夏目漱石「聖杯戦争?」 (346)

処女作でしかも原作未プレイなので注意
分かりやすく書くつもりだけどコアな夏目漱石ファンじゃないと解らないネタがあるかもしれない

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403184791

彼は青い顔をして寝ていた
胃潰瘍で彼は死のうとしていた
人生を通して厭世観に悩まされたが、死ぬ間際になっても生きたいと思った
彼にはまだやることが沢山あった
しかし、本人の意に反して体は動かず、ペンを持つどころか起き上がることさえ困難だった
彼はゆっくりと目を閉じ、そして二度と開けることはなかった
彼の本名を夏目金之助と言う
またの名を夏目漱石、言わずと知れた大文豪であった

深夜2時、寝静まった町の洋館で少女が儀式を行っている。
凛「 汝三大の言霊を纏う七天、
  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
しかしその呼び掛けに反応するものはいない
召喚は失敗した。そう少女が落胆仕掛けたとき、突然ドサリと音がして男が落ちてきた
中年、いや初老だろうか。恐る恐る顔を覗いてみると、七三分けの頭に八の字髭をして、少しやつれたような顔をしている。
「誰だ君は」
男は視界に入ってきた少女を見ながら訪ねる。
凛「あんたこそ誰よ、サーヴァント?」
「私は私だ。夏目金之助という」
凛「夏目金之助?日本人じゃない。だとしたら何で召喚されたのかしら…」
凛は男の顔をまじまじと見て、ふとどこかで見たようなきがすることに気がついた。
凛「夏目…夏目漱石!?」
漱石「いかにも私の筆名は漱石だが。しかしなぜ私は生きているのだ、胃潰瘍で死ぬ間際だったはずでは…」
凛は驚愕する。高校生の教科書にも載っている、それでなくとも日本人ならたいてい知っている文豪が、目の前の男だというのだ
驚かないはずがない
凛「何で夏目漱石なんかが召喚されたのよ…」
漱石「それよりも腰がいたくて立ち上がれない。手を貸してくれないか」
漱石は凛の手を借りて立ち上がると、戸惑う凛とと共に、遠坂家の居間へとあがっていった。

戦闘潮流の人は尊敬しておりまする

漱石「聖杯戦争?なんだそれは」
凛「本当に知らないのね…」
凛はあきれつつも漱石に聖杯戦争の概要を説明する。本人は本当に何も知らず、記憶は死ぬ間際を最後に途絶えていると言っている
凛「けれど何で日本人のあなたが召喚されたのかしら」
漱石「西洋の英霊しか召喚できないのだろう。実は私はイギリスに留学詞に行ったことがる。それが原因かもわからない」
凛「そうかもしれないわね。ところであなたのクラスは何になるのかしら」
漱石「セイバー、ランサー、バーサーカーか……ライターとでもしておけばいいだろう」
凛「分かったわ。最も誰もかの夏目漱石が参加しているだなんて思わないでしょうけど」
漱石「機密保持が必要なのだろう。金之助とでもよんでくれたらいいよ」
凛「そうね、あなたの能力の確認は明日にすることにして今日はひとまず寝ましょう。明日から宜しく、金之助」
漱石「お休み、凛」

クラス ライター
真名 夏目金之助

翌日、食卓では凛と漱石がついていた。
凛「貴方は霊体化はできるのかしら」
漱石「英霊だったらできるのだろうが、生憎私はただの物書きだ」
凛「でもあなたなら普通に保護者としていられるわね」
漱石「しかし私がいても戦力にはならないぞ」
実際彼は普通の人間であり、戦闘能力はなかった。
凛「足手まといになるかもね…でもこの時代の日本にも興味があるでしょう?地理観も必要だから案内するわ」
漱石「確かに、今は20世紀末だったな」
漱石は20世紀初頭に死んでいる。少なから図この時代の日本というものには興味があった
それに、漱石は学校の先生をしていたこともある。それだけにこの時代の学校を見てみたかった。
こうして、漱石は凛と学校へ行くことになる

漱石は授業参観に来ていた
はずであった。だが、彼は図書室にこもって本を漁っていた。
決して授業が悪かったわけではない。
だがその日は運悪く数学や科学で埋まっており、加えて教師の態度もさして変わったものはなかったため、それなら自分で本を漁り勉強した方がいいではないかと思ったからである。生徒たちの好奇の視線に居心地が悪くなかったからでもある
彼は最初は近現代史の本を読んでいたが、結局は親交のあった芥川龍之介の本や太宰治の本など、小説を数冊借りて図書館を出た。自分の本も数冊借りていった。
漱石は小走りで教室で待っているであろう凛のもとへ急いだ。

教室で凜は待っていたが、なにやら険しい顔をしていた。

漱石「どうしたんだ凜」
凜「待ったわよ、さっきから魔翌力が変なの」
漱石「他の参加者がいるということか」
凜「そうみたいね、夜まで待ちましょう」

その日は満月であった。少女と初老の男のもとに現れたのは蒼い髪をして槍を持った英霊、ランサー。迎え撃つは少女の魔術師と、剣どころかペンすら持たぬ小説家。両者の間に緊張が走る

ランサー「月が綺麗だな、悪くねえ。ところであんたがサーヴァントなのか?これなら教会に逃げ込んだ方がよかったんじゃねえか?」

凜「来たわね…金之助」

誤爆してしまつた

漱石「分かった」

そう答えると漱石は借りてきた本を取り出す
題名は「我輩は猫である」
本を開き、その中のページの幾枚家を破って、勢いよく宙に放る。

漱石「-呑気に見える人々も、心の底を叩いてみると、どこか悲しい音がする-『我輩は猫である』!」

突如として破られたページは大きな猫に変わり、ランサーへと襲いかかる。
先ほど教室で方策について話し合った際に、漱石には戦う手段のようなものがうっすらと感ぜられた。『みずからの著作のページを破って宝具を現出される』はじめから敵に宝具を見せることとなるが、背に腹は変えられない

ランサー「なんだこの猫は!」

ランサーは槍を振るうが、猫を貫くことがどうしてもできない
猫には名前がない、故に存在もはっきりしたものではなかった
幽霊のようなものであり、しかしながらランサーを惑わせ、確実に魔翌力を吸いとっていった
凜の援護も加わり、ランサーは漱石へと攻撃を届かせることができないまま、撤退していった

漱石「イメージでの一発勝負だったか、どうにかうまくいった」

破られたページは静かにもとの文庫本に戻った

凜「よくやったわ、金之助」
漱石「ありがとう、しかしやはりランサーは様子見だったか」
凜「そうね、宝具の仕様も見られてしまった」
漱石「戦闘の度に借りた本を破るのも善くないだろう」


凜「どうにかしなくちゃ…ちょっと待って!あれはランサーと…士郎くん!?」

今日はここまで

月姫とかメルブラとか魔法よとかはやったんだけども何故かfateはやってないんだよなー
ネタを思い付いたらやりたくなってしまって見切り発車してしまった
駄文に付き合わせてしまってすまない
次は明日辺りに

