エレン「バーバー・ブラウス?」(116)

―朝の食堂―

ミカサ「そう。意外と上手い」

サシャ「む。失礼ですね。これでも村ではお小遣い稼ぎに理髪師やってたんですよ」

アルミン「確かにミカサの髪がちょっと短くなってる……なんでそんな技術が身に付いたの?」

サシャ「狩人ですから」ドヤァ

アルミン(イラッ)

サシャ「肉を捌くのも髪を捌くのも同じことですよ。切るべきところを切る。やたらめったらに切ったら、おいしいお肉もズタボロです」

エレン「いや違ェーだろ……」

サシャ「ええ、冗談です」シレッ

エレン(イラッ)


サシャ「ま、いいじゃないですか。それより報酬のパァン!を下さいよ!」

ミカサ「はい。また伸びたらよろしく」

サシャ「むふふ毎度あり~!」

ミカサ(下品……)

サシャ「エレンもアルミンもどうですか? 初回無料サービスですよ!」

アルミン「そうだね、今度サシャの都合のいい時にお願いするよ」

エレン「俺は――ミカサ「エレンの髪は私が切る。ずっと前からそうだった」

アルミン(いや、カルラおばさんがやってたけど、面倒だから黙っておこう)

サシャ「はいはいー。アルミン様承りましたー」


――
―――翌週の夜中 男子寮―――
ライナー「そろそろ消灯したいんだが、アルミンが居ないな……エレン、何か知らないか?」

エレン「」zzz

ライナー「お子様かコイツ……」

マルコ「ああ、アルミンなら、女子寮に行ってるよ。なんでも、サシャに髪切ってもらうんだとか」

ライナー「ふぅん? しかし、あんまり遅くなると、教官にどやされるぞ……」

ソントキャサシャノセイニシトケ
マタホウヒカwww
カンキサギョウヲシテオリマシタッテカ?
ギャハハハwww

ライナー「元はと言えば、エレンとジャンのせいだろうが……お?」

アルミン「」

ガチャバタン

ライナー「よう、おかえりアルミn……!?」

アルミン「言わないで……分かってるから」プルプル

アルミン(くそぅサシャのやつぅ……)

コニー「おあえr……な、なんだその髪!」

ジャン「んだよ騒がs……アルミンかそれ!?」

ベルトルト「これは……」

―――
――



――
―――翌朝 訓練場―――
ミカサ「」

クリスタ「」

アニ「」

ユミル「」

ミーナ「」

ハンナ「」

104期女子一同(か、かわいいっ!!)

参考:http://hairstyle.woman.excite.co.jp/style/detail/10944

サシャ「フーッ」ドヤァ


キース「19班! 点呼!」

マルコ「ハッ! 19班全員異常なし!」

キース「……本当にそうだろうか?」(ボット ミミヲカセ)

マルコ(ナンデショウカ)

キース(アルレルト ハ ドウシタ、ワタシノ メ ガ クサッテイナケレバ、ヤツ ハ ジョソウ ヲ シテイルヨウニシカ ミエナイノダガ)

マルコ「そ、それは……」

アルミン(小声で話したって目線がこっち向いてるじゃないかハゲ教官……ッ!)

アルミン「私の頭髪は! 昨夜ブラウス訓練生によって駆逐されました!」プルプル

女子(赤面してるアルミン可愛いよぉ……///)

キース「また貴様か……」

サシャ「はい! 地がいいせいか、思っていた以上にかわいくなりました!」

キース「分からないな……なぜ、アルレルトを可憐にする必要がある?」

サシャ(なんなん? 髪がないから僻んでるん? そういうストレスで髪なくしたんやろ)

サシャ「それは……なぜ神はアルレルト訓練生をかわいく作られたか、という話でしょうか」


キース「……」グラウンドヲアゴデシャクル

サシャ「……」ウツロナメデグラウンドヲミル

サシャ「……何周でしょうか?」

キース「昼までにしてやる。ありがたく思え」

―――
――



――
―――昼 訓練場―――

サシャ「ゼハァーゼハァー……ノ……knockin’on wall’s door」

アニ「何もうまい事言えてないよ」

ユミル「それと、やたら発音いいのがムカつくな」

クリスタ「アハハ……ほら、お水」

サシャ「神様!!!」


サシャ「皆さん珍しいですね? いつもは私を避けて食事するのに……」

ミーナ「だってサシャの隣で食べたらご飯盗られそうだもん」

サシャ「そんな! ライナー以外からは特に理由なくご飯を奪ったりしませんよ!」

クリスタ「ライナーにもやめようね……」

エレン「なんか今日は女子が騒いでるな……」

コニー「アルミン、お前の昼食俺らより多くね?」

アルミン「教官が手を回したみたい……妙な優しさが傷を抉るよ……」

ライナー「まぁ、いいじゃねーか。クリスタにもかわいいって言われただろ」

アルミン「男として、かわいいって評価は嬉しくないよ……」ウルッ

ジャン(涙目の上目使い……ヤベェ)

エレン「まぁ、確かにかわいいしな。アルミンが女だったら、ちょっと気になってるかもな」ハハッ

サシャ「あのエレンにすら興味を持たせるなんて、アルミンも私もなかなかやりますね」フフン

クリスタ「えっと……その……サシャ?」

サシャ「ご飯ならあげませんよ? ただでさえ減らされてるんですから」(ハゲヤロウ……)

クリスタ「違うよ! できれば、私もサシャに髪切って欲しいなって!」

ミーナ「私もお願い!

サシャ「なるほどなるほど。任せてください! このサシャ・ブラウス、不肖ながら皆さんの髪をとことんアレンジして差し上げましょう! 報酬は頂きますが」

ワタシモ!
アア、フランツニコノミヲキイテコナキャ
クリスタ、ワタシハドンナフウニシタライイ?

