三井「安西先生……」(53)

三井「>>2がしたいです」

ざわ…ざわ



三井「………」スクッ スタスタ

木暮(三井… 開いたままの扉の方へ…… 何をする気だ?)


外の生徒「こっちに来る…」ヒソヒソ

生徒達「モ、モップが折れて……」

生徒達「…血が出てる人が沢山いる」

三井「………」

木暮(外の生徒達に混じってこちらを見てる)

女徒達「流川クンの頭から血が…」ヒソッ

  ざわ… ざわ…

木暮「三井……」

木暮「今さら第三者のフリするなぁ!!」



三井「イヤ冗談冗談。 ちょっとやってみたくなっただけだ」スタスタ

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

木暮「三井……」


三井「安西先生……」クルリ


三井「オレ、本当は… >>6がしたいです……」

サッカー



三井「全員表へ出ろ…… お前らもだ」

木暮(何だ? 何をする気だ三井……)


――― 校庭


三井「ヘイ鉄男! パスパスパァァス!!」ダダダダ

鉄男「…ああ」トォーン!



木暮GK(まさかと思うが、これはサッカーか……?)

木暮GK(しかも、こちらのチームの方が1人少ない… それにこんなに後ろに下がって守備に徹するなんて……)



三井「ヨシ、ここだ! 鉄男!!」

鉄男「………」ビシッ



木暮「GKとDFの間にクロスを放り込まれた!」

三井「さぁここで…!」ズドォォォッ!

木暮「…う、わぁぁぁ!!」ザシュッ!

三井「ゴオオオォォォーーーールッ!!」


三井「やったぞ鉄男!」

鉄男「…ああ」



木暮「………三井」


木暮「今はサッカーじゃないだろうがああぁぁ!!」



三井「でもギリシャ戦があまりにも悔しくて…」

三井「これならドン引き守備固めでも、点を入れられる」

三井「次のコロンビアにだって勝ってみせる!」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」


三井「…じゃ、サッカーはこれくらいにしておいて」



三井「安西先生……」

三井「オレ… 本当の本当は」


三井「>>10がしたいです。 本当です」

東大受験



三井「……今日は帰ります、安西先生」

三井「オレが本当の本当にしたい事…… いつかお話しします」

三井「今日は寄って行く所があるので……」


三井「行くそ、鉄男」テクテク

鉄男「…ああ」テクテク


木暮(帰るのか三井!)



木暮(三井が本当の本当にやりたい事……)

木暮(……気にならないではない)



――― 翌日


木暮「……三井!」ガラガラッ

木暮「いない、か……」キョロキョロ

木暮(これは三井の机…… おや?)パサ

木暮(『東大を目指そう』に、『東大に行くための勉強法』… それに『東大に入れる予備校!』やら、パンフレットがいっぱい!?)

木暮(まさか、三井……)


三井「テメェ! 何勝手に見てんだ木暮!!」ガララッ!

三井「どうやら死にてぇらしいな……」



三井「…フッ、まぁいいさ」


木暮(三井……?)



――― 授業終了後・体育館


  ソー! エイオウ、エイオウ!


三井「……邪魔するぜ」ガララッ!

木暮(三井!? また来たのか!)

木暮(あの鉄男ってヤツも……)

木暮(また暴力を!?)



三井「………安西先生」スタスタ


三井「オレ… 昨日、夢に見ちまったくらい>>15がしたいんです」

今日は飲み過ぎたし寝るよ! 安価下
付き合ってくれた人、アリガトウ



木暮(三井……)ハッ!

木暮(三井の制服… 胸に付けているのは……)

木暮「赤い羽根!?」

木暮「募金… してきたのか三井」

三井「…それだけじゃねぇ」

三井「駅前の清掃もしてきた」

三井「見ず知らずのじいさんばあさんと一緒に汗を流す… 素晴らしいだろう」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

木暮「掃除なら体育館をやってくれよ!」

木暮「血がこびりついて大変だったんだぞ!!」



三井「ちなみに今度の休みの街づくりイベントでは、子供達にスタンプを押してやる係だ」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

三井「お前らもどうだ? 飛び入り参加もOKだ」

木暮「練習試合だよ!!」

三井「そうか。 まぁ俺達の休みの予定はさておいて、だ」


三井「安西先生……」



三井「オレ… オレ、心の底から>>19がしたいです」

流川親衛隊



三井「その練習試合が終わったら、もうIH予選か……」

木暮「三井……」ホッ

木暮(…やっとバスケの話に)

三井「オレも行くよ木暮…… あの3人の女と一緒に」

木暮「エッ?」

三井「手製の横断幕とユニフォーム… ハチマキを付けてさ」

木暮(何を… 言ってるんだ三井?)

三井「そこのキツネの応援団だ」

流川「??」



三井「オレのユニフォームには『LO』、鉄男は『VE』」

三井「あの3人と繋げるとRU・KA・WA・LO・VEになる」

三井「ちなみにハチマキは『る・か・わ・❤・命』」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

木暮「バスケやろうよ三井イイィィィィ!!!」

流川「…どあほうが」

三井「口のきき方に気を付けろよ1年…… だが、これで応援体制は万全」


三井「だから安西先生……」


三井「オレ本当はゲロ吐くほど>>22がしたいんです」

就職活動



三井「それもこれも、全ては就職にかける思いから来てる」

木暮「はい?」

三井「ボランティア然り、応援団もまた然り……」

三井「昨今、幾分売り手市場になってきたとはいえ… 学生時代に一生懸命やった事は、就活の際のアピールポイントになる」

三井「だからオレは、何だって一生懸命やるんだ」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

木暮「一生懸命バスケやれよ三井イイィィィィ!!!」

三井「ウルセェぞ木暮」



三井「企業説明会なんかも積極的に行ってる」

三井「JAXAでは、オープニングに打ち上げカウントダウンの音声が流れた」

三井「胸が熱くなったぞ」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

木暮「それはテンション上がるだろうけども!!」

木暮「そもそも就職したいのか東大行きたいのか、どっちなんだよ!!!」

三井「ウルセェつってんだろ木暮」


三井「来年のオレを見ていて下さい安西先生……」



三井「ですから今は禿げ上がるくらい>>25をしたいんです、安西先生」

テニヌ



三井「表に出ろ木暮、赤木」

木暮(……何をする気だ三井)


――― コート


木暮(これは… テニスのダブルスか?)

三井「………」コオオォォォ
鉄男「………」コオオォォォ

彩子「2人が纏うオーラが見える」

木暮「しかもッ!」

木暮「完全にッ!!」

木暮「同期しているッッ!!!」



木暮「う… うわああぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

  ズバアァァァーーーーーンッ!!

木暮「あ、赤木イィィィィィィーーー!!!」

木暮(赤木が… 2、30mは吹っ飛ばされて金網にめり込んだッ!?)

彩子「ダメージポイント加算!!」

木暮(これはテニスなんて生ぬるいモノじゃない!)

木暮(これはテニヌ!)

木暮(三井はテニヌプレイヤーなんだ!!)


三井「ちなみに1人ダブルスまで、もうちょいなんだ」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」



木暮(そうして三井は帰って行った………)

誰もバスケさせてくれない

いや言ってみただけ。
うんこでも釣りでも何でもいいよ。



木暮(―― もうすぐ県大会が始まる)

木暮(今年こそ… 今年こそ…!)

木暮(その思いから、練習に一層力が入る)


  ソー! エイオウ、エイオウ!


三井「頼もう!」ガララッ!

木暮「また来た!!」ガァン

木暮「やっぱり鉄男もいる!」

木暮(どうして鉄男ってヤツは大人しく三井について来るんだ……)


三井「安西先生…… オレ、よく考えたんです」



三井「そしたら分かったんです。 オレ… 血ヘドぶちまけるくらい>>34がしたいって」

水戸黄門ごっこ



三井「黄門様は勿論、安西先生です」

三井「助さんはオレ、そして格さんは鉄男…」

三井「風車の弥七はそこのキツネ、うっかり八兵衛は赤頭にやって貰う」

三井「そして由美かおる役はマネージャー、お前だ」

彩子「!!」

三井「ちゃんとお色気シーンも用意してるぞ」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…当然」


木暮「……他の人間は?」

三井「そんなの悪代官とか、そこらの雑魚に決まってんだろ」



三井「この布陣で臨めば予選突破、インターハイ出場も間違いなし」

木暮「悪役なんてやりたくない!!」

木暮「ていうか何の試合をするつもりなんだ三井!!」

三井「ウルセェぞ木暮」

三井「テメェはお色気シーンが必要ないとでもいうのか?」

木暮「それは必要だけど!!」

木暮「そもそもバスケはどうするんだよ!!!」

三井「いちいちうるさい木暮は放っておいて」

三井「配役も決まった事だし、安西先生……」クルリ



三井「オレ… 全裸で校庭逆立ちで歩いてもいいほど>>37がしたい…… 本当に、したいんです!」

高校デビュー



三井「そこの赤頭はよ…」

三井「中学の頃から相当なワルだったらしくて、こないだのホラ… 赤頭軍団」

木暮(桜木軍団!?)

三井「高校に入学しても、自然にそんな事ができる……」

三井「ずっとそんなのに憧れてたんだ、オレ」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

三井「ボッチャンみたいな髪型を止めて染めたり、眉毛剃ったりピアスしたり……」

三井「『眠ィ~』とか『だりィ~』とか呟いてみたり」

三井「夜の繁華街でタムロしてみたり…」

木暮「違うよね!?」

木暮「入学当初そんな感じじゃなかったじゃん三井!!」



木暮「そりゃ髪型はボッチャンでも、割とヤンチャ系だったし!」

木暮「そもそもイメージチェンジなら、バスケやめた後に十分してるよ!!」

三井「……そんなの」チッ

三井「そんなの… 高校入学前にやっとかねえと意味がねえんだよ!!」

三井「今のイメチェンは遅ればせながら… としか言う他ねえ」

三井「だよな? 鉄男」

鉄男「…ああ」

木暮「そんなにデビューしたいなら、大学でも社会に出てからでもいいだろ三井イイィィィィ!!!」


三井「安西先生…… オレにはもう、後がないんです」



三井「だから>>41ができるなら、この先オレは一生オナ禁してもいいんです」

ドーナツを穴だけ残して食べる



三井「……それはひとつの哲学」

三井「この問題が解かれるんならオレは一生オナ禁するし、ついでにバスケもやる」

木暮(『ついでにバスケ』!? だが、それほどの……)

木暮「それは一体……?」ゴクリ



三井「……『穴』って何だ?」

木暮「は?」

三井「察しが悪ィな、ドーナツの穴だよ」


三井「どうやったら穴だけ残してドーナツ食えんだよ木暮!」


三井「『穴を残す』って、どんな動作なんだよ木暮ェェェェ!!」

木暮「いきなりそんな事言われても!!」ガァン



三井「オレだってオレなりに色々考えたんだよ!」

三井「そもそもドーナツを食うと、ドーナツの穴がなくなる… っつー前提自体を疑ってかかる必要があるんじゃねえのかとか!!」

木暮「そ! それはそんなような気もするけども!!」

三井「だからオレはこう考えた……」

三井「食われたドーナツの穴は、消えてなくなるどころか… 本来はドーナツのなかった所にも、どんどん増殖していくんじゃないかってな」

木暮(何を言ってるんだ、この男!!)


三井「答え… 教えてくれよ木暮」

三井「そしたらオレ… オレ達、頭丸めてバスケやるよ」

三井「な? 鉄男」

鉄男「…ああ」

木暮(鉄男も!?)



-----------------


木暮(……結局、三井の納得の行く答えは出せてやれなかった)


木暮(最初から穴を作らなければいいんじゃないか、とか…)

木暮(穴に空気とは違う気体を詰めればいいだろ、とか色々意見は出たけど……)


木暮(答えが得られないと分かった三井は、体育館を去って行った)


木暮(……もうすぐIH予選)


木暮(あれきり体育館を訪れなくなった三井…)

木暮(何だか懐かしく感じる……)



木暮(……何故か鉄男も)



木暮(―― 県大会予選が始まった)

木暮(体育館には訪れなった三井だが、宣言通り流川親衛隊として応援席に来ていた)

木暮(そして、その声の限り叫び続けた)

木暮(『ル・カ・ワ!』と……)


木暮(今年の湘北高校… ルーキー流川と、自称天才・桜木の活躍によって予選を勝ち上がっていく……)

木暮(桜木に関しては何度か退場を食らってはいるけれど…)

木暮(概ね順調と言っていいだろう)



木暮(―― そしてIH出場をかけた、予選決勝リーグ)


木暮(外からの決定打に欠ける我々、湘北高校は……)


木暮(対翔陽戦では辛くも負け… 王者・海南には当然負け……)

木暮(福田吉兆… フクちゃんが新たに加わった陵南高校にもコテンパンにやられた)



木暮(もしも、ここに三井が加わっていてくれたなら……)

木暮(…いや、いい。 言っても詮無い事だ)

木暮(彼は彼で、喉も裂けよとばかりに応援してくれたのだから…)


木暮(『全国制覇』か……)


木暮「いつだって… 夢見がちなのはオレだけだったんだな三井……」


木暮(―― そうしてオレ達3年生は引退する)




三井「オレは引退なんてしないけどな! な? 鉄男!!」

鉄男「…ああ」

木暮「何を!!??」



----------------


木暮(―― そして季節は移り変わり、今日はもう卒業式)


木暮(仏頂面の流川に、リハビリもとっくに終え、復帰した桜木……)

木暮(宮城は懸命にガマンしているようだったが、安田も角田もボロボロ泣いていた)

木暮(仏と呼ばれる安西先生が、それを優しく見守っている)

木暮(そうだ… オレ達が去っても、若い芽は育っているのだから)

木暮(……ふと、誰かがやって来る気配を感じた)


木暮「三井!?」バッ!


三井「よう…」



木暮(さすがに今日は鉄男はいないか……)

木暮(でもあそこ… 校門の影でチラチラ見え隠れしてるのは…?)


三井「もう最後だから… これだけ言っておこうと思ってよ」



三井「安西先生……」




三井「オレ…… 生まれ変わったら、またバスケしたいです」

木暮「在学中に言えよ! そういう事はアアァァァァァッッ!!!」







終わり
ミッチーは多分何にでも一生懸命になれる男

安価踏んでくれた人アリガトー

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom