ライナー「帰りたい…」(136)


ライナー「あーやっぱり夕飯の時間が一番最高だな」

エレン「おいライナー、シチュー残ってるぞ」

ライナー「いいかエレンこれは残ってるんじゃなくてわざとゆっくり食べ」

サシャ「え!シチュー残すんですか!もったいないので私がいただきますね!」バリムシャァ

ライナー「…」

サシャ「御馳走様でした!明日もシチューよろしくお願いします!」

ライナー「帰りたい…」


クリスタ「きゃっ」ドン

ベルトルト「あ、ごめん、ぼーっとしてた…!」

クリスタ「ううん、私こそ前見てなかったから…」

ベルトルト(可愛い)

ベルトルト「よかったらお詫びに」

ユミル「ベルトルさんは大きすぎてクリスタのこと見えなかったんだってさー!ははは」バシバシ

クリスタ「もー大体ユミルがふざけてきたからぶつかっちゃったんでしょー!」

ユミル「そうだっけ?」ケラケラ

ユミル(残念だがクリスタには近寄らせないぜ)チラッ

ベルトルト「…」

クリスタ「ユミルのバカー!」プイッ

ベルトルト「…」

ベルトルト「帰りたい…」


エレン「うおらっ!」ブンッ

コニー「うぎゃ!」ベチャッ

アニ「あ」カランカラン

コニー「エレンお前さっきから俺の事投げ飛ばしすぎだろ!ちょっとは手加減しろ!」

エレン「あー悪い悪い」

アニ「…」

コニー「あれ!?短剣がない」

アニ「…ほら」ポイッ

コニ―「おお、さんきゅ…うわお前顔怖っ!」

エレン「何言ってんだよ!アニはいつもこんなんだろ!」

コニー「そうだっけか。悪い悪い」

アニ「…」

アニ「帰りたい…」


深夜

ライナー「それでは今日も帰りたくなった出来事を語ってもらいます」

アニ「はい」

ライナー「はいアニ」

アニ「対人格闘の時間にコニ―の短剣が飛んできたから拾ってやったら顔怖いって言われた」

ライナー「ああコニ―な…」

アニ「エレンからも怖いって」

ベルトルト「エレンも人の事言えないくらい普段から顔怖いけどね…」

ライナー「特に俺たちをぶっ殺すとかって息巻いてる時の顔の怖さったらないよなあ!」

ベルトルト「ホントに駆逐されるかと思うくらい怖いよね」


アニ「あのゲジ眉のことはどうでもいいけど、さすがにこうも怖いって言われると私も少し傷つくんだよね」

アニ「まあいつか全員殺すわけだし別にいいんだけど」

ベルトルト「…」

ライナー「あー…、じゃああれだ、もう少しにこやかにしてみたらどうだ」

アニ「愛想笑いってこと?」

ライナー「まあそうだな、俺もよく黙ってたら怖いって言われてたけど始終笑ってればそんなことも言われなくなったぞ」

アニ「ふうん」

ベルトルト「二人とも目つき悪いもんね」

ライアニ「は?」

ベルトルト「ううんなんでもない」


ライナー「じゃあアニの対策はそんなところだな。次」

ベルトルト「…はい」

ライナー「はいベルトルト」

ベルトルト「今日食堂の前の廊下でクリスタとぶつかってさ」

ライナー「それうらやましい話だろ」

ベルトルト「いや、その後ユミルが来て睨まれた後しばらく二人のイチャイチャを見せつけられた」

ライナー「…ユミル…いつもクリスタと一緒にいるよな…」

ベルトルト「うらやましい限りだよ…」

アニ「ばかじゃないのあんたら」


アニ「対策はクリスタに近寄らない。以上」

ベルトルト「そうだね…でも今回のは向こうからぶつかってきたんだし不可抗力だと…」

アニ「その後話し続けようとしなければそんなみじめな事にならなかったんだからあんたが悪い」

ベルトルト「…はい」シュン

ライナー「…じゃあ、最後に俺いいか」

アニ「いいよ」

ライナー「夕飯で大事に残してたシチューをサシャに食べられた」

ベルトルト「…それは」

アニ「それはライナーが悪いね」

ライナー「は?!」


アニ「サシャが近くにいるのに呑気に食べ物残してたんだろ?」

アニ「そうなるのは当たり前じゃないか」

ライナー「うっ」

ベルトルト「ごめんライナー、僕もサシャに関してはもうあきらめるしかないと思うよ」

ライナー「うぐぐ」

アニ「今度っから好きなものは一番最初に食べること」

ライナー「…おう」

ベルトルト「…じゃあ今日はこれくらいかな?」

アニ「そうだね」

ライナー「あー今日も故郷に帰りたい一日だった!解散!」

ベルトルト「はーい。おやすみアニ」

アニ「ん」


次の日

エレン「ライナーって筋肉すげえよな!」

ライナー「まあ、鍛えてるからな」

エレン「アレやってくれよ!腕の筋肉ムキってやつ!」

ライナー「おういいぞ。っふ!」ムキッ

エレン「おおー!ミカサよりすげー!!」

アルミン「いいなあ僕もそんな風に筋肉つけられたらなあ…」

ライナー「アルミンにはアルミンの良さがあるんだから、それを大事にしろよ」

ミカサ「さっきエレンが私を呼ぶ声が聞こえた気がした」ヒョコッ

エレン「ミカサ見ろよ!お前よりも筋肉すげーんだぜ!」

ミカサ「…」ギロッ


ライナー「!」ビクッ

ミカサ「…私の方がすごい」ジー

エレン「何言ってんだよどう見てもライナーのがすごいだろ」ペチペチ

ライナー「い、いやエレン」

ミカサ「ライナー…」ギロッ

ライナー「…はい」

ミカサ「エレンに気に入られたからってあまり調子に乗らないでほしい」クワッ

ライナー「…っ、は、はい」ビックゥ

ライナー(俺が何をしたってんだよ…!)

ライナー「帰りたい…」


コニー「あ、おはようえっと」

ベルトルト「おはようコニー」

コニー「ええーっと、えー」

ベルトルト「どうしたの?」

コニー「いやっ!ちょっと待ってくれ!えーっと、あ!」

ベルトルト「うん」

コニー「思い出した!ベルベルトだ!あーすっきりした!あ、サシャだ!くらえバックドロップ!」

サシャ「ちょ!背後から技かけるなんて卑怯ですよ!」

ベルトルト「…」

ベルトルト「帰りたい…」


アニ(愛想笑いねえ…)

アニ「…」ニコッ

アニ「…きも」

ミーナ「どうしたのアニ、さっきからずっと鏡の前で笑ってるけど…」

アニ「…!?」バッ

アニ(見られてた…!?)

ユミル「大方笑顔の練習でもしてたんだろー可愛いねーアニちゃんは」ケラケラ

クリスタ「ちょっとユミル!大丈夫だよ!今のアニの顔すっごく可愛かったよ!」

ミーナ「そ、そうだよ!ごめん、ちょっとびっくりしただけ!そ、それじゃ!」パタパタパタ

アニ「…」

アニ「帰りたい…」

深夜

ベルトルト「それじゃあ今日も」

アニ「はい」

ベルトルト(早いな)

ベルトルト「はいアニ」

アニ「今日鏡の前で練習してたらミーナ達に見られてた」

ライナー「練習?」

アニ「…笑う練習」

ライナー「ぶっ!アニにも案外可愛いところがあるんだな」

ベルトルト「案外は余計だよライナー…」

アニ「…明日の対人格闘技、覚えときなよ」

ライナー「…すまん」


ベルトルト「僕は良いと思うよ」

アニ「は?」

ベルトルト「ほら、アニがそうやって自分を良くしようって努力してるのを皆が知れば怖いなんて言う人もいなくなると思うし」

アニ「…でしょ…」

ライナー「ん?」

アニ「そんなこと気にしてるのが知れたら恥ずかしいでしょ…」プルプル

ベルトルト(可愛い)

ライナー「そうか?別に一々そんなこと気にしないだろ」

ベルトルト「ライナー…君ってやつは…」

アニ「まあ脳筋野郎にはわからない悩みだろうね」フンッ

ライナー「」


ベルトルト「はは…あ、じゃあ次僕いいかな」

ライナー「お、おう、そうだな次行こう次」

ベルトルト「またコニーが僕の名前間違えたんだよ…」

アニ「あいつほんとにバカなんだね」

ベルトルト「これで何度目だと思ってるんだ…!」

ライナー「コニーは…基本的になじみの薄いやつにはそんな感じだからな…」

ベルトルト「…」シュン

ライナー「き、気にすんなよベルトルト!俺たちは絶対間違えないから!」

アニ「そうだよ。別に、私たちさえわかってれば十分でしょ」

ベルトルト「うん…」


ライナー「じゃあ最後は俺だな。今日はエレンが必要以上に俺を褒めたせいでミカサにすげえ睨まれた」

ベルトルト「うわあ…」

アニ「ご愁傷様」

ベルトルト「ミカサは怖い」

ライナー「ああ」

アニ「…」

ベルトルト「正直同期の中で断トツで怖い」

ライナー「アニよりも目力すごいよな」

アニ「どういう意味だいそれ」ギロッ


ライナー「いや深い意味は」

アニ「…」

ベルトルト「ライナーはどうして地味に地雷を踏みに行くんだ…」

ライナー「は?」

ベルトルト「別になんでもないよ…」

アニ「あの女が怖いならエレンに近寄らなきゃいいだろ」

ライナー「いや、そうもいかないだろ…」

アニ「何で?」


ライナー「うーん、俺はエレンに好かれてるし。後なんだかんだで話しやすいんだよな」

ベルトルト「…」

アニ「…話さなきゃいいじゃない」

ライナー「はあ?」

アニ「前々から思ってたけどライナーはあいつらと仲良くしすぎじゃないか」

アニ「私たちはあいつらを殲滅するためにここにいるんだよ」

ライナー「…わかってるよ。ただ、怪しまれない程度には仲良くしておいた方が後々動きやすいだろ」

ベルトルト「…」

アニ「…まあそうだけどね」

ベルトルト「…ああ」


ライナー「まあその辺は上手くやるさ」

ベルトルト「…そうだね」

アニ「…」

ライナー「…今日も故郷に帰りたい一日だった!解散!」

ベルトルト「…」

アニ「…それじゃ」

ライナー「ああ、おやすみ」

ベルトルト「…おやすみ」


数日後

ジャン「くそー!なんでいつまでたってもエレンに勝てねーんだよ!」

ライナー「エレンは格闘技に関しては群を抜いてるからなあ」

ジャン「なんだそれ!くっそむかつく」

マルコ「ジャン今日も荒れてるねえ」

ジャン「昼のあれ見ただろ!」

マルコ「ミカサがエレンの口汚れてたから拭った奴?」

ジャン「それだよ!ガキかっつうの!」


ジャン「こうなったらもうエレンに一泡吹かせてやるしかこのイライラを発散する方法はねえ!」

ジャン「てなわけでライナー!俺の練習相手になってくれ」

ライナー「別にかまわないが、俺は手加減しないぞ?」

ジャン「むしろその方がいい練習になる!」

マルコ「あんまり無理して怪我するなよ」

ジャン「おっしゃあ行くぞライナー!」

ライナー「おう来い!」

アルミン「ううー」

ベルトルト「アルミン、どうしたの?」

アルミン「ベルトルト!丁度良かった!あの一番上の本を取りたいんだけど…!」

ベルトルト「ん、これ?」

アルミン「そうそれ!ありがとう」

ベルトルト「はい、アルミンはよく本読んでるね」

アルミン「え、いや…訓練生になってからはあんまり読めてないよ…毎日疲れてそれどころじゃなくってさ」

ベルトルト「はは、たしかにね」

アルミン「それに、本だったらベルトルトもよく読んでるだろ?」

ベルトルト「え?」


ベルトルト「…あ、ああ、そうだね…」

ベルトルト(僕の場合人と話したくないから読んでるんだなんて…言えない)

アルミン「うん?どうかした?」

ベルトルト「…!いや、アルミンはいつもどんな本を読んでるの?」

アルミン「え、えーっと、ね…」

アルミン「僕、昔から外の世界に行くのが夢なんだ」

ベルトルト「…」

アルミン「いつか巨人がいなくなったら、好きなだけ外の世界を冒険したくて」

アルミン「だからいっつも外の世界についての文献ばっかり読んじゃって」

アルミン「ははは、なんか子供っぽいよね」


ベルトルト「そんなことないよ」

アルミン「…そうかな」

ベルトルト「ああ、…いい夢だと思う」

アルミン「えへへ、ありがとう」

アルミン「それじゃあ僕部屋に戻るね」

ベルトルト「ああ」

ベルトルト「…」


ミーナ「アニ!はいこれ!」

アニ「…なにこれ」

ミーナ「こないだ町に行ったときにね、アニに似合いそうだなと思って、買ってきたの!」

ミーナ「いつもその髪留めじゃ味気ないでしょ」

アニ「いや、私は別に…」

ミーナ「ふうん、この間一人で笑う練習してたじゃない」

アニ「…!いや、それは」

ミーナ「いいじゃない!女の子なんだし皆から可愛いって思われたいよね!」

アニ「…まあ」


アニ「でももらえないよ、私があんたにこんな物もらえるようなこともしてないし」

ミーナ「いいの!私が好きでやってるんだから!」

アニ「…でも」

ミーナ「私つけてあげるねー!はーい後ろ向いてー」

アニ「…」

ミーナ「あ、アニの髪サラサラだ。色も綺麗な金だし、いいなあ」

アニ「…黒のが、艶やかで綺麗だと思うよ」


ミーナ「え?もしかして褒めてくれた?」

アニ「…うるさい」

ミーナ「ああー明日は雨かなーなんて、ふふふ、ありがとう」

アニ「どうも」


クリスタ「わ、アニその髪留め可愛い!」

アニ「…そうかな」

ユミル「ふーん、まあいいんじゃないの、そこそこ似合ってるし」

ミーナ「私がかったんだー!いいでしょー!」

クリスタ「あ、こないだ買ったやつか!ね、アニも今度一緒に買い物行こうよ!」

アニ「え、わ、私は…」

ミーナ「いいね!アニと買い物なんて初めてだから楽しみー!」

アニ「…」

アニ「…私は…」


深夜

ライナー「それでは今日も帰りたくなった出来事を語ってもらいます」

アニ「…」

ベルトルト「…」

ライナー「…おい、どうした」

アニ「…いや、別に」

ベルトルト「…じゃあ、はい」

ライナー「はい、ベルトルト」


ベルトルト「今日アルミンが外の世界に行きたいって言ったのを聞いて、故郷のこと思い出した」

ライナー「…おう」

ベルトルト「…」

ライナー「…」

ベルトルト「それだけ」

アニ「…」

ライナー「…そう、か」


ライナー「じゃ、じゃあ俺行くな、ええと」

ライナー「えー…」

ライナー「…」

アニ「どうしたの」

ライナー「…いや、えーっと、」

アニ「何さ」

ライナー「…今日は一日ジャンの練習に付き合っててあまり暇がなかった」

ベルトルト「…」

アニ「…そう」


ベルトルト「アニは?何かあった?」

アニ「私は…」

(ミーナ「アニ、すっごく可愛いよ!」)

アニ「今日はいろんな人にベタベタされてうっとおしかった」

ベルトルト「…」

ライナー「…」

ベルトルト「…そういえばアニ髪留め変えた?」

アニ「え」

ベルトルト「いや、変えたかなって…」

アニ「…ミーナが…」


ライナー「ミーナ?」

アニ「…いや、なんでもない」

ベルトルト「…」

ライナー「…ま、まあこういう日もあるよな」

ライナー「今日も故郷に帰りたい一日だった!解散!」

ベルトルト「アニ」

アニ「うん?」

ベルトルト「…おやすみ」

アニ「何気持ち悪い」

ベルトルト「いや」

アニ「…おやすみ」


ベルトルト「ねえライナー、僕たちさ」

ライナー「おう」

ベルトルト「故郷に帰るんだよね?」

ライナー「…ああ、もちろん帰るさ」

ベルトルト「…」

ライナー「…」

ベルトルト「…帰りたいね」

ライナー「…そうだな」

ベルトルト「おやすみライナー」

ライナー「ああ、…明日も早いな」

寝ます
明日の夜に続き書きます


数日後

ライナー「」

1です
誤爆した

数日後

ライナー「」ドカッ

ライナー「いってー…!」

ジャン「うおっしゃああ!やっと一本とれたああああ!!」

マルコ「随分ハンデつけてたけどね」

ジャン「うるせーマルコ!勝ちは勝ちだろうが!」

ライナー「今のは結構よかったんじゃないか?ここ数日練習しただけで随分上達したな」

ジャン「ま、大したことねえけどな!」

マルコ「一日中取っ組み合いしてたらそりゃあ上達するよ…」

ジャン「なんか言ったかー」

マルコ「別にー」


ジャン「エレンのやろー明日の対人格闘でみてろよ!」

ライナー「おー!頑張れよー」

ジャン「ライナーありがとな、付き合ってくれて」

ライナー「別にこれくらい大したことない。強いて言うなら今日の晩飯少し俺に分けてくれたりしたらもう言う事なしだな」

ジャン「あー?たかりか?」

ライナー「たかっちゃ悪いか」

ジャン「冗ー談だよ。今日の晩飯な!」

マルコ「なんかありがとうねライナー」

ライナー「おー気にすんなー!」

ライナー「…」

ライナー「…はあ



コニー「あ、おはようえっと」

ベルトルト「おはようコニー」

コニー「ええーっと、えー」

ベルトルト「どうし…はっ」

ベルトルト(すさまじい既視感…!)

コニー「えーっと、あ!ベロベルト!忘れてねえよ!ははははは!」

ベルトルト(やっぱりまた間違えてる…!)

ベルトルト「あのねコニー、僕の名前は…」

サシャ「コニー、彼の名前はベルトルトですよ!」

ベルトルト「!」


コニー「え?俺いまなんて言ってた?」

サシャ「ベロ…もう、間違えた方は良いんです!」

コニー「えーでも大した差はねえじゃん」

ベルトルト「いやあの…」

サシャ「大ありですよ!」

ユミル「おーどうした、お前ら二人が言い争ってんのは珍しいな」

コニー「お前は関係ねーだろー!」

サシャ「コニーがベルトルトの名前を覚えようとしないんですよ!」

ベルトルト「いや、もういいよ…」

コニー「ほら本人もこう言ってんだしさあ」

ユミル「いや、良くないよ



ユミル「いいか、名前っていうのはそれだけでその人間を表してる」

ユミル「その中には名づけた人の思いだとか、家柄だとか、多くの物が詰まってるんだ」

ユミル「だから名前を間違えたり覚えなかったりするのはそいつだけじゃなくて、そいつに関係する人たちまで否定することになる」

コニー「お、おう」

ユミル「コニーって名前だってお前の親御さんが必死に脳みそ捻らせてつけてくれた名前だろー!」

コニー「あ、そういえば父ちゃんが寝ずに考えてつけたって前言ってたような…」

ユミル「だろ?それと同じようにベルトルさんの名前にも親御さんの気持ちが詰まってるんだから」


コニー「…そうか…なんかごめんな、えっと、ベルトルト」

ベルトルト「え?いや、うん、ありがとう」

サシャ「はーユミルも偶にはいい事言うんですねえ」

ユミル「ああん?私は良い事しか言わないだろ」

サシャ「ええ、だっていつも怖…痛い痛い!」グリグリ

ユミル「ははは、よーしじゃあお寝坊さんのクリスタ一緒に起こしに行こうぜー!」

サシャ「行きますから引きずらないでくださいよー!」ズリズリズリ

コニー「あいつらバカだなー」

ベルトルト「ああ…」

コニー「…なんか、悪かった、もう間違えねえから」

ベルトルト「…うん」

コニー「よっしじゃあ食堂行こうぜ!早くしないとなくなっちまうぞ!」

ベルトルト「あ、ああ、ライナーを見つけたらすぐ行くよ」

ベルトルト「…」


アルミン「あ、アニ!いたいた!」

アニ「…なにさ」

アルミン「さっきの座学でアニと発表のペアになったから、今からどんなのやるか相談しようと思って…」

アニ「ああ…私はなんでもいいから、アルミンが決めて」

アルミン「え、アニは興味ある分野とか、無いの?」

アニ「無い」

アルミン「別になんでもいいよ…?ほら、エレンみたいに巨人の弱点を徹底的に調べるとかでも…」

アニ「巨人の弱点なんか知ったところで、実戦で動けなきゃ何の意味もない」

アルミン「…まあ…たしかに…」

アニ「そんなのに時間を費やすほど私は暇じゃないんだ。じゃあね」

アルミン「あ、待って!」


アルミン「でも、やっぱりちゃんと調べようよ」

アニ「…めんどくさいだけだよ」

アルミン「そんなことないよ!最初は面倒くさくても、知っていくうちにきっと楽しくなる」

アニ「どうだか」

アルミン「うーん…アニって、嫌いな物とか、ある?」

アニ「…他人」

アルミン「え…っと、他人か…はは、」

アルミン「えっと、例えばだけどパッと見る嫌なとこばっかりだけど、実際に話してみたらいい人だった、なんてことない?」

アルミン「エレンなんか一見巨人のことばっかりで変だけど、仲良くなったら一緒にいてすごく楽しい人の典型だと思うんだけど」

アニ「…ああ、あいつ」

アルミン「知るっていうことはそういうことだと思うんだ。人だけじゃなくて、物も」

アルミン「そのことについて知れば知るだけ、楽しくなる」

アニ「…」


アニ(知れば知るだけ…か)

アルミン「あ、だ、だからさ、話がちょっとそれちゃったんだけど、ちゃんと発表の準備を…」

アニ「いいよ」

アルミン「ほんと!」

アニ「ああ」

アルミン「じゃあどうしようか、アニ好きな物は…ないんだっけ」

アニ「外の世界」

アルミン「え?」

アニ「私も、外の世界が好きだよ」

アルミン「!じゃ、じゃあ外の世界について調べよう!僕、本持ってくるよ」

アニ「ん、わかった」

アニ「…」

アニ「…何してるんだろうね、私は」


深夜

アニ「…遅い」

ベルトルト「ごめんね、なかなか抜け出すのに手間取っちゃって」

アニ「…まあいいよ、ライナーは?」

ベルトルト「今日は疲れたから寝るって」

アニ「またか…最近それ多いね」

ベルトルト「ほら、ジャンの特訓に付き合ってたのもあるからさ…」

アニ「ああ…」


ベルトルト「じゃあ、今日も帰りたくなった出来事を語ってもらいます」

アニ「ふふん」

ベルトルト「どうしたの?」

アニ「いや、それ、前はいつもライナーがやってたじゃない」

ベルトルト「うん」

アニ「最近いなくて代わりにアンタがやってたけど、ちょっと板についてきたね」

ベルトルト「そうかな」

アニ「ああ」


ベルトルト「アニ、なにかある?」

アニ「…アルミンが、発表の準備を一緒にしようってしつこかった、かな」

アニ「座学なんてどうでもいいだろうにね…」

ベルトルト「…そう、だね」

アニ「おまけに、何思ったんだか私に知ることがどんなに楽しいかってことを必死に説いてきてさ」

アニ「私が見るからに突き放してるってのに…頭が良いんだか悪いんだか」

アニ「ホント笑っちゃうよ」

ベルトルト「うん…そっか」


アニ「ベルトルトは?何かあったかい」

ベルトルト「僕は…特に」

ベルトルト「いつもと変わらない一日だったよ」

アニ「そう」

ベルトルト「あ、でも…コニーが名前間違えてごめんって、言ってくれた」

アニ「へえ、良かったじゃん」

ベルトルト「…」

ベルトルト「…よかった、のかな」


アニ「間違え続けられるよりは良いでしょ」

ベルトルト「いや…。…僕たち、訓練兵になってからもう一年位経つね」

アニ「そうだね」

ベルトルト「…最近思うんだ。僕が彼らと会話する資格があるのかって」

アニ「…」

ベルトルト「名前を憶えてもらうのだってそう、僕はそもそも彼らと接する資格なんかないんじゃないか」

ベルトルト「怖いんだ」

ベルトルト「皆を知ることが、皆に自分を知られることが怖い」

ベルトルト「やるべきことはいつだって変わらないのに、過ごした日々の分だけその重さがどんどん増している気がするんだよ」

ベルトルト「…はは、僕の、考えすぎかな」

アニ「…いや」


アニ「今日、アルミンが言ってた。知れば知るだけ、楽しくなるって」

アニ「知れば知るだけ何かを得られるなら」

アニ「私たちは壁の中にいるやつらを知って、確実に何かを得てるんだろうね」

ベルトルト「何か、か」

アニ「それが楽しさなのか、恐怖心なのか、罪悪感なのかはそれぞれなんじゃないの」

ベルトルト「…アニは」

ベルトルト「罪悪感を、感じてるの」

アニ「…」

アニ「…寝る」スッ

ベルトルト「…」

ベルトルト「…その重みで帰れなくなるくらいなら、僕は…」


数か月後

ライナー「うーん」

エレン「お、ライナー、珍しく難しそうな顔してどうした」

ライナー「いや、最近どーもベルトルトの元気がねーんだよなあ」

アルミン「ベルトルト?」

ライナー「ああ、ここ一、二か月あいつが思いっきり笑ったとこも見てないし」

ミカサ「…私はそもそもベルトルトが笑ったところを見たことがない」

ライナー「あー見えても昔は良くケラケラ笑ってたんだぞ。ああ見えても笑い上戸でな!」

ライナー「まあ引っ込み思案なのはそんなに変わってないけどな」


アルミン「そういえば、僕もここ最近ベルトルトと話してないや」

エレン「ええ!アルミン、ベルトルトと仲良かったのかよ!」

アルミン「うーん、本の貸し借りとか結構してたんだけど。それも最近は全然してないなあ」

ライナー「なんつうか、人見知りが輪をかけて酷くなってるんだよな」

ライナー「前は俺がお前らと話してても普通に話に加わってきたりしてたのに、最近じゃ他人といると近寄っても来ない」

アルミン「何か辛い事でもあったのかな?」

エレン「うーん、あ、じゃあ俺たちがベルトルトを励ましてやろうぜ!」

ライナー「…!ほんとか!」


エレン「ああ!折角同期になったんだし、色んなやつと仲良くしたいだろ!」

アルミン「そうだね、僕も前みたいにベルトルトにちょこちょこ話しかけてみるよ」

ライナー「あー…なんかすまねえな」

エレン「気にすんなよ、俺たち仲間だろ」

ライナー(仲間…か、)

エレン「ライナー?」

ライナー「あ?…ああ、すまん、ぼーっとしてた」

エレン「たっく、しっかりしろよー」

ライナー「…すまない」


ベルトルト(ライナー…次は馬術だから早めに行って馬の様子見ようって言ってたくせにどこ行ったんだよ…)

ライナー「じゃあどうするかだよなあー」

ベルトルト(あ、ライナーの声…こっちか)

ベルトルト「ライ…」

エレン「っていうのはどうだ!?」

アルミン「それはさすがに怒られるでしょ…」

ミカサ「エレンはもうちょっと考えてからしゃべった方がいい」

エレン「はあーなんだよお前ら!」

ベルトルト「…」


アルミン「もうちょっと真剣に考えようよ」

エレン「俺は真剣だって」

ライナー「まあ…真剣なのは伝わるが…」

エレン「だろ!」

ライナー「でもさすがにそれはねえって」ゲラゲラ

エレン「なんだよ!ライナーまで言うかー!」

ベルトルト「…」

ベルトルト(ライナー楽しそうだな…)

ベルトルト「…帰りたい…」


ミーナ「ねえ、アニ、結構前なんだけど、買い物行こうって話覚えてる?」

アニ「…ん、ああ、そんな話もしてたね」

クリスタ「あの時は試験が近くなっちゃって結局行けなかったじゃない?だから今度の休みに…」

アニ「ごめん、そんな気分じゃないんだ」

クリスタ「あ…そ、そっか、こっちこそごめんね」

ユミル「おいおい折角誘ってやってんのに、私らと一緒に行くのがそんなに嫌かよ」

クリスタ「ユミル!」


ミーナ「…」

アニ「別に…そう思ってくれても構わないよ」

ユミル「はあ?」

アニ「だから、そう思ってくれてもこっちは全然かまわないって」

ミーナ「やっぱり行こう!」

アニ「はあ?」


アニ「私は」

ミーナ「だってアニ、今すごいさびしそうな顔してるよ」

アニ「…!」

ミーナ「なーに思い詰めてるのか知らないけど、そんな顔するくらいならパーッと買い物してさ!」

ミーナ「嫌なこと全部発散しちゃおうよ!」

アニ「い、いや…」

クリスタ「…アニ…?」

アニ「私は…」


アニ(ここで行ってどうするんだ)

アニ(私はいつかこの子たちを殺す)

アニ(そうだ、殺すんだ、だから、これ以上は)

ミーナ「アニ」

アニ「…何」

ミーナ「私さ、これでも一応アニとは仲のいい友達のつもりなんだ」

アニ「…」

ミーナ「だから、何か悩んでるんだったら、私、何でもするから」

ミーナ「良かったら相談してほしいな…」

アニ「…あ」


ミーナ「な、なーんてね!もーそんな深刻そうな顔しないでよ!」

アニ「…」

ミーナ「…でも、相談に乗るのはほんとだから。じゃあ、今度の休み、約束ね!」

ユミル「…クリスタ、私たちも行こう」

クリスタ「え?う、うん」

アニ(友達…)

アニ(なんなんだ…このままじゃ私はほんとに…)

アニ「…」

アニ「…帰りたい…」

寝ます
明日の夜に続き書きます


深夜

ライナー「あれ、アニの奴まだ来てないのか」

ベルトルト「…」

ライナー「まあ話してれば来るか」

ベルトルト「…本人に来る気があるならね」

ライナー「ん、どういう意味だ?」

ベルトルト「いや、大した意味じゃないよ」

ライナー「そうか?よし、それじゃあ…二人なら仕切る必要もないか」


ベルトルト「僕は、今日も特に何もなかった」

ライナー「…おう」

ベルトルト「ライナーは?」

ライナー「俺?…は、まあ、特には無いな」

ベルトルト「そう」

ベルトルト(…ライナーは皆と仲良くしすぎだって、注意するべきだろうか)

ベルトルト(でもそんなの余計なお世話かもしれない)

ベルトルト(最後に辛いのは自分自身なんだって、ライナー自身もわかってるはずだ)

ベルトルト(でも…)

ライナー「…おい」

ベルトルト「ん、何」


ライナー「最近お前元気ないだろ、なんかあったか」

ベルトルト「え…」

ライナー「一月くらいちょっとおかしくないか?他の奴らとも全然話さなくなったし…もし嫌がらせとかされてるんだったら俺に」

ベルトルト「おかしいのはライナーの方だろ」

ライナー「…どうした急に」

ベルトルト「…いや…ごめん、疲れてるんだ。先に部屋戻る」

ライナー「お、おう」

ライナー(俺がおかしい…か)

ライナー(ベルトルトのやつ、よっぽど辛いことがあったのか…?)


次の日

エレン「おーいベルトルトー!」

ベルトルト「!?」ビクッ

ベルトルト「な、なに?」

エレン「いやーお前ほんと背高いよなー!今度のばす秘訣教えてくれよ!」

ベルトルト「え…いや、別に秘訣とかわからないよ…」

エレン「なんかあるだろーこういうもん良く食べてたとか、早寝早起きしたーとか!」

ベルトルト「ええっと、山菜は良く食べてたけど…」

エレン「野菜っていいのか!」

ベルトルト「さ、さあ?」

アルミン「ベルトルト!」


ベルトルト「!!」ビクッ

ベルトルト「ああ、アルミン?」

アルミン「最近話してなかったから、また一緒に本の話したいなって思って、図書館から何冊か借りてきたんだけど」

アルミン「よかったら好きなの貸すよ!」

ベルトルト「え、あの…」

アルミン「うん?」

ベルトルト「どうしたの、急に」


アルミン「別に、ただ話したいなって思っただけだよ」

ベルトルト「そう…?」

エレン「うわーアルミンせっかくならもっと難しくない本持って来いよ」

アルミン「ええ、そんな難しい物はないはずだけど…」

ベルトルト(おかしい…何で二人とも急に話しかけてきたりなんか…)

ミカサ「ベルトルト」

ベルトルト「え…ミカサ…!?」


ミカサ「なんでそんな驚いた顔をしているの?」

ベルトルト「ええ、いや、珍しいなって…ははは…」アセアセ

エレン(すげー汗かいてる)

ミカサ「エレン、アルミン、早く行かないと食堂の席が埋まる」

エレン「お、そうだな!」

ベルトルト(解放される…助かった…)

ミカサ「…」クルッ

ベルトルト「?」

ミカサ「何してるの、早く」

アルミン「そうだね、たまには一緒に食べようよ!」

エレン「ほら、行くぞ!」グイッ

ベルトルト「え、ええっ?!」


ベルトルト(成り行きでついてきちゃったものの何なんだこの状況は…)

エレン「な!ベルトルトもそう思うだろ!」

ベルトルト「え、ああうん」

アルミン「無理してエレンにあわせる必要ないよ!」

エレン「どういう意味だよアルミン!」

ベルトルト(さっさと食べて部屋に戻ろう)パクパク

ライナー「よー、ベルトルト、エレン達と食事なんて珍しいな」

ベルトルト「…ライナー」


エレン「あ、ライナーも一緒に食べようぜ!」

ライナー「おお!じゃあお言葉に甘えるかな」

ベルトルト「…」ジー

ライナー「…どうした?」

ベルトルト「いや」フイッ

ライナー「…」


エレン「しっかしお前ら仲良いよなあ。いつも一緒にいるし」

ライナー「それを言うならそっちもだろ」

アルミン「確かにね…」

エレン「アルミンもミカサも小さいころから一緒にいるからな!もう家族みたいなもんだし」

ミカサ「みたいなじゃなくて、家族」

アルミン「ははは…ベルトルトにとってもライナーは家族みたいなものでしょ?」

ベルトルト「え、ああ、そう、だね…」

ベルトルト(ホントになんだこれ…帰りたい…)

エレン「…元気でたか?」

ベルトルト「え?」


エレン「最近元気ないって、ライナーがめちゃくちゃ心配してたぞ」

ライナー「お、おいエレン」

エレン「なんかあるなら相談だけでもしてやってくれよ。お前ら仲良いんだから」

ベルトルト「…ライナー」

ライナー「いや、そのな、」

ベルトルト「…何考えてるの…?」

ライナー「え?」


ベルトルト「余計なことしないでくれよ…頼むから」

ライナー「俺はただお前が皆と仲良くやれればいいと思って…!」

ベルトルト「それが余計なんだよ!」

ライナー「!」

エレン「おい、なんだよその言い方!」グイッ

ベルトルト「…っ」

アルミン「え、エレン!やめなよ!」


エレン「ライナーがベルトルトのことを思ってやった事だろ!それを余計なことって…!」

ベルトルト「…わからないよ」

エレン「ああ?」

ベルトルト「君たちに僕の気持ちなんてわからない…!」

ライナー「おいベルトルト!」

エレン「…わかんねーに決まってんだろ」

エレン「いくら家族みたいに仲が良くたって、そいつが何考えてるのか言われないとわかんねーよ!」

エレン「ぐちぐち言う前にその気持ちぶちまければいいだろうが!」

エレン「お前にはそれを受け止めてくれる人間もちゃんといるだろ!それなのに何がそんなに不満なんだよ!」

ベルトルト「…」


ミカサ「エレン、あまり大きな声を出すと教官に見つかる」

エレン「…でもよ」

ベルトルト「…ごめん、つっかかって」

アルミン「え…」

ベルトルト「最近、ちょっとイライラしてたんだ、でももう大丈夫だから」

ライナー「ベルトルト」

ベルトルト「…ライナー、後でちょっといいかな」

ライナー「…!ああ、もちろんだ」

ベルトルト「…じゃあ、後でね」

ライナー「おお!」


エレン「よかったなライナー!」

ライナー「ああ、なんか悪かったな」

アルミン「エレンが怒り出した時はどうなるかと思ったよ…」

エレン「いいだろ、丸く収まったんだから」

ミカサ「そういう問題じゃない。エレンはもう少し落ち着いて人と接するべき」

エレン「お前は俺の親かよ…」

ライナー「ああでも、なんとかへこんでる理由は聞きだせそうだから、安心したよ」

ライナー(しかし、ベルトルトはなんであんなにキレてたんだ…)


ベルトルト(ライナーは何考えてるんだ…)

ベルトルト(今日はっきり伝えよう)

ベルトルト(僕はもう壁の中の人間とは関わりたくないって)

アニ「ベルトルト」

ベルトルト「…アニ」

アニ「珍しいね、あんたが人前であんな大きな声出すなんてさ」

ベルトルト「ご、ごめん」


アニ「別に、責めてるわけじゃない」

ベルトルト「…」

アニ「まあ、せいぜい頑張りなよ」

ベルトルト「…うん」


アニ(…ベルトルトも相当来てるね…)

ミーナ「あ、いたいた!早く授業行かないと教官にまた怒られるよ!」

アニ「…今行く」

アニ(来てるのは私も同じか…)

ミーナ「どうしたの?なんか楽しそうだね」

アニ「楽しそう?どこが」

ミーナ「だって今ちょっと笑ったでしょ。あ、私が迎えに来たから嬉しくなっちゃった?いやー照れるなー」

アニ「…」

ミーナ「…冗談だよ」


深夜

ライナー「…なんか、三人全員揃うの、久々だな」

アニ「そうだね」

ベルトルト「…」

ライナー「それで、なんでなんだ。急に周りと距離を取り出したのは」

ベルトルト「…その前に聞きたいんだけど」

ライナー「なんだ」

ベルトルト「ライナーは、本当に帰る気があるの」


アニ「…」

ライナー「あるに決まってるだろ」

ベルトルト「じゃあ、その時が来たら、彼らを殺せるの」

ライナー「…」

ベルトルト「ねえ」

ライナー「そんなの、まだ」

ベルトルト「考えることじゃない、って?でもいつか必ず来るんだ。故郷へ帰るためには」

ライナー「…俺は…」


ライナー「俺は…やれる」

ライナー「与えられた使命は全うしてみせる」

ベルトルト「…そう。でも、僕はできない」

ライナー「え」

ベルトルト「これ以上仲良くなってしまったら、僕にはもう彼らを殺せる自信がない」

アニ「…」

ベルトルト「だから、もう必要以上に干渉するのはやめることにしたんだ」

ベルトルト「…僕はライナーみたいに強くないから…、こうするしか、もう手が見つからない」

ライナー「…そう、か」


アニ(…殺したくないと思った時点でもう手遅れなんじゃないか)

アニ(まあそんなの本人が一番良くわかってるだろうけど)

ベルトルト「別にライナーが彼らと仲良くしてることを咎めてるんじゃない」

ベルトルト「ただ…、それに僕を巻き込むのは、やめてほしい」

アニ「…」

ライナー「…すまなかった」

ベルトルト「べ、別に謝ってほしいとかでは…」

ライナー「いや」


ライナー「たしかにそうだ、いつかはあいつらを切り捨てなきゃいけないとわかっていた」

ライナー「ただ、俺も、逃げてたんだろうな、戦士としての使命を全うすることから」

ベルトルト「…うん」

ライナー「…俺ももう少し距離を取ることにする」

ベルトルト「え!」

ライナー「このまま行っても必要以上に情が湧くだけだろうからな」

アニ「…そう」

ベルトルト「…よかった」

ライナー「うん?」

ベルトルト「ライナーは変わってしまったと思ってたけど、やっぱり、戦士だった」

ライナー「…ああ」

アニ「…」

寝ます
明日の昼に続き書きます
そろそろ終わらせます


二年後 訓練兵団解散式前日

ジャン「いよいよ明日は解散式か…長かった…!」

マルコ「十位以内に入れるか不安だな…」

ジャン「マルコはなんだかんだ成績優秀ないい子ちゃんだから大丈夫だろ」

マルコ「ははは…ジャンも、あの立体起動の成績なら大丈夫だね」

ジャン「ったりめーだろうが!少なくともあの死に急ぎ野郎よりは上だろうな!」

エレン「おいジャンそれ俺の事かよ」

ジャン「さーなー」


ライナー「あーあーまたやってるなあいつら」

ベルトルト「あの二人は最後まであんな感じだったね」

ライナー「よく飽きないよなあ」

ユミル「そこのお二人さん、余裕そうだね。まああの成績なら当然か」

クリスタ「二人ともなんでもできちゃうよね、尊敬するなあ…」

ライナー(可愛い…)


ベルトルト「そういうユミルも、悪くはないでしょ」

ユミル「まあな。っていってもベルトルさんほどではないけど」

クリスタ「ユミル最近調子悪かったよね…大丈夫かな…」

ユミル「私の心配するくらいなら、自分の心配しときなよ」

クリスタ「わ、私はいいよ、憲兵なんて…それにきっと無理だし…」

ユミル「まあ、明日楽しみにしてなって」

クリスタ「え?う、うん…?」


ミーナ「アニは絶対十位以内だよねーいいなあ、私も憲兵団になりたかったなー」

アニ「…正式に発表されるまではわかんないよ」

ミーナ「そんなこといってさー」

ミーナ「…アニは、やっぱり憲兵団に入るの?」

アニ「…だからそんなのわかんないよ」

ミーナ「じゃなくって、十位以内になったら」

アニ「…ああ」


ミーナ「そっかー」

アニ「何さ」

ミーナ「うーん、離れ離れになっちゃうのちょっとさびしいかなーなんて」

アニ「…バカじゃないの」

ミーナ「うーん」

アニ「…配属先が別々になったって会えなくなるわけじゃないでしょ」

ミーナ「…!」

ミーナ「そ、そうだね!何いってんだろ私、恥ずかしー!」

アニ「…」


深夜

ライナー「とうとう明日だな」

ベルトルト「解散式…」

ライナー「まあ試験も手を抜かずやってきたし、大丈夫だとは思うが」

アニ「万一一人が無理でもほかの二人が良ければ十分でしょ」

ベルトルト「そうだね」

ライナー「しっかし、最後までミカサにはかなわなかったなあ」

アニ「あいつは化け物だろ…」

ベルトルト「あの力は一体どこから出てるんだろうね…」


ライナー「…で、今後の話なんだが」

アニ「…うん」

ベルトルト「次の壁、だよね」

ライナー「ああ。内地に行くことになれば、またウォールローゼに戻るのは色々面倒だ」

ライナー「ローゼを壊すなら、明日の解散式が終わってから内地に配属されるまでの間にやるのが妥当だと…俺は思う」

アニ「つまり、やるなら明後日あたりが、いいってことか」

ライナー「…だろうな」

ベルトルト「…僕はそれでいいよ」


ベルトルト「五年前と同じように突出してる町の扉を蹴破ればいいんだよね」

ライナー「ああ、そうしたら俺が巨人が集まってきたタイミングを見計らってウォールローゼの扉を破る」

アニ「私は?また巨人を集める?」

ライナー「いや、アニは動かなくていい」

アニ「…は?」

ライナー「ベルトルトが扉を壊した後、訓練兵全員が徴集される」

ライナー「そこからすぐ班行動に移るだろうから、一人でもいないやつがいると怪しまれる」

アニ「…じゃあライナーはどうするのさ」

ライナー「俺はある程度巨人共が暴れまわって壊滅状態になった後にこっそり行くことにする」

アニ「…」

ライナー「今怪しまれたら折角の憲兵団行きもパーになるんだ。なるべく動きは少ない方がいい」

アニ「…わかったよ」


ベルトルト「なんか、久しぶりだから、緊張するね」

ライナー「大丈夫だろ、五年前のガキの時だってできたんだから」

ベルトルト「あの時とはまた状況が違ってるけどね…」

ライナー「…」

アニ「…先陣を切るのは、あんたなんだから、しっかりしな」

ベルトルト「わかってるよ。ただ…」

ライナー「なんだ?」

ベルトルト(ライナーはほんとに、ローゼを壊せるの、なんて、聞いても仕方がないか)

アニ「…寝る」

ライナー「おう」

ベルトルト「あ、ああ。おやすみ」

アニ(明後日、壁を、壊す)

アニ(きっとここにいる半数以上の奴らが死ぬ)

アニ(…)

アニ(私は情なんて移ってない。大丈夫だ…)


次の日 訓練兵団解散式

教官「――訓練成績が良かったのは以上の十名だ!後日配属兵科を問う。それでは解散!」

ミカサ(エレンも十位以内…だけどアルミンは…)

ライナー(やっぱりミカサにはかなわなかったか)

ベルトルト(三人とも十位以内…よかった…)

アニ(明日…やるのか…)

エレン(これが終わればとうとう俺も調査兵団になれる…!)


ジャン(俺がエレンの下?!ふざけんな…!)

マルコ(…これで僕も憲兵団になれるんだ!)

コニー(やった!俺が憲兵になったって言ったら母ちゃん喜ぶだろうな!)

サシャ(これでおいしいものが一杯食べれる…うへへへ)

クリスタ(なんで私が?ユミルじゃないの…!?)


ガヤガヤガヤ

ライナー「なんだ、お前抜けてきたのか」

アニ「…こういう騒がしい事は嫌いなんでね」

ライナー「…なあ、さっきのエレンの、聞いてたか」

アニ「ああ。あんなでかい声で叫んでたんだから、聞こえない方がおかしいよ」

ライナー「どう思った」

アニ「別に。いつもと変わらないやり取りだろ」

ライナー「いや…」


ライナー「エレンは外の世界に行きたがってるだろ」

アニ「ああ」

ライナー「そのために巨人を駆逐してやるって」

アニ「言ってるね」

ライナー「いや、改めてな…。その夢をぶち壊そうとしてるのは、誰でもなく俺たちなんだよなって思ったら、なんつうか」

アニ「…バカじゃないの」

ライナー「は?」


アニ「そんな当たり前のことに今頃気づいたの」

ライナー「…」

アニ「…今日は夜通しこれだろうから、集まれないな」

アニ「明日、よろしく頼むよ」

ライナー「…ああ」

ライナー(明日決行したら、もう二度とここへは戻れない)

ライナー(いや、でも、やる…俺は故郷に帰ると決めたんだ…)

ライナー(絶対に…)

次の日

ベルトルト「…」

ベルトルト(巨人になるのも久しぶりだな)

ベルトルト(…結局、最後までライナーは変わらなかった)

ベルトルト(でも扉はちゃんと壊してくれるはずだ)

ベルトルト(…ライナーが彼らの事を大事に思っていたとしても、)

ベルトルト「…行こう」

カッ

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