穂乃果「音ノ木坂軍事学校が廃校?!」 (162)

穂乃果「私の輝かしい軍隊生活が……」

♪オープニングテーマ 『僕らは壕の中で』


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#1 集え! 私たちの隊――

穂乃果「可及的速やかに状況を打破しなければならない!」

海未「何か方法がありますか?」

ことり「学校をPRして入学希望者を増やすとか?」

穂乃果「そうだよ! この学校のいいところを探そう!」

海未「なにか目立った戦果があったでしょうか」

ことり「“殺戮の丘”を生き延びた人がいるみたい」

穂乃果「すごいじゃん!」

ことり「ソ連側だけどね」

穂乃果「ガッカリだよ」

海未「あとは……アフガンで27人殺害した新兵がいたようです」

穂乃果「なかなかだね!」

海未「ん? あ、すべて友軍への誤射のようです」

穂乃果「戦犯じゃん!」

ことり「コソボで捕虜になったけど、料理を振る舞って解放された人が……」

穂乃果「駄目だぁ~」><

海未「よく考えたら英雄がいればもっと人気ですよね……」

穂乃果「うーん、困った……」

秋葉原UTX

穂乃果「たやすいことではないなぁ……」

♪Can I do? I take it,baby!

穂乃果「ん?これは……」

♪What'cha do what'cha do? I do "Private Wars"

穂乃果「!! ……こ、これだよ!」

学校

穂乃果「我々はUTX学園の宣戦布告に応じる!」

海未「は? なにを言ってるんです?」

穂乃果「戦争を始めれば入学希望者も増えるはずだよ!」

ことり「そんな無茶な……」

穂乃果「むこうもやる気なんだよ。この曲を聴いてみて!」

♪What'cha do what'cha do? I do "Private Wars"

海未「これは宣戦布告ですね」

ことり「もろに『戦争する』って言ってるね」

穂乃果「どう?」

海未「しかし、どうしてUTX学園が?」

穂乃果「よく考えてみてよ、Private Warsだよ? なにか思い出さない?」

海未「Private……二等兵……戦争……プライベート・ライアン?」

ことり「ノルマンディー上陸作戦の歌なの?」

穂乃果「そして、このUTXという名前!」

ことり「名前? うーん……あっ、Uってもしかして……」

海未「United States……?」

穂乃果「そしてこのTX、これはユニオンジャックを象ってると思うんだ」

海未「ユニオンジャックの重ね十字ですか? 縦線が少し短いような」

穂乃果「他に丁度いいアルファベットがないから、仕方なくこうしたんだよ」

ことり「アメリカとイギリス……連合国の中核だね」

海未「なるほど、連合国側の組織が、枢軸国に名を連ねていた日本で、ノルマンディーの歌を発表した、と……」

穂乃果「そう……きっとあの戦場を再現しようとしてるんだ……この日本で!」

海未「…………」

ことり「ねえ海未ちゃん、私、やってみようかな」

海未「ことり、本気ですか?」

ことり「穂乃果ちゃんは、私たちが見たことない景色を見せてくれるんだ……」

海未「…………まったく、しょうがないですね」

穂乃果「海未ちゃん!」

海未「やるなら、私たち三人でやらないと、意味がないです」

生徒会室

穂乃果「隊の編成を申請します!」

絵里「認められないわ」

穂乃果「どうしてですか?!」

絵里「分隊レベルでも九人は必要よ。たった三人じゃ班も組めないわ」

穂乃果「じゃあ、人数を増やせばいいんですね?」

絵里「……なぜこの時期に隊を作りたいの?」

穂乃果「廃校をなんとか阻止したくて……だから戦争をしたいんです!」

絵里「ならなおさら認められないわ。戦争は生徒を増やすためにするものじゃない」

帰り道

穂乃果「どうすればいいんだろう……」

海未「どうすれば……」

ことり「あぁ、どうすれば……」

♪だって熱源 感知したんだ

そうだススメ

後退したくない 目の前に

僕らの敵がいる~

レッツゴー! ドゥーン!

穂乃果「私やっぱりやる、やるったらやる!」

#2 戦争をはじめよう!

絵里「これは?」

穂乃果「銃器の使用許可申請書です」

絵里「あなたたち、まだ諦めてなかったの?」

海未「生徒なら所属に関係なく銃器の使用ができると、校則にも書いてあります」

希「まあ生徒会が口を挟むことじゃないかもね」

絵里「ちょっと希!」

穂乃果「では、認めていただけますね?」

絵里「……わかりました。いいでしょう」

教室

穂乃果「武器は手に入った! あとは仲間だね!」

海未「どうやって探しましょう?」

ことり「チラシを貼って募集すればいいんじゃないかな」

穂乃果「そうだね! あっ、でも部隊名はどうしようか」

海未「部隊名といっても、どこかの所属というわけでもないですし難しいですね……」

ことり「独立部隊だし、なんでもいいんじゃない?」

穂乃果「うーん……ま、それも募集すればいっか!」

廊下

穂乃果「このチラシを見て、誰かきてくれるといいな……」ぺたぺた

「……イ……ザーイ」

穂乃果「ん? この声は」

「ばんざーい! 天皇陛下、愛してる! ばんざーい!」

穂乃果「か、革命家……」

穂乃果「あの子か……これは使えるかも」

穂乃果「ねえあなた?」

真姫「ヴェエ?!」

穂乃果「なにしてるの?」

真姫「べっ、別に……」

穂乃果「なんか不穏な言葉が聞こえてきたんだけどな~」

真姫「ヴェエ……」

穂乃果「軍人が反社会的勢力に加担してるなんて知れたら大事だな~」

真姫「な、なによ、何が言いたいの?!」

穂乃果「私たちの仲間になりませんか?」

真姫「な、なにそれ、イミワカンナイ!」

穂乃果「私たち、仲間の秘密をバラすようなことはしないよ」

真姫「どういう意味よ、き、脅迫してるの?」

穂乃果「もしかしたら、私、そのへんに武器を置き忘れちゃうかもな~」

穂乃果「もしそれをあなたがネコババして、組織に横流ししても気づかないかもなぁ~」

真姫「……私を買収しようとしてるの? 本気?」

穂乃果「その気になったら会いにきて。我が隊は君を待っている!」m9 ビシ

真姫「国粋主義者の前でアンクル・サムの真似しないで!」

教室

穂乃果「あったよー! 部隊名の応募!」

ことり「やったね!」

海未「どんな名前ですか?」

穂乃果「えーっとね……M's……?」

海未「sはsquadのことでしょうか」

ことり「MINAMI squad! ことり分隊だ!」

海未「違うでしょう……Mは普通にフォネティックコードだと思いますよ……」

穂乃果「そうか……Mike squad……私たちは、マイク分隊だ!」

ガラッ

真姫「真姫ちゃん分隊ってのはどう?」

穂乃果「あ、あなた! 入ってくれる気になった?」

真姫「……いいわ、乗ってあげる。そのかわり、武器の件、頼むわよ」

海未「なんです? 武器?」

穂乃果「な、なんでもない! 気にしないで!」

ことり「穂乃果ちゃん、何か隠してる……?」

穂乃果「ほ、ほんとに、別に武器を横流しとかそんなことぜんぜん!」

海未・ことり「…………」



希「フフ、動き出したようやな……」

とりあえず今日はここまで
続きは明日か明後日か

#3 まいく・ろみお・ぱぱ

穂乃果「さて新兵、君に初任務がある」

真姫「なんなの、急に偉そうに……」

穂乃果「我が隊は現在人員に困窮している。しからば、我らの意思に賛同する同士を見つけてもらいたい」

真姫「仲間探しを手伝えってこと? 人使い荒いわね……」

穂乃果「ほらいったいった! 上官命令だよ!」

真姫「なによ! そっちだって兵卒じゃない!」

穂乃果「だまれ! 貴君の階級を述べよ!」

真姫「に、二等兵だけど……」

穂乃果「ほのか、一等兵だよ」

真姫「くっ……」

ことり「ここはおとなしく、いった方がいいんじゃないかな、はは……」

穂乃果「伍長殿もこういっておられる! ほらいけ!」

真姫「なんなのよもう!」

廊下

真姫「仲間ったってねえ……ん?」

花陽「…………」

真姫「ねえ、そこのあなた」

花陽「え?! ……わ、私……ですか?」

真姫「そうよ、他にいないでしょう」

真姫「あなた、その部隊に興味があるの?」

花陽「! い、いえ、そういうわけでは……」

真姫「チラシをじーっと見てたじゃない」

花陽「あの、その……」

真姫「まあいいわ、もし興味があるなら声をかけて」すたすた

チャリ……

花陽「…………」

花陽「ん? ドッグタグ?」

花陽「西木野……真姫さん……」

凛「おーい、かよちーん、帰るにゃー」

花陽「あ、うん」

帰り道

花陽「実はさっきかくかくしかじかで」

凛「西木野真姫さん? いつも一人でいる子だよね?」

花陽「うん、それで、このドッグタグ返しに行こうと思うんだ」

凛「うんっ、いいよー」

真姫の家

花陽「あの、突然訪ねてごめんなさい」

真姫「別にいいわ、どうかしたの?」

花陽「これ、拾ったから」

真姫「あ、私のタグ、いつ落としたのかしら」

花陽「学校で話したときに」

真姫「そう、ありがとう……ねえあなた、さっきも聞いたけど、部隊に興味があるんじゃない?」

凛「部隊?」

真姫「私たち独立部隊を作ろうとしてるのよ」

花陽「……興味がないって言ったら、嘘になる……でも……」

真姫「それなら入ってよ。歓迎するわ」

花陽「駄目なんです……私なんかが入っても、足を引っ張るだけだと思うし……」

凛「かよちん、悪い癖が出てるよ」

真姫「音ノ木坂に入ったのに、そんなんじゃ仕方ないじゃない」

凛「そうだよ、かよちんは兵士になりたかったんでしょ……?」

花陽「私、臆病で、どんくさくて……そんな自分を変えたかったけど……」

真姫「だったら、思い切ってやってみるのがいいんじゃない?」

花陽「……ううん、私にはまだ早いよ……」

ガシャーーーン!!!

そのとき突然窓が割れて、何かが部屋に飛び込んできた。

凛「わっ、なに?!」

ブシューーーー

花陽「スモークグレネード?!」

真姫「赤軍派だわ! くそっ、ここがバレるなんて!」

凛「なんでそんな奴らが襲ってくるのぉ?!」

真姫「その話はあと! あいつら銃も持ってる! 身を隠して!」

パンパン!バラララ!

窓の外から銃弾が打ち込まれる。

花陽「助けてえ!」

真姫「床下収納に武器がある! これよ! 使って!」

拳銃を受け取った花陽は真っ先に窓際の壁に張り付いた。

花陽「戦わなきゃ……戦わなきゃ……死んじゃう……」

凛「かよちん、窓際にいたら危ないよ!」

花陽「あそこに敵がいるの!」

花陽が窓から顔を覗かせて、ガバメントのトリガーを引く。

パン! パン!

真姫(臆病なんて言って、すごい闘争心じゃない!)

バラララララ!

花陽「ひいっ! 倒さなきゃ! 倒さないとやられちゃう……!」

真姫(いや、臆病だからこそ、死に物狂いなのか……)

真姫「小泉さん、敵は何人見える?!」

花陽「4、5、6人……!」

真姫「オーケー、プランがあるわ。フラッシュバンを投げる、一斉に飛び出す、一人2キル、どう?」

凛「正面突破?! それってプランっていうの?!」

真姫「小泉さん、できる?!」

花陽「やらなきゃ死んじゃうよぉ!」

真姫「だって、どう?」

凛「めちゃくちゃだにゃー! でもこっちのかよちんも好き!」

真姫「じゃあ、いくわよ、3、2、1……!」

某ビルの屋上

海未「フラッシュバン? あ、出てきた」

穂乃果「うっそ、正面突破?」

ことり「度胸あるね……」

海未「……勝っちゃいましたね」

穂乃果「やるぅ!」

ことり「真姫ちゃんの素性調査にきただけなのに、大変な場面に出くわしちゃったね」

穂乃果「うーん、あの二人、欲しいなあ」

真姫の家

真姫「はぁ、はぁ、なんとかなった」

凛「死ぬかと思ったにゃー!」

『西木野二等兵、こちらマイク分隊だよ、オーバー』

真姫「高坂一等兵? どうしたの?」

『今の戦闘見てたよ。是非ともその二人を我が隊に招きたい! オーバー』

花陽「えっ……?」

真姫「だ、そうよ、どうする?」

花陽「でも……私がお役に立てる自信、ないです……」

『兵士に必要なのは、戦って生き残ることだけ。あなたたちはそれを果たした。あなたたちはもう立派な兵士なんだよ! オーバー』

凛「かよちん、やりたかったんでしょ?」

真姫「素直になりなさいよ」

花陽「…………」

花陽「……小泉花陽、二等兵です。これより帰投し、隊に合流します! オーバー!」

『了解だ二等兵! 学校で待ってるよ! マイクアウト!』

今日はここまでにします

#4 にこ襲来

絵里「駄目よ」

穂乃果「まだ何も言ってません!」

絵里「どうせブリーフィングルームが欲しいとか、そういう話でしょ」

穂乃果「うっ……」

絵里「駄目よ、もう空きはないの」

穂乃果「そんな、それじゃあ隊に必要な人数を集めても、活動拠点がないじゃないですか!」

絵里「そもそも何人集めても編成は無理よ、もう我が校に独立部隊は存在するの」

穂乃果「ファッ?!」

希「そう、だから、そこの隊長さんと話付けないとね」

絵里「希! 余計なこと言わないで!」

穂乃果「そんな……」

廊下

穂乃果「上層部はいつもこうだよ! 情報の後出し、小出し、割りを食うのは前線の兵士なのに!」

ことり「聞いた話だと、隊長さんはこの部屋にいるみたい」

海未「でも、会ってどうするんです? 別部隊の隊長さんにうちの部隊に入ってくださいとは……」

穂乃果「とりあえず会ってみなきゃはじまらないよ」

コンコン

にこ「入れ」

ガラッ

穂乃果「失礼します!」

にこ「あんたは?」

穂乃果「高坂穂乃果、一等兵であります!」

にこ「で、なに」

穂乃果「私たちは独立部隊を編成したいのです。しかし既に存在するから駄目だと」

にこ「そうね、私の隊がある」

穂乃果「それでお話に上がりました。私たちの隊に加わっていただけませんか?」

にこ「……」

バァァン!

