菫「宥デレラ」 (74)

むかしむかしというか、設定がよく練られていないあるところに、宥デレラという少女が住んでおりました。

宥デレラのお母さんである露子さんは、悲しい事に宥デレラが幼い頃に既に亡くなっていました。そして亡くなった数年後、彼女のお父さんは再婚をしました。


マフラー【やったね宥ちゃん家族が増えるよ!】

宥デレラ「うん。嬉しいよマフちゃん!」

と、宥デレラは家族がいない寂しさのあまり、只のマフラーと四次元の会話が出来る程にアレだったので、父親の再婚に大変喜んでいました。



因みに宥デレラは病的なまでの寒がりで、夏でも何でも一年中、このマフラーをまさに肌身離さず首に巻いていたのでした。




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後日、宥デレラの家に、継母の美子、姉の照、妹の玄の三人が父親に紹介され、一気に松実家三人の家族が増えました。


宥デレラ「あれ…玄ちゃんは私の……」

玄「細かい設定は気にしてはいけないのです」ずいっ

宥デレラ「わ…分かったわ……」


何とも腑に落ちない宥デレラでしたが、どうにか折り合いを付ける事にしました。


宥デレラは新しい家族生活が始まると期待におもちを膨らませましたが、ところがどっこい。この三人の女は、とてもアレな性格だったのです。


 


継母である美子は、宥デレラが夫の実子でいずれ家業を継ぐであろう事に加えて、宥デレラが自分の実の娘の照、玄よりも学力、容姿、おもちが明らかに上回っている事がとても気に入りませんでした。


因みに宥デレラのお父さんは松実館という旅館の社長さんなのですが、事業が忙しく殆ど家に帰って来る事はありませんでした。

ですから。基本というかほぼ全ての家事を宥デレラに押し付け、自身が酒好きであった為によく、宥デレラにお酌をさせていました。


美子「宥デレラ!もう一杯!!」ひくっ

宥デレラ「お…お継母さま、青汁ではないんですから…もうこれくらいで……」

美子「何ばい!おまんは黙って私の酌をしとればよかと!!のぉ照、玄?」

照「そうだよ…宥デレラはナマ言ってないで、お母さんのお酌をしてればいいよ」

玄「そうなのです。宥デレラお姉ちゃんは、松実館の仲居さんみたいにしていればいいのです!」


二人は母の実の娘でしたが、母親の使う福岡弁だか博多弁だかが正直かなり怪しいので、決して使う事はありませんでした。


宥デレラ「わ…分かりました……」とくとく


 


――――。


美子「宥デレラ…おまん今、私の頭を見て…この鶏冠頭がお前なんかさっさ博多風水炊きにでもなっとれ!なんて思ったじゃなかろうな?」ひっく

宥デレラ「そっ!そんなことありません……」

美子「ふんっどうだか…そげな大人しい顔しとる奴ほど…裏でナニ考えとるのかわからんとよ」

宥デレラ「お継母さま……」


継母の美子さんは少し絡み酒気味でした。


美子「まぁよかと……」ふんっ

美子「もう肴が無かばい。宥デレラ早く用意すると!」

照「あっ。ついでに私にも甘い物もってきて!」

玄「私はおもちがいいのです!」

宥「はい…わかりました……いま用意します……」


こんな感じで、継母の美子だけでなく、義姉と義妹にもこき使われておりました。


 



そして、姉の照には……。


照「ほら宥デレラ!今日は暑いんだから、さっさとその暑苦しい服を脱ぎなさい!!」

脱がし脱がし!!

宥デレラ「ああっ!やっやめて下さい照お姉さん////////!!」


姉の照は、宥デレラの厚着姿が鬱陶しい上、彼女のおもちが自身より遥かに大きいのが気に入らなくて、当て付けによく、こうやって宥デレラを剥いて憂さ晴らしをしておりました。

因みにもう一人の妹の玄も中々のおもちでしたが、流石に実妹に手を出す訳にはいかなかったので、仕方なしにたまに麻雀をして、涙目にさせる程度にしていました。


照「減るもんじゃあるまいし……ってむしろまたおもちが増量してる!!」むきー

宥デレラ「照お姉さんのケダモノ!!」


玄「やめるのですぼくたち!!」


照「私は…ぼくっ娘じゃないよ?それに一人だし」

玄「そうでした…では改めて……」こほん


玄「やめるのです!お姉ちゃん!!」


似非正義感の塊の玄は姉の狼藉を、よくこうやって止めに入っておりました。


 


宥デレラ「玄ちゃん……」

照「やめない……って言うか、やめてもいいの?」

玄「えっ!?」

照「ほら……」

むにっ!!

宥デレラ「あっ……///////」かぁぁぁ

照「ほら…こんなに柔らかくて美味しそうなおもち…やめたら味わえないよ?玄はそれでもいいの?」もみもみ

玄「……や…やめ…………」ゴクリ…

宥デレラ「玄ちゃ……」うるうる

玄「――――――!!!!」

玄(うっ!!おもちだけでなく……こ…このいぢめてオーラ・……)ゾクゾク

宥デレラ「?」

玄「やめ―――――――――――――――――――――もう辛抱タマラン!!!」ガバァ!!

宥デレラ「きゃあ//////////!!!?」


 



事後。


宥デレラ「ひ…ひどいよ玄ちゃん……」ううう…


ぷかぁ…

玄「ふー。宥デレラお姉ちゃんが、そんな美味しそうなおもちをしているのがいけないのです」しれっ




最初は止めに入るのに、結局、一番愉しむのはいつも決まって玄なのでした。



 

とりあえずここまでです
それでは



そんなある日の事でした。


お城の王女様がお嫁さん選びの舞踏会を開くことになり、宥デレラのお姉さん達にも招待状が届きました。

照「も…もしかしたら、王女様と結婚できるかも……」

美子「そうばいっ。私に続いてわらしべ的玉の輿を狙うばい!」

玄「王族になれるなら金の玉の輿なのです!!」

美子「なれるじゃなくてなるんばい!まさにシンデレラストーリーばい!!」

姉妹とお母さんは、まるで天和で上がったかの様な大はしゃぎぶりです。


宥デレラ「あ…あの私には……」

そんな姉たちのはしゃぎぶりに、宥デレラも触発されておずおずと継母に聞きました。

美子「はぁ?一応来てはいるけど、お前みたいな、みすぼらしくて暑苦しい格好の娘なんか王女様が相手にするわけなか!」

照「だから、宥デレラは当然お留守番だよ?」

宥デレラ「……そんな…………私も――――」

宥デレラは珍しく食い下がりました。が――――


美子「身分をわきまえるばい!この薄汚い…いや!厚着たない宥デレラ!!」


宥デレラ「――――――!!!!?」ガーン

がくっ…

継母は石立鉄男ばりの暴言を言い放ちます。


 


正直、言葉の意味はよく分かりませんでしたが、何となく事実ぽかったので、何も返せない宥デレラは膝を付き、項垂れる事しか出来ませんでした。

確かに宥デレラは厚着なのに、碌に着替えもさせて貰えなかったので、服は煤汚れ、その服の中はムレムレでメスの匂いが充満しておりました。


美子「ふんっお前はどこのわかめなんだか」

宥デレラ「私はわかめなんかじゃありません!!わかめ酒は出来ますが……」

照・玄「「…………………」」ぽかーん


二人の会話に照と玄は着いていけずに、ぽかーんとしておりました。


ですが、

照(私には…わかめ酒は……………出来ない……)がくっ

と、とんだ所で照が思わぬダメージを受けておりました。


 



―――。

照「さあ宥デレラは、私たちの支度を手伝って」

宥デレラ「はい……」


――――――。

美子「じゃあ行って来るばい」

照「留守番よろしく」

玄「帰ってきたら私はお姫様なのです」ふんすっ


宥「いってらっしゃませ」ぺこり


宥デレラはこんな仕打ちを受けながらも、それでも姉たちの支度を手伝い、笑顔で送り出したのでした。


 



―――――。


宥デレラ「うう…ううう……」しくしく

笑顔で継母たちを送り出したものの、行けなかった宥デレラは、流石にあまりに惨めで悲しくなり、しくしくと泣いて、悲劇のヒロイン気分に浸っ
ておりました。

宥デレラ「うう…私もお城に行きたい…王女様にお逢いしたいよ……」

実は宥デレラは少し前に、洋弓流鏑馬というよく分からない行事で、偶然にも華麗に矢を放つ王女様を観て以来、気になっていたのでした。


しかし流石に宥デレラの、ボロボロムレムレの服装では、不審者過ぎてとてもお城に入れそうもありません。

それに足も無く、かと言ってタクシーを利用するお金もないので、宥デレラにはどうしようもありませんでした。



?「泣くのはお止しよ。宥デレラ」


その時、どこからか声がしました。


 


宥デレラ「!?」ビクッ!

宥デレラは幻聴かと思い、ついにここまでキテしまったのかと余計に悲しくなりました。


?「私は幻なんかじゃないよ?」

すると。宥デレラの前に、ちんちくりんな…はっきり言ってしまえば、こけしっぽい女の子が降臨しました。

宥「えっ!?灼ちゃん?」

灼「そうだけど…何で私の名前を知ってるのさ?」

宥デレラ「いや…なんとなく」

そんなメタっぽい会話をしつつ、灼さんは話を続けます。

灼「私は妖精の灼。お前はよく家事を頑張るいい子だから、ご褒美に私がお城に連れてってあげるよ」

宥デレラ「本当に!?」

灼「ああ。本当だよ。宥デレラよ…早速、物置小屋に行ってボーリングの球を持って来なさい」

宥デレラはんなもんあったかな?と、思いつつも物置小屋を探していると、昔ボウリングブームの時に父が使っていたのが見付かりました。

灼「よし。だっしゃ!!」

宥デレラがボウリングの球を持ってくると、灼さんはグローブをはめ、気合の叫びとともに球を投げました。


すると―――――。


灼さんの投げた球は見る見るうちに、トールワゴン車になったではありませんか。


宥デレラ「!?」

その有り得ない光景に、宥デレラは丸くなった目を、ごしごしする事くらいしか出来ませんでした。


 


宥デレラ「こ…これは…一体……」

灼「ふふん。まだまだこんなもんじゃないよ!!」

ばっ!!

灼さんは着けていたネクタイを取って投げると、今度はネクタイが見る見るうちに、人の姿に変わっていくではありませんか!!。

?「灼さん。今日はこの娘さんを送っていけばいいのですね?」

前髪がおかしなことになっているけど、基本イケメンの女性は、宥デレラを見やりながら灼さんに尋ねました。

灼「そうだけど……もうっ私を呼ぶ時は灼でいいって言ってるのに……」むー

?「ああ…申し訳ありません。灼」ぺこり

灼「もうっ!敬語も禁止だよ!!」ぷいぷい

宥デレラ「………………」

二人の痴話喧嘩というか惚気に、宥デレラは口から砂を吐きそうになるのを必死に堪えました。

宥デレラ「――――って…あれ?もしかして……赤土 晴絵先生?」

晴絵「確かにそうですが…なぜ私の名を知っているのです?」

宥デレラ「いや…なんとなく……メタ的な感じで……」

 


灼「そんなことはどうでもいいから、さっさとお城に往って…そうそうこれじゃまだ足りなかったよね」すっ

灼さんがそういって、ネクタイに付けていたピンを宥デレラの服に付けると、宥デレラのみすぼらしかった服が、たちまち妖しく燃え上がる様な真
紅のドレスに変わったではありませんか!!。

美しいドレスに身を包んだ宥デレラですが、何故かマフラーだけはそのままでした。

灼「さあ楽しんでおいで宥デレラ。だけど私の魔法は0時までしか続かないから、それまでに帰って来る様に」

宥デレラ「はい……」まごまご

宥デレラがこの出来過ぎた話に、何か裏があるんじゃないかと、まごまごしてていると――――

灼「裏なんてないよ!!ほらさっさと行く!部長命令だよ!!」

宥「はいーーー!!」


灼さんに言われて慌てて押される様に、宥デレラはワゴンに乗り込みました。


 


灼「じゃあハルちゃんよろしく」

晴絵「おうっ任せておきな!」

灼「うん!ハルちゃん愛してる//////」

灼さんはどさくさに紛れて惚気た事を口走っておりました。


宥デレラ「…………」

灼「宥デレラ!」

宥デレラ「はい!?」

灼「まったく…ハルちゃんの車に乗れるなんて至極光栄な事なんだよ?」

宥デレラ「はぁ……」

灼「まったく…むしろ私がハルちゃんの上に乗りたい位なのに……」ぶつぶつ

宥デレラ「…………」

宥デレラは灼さんがガチなのかどうなのか、どうにも判断が付きませんでしたので、不用意に突っ込みを入れる様な真似はしませんでした。

晴絵「では。行って参ります」

灼「行ってらっしゃい。ハルちゃん」にこ



こうして宥デレラを乗せたワゴン車は、お城へと向かって往ったのでありました。


 



お城。


お城では、王女様監修の元、舞踏会が開催されておりました。


かちゃかちゃ×たくさん


ですが。舞踏会とはいっても、やっているのは何故かただの集団麻雀だったので、かちゃちゃいってるだけで大変シュールな光景でした。

この国では麻雀が国技であるのと、主催者である菫王女様が、余り騒がしいのが好きではないのでこうなったのでした。


とはいえ、これは彼女のお嫁さん探しの催しなので、菫王女は上座からめぼしい娘をチェックしておりました。

因みに王女は既にips棒を装着済みだったので、女性同士で結婚する事に何の問題もありませんでした。


 

 
 


菫(うーむ…確かに麻雀が強い者はいるが、なかなかビビビってくる子がいないな……)

場を見回しながら、ぼんやりとこんな事を、心の中で呟いておりました。

菫王女さまは未だに、ビビビ婚とやらを信じていたのです。

そんな事を考えている間に――――

美子「あっあの王女様ご機嫌麗しゅう御座います。この二人は私の娘の照と玄で御座います」

美子さんはちゃっかり王女様の前に出て、早速二人の娘を売り込みに来ました。

照「ま…松実 照です……お…王女様は甘いものは好きですか?///////」どきどき

照は凛々しい王女様に王女様抜きに一目惚れをして、その所為でテンパって、よく判らないを聴いておりました。

菫「ま…まぁ嫌いではありませんが……」

菫王女は律儀に答えましたが、

菫(うーむ…ないな……)

残念ながら、照には全く脈はありませんでした。


 



玄「妹の玄です。おもちが好きです/////」ぺこり

続いて玄が挨拶をしましたが、姉以上にとんちんかんでした。

菫「はぁそうですか……」

何を言っているのか分かりませんでしたが、

菫(ふむ…言ってることはアレだが…この娘は中々よいな。取り敢えず射っとくか)

菫「……………」じっ

玄(えっ!?今…私を見詰めて―――――///////)どきっ

菫(シャープシュート!!)

ビシュッ!!

玄「うっ!!///////」ふらっ…

照「どっどうしたの玄!?」

玄「……う…ううん何でも……」

王女のシャープシュートは見詰め合った人に対して、目で射つものでした。


菫(当たったか……まぁビビビって来なかったしな・……)

菫「では…私はこれから卓を見て回りますので……」

そう言って、菫王女はすたすたと、場の方に行ってしまいました。

美子「あっ…王女様……まっ――――」

美子さんは王女を引き止めようとしましたが、適いませんでした。

玄「それより照お姉ちゃんは大丈夫だったの……?」

照「えっ?何が?私は何ともなかったけど……」

玄「そうなんだ……」


何となく玄は優越感に浸ったのでした。

 


すたすた。

?「王女様。お久しぶりです」ぺこり

菫「これは小鍛冶卿。お久しぶりです。相変わらずの腕前ですね」ぺこり

王女が挨拶したのは、この世界線の騎士とも云うべき、王国最強の雀士であり、そのあまりの名声と実績と実力で爵位を賜った、小鍛冶 健夜侯爵でした。


健夜「あの…王女様……私もそろそろ身を固めy―――――」

菫「小鍛冶卿には今後も…我が国の為に力を貸して頂きたいものですな…………それでは失敬」ドヒューン

健夜「あっ……王女様――――」

王女は身の危険を感じて、さっさとドヒューンしました。

菫(危ない危ない…流石にあのアラなんとかは無理だ…羊水が腐ってそうだし……)

王女は急ぎ足で後退りながら、こんな非道い事を考えておりました。

 



?「うちの娘の洋榎と絹恵です」

菫(ふむ…………取り敢えず…姉の方はないな)


?「あの…私……渋谷茶業商会の会長の娘の…渋谷 尭深と申します……」


?「あの私…二条子爵家の娘の泉といいます……」


?「メゲルワ商会の末原です。本日は娘の恭子のお目通りを――――」

恭子(私なんか選ばれる訳ないのに…こんな場所に連れ出されるなんて…メゲるわ……)メゲメゲ



その後も菫王女は卓を回るごとに挨拶をされ、そのうちの何人かの、めぼしい女の子にシャープシュートしましたが全部必中しておりました。


 


菫(はぁ…この中に私の矢を躱す者はいないのか……)はぁ…

そう失望感の入り混じった溜め息を吐いた時でした。


おおおおおおおーーーー。


突如会場が、しん…と静まり、それは数瞬後にはどよめきに変わり。会場を包み込みます。

その中には「美しい……」「どこの娘さんだ?」などという声が混じっており、菫王女も何事かと思いつつ、渦中の主に目を向けました。

すると王女の瞳に、真紅のドレスに身を包み、その首筋に何故かマフラー着けた麗人が入り込んで来たのです。


菫「!!!」


ビビビッ――――


王女は彼女のその柔らかな美しさを見た瞬間。全身にビビビっと電流が奔ったかと思う様な衝撃を受け、彼女から目を逸らせなくなっていました。



王女の目を釘付けにした――――


その娘の名は……




――――宥デレラ――――




と、いいました。


 



菫(こ…こんなにビビビっときたのは初めてだ……)どきどき

王女は初めての感覚に戸惑いと高揚を隠し切れません。


すっ…すたすた…

菫「!?」どきっ

すると目が合った瞬間、宥デレラが王女にゆっくりとですが、確実に近寄って来るではありませんか!。


菫(まだ分からない・……シャープシュート!!)

菫王女は近付いてくる淑女に、慌てて矢を放ちます。


宥デレラ「…………」すっ

ひらりっ

菫「!?」

すると宥デレラはその矢を寸での処で躱します。

菫(ならばもう一度!!)

王女は続けざまに矢を放ちますが、宥デレラはそれでも…それらすべて躱しながら、ゆっくりと確実に近づいて来ます。


 



菫(見付けた……私の運命の人――――)


王女は込み上げて来る気持ちを抑えきれずに、ついに自ら進んで宥デレラの前に立ちました。

菫「お嬢さん。私と…麻雀をしてくれませんか?」

ざわっ…ざわっ…

王女様は片膝をつき、手を差し伸べて、宥デレラを麻雀に誘います。

王女様は滅多に自分から誘って麻雀を打たない事で有名だったので、彼女を知る者の驚きの声で、更に会場がざわつきます。


宥デレラ「喜んで」にこ

断る理由などありません。宥デレラは優雅な仕草で微笑みながら、差し伸べられた手を取って、菫王女にお誘いを受けました。


 



――――――。


菫「ツモ4000オール…と言っても貴女しかいないがな」ふふ

宥デレラ「そうですね……もしかして王女様は私の他にも、お相手を入れたいと思われておられるのですか?」

菫「いや…そうではないよ。私は貴女と二人だけで、このままずっと打ち続けたいと思っている。そういう貴女はどうなのだ?」

宥デレラ「はい。勿論…私も王女様と同じです」

菫「そうか…よかったそれじゃあもう一局打っては貰えないだろうか?」

宥デレラ「はい。喜んで」にこ


二人は出逢ってすぐ打ち解け、仲睦まじく…二人麻雀を打ちながら二人だけの世界を創り上げていました。


 



照「あのアマはナンなの?私の王女様を独り占めして……」キィー!!

照がハンカチを噛み締め、引っ張りながら悔しがります。

玄「まったく許せないのです!!」

玄も姉の意見に同調します。

美子「でも…一体あの娘はどこの誰とね?あれだけの淑女なら当然、それなりの家の令嬢でもっと前から有名になっている筈……」うーむ

照「というかあのマフラー…どこかで見た様な気が……?」

玄「気のせいだよ照お姉ちゃん」

美子「そうばい。気にするポイントではなか」

照「うん。それもそうだね」


この三羽鶏親子は、やっぱり鳥頭のポンコツでした。


照「でも…悔しいけどあの子の匂い立つようなエロさは、清純派ながらも健康的なエロさを醸し出す私でも流石に出せそうもない……」

玄(照お姉ちゃんには健康的も何も、エロさの芥もありませんのだ)



相変わらずポンコツな上に勘違いの姉と、失礼極まりない妹でした。


 



……………。


二人はそれからも麻雀を愉しんでおりましたが――――。


そんなきゃっきゃうふふな時間は刹那の様すぐに過ぎ去り、11PMが放送されるくらいの時間になってしまいました。


宥デレラ「……あっいけない……………」はっ!

菫「どうしたんだ?お嬢さん」

宥デレラ「誠にお名残り惜しいのですが…私はもう…帰らないといけません……おやすみなさいませ王女様」ぺこり

そう言うと、宥デレラは丁寧に挨拶をすると、すくっと立ち上がり足早に立ち去って往きます。


菫「あっお嬢さん!!私は貴女を―――――」

王女様も突然の事に一瞬、呆気に取られましたが、直ぐに正気に戻ると、慌てて宥デレラを追い掛けます。


 


宥デレラ「王女様…私も―――――」

憂いの表情を浮かべながら、大広間を駆け出て往く宥デレラでしたが、

宥デレラ「―――――あっ!?」

ハラリ…

どんな原理かは判りませんが、宥デレラのマフラー外れて、落ちてしまいました。

宥デレラ(マフちゃん!!……でも時間が―――――)

もう時間がありません。宥デレラは断腸の思いでマフラーを諦めると、城外のすぐ近くで待っていた

トールワゴンに飛び乗りました。


宥デレラ「松実家まで!!」

晴絵「あいよ!」

晴絵「危なかったですねー。もう少し遅かったら、ボーリングの球とネクタイとネクタイピンを持って帰らないといけませんでしたから」

宥デレラ「そうですね……」

生返事の様に言葉を返すと、宥デレラは車の窓から名残惜しそうに、小さくなっていくお城を見詰めました。


晴絵(ふふん。青春だねー)


そんな宥デレラを赤土先生は微笑ましく思っていました。


 



さて、お城では――――


菫「もう…行ってしまったか……」

宥デレラを追い掛けていた王女様でしたが、間に合わない事を事を悟ると、その場に立ち竦んでしまいました。

菫「――――ん?これは――――――」

その時でした。

ふと下を見ると足元にマフラーが落ちていることに気付き、それを拾い上げます。

菫(これはあのお嬢さんの―――――)

王女様はマフラーをくんかくんかしながら、このマフラーが宥デレラが着けていたものだと気付きました。


菫(これは…やはり神の思し召しか――――――)


王女さまは大事そうにマフラーを抱えると、まるでそれが宥デレラでもあるかの様に、愛おしげにぎゅっと抱き締めました。


 


家臣「王女様…大丈夫ですか?」

王女様を追ってきたお城の家臣の皆さんが、続々と王女様に駆け寄ります。


菫「ええ…大丈夫です」

王女様は家臣たちの声に、家臣達に心配を掛け無い様に、努めて穏やかに応えました。


菫(……ふむ…ある程度そろってるな……)

少し落ち着てきた王女は、周りを見廻しながら、コホンと軽く咳払いをしました。


菫「よし。いい機会ですからここで宣言します――――――」


王女様はそう言って息を吸い込むと――――


菫「私は―――――このマフラーの持ち主の娘と結婚します!!」


家臣。関係者一同「「「「!?」」」」



と大っぴらに結婚宣言と云うべき、決意表明をしたのでした。


 



次の日からお城の使いの人たちが、手掛かりのマフラーの持ち主を探して、国中を探し回っておりました。


しかし中々見付からず、ついに松実家にまでお城の使いの人がやってきました。


美子「さあっ照、玄。このマフラーを着ける事が出来れば、お前たちのどちらかが王女様の嫁になれるばい!!」

照・玄「「はい!お母さん!!」」

そう気合いを入れてマフラーを首に巻き着けた二人ですが……


照「暑いわ!こんな暑い日に、こんなん着けてられるか!!」ばっ

玄「あつーあつーあつーなのです!!」ばっ


と、二人とも着けた途端にあまりの暑さに我慢出来なくなって、投げ捨ててしまいました。


 


美子「あかんかったか…ばってん、今まで着けられた人が居なかった位なもんだからなー」はぁ

と、美子さんは、大きな絶望の溜息を吐きました。

使いの人「ふむ…この家にもいないようだな……」

そう言ってお使いの人が、出て行こうとした時です――――。


?「あの…私も着けさせて頂いて宜しいでしょうか?」


みんなの前に宥デレラが現れて、そう言いました。


照「ぷっ。何を言ってるの宥デレラ?私たちに着けられなかったものが、アナタに着けられる訳がない」

玄「宥デレラお姉ちゃんはそんな夢物語なんて見ていないで、さっさと熱川バナナワニ園にでも就職していればいいのです」

照「それはいいね…寒がり過ぎる宥デレラにはお似合いの職場だよ。旅館の経営よりもね?」

玄「まったくそーなのです!!!」

照・玄「「あははははははははーーーー」」


それを聞いた二人の姉妹は、馬鹿にした様に大笑いしました。


美子「………………………………」

しかしこの二人のバカ姉妹よりも幾分ましな美子さんは、あの事に気付いて、あっこりゃヤバイかもしれんばい。と思いました。


 



宥デレラ(……………お帰りマフちゃん……………)さ……

そして宥デレラがマフラーを受け取ると、愛おしげに首に巻き付けました。

マフラーはまるでこの人が私の持ち主です!と、言わんばかりにしっくりと彼女の首に巻き着いていました。

そして宥デレラは、暑がりもせずにむしろ涼しげな顔で、にこっと微笑みました。

照・玄「「―――――――!!?」」

照と玄があまりに吃驚して、声も出せないでいると――――。



灼「ふふん。私の出番だね」

と、いきなり灼さんが現れて、宥デレラにネクタイピンを付けると、たちまち彼女は真紅のドレスに身を包んだ、美しいお姫様の様な姿に変わったではりませんか!!。


 



照「あっこの姿は――――」

玄「あの時の―――――――」

二人はこの宥デレラの姿を見て、悪党が奉行所のお白洲で、遊び人の金さんが実はお奉行様だった事に気付いた時の様な、驚きの声を上げました。


美子・照・玄「「「あっ…あの宥デレラが、昨日の――――――」」」

三人は昨夜お城で見た、あの謎の麗人が実は宥デレラだったという事にやっと気付いて、あまりのショックと驚きで、へなへなと腰を抜かしてその
場にへたり込んで仕舞いました。


お使いの人「おおっ王女様の心を逆に射抜いたのは貴女でしたか!」

お使いの人「さあ未来のお姫様。私め一緒にお城まで来て下さい。王女様がお待ちかねですぞ」

そう言ってお使いの人は、宥デレラをお城へと連れ出そうとしました。


 


美子・照・玄(((あっこりゃヤバイ!!!)))

腰を抜かしていた三人でしたが、今までに宥デレラに働いていた狼藉を思い出して、血の気が完全に無くなり、顔面が蒼白になりました。

それもその筈で、宥デレラがこのまま王女様と結婚して王族になったら最後、彼女のさじ加減一つで、この国から所払いされるか、最悪の場合、死ぬまで小鍛冶卿の麻雀相手をするの刑(死刑に相当)になりかねません。


照「ゆ…宥デレラ今までごめんね?ほらコレお菓子食べる?おいしいよ」

玄「宥デレラお姉ちゃんさすがのおもちですのだ!!」

美子「宥デレラ…こんなに立派な淑女に育ってくれて、お継母さんはとっても嬉しいとよ……」

などと掌を返して宥デレラに媚び始めました。


宥デレラ「………………………」


美子・照・玄「「「今までごめんなさい宥デレラ(お姉ちゃん)だから赦してちょんまげ」」」

ささー

終いには三人は赦しを得ようとしてふざけた事を言いながら、土下座までする始末でした。


宥「…………はぁもういいですよ。私は何とも思っていませんから。でもこれからは優しくしてくださいね?」

そういって宥デレラはにこりと微笑みました。


玄(宥デレラお姉ちゃんのおもちを優しく……)ゴクリ…

玄はこの期に及んでこんな事を考えていましたが、流石に口には出しませんでした。


そして、宥デレラはそのままお使いの人に連れられて、お城に向かったのでありました。


 



菫「おおっやはり美しい……そうか宥デレラと云うのか……いい名前だ」

お城に着くが早いか、王女様は一目散に宥デレラの前に駆け付けました。

宥デレラ「はい…王女様」にこ

菫「―――――――――!!!///////」どきっ


宥デレラの笑顔に王女様は、二回目の一目惚れをしてしまいました。


菫「ゆ…宥デレラ……改めて…その…わ…私と…その……結婚してもらえないだろうか?」

王女様のヘタレを予感させるプロポーズに対して宥デレラは――――――

宥デレラ「はい。喜んでお受けさせていただきます」

と、返事を返して、もう一度微笑んだのでした。



この瞬間。宥デレラは宥デレラ姫になったのでありました。



 



そしてふたりの結婚式が行われ、父。そして継母と二人の姉たちも招待されておりました。


宥デレラは二人が居る事に気付くと、二人の姉妹の前に駆け寄りました。


宥デレラ「照お姉さん、玄ちゃん。今日は来てくれてありがとう。もしよかったら今度いい人を紹介してあげるからね」

照・玄「「えっ!?ホントに?」

宥デレラ「ええ。アラフォーになっても一人だなんて寂しいから……」にこ


宥デレラはその容姿だけでなく、心まで美しく、あったか~いのでした。


そんな宥デレラですから、妖精の灼さんも彼女にチャンスを与え、そして菫王女も彼女に一目惚れしたのかも知れません。


そして無事に結婚式を終え、宥デレラは菫さまとともに、何時までも幸せに暮らしましたとさ。




おしまい。


めでたしめでたし。



 

あともう少しだけ続くかもしれませんが
とりあえずありがとうございました


おまけ。


めでたく結婚して、晴れて夫婦になった宥デレラと菫王女さまでしたが、王女様は【色々と】忙しく、あまり家に帰るが出来ず、中々、二人でいる時間があまり有りませんでした。


菫「ふー。色々あって、このところ帰る事が出来なかったけど、久し振りに早く帰る事が出来たから、今日は宥デレラのごはんが食べられるな……」


菫(……そういえば…宥デレラの生家だった松実家では色々あった様だが……)

菫(姉の方は先の舞踏会で見せた雀力が高く評価されて、平民出でありながら王国雀士団に抜擢されて、異例の入団……)

菫(そして宥デレラが王室に入った事で、家業は妹の方が継ぐ事になって、どうやら収まる処に収まった様だし…これで安心だな……)


菫(それに今日は早く帰れたしここ最近、中々相手をしてやれなくて、宥デレラも寂しがっているだろうから、今夜は久しぶりに…じっくりしっぽりさせてやろうかな……)フフフ…


などと…お話のまとめっぽい事を、王女様は考えておりました。



ガチャ。


菫「ただいま」



………………しーん…


菫「ん?宥デレラいないのか?」



かしゃ…カシャ…


 



菫「ん?キッチンから何か聞こえるな……あっそうか。何か作っているんだな。丁度よかった……」すたすた


すっ


菫「ただいま宥デレラ。今日は久しぶりに早く帰れて――――」

カシャカシャ……


菫「!!!!?」ビクッ!!


宥デレラ「あ…………お帰りなさぁい。菫さまァ……」にこぉ…

かしゃ…カシャ…








菫「かっ空鍋しとるーーーーーーー!!!!?」がびーん








宥デレラ「……………えへへ…もうちょっと待っててね…………」ぼわぁ……




菫「おまけに瞳(め)のハイライトも消えとるーーーーーーー!!!?」がびーん


  
 

 



宥デレラ「……もうすぐ出来ます空ね……」にこぉ

菫「お…おう……」こくこく



菫(…………か…空鍋料理って、一体ナニが出てくるんだよ……)ゴクリ…



宥デレラ「ふふ…菫さまがいつ帰って来られるか判らないですから、いつ帰って来られてもいい様に、いつも【こうやって】準備してるんですよ?」にこぉ…


菫「そ…そうか、いつも済まないな……」



菫(私の居ない時に……い…【いつも』こんな事をしていたのか……)ゾゾゾォ……


 



宥デレラ「そうですよ?でも…菫さまお忙しいみたいですから……」


菫「そうだな…まぁ色々あt――――――――」



宥デレラ「…………八日前には、メゲルワ商家の会長令嬢と、朝まで夜の牌譜研究会」


宥デレラ「七日前には、すばら教のマザーすばら教主と朝まで夜の懺悔礼拝」


宥デレラ「六日前には、渋谷茶業のご令嬢と、お茶会と称しての朝まで夜の収穫祭(ハーベストタイム)」


宥デレラ「五日日前には、愛宕男爵家の家の第二子女と、夜のサッカー観戦と朝まで夜のPK合戦……」


宥デレラ「四日前には、二条子爵家のご令嬢と、朝まで夜の射って射られてシャープシュート研究会……」


宥デレラ「一昨日は、私のお継母さまとの、朝まで夜の博多水炊きお食事会」


宥デレラ「昨日は、何故か私の妹の玄ちゃんとの、朝まで夜のドラ祭り(?)」


宥デレラ「そして今日は――――――」



菫「わっ分かった。それ以上言わんでいい!」



 



宥デレラ「ふふ…ホント随分と【イロイロと】忙しいみたいですね…特に【夜】が……」


菫「し…仕事だから仕方ないだろ?名家や豪商の家の人間とのツキ合いは大事だからな……」あせあせ

宥デレラ「ふふ…そうですね」

菫「でも…どうして貴女は私のスケジュールを…そこまで把握しているんだ?」

宥デレラ「ふふ…どうやって…でしょうねぇ?」ニコォ…


菫「!?」ゾクッ!!

菫(い…今、背中を奔り抜ける様な強烈な悪寒が―――)


 



宥デレラ「でも…菫さま連絡しても、全然出てくれませんでしたから……」しゅん

菫「えっ連絡ってどうやって…携帯電話なんて無い筈だし……」

宥デレラ「ふふ…【イツモイツモ】電話していたのに……」

カラ…

菫「!?紙コップに…糸が垂れ下がっているのが付いて……」

菫(――――――まさか!!!)


宥デレラ「こうやってコレを耳に当てて…もしもしモシモシッテ……」





菫「空糸電話しとるーーーーーー!!!?」がびーん





菫(紙コップの糸が途中で切れてて繋がってないんじゃ、どうやっても無理じゃないか……)ゴクリ…

菫(……ってなにを言っているんだ私は……)(動揺)






宥デレラ「フフ…デモキョウハハヤゥカエッテキテクレテウレシイデス…モシコノママカエッテキテクレナカッタラ…アッタカクナサスギテ…モウスミレサマガドコニモイカナイヨウニ……」


キラッ…


菫(包丁!?)ビクッ!




宥デレラ「【コレヲツカッテ】ズットズットアッタカクナロウトオモッテタノデスヨ……」ニコォ……




菫「!?」

菫(これはトンデモナイモノを引いてしまった様だ……)ゴクリ…



宥デレラ「エヘヘ…デモカエッテキテクレテヨカッタデス……」にこ



菫(……まぁ。それでも…私の宥デレラを愛する気持ちは変わらないがな)うんうん




なんと宥デレラはヤンデレラだったのでした。



おまけのおしまい。


めでたしめでたし。



  

ふと思い付きで書くと
こうなるという典型的なSSではないかと思います

ありがとうございました



おまけのおまけ。


菫「わ…悪かった。私が悪かったから……これからは気を付けるし、出来るだけ連絡をする様にする。だから―――――」

宥デレラ「ううん…私が悪いの…悪いのは全部私……」

菫「!?」

宥デレラ「だから……」

しゅる…

菫(宥デレラがいつも肌身離さず…アレをヤル時もこれだけは滅多に外さないマフラーを外したーーーー!!?)


 


宥デレラ「コレを持って下さい」すっ

菫「?わ…分った……」

宥デレラ「コレをこうして……」しゅる…

菫「またマフラーを半分くらい巻き付けたーーーー!?」

宥デレラ「そうしたら…コレを思いっきり引っ張って下さい!」

菫「えっ!?でもそんなことしたら!」

宥デレラ「いいから!!」

菫「わっ分かった!!」

グイー

宥デレラ「ぐえっ!!菫さまにマフラー引っ張られて。首を絞め付けられてーーー!!」

菫「だっ大丈夫か!宥デレラ!今すぐやm―――――」

宥デレラ「やっやめないで!!これは私への罰だから!!」

菫「!?」


 



宥デレラ「ずみれ様を繋ぎ止”められない!満足ざぜてあげられない私”への罰だがら!!!」ぐがが…

菫「宥デレラ!?なに言って……」

かはっ…

宥デレラ「あが!あがが!!ぐっぐるじいぃーーー!!でもわたぢ…絞められでる!!」

宥デレラ「菫さまにお前は【私のモノ】だって縛り付けられて!!繋ぎ止められて!!このカラダに刻み付けられてるーーー!!!」


 




菫(えー。何それ?)(ドン引き)

宥デレラ「あがががががが――――!!!でもそれがいいのーーー!!!それが!!!///////」(恍惚)


菫「…………」ふむ…

菫(まぁ……宥デレラがそれでいいならいいか)

菫(それに…宥デレラの苦悶に歪む貌を眺めてたら、何か私も愉しくなってきたしな)ゾクゾク…


宥デレラはヤンデレラだというだけでなく、とんだドM娘だったのでした。



そして…菫王女様も本人は気付いていない様でしたが、幾許かのSっ気があったので、その性癖のバランス的なものもあって、二人はそれはそれで何時までも幸せに暮らしましたとさ。





めでたしめでたし。


おまけおまけのおしまい。




 

これで全部おしまいです

改めて
ありがとうございました

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