シャーリー「ルッキーニが膝の上で寝てくれて初めて501の一員と言えるんだ」 (92)

芳佳「どうでしたか!?」

エーリカ「いいんじゃない。悪くないと思う。そのまま訓練していけば大丈夫だ」

芳佳「ありがとうございます!!」


美緒「宮藤はハルトマンともかなり打ち解けているな」

ミーナ「みたいね。普段ハルトマンは口数が少ないから、ああしてすぐに仲良くなれた人は珍しいわ」

美緒「宮藤の才能とも言えるか」

ミーナ「宮藤さんが501に来てから花が咲いたような明るさがあるわね」

美緒「はっはっはっは。その通りだな」


リーネ「芳佳ちゃんは本当にすごいなぁ……」

シャーリー「羨ましいのか?」

リーネ「はい。私もまだハルトマンさんは勿論、バルクホルンさんともそれほど話したことないですし……」

シャーリー「ふぅん。……安心しろ、リーネ。宮藤なんてまだまだ501の一員とは言えないからな」

リーネ「え? そんなことないと思いますけど……?」

シャーリー「ルッキーニが膝の上で寝てくれて初めて501の一員と言えるんだ。だから宮藤もリーネも全然ダメだな」

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リーネ「膝の上ってどういうことですか?」

シャーリー「そのままの意味さ。こうして地べたに座ると……」

リーネ「座ると……?」

ルッキーニ「ふわぁぁ……」

リーネ「あ。ルッキーニちゃん」

シャーリー「眠そうだな、ルッキーニ」

ルッキーニ「シャーリーっ」

シャーリー「ここ、使うか?」

ルッキーニ「つかうー!!」ギュッ

シャーリー「よしよし」

ルッキーニ「うにゃぁ……」

リーネ「あぁ、膝枕ですか」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……」

リーネ「もう寝ちゃった……」

シャーリー「ルッキーニは本当に心を開いた奴の膝しか枕にしないんだ。それは同時に501のメンバーとして認められた証でもあるわけだ」

リーネ「そうなんですか?」

シャーリー「ルッキーニに認められないで501のメンバーって言えるか?」

リーネ「えーと……」

シャーリー「そう。言えないんだよ」

リーネ「は、はい」

シャーリー「リーネはルッキーニに膝枕してやったことあるか?」

リーネ「ないですよ」

シャーリー「だろ? 宮藤だってそんなことをした経験はないはずだ。こっちにきて間が無いしね」

リーネ「あの、素朴な疑問なんですけど。ルッキーニちゃんに好かれないと501の一員ではないって、ルッキーニちゃんのその立場って……」

シャーリー「こいつに嫌われた奴は全員に嫌われてるのも同義だ」

リーネ「えぇ!? でも、別に嫌われているわけじゃないですよね?」

シャーリー「ともかくだ。ルッキーニをどうにかしないと501に馴染めたとは到底言えないんだ」

リーネ「みなさんもルッキーニちゃんを膝の上で寝かせたことがあるってことですか?」

シャーリー「勿論さ。宮藤とリーネ以外は寝かせてる」

リーネ「そうですか……」

ルッキーニ「うにゃぁ……」

シャーリー「ま、そういうわけだからさ、リーネは気負うこともないし焦る必要はないよ」

リーネ「シャーリーさん……」

シャーリー「宮藤もリーネと同じ場所にいるんだからさ」

リーネ「……はいっ」

シャーリー「よし。起きろ、ルッキーニ」

ルッキーニ「なぁに……もうちょっとぉ……」

シャーリー「そういうわけにもいかないんだ。任務こなさないと怒られるぞ」

ルッキーニ「それはやだぁ」

シャーリー「だったら起きろ。また膝枕してやるから」

ルッキーニ「次は胸枕がいいなー」

シャーリー「はいはい。わかった、わかった」

ルッキーニ「シャーリー」スリスリ

シャーリー「またあとでな、リーネ」

リーネ「はい。ありがとうございました」

リーネ(シャーリーさん、優しいな……)

リーネ(私も訓練いかなきゃ)

サーニャ「……待って」ガシッ

リーネ「きゃっ!? サ、サーニャちゃん!? ど、どうしたの!?」

サーニャ「リーネさん……」

リーネ「な、なにかな?」

サーニャ「わ、私も……だから……」

リーネ「え?」

サーニャ「わ、私もルッキーニちゃんに膝枕してあげたことなんて……なくて……」

リーネ「い、今の話聞いてたの?」

サーニャ「私もまだ501の一員じゃないの」

リーネ「そ、そんなことないよ!! サーニャちゃんはもう立派な501の一員だよ!!」

サーニャ「考えてみれば私、エイラとハルトマンさん以外とはまともに喋ったこともないし……当然のことだったかも……」

リーネ「サーニャちゃん、元気だして。サーニャちゃんはすごいナイトウィッチだし、私なんかとは比べられないぐらい頼りにされてるから」

サーニャ「でも、ルッキーニちゃんを膝の上で寝かせたことがないの。きっとみんなに嫌われてる……」

リーネ「そんなことは絶対にないよ」

サーニャ「でも、シャーリーさんが……」

リーネ「あ、あれは私を慰めようとしてくれただけで……」

サーニャ「芳佳ちゃんとリーネちゃんと私は501として認められてないってことでしょう?」

リーネ「あぁ、まぁ、私はそうかもしれないけど」

サーニャ「やっぱり……はぁ……」

リーネ「サーニャちゃん……。そ、そうだ! だったら今からルッキーニちゃんに聞きにいこうよ」

サーニャ「え?」

リーネ「膝の上で眠れる?って。それでルッキーニちゃんができるって言ってくれたら問題ないよね」

サーニャ「でも、もし断られたら……」

リーネ「大丈夫だよ」

サーニャ「リーネさん……」

リーネ「サーニャちゃんのことを嫌いになる人なんて、絶対にいないから」

サーニャ「ありがとう……」

リーネ「いこっ、サーニャちゃん」

リーネ「ルッキーニちゃんっ」

ルッキーニ「なにー?」

リーネ「ほら、向こう。サーニャちゃんが座ってるんだけど……」

ルッキーニ「うにゃ?」

サーニャ「……」ドキドキ

ルッキーニ「ホントだ。なにしてるの?」

リーネ「サーニャちゃんの膝の上で寝てほしいなって思って」

ルッキーニ「……」

リーネ「ね?」

サーニャ「……」ドキドキ

ルッキーニ「別にいい。眠たくないし」

リーネ「あ、ちょっと待って!! それは困るの!!」

ルッキーニ「さっき寝たからいいよ。じゃね」

リーネ「ルッキーニちゃん!! 待って!!」

サーニャ「……」

リーネ「えっと……サーニャちゃん……」

サーニャ「……ありがとう、リーネさん」

リーネ「ほら、サーニャちゃんがどうとかじゃなくて、ルッキーニちゃんはただ眠たくなかっただけだから」

サーニャ「……」

リーネ「サーニャちゃん……あのね……」

サーニャ「仕方ないわ。だって、私……」

リーネ「サーニャちゃん?」

サーニャ「――501の一員じゃないからっ」タタタッ

リーネ「サーニャちゃん!!! まってぇ!!! サーニャちゃーん!!!」


芳佳「あれ? リーネちゃんだ」

エーリカ「サーにゃんを追いかけるリーネ……。なにかあるね」

芳佳「行きましょう!! サーニャちゃんも泣いてるように見えましたし!!」

エーリカ「私もサーにゃんが絡んでるなら放っておけないし、行こうかな」

芳佳「急ぎましょう!!」

エーリカ「りょーかい」

エイラ「サーニャ、いねぇ……。どこいったんだ……」

バルクホルン「サーニャならハンガーのほうに向かうのを見たが?」

エイラ「そうなのか。ありがとう、大尉。行ってくる」

バルクホルン「相変わらずだな、エイラは」

エイラ「褒めてもないもでないぞ」


サーニャ「うぅ……!!」タタタッ


バルクホルン「あれは……」

エイラ「サーニャだ。おーい、サーニャー。一緒にサウナ――」


リーネ「サーニャちゃん!!」グイッ

サーニャ「やめて……」


エイラ「……」

バルクホルン「リーネがサーニャを……」

エイラ「……行ってくるか」

リーネ「お願い、私の話をきいて」

サーニャ「リーネちゃん……」

リーネ「私もね――」

エイラ「リーネ」

リーネ「ひっ!?」

サーニャ「エイラ……」ウルウル

エイラ「サーニャ……」

リーネ「あ!? あの、誤解です!! 私は別になにも……!!」

エイラ「何があったんだ? 話してくれ」

リーネ「え……?」

エイラ「誰がサーニャを困らせたんだ?」

リーネ「エイラさん……」

エイラ「全く。ツンツン眼鏡なら容赦しないぞ」

バルクホルン「できれば、私にも聞かせてくれないか? 訓練や任務での失敗というなら自業自得だが、それ以外のことならば相談しろ」

サーニャ「バルクホルンさんまで……」

リーネ「実は……」

サーニャ「私が501の一員として認められていません」

リーネ「サーニャちゃん!!」

エイラ「なんだよそれぇ」

バルクホルン「待て、エイラ。サーニャ、続けてくれ」

サーニャ「シャーリーさんが言っていました。ルッキーニちゃんを膝の上で寝かせられなければ、501の一員とは到底言えないと」

リーネ「それはだから……」

バルクホルン「シャーリーがそんなことを……?」

サーニャ「はい。ね、リーネさん?」

エイラ「そうなのか、リーネ?」

リーネ「あ、はい……」

バルクホルン「ふむ……」

芳佳「リーネちゃん!!」

リーネ「よ、芳佳ちゃん!?」

芳佳「今の話、本当なの!? ルッキーニちゃんが膝の上で寝てくれないと仲間だって認められないの!?」

リーネ「あ、あのね……」

サーニャ「シャーリーさんはそう言っていたの。私、それを聞いちゃって……」

芳佳「そ、そんな……。私……ルッキーニちゃんとあんなにお喋りしたのに……」

リーネ「いつのまに……」

バルクホルン「……ハルトマン。今の話は知っていたか?」

エーリカ「初耳だね」

エイラ「私も聞いた事がないな」

サーニャ「そうなの? エイラはルッキーニちゃんに膝枕をしたこと、ないの?」

エイラ「……」プイッ

サーニャ「エイラ? 私の目を見て」

エイラ「うっ……」

サーニャ「エイラ……もしかして……」

エイラ「いや、訓練で疲れて座ってたら、ルッキーニのほうからフラフラっときてさぁ……」

サーニャ「そんな……」

リーネ(エイラさん、ルッキーニちゃんに膝枕をしたことがあるんだ……)

芳佳「バルクホルンさんはどうですか?」

バルクホルン「私か。何度かあるな」

サーニャ「やっぱり……」

リーネ「それってどういうときだったんですか?」

バルクホルン「エイラとほぼ同じ状況だ。休憩のために滑走路で座っていたらルッキーニから近づいてきて、そのまま私の膝を枕にして眠ろうとした」

芳佳「そうなんですか……。バルクホルンさんだから、当然でしょうけど……」

バルクホルン「とはいえ、寝かせてはいない。上官を何だと思っているんだと一喝したからな」

エーリカ「うわ。可哀相」

バルクホルン「何を言っているんだ。ルッキーニ少尉は上官を上官だと思わない行動をとった。それを注意してないが悪い。悪いのはルッキーニ少尉だろう」

エーリカ「ルッキーニだって悪気があったわけじゃないだろ?」

バルクホルン「ハルトマン、お前は同じ目にあったとき黙って膝を貸してやるのか?」

エーリカ「かすよー。というか、もう何回か貸したことあるし」

サーニャ「……」

リーネ「ハルトマンさん!!」

エーリカ「え。あ、しまった……。私としたことが……」

サーニャ「……」

エーリカ「サーにゃん。私、ねむいなぁー。膝枕してくれない?」

サーニャ「……」

エーリカ「勝手にしちゃおー」スリスリ

エイラ「中尉!!」

エーリカ「なんだよぉ?」

エイラ「私もやるー」スリスリ

サーニャ「……」

エーリカ「サーにゃんっ」

エイラ「サーニャの太もも、柔らかいんだな」

サーニャ「……」

エーリカ「ほらっ、少なくとも私とエイラはサーにゃんのことこんなに愛してるよ」

エイラ「私は中尉の100倍、サーニャのことを想ってるからなー」

サーニャ「でも、ルッキーニちゃんとシャーリーさんには501の一員だと、仲間だと思われて……いない……から……」

リーネ「サ、サーニャちゃん……」

エイラ「サーニャ……あぁ、サーニャ……いい匂い……」スリスリ

サーニャ「……」

エーリカ「……ダメだね。余程、ショックだったんだ。無理もないけど」

芳佳「私も明日からルッキーニちゃんとどう接していいのかわかりませんよぉ」

バルクホルン「宮藤……」

芳佳「シャーリーさんにも私は……。あぁ!! もしかしてミーナ中佐にも……!! ペリーヌさんだって……きっと……!!」

リーネ「芳佳ちゃん。大丈夫だよ。ペリーヌさんもミーナ中佐もそんなこと思ってないよ」

芳佳「でも!! ルッキーニちゃんに膝枕してあげたことないよ!?」

リーネ「私だってないよ」

芳佳「リーネちゃん……」

リーネ「どうしたの?」

芳佳「これからも一緒に頑張ろうね?」

リーネ「うん、勿論っ」

芳佳「リーネちゃんがいてくれて安心っ」

リーネ「それは私もだけど、ルッキーニちゃんのことは気にしないほうが……」

バルクホルン「聞いてくるか」

リーネ「え? 誰に何をですか?」

バルクホルン「決まっている。少佐、ミーナ、ペリーヌにルッキーニを膝の上で寝かせたことがあるかをな」

リーネ「いえ……あのぉ……」

サーニャ「やめてください。きっとみなさん、あるはずです」

バルクホルン「だが、なければどうする」

サーニャ「え?」

バルクホルン「なければシャーリーの言っていたことはデマカセに過ぎないという証明になる」

エーリカ「まぁ、少佐やミーナを501の一員じゃないとは口が裂けても言えないもんね」

バルクホルン「ルッキーニとシャーリーにそこまでの権限もないからな」

サーニャ「でも……」

バルクホルン「私が知る限りではルッキーニが少佐とミーナに対してそこまでの行動をとったことはない」

芳佳「そうなんですか!? 坂本さんとミーナ中佐ですよ!?」

バルクホルン「だからこそ、ルッキーニが膝を借りる相手には別の理由が存在するということだ。決して仲間だと認めていないわけでは、ない」

リーネ(流石、バルクホルンさん。これできっとサーニャちゃんも納得してくれるはず)

美緒「ルッキーニに膝枕か。あるぞ」

サーニャ「え」

ミーナ「私もあるわね」

サーニャ「え?」

ペリーヌ「わたくしは、ありませんけど」

サーニャ「ペリーヌさんっ」ギュッ

ペリーヌ「な、なんですか!? ちょっと離れて!!」

エイラ「離れろ!! なにやってんだぁ!!!」

ペリーヌ「サーニャさんから抱きついているのがわかりませんの!?」

エーリカ「ミーナ、あるんだ」

ミーナ「一度だけね。海岸で涼んでいるときにふとルッキーニさんが近づいてきて」

美緒「私も似たようなものだな」

バルクホルン「……」

芳佳「リーネちゃん……やっぱりわたしたち……わたしたち……ルッキーニちゃんに……」ギュゥゥ

リーネ「私も自信がなくなってきたよ……。シャーリーさんの言ってたことって本当なのかも……」

サーニャ「ペリーヌさん……私と同じ……」ギュゥゥ

ペリーヌ「くるしい……!」

エイラ「離れろっていってんだろ!!」

美緒「ルッキーニにそんな秘密があったのか?」

ミーナ「知らなかったわね」

エーリカ「本当の話なの?」

バルクホルン「どうだろうな。確かにルッキーニは501に配属されたばかりのときは心を閉ざしていたが」

美緒「あの時期のことを思えば、シャーリー以外の者の近くで寝息を立てるというのは信頼されている証なのかもしれんな」

ミーナ「そういう考え方もできるわね」

サーニャ「……」

芳佳「サーニャちゃん、私もだから」

サーニャ「芳佳ちゃん……」

エイラ「サーニャ、気にすんなって。ルッキーニのことなんてどうでもいいダロ?」

サーニャ「エイラに私の気持ちは分からないわっ」

エイラ「サ、サーニャ……なんで……」

ペリーヌ「わたくしは別に構わないですわ。ルッキーニさんが戦闘中に失敗をしない限りは何を問うこともありませんし」

リーネ「でも、ルッキーニちゃんが傍で寝てくれるのって嬉しくないですか?」

ペリーヌ「何故? ちっとも嬉しくないですわ」

芳佳「私はすっごく嬉しいけどなぁ……」

ペリーヌ「貴方と一緒にしないでください」

美緒「ペリーヌが今言ったことはかなり重大だな」

ペリーヌ「え? な、なにか失言を……」

美緒「いや。ルッキーニが膝の上で眠るというが、ただ相手への好意を示すものならば良い。我々も人間だ。好みというのは必ずある」

サーニャ「ルッキーニちゃんは私のことが嫌い……」

芳佳「うぅ……いつも笑ってくれてたのに……虫だってルッキーニちゃんは見せてくれたのに……」

ペリーヌ「どうでもいいことで落ち込まないでくださいな」

リーネ「どうでもいいことではないような」

美緒「そうだ。万が一、ルッキーニが信頼している者にのみ見せる行動であれば看過はできない」

バルクホルン「ルッキーニが宮藤たちに背中を預けられないと言っているようなものか」

美緒「我々はチームだ。互いを信じなければ勝利することが困難になってしまう。故に私たちは信じあうことから始めなければならん。それができないのは問題だな」

ミーナ「いつかのバルクホルン大尉みたいになるのは感心できないものね」

エーリカ「言われてるよー」

バルクホルン「うるさい。分かっている」

美緒「確認させてくれ。ルッキーニを膝の上で寝かせたことがない者は挙手しろ」

芳佳「は、はい」

リーネ「はい……」

サーニャ「私もです」

ペリーヌ「一応、わたくしもです」

美緒「この4人か」

ミーナ「試してみるほうがいいわね」

美緒「そうだな。では、宮藤、リーネ、サーニャ、ペリーヌの4名は今からハンガーか滑走路で座り込め」

芳佳「でも、もしルッキーニちゃんが来てくれなかったら……」

美緒「それを見るためのものだ。いいから行け」

サーニャ「怖い……」

リーネ「わ、私も……ルッキーニちゃん……私たちのことが嫌いだとか……ないよね……」

シャーリー「ふんふんふふふーん……ふんふんふふふーん……」カチャカチャ

ルッキーニ「シャーリー。調整まだ終わりそうにないの?」

シャーリー「ああ、悪い。あと30分ぐらいはかかるな」

ルッキーニ「じゃあ、お昼寝しよーっと」

シャーリー「終わったら起こしてやるよ。そのあとメシにしような」

ルッキーニ「あーい」

ルッキーニ(今日はどこでねよーかなぁ)

