モバP「蚊との戦いは始まったばかりか……」 (48)

-事務所・モバP雑務中-


P「……」ペラ

P「ずいぶん懐かしいファイルが出てきたな……」ペラペラ

<……ーン

P「……」ペラ

P「写真がみんな初々しいもんな。なんでこんなの残ってたんだろ」ペラ

<プーーーーン

P「……」パタン

P「気のせいかと思ってたけど、やっぱいるなあこれ」

P「一応虫よけ吊っといたんだけどな。あてになんないもんだ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403339014

P「ま、やっぱりあれがないとな。えーと確かちひろさんが新しいやつを買っといてくれたとか……」ゴソゴソ

P「お、これかな」

P「ぶたさんにセッティング……これでよし、と」

P「さてとあと少しだしちゃっちゃと終わらすか」

ガチャ

??「ふうー」

P「……」ペラペラ

??「あ、プロデューサー! おはようございます!」

P「お? おお響子おはよう……あれ? 今日は響子打ち合わせだけだったよな」

響子「え? はい、そうですね」

P「来るの早くないか? まだかなり余裕が」

響子「学校が終わって直で来ちゃいましたから。……あんまり早く来ちゃまずかったですか?」

P「ああいやそんなことはないけどね。暇だと思うぞ?」

響子「そうですかね……じゃあ、お仕事してるPさんを眺めてますね!」ニコ

P「そんなのすぐ飽きると思うけど……あ、そうだ。今この部屋蚊が入り込んでるから、さされないように気をつけて」

響子「蚊ですか? そっか、もうそんな時期なんですね」

P「ああ。一応さっき線香セットしたけど、注意はしといてくれ」

響子「わかりました! ……あれ?」

P「ん? どうかしたか」

響子「……」スンスン

P「響子?」

響子「蚊取り線香の匂い、あんまりしなくないですか?」スンスン

P「ああそうそう。これついこないだちひろさんが買ってきてくれたやつなんだけど」

P「『森の匂い』とかいうやつなんだよ」

響子「あ、言われてみれば……フローラル? な感じですねっ」

P「だよな」

響子「こんな蚊取り線香が出てるんですね……知りませんでした」

P「俺もだよ。他にもバラとかあったらしいぞ」

ガチャ

響子「あ、誰か……」

??「おはようございますっ」

P「おう、藍子か。おはよう」

藍子「プロデューサー、おはようございます」ペコ

響子「藍子ちゃんおはよっ」

藍子「おはようっ響子ちゃん」

P「藍子も来るの早いな」

藍子「……」

藍子「余裕あるからと思ってのんびりしてたらなぜか遅刻していた、なんてことが前にあったから……」シュン

P「そ、そうだな。確かにあったなそんなこと」

藍子「はい。なので今日はうんと早めに着いておこうって」

P「偉いよ。俺なんか懲りもせず同じ失敗なんべんもやらかすからな」

響子「私もやらかしますよっ」

P「大きな声で言うことじゃないんだよ?」

響子「あ、そうですね。えへへ」テヘ

藍子「……?」スンスン

藍子「お香か何か焚いてるんですか? 珍しい気がします」スンスン

P「ああ、お香じゃないんだ。蚊取り線香」

藍子「えぇ? 蚊取り線香なんですかこれ。フローラルですけど……」

響子「藍子ちゃんも知らなかったみたいですねっ」

P「だな。つーか響子も藍子も」

藍・響「? なんですか?」

P「蚊にさされにくいほうか?」

藍・響「はい?」

P「いや、こないだのことなんだけどさ」

P「愛梨と美波が蚊にさされまくっててさ。2人とも蚊に好かれるタイプらしいんだけど」

響子「あー、確かになんだかおいしそうなお二人ですよねっ」

藍子「そういうことなんでしょうか……」

P「そこに周子も混ざってな、アイドルたちの蚊トークが始まったんだ。周子は全然さされないらしい」

響子「蚊トーク……」

藍子「みなさんとっても庶民ですね……いえ、もちろん私もなんですけど」

P「とまあ、この話はこれぐらいで置いといて。でどうなんだ2人は。見たところ全然さされたりしてなさそうだよな」

響子「んー、この夏はまださされてないですね」

P「蚊に好かれないタイプなのかな」

響子「全然さされないってことはないですよ? でも一日に何か所もさされてあちこちかゆい! って経験はないなー」

P「そうか。藍子はどう?」

藍子「私はお散歩で外に出ることが多いので、虫よけスプレーを使ったりします」

P「おお。ちゃんと対策してるんだ」

藍子「撮影の時とかに、虫さされの跡とかあるのはやっぱりよくないんじゃないかって思うし……」

響子「偉いです藍子ちゃん。見習わないと」

P(虫さされくらいは編集でどうにかできるなんて言えないな)

響子「私も長い時間お外に出る時くらいは虫よけしようかなって思ったりするんだけど」

響子「日焼け止めと一緒に使ってもいいのかな、とか考えちゃうんですよ」

P「女の子らしい疑問だな」

藍子「ふふ、悩みますよね。一緒に使うのは問題ないみたいですよ」

藍子「私は先に日焼け止めを塗って、それから虫よけスプレーしてますね」

響子「ふむふむ」

P「響子メモしときなさい。ほら」サッ

響子「お借りしますっ」メモメモ

藍子「虫さされも滅多にないし、日焼けも防げてるし。両方ちゃんと機能してるみたいなので、これでいいかなって」

響子「なるほど」メモメモ

P「愛梨と美波にも勧めてやってくれるか? どうにもガードが薄い子たちだから」

藍子「ふふ、わかりました」クス

P「っと危ない、俺仕事残ってたんだ。戻らないと」

響子「そ、そういえばそうでしたねPさん。何かお手伝いしましょうか?」

P「いいからいいから。2人でお喋りしてなさい」ペラペラ

響子「だって。藍子ちゃんっ」

藍子「ええ」

響子「……」

藍子「……」

響子(あ、あれ? そういえば藍子ちゃんと私って……)

藍子(響子ちゃんと2人でお話したことって……ないかも)

響・藍(な、何のお話しようかな……)アセ

響子「えっと……あ」

藍子「? ど、どうかしましたか?」

響子「藍子ちゃんの後ろ、蚊が飛んでますっ」

藍子「えっ」クル

藍子「んー…あ、ほんと」

響子「藍子ちゃん、こっち。お隣に来たほうが」

藍子「あっ、うん」ソソソ

響・藍「……」

P「……」モクモク

響子「あの蚊、まだまだピンピンしてますよね」

藍子「みたいですね」

響子「蚊取り線香、あまり効いてないんじゃ……」

藍子「うーん、確かに……もしかして、効果ないのかな」

響子「そもそもうちでは蚊取り線香って使わないからなぁ」

藍子「あ、私のうちもですよ。なんか、コンセントにさすタイプのやつ使ってるみたい」

響子「わ、そんなのもあるんだ! うちのは電池式だったかな」

藍子「あ、電池式よさそう。置く場所に困らなそうだし。でも、効き目が弱かったりとかしないかな?」

響子「んー、家の中で蚊にさされた記憶がないから、結構しっかり効いてるんじゃないかと思いますよ♪」

藍子「わあ、じゃあ私も自分のお部屋用に買っちゃおうかな」

響子「うんっ、いいと思います! あ、でも、藍子ちゃんのおうちってそんな大きいんですか?」

P(よし。大体やるべきところまで片付いたかな)

藍子「あ、別に大したことはないんですけどね。リビングに置かれてるから、私のお部屋には効果が薄いかもって」

響子「ああなるほど……そういえばうちの、もうすぐ買い替えないとだめだったかも」

藍子「響子ちゃん。今度一緒に見に行きませんか?」

響子「はいっ、もちろんいいですよ!」

P「盛り上がってるな」

藍子「Pさん」

響子「あれ、お仕事は?」

P「片付いたよ。2人で何の話してたんだ?」

響子「はい、蚊対策グッズのお話してました!」

P「君たちも蚊トーク!?」

藍子「話題をくれた蚊に感謝です」

響子「ね♪ あ、でもそれだけじゃないですよ! 2人でお買いものに行く約束もしましたから!」

P「お、おおそうか。服でも買いに行くのか?」

響子「いえ、蚊対策グッズを」

P「だと思った! わかってた!」

響・藍「えへへ♪」

P「まあ、あれだ。個人的な見解だけど」

響・藍「?」

P「響子と藍子は相性よさそうなのにあまり絡む機会がなかったからな。意気投合できたみたいでよかったよ」

響子「! えへへ、そうですねっ」

藍子「ほんとに。ふふ」

ガチャ

響子「あ、また誰か」

??「おはようございます」

P「おう、肇も来たか」

肇「プロデューサー、おはようございます!」

P「おはよう」

響・藍「おはよう肇ちゃんっ」

肇「響子ちゃん、藍子ちゃん、おはようございます! 2人とも早いですね」

P「肇もじゅうぶん早いよ。打ち合わせまでまだ結構ある」

肇「ふふ、ですよね。もちろんわかってますよ。ちょっと悔しいですけど」

肇「……?」キョロキョロ

P「肇どうかしたか」

肇「……」スンスン

響・藍(あ、なるほど)

肇「この、香りは……?」スンスン

P「……気がついてしまったか肇」

肇「あ、はい……すみません」スンスン

P「そうか、なら仕方ない。聞いて驚くなよ肇」

肇「え?」

P「この匂いなんだが、なんと実はな……」

響子(なんで突然小芝居が始まったんでしょう?)ヒソヒソ

藍子(私にもちょっとわからないです……)ヒソヒソ

P「蚊取り線香なんだよ」

肇「……」

みんな「…………」

肇「嘘! そんなの信じられません!!」キッ

P・響・藍「えっ」

肇「私の知ってる蚊取り線香の匂いじゃない! 蚊取り線香はこんな匂いじゃない!!」クワッ

P「あの、肇?」

肇「蚊取り線香はもっとこう、ファーッて! ファーッて香るものです!」ファーッ

P「肇さん?」

肇「Pさんどうしてそんな嘘つくんですか? ハッ、私が田舎者だからですか? 田舎者だからわからないと思いましたか?」

響・藍「」ガクブル

P「は、肇……そんなに怒らないでくれよ……」オロオロ

肇「…………ふふっ」クス

P「え?」

響・藍「!?」

肇「ふふっ、ごめんなさい。やり過ぎちゃいましたね」テヘ

肇「Pさんが何か、変なお芝居を始めたみたいだったから」

肇「演技とアドリブの練習に、と思って、乗っかってみたのですが……ふふっ」

P「は、肇~」ヘナヘナ

肇「ちょっと、無理矢理でしたか?」

P「いや、名演技だった……怖かったよ。あと一歩で漏らすとこだった」

肇「ご、ごめんなさい」ペコ

P「俺はいいんだけど……響子と藍子が」

響子「怖かったです……」

藍子「まだ震えが」

肇「わああごめんなさい2人とも」ペコペコ

響子「だ、大丈夫です! 肇ちゃん演技上手なんですねっ」

藍子「見習わないと」

P「そういう仕事もどんどん取ってきてよさそうだな」

肇「あ、あはは……と、ところで、この匂いってほんとになんなんですか?」

P「ん? だから蚊取り線香だって」

肇「でもこれ、まるでお香みたい……」

P「『森の匂い』っていう蚊取り線香なんだ。フローラルだろ」

肇「そ、そんなのがあるんですね。蚊取り線香も進歩してるんだ……」

響子「肇ちゃんは線香派ですか?」

肇「えっと、他に何派があるのかわからないけど、線香派ですね」

P「肇はそんな感じだな。というかそうであってほしい」

肇「と言っても、こちらに出てきてからは使っていないんですけど」

肇「実家ではこの時期、それこそ毎日のように蚊取り線香が焚かれていましたね」

響子「虫が多かったんですか?」

肇「田舎ですからね」クス

肇「私は割とさされやすいみたいで」

P「ほう」

肇「小さかった頃……おうちで私が蚊にさされると、祖父が慌てて蚊取り線香を焚きだすんですよ」クス

藍子「素敵なおじいちゃんです」

肇「で、キンカンを塗ってくれるんですけど、あれのにおいが苦手で」

P「ああ確かに。独特だよな」

肇「家の中で使う以外にも、土に向き合っている時とか、釣りに出かける時とか」

肇「よくお世話になっていましたね。蚊取り線香に」

響子「肇ちゃんは根っからの線香派なんですねっ」

肇「ふふっ、そうなりますね。ところで、他に何派があるんでしょうか」

P「何派があるんだ?」

響子「え? えーっと……なんて言うのかなあれ……私たちは何派なんでしょう藍子ちゃんっ」

藍子「あ、丸投げされちゃった気がする。えーと……」ムー

肇「……」

P「……」

響子「藍子ちゃんがんばってください!」グッ

P「君も一緒に考えようよ」

藍子「んーと……あ」

P「整ったか」

藍子「私たちは……線香使わない派、ですっ」フンス

響子「やったーすごくわかりやすいっ」パチパチ

P「……」ポリポリ

肇「あはは……で、その」

響子「なんですか肇ちゃんっ」

肇「恥ずかしいんですけど、蚊取り線香以外の虫よけグッズというのがよくわからないんです」

響子「おやおやー。それはもったいないことですよ♪」

藍子「ですねぇ♪」

P「なんなのこのコンビ」

肇「仲が良くてうらやましいです」クス

P「実は俺も蚊取り線香以外の虫よけのことってCMでくらいしか知らないんだよな」

P「線香使わない派の2人で俺と肇に教えてくれよ。事務所で使うことも検討してみたいし」

響子「いいですとも♪」

藍子「……って言っても、特に教えるようなことないんですけどね」

肇「そうなんですか?」

響子「電池を入れて、スイッチを入れて置いておくだけだったりー」

藍子「コンセントに挿して、スイッチを入れて置いておくだけだったり……です」

P「……それだけ?」

響子「はい」

肇「その間お部屋に入れなかったりとかはしないんですか?」

藍子「バルサンとは違って、お部屋でお昼寝してても問題ないんです」

響子「火もいらないし、けむりが出ないからけむたい匂いもしませんよっ」

藍子「効果は抜群ですよ。私、おうちで蚊にさされたことないですから」

P「……肇」

肇「なんでしょう?」

P「蚊取り線香って、焚いてても蚊にさされるよな」

肇「さされますね。効果のほどでは、線香使わない派に軍配が上がりそうです。残念ですが」

P「ああ……」

肇「でも、ね」

肇「響子ちゃんが言った通り、蚊取り線香のけむりや匂いが好まれないのはよくわかるんです」

肇「でも私は、蚊取り線香のけむたい匂い、嫌いじゃありません」

肇「初夏の頃、学校から家に帰った時、戸を開けると蚊取り線香の匂いがして……それで私は実感するんです」

肇「ああ、今年も夏が来たんだな、って」

響子「……」

肇「いつの間にか居間には扇風機が出ていて、縁側には風鈴が吊るされていて」

肇「土をこねる祖父はもう汗びっしょり。その隣にもやっぱり蚊取り線香がある。そうしてどんどん夏になっていく」

藍子「……」

肇「春は桜だったり、秋は虫の鳴き声だったり……季節を象徴するものはいろいろあって」

肇「それはきっと人それぞれなのですが、私にとっては蚊取り線香のあの垢ぬけない匂いが」

肇「夏を感じさせてくれる象徴、なんでしょうね。今はお部屋で使うことはないけど、ふと香ると……実家を思い出してしまいます」

響子「肇ちゃん……」

肇「ご、ごめんなさい長々と」

藍子「ううん。すごく素敵なお話でした」

響子「ほんとですっ。蚊取り線香使ってみようかな」

P「……ううっうっ」グス

肇・響・藍「Pさん!?」

P「すまんちょっとガキの頃のこと思い出しちゃって……うう」グス

響子「も、もーPさんってば泣き虫なんだからー。はい、お鼻ちーんしてください!」

P「悪いなほんと……」チーン

藍子「あらら本気泣きしちゃってますねぇ」

P「みんな俺を見ないでくれ。恥ずかしい」

響子「藍子ちゃんカメラカメラっ。シャッターチャンスです♪」

藍子「あ、ほんと♪」

P「撮るなーーーーーーー!!」

肇「ふふっ……あ」

肇「打ち合わせの時間、だいぶ過ぎてる……」

------------------------------------------------


<チリーン……チリリー…ン……

肇「うーん」

肇「実家とはいえ、Tシャツ1枚ってやっぱりだらしないかな」

肇「でも楽だし涼しいし、いいよね」

肇「……ふわ」

肇「……眠くなってきちゃった」ゴシゴシ

肇「ちょっとお昼寝しようかな……」

肇「あ、おじいちゃん。どうしたの?」

肇「ああ、蚊取り線香ね。わかったわかった。焚いておくね」

肇「よいしょっと。これで安心」

肇「……ふわあ」

肇「ん~、おやすみなさーい……」コロン

肇「…………すぅ……」スヤスヤ

<チリーン……チリンリリーン…………

金○の夏、日本の夏。

響子ちゃんと藍子ちゃん一緒に書くのは難しいね
肇ちゃんは夢の使者で蚊取り線香と共演してた気がするしきっと線香派だよね
ということでおしまい

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom