とある魔術の禁書目録のssです
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12月21日
一時は世界の全てと敵対した上条当麻と、生きている限り必ず治すが信条のカエル顏の医者は、上条当麻の第二の自宅とも呼んでいい馴染みの病室にいた
冥土返し「退院おめでとう。右腕を切り落とされたり、腹を銃で打れた後も走り回ってた君でも、今回はさすがに時間がかかったね」
と、カルテをパラパラと眺めながら心底感心しているようだった
上条「いやいや、あのカラフルな薬は本当に大丈夫なのか?全治一年位かかりそうなのがこんな短期間で治るのおかしいだろ!あと、手術代と入院費がいくらになるか恐ろしい……」
事実、11月の下旬頃に瀕死の状態で入院したにも関わらず、クリスマスを迎える前に退院するという驚異のスピードだ
上条がここ半年で入院した回数は両手を使っても足りない
8月の末に入院した時など、生活費が危ぶまれたために途中で退院したほどだった
このままでは年越し蕎麦に海老の天ぷらが乗らないどころか、年越しもやしになる可能性すらある
そしてお正月は餅の代わりにすいとんを食べることになるだろう
とうまー、日本のお正月と言ったらおせちとお餅なんだよ。早く食べたいんだよ
おせち?餅?お前どんだけ昔の話をしてんだ?日本の正月といえば、もやし炒めとすいとんに決まってんだろ?
とーうーまーー そんなうそにはだまされないんだよ!! ガブッ ギャー
となるところまで想像して身震いした
冥土返し「ああ、お金のことなら心配ないよ。今回治療に使った薬………ゴホン、とにかく今回は払うどころかおつりが来たから問題ないよ」
上条「おい、やっぱりあの薬ヤバいやつだろ。もしかして許可なしに実験した……」
言いかけた所で病室のドアをノックする音が響いた
するとカエル顏の医者は助かったと言わんばかりに
おや、誰か来たようだね?僕はこれで失礼するよ。
と、そそくさと帰って行った
美琴「失礼するわよ」
上条「あぁ、御坂か。お見舞いに来てくれたのか?でも俺今日で退院すんだよ」
美琴は面会謝絶が解かれて以降、たびたび見舞いに来ていた
当初、オティヌスがいることに大層驚いていたが、最近はお見舞いのお菓子をオティヌスにあげては、ぱくぱくと食べている様子を池にいる小鴨にパンをやるかのように、楽しそうに見ていた
オティヌスは美琴の持ってくる、ジャムが乗ったクッキーが特に気に入ったらしく最近では、次は~味のクッキーが食べたいなどと注文していたほどだ
美琴「知ってるっつーの。ほら、前に退院したとき、1人で松葉杖ついて大変そうにしてたから手伝おうと思って」
美琴(ええ、ただ手伝うだけ、そうよ。ただの手伝いよ。他意は全くないわ)
上条「そっか、ありがとな御坂。でも今回は松葉杖もないし、1人で大丈夫だよ」
美琴「あのね~人がわざわざ手伝うって言ってんのよ?それを断るとはどういうことよ!」
美琴の頭上でパチン、パチンと音を立てて電流が流れた
病院とは精密機器の宝庫だ
それらが少女の発する電流、それに伴う電磁波によって破損した場合どうなるか
実行犯が自分でないとしても、気が付いた時には請求書が届いている未来が容易に想像できた
高価な精密機器を弁償する金などあるはずがない
故に、一刻も早く少女を鎮めることに徹した
上条「わわっ、待て?待て?分かりました、是非お願いします!」
美琴「ふんっ、分かればいいのよ………って、銀髪シスターとオティヌスはどうしたのよ?」
上条「二人はイギリスに行ってるよ。何でも、オティヌスを巡って三大宗派が争わないようにするのと、魔術結社とかに利用されないように庇護を受けるための条件で、オティヌスの知識を三大宗派に開示することで決着が着いたらしくてさ」
オティヌスに幸福という名の罰を下したのは、英国女王エリザードとアメリカ大統領ロベルト
修正
上条「二人はイギリスに行ってるよ。何でも、オティヌスを巡って三大宗派が争わないようにするのと、魔術結社とかに利用されないように庇護を受けるための条件で、オティヌスの知識を三大宗派に開示することで決着が着いたらしくてさ」
オティヌスに幸福という名の罰を下したのは、英国女王エリザードとアメリカ大統領ロベルト
修正の修正
上条「二人はイギリスに行ってるよ。何でも、オティヌスを巡って三大宗派が争わないようにするのと、魔術結社とかに利用されないように庇護を受けるための条件で、オティヌスの知識を三大宗派に開示することで決着が着いたらしくてさ」
オティヌスに幸福という名の罰を下したのは、英国女王エリザードとアメリカ大統領ロベルト
何度もすみません……
上条「二人はイギリスに行ってるよ。何でも、オティヌスを巡って三大宗派が争わないようにするのと、魔術結社とかに利用されないように庇護を受けるための条件で、オティヌスの知識を三大宗派に開示することで決着が着いたらしくてさ」
オティヌスに幸福という名の罰を下したのは、英国女王エリザードとアメリカ大統領ロベルト・カッツェだった
しかし、前者は英国の王室派のトップ、後者は世界警察のトップ
両者とも魔術世界のトップでは無かった
その後、ローマ教皇ペテロ・ヨグディス、最大主教ローラ・スチュアート、総大主教クランス・R・ツァールスキーによる会議が開かれた
オティヌスに上条当麻と行動を共にすることを認める代わりに、オティヌスが知りうる知識の全てを開示するという条件を付けることで合意した
魔神オティヌスを倒すという共通の目的を達成するために三大宗派は手を組んだが、このような事は特例である
ついこの前のロシア戦争で対立していた時に、誰がこのような状況を想像できただろうか?
しかし、本来がそのような関係な故に、今この瞬間に戦闘が始まっても不自然ではない
オティヌスの問題が解決しても連携をしているのは、グレムリンの崩壊をきっかけに魔術結社のなどが動き出すことを警戒しているからである
なるべく友好的な関係を維持するべく、そして対立の発生の種とならぬよう、オティヌスの知識を三大宗派に平等に開示することは重要であった
情報の漏洩を防ぐために、万が一魔術結社などに狙われたときは三大宗派からの庇護が受けられるという名目で、三大宗派はお互いにオティヌスと他の宗派を監視できるようにした
美琴「へ、へぇ~。じゃあ今、家にいるのはアンタだけなんだ……」
上条「まあな。でもここ最近ろくに家に帰ってなかったし、掃除するには一人の方が都合がいいよ。………それじゃあ、そこのショルダーバックを持ってくれないか」
美琴「ん?これね。りょーかい」
美琴がベット脇の机に置かれたバックを手に取り、上条がベットの淵に手をかけて立ち上がろうとした瞬間、突然勢い良く病室のドアがバーンと開けられた
美琴に瓜二つの少女が、美琴の両目を手で覆った
「だーれだ?/escape」
美琴「きゃっ、何?………アクセサリーの子?」
「ぶっぶー外れ!!/return」
普段は大人しめの喋り方をする少女だが、上条の目の前にいる少女は、独特で快活な喋り方だった
美琴は後ろを振り返り、少女の格好を確認する
確かに首元にはハート型のアクセサリーはなかった
美琴「うーん、アクセサリーがないから、あの子じゃないみたいだし……みんな同じ顏だから区別が付かないのよ。ごめんね、検体番号何番の子?」
少女は一歩後ろに下がり、ぺこりと頭を下げた
「初めまして/return。いつも物理的末端がお世話になっております/return。ミサカネットワーク、その総体としての『大きな意識』です/return。どうもよろしくね、お姉様☆/return」
茶化すようなわざとらしい声の自己紹介だった
美琴「へっ?総体?」
総体「へっへー、退院するって聞いて、チケット使ってこの子の体借りちゃった!/return」
総体は上条の方に目をやる
総体「…………お帰りなさい/return」
上条「……ああ、ただいま」
美琴「えっ?何、何なの一体、総体ってどういうことよ?それにお帰りなさい、ただいまって何?」
総体と名乗る少女と上条が何らかの形で通じ合い、自分が置いてきぼりなことに美琴は焦りを隠せない
総体「ねえねえ、どうせこの後どうせ暇でしょ?/escape デート行きましょ、デート!!/return んーと、それが荷物?/escape ちょっとお姉様それちょうだい/return」
総体は美琴の手からバックをヒョイっと奪い取り、もう片方の手で上条の腕を掴みグイグイと引っ張る
美琴「ちょ、ちょっと!」
総体「ほらほら早く早く、思い立ったが吉日ってね/return」
上条「おっ、おい!腕ひっぱんな。上条さんはまだ病み上がりですのことよ」
嵐が過ぎ去ったかのように静まり返った病室で、美琴は目の前で起こった事の処理が追いつかず、茫然とするしかなかった
美琴「………何が起きたの?」
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12月19日
ロンドン聖ジョージ大聖堂には旧教三大宗派のトップと英国女王エリザードが集結していた
ローラ「さて、オティヌスについての前に、例のものは持ち寄りたかしら?」
そう言うとローラ写真を差し出した
ローマ正教からは黄色に統一された服装の女が一歩前に出た
エリザードは前回の会合に参加していなかったため、何のことか分からず困惑していた
ペテロ「……これが…天使か」
エリザード「…何?天使だと!?」
エリザードはローラが差し出した写真を手にとる
黒の翼が生えた少年とビル群から無数の光の翼が飛び出している光景が写っていた
ロシア成教からは大天使に立ち向かう翼が生えた少女と、光に立ち向かう白髪の少年が写った写真が提出された
黄色の服装の女が語り始める
ヴェント「私は前方のヴェント。まぁ『神の右席』については言わなくても知ってると思うけど。」
『神の右席』、ローマ正教の最暗部の組織であり、最高機密の組織である。しかし機密というのは単なる一般人に対してで、他の宗派のトップがその機密を知ってることは当たり前である
ヴェント「……この女は学園都市で一度見た。確か幻想殺しは『カザキリ』とか言ってたか。その時はここまで完成されたものでは無かった。せいぜい、不完全な堕天使ってとこだったな」
クランス「この白髪の少年も同じですね。テレズマに似たようなものを感じます。黒の翼が白に変化している……さらに天使に近づいたということでしょうか?」
ローラ「これは科学サイドによる、明確な魔術サイドへの干渉と言えたるわね」
さらにと言ってローラはもう一枚の写真を差し出した
ローラ「どうやら、かのような天使と思われる者達にこの少女が関わりてるようなのよ」
写真には額に軍用ゴーグルを身に付け、水色のキャミソールにシャツを着た少女が写っていた
エリザード「で、お前はこの娘をどうしたいんだ?」
とっとと、本題を言わないかと急き立てるように言う
ローラ「魔術サイドで『保護』をするというのはいかがなものかしら?」
ペテロ「保護だと?」
ローラ「ええ、この少女は9月30日に科学サイドによって危険な目にあってるようなのよ。旧教徒として、手を差し伸べるのは当然のとこだと思うのだけど」
クランス「しかし、それでは科学サイドへの干渉になってしまうのでは?」
エリザード「そうだ。それこそ第四次世界大戦の引き金を引きかねん」
ローラはそれらの反論を受けて、予想通りと言わんばかりに不敵に笑った
ローラ「今は連絡が付かぬのだけど、土御門のやつからある報告を受けているのよ」
エリザード「ある報告?」
ローラ「ヴェントとやら、9月30日に体調に変化が起こらぬかったかしら?」
ヴェント「あぁ、圧迫を受けてまともに魔術を発動できなくなった。魔力の循環不全か何かだと踏んでいるんだけど?」
ローラ「土御門のやつによると、学園都市は人工的な界を創って魔術師を一掃しようと企みてるようなのよ」
ペテロ「なんだと?」
その場にいた全員の顔色が変わる
それほどまでに緊急事態であった
エリザード「………戦争が始まればブリテン・ザ・ハロウィンなどのようにはいかんぞ。多くの国民に被害が出る」
ローラ「しかし、このままではいずれ魔術師は滅ぼされ、科学サイドによって世界は蹂躙されてしまう」
エリザード「だがな………」
ローラ「では女王陛下、清教派のトップとして進言したるわよ。この少女の保護はいずれイギリスの国益に繋がりたるので承認せよ」
エリザード「チッ、そうきたか」
イギリスでは王室派が騎士派に、騎士派が清教派に、清教派が王室派に強いという三すくみの構造が取られている
よって、エリザードはローラの進言を拒否するにはそれなりの理由が必要となる
仮に学園都市と計画が遂行されれば、魔術を扱う王室の人間は一人残らず死ぬであろう
王室が不在となれば、それこそ大きな内乱を起こしかねない
ペテロ「自体は深刻だ。我々の存亡がかかっている以上、多少の小競り合いはやむを得ない」
クランス「具体的にどのように行動しましょうか?」
ローラ「戦場が大きくならぬよう少数精鋭を送り込んで素早く、あの少女を『保護』するのが得策と思うのだけどどうかしら?」
クランス「ええ、私達ロシアも第三次世界大戦の復興が進んでいないのでそれが良いと思います」
ペテロ「我々も同じく賛成だ」
エリザード「しかし、あの幻想殺しが人攫いのためにこちらに協力するとは思えないぞ。あいつがこちらに付かなければ、禁書目録も協力しないと思うが」
エリザードは保護ではなく攫うという言葉を用いる。それは同意はしていないという意志の表れだった
ローラ「そのためのにわざわざ召集をかけたのよ」
台詞と似つかない無邪気な笑みをローラはもらした
このSSまとめへのコメント
総体ちゃん!最っ~高!!
「お帰りなさい。」と「ああ、ただいま。」が!
最高に良い!! 総体ちゃん(*≧з≦)可愛いかよねぇ~
書いた人は天才か!? 今更だけど…