ルッキーニ「んにゃ?」

サーニャ「……」ドキドキ

芳佳「……」ドキドキ

ルッキーニ「サーニャと芳佳じゃん。こんなところで座ってなにしてるの?」

サーニャ「座っているだけ」

芳佳「そ、そうそう!! ル、ルッキーニちゃんはなにしてるの?」

ルッキーニ「お昼寝しよーかなーって」

サーニャ「わ、私の……あの……膝……あいてるけど……」モジモジ

ルッキーニ「ふーん」

芳佳「わ、私の膝もあるよ」

ルッキーニ「あ、そう」

サーニャ(反応が鈍い……)

芳佳(やっぱり私のこと……)

ルッキーニ「んー? おぉー!!」テテテッ

サーニャ「ルッキーニちゃん?」

芳佳「どこいくのー!?」

ルッキーニ「にゃはー!! リーネっ!!」

リーネ「ル、ルッキーニちゃん!?」

ルッキーニ「リーネも座ってるんだー。暇なの?」

リーネ「う、うん。暇、かなぁ」

ルッキーニ「それじゃ、ここ使ってもいいよね?」

リーネ「え? あ、う、うん」

ルッキーニ「リーネの膝枕は前から狙ってたんだー。お邪魔しまーすっ」ギュッ

リーネ「あ……ルッキーニちゃん……」

ルッキーニ「うにゃぁ……りーねぇ……」スリスリ

リーネ「……」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……」

リーネ「寝ちゃった……」

ルッキーニ「にゃはは……」

リーネ「ふふっ……」ナデナデ

芳佳「リーネちゃん、いいなぁ……いいなぁ……ルッキーニちゃんも幸せそうだし……」

リーネ「芳佳ちゃん、ごめんね……。あの……」

サーニャ「はぁ……」

エイラ「サーニャのここ空いてるんだろ?」

サーニャ「……うん」

エイラ「なら、私が使ってもいいよな。あぁーサーニャは柔らかいナー」モミモミ

サーニャ「エイラ……ありがとう……。でも、そんなことされても悲しくなるだけなの……」

エイラ「あ、いや、そんなつもりは……」

ペリーヌ「分かりましたわ」

芳佳「あれ? ペリーヌさん、部屋に戻ったんじゃなかったの?」

ペリーヌ「ルッキーニさんは人を選んでいます。それも分かりやすい特徴を持つ人物を」

サーニャ「特徴、ですか?」

ペリーヌ「そうです。きっと人として嫌いとか好きとかではなく、単にルッキーニさんの嗜好によるものですわね」

芳佳「それでその特徴ってなんですか?」

ペリーヌ「リーネさんとわたくし、サーニャさん、宮藤さんの三人を見比べて決定的に違うところがあるでしょう?」

サーニャ「リーネさんと私の違い……?」

リーネ「あるかな?」

芳佳「はい!!」

ペリーヌ「はい。宮藤さん」

芳佳「胸!!」

リーネ「え!?」

ペリーヌ「そう。正解ですわ。わたくしたちとリーネさんには圧倒的な差がありますでしょう。ルッキーニさんはそうした人を選んでいるだけですわ」

サーニャ「あの。だったら、ハルトマンさんはどうなるんですか……?」

ペリーヌ「え?」

芳佳「あ、そっか。ハルトマンさんはルッキーニちゃんに膝を貸したことがあるって言ってたよね」

サーニャ「うん……。胸で選んでいるなら、ハルトマンさんの膝は使わないと思う……」

エイラ「ダナ。中尉のはあんまりだし、私もリーネなんかと比べられたら困るしな」

リーネ「うぅ……」

ペリーヌ「き、きっと、あれですわ。ハルトマン中尉はそのたまたま運が良かっただけで……」

芳佳「でも、私とサーニャちゃんは避けられちゃったし」

サーニャ「うん。人を選んでいるのは体型の所為じゃ……」

ペリーヌ「ふ、ふんっ。だからなんだっていうの? 別に、別に、ルッキーニさんが膝の上で寝ないからってウィッチとしての資質が劣っているわけでもないでしょう?」

サーニャ「それは……」

エイラ「何必死になってんだよ、ペリーヌ」

ペリーヌ「なってません!!」

ルッキーニ「うぅーん……」

リーネ「あ、ルッキーニちゃん。起こしちゃった?」

ルッキーニ「うるさぁい……。もういい……むこうでねりゅぅ……」

芳佳「ルッキーニちゃん!! どーぞ!!」

ルッキーニ「うにゃ? よしかぁ?」

芳佳「ここ、使って!! ここ!!」

ルッキーニ「……」

サーニャ「わ、私の……膝も……」

ペリーヌ「ふぅー……。訓練の疲れが出てきましたわね。座って休息しませんと」

ルッキーニ「ふわぁぁぁ」

ペリーヌ「あら、椅子がありませんわね。仕方ないですわ。少し不衛生ですがこのまま地面に座りましょう。よいしょ」

エイラ(誰を選ぶんだろうなー)

ルッキーニ「……エイラー」

エイラ「なんだ?」

ルッキーニ「おやしゅみぃ……」ギュッ

エイラ「寝るなよー。重いだろー」

サーニャ「エイラ……」

エイラ「あ! ルッキーニ!! 起きろ!! 私の膝を使うなって!! おい!!」

ルッキーニ「うにゃぁ……」ギュゥゥ

エイラ「おいってー。まずいってー。やめてくれー」

サーニャ「……」

芳佳「やっぱり……私たち……」

ペリーヌ「ふん。別にどうでもいいですわ。本当にどうでもいいですわ!!」

リーネ「ペリーヌさん。しーっ。ルッキーニちゃん、眠ってますから」

ペリーヌ「知りませんっ」

リーネ「きっとルッキーニちゃんは寝ぼけてて、エイラさんしか映ってなかっただけですよ」

芳佳「私のこと見たのに?」

リーネ「あ、う……」

サーニャ「私とも目があったのに……」

リーネ「あぁ……あのぉ……」

芳佳「サーニャちゃん、私たちは友達だよね?」

サーニャ「勿論よ。芳佳ちゃん」

リーネ「ま、まって!! きっと何か、何か深い理由があったと思う!! 芳佳ちゃんやサーニャちゃんが嫌われているなんて考えられないよ!!」

芳佳「だけど、どう考えても……」

サーニャ「うん……」

ペリーヌ「はぁー。下らないですわ。わたくしは自室に戻ります。貴方たちみたいに暇ではありませんから」

エイラ「散々突っかかってきて、それをいうのか?」

ペリーヌ「失礼しますわ!!」

芳佳「ペリーヌさん!! いいのー!?」

ペリーヌ「わたくし、ルッキーニさんのことなんて全然気にしたことないですから!! おーほほほ!!!」

エイラ「あいつ、不機嫌になりすぎだろぉ」

リーネ「そ、そーだ。匂いは、どうかな?」

芳佳「匂い?」

リーネ「エイラさんの匂いがルッキーニちゃんにとっては安心できるものだった……とか」

サーニャ「エイラっ」ギュッ

エイラ「なになに?」

サーニャ「……」クンクン

エイラ「サ、サーニャ……そんな私のことを嗅ぐなんて……」

芳佳「うーん……」クンクン

エイラ「うぇ……鼻息が……くすぐったい……」

サーニャ「いつものエイラの匂い」

芳佳「そうですね。エイラの体臭は確かに安心できるような匂いだね」

エイラ「そうか?」

芳佳「でも、エイラさん。匂いならサーニャちゃんが1番じゃないですか?」

エイラ「ああ。それは間違いない。サーニャは歩くお花畑だからな」

サーニャ「褒めてくれてるの?」

エイラ「当然だろ。この例えは嫌だったか?」

サーニャ「そう。ならいいんだけど」

リーネ「芳佳ちゃんもとっても素敵な匂いだよ」クンクン

芳佳「ありがとう、リーネちゃん。でも、私はともかくサーニャちゃんの匂いが嫌いって人はいないと思うな」

エイラ「同感だな。そんなやつがいたら宮藤の魔法で治療してやってくれ」

芳佳「はい! 任せてください!」

サーニャ「だけど、匂いでもないとすると……やっぱり……」

>>30
芳佳「そうですね。エイラの体臭は確かに安心できるような匂いだね」→芳佳「そうですね。エイラさんの体臭は確かに安心できるような匂いだね」

芳佳「あぁ……そうだね……そういうことになるよね……」

サーニャ「うん……」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……」

芳佳「ルッキーニちゃん……」

サーニャ「心の問題だから、簡単なことじゃないことはわかっているけど……でも……」

芳佳「寂しいよね」

サーニャ「ええ……とっても……」

エイラ「サーニャ……宮藤……」

リーネ「そうだっ。芳佳ちゃん、サーニャちゃん。いい方法があるよ」

芳佳「いい方法?」

リーネ「うん。こっちに来て。芳佳ちゃんたちならできることがあるの」

サーニャ「それは?」

リーネ「とにくかく来て。時間がないから」

エイラ「おい。私はこのままか?」

ルッキーニ「えいりゃぁ……」ギュゥゥ

>>32
リーネ「とにくかく来て。時間がないから」→リーネ「とにかく来て。時間がないから」

シャーリー「んー。こんなもんか。よし、そろそろルッキーニを探しに行くか」

エーリカ「あ、いたいた」

バルクホルン「シャーリー。ここに居たのか」

シャーリー「おう。どうしたんだよ?」

エーリカ「ねえねえ。サーにゃんから聞いたんだけどさ。ルッキーニが懐かないと501の一員とは言えないって本当なの?」

シャーリー「は? そんなわけだろ。ルッキーニを嫌う奴は私も嫌いだけどね」

バルクホルン「とぼけるな。お前がそう言っていたとサーニャは言っていた。どういうことなのか説明してくれ」

シャーリー「説明っていわれてもなぁ……。あ、リーネを元気づけるために言ったことか?」

エーリカ「どういうこと?」

シャーリー「リーネのやつ、自分だけが宮藤に置いていかれてると思ってたみたいだからさ。ちょっとした嘘で励ましてやったんだよ」

バルクホルン「なるほど。宮藤はまだリーネと同じ位置にいることを教えたわけか」

シャーリー「そうそう。あれ? でも、なんでそれをサーニャが知ってるんだ? リーネが言っちゃったのか?」

エーリカ「あの感じだとサーにゃんはシャーリーとリーネの話を聞いてたんじゃない?」

バルクホルン「それで勘違いしたサーニャと宮藤は自分が仲間だとは思われていないと考えてしまっているわけか。……さて、どう責任を取るつもりだ、リベリアン?」

シャーリー「え……? 私が悪いのか……?」

エイラ「くそぉ……うごけねぇ……」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……ふふっ……」ギュゥゥ

エイラ「サーニャのところに行きたいのにぃ……」

ペリーヌ「……」

エイラ「お。ペリーヌ、戻ってきたのか?」

ペリーヌ「別に。たまたま、偶然、こっちに用があっただけですわ」

エイラ「なんでもいいから、こっちにこいって」

ペリーヌ「なんですの? わたくしは忙しいので、あとにしてください」

エイラ「何言ってんだ。隣に座ってくれ」

ペリーヌ「……これでいいんですの?」

エイラ「そのまま動くなよ……」

ペリーヌ「あの……」

エイラ「今、ルッキーニをお前の膝に移すからな……そーっと……そーっと……」

ルッキーニ「あにゃぁ……」

ペリーヌ「ちょ! ちょっと! エイラさん!! なにをしていますの!?」

エイラ「しーっ。ルッキーニが起きるだろ」

ペリーヌ「あっ……」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……」

エイラ「大丈夫だな。よし。移すぞ」

ペリーヌ「エイラの上で寝かせてあげればいいでしょう?」

エイラ「足も痺れてきたし、サーニャのところにも行きたいんだ」

ペリーヌ「無責任ですわ。折角の好意を無碍にするおつもりで?」

エイラ「好意ってルッキーニは好きさえあれば膝の上に乗っかってくるしな」

ペリーヌ「自慢ですの?」

エイラ「そんなつもりはないって」

ペリーヌ「ふんっ。そんなの全く羨ましくありませんから」

エイラ「よっと。これでいいな。あとは任せたからな、ペリーヌ」

ペリーヌ「な!? お、お待ちなさい!!」

エイラ「しーっ」

ペリーヌ「(わ、わたくしがこのまま動けなくなるでしょう!?)」

>>36
シャーリー「は? そんなわけだろ。ルッキーニを嫌う奴は私も嫌いだけどね」

シャーリー「は? そんなわけないだろ。ルッキーニを嫌う奴は私も嫌いだけどね」

>>38
ペリーヌ「エイラの上で寝かせてあげればいいでしょう?」

ペリーヌ「エイラさんの上で寝かせてあげればいいでしょう?」

ルッキーニ「ぅにゃ……」

エイラ「いいだろ。私だって動けなったんだから」

ペリーヌ「ですが……」

エイラ「たのむぞー」

ペリーヌ「あぁ……もう……」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……」

ペリーヌ「でも……まぁ……これはこれで……」

ルッキーニ「ん……? あれ?」

ペリーヌ「あ、ええと……。ま、まだ寝たりなければ……」

ルッキーニ「ふわぁぁ……。ペリーヌ、エイラは?」

ペリーヌ「エイラさんはサーニャさんを探しにいかれたみたいですけど?」

ルッキーニ「ふーん。あ!? そろそろ行かなきゃ!!」

ペリーヌ「へ?」

ルッキーニ「バイバイ、ペリーヌ。シャーリー!!」テテテッ

ペリーヌ「……」

芳佳「本当にこれで大丈夫なのかな?」

リーネ「きっとルッキーニちゃんならすぐに近づいてきてくれるよ」

サーニャ「そうだといいな」

美緒「お前たち、何をするつもりだ」

リーネ「さ、坂本少佐、ミーナ中佐……」

ミーナ「みんな。そんな大きな鍋を持ってどこに行くの?」

芳佳「あ、その、今日は外で料理をしよーかなぁ、なんて」

サーニャ「いい天気ですから」

美緒「確かに。こういう日は外で食事にするのもいいかもしれないな」

芳佳「ですよね!!」

ミーナ「まぁ、止める理由はないけれど、あまり外で騒がないようにしてね」

サーニャ「了解」

美緒「出来上がる頃には私とミーナも行くぞ。人数分、用意できるな?」

芳佳「勿論ですよ」

リーネ「はい。問題ありません」

芳佳「でも本当に美味しそうな匂いを体に染み込ませればルッキーニちゃんが寝てくれるのかな」

リーネ「きっとルッキーニちゃんはお腹をすかせてるはずだし、いけるはずだよ」

芳佳「そうだね。あとはどれだけ美味しい料理を作ることができるかだけど……」

サーニャ「がんばりましょう、芳佳ちゃん」

芳佳「うんっ。ルッキーニちゃんに認めてもらわなきゃ」

エイラ「サーニャ。探したぞ。何してるんだ?」

サーニャ「今からハンガーで料理を作ろうと思って」

エイラ「私が持ってやるよ」

サーニャ「でも……」

エイラ「いいから。ほら」

サーニャ「それならお願い」

エイラ「任せとけー。料理もサーニャの手伝いならしてやるからな」

芳佳「わーい。エイラさんも一緒ならとっても美味しいのができるね、リーネちゃん」

リーネ「うん。百人力だね」

エイラ「……私に期待すんなよ。ガッカリされるのは嫌なんだ」

エーリカ「なんとかしないとねー」

シャーリー「なんとかって言われても困るなぁ」

バルクホルン「いいか? サーニャと宮藤は深刻そうにしてた。きちんと説明しておけ」

シャーリー「今更私があれは嘘だった、冗談だからって言って納得するのか?」

バルクホルン「む……」

エーリカ「無理だねー。ルッキーニがサーニャと宮藤の上で寝ないと」

シャーリー「だろ? 勘違いさせたことは謝るけど、私が謝っても解決しないんじゃないか」

バルクホルン「ではルッキーニに頼むか」

エーリカ「それもやめたほうがいいかもね」

バルクホルン「何故だ? それが問題解決への近道だろう」

シャーリー「ルッキーニだからなぁ。ぎこちなくなって演技してるのがバレたらもう収拾つかないぞ」

バルクホルン「ならばどうする? このままにしておくことはできないぞ。今後のこともある。宮藤やサーニャがルッキーニに対して背を預けられないということがあってはならない」

