貴音「古い本を見つけました」 (34)

ある日@事務所

春香「おはようございまーす」ガチャ

小鳥「おはよう春香ちゃん、あなた今日仕事入ってないわよ?」

春香「暇だから来ちゃいましたー」

小鳥「そう、じゃあお茶でもいれるから少し待っててね」

春香「はーい」フワッ

春香「…ん?」

春香「今、からだが浮いたような…」シュッ


小鳥「お茶入れたわよ~、ってあら?」

小鳥「春香ちゃーん?どこいったの?」


小鳥「…まさか帰ったのかしら」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403778787

春香「うわーっ」ドサッ

春香「いてて…」

貴音「春香、おはようございます」

春香「お、おはようございます」

春香「和室…」

春香「ここどこですか?」

貴音「お答えいたしかねます」

春香「…」

春香「私ついさっきまで事務所にいた…はずなんですけど」

貴音「ふふふ、聞いて驚きなさい」

春香「なんですか」

貴音「春香は、異世界にわぁぷしたのです」

春香「はい?」

春香「つまり、貴音さんが四条家に伝わる技で私をテレポートさせた、と」

貴音「伝わる…というよりは寧ろ古い本に書かれていて・・」

春香「はぁ…突飛すぎてついていけないんですが」

貴音「無理もありません。わたくしもおどろきましたから」

春香「とても信じられません」

貴音「そうですか…」

春香「大体異世界ってなんですか。パラレルワールド…的な?」

貴音「私もよくわかりません。まだ読み進めていないので」

春香「…じゃあその異世界だって言うのなら、証拠とか…」

貴音「証拠…ですか」

貴音「そうですね…」

貴音「ではこちらの世界の春香を連れて参ります」

春香「そんなのいるんですか?」

貴音「いるはずです」

春香「仮に私がワープした、と認めてもただ場所を移動しただけな気がしますけど」

貴音「そんなことありません」

貴音「ふふ、楽しみに待っていてください」


事務所

貴音「おはようございます」ガチャ

小鳥「おはよう貴音ちゃん。あなた今日は仕事入ってないわよ?」

貴音「ええ。存じております」

貴音「春香?春香はいますか?」

春香2「はーい」

貴音「やはりいましたね」

貴音「少し来てください」

春香2「なんですか?」

貴音「見せたいものがあるのです、さあ」

春香2「はぁ…」

春香2「少しいってきますね」ガチャ


春香2「えっ」

春香1「あっ…ホントにいた…」

春香2「…どうなってるの?」

春香1「はじめまして…私」

春香2「私が二人…?」

春香2「ってそんなわけないよね。」

春香2「そっくりさんでしょ?」

春香1「違うよ、残念だけど」

春香2「…どういうこと?」

春香1「貴音さんが、私を、別の世界からワープさせてきたらしいの」

春香2「はい?」

貴音「春香の言う通りです。」

春香2「すいません、わけがわからないです」

貴音「春香が二人いる、それが何よりの証拠です」

春香2「わけがわかりません」

春香1「でもやっぱり偽物ということもありえなくはないかも…」

春香2「え?えっ?」

貴音「…まだ疑うのですか」

貴音「ならばこれからわたくしがいくつか質問します。紙に答えを書きとめてください」

春香1「わかりました」

春香2「えっ?」


貴音「全て同じ回答でした。これで二人とも春香だとわかりましたね?」

春香1「…はい」

春香1「そもそもなんで私を…」

春香2「あのー…」

貴音「特に深い意味はないですね」

春香1「えー…」

春香2「私にもちゃんと説明してください!」

春香2「なんとなくわかった気がします」

春香2「でもすごく納得いきません」

貴音「なぜですか?」

春香2「私たちが二人ってことは、貴音さんも二人いるってことですよね?」

貴音「そうなりますね。」

春香2「私じゃなくて、貴音さんを呼び出せば良かったじゃないですか?」

貴音「なるほど、その発想はありませんでした」

貴音「向こうの世界のわたくしは、どのような様子なのですか?」

春香1「特に違いはわかりませんけど…もう少し落ち着いてるように思います」

春香1「あと何を考えているのかよくわかりません」

貴音「それは気になります」

貴音「せっかくなので呼び出してみましょう」コトッ

春香2「今机においた緑の石、なんなんですか?」

貴音「召喚の石です。石を握って三回願いを唱えるのです」

春香1「うさんくさいです」

貴音「まあ、みていてください」

貴音「第一世界の私を呼び出します」

春香1「第一世界?」

貴音「こちらを第二世界、向こうを第一世界と勝手に決めました」

春香1「なるほど」

貴音「第一世界の四条貴音を呼び出します」

貴音「第一世界の四条貴音を呼び出します」

貴音「はあっ!」ピカッ


貴音1「…」ポンッ

貴音1「一体何事でしょうか?…」トスッ

春香1「貴音さん!」

貴音1「春香、春香ではありませんか!」

貴音1「皆心配しています!早く事務所に戻…」

春香2「貴音さん!」

貴音1「…なんと」

貴音1「春香が二人・・・めん」

貴音2「面妖な」

貴音1「何奴」

貴音2「ふふ、私は私ですよ」

貴音1「…夢でもみているのでしょうか」

貴音2「いえ。平安の術を使って…わかりますか?」

貴音1「もしや、姫の日記に書かれていた、あれ・・・ですか?」

貴音2「それです」

貴音1「あれがただの妄想ではなかった、ということなのですね・・・」

貴音2「そのようです。試したらできてしまいました」


貴音2「この緑の石を握って願いを唱えると召喚できるのですよ」

貴音1「なるほど。」

春香1「じゃあ逆は・・送り返すのはどうするんですか?」

貴音2「存じておりません。この日記のどこかには書いてあると思いますが」パラパラ

春香1「私達帰れないじゃないですか!」

貴音1「なんと」

貴音2「あっ…申し訳ありません」

春香1「…急いで続き読んで下さいお願いします」

貴音2「もちろんです」


春香2「まさかその日記とやらの一日目しか読んでないなんてね」

春香1「ちゃんと全部読んでから試してほしかったよ…」

春香1「まあ、私全然仕事ないからどーせ暇なんだけど…ははは」

春香2「奇遇だね…私もだよ…」

貴音2「偶然などではないそうですよ」

貴音1「ええ。第一世界も第二世界も、ほぼ同じ世界なのだそうです」

貴音1「まあ多少は違うのですが…結果として同じになるような作用が働く、と書いてあります」

春香12「へー」

貴音2「例えばこちらで春香があえて寝不足して風邪を引いたとしましょう」

貴音2「するとむこうの世界の春香が特に理由なく風邪を引く、といった具合です」

春香12「へー」


貴音2「おぉ…これは…」

貴音1「どうかしましたか」

貴音2「ここを見てください」

貴音1「仙力の儀…?」

貴音1「私逹が儀式をすることで、自由な力を得る、と」

貴音1「どういうことでしょうか?」

貴音2「次を開いてください」

貴音1「はい」パラッ

貴音1「その力とやらを使ってみたそうですね」

貴音1「ふむ…」

貴音1「なんと。面妖な」

春香1「どうしたんですか?」


貴音12「只今戻りました」

春香2「おかえりなさい」

春香1「儀式ってなにしたんです?」

貴音1「例の石を二人で握り、念じながら呪文を唱えました」

貴音1「では春香、帰りますよ」シュッ

春香1「えっ」シュッ


第一世界

貴音1「只今戻りました」

春香1「ご心配かけてすいませんでした」

小鳥「春香ちゃん、貴音ちゃん!今までどこにいってたの?」

貴音1「それは、とっぷしぃくれっとです…」

小鳥「もー。みんなで探したんだからね?」

春香1「ごめんなさい」

P「二人にはほうれん草が足りないな。」

貴音1「ほうれん草…ですか?」



……

貴音1「ふぅ。長い説教でした」

春香1「疲れましたね」

春香1「それはそうと、どうやって戻って来たんです?」

貴音1「簡単なことです」コトッ

貴音1「この石を握って、願いを唱えて力を入れます。」

貴音1「そうすると、なんだって叶うのですよ」

春香1「へー。じゃあ何か試してみてください」

貴音1「いいですよ。どうしましょう?」


春香1「じゃあ…雨!雨を降らせて下さい!」

春香1「きょうは降らないってテレビで言ってましたから!」

貴音1「わかりました」

貴音1「雨を降らせます。雨を降らせます。雨を降らせます。」ギュッ

貴音1「…願い終わりです」

春香1「向こうの貴音さんは最後に力込めてましたけど…しなくていいんですか?」

貴音1「あれはそれらしく見せたいだけですから…」

春香1「あ、そうなんですか」



春香1「さっきまで快晴でしたけど…急に暗くなりましたね、空」

貴音1「そうですね」

ポツッ


春香1「と思ったらもう…」


ザアーッ

春香1「……はぁ…すごいですね…貴音さん」

貴音1「ふふ。楽しいものです」

春香1「いいなぁ。その力、私も使えたりしません?」

貴音1「春香の波に合う石を見つければ、できますが…」


春香1「それどこにあります?」

貴音1「それはわかりません」

貴音1「遥かぶらじるなどかも知れませんし、そのあたりに落ちているのかも知れません」

春香1「…探しても仕方ないってことですか」

貴音1(まあ私が願えばおそらく見つかるのですが…)

貴音1(面白いものは独り占めしたいものですから…ふふ)


第二世界

P2「貴音も春香もホウレン草が足りないぞ」

貴音2「ホウレン草…ですか?」

P2「報告、連絡、相談のことだ」



貴音2「ふぅ。長い説教でした」

春香2「理不尽だと思うんですよ!私は!」

貴音2「おや、なぜです?」

春香2「だって報告したじゃないですか!?」

春香2「少しいってきますね、って私は確かに言いました!」

貴音2「そう言えば……妙ですね」

春香2「です。プロデューサーさんにしては珍しいんですけどね、そういうことって」


貴音2「そうなのですか…」

貴音2「…ならば」

貴音2「向こうの私たちがでそのように怒られたのでしょう」

春香2「…え?そんなもんなんですか?」

貴音2「そのようなものなのです」

春香2「…」

春香2「…すごく納得いきません」



貴音2「おや?」

春香2「どうかしました?」

貴音2「向こうの私が早速力を使ったみたいです」

春香2「そんなのわかるんですか」

貴音2「はい。頭の中に唱える声が聞こえてくるのですよ」

春香2「へー。それはそうと…」



春香「外急に暗くなりましたね」

ポツッ

春香2「と思ったら降ってきました」

ザーッ

春香2「今日晴れる予報だったんですけど…」

貴音2「それです」

春香2「え?」

貴音2「向こうの私が雨を願ったのです」

貴音2「…故、予報など関係ありませんよ」

春香2「………そうなんですか」

春香2「…私今日、傘持ってきていなくて…晴れにできます?」

貴音2「できますよ」コトッ

春香2「お願いします」

貴音2「雨を止ませます。雨を止ませます。雨を止ませます」ギュッ

貴音2「願い終わりました。すぐにやむはずです」

春香2「ありがとうございます」

うの私たちにすべて決められているみたいで嫌ですね」

貴音2「それは間違いですよ。こちらも向こうを決めているのですから」

春香2「はあ」

貴音2「もうすぐ、向こうも晴れになります。そういうことです」

春香2「だとしてもなんか嫌ですよ…」

貴音2「…世の奇跡など、そんなものなのです」

貴音2「と、本にありました。」

春香2「…夢がない話ですね」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom