電子世界の艦娘達 完結編 (731)

前スレ

電子世界の艦娘達
電子世界の艦娘達 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1393986664/)

完結編、最終章です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403620818

最初から仕組まれていた事だった。あの会社に就職したその時に俺の未来は決まっていたのかもしれない

深海棲艦と呼ばれる別世界の生物と戦う少女達。彼女達と一緒に俺は……楽しい日々、辛い別れ、過酷な訓練という忘れられない日々を過ごした。そして……失った恋心すらも……手に入れた

時間的に見ればほんのわずかな間かもしれない。けれど俺には、とてもとても長く感じられた

だが、そんな日々も長くは続かない。俺も彼女達も知らないうちに、国家の陰謀に巻き込まれていたのだ

深海棲艦と戦うという事を利用して、国の主導の元新時代の兵器の開発が行われていた


俺たちは、その実験台だったんだ


強力な力を手に入れる代償に精神が壊れていく薬。一度服用すれば狂気に呑まれ死に向かう事を避けられない薬を服用した俺は、徐々に狂気に呑まれ、蝕まれていく

死亡したはずの大切な仲間が生きている事がわかったのはその後だった。彼女は丁度180日後に最後の決戦を行うという

俺に残された時間は残り少ない。それまでどんなに狂気に犯されようとも、死ぬわけにも、狂人に成り果てる訳にもいかなかった

そして……決戦の日まで残り30日。最も辛い日々が幕を開けようとしていた

男「……あと、30日」

男(長かった。狂気に蝕まれていく日々はとてつも長く、それも永遠の様に感じた)

男(あの時出撃したくないという上訴を断られた俺は狂気を押し込めながら水の上に立っていた)


男『うぅ……あぁぁ……』

(殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ)

男『嫌だ……つってんだろ……』

(お前の欲望をさらけ出してみろよ。さぁ、我慢しないで見せてくれ!)

男(心臓を抉られる様な感覚、身体の奥底に隠し物を掴まれ引き摺り出されそうになる)

男『絶対に……屈してたまるか……絶対に……』

男(だけどそれも長くは続かない。段々と狂気を押し込める事が難しくなっていく)


男『嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ!!』

(さぁ、血を見せてくれ。お前のその手で!!)

男(隠していたものが引き抜かれた。その瞬間、俺は狂気に呑まれたんだ)

男『くく……ははははは!!あっははははは!!!』ドッパァァァン!!

天龍『なんだ!?』

電『司令官さん!!』

グジュッ...

男『あぁ……これだ。これがしたかった……』

戦艦ル級『……』ゴボォ

ドスッドスッドスッドスドスドスドスドスドス

男『ぎゃはははは!!笑えるなぁ……なんでこんな楽しい事今まで我慢してたんだろ……』

金剛『提……督』

男『あぁ?お前らもやるか?楽しいぞぉ……それとも』

男『お前らの血を見せてくれるのか?』

翔鶴『……提督』

男『……は、お、俺は……違う、今のは……』

男(少しずつその頻度は増えていき、仲間にまで手を出す様になっていった。そしてその度に心が軋んで、生きる気力さえ失いかけていった……)

男(現実でも状況は悪化していった。幻覚や幻聴はさらに酷くなり、俺をそそのかそうとする声だけでなく)

男(悲鳴、銃声、骨肉を断つ音から血飛沫の上がる音まで)

男(周囲には死体が転がり辺り一面は血の海。狂気に引きつった顔を浮かべながら俺を殺そうとしてくる仲間達)

男(そして……その死体。大抵俺の手にはナイフやら銃やらが握られていた。その死体には……)

男(もう狂ってしまいたかった。死んでしまいたかった。だけど彼女の存在が、彼女のあの言葉が俺を狂気に落とすまいと正常に繋ぎとめていた)

翔鶴『提督を信じてます』

男(あと30日、生きる為に俺は……)

男「……」

翔鶴「……」

翔鶴(虚ろな目でぼんやりと上を見つめている提督はもう、出会った頃の提督とは似ても似つかないほどに……ボロボロに見えます)

翔鶴(壊れていく提督を見ているのは凄く辛くて、苦しくて、悲しいけれど……)

翔鶴(私には、ただ提督の隣にいる事しか……)

男「なぁ……翔鶴。頼みがある」

翔鶴「はい……」

男「あと30日、いや……前日の夜だから29日か……」

男「俺を木曾の部屋に……監禁してくれ」

翔鶴「……!!」

男「このままだと俺は……本当に狂気に呑まれて狂人になってしまう」

男「翔鶴を……みんなを傷つける……」

翔鶴「そんな事……」

男「いや、翔鶴には……もう。手を上げてしまったか」

翔鶴「あれは提督のせいじゃっ!」

男「いや、俺が……俺がいけないんだ。俺がもう少し強ければ……」

男『あぁぁ……うるさいうるさいうるさい!!!』

男『黙れ黙れ黙れ黙れ黙れッ!!!!』

男『ああああああああああ!!!!!!』

翔鶴『提督、しっかりして下さい!!提督!!』ギュッ

男『離せ!!触るな!!俺がなにをしたってんだ!!なんで……なんでこんな……!!』ブンッブンッ

翔鶴『提督!それは幻なんです!提督は大丈夫……なんともないんですから……だから』

男『うるせえッ!!!!』

パンッ!!

翔鶴『きゃっ……』

男『……翔鶴。俺は……今』

翔鶴『っ……』ギュッ

男『ごめん……ごめん……なさい。あぁ……俺はなんて事……』

翔鶴『……提督は、悪くないです』

男『ごめんなさい……ごめんなさい……許してくれ……見捨てないでくれ……』ポロポロ

男「……頼む。あと29日……耐える為にも。俺をあの部屋に閉じ込めて、一切扉も開けないで欲しい」

男「武器になりそうなものに自殺に使えそうなものは全部俺の部屋に入れておいた。食料もたんまり用意してある」

翔鶴「提督……」

男「元帥にはどうにか言っておいてくれ。とにかく耐えられれば……俺の勝ちなんだ」

翔鶴「……」

男「携帯電話を持っていくよ。連絡はそれでしよう。たまに会話に付き合ってくれれば淋しさも紛れる」

男「俺が部屋に入ったらなにがなんでも扉を開けたらいけない。なにがなんでも」

男「……頼むよ。みんなへの説明もしておいてくれ」

みなさんここまで読んでくれてありがとうございます。クライマックスももうそこまで

今日はここまでです

>>11で言っている通り男が閉じこもろうとしている部屋は木曾の部屋です。木曾の部屋には武器やらなにやらが沢山置いてあるので男自身の部屋に移した……という事です

ちなみになんで木曾の部屋なのかというと、どうせすぐに理由説明するので言いますけど、防音してあるので男が狂気に呑まれても奇声が外に漏れないからです

翔鶴「提督……」

男「それじゃあ……もう入るよ。元気でな」

翔鶴「ま、待って下さい!最後に……最後に一度だけ……」スッ

男「……あぁ」

ギュッ

男「……」

翔鶴「……」

男「翔鶴は……暖かくて、柔らかいな。本当に……」

翔鶴「提督も、硬いですけど優しくて……暖かい」

男「……」

翔鶴「……」

スッ

男「……それじゃあ。頼む」コツコツ

翔鶴「……いってらっしゃい」

男「……いってきます」フリフリ

翔鶴(私はその後みんなを集めて……木曾ちゃんが生きていた事、残り30日で大事な事がある事、提督を監禁した事を伝えました)


翔鶴「29日のフタサンマルマルには……全員でここを出立します。30日マルヒトマルマルには現地に着かないといけませんから」

天龍「でもよ、そもそもその集合場所ってどこなんだ?」

電「場所が分からないと行けないですよね……」

翔鶴「それは……その時になればわかると言っていたのだけど……」

金剛「……」

翔鶴「……」

天龍「それで、提督を監禁したってのは……まぁ、仕方ねえとは思うけどよ」

翔鶴「……」

天龍「あいつが決めたんだ。あいつを信じなきゃな」

天龍「きっと、なにか算段があるんじゃねえのか?」

天龍「とりあえず木曾の部屋ってのは……確か部屋も頑丈だし音も漏れないだろ」

天龍「何故かあそこだけ鉄板みてぇなドアだったしなー……」

翔鶴「……」

電「不安……なのですか?」

翔鶴「そうね……凄く不安……心配で心配でたまらない」

電「でも、きっと大丈夫なのです。木曾お姉ちゃんが司令官さんだけに伝えたって事は、司令官さんを信じてるからだと思うのです」

電「司令官さんならきっと大丈夫」

金剛「電の言う通りデース!提督なら心配要らないネ」

金剛「それよりも今は、元帥をどうするか、提督の命を助けられるなにかを探す。やることは沢山ありマス」

天龍「そうだなぁ……あいつに死なれたら俺たちみんなが困る」

天龍「けど……結局なんの手掛かりも掴めちゃいねぇ」

翔鶴「……まだ、諦めるのは早いわ」

天龍「ま、そうだよな」

金剛「なんとしてでも!探し出さないといけないネ」

電「なのです」

翔鶴「みんな、頑張りましょう!」

電「はい!」

金剛「イエース!」

天龍「おう!」


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お仕事です

男「……」

男「あと……少しの辛抱だ」

男『仲間にも裏切られて、可哀想だな』

男「これは俺の提案だ。裏切られた訳じゃない」

翔鶴『いいえ、貴方は見捨てられたんです。早くこの部屋で死んで下さい』

電『そうなのです。司令官さんは邪魔なだけでなんの役にも立たないですし』

天龍『お前の事、前から嫌いだったんだよ。早く死なねえかなぁって、ずっと思ってた』

金剛『いっそ殺してあげマスヨ』

グサッ

男「あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!』

グサッグサッグサッ

翔鶴『ふふ、素敵な見世物ですね』

男『あ゛あ゛あ゛……やめて……くれ……』

金剛『きゃはは!これ凄く面白いネ!みんな一緒にやりましょうヨ!』

天龍『そうだな……それじゃあオレはこのブレードで』

電『魚雷を撃ち込むのも楽しそうなのです!』

男「やめろ……やめろって!!!」ブンッ

ゴキュ

電『かはっ……』ドサ...

ビクッ...

男「あ、あぁ……電、電!!」

翔鶴『人殺し』

天龍『人殺し』

金剛『人殺し』

男『人殺し』ニヤッ

男「違う!!違うんだよ!!あぁぁ……」

男「……嫌だ、もう……嫌だ……」

男『あぁ……哀れだよなぁ……可哀想に……』

男『自分の気持ちに正直になった方がいいのに。本当に……可哀想だ』

男「自分の気持ちなんかじゃない!これは……違うんだよ!!」

男『なら、これもお前がやったんじゃないよな?』

翔鶴『提……督……』ドクドク

男『お前のその手のナイフ。それに付いてる血は誰のかな?』

男「翔鶴……翔鶴!!うあああああああああ!!!!!」

翔鶴『人……殺し……信じてたのに……』

男「うるさい……黙れ!!!」ブンッ

ズバッ

天龍『あ、うぁぁ……痛い……痛いよ……助けて……』

男『天龍!!天龍!!!!』

金剛『人殺し』

電『人殺し』

男『人殺し』

翔鶴『人殺し』

天龍『人殺し』

男「ごめんなさい、ごめんなさい……」

男「許してくれ……みんな……」


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短いですがここまでで

男「……」

男(なにも……考えたくない)

男(なにもしたくない)

男「……」

~♪

男「……携帯」

ピッ

男「……」

翔鶴『あ、あの……提督』

男「翔鶴か……」

翔鶴『気分は……いかがですか』

男「今は……落ち着いてるよ」

翔鶴『そうですか……よかった』

男「早く……終わればいいのにな」

翔鶴『そう……ですね』

男「こんな事早く終わらせて……翔鶴。どこか落ち着いた場所で、暮らそう」

翔鶴『提督……?』

男「家なんか建ててさ、庭付きがいい。中もオシャレに飾って……」

男「暇があったらどこかに出掛けるんだ。いろいろな所、いろいろな景色を見に行こう」

男「中途でも頑張るから、新しい仕事も見つけて……ごく普通の生活を送ろう」

男「……翔鶴も、一緒じゃダメか?」

翔鶴『提督……それって……』

男「ずっとそばにいて欲しい。それだけなんだよ。それだけで十分なんだ」

翔鶴『……私も、提督と一緒に』

男「……」

翔鶴『私も提督と一緒に、過ごしたい。ずっと……』

男「そうか……ありがとう……」

あかん、眠くて意識飛びそう……

とりあえずここまででお願いします

男「……死にたくないな」

翔鶴『死なせません』

男「……最初はさ、みんなが助かって俺だけが犠牲になればそれでいいと思ってたんだ」

男「誰かが死ななきゃきっと成功しない。それくらい無謀だと思った」

男「……確かに無謀だよ。これは今だって思ってる」

男「国家相手に俺たちに何が出来るのか」

男「無傷でなんて絶対に帰れない。誰かが死ぬくらいなら俺が死のうって……そう思ってたのにさぁ……」

男「死ぬの……怖くて出来そうにないんだよ」

男「死にたくない。俺が手に入れたものを手放したくない。死ぬ程の痛みを味わいたくない」

男「まだまだやりたい事だって沢山あるし、夢だってあるし」

男「目の前が真っ暗になってなにも感じなくなって、聞こえなくて、動けなくて、考えられなくて。そんなの嫌なんだよ」

男「怖くてさぁ……本当に」

翔鶴『……』

男「だから生きて帰ろう。俺たちを待ってる戦いを」

男「みんなで生きて帰るんだよ。絶対に」

翔鶴『はい、絶対に』

男「約束だ。絶対に死なない」

男「そういう訳でさ……"これ"が治る方法も考えておいて欲しいな」

男『……』ニタニタ

翔鶴『……はい、かならず見つけます』

男「うん。それじゃあ……また前哨戦の続きをしてくる」

ピッ

男「……」

男『……』

男「続きを始めようか」


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ーーー

元帥「……」

大佐「……また、少佐の部隊か」

元帥「あぁ……見ていると楽しくてね。だが最近……まぁいい」

コンコン

大佐「……席を外す」

元帥「そうしてくれ。入ってくれ」

ガチャ

翔鶴「……」チラッ

大佐「……」

バタン

翔鶴「……」

元帥「最近少佐の姿を見ないが、どうしている?」

翔鶴「……提督は、戦える状況にありません」

元帥「……そうか。もうその頃か……残念だ」

元帥「あの表情、姿、見ていて飽きなかったんだがな……それで、今はどうしている」

翔鶴「……提督は、私が監禁しました」

元帥「……監禁、監禁?ふふ、ふふふ」

元帥「くくっ……そうか……監禁か……あはははは!!」

元帥「また楽しみが増えたな、翔鶴」

翔鶴「……」

元帥「得意のポーカーフェイスか……こんな自体でも表情を崩さない辺り、君は優秀だよ」

元帥「だが、"愛しい人"を監禁して、壊れていく姿を見るのはどうだ、辛いだろう?」

翔鶴「な……!?」

元帥「気がつかないとでも思ったのか?そうか……」

翔鶴「……っ」

元帥「表情が崩れたな。いい目をしてる……憎くてたまらない、なんて目だな」

元帥「まぁ、止めはしないよ。その代わりに、定期的に様子を見に行く事にする」

元帥「あぁ……本当に君は優秀だ。こんなにも素敵な寸劇を見せてくれるのだからな」

翔鶴「……元帥」

元帥「それと一応押しておくが、薬の事や寿命の事、今まで秘匿にしていた事は今まで通り黙っておく事だ」

元帥「いや、もう既にばれているか?秘匿にするとは言ったものの無理があったか?」

元帥「まぁそれもいい……私が楽しめれば満足だ」

元帥「最近、毎日が楽しくて充実しているよ。礼を言っておこう」

元帥「とりあえず後で様子を見に行く。頼んだぞ、翔鶴」

翔鶴「……失礼します」ガチャ

バタン

元帥「ふふ……」

「……そうか、最終調整まで。わかった」

「やっとだな。やっと……長かった」

「こんな大層な計画、よくもまぁ隠し通せたな」

「……ん。まぁ……漏れた情報や痕跡をもみ消すのだけは苦労した」

「……まー、最後の一仕事まで気を抜かない様にするさ」

「あぁ……それじゃあ」

「提督、誰と電話を?」

「あぁ……加賀か」

加賀「なにか大事な内容な様でしたが」

中佐「それなりに、ね」

中佐「加賀。一つ質問してもいいか?」

加賀「はい」

中佐「もし僕が突然、無茶で無謀な要求をしたら。聞いてくれるかい?」

加賀「……それは真剣な質問ですか?」

中佐「すごく真剣だ」

加賀「なら、今更聞く様な事でも無いのでは?他のみんなも、同じ答えだと思います」

中佐「なら安心した。加賀や……艦隊のみんなと会えてよかった……」

加賀「……」

中佐「……さて、それもいいけど。そろそろ食事にしよう。何がいい?」

加賀「提督と同じ物を」

中佐「そうだね、久しぶりにオシャレにランチとでもいこうか」

木曾「……」

木曾「……時は、来てる」

木曾「……あの胸糞悪い計画を、必ず潰してやる」

ズズッ

木曾「……」


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元帥「さて、約束通り来たが。翔鶴、少佐はどこに」

翔鶴「あの部屋です」

元帥「ふむ……」ジッ...

天龍「……」

金剛「……」

電「……」

元帥「防音か……扉も頑丈そうだ。牢獄にするならもってこいか」

元帥「内部との連絡は?」

翔鶴「この……携帯で」

元帥「ふむ……貸してもらえないか?」

翔鶴「……」

元帥「一度だけだ。彼と話がしたい」

翔鶴「……私が掛けます」ピッ

翔鶴「……」

元帥「……」

翔鶴「……提督。体調は……提督?提督!!」

元帥「……貸せ」バッ

翔鶴「あっ……」

元帥「……もしもし」

男『あぁぁぁぁ!!!!くたばれ!!!みんな、みんなブチ殺してやる!!』

男『クソッタレ!!こんなところに閉じ込めやがって!!出せ!!出せよ!!』

ガンガンガンガン!!

元帥「……」

男『……なんだ、なんだよ……あれ……』

男『くるな、くるなくるなくるな!!』

男『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』

元帥「……くはははは!!」

元帥「はは、あはははは!!!」

元帥「これは……これは中々……ふふっ」

天龍「……おい……」グッ

ギュ

金剛「……」

天龍「……チッ」

電「……」ギュッ

翔鶴「……」ナデナデ

元帥「もう完全にダメなら……処分してしまおうと思っていたが、気が変わった」

元帥「しばらくこのままにしておくのも悪くない」

ピッ

元帥「返すよ。ありがとう」

翔鶴「……」

元帥「それじゃあ……引き続き頼むよ」


天龍「あの野郎!!」ガンッ

翔鶴「天龍ちゃん、落ち着いて」

天龍「……」

金剛「ともかく、なんとかなったネ……」

電「……」

天龍「……早く、あいつを助けてやろうぜ」

今日はここまでです

男(幻覚と幻聴に苛まれ、ふと少しの間だけ素の自分に戻る。延々とそれを繰り返す)

男(食事は必要最低限取れればいい。睡眠も悪夢には魘されるがなんとか取れている)

男(だけどそんな生活を続けていくうちに時間の感覚がわからなくなった)

男(外に出られる訳でもなくただぼーっとしているだけ)

男(唯一新鮮さを感じられるのは翔鶴と会話している時だけだが、狂っているうちに行っても頭の中になにも入らない)

男(……今は何日の何時なんだ)

男「……」

男「……一回、顔を洗おう」スッ

男(最近幻聴と幻覚を感じるのに加えて、自分の中にもう一人自分がいるような感覚に陥る事が多くなった)

男(正常な自分と狂人となった自分。二人が同じ身体を共有している)

男(……堕ちていくんじゃない、狂っていくんじゃない。取り込まれて、消えるんだ)

男(自分が自分で無くなるのがよくわかる)

ジャー...

男「……」バシャ

男「……誰だこいつ」

男(痩せこけた顔、白髪の目立つ頭、虚ろな瞳)

男「……あぁ、これが……今の俺か」

男「まるで……別人、だなぁ……」

男「翔鶴に……嫌われるかも。しれないな……こんな顔じゃ」

男(と言った所でどうにかなる訳ではない事は知っている)

男(せめて、まだ"俺"は呑まれて消えない様に……抗うしかない)

男「……あぁ、そうだった。時間なら携帯で見ればいいじゃないか……」スッ

男「……あと、一週間」

男「……」

男「……ふぅ」

ジジッ...

男「っ……あぁぁぁぁ……」

男(頭が……痛い……)

男(そうだ、最近は強烈な頭痛にも襲われる様になった)

男(ノイズの様な音が聞こえたかと思うと頭が割れそうなほどの頭痛が襲ってくる)

男「……っ」

男(少し歩くのも疲れる様になったし、劇的に弱っていく)

男(もうすぐ……俺は死ぬのかもしれないな)

男(けれど、まだ痛みを感じるうちは。苦痛に悶えている間は……生きてる)

男「まだ……死なないぞ。俺は……」

そして、耐えて、耐えて、耐えていくうちに。その時は、来た




全てが、終わるんだ

天龍「……」

翔鶴「今は、フタヒトサンマル。ですね……」

電「司令官さんのお薬、見つかりませんでした……」

金剛「……翔鶴、提督を呼んでくだサイ」

翔鶴「……」スッ


翔鶴「……」

翔鶴(あれ以来、提督の顔は見ていません。最初は電話で会話も出来ていたけれど二週間を過ぎた頃から。会話さえ難しくなっていました)

翔鶴(最後の三日間は、電話していません)

翔鶴(壊れた提督の声を聞くのが怖かったから)

翔鶴「……」ピッ

翔鶴「……提督」

男『……』

翔鶴『提督、行きましょう』

男『……あぁ』

翔鶴(絞り出す様な、苦しそうな声。もうどこまで衰弱しているのかわからないけれど……)

翔鶴「今、お部屋の前にいます。開けますね」

男『頼む……よ』

ガチャン...キィ...


翔鶴(扉を開けたそこには、ふらつく脚でなんとか立っている提督の姿がありました)

翔鶴(やつれた顔にシワだらけの制服。最早別人とも思える様な姿……)

男「……久しぶり」

翔鶴「お久し……ぶりです」

翔鶴(そう言葉を交わした瞬間。私の頬を涙が伝うのがわかりました)

男「おいおい……泣くなら……。全部、終わってから、だぞ」

翔鶴「……はい……!」ゴシゴシ

男「げほっ……はぁ……それじゃあ、みんなの所へ、行こうか」

翔鶴「……幻覚や幻聴の方は、どうですか?」

男「……なんだか、今は頭がすっきりしてるよ。なんとも……ない」

翔鶴「そうですか……」

男「この時を……ずっと待ってた…んだ。誰にも……邪魔させない……」

翔鶴「……」


天龍「……お前」

金剛「……」

電「はわ……司令官、さん」

男「みんなも、久しぶり……だな」

男「さて、と……確か……ええっと。どうしたら、いいんだっけな……」

天龍「その時になれば分かるって話だったよな」

電「木曾お姉ちゃんの場所……なのです」

翔鶴「……」




金剛「全員。良く聞いてくだサイ」

男「金、剛……」

金剛「全員、必要最低限の物資と。武装をして再度ここに集合して」

金剛「表に車を用意してありマス。早急に乗り込み、ここを脱出ネ」

翔鶴「……金剛さん」

天龍「金剛姉、まさか……」

金剛「……黙っててごめんなサイ。私は、スパイなんデス。木曾と最初から……」

男「……」

金剛「詳しい話は後にしてくれると嬉しいネ。今は……急いで準備を」

翔鶴「……みんな、覚悟はいい?」

電「……最初から、大丈夫なのです」

天龍「オレも大丈夫だぜ。金剛姉の話は……正直、驚いてるけどよ」

男「……それじゃあ、各自。最後の準備を」

天龍「……なんとなくだけどよ。こんなだろうとは思ってたんだ」

天龍「綿密に練られた計画の上で、踊ってるだけなんじゃねえかってな」

金剛「……」

天龍「けどよ、それが……全部丸く収まる様な計画なら。オレはそれでよかったと思う」

天龍「……さて、派手にやってやろうぜ!」

翔鶴「金剛さん」

金剛「……」

翔鶴「よろしくお願いします」

金剛「……翔鶴」

金剛「私に任せるネ!」

男「電、無理……しなくて。いいからな」

電「電にだって、なにか出来る事がきっとあるのです」

電「それだけは……絶対に、やってやるのです!」

男「……そうか。ありがとう」ナデナデ

今日はここまでです

男「さて……各自準備とは、言ったが……」

翔鶴「……」

男「金と、武器と……この服じゃあまずい……か」

翔鶴「私、少し表にいましょうか」

男「頼むよ……」

翔鶴「終わったら呼んでください」ガチャ

バタン

男「着替えと言ったら、スーツくらいしか……ないな」


男「……」

男(この顔はどうしようもないがこうしてネクタイを締めれば……)キュッ

男「……少しは、マシに見えるか」

男「翔鶴、終わったよ」

ガチャ

バタン

翔鶴「……」

男「似合って……るか?」

翔鶴「……はい。とても」ニコッ

男「そうか……それなら……よかった」

男「翔鶴……は、着替えは?」

翔鶴「私は大丈夫です」

男「うん。あとは……武器、だな。全員に、サイレンサーの装備を……」

男「M4に、Mk23。グレネード、スタングレネード」

男「……こいつだけ、持っていこう。今の俺には、これしか持てない」

男(そして、今の俺には唯一。これしか上手く扱える自信がない)

男(木曾のくれた、大事な武器だ)

男「……」

翔鶴「……」

男「……ここでの生活も、終わりか」

翔鶴「そう、ですね……」

男「未練はない……けど。みんなと出逢えた、翔鶴と……出逢えた、場所だ」

男「……」

翔鶴「……ここから、私たちは進んでいくんです」

男「……あぁ」

男「……行こう」




男「最後の戦いへ」

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ーーーーーーー
ーー


男「……みんな、揃ったな」

天龍「いつでも、行けるぜ」

電「電も大丈夫なのです」

翔鶴「はい。私も、大丈夫です」

金剛「時間がありません。私に付いてきてくだサイ」

男「全員、出撃だ」

金剛「エレベーターを使って地上へ上がります」

男「あぁ……」

男「……っ」フラッ

ガシッ

天龍「肩、貸すぜ」

男「ありが、とう」

天龍「気にすんな……行くぞ」

翔鶴「でも、エレベーターまで行くのにあの扉を通らなければいけないのよね」

男(そう、エレベーターホールの間にはカードキー認証と網膜認証が必要な巨大な扉がある)

男(警備員や、監視カメラまで付いていて警備は厳重なはずだ)

金剛「大丈夫ネ。予定なら……」


加賀「随分遅かったですね」

赤城「ここは私達が制圧させていただきました」

加賀「中央警備室には扶桑、山城二名が。つい先ほど制圧したとの報告が入りました」

加賀「伊19、伊58の二名は立て篭もり予定のFブロックの警備に当たっています」

中佐「そういう訳だよ。少佐」

男「……中佐」

中佐「見ないうちに……老けたね」

男「少し……疲れているだけだ……」

中佐「そっか、ならやれるね」

中佐「君の苦労や苦痛は決して無駄にならない。頑張れ」

男「……中佐、は。どうする」

中佐「僕たちはここに残る。立て籠もって施設の戦闘部隊と交戦して戦力を分散させる」

中佐「それに、大丈夫だよ。仲間は僕たちだけじゃない」

中佐「元帥に不満や疑心を持っていた艦娘や関係者達も寝返ってくれた」

中佐「君たちだけじゃない。みんなで戦うんだよ」

男「……そうか、ありがとう……と、言っておいてくれ」

中佐「わかったよ。でも最後は、君たちに掛かってる」

「何事だ!?」

「い、一斉蜂起です!!」

中佐「勘付かれたね。加賀、全員Fブロックに終結させてくれ。徹底交戦だ」

加賀「はい。伝達します」

中佐「さぁ、扉は開いてる。行くんだ!」

翔鶴「……行きましょう!」

天龍「……お前らもよ!生きてまた会おうぜ」

電「またみんなでお話しましょう!」

金剛「後は任せるネ」

中佐「あいつによろしくな」

男「……」

翔鶴「中佐、赤城さん、加賀さん。ありがとう……ございます」

中佐「翔鶴ちゃんも、頑張れ」

赤城「今度一緒に食事にでも行きましょう」

加賀「早く行きなさい。追っ手が来ないうちに」

翔鶴「……はい!」


中佐「……最後になるかもしれないのに、よかったのか?」

加賀「……後輩に心配は掛けられません」

中佐「でもこの施設じゃあ同期か……何年か後輩だろう?」

加賀「そういう問題では……」

「いたぞ!大人しく膝を付いて手を後ろに……」

パンパンパンッ

赤城「……私たちも」チャキッ

中佐「そうだな」

ヴォォ……

チン

金剛「……」チャキッ

天龍「……」チャキッ

翔鶴「……クリア、ね」

金剛「こっちね」ダッ

天龍「おら、行くぞ」

男「あぁ……」

電「……電だって」スッ

ナデナデ

翔鶴「銃は、撃たない方がいいわ」


タッタッタ

天龍「あった!あの黒塗りのワゴンか」

金剛「そうデス!全員あれに乗って!」

タッタッタ

ガチャッ

天龍「俺が周りを見ておく。その間に!」

金剛「任せたネ!」バタンッ

ブロロロ……

男「……っふぅ」

男「翔鶴、大丈夫……か?」

翔鶴「提督、無理なさらずに……」

男「これくらい、どうって事……ない」

「いたぞ!」

シュッ

天龍「チッ!追いつかれたぞ!!」ダダダンッ!!

男(天龍が撃ってるのは……AK-74か……)

男(AK-47の弱点である反動を抑えて命中精度を上げたAK-47の後続モデル、だったか)

金剛「あとは提督と天龍だけデース!」

男「行こう」

天龍「あぁ……」ダダダンッダダダンッ

バタンッ

金剛「飛ばしマスから、しっかり捕まってくだサイネー!!」

ギュォォォッ!!

ブオンッブォォォ...

逃走劇へ続きます

翔鶴「ここからどうするんですか!?」

金剛「まずは高速に乗って千葉方面へ向かいマス!」

金剛「今の時間なら道路も空いてるはずデス!飛ばしマスからしっかり捕まってくださいネー!!」

キュルルルッ

男「く……っ」ガコンッ

天龍「大丈夫か!?」

男「あぁ……翔鶴に、電は……」

電「ちょっとだけ……怖いのです」

翔鶴「私は大丈夫です。後ろからなにかついてきてるようにも見えないし……今の所大丈夫ね」

天龍「ていうか一番後ろの席にすげー武器が乗ってるぞ……」

金剛「必要と思っていろいろ積んでみたネ」

翔鶴「そういえば……千葉方面への高速道路なんてありましたっけ……?」

天龍「確かええっと……神葉高速道路だ!ここ数年で出来たんだよ!」

金剛「イエス!まずは神葉高速に乗りますヨ!」

男「……なぁ、なんか……変な、音がしないか?」

電「変な音……ですか?」

ザザッ...ザザザ...

翔鶴「……車内無線!」

金剛「あ……しまった……デス」

元帥『全員揃ってお出掛けかな?少佐』

翔鶴「早く回線を切断して……」

ガチャ

男「……あぁ、パーティーでも開こうと思ってな」

元帥『するとこれはその前座かな?楽しませて貰ってるよ』

男「折角のパーティーだ……元帥も、是非参加してくれ」

元帥『そうだな。では全員で参加させてもらう事にする』

元帥『あぁ……そうそう。パーティー会場までは遠いだろうと思って、親切心で仲間をそちらに向かわせた』

男「そりゃあ……どうも」

元帥『なるべく離れない様に付いていくよ。出来れば足を止めて合流してもらえると……嬉しいんだが』

元帥『それじゃあ。会場で待ってる』

ブツッ

男「……」

ブチィッ!!

男「これで、無線は使えない……けど」

キュォォォッ!!

天龍「白のセダン!追っ手か!?」

金剛「振り切りマス!」

金剛「この先左折しマス!」

天龍「……お、おい。赤信号じゃねえか……」

金剛「つべこべ言ってる暇は無いネ!!」

翔鶴「電ちゃん。しっかり捕まって」

電「な、なのです……」ギュッ

金剛「……っ!」ガコンッ

キュルルルルッ!!!

天龍「うわっ!」ドカッ

男「っ……」

電「はわーっ!?」

翔鶴「んんっ……」

天龍「……まだ付いてくるぜ」

翔鶴「……!!」

男「助手席にも人……」

天龍「窓から乗り出して……ッ!!伏せろ!!」

パンッパンッ!!