穂乃果「……え?」

ことり「ひっ」

海未「に、逃げましょう!」

ドタドタドタ

穂乃果「うわああああ! あの人いきなり50口径ぶっぱなしたよ!」

海未「ヤバイですよあの人!」

ことり「とさかが、ことりのとさかがなくなってる! うわああああ!」

希「追い返されたみたいやな」

穂乃果「あ、副会長さん!」

海未「なんなんですかあの人! 命がいくつあっても足りませんよ!」

希「矢澤にこ少尉、CJTF252第7空挺団所属Mike分隊、唯一の生き残り」

ことり「CJTF252……イラクに派遣された多国籍部隊ですか?」

穂乃果「あの人もマイク分隊なんだ」

希「……」

希「当時は矢澤にこ軍曹だった」

希「第7空挺団に与えられたタスクは、アラビア海側からクウェートに上陸し、侵攻するものだった」

希「それほど難しいミッションではない……はずだったんや」

希「だけど、イラクの国境線に待っていたのは、一個旅団クラスの大部隊だった」

希「そんな情報はなかった。作戦失敗は火を見るより明らかだった」

希「まもなくして、第7空挺団はほぼ壊滅状態。
作戦の継続は不可能だったけど、なかなか撤退の許可は下りなかった」

希「矢澤軍曹が率いるMike分隊は、隊長以外の全員が戦死」

希「大きな損害を出した矢澤軍曹は軍法会議にかけられたけど、
作戦失敗を認めるわけにはいかなかった上層部は、
アリバイ作りと口封じのため、矢澤軍曹を少尉に任命するという特別措置を講じた」

希「書類登録上、矢澤少尉のMike分隊はまだ生きているから、君たちの隊は認められないというわけ」

穂乃果「そんなことが……」

海未「地獄を見たんですね……」

穂乃果「……私やっぱりあの人と仲間になりたい」

ことり「どうやって?」

穂乃果「もう一度いこう、マイク分隊招集!」

にこ隊の部屋前

穂乃果「あっ、少尉!」

にこ「あんたたち、また……」

穂乃果「お願いします、私たちの仲間になってください!」

にこ「ふざけんなっつーの! 無礼者め!」

バタン!

真姫「ちょっと、話くらい聞いてくれても……!」

ガラッ……カツン

真姫の足元に手榴弾が転がる。

真姫「え?」

海未「ブービートラップです! 退避!」

真姫「うわあああああああああ!」

パンッ!

真姫「あああ……あ? 訓練用……?」

穂乃果「…………」

穂乃果「……西木野二等兵が戦死! KIAだ!」

真姫「え? 生きてるけど……」

穂乃果「現時刻より矢澤少尉を脅威と認定し、これに対抗する!」

真姫「あの……」

穂乃果「いいからそこで死んでて!」

真姫「はぁ?」

穂乃果「作戦目標は矢澤少尉の捕縛! マイク分隊、状況開始!」

凛「窓から逃げたみたいです、一等兵殿!」

穂乃果「外に出て回り込め!」

凛「了解! いくにゃー!」

バシャー!

凛「痛い! 痛い!」

海未「茂みの中にクレイモアです!」

凛「あとは……お願いしますにゃ……」ガクッ

穂乃果「くそぅ!」

ことり「あっ、アルパカがこっちにくるよ!」

花陽「危ないからきちゃだめ! 小屋に戻してきます!」

アルパカ「ベェエ~」

花陽「ん? これは……」

花陽「あ、アルパカの首にC4が……!」

パーン!

花陽「きゃー!」

ことり「小泉二等兵とアルパカ大佐が戦死しました!」

海未「目標は校舎内に戻ったもようです!」

穂乃果「海未ちゃんはAルート、ことりちゃんはBルートでお願い! 挟み撃ちにするよ!」

海未・ことり「了解!」

#4途中だけど今日はここまで
すみません

校舎内

海未「逃げ足が速いですね……」

『こちらことり、目標をB棟1階で確認、B-4通路からC-2方面へ移動中だよ!』

『こちら穂乃果、目標確認、C-2階段から2階に上がった!』

海未「了解。ということは……こっちにきますね」

海未「ことり、C-1階段から2階へ上がってください。裏を取れるはずです」

『了解!』

海未「…………おかしい、もうきてもいいはず」

『こちら穂乃果、A棟3階、ポイントF付近に目標発見!』

海未「そんな、予想ルートと違う!」

ことり「海未ちゃん! 目標は?」

海未「化かされました! ここにはきません!」

すー……

にこ「誰がこないって?」

海未「――?!」

ことり「窓の外?!」

バラララララララララ!

ことり「いやーー!」

海未「痛い痛い! 痛いですって!」

にこ「ふん、一丁上がり」

にこはわざと見つかりながら移動し、海未とことりをB棟の“あるポイント”におびき出したのだった。

そこはA棟と隣接するエリアで、A棟の窓からラペリング降下したにこの射程範囲であった。

二人を撃破したにこは、振り子のように勢いをつけて、B棟に飛び移った。

にこ「通信機を貸しなさい」

にこ「あー、こちらは矢澤少尉。あんたの隊は全滅よ」

『え?! 海未ちゃん、ことりちゃん、やられちゃったの?!』

ことり「うん……」

海未「まんまと……」

『そうか……でも少尉、私は諦めません』

にこ「はぁ? あんた一人で何ができるわけ?」

『捕まえられないなら、そちらからきてもらうまでです』

にこ「何いってんのよ、いくわけな」

ドカーーーーーーン!!

にこ「え?! なに?!」

窓の外を見ると、教室の一つが木っ端微塵に吹き飛んでいた。

にこ「あばば……あ、あんたがやったの?! どういうつもりよ!」

『次はあなたの部屋をふっ飛ばします。あなたのMike分隊のブリーフィングルームを』

にこ「っ……! ふ、ふざけるな! そんなことさせない!」ダッ

にこ部屋前

ドカアアアーーーーーン!!!