シャーリー「分かってるよ。だから困ってるんだろ?」

ルッキーニ「シャーリー!!! おわったー!?」テテテッ

シャーリー「おー。終わったぞー。メシにいくかー?」

ルッキーニ「いっくー!!!」ギュッ

シャーリー「今日はいつも以上に元気だな」

ルッキーニ「お昼寝したばっかりだから」

エーリカ「昼寝してたんだ。どこで?」

ルッキーニ「あっち。今、ペリーヌが座ってるところ」

バルクホルン「……おい。ペリーヌの様子がおかしくないか?」

エーリカ「なんか蹲ってるね」

バルクホルン「体調に異変でもあったか……!? 行くぞ!!」ダダダッ

エーリカ「あ、トゥルーデぇ。まってよぉ」

シャーリー「ルッキーニ、お前は何か知らないのか?」

ルッキーニ「さぁ? 元気そうにしてたけど」

エーリカ「ルッキーニ。一応、確認しておくけど、ペリーヌに膝枕とかしてもらった?」

ルッキーニ「うん、してもらってたー。寝る前はエイラにしてもらってたんだけど、起きたらペリーヌがしてくれてたぁ」

エーリカ「……起きてすぐペリーヌから離れた?」

ルッキーニ「だって、起きたらごはんだってシャーリーと約束してたから」

ペリーヌ「うぅ……くやしくなんて……べつにくやしくなんて……」

バルクホルン「ペリーヌ!! どうした!?」

ペリーヌ「は!? バ、バルクホルン大尉……!?」

バルクホルン「体調不良か? 宮藤か救護班を呼んで……」

ペリーヌ「あ、い、いえ!! 心配ありません!! なんでもないですから!!」

バルクホルン「だが、泣くほどの痛みなのだろう?」

ペリーヌ「え……あ、あら……」ゴシゴシ

バルクホルン「隠すな。辛いことは上官に言え」

ペリーヌ「た、たいい……」

バルクホルン「何があったんだ?」

ペリーヌ「たいいー!!」ギュッ

バルクホルン「ペリーヌ……」

ペリーヌ「わたくし……わた……くし……うぅぅ……」

バルクホルン「お前らしくもない。話してみろ」

ペリーヌ「たしかに……わたくし……とくべつ、やさしく、なんて、してきませんでしたけど……あんなしうち……はじめてで……うぅぅ……」

バルクホルン「――そうか。ルッキーニのことだったのか」

ペリーヌ「確かにルッキーニさんには色々と苦言は呈してきましたし、嫌味だって言ってきましたけど……それは、ルッキーニさんを思ってのことで……」

バルクホルン「私も同じだ。ルッキーニには色々と強い言葉を使ってきた」

ペリーヌ「何が違うのでしょうか。あ、いえ、別にルッキーニさんに好かれたいなんて思っていませんから。ただ、あの……あんなにも露骨に嫌われるのは……ショックでして……」

バルクホルン「ふむ……」

エーリカ「おーい。大丈夫ー?」

バルクホルン「心配ない。ペリーヌも落ち着いた」

ペリーヌ「も、申し訳ありませんでした」

シャーリー「ほら、ルッキーニ。ちゃんと謝っておけって」

ルッキーニ「えー? あたし、悪いことしてないよ?」

シャーリー「それでもだよ」

ペリーヌ「ル、ルッキーニさん……」

ルッキーニ「ごめん、ペリーヌ。折角、膝枕してくれてたのに何も言わずにいっちゃって」

ペリーヌ「い、いえ……気にしてませんから……」

ルッキーニ「さっきはありがとっ。足、痺れてない?」

>>47
ペリーヌ「確かにルッキーニさんには色々と苦言は呈してきましたし、嫌味だって言ってきましたけど……それは、ルッキーニさんを思ってのことで……」

ペリーヌ「確かにルッキーニさんには色々と苦言は呈してきましたし、嫌なことも言ってきましたけど……それは、ルッキーニさんを思ってのことで……」

ペリーヌ「大丈夫です」

ルッキーニ「ところで、どうしてペリーヌが膝枕してくれてたの?」

ペリーヌ「エイラさんが貴方を押し付けてきただけですわ」

ルッキーニ「そうなんだ」

ペリーヌ「全く、いい迷惑ですわ」

ルッキーニ「ごめん」

バルクホルン「……ハルトマン」

エーリカ「うん。そういうことかもね」

シャーリー「ルッキーニ。ちょっと」

ルッキーニ「なーに?」

シャーリー「お前さ、昼寝するときに膝を借りる相手ってどういう基準で選んでるんだ?」

ルッキーニ「え? 別に基準とかないけど?」

エーリカ「ホントに?」

バルクホルン「では、今までペリーヌやサーニャの膝を使おうとしなかったのには特別な理由はないのか?」

ルッキーニ「そんなのないよぉ。ペリーヌは私の事嫌いだから絶対に嫌がるだろうし、サーニャは夜間哨戒でいつも疲れてるし、わざわざ借りようとは思わないけど」

エーリカ「なーんだ。そういうことか」

バルクホルン「宮藤とリーネは?」

ルッキーニ「リーネはさっき貸してもらったぁ。芳佳はまだだけど」

バルクホルン「隙があれば宮藤の膝も借りようとしていたわけか」

ルッキーニ「あいっ。芳佳は絶対貸してくれるよねー」

エーリカ「解決だね」

バルクホルン「そのようだな。そのうちルッキーニは全員の膝を借りることになるだろう」

ルッキーニ「なんの話?」

シャーリー「サーニャも宮藤もお前が借りに来るのを首を長くして待ってるぞって話だ」

ルッキーニ「ほんとー!! わぁーい。じゃあ、今度は芳佳の――」

エーリカ「ちょっと、待って。なんか、臭わない?」

バルクホルン「ん……? この匂いは……」

ルッキーニ「おいしそぉなにおいだぁ……。おにゃかすいたぁ……」

シャーリー「向こうから臭ってくるな。ペリーヌも一緒にこいよ」

ペリーヌ「は、はい」

芳佳「ふぅーん!!!」

サーニャ「芳佳ちゃん、かき混ぜるの手伝うわ」

リーネ「私も」

バルクホルン「何をしているんだ!!」

芳佳「あ、バルクホルンさん!! カレー作ってました!!!」

エーリカ「カレー? ……カレー!? 宮藤、カレーライス作ってるの!?」キャッキャッ

ルッキーニ「カレーだぁー!!! カレーだぁ!! やったぁー!!!」キャッキャッ

シャーリー「カレーぐらいではしゃぐなよ。宮藤、私は大盛りで頼む!!」

ペリーヌ「わざわざハンガーで煮込んでいましたの?」

芳佳「いい天気なので外で食べようかなって」

ペリーヌ「油くさい場所で食べようしなくてもいいでしょう。それなら滑走路に出なさい」

リーネ「ご、ごめんさい」

バルクホルン「しかし、何故カレーなんだ? 今日の献立はそのようなものではなかったはず……」

サーニャ「匂いのきつい料理にしようかと思いまして」

バルクホルン「ふむ……。よくわからないが、私は特盛りで頼む」

ルッキーニ「よしかぁー、まだぁ? おなかすいたぁ!!」ギュゥゥ

芳佳「ちょっと待っててね!」

エーリカ「カレーはまだなのー!?」バンバンッ

バルクホルン「やめろ、ハルトマン。テーブルを叩くな」

ペリーヌ「……ちょっと」

リーネ「な、なんですか?」

ペリーヌ「ルッキーニさんの機嫌をとる作戦ですの?」

リーネ「そ、そんなことは……」

芳佳「サーニャちゃん、味見してみて」

サーニャ「うん……。はむっ」

芳佳「どうかな?」

サーニャ「美味しい。おかわり」

芳佳「味見だから」

ルッキーニ「できたなら、くばってぇー!!」

エーリカ「はやくぅ!! カレー!! まだー!?」バンバンッ

エイラ「おーい。お皿、もってきたぞ」

リーネ「ありがとうございます。さっそく盛り付けましょう」

エイラ「わかった」

サーニャ「芳佳ちゃん、ごはんはこれぐらいでいい?」

芳佳「うん。あとはカレーを……よいしょっと……。はいっ、ルッキーニちゃん」

ルッキーニ「おぉぉ!!! いただきまーす!!!」

エーリカ「わたしはぁー!?」

芳佳「すぐに!!」

リーネ「(……サーニャちゃん)」

サーニャ「(うんっ)」

ペリーヌ「……?」

サーニャ「……」ペタッペタッ

ペリーヌ(服にカレーをつけた……!? 何をするつもり……!?)

芳佳「どうぞ、ハルトマンさん」

エーリカ「わぁーい! いっただきぃ!!」

美緒「ほう? やはりこの食欲をそそる香りはカレーだったか」

ミーナ「私もお腹が鳴ったわ。お願いできる?」

リーネ「はいっ。すぐに用意しますね!」

ルッキーニ「はむっ! はむっ……!!」

芳佳「ルッキーニちゃん、どう?」

ルッキーニ「おいしぃー!」

シャーリー「うんっ。いける、いける」

バルクホルン「……」モグモグ

エーリカ「宮藤とサーにゃんとリーネには100点あげる」

リーネ「わーい、うれしいなぁ」

サーニャ「(芳佳ちゃん)」

芳佳「(うん)」ペタッペタッ

ペリーヌ(宮藤さんまで……!?)

リーネ「どうぞ、坂本少佐」

美緒「おぉ。これは美味そうだ。いだだきます」

芳佳「私たちも食べようよ」

リーネ「そうだね」

サーニャ「いただきます」

ミーナ「美味しいわね。偶になら外で食べるのもいいわね」

美緒「うむ。やはりカレーはいいな。扶桑ではよく食べたものだ」

芳佳「よかったぁ。上手にできて。これもリーネちゃんとサーニャちゃんとエイラさんが居てくれたおかげだね」

サーニャ「私は芳佳ちゃんの言うとおりにしていただけで……」

リーネ「私もだよ」

エイラ「私は野菜切ってお皿持ってきただけじゃないか」

芳佳「エイラさんが切った野菜だから美味しいんですよ!!」

エイラ「ふぅーん。まぁ、いいけどな。そう言われると嬉しいし」

芳佳「えへへ」

シャーリー「おかわりするかぁ」

ルッキーニ「あたしもぉ、おおもりぃ」

バルクホルン「おい。後続のことを考えろ。独りよがりな行動は許さないぞ」

ミーナ「ふぅ、とても美味しかったわ。ありがとう、宮藤さん、リーネさん、サーニャさん」

芳佳「いえ。喜んでもらえて私も嬉しいです」

リーネ「はいっ」

サーニャ「口に合ってよかった」

エイラ「私も手伝った……」

ミーナ「うふふ。勿論、エイラさんもね」

エイラ「なら、いいんだ」

美緒「宮藤。明日もカレーか?」

芳佳「え? あ、それは無理です。シャーリーさんとバルクホルンさんが全部食べちゃいましたから」

美緒「そうか……。まぁ、仕方ない」

バルクホルン「食べすぎだぞ、リベリアン。見ろ、少佐の悲しそうな目を」

シャーリー「お前に言われたくない!! あんな山みたいに盛らなくてもいいだろ!!」

エーリカ「私、3杯しかおかわりできなかったのに」

ルッキーニ「あたしももっと食べたかったなぁ」

芳佳「そろそろ片付けようかな。リーネちゃん、サーニャちゃん、手伝ってー」

リーネ「あ、芳佳ちゃんとサーニャちゃんは、ゆっくりしてて、いいから」

エイラ「ソウダ。アトカタヅケ、グライ、ナンテコト、ナイッテ」

芳佳「本当? 任せちゃってもいいの?」

リーネ「うん。大丈夫だよ」

サーニャ「エイラ、いいの?」

エイラ「イイッテ、イイッテ。サーニャ、ハ、ユックリ、シテテクレ」

サーニャ「ありがとう」

美緒「リーネ、エイラ。様子が変だが、何かあったか?」

リーネ「い、いえ! なんでもないですから!! 行きましょう、エイラさんっ」

エイラ「ダナ!」

美緒「変な奴らだ」

ペリーヌ「……」

芳佳「ありがとー!! リーネちゃーん!! エイラさーん!!」

サーニャ「ありがとう」

ルッキーニ「これからなにしよーかなぁ」

芳佳「ルッキーニちゃん!!」

ルッキーニ「なぁに?」

サーニャ「食後の休憩、しよう?」

ルッキーニ「休憩?」

芳佳「ほら。ここ、使っていいから」

ルッキーニ「……?」

シャーリー「(早速、アプローチしてるな)」

バルクホルン「(あんなことしなくてもルッキーニは勝手に体を預けるんだが)」

エーリカ「(まぁまぁ。いーじゃん。別に誰が損するわけでもないしさ)」

サーニャ「どうぞ」

ルッキーニ「あれ? この匂い……」クンクン

芳佳「え? ど、どうかした?」

ルッキーニ「芳佳とサーニャからすんごいカレーの匂いがしゅるぅ」

サーニャ「そ、そう? 今、食べたばかりだからかも」

芳佳「うん。そうだね。きっとそうだよ」

ルッキーニ「それにしてはものすごく臭うけど……」クンクン

芳佳「えへへ。なんだか、恥ずかしいね」

サーニャ「そうね」

ルッキーニ「んー……。あ、芳佳の服にカレーついてる」

芳佳「え!? あ、ホントだ!? いつのまに!!」

サーニャ「私の服にもついてた」

芳佳「あー、匂いの原因はこれなんだね」

サーニャ「失敗したわ」

ルッキーニ「にゃははは。二人とも子どもみたーい」

芳佳「えへへ」

サーニャ「ごめんね」

ルッキーニ「じゃ、またあとでねー」

芳佳「……まって!!」ギュゥゥ

ルッキーニ「うにゃぁ!? なにぃ!?」

芳佳「こ、これでもダメなの……?」

ルッキーニ「なにが?」

サーニャ「芳佳ちゃん、やめましょう」

芳佳「で、でも……」

美緒「何をしているんだ?」

ミーナ「さぁ……?」

ルッキーニ「どうしたのぉ?」

芳佳「カレーの匂いじゃダメ?」

ルッキーニ「意味がわかんないけど」

ペリーヌ「――見損ないましたわ。宮藤さん、サーニャさん」

芳佳「ペリーヌさん……?」

サーニャ「な、なにがですか……?」

ペリーヌ「わたくし、見ていましたわよ。この目で、はっきりと」

芳佳「何を見たんですか……?」

ペリーヌ「貴方たち、ご自分の手で服にカレーをつけていたでしょう!!!」

芳佳・サーニャ「「……!?」」ビクッ

ルッキーニ「なにそれ?」

ペリーヌ「ふん。どうしてあのような奇怪な行動をしていたのか、今ので合点がいきましたわ」

芳佳「あ、あの……これは……」

サーニャ「ごめん……なさい……」

ペリーヌ「そんな卑怯で卑劣な小細工までしてルッキーニさんの気を惹こうだなんて、言語道断です!! 恥を知りなさい!!」

芳佳「ごめんなさい……」

サーニャ「でも、私たち……どうしても……」

ペリーヌ「そのような方法では信頼なんて一生得られないに決まっていましてよ!!」

芳佳「うっ……」

ルッキーニ「なんの話?」

バルクホルン「何をやっているんだ……」

エーリカ「これは宮藤とサーにゃんが悪いね」

シャーリー「私の嘘の所為で二人があそこまで……ヤバいな……」

ペリーヌ「仮に膝の上で寝てくれたとしても、それは貴方たちが好きだからじゃない、カレーの匂いが好きだからに過ぎませんわ!!! それでいいの!?」

サーニャ「そんなの……いや……です……」

ペリーヌ「みなさい!! ルッキーニさんの落胆し貴方たちに失望している目を!!」

芳佳「え……?」

ルッキーニ(なんでペリーヌ、芳佳たちに怒ってるんだろう……。あたし、なんか余計なことしたかなぁ……)

ルッキーニ「むむぅ……」

サーニャ「ルッキーニちゃん……困ってる……」

芳佳「うぅ……そうだよ……ペリーヌさんの言うとおり……。こんなやり方、間違ってるよ……」

サーニャ「芳佳ちゃん……」

芳佳「ごめんね、サーニャちゃん。私がやろうっていったばっかりに……」

サーニャ「そんなことないわ。私も名案だって思ったから……」

芳佳「サーニャちゃん……」ギュッ

サーニャ「芳佳ちゃん……」

美緒「ふむ……。なるほどな」

ミーナ「どうする、美緒?」

美緒「傍観しているわけにもいくまい」

ミーナ「そうね……」

ペリーヌ「貴方たちがそんな人だとは思いませんでしたわ!! 全く!! 信じられませんわ!!!」

芳佳「ごめんなさい、ペリーヌさん。私たちが間違っていました」

サーニャ「ごめんなさい」

ペリーヌ「そうやって抜け駆けしようとするから――」

美緒「宮藤、サーニャ、ペリーヌ」

芳佳「は、はい!」

サーニャ「ごめんなさい!!」

ペリーヌ「坂本少佐からも言ってあげてください!!」

美緒「随分と必死だな。そこまでしてルッキーニの信頼を得たいか?」

芳佳「そんなの勿論ですよぉ」

サーニャ「はい。仲良くなりたいです……」

ペリーヌ「わ、わたくしは……べつに……」

美緒「――ルッキーニ少尉」

ルッキーニ「にゃに?」

美緒「この際だ、はっきりと言ってくれ。お前はこの501のことをどう思っている?」

ルッキーニ「えー? 急に言われてもぉ……」

美緒「言え」

ルッキーニ「ひぃ……」

シャーリー「少佐!! 待ってくれ!! そんな無理やり聞きだしても意味ないだろ!?」

美緒「黙っていろ、シャーリー」

シャーリー「……!」

バルクホルン「少佐のやり方は間違いではない。最も手っ取り早い方法だ」

エーリカ「でも、それで宮藤たちが納得するかは微妙だよね」

バルクホルン「そこはルッキーニがどう答えるかによるな」

美緒「どうした、さっさと答えろ」

ルッキーニ「な、なんでぇ……」

芳佳「さ、坂本さん!! やめてください!!」

サーニャ「ルッキーニちゃんが困っていますから……」

ペリーヌ「少佐、何卒穏便に……」

美緒「なんだと?」

芳佳「も、もういいですからぁ」

美緒「宮藤。お前が陋劣な手段まで用いてルッキーニに取り入ろうとしたのは、ルッキーニのことが信用できていないからだろう?」

芳佳「え……?」

シャーリー「少佐、なにいって――」

ミーナ「シャーリーさん」

シャーリー「中佐……!?」

ミーナ「黙っていなさい」

シャーリー「で、でも……これは私が……」

ミーナ「いいから」

シャーリー「りょ、了解……」

美緒「それはサーニャも同じことだな?」

サーニャ「そ、そんなことは……」

美緒「そしてそれを咎めたペリーヌもだ」

ペリーヌ「な、なにを言って……。わたくしは、そんなこと……」

美緒「お前が何故二人に激昂したのか分からないとでも思っているのか? 大方、自分だけが取り残されてしまうことを危惧しての行動だろう、ペリーヌ?」

ペリーヌ「そ、それは……」

美緒「私は心配していた。万が一、ルッキーニがお前たちに対して仲間意識を持っていないというなら由々しき事態だ。故にお前たちに確かめさせた」

ルッキーニ「どういうこと?」

美緒「だが、それ以上のことは命じたつもりはない。お前たちは何故そのような方法で仲間の信頼を確かめようとした?」

芳佳「それは……不安だったからで……」

サーニャ「座って、くれなくて……」

美緒「だろうな。私やミーナに報告をしないほどだ。余程不安だったのだろう」

芳佳「あ……すみません……」

美緒「お前たちの気持ちは痛いほど分かる。だから、この場で私がルッキーニに問うといっている。邪魔をするな」

サーニャ「え……」

美緒「ルッキーニ少尉。どうなんだ?」

ルッキーニ「な、なにがぁ?」

美緒「501のこと、いや、宮藤、サーニャ、ペリーヌ、リーネのことはどう思っている?」

ルッキーニ「それは……」

美緒「信頼できないか? 仲間だと思っていないのか?」

ルッキーニ「そんなことないよ。芳佳もリーネもペリーヌもサーニャも、好きだよ?」

美緒「その言葉に偽りはないか?」

ルッキーニ「ほ、本当だよ」

美緒「だがな、ルッキーニ。宮藤たちはそう思われていないと考えているようだ」

ルッキーニ「なんでぇ!?」

芳佳「さ、坂本さん!! もういいですから!!!」

サーニャ「や、やめてください!」

ペリーヌ「少佐、あの……」

美緒「何を焦っている?」

芳佳「だ、だって……」

美緒「ルッキーニのことが信じられないからこそ、お前たちは無理やりにでも膝の上に乗せて安心したかったのではないのか?」

芳佳「ち、違います!!! ルッキーニちゃんのことを信じていないなんて、ありえません!!!」

サーニャ「私たちはルッキーニちゃんのことが好きです。だから、嫌われたくなくて……すこし強引な方法を……」

ペリーヌ「そ、そうですわ!! いくら、少佐でも、そういういい方はしないでください!!」

ルッキーニ「みんな……」

美緒「しかしな、私はお前たちが必死になればなるほど懐疑的になる。本当はお前たちこそルッキーニのことを信頼できていないのだろう?」

芳佳「ないです!!!」

サーニャ「私たちはルッキーニちゃんのことを信じています」

ペリーヌ「少佐!! いい加減にしてください!! わたくしの尊敬する少佐はそんなこと言うはずありません!!」

美緒「だが……」

ルッキーニ「少佐ぁ!!」

美緒「なんだ?」

ルッキーニ「もういいじゃん!! 芳佳たち、私のこと好きだって言ってくれてるんだからぁ!!」

美緒「お前だって不安だろう? もしかしたらこの三人はお前のことを仲間だと思ってすら――」

ルッキーニ「そんなわけない!!!」

美緒「なに?」

ルッキーニ「あたしは芳佳もペリーヌもサーニャもリーネも大好き!!!」

芳佳「ルッキーニちゃん……」

ルッキーニ「芳佳とリーネはいつも私と遊んでくれるし、ペリーヌはいつも私のこと心配してくれてるし、サーニャだって私に優しくしてくれるから大好きなの!!!!」

美緒「……」

ルッキーニ「それでいいでしょ!!!」

美緒「そうだな」

ルッキーニ「ふんだっ。芳佳ぁ、サーニャ、ペリーヌ。向こういこっ」

芳佳「え、あの……」

ルッキーニ「向こうで、あそぼー」

サーニャ「え、ええ……」

ペリーヌ「わ、わかりました」

美緒「……」

ルッキーニ「べーっ」

美緒「……今度は私が嫌われたな」

ミーナ「お疲れ様」

美緒「はっはっはっは。別に疲れてなどいない」

エーリカ「少佐、いいの?」

美緒「私が宮藤たちに確かめるように指示した。それによって宮藤たちはルッキーニに対する不信感を強めた。ならば、責任は私にある。嫌われて当然だろう」

ミーナ「もっと上手い方法があったと思うけれど、貴方らしい不器用な方法ね」

美緒「なに。ルッキーニの信頼はあとで取り戻す。心配ない」

バルクホルン「元凶はシャーリーだがな」

シャーリー「分かってるって。少佐、あとで私からルッキーニに説明しておくから……気を悪くしないでくれ……」

美緒「しているように見えるか?」

シャーリー「見えないけどさ」

美緒「はっはっはっは。ならば、いらぬ気遣いだ。そんなことよりもさっきは悪かったな、シャーリー。威嚇するようなことをしてしまって」

シャーリー「それこそ気にしてないよ」

美緒「そうか。ならばいい」

エイラ「おーい」

美緒「片付けは終わったか?」

リーネ「はい。あのぉ、芳佳ちゃんたちは?」

バルクホルン「海岸のほうへ向かったようだ」

エイラ「なんかあったか?」

美緒「何もない。さてと、全員持ち場に戻れ」

エーリカ「りょーかーい」

ルッキーニ「酷いよね、少佐。あんなこというなんて」

芳佳「うん……。でも、坂本さんがあんなこというわけないよね?」

サーニャ「私もそう思うわ」

ペリーヌ「そうですわ!! あの坂本少佐のことです!! きっと何かあったはずですわ!!」

ルッキーニ「なにかって?」

ペリーヌ「何か、苛立つことがあったとか……」

芳佳「そうじゃないと思うけど」

ペリーヌ「だったらなに!?」

芳佳「例えば……。ルッキーニちゃんの本当の気持ちを言わせるため、とか」

ペリーヌ「それはありえますわね。お優しい坂本少佐がしそうなことですわ」

サーニャ「私たちが悪いのに少佐は、私たちのことを……」

ルッキーニ「……」

芳佳「ルッキーニちゃん。ごめんね。私たちが悪いの。ただルッキーニちゃんが膝の上で寝ないと501の一員じゃないって聞いて……」

ルッキーニ「誰がそんなこと言ったの?」

サーニャ「シャーリーさんが言っていけど……」

>>70
芳佳「ないです!!!」

芳佳「そんなことないです!!!」

>>73
サーニャ「シャーリーさんが言っていけど……」

サーニャ「シャーリーさんが言っていたけど……」

シャーリー「あぁ……」

エイラ「なに、落ち込んでるんだ?」

シャーリー「落ち込みもするさ。私の所為でルッキーニと少佐の仲が悪くなったらさぁ……」

エイラ「そんなことないと思うけどな」

シャーリー「なんでそういえるんだよ」

エイラ「ルッキーニがそんな小さいこと気にするとは思えないからだ」

シャーリー「……それもそうか」

エイラ「ダロ?」

シャーリー「そうだな。うん。ルッキーニだもんな」

エイラ「そうそう。ルッキーニだぞ? 三歩歩けば忘れるだろ?」

シャーリー「あははは。それは流石に言いすぎ――」

ルッキーニ「シャーリー?」

シャーリー「お、おぉ。ルッキーニか。どうしたんだ?」

ルッキーニ「なんであたしが膝の上で寝たどうかで501の一員なのか決まるのぉ?」

シャーリー「そのことか。説明するつもりだったんだよ。とりあえず、落ち着いてくれ」

エイラ「リーネを励ますための嘘だったのかよ」

シャーリー「それをサーニャが聞いて真に受けみたいでさ。広がっていって」

ルッキーニ「そうなんだ……」

シャーリー「だから宮藤とサーニャは焦ってたんだ。ルッキーニに一度も膝枕したことがなかったから」

ルッキーニ「あにゃ……」

シャーリー「すまん!! 私の所為だ!!」

ルッキーニ「別にいいよぉ」

エイラ「宮藤たちはどうしたんだ?」