小ネタ

遠野志貴「痰一升 へちまの水も 間に合わず
ゴホッゴホッ」
琥珀(どうしましょう私ったら盛る薬の量を間違えてしまいました)

志貴ではなく子規

人いないと思うけれども時間ができたので書いていきまする
凜の士郎の呼び方指摘ありがとうございます

漱石たちはランサーを追いかけようとした途中に衛宮士郎とそのサーヴァントセイバーに遭遇した。
危うく戦闘になりかけるが士郎によって誤解は解かれ、ひとまず話し合うことになった。

セイバー「とんだご無礼を、許してもらいたい」
漱石「突然のことだったから仕方あるまい、君も英霊とやらなのか」

漱石は目の前の少女をまじまじと観察する。
少女は中世風の鎧に身を包み、剣を携えて戦場へと出向く剣士といういでたちだ。
西洋人だろう。漱石には彼女のしぐさにどこか懐かしい思いを感じた。
それと同時に、何やら古傷をえぐられるような思いもした。

セイバー「貴方は英霊なのか」
漱石「そうらしい。だがなんで戦闘なぞしたこともない私が召喚されたのか見当もつかない」

イギリスの地で王として勇敢にたたかった剣士と、胃潰瘍で苦しんで死んだ物書き
漱石は彼女へ羨望に近い思いを抱いていた

そうこうしているうちに、衛宮士郎を聖杯戦争へと参加させるために、教会へと出向くことになった




漱石の衛宮士郎への印象は、若いという一点だった。
正義感にあふれ、人々を助けようという強い決意が感ぜられた。
そんなことができるはずがないという半ば諦観を伴った感想であったが、漱石には、彼なら本当に成し遂げることができるのではないかという期待もあった。彼にはそれを実現しうるエネルギーがある。そういう意味でも若いと感じた。
五十歳になり、胃潰瘍でよく臥せっていた漱石には、彼がまぶしかった。

教会の中で衛宮士郎と凜を待っている間、セイバーと漱石の会話はまだ続いた。

セイバー「貴方が聖杯に願うことはなんですか」

漱石「聖杯か……」

漱石の脳内に去来したのは今までの人生だった。
彼は人生を通してなにかしらの不安を抱き続けた。
将来についての不安、妻への不安、人の視線の不安、
そこから解放されようと、晩年は禅にのめりこんだ。
だが、死して不安から解き放たれようとしたが、結局のところ生きたいと願ってしまった。

漱石「まだわからない」

漱石には、この時に判断することはできなかった。だが、死ぬ間際に生きたいと、強く願ったことは覚えている

セイバー「願うことがないのに召喚されたのですか……」

漱石「今はまだわからない。ただ、もう少しこの世界で生きたいとは思う。そういう貴女のねがいはなんだ」

セイバー「私は、やり直したいことがある」

漱石「やり直したいこと?」

セイバー「王の、選定をやり直したい。私が王となってしまったばかりに、取り返しがつかないことになってしまった」

セイバーは騎士王、正確に言えばアーサー王物語に登場する円卓の主である、アーサー。
さらに正確に言えばアルトリア・ペンドラゴン。金に輝く髪を持った凛々しい少女であった。
円卓によってブリテンをまとめ上げるが、騎士たちとは孤立してしまった。

実は漱石はアーサー王物語を準拠に散文を書いたことがある。それでなくとも英文学の教師をやっていたからアーサーについてはよく知っていた。

漱石はふと彼女の顔がイギリス人のそれであることに気付く。
留学中に嫌というほど見た顔立ちであった。イギリスにはあまりいい思い出はないが、彼女の眼は、相手を尊重する心遣いを持ったものであったため、それほどに不快なものでもない。
凛々しいイギリス人の顔立ちと美しい金髪、剣士で王だったという経歴、そして取り返しのつかないことになったということ。
漱石の中ではこの三つが奇妙な結びつきを持った。

漱石「ははは、まるでアーサー王のようだ」
セイバー「ッ なぜ真名を!」

セイバーは漱石と間合いを取ると鋭い眼で睨む

漱石「真名?たしか英霊の本当の正体のことだったか」

ここまで言うと漱石は驚いて目を見開く

漱石「まさか、あなたはアーサー王か!?」

セイバー「いかにも、私が円卓の王だったものです」


とりあえずここまで

アンデルセンは確かに作家だったなあ

漱石のスキルは    
            跳躍 C
        アイテム製作 C
          神経過敏 EX   とかかなあ

事情があって午前中暇だあ
まだまだ書きます

セイバーは漱石の口調から、漱石が意図していったことではないことを悟り、緊張を解く。

セイバー「それはあなたの推測でしたか」

漱石「いかにも、私はこれでも英文学に通じていたから」

漱石はそういいながらもすこし苦い気持ちになった。
英文学者という肩書は捨てた物だったからだ。
正確に言えば、逃げた、からだった。
精神に不調をきたし、そのリハビリとして書いた「吾輩は猫である」が売れ、
それを口実として英文学者の地位を捨て、朝日新聞で小説家として連載小説を書くようになった。
英文学から逃げたのだ。
その経験は漱石の中で深く沈殿し、凝っていた。

セイバー「私は昔騎士王としてブリテンを治めていました」

漱石は静かに目を閉じる。
凜から借りた、彼女の父のものだった黒いコートを羽織って立つ姿は、厳かな印象をセイバーに与えた。
彼の想像の幕はすでに開いている。

イギリスの草原で、先ほどまで目の前にいたセイバーが、姿を変えずに敵と刃を交えている。
周りでは剣の交わる音や足音、うめく声が聞こえ、心の奥底から発せられた叫びが戦場に満ちている。
セイバーは舞うように剣を振り、金属の触れ合う甲高い音を響かせた。


舞台はめまぐるしく変わり、カメロットにあるアルトリアの城になる。
机は丸く、そこに13人の騎士たちが並ぶ。
その中でひときわ目立っているのはセイバーであった。
そこで行われていた会議が終わると、セイバーは12人の騎士に見送られながら部屋を出る。
その姿は荘厳で完璧な王のものであったが、同時に、陰りがあり、さびしげであった。



草原もカメロットの城も霧散し、漱石は教会の椅子に腰かけている。
セイバーは壇のほうを向き、口をひらいた。

セイバー「やり直したい、もう一度皆とやり直したいとおもうのです」

漱石はこの言葉を聞き、ゆっくりと目を開く。
漱石にとってやり直したいことなんてたくさんあった。しかし、結果どうにかなってきたし、彼女のように大切なものを自分のせいで失うようなことは避けれてきた。
彼女はとても重いものを背負っていた。そして、彼女のまなざしは、騎士道精神ともう一つ、過去の大きな後悔からきていることを漱石は悟った。

凜「またせたわね、金之助」

やがて凜が士郎の付添いの役目を終え、漱石のもとに帰ってきた。
士郎と凜はあの監督役の神父が好きになれないと話していたが、それには漱石も同感だった。
彼には暗い何かと、そこから発せられる不気味さがあった。
凜は士郎とセイバーに、次ぎあうときは敵同士だと宣告して、二人を見送った。