にこ「あ、あああ……」

にこは爆散する教室の前で立ちすくんだ。

その背後から穂乃果が忍び寄って、にこの後頭部に銃を押し当てた。

穂乃果「遅かったですね、少尉」

にこ「貴様、ふざけるなよ……地獄に送ってやる……」

穂乃果「安心してください、少尉。今吹き飛んだのは、あなたの部屋の手前の教室です」

にこ「……え?」

穂乃果「私たちのブリーフィングルームを、破壊したりしませんよ」

にこ「あんたたちの仲間にはならない!」

穂乃果「違います、私たちをあなたの隊に入れて欲しいんです」

にこ「……っ、私はもう部下など持ちたくない」

穂乃果「ではどうして、この学校にいるんです」

穂乃果「尉官の称号をぶら下げて、あの部屋を守り続けているのはなぜです?」

にこ「……死者のためよ! 彼らがいた証を、ここに残し続けなくちゃならない!」

穂乃果「それだけですか? あの部屋にある装備は、まるで戦争をするためのものに見えます」

にこ「…………」

穂乃果「CJTF252……司令部はペンタゴンですよね」

にこ「何が言いたいの」

穂乃果「いえ、ただ、私たちは、アメリカ及び連合国と戦争しようと思っています」

にこ「はぁ?! なにわけのわからないこと……」

穂乃果「私たちは6人です。1人でやろうとしてる人よりは、わけわかるんじゃないかな」

にこ「はっ、誰よそのマヌケな1人は」

穂乃果「自分たちを地獄に送り込んで見殺しにしたアメリカに、復讐を望んでいる人です」

にこ「もうういいわ! 話は終わり。馬鹿なことを考えるのはやめなさい」

穂乃果「大尉、一つ勝負をしませんか?」

にこ「はあ?」

穂乃果「ロシアンルーレットです。弾は何発入れても構いませんし、どちらが先にやるかを決めるのもそちらで構いません」

にこ「あら素敵、6発入れてあんたが先ね」

穂乃果「OKです。これ6発入ってるから丁度いいや」

穂乃果はにこに押し当てていたリボルバーを自分のこめかみに向けた。

穂乃果「私の命をあなたに預けます、隊長」

にこ「なんのつもり」

穂乃果「私が死んでも、あなたが生きている限り、私の思いは死なない」

にこ「やめなさい」

穂乃果「だから、あとのことは頼みます。できれば、私の仲間を部隊に加えてあげてください」

にこ「もうわかった! それを離しなさい!」

穂乃果「これが隊というものです、にこ隊長! みんなの夢をあなたに託します!」

穂乃果はトリガーを引いた。

しかし弾丸は発射されなかった。撃鉄がにこの指に食い込んでいた。

にこ「いだだだだだ! いだい! いだい!」

穂乃果「私の勝ちですね、にこ隊長!」

屋上

にこ「我が隊の訓練は厳しいわよ! ちゃんとついてこれる?!」

全員「はい!」

にこ「いくわよ、にっとにっとへー!」

全員「にっとにっとへー!」

真姫「なんなのこれ」

にこ「左にいる赤いの! ちゃんとやりなさい!」

真姫「私は右にいる黒いのよ!」

にこ「それじゃあもう一回いくわよー! にっとにっとへー!」

ちゃららちゃんちゃんちゃーん
てれれてんてんてーん だだだだだだだ
とぅーとぅとぅんとぅんとぅー
とぅーとぅとぅんとぅんてーてーてーてー
ててってー ててってーてれれー
素直に追いかけて~

#5 隊長は誰だ?

にこ「私に決まってるでしょ」

穂乃果「そうだよね」

海未「なにせ少尉ですしね」

ことり「指揮権が移るとしたら死んだときくらいだよね」

凛「にこ少尉が死んだら誰が隊長になるの?」

ことり「階級的には私かな」

海未「その次に上等兵の私、次が穂乃果」

花陽「そのあとは?」

穂乃果「じゃんけんで決めたら?」

真姫「そうね、みんな同じ階級だし」

にこ「はいこの話は終わり」

あ、ミス発見
>>82

× 穂乃果「大尉、一つ勝負をしませんか?」
○ 穂乃果「少尉、一つ勝負をしませんか?」

これって階級はどうやったら上がるんだ?

>>89
試験や演習の成績、委員会活動、在校年数など
通常1年生は一等兵まで、二年生は伍長まで、三年生は曹長までいけますが
にこのように実戦経験があると昇任が速いです
理事長の娘は贔屓されてるので速いです

#6 エリーチカ

花陽「大変です~! ラブライブとかいうのが開催されるみたいですー!」

穂乃果「なにそれ?」

花陽「よくわからないけど、例のUTX学園の広告塔的なやつらも参加するみたいです」

ことり「あらいなんとかってやつ?」

海未「軍事サミットみたいなものでしょうか?」

凛「きっと凛たちを潰す作戦を立てるんだよ!」

にこ「一大事だわ! 私たちも乗り込みましょう!」

真姫「じゃあ大佐のところに許可をもらいに行きましょ」

大佐室前

穂乃果「緊張するなあ……よーし……」

ガチャ

穂乃果「わっ」

希「ん? 君たちどうしたん?」

絵里「なんの用?」

穂乃果「うわわ生徒会長……」

真姫「大佐にお話があってきました」

絵里「申請は生徒会を通すように」

真姫「申請とは言ってないわ、ただ話があるの!」

穂乃果「真姫二等兵、上官であらせられるぞ!」

南大佐「絢瀬少尉、構いません。通して」

絵里「はい……」

……

南大佐「ふぅん、ラブライブ。いいんじゃないかしら」

穂乃果「では、認めてくださいますか?」

南大佐「オーケーよ」

穂乃果「やったー!」

絵里「なぜです! 生徒会には学校存続のための活動を認めてくださらないのに!」

南大佐「だってあなたたち私の直轄じゃない。下手打たれると私が困るのよねー」

絵里(糞野郎……)

南大佐「それに学校がなくなっても私は軍部に戻るだけだしー?」

絵里「糞野郎……」

希「声に出とるよエリチ」

南大佐「少尉、口から糞を垂れる前と後にサーを付けろ!」

絵里「サー! 糞野郎! サー!」

南大佐「よし」

穂乃果(いいんだ……)

絵里「……失礼します」つかつか、バタン!

南大佐「一つ条件があります」

穂乃果「え?」

南大佐「今度の試験で不合格者を出さないこと、いいですね」

ことり「さすがに不合格はないからだいじょ……あれ……?」

穂乃果・凛・にこ「うぅ……」ガックシ

ブリーフィングルーム

穂乃果「大佐はそれを試験と呼んだ。我々はそれを、ヘルズハイウェイと呼んだ」

凛「誰か凛に銃を! 自殺用の銃を!」

にこ「おふぃふひははいお、あわひはいあえ(落ち着きなさいよ、だらしないわね)」

ことり「デザートイーグル咥えながら言われても……」

海未「二人はともかく、少尉もですか……」

にこ「ははひははいほふほ!(私は大丈夫よ)」

海未「困りましたね、穂乃果は私とことりが、凛は真姫と花陽が教えればいいですが……」

ことり「にこ少尉はどうすればいいのかな」

ガラッ

希「それはウチが担当するよ」

にこ「げっ、希……わ、私は心配ないって言ってるでしょ」

希「んー? 嘘つくとアブグレイブ式尋問術やよぉ?」わしわし

にこ「いやだー! 乳首に電極を刺されるのはいやだー!!」

花陽「拷問はジュネーブ条約で禁止されたはずじゃ……」

穂乃果「よし、ブリーフィングは終わり。明日から頑張ろう!」

海未「今からです」

勉強中……

凛「これが毎日続くのかにゃー……」

真姫「当たり前でしょ」

凛「あ! 上空に敵軍の無人偵察機!」

花陽「え?!」

真姫「ひっかかると思ってる?」バシっ

花陽「グローバルホークなのかぁ……」

穂乃果「ことりちゃん……さよなら」ガクッ

ことり「穂乃果一等兵がKIAですー!」

海未「まったく……」

希「この問題の答えは?」

にこ「ええと……に、にっとにっとへー……?」

希「ちゃんとやらんとアブグレイブやゆうたやろ?」ビリビリビリ!