ライナー「アニ? お前はいいのか?」

ベルトルト「そうだよ。恥ずかしかったら、エレンの好みを聞いてこようか?」

アニ「……ありがと。でも二人ともそのニヤニヤ顔がウザいから蹴らせろ」


――
―――特別休暇 クリスタ―――

サシャ「まずはクリスタからですね」

クリスタ「うん、お願いね! といっても、私どうすればいいのか分からなくて……」

サシャ「うーん……そうですねぇ。バッサリやってもいいんですか?」

クリスタ「うん。あ、といっても奇抜なのは避けて欲しいなぁ」

サシャ「そうですね。あんまり性格に合わない髪を作っても大変ですもんね」

クリスタ「アルミンも気遣って欲しかったなぁ……」

サシャ「アルミンから学んだんですよ」フフン

クリスタ「」

クリスタ「ところで、なんでいきなりバッサリと切ろう、なんて?」

サシャ「クリスタは、普段から細やかなおしゃれには気を使ってるじゃないですか。髪留めを何種類も持ってたり、フェイスケアやネイルケア、毎晩欠かしてないですよね」

クリスタ「彼氏もいないのにおかしいって?」

サシャ「いえ、女として生まれたからには、女としての努力は褒められるべきだと思いますよ」

サシャ「でも、普段からおしゃれに気を使うクリスタが、アルミンが髪を切った程度で髪を切りたくなったんなら、ババーン! と変えてみたくなっているんじゃないかなと」

この芋女は調子に乗りすぎている……しかるべき報いを……

クリスタ「もう、みんなにからかわれて、先週はすごい落ち込んでたんだよ? 座学の時もうつむいちゃって、あんまり教えてくれなかったし」

サシャ「ああ、ライナーが「テンシガフタリモ……」なんて言ってましたね」

クリスタ「それを聞いたアルミンがね、また顔を赤くしちゃって、かわいいけどかわいそうだったよ」

サシャ「なんだかんだ言って、クリスタも楽しんでるんじゃないですか」

クリスタ「う……」

サシャ(まぁ、アルミンもクリスタが気にかけてくれるなら、まんざらでもないやろなー)

サシャ「さて、切りますよー!」

>>15 見てくれて嬉しい


チョキチョキ チョキチョキ

サシャ「ところで……クリスタは誰が好きなんです?」

クリスタ「ふえっ!?」

サシャ「あ、急に動かないで下さいよ」

クリスタ「そんな事言ったって……」

サシャ「だって、誰に向けた髪にしたいのか分からないと、お任せと言われてもなかなかうまく行かないものですよ。ほら、ジャンだったら黒髪とか」

クリスタ「そっかぁ……うーん……」

サシャ「あれ? エレンがアルミンをかわいいって言ったから切るんじゃないんですか?」

クリスタ「うーん、それもあるけど……」

クリスタ「自分の為、じゃあだめかな?」

サシャテヲトメル

クリスタ「私ね、あんまり幸せとか感じたことないんだ。だから、訓練兵団に入る前に、自分を変えようって、そう思ってたの」

クリスタ「でも、変わりきれなくて、変わったのは表面だけ。態度とか、言葉遣いとか」

クリスタ「だから、アルミンを見て思ったの。髪型だけで、あんなに変わるんだって」

クリスタ「そういう意味では、気になってるのは、アルミン……になるのかなぁ」フフッ

サシャ「……クリスタは、今の自分が嫌いなんですか? 私みたいな芋女にも優しくて、男子からは天使や女神さまって呼ばれるクリスタが」

クリスタ「ううん。少なくとも、前の私より好き。前の私は、与えられたものに縋り付いて、与えられたものに束縛されてた。今の方が、生きてるって実感はあるよ」

クリスタ「男子からいろいろ言われてるのは、ちょっと困っちゃうけど」

サシャ「そう、ですか。なら、今のまんまの方向性で行きましょう。優しくて、包み込むようなクリスタで。仮令、それが表面だけであっても」

クリスタ「なんだか、サシャに人生相談してるみたいだね」

サシャ「結構、そういうお客さんもいましたよ。特に、ウォールマリア陥落後は、私の村近くに、難民が越してきたんです。それで、市場に肉を卸すついでに、髪切ってました」

クリスタ「サシャの故郷って……ヤルケル区近くの……?」

サシャ「そうです。ダウパー村です」

サシャ「ほんとは、嫌だったんですけどね。だって、私は狩人として育てられて、狩人として育ってきました。なのに、父は理髪師としても金を稼いで来いって。出来る術を尽くして生きろって」

クリスタ「あ、ごめんね……こんな事頼んじゃって」

サシャ「いっ、いえ! 違うんです! 仲間の髪を切ることは、仕事じゃなくて、趣味みたいなものですから!」

サシャ「もちろん、パァンをもらうからには、しっかりやりますけど」

>>6の参考が何回やっても見れないんだが...

サシャ「本当に嫌だったのは、自分たちの辛さを主張されることなんです」

サシャ「確かに、マリアで暮らしていた人は、辛い経験がありました。エレンや、ミカサの目を見れば分かります。けど、辛さを主張していいのは、彼らみたいに辛さに抗う人だけだと思うんです」

サシャ「私は、狩人として、弱肉強食の世界を知っています。鳴き声を上げたところで、捕食者からは逃げられません。生きたいなら、血反吐を吐きながら逃げるか、必死になって反撃するべきなんです」

サシャ「それに、私たち狩人は、大地が生かしてくれています。その大地が、よそ者に荒らされるということは、私にとって、悪意があってもなくても、害でしかありません」

サシャ「そんな、鳴き声を上げるだけの人たちが、自分の辛さを垂れ流したって、私は不快なだけですよ……兵士として、間違った考えであるのはわかりますけど」

>>20 なんか設定ミスったんだろうか……「ゆるふわ・フェミニンボブ」って名前で投稿されてた


クリスタ「なんだか、今度は私がサシャの話聞いちゃったね」

サシャ「はっ! そうでした! すみませんお客さんなのに!」

クリスタ「謝ることないよ。サシャのそういう真面目な話、聞いたことなかったもの。聞けて良かったよ」

サシャ「そうですか……でも、狩人である父にも、この考えを否定されました。私は外の世界に臆病だ、外の世界と隔絶して生きるなら、外の世界に頼ってはならないって」

クリスタ「外の、世界」

サシャ「壁の内と外ではないですよ? 自分の生き方と沿う考え方、沿わない考え方ですよ」

クリスタ「……ねえサシャ、訓練兵団での生活って、楽しい? 私たちとあなたの考え方に、壁はある?」

サシャ「楽しいですし、同じご飯を食べてる仲ですから、壁なんてないですよ!」

クリスタ「そう、良かった」

クリスタ「私はね、壁は無くなったんだと思うの。サシャが、何を基準にして、壁を作っているのかは分からない。けれど、生まれも、育ちも違うんだから、一人一人、違う高さの壁を持ってるんだと思う」