やがて漱石と凜も遠坂邸へとかえることにした。

ここまで 今日の夜をお待ちください
意外にも夏目漱石とセイバー相性よかった

小ネタ 寺田さんのタイガー道場

寺田寅彦「押忍!漱石先生の書生だった寺田寅彦のタイガー道場。始まるよー」

みじかいけれどもフライング投下
夜もふけた街の道を凛と漱石が歩いて行く。
漱石は点滅する信号機や所々点いている電灯の光を見たり、舗装道路や止まっている車を見ながら、しきりに感心していた。

漱石「時代は進んだものだ。東京でもないのに立派なアパートメントやビルディングがたくさんたっている。変わらないのは雑草くらいなものだな」

凜「あら、新都はもっとすごいわよ。明日にでもつれていってあげましょうか?」

漱石「楽しみにしているよ」

そういいながら律儀にも車が全く走っていない横断歩道で、信号が変わるまで待っていた二人であったが、唐突にそれはやって来た。
二人は大きな魔翌力の気配を感じた、と同時に聞き覚えがある声を聞いた。

凜「衛宮君とセイバー!?」

漱石「どうやら戦っているようだ!」

二人は信号が青に変わったと同時に、踵を返して横断歩道からは逆の、音がする方へと向かった。



凜と漱石が駆けつけた先では、セイバーと士郎が戦闘をしていた。
否、戦闘を終えたところであった。
二人とも辛くもイリヤスフィールの使役するバーサーカーを十二回殺し、勝利をおさめたが、セイバーは磨耗しきり、士郎に至っては魔術回路が焼ききれる寸前で倒れていて、正に死屍累々といったものであった
このままではいけないので、ひとまず衛宮邸へと連れて帰る事となった

漱石は呻くセイバーに肩を貸し、凜は士郎を引きずりながら、寝静まった街を行く。

漱石「しかし案外凜も甘いな、次に会うときは敵同士だといったばかりじゃあなかったのか」

凜「うっ…違うわよ、これは衛宮君達に恩を売るための行動よ」

漱石「魔術師達は約束なんぞ簡単に破る種族なのではなかったか、それでは恩もなにもないに等しいだろう」

凜「衛宮君は正義感が強いわ」

漱石「……そうか」

漱石は目をきゅうと細めると呟く



漱石「しかし凜、わかっているか、恋は罪悪だぞ」

漱石はそれきり黙ってしまった。
凜も一言も話さなかった。
セイバーは半ば意識を失っている
一行はそれから始終無言だった

二人は一時間ほどかけて衛宮邸にたどり着いた凜に一時間も引きずられた士郎はすっかりボロボロになっていて、漱石は、彼は大丈夫だろうかと心配であった。
凜はなんとか応急手当を終え、二人をしいた布団に寝かせた。

漱石は衛宮邸の趣きに懐かしい感じを抱いた。
冬木に来てからというもの行くところはどこも洋風の内装の建物ばかりであり、和装の家というものは始めてだ。
更に、衛宮邸は漱石にある場所を思い起こさせる。
夏目本家。
漱石が独立するまで過ごした所だった。
ふと視線を下に向けるとそこには病気で死んだ兄、大助が布団で寝ていた。
大助は熱にうなされふうふうといっていたかと思うと、突然漱石の方を向いて、口をくわっと開けて言う。
「文学はアッコンプリシメントに過ぎない」

漱石が瞬きすると夏目本家の風景は消え去り、元の衛宮邸の静かな雰囲気になっている。
布団の中で寝ていたのは士郎であった。
漱石は瞬きを繰り返しながら亡き兄のことを回想していた。
漱石が文学を志すと言ったとき、大助は、文学はアッコンプリシメントにすぎないと言った。文学は職業とは決してならず、趣味でしかないといいはなった。
この事は漱石を長い間呪縛し、小説家になるのを何度も踏みとどまらせる事となった。

漱石は瞑目すると、兄に関する思考を消し去った。
そして、静かに士郎が寝ている部屋を立ち去った

結局その日は衛宮邸に泊まり込むこととなった。凜は仮眠を取り、英霊である漱石は寝なくてもよいため、図書室から借りてきた芥川龍之介の本を読みながら見張りをした。
作者紹介の欄が目についたので彼の経歴をたどってみる。漱石はもっぱら彼がどう死んだのかに興味があった。枯れ枝のように細い体であったので病死だったのであろうか。

漱石「自殺…」

彼は自殺していた。
将来に対するただぼんやりとした不安と書き残しての自殺だった。

漱石はそのあと彼の本をむさぼるように読んだ。静かで写実的な文体は漱石の体に染み渡っていった。

少し空が白んで来た頃、セイバーの意識が戻った。漱石はセイバーが寝ている部屋の縁側に座って太宰治を読んでいた。
漱石は起き上がろうとするセイバーを留めて、もうしばらく安静にするよういった。

漱石「傷は大丈夫かい」

セイバー「大分塞がってきました。昨日は助けていただいてありがとうございます」

漱石「それはよかった。もっとも助けたのはうちの主人の意向だったが」

セイバー「凜がですか?」

漱石「そうだ、何でも君達に貸しを作るためらしい」

セイバー「そうですか…」

漱石「ははは、そう気にするな。建前はそうなってるらしいと言うだけのことだよ」

セイバー「はあ」

漱石はセイバーに背を向けて座り直す。

漱石「昨日のいくさはどうだったのかな」

セイバー「機密の関係上詳しくは話せませんが…私とシロウの力を合わせて、なんとか倒すことができました」

漱石「戦ったのはランスロットだったのかな」

セイバー「なぜその名を!?」

漱石「先ほどまで数回その名を呼んでいたぞ」

事実、セイバーは少しうなされていた。漱石は、最初のうちは英霊でも夢でうなされることがあるのかと感心していたが、次第にうっとうしくなって縁側と部屋を隔てる襖を閉めたりしていた。その寝言の中に、ランスロットと呼ぶ声が入っていたことに、漱石は気づいていた。

セイバー「そうでしたか。しかしランスロットではありませんでした。同じバーサーカーでしたけれども」

漱石「昨日戦ったのはバーサーカーだったのか」

セイバー「………そうでした」

漱石「…ランスロットとも戦った事があるのか」

セイバー「………はい」

漱石は「薤露行」という小説をかいている。
主人公はランスロットとアーサーの妻、ギニヴィア、そして彼を慕って死んでいった二人の女性であった。
人妻に恋をする男、という構図は後の漱石文学でよくあるものであり、その源流となったのが薤露行だった。
薤露行の中で、そしてアーサー王物語の中で、ランスロットはアーサーの妻ギニヴィアに恋をし、遂にはアーサーを裏切ることとなる。

