さない。

一夏(切り札見せるには早いわな、その余裕即崩したるわボケ)

仕掛けたのは一夏、迎え撃つは刀のIS、ここに六対六の命を懸けた戦が始まる

!すでのなでここは日今

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