クリスタ「アルミンとミカサとエレン、アニとライナーとベルトルトは、出身が同じだから既になかったのかもしれない」

クリスタ「サシャはそれでも、私たちとあなたに壁は無いって言ってくれた。だからもう、サシャは外の世界に踏み出してるんじゃないかな」

クリスタ「少なくとも、入団式の日に、サシャは私の壁を壊してたよ。パァンって叫びながら、跳びかかってくるんだもん」フフッ

サシャ「そっかぁ、私、外の世界に入ってたんですね……」

クリスタ「サシャはきっと、臆病なんかじゃないんだよ。他の世界の楽しさを知らなかっただけ」

サシャ「ユミルにも同じ様な事言われましたね」

クリスタ「ああ、敬語で話さないでって時? そうだね。ユミルは大人だなぁ」

サシャ「私から見れば、皆さん大人ですよ」

チョキチョキ
サシャ「はい、これで一丁上がりです」

クリスタ「鏡、見せてもらっていい?」

サシャ「はい、どうぞ。後ろはこんな感じですよ」

クリスタ「わあぁ……すごい……」

参考:http://hairstyle.woman.excite.co.jp/style/detail/10465

サシャ「ふんわりしたショートにしました。言ってしまえば、前の髪型から、後ろを切って、全体的に梳いただけみたいなものですが、前よりも女の子らしくしたつもりですよ」

クリスタ「うん」

サシャ「前のクリスタの事は知りませんけど……今を楽しく生きているなら、無理に女性らしくなくたっていいじゃないですか。優しい女の子らしさを出してみました」


クリスタ「そっかぁ……女の子らしさ、かぁ……」

サシャ「そうです! あ、そうそう、前髪は残しておいたので、ちょっぴり色気もありますよ」

クリスタ「色気って……」

サシャ「はら、アルミンって、理屈っぽいですから、かわいさだけじゃなくてエロさも必要ですよ」

クリスタ「ち、違うってば! アルミンはきっかけになっただけで……そんなつもりじゃ」

サシャ「ま、いいじゃないですか。顔を赤くするくらいには意識してるんでしょう?」

クリスタ「!」

サシャ「ほらまた。何がきっかけになるか分からないですよ。髪を切るきっかけとか、男の子を気にするきっかけとか」

クリスタ(そうだね、サシャが私の世界に来たきっかけは、パンだったもの)

クリスタ「サシャって案外、恋愛とか考えるのね」

サシャ「ええ。乙女ですから」ドヤァ

クリスタ「フフッ じゃあ、次の人呼んでくるね」

―――
――



――
―――ユミル―――

サシャ「はい、いらっしゃいませー」

ユミル「よう。クリスタのを見たが、スゲーな。あのアニが乙女のツラしてやがった」

サシャ「クリスタはどんな感じでした?」

ユミル「ああ、楽しそうに……違うな、なんかすっきりしてた」

サシャ「そうですか。ね、なかなかのもんでしょう?」ドヤァ

ユミル「そのドヤ顔さえなければな」

サシャ「ユミルはどんな髪型がいい、とかありますか?」

ユミル「んー、これと言って思い浮かばねーな。お前に任せる」

サシャ「じゃあ、なんで髪を切りに来たんです?」

ユミル「……あのチビの豹変っぷりを見て、だな」

サシャ「では、ユミルは誰が好きなんです?」

ユミル「ああ? おい芋女、さっきから質問責めの上に、話の脈絡ってものが全く見えねーんだが」

サシャ「任せると言われたって、ユミルの好みや目的が分からないのに、似合う似合わないで髪型作っても、いい仕事はできないじゃないですか」

サシャ「こってりしたご飯は確かにおいしいです。ですが、体調を崩しているときは、贅を尽くした食事よりも、素朴なおかゆの方が優ることもあるでしょう」

ユミル「食べ物に例えられるのは気にくわないが、一応納得はした」

サシャ「で、誰なんです」ワクワク

ユミル「言わねーよ。だけど……」

サシャ「けど?」

ユミル「男のアルミンがあんなに可愛いのに……私はなんだろうなって。自分らしく生きていくって決めたはいいが、それは自分を可愛くないままにする逃げ道にしてるんじゃねーか? そう思ったんだ」

サシャ「では、可愛さをアピールしたいんですか?」

ユミル「いーや、どうだろうな。こんな口調でツラもよくはねーのに髪型だけは、ってのは」

サシャ「そうですねぇ、勘違いブスって言われちゃいますねぇ」

ユミル「おまっ! オブラートに包めよ!」

サシャ「けど、ユミルはそんな口調ですけど、優しさはありますよね。クリスタとは方向性違いますけど」

ユミル「ああん?」

サシャ「私、嬉しかったんですよ。私の敬語をウザいって言ってくれて。私は逃げるように訓練兵団に入りました」

サシャ「それで、何か変わったのか。何も、変わりませんでした。そういえば、クリスタも同じ様な事言ってましたね」

ユミル「ん? 昔のクリスタの事、知ってるのか?」

サシャ「いえ。はぐらかされちゃいました」

サシャ「あの時、クリスタは今の私で良いって言ってくれましたけど、ユミルは自分を繕うなって言ってくれましたよね」

サシャ「あの言葉で、父に否定された自分を、認めてもらった気がします」

ユミル「親父さんに何を言われたか知らねーが……そんな重く取んなよ。ただ、テメーを偽ってまで世間を知ろうとする態度が気にくわなかっただけだ」

サシャ「いいじゃないですか。私は感謝してるんですから。そんなところも、ユミルの優しさじゃないですか?」

ユミル「はッ……物は言いようだな」

サシャ「では、本当に私に任せちゃっていいんですね?」

ユミル「ああ。っても、ひでーのにしたらシバくからな。当然、パンもやらねー」

サシャ「えぇー、お任せっていうのは、すごい大変なんですよ? お客さんにとって一番いい髪型は、お客さんしか知らないんですから」

ユミル「分かった分かった、好きにやってくれ」

サシャ「ま、クリスタにも満足してもらったんだし、期待しててくださいよ」

チョキチョキ

ユミル「おい、なんか喋れよ」

サシャ「あ、喋った方がいいですか? 村でやってた時って、「あんまり喋りかけるな」って怒るお客さんもいたんですよ」

ユミル「確かに喋りながらやられると、真面目にやってんのかコイツって思う奴もいるだろうな」

サシャ「けど、ミカサやアニみたいな人が黙ってハサミ持っていたら……」

ユミル「一種のホラーだな」

サシャ「そもそも、自分の身体を他人に切り刻まれるわけですから、もともと髪を切るって怖い事でもあると思うんですよ。目隠しをつけるだけで、誰も髪を切られたくなくなりますよ」