ルッキーニ「少佐に謝りにいくって。特にペリーヌが気にしてて」

シャーリー「色々言ってたもんな」

エイラ「ルッキーニはどうするんだ? お前だって少佐になんか言ったんだろ?」

ルッキーニ「まぁね」

シャーリー「少佐のことは悪く思わないでくれ。お前の気持ちを引き出すためにやったんだ」

ルッキーニ「うんっ。わかってるよ。そのことは芳佳が教えてくれたから」

シャーリー「宮藤が? だったらあとで宮藤にもお礼言っておかないとな」

ペリーヌ「申し訳ありませんでした!!!」

美緒「顔をあげろ。謝罪するのはむしろ私のほうだ」

芳佳「でも、坂本さんは私たちのためにああいってくれたのに……!!」

サーニャ「気がつけなくて失礼なことを言ってしまいました」

美緒「あそこで気づかれては困るが」

ペリーヌ「どんな処分でも受けます!! 何なりと仰ってください!!」

美緒「……ふむ。では、処分を下す」

ペリーヌ「は、はい!!」

美緒「膝に乗ってこずともルッキーニとは仲良くしろ。あいつの気まぐれも大目に見てやって欲しい」

芳佳「そんなの言われなくても仲良くします!! 私たち、ルッキーニちゃんのこと大好きですから!!」

サーニャ「はい」

ペリーヌ「しょ、少佐がそういうなら!!」

美緒「こら、ペリーヌ。偽るな。そのままではルッキーニもお前の膝を借りようとは思わんぞ?」

ペリーヌ「はい……わかりましたわ……」

美緒「それでいい。ではな」

リーネ「芳佳ちゃん、どうだった?」

芳佳「うん。やっぱり坂本さんはすごい人だなって」

ペリーヌ「今更ですわね。少佐はいつだってすごいんですのよ」

サーニャ「でも、ルッキーニちゃんのことは少し気にしていたと思います」

ペリーヌ「でしょうね。なんだかいつもの覇気がなかったといいますか……」

芳佳「ルッキーニちゃんも坂本さんのことはわかってくれたみたいだから、心配はないと思うんだけど」

リーネ「気にしてないって言って坂本さんは納得してくれるかな?」

ペリーヌ「少佐は聡明ですから、世辞の言葉はすぐに見抜いてしまうでしょうね」

芳佳「うーん……」

ルッキーニ「なんのはなしー?」

芳佳「ルッキーニちゃん!?」

ルッキーニ「少佐はぁ?」

サーニャ「向こうに言ったけど……」

ルッキーニ「ありがとっ」

リーネ「あ、ルッキーニちゃん!」

ミーナ「あら? もういいの?」

美緒「うむ。宮藤たちに謝られてしまった」

バルクホルン「当然だ。上官に対しての発言ではなかったからな」

エーリカ「ああいうふうに言わせたくせに、謝られたって酷い言い方だね」

美緒「はっはっはっは」

ミーナ「笑って誤魔化さないの。もう……」

美緒「これから幾らでも挽回するチャンスはある。戦闘や訓練で地道にルッキーニの信用を得ていけばいい」

エーリカ「心配ないって。シャーリーからも説明してくれるっていってるんだし」

美緒「何も心配していないが?」

バルクホルン「少佐。ならば、どうして挽回するといったり、信用を得るなどと言う台詞が出てくる?」

ミーナ「気にしているんでしょう?」

美緒「悪いか?」

ミーナ「うふふ。別に。でも、もう少し素直になったほうがいいかもしれないわね」

エーリカ「……それより、すわろうよ。いつまで立ってるつもり?」

美緒「座る必要はない。定例報告を済ませるだけだ。いつもしてるだろう」

エーリカ「まぁまぁ。座ろう、座ろう」

美緒「お、おい。待て。座るならせめて椅子に……」

バルクホルン「たまには床に座るのも悪くないと思うが?」

美緒「む……。バルクホルンまでそういうのか。分かった。今回はそうしよう」

エーリカ「にひぃ」

ミーナ「では、定例報告です」

美緒「まず、本日の哨戒任務で――」

ルッキーニ「うにゃぁー」ギュッ

美緒「なっ……」

ルッキーニ「ふわぁぁ……」

美緒「おい。ルッキーニ、今は会議中だ」

ルッキーニ「気にしなくていいよー」

美緒「そういうわけにも……」

ミーナ「いいじゃない。聞かれて困ることはないでしょう?」

美緒「う、うむ……」

バルクホルン「――私からの報告は以上だ」

美緒「では、終わるか。引き続き、任務にあたってくれ」

エーリカ「了解!」

ミーナ「それでは解散」

バルクホルン「行くぞ、ハルトマン」

エーリカ「はぁーい」

ミーナ「さてと書類整理をしないと」

美緒「ミーナ」

ミーナ「どうしたの?」

美緒「動けないなんだが……」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……」

ミーナ「よかったわね。これで美緒も501の一員よ」

美緒「あのな……」

ルッキーニ「にゃぁ……」

ミーナ「ふふっ。いい寝顔。もう少し寝かせてあげてもいいと思うわ」

>>79
リーネ「気にしてないって言って坂本さんは納得してくれるかな?」

リーネ「気にしてないって言って坂本少佐は納得してくれるかな?」

>>82
美緒「動けないなんだが……」

美緒「動けないんだが……」

美緒「おい。ルッキーニ。私にも仕事があるんだ。起きてくれ」

ルッキーニ「やだぁ」

美緒「怒るぞ?」

ルッキーニ「いいよー」

美緒「全く……」

ルッキーニ「にゃははは」

美緒「いつまでこうしていればいいんだ?」

ルッキーニ「あたしの気がすむまでー」


ペリーヌ「ぐぬぬぬ……!!!」

エーリカ「どっちも嬉しそうだね」

シャーリー「ああ。ホントに……」

バルクホルン「あれは誰の提案なんだ?」

芳佳「ルッキーニちゃんです。最初からああするつもりだったみたいで」

サーニャ「いいなぁ……。結局、ルッキーニちゃんに膝枕してあげることができなかったわ」

エイラ「私がいるじゃないか、サーニャっ」

リーネ「ごめんね、芳佳ちゃん」

芳佳「急にどうしたの?」

リーネ「私がカレーを作ろうなんて言いださなかったこんなことには……」

芳佳「リーネちゃんは何も悪くないよ」

リーネ「だけど……」

サーニャ「私たちのことを真剣に考えてくれたもの。お礼を言いたいぐらいだから」

リーネ「サーニャちゃん……。ありがとう」

ミーナ「ともあれ、これで解決ね」

バルクホルン「そうだな。ここにいる全員が501だ。ルッキーニが膝の上で寝ようが寝まいが関係なくな」

芳佳「はい!!」

ペリーヌ「うぅぅ……!!」

エイラ「何唸ってんだよ?」

ペリーヌ「ルッキーニさんばかりずるいですわ!! あんなにも少佐と密着して!! わたくしだって……わたくしだって……!!」

芳佳「あ、それいい! 行こう、ペリーヌさん!」グイッ

ペリーヌ「え!? あ、ちょっと!?」

美緒「……」

ルッキーニ「しょうさぁ」スリスリ

美緒「そろそろ起きて――」

芳佳「失礼しますっ」

美緒「なに? 宮藤、なんの真似だ?」

芳佳「ルッキーニちゃん、ちょっとずれてくれる?」

ルッキーニ「あいっ」

芳佳「よしっ」

美緒「よしっ。ではない。宮藤までなんだ?」

芳佳「膝枕してください!!」

美緒「頭を置いてからいうな」

芳佳「お願いします!!」

美緒「お前……」

ペリーヌ「うぅ……」モジモジ

ルッキーニ「うにゃ? ペリーヌ、かわってあげようか?」

ペリーヌ「で、でも……」

ルッキーニ「いいよね、少佐?」

美緒「……構わん。こい」

ペリーヌ「しょうさぁぁ!!!」ギュッ

美緒「10分だけだ」

芳佳「坂本さぁーん」

ペリーヌ「夢のようですわぁ……」

美緒「何なんだお前たちは」

ルッキーニ「にひぃ!」

サーニャ「ルッキーニちゃん」

ルッキーニ「サーニャー!!」

サーニャ「どうぞ」

ルッキーニ「初めて膝枕ぁー」

サーニャ「やっときてくれたね。嬉しい」

エイラ「私も膝枕してくれー!!!」

バルクホルン「少佐……羨ましいな……」

エーリカ「トゥルーデぇ」

バルクホルン「誰がするか」

エーリカ「えー!? 私との仲じゃーん!!」

バルクホルン「黙れ」

ミーナ「意地悪しないの」

バルクホルン「なんで私がエーリカに膝枕などしなければならないんだ!!」

リーネ「ルッキーニちゃん、どう?」

ルッキーニ「サーニャ、やわらかーい。さいこー」

エイラ「ダヨナー」

サーニャ「くすぐったい……」

シャーリー「なんか新しい愛情表現みたいだな」

リーネ「そうかもしれないですね」

シャーリー「リーネ、私の膝、使うか?」

リーネ「え!? あ、えっと……少しだけ……」

~後日~

ルッキーニ「よっしかぁー」

芳佳「どうしたの?」

ルッキーニ「ひざまくらー」

芳佳「ああ、うん。どうぞ」

ルッキーニ「はぁー。ありがと」

芳佳「ふふっ」

ルッキーニ「なに?」

芳佳「あ、ごめんね。今では自然にルッキーニちゃんが膝の上にきてくれるのが少し不思議で……」

ルッキーニ「だって、あたしがこうしないと皆不安になるんでしょ?」

芳佳「そんなことないよ。でも、ルッキーニちゃんに好かれるのはすごく嬉しいことだから」

ルッキーニ「私は最初から好きだったんだよー? シャーリーが余計なこと言うからぁ」

芳佳「あはは。シャーリーさんもそのこととっても気にしてたんだから」

ルッキーニ「そうだけどぉ」

芳佳「それにね。あのことがあったから、今ルッキーニちゃんがこんなに近くにいる気がするんだ」

ルッキーニ「にひぃ。それもそっか! なら、シャーリーには感謝しないとね!」

芳佳「うん、そうだよ」

シャーリー「嬉しいこといってくれるなぁ。宮藤」

芳佳「シャーリーさんっ」

ルッキーニ「シャーリー!」ギュッ

シャーリー「おいおい、宮藤に膝枕してもらってたんだろ?」

ルッキーニ「いーの! 芳佳もおいでよー」

芳佳「うんっ」

シャーリー「なんだよ。二人同時に乗ってこられたら重たいだろ」

ルッキーニ「ダメなのー? あたしも芳佳も501の一員なのにー」

芳佳「お願いします!! シャーリーさん!! こうして上を向くだけで絶景が……!!」

シャーリー「はいはい。そうだな。好きなだけ使えよ」

芳佳「ありがとうございます!! 相変わらず凄い眺め……!!」

シャーリー「ま、これが501である証っていうなら、私も嬉しいからな」

ルッキーニ「にゃはー。シャーリー、だーいすきっ」


END

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