にこ「ぎゃーーーーーーーー!!!」

海未「はぁ……ことり、あとは頼みます。私は訓練があるので」

ことり「了解!」

ガラッ

絵里「まったく、こんな状態で部隊が成り立つのかしら」

海未「生徒会長……」

絵里「あなたたちのしたことで、学校の名に傷がつくことも考えられるのよ?」

海未「そうならないように努力しています。今も……」

絵里「戦場も知らないルーキーが多少努力したところでどうなるというの」

海未「それは……でも、訓練を積んでいけば……」

絵里「無理ね。私にとっては、あなたたちのしてることは、おままごとよ」

海未「あなたにそんなこと言われたくありません!」



……

神社

希「そう、エリチにそんなこと言われたんや」

海未「どうしてあんなに私たちを敵視するんでしょうか……」

希「エリチは戦争狂なんよ。KKEって知ってる?」

海未「いえ」

希「"Knife kill Eli" 切れたナイフのエリーチカ。戦場でのエリチのあだ名よ」

希「エリチはロシア軍将校の私設傭兵団に所属してたの」

希「世界中の戦場を飛び回って、来る日も来る日も戦いに明け暮れた」

希「エリチが音ノ木坂にくる以前に殺した兵士の数はおよそ150人」

海未「すごい……」

希「その内、銃によるものは100人ほど。残りの50人は素手で殺したんよ」

海未「そんな馬鹿な!」

希「システマの技に腕を鞭のように振るう打撃法があるやろ?」

希「エリチはそれを指先でやるんよ。相手の喉めがけてね」

希「すると相手は、まるでナイフで切られたみたいに喉を裂かれる。それがKKEの由来」

希「その動作がまるで踊ってるみたいだから、
『エリーチカに会ったらbullet(弾丸)よりballet(バレエ)に気をつけろ』
なんて言われることもあった」

希「そんなエリチからしたら、実戦に出たことのない兵士なんて、お遊びにしか見えないってのもわかるやろ?」

海未「……そうだったんですか……」



……

そして試験は終わり、マイク分隊の面々は無事合格点を取れた。

穂乃果「大佐に報告しに行こう!」



大佐室

絵里「どういうことですか!」

南大佐「これは決定事項よ。二週間後のオープンキャンパスでいい結果が出なければ、音ノ木坂軍事学校は廃校とします」

穂乃果「えっ!」

♪ちゃららちゃんちゃんちゃーん

素直に追いかけて~

#7 やりたいことは

穂乃果「事態は逼迫している。二週間で国土を燃やさなければならない」

海未「たった二週間でなにかできますかね……」

にこ「そういえばラブライブとかいうのはどうなったの」

花陽「大変ですー!」

バタバタバタ

花陽「ラブライブはアイドルグループじゃないと参加できないらしいです!」

ことり「アイドル?」

真姫「なによそれ、軍事サミットじゃなかったの?」

穂乃果「きっと隠れ蓑だよ! あらいなんとかっていうのもアイドルの真似してたし!」

にこ「じゃあ私たちもアイドルを装って潜入するわけ?」

穂乃果「うん! アイドルをはじめよう!」

凛「面白そうにゃー!」

生徒会室

絵里「どうしたらいいの……あと二週間で……」

希「どうすればいいか、じゃなくて、なにをやりたいか、が大切なんじゃない?」

絵里「私だってやりたいようにやってうまくいくなら、そうしたいわよ!」

希「だったら……っ」

絵里「私たちの学校のこれからがかかってるのよ……!」

希「ウチずっと思ってた……エリチはいつも自分を押し殺して、人のことばかり」

絵里「そうしなきゃならないんだから仕方ないじゃない!」

希「エリチの本当にしたいことはなに?!」

絵里「私の……したいこと……」

絵里「殺したい……殺して殺して殺して殺して、死体の山に旗を突き立てたい!」

絵里「だけどそんなことして何になるっていうの?!」

希「ウチね、エリチに黙ってたことがあるんよ」

絵里「え……?」

希「ウチの出身地、って言ったらいいのかな。それは、バージニア州マクレーン」

絵里「う……そ……それって……」

希「ホワイトハウスもペンタゴンも、自衛隊を軸に日本の軍事体制を整えたがってる」

希「でも『ウチら』は違う。『ウチら』にとっては、旧帝国陸軍の亡霊であるこの学校が必要」

絵里「C……」

希「それ以上言ったらあかんよ?」

絵里「……」

希「日本にはカンフル剤を打たなきゃならない。軍部の復権のためにね」

希「そのための準備はしてきた。日本は間もなく戦火に包まれる」

希「エリチが踊る舞台は、もう用意されてるよ!」

屋上

穂乃果「うーん、アイドルって難しいね」

ことり「ダンスなんてしたことないもんね」

にこ「こんなんじゃアイドルを装うなんて無理だわ!」

海未「ダンス……? そうだ! 生徒会長!」

穂乃果「どうしたの?」

海未「生徒会長はバレエが得意なんです! あの人に教えてもらえたら……!」

絵里「私の力が必要なようね、マイク分隊諸君!」

海未「会長!」

希「絢瀬絵里少尉、並びに東條希軍曹! マイク分隊への入隊を志願します!」

穂乃果「本当ですか?!」

にこ「入隊を認めるわ、少尉、軍曹。さっそくだけど私たちは、一週間でダンスを覚えないとならないの」

絵里「お安いご用よ。システマの基礎から叩き込む。
あまりの厳しさに死者が出るかもしれないけど恨まないでよね。
一週間後あなたたちは、最高のウォーマシーン、そして最高のダンサーになってるわ!」

……一週間。睡眠も食事も許されず、飢えをしのぐ手段は泥水をすすることだけ。

全身に傷を負い、筋肉は腫れ上がり、四肢が痺れ、折れた骨は一本や二本じゃすまない。

気を失おうものなら水中に沈められ、目覚めなければ溺死する。

そんな地獄の特訓をマイク分隊は耐えぬいた。

そしてついに究極の肉体を手に入れたのだ。

乳房は完全に胸板となり、膨らみに乏しかったにこですら、胸囲が100cmを超えていた。

にこ「さて諸君、悲願のラブライブだ。この日をどれだけ待ったことか……」

穂乃果「ああ、嬉しいよ……俺達はこの日のために地獄のような一週間を送った……」

ことり「死んだほうがマシだと一秒に十回は思ってたぜ……」

海未「だがそれももう終わり……ついに俺達の最高のダンスをお披露目できるというわけだ」

凛「見ていやがれクソッタレどもめ……ラブライブなど踏み台にすぎん」

花陽「そう、俺達はここから世界に羽ばたく……!」

希「マイケルのバックダンサーになるためにな!」

絵里「よろしい、みんな、精一杯頑張りましょ」

真姫「……どこから突っ込んだらいいかわかんないけど、まず性別変わってない?」

穂乃果「いくぞおおおお! マイク分隊、ミュージックスタートおおおお!!!」

全員「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

そしてラブライブの本番。

マイク分隊は、世界でも稀に見るレベルの最高のパフォーマンスを見せつけた。

しかし彼女たちはあまりにアイドル離れしていた。

鋼のような肉体、猛獣すら怯える鋭い殺気、大地が揺らぐほどの威圧感。

彼女たちはアイドルというより、もはやスタローンだった。

当然、最下位に終わった。

優勝者であるA-RISEのメンバー、綺羅ツバサは、彼女たちを見てこう言ったという。

ただ一言「つよそう」と……。

#8 最高のプラン

海未「ワンツースリーフォー」パンパン

穂乃果「…………」

海未「こら穂乃果、なにさぼってるんです!」

穂乃果「目を覚ませ!」パァン!

海未「あうっ!」

ことり「穂乃果ちゃん、どうしたの?!」

穂乃果「それはこっちの台詞だよ! みんなどうしちゃったの?!」

にこ「次のラブライブに向けてレッスンしてるんじゃない」

海未「そうですよ! 次こそ勝とうって……!」

穂乃果「バカ!」バチッ!

海未「うわぁー!」

穂乃果「なにアイドルぶってるの! 私たちは軍人なんだよ!」

全員「……!!」ハッ

海未「そ、そうでした……すっかり忘れていました……」

穂乃果「廃校決定までもう一週間ないんだよ!」

凛「やばいにゃ……やばいにゃ……」

絵里「安心しなさい! 私たちがアイドルぶっていた一週間は無駄ではないわ!」

真姫「たしかに身体能力は飛躍的に上がったわ」

花陽「素手で喉掻っ切れるようになったしね」しゅっしゅっ

希「あぶなっ! KKE振り回すのやめーや!」

穂乃果「とにかく残された時間でなんとかしないと!」

ブリーフィングルーム

にこ「みんな、良い報せと悪い報せがあるわ。どちらから聞きたい?」

絵里「悪い報せを」

にこ「UTXは普通の学校だった。連合国とはなんの関わりもなかったわ。私たちの攻撃目標にはならない」

穂乃果「うそ?!」

海未「私ははじめからおかしいと思ってたんですよ……そんなわけないじゃないですか」

凛「良い報せはー?」

にこ「三日後、合衆国大統領が来日する」

花陽「まさか……」

にこ「そのまさかよ二等兵。私たち九人の最初のミッションが決まった。大統領暗殺よ」

ことり「ふえぇ……」

真姫「うっそでしょ……本気で戦争になるわよ」

にこ「では作戦参謀、説明を」

希「三日後の夜、銀座で大統領と首相が会食するんよ」

希「そこをウチらが襲撃するってわけ」

希「彼らは50台ほどの車列で到着し、店に入る」

希「そこから作戦開始や。警備に攻撃を仕掛け、大統領が脱出するまでの短い時間が勝負」

穂乃果「はいっ! どうしてそこなんですか? 他にも狙えるタイミングはあるのでは?」

希「まず空港は無理や。セキュリティが厳しいし、脱出経路が多くて向こうに有利」

希「そして宿泊私設を襲うのも無理やな。侵入できても脱出する方法がない。袋のネズミや」

海未「なるほど、街中なら私たちの脱出経路も多く、しっかりしたセキュリティもない」

絵里「非常事態となれば、大統領は狭い店内に籠もってるわけにいかない。あぶり出すのも簡単ね」

希「そういうこと。それと重要な点が一つ。決してウチらの素性が知れてはならない」

にこ「ターゲット殺害よりも、捕まらないことを優先して。暗殺に成功しても捕まったら作戦失敗よ」

希「逆に暗殺失敗しても、全員脱出できれば作戦成功。だから絶対に無理はしないでね」

真姫「なるほどね、で、敵の規模は?」

希「まず日本の警察が16000人」

にこ「こいつらはぶっちゃけどうでもいいわ。適当にあしらって」

希「問題は米側の戦力。おそらく軍の一個小隊が第一防衛ライン。
そして米警察の特殊部隊が第二防衛ライン。
最後にシークレットサービスが大統領の周りを固めてる」

にこ「最も警戒しなきゃならないのは第二防衛ラインよ。
奴らは都市部での要人警護に長けている。ことこの戦場においては軍より強いと思っていいわ」

希「警護専門のシークレットサービスと違って、制圧力も高い。できれば交戦したくない相手やね」

にこ「作戦概要はだいたいこんな感じ。マップを見て」

希「監視カメラの死角になっているセーフティゾーンをリストアップしてあるよ」

にこ「このセーフティゾーンが状況開始ポイント、かつ脱出ポイントになるわ」

花陽「脱出ポイントがいくつもある? どういうことですか?」

希「簡単よ。まず普通の女子高生の格好で現地入りするやろ?」

絵里「そしてセーフティゾーンで戦闘服に着替えるわけね」

希「そう。で、撤退の際も同じように、適当なポイントで女子高生ルックに着替え、
素知らぬ顔でそこを離れる」

海未「なるほど、日本社会ではこれ以上ないほどの都市迷彩ですね」

にこ「突然現れて突然消える、亡霊兵士ってわけよ」

凛「配置はどうなるの?」

希「こんな感じやね」

観測手→東條

斥候→西木野、小泉

狙撃手→絢瀬、園田

歩兵→(矢澤、星空)(高坂、南)

希「ウチがみんなに情報を伝えるよ。ただ場所がビル街だけあって見通しが悪い。
ウチの死角を真姫ちゃんと花陽ちゃんにカバーしてもらうからね」

花陽「はい、精一杯やります」

真姫「了解よ」

希「エリチと海未ちゃんは歩兵のフォローね。特に脱出の成否は二人の仕事にかかってるよ」

絵里「任せて」

海未「成功させてみせます」

にこ「歩兵はツーマンセルを2チーム。しっかり頼むわよ、凛」

凛「がんばるよ!」

穂乃果「私とことりちゃんがコンビかぁ」

ことり「よろしくね!」

にこ「それじゃあみんな、マップをしっかり頭に叩き込んでおくのよ。解散!」

大佐室

南大佐「目的のために自国のトップまで生贄にするとは、とんでもないわね、あなたたちは」

希「大統領の代わりはいますが、帝国陸軍の代わりはないんですよ、閣下。合理的判断です」

南大佐「ま、あなたの国の事情はどうでもいいけどね」

希「それはこちらも同じです。軍が復活したあとの国内事情には関知しません」

南大佐「で、うまくいくのかしら?」

希「ええ、きっと。カードがそう言っています」

南大佐「情報のプロが占い? 面白いジョークだわ、ミス・トージョー」

希「不確かなものにこそ可能性が潜んでいるんですよ、だから面白いのです」

南大佐「よく言うわ、二の矢、三の矢を準備しているくせに」

希「なんのことです?」

南大佐「あなたの通信記録、調べさせてもらったわよ。イスラム武装組織にもお友達がいるようね」

希「お見通しですか。まあ、そういうことです。この作戦は成功させますよ」

南大佐「心強いことね、ミス。でもひとつ言わせてもらうわ」

希「なんでしょう」

南大佐「なんでもあなた方の思い通りになると思うな。あなたの上司にも伝えておけ」

希「はっ……ははははっ……! ……肝に銘じておきますよ閣下、それでは」

ギィ

バタン……

  _人人人人人人人人人人人人人人人_
  >図解!これがマイク分隊の装備だ!<
   ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

■穂乃果、ことり、にこ、凛:IMIマイクロ・ガリル
ガリルの銃身を切り詰め、折り畳み式ストックに変更した小型モデル。
アサルトライフルとしては非常にコンパクトで、通学カバンに入れて携行しやすい。

■絵里:VSSヴィントレス
大型のサプレッサーと特殊な低速弾を組み合わせ、非常に高い消音効果を実現した狙撃銃。
市街地での近距離狙撃ミッションであるため、隠密性を考慮してこれを採用した。
ギターケースで携行する。

■海未:SVU
ドラグノフ狙撃銃をブルパップ化したモデル。VSSが一丁しかなかったのでこれを使用。
サプレッサーは装着しているが、消音効果は薄いため、脱出時のバックアップが主用途。
同じくギターケースで携行。

■希、真姫、花陽:コルトM1911A1
みんなだいすきガバメント。
一応持ってるが、観測手と斥候は戦闘を許可されてないので基本的に使用しない。

アクションシーンを書くのに手こずってます・・・

#9 せんゆう

銀座の街を4人の女子高生たちが歩いている。

穂乃果「えー、マジー? 超ゆるふわじゃーん」

にこ「マジおしゃんてぃーなんですけどー」

凛「うちらモテカワだしぃー?」

ことり「激おこだよねー」

希『セーフティーゾーン侵入、周囲に人影なし』

イヤホンから聞こえた声を合図に、女子高生たちは静まる。

マルイの紙袋から取り出したUCP迷彩の戦闘服を制服の上に直接着て、
頭部にアフガンストールを巻き顔を隠す。

素速く着替えると、今度は紙袋からマイクロ・ガリルを取り出す。

マガジンを装着し、コッキングハンドルを引いて、セレクターをセミオートに合わせる。

紙袋は手速く畳んでポケットに詰める。エコのためではない。生きて帰るためだ。

にこ「配置についたわ、指示を」

希『ゲット・レディ』

希が手元のリモコンを操作すると、エリアの一角で爆発が起こった。

4人の歩兵がいるブロックの対角方向だ。陽動である。

希『オープン・ファイア』

絵里『ファイア』

VSSのバレルが跳ね上がり、9x39mmSP-6徹甲弾がシークレットサービスの顎を食いちぎる。

にこ「いくわよ! ゴー、ムーブ!」

歩兵部隊が行動を開始する。互い違いに二列に並んだ隊形で、静かに、迅速に前進する。

曲がり角の先に敵兵士を発見した。

にこ「コンタクト。どうする?」

希『速やかに排除』

にこ「了解」

マイクロ・ガリルが火を吹き、敵兵士の膝が弾ける。

何が起こったかもわからず崩れ落ちる敵に、二発三発とフルメタルジャケットを叩き込む。

にこ「タンゴ・ダウン」

にこは敵の死亡を確認すると、ハンドサインで隊に前進を指示した。

穂乃果「さっきの爆発のお陰でこっち側は敵が少ないね」

ことり「ちょっと安心したかも」

凛「今のうちにどんどん進むにゃー」

にこ「無駄口を叩かないように」

希『そのまま進むと敵が複数いるエリアに入るよ、油断しないでね』

にこ「了解」

希『エリチ、そこから見える?』

絵里『見えないわ、一つ先の十字路まで押し込んでくれれば狙えるけど』

にこ「みんなやることはわかるわね?」

穂乃果「もちろん」

希『6人いるよ、確認できる?』

にこ「確認したわ。とっとと片を付けるわよ」

にこは隊に待機の指示を出し、MK2破片手榴弾のピンを抜いた。

二秒待ってそれを敵集団に投げ込む。

にこ「斉射」

手榴弾が炸裂するとともに、4人の銃弾が一斉に敵を襲う。

この奇襲によって敵は次々と倒れた。

咄嗟に身を隠した者はたまらず後退するが、その先こそがキリング・フィールドだ。

絵里『いらっしゃい』

虎視眈々と待ち受けていた絵里がVSSのトリガーを引くと、最後の一人も沈んだ。

にこ「お見事」

花陽『今の爆発音と銃声でこちら側の敵に察知されました。場所も特定されてるみたいです』

真姫『陽動で混乱した奴らも態勢を整えて集結し始めてるわよ』

希『敵の規模と進行ルートは?』

花陽『CブロックからEブロック方面へ移動中、一個分隊です』

真姫『こっちはまだ動いてないわ、でも時間の問題よ』

海未『そのルートなら私のレンジに入ります。撃ちますか?』

希『まだや、海未ちゃん。居場所がバレたらまずい』

海未『了解、引き続き待機します』

にこ「オーケー、歩兵部隊は予定通り二手に別れるわよ」

希『穂乃果チームはEブロック方面へ、にこチームは迂回して敵のサイドに出て』

穂乃果「了解、行こうことりちゃん」

ことり「うん」

にこ「凛、付いてきて」

凛「アイサー」

希『ここからじゃそちらの様子はわからない。海未ちゃん報告して』

海未『敵は想定されたルートを進行中。このままいけば数十秒後に穂乃果チームとコンタクトします』

真姫『こちらも動き出したわ。Aブロックから一個分隊が南下中』

絵里『そいつらは私が受け持つわ』

ことり「穂乃果ちゃん、きたよ」

穂乃果「敵分隊確認、いきます!」

希『にこチームが到着するまで踏ん張って!』

穂乃果とことりがビルの角から半身を覗かせて射撃を開始する。

しかし敵も警戒態勢であったため、これまでの奇襲のようにはいかなかった。

素速く遮蔽物に身を隠し、応戦してくる。

穂乃果「おっと……!」

銃弾がビルの壁面を削り取り、穂乃果は慌てて顔を引っ込める。

ことり「二人で分隊相手はやっぱり厳しいね」

接近を許すとそのまま物量で押し切られてしまう。

危険だが絶えず撃ち続けなければならない。

花陽『にこチーム見えました。そのまま大通りの方向へ行けば敵の右翼に出ます』

にこ「オーケー」

凛「急ごう!」

穂乃果チームはなんとか敵の侵攻を食い止めているが、弾薬の消費が激しく、ジリ貧だった。

敵の攻勢に耐えるにはフルオートでばら撒くしかなかったのだ。

穂乃果「ことりちゃん、手榴弾は?」

ことり「あといっこ!」

穂乃果「まずいなぁ」

そのとき敵のフォーメーションが崩れた。

二人か三人か、地べたに這いつくばるのが見えた。

ことり「きた!」

にこチームが敵のサイドから襲撃を食らわせたのだ。

だが敵の対応も迅速だ。隊から何人かが分離し、にこチームに狙いを定める。

凛「こっちにくるよ」

にこ「さがって」

絵里『こちらの敵を何人か撃ち漏らしたわ』

希『にこっち、そっちに行くはずよ、退避して』

にこ「移動するわよ。合流されたら面倒だわ」

にこチームはきた道を戻る。しかし敵も追ってきた。

にこ「穂乃果たちは消耗してると見て、私たちを目標にしたんだわ」

凛「どうしよう!」

にこ「逃げながら倒す。絵里が逃したやつらがくる前に片付けないと」

二人は追ってくる敵に応戦しながら、可能な限り急いで後退する。

角を曲がったところで、ビルの壁面に外階段が備えられているのに気付いた。

にこ「これを使うわ、凛、登って」

凛「了解だにゃー!」

凛が階段を駆け上がり、二階のドアから建物内に進入する。

にこは近くの電柱に身を隠し、突き当りの壁に向けて射撃した。見せ弾だ。

曲がり角の直後で止まらず、もっと奥まで退避していることを知らせるためだ。

敵はまんまと乗せられた。曲がり角の直前まで到達し、そこで止まった。

その姿は建物二階の窓から丸見えだった。

凛はフルオート射撃で窓を粉々に割り、すぐさま身を乗り出して眼下の敵に銃口を向けた。

にこは窓が割れる音を合図にして手榴弾を投げ込む。

銃声と爆発音が鳴り響き、そして次に凛の声が聞こえた。

凛「クリア!」

にこ「上出来! さあいくわよ」

希『おかしい……誰か、特殊部隊を見た?』

花陽『こちらは見ていません』

海未『こちらもです』

希『どうして出てこないの……向こうさんにもかなり被害が出てるのに』

絵里『この戦闘を静観してるとは思えない……見逃したんじゃないの?』

真姫『私と希の位置から、車列はすべてカバーできるのよ、見逃すなんてありえないわ』

希『どういうことや……』

海未『待ってください! います! 撃たれました!』

穂乃果「ねえ、敵が多い! どうして?! さっきより増えてるよ!」

ことり「さっきまでの軍人さんと服が違う!」

希『やられた……! 出てこないんじゃない! はじめから戦場にいたんや!』

絵里『私たちがくる前から、配置済みだったっていうの?!』

希『今までは歩兵チームの動きを見て、ウチらの位置を割り出してたんや!』

海未『くっ、だから私の位置がバレてるんですか……!』

希『おそらくほぼ全員の位置が割れた……だから出てきた!』

凛「こっちにもいるよ! 黒い戦闘服のやつら!」

にこ「ねえ、どうするの希! 指示を!」

希『花陽ちゃん、そっちのエリアに民間人はいる?』

花陽『いないと思います、避難済みです』

希『よし……ら一帯に……けた爆薬を全部起……これで……全てが脱……ントや』

にこ「なに? ノイズが入ってよく聞こえないわ、もう一度言って!」

無線の大部分がノイズ混じりになった。ジャミング攻撃がはじまったのだ。

希『……信妨害……くそ……みん……げて……全力で……繰り返……力で脱出……』

希がリモコンを操作すると、数寄屋橋エリア一帯のいたるところで爆発が巻き起こった。

最悪の事態に備えて、すべての監視カメラを破壊するために仕掛けられていたものだ。

これによってエリア全体が脱出ポイントとなった。

絵里『脱……脱出脱……出……脱出……聞こえた?! ……』

無線はもはやほとんど聞こえなくなっていたが、脱出することだけはわかった。

海未は近くで敵と交戦している穂乃果チームに直接声をかける。

海未「穂乃果、ことり、脱出です! 急いで!」

ドラグノフで二人を援護する。

が、位置が知られているため、顔を覗かせれば撃たれる。狙撃がままならない。

それでもなんとかギリギリの角度で射撃する。

しかしそう長くは保たないだろう。建物内に侵入されたら一巻の終わりなのだ。

近接戦闘に持ち込まれたら、狙撃銃しか装備していない海未に勝ち目はない。

穂乃果「脱出……! しようにも……! これじゃ……!」

ことり「囲まれてるよ! 穂乃果ちゃん!」

相手は軍人が3人、特殊部隊がおそらく4、5人。

複数方向から囲まれている分、軍人だけを相手にしていたときよりも状況は悪い。

しかも弾薬の大部分を消費してしまっているのだ。

海未「なんとか私の方向へ逃げてください! バックアップします!」

海未がいる場所はエリアの端だ。脱出するには最も近道なのである。

しかし、そこへ辿り着くには大通りを横切らなければならない。

前と後ろに敵がいる、遮蔽物もない通りを渡るのだ。

穂乃果「抑えきれない!」

ことり「もう弾が切れちゃう! ここにいたら駄目だよ!」

海未「合図したら走って! いきますよ! 3、2、1、ゴー!」

海未がスタングレネードを投げた。

広い大通りの複数方向に展開している敵に対しては、大きな効果は期待できない。

それでも、このなけなしの装備に頼るしか活路がなかった。

穂乃果とことりは、合図と同時に走りだした。

敵の復帰は早かった。

大通りを渡り切るすんでのところで、こちらに銃口を向ける敵の姿が、ことりの眼に映った。

ことり「穂乃果ちゃん、危ない!」

ことりは一歩前を走っていた穂乃果の背中をぐいと押しやった。

穂乃果はその勢いでバランスを崩し、大通りを越えたところの路地に転がり込んだ。

銃声が聞こえた。

咄嗟に振り返った穂乃果の眼に入ったのは、血まみれの脚を引きずってもがき這うことりだった。

穂乃果「うわあああああ! ことりちゃん! ことりちゃあん!」

ことり「ほの……に……げて」

そのとき既にことりの視界はほとんど闇だった。

眼を開けているつもりなのに、すぐそばにいる穂乃果の姿すらぼんやりとしか見えなかった。

穂乃果「ことりちゃん、しっかりして! 逃げよう! ねえことりちゃん!」

穂乃果は必死でことりの腕を引っ張る。

しかしことり自身に動く力が残されていなかった。

そのため、まるで死体を引きずるような重さだった。

ことり「げ……て……ほ……の……」

穂乃果「駄目だよ! 一緒にいくんだよ! ことりちゃあん!」

ことりは最後の力を振り絞って、残り一個の手榴弾を掴んだ。

…………

……



南大佐「作戦失敗、かしら?」

希「いいえ、成功です」

南大佐「暗殺できなかったんでしょう?」

希「私たちのミッションは示威行動なのです。
政治的暗殺ではなく、軍事的攻撃であることをしらしめるための、ね。
だから、『戦闘を行うこと』そのものに意味があったんです。
おかげで大統領の宿泊先が、民間のホテルではなく、迎賓館に変更になりました。
政府私設というのは、情報が非常に多くて、私たちにとってはやりやすいんですよ」

南大佐「迎賓館になにか仕掛けがあるわけ?」

希「まあ、地図を書き換えることになるかもしれませんね」

南大佐「滅茶苦茶だわ」

希「そうだ、私、CIAを辞めようと思っています」

南大佐「あら、監視の目がなくなるってこと?」

希「それは……私の代わりがくると思いますけど」

南大佐「そう、残念だわ。しかしどういう風の吹き回し? せっかくの立場を捨てるなんて」

希「そうですね、まあ……『ウチを入れて9人』っていうことですかね」

# エピローグ

装甲車が揺れる。

私たちを戦地に運ぶ。

銀座での作戦のあと、迎賓館に飛行機が墜落し、大統領は逝去した。

戦争と呼んで何ら差し支えない戦闘が国土の中で起こったことで、軍拡の論調は日に日に高まっていった。

その結果、自衛隊と軍部はともに解体、再編され、日本国防軍として生まれ変わった。

国防に繋がることであれば、他国での軍事行動も許可される組織だ。

まさしく我が日本国は戦争ができる国になったというわけだ。

犠牲になったものもあった。

東アジア諸国とロシアとの関係悪化だ。しばらくの間、極限の緊張状態が続いた。

やがて張り詰められたゴムは、北朝鮮による「やってはならない挑発行動」によって、ぷっつりと弾けた。

第三次世界大戦の幕開けだ。

……そして私たちはここにいる。

作戦区域に到着し、装甲車が止まる。

後部ハッチが開き、私たちはこれから戦場となる地面を踏みしめる。

にこ「点呼!」

穂乃果「いち!」

海未「さん!」

真姫「よん!」

凛「ご!」

花陽「ろく!」

にこ「なな!」

希「はち!」

絵里「きゅう!」

ひとつ、昔と変わったことがある。

隊の名称を改称したのだ。

マイク分隊……M'sはもうなくなり、私たちは今、μ'sと名乗っている。

ミューズ、9人の女神の名だ。

私たちがかつて9人であったことを、決して忘れないようにという思いを込めて、そうした。

にこ「展開!」

私たちは装甲車の左右に別れ、4人と4人の組になって整列する。

まるで……。

鳥の翼のようだな、と、ふと思った。

# エピローグ2

ねえねえ、聞いた? またμ'sが勝ったんだって!

すごいよね! ああいう人たちを英雄っていうんだよ!

私この学校に入ってよかったぁ、μ'sの後輩ってだけで自慢になるもん。

それにしても、なんでμ'sなんだろ?

9人の女神っていう意味らしいけど。

でも、8人だよね? μ'sって。

それが、聞いた話なんだけど、あとの一人は、戦場で脚を切断する大怪我をしちゃったんだって。

除隊したっていうこと? それとも……。

それがわからないんだよね……生きてるか、死んでるかも……。

開戦前の極秘任務だったから、記録が残ってないって聞いたよ。

あれ? そういえば、理事長って……。

片足が……。

まさか……ね。

あっ、ねえ、理事長が視察にきてるよ!

聞いてみる……?

う、うん、聞いてみよう!

あの、理事長、少しよろしいでしょうか……?

ことり「ん? なにかな?」



終わり

ギャグのつもりで書き始めたのに超真面目になってしまった
ラブライブでやる意味あるのかって感じですが、読んでくれた方に感謝します

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