天龍「ガラスが割れて怪我でもしたら……」

パンッ!!

ビシッ...

男「……」

金剛「防弾ガラスネ」

男「……にしても、このままつきまとわれるのも、嫌だな」

天龍「武器……武器……と。おいおい、これジャベリンじゃねーか!?」

男(FGM-148ジャベリン……多目的ミサイルか)

男(装甲車両、建築物、攻撃ヘリまで狙える有能な携帯ミサイルだ。赤外線シーカー付きで自動で目標物へ誘導される)

男「はは……助手席から撃ってみるか……?」

天龍「バックブラストで焼ける……以前にそんな変な体制じゃ重くてもてねーだろ!」

天龍「他に使えそうなの……えっと……マカロフにM1911にP90にウージーに……」

天龍「弾薬バラバラじゃねーかよ!」

金剛「て、適当に積んだから仕方ないネ……」

男「……ウージーを貸してくれ」

天龍「適当に弾ばら撒いたって仕方ねーだろ」

男「いや……ばらまければ……いい」

天龍「……どうすんだ?」スッ

男「撃つ、だけだよ」チャキッ

お仕事です

金剛「身を乗り出して撃つのは危険デス!」

翔鶴「それに……この車両が防弾仕様だった事を考えると……」

天龍「相手も同じだろうな」

男「大丈夫だ……サイドミラーを、見ながら撃てば……ブラインドファイアでも、当たる」

男「それに……防弾使用ならそれでも、構わない」スッ

バララララッ

ビシッビシッビシッ

男「視界さえ……塞げればいい」チャキッ

バララララッバララララッ

翔鶴「ガラスをヒビだらけにして視界を塞ぐ……!」

男「あぁ……」

バララララッバララララッ

金剛「曲がるネ!!」

キュルルルッ

天龍「セダンも曲がるぞ!」

キュルッキュルルルル...

ガシャァァァンッ!!!!

天龍「……やるじゃねーか」

金剛「そろそろ……高速に乗りますヨ」

翔鶴「金剛さん。料金所はどう抜けるんですか?」

金剛「そんなのもちろん……正面突破に決まってるデショ!!」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーー


金剛「料金所……突っ込みマース!!」

天龍「う、うぉぉ……」

電「ぶ、ぶつからないですか!?」

金剛「ドライビングテクニックには自信あるんデスヨ」グッ

ビュォッ

男「……」

翔鶴「……抜けた」

天龍「しばらくは……安全か?」

男「……いや、高速なら……監視カメラがあるはず……それに……」

翔鶴「……今度は何?」

バララララ...

天龍「……おいおい、ヘリなんて聞いてねーぞ」

電「空じゃあ……どうしようも……」

金剛「……仕方ないデス。このまま行きますヨ」

天龍「それで、次はどこに向かってるんだよ」

金剛「かなみ市デス。江戸川を越えればすぐにかなみ市に降りることが出来マス」

金剛「そこで……巻ければ……」

男「……」

翔鶴「……」

電「……」

天龍「……」

金剛「……」

ザザッ...

男「……ッ!!」

天龍「……おい、どうした」

男「あ、頭が……あぁぁぁぁ!!」

男(こんな時に……来やがって……)

『殺せ、殺せ、殺せ、殺せ』

翔鶴『私たちはこれから死ににいくの』

天龍『どうせなら、なにもかも壊して』

金剛『みんな殺してしまいまショウ』

電『楽になりましょう、司令官さん』

ゴォォ...

男「……ん、ハッ!?」

男「……みんな。みんなはどこだ」

男「……あ、あぁ……」

男(俺の目の前に広がっていたのは、燃える街と沢山の死体だった)

男(両手を見ると真っ赤に染まっていた。これは全て俺がやったのだと。確信した)

男「嫌だ……嫌だあああ!!!」

男「俺は殺してない!!違うんだ!!違う!!」

男「あぁ……ごめんなさい……ごめんなさい……」

男「……うっ、うぅ……」

男「嫌だ、嫌だあああ!!!」

翔鶴「提督!!提督!!」

電「ひっ……司令官、さん……」

天龍「これが……発作……」

金剛「……」


男「……みんな……ごめん……」

男「……」

翔鶴『信じてますから』

男「……違う。これは……!!」


男「みんな……そこに、いるよな」

男「俺は今、幻覚と幻聴で。周りがなにも見えてない」

男「まるで、別の世界にいるみたいだ」

男「大丈夫だ。俺の事は……心配しないでくれ」

男「無事に……目的地まで……」

翔鶴「……」

天龍「……」

金剛「……全力で飛ばしマス」

電「司令官さんは……戦っているのです」

天龍「……そうだな」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーー

ここまでです

ギュォォォ...


金剛「ヘリを振り切りのは無理デス!」

天龍「一旦市街地に降りて巻けないのか!?」

金剛「それだと予定の時間に間に合うかどうか……」

天龍「なにか……なにかないのかよ……」

翔鶴「……これ」

電「この銃……なのです?」

天龍「そいつは確か……」

金剛「L96A1。狙撃銃デスヨ」 チラッ

翔鶴「金剛さん。車両を一番右のレーンにお願いします」

スッ

天龍「翔鶴姉、まさかこれでアレを狙うなんて……」ギュッ

翔鶴「やらなきゃ……いけないでしょ?」

天龍「けどよ!狙撃手だっているかもしれない!下手に動くより……」

翔鶴「大丈夫、天龍ちゃんが支えてくれてるなら、撃てる」

翔鶴「……」チャキッ

翔鶴(スコープから……狙う……)

翔鶴(後部ドアは無し。偵察ヘリね……操縦席を直接狙わないと……)

天龍「観測手も無しに撃てるのかよ……」

翔鶴「弓を引く感覚で撃てば……」

金剛「それとはまた違うとは思いマスけど……お願いするネ!」


翔鶴(風速と……距離と……弾速……)

翔鶴「……」ジャキッ

翔鶴「耳を塞いで!」

パァンッ

翔鶴「……」ジャキッ

パァンッ

翔鶴「……っ!」ジャキッ

パァンッ

パァンッ

パァンッ

翔鶴「……当たらない。当てなきゃいけないのに……!!」

金剛「江戸川が見えた!もうすぐICを過ぎてそこから降りマスヨ!!」

天龍「翔鶴姉」

翔鶴「提督が……こんなにも頑張ってるのに私は……」

天龍「ジャベリンを車内でぶっ放す訳にもいかねえし……仕方ねえよ」

翔鶴「……」

男「ぅ……あぁ……」

翔鶴「……提督」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


ジジッ...ジジッ...


中佐「加賀、報告を」

加賀「はい。この扉でほぼ全ての電子ロック式ドアの破壊、封鎖を完了しました」

加賀「対歩兵用のトラップを設置後、非常用封鎖扉を下ろします」

中佐「わかった。ありがとう」

中佐「全ての作業を完了後、戦闘班とダイビング班に分かれる」

中佐「どこまで内部を撹乱させて足止め出来るかが勝負だ」

扶桑「いえ、生きて帰るまでが勝負ですよ」

中佐「……そうだね。確かにそうだ」

山城「扶桑お姉様と一緒にここを抜け出して、新しい素敵な生活を……!」

19「イクはゲームが出来ればいいのね」

58「働けニートでち」

赤城「みんなの為にも、必ず成功させましょう」

中佐「元同胞を撃つのは……心苦しいけど、やるしかない」

ここまでです

キュルルッブォォ...


金剛「建物の影を縫う様に行けば……」

金剛「そろそろ車を降りて徒歩での移動になりマス!武器装備の確認を」

天龍「オレは大丈夫だけどよ……」

男「……俺も、大丈夫……だ」

翔鶴「提督……よかった」

男「この日の為に耐えて……来たんだ」

男「簡単に……イカれて、たまるか……」

電「ダメだと思ったら電に言って欲しいのです。精一杯、なんとかしてみせるのです!」

男「それは……頼もしい……な」

男(視界が歪む、吐き気がする)

男(道の端には死体が転がって見えるしみんな血まみれだけど……)

男(俺の意識はここにある)

キィィィッ!!!

金剛「降りて!素早く移動するネ」

天龍「翔鶴姉、車から降ろすぞ」

翔鶴「お願い」

男「……」ヨロッ

金剛「降ろしますヨ」

男「あぁ……」

天龍「俺が先行してクリアリングする。翔鶴姉は任せたぜ、電」

電「なのです!」

金剛「私が後方を警戒しマス」

男「なら……俺は一人で、歩かないとな……」

金剛「そんな、無理しないで私の肩を使っても……」

男「大丈夫だ……大丈夫」

金剛「……」

天龍「……クリア」

翔鶴「前進しましょう」

男「……」ヨロヨロ...

電「……」

金剛「後方も大丈夫デス」

ポツッ...ポツッ...

天龍「……雨だ」

翔鶴「夜中なのに加えて雨じゃあ……視界が酷くなりそうね」

金剛「それよりも、身体を冷やさないうちに……」

ザッ

金剛「……」チャキッ

翔鶴「……敵襲ですか?」

金剛「……姿が見えない……デスネ」

天龍「周りは小さなビルに囲まれた裏路地……か。ここで襲撃されたらひとたまりもないな」

金剛「……いきまショウ」

ザッ

金剛「……ッ!」チャキッ

金剛「……」

天龍「……」スッ

......チャキ

天龍「……そこかッ!!」ダンッ

「ぐえっ……」

天龍「ビルの上に居る!狙撃されるぜッ」

金剛「後方からも敵が」タタタタンッ

ヒュンッ!

金剛「速やかに移動!逃げマスヨ」

電「えっと……私は……」

翔鶴「私の車椅子、押してくれる?」

電「は、はい!」

男「……俺も、迎撃しなきゃ……」

天龍「無理すんな!それより……」

天龍「あそこにいい空間と土嚢が積んである。ひとまずあそこに!」


ザァァァ...

天龍「……さて、どーすんだ」

金剛「ここを突破しない限りは……」

天龍「やるなら早めにしないとな。増援が来たり囲まれたら、キツいぜ」

お仕事です

天龍「……」チラッ

ヒュッ

天龍「……ッ!」ダンッ

天龍「……」ジャコンッ

天龍「……」チャキッ


ザァァァ

金剛「……もう遅いみたいデス」

翔鶴「……囲まれましたか?」

男「……」

電「……」

天龍「……動けねぇ」

天龍「このままここにいても埒が明かないけどよ、今飛び出したら……」

男(この状況……どう打破する)

男(……あぁ、クソ。身体が重い……)

男(……)

ザッザッザ

翔鶴「……足音……」

天龍「動き出したか……」

金剛「……応戦するしかないネ」

男「どう……するんだ」

天龍「二人で射撃しながら前進する。その隙になんとかここを抜けてくれ」

電「で、でもそれじゃ天龍お姉ちゃんと金剛お姉ちゃんは……」

金剛「大丈夫、心配ないデス」

天龍「……」チラッ

金剛「……」コクッ

ダンッ

天龍「クソッタレ!撃ってきやがったか!?」

ダダダダンッ!!ダダダダンッ!!

パンッ!パンッ!

金剛「……でも、その割には弾が……飛んできませんネ……」

翔鶴「……大丈夫よ」ナデナデ

電「……」

ダダダダンッ!!ダダダダンッ!!

ダダダダンッ!!

ダンッ...


男「……銃声が、止んだ?」

天龍「……」

コツ...コツ...

翔鶴「誰か……来る」

コツ...コツ...

金剛「……」チャキッ

コツコツ...

コツコツ...

コツ...


男「……あ」

翔鶴「……」

天龍「……そういう事か」

電「……やっと会えたのです」

金剛「……遅いネ」





木曾「待たせたな、みんな」

長門「ちなみに私もいるぞ」

天龍「……生きてたのか」

長門「私があれくらいのヤワな戦闘で死ぬとでも?」

木曾「みんな……変わりなさそうで良かった。提督は……違うか」

男「随分……老けたよ。ここ一月で、特に」

木曾「そうか……そうだな……」

木曾「中身も成長したみたいだな。金剛からの定期報告で聞いたよ」

木曾「沢山の葛藤もあっただろう、沢山の苦悩があっただろう。けれど、それも今日までだ」

スッ

木曾「俺たちの隠れ家へ案内するよ」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーー


男(俺たちは木曾と長門に続いて少し歩いた。するとそこには寂れた神社があった)

男(木曾は躊躇う事なく境内へ踏み込むと社の裏手へ向かった)

男(そこにあったのは外見を擬装された地下への入り口だった)


木曾「ようこそ、俺たちの隠れ家へ」

長門「雨に濡れて冷えただろう?今暖かい飲み物を持ってこよう」

男(周囲を沢山の機材が取り囲む部屋。幾つか扉がある辺りここはそこそこに広い様だ)

男(タオルを貸してもらい身体を拭くと、薄暗く照らされたテーブルに全員がついた)

木曾「……いろいろと、説明しなきゃいけないか」

男「出来れば……な」

木曾「まぁ、手短に済ませるがいいだろ?」

翔鶴「お願い」

金剛「それより……」

長門「ん、あぁ……そろそろ来る頃だろう」

「お待たせしました」

翔鶴「……嘘、なんで……!?」

天龍「……い、生きてた……これも。偽装だったってのかよ……」

電「えっと……」

男「……誰、だ?」

金剛「提督と電は知らないはずデスネ。紹介しマス」

金剛「妹の霧島デス!」

霧島「はじめまして。私は話を聞いたり情報を受け取っていたからわかるのだけど」

霧島「霧島です。よろしくお願いします」

ここまでです

木曾「さて……まず最初から話そうか」

木曾「俺が元々こういう計画を企て始めたのにも理由がある」

木曾「提督に電は知らないだろうがな。あの決戦の前だ……」

木曾「大和、という艦娘がいた」

木曾「翔鶴姉さん達と同じ最古参の艦娘だ」

翔鶴「大和さん……」

天龍「大和って……あの……大和か」

木曾「そうだ。最古参にして最強の艦娘」

木曾「彼女が一番初めにこの事態に気がついたんだ」

木曾「それを知った俺に霧島姉さんに長門姉さんは大和姉さんを助ける為、兵器開発を止める為に動き出した」

木曾「……だけど、大和姉さんは。すぐに姿を消した」

翔鶴「確か……この鎮守府を去って今は普通の暮らしを……」

木曾「違う。それは建前で本当は……」

木曾「実験体になって命を落とした」

金剛「……」

男「……」

電「……」

木曾「……新時代の兵器。その装甲には深海棲艦の装甲の情報を元にした技術が使われている」

木曾「大和姉さんは……その実験材料として、脳を、身体を弄られて。死んだ」

木曾「そして情報世界に魂が残り、その魂さえも実験体とされたんだ」

男「一体……どういう事、なんだ……」

木曾「……大和姉さんは、深海棲艦になったんだよ」

翔鶴「……嘘」

木曾「情報世界の鎮守府の最奧で、今も飼い殺しにされてる」

木曾「深海棲艦となって、元の魂なんて喰われて朽ち果てた今でも、実験体として飼われてるんだよ」

木曾「より強力な兵器を開発する為に、情報を抜かれて、深海棲艦の情報を組み込まれ」

木曾「異形の怪物と化した」

木曾「そしてその実験は、提督の服用している薬にも応用されている」

木曾「人間の脳には使用されていない部分がある。そこに……深海棲艦の意識を埋め込むという物だ」

男「……!!」

木曾「あの薬物で脳の使用していない部分を活性化させ、深海棲艦の意識を映す為に作り変える」

木曾「そして、情報世界で深海棲艦と触れた時、深海棲艦の意識がその活性化された部分に乗り移る」

木曾「そして最終的に、深海棲艦に脳を侵食されて、破壊と殺戮の衝動で動く人間兵器の完成って訳だ」

木曾「新兵器に乗り込むのは人間だ。当然尻込みもするし感情が戦闘を妨げる」

木曾「だからこの薬で人間までも兵器として運用しよう。それがあの薬の役割だ」

木曾「わかりやすく説明すると、自分のPCのハードディスクにインターネットでウイルスアプリに触れた瞬間に自動でインストールするアプリケーションをインストールさせられた……という所か」

男「つまり……俺の見ている幻覚や幻聴、俺の姿や仲間の姿をした……何かは」

木曾「それが深海棲艦の意識であり深海棲艦の思考だ」

木曾「そして情報世界で異常な力を発揮出来る事。あれも薬の作用だ」

木曾「脳の使用していない部分を活性化させる事で情報処理能力をあげる」

木曾「つまりそれが普段よりも強い力を出せる理由だ」

男「……人間兵器開発の、実験体」

木曾「……そして、それに対抗する為の兵器。今回の作戦にも導入する切り札」

木曾「それが……新時代の兵器の完成モデルだ」

天龍「……!」

木曾「情報世界では完成したんだよ」

木曾「何回か情報輸送任務中の艦娘の艦隊を襲撃して情報を盗ませてもらった」

木曾「提督の部隊も襲撃しているはずだ」

男「……」

木曾「わからないか?そうか……」

木曾「鎮守府からあるポイントまでの哨戒任務。あれは、重要な情報を護送する為の任務だったんだよ」

電「もしかして……」

木曾「深海棲艦をけしかけて、情報を操作して……」

霧島「深海棲艦に姿を変えた私が情報を盗む」

霧島「重要な情報は暗号を使って誤魔化されていたけど、元々あの暗号は私が作ったものだから解読は簡単だった」

天龍「……まさか、あの時の……!!」

翔鶴『このままなら無事に終わりそうね」』

偵察機妖精『……!?再び前方に敵……なんで……?』

翔鶴『どうしたの?』

偵察機妖精『確認出来るだけで……空母1隻、戦艦6隻、重巡洋艦に駆逐艦……多数』

木曾『……どういう事だ』

金剛『ここは前線じゃないデスよネ……』

翔鶴『……」』

男『……どういう事だ』

『原因不明、これだけの数が潜伏していたとは思えない……』

『緊急事態宣言発令します』


『緊急連絡!敵増援を確認!!』

男『また増援か……ッ』

『なにあれ……未確認の戦艦です!速い……高速戦艦並みの速さです!!真っ直ぐ翔鶴に向かっています!!』


翔鶴『……!』


天龍『流石にこの状況じゃ下がれないぜ!!』

金剛『また私が盾になって……』

龍田『私に任せてもらおうかしら~』

男『龍田!行けるか!』

龍田『大丈夫よ~』

『敵戦艦、接触します!』


戦艦『……』ザァァァァ

戦艦『……』ニィッ

天龍『離せ……このっ……!!』

戦艦タ級?『……』

ドスッ

天龍『がっ……』

男『あれはコードじゃなくて……プラグか!?』

戦艦タ級?『……』

天龍『ぐお……』

龍田『天龍ちゃんを離しなさい!!』シュッ

ドゴォォォ

バァァァンッ!!!!

龍田『っ……』

天龍『龍田あああああああ……!!!!』

『敵主砲直撃!!損傷率82%!!大破です!!』

龍田『……』フラッ

戦艦タ級?『……ニンムカンリョウネ』

ズブ……

天龍『あっ……』ザパァァァン

龍田『天龍……ちゃん……』

ザァァァァ

翔鶴『なに……?』

男『プラグを抜いたと思ったら……退却し始めた……?』

天龍『この……待てよ!!』


『……敵戦艦タ級、戦線離脱しました』

天龍「……ふざけるな」

天龍「あの戦いで龍田は死んだんだぞ!!」

天龍「お前らが!!!お前らが龍田を殺したのか!!!!」

木曾「あれは……予定外だった。深海棲艦の制御が効かなくなって……すまない」

グイッ

天龍「ふざけんじゃねえ……すまないで済むとでも思ってんのか」

天龍「……ふざけんな」グッ

バキッ!!

電「ひっ……」

翔鶴「天龍ちゃん!」

男「……」

金剛「……」

長門「……」

木曾「……く」

天龍「……殺してやる」

天龍「龍田と同じ目にあわせてやる」

木曾「……俺はなにも言い返せない」

木曾「殺すなら殺してくれ、姉貴」

天龍「……」チャキッ

長門「おい!いくらなんでも……」

木曾「いい。さぁ」ジッ

天龍「……」

スッ

天龍「クソが!!!!」ガンッ

ここまでです

天龍「……続けろ」

木曾「……」

木曾「今まで情報を奪ってきた中でも、あの時の情報が一番……重要なものだった」

木曾「新時代の兵器の設計図だ」

木曾「情報世界におけるもの、現実で利用されるものの両方だな」

木曾「だが……その後すぐに勘付かれて俺と長門姉さんはあそこから脱出する事になった」

木曾「いや、もうこれ以上の情報は必要がなくなったから、か」

木曾「霧島姉さん主導の元、集めた情報を元に決戦兵器の開発に着手した」

木曾「パーツをくっつけて改良するだけの作業だったから時間は掛からなかった」

木曾「そして……こちらでも完成したよ。やつらが開発……そろそろ実用段階にも入る兵器の改良版がな」

木曾「対人、対空、対地、全てをこなし、機動力、殲滅力、破壊力共に旧世代の兵器をことごとく凌駕する」

木曾「……コードネームは」

木曾「"エクスキューショナー"」

翔鶴「……"処刑人"」

木曾「今の俺たちにピッタリの名前だとは思わないか?」

木曾「手を血に染めた人間共の首を刎ねる。だがその刎ねた手も血に染まる」

木曾「悪を裁くが決して正義とはなり得ない」

木曾「……やつらの所持する兵器には様々なバリエーションがある様だな」

木曾「これは、俺たちのあの世界での戦いを参考にしたらしい」

木曾「軽量、軽装で小型だが機動力に優れコストも安い駆逐艦型」

木曾「それに武装を加えたのが軽巡洋艦型、さらに武装を加えたのが重巡洋艦型」

木曾「体躯も巨大で多量の武器砲塔を装備し殲滅力、破壊力を極限まで高めた戦艦型」

木曾「超小型戦闘ヘリなどを搭載し、対空装備に秀でた空母型」

木曾「他にもいろいろあるらしいが、俺たちが掴んだ情報はそれくらいだ」

木曾「……そうそう。処刑人というのはこの兵器全体でのコードネームだ」

木曾「個々の物も用意しているつもりだから、楽しみにしているんだな」

木曾「俺たちの開発した改良版は……戦艦に該当する様だ」

木曾「扱うのは、勿論……提督」

男「……」

木曾「マニュアルなどは読まなくてもすぐに扱えるだろう」

木曾「自分の感覚で動かすんだ」

木曾「……そして、奴らの目的だが」

木曾「この兵器を諸外国に売る事で巨額の資金を得るのが目的だ」

木曾「俺の勘は外れていなかった。日本という国は、世界の死の商人になる」

木曾「しかも開発には特殊な技術を要する。例えコピーが作られても、劣化版にしかならないだろう」

木曾「巨額の資金を得た日本は更に改良を重ね、増産し……世界一の軍事力を持つ国家となる」

木曾「これがどういう事か分かるか?」

木曾「世界を!!全てを回せるんだよ!!なにもかも思い通りに!!」

木曾「核ですら脅威で無くなる!!核を搭載すればどこからでも核を撃てる!!」

木曾「迎撃だってどこからでも、思い通りだ」

木曾「核抑止力は衰退してやがて……」

木曾「次の大戦が起こる」

木曾「大戦が起これば軍需もあがる」

木曾「ますます兵器が売れるって訳だ」

男「……なんて、事を……」

木曾「殺戮の蔓延する世界にはしない為にも、ここで計画を潰す」

木曾「……俺が教えるべき事は、これくらいか」

電「待って下さい!」

木曾「……どうした、電」

電「……司令官さんを、司令官さんを治す方法は……無いのですか!」

翔鶴「……」

天龍「……」

木曾「……」




木曾「……ある、たった一つだけ。な」

お仕事です

木曾「だが、今話す事は出来ない。済まない」

天龍「……今度は提督まで殺そうってのか」

木曾「違う。信用してくれ……とは言えないが、信用してもらう他無い」

天龍「ふざけんな!!話す事も話さないで信用しろだなんて……」

木曾「……ふん。なら信用してくれなくても構わない」

木曾「姉貴の慕う提督が結局助からずに狂い死ぬだけだ」

天龍「なっ……」

木曾「いいか、今。提督の命は俺が握ってるんだ。こんな事は言いたくないが……」

木曾「生かすも[ピーーー]も俺次第なんだよ」

>>146 修正


木曾「だが、今話す事は出来ない。済まない」

天龍「……今度は提督まで殺そうってのか」

木曾「違う。信用してくれ……とは言えないが、信用してもらう他無い」

天龍「ふざけんな!!話す事も話さないで信用しろだなんて……」

木曾「……ふん。なら信用してくれなくても構わない」

木曾「姉貴の慕う提督が結局助からずに狂い死ぬだけだ」

天龍「なっ……」

木曾「いいか、今。提督の命は俺が握ってるんだ。こんな事は言いたくないが……」

木曾「生かすも殺すも俺次第なんだよ」

金剛「木曾、流石に言い過ぎデス」

木曾「ならどうすればいい。話せば提督が死ぬ可能性が大いに高まる、だけれど話さなければ信用しないし協力しないと」

木曾「姉貴、姉貴は提督を殺したいのか殺したくないのかどっちなんだ」

天龍「殺したくないに決まって……」

ポフッ

男「……大丈夫だ。俺は、木曾を信用……する」ナデナデ

天龍「ぅ……だけどよ……」

男「木曾なら、信用するに値する……げほっ!……人間だからだ」

木曾「呼吸が乱れているな。もう時間が無いか」

翔鶴「……木曾ちゃん、必ず。提督を助けて」

木曾「翔鶴姉さん、分かってるよ」

木曾「提督を助ける為に、この戦いに勝利する為に。みんなの協力が必要だ」

木曾「みんなが提督と築いた絆は本物だと思っているし、絶対的な信頼があると、確信してる」

木曾「最後まで付き従って、戦い抜いて欲しい」

電「司令官さんの為なら!」

天龍「……」

翔鶴「……」コクッ

金剛「……やってやるネ」

長門「私の武、全て捧げよう」

霧島「バックアップなら任せて」

木曾「……そろそろ、時間だ。行こう」


コツコツ

男「……げほっ……はぁ……はぁ……」

長門「不味いな……」

木曾「この階段を降りた先だ!そこにダイビングルームがある」

木曾「俺たちの過ごしたあの忌まわしい場所を、攻撃する」

翔鶴「重く……ないですか?」

金剛「これくらいどうって事ないデス」

霧島『みんな聞こえる?私は電算室からバックアップするわ』

霧島『前線には出られないけど、出来る限り努力する。だから……無事に帰って来て』

天龍「……へっ!」

天龍「天龍様がいりゃあどうってこたねえよ」

天龍「提督、みんなで生きて帰るぜ。絶対に」

男「……あぁ……絶対に」

電「電も……絶対に司令官さんと帰るのです」

電「元気になったら……お姉ちゃん達とも一緒に遊びましょう」

男「そうだな……楽しみだ……」

長門「着いたぞ」ガンッ

ギィィ...


木曾「全員ヘッドギアを装着。寝台に身体を預け、楽にするんだ」

男「……」スッ

金剛「提督、また私と一緒にティータイムを楽しみまショウ」

男「……あぁ」

金剛「次は提督の作ったお菓子にティーがいいデス。待ってマスからネ」

男「……それじゃあ……いろいろ、考えておかないと……なぁ」

長門「提督よ、私はまだ提督の事は良く知らないが……」

長門「周りの者を見れば分かる。心優しく、頼りがいのある人間なんだろう」

長門「いつか、酒でも飲みながら腹の内まで語らいたいものだ」

男「……俺も、長門といろいろ話して……みたいさ」

霧島『戦闘支援、始めるわね』

霧島『脳波、心音、数値、生体反応、全て異常無し』

霧島『個人データ解析、解凍、展開します』

霧島『ここまでの作業に異常無し、データ上書き、通常モード、特殊モード、動作確認』

霧島『幸運の女神の加護があらんことを』

霧島『平和の礎に』

木曾「……提督、お前に出会えて本当に良かったと思っている」

木曾「信用するに値する人物だと、こいつになら賭けてもいいと。そう思わせてくれた」

木曾「……勝ちに行くぞ」

男「……勿論」

霧島『全ての確認、クリア、クリア、クリア、クリア、クリア……」

霧島『カウント開始します。みんな、頑張って』

翔鶴「提督、あの時言ってくれた事。覚えてますか?」

霧島『10』

男「当たり前だ……終わった後の……事だろ」

霧島『9』

男「あれは……妄言でも狂言でもないよ」

霧島『8』

男「心からの……真実だ」

霧島『7』

翔鶴「……絶対に、約束ですよ」

霧島『6』

男「絶対に、約束だ」

霧島『5』

翔鶴「……行きましょう」

霧島『4』

男「……行こう」

霧島『3』

男「みんな……やるぞ』

霧島『2』

男「……平和の、礎に」

霧島『1』

男「第一艦隊、出撃(ダイブ)」

霧島『0、転送開始』


男(落ちていく。落ちていく。情報が0と1で表記されたもので埋め尽くされた奈落を)

男(願うなら、これで最後に……)


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

ダダダダンッ!!

赤城「敵の攻勢が強すぎる!!」

中佐「絶対に、絶対に抜かせるな!!」

ドシュッ

58「かはっ……」

19「ゴーヤ!?しっかり!!しっかりするのね!!」

58「まだ……まだ大丈夫……でち」グッ

58「弾丸が尽きるまで、ゴーヤは……」チャキッ

58「当たって……くだち……っ!!」

バァンッ!!

「がふっ……」ドサッ

中佐「ゴーヤ!!無理するんじゃない!!」

58「てーとくは、生きなきゃ……だめでち」

中佐「ゴーヤ……ッ!!」

加賀「RPG-7、撃ち込みますか?」

中佐「頼む、弾幕が激しすぎて攻勢に持ち込めない」

加賀「……」カチッ

ボシュゥゥゥ...


ドゴォォォ!!

中佐「弾丸目一杯撃ちこめ!!!」

ダダダダ!!!!

扶桑「山城、あれを持ってきて」

山城「扶桑お姉様!?いくらなんでも……」

扶桑「弾丸が必要なのでしょう?今、沢山差し上げてみせるわ」

山城「……分かりました」ダッ

58「痛いの……痛いの……飛んでかない……でち」ドクドク

19「ゴーヤ!!しっかりするの!!一緒に帰るの!!」

58「イク……ごめんでち」グィッ

中佐「ゴーヤ!!!なにをする気だ!!!」

赤城「……いけない!!!!」

ピンッ

58「これだけの怪我をして、足手まといになるのは嫌でち」ダッ

58「……さよなら」

「なんだ!?撃て!!」

ダダダダンッ!!!!

58「ごひゅっ……」グシャッ

58(……みんな)

コロコロ...

「な……グレネード!!グレネ……」

ドォォンッ!!!!

19「嫌あああああああああ!!!!!」

中佐「あ……あぁ……ゴーヤ……」

19「許さない……許さないのねッ!!!!」

ダダダダンッ!!ダダダダンッ!!

中佐「……もっと、戦力が……あれば……」

加賀「無い物ねだりしても仕方ありませんよ、提督」

加賀「みんな、必死で頑張ってます。中佐旗下の艦娘全員も、私たちの考えに賛同し、着いてきてくれた艦娘も」

加賀「彼女の死を無駄にしないためにも、戦い続けましょう」

中佐「……あぁ!!」ギュッ

元帥「鎮圧部隊の様子は」

「はい、電子ロック扉と非常用防護壁を突破、多少の被害は出ているものの、鎮圧は容易かと」

元帥「わかった」

元帥「……」

ガチャ

大佐「元帥、鎮守府正面海域に敵性艦隊が現れた」

元帥「そうか……ふふ、あはははは!!!」

元帥「いよいよだ、いよいよ……くく……」

元帥「大佐、出撃だ。パーティーを始めよう」

大佐「……了解」

元帥「……見せてくれ、少佐。君の狂気を、怒りを、殺意を」

男(今、最後の戦いが始まる。最終決戦だ)

男「いこう、みんな」チャキッ


to be continued...

次回、男たちの最終決戦の火蓋が切って落とされる

天龍「……提督」

男「どうした、天龍」

翔鶴「提督……見た目が……」

男「見た目?なんか変か……あぁ……スーツやっぱり……」

金剛「あれだけやつれてたのが元に戻ってマス!」

男「ん……」

男(確かに、海面を覗き込むと。鎮守府に配属されたばかりの頃くらいの顔立ちになっていた)

木曾「さすがに、最終決戦の時までやつれられていては困るからな」

木曾「身体も相当衰弱していたが……今は?」

男「かなり身体が軽い。これで、幻覚を見なければ……」

長門「相当腕が立つと聞いたぞ、鬼神の如き武勇を期待している」

男「そんなに持ち上げないでくれ……」

ドォォ...

電「向こうの方で音がしたのです!」

翔鶴「艦載機、飛ばします!」スッ

パシュッ

木曾「恐らく……交戦中の艦娘だろう……」

男「でも、そういえばどうやって奴らを叩き潰すんだ」

木曾「情報世界の鎮守府最下層に潜り極秘データや重要なサンプルを回収する」

木曾「その後、各国のメディアにそれを……一斉にばら撒く」

木曾「霧島姉さん!誘導は任せた!」

霧島『わかったわ。妖精システムが使えないからかなり面倒になるけど、大丈夫!』

偵察機妖精『敵艦発見しました。30000m先にて友軍部隊と交戦中』

翔鶴「あら、妖精システムは使えないんじゃ……」

霧島『支援に管理の方はね。個々の武器についてはそれ一つに一個組み込まれていたから』

偵察機妖精『そういう訳でよろしくお願いします。さっきまでの仲間を敵と呼ぶのは心苦しいですが……』

翔鶴「それでも、やるの」

長門「それで、だ。戦場を突っ切るのか?それとも、迂回して進むか」

木曾「時間は掛かるが、友軍部隊を支援して共に行軍するか」

木曾「敵が引きつけられている今のうちに、一気に乗り込むか」

天龍「提督、選んでくれよ」

男「……」

男「友軍を支援する!!城攻めの基本は兵の数だ、仲間が多ければ多いほどいい」

男「翔鶴、制空権を確保してくれ」

男「隊列は長門、金剛の二人を戦闘に」

男「天龍、木曾、翔鶴。後詰に電だ」

男「第一艦隊、攻撃開始!!」バッ


陸奥「中々……やるじゃない……」

響「流石大将クラスの部隊、だね」

暁「なによ!これくらいどうって事ないわ!」

雷「大丈夫、私に任せて」

青葉「ちょ、どうする気ですか!?」

雷「私が前進して魚雷を撃ちこめば……」

不知火「流石に無謀かと」

雷「でも……」

日向「余所見してると、死ぬぞ?」ザッ

暁「雷!!」

ドォォンッ!!

長門「それはこっちのセリフだ」

日向「なっ……な、なんで……」

青葉「長門さん!?まさか……亡霊!!」

長門「な訳あるかたわけ!!」

日向「そんな……元帥直属の、あの……長門!?」

木曾「だけじゃないぜ」

ブォォォ...

攻撃機妖精『喰らうでござる!』バララララ!!

日向「か、艦載機まで……」

天龍「こんなに昂るのは……久しぶりだぜ……!」ブンッ

伊勢「軽巡洋艦に……ここまで押されるなんて……」ヒュッ

天龍「お前らとは賭けてる覚悟がちげえんだよ!!!」チャキッ

ドォォンッ!!


男「この艦隊の提督は」

「ワシじゃ」

男「今回は、ご協力いただき。本当にありがとうございます」

「戦争は……いいものではないからな。若い連中には、あんな苦痛を味合わせたくない」

「あぁ……申し遅れた。ワシは中将、という事になっておる」

男「少佐です」

中将「おぉ……君が……そうか、いい目をしている」

翔鶴「制空権確保、集中爆撃開始します!」

金剛「どんどん掛かってくるネ!!」


電「あ、お姉ちゃん!」

暁「電!電なの!もう、心配したんだからぁ」ダキッ

響「無事なら、良かった」

雷「電ぁぁぁ!!」ギュッ

電「えへへ……また会えて良かったのです」

男「ところで、敵の艦娘の数が少ない様な気がするのですが……」

中将「それだけこちらについておる。皆、戦争などしたくはないだろうて」

中将「ただ……敵が少ないからと言って、油断は出来んぞ」

男「はい」


長門「どうした、それで終わりか?」

日向「……」ギリッ

長門「……なんで戦争に加担する」

日向「戦争がどうこうじゃない!元帥は、行く当ての無かった伊勢と私を引き取ってくれた」

日向「僅かな時間だったとしても、恩義はある。裏切る事は許されない」

長門「……そうか、恩情受けて絶対の忠誠で返す……か」

長門「……笑わせるな!!!」

日向「……ッ!!」

長門「それが道を誤らぬ者に対してなら良かっただろうが、残念ながら元帥は道を踏み外した」

長門「本当に恩義があるのなら!!その者の誤りを正してやるのが道理であるはずだ!!」

長門「ただみているだけついて行くだけ、そんなもの。ただの臆病風に吹かれただけのものだ」

日向「うるさい……うるさい!!!」

お仕事です

今晩と今日の朝は諸事情で更新出来そうにありません。申し訳ないです

ガッ

長門「……」ギリギリ

日向「……っ」ギリギリ

長門「降伏しろ、そして私たちと一緒に戦うんだ」

日向「……今さら降伏なんて……出来ない!」

長門「……なら、戦艦長門の威力。その身で体感してもらう」


天龍「ハッ!!これが航空戦艦か、大した事ねぇよなぁ!!」ドンッ

ドゴォォォ...

伊勢「がっ……なんで!?どうして……火力だって耐久力だって……」

天龍「……踏み込む覚悟がねぇ」

天龍「相手の懐に踏み込んでやる覚悟、死ぬギリギリのラインまで踏み込んでやる覚悟」

天龍「お前らは違う。だけどオレは!踏み込まなきゃお終いなんだよ!」

天龍「この一太刀に、命を賭けてんだよ」

ボシュッボシュッボシュッ...


伊勢「……え?」

電「電だって、戦うのです」

電「みんなと一緒に帰るために!」

ズドォォォォ!!!!

伊勢「がッ!?……は……ぁぁ……」

天龍「……」

ドシャアアアンッ!!!!

伊勢「……」

天龍「……しばらく、頭冷やしてるんだな」


日向「伊勢……?伊勢!!」

長門「余所見は禁物だ!!」ブンッ

ガシッ

日向「くぅぅ……」

長門「今のを受け止めるか……だが甘いな」

短いですけどここまでです

長門「殴り合いで私に挑んだのがそもそもの間違いだ」ググッ...

日向「なんて……馬鹿力だ……」

長門「ふんっ」グリッ

日向「っあ!?」ベキベキッ

長門「艤装が砕けるのが先かはたまた貴様が降伏するのが先か……」

日向「……」

長門「くだらん意地を張るより早く降伏する方が賢明だと、私は思うがな」

日向「下らない意地だって!?」

日向「この鎮守府を気に入って、楽しく過ごしていた艦娘だっていたんだ!!それをお前たちが奪おうとしてるんだぞ!?」

長門「仮初めの楽しさや平和がなんだと言うんだ!」

日向「お前に取っては仮初めでも!当人からすれば真実なんだ!」

日向「そんな艦娘の為にも……ここは引けない……!!」

長門「……」

長門「分かった。降伏はしないんだな」

日向「くどいぞ!」

長門「……いいだろう」グイッ

ボキッ!!

日向「あぐぁぁぁ!?!?」

長門「ならばここで命を散らせ。私たちだって、生半可で起こした行動ではない」スチャ


男「……まて!!殺すな!!」


長門「……」

日向「……」

ドンッ!!!!

日向「……」ドシャアアアンッ

長門「……少し気絶させただけだ」

男「……」

中将「なんとも、流石と言ったところか」

中将「あとはワシらでどうにかする。お前さん達は……もっと奥底に様があるのだろう?」

男「はい。ここは任せます」

中将「うむ、健闘を祈ろう」

木曾「……この先だ」

天龍「さっさと行こうぜ」

電「また、後でなのです」

雷「絶対に負けちゃダメよ!」

響「約束だ」

暁「しっかり帰って来てこそ、一人前のレディーなんだからね!」

睡魔と砲雷撃戦を繰り広げて見事に散りました。明日は朝晩出来る様に頑張ります

長門「……」パンパン

陸奥「……助かったわ」

長門「あぁ。良かった」

陸奥「……死ぬんじゃないわよ」

長門「死なんさ、必ず敵将の首を持って帰る」

陸奥「首は要らないけど……ふふ。待ってるわ」


青葉「な、なんとかなりましたねぇ……」

不知火「まだ、終わってません」

青葉「いやそうなんですけどね、なんというか。山場を越えたというか」

木曾「本当の山場はこれからかもしれないぞ」

不知火「分かってます」

男「……」

男「先に進もう」

翔鶴「はい」

中将「それじゃあワシらはもう少し遊撃していくかの」

男「では……」

中将「ん……」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

男「第一艦隊。前進」


天龍「……今更だけどよ。意外と迫力あるよな……」

男(情報世界の鎮守府は白を基調にした尖塔の姿をしている)

男(こうしてみると……禍々しいというか……)

男(水上に建てられている姿はかなり異様だ)

霧島『ま、待って!敵艦反応……これは』

木曾「深海棲艦、か」

霧島『えぇ。鎮守府内部から出現、そっちに向かってる』

長門「む、見えた。水平線が……真っ黒だな……」

金剛「とんでもない量デスネ……」

木曾「嬉しい出迎えじゃないか。こんなものを用意してくれているなんて」

男「なんでだ……あの量の深海棲艦が潜んでいたなんて……」

木曾「それは当たり前だろう。奴らは深海棲艦を使った実験をしていたんだ」

木曾「飼い慣らすなりなにか誘導するなりなんでも出来るさ」

翔鶴「だから……領海内で深海棲艦が度々出現した」

木曾「そういう事だな」

男「……あの量をまともに相手するのか」

霧島『先頭は……軽巡洋艦の様ね。総数は……50はいるんじゃないかしら』

電「みんなでならなんとかなります!」

ザザッ...

男「ん……通信か?」

霧島『鎮守府内部から極秘回線!』

『ダンッ!!ダンッ!!』

中佐『少佐……聞こえるか』

男「聞こえるぞ!」

中佐『……なにも反応は無いけど、繋がっているという事はザザ聞こえているんだろうね』

男「……」

中佐『敵の攻勢が激しくて、妨害も上手くいかなくなってきた』

中佐『正直ザザザしているよ』

中佐『もう……持ちそうにもない』

中佐『仲間もザザッ勢ザザザんだ』

中佐『出来るならザザザッ...してもらえると嬉しい』

中佐『頼むよ……ザザザッ』

ブツッ

木曾「……かなり、不味い状況なのはわかった」

天龍「だけどよ、あれだけの量をすぐに倒すなんて……」

霧島『なに……あれ?』

長門「どうした?」

霧島『あんな深海棲艦見た事ない』

霧島『先頭の軽巡洋艦。ランスの様なものを装備していて……これは……?』

翔鶴「ランス……」

男「……もうすぐ接触する」

木曾「砲撃は無いな……」

長門「先手を取るか?」

金剛「様子をみまショウ」

男「接触する、各自戦闘用意!」ジャキッ

ザァァァ

霧島『っ!先頭の軽巡洋艦が速力を上げた!?』

長門「一隻だけで特攻とは、さぞ強いのだろうな……」

ザァァァ

「……」

天龍「……ん?」

翔鶴「どうしたの?」

天龍「あいつ……どこかで……」

「……テ」

電「……あ、あぁ……」ガクガク

男「どうした!?」

天龍「……嘘、だろ」

翔鶴「……!!」

「天龍……チャン……」

男「……龍田?」

天龍「……そうだ。あの艤装、全身が黒くなって、どこか深海棲艦に侵食された様だけど……」

天龍「……龍田!!!」

龍田「……」ブンッ

ガキンッ

天龍「……そっか。お前も……」ギリギリ

翔鶴「そんな……龍田ちゃんまで……瑞鶴と……」

男(チラリと顔が見えた。肌には影が差し、瞳は黒く塗りつぶされて、生きていた頃の笑顔はないけど)

男(確かにあれは龍田だ)

ここまでです

R-TYPEは設定がエグいですよね……設定よりもゲーム内容のがよっぽどエグいですけど

天龍「……ッ!」ブンッ

ガキンッ!!

龍田「……」

木曾「……強い」

長門「私に変われ!」

翔鶴「艦載機!周りの深海棲艦の駆逐を急いで!」

男「……」

天龍「……フッ」

天龍「久しぶりだよな、龍田。こうやって獲物を使ってやりあうの」

ギリギリ...

天龍「この世界で模擬戦とかの訓練になるとさ、いつも本気でぶつかってよ……」

天龍「これで……最後に、なるのか?」

龍田「……ア……アゥ」

天龍「お前を助ける方法……まだあると思うんだよ。だから……」

龍田「……タス、ケ…テ……」

天龍「!!」

ブンッ!!

天龍「っ……!」ガキンッ

天龍「……提督、頼みがある」

男「……天龍」

天龍「オレを残して、先に行け」

男「……この数の深海棲艦の集団とやりあえるのか?」

天龍「やらなきゃいけねぇんだよ。取り巻きはうっとおしいけど、これはオレと龍田の問題だ」

木曾「姉貴……無茶だ!」

天龍「無茶だろうが関係ねぇ!!時間が無いんだろ!!どのみちこうしなきゃいけねぇはずだぜ」

天龍「さっさと行け」

男「……」

金剛「……なら、私も残るネ」

金剛「天龍一人じゃ無茶でも、私がいれば問題無いデス」

金剛「全員倒して、必ず追いつきマース!」グッ

金剛「だから……行って」

電「……」

翔鶴「……」

天龍「金剛姉、悪りいけど……」

金剛「周りの深海棲艦は任せるデス。天龍は、龍田を」

天龍「……」

男「……二人共、生きて追いついてくれ」

天龍「……おう!」

金剛「さぁ、派手にやるネ!!」ジャキッ

男「いこう、時間が勿体無い」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

男「……」

木曾「あと少しで、鎮守府正面だ」

霧島『天龍、金剛二隻。戦闘開始しました』

翔鶴「……二人共」

電「……きっと大丈夫なのです」

木曾「……そうだな」

長門「信じて進む他あるまい」

男「……あぁ」

ザザッ

男『あれでよかったのか?』

男(……なにが言いたい)

男『お前が大切にしていた仲間を見捨てた事だ』

男『もうすぐ、深海棲艦の餌食になってバラバラになるかもな』

男(違う、信頼して残ってもらったんだ。必ず……帰ってくる)

男『どうだかなぁ?』

木曾「……どうした」

男「……いや、いつものだ」

翔鶴「……提督、無理はなさらないで下さい」

男「あぁ……」

男(そういえば……深海棲艦なんだってな。お前)

男『元がなんであれ、今はお前なんだ。深海棲艦じゃあない』

男『俺はお前でお前は俺だ』

男(俺と同じって事か)

男『やっと理解したか』

男(なら……どこまでが同じなんだ。姿形、声。思考で同じ所は無いのか)

男『そうだな。"死にたくない"ってのと、憎い"深海棲艦を殺してやりたい"って所までは同じだろう』

男(……そうか)

霧島『……鎮守府入り口に反応!誰かいます』

男「……一人で?」

霧島『はい、一人しか確認出来ません』

長門「一人で仁王立ちか、随分腕に自信があるか……」

木曾「明らかに罠、だろうな。見え見えの餌に食いつく……」

霧島『……あ、その人物から通信が入りました。こちらを介さず直接繋げます』


大佐『……待っていた』

木曾「……な」

翔鶴「大佐……!!」

大佐『久しぶりに、話すなぁ。小娘』

大佐『あの時以来か?』

木曾「貴様……」

大佐『あの時の生き残り、脱出した人間は他にもいたが』

大佐『全員殺した。お前を除いて、な』

木曾「な……んだと」

大佐『お前もここでクズ共の所へ送ってやろう』

木曾「……」

長門「おい、挑発に乗るなよ」

木曾「……」ギリッ

大佐『俺の部隊、見せてやろう』


ザバァァァ!!!!


霧島『か、海中より深海棲艦多数!!』

男「……」

木曾「……ここは俺が残る。理由は、姉貴と同じだ」

木曾「これは俺の戦いであり、ここで倒さなきゃいけない相手であり、時間がない」

木曾「内部に突入したら昇降機がある。それで降下するんだ」

木曾「さぁ、さっさと行け!」

電「い、電も残ります!」

翔鶴「電ちゃん!?」

木曾「……いや、その方がいいだろう。この先は……」

木曾「頼むよ、電」

電「なのです!」

男「……くっ」

男『あんな小さな子供を残していいのか?見殺しにするのか?』

男「お前は……」

男『俺はただ、殺して、壊したいだけだ』

長門「いくぞ、提督、翔鶴」

木曾「……あぁ、それと提督」

男「なんだ……」

木曾「いざとなったら、使えるものは全部使え。お前の内にある狂気もな」

男「……」

ここまでです

木曾「さぁ、いくぞ。ここでその首落としてやる」

木曾「俺の後ろに続け電!」

電「はい!」

長門「よし。私たちは鎮守府への突入を開始するぞ」

男「あぁ……行こう」

翔鶴「向かいましょう」

木曾「長門姉さん」

長門「わかっている。生きて会おう」

男「あの巨大な扉がそうか」

男(尖塔の正面に立ちはだかる巨大なゲート。相当頑丈そうに見えるけど……)

長門「私の主砲で撃ち抜く!」ジャキッ

長門「全主砲斉射、撃てえええ!!」

ドンッ!!!!

ブオッ

男「うおっ……!!」

翔鶴「……!」

ドゴォォォ!!!

男「すごい……衝撃だな」

長門「本気の斉射を見せたのは初めてだったか。だがまだまだこんなものじゃない」

翔鶴「この先が……」

長門「あぁ。みんな、初めて入るかもしれないな」

長門「いや、提督は一度……」

男「俺が……一度?」

霧島『敵艦反応!司令官の方へ向かってる!』

長門「急いで中へ!!」


ゴゥン...ゴゥン...

男(……正面に巨大な昇降機。周りは鉄の壁で覆われていくつかの通路があるが)

男「木曾の行っていた昇降機はこれだろうな」

カンカンカンカン

翔鶴「敵はまだ来てないみたいね」

長門「霧島!コントロールパネルを作動させてくれ」

霧島『分かったわ……よし。いくわよ』

ガコンッ!!ウ゛ォォ...

男「……」チャキンッ

翔鶴「……」

長門「……」

ゥ゛ォォ...

男「……」

男『地獄への入り口ってかんじだな』

男「……」

男『きっと辿り着いた先には想像を超えた強い敵が待ってるんだろうな』

男『そいつと戦うのは怖い。無惨に殺されてしまうのが怖い。だけどそれ以上に俺は……』

男『そいつと戦ってぶち殺してやるのが楽しみで仕方ない。そうだろ?』

男「……」

男『俺とお前は長い事一緒で、意識なんかとっくに混ざり合ってるんだよ』

男『かろうじてお前の前に俺は姿を現せる。だけどそれも限界なくらいに俺とお前は混ざり合った』

男『俺の意思はお前の意思。俺の狂気はお前の狂気だ』

男「……本当に、お前は俺と同じなんだな。意思も、思考も、感情までも、共有しているんだな」

男『あぁ、そうだ』

翔鶴「……提督?」

長門「……黙っていてやろう」

男「なら、今の気持ちもお前は共有している筈だ」

男『……』

男「仲間を守りたい、愛しい人を守りたい。全てに蹴りをつけて終わらせたい」

男「どんな強力な敵にだって、脅威にだって。勝ちたい」

男『……』

男「俺はお前で、お前は俺。なんだろう」

男「俺は力を振るいたい。きっとこの先に待つ最後の敵を、憎しみ、悲しみ、怒り、全てを込めて倒したい」

男「殺してやりたい」

男「お前の殺意も、狂気も。全て俺のものだ」

男「もう、逃げるのは。辞める」

男「天龍や、木曾だって。自分の苦しい過去に向き合ってるんだ」

男「みんな、みんな逃げていなかった」

男「……気がついたんだよ。なんで苦しかったのか。辛かったのか」

男「自分を、自分の醜い部分を受け入れられなかったから。嫌で遠ざけようとしていたから」

男「醜い自分と向き合わされて、見ているだけで辛くて、苦しくて」

男「けど、それも俺の大切な一部分なんだ」

男「お前は深海棲艦から産まれたんじゃない。元々俺の中に居たんだ」

男「ほら、幻覚でもなんでも見せてみろ。なにが来たって大丈夫だ」

男「俺と、お前がいるからな」

男『……こっぱずかしい事をベラベラと』

ゥ゛ォォォン...ガコンッ

男『着いたぞ』

男「……あぁ」

男「みんな、行こう」

長門「……決着が着いた様だな」

男「あぁ。案外簡単だった」

翔鶴「提督、よかった……」

男「これで……」

男(これで、俺の余命はどうなるんだ?)

男(薬漬けにされて、俺の身体も、脳も……)

男(……いや、まだだ。まだ、死なない)

男(絶対に、死んでやる訳にはいかない)


ビュォォォ...

男(こうして俺と、長門と、翔鶴は。雪の大地に降り立った)

電池が切れそうなのでここまでにしました。そろそろ終盤の最終局面までいけますかね……

男「……ここは」


男『……ん、んん』

男『……』

男『頭が……ガンガンする……』

男『……寒い……』

男『……まて。なんでだ……』

男『なんで俺は吹雪の中にいるんだ……?』


男「……」

翔鶴「雪……地下にこんな場所が」

長門「どうやら直接あの場所にある訳じゃなく別の場所に繋がっている様だな」

長門「別の場所と言っても、この空間を作り出してあの場所の地下に配置した。という所か」

長門「第三者目線から見れば地下に作られた空間にいる様に見えるが、その空間は周りとは違うもので、そこに入っている人間は別の空間に存在している事になる……」

長門「……どうも私はこの手の説明は苦手だ。霧島!」

『……』

長門「霧島!応答しろ、霧島!」

長門「……繋がらないか」

翔鶴「別空間として存在しているからその継ぎ目に電波が遮断されている……?」

長門「その可能性は高い。だが……戻る訳にはいかない」

男「……進もう」

ザッザッザッ

翔鶴「……はぁー……」スリスリ

男「寒いか?」

翔鶴「少しだけ……」

男「長門は?」

長門「私は問題無い」

男「……」バサッ

男「俺のジャケット……じゃ気休めにしかならないけど、使ってくれ」

翔鶴「あ……でも、提督が……」

男「俺は大丈夫。だから……な」

翔鶴「……ありがとうございます」

ザッザッザッ

男「……」

ザッザッザッ

翔鶴「……」

ザッザッザッ

長門「……」


翔鶴「長い……道のりですね」

長門「吹雪で視界も耳もほとんど使えない。下手に動くのは危険だ」

男「……」

男「ずっとこうして歩いていると、この場所に幽閉されてしまった様な気分になる」

男「一人で歩いた時は……正直辛かった」

翔鶴「今は私たちがいます」

長門「うむ。そうだな」

男「頼もしい限りだよ」

ヒュォォォ...


長門「吹雪が弱まってきたな」

翔鶴「……!!」ザッ

長門「どうした?」

翔鶴「今……黒い影が」

男「深海棲艦か……!」

長門「あれが……それらしいな」

男(確かに黒い影が見える……けど)

男「……動かない」ザッザッザッ

長門「おい!」

男「……これは」

男(深海棲艦の残骸だ。身体中ボロボロになっていて動きだしそうにない)

翔鶴「……待って、この他にも沢山あるけど」

長門「全部、残骸か」

長門「朽ち果てたか……材料にされたか」

長門「どちらとはわからないが……」

長門「ここで深海棲艦が飼われているのは確かだ」

翔鶴「……提督、あそこに」

男「……」

男(翔鶴が指差す方向には……建物の影があった)



男『ここは……?』

男『……』

男『……』

男『……明かりが付いてる辺り動いてるのか、ここは』

男『……』


長門「扉が……錆び付いてるな」ガンッ

ガシッ

長門「ふんっ……ぐぉぉ……!!」グググッ

翔鶴「こ、こんな大きなを扉素手で開けるのは……」

ゴゴゴゴゴ...

男「……嘘だろ」

ガゴンッ

長門「中へ入ろうか」

お仕事です

コツコツ...

男「……」

長門「……稼働はしていない様だな」

翔鶴「沢山のパネルに……これは。ロボットですか?」

長門「それが次世代兵器の試作機だ」

翔鶴「沢山並んでるけど……動いたりしないわよね」

長門「起動はしないだろう。見ると……所々パーツが欠けていたり配線が外に繋がっていたりしているしな」

男「……」

男(改めて見ると迫力があるな……)

男(鈍く光る黒い装甲に、機関砲やブレードに……ジェットパックの様なものまで装備している)

男(さながらアニメに出てくる人型兵器の様だ)

長門「木曾はここで細かい開発レポートや研究記録を持ち出したんだ」

長門「この様な人型兵器以外にも、超高速ステルス戦闘機やコードネーム"蜘蛛"と呼ばれる六足歩行戦車の開発レポートまであった」

長門「事態は相当……最悪らしい」

男「……まるでSFの世界だ」

長門「近未来の技術というのは皆そう感じるものだ。産業革命以前の人間に機関車や蒸気船を見せても同じ反応をするだろう」

長門「もうすぐ目の前まで、次の時代が見えている。最低で最悪の地獄が……な」

男「……止められるのか」

長門「……さぁな。それはこれから分かる事だ」

長門「正直な所これは仕方の無い事なのだと思う。時代の流れなのだと……」

長門「それでも抗えるなら、抗ってやるさ」

コツコツ

男「足音!?」

長門「敵か!!」

翔鶴「……!!」

コツコツ...

「待ちくたびれたぞ、少佐」

コツコツ...

男「ッ!!」チャキンッ

長門「……」

翔鶴「……」グッ

男「……元帥」

元帥「ふふ……楽しいパーティーをありがとう。楽しませてもらっているよ」

長門「……」

元帥「久しぶりだね。長門」

長門「……大人しく投降しろ」

元帥「投降、投降……ね」

元帥「"彼女"を倒せたら、考えよう」

長門「彼女……まさか!?」

ジャコン...ジャコン...

元帥「紹介しよう、彼女が……」

ジャコン

「ウ、ウゥ...」

元帥「"大和"だ」

「ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!!」

男「はっ……」

翔鶴「これが……大和、さん……?」

男(血走った眼球、だらしなく開けら唾液を垂らしている口、黒い装甲にその隙間から見える赤い筋繊維)

男(身体のあちこちから生えた砲塔に刃)

男(金属音と野生動物と女性と男性が混じった様な咆哮)

男(相対しているだけで……冷や汗が噴き出てくる程の威圧感)

男(あれは最早艦娘でも、深海棲艦でもない)

男「……化け物」

元帥「飼い犬の一匹は倒された様だが、彼女を倒す事は出来るかな?」

男「はっ……もしかして……」


男『入った!』パンッパンッパンッ!

チャリンッ

木曾『喰らえ!!』ヒュッ

スパッ

木曾『……』チャキッ

ドンッ

鬼『……』フラッ

木曾『……』

鬼『……マサカケイジュンイッセキトソノオトコ二オサレルトハ』

木曾『……』

男『……』

木曾『……違う』

男『……』

木曾『なにか……違う』

鬼『……』

木曾『……』

木曾『……弱すぎる』

男『……は?』

鬼『……ナメルナ!』ドンッドンッドンッ!!

木曾『違う……』フッ

木曾『もっと強いはずだ……』

木曾『俺が太刀打ち出来ないくらいに……』ドンッ!

鬼『……』ズザッ...

男『……木曾?』

男「……」

元帥「ん、どうした少佐。なにか彼女に心当たりでもあるのか?」

男「……」

大和「……」

男(すぐにでも……逃げ出したい気分だ。ここにいるだけで、次の瞬間には殺されてしまうような……)

男『フフフ、ハハハハ!!!こいつはいい!!楽しくなりそうじゃねえか』

男「随分……余裕だな」

男『この圧迫感、殺気、最高じゃねえか。ゾクゾクする』

男「……こんな心が俺にもあったなんてな」

元帥「なにを……あぁ。そうか、君の幻覚か」

元帥「そろそろ壊れている頃だと思ったが、苦しんでいる様子はないが……」

元帥「……だとすると」

元帥「アハハハハハ!!!そうか!!そうか……君は本当に私を楽しませてくれる」

元帥「なら、奥で待っている事にするよ」

元帥「大和とのダンスを楽しんでから、来るといい」

コツコツ

長門「ぐ……逃がすか……!」

大和「ギ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」ジャキジャキジャキンッ!!!!

長門「……これをどうにかしなければならないか」

男「……速攻でケリを着けて……」

長門「提督、翔鶴。二人は元帥を追うんだ」

翔鶴「長門さん!!」

男「無茶だ!」

長門「無茶じゃないさ。私を誰だと思っている?」

長門「あのビッグセブンと呼ばれた長門型戦艦ネームシップの長門だぞ」

長門「大和だろうと化け物だろうと、撃破してやる」

翔鶴「でも、私も残った方が……」

長門「屋内では艦載機は飛ばせないし外は吹雪。それに、誰が提督に付いていくんだ?」

翔鶴「……長門さん」

男「……行こう、翔鶴」スッ

長門「……」

翔鶴「……はい」ギュッ

ダッ

大和「……!!!!」

長門「大和!!!!」チャキンッ

ドンッ!!!

長門「お前の相手は私だ。それとも、恐れなして逃げるか?」

大和「……」ギロッ

長門「フッ……そうこなくてはな」

長門「長門型戦艦一番艦、長門。推して参る!!」

今日はここまでです

それと上手く姿形を説明をするのが難しくて伝わってない気がしますけど、自分のイメージでは次世代人型兵器がアーマードコアの機体とマヴラブの戦術機と足して割ったようなやつ

大和はマヴラブのBETAにR-TYPEのバイドを足して装甲を着けた様なかんじ

少し会話に出た六足歩行戦車は攻殻機動隊のアレですね

あくまで自分のイメージなので読まれている方は好きな様に想像していただけると嬉しいです

男(ずっと奥に続く通路を歩いていくと広い場所に出た。さっきと違って電子機器や機体も見当たらない)

男(演習場か、格納庫か。どちらかはわからないが……)

男「……」

翔鶴「……」

男「……みんな、追いついてくるよな。きっと」

翔鶴「はい。絶対に追いついてきてきてくれます」

翔鶴「あ……提督」

男「ん?」

翔鶴「ジャケット、ありがとうございました」スッ

男「あぁ……」バサッ

男「……さて」

元帥「長門を置いてきたのか?」

男「長門なら勝つ」

元帥「ほう……まぁいい。それで、君はどうするつもりかな?」

男「俺は……」

スッ

男「……お前を殺す」チャキッ

元帥「私を殺すか。そうか……面白い」

元帥「掛かってこい」ニヤッ

翔鶴「提督!」

男「翔鶴は下がっててくれ!」タタタンッ!!

元帥「……」フッ...

男「な……」

男(消えた!?違う……ふらりとした動きで弾道をかわして……)

男「ッ!!」シュッ

ガキンッ!!

男「……」

元帥「このタイミングで軍刀を抜けるとは大したものだ」

男「人間の動きじゃない……」

元帥「君に言われたくはないかな」

元帥「……そうだ。面白い話をしよう」バッ

男「……」チャキンッ

パンッ!!

元帥「君の服用した薬。あれは男性だけでなく女性にも投与された」フラッ

元帥「純粋に戦闘能力を高める効果もあったからな」ダッ

ガキンッ!!

元帥「だがもちろん女性だからと言って副作用が無い訳ではない」ギリギリ

男「……」シュッ!!

元帥「精神を、身体を蝕まれて何人も死んで行った。男女共にな」ブンッ

男(……強い)バシッ

元帥「だが……その中でも一人だけ。薬物に適応し、狂気を心に受け入れた人間がいた」

男(何度も言うが人並みじゃない……!)

元帥「破壊と殺戮の衝動をその心に刻み、とてつもない力を発揮する」

男(……まさか!?)

元帥「それが、私だ」

男「……」

元帥「最初はね、少しは躊躇ったよ。理性を奪われるのが怖かった」

元帥「幻覚や幻聴にも悩まされた」

元帥「けれど、いざ受け入れてみればどうだ?」

元帥「こんなにも世界は変わるのかと!こんなにも楽しい事が沢山あるのかと!」

元帥「難しい事を考えるのもやめたよ。自分さえ楽しめればそれでいい」

元帥「隠蔽工作や裏から色々手を回したり、それも適当でも構わないと」

元帥「幻聴や幻覚に悩まされる事は無い!非力さに歯痒さを感じる事もない!」

男「……狂ってる」

元帥「狂人だろうとなんだろうと好きに呼ぶといいさ」

元帥「それに……君もだろう?少佐」

お仕事です

男「……」

男(確かに、内の自分と会話していたり。呑まれて殺戮を楽しむ素振りを見せたりしている所は狂人に見えるかもしれないけど)

元帥「君も内なる狂気を受け入れた!だからそうして平然としていられる。違うかな?」

男「あぁ……そうだな。確かに、憎悪も、殺意も、負の感情を受け入れたよ」

元帥「やはりな……失敗して死んでいった人間達は皆狂気という名の快楽を受け入れられずに苦しんで死んだ」

元帥「君が男性で初めて成功例を出した非検体だ」

男「……お前と一緒にするな」

元帥「いい加減猫を被るのはやめたらどうだ?殺したいだろ?全て壊してしまいたいだろう!」

男「殺すさ、壊してやるさ。だけどそれは」

男「自分の大切なものを守る為だ!憎悪に駆られようとどうしようと、俺は大切なものを守りたいから殺すんだ!!」

男「お前の様に自分の快楽の為じゃない!」

元帥「……ふふ、ハハハハハ!!!!」

元帥「君は……本当に面白いよ。面白い。私をとことん退屈させないでいてくれる」

男「……元帥、お前とは相容れない様だな」

元帥「その化けの皮を剥がしてあげよう」

男「……」チャキンッ

男(あぁ……憎い。こいつの悦楽の為にどれだけの犠牲が出たのか)

男(俺自身も、彼女たちも、犠牲者なんだ)

男(許さない。絶対に……!!)

男『派手に暴れてやろうぜ。臓物引き摺り出して』

男「脳漿をブチまけて」

男『無惨な姿に変えてやる』

男「『絶対に殺してやる!!』」

元帥「君の狂気を!!全てを見せてくれ!!」

天龍「くっ……!!」キンッ

龍田「……」ブンッ

天龍(龍田を相手に敵がどれだけのプレッシャーを感じているか自分で体験するとは思わなかった)

天龍(薙ぎ払いで武器を払い即死させられる場所を的確に突きで狙ってくる)

ポタッ

天龍(……一瞬でも気を抜いたら……殺される)

龍田「……」ビュッ

天龍「チッ」キンッ

天龍(でも、どうすりゃいい)

天龍(龍田の自我はまだ、残っている。どうしたら助けられる!!)

龍田「天龍……チャン」

天龍「今助けてやる!!」

龍田「……」

ブンッ!!

ゴスッ

天龍「かはっ……」グッ

天龍(柄の部分での打撃……)

天龍(深海棲艦のパワーと瞬発力に龍田の元々の技術とポテンシャルが一つになってる)

天龍(……まずいぜこれはよ)

金剛「ファイヤー!!」ドゴォォォンッ

金剛「……はぁ。はぁ……キリが無いネ」

金剛「天龍は……苦戦しているみたいデスネ」

金剛「けど……深海棲艦に囲まれて動くに動けない……」

金剛「……どうしたら」


木曾「邪魔だ!!」ドンッドンッドンッ!!!!

駆逐イ級「……」ドゴォォォ...

電「命中させちゃいます!」ボシュッボシュッ

木曾「……クソッタレ」

大佐「所詮その程度。口だけは大きいのはあの男と同じだ」

木曾「この……!!黙れ!!!」

ドンッドンッドンッドンッドンッ!!

大和「ギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」ドドドドド!!!!

長門「ふっ……」サッ

ピシュッ

長門「ぐ……この程度……」

長門「主砲で装甲にダメージが入らないとはな……つくづく恐ろしい」

長門「なら……斉射!!」ドンッ!!!!

ドゴォォォンッ!!!!

大和「……」

長門「なっ……斉射でもダメージが入らない……?」

長門(硬すぎる……だが、必ずダメージが通る部分はある!必ずだ……)

今日はここまでです

ああいうロボットロボットしたのってやっぱりかっこいいですよね。宇宙で火花散らしたり自由に動かれると少しアレですけど

元帥の参加しているプロジェクトや機関にモデルは無く完全に創作です。ただ書いてると寄生虫とか癌に似てるなとは思いました

男「喰らえ!!」ダダダンッダダダンッダダダンッダダダンッ!!!!

ドシュッドシュドシュドシュ...

男(全弾入った!!)

元帥「ぐ……」ドサッ

男「……」ジャキッ...

ジャコンッ

翔鶴「……」

男「……早くみんなを」

元帥「これだけで終わるとは……思っていないよなぁ?」スッ

男「……」スッ

ダンッダンッダンッ!!!

元帥「あ゛ぐぅ……ふふ、ふふふ……」

男「……なんで」

翔鶴「……提督、傷が」

男「……傷が、塞がって……」

元帥「こいつはいい……上々だな」

男「……どうなってんだ、これ」

元帥「私がなにも無しに出てくるとでも思っていたのか?」

元帥「自動修復プログラムを組んでおいて正解だった」

男「……」

男(傷が塞がるなら……一撃で葬るしかない……?)

翔鶴「霧島さん!霧島さん!」

翔鶴「……」

元帥「霧島?霧島がいるのか。そうか……なるほど。彼女がいたからここまで上手く運べた訳か」

元帥「という事はあの死も偽装。ハハハハハ!!!アハハハハ!!!」

元帥「凄い!!君たちは本当に素晴らしい!!」

元帥「私が手のひらで踊らせていると思っていた事自体が既に仕向けられていたと!」

元帥「踊り狂っていたのは私の方だった!!」

元帥「あぁ……ふふふ」

男(通信が繋がらないのが痛いな……)

元帥「あぁ……この緻密で繊細な計画……」

元帥「全てめちゃくちゃにして壊してやろう」ギロッ

男「……!!」チャキ

男「はっ……!?」

男(視界から消えた!?)

元帥「遅い!!」ガッ

男「ッ……」パンッ

ガシャンッ

男(蹴りで小銃を跳ね飛ばされた)

男「なら……!」

ヒュッ!!

元帥「ほう……ナイフ格闘か……いつ覚えた……?」

元帥「私の格闘も甘くは無いぞ!」シュッ!!

男「ふっ……」ガッ

男(相手の力を最小限の力で流し……)

男(相手の流れた力を相乗させて掌をねじ込む!!)グッ!!

ゴリュッ!!

元帥「ぐぇ……っ」

男(木曾に教えてもらったけど深海棲艦相手には結局使えなかった体術……)

男(ここで役立つとは思わなかった)

男(木曾がいなくなった後も鍛錬を続ける傍らでこれも練習していて良かった)

男(確か……そうだ。焰螺子とかいう名前だった)

男(螺子の様に捻る動き、焼け付く様な痛みを与えるから……だったか)

元帥「げほっ……これは……」

ビチャッ

元帥「内臓を破壊する……拳か……はぁ……はぁ……」

元帥「自動修復が無ければ……危なかった」

男「……」

男(これでも一撃じゃ倒せない……)

男「どうすれば……」

お出かけついでに少し

元帥「そろそろ……銃創も癒えてきたか……」

元帥「今度は私から行くぞ!」ダッ

男「ッ!!」

ドカッドカッドカッ

男(早い……!!それに拳の威力も半端じゃない)

男(下手に喰らえば腕が折れかねないな……)


翔鶴「……私は見ているだけ?」

翔鶴「……なにか、なにか出来ないかしら」

翔鶴「……?あれは……」ダッ

翔鶴「……埋め込み式の通信パネル」

翔鶴「これなら外部連絡が取れるかも……!」

男(倒すにはどうしたらいい……)グッ

元帥「防戦一方か?いつまで身体が持つかな!!」シュッ

ゴッ!!

男「ぐぅぅ……」

男(再生……回復……)

男(そういえば、銃創が治るまでにはラグがあった……)

男(……)

元帥「ハハハ!!どうした少佐!!」ビュッ

男(なら……!!)グイッ

元帥「しまっ……」

男(腕は弓だ。限界まで引き絞り……一点を穿つ!!)

元帥「な……手刀だと……!?」

男(木曾から教わったもう一つの技。恐らく現実の世界では使えないけど……)

男(人外並みの身体になれるここでなら、撃てる!!)

ビュッ

男「焰……錐!!」

ドシュッ!!!

元帥「ッッッ!?!?」

ズブッ...

男(心臓を……貫いた……!!)

元帥「あっ……あ゛あ゛あ゛あぁぁ……ごぼっ……」

男(……)

元帥「……っ!!っ……」パクパク

ドサッ

男「……気持ちのいいものじゃないな」

男(俺は今……人間を殺したんだ。あの皮膚を突き破って肉を裂いて、突き抜ける感触)

男(生暖かい肉と血が絡みついて、俺の手を汚した)

男(……)

元帥「……」

男(うつ伏せに倒れた元帥の身体から血が拡がっていく。いくら再生能力があるからと言っても心臓を潰して殺してしまえば……)

男(再生はしないはずだ)

男「……」

男「翔鶴……翔鶴?」

翔鶴「あ……提督」

翔鶴「……終わったんですね」

男「……」

翔鶴「通信パネルがあったのでこれで外部と連絡を取れる様にしました」

霧島『司令官!大丈夫ですか?』

男「あぁ……大丈夫だ。霧島」

霧島『今ここから鎮守府内部へハッキングを掛けます』

男「ところで……元帥の自動修復プログラム。あれは……?」

霧島『今解析してます……』

霧島『あれは、元々の自分のバックアップを元に破損個所を上書きするプログラムのようです』

霧島『だからどこを破壊しても修復が可能で……』

男「……」

翔鶴「……」

男「待て、という事は……心臓や脳を破壊しても……再生する。という事か?」

霧島『はい、理論的には』

霧島『……司令官?』

男「……ふんっ!!!」ブンッ

ゴキッ...

元帥「がっ……!?」

ザッ

元帥「……上手く騙せたと、思ったのだがな」

元帥「まさか振り向きざまに回し蹴りが飛んでくるとは思わなかった」

男「……クソ」

元帥「しかし君は面白い体術を使うな?是非教えてもらいたいものだよ」

翔鶴「……」

元帥「しかし翔鶴。折角邪魔が入らない様にここを隔離していたのに……」

霧島『今自動修復プログラムの破壊を……少し時間を下さい!』

男「……」

男(時間稼ぎ……か)

元帥「その前に……終わらせてしまおうか!」ダッ

元帥「ふんっ!!」ブンッブンッ

男「っ……」

男(さっきより格段に攻撃が……強い)

男(この蹴りもすぐに……腕が折れそうなくらいだ……)

男(さっきから顔面を執拗に狙ってくる……)

男(当てられたら……終わりだな)

元帥「……」ニィッ

ブンッ!!

男「っ!?」

男(蹴りの軌道が変わった!?)

ゴッ

男「ぐぁッ!!」

元帥「足元がお留守になってるぞ、少佐」

男「……」

男(……時間まで耐えてから倒さなきゃいけないのに……このままダメージが蓄積したら)

男『おい!!なに守ってなんかいやがんだ!!』

男「……」

男『俺に変われ。あいつを殺してやる』

男(殺したって再生するぞ……どうするんだよ)

男『殺し続ければいいだけの話だ。あぁ?その時間まで死に続けてもらうんだよ』

男「……」

男『……そんなに[ピーーー]のが怖いか?いたぶるのが怖いかよ?』

男『楽しもうぜ?なぁ』

男「……楽しみたくなんか無い」

男『けど、お前のその甘っちょろい心で戦ってたら先にお前が死ぬぞ』

>>271 修正


男(……時間まで耐えてから倒さなきゃいけないのに……このままダメージが蓄積したら)

男『おい!!なに守ってなんかいやがんだ!!』

男「……」

男『俺に変われ。あいつを殺してやる』

男(殺したって再生するぞ……どうするんだよ)

男『殺し続ければいいだけの話だ。あぁ?その時間まで死に続けてもらうんだよ』

男「……」

男『……そんなに殺すのが怖いか?いたぶるのが怖いかよ?』

男『楽しもうぜ?なぁ』

男「……楽しみたくなんか無い」

男『けど、お前のその甘っちょろい心で戦ってたら先にお前が死ぬぞ』

男「……」グッ

元帥「さて……そろそろ終わりだ」スチャ

男「なっ……」

元帥「私だって銃くらい持ってるさ。それじゃあ……」

男『早く変われ!!』

男(……わかった。もう、なるようになれ)

男『ギャハハハ!!!行くぜ!!!』

翔鶴「提督!!!」ダッ

元帥「死ね」

男「……」

ニィッ

ビュッ

男「確か……あいつと鍛錬してた時にこんな技も使ってたよなぁ」

元帥「ッ!!」

男「銃を撃つ時ってのは本当に無防備になる」

男『これは確か……相手に密着して足払いをした後』

男「お留守な後頭部に肘をお見舞いしてやる」

元帥「……」フラッ

男「絶招、焰槌」ブンッ

ドゴォッ!!!!

元帥「げっ……!?」

ドサッ!!!

あやかしびといいですよね。現実味のある架空の体術でかっこいいのって考えたらこれが出てきたので使いました

木曾に教わった武術という前提なのでマーシャルアーツでも良かったんですけど、そういうのは間違ったら嫌だったので

本来は九鬼流ですけど木曾だから木曾流か。オリジナル技も作れそうですね

翔鶴「提督……良かった……」

男「なにボケっと見てやがんだ。さっさと霧島と連絡取りながら施設を破壊する算段を取れ」

翔鶴「えっ……は、はい!」

男「その間に俺はこいつをブチ殺しておいてやる」ニィッ

翔鶴「……提督?」

男「さて、まだ終わらないぜ。立て!」グイッ

元帥「ぐっ……」

男「いくぜ!!」グッ...

男「焰螺子!!」ビュッ

ゴッ!!!

元帥「がはっ!!」

男「もう一撃……焰、螺子ィ!!」ビュッ

ゴキュッ

元帥「がっ……はっ……」ビチャッ...

男「ギャハハハ!!!オラオラ!!サンドバックになった気持ちはどうだ元帥さんよ!!」

元帥「げほっ……はぁ……少佐……まさかそれが……」

翔鶴「もう一人の……提督」

男「もう一人?違うな。俺は俺だ。さっきまで表に出てた俺も今の俺も全部」

男「俺なんだよ!!」グイッ

男「焰……錐!!」ビュッ

ドシュッ!!!

元帥「あぐぁっ……」

男「おいおい……これくらいで死なれたら困るぜ?」

元帥「……」

男「まだまだ……」シュッ

男「次はこの軍刀で微塵切りだ」

男(おい!それ以上は……)

男「それが甘いってんだよ!こいつはいくらでも再生するんだ。微塵切りだって足らねえ」

男(……)

男「黙って見てろ、甘ちゃん」チャキッ

元帥「げほっ……ごぼ……」

男「お目覚めか?」

元帥「はぁ……はぁ……純粋な、戦闘では……君には敵わない……な」

男「今頃気がついたのか?それなら遅いぜ」

元帥「……だが。君の技を少し、覚えさせてもらったよ……」シュッ

男「くっ……」ギィンッ!!

元帥「こう……かな……」グイッ

男「なっ……」

元帥「焰螺子!」ビュッ

男「チッ……」ゴッ

元帥「防がれたか……そう簡単には上手くいかないね……」

男「……」

男(この技、受けるとこんなにダメージがあんのかよ……腕が軋んでやがる)

元帥「痛みは克服出来る。いや、快感ですらあるよ、少佐」ユラッ

ヒュッ

男「……ッ」フッ

元帥「まだまだ……楽しませてもらいたいが……時間は無いか?」

翔鶴「霧島さん!」

霧島『あと少しだけ、少しだけなの!この……防壁を破れれば……』

お仕事です

校門を抜けると、ハンサムだったもとい防壁を抜けると残業だった(白目

お仕事ですは前のスレからずっと使ってたので……

男「……」

元帥「ふふ……」

男「クク……ハハハハハ!!!!」

男「面白れぇ、痛みは快感ってか!相当マゾみてぇだなぁ元帥さんよぉ?」

男「なら、その快感を苦痛に変えて絶叫させてやるぜ」チャキッ

ダッ

男「っらぁ!!」ヒュッ

元帥「剣技は……いまいちかな?」サッ

男「まだまだ!!」ヒュッブンッ

元帥「まるで子供の遊びだよ……」

男『……後ろに引いた』

男「……」ニィッ

チャキッ

男「刀で喰らえば相当痛いだろうな?」グッ

男「剣技・焰螺子!!」シュッ!!

元帥「なっ……今のは誘う為……」

ズシュッ!!!!

グチュグチュッ!!!!

翔鶴「ひっ……」

男「まだもう一撃あるぜ!!」ズブッ

男「剣技・焰螺子ィ!!」シュッ

元帥「くっ……」スッ

男「腕で防げるとでも思ったのかよ」

ゴリュッ!!ズブッ

元帥「あがぁぁあああ!!!」

男「ギャハハハ!!!腕ごと串刺しだぜ!!!」グッ

ペキンッ!!!!

男「……チッ。折れちまったか」

元帥「はぁ……はぁ……うぐっ……」

男「まぁいいさ。拳さえありゃ十分だ」ポイッ

カランカラン!

男「ふっ……」ブンッ

ゴスッ!!ゴスッ!!

元帥「あ……あぁ……」

男「死体蹴りだな文字通り……そこそこ綺麗な顔に身体してんのに見る影もねぇ」ゴスッゴスッゴスッゴスッ

翔鶴「提督!もう……」

男「……翔鶴。こいつは俺たちの敵だろ?どうなったっていいじゃねえか」

翔鶴「それでも……やりすぎです」

男「……どいつもこいつも甘ぇんだよ」スッ

男「そういう俺も……やめてやる辺り甘いよな。一体化が進んでるせいか?」

男『……』

男「まぁ……結局はお前と俺とは同じ存在。こうなるのは分かり切ってた」

男「防壁はまだかよ」

霧島『今…やってます!思った以上に複雑で……』

男「……」

男「しっかし期待外れだよなぁ……強いのと殺り合えると思ってたら……」

元帥「ごぶっ……なら……その、期待に……答えて……あげようか」

男「あん?」

元帥「ふふ、ふふふふ……まさか、こんなに、早く使う事になるなんてね……」スクッ

男「回復の速度が上がってる……?」

元帥「……こい」

天龍「くっ……そ……!」ガキンッ!!

龍田「……」フラッ

シュバッ!!

ドシュッ...

天龍「か……はっ……」ユラッ

金剛「天龍!もう!敵が多すぎマス!!」

龍田「天龍チャン……タスケテ……タスケテ」

ブンッ

天龍「はぁっ……はぁっ……」フッ

天龍(隙の無い攻撃、全く糸口が見えない……)

天龍(このままじゃ……確実に殺られる……)

龍田「ア……」ピタッ

天龍「はぁ……はぁ……」

金剛「ファイヤー!!って……」

シン...

金剛「深海棲艦の……動きが止まった……?」

龍田「……」

天龍「……龍田?」

龍田「……ヨンデル、イカナキャ……」

ザァァ...

天龍「なっ……なんだ?」

金剛「深海棲艦が逃げていくネ!」

天龍「……」

金剛「……」

天龍「……」

バシャ...

天龍「……はぁ」

金剛「天龍!」ザァァ...

金剛「その怪我……」

天龍「あぁ……軽いもんだから大丈夫だぜ。金剛姉」

金剛「……」

天龍「……それより、どうも様子がおかしく無かったか?」

金剛「そうデスネ……追いかけてみまショウ」

ここまでです

今日は通退勤で死んでたので更新出来ませんでした。申し訳ないです(´・ω・`)

木曾「これで20!!」ドンッドンッドンッ!!!!

電「残りの魚雷が少なくなってきてます!」

木曾「霧島姉さん!補充を頼む」

霧島『わかったわ!少し待ってて……』

木曾「ま、敵の数もかなり減ってきたからそろそろ……お終いだろうがな」

大佐「……」

ドンッドンッドンッドンッドンッ!!!!

霧島『残弾確認、既存データ上書き処理開始……』

木曾「……弾切れか」

木曾「……フフ、久しぶりだな」グッ

木曾「深海棲艦に肉弾戦か……そういえばあいつが来てから見せた事は無かったか」

電「あ、あぶないのです!」

木曾「心配するな。まぁ見ていろ……」ザァァ

駆逐イ級「……」バララララ!!

木曾「そんなもんあたらねえよ」グッ

ゴンッ

木曾「っ……流石に硬いなこいつは……」

駆逐イ級「……!」ゴッ

木曾「ふんっ」サッ

木曾「腕を引き、螺子の様に捻り打撃を与える……」

木曾「木曾流絶招、内の壱。焰螺子!!」シュッ!!!

ゴッッッ!!!!

駆逐イ級「……」

木曾「……」

ゴボゴボ...

霧島『上書き終了、データの確認……終了。補充終わったわよ!』

木曾「助かる」

大佐「……」

木曾「このまま戦った所でジリ貧だぜ?どうすんだ大佐さんよぉ?」

大佐「……」

電「戦うのを止めてもらえば……」

大佐「降伏はしない」スッ

大佐「小娘、掛かってこい」グッ

木曾「艦娘に格闘で勝負を挑むのか?とんだ自惚れだな!!」

木曾「それなら望み通り……くたばれ」ダッ

大佐「フンッ!!!」ヒュッ

木曾「ハァッ!!」シュッ

ゴッ!!!!

木曾「……まさか、お前も……!!」

大佐「……さて、なんの事だ」

木曾「……一撃で屠る。霧島、アレを」

霧島『今使ってもいいの!?』

木曾「構わない」

霧島『……状態チェック開始』

ゴッ!!!ドゴォッ!!!

木曾「普通に考えて相打ち出来る訳がない。なのにお前は……」

大佐「……」

大佐「言うが、あの薬は使っていない」

木曾「ほざくな!つまらない嘘を……」

大佐「己の武装に頼り自己を鍛え上げない小娘、お前にはわからん」

大佐「鋼鉄の殻で弱みを隠してもいつか、それが表に出る」

ご心配おかけして申し訳ないです。そしてありがとうございます

アレですね。少ない睡眠で動ける人間になりたい

睡眠足りなくて身体おかしくするのは怖いですよねぇ……やっぱり。最近ちょっとキツいんで更新のタイミングで睡眠取らせてもらう事も多くなると思います

更新の頻度は落ちると思いますけどできる限り一日一回は書き込むのは継続するつもりなのでよろしくお願いします

意外と最終局面が長くなりそうなので、終盤ですけどしばらく続くと思います。あと今さらですけど艦これじゃないってツッコミは無しの方向で

ゴッ!!

大佐「……あの戦場を生きたなら、分かるはずだ」シュッ

ゴキッ

木曾「ぐっ……」

大佐「真の己の強さだけが、信じられる唯一のものだ」

大佐「……小娘にはわからないか」

木曾「小娘小娘と……舐めるのも大概にしてもらおうか」

霧島『脳波、生体反応、異常無し。コードリンク、情報処理開始』

ブワッ!!!

大佐「っ……!!」

木曾「……」

電「これで……最後なのです」

電「木曾お姉ちゃんは……」

ブワッ!!!

電「はわっ!?」

電「……木曾お姉ちゃんの身体が、光ってる」


霧島『武装、装甲の再構成開始。モデルチェンジ、カウント15……14、13』

大佐「……」シュッ!!

キンッ

木曾「……」ニヤッ

霧島『3、2、1、0』

パッ!!!!

大佐「……」

バサッ

木曾「球磨型、木曾改二。出る」

大佐「改二……」

木曾「次世代兵器に搭載される機能の内の一つ。武装変更」

木曾「狙撃手から突撃兵まで一機でこなせる様に設計されている」

木曾「……まぁ、この機能は現段階の兵器には搭載されてはいないが、研究は進んでいる」

木曾「さぁ、続きをしようか」


長門「喰らえ!!」ドンッドンッドンッ!!!」

大和「ウ゛ウ゛ウ゛……」

長門「何度撃っても……ダメージが入っていない」

長門「……」

大和「……」スッ

バララララ!!!!

長門「く……」タッタッタッタッ

長門(最早あの戦艦の面影は無い……か)

長門(……魂まで、喰われているのだろうか)

長門(なら……)

長門「やはりここで私が倒す他ない!」ドンッドンッドンッドンッドンッ!!!!

ブンッ

長門「なに!?」

ドゴッ!!!!

長門「うわっ!!」フワッ

ガシャンッ!!!!ゴロゴロ...

長門「う……ぐあぁぁぁ……」

長門「……薙ぎ払いだけで、この威力……」グッ

長門「はぁ……すぅ……」

長門「まだまだ!!」ダッ

お仕事です

長門「主砲が無理なら拳で攻めるまで!!」ダッ

大和「!!」ブンッ

長門「遅いぞ……!」ヒュッ!!

ゴンッ!!!!

長門「~~~ッ!!」ギリッ

長門(装甲の継ぎ目から覗く肉に当たればどうにかなるかと思ったが)

ブンッ

ガッ!!

長門「くぅっ!!」ズザザッ

長門(そう簡単にはいかないか!)

長門「なら……!」スチャ

バララララッ!!!

大和「グギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

長門「入っ」

ドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッ!!!!!!!!

ドゴォッ!!!ボゴンッ!!!

長門「なっ!?!?」

パラパラ...

長門(い、今のは……)

長門「……」スッ

長門(とてつもない乱射だった。今のでかなりこの建物にダメージが入った気がする)

長門(あれをこれ以上撃たせてフロアが崩壊したら……タダでは済まないだろうな……)

長門(撃たせない為にも近接で攻撃するしかない!)ダッ

シュッシュッ!!

長門「この長門の拳!甘いものではないぞ!」ブンッ

ガンッ!!!

長門「くっ……まだまだぁ!!」シュッ!!

ガンッ!!!ガンッ!!!ガンッ!!!

大和「グルル……」ブンッ

長門「ふっ……」サッ

短いですが

長門「単調な薙ぎ払いなどそう何度も当たるものではない!」シュッ

ドゴォッ!!

長門「胸元がお留守だぞ、大和」

ドゴッドゴッドゴッ!!

長門(胸部装甲の隙間が一番狙いやすい。ダメージも恐らく……)

ブォンッ

長門「はっ……!?」ダッ

長門「……」キュッ

長門(薙ぎ払いの返しで捕まえて潰すつもりだったのか……)

長門「ハッ!!」ダッ

ゴンッ!!ゴンッ!!

長門「ぐぁっ……」

長門(正直、このまま殴り続けたら先に拳が砕けそうだ)

長門(だが立て続けに超接近戦を挑めばやはり砲撃を撃たせずに戦闘が出来る!)

大和「……」

長門「……」シュッ

ゴンッ!!ゴンッ!!

長門(……)

木曾『……大和姉さんは、深海棲艦になったんだよ』

木曾『情報世界の鎮守府の最奧で、今も飼い殺しにされてる』

木曾『深海棲艦となって、元の魂なんて喰われて朽ち果てた今でも、実験体として飼われてるんだよ』

長門(……こう、戦っていると何故か)

長門(何故かはわからないが……)

大和「……」ブンッ

ガッ!!

長門(まだ……艦娘としての大和の意識は残っているんじゃないかと。思ってしまう)ググッ

長門(本当に、根拠はなにも無いがな)

長門「まだ、意識は。魂は生きているんじゃないか、大和」

長門「その身を深海棲艦と化した今でも、なぁ?」

大和「ギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」ググッ

長門「……ッ!」ズザザ...

長門「……今、救い出してやるぞ。大和!」ギリギリ...

お仕事です……

今回は睡眠取らせていただきました。次は明後日に

木曾「……!」シュッ

ゴッ!!

大佐「……」

木曾「……」グッ

シュッシュッシュッ!!!

ガッガッドゴッ

大佐「っ……」

木曾「改二でもこれか……やはり……」

大佐「……お前には到底理解出来ん」

大佐「鍛え上げたものの極みを、積み上げてきたものの重さをな」

木曾「知った口をきくな!!」ブンッ

ガッ

大佐「……」

木曾(何故だ!?何故俺の拳も脚も止められる。改二のパワーでなら……)

木曾「パワー……か」

木曾「はぁっ!!」シュッ!!

大佐「ふっ……」ガッ

木曾「……そうか、そういう事だな」

木曾(水上であるし夜間だからいまいちわからなかったが……)

木曾(身体を後方にずらしてダメージを軽減している)

木曾「なら……!!」

ダッ!!

大佐「……」グッ

木曾(足掛け……!)

ガッ

大佐「なっ……」フラッ...

木曾「木曾流、焰槌!!」ブンッ

ゴッ!!

大佐「ぐぅ……!」

木曾「まだだ!」

木曾(体制を崩した相手身体に手を添え、急所に上から拳を叩き込む)

木曾「木曾流、内の伍。焰斧!!」シュッ

ゴッ!!!

大佐「……っ」

ドシャッ

木曾「……」スッ

チャキッ

大佐「……」

木曾「……ようやくだ。ようやく、仲間の仇が討てる」

木曾「ずっと……この時を待っていた」

大佐「……」

木曾「俺の復讐はこれで……終わる。この引き鉄を引くだけでな」

大佐「……好きにすればいい」

木曾「……ここで殺してやる」

電「だ、だめ!!」

木曾「……電?」

電「だめ……殺したら……」

木曾「……お前にはわからないだろうが俺は……」

電「……大切なものを無くした気持ちは、わかるのです」

電「電も……お父さんとお母さんにもう……」

電「会えないから」

木曾「っ……!?」

お仕事です

木曾「……電、それは……」

電「電にだってわかるのです。お姉ちゃん達と攫われた事。あの手紙は……お母さんの字に似てたけど違います」

電「みんないつか会えるって、信じてたけど。きっとどこかで分かってました」

電「元帥さんの事が嫌いで、大嫌いだと思ってたかもしれないです」

電「けど……それでも、殺しちゃおうなんて誰も思ってなかったと思います」

電「それじゃあ元帥さんと、みんなが嫌いな人たちと同じになっちゃうのです」

電「だから……」

大佐「……」

木曾「……電」

木曾「……」チャキッ

電「……」

大佐「……」

木曾「……俺は」

木曾「……俺は、こいつを[ピーーー]事を思いながら生きてきた」

木曾「この計画を知ってからは、これを止める事に全力を注いだつもりだが」

木曾「それでもその中心にあったのは、こいつへの復讐だった」

木曾「これを諦めたら俺は……俺は今まで、なんの為に生きてきた事になるんだ」

木曾「この先、どうすればいいんだ」

電「……」

>>343 修正


木曾「……」チャキッ

電「……」

大佐「……」

木曾「……俺は」

木曾「……俺は、こいつを殺す事を思いながら生きてきた」

木曾「この計画を知ってからは、これを止める事に全力を注いだつもりだが」

木曾「それでもその中心にあったのは、こいつへの復讐だった」

木曾「これを諦めたら俺は……俺は今まで、なんの為に生きてきた事になるんだ」

木曾「この先、どうすればいいんだ」

電「……」

電「それは……電にはわからないです」

電「けど!木曾お姉ちゃんならきっと!」

電「……きっと、見つけられるはずなのです」

木曾「……」


天龍「……」ザァァ...

金剛「あの光は?」

天龍「あれは……木曾か?」

金剛「銃口を向けられてるのは、大佐……」

木曾「電は、俺よりも。いや、誰よりも……強いな」

木曾「俺なんか足元にも及ばないみたいだ」

木曾「死ね、大佐」

電「っ!!」

大佐「……」




カチッ

木曾「……」

電「……」

大佐「……空撃ち、か」

木曾「……」スッ

木曾「元帥の部下であり、俺の仇である大佐は死んだ」

木曾「今からお前は俺の下僕だ」

木曾「俺の言う通りに動き、生きて、死ね」

木曾「一生飼い殺しにしてやる」

木曾「一瞬でも逆らったり裏切りの兆候を見せたその時は、俺がこの手で仕留める」

木曾「わかったか」

大佐「……」

大佐「ふははははは!!!!」

大佐「小娘程度に俺が使えるのか?」

木曾「俺より少し行った女が使えたんだから俺だって使えるさ」

大佐「……勝手にしろ」

木曾「そうだな……とりあえず」

木曾「現実世界の鎮守府の制圧、奪取を敢行しろ」

木曾「現在交戦中の俺たちの仲間の部隊の救出を最優先に」

木曾「いいな?」

大佐「……」

大佐「強制脱出機構、作動」

ジジッ...ジジジ...


木曾「……」

電「……」

木曾「夜風が、気持ちいいな」

電「……はい」

木曾「いくぞ。早く提督達の援護に向かわなきゃならない」

電「……なのです!」

天龍「おーい!木曾!電!」

金剛「無事デスカー!」

木曾「姉貴……」

電「金剛お姉ちゃん!」

天龍「……よくわかんねえけどよ」

天龍「よくやったよ」

木曾「……あぁ」

天龍「というかその格好なんだ?」

木曾「これは改二だ」

天龍「改二?」

金剛「怪我は?痛い所とかは?」

電「電は大丈夫なのです」

木曾「さぁいくぞ!時間がない」バサッ

中佐「……赤城」

赤城「……」

中佐「扶桑、山城」

扶桑「……」

山城「扶桑姉様、どうして……どうして……」

中佐「イク」

19「……まだ、戦えるのね……!」

バララララ!!!!

19「この、ミニガンで……!」グッ

中佐「無茶だ……その怪我で……」

19「ゴーヤはそれでも頑張ったの!!だからイクだって……!!」バッ

中佐「やめろ!!よせ!!げほっ……げほっ!」

キュイイイン

バララララララララ!!!!!

19「ゴーヤの!!ゴーヤの仇……!!」フラッグラッ

バララララララララ!!!!

ピシュンッ!!

19「あっ……」

ドサッ...

19「……」

中佐「……ッ!!」

中佐「……加賀」

加賀「……はい」

中佐「君だけでも、生き延びてくれないか?」

加賀「……」

中佐「僕は……僕も、出血が多い。多分……助からない」

中佐「加賀、君はまだ。大丈夫だ」

中佐「頼む……」

加賀「……何故ですか?」

中佐「それは……」

中佐「君の事が好きだからだ。愛してるから」

中佐「君がどう思ってるかはわからないけど、僕は君の事が……好きなんだ」

中佐「それだけの、個人的な理由だよ」

中佐「だから……」

加賀「馬鹿な事言わないで下さい」

中佐「……そうか」

加賀「上司を置いて逃げる部下が居てどうするのですか」

加賀「それに……」

加賀「好きなのは私も同じです」

中佐「……加賀」

加賀「私一人で生き延びた所でなんの意味もありません」

加賀「貴方がここで死ぬつもりなら、私もここで死ぬ」

中佐「……」

加賀「……」

「ムーヴ!ムーヴ!」

ダッダッダッ

中佐「……いや、それなら……ここで死ぬつもりはないよ」

中佐「最後まで戦おう。戦って、生き延びよう」

加賀「……はい」

チャキッ

中佐「……ッ!!」ダダダンッ!!ダダダンッ!!

加賀「……」パンッ!!パンッ!!

扶桑「……山……城……」

山城「扶桑姉様!!」

扶桑「……生き……なさい」

山城「扶桑姉様も一緒です!」スッ

ジャコンッ

山城「ここから先は誰一人撃たせない!」キュイイイン

バララララララララ!!!!!

長門「ハァァ!!」グッ

シュッ!!!

大和「ギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」ブンッ

ガンッ!!!!

長門「今だ!!」ダッ

長門「胸元が……ガラ空きだ!!!!」ブンッ

ドシュッ!!!!

長門「入った!!!」

フワッ

長門「……!?」

『ここはどこ?誰か……助けて……!!』


長門「……今、のは……」

ブンッ

ゴッ!!!

長門「がっ……!?」

ドザァァ...

長門「がはっ……げほっ……はぁ……はぁ……」

大和「……」ジャコンッ!!!!

長門「しまっ……」

今日よりも昨日?の夜のがひどかったですね。寝室がサウナ状態で寝るに寝れず……

冷房ある人は冷房使いましょう。生きるために

大和「……」

長門「……」

大和「……」

長門「……?」

ブンッ!!!

長門「ぐっ……」ガッ

長門「はぁ……はぁ……」

スッ

ジャコンッ...ジャコンッ...

長門「ま、待て!!どこにいく……げほっ」グッ

大和「……」ジャコンッジャコンッ...

長門「ぐっ……ぅぅ……」ギリッ

長門「提督の方へ……不覚だ……!!」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーー


金剛「長門!」

長門「……あぁ、金剛。みんなも来たか」

天龍「おいおい、こりゃあ大破寸前だぜ……」

木曾「あいつは!!あいつはいたのか!!」

長門「いたぞ、最強の艦娘。大和……」

長門「見る影も……無かったが」

電「大和さんはどこにいるんですか?」

長門「……提督の、方へ向かった」

木曾「急ぐぞ!」ダッ

金剛「捕まって!」スッ

長門「済まない……」

男「……一体なにをする気だ」

元帥「見れば……わかる」

ジャコンッジャコンッ...

男「この足音……」

翔鶴「そんな……長門さんは!?」

元帥「一隻の戦艦に止められる程弱くは無い。という事だよ」

男「ハッ!それぐらいでやられちゃ俺だって困んだよ」

元帥「なら……よかったよ」

ジャコンッジャコンッ

大和「……」

元帥「ふん、多少損傷してるが問題はなさそうだな」

霧島『自動修復を無効化したわ!!』

男「んじゃあ……死んどけ」ダッ

元帥「大和」

大和「グルルル」

ジャコンッ

バララララ!!!!

男「ッ……」キュッ

元帥「いくら戦闘能力が高い男くんでも、大和には勝てないだろう?」

男「……」

元帥「……」

元帥「私はね、どうしたら強大な力を手に入れられるか考えたんだよ」

元帥「そしてパパの残してくれたあの薬。あれを使って私は確かに強くなった」

元帥「だけど、これじゃあ全然足りない」

元帥「全て、現実も、この情報世界も」

元帥「私の手玉にして遊ぶ為には、足りなかった」

元帥「いや……足りない事には気づいていたよ。最初から……」

元帥「だから私は新しい研究を始めたんだ。それが思いのほか上手くいってね……」

元帥「でも、それをパパが許さなかった」

元帥「人類を守る為?世界の平和を維持する為?」

元帥「……確か、そんな事を言ってた気がする」

元帥「目障りだったから、私よりも先に天国へ行ってもらったけどね」

男「……外道だな」

元帥「深海棲艦を使った実験……これは本当に楽しかった」

男「それが……次世代兵器の……」

元帥「違うよ。私にとってただの副産物に過ぎない」

元帥「艦娘のデータも、実験の結果も」

元帥「私が強大な力を手に入れる為のものだ」

元帥「あぁ……圧倒的な火力で物を破壊するのがどれだけ楽しいか……」

元帥「考えただけで笑えてくるよ」

翔鶴「……」

元帥「で、その深海棲艦の実験では。深海棲艦の装甲や装備を使う事を目的としていたんだけどね?」

元帥「ある時、気がついたんだよ」

元帥「そんな事しなくても、もっと早く、簡単に、強くなれる方法が」

元帥「盲点だったけど、気がついた時にはそれが成就した時の事で頭がいっぱいだった……」


木曾「提督!!」

電「大丈夫ですか!」

天龍「あ、あれが……大和か」

金剛「長門、しっかりするネ」

長門「あぁ……ありがとう。金剛、もう大丈夫だ」グッ

男「……」

翔鶴「みんな!」

元帥「……役者は全部揃ったかな?」

元帥「では、まず場所を移動しよう。ここじゃあ狭いだろう」パチン

ジジッ...グニャリ

男「っ……視界が……」

天龍「なんだこれ!?景色が歪んでるぜ!!」

木曾「……空間情報の操作」

金剛「出口は……見えた!!」

バッ

男「……!!」

ザァァ...

元帥「……夜の海も美しいな」

元帥「いい風だ」

電「あ、あそこに白い塔が見えるのです!」

長門「どうやら……あの建造物から外に……移動したようだな」

元帥「さぁ、始めよう」

ザァァァァ

男「深海棲艦共が集まって来やがった」

木曾「決戦って訳か」

天龍「……龍田!」

龍田「……」

翔鶴「待って、あそこにいるのは……瑞鶴」

瑞鶴「……」

元帥「これが私が見つけ出した答えあり、実験の成果」

元帥「強くなる為に私は……」

大和「大和、喰らえ」

大和「ギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」ガバァ!!!!

グジュッ

木曾「電!!見るな!!」バッ

長門「な……なんて事……」

天龍「……」

金剛「これは……」

翔鶴「元帥が……」





男「喰われてる」

ゴリュッボキッグジュッブチュッ

元帥「がはっ……ごぼっあがぁああ!!!!」

ゴクッ

男「……」

『これダ……コレデいイ……』

ボゴッ

長門「胸元から……何が盛り上がって……」

『わタシがミツケタキュうキョクのコタエ……』

翔鶴「あれは……元帥!?」

木曾「……嘘だろ」スッ

電「ど、どうし……はわ……」

天龍「……化け物」

金剛「……」

『ソレハ』

元帥『ワタシガシンカイセイカンニナルコトダ』

深海棲艦と融合し、深海棲艦となった元帥。果たしてこれを討ち果たす事は出来るのか

続きはお仕事の後で

>>369 修正


元帥「さぁ、始めよう」

ザァァァァ

男「深海棲艦共が集まって来やがった」

木曾「決戦って訳か」

天龍「……龍田!」

龍田「……」

翔鶴「待って、あそこにいるのは……瑞鶴」

瑞鶴「……」

元帥「これが私が見つけ出した答えであり、実験の成果」

元帥「強くなる為に私は……」

大和「大和、喰らえ」

大和「ギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」ガバァ!!!!

グジュッ

× 元帥「これが私が見つけ出した答えあり、実験の成果」

⚪︎ 元帥「これが私が見つけ出した答えであり、実験の成果」

ですねー。細かいミスでした

木曾「……とことん外道に堕ちたかッ!!」

元帥『ゲドウダト……コノシコウデアルスガタガゲドウダト……』

元帥『ギャハハハハハ!!!!リカイデキナクテモシカタナイカ……』

元帥『ナラバミセテヤロウ、コノチカラ……』

木曾「霧島姉さん!!不味い事になった」

霧島『モニターしてるわ!あれの準備も今してる!』

木曾「……」スッ

元帥『クラエバクラウホドツヨクナル。ジョウホウセカイヲセイシテカラゲンジツサエモ』

龍田『……」ザァァ

瑞鶴『……』ザァァ

天龍「待て!!龍田!!」

翔鶴「瑞鶴!!!」

元帥『……』ガバァ

グジュッ

天龍「あ……あぁぁぁ……」

翔鶴「……っ」

バリッゴキッグジュッブチュッ...ゴクッ

元帥『……』

ボゴッ!!!ゴキュッゴキュッ!!!

長門「あれは……なんなんだ」

金剛「進化……してる……?」

男「……深海棲艦を取り込んで自分を強化するか」

男「筋肉の増大に装甲の増大……身体もでかくなる」

男「……」チャキッ

タタタンッ!!タタタンッ!!

元帥『……』グジュッゴリュッゴリュッ

男「……気付きゃしねえ」

木曾「……そういえば提督、お前……」

男「あぁ?なんだよ」

木曾「……それがもう一人のお前か」

男「何度も言わせんな。俺は俺だ」

男「それとも、そんなにお前らの大好きな提督さんに会いたいか?」

木曾「いや……ただ。上手く使い分けろ、とな」

男「……」

元帥『……コイツラハ、イイジッケンザイリョウダッタ』

元帥『アァ、チカラガソコカラワキデテクル』

元帥『モット、モットクラエバモットツヨクナル!!』ブンッ

グジャアッ!!!

元帥『……』グジュッゴリュッボキッ...

電「はわ……はわわ……」

翔鶴「電ちゃんは下がって」

電「だ、大丈夫なの……です!」ブルブル

木曾「電は後方から援護をたのむ!!これ以上ヤツに深海棲艦を喰わせる訳にはいかない!!」

男「面白そうじゃねえか……先手は……」

男『待て、俺が出る』

男「あぁ!?今一番面白い所じゃねえか!!」

男『みんなとの連携は、俺の方が得意だ』

男「……チッ」

翔鶴「提督?」

男「……」

男「みんな、良く聞いて欲しい」

木曾「……今度は、戻ったのか」

男「アレは長門をここまで追い込んだ化け物が更に……強くなった存在だ」

男「多分、攻撃を喰らえば一撃で……やられかねない」

男「全員回避を最優先に!連携を取りつつ奴を叩く!」

ここまでです

男「天龍、木曾を先頭に!金剛、長門は中距離からの砲撃支援を!」

男「翔鶴、艦載機は?」

翔鶴「この暗闇では偵察機が限界です」

男「わかった。翔鶴は後方から偵察機で逐次敵戦力、動きの把握を」

男「電は無防備になる翔鶴の護衛を頼むよ」

男「第一艦隊、攻撃開始!!」

木曾「……やっぱりあいつの方が指揮官に向いてるな」

天龍「そりゃ最初から指揮官だからな」

ドッパァァァンッ!!!

男「群がる深海棲艦が邪魔だな。金剛、長門、主砲で薙ぎ払え!!」

長門「全砲門、斉射!撃てぇぇぇ!!!」

ドォォンッ!!!!

金剛「全砲門、ファイヤー!!」

ドンッドンッドンッドンッ!!!!

翔鶴「偵察機、発艦!」キリリ...

パシュッ

偵察機妖精『出撃します!』

ブォォォン


元帥『……グ』

天龍「オラオラ!!」チャキッ

ドンッドンッドンッ!!

木曾「こいつを逃すわけにはいかないッ」

ドンッ!!

ドゴォォォ!!

天龍「全弾命中!」

木曾「……」

元帥『……ソノテイド、クラウトデモ?』

天龍「なっ……無傷!?」

木曾「ッ離れろ!!」

ブォンッ!!

ピュッ

天龍「ぐあっ……!!」

木曾「姉貴!」

天龍「掠っただけだ。掠っただけだけどよ……」

ポタッ...ポタッ...

天龍「それで……このダメージかよ……!」グッ

霧島『天龍中破!』

木曾「あれはまだか!?」

霧島『あと……少し……!』

男「……」チャキッ

ダッ!!

翔鶴「提督!」

男(木曾と天龍の二人だけじゃあ攻めきれない。長門と金剛を動かせばあの黒い波の様な深海棲艦が……)

男(翔鶴の爆撃機はまだ動かせない。電は翔鶴の護衛につけざるを得ない)

男(なら……俺が出るしかない!)

木曾「提督!!まだ来るな!!」

元帥『ハァァ……』バリッゴリュッグジュッ...

男「もの凄い勢いで喰ってるな……」

男『それと一緒の勢いで体躯も変化してる』

男「こっち向けぇぇぇ!!」タタタンッ!!タタタンッ!!

ジャコンッ

男「グレネード!」ボンッ

ドゴォォォ...

元帥『……』チラッ

元帥『ショウサ……シネ』ジャコンッジャコンッジャコンッ

ドドドドドドドド

男「ッ!!」ダッ!!

木曾「提督!!」

天龍「木曾、今のうちにアレを叩くぜ!!」

木曾「ッ……あぁ」シュッ

木曾「はぁぁ……!!」ダッ

シュバッ!!

ブシュゥゥゥッ!!!

木曾「斬撃の方が効くのか……」チャキッ

天龍「へっ!なら天龍様に任せろよ!」

天龍「っらぁ!!」シュバッシュバッ

ドシュッ

天龍「……」ズブッ

ブシュゥゥゥッ!!!!!

元帥『ジャマダ!!』ブンッ

木曾「しまっ……」

ギィィィンッ

天龍「っく……うぉぉ……」ギリギリ

天龍「……早く射程から離脱しろ」

木曾「……」

シュッ

木曾「ふんっ……」ガッ

ギリギリ...

天龍「何やってんだ!?お前までこれに潰されちまうぞ!!」

木曾「俺の事……殺してやりたいんじゃなかったのか、姉貴?」

天龍「ッ!!」

天龍「……んなもん、戦いに夢中で忘れちまった」

天龍「仮に殺すとしてもこいつを倒してからだ」

木曾「なら……俺と姉貴両方が生き残ってる必要があるな……っ」

ズザッズザザ...

木曾「クソッタレが!!」グッ

天龍「……」

天龍「フフ、そうだな……!」グッ


長門「む、あれはまずい」ジャコンッ

ドンッドンッドンッ!!!


ドゴォォォンッ!!!

木曾「今だ!!」バッ

天龍「っと!」バッ

ブンッ

天龍「あぶねぇ所だったぜ……」

木曾「だがこの調子だ。どんどんダメージを与える」

天龍「言われなくてもわかってら!!」

お仕事です

男「くっ……」バシャッバシャッバシャッバシャッ

ダダダダダ!!!

元帥『コロス……』バシュ!!バシュ!!バシュ!!

男「なにか上に打ち上げた……?」

ボンッボンッボンッ

翔鶴「あれは……提督!!あれはクラスター爆弾です!!」

男「なっ……仲間の深海棲艦まで巻き込むつもりか!?」

木曾「喰ってる時点で仲間なんて意識ないだろ!!姉貴、逃げるぞ!!」

ヒュゥゥゥ

ダバァァァンッ!!!

天龍「言われなくてもわかってる!!」

ダバァァァンッダバァァァンッ!!

男「うわっ!?」ドッ...

長門「提督!」

バシャァァァンッ

男「ぐっ……あんなの……使えるなんて」グッ

木曾「まだまだ落ちてくる!」

ダバァァァンッダバァァァンッダバァァァンッ!!!!!

金剛「だけど他の深海棲艦も巻き込まれて沈んでマス!」

電「酷い……」

元帥『ガァァァァ!!!』

元帥『ミナ……ゴロシダ!!!』

天龍「様子がおかしくないか……?」

元帥『ワレラ……シンカイセイカンハ……ニンゲンモ……スベテノ……ジョウホウヲ……』

元帥『ハカイ……スル……!!』

男「……深海棲艦に呑まれたのか!?」

男「元帥!!!!」

元帥『ゲンスイ……デハナイ……』

元帥『スベテヲ……ハカイシ、トウゴウスル』

元帥『ヤガテシソニナル……』

木曾「馬鹿な!!始祖だと?笑わせるな!!」

木曾「情報世界で産まれたエラーが始祖になれる訳がない!!」

木曾「早く……早くアレを……!!」


霧島『セットアップ完了、アップデート準備出来た!』

木曾「よし!提督、お前が俺たちの最終兵器だ」

男「……」

木曾「奴がクラスター爆弾を使えたのも、ありとあらゆる情報を呑み込んでいるからだ」

木曾「恐らく、存在する全ての現代兵器が俺たちに牙を剥く」

木曾「だが!!これから使うのはどこにも存在しない、俺たちだけの最終兵器」

木曾「あのエラーの塊をぶっ潰せ!!!」

エラー『スベテ……スベテ……ハカイスル』

男「……元帥」

男『最終兵器か……面白えじゃねえか』

男『情報の全て、世界の全てと戦うんだぜ?俺だけで』

男「……違う」

男「俺とお前と、仲間とみんなで戦うんだ」

霧島『アップデート開始。司令官、お願いします』

男「……いくぞ」

男「ここで、終わらせる!!」

言ってないだけで定期的にあったり……(白目

今日はここまでです

中佐「……残弾、確認」

加賀「5.56mm弾が残り……40」

加賀「7.62×51mm弾も……」

ダダダダダ...

山城「あ、あぁ……弾丸が……」

中佐「グレネードは?RPGは?」

加賀「……」

中佐「……わかったよ」スッ

タタタンッタタタンッ

中佐「……正直、ここまでよくやったと。思ってる」

タタタンッタタタンッ

中佐「これだけ足止め出来れば十分じゃないか」

タタタンッタタタンッ

中佐「退路は?どうなってる?」タンッ...

ジャコンッ

加賀「相変わらず、あの包囲網を突破しなければ脱出は不可能です」

中佐「……そうか」チャキッ


中佐「……」タタタンッタタタンッ...

中佐「リロード」

加賀「……」

中佐「加賀?」

中佐「あぁ……そうか。もう、終わったか」

山城「そんな……扶桑姉様は!?まだ生きてるのに……どうするの!」

中佐「なんとか、生き残る方法はないか?」

加賀「いっそ降伏してみますか?」

中佐「降伏か……白旗でも降ってみるか?」スッ

バッ

ダダダダダ

ヒラッ...

中佐「返事は……ダメだそうだ」

加賀「……」

加賀「提督となら、ここで心中しても……私は」

中佐「僕が敵の懐に潜り込んで錯乱させる」

加賀「提督……!!」

中佐「その間に……加賀も、山城も、扶桑も、他のみんなも……」

加賀「無理です。絶対に」

中佐「このままなにもしないでいるよりはまだ救いようもある」

ポンッ

中佐「大丈夫、僕だって死ぬとは限らない」ナデナデ

中佐「もしかしたら少佐の様に突然謎の力が!なんて具合に……」

加賀「……頭にきました。そんな……そんな……」

加賀「そんな……犠牲になろうとしている時まで!笑って……どうして……」ポロポロ

中佐「……泣いているよりはずっと、ずっといいよ」

中佐「そろそろ、行こうか」

加賀「嫌、行かないで……」ギュッ

中佐「そう我儘言わないでくれ。折角決心したのに揺らいでしまうよ」

中佐「……あとは、任せた」スッ

加賀「あっ……」

ダッ

ダダダダダ!!!!

ドサッ

加賀「……」

加賀「……」

加賀「……提督、私も今……行きます」

ダダダダダ!!!ダダダダダ!!!

加賀「……みんな、さようなら」

山城「……」

加賀「扶桑さんを、よろしく」

山城「待って……待ってよ!」

加賀「それじゃあ……」スッ

ダッ

中佐「ただいま」

加賀「え……え?」

山城「ぼ、亡霊!?」

中佐「勝手に殺さないでもらえるかな」

中佐「あれ……」スッ

加賀「あの先がいったい……」チラッ

加賀「……どういう事」

ダダダダダ!!!!ダダダダダ!!!

加賀「敵が……同士討ちを……」

コツコツ...

中佐「……」

大佐「……」

中佐「大佐……まさかだけど……」

大佐「……これが終わったら中東にでも行く事にする」

大佐「小娘には、殺したければ探してみろ。と、伝えろ」

中佐「小娘……」

大佐「治療は受けたければ勝手に受けろ。準備は出来てる」スッ

コツコツ

中佐「……ありがとう」

大佐「……」コツコツ

中佐「……」

中佐「助かった……みたいだな」

中佐「早くみんなを治療しないと」

加賀「提督も怪我を……」

中佐「僕は軽傷だから問題ないよ。扶桑や、他の艦娘、協力してくれた人達」

中佐「早く運んでやろう」

加賀「……はい」

中佐「あとは……彼と、その仲間に任せよう」

ブワッ...

霧島『既存データ上書き、バックアップ完了』

霧島『生体、脳波、全て異常無し』

霧島『特殊モード、コードネーム。エクスキューショナー、起動』

キラキラ...

男(俺の身体が……光の粒になって消えていく……!?)

霧島『分解、再構成開始』

霧島『機体データ読み込み、基本構成、装甲データ、武装、問題無し』

木曾「来るぞ、俺達の最終兵器……」

翔鶴「光の粒が集まり出して……」

天龍「形になる……」

霧島『各種補助機能起動、神経接続』

霧島『動作確認、異常無し、異常無し、異常無し……』

バッ!!!!

長門「あれが……」

金剛「提督……」

電「……はわわ……」

木曾「存在しない、存在してはいけない物」

木曾「嘘の機体、架空の存在」

木曾「虚構型戦艦一番艦、虚構」

霧島『全て問題無く完了したわ!司令官、その機体も武装も全て貴方の身体そのものです』

霧島『情報は全て脳内に、感覚で、手足指先を動かす様に、動いてみてください』

男「……これが、俺の身体」

男(脳内に画像データが浮かび上がる)

男(全身黒鉄に輝き、分厚そうな装甲に覆われている)

男(30mm機関砲、専用弾使用サブウェポン、対地、対空ミサイル)

男(チェーンソーブレード、フレア)

男(レーダー装備に、自動修復機能)

霧島『自動修復機能は元帥の使ってたものを即席で流用したの。修復速度は比べものにならないくらい遅いけど無いよりいいと思います』

霧島『他にも対物ライフルやレールガン、パイルバンカーなんかもそちらで指定していただければ転送可能です』

霧島『残念ながら装備は破損した場合修復、同じものを交換が出来ません』

霧島『弾丸は無くなり次第自動で再装填されます。遠慮無く撃ち込んで下さい』

霧島『到底現実世界での運用は……不可能ですね』

男「……現実で運用する必要はないさ」

男「こいつさえ倒せればそれでいい!」

木曾「俺たちは周りの深海棲艦を叩こう!」

翔鶴「提督……」

木曾「他に……あれの準備も頼む」

霧島『わかってる。任せて』

霧島『全力でバックアップします。司令官、ご武運を』

男「えっと……」

男「虚構型戦艦一番艦、虚構。出撃する!」

艦これじゃない(確信

お仕事です

男「いくぞ!!」

男(エンジンの動き、身体の関節から指先までまるで本当の身体の様に感じ取れる)

男(初めてなのに全て知り尽くしているのは不思議な気分だ)

男(だけど、これについて事細かく考えると全部わからなくなりそうだ)

霧島『エンジンフルスロットル、点火します!』

ボッブォォォォ!!!!

男「ッ……!!」ダッ

バシャッバシャッバシャッバシャッ

男(水面を飛ぶように走って敵の懐に急接近する!!)

エラー『ア゛ァ゛ァ゛ァ゛喰゛わ゛せ゛ろ゛!!!!』ブンッ

男(鉤爪による薙ぎ払い攻撃!速度が遅いからこのまま突っ込んでも問題無い!!)

ドッ!!!!

男「チェーンソーブレード!!」ジャコンッ!!

男(屈んだ状態から背中に装備されたこれを相手に……放つ!!)

シュッ!!!

男(全長6メートルの大太刀の柄の打撃を喰らえばタダじゃあ済まないはず!!)

ドゴォッ!!

エラー『グァァァ!!!』

男(そのまま懐に潜り込み、柄を掴む!)ジャキッ

ブォンッ!!ブォォォォッ!!!


天龍「ありゃなんだ!?」

木曾「チェーンソーブレード。大太刀の刃の部分に鋼の刃を取り付けた……様はチェーンソーだ」

木曾「普通の大太刀と違い叩き潰すのではなく、競り合いになった時や相手の装甲に接触した時に切断するのに特化している」

木曾「現代兵器相手じゃあ潰すより切断した方がより効果があるはずだからな」


男(そのまま反転、勢いのままに相手の胴を切断する!!)ブォンッ

ギャリギャリギャリギャリ!!!!!

ロマンですよね、こういうの。短いですがこれで

男(装甲が……硬い……!!)

ギャリギャリギャリギャリ!!!!

エラー『ウォォォ!!!』

ジャキッジャキッジャキッジャキッ!!!!

男(身体中から生える無数の機銃が俺に的を絞る)

男(離脱して遠距離からの再攻撃を狙う)

バラララララ!!!!!

ズガガガッ

男「ぐああ!!!」

霧島『被弾!!だけど大丈夫、ダメージは少ないわ』

男「あ、あぁ……」

男(痛みがダイレクトに……)

男(……あぁ、俺の身体ってのはそういう意味か)

ダッダッダッダッ

男「機関砲、装填」ジャコンッ

男(こいつでアレの装甲の隙間を……)

男『どうせなら、元帥の身体が浮いてる所を狙ってやろうぜ』

男『いい的じゃねえか、消えかけてるけどよ』

男「……」

キュイイイイン...

ガガガガガガガガガガ!!!!!

エラー『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』

男『っしゃあ!蜂の巣にしてやれ!!』

ピピピピピピ

男「な、なんだ!?」

霧島『ロックされてる!!フレアを撒いて移動して下さい!!』

ドッ

男「ミサイルまで……」ダッダッダッダッ

男「これで大丈……」

ドンッ!!!!

ドゴォォォ!!!!!

男「ッッッ!?!?」

男(これは……一体……!?)

霧島『て、敵主砲命中!損傷率20%!』

霧島『武器の破損は無し、自動修復により装甲の再生を……』

男「げほっ!!……ああああクソ!!」

男「痛みはどうにかならなかったのか……」

霧島『神経接続している以上……それに』

木曾「痛みも大事な感覚の一つだ。戦場では五感のどれか一つが欠けるだけでも敗北に繋がりかねない」

男「あぁ……わかったよ」

男「さて……もう一撃……」

男「……おい、あれは……」

エラー『スベテヲ……ワガモノニ……』

男「傷が……癒えてる」

霧島『あれはどういうこと!?捕食しなくても取り込めるなんて……』

男(深海棲艦が傷の部分に付着して、溶けている)

男(まるで隙間を埋める様に、傷痕に流し込んでいる様だ)

男(それに身体の肥大化も著しい)

男(身体のありとあらゆる場所から深海棲艦を取り込み肥大化を続けている)

男(この戦艦虚構の全長は約8メートル。それに比べアレは最初は小さかったはずが……)

男「12メートルも楽々越える勢いだ)

男「アレを倒すのもいいけど、周囲の敵をどうにかしないと……キリがない」


木曾「全部だ!!こいつら全部海の藻屑にしてやれ!!」バラララララ!!

天龍「どんだけ湧いてくりゃ気が済むんだよ!!」

長門「少しでも多く深海棲艦を減らすぞ!」

翔鶴「戦艦級になると一撃で沈められないから厳しいわね」

金剛「翔鶴、私たちだって。頑張って来たネ」

金剛「本気の一撃、見せてあげるネ!!」ドンッドンッドンッ

戦艦ル級「……」ボゴォォォ...

ゴボゴボ

電「すごい……電も、頑張るのです!」

ボシュッボシュッボシュッボシュッ

長門「電も頑張っているよ。おかげで足元の潜水艦に気を使わずに済む」

天龍「この調子でガンガン削るぜ!!」

お仕事です

男(傷を修復される前に攻撃を撃ち込み続けなければいけないのか)

男「ミサイル発射準備」

ピピピピピピ...

男「ロックオン、自動追尾システム異常無し」

男「全弾放てえええ!!」

ガコンッガコンッ

バシュウウウウウ!!!!

ドドドドンッ!!!!

男「まだだ!!」ジャコンッ

キュイイイイン...ガガガガガガガガガガ!!!!

霧島『ミサイル装填、120秒待って下さい!』

長門「援護するッ!!」ジャコンッ

ドンッ!!!

エラー『ッッッ!!!!!』

男(金切り声の様な悲鳴を上げている。効いてるか!!)

ガガガガガガガガガガ!!!!!

ピピピピピピ...

霧島『ロックオンされてます!』

男「っ!」ダッダッダッダッダッ

男(まずい、2発3発4発……)

男「ぐっ……!」

シュンッ

男(エンジンの噴射を利用すればギリギリかわせるか!?)

男『ダメだ。一発直撃コースだぜ!!』

男「サブウェポン、ハンドガン」

スッ

男(太ももに当たる部分のホルスターからハンドガン……と言っても重量感はかなりあるけど)

男(これを抜いて撃てば……)

ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!

ドゴォォォ!!!!

男「……ふぅ」

男(それにしてもこいつ……)

木曾「どうだ、撃ちやすいだろ?」

木曾「提督のカスタムMk23をベースに設計してあるからな」

男「……なるほど」

男(これは……心強い武器になりそうだ)

短いですが

男「で……爆煙で視認出来ないけどダメージは……?」

バラララララ!!!

男「ぐぁぁぁッ!!」ザザッ

霧島『損傷率24%!まだまだ許容範囲内です!』

男「……!」ダッダッダッダッ

男(やっぱり常に動き回っていないと危険か……)

男(爆煙が薄れてきた……さてどうなってる……?)

エラー『……』ダラダラ...

ゴポッ...

男(胴体が大きく抉れてる!!装甲も少し剥がせたか?)

男(けれどすぐに修復が始まっているな……)

エラー『……』

男「……さて、どう攻めればいいのやら」

男(周囲の深海棲艦の数は減ってこそいるがまだまだいるな)

男(広範囲攻撃、あいつのクラスター弾でも使えれば……)

男「……」

男「霧島」

霧島『はい!』

男「広範囲攻撃出来る武器はないのか?」

霧島『残念ながらその機体は多数を相手にするようには作られていません』

霧島『……待って、一度だけなら』

霧島『もしかしたらあのエラーの撃ったクラスター爆弾を再現出来るかも!』

男「本当か!」

霧島『先ほどの攻撃のログをそっくりそのまま流用すれば……射撃角も弾道も同じになってしまいますが』

男「それは俺が適任な位置取りをすればいい」

霧島『今試してみます。それまでしばらく時間を……』

霧島『いえ、5分いただければ構いません』

霧島『その代わりこっちの作業に集中させてもらえれば』

男「その間こっちのサポートは出来なくなる?」

霧島『はい……』

男「……全員分のリロードを頼む。なんとかしてみる」

男「全員、聞こえていたな?」

天龍「天龍様なら余裕だぜ?」

木曾「俺も問題ない」

電「大丈夫なのです!」

翔鶴「私も問題ありません」

長門「無論、大丈夫だ」

金剛「私もノープロブレムネ!」

霧島『わかりました。それではリロード後作業に入ります』

男「全員踏ん張るぞ!!」


男「チェーンソーブレード!」ジャコンッ!!

ブォンッ!!ブォォォォ!!!!

エラー『オマエノカラダモ、クラッテヤル』

ブンッ

男(掴む気か!!なら……)

男「その手斬り落としてやる!!」ブンッ!!!

ガキンッ

男「ッ……」グッ

ギャリギャリギャリギャリ!!!!

男(鉤爪に受け止められた……)

男(この鉤爪……相当鋭いな。一本一本がまるで刀だ)

ギャリギャリギャリギャリ!!!!

男「このままへし折る!!」

バキンッ!!!

男「まだまだ!」グッ

ギャリギャリギャリギャリ!!!!

バキンッ!!!

エラー『ワレワレハ……タダノエラーデハナイ』

男「そこだ!!」

男(上への斬り上げで腕を落とす!!)ブンッ

ガキンッ!!!

男「そう上手くはいかないか……」

エラー『コノセカイニウマレ、イケルモノ』

お仕事です

睡眠いただきました。流石に……身体持たないっすよこれ

申し訳ありませんが、お言葉に甘えて少しお休みいただく事にします(´・ω・`)

火曜日の朝にはまた再開しますのでよろしくお願いします

男「だけど……まだまだッ!!」ブンッ!!!

ガキンッ!!!

男「まだ!!」ブンッ

ガキンッ!!!

男「こんなものじゃない……まだだ!!」ブンッ!!!

ガキンッ!!!

男「……」チャキッ

エラー『ニンゲントドウヨウニ、コノセカイデイキテイル』

男「……だからなんだ」

エラー『ダガ、オマエタチハジブンノスムセカイニアキタラズ。ワレラノセカイマデオビヤカスノカ』

男「……機関砲」ジャコン

キュイイイン...

ガガガガガガガガ!!!!!

エラー『オマエタチガニクイ!!ワタシタチノスミカマデウバオウトシテイルオマエタチガ!!!!』ブンッ

男「チェーンソーブレード!!」シュッ

ガキンッ!!!

エラー『ユエニ、ワレラハオマエタチノセカイヲハカイスル』

ギャリギャリギャリギャリ!!!!!

エラー『スベテヲ……トウゴウスル……ワレラトスル!!』グッ

ベキベキッ!!

男「なっ……チェーンソーブレードが潰された……!!」

男(どうする……?まだ霧島は……)


木曾「提督!!別のお前も上手く使え!!」


男「……」

男『俺が呼ばれてるみたいだな?』

男「……」

男『お前はまだ遠慮してるんだよ。あいつを攻撃する事を』

男「……何故」

男『いいか、元帥はもう居ない。完全に深海棲艦に取り込まれたんだよ』

男『自分から結合しに行くなんて、馬鹿な考えだよなぁ?』

男「……」

男『それに、元帥は俺たちの敵でみんなの!恨みの対象だろうが』

男『今さら……殺す事に遠慮なんかしてんじゃねえ。死にたくなきゃな』

男『変われ、俺の方が上手くやれる』

男「……あぁ」

男『まぁ見てるんだな』

男「お望み通り出てきたぜ、木曾」

男「さて、派手にやろうじゃねえか!!」ブンッ

バシャアアアンッ


木曾「……」

長門「撃て!!」ドンッドンッドンッ!!!

天龍「キリがねぇぞ!!」

金剛「それでも確実に数は減ってマス!!」

翔鶴「この調子で攻撃を続けましょう!」

電「みんなを守るのです!」

休養って大事(確信

お仕事です

男「好き勝手言ってんじゃねえぞゴミが」チャキッ

ピピピピピ...

男「大人しく朽ち果てるか人間様の下僕になりゃいいんだよ!!!」

ガコンッガコンッ

バシュゥゥゥウウウ!!!!

ドゴォォォ...

男「チッ……近接武器がやられたのは少しめんどくせえな……」ジャコン

男(なら……最接近してこの機関砲をぶち込んでやる)ダッ

エラー『ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!』ジャコンッジャコンッジャコンッ

バララララ!!!!

男「銃ってのは銃口から直線にしか弾が出ねえ」ダッ

パパパパンッ

ダッダッダッダッダッ!!!!

男「だから撃たれる場所を計算するのは簡単なんだよ。素早く移動し続けりゃまともに狙いなんか付けられねえ」

男「特に!!お前みたいにブクブクデカイ奴はな!!」

男「避けるのだって、難しいだろ?」ガッ

エラー『……』

男「零距離射撃だ。風穴開けちまえ」キュイイイン...

ガガガガガガガガ!!!!!

エラー『ギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛』ベキンッ!!グジュグジュグジュグジュ!!!!!

男「その装甲も弾丸が通らない程強い訳じゃねえんだな……」

男「折角だ!!お前の鎧引っぺがしてやる!!」ガガガガガガガガ!!!!

キンッキンッキンッキンッキンッ!!!!

ベキンッ!!!!!

男(肉さえ晒せちまえばあいつらも攻撃しやすいだろ……)

男「あとは……周りの雑魚をどうにかするだけか」

エラー『ワガケツニクトナレ……』ガバァッ

スッ

男「喰わせねぇぜ。いい加減腹も一杯だろ?」

ガガガガガガガガ!!!!!

男「まだか!!霧島!!!」

霧島『5分13秒、少し遅れたわね』

霧島『戦艦虚構に簡易武装データをインストール』

シュゥゥゥ

霧島『ミサイルをクラスター弾に変更しました!一撃しか使えませんから外さないで』

男「位置取りまでは計算してくれねぇか」

霧島『そこもバッチリですよ。エラーの中心点から後方へ127歩、右舷へ35歩移動して下さい』

霧島『発射はこちらで行います。司令官は速やかに移動を』

男「つー訳だ。お前ら、そこそこにして離れてろ」

木曾「全員退避!」

長門「急げ!!」

翔鶴「行きましょう!」

金剛「電は先頭に!殿は任せるネ!」

電「はい!」

天龍「さっきのは本当に危なかったからな……直撃してたら……」


ブォンッ

男「当たらねぇよ。俺を殺したいならそこから当ててみろ」ダッダッダッダッダッ!!!!!

エラー『コロシテヤル……ナニモカモ!』

バララララ!!!!

男「まだまだ、甘いな」

ダッダッダッ!!!

男「……」ピタッ

ピピピピピ...

霧島『ロックオンされてます!』

男「相手が誘導式なら移動速度を考慮して当たるギリギリで動くだけでいい」

男「簡単だ」ダッダッダッダッダッ

シュッ

男「……」ダッダッダッ!!!

エラー『……』

バララララ!!!!

男「なに!?」

男(移動した先に銃撃!?読まれたかよ!!)

ズガガガガガ!!!!

男「グァァァアアア!!!!」

ザザッ...

霧島『損傷率42%!!中破です!!』

男「このくらいじゃくたばらねえ!!」ダッダッダッダッダッ!!!

男「あと……23歩!!」ダッダッダッダッダッダッ

霧島『発射準備、最後の一歩でエラーの中心点に身体を向けて下さい!』

ダッダッダッダッダッダッ

男「クソ……痛覚遮断出来るならしてやりてぇ……」

ダッダッダッダッダッダッ

エラー『ワガドウゾクトナルガイイ……』ジャコン!!!

バララララ!!!

男「お断りだ!!」

ダッダッダッダッ...

男「お友達みんなで吹き飛べ」ダッ...

霧島『発射!!!』

ボーッとして誤爆するしなんかもう……

でも何処かで話題に出てたりすると嬉しいですね。励みになります。お付き合いいただいている方々、本当にありがとうございます

ドンッドンッドンッドンッドンッ!!!

男「……」

ヒュゥゥゥ...

ドドドドドドドド!!!!!!!

男(視界を遮る程の水柱と飛沫があがった)

男(これならアレの装甲も多少引き剥がせただろう)

男(さて……どうなってる?)


エラー『ギャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!』

男『凄い威力だ……』

男(あのデカブツの装甲はほぼ半壊、身体中から血の様な物が噴き出している)

男(周りの雑魚共も……ほとんどが残骸に成り果てた)

男「お前ら!!雑魚を掃討しろ!!」

男「霧島、レールガンを寄越せ」

霧島『わかりました!レールガン転送します!』

シュゥゥゥ

男「こいつが……いずれ実用段階にも入る武器か」ジャコン

男(胴体部分から先端まで長いレールが伸びている)

男(重量も相当にある、大型武器だな)

霧島『レールガンは電磁誘導を利用して弾丸を射出する武器です』

霧島『使用する電力量は大きいですが、普通の火薬を使用する武器と比べると弾速も威力もケタ違いになります』

男「ご説明どうも、それじゃあ一発……」キュイイイン...

ズドンッ!!!!!

ボッ!!!

エラー『ワガ……ソンザイハ、コンナモノデハ』

男(一瞬だ。銃口から青い電気が迸った瞬間)

男(奴の胸部に大穴が空いた)

男「なんで最初から出さなかった」

霧島『装甲がある状態では貫通は望めませんでした』

男「そうかよ、まぁいい」

男『これなら倒せる!!』


長門「撃て!!」ドンッドンッドンッ

天龍「こいつで、終わりだ!!!!」シャキンッ

ズバッ!!!!

木曾「提督、周りの深海棲艦を殲滅した。これで回復の心配はない!!」

翔鶴「……空が、少し明るくなってきましたね」

金剛「もうすぐ日の出デス」

電「……はわっ!?」

翔鶴「どうしたの、電ちゃん?」

電「あ、あれ!あれを見て欲しいのです!」

長門「……なんだ、あれは?」


男「……」

エラー『ワガカラダハマダクチハテナイ……』ザバァ...

ゴボッ...ゴボッ...

男(やつの身体が……)

男『沈んでいく』

ゴボッ!!!グジュッグジュッ

男(それと同時にやつの胸部からなにかが……盛り上がって……)

ブジュッ

男「……突き破った」

バシャアアアンッ...

エラー『ワガ……イシハ……スベテ……』

ゴポゴポ.....


天龍「お、おい!なにか飛び出してきたぜ!?」

金剛「なにか……人影の様な……」

木曾「……霧島姉さん、解析を」

霧島『反応がある!深海棲艦に準ずる存在か……』

男(無数の黒い破片や肉が浮かぶ海に……なにかが産まれ落ちた)

ズリュ...ムクッ...

男『起き上がったぞ!』

男「……あれは」


「ククク……アッハハハハハハハハ!!!!!!」


男「……よくもまだ生きてたもんだぜ」

男『……元帥』

元帥「フフ……まさか意識を奪われるとは……思っていなかったよ」

元帥「だけどね、君のお陰で助かったよ」

元帥「そして私は……」

元帥「究極の力を手に入れたんだ」フラッ

男(目は血走りだらしない笑い顔でこちらを見ている)

男(服は勿論だがアレの血で真っ赤に色づいている)

元帥「あぁ……素晴らしいよ。本当に……」

キラッ

元帥「見ろ、朝日だ……これがなにを意味するか。分かるか?」

男「今更どう足掻いた所でお前に勝機はあんのかよ?」

元帥「いいだろう、見せてやる」

元帥「深海棲艦となった私の力を!!!」

お仕事です

ゴォォォ...

霧島『敵後方に空間の歪みを確認!艦載機来ます!!』

男「翔鶴」

翔鶴「はい。全航空隊、発艦……」キリキリ...

翔鶴「始め!」シュパンッ

ブォォォ...

翔鶴「航空戦の用意を!爆撃機は一斉爆撃!」

元帥「……フフ」

元帥「私の航空隊に勝てるかな?翔鶴」

ゴォォォ!!


ブォンッ!!!!!


男「なっ……」

翔鶴「あれは……」

キィィィン...

木曾「やはり……来たか」

天龍「おい!あれジェット機じゃねえか!?」

霧島『解析出ました……あれは……!!』

霧島『F/A-18E、スーパーホーネットです!!!』

男「スーパーホーネット……確か、アメリカ海軍の主力艦載機だな」

元帥「アハハハハ!!!!零式なんて昔の戦闘機で勝てるか!?」

翔鶴「そんな……こんなの……」

攻撃機妖精『諦めるな!!粘れば……なんとか……』

バララララ!!!!!

ドゴォォォ...


元帥「まるで羽虫を撃ち落としてるみたいだ!!」

男「チッ……!」ジャコン

男(ミサイルで迎撃出来るなら……まだ救いようもある)

元帥「少佐、君は少し甘いんじゃないかな?」

男「……!!」

男(レーダーがイかれた!?)

男(違うこれは……)

男「……ジャミングかよ」

元帥「君たちは電子戦なんてもの知らないだろう?」

男「クソッタレ!!」ジャコンッ!!

キュイイイン...

ガガガガガ!!!!!

元帥「当たらない当たらない!!」

翔鶴「……」

ドゴォォォ...

バシャアアアンッ!!!!

偵察機妖精『なんて……あっという間に……』

ビュオッ!!!!

偵察機妖精『ひっ……』

バララララ!!!!!


ドゴォォォ!!!!!

偵察機妖精『あ、あぁ……墜落します!!』

偵察機妖精『最後まで……お役を全う出来ず……すみませ…』

バシャアアアンッ!!!!!

翔鶴「……」バシャッ...

翔鶴「私は……こんなの……」

天龍「翔鶴姉……」

チャキッ

天龍「空が無理なら、直接オレ達でアイツを倒してやりゃいい!!」

木曾「電、翔鶴姉さんを頼む」

長門「殴り合いなら……やれる!」パンッ

金剛「それじゃ……みんな、行きまショウ」

元帥「殴り合いでなら私を倒せる……と。甘いな」

木曾「……霧島姉さん」

霧島『わかってる。大丈夫だから』

男「クソが!!!!!」ガガガガガ!!!!!

元帥「彼女達の相手をする間少佐にはプレゼントをやろう」

ピピピピピ

男「ロックオン!?」ダッダッダッダッダッ!!!!!

バンッバンッ

ピピピピピ

男(フレアの残弾にも限りがある。かわすのにだって限界はある)

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

シュゥゥゥ!!!

バシャアアアンッバシャアアアンッバシャアアアンッ!!!!!!

男『当たったらひとたまりもないぞ!!』

男「んなもん分かってんだよ!!!!」

長門「この長門の拳、甘いものではない事。貴様は知っているはずだ」シュッ

フッ

シュッシュッブンッ!!

元帥「だから言ったんだよ。君たちは'電子戦"というものを知らない……と」

元帥「相手の実力を測る事も出来ないか?長門」フッ

ドゴォッ!!!!

長門「がはっ……!?」

元帥「……」シュッ

ブンッ

グシャッ!!

長門「ーーーッ」

バシャアアアンッ!!!!

電子戦の定義って電波に関わる軍事行動でしたよね確か……

霧島の様なオペレーターや外から見ている人間からしたら全部が全部電子戦でしょうし
提督や元帥からしたら電子世界での戦闘は自ら体感して行っているものであって、電子戦というよりはリアルファイトな感覚だと思います

言ってしまえば全部電子戦なんですけど、このSSでは電子世界はもう一つの別の世界であるという考え方で成立してるので、それぞれの立場で変わると思います

ついでですけど元帥の「君たちは電子戦なんてもの知らないだろう?」という発言は"電子戦"と"電子世界での戦闘"を掛けてます

そういう訳でここまでです

天龍「てめぇ……!!」チャキッ

ブンッ!!ブンッ!!

元帥「まだまだ隙だらけだな。太刀筋も甘いぞ」

木曾「姉貴!!」ジャキンッ

天龍「!!」フッ

ダンッダンッダンッ!!!

元帥「……」スッ

天龍「っらぁ!!」シュッ

元帥「ん……」

ガシッ

天龍「腕がッ!?」

グルンッ

天龍「うわぁ!!」

ドシャアアアンッ

金剛「なんて強さなの……」

元帥「私は大和、それに取り込んだ深海棲艦を通して彼らの意思を見た」

金剛「ファイヤー!!」ドンッ!!!

元帥「この世界で産まれ、自我を持ち、暮らしていた彼らの居場所を私達が奪おうとしていたんだ」ダッ

木曾「待て!!」

金剛「一直線に!?」ジャキンッ

バララララ!!!

元帥「彼らからすれば突然住処を奪われそうになった訳だ」ダッダッダッダッ!!!

金剛「どうして当たらないネ!?」バララララ!!!

サッ

元帥「当然彼らは人を恨んだ」ブンッ

ガッ

金剛「っうぅ……!!」

元帥「怒り、憎しみ、嘆いた」グッ

ヒュッ

金剛「なっ……」

ドゴッ!!!

金剛「あぐっ……」フラッ

元帥「そして、人間を妬んだ」ブンッ

ゴキッ

金剛「うああああッ!!?」

元帥「両方の世界を行き来出来る人間が恨めしい。二つの世界をその手にしようとしている人間が、恨めしい」

木曾「金剛姉さん!!」

元帥「なら、自分達も人間の住処を奪ってやればいい。犯してしまえばいい」ダッ

木曾「……」スッ

元帥「この世界と、あちらの世界を自由に行き来し、両方の世界を深海棲艦の物とする」グッ

ガッ!!!

木曾「ハッ!!」ヒュッ

ガッガッガッガッ!!!!

元帥「今の私は元帥だったものと深海棲艦両方が混ざり繋がり、一つになった存在だ」ブンッ

木曾「……!!」サッ

ブンッ!!

元帥「いや……深海棲艦となったと言ったが。彼らに特別近い存在になったと言った方がいいか」

元帥「故に彼らの気持ちが分かる。彼らの意思全てを私は受け取った」

元帥「さぁ、殺してやろう」ヒュッ

ガッ

木曾「くっ……」

元帥「想像以上に手強いな、木曾」

元帥「だが、いつまで持つかな?」

お仕事です

木曾「身体能力が上がっただけの事だろう?」

木曾「技術では圧倒的な差がある。力だけで戦いを語るな」

元帥「余裕だけは一人前だが……」

元帥「呼吸の乱れを押し殺しているように見えるのは私だけかな?」

木曾「……戯言を」

ドカッガシッ

木曾「もらった!」グッ...

木曾「木曾流、絶招。焰螺子!!!」ビュッ

バシッ...

元帥「……」ニヤッ

木曾「なに……?」

元帥「焰……螺子」ビュッ

ゴッ

木曾「ッッッ!?!?」フワッ

バシャアアアンッ!!!!

木曾「ッ……ッッ……」

元帥「息も出来ないか?そうだろうな……」

木曾「ゴボッ……」ビシャッ...

木曾「はぁっ……はぁ……」

元帥「さて……次は」

電「……」ガクガク

翔鶴「……」

元帥「安心しろ、電。君は一撃で、苦しむ暇も無く殺してやろう」

電「……いっ……電は……」ガクガク

ギュッ

電「諦めない……のです」グッ

元帥「ほぅ……」

翔鶴「……」

元帥「翔鶴は……そうか、そうだな」

元帥「ご自慢の艦載機がああも簡単に落とされてはな。さぞ辛い事だろう」

翔鶴「私は……」

翔鶴「私は…………」

木曾「翔鶴……姉さんッ!!」

元帥「まだ話す余裕があるか」

木曾「諦めるな……ッ」

木曾「希望はまだ……ある……!!」

木曾「弓を……引いて……くれ……」

霧島『待たせたわね!いつでも行ける』

翔鶴「私は……まだ……」

元帥「羽虫がどうやって蜂と戦う!?」

翔鶴「私は……」




キリリッ...

翔鶴「まだ!!まだ諦めたくない!!!!」パシュッ

霧島『艦載機、発艦始めます!』

元帥「……様子が」

翔鶴「最後の一機が墜ちるまで私は戦い続ける!!」

ビュォッ!!!!!

翔鶴「え……?」

キィィィン...

木曾「ふははははは!!現代機を使えるのはお前だけだと思うなよ!!」

霧島『木曾!貴方大破してるのよ!?おとなしく……』

霧島『酷い……他のみんなまで……』

長門「大丈夫だ……まだ、戦えるぞ……」

天龍「こんな所でくたばって……たまるか」

金剛「そうネ、まだ……ヴァルハラには……いかない」

ピピピピピピピピピピ!!!!!

ドバァァァンッドバァァァンッ!!!!!

男「いつまでッ……こんな所で!!ダンスを続けなきゃいけないんだッ!!」ダッダッダッダッ

ドバァァァンッドバァァァンッ!!!!!

キィィィン...

バラララララ!!!!

男(正面からの機銃掃射!!)サッ

ピシュッピシュッピシュッ

男「ぐっ……」

ピピピピピ!!!!!

男「しまっ……」ドゴォォォ!!!!!!!

男「ぐあああああああ!!!!!」ブシャアアアッ...バチッ...

男「左腕が……ッ」フラッ

男『肩ごと持ってかれた……!!』

男(一瞬目の前で白い火花が散った様な気がした)

男(次の瞬間左腕中に強烈な痛みが走り……感覚が消えた)

男「はぁっ……はぁっ……」

男「この……程度の……痛みで……!!」

ピピピピピ...

男「クソッタレ……!!」ダッ

男(まずい……痛みで身体が思うように動かない……)

男『このままじゃ……』

バラララララ!!!!!

ドゴォォォ……

男「くっ……」

ビュォッ!!!

男「……あぁ?」

男『なんだ……あれ?』

男「……スーパーホーネットじゃない……別の戦闘機……?」

霧島『司令官!!腕は!?』

男「……蜂に落とされた」

男「気を抜いただけでッ……痛みで気絶しそうだ……」

霧島『今肩口から痛覚の遮断を!!』

男「それより……ありゃなんなんだよ……」

霧島『あれは……彼女の新しい艦載機』


翔鶴「……」


霧島『Su-33 フランカーDです』

流石にスーパーホーネット相手になにも無しで逆転攻勢は不可能でしょう……実は戦艦虚構の投入と一緒に現代機投入は一緒に計画の内として進められていました。ほのめかす様な伏線も入れてましたし……

ちなみに戦闘機は実物大です。現実に存在するものは艤装などを除いて実物大になっています

本当はあげ進行してもいいんですけどBB2Cのメール欄のデフォルトがさげなので……

元帥「……」

霧島『フランカーはF-15とも互角に渡り合えると言われた程の名機。スーパーホーネットとも互角に戦えるはずです』

木曾「あとは……経験が物を言う」

長門「航空機専門の翔鶴と元帥となら……」

天龍「決定的な差が生まれるってか」

バララララ!!!

ドゴォォォ!!!

フランカー妖精『っしゃあ!!天使とダンスでもしてな!!』

フランカー妖精2『油断は禁物でござる』

元帥「そんな……馬鹿な……」

翔鶴「絶対に……負けない……っ!!」

元帥「なら……本体を叩くまでだ!!」ダッ

電「翔鶴お姉ちゃんは……絶対に守るのです!!」

元帥「邪魔だ!!!」ブンッ

電「……!!!」

ドゴォッ!!!

元帥「……」

ギリギリ...

男「やらせるかよ……!!」

元帥「大人しく沈めばいいものを……少佐!!!」

男「霧島!!パイルバンカーを!!」

霧島『今転送します!!』

ドゴッドゴッ

元帥「右腕だけでどれだけ持つかな?」

男「右腕だけで十分だってんだよ!」ジャコン

キュイイイン...

バララララ!!!!!

男「ぐっ……」

男(流石に……右腕だけで撃つと……ブレるな)

元帥「当たらないぞ、少佐?」シュッ

ガッ!!!

男「チッ……」バッ

男(射程外に潜り込んでからの蹴り上げ。丁度銃身にヒットしやがった)

バシャンッ!!!

元帥「これでご自慢の機関砲も無くなった訳だが?」

男「本番はこれからだぜ?」

キラキラ...

霧島『転送完了しました!』

ブシュゥゥゥ...

ブンッブンッ

元帥「そんな適当な攻撃が当たるとでも思ったのか」スッ

男(近接攻撃の回避で空きが出来た所をこいつで撃つ)

男『爆薬を使ってランスを打ち込む武器か……』

男(普通に槍を繰り出すよりゃ読まれにくいだろ。薙ぎ払いが出来ないのが欠点だがな)

ブンッブンッ

元帥「ハハハ!!それでどうするんだ?」

男(今だ……!)

男「こうするんだよ!!」ジャコン

ズドンッ!!!!!

元帥「なに!?」

ズシュッ

男(当たったか……)

元帥「脇腹を……抉られたか……」

ポタッポタッ...

元帥「しかし、パイルバンカーとは……驚いたよ」

元帥「だけどね、まだまだだ」ダッ

スッ

男「消えた……!?」

元帥「君からすれば私は小さく見えるだろう?故に君の死角に容易に潜り込める」

ドゴッ!!!

男「がはっ……!?」

ドゴッドゴッドゴッドゴッ!!!!!

元帥「"大和"と戦うのには良かったが、私相手では相性が悪かったみたいだ」

ドゴッドゴッドゴッドゴッ!!!!!

男(この……っ!!素手で俺の装甲を……砕いてやがる!!)

ダッ!!!

男「はぁ……はぁ……」

元帥「それで終わりかな?少佐」

男「まだ……終わりじゃねえに決まってるだろ!!」

霧島『そんな……虚構の装甲が……』

天龍「クソ!!俺たちも……」

スッ

木曾「……」

霧島『……!?』

男「まだ……こんな所じゃ……」

霧島『し、司令官の生体反応値に異常が……!』

金剛「提督!!」

霧島『心拍数低下!!酸素吸入開始します!!』

男「……」

男『それって……俺の身体の事か?』

翔鶴「提督!!大丈夫ですか!?」

男「……大丈夫に決まってんだろ」

男(神経への衝撃で……身体が悲鳴を上げてるんだろうな……)

元帥「どうした、かかって来ないのか?」

男「ハッ!!そこまでお望みなら今すぐ行ってやるよ!!」ダッ!!!

ズドンッ!!!

元帥「二回目は……」

シュッ

男「喰らわねえってか?」

ドゴッ

元帥「がはっ……」

男「弾けろ!!!」シュッ

男(パイルバンカー射出時の回避の隙を突いて右を食らわせて……)

ゴキュッ

男(蹴りでとどめだ)

元帥「……」ブンッ

バシャアアアンッ!!!!!

男「甘いのはどっちか、これでよくわかっただろ?」

元帥「がっ……はぁ……っ!!」

元帥「自動……修復が無いのは……痛かったな……」ムクッ


天龍「なんで止めた」

木曾「今は……提督に任せるんだ」

電「で、でもっ!」

天龍「お前らもなんとか言えよ!?」

長門「……」

金剛「ごめんなさい、天龍」

天龍「……なんだってんだ、あぁ!?」

天龍「提督を見殺しにするってのか!!」

木曾「俺たちが割り行った所で……どうにもならない」

木曾「さっきも感じただろう、あの力の差。一撃で大破まで追い込まれた……」

天龍「……オレは行くぜ」スッ

ガシッ

天龍「……」

木曾「……」

天龍「……離せ」

木曾「俺を信じろ。これが提督を救う方法なんだ」

天龍「……どういう意味だよ」

木曾「……分かった。この際ハッキリ言おうじゃないか」

木曾「"提督を[ピーーー]"事で、提督は救われる」

天龍「……てめえええ!!!!」

>>522 修正


天龍「……どういう意味だよ」

木曾「……分かった。この際ハッキリ言おうじゃないか」

木曾「"提督を殺す"事で、提督は救われる」

天龍「……てめえええ!!!!」

あー……次から最初だけあげて投稿するようにします。ありがとうございました

ここまでです

天龍「やっぱり殺しときゃ良かったか!?」ガッ

木曾「ぐっ……」

天龍「提督が死ねば救われる?そんなキチガイ地味た考えのお方だとは思わなかったぜ」

木曾「……」

天龍「なんとか言えよ、なぁ!?」

グッ

長門「……木曾を信じてもらいたい」

天龍「どうやって信じろってんだ!?あぁ!?」

金剛「お願いデス。天龍」

天龍「金剛姉まで……まさか……みんなグルか!!」

天龍「そうだよなぁ?長門も、金剛姉も、こいつと通じてたんだもんな!!」

翔鶴「私も……木曾ちゃんを信じるわ」

天龍「翔鶴姉!?」

翔鶴「私は、木曾ちゃんと連携は取っていなかった。それでも、私は信じる」

天龍「なんで……なんでなんだよ!!」

天龍「電!電はオレの方に付くよな!?」

電「翔鶴……お姉ちゃんは、どうして信じるのですか?」

翔鶴「だって、木曾ちゃんは提督を……"私たちの提督"を助けてくれるんでしょう?」

木曾「あぁそうだ。俺たちの提督を助ける。誓ってもいい」

男「……はぁ……はぁ」

男『体力の消耗が……』

男「まだ……やれる!!」

元帥「お互いに……満身創痍か?」

男「なに言ってやがる……まだまだだ」

男「絶対にこのクソ野郎を倒すぞ」

男『勿論だ』

男「来いよ、海の底に沈めてやる」

元帥「……いくぞ」ダッ

ガッ!!!!!

ドゴッ!!!

男「ぐっ……」

男(格闘戦は……キツイな)

男(俺の使える残りの武装は……レールガンにパイルバンカー)

男(ミサイルの残弾は一発)

男『遠距離からレールガンを撃つしかない』

男(片腕で当てられると思うか?)

男『当てなきゃいけないんだ』

男(そりゃあそうだな)ニヤッ

元帥「まだ笑う余裕があるのか?」

男「余裕すぎて欠伸が出るぜ!」ブンッ

男(次の攻撃で決めるぞ)

男『あぁ』

ダッダッダッ!!!!!

元帥「……」

男「喰らえ!!」

ピピピピピ...

ガコンッ

元帥「ミサイルか……」

バシュウウウ!!!

元帥「当たると思ったのか?」

男「……」ジャコン

元帥「なに!?」

男「ミサイルの回避後の隙……残念だったな」

キュイイイン...

男「沈め」

元帥「……」




元帥「"残念だったな"」

ジャコンッジャコンッジャコンッ!!!!!

男「な……」

元帥「私は大和の能力を受け継いでいる」

元帥「いつミサイルが撃てないと思った?私が近接しか出来ないとでも?」

ピピピピピピピピピピ!!!!!!

元帥「射撃直前の不動の体制。かわしきれるか?」

バシュウウウ!!!!!


男「……」

男(その瞬間だけ妙に時間がゆっくり動いている様に感じた)

男(目の前の人間の姿をしたモノの後方から無数の小型ミサイルが俺に向かって突き進んでくる)

男(ゆっくりと、ゆっくりと……目の前へ……)


天龍「提督!!!提督ーーー!!!!!」

電「司令官さん!!!」

木曾「……」

長門「……」

金剛「……」


翔鶴「……」

ドゴォォォンッ!!!!!!!


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


ゴポゴポ...


激しい爆音がしたと思った瞬間、全ての感覚が姿を消した

ただわかるのは、自分の身体が海の底へと沈んでいくことだけ

死んだんだと。わかった

男「……」

ぼんやりと視界が開ける。揺れる世界の向こう側で、倒さなければいけない敵が。狂気の笑いを浮かべながらこちらを覗いていた

男「……クソッタレが」

男『……全部、終わったんだな』

暗い、暗い世界へ落ちていく。自分が沈めてきた敵と同じ場所なのだろう

身体は痛くない。むしろ心地よい様な、ふんわりとした様なものに包まれている様だった

男「このまま沈むのも悪くない」

男『俺も、そう思うよ』

もう諦めよう。いいじゃないか。今まで苦しんで、辛い思いをしてきた

男「……」

男『……』

男「一瞬だったな」

男『そうだな……死ぬ瞬間って、あんなに……一瞬なのか』

男「爆散したのかも、ぼろ切れになって沈んだのかもわからねぇ」

男『まぁ、考えても仕方ないか……』

男「そうだな」

男「……」

男『……俺たちも、深海棲艦になるのか?』

男「さぁ、どうだかな……わからねぇけどよ」

男「もう、ゆっくり寝かせてもらいたい……」

男『あぁ……眠い……』

男「……」

男『……』

男「……」

男『……寝たか?』

男「……いや……まだ」

男『……心残りって、あるか?』

男「そんな事聞く様なやつだったか?」

男『……お前のせいだよ。で?』

男「心残りか……心残り……」

男「……そんなの、もう……」


『……く』


男「そんなもの……」


『……とく』


男「……!」


『提督』


翔鶴『提督の事、信じてます』

霧島『……虚構の反応消滅……』

天龍「あ……あぁ……うああああああああああ!!!!!」ドシャンッ

元帥「アハハハハハハ!!!!!これで……これで私の障害は消えた!!!」

元帥「全ての世界を……この手で……!!」

電「司令官……さん!!う……うわあああん!!」ボロボロ

翔鶴「……ッ!!」

長門「ぐぅ……木曾。本当にこれで……」

金剛「これで提督は!!!!救われるんデスカ!!?」

木曾「……」




木曾「大丈夫だ。あいつには……」

男「心残りしかない!!!」

男『……』

男「心残りしかないに決まってる!!!」

男「みんなを守るって約束だって、翔鶴との約束だって……果たせてないじゃないか……」ボロボロ

男「ふざけるな!!!こんな所で……こんな所で……」

男『お前は……生きたいんだな』

男「当たり前だろ!!」

男『戻りたいんだな?あの化け物の前に』

男「そうだ!!!俺はあの化け物の前に戻って、息の根を止めてやらなきゃいけないんだよ!!」

男『そうか……なら』




男『ここで、お別れだ』

男「は……?」

男『お別れだっつったんだよ』

男「なんで……?」

男『耳を……澄ませてみろ』

男「……」


長門『戻ってこい、待ってるぞ』

霧島『大丈夫、司令官はまだ……戦えます』

電『司令官さん……電はもう……大切な人を……!!』

金剛『提督!!早く帰ってきて……!!ヴァルハラに行くには……早すぎマス……』

天龍『置いてくなよ!!オレは……お前の事……気に入ってたんだ!!だから……』

木曾『俺たちの提督は、それくらいで諦める人間じゃないだろ?』


翔鶴『提督!!私はっ……私は……ずっと提督のそばに……居たかった……!!』

男『みんなが待ってるのは、"みんなの提督であるお前なんだよ"』

男「だけど……そうしたらお前は……」

男『元々、表に出るべきじゃなかった人格だ。ただ無理矢理に引きずりだされただけでな』

男『どちらかが沈まなきゃ、帰れないぜ』

男「……」

男『大丈夫だ。俺は死ぬ訳じゃない。お前の中の奥底に帰るだけだ』

男『俺はお前で、お前は俺なんだからな』

男「……上手くやっていけると思った」

男『奇遇だな。俺もそう思ってた所だ』

男「考える事は同じなんだな」

男『当たり前だ。さ、行ってこい。みんなの提督さん』

男「……ありがとう」

男『……つくずくお前はバカで……甘ちゃんだな』ゴポゴポ...

男「……!!」スッ

男『そのまま海面へ上がっていけ。俺は……底まで落ちるさ』ゴポゴポ...

男「……」

男「……」

男「……ありがとう」

男「……」

男「待ってろ、翔鶴。みんな……元帥」

男「今、戻ってやる」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

いよいよクライマックスですよーーー!!この最後の場面は書き始めた時から考えてたのでテンション上がってます

次回の投下は未来への咆哮をBGMにお楽しみ下さい

木曾「霧島姉さん!まだか!!」

霧島『まだ……信号は……』

木曾「くっ……」

天龍「あぁぁ……うぁぁ……」ボロボロ

長門「……木曾、必ず提督は帰ってくるのだな?」

木曾「……必ずだッ」ギリッ

スッ

長門「戦艦長門、最後に優秀な指揮官と……最高の仲間の元で戦えて……真に誉れであった」

霧島『まだ……まだなの……?』

金剛「長門!一体……」

長門「例えこの身が粉砕され、朽ちたとしても……魂は消えない」

長門「いつまでも、お前たちの元に……」グッ

ドッパァァァンッ!!!!!

翔鶴「長門さん!!」

電「……!」

元帥「ハハハハハ……ん?」

長門「まだ終わってなどいないぞ、元帥!!」ドンッドンッドンッ!!!

元帥「死に損ないの戦艦が私と戦うのか?」サッ

元帥「その勇気を讃えて一瞬で楽にしてやろう、長門。せめてもの慈悲だ」グッ

長門「ビッグセブンと呼ばれた私がタダで沈むと思うなよ」

長門「ビキニの海まで道連れにしてやるぞ……ッ!!」ギロッ

元帥「沈むのは君だけだよ。誰にも看取られる事無く孤独に沈んでしまえ」

ドンッ!!!

ピシュッ

元帥「……」

木曾「例え沈んだとしても俺が看取るさ」

長門「木曾……」

木曾「……」

元帥「二人になった所で同じだ!!」ブンッ

ガッ!!!

長門「ぐぅぅ……ッ!!」ギリギリ

元帥「どうした?その程度か長門!!」

長門「うぉぉぉッ!!!」ググッ

元帥「……残念だよ、少しは期待したんだが」

シュッ

ガキンッ!!

木曾「……両手で長門姉さんを抑えながら脚で俺の攻撃を弾く……か。まるで曲芸だな」

元帥「これくらい容易いものさ」ブンッ

ゴキッ

木曾「くはっ……!!」

バシャアアアンッ

長門「この……!!」

ガッ

長門「足払い!?」フラッ

元帥「……」シュッ

ゴスッ!!!

長門「っぁ……!!」

バシャアアアンッ

翔鶴「木曾ちゃん!長門さん!」

元帥「航空戦は……翔鶴。君の方が上手みたいだね」

バララララ!!!!

ドゴォォォン...

元帥「ここまで削られているとは思わなかったよ。大したものだ」

元帥「地獄を味わいながら死ね」ダッ

木曾「翔鶴……姉さん……!」

長門「……」

金剛「まだ私が残ってるネ!!」

電「電もいるのです!!」

元帥「まとめて沈めてやるさ。安心しろ」


ドクンッ...


元帥「……」ピタッ


ドクンッ...


元帥「……なんだ?」

金剛「……」

電「……」

翔鶴「……何が」


木曾「……やっと、来たか」

霧島『……!!』

霧島『ガイアシステム……起動!!』

霧島『情報分解、再構成開始……』


ドクンッ...


元帥「なんなんだ……この……」

長門「……ぁ」


ドクンッ...


霧島『欠除した情報の補填、神経の再接続……』


キラキラ...


元帥「海面が……輝き出した……!?」

電「……綺麗」

天龍「ふぇ……な、なんだ……?」グスッ

霧島『漂うパーツ及び情報の欠片の再使用開始。近代化改装モード……』


ドクンッ...ドクンッ...


霧島『天地創造の神、ガイアの名を借りた禁断のアプリケーション』

霧島『使用後は最小まで細分化され破棄します』

霧島『壊れ、朽ちた者を再びこの海へ!!』


ブクブク...


木曾「だから……言ったんだ……」

木曾「あいつには……"幸運の女神"が付いている……ってな……!!」

いかなくちゃ。また……あの海に……

みんなの元に。あの敵の元に……!!


今まで落ちてきた暗闇を弾丸の様な早さで上っていくのがわかる。傷ついた身体も、少しずつ、少しずつ元の形へと変わる

暗闇が薄れ、明るい青さを帯びてくる

男(戻るんだ、そして……絶対に……絶対に……奴を、倒す!!)

男(俺の決意であり、"俺"との約束だ)

ゴゴゴゴゴ......


元帥「……」


キラキラ...


金剛「……海面に浮いてたエラーと……深海棲艦の欠片も……光ってマス」


霧島『復元完了、エンジンフルスロットル』

霧島『生体反応、やや低いですが問題無し。心拍は安定』

霧島『装備、装甲、内部機関、全て異常無し』

霧島『チェック項目、異常無し、異常無し、異常無し……』


元帥「……下かッ!!!」ダッ


霧島『虚構型戦艦一番艦、虚構。再出撃!!』


ドバァァァンッ!!!!!

木曾の一番最初の幸運の女神発言の時点でこのガイアシステムは提督の情報の中に埋め込まれていました。途中の展開は別として最後のこの展開は木曾によって仕組まれていた事になります

男を殺す事で男を救う。仕組まれていたにしろほとんど賭けの様なものですね

あ、ガイアは天地そのものである原初神でしたっけそういえば

その後の様々な象徴の神々を産み落とした最初の女神である=全ての始まりでありつまり全てを創造した。という意味でここでは使われています。ガイアシステム自体死者を呼び戻すというよりは再構築して再び創り出すという様なイメージなので

幸運の女神だからフォルトゥナ……というのはなんだか安直だなと思ったので名前をガイアにしました

終盤なのでこう言ったストーリー外の解説とかも少ししようかなと思います

元帥「……何故だ。何故……」

天龍「……て、提督!!!」

男「……」

男「ただいま。少し……海の中で休んできた」

金剛「……今の内!」ザァァァ...

金剛「木曾、長門。こっちデス!」グイッ

長門「げほっ……あぁ……帰ってきたか……」

木曾「もう一人の提督。狂気に染まった提督を殺す事で俺たちの提督は蘇る」

木曾「現実世界においても、この世界においても、提督を救える最後の手段……がふっ……」

電「司令官さん……よかった……」

翔鶴「……おかえりなさい。提督」

男「……」

元帥「輝く海で決戦か。中々粋な事をするじゃないか……」

元帥「私が一方的に傷ついた状態だからなどど侮るなよ、少佐」

男(武装確認、チェーンソーブレード、機関砲ロスト。その他兵器は健在)

男「近接武器が欲しい。霧島、なにか武器は?」

霧島『パイルバンカー以外なら小型ナイフくらいしか……』

男「それでいい。転送してくれ」

霧島『サブウェポン転送……』

シュゥゥゥ...

チャキッ

男「……」

元帥「……」ニヤッ


男、元帥「行くぞ!!」

ブンッ!!

元帥「やはり、実に大振りだな。懐に潜り込めば……」

シュッ

元帥「なに!?」

ガッ!!!!

元帥「ぐっ……反応速度が上がっている……?」

男「はぁッ!!」ブンッ

元帥「ッ!!!」サッ

元帥「武器の扱いもそうだが……ここまで攻撃速度もあった様には思えない……」

元帥「君は一体……」

シュッシュッシュッ!!!!

元帥「防戦一方か……まさかここまでとは思わなかった……」

元帥「だが……確実に何処かで隙が出来る」

男「……!!」ブンッ

元帥「そこだ……」ダッ

ゴッ!!!

元帥「まだまだ……!」

ゴッゴッゴッ!!!

男「がはっ……」

元帥「やはり近接戦闘では私の方が上手の様だな」

元帥「もう一度沈め……!!」ブンッ

男「そう簡単に何度も沈んでたまるか!!」シュッ

ガキンッ!!!

元帥「近接も……これほどとは」

元帥「ならばッ!」ダッ

ジャコンッジャコンッジャコンッ

ピピピピピ...

霧島『ミサイル来ます!!』

男「フレア拡散!」ダッダッダッ!!!

バッ...

お仕事です

ちなみに何故パイルバンカーに機関砲が復活しなかったかと言うと、破壊された時点で艤装として存在しなくなるから。要は使い捨てですね

シュゥゥゥ!!!

男「……!」

男(フレアに誘導されたミサイルの間ギリギリでかわす!)

ザバァァァン!!!!

男「こっちからもプレゼントだ!!」ジャコンッジャコンッジャコンッ!!!!

ピピピピピ...

バシュゥゥゥ!!!

元帥「当たらないよ」スッ

男(まるで水面を踊る様にミサイルをかわしていく)

男「なら……もう一度接近戦に持ち込む!!」ダッ

ブンッ!!!

元帥「くっ……」ギリギリ...

木曾「……虚構の能力はガイアシステムによって強化されているが……」

天龍「体格差と速度で向こうに負けてる……のか?」

木曾「……げほっ……はぁ……」

木曾「霧島姉さん……」

霧島『わかったわ』

霧島『司令官、これは一つの手ではありますが……』

霧島『戦艦虚構をこの場で解体する事も出来ます』

男「……解体?」

霧島『つまり……本来の司令官自身の身体に戻す事も可能です』

男「リスクは……言わなくてもわかるか」

霧島『最悪の場合です。一考の価値は……』

男「わかった。頼む」

霧島『……よろしいですか?一度解体すれば元には……』

男「こいつと決着を付ける為には……それが一番だと思う」

元帥「まだ…奥の手が?」

男「……」

霧島『戦艦虚構の解体開始。虚構のデータ破棄、既存データを上書きします』

ピキッ...

男「!?」

元帥「装甲にヒビ……」

ピキッ...パキッ...

バリィィィンッ!!!!!


男「……」


元帥「なっ……これは一体……」


男(解体は一瞬だった。装甲にヒビが入ったかと思えばそれが一瞬にして全身に広がり)

男(砕けた)

スッ

男(手も……脚も……水面に映る姿も、最終決戦に乗り込んだ時の姿だ)

元帥「バカな!!!自らその最終兵器を破壊したのか!!!」

元帥「愚かだ実に愚かだ!!折角盛り上がっていた所なのに……興ざめだよ、少佐」

男「違うな……」ギュッ

男「お前は俺の本来の姿で倒す」

男(恐らくあのまま戦闘をしていてはジリ貧だったと思う)

男(いくら傷があったとは言え、あれだけの深海棲艦の力を手に入れていた)

男(長期戦になればなるほど俺は消耗し、不利になっていたはず)

男(それならいっそこの方法に賭ける!!)

元帥「……お遊びも大概にするんだな」ダッ

男(それになんだか、今なら……勝てる気がする)

男(高翌揚感か、脳内麻薬かはわからないが。やれる気がした)

ガッ!!!!!

男(元帥の拳と俺の拳がぶつかり合う。衝撃で腕が軋んだ)

男「いいか?俺は一人で戦っているんじゃない」シュッ!!!

元帥「ふっ……」ガッ!!!

男「天龍に教わった剣術、木曾に教わった体術」

男「電に教わった最後まで立ち向かう心、金剛に教わった自分と向き合う事」

男「長門に教わった信念、龍田に教わった失う事の悲しみ」

男「……翔鶴に教わった、信じる気持ち」

男「霧島の助けだってある。中佐や他の艦娘達も一緒に戦ってくれている」

男(そして……もう一人の俺にも……託された)

男「みんなの力が俺を強くしてくれている!!」

元帥「戯言を!!!」シュッ!!!

>>570 修正


元帥「バカな!!!自らその最終兵器を破壊したのか!!!」

元帥「愚かだ実に愚かだ!!折角盛り上がっていた所なのに……興ざめだよ、少佐」

男「違うな……」ギュッ

男「お前は俺の本来の姿で倒す」

男(恐らくあのまま戦闘をしていてはジリ貧だったと思う)

男(いくら傷があったとは言え、あれだけの深海棲艦の力を手に入れていた)

男(長期戦になればなるほど俺は消耗し、不利になっていたはず)

男(それならいっそこの方法に賭ける!!)

元帥「……お遊びも大概にするんだな」ダッ

男(それになんだか、今なら……勝てる気がする)

男(高揚感か、脳内麻薬かはわからないが。やれる気がした)

ガシッ!!!

元帥「ッ!!」

男「絶招、焰……」グッ

男「螺子!!!」シュッ

ゴリュッ

元帥「がっ……ごぼっ……!!」

ビシャッ

元帥「……はぁ……はぁ……」

男「高速の斬撃で斬り裂く!!」シュッ!!!

ズバッ!!!

ブシュゥゥゥ!!!!

元帥「あ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

元帥「ぐぅぅ……調子に乗るなよ!!!」ブンッ

ゴッ!!!!

男「ッ!?」

男(元帥の放った蹴りが俺の脳を揺らす。目の前で火花が散った気がした)

ゴスッ!!ゴスッ!!

男(さらに拳が連続して俺の胴体に叩き込まれる)

男「かはっ……くっ……」

男(痛みで呼吸が出来なくなる。ふらついてそのまま倒れたかった)

グッ

男「はっ……はっ……」

中途半端ですがここまでで……

sagaは必要な時に入れてるつもりなんですけど忘れちゃいますね……

sage saga で一回投げても次にはメ欄がsage に戻っちゃうんですよね……

元帥「そのまま倒れてしまえばいいものを」シュッ

男(顔面を狙った左拳!)

ガッ!!

元帥「ふっ!」ブンッ

男(そこから右脚の蹴りで首を狩りに来るか)

ゴッ!!

男「っ……!」

男(左腕で受けたがやはりとんでもない威力だ)

男(だが……)

男「左脚がお留守だぞ!!」ブンッ!!!

ゴッ!!!

元帥「ッ!!」フラッ

男「弓を引き絞る様に引き、穿つ」スッ

男「絶招、焰……」

元帥「させるか!!」シュッ

男「錐!!!」シュッ!!!

元帥「早いッ!?」

ズシュッ!!!!

元帥「がはっ……」

男(俺の右腕は元帥の攻撃よりも早く放たれ、腹を突き破った……)

元帥「はぁ……はぁ……」

元帥「戦闘能力……やはり私は君に敵わない……か?」

元帥「数多の深海棲艦を束ねても、それを上回るのか……」

元帥「化け物め……」

男「化け物でもなんでもいいさ。お前を倒せればそれで……」

元帥「……クク、アハハハハ!!!」

元帥「これほどまでに手こずるとは思わなかったよ。正直、今の私からすれば今の君はあの次世代兵器よりも強い」

元帥「だが、それでも……死ぬだろう?」ギョロッ

男「……」

男(薄ら笑いを浮かべながらまじまじと俺の事を見ている)

男(なんだ……この威圧感。いやこれは……)

元帥「少佐、一つ聞くよ。もし私が……」

元帥「今この場で……核を撃てるとしたら、どうする?」

男「ッ!!!!」

木曾「核……だと!?」

元帥「そうだよ木曾。核だ」

元帥「しかも戦術核ではない戦略核ほどの威力の核を即座に起爆させられるとしたら?」

男「……なにが言いたい」

元帥「降伏しろ、少佐」

男「……」

元帥「さもなければ……核を撃つ!!」


霧島『ブラフの可能性もあるわ。あるけど……』

木曾「奴は……ほぼ全ての現代兵器を利用……出来るッ」

男「……」

元帥「さぁどうする……?」

元帥「この距離なら……この周囲にいる君の仲間全部を消し去る事が出来る」

スッ!!!

男「……」チャキッ

男(俺はほぼ無意識に、太腿のホルスターからMk23を抜き、元帥に向けた)

元帥「……」

男「今の俺なら、お前の額を一瞬で撃ち抜ける」

元帥「そうか……だが君に出来るのか?私を一撃で屠れるか?」

男「なら……試してみるか?」

元帥「……ッ」

男「……」

男(多分、核を撃つな。と言っても無駄だろう。元々ブラフの可能性だってある)

男(だがそれよりもだ。今のまま核を撃たれたら……)


翔鶴「制空権を奪取しました。提督」

電「……」

金剛「核兵器……」

天龍「このままじゃ、オレ達全員くたばる事になるのかよ」

長門「……」

木曾「……」

男(天龍の言う通り、みんな融けて……死ぬ)

男(……それなら。こうするしか……ない)

男「俺とお前を除く全員をこの場から離脱させろ」

男「さもなきゃ撃つ」

翔鶴「……!!」

天龍「お、おい。それって……」

元帥「自分だけを犠牲にしようと!そうかなるほど……」

元帥「まぁ、君以外はさしたる脅威でもない。いいだろう」

男「……という訳だ。みんなここから離脱してくれ」

お仕事です

天龍「ちょっと待て、核兵器だって?んなもん使えば自分も吹き飛ぶぜ?」

元帥「それでも構わないさ。我らの壁さえ破壊出来るなら、この身など安いものだ」

元帥「最も、私は死なずに君たち全員を皆殺しに出来るならそれに越した事はないが……」

元帥「さて、折角君たちの大切な提督が逃げるチャンスを与えてくれたんだ。いいのか?」

翔鶴「提督!私は……私はここに……」

男「翔鶴!!」

翔鶴「っ……」

男「……大丈夫だ。俺は生きて帰るから」

金剛「でも私たちがいなくなった後で深海棲艦をまた呼ばれる可能性だって……」

元帥「わかった。増援も呼ばない事を約束しよう」

男「それに……呼んだ瞬間俺がこいつの額に穴を開けてやるさ」

木曾「……霧島姉さん、強制離脱を」

霧島『……』

天龍「木曾!!いいのかよ!!折角あいつを助けたのに、また殺すのかよ!!」

木曾「帰ってくると!!げほっ……はぁ……信じるしかない」

長門「……私たちは……無力……なのか」

電「でもやっぱり……司令官さんを置いては……」

霧島『強制離脱、開始』

シュゥゥゥ...

男「……」チラッ

翔鶴「……」

翔鶴「提督、信じてます」

男「……」

バッ!!!!...ジジッ...ジジジ...


天龍「……」

木曾「……ん」

長門「……帰ってきたのか、現実に」

電「んん……うぅ……」ゴシゴシ

金剛「……提督」

翔鶴「……」ムクッ

天龍「お、おい……これ……」


男「……」コシュー...コシュー...


翔鶴「提督……!!」

長門「酸素マスクなどいつ付けたのだ」

霧島『みんな、お帰りなさい』

金剛「霧島、これはどういう事ネ」

木曾「心拍数も……低い……」

霧島『……正直、ここまで弱った身体で激戦を繰り広げていたのだから。相当身体に負担が掛かってるはず』

霧島『先ほど危ない時もあったわ。いつ、どうなるかはわからない』

電「司令官さん……」

天龍「そんなに……無茶してたのか」

霧島『今そっちのモニターに映像と、音声を流すわ』

元帥「さて、これでお望み通りだが」

元帥「これで誰も核の起爆を邪魔する者はいない」

元帥「君と私でこの輝く海の塵になろう」グッ

男「……」チャキッ

元帥「ところで……その核がどこにあるかわかるか?」

男「……」

コンコン

男「なっ……!?」

元帥「私の頭の中だ」

元帥「私が死ねばそこを中心に戦術核が発動するようになっている」

元帥「さっさと撃ってくれていれば……全員まとめて始末出来たんだがな」

とりあえず余所見しながら書き込むのは駄目なんだと学習しました。ご迷惑おかけして申し訳ありません

すいませんとりあえず今日はキリがいいとこまでは書きます。何度も同じミスすりゃうざがられるのも分かってるので細心の注意を払って投下するようにします

元帥「どうした、撃たないのか?」

男「……」

元帥「嘘なのか本当なのか。迷っているような顔をしているな」

元帥「撃ってみれば、分かるんじゃないか?」

男(どうすればいい?仮にその話が本当なら……)

男(俺が生き延びるためには……逃げ切る以外の選択肢は……ない)

男(だけど、ここであいつを逃したら……どうなる)

男(現実でも、ずっと追われる身になるんじゃないか?)

男(それこそもう……どうする事も出来なくなる……)

男(それじゃ一生……翔鶴との約束は……)

男(どちらにせよ、約束はもう……守れない……か)

元帥「結論は……出たかな?」

男「……元帥、お前を殺す」

元帥「……そうか」

スッ

コツ...

元帥「死ぬのなら、自らで命を絶たせてもらう」

チャキッ


翔鶴「提督!!提督!!!」

霧島『……どうしたらいいの』

天龍「早くあいつも離脱させろよ!!」

長門「だがここで奴を逃せば……」

木曾「俺たちは一生、追われる身になるだろうな」

霧島『捕まれば実験体にされて身体を弄られるか、それともその場で殺されるか』

天龍「俺はそれでも……!!」

金剛「でも、電は……まだ……」

天龍「ッ……!!」

電「い、電の事は気にしないで下さい!!司令官さんを……司令官さんを……」

長門「だが、あいつも今。覚悟をしたのだろう」

長門「私たちと同じ結論に至って、この結果を選んだ」

長門「私たちは……それを止めるべきなのだろうか」

元帥「私が死んでも君という脅威が消えれば、我らの願いは芽を吹きやがて実を付ける」

元帥「では、さようなら。少佐」

男「……」


ガシッ


元帥「……」

元帥「……何故だ。何故なんだ」

男「……!!!!」

男(思わず、息を飲んだ)

男(引き金を今まさに引こうとしていた元帥の腕を……)

「お久しぶりです。提督」

男(輝く海に、気づかぬうちに現れた。黒髪の美しい女性が、掴んでいた)

元帥「……」カタカタ...

男(元帥の握るハンドガンが、震えている)

男(俺とはまた違った驚愕の表情で、女性の顔を見ていた)

「いえ……この姿でお会いするのが、久しぶりですね」

元帥「……ありえない。ありえるはずがない」


元帥「……大和、君は……」


大和「……」ニコッ

ここまでです。今日はすぐに寝て休養する事にします

元帥「違う……これは……」

大和「私は確かにここにいます」


翔鶴「大和……さん!?」

天龍「あれが……」

長門「最強の……艦娘」

電「……はわ」

霧島『どうして……!?情報としても成り立っているし……タダのゴーストじゃ……』

木曾「霧島姉さん。あの、大和がどこから現れたのか、分かるか?」

霧島『待って……』

霧島『……そんな。出現位置を割り出したけど……』

霧島『海中から、突然……』

木曾「海中から……?」

霧島『……海面に浮翌遊していたエラーの欠片が……一部消失しています』

霧島『これは……海面から湧き出る光の粒と同化……し、て……』

木曾「ガイア……システム……!!!」

木曾「あれは確か……発動地点を中心とした一定の範囲内の"艦娘"のデータを分解、再構築するもの……」

木曾「戦艦虚構も艦娘の技術を取り入れているからシステムの恩恵を受けられた」

木曾「だが当然、元のデータがわずかでも残っていなければ……」

長門「やはり、私の勘はあっていたか」

長門「奴と相対した時、私はまだあの化け物の中に彼女の意識が残っている様な気がしたのだ」

>>603 修正


霧島『……海面に浮遊していたエラーの欠片が……一部消失しています』

霧島『これは……海面から湧き出る光の粒と同化……し、て……』

木曾「ガイア……システム……!!!」

木曾「あれは確か……発動地点を中心とした一定の範囲内の"艦娘"のデータを分解、再構築するもの……」

木曾「戦艦虚構も艦娘の技術を取り入れているからシステムの恩恵を受けられた」

木曾「だが当然、元のデータがわずかでも残っていなければ……」

長門「やはり、私の勘はあっていたか」

長門「奴と相対した時、私はまだあの化け物の中に彼女の意識が残っている様な気がしたのだ」

大和「もう……終わりにしましょう。提督」

元帥「……」カタカタ...

大和「私は、もういいんです。一度戦場で命を失ったあの時に……」

元帥「大和……」

大和「提督は、私の為に……頑張ってくれたじゃないですか」

男「……どういう、事なんだ」

大和「……深海棲艦との戦闘で沈んだ私を、提督は救おうとしてくれたんです」

大和「私と深海棲艦を結び付けるという方法で」

元帥「違う!!私は……私の為だけに……」

大和「そうですね。その研究をしていく内に、提督の心すらも深海棲艦と結び付けられてしまった……」

大和「……えっと、少佐さん。でしたか」

男「あぁ……」

大和「私の意識をまた、呼び戻してくれて。ありがとうございます」

キラキラ...

大和「提督と一体化していた欠片達も……今ここに」

男「……」

龍田「お久しぶり、提督」

瑞鶴「……」


天龍「龍田……龍田……なのか」

翔鶴「瑞鶴……!!」

男「龍田……それに」

瑞鶴「翔鶴姉がいつもお世話になってます」ニッ

男「……霧島、そっちの音声を繋げられないか?」

霧島『今すぐに!』

ガチャ...ガチャ...

天龍『……龍田。本当に、龍田か?』

龍田「天龍ちゃん……」

天龍『龍田……ぐすっ……ごめん……お前の事……』

龍田『いいのよ。天龍ちゃんは何にも悪くなんかないわ~』

龍田『……最後に、天龍ちゃんに会えてよかった』

天龍『最後?どうしてだよ!折角生き返った……のに』

天龍『……そっか。ごめん……ごめん……』

龍田「そうね~、私も戻りたいけど。もう身体が無くなっちゃってるから~」

龍田「天龍ちゃん、私はずっと。天龍ちゃんの心の中にいるから……ね?泣かないの」

天龍『ぐすっ……うん……ひくっ……』

龍田「他のみんなも、さようなら」

龍田「提督も。ぜ~んぶ、覚えてるから」

龍田「もうなにも、忘れない」

男「……あぁっ……!」

龍田「なぁに~?提督さんまで泣き虫なのかしら?」

男「……そうかもな」

>>607 修正


男「龍田……それに」

瑞鶴「翔鶴姉がいつもお世話になってます」ニッ

男「……霧島、そっちの音声を繋げられないか?」

霧島『今すぐに!』

ガチャ...ガチャ...

天龍『……龍田。本当に、龍田か?』

龍田「天龍ちゃん……」

天龍『龍田……ぐすっ……ごめん……お前の事……』

龍田「いいのよ。天龍ちゃんは何にも悪くなんかないわ~」

龍田「……最後に、天龍ちゃんに会えてよかった」

天龍『最後?どうしてだよ!折角生き返った……のに』

天龍『……そっか。ごめん……ごめん……』

お仕事です

瑞鶴「翔鶴姉……?」

翔鶴『瑞鶴……』

瑞鶴「……ごめんね。先に逝っちゃって」

翔鶴『瑞鶴は……なにも悪くないわ』

瑞鶴「それに、私のせいで翔鶴姉は苦しんで……」

翔鶴『違うわ!瑞鶴のせいじゃない。それに……』

翔鶴『また話せたから。それでいいの』

瑞鶴「……」

翔鶴『……』

翔鶴『どうして……お互い話したい事は沢山あるはずなのに』

瑞鶴「こうして話してみると、言葉が出なくなる」

翔鶴『……』

瑞鶴「……翔鶴姉」

翔鶴『なに?瑞鶴』

瑞鶴「……ありがとう」

翔鶴『……私こそ、ありがとう』

瑞鶴「それと……あと一つ」


『「さようなら」』

瑞鶴「……翔鶴姉は、いい提督さんに会えたみたいだしさ。沢山、楽しんできて」

瑞鶴「ずっと待ってる」

翔鶴『……必ず、会いに行くわ』


男「……」

大和「少佐さん。離脱して下さい」

男「……いいのか、それで?」

大和「元々、私が原因でここまでの事になってしまったんです」

大和「最後は……私の手で」

男「……霧島」

霧島『……強制離脱、開始』

ジジッ...ジジジッ......


元帥「大和……私は。私は……っ!!」

元帥「深海棲艦の……違ぅ……あああ!!」

大和「大丈夫。もう苦しまなくてもいいんです。一緒に、楽になりましょう」

大和「お二人も、いい?」

龍田「大丈夫よ~」

瑞鶴「大丈夫」

男「……」

男(元帥の苦しそうな姿に、大和の切なげな表情。龍田と瑞鶴は……澄み切った様な顔をしていた)

男(俺の身体が消えていくのと同時に視界もぼやけていく)

カチリ

パァンッ

男(最後の瞬間を見る事は出来なかったが、その音で全て終わったのだと。そう理解した)


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

霧島『大規模な爆発を確認。元帥、他3名の反応……消失しました』

天龍「……龍田」

金剛「天龍、大丈夫デスカ?」

天龍「……あぁ。これで、よかったんだよな」

スッ

木曾「……」

天龍「……」

木曾「……姉貴」

天龍「なに辛気臭い顔してんだ!全部終わってめでたし、だろ?」

天龍「……あいつは、後悔なんかしてなかった」

天龍「もちろん裏側で動いてた事は知らねえはずだけど。もし知ったとしても……同じだった気がする」

天龍「……悪かったな」

木曾「……」

ポロポロ

木曾「すまん……本当に……ありがとう……」ポロポロ

天龍「……!」

天龍「……」

ギュッ

天龍「……お疲れさん」

長門「翔鶴も、大丈夫だったか?」

翔鶴「えぇ。私は大丈夫」

翔鶴「瑞鶴の声と、顔が見れたから」ニコッ

電「……」

金剛「……電は、辛かったデスネ」

電「電は……大丈夫なのです」

電「もっと、強くなります。お姉ちゃんたちを守れる様に。助けられる様に」

霧島『全部……終わったわね』

天龍「あぁ、後は……」


男「……」コシュー...コシュー...


天龍「こいつが帰ってくれば。それで……」

霧島『離脱には成功しています。後は意識が回復するのを……』

ピピピピ!!ピピピピ!!!!

男「……ッ」ガクンッ

霧島『心拍低下!?今すぐにそっちにいくわ!!』

翔鶴「提督!!」グッ...

翔鶴「きゃっ!?」

バタンッ!!

天龍「翔鶴姉!!」ダッ

スッ

翔鶴「提督のそばに……お願い……!!」

天龍「わかってる!!」グッ

木曾「……」

霧島「待って……!!今応急処置を……!!」

電「病院には……」

木曾「今の俺たちはテロリストそのものだ……今はまだ。連れてはいけない」

長門「提督!!しっかりしろ!!」

金剛「提督!!もうひと踏ん張りネ!!」

天龍「死ぬんじゃねぇぞ……!!」

翔鶴「提督!!提督……」ギュッ

ピピピピ!!ピピピピ!!

ピー......

霧島「心臓マッサージを……あとAEDがあるから持って来て!」

長門「わかった!」

霧島「っ……っ……」グッ...グッ...

霧島「人工呼吸機はそのまま……」

翔鶴「提督!!提督!!」

霧島「っ……っ……」グッ...グッ...

長門「持ってきたぞ!!」ガコンッ

霧島「繋いで!!」

ガチャ!!ガチャガチャ......

霧島「いくわよ……!!」

ドンッ...

男「っ……!!」ガクンッ

霧島「……」

霧島「もう一回……」

ドンッ...

男「……ここは?」ムクッ

男(見渡せばそこは、荒れ果てた街だった)

男(舗装は剥がれ、錆びた車があちらこちらに止まっている)

男(ビルの硝子は割れ、色褪せている)

男(そして……誰の声も聞こえない。サラサラと風が枯葉を揺らす音だけがこの廃墟のBGMになっている)

男(見上げた空は分厚い雲に覆われ、光を遮っていた)

男「……」

男「あぁ……これは俺の夢か」

男「……」

コツコツ

男(ひび割れたコンクリートを踏んで歩く。この景色はどこまで続いているのだろうか)

男(どれだけ歩いたか分からない。けれど同じ様な景色が広がっているばかり)

ドンッ...ドンッ...

男「ん……?」

バラララッ...バラララッ......

男「これは……銃声?」

ダッ!!!!


男「はっ……はっ……」タッタッタッタッ...

男(広い大通りを走っていると向こうに夕焼けが見えた)

男(大通りは坂道になっていて、すぐそこがその頂点らしい)

タッタッタッタッ...

ダッ

男「はぁ……はぁ……」チラッ

男「……」

ブォォォン...

ダダダダンッ!!!!ダダダダンッ!!!!

男「あれは……夕焼けなんかじゃない」

男(息を切らせてたどり着いた先に見えたのは……)

男(燃え上がる街、対空砲が絶え間無く撃ち続けられている)

男(街の様子は炎と煙に遮られて良く見えないが、手前の方にのっそりと動く異形の姿が見えた)

男(人が作ったとは思えないおぞましい姿。黒い装甲に覆われたそれは、俺にとって見覚えのあるものだった)

男「深海……棲艦……!!」

男(奴らがこれを?それじゃあ……)

「私たちは、なにも変えられなかった」

男(聞き覚えのある声、振り返ると……)

男「……翔鶴」

男(その姿はあの海で見た艤装を纏った姿。二つの脚で立ち、どこか寂しげな目を俺に向けていた)

翔鶴「私たちが倒したのはほんの一部。がん細胞の一部を切除してもまた増えてしまうのと同じ事」

翔鶴「私たちは……なにも変えられなかった」

翔鶴「運命を、時代の移り変わりを変えるなんて、出来なかったんです」

男「……」

男「……これは夢だ。まだ、なんとかする事だって出来る」

翔鶴「けれど、これも選ばれる可能性のある選択の一つ」

翔鶴「私たちが歩むかもしれない未来なんです」

男「……」

翔鶴「どうか、この夢の様な未来にならない様に」

翔鶴「この夢の世界の私と同じ運命を辿らない様に」

男「……大丈夫さ」

翔鶴「……そうですね。提督は、一つこれに繋がる選択肢を回避しました」

翔鶴「だから今の提督は現実に存在する」

男「……翔鶴、それじゃあこの夢の世界では?」

翔鶴「……」

翔鶴「提督はあの戦いの後、目覚める事はありませんでした」

翔鶴「私はみんなとの関係も薄れていって」

翔鶴「今ではこうして一人。戦っています」

翔鶴「……」

男「……翔鶴」

翔鶴「……そろそろお別れの時間ですね」

翔鶴「私やみんなが、呼んでますよ」

男「翔鶴、待ってくれまだ……」

翔鶴「……」

翔鶴「……」

翔鶴「……提督。どうか、どうか間違えないで」


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ーーーーーー
ーーー

ここまでです

男「……」コシュー...コシュー...

男「……」パチッ

翔鶴「提督!!よかった……」

霧島「なんとか……なったわね」

男「……終わった……のか?」コシュー...コシュー...

天龍「一応……な」

長門「む、通信の様だが」

霧島「今受け取るわ」タッ

中佐『みんな、今の状況は?』

霧島『全部終わりました。こちらは全員無事です』

中佐「そうか……それは良かった」

加賀「赤城さん、一体今までどこに……」

赤城「別の場所から敵を叩いていたの。それより……」

霧島『そちらの被害は』

中佐「……沢山の仲間を失ったよ」

霧島『……そうですか。すみません』

中佐「謝る必要はないさ。中将の部隊は全員健在だし、全滅していないだけ良かった」

中佐「それと……大佐が」

霧島『大佐がどうかしたのですか?』

中佐「大佐の実働部隊がこっちに寝返ってくれたんだよ。小娘……って誰だろう」

中佐「彼女に、殺したければ捕まえてみろ。と伝えてくれって言って……どこかへ」

霧島『……』

霧島『わかりました。その伝言はこちらで伝えておきます』

おやすみしたのですこしだけですが

霧島『作戦協力、ありがとうございました』

中佐「うん。なんとか……なってよかった」

霧島『それでは、また連絡します』

中佐「僕たちはしばらく休養する事にするよ」

霧島『はい、それでは』

中佐「……」

加賀「遺体の収容に各フロアのクリアリング。生存している敵兵の留置」

加賀「地上階への偽装。やる事は沢山ありますよ」

中佐「そうだな……けれどその前に……」

ギュッ

加賀「っ……!」

中佐「……お疲れ、よく頑張ったな」

加賀「……はい、提督」ギュッ

中佐「少し……眠ろう。もう明け方だけど、今日くらいいいだろう」

加賀「そうですね……」

霧島「……」

木曾「……さて、俺たちもやる事は沢山あるぞ」

霧島「各国メディアに情報のタレコミに扇動ね」

木曾「すぐにでも動こう。休む時間も勿体無い」

長門「私も手伝おう」

天龍「オレたちもなにか……」

木曾「姉貴達は休んでてくれ。だいぶ消耗してるんじゃないか?」

天龍「んな事言ったらお前だって……」

木曾「この作戦の指揮は俺が取ってる。俺が休んだらどうしようもない」

木曾「それに、俺たちがこの情報を流す前に警察や特殊部隊に見つかれば……」

金剛「それこそ後がないデスネ」

木曾「まだテロリストの汚名を着せられるには早い」

木曾「そこの扉の先にリビングと……隣にはシャワーにベッドもある。好きに使って欲しい」

霧島「司令官は……そのまま安静に。点滴も打たせていただきます」

男「……あぁ」

翔鶴「私は……提督のそばにいます」

金剛「……それじゃお言葉に甘えて休みまショウ」

金剛「私が紅茶を淹れるネ!きっと疲れも和らぐはずデス!」

天龍「金剛姉の紅茶か……楽しみだな」

電「電も手伝います」

木曾「それじゃあ各々自由に。外には出ない様にしてくれ」

ゾロゾロ...

男「……」コシュー...コシュー...

翔鶴「提督……」ギュッ

男「翔鶴……」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「お疲れ……様、でした」

男「……お疲れ」

翔鶴「……長い、長い戦いでしたね」

男「……そう……だな」コシュー...コシュー...

翔鶴「提督、あの約束……」

男「あぁ……二人で……ゆっくり……過ごそう」

男(そう言った瞬間。本当に終わったんだと、そう理解した)

男(時間にしたら短い間だったけど、それは濃密な時間だったと思う)

翔鶴「そういえば……提督」

男「……?」

翔鶴「幻覚に、幻聴は。なんともありませんか?」

男「……」

翔鶴「苦しかったり、しませんか……?」

男「……」

男「あぁ……苦しく……ないよ」コシュー...コシュー...

男「俺の中には……誰も、いない」

男(そう、俺の中にはもう。もう一つの人格はない)

翔鶴「よかった……!助かったんですね……」

男「……そう……だな。俺は……救われた……よ」

男(救われたんだ。そうだ、俺は……救われたんだ)

男(……)


男『……上手くやっていけると思った』

男『奇遇だな。俺もそう思ってた所だ』


男(……)

翔鶴「……」ギュゥ...

男「……」ナデナデ

翔鶴「……提督」

男(これでよかったんだよな……きっと)

男「……少し、眠いな」

翔鶴「……ゆっくり休んでください」

男「そう……するよ」

男(突然にやってきた眠気が俺の思考や感覚を奪っていく)

男(まどろみに落ちていく感覚はとても心地よかった)

男(翔鶴の微笑みと、香りと、暖かさに抱かれながら……少しずつ、少しずつ落ちる)

翔鶴「おやすみなさい。提督」

男「おやすみ……翔鶴……コシュー...コシュー...


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ーーー

>>640 修正


男「……少し、眠いな」

翔鶴「……ゆっくり休んでください」

男「そう……するよ」

男(突然にやってきた眠気が俺の思考や感覚を奪っていく)

男(まどろみに落ちていく感覚はとても心地よかった)

男(翔鶴の微笑みと、香りと、暖かさに抱かれながら……少しずつ、少しずつ落ちる)

翔鶴「おやすみなさい。提督」

男「おやすみ……翔鶴……」コシュー...コシュー...


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ーーー

ーーーそれから三日が経ちました

木曾ちゃんに長門さん、霧島さんは作業にに追われ

天龍ちゃんに電ちゃん。金剛さんはそのサポート

そして……提督は……




「おやすみ」と、言葉をかわしてから、目覚める事はありませんでした




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「……総理」

江良「……どうしたの?」

「例の研究所が壊滅した、と。被験体が暴動を起こした模様です」

江良「そう……あの人も、役に立たなかった」

江良「まぁいいわ、データも集まった。後は各国に売却して資金を得るだけ」

江良「仮に情報が漏れたとしても、この内閣が退陣に追い込まれたとしても」

江良「研究はもう止まらない。世界中がこぞってこの研究に着手する」

江良「次の世代が……始まるの」

「……」

江良「時間や運命なんて、なるようにしかならない。なにも変わらない」

江良「足掻いて、もがいた所で、どうしようもないわ」

江良「……亡命の準備を。この情報の中でも最高機密の一部と、研究者を数名連れて行くと言えば。どの国も私達を受け入れるはず」

「はい、直ちに」

江良「……核抑止力は消え、第三次世界大戦が始まる」

江良「それに、深海棲艦の台頭」

江良「……」

「他になにかあれば……」

江良「ん……そうね……」

猫「にゃー……」

江良「……」ナデナデ

グイッ

江良「亡命までの間、猫でも吊るしておこうかしら?」

男「……」コシュー...コシュー...

霧島「心拍数も安定。体温も正常」

霧島「きっと、脳に負担がかかりすぎたのね……」

翔鶴「……提督」

霧島「……ごめんなさい。無理をさせたばかりに……」

翔鶴「……どうして。どうして提督なの……」

翔鶴「提督はっ!!充分頑張ったはずなのに……」ポロポロ

翔鶴「どうしてっ……どうして……」ギュッ

霧島「……私、別の部屋にいるわね」ガチャ

バタン

翔鶴「他の誰かでもよかったじゃない!!」

翔鶴「どうして提督なの……なんで……?」

翔鶴(そう自分に問いかけるたびに、もう提督が一生起き上がらないんじゃないかという不安に駆られました)

翔鶴(二度と提督と会話出来ないんじゃないか、提督との約束は。もう……)

翔鶴「うわあああん……っ!!」ギュゥ...

翔鶴「うぅ……ぐすっ……提督……!!」


翔鶴『提督の事、信じてます』


翔鶴「……そうよ。私が言ったんじゃない」

翔鶴「提督を……信じる」

翔鶴「……提督」

翔鶴「ずっと、ずっと待ってますから」

翔鶴「提督の事……信じてます」

翔鶴「ずっと、ずっとそばで……」


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ーーー

江良恵娘=エラー娘

つまり総理大臣が鎮守府と深く結びついた人物だという暗喩?だった訳です

完結編の冒頭の『最初から仕組まれていた』という一文はまさにそういう事だったんですね

この騒動から五日経った頃、全世界の報道機関によって大国の裏で研究されていた艦娘技術、新型次世代兵器の情報は明るみに出る事となった

そして、あの情報の海。電子世界に存在する異形の敵の存在も。世界の人間に知れ渡った

もちろんそれは日本でも同じ事であり、相次いでデモや暴動が発生。現内閣は退陣を余儀無くされる

そして、この騒動に関わった少女達。最初こそテロリストとして逮捕されようとしていたものの、すぐに完全無罪の判決が出され事なきを得た

しばらくは安全確保の為に国の保護の元過ごす事になったが、いずれ彼女達は自由になるだろう

だがーーー

人間を狂気に誘い込み、精神を崩壊させるあの薬の事は関係者以外誰一人と知る事は無かった

もちろん、犠牲になった人間の事も。知られる事はない


戦争の為の道具の実験体にされた悲劇の少女達。彼女達は永遠に消えない記憶を宿しながら生きていくのだろう

では、情報の闇に消えていった人間は?

それは……





騒動から数ヶ月後。情報世界の異形達が動き出す

艦娘による弾圧がほぼ消えた事によって彼らにも自由が訪れたのだ

世界各地でサイバーテロの様な事件が多発。調査の末それが異形達の攻撃だと知れ渡った

それを境に再び、艦娘技術の研究。艦娘による深海棲艦攻撃は再開された

変わった事と言えば、一般の人間の公認になってしまった事と、艦娘がかたわの少女ではなくなったくらいだ

そして次世代兵器も、国家防衛の為と称し。研究が再開される

騒動から五年後。ついに新型次世代兵器の初号機が日本で配備される

アニメやゲームでしか見る事の無かった人型兵器に国民は沸いた。もちろん反対意見や団体は存在したが、災害救助にも多いに役立つ事となり、批判の声もやがて埋れていった


騒動から十年後。次世代兵器の配備も各国で進み、戦略核はついに……脅威ではなくなった

各国に緊張が走る。火種があればすぐにでも炎が蔓延してしまう様な状態に世界は陥った

そしてすぐに、その火種が投げ入れられる事になる

ーーー深海棲艦の現実世界での出現


どこに潜んでいたかはわからない。誰が手招きしたのかもわからないが、彼らは突如として現実世界に現れたのだ

驚異的な強さ、凶暴さに非力な人間は怯えた。だが、新型次世代兵器でなら深海棲艦を倒す事が出来た

それが……始まりだった

深海棲艦は中東の小国を一つ壊滅まで追い込んだ。隣国や大国からの攻撃が激しく続きその小国に蔓延っていた深海棲艦は駆逐される

だがその行為を侵略だといい始める国が現れる。その声は段々と大きくなりやがて、世界を分断した

第三次世界大戦の始まりである

かつて資本主義と社会主義に別れた時の様に、世界はまた割れたのだ。そしてそこには、深海棲艦勢力の存在もあった

異形の化け物を交えた世界大戦。それはいつ、どの様な形で終結するのか……

それは戦場に立つ人間にも、政治に携わる人間にも、怯えながらに過ごす人間にも。わからなかった


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ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


未来は変えられる。そう信じていても結局は決められた道を、選択肢を選んで過ごしているに過ぎないのかもしれない

決められた事には抗えないのかもしれない

それでも。抗う事をやめてしまってはいけない。抗う事は無意味ではないからだ

新たな選択肢を切り開く事。それが抗う事だ

ほんの少し、ほんの少しでも。可能性がある限り。例えそれが広大な砂漠に落とされた一粒の欠片程度だったとしても

諦めてはいけない

彼女達だって、可能性を信じて抗ったのだから……

ーーーーー電子世界の艦娘達




END

という訳で一応の完結をした訳ですが。五ヶ月程書いてきました

正直ここまでの長さになるとは思わなかったです。中々とっつきにくい様な内容だったと思ってるので見てくれている方は少ないんじゃないかと思っていましたが、自分の予想以上にいてくれて嬉しかったです

長らくお付き合いいただき本当にありがとうございました。自分も楽しんで書けたのでよかったです

お仕事です

>>655 修正


世界各地でサイバーテロの様な事件が多発。調査の末それが異形達の攻撃だと知れ渡った

それを境に再び、艦娘技術の研究。艦娘による深海棲艦攻撃は再開された

変わった事と言えば、一般の人間の公認になってしまった事と、艦娘がかたわの少女や孤児ではなくなったくらいだ

そして次世代兵器も、国家防衛の為と称し。研究が再開される

ーーー春が終わり、夏がやってきました

陽射しの眩しいこの季節、私は……


コンコン

翔鶴「提督……入りますね……」スッ

真っ白なベッドで、安らかな表情で眠っている提督。傍らにあるのは人工呼吸器、それに点滴

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「提督、お身体の具合はどうですか?」

男「……」

医師の診察では、外傷は見られず。精神的な所が大きいとの事でした

治療の方法は不明。いつ目覚めるかも……わからない

提督自身の力で、目覚めるしかないと

翔鶴「提督、私……提督にお話があるんです」

男「……」

翔鶴「私……頑張って、歩ける様になります」

翔鶴「提督が……言ってくれたんですよ?可能性は無限にあるって」

翔鶴「提督が……その……告白、してくれた時に……」モジモジ

翔鶴「……だから。頑張りますね」

翔鶴「投薬とリハビリ次第ではまた歩ける様になるかもしれないと医師の先生も言ってましたし……」

男「……」

翔鶴「提督も……ゆっくり疲れを取って下さい」

翔鶴「だから今は……眠っていて下さい」

それを境に私は厳しいリハビリ生活を始めました。脚にはもちろん力が入らず、手すりを頼りに少しずつ、少しずつ足をつける練習

それだけを繰り返すうちに、木々が色づき、葉が散り始めていました

翔鶴「いきますね……」

看護婦「無理なさらないで下さいね……」

翔鶴「はい……」

グッ

翔鶴「んっ……んん……!!」ググッ

翔鶴「きゃっ……」ガタッ...

看護婦「大丈夫ですか!?」

翔鶴「はい……」

看護婦「やっぱりストレッチなどの柔軟運動などを重点的にした方がいいと思いますよ?」

翔鶴「でも……」

看護婦「気持ちはわかります。けれど無理して焦ってもいい事なんてありません」

看護婦「ゆっくりでも確実に、歩けるようにしましょう」

翔鶴「……」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


翔鶴「提督、もう秋も終わりそうですよ」

男「……」

翔鶴「そうだ!聞いてください提督!」

翔鶴「私昨日足の指先が少しだけ動かせるようになったんです!」

翔鶴「提督が励ましてくれたから……だから……」

男「……」

翔鶴「提督、まだ……お疲れですか?」

男「……」

翔鶴「……余命はもう過ぎましたよ。提督は救われたんですよ?」

翔鶴「まだ……お休みになられますか?」

男「……」

翔鶴「……そう、ですよね」

翔鶴「提督は私たちの為にあれだけ頑張ってくれたんですから。まだまだお休みになられても大丈夫ですよ」

翔鶴「提督が起きる頃には……少しだけ。少しだけ歩ける様にしますね」

翔鶴「驚かないで下さいね?ふふ……」

翔鶴「……」

電子世界での騒動という本編は終わりましたが男と翔鶴の物語はまだ終わっていません

あと少し、続きます。終わったらネタバレとか、説明には出てない設定とかもお話したいですね

気になるところとかあれば遠慮なく言って下さい。よろしくお願いします

秋が終わり寒さに震える時期になっても、提督はまだ目を覚ましてはくれません

翔鶴「……」グッ...グッ...

看護婦「そう、ゆっくりでいいですからね」

翔鶴「はい……」

看護婦「それじゃあまず……指先でいいですから。動かせますか?」

翔鶴「……」ピクッ

看護婦「だいぶ動かせるようになりましたね」

翔鶴「まだ……ほんの少しだけです……」

看護婦「それでも、全く動かなかった時に比べれば大きな進歩ですよ」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーー


翔鶴「提督、この間指先が動かせるようになったんですよ」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「もう少ししたら、ちゃんと歩ける練習もしたいと思ってます」

翔鶴「提督にも……見ていて貰いたい……」

男「……」

翔鶴「……」

季節が巡るのは本当に早いと、そう感じました

提督が眠りについて……もう一年が経っていたのです


翔鶴「提督、もう……あれから一年ですよ?」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「そろそろ……起きられても……いいと思うんです」

翔鶴「……」

男「……」

お仕事です

ちょっと仕事で負傷して利き手があまり使えなくなってしまったので、更新ゆっくりになると思います

翔鶴「……提督」

翔鶴「私が歩ける様になれば目を覚ましてくれますか?」

翔鶴「私が提督の前で、両脚で立てた時には。私の事を抱きしめてくれますか?」

翔鶴「……」

男「……」

看護婦「今日からは簡単な歩行訓練もしてみましょうか」

翔鶴「はい」

看護婦「手すりにしっかり捕まって。私が支えますから、ゆっくり。脚を動かして下さい」

翔鶴「……いきます」グッ

看護婦「そのまま頑張って!」

スッ

翔鶴「……あ」

看護婦「……少し歩けたじゃないですか!」

翔鶴「は、はい!」

看護婦「このまま頑張れば、きっとちゃんと歩ける様になりますよ」

翔鶴「ありがとうございます……」

時間は廻り、過ぎていきます

私も、周りの人たちも、先へ進んでいくのに。提督だけが、あの時のまま……


ガラガラ...

カツン...カツン...

カツン...

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「……提督。もう……あれから二年……ですね」

翔鶴「提督、聞いてください」

翔鶴「私……歩ける様になったんですよ」

翔鶴「杖をつきながらですけど。歩ける様になったんですよ!」

翔鶴「提督……私…提督と一緒に……並んで歩くのが夢なんです……」

翔鶴「だからっ……!……」

男「……」

いやぁ治るまでちょっと掛かるみたいで、お休みいただいちゃうと長期休暇になる上に通勤時間も持て余しちゃうので……

無理せず更新はしたいです。お仕事です

それでも……提督は起きてはくれませんでした

あれから三年の月日が流れ、私はついに……自分の脚だけで身体を支えられる様になりました

提督の言ってくれた可能性は、実現したんです


翔鶴「……」

看護婦「もう少し様子を見て、退院になると思いますよ」

翔鶴「ありがとうございました」

看護婦「いいえ、歩ける様になってよかったですね」

翔鶴「はい……!」

コツ...コツ...

たまにふらつきそうになるけれど、自分の足で確かに病院の床を踏みしめていました

一歩ずつ、ゆっくりでもいいから。私はひたすら歩き続けました

それでも……提督は起きてはくれませんでした

あれから三年の月日が流れ、私はついに……自分の脚だけで身体を支えられる様になりました

提督の言ってくれた可能性は、実現したんです


翔鶴「……」

看護婦「もう少し様子を見て、退院になると思いますよ」

翔鶴「ありがとうございました」

看護婦「いいえ、歩ける様になってよかったですね」

翔鶴「はい……!」

コツ...コツ...

たまにふらつきそうになるけれど、自分の足で確かに病院の床を踏みしめていました

一歩ずつ、ゆっくりでもいいから。私はひたすら歩き続けました

ガラガラ...

翔鶴「……」

コツ...コツ...

またいつもの様に提督に話掛ける。いつもの様に何気ない会話をして、頭を撫でてみたり。手を繋いでみたり

返事が無くてもずっと、続けてきた事で

また返事は無いのだろう。私の事を見てはくれないんだろう

それでももう……いいのかもしれないと。思いかけていました

翔鶴「……提督」

男「……」




男「おはよう、翔鶴」

翔鶴「ぁ……っ!!」

コツ...コツ...

ギュッ

翔鶴「提督……ッ!!」ポロポロ

男「翔鶴……」ナデナデ

翔鶴「提督……」

男「……」

翔鶴「おはよう……ございます……!」ニコッ

男「ん……んん……」

第一に目に入ったのは白い天井だった。周りを見渡すと大きな機械に……俺に繋がれた点滴。清潔感のある室内

多分。ここは病院かどこかなのだろうと思った

男「……助かった。のか」

おやすみと言葉をかわした時。なんとなくいつも睡眠に落ちる様な感覚とは違うものを感じていた

もしかしたら、このまま死ぬのかも。と、落ちる寸前には思ってしまった……様な気がする

男「……」

なにはともあれこうして起きているのだから生きてるんだろう。俺たちは……勝ったんだ

チラリと窓の外を覗くと、満開の桜が見えた

しばらくまともに表には出ていなかったし。あの時は追われていたから周りを見る暇もなかったけれど

男「もう……そんな時期だったっけ」

しばらくぼんやりと天井を見つめた後、とりあえずもう一眠りしようと目を閉じたその時だった

ガラガラ...

男「……」

コツ...コツ...

扉を開けて入って来たのは……

翔鶴「……提督」

いつも見慣れた彼女ではなかった

男「おはよう……翔鶴」

翔鶴「ぁ……っ!!」

心底驚いた表情でこちらに向かって歩いてくる。だけど……

ギュッ

翔鶴「提督……ッ!!」ポロポロ

驚いたのはこちらの方だ

男「……」ナデナデ

翔鶴「提督……」

翔鶴「おはよう……ございます……!」ニコッ

翔鶴の涙を流しながらの笑顔が目の前にある

何故だろう、いつもより少し大人びているように見えた。目鼻顔立ちも少し……大人っぽくなってる……気がする

笑顔を向けられた瞬間。本気でどきりとしてしまったし……

男「そ、それよりも翔鶴……!?」

翔鶴「はい……っ!!」

男「翔鶴……今、歩いてたよな……」

スッ

翔鶴「私、頑張ったんですよ?」

男「頑張った……のか。でもそんなすぐに歩けるようなもんじゃ……」

自分で発言して、ハッとした。息を飲んだ

まさかそんな……そんな事あるわけが無いと。思いたかった

男「……翔鶴。あれから、どれくらい経ったんだ?」

翔鶴「どれくらい経ったと思いますか?提督」

男「……」

翔鶴「あれから……もう三年。経っているんです」

お仕事です

男「……」

翔鶴「三年間……ずっと……ずっと頑張ったんですよ……」

翔鶴「提督が、可能性があると教えてくれたからっ!頑張ったんですよ!」ポロポロ

翔鶴「毎日、提督に話掛けて……いつか必ず目を覚ましてくれるって……」

翔鶴「でもっ……!やっぱり提督はこのまま……ぐすっ……眠った……ままなんじゃないかってっ」

翔鶴「それでも……それでも信じて……提督が信じてくれたからっ……諦めたくなかったから……ぐす、うぁぁ……」

男「そうか……ありがとう」ギュッ

男「ありがとう……翔鶴……」ナデナデ

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「それで、他のみんなは?」

翔鶴「霧島さんは技術を買われてどこかの組織にいるそうです」

翔鶴「木曾ちゃんは大佐を追うと、中東の内戦国家に。長門さんも一緒だそうです」

翔鶴「天龍ちゃんは、電ちゃんを引き取って……孤児院を自分で作ったそうです」

翔鶴「金剛さんは、姉妹の皆さんと母国に帰ったそうですよ」

翔鶴「中佐やその他の艦娘のみんなは……わかりません」

男「……そうか。翔鶴は、どうするんだ?」

翔鶴「提督?約束の事、忘れてしまわれたんですか?」

男「……冗談だよ」

男「……一緒にいこう」

男「一緒に、静かに暮らそう」

翔鶴「はい。ずっと、ずっと提督のそばにいます」

翔鶴「提督、いえ……男さん」

男「……その名前で呼ばれたのは、随分久しぶりな気がする」

男「そういえば、翔鶴の本当の名前を……聞いてなかった」

翔鶴「……私の名前はーーー」

翔鶴「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」ニコッ

男「こちらこそ、よろしく」

こうして俺たちは、普通の生活に戻る為に。お互いに努力して……

それからーーーーー


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

サラサラと葉同士が擦れあう音が心地良い。海面の様に綺麗な空に白い雲がぽつりぽつりと浮かんでいる

周囲には草原が広がっている。遠くに見えるのは畑に連なる山々

道路はあるが車はほとんど通っておらず、家の数も少ない

その中の一つである一軒の家に向かって俺は歩いていた

男「……」スタスタ

正直、都会と田舎の空気はこんなにも違うのかと最初は驚いた

不便には不便だが、あんな事に関わったんだから。しばらく都会は遠慮しておきたい

翔鶴「男さーん!おかえりなさい!」

家の前で手を振っている彼女。シンプルなシャツにスラックスという格好であるが、その上に着けているエプロンが彼女をより一層魅力的に見せていた

男「ただいま。今日は早く上がれたよ」

俺は今町工場で働いている。様々な機械に使う小さな部品を製造している所で、給料も待遇も悪くない

男「……」

翔鶴「……」ニコニコ

俺が目を覚ましてから数年が経った。今はこうして彼女と二人で平穏な暮らしを送っている

彼女と約束した、夢が叶ったんだ

翔鶴「男さん」

男「ん?」

翔鶴「いい……お天気ですね」

男「そうだな……」

暖かな陽射しを受けながら彼女と並んで空を見上げる。それだけの事でさえも、あの時には夢でしかなかった





キィィィン...

翔鶴「……」

男「……」

見上げた空に突然現れたそれ。甲高い唸り声を上げながら青い空に白い線を引いて行く

男「……国防軍の戦闘機だな」

翔鶴「……はい」

ギリリと歯噛みする。ニュースでも話題になった、日本の新兵器

俺たちの……止めようとした計画の先にあった物

二足歩行戦車。今はまだ災害救助用ロボットと名打っているが、その姿を画面越しにみたその時に、確信した





俺たちは何も変えられなかった

最近では戦闘機や軍艦が頻繁にスクランブルしているという。それもあの次世代兵器のおかげだ

開発に成功した事で周辺諸国に不安が現れた。その結果がアレだ

だがその周辺諸国でもこの兵器の実験は行われている


俺たちは失敗したんだ。俺たちは……止められなかった


それなのに、こんな所で平穏な暮らしをしていていいのだろうか


なにか、するべきなのではないだろうか


そう考えてしまう辺り、俺は本当の平穏を手には入れられていないのだと思う

これは……そう。これは仮初めの……

翔鶴「男さん」

男「あ、あぁ……」

翔鶴「私は頑張りました。それでいいじゃないですか」

翔鶴「それで……いいんです」

男「……」

そうだ。きっとこれでよかったんだ

彼女と二人で静かな暮らしは出来ている。俺たちは十分やった





これで……これでいいんだ……

これで電子世界の艦娘達で描ける男と翔鶴の物語はおしまいです

一応トゥルーエンドですね。自分の中で割とバッドエンドにするかどうか悩んだんですけど、決めきれなかったのでみなさんに選んでいただいてこの結果になりました

男が抱えている事をみんなに話すか否か、という所がそうでした。もし話さなかった場合、翔鶴と男の二人で木曾の元に向かう事になっていました

そうすると、中佐達の戦力は増えるのでそちらの犠牲は少なく終わりましたが、道中の敵の追撃で男は負傷して決戦を終えた後、あの長い眠りにつく時に永遠の眠りについていました

それで、決戦の後見た男の夢はそのバッドエンドの先の未来のヴィジョンだったんです

続編……ではないですけどこの話を背景にまた別の話を書きたいななんて思ってるんですけどますます艦これから離れていくんだよなぁ……

ほのぼのとかならオリジナルで書いちゃうのでこういう路線であんまり書かないですし……

また新しい話考えたんですけど、少しちゃらっぽい主人公とクール系の主人公どっちがいいと思います?

決めあぐねているのでよければご協力いただけると

早ければ今日の帰りにでも書きはじめると思います

みなさんご協力ありがとうございました。新しく建てましたのでよろしくお願いします

観測世界の艦娘達
観測世界の艦娘達 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408795039/)


こちらは数日したらHTMLする予定ではあります

HTML依頼出させていただきました。お付き合いいただきましてありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月08日 (火) 01:55:00   ID: Xw-K7hmr

早く続きを読ませてくれぇ!

2 :  SS好きの774さん   2014年07月20日 (日) 01:48:18   ID: Biafm_m-

艦これじゃねーよ

3 :  SS好きの774さん   2014年08月11日 (月) 00:32:59   ID: 536opvYv

pv数が一桁 
まちがってんじゃねか
とおもうほどおもしれぇ

4 :  SS好きの774さん   2014年08月31日 (日) 16:36:59   ID: m0_IQnfL

艦これをつかったオリジナルだな

5 :  SS好きの774さん   2014年12月09日 (火) 05:53:24   ID: wW22-jjY

つまんね。ただただつまんね。
この作者のってどれも似たような感じで飽きる。同じような事ばっか。
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6 :  SS好きの774さん   2016年08月24日 (水) 11:29:12   ID: -u-ZCUrA

艦これでやったのは失敗だったな。

手違いでキャラクターをやるのはギャグ以外ではわりと禁句やで。

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