ユミル「けど、お前さっきまで黙ってたじゃねーか」

サシャ「それは、まぁ。だってあなたと私はその……友達でしょう?」

ユミル「……顔、赤くなってんぞ」

サシャ「ユミルだって耳赤くなってますよ」

サシャ「ま、まぁ、この話は置いといて、とりあえず喋っていいっていうなら、ペラペラと喋りますよ」

ユミル「五月蠅くねぇ程度にな」

サシャ「そういえば、ユミルの生まれってどこなんですか? たまにこう……よくわからない言い回しをしますよね」

ユミル「……遠いところだよ。嫌な思い出ばかりだ」

サシャ「そう、ですか。不躾でしたね、すみません」

ユミル「気にすんな。今の生活の方が楽しいってだけの話だ」

サシャ「はい! 私も皆さんと一緒で楽しいですよ!」

ユミル「耳元で騒ぐなや」

ユミル「私は、大勢の人から憎まれてた」

サシャ「あれ、続けるんですかこの話」

ユミル「独り言だ」

サシャ「はぁ」

ユミル「だから、過去の私はそう……自分なんて生まれてこなければいいと思って、大勢の人の幸せを願って、死んでやった」

サシャ「ずいぶん物騒な話ですね」

ユミル「文学的表現ってやつだ。真に受けんな」

ユミル「で、今の私に生まれ変わったわけだ。過去の私と今の私、同じものは名前しかねぇ」

サシャ「え、男の子だったんですか?」ダカラクリスタノコト……

ユミル「余計な茶々入れんな」

ユミル「生まれ変わって、思ったことがある。「自分を殺して他人のために」って考えは、バカでしかねえ。結局、他人に認められたいがための行動だろう?」

ユミル「見てほしい自分を殺して、見せたい自分を作ってるだけだ。周りの奴は本当の自分なんて見てねェ。それは、つまるところ、回りくどい自殺にしか思えねえんだ」

ユミル「だから、私は精一杯、今の自分を、自分の為に楽しんでやる。それが、過去の私と、過去の私を殺した連中に対する復讐だ」

サシャ「なんだか複雑でしたけど……要するに、自分として生きたいってことですか?」

ユミル「ああ、そうだ。だから、クリスタの自己犠牲にも、お前の取り繕うような態度にもイライラしたってわけだ」

ユミル「そうだな……あとは、ベルトルトにも、だな。アイツはライナーの金魚のクソみてーに見えるが、ホモ野郎の言いなりでもねぇ。だが、アイツの信念があるってわけでもねぇ。他人に強制された役割みてーな物に縛られてる気がする」

サシャ「ふーん、ベルトルさんの事が気になる、と」

ユミル「そんな艶めいた話でもねーよ……それと、名前だ」

サシャ「はい?」

ユミル「名前ってのは、親やら知人やら、他人が自分の生き方に、最も関わるところだろう? それをアイツの影が薄いからって馬鹿にするんじゃねーよ」

サシャ「ユミルは生まれ変わる前も、ユミルって名前だったんですよね……やっぱり、ユミルは優しいです」

ユミル「私はどうでもいいが、アイツの名前、しっかり呼んでやれよ? あれでも気にしてるんだぜ?」

サシャ「なら、ユミルも私のこと、芋女とか、人体立体起動装置とか、やめて下さいよ?」

ユミル「それは、仇名だからな」ククッ


チョキチョキ

サシャ「はいお疲れ様でしたー」

ユミル「お、おおッ!」

参考:http://hairstyle.woman.excite.co.jp/style/detail/9689

サシャ「ユミルはやっぱり男前な顔立ちですから、ふわっふわな髪は似合わないと思います。性格ともかけ離れてますよね」

サシャ「ということで、女性らしさを引き出しつつ、華美にはならない様にしてみました。手入れも乾かし方ひとつなので、楽になるはずです」

サシャ「まぁ、一番はかっこよさですね。ユミルのぶっきらぼうな物言いと、その中にある優しさを両立させたつもりですよ」フーッ


サシャ「どうです?」

ユミル「……だ」

サシャ「はい?」

ユミル「2倍の報酬をやるよ」

サシャ「うっひょぉい!」

ユミル「五月蠅ぇ!耳元で叫ぶな!」


サシャ「あと、ちょっと気を付けてほしいのが……」

ユミル「何だ?」

サシャ「どうも、髪質が柔らかいというか、細いので、将来ハゲるかもしれません」

ユミル「!」

サシャ「んんー、特に、前髪の後退が早いかもしれません」

ユミル「……」ウルッ

サシャ「なので、髪にテンションをかける編み込みとか、乾かし方はやめた方がいいと思います」

ユミル「」

サシャ「ありゃ、放心しちゃいましたね。大丈夫ですよ。予防さえすれば何とかなりますし、とにかく丁寧に髪を扱えばいいだけですよ」

ユミル「サシャ……」

サシャ「?」

ユミル「ありがとう、でも、手遅れかもしんない」

サシャ「何言ってるんですか。今は健康そのものです。ほらほら、ストレスだって原因になるんですから、とっととベルトルトに見せて褒めてもらって下さいよ」

ユミル「だから、あいつは違うっての……んじゃ、次の奴呼んでくるわ」

サシャ「どうぞご贔屓にー」

ユミル「……サシャ、ありがとな」

サシャ「えへへ」テ ヒラヒラ

―――
――




――
―――アニ―――

アニ「……よろしく」

サシャ「はい、こちらこそ。そういえば、ベルトルトと仲よかったですよね? ユミルに遭いませんでした?」

アニ「ああ、ベルトルトね……。遭った瞬間に顔が真っ赤になってたよ。それを見たユミルも照れてベルトルトを殴る。お互い分かりやすいな」

サシャ(あなたのエレンに対する態度も相当ですが)

サシャ「喜んでもらえたようで良かったです。で、アニはどうしたいんです?」

アニ「私は……」

アニ「……」

アニ コウチョク

サシャ(アニはいっつもこう! こう! なんか押しが足りないんよ! はよ言わんかい!「エレンを振り向かせたい」って!)

アニ「私は、変わってみたいとも思う。けれど、それは私ではないと思う。だから、変わりたいけど、変わりたくもない。でも、変わらなければ、いけない気がする」

アニ「今のままの距離感がいい。けれど、それは怖いだけ。だから、変わるべきとも思う」

アニ「はッ、よく分からないな」

サシャ「だーもう! まどろっこしいやっちゃなー!」

アニ「」ビクゥ!

サシャ「エレンにかわいいって言われたアルミンが羨ましいんやろ? やったら、さっさと言わんかい! エレンとチュッチュしてズコバコヤりたいんやろうが!」

アニ「」

サシャ「フゥーフゥー……ハッ! つい言葉遣いが!」

アニ「ち、違う! エレンには、そう言う事じゃなくて……その、親近感みたいなもので、まだ、そんな破廉恥な……」

みんな短いな

サシャ(エレンだって、アニのこと意識してるのモロバレなんやけど……)

サシャ「で、結局アニはどうしたいんですか?」

アニ「それは……」

サシャ「また固まりそうですね。まぁいいです。前二人もそんな感じでしたから。じゃあ、質問を変えますよ? なんで、私にスタイリングを頼んだんですか?」

アニ「それは……死に急ぎ野郎がアルミンを見て、かわいいって言ってたからかな」

サシャ「アニもかわいいとエレンに言われたいと」

アニ「それは違うね。自慢じゃないが、私だって、見れない容姿じゃないことは自覚してる。けど、男のアルミンが可愛いって言われて、私が何も容姿について言われないのはその……おかしいじゃないか」

サシャ「可愛いとまでは言わないが、エレンの意識を、アニの女の子の部分に向けたいと」

アニ「その言い方はなんか変態的だな」

サシャ(なんなんこの子? 顔赤くしながら挑発なんて、可愛いだけやのに)

>>46 すまない、唯一ミディ~ロングのクリスタを切ってしまった以上、もうショートしかない


サシャ「では、褒めてもらわずとも、とにかく自分を女の子扱いして欲しいと、そういう訳ですね?」

アニ「そうなるね」

サシャ「だったら、髪下せば万事解決じゃないですか。時間もかからず、髪もいたまず、私は何もしなくてもパァンが手に入る。ウィンウィンですよ」

アニ「だ、ダメだっ!」ウルッ

サシャ(か、かわいい……もうええよ、このツラでエレンに会えばええよ。あのellen is disableでも超大型巨人になるんと違うん?)

サシャ「じゃあ、アニ? 少しお話しましょうよ」

サシャ「エレンの事は、好きではないんですよね?」

アニ「そうだね、まだ、気になるって位じゃないかな」

サシャ「そうですか。どんなところが気になってるんです? エレンは目つき悪いけど、顔はいい方ですし、ちょっと物足りない身長もアニにとっては大きいでしょう?」

アニ「ツラや体格で判断してるなら、もう私はベルトルトに惚れてるだろ……アイツの性格かな。死に急ぐのは見てて心配だけど、何かを追っかけてる人はそう、いいだろう?」

サシャ「それだと、ジャンだって憲兵団目指して努力してますよ。目的はともかく、意識の高さだけだったらエレンとそう大差ないですよね。」

サシャ(違うんよ! アニにとって、エレンの特別なトコを知りたいんよ!)

アニ「単純な事かもしれないが、エレンは私と格闘術の鍛錬に付き合ってくれる。そんな程度かもね」

アニ「アイツ、何度も私にぼこぼこにされて、たまに私がライナーを締め上げてるのを見て、それでも格闘術を学ぼうとしてる。エレンは弱いけど、強い」

サシャ「そうですねぇ、私もアニと組みたくはないです。コニーとふざける方がいいです」

アニ「それで教官に死ぬ寸前まで走らされるんだろう?」フフッ

サシャ「いい表情じゃないですか。エレンの前でも、そうやって笑えばいいのに」

アニ「でも、それじゃダメなんだ。私が、私に自信を持てるようにしなきゃ、ダメなんだ」

サシャ「単純に、エレンと恋仲になりたいってわけじゃないんですね?」

アニ「ああ」

サシャ「うーん、難しいですねぇ」

アニ「そんなに、私はダメな女か?」ムッ

サシャ「そうじゃなくて、自分に自信を持てるようになりたい、でも、今の自分から変わりたいわけじゃない」

サシャ「そんな矛盾した要望、なかなか難しいですよ……じゃあ、なんで今の自分を変えたくないんです?」

アニ「それは……エレンとの繋がりは、私が多少、格闘術に秀でているだけだから。チャラチャラした女に変わったら、そんなのエレンとの繋がりじゃないだろう?」

サシャ「だったら、訓練で寝技でも仕掛ければいいじゃないですか。多少汗臭くたって、男子なんて女の匂い嗅がせればすぐ――アニ「それじゃダメなんだよ!」

アニ「私の格闘術は、大っ嫌いなお父さんからもらった、数少ない家族の記憶なんだよ。私が女になるとか、ならないとか、そういう為のものじゃない」

サシャ「お父さん、ですか」

アニ「サシャ、オカシイと思わないか? 人類の敵って誰だ? 巨人だろ?」

アニ「なのに、人間相手の格闘術なんて学んでも、しょうがないじゃないか。あたしはこんな物より、もっと女の子らしいものを学びたかった」

アニ「あのミカサですら、一通りの家事はできるんだぞ? マフラーを自分で繕ったり、たまにクリスタと一緒になってお菓子を作ったり……でも、私が学んだのは、汗臭い格闘術だ」

アニ「でも、それしか、私とお父さんを繋ぐものは無いんだよ……」

アニ「でも、エレンはそれを褒めてくれた」

アニ「ミカサは、エレンの事を家族だって云う。なら、私にとってエレンは、家族との繋がりを感じさせてくれる人なんだよ」

サシャ「アニって、結構お父さんのこと好きなんですね」

アニ「は?」

サシャ「だって、格闘術が本当に嫌いで、そんな風に育てたお父さんが嫌いなら、さっさと生き方変えればいいじゃないですか」

サシャ「私たち、そろそろ女の子から、女になるんですよ? 親にこう育てられた、ってことに、固執しなくたっていいじゃないですか。自分が女であることを自覚するなんて、そんなのヤることヤってしまえばいいじゃないですか」

サシャ「そんなお花畑な生き方が嫌だから、意地を張って、男子にはメンチ切って、女子とは馴れ合わない。それでも、今の生き方はお父さんに与えられたもので、お父さんは嫌いって言う」

サシャ「人間が信用するのは、言葉なんかより行動ですよ。アニ、あなたの行動はどう見てもお父さんを慕ってます」

サシャ「ただあなたは、エレンを通してお父さんを見てるだけなんじゃないですか?」

アニ「言ってくれるじゃないか芋女……」

サシャ「だって、いちいち言う事が矛盾してるんですもん。エレンとは恋仲になりたいわけじゃないとか言いつつ、

「エレンは家族との絆を感じさせてくれる人」ポワワァ

なんて乙女の顔して言われても、とんでもないファザコンにしか見えませんよ」

アニ「やめろよ!」ガシャン!

サシャ「いーえやめません。仮令蹴られてもやめません。自分が何したいのか分かってない人に、どんなスタイリングをしても、絶対満足いくようなものはできません!」

サシャ「自分に自信は無いけどエレンには女の子扱いしてほしいって、甘ったれた事言ってんじゃないですよ! 自分で壁を乗り越えないで、何が女の子だ! いつまでも股に膜張ってんじゃない!」

サシャ「アニ・レオンハート! 「貴女」は一体、何がしたいんですか!」

アニ「」グスッ

サシャ(やっべ……)

サシャ「ごめんなさい。言い過ぎました」

サシャ「でも、今のままじゃ、あなたの髪をどうこうすることはできません。あなた自身が、決めなきゃならないことですから、私にはどうすることもできません」

アニ「私も……悪かったよ。自分から頼んでおいて……」

サシャ「また、今度落ち着いてからにします? 優先して予約受け付けますよ?」

アニ「……ちょっと話、聞いてくれるかい?」

サシャ「はい」

アニ「私は普通の女の子じゃない。それは、格闘術云々の話だけじゃなく、ね」

アニ「でも、エレンは、とりあえずは私の事を、認めてくれたんだ」

アニ「それがいつしか、格闘術だけじゃない、私そのものを認めて欲しいと思うようになった」

アニ「でも、エレンに恋心を抱いていいかどうか、それはまだ、分からないんだ。私には……役割がある。私の役割を果たすにはきっと、恋心なんてものは邪魔になる」

アニ「だから私は、アイツに女の子扱いしてほしい、それだけしか、望めないんだよ……せめて、それくらいは、望んだって、いいだろう?」

アニ「エレンは、普通に女の子している私なんて、求めてない。だったら、私は、私のまま、女を見せつけるしかないのさ」

アニ「でも、私は普通じゃない。そんな私の、女の子なんて、私は信じてあげられない。認めてあげられない」

アニ「だから、頼む。サシャ、私を信じさせてくれ。私だって、冷たい壁の外じゃなくて、壁の中で、温もりに触れてみたいんだよ……」

サシャ「難しい事は、よくわかりません。そんなに整った顔をしていて、自分に自信がないなんて言われると、同性としては少しムッとするものもあります。けど……」

サシャ「かしこまりました。サシャ・ブラウス、全力で貴女の女を磨いてみせますよ!」

アニ「!」パアァ!

チョキチョキ
サシャ「でもなぁ、もったいないと思うんですよね」

アニ「何が?」

サシャ「そのおっぱい」

アニ「ブフゥ!」

サシャ「だって、私と身長がこれだけ違うのに、トップが同じくらい。アンダーと合わせて考えたら、アニの方が大きいでしょう」

アニ「ぁ、アンタ……どこでそんなの……」

サシャ「そりゃお風呂ですよ。クリスタとミカサなんて、アニとお風呂入ってから豊胸体操始めましたよ?」

アニ「もうヤダお風呂こいつらと入りたくない……」

サシャ「そんな立派なもんぶら下げてるのに、それを使わないなんて……って思ったんですよ」

アニ「まだ垂れてないよ!」

サシャ「言葉の綾です……まぁ、きれいな形でしたけど」

アニ「///」

サシャ「大体、アニは純情ですよね。ライナーもベルトルトも、そこそこ良いガタイも顔もしてるじゃないですか。故郷じゃそういうのなかったんですか?」

アニ「あいつらはそう……兄貴みたいなもんかな。まぁ、小さいころからサンドバッグだったけど」

サシャ「そういえば、最初にエレンと組んだのは、ライナーがけしかけたせいでしたっけ?」

アニ「そうだよ。兵士の生き様を見せてやるとか言ってさ。犬死が兵士の生き様ってのも、笑えない冗句だね」

アニ「で? アンタは? アンタこそ、黙ってりゃ付き合いたいなんて言われてるみたいだけど?」

サシャ「なんですかそれ!? 誰が言ってたんです!?」

アニ「ライナーが持ってた『19班女子ランキング』のアンケート欄で。私の順位見せようとするから、引きちぎってシメといた……で、アンタの男性遍歴は?」

サシャ「無いですよそんなもん」

アニ「」

アニ「じゃ、じゃあアンタ、経験もないのにエレンとその……キスしろだの、や……ヤれとか言ってたわけ?」

サシャ「当然です。私はそんな尻軽じゃありません」

アニ「おい、アンタは私に尻軽になれと言ってたのか?」

サシャ「端的に言えばそうなりますねー。だって、エレンと添い遂げたいって言うのがアニの目的だと思ってましたから」

アニ「添い遂げたいって……随分重いな」

サシャ「ええっ!? 結婚する覚悟も無く、いちゃいちゃラブラブしたいと思ってたんですか!? やっぱりアニは淫乱じゃないですか!」

アニ「」

アニ「かくかくしかじか」

サシャ「まるまるうまうま」

アニ「というわけで、何もアンタのとこみたいに、恋仲と結婚は直結しない価値観だってあるんだよ」

サシャ「なるほどー、ライナーの言ってる「結婚しよ」は冗談だったってことですね!」

アニ「あ、ああ」

サシャ「ということは、ライナーは「結婚したくはないけれど、クリスタとヤりたい」と、そういう人なわけですか?」

アニ「何でそうなる……」


チョキチョキ

サシャ「はい、終わりましたよ」

アニ「……可愛い、って、言っていいんだよな?」

参考:http://hairstyle.woman.excite.co.jp/style/detail/9857

サシャ「どっちかっていうと、きれい、じゃないですか? 自分をあまり変えたくないなら、と思ってやってみたんですけど……」

アニ「ううん。ありがと」

サシャ「襟足のラインを少し削って、全体的にドライカットをかけて、ワックスで整えただけです。前みたいに髪留めでまとめることだってできますよ」

サシャ「無理だと思うんですよ。格闘しながら、女の子するっていうのは。だから、アニが女の子を見せたいときにだけ、髪を下しましょう?」

サシャ「だって、もう、アニは自分の女の子、分かったでしょう?」

アニ「うん」


サシャ「じゃあ、いつもみたいに髪、まとめときましょうか。今度の特別休暇に、またやりましょう? その時は、エレンとのデート、とりつけといてくださいね?」

アニ「で、デートって……」

サシャ「大丈夫です。恋心と思わなければセーフなんでしょう? いくらでも女の子見せつけてくればいいじゃないですか」

アニ「あ……そう、だね」フフッ

サシャ「これでよし、と。そうそうアニ、髪まとめる時は気を付けて下さいね? あんまり引っ張ると、ユミルみたいにハゲちゃいますよ?」

アニ「え、アイツハゲてんの?」カワイソ

サシャ「今は大丈夫ですけど、あんな乱暴に髪まとめてたら将来的にはいきますね。教官になりますよ」

アニ「プッ」

サシャ「はー、疲れたー。今日はこれで最後です」

アニ「ほんとに、ありがとう。髪を切ってくれたことも……話を聞いてくれたことも」

サシャ「とんでもありません! 私こそ、お客さんに失礼なことを……」

アニ「アンタが失礼……というか、バカなことを言ってんのはいつもの事だろ」

サシャ「むっ。アニは、今日は一段と私を馬鹿にしてきますね」

アニ「悪かったよ。んじゃ、報酬はちゃんとくれてやるから、覚えとけよ」

サシャ「パァン!」

―――
――




――
―――翌日 朝 食堂―――

エレン「ふあぁー」

ミカサ「エレン。だらしない」

アルミン「いくら自分で訓練メニュー組めるからって、終日ミカサと手合せしてたら、そりゃ翌日に響いちゃうよ……」

ライナー「よぉエレン、腑抜けたツラしてんな……おおっ!? アルミン! クリスタを見ろ!」

アルミン「! て、天使過ぎる……」

ミカサ「昨日サシャに切ってもらったらしい。お風呂に入る前はもっと可愛かった」

ライナー・アルミン「「見たかったぜ」なぁ」

クリスタ「おはよう、みんな。ミカサ、前、座って良い?」

アルミン・ライナー「!」

アルミン(ミカサの前って、僕の隣じゃないか!)

ライナー(同志よ……貴様はもう、我々と共に生きるべきではない……ッ!)

ミカサ「構わない。けど、エレンに色目を使ったら、削ぐ」

クリスタ「はいはい。エレンもアルミンも、いいよね?」

アルミン「う、うん! 構わないよ!」

エレン「ん? 好きなとこ座ればいいじゃねぇか」

芋女がこれ以上無いくらい漢女前だ

アルミン「それ、サシャにお願いしたんだよね?」

クリスタ「うん。どう?」

アルミン「すごくいいよ! あ、前が悪かったわけじゃないけど……」

クリスタ「フフ……ありがと」

アルミン「///」

クリスタ「アルミンも可愛いよ?」

アルミン「く、クリスタ! 男がそれ言われたって嬉しくないんだって!」

クリスタ「ごめんごめん」フフッ

兄貴化してるのかオバチャン化してるのか判断に困るな

>>70 狩猟民族ってああいう感じなのかなって


ユミル「クリスタ、起こしてくれたっていいじゃねーか」

クリスタ「あ、ごめんユミル。おはよう」

エレン「お? ユミルも髪切ったのか」

ユミル「んだよ。なんか文句あんのか?」

エレン「いや? いいんじゃねーの? お前らしくて」

ユミル「お前に褒められてもな……」

ライナー「ベルトルトだったら嬉しいってか?」

ユミル「うるせえッ!」ドス

ライナー「」

>>72 姉貴が下ネタ結構いけるから、そんな影響なのかもしれない


ミカサ「他人の恋を笑うのは良くない」

クリスタ「そうだよライナー!」

ユミル「いや、恋ってわけじゃ……」

ベルトルト「おはよう、みんな。ライナー、起こしてくれたっていいじゃないか……って、ライナー?」

ライナー「」

ユミル「よ、ようベルトルト///」

ベルトルト「お、おはようユミル///」

一同(なんだアレ……)

サシャ「やーっ! お待ちかねのご飯です!」ショクドウ ノ ドア アケル

コニー「朝からうるせェな芋女……」

サシャ「何ですと! それが水汲み当番に掛ける言葉ですか!」

アニ「やめなよ……私も手伝っただろ……」

ジャン「いつにもまして不機嫌そうだな、氷の女は」

ミーナ「アニは朝に弱いの」

エレン「ん? じゃあ夜間の手合せとか、やめた方がいいのか?」

アニ「よわっちいアンタとの運動なんて、あっても無くても変わらないね」

エレン「くそっ! 未だに一本もとれねえから、反論できねえ……」

サシャ(そういうところが、ダメなんよ! エレンの気遣ってくれてんのわかってるやろが!)

エレン「ちくしょう……ん?」

アニ「何?」

エレン「アニ、髪切ったか?」

サシャ・アニ「!」

アニ「……気のせいだろ。みんなが切ったからって、テキトー言ってんじゃないよ」

エレン「そうか、わりーな……けど、なんとなく、シニヨンが小さくなってるような……?」

アニ「しつこいね。ほら芋女、朝飯受け取りに行こう」

サシャ「はい!」

サシャ(何が
「恋心なんてものは邪魔になる」グスン
や。男に髪の事言われて顔真っ赤にするなんて、そんなん……)

サシャ(恋心やろが)

アニ「何ニヤニヤしてんだよ」

サシャ「なんでもないですよ。さっさとデートの日取り、決めてきて下さいね」

ドゲシッ
アアッ!
アニガサシャヲケッター!
コノヒトデナシー!

アルミン「とりあえず、サシャは僕の髪をどうにかして欲しいね」

エレン「いいんじゃねーの? 飯多くもらえるんだし」

ミカサ「女にとって髪は命ともいえるもの。アルミンにとっても同じ」

アルミン「ミカサ……フォローはうれしいけど追い打ちだよそれ……」

クリスタ「でも、可愛いアルミンも、もうちょっと見てみたいな」ダメ?

アルミン「ぅ……で、でも」

サシャ「アルミン、申し訳ないですが、結構先まで予約入っているので、自然に髪型が落ち着くまで待って下さい」

アルミン「はぁ……今度はしっかりしてよね」

サシャ「はい! 今度もお任せ下さい!」

サシャ(お父さん、外の世界は、思うてたより、楽しいです)

サシャ(今なら、もしかしたら、ダウパー村の新しい住人達とも、仲良うなれるかもしれん)

サシャ(ちょっと、村に帰ってみたくなりました)

くぅ疲。おわりです。

見てくれた人何人いるかわかりませんが、ありがとうございました。

処女作ですが、なにこれしんどい。文字数1万6千くらいですが、卒論要件よりなげえ。

連作してる人とか、ほんと尊敬します。


あと、関西弁は分からないので、不快に思った方すいません。福井と石川の後輩が居ますが、その影響も微々。

では、重ね重ね、ありがとうございました。

1乙
投稿早いからサクサク読めました!

>>84
書きためとけカスとか言われてるのを見て、やってみましたが、どうも書き溜めたのにこのクオリティは……

他スレのアニが化粧する話とか、すごいですね。私全然知識ないので、ざっくりしか書けませんでした

乙投稿スピードが半端無かった

最初の展開からギャグものかと思ってみていたら
ほっこりさせられた
いい意味で期待を裏切られたぜ


>>86
vipだと、猛スピードで投下すると、さるさん(でしたっけ?)食らうんですよね?

したらばならそう言う事ないって聞いたんですが、かえってレスなくてちょっとさみしいです

>>87
ありがとうございます。

昨日髪を切ってきたら、床屋のオッチャンが話しかけまくってきて、就活の話されたのでイラッとして書きました

>>64
何を説明したのか気になります

>>90
がぁるずとぉくなので、女子力の低い私には、結婚観とか恋愛観とか、そんなの描写できません……

サシャはssだとパァンしか言わなかったり、
人のものを勝手に食べるキチガイばかりだったからこのサシャは新鮮だった
本来はこんな感じなんだろうな

>>93
芋女は感性がずれているだけで、気が触れてらっしゃるってことは無いと思いました。

子供を逃がすために、ブレード持たずに巨人と立ち向かったりしてましたし。

面白かった
乙乙

次々更新しつつ、少ないレスにもきちんと対応している。
お前、いいことしようとしているな。お前の得た達成感がその労力に見合っていたならいいが。

>>96
私が……こうしたかったのは……
少しでも面白いssだと思われたいから……なのかな?

>>95
ありがとうございます。
他にssを書くかどうかはわかりませんが、書いたときには読んでもらえたらうれしいです。

また書いてくれよ!!

>>99
また何かネタができて、卒論に余裕が出来たらやってみますー

そろそろお眠なのでもしもしから。

ガイドブックだと、エレンはアニに淡い思慕の念を抱いていた云々ってあるんですけど、どうなんでしょうね。
ガイドブックが先走っているのか、それとも公式設定なのか。
アニ好きなので、是非ともアニ推し作品増えて欲しいですね。

どっちにしろ過去形になるのは確定してるからな�・

教官の髪も切ってほしい

どうやらurl踏んでもtopにしか飛べないのは俺だけみたいだな
悔しい…っ

これは素晴らしいss
最近のにありがちなキャラ崩壊もなくて自然に見れた

いや本当よかったわ
普段のサシャのイメージがアレなせいで、皆に語るセリフが逆に重く感じるな
ただ、本性の訛りは九州地方だとかなんとか聞いたことが

面白かった



良かったよ

原作でエレアニ始まるのは寧ろこれからっしょ

>>102
確かに、母親が死んだ遠因である為、難しいかもしれませんね

>>103
髭の手入れとかなら出来そうですけどね。一応理髪師って肩書にしましたし

>>104
pcから投稿しているので、そのせいもしれません

>>105
ありがとうございます
ss処女に原作キャラ無視なんて畏れ多きことはできませんでした

>>106
ありがとうございます
閉鎖環境で育った人は、自分のコミュニティに対してはとても親身になるんじゃないかと思って書きました
九州ですかー。祖母に聞いてみますかね

>>107
ありがとうございます
次回作できたら、その時も宜しくお願いします

>>108
ありがとうございます
だといいですよね。中学生位のもどかしいやりとりにキュンキュンしたいです

>>1
素晴らしかった

またいつか、余裕のある時にでも書いてくれ
期待してる

みんなの本音の引き出すテクニシャンだな・・・
このサシャは諜報員になれるで(ただし食べ物で寝返る

>>110
ありがとうございます。楽しんで頂いて嬉しいです

>>111
今日の昼食に失敗したので、次回作はユミルのお料理教室をやろうかと思います

>>112
皆が馬鹿だと思っているからこそ、本音をさらけ出せるのかもしれません

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