彼女がいつ、ランスロットと対決したのか、そしてどうなったかは漱石の知るところではなく、また、さして知りたいとも思わない。

漱石「人の心は善くも悪くも簡単に変わる。今まで親切だった人間が金のために大悪人に変わることはままある」

漱石「大事なのは、人の心というものはやり方によっては変えることが出来るということだ」

セイバー「人の心を変える…」

漱石「幸い君は心がきれいだ。自信を持ってもいい」

私とはまるで違う。と呟く漱石の姿は、セイバーには少し煤けて見えた。

暫くすると衛宮邸の人々は皆起き出してきた。昨日は戦闘したり引き摺られたりとさんざんな目に遭った士郎も、持ち前の高い回復力によってすでに起きて歩けるようになっていた。だが、魔翌力の回復には最低でも数日はかかるらしい。漱石からバーサーカーについて聞いた凜は、セイバーと士郎の能力を高く評価し、同盟を組んで暫くの間共闘したいと考えているようであった。漱石は、少なくともセイバーとは敵対したくはないと思い始めていた。

漱石は庭を見ていると誰かが衛宮邸の玄関へ来たのを感じ取った。
念のため玄関で出迎えたところ、それは紫の髪を持つ少女であった。

「あの…どちら様ですか?」

漱石「私は遠坂家に少し世話になっているものだ。昨日少し衛宮君が怪我をしてな…それを送り届けたついでに上がらせてもらっているよ」

桜「そうでしたか、わざわざありがとうございます。私は桜と申します」

漱石「失礼だが衛宮君に用があって来たのかな」

桜「私は毎日ここで朝食を作っているんです」

漱石「今日も作りに来たと」

桜「はい」

漱石「御苦労だね、引き留めてすまなかった」

桜は漱石の横を通りすぎて行く。
そのとき、桜が小さな声で呟いた言葉を漱石は聞き逃さなかった。

桜「サーヴァント、か」

漱石は思わず彼女に声を掛けたくなったが、言葉は口の中でもごもごと止まったまま、ついに出ることはなかった。





休日だ―やったー
始めます

彼女を追って居間に入ると、凜が士郎と何やら話をしていたが、入ってきた桜と目が合ったようだった。

桜「おはようございます………先輩」

凜「お邪魔させてもらってるわ、間桐さん」

漱石は二人の間にある微妙な空気感が気になった。
色恋沙汰ではないだろう。もっと深い確執があると漱石は直感した。
桜は士郎の怪我を心配するが、士郎はすでにだいぶ回復しており、食欲も見せているようだったので、桜は早速厨房へと入っていった。
漱石は桜が出て行ったことを横目で確認し、凜に向き合った。

漱石「凜、さっきの桜さんとやらと凜はどのような関係なんだ」

凜「……別に何もないわよ、ただ学校の先輩と後輩なだけ」

漱石「違うな」

凜は黙り込んでしまう。士郎はいつの間にか桜を手伝いに行ったようだった。

凜「………実妹よ」

漱石「養子に出されたのか」

凜を見つめる漱石の眼は鋭く、心の底を見透かされたような気持になった凜は顔をそむける。

凜「……間桐家に」

二人はしばらくの間黙っていたが、士郎に食事ができたと呼ばれて、席を立った。

桜の作った料理は美味く、小食の漱石も食べ終えることができた。
食後に、漱石は再び桜と話す機会があった。ちょうど桜が食器を軽く洗っているときのことであった。
漱石は士郎から着流しを借りて着ていた。

漱石「君の料理、美味かったよ」

桜「ありがとうございます。遠坂先輩のサーヴァントさん」

漱石「ははは、やはりばれていたか」

桜「だって明らかに怪しいんですもの、それに、何の因果か先輩までサーヴァントを召還しているでしょう」

漱石「先輩というと衛宮君のことか。しかしそのサーヴァントの彼女はすごい食べっぷりだったな」

セイバーは昨夜は瀕死だったのに、いざ食事となると目を見張る食事量を見せた。漱石は食事中、見る見るうちに減っていく釜のご飯の様子を見て、一種の恐怖を覚えた。反面漱石は胃が小さいためちびちびと箸を進めていた。サーヴァント組として並んで座っていた二人はまさに対照的であった。

桜「……戦争は始まりましたか」

漱石「はじまってしまったようだね」

漱石には、静かに皿を洗う彼女がひどくはかなげに見えた。

漱石「心配しなくとも君のお姉さんは私が守ろう」

桜は一寸目を見開いたが、すぐ細くする。

桜「遠坂さん……姉さんを、よろしくお願いします」

漱石は一回うなずくと、厨房を立ち去った。

その日は士郎は学校を休み、静養することになった。衛宮邸にはセイバーと士郎と漱石が残り、桜と凜は登校していった。
士郎が部屋を移動しようとすると、漱石が目に入った。
着流し姿で縁側で胡坐をかいて本を読んでいた漱石に、士郎は今は亡き義父の面影を感じる。
士郎は気が付いたら漱石に話しかけていた。

士郎「じいさ…金之助さん、お茶でもいりますか」

漱石「衛宮君か、いやなにその必要はない。君は怪我人だからむしろ私が入れてこよう」

士郎「大丈夫です、何を読んでいるんですか」

漱石の、八の字髭に着流しといういでたちは、往年の知識人といった雰囲気を醸している。

漱石「ああ、これは羅生門だね」

士郎「羅生門……芥川龍之介のでしたっけ」

漱石はそうだと答えると、しばらくして士郎に問いかけた。

漱石「衛宮君、君は正義とはなんだと思うかね」

士郎「正義……ですか」

士郎は正義や正しいことを貫きたいと心の奥で思っていた。それだけに、この問いはとても重いものだった。

士郎はしばしうつむいて考え、顔をあげて漱石を見据えた。

士郎「人々を守って、救うのが正義だと思います」

漱石「では、君の親しい人と赤の他人が窮地に陥っていたとして、一方しか助けられないとする。どちらを助ける」

士郎は口ごもる。その様子を見て漱石は本を閉じた。

漱石「君の誰かを救いたいという思いは極論するとエゴイズムだ。自分勝手な考えだ。それを理解したほうがいい」

士郎は反論しようとするが、言葉が続かない。

漱石「……君は誰かに助けられたことがあるか、救われたことはあるか」

士郎「………ある」

漱石「その人はどう見えた」

士郎は絞り出すように言う

士郎「……かっこよかった。憧れた」

漱石「自分の身しか守らない生き方と、誰かを救う生き方だったら、後者のほうがかっこいいだろう。それに、大切な人を失いたくはないだろう?」

漱石は、そういうことだ、といって立ち上がり、どこかへと消えた。
士郎の足もとには「羅生門」が置いてあった。

漱石が生まれたのは江戸の世の中だったころで、まだ漱石が幼いころに維新を迎え、明治になった。
それまで正義であった幕府が朝敵となり、新政府が代わりに日本を治めるようになった。
両派は自らを信じて争ったのだろうが、大多数の民衆は何が正義かもはっきりしない時代を生きていた。
漱石の家は江戸の名主であったから、当然この流れに飲み込まれた。

漱石は何が正義で何が悪だなんて考えたことはなかった。
ただ、今ある大切なものを失いたくはないという思いは、表面には出てこなかったが、確実に漱石の奥底を構成していた。
それについては後々触れよう。

漱石はその後、セイバーと食事のことなど他愛もない話をして過ごしたり、太宰治の著作を読んだりして過ごした。
やがて、凜が帰宅してくる時間となった。

漱石と凜は新都の舗装の上にたたずんでいた。
漱石は新都のビル群にただただ圧倒されている。

漱石「なんだあの巨大な菓子箱のような建物は、あんなのがいくつもあるとは………」

凜「すごいでしょう。これが現代の街並みよ」

漱石「どうやって建てたというのだ……」

漱石は一時期建築家を目指そうとしたことがあった。それ故に建物群の、漱石の生きた時代からの進歩の飛躍的なことをよく理解することができた。

漱石「ロンドンでもこうはいくまい……」

漱石にはただただ感嘆することしかできなかった。

凜と漱石は、凜が帰ってきた後、約束通り新都に雑用品と本を買いに来ていた。

漱石は本屋の規模と品ぞろえなどにもいちいち興味を示し、感嘆していたが、しっかりと本の目星はつけていた。
買い揃えるべきものは、まずは漱石が宝具として使う自分の本と、漱石が興味を抱いていた現代の文学小説であった。

凜「三四郎、それから、門、こころ、硝子戸の中、坊ちゃん、道草、文鳥・夢十夜、倫敦塔・幻影の盾…」

漱石「この明暗も忘れないでくれ」

漱石はもっぱら現代文学の棚を物色していた。

漱石「新潮社…新声社が前身か、まだあったんだなあ。こっちの講談社というのは知らんな」

凜「どちらも有名な出版社よ」

漱石「宮部みゆき、村上春樹……」

凜「模倣犯、海辺のカフカなんてどうかしら」

漱石「人気なのか」

凜「今年ベストセラーになるんじゃない」

漱石「それは期待できそうだ、買っておこう」


漱石が本を抱えながら棚を回っていると、ふと漱石の目に留まったのはある文庫本だった。

漱石「まぶらほ?なんだこれは」

凜「ああ……それはライトノベルね」

漱石「ライトノベル?訳すると軽小説か」

漱石はその場でぱらぱらとページをめくる。
立派な髭とモーニングの紳士がライトノベルを立ち読みするさまはミスマッチだったが、漱石は納得した様子であった。

漱石「なるほど、ライトノベルとはつまり馬琴の八犬伝のような、人々が軽い気持ちで読める本のことなのだな。ライトとつくわけだ」

凜「そ、そう…よかったわね」

凜はしきりにうなずいている漱石をみながら、微妙な顔をしていた。

とりあえずここまで
漱石先生とライトノベル回でした(違

漱石と凜は何事もなく遠坂邸に帰宅し、食事のあと凜は眠りについた。
漱石は海辺のカフカを読んでる。月明かりが活字と漱石の顔を照らした。
が、やがて漱石は静かに眠りについた。

一方凜は夢を見ていた。

月明かりが照らす江戸の街の路地に凜はいた。周りには人一人いない 。

何が起こったか分からなくて混乱しかけるが、なんとか平常心を保とうとする。
すると、凜の耳にある声が聞こえた。

凜「…赤ちゃんの鳴き声?」

辺りを見渡すと近くの店から聞こえる。
そこは古道具屋だった。
凜は軒先に吊るしてある籠を覗きこむ。

凜「赤ちゃんだ…でもなんでこんなところに」

漱石「それは私だ」

凜はびっくりして振り返る、と、そこには着流し姿の漱石が立っていた。

凜「金之助!」

漱石「ここは…そうだな、私の心象世界とでもいったらいいかな」

凜「心象世界…」

漱石「長い間忘れていたのだが、なんの拍子かまた出てきたようだ。その赤ん坊は私だ」

凜は何でこんなところに、と言おうとしたが、口が動くだけで声は出なかった。
漱石は凜の様子に笑った。

漱石「私は幼い頃夏目家の人たちから疎まれてね、こうして養子にだされたんだ」

凜「そんなことが…」

漱石「私はね、こうして何かを喪うのはもうたくさんなんだ」

漱石は凜を見据える。

漱石「だから、傍にいてあげなさい。君の大事な妹の傍に」

凜「でも、私は桜に嫌われて…」

漱石「本当にそう思っているのか?彼女が孤独を感じているとは考えないのか?」

凜「それは…」

漱石「今ならまだ間に合うだろう。取り返しのつかなくなる前に、何とかしてあげたいと思わないか」

漱石は月を見ながら続ける。

漱石「私はこれが原因で苦しむことになった。彼女にはそうはなってほしくはないだろう」

漱石は、そろそろ戻ろうか、といって歩き出した。やがて、夢は静かに消えていった。

心象世界というよりかは心象風景だった。
脳内変換よろしくお願いします申し訳ない
続きは夜に

月光条例の賢治さんの最期はリアルで泣きました

【雷鳥が】木曜会スレ パアト15 【心中未遂】

23時頃からはじめまする

翌日、漱石と凜は朝早くに衛宮邸へと向かった。
セイバー陣営と同盟を結ぶためである。
漱石はその特殊な能力故に、敵を撹乱させることには秀でていたが、如何せん直接に被害を与えることが難しかった。
そこで士郎と手を組むことによって、セイバーの高い打撃力で弱点を埋めることにしたのだ。

訪ねてみると士郎とセイバーの様子は大分回復したようであった。幾つかの話し合いをへて同盟は締結された。既に両者の心理的障壁が薄くなっていたことが効を奏したようである。ただ士郎と凜の間には少しわだかまりがあるようではあった。

士郎は霊体のセイバーを伴い、凜は漱石と連れだって学校へと向かった。マスターとなった士郎がランサー等に襲われる恐れは高いと考えられ、そのための保険である。

一々本を破るのは、本が気の毒でならない
抜粋文を印刷するのでは駄目なのだろうか

正門から学校にはいるとき、一行は違和感を感じた。凜にはそれが結界を通過する際のものだとわかった。
凜は緊張していたが、漱石はなるようにしかならないだろうといって超然としていた。
授業中漱石は例によって図書室で本を読んでいた。
星新一という作家の短編集なんかを漱石は好んで読んだ。痛烈な風刺が効いていて漱石の趣味に合った。

やがて鐘がなり、放課後が訪れた。

>>85 月姫とかの執行者さん達の戦い方がこんな感じだったからそれをイメージしております
一寸変えようかな

女子生徒が襲われ、その実行犯を士郎は追っていた。やがて凜からの情報により、士郎を追ってきた漱石が合流した。
二人は校舎の屋上にたどり着き、そこで若芽頭の少年と目隠しをした女性と対峙した。

少年は慎二と名乗り、使役するのはライダーだと自ら明かした。士郎はひどく驚いているようであった。慎二は彼の友人の一人だった。
慎二は士郎を引き入れようとした。しかしながら既に同盟は結ばれている。漱石という存在が居るなかの勧誘は大胆であったが、結局はそこまでだったようで、士郎へとライダーをけしかけた。それに士郎も素早く反撃し、一瞬のうちに間合いを取るとセイバーの霊体化を解き、漱石も文庫本を構えた。
そうしている間に凜も屋上に辿り着き、慎二と向かい合う。
今ここに漱石、セイバー陣営とライダー陣営の戦いが始まった。

まず最初にセイバーとライダーが近接戦に入り、漱石も自らの宝具を展開する。
漱石が取り出したのは「三四郎」であった。

漱石「-我は我が咎を知る。我が罪は常に我が前にあり- 『三四郎』!」

文庫本が光を発し宙に浮く。するとライダーが急に苦しみ始めた。

ライダー「ぐっ」

彼女の頭の中では囁くように「ストレイシープ」と言う声が聞こえる。しかしながらその囁くような声が頭蓋で反響して何十重にも重なり始めると、次第にその人の精神を蝕み始める。体感する時間は何百倍にも引き伸ばされ、ライダーにはその声がいつ終わるとも思えない地獄の責め苦にも感ぜられた。
士郎とセイバーはライダーの混乱を見逃さなかった。

士郎「今だセイバー!」

セイバーは宝具を解放し、回復したばかりの士郎の魔翌力を使い果たさんとするような勢いでエクスカリバーを放つ。
刹那屋上は閃光に包まれた。

黒く焦げた屋上にライダーは横たわっていた。
遠くではめらめらと炎をあげて偽臣の書がもえている。慎二は既に逃げ出したらしく、屋上にはいなかった。
凜は戦闘こそ出番がなかったが、漱石への魔翌力の供給と言う大事な役割を果たしていた。漱石の宝具は地味だったが、そのくせやけに魔翌力を食った。
そんな凜はライダーを調べていた。エクスカリバーの直撃を受け生き絶えようとしていたが、まだ息はあった。
どうせ長くは持つまい、それならば楽に死なせてやろうと凜はガンドを構えた。
するとライダーが口をわずかに開いた。

ライダー「……さ…く……ら…」

凜「……桜?」

ライダー「さ……ら…を…よろ…し…く…」

凜は瞑目すると、ガンドを構えて、撃った。

漱石は静かにその様子を見ていた。
そして凛とその場を去る間際に、三四郎を置いていった。

やがてライダーは光となって消え、あとには三四郎の文庫本のみが残った。

その夜漱石は、ライダーの香りを思い出していた。
彼女からは、ラベンダーの仄かな香りがした。
漱石は、その香りを何時までも忘れることができないでいた。

その夜は、ラベンダーの落ち着いていて、それでいて暖かい香りに包まれて眠った。

とりあえずここまでー
ネタでextraで桜ポジに森鴎外とかいいかも
アンデルセンポジに宮沢賢治とかもいいな
遠野志貴ポジに正岡子規…

漱石「このアプリケーションというのは何が出来るんだ?」スマホシュッシュッ

凛「さあ?」

舞台が2002年辺りなのでスマホは出てきませぬ
14時辺りから始めますー

ガラケーにもアプリはあるよ?

>>102 oh…失念していた

翌日の放課後、漱石は遠坂家で工房を造っていた。
正しくは「漱石山房」である。
漱石山房とは漱石が作った山房のことで、数多くの名作が産み出された場所であった。
漱石の随筆、「硝子戸の中」を宝具として利用し、

誤爆失礼

遠坂家に部屋をまるごと出現させる腹積もりであった。
凛の力も借り、宝具を展開する。

漱石「-硝子戸の中から外を見渡すと、霜除けをした芭蕉だの、赤い実の結った梅もどきの枝だの、無遠慮に直立した電信柱だのがすぐ眼に着くが、その他にこれと云って数え立てるほどのものはほとんど視線に入って来ない。
書斎にいる私の眼界は極めて単調でそうしてまた極めて狭いのである-
『硝子戸の中』!」

遠坂家の一室が光に満ち、資料だの本だのが、きれいに整理されてつまった状態で浮かび上がってくる

やがて、使い込まれた机が現れ、その上においてある万年筆とインキ瓶と、原稿用紙が構成され、白い日の光を映す硝子戸が現れた。
硝子戸の向こうには雪化粧した世界が広がっている。部屋の中はひんやりと寒く、この部屋だけ冬になったようであった。
火鉢には火が点り、ぱちぱちと炭が弾ける音がしている。

漱石「ははは、まさか死んでからここに来ることになろうとは思ってもいなかったな」

凛「ここが…漱石山房…」

凛は突然現れた部屋の様子に絶句しているようであった。

漱石「どうやらこの部屋を使うと執筆が捗るようになるらしいな」

漱石はこの部屋を冬木での拠点に使う腹積もりである。漱石は早速薬缶に水を汲んできて火鉢にかけた。
そうして入れた紅茶を二人で飲んで下らないことを話し合った。
二人はそうして火がくれるまで過ごした。

酉外れてしまっていたようです
上のは本文です

二人は日常のことを話した。
凛は冬木のオーナーとして振る舞うことの大変さへの愚痴や、魔術のこと、宝石のこと。
そして亡き父や疎遠になった妹のことをはなした。漱石は凛の苦労を垣間見た。そして凛の人間として脆い部分が露出してるのを見た。
凛と漱石の心の隔たりはこのとき既に薄くなっていた。
漱石は冬木を巡って驚いたことや感心したことなど、召喚されてから感じたことを徒然と語った。そうして語り終えたあとに「此れを随筆に書いたら面白いだろうな」と言って、凜に、其れは全て現代では普通のことよと指摘されて二人で笑った。あとは昔話であった。
正岡子規と親しかった様子、学校で玩具の大砲を障子に撃って怒られたこと、留学先で自転車を練習したが遂に乗れなかったことなど、愉快なものばかりであった。二人は火鉢を囲んで笑い合った。

漱石は、昨日部屋に閉じ籠って苦悩していた凛を心配していた。凛と漱石はライダーが桜の召喚した英霊で、それを偽臣の書で慎二が操っていた事を、偽臣の書の燃え残りを調べて知っていた。それでなくともライダーの遺言から其れは推測できた。
凛はライダーから妹を託された事を悩んでいた。凛には果たして自分が桜を守りきる事ができるのか心配だった。

漱石は凛が居なくなった漱石山房で、一人火鉢を抱えながら考えていた。
漱石が冬木に来て、今まで触れあった人々は、一見明るく、気丈に振る舞っていても、何処か問題を抱えていた。

漱石 (誰も彼も皆、大変だ )

夜は薬缶からあがる湯気と共に、ゆっくりとふけていった。

とりあえずここまでぇ
お付き合いくださりありがとうございますー

投下10分からしますー

何卒お付き合いください

翌日は作戦決行の日であった。
凛は、慎二の起こした事件の際の、倫理を担当している葛木という先生の不審な動きを察知していた。調べてみるとどうも怪しく、柳洞寺に女性がいるだの噂がたっている。念のため寺の周りに行ってみると確かにサーヴァントらしき人物を確認できた。これが昨日の事である。
漱石はこの事で、明日漸ようやく本調子になってきた士郎と協力して不意討ちを食らわそうという計画を凛から聞いていた。漱石の方も異論はなかったので賛同していた。

柳洞寺は山の上にある。
士郎とセイバー、凛と漱石は柳洞寺の茂みに隠れていた。日は既に落ち夜になっている。
凛は、葛木先生が必ず通るだろうと目星を着けた地点を射点と定めガンドで狙っている。
漱石は静かに文庫本を構える。漱石の宝具は、攻撃に関しては、狙いとする人物をその人が知っていないと狙いがつけようがない。なので展開した状態で待つことはできなかった。魔力の消費も馬鹿にならない。

やがて凛にとって見覚えのある人影が現れた。紛れもなく葛木先生のそれである。
凛は小気味の良い音をたててガンドを放った。
が、葛木先生はいとも容易くよける。
呆然とする凛を尻目に、待機していたセイバーと士郎が葛木先生の前へ躍り出た。

申し訳ない
明日に響くので今日はここまで…

時間ができたので書き溜め投下します

葛木先生とセイバーの間に立ち塞がったのはローブをまとった女であった。
セイバーと即座に近接戦闘に突入し、大きく跳躍して間合いを取った。

「バーサーカーを倒したというその実力、見せてもらおうかしら」

そういい放ち魔術の圧倒的火力による射撃を繰り出した。
セイバーも負けじとエアハンマーによる打撃をするが、ダメージを与えることはできない。
奇襲は明らかに失敗であった。
相手の火力は圧倒的である。すでに凛は撤退の方策について考えていた。

この状況に黙っている漱石ではない。用意していた宝具を起動させる。

漱石「ー紅を弥生に包む昼酣なるに、春を抽きんずる紫の濃き一点を、天地の眠れるなかに、鮮かに滴らしたるがごとき女であるー
『虞美人草』!!」

漱石はできるだけこの技を使いたくなかった。女性にはなおさら使いたくなかった。
それというのもこの本の内容が問題である。虞美人草は、内容を簡単に説明すると、奔放な女性が男性に捨てられ、絶望するといった内容で、それに則して宝具としては「その人に希望を見せ、その後絶望させる」という効果を持っていた。しかしながら虞美人草自体はほかの作品と比べてあまり読まれておらず、その宝具としての効力は使用される魔力にそぐわず弱いと思われた。
しかし、この能力は図らずも彼女に絶大な精神的威力を発揮したようであった。

彼女の攻撃の手が止まり、その瞬間エクスカリバーの閃光が迸った。

倒れた彼女に葛木先生は駆け寄って抱き起こす。

「負けて、しまいました」
葛木先生「話すな、傷に響く」

「でも、残念です。やっと望みが、みつかったのに」

葛木先生「悲嘆する事はない。おまえの望みは、私が代わりに果たすだけだ」

「それは駄目でしょうね。だって、私の望みはさっきまで、叶っていたんですから」

漱石は彼女の葛木先生への恋慕を感じた。
ここで終わるのは、切なすぎると思った。
漱石は一昨日の事を思い出した。
ライダーは、桜を守りたかったのだろう。その思いを漱石は自らの手で絶ちきった。
これは戦争だ、と考えもしたが、別に方法はなかったのかとも考えた。

漱石は凛に問いかける。

漱石「凛、魔力の貯蓄はまだあるか」

凛「あるわよ、でも何をするつもり?」

漱石「彼女を、救う」

漱石は二人の側に駆け寄って女性に言う。

漱石「助かりたいか」

「たすけて…くださるの……かしら」

漱石は頷いた。

漱石「展開!『漱石山房』!!」

瞬時に林に小屋が出現し、漱石はその中の机に座って、フールスカップの便箋と紙をとりだした。そうして素早く手紙を書き上げた。

漱石は書いた手紙を凛に差し出す。

漱石「凛、ここにできるだけの魔力を注いでくれ」

凛「…わかったわ」

凛がありったけの魔力を注ぐと、手紙の宛先の文字が黄金に光る。凛は気になってその文字を読み上げた。

凛「『拝啓、森直太郎殿』?」

瞬時に林に小屋が出現し、漱石はその中の机に座って、フールスカップの便箋と紙をとりだした。そうして素早く手紙を書き上げた。

漱石は書いた手紙を凛に差し出す。

漱石「凛、ここにできるだけの魔力を注いでくれ」

凛「…わかったわ」

凛がありったけの魔力を注ぐと、手紙の宛先の文字が黄金に光る。凛は気になってその文字を読み上げた。

凛「『拝啓、森直太郎殿』?」

瞬時に林に小屋が出現し、漱石はその中の机に座って、フールスカップの便箋と紙をとりだした。そうして素早く手紙を書き上げた。

漱石は書いた手紙を凛に差し出す。

漱石「凛、ここにできるだけの魔力を注いでくれ」

凛「…わかったわ」

凛がありったけの魔力を注ぐと、手紙の宛先の文字が黄金に光る。凛は気になってその文字を読み上げた。

凛「『拝啓、森林太郎殿』?」

まちがえて二回投下

大先生の名前間違えるという失態
モウシワケアリマセンデシタァ(ドゲザ

幾何学的な紋様が浮かび、現れたのは白衣姿の老人であった。

「これは漱石先生、ここに来てお会いするとはは」

漱石「冥界からご足労恐れ入ります。鴎外先生」

鴎外「いやいや、今日の私は小説家森鴎外ではなく、軍医森林太郎として伺いました」

凛は驚いて素頓狂な声をあげる。漱石のみならずかの森鴎外まで現れたのだから驚くのも無理もなかった。

鴎外「クランケはそこのお嬢さんかな…おや、脚気ではなさそうだ」

漱石は笑う。

漱石「ははは、先生お得意の脚気ではないようです」

鴎外「少し残念だが仕方がない…おやおや、まるで砲弾の爆発を真正面で受けたようになっているな、どれ」

鴎外は鞄から様々な器具を取り出し、治療をして行く。器具はどれも古い形の物であったが、どうやら魔術的な効果がはたらいているようで、時々緑に光った。
処置は終わったようで、彼女は所々清潔な包帯で巻かれている状態になった。

鴎外「なかなか面白い人を診る事ができましたのでお代はそれで良いです。では、冥界で待っておりますよ」

漱石「暫く逝くつもりはありません、先生もお達者で」

鴎外は光になって消えていった。

彼女、キャスターは、戦闘こそ不可能な状態になったものの、何とか命を繋ぎ止めた。暫く安静にしておこうと言うことで、寺の戸板を士郎が外してきて担架にし、葛木先生と士郎で寺へ運んだ。
やがてキャスターは目を覚ました。彼女は自身が助かった事を確認し、葛木先生と共に在ることが出来ることを泣いて喜んだ。
その後暫くして漱石達はキャスター勢との講和を調停すると、二人の時間をじゃましてはいけないと言うことでそそくさと寺を去った。

漱石は、遠坂家に帰る路で鴎外の事を追想していた。
鴎外には数回会ったきりであったが、漱石は鴎外に深い尊敬を抱いていた。漱石は鴎外の文章が好きだった。鴎外の文には、どことなく欧米の香りがして、鴎外の文を透かして欧米に憧れたこともあったが、小説を書くようになってからは、その透き通る琥珀のような文体に強く惹かれた。できればゆっくり話したかったが、其れは叶わなかった。彼は風のようにやって来て去っていった。
また、漱石はキャスターの美しい恋を守れたことに満足していた。
「虞美人草」では美女の人生の転落を描いたが、目の前でそれを見るのは耐えられなかった。
漱石は虞美人草から死ぬまで、人間の暗いところを映す話を書いてきた。だが、死が見えてくると視界が明るくなった。偏屈性も薄れた。
人間には明と暗の部分があることを理解した。だからこそ人生最後の作品の題名は「明暗」にした。

今までの人生が暗だったのだとしたら、これからは明を生きて行こう。そう思えた。
漱石の心には、日が射してきていた。

とりあえずここまで

漱石先生の能力追加

宝具「大文豪の書信」
漱石は筆まめであり、多くの手紙が今も残っている。それにちなんで与えられた能力。
フールスカップの便箋で生前親交のあった人を招くことができる。ただし魔翌力を相当消費する

宝具「大文豪の散文」
漱石が生前に書いた本を使用し、その本にちなんだ能力を行使できる。これまでに「我輩は猫である」「硝子戸の中」「虞美人草」が使われている

能力「漱石山房」
「大文豪の散文」で出現させた漱石山房をいつでも呼び出すことができる。ただし場所が必要である。なかには当時の貴重な書籍や原稿用紙や筆記用具があり、執筆をブーストすることができる。

っ彼岸先生
っ続 明暗

二次創作が出版社から出版されるという

そのことは心の奥に仕舞っておいて下さい(白目
その通りです本当申し訳ない

日常回であります

その翌日は作戦決行の日であった。
といってもなにも誰かを闇討ちしにいくわけではない。しかしながら当人たちにとってはそれ以上に重要とも言える日だった。
凛と桜の和解のための食事会が開催される、その日である。場所は商店街の中華料理店と定めた。
さて、衛宮邸で待ち合わせをして商店街に向かう二人であったが、始終無言だった。お互いに話すようなことはせず、ただ歩いていた。
そんな二人を付ける影が三つあった。

漱石「二人ともなにもしゃべらないぞ、本当に大丈夫なのか」

士郎「だんだん不安になってきた…」

この計画を発案したのは漱石から事情を聞いていた士郎だった。しかし一言も話さない二人を見ていて既に不安を感じている。

セイバー「旨そうですね、中華とは羨ましい」

何故かこの人もついてきた。
三人は電柱に隠れるなど、あからさまに怪しい挙動を取りながら尾行していた。

結局商店街まで二人は無言だった。
二人に続いて尾行組も店内に入る。二人は席につき、尾行組も離れた席に背を向けるように座った。
二人は麻婆豆腐を頼んだが、料理が来るまで少し時間があった。
やがて、桜がようやくその口を開いた。

桜「ライダーは、死にましたか」

凛「ええ、私の手で、止めを刺したわ」

桜「そうですか」

会話が途切れそうになる。だが、凛はまだ言うことがあった。

凛「私に、貴女を託したわ」

桜は少し目を開く。彼女の脳裏に浮かぶのはライダーの姿と、その美しい紫の髪であった。

凛「私は、貴女を全力で守るわ」

桜は無表情になって俯く。

桜「それは託されたからですか、義務だからですか」

凛「…貴方がそう思うのも無理はないわ、でも、私は貴女を大事に思っている。だから守る」

桜は顔をあげる。そしてしっかりと桜を見つめる凛と目が合う。目があった凛は少し顔を緩めた。

凛「あなたは、私の大事な家族よ。貴方がどう思っていようと、大事な家族だもの」

そういって凛は微笑む。その笑顔は桜に、幼い頃、横にいてくれた姉の笑顔と重なった。
桜は目に涙を貯める。

桜「…遠坂さん、私はもう一度、貴女を姉と呼べるのでしょうか、呼んでいいのでしょうか」

凛「是非、そう呼んでほしい」

凛はゆっくりとうなずく。それがきっかけとなって桜の涙は溢れだした。
桜は泣きながら凛にすがり、凛は優しくそれを撫でた。

やがて、桜が泣き止んだ頃に麻婆豆腐はやって来て、二人で同時に口に含んだ瞬間、叫び声をあげた。そして、そんなお互いを見て、笑いあった。
二人はこうして無事に、元の姉と妹の関係に戻ることとなった。





その頃、一番離れた席では、三人が麻婆豆腐の椀に顔を突っ込んで気絶していた。あまりにも辛かったようである。

桜「じゃあ、姉、さん、」

桜は出口にたって凛を呼ぶ。

凛「そうね、帰ろうか、桜」

二人は十数年ぶりに手を繋ぎ、日が暮れようとしている商店街へと歩き出した。

漱石先生受難の日でありました
とりあえずここまでです

あああああ資料を漁るとどんどんおかしいところが出てくるぅぅぅぅ
先生結構大食いだったじゃねえかぁぁぁ

いや、晩年は食が細ってたに違いない!そうだそうだそのときの癖だ

そういうことになった

いや、最初の頃の描写でセイバーと比較されるところがあるけれどもそこで少食っていってるんですよ
何やってんじゃろわし

9時20分から投下しますー
お付き合いください

翌朝、漱石は遠坂邸で、昨日の桜との和解を嬉しそうに話す凛と紅茶を飲んでいた。
凛は今まで見たことのない笑顔を見せていた。少女のような純粋な笑みだった。漱石はそんな凛の様子に微笑んだ。

漱石は、これによって凛の心苦しさが取り除かれたが、それ以上に桜の将来が救われたのだと考えていた。
漱石にはそれについて苦い過去があった。

漱石は夏目本家から疎まれ育ったが、それが後の漱石の厭世観を作り、更には突発的な児童虐待をさせることとなった。それについては妻、夏目鏡子の「漱石の思い出」などで書かれている。
漱石はそういう過去を持っていた。そして、桜がそうなってしまうことを恐れた。
できれば自分のようになってほしくないと思っていた。

昼、漱石は珍しく物でも書いてみようと漱石山房で机に向かっていた。だが、今の人々に伝わる文を書くにはまず今の文章を学ばなければならぬと思い立ち、村上春樹の本を研究することに決めた。
そうはいっても漱石はラジオもろくにない時代の人間であって、突然映画だかハイウェイだかテレビだの言われてもなんのことだかわからなかった。更には車と書いてあって、ははあこれは人力車のことだなと思って読むとどうやら違って、自動車の事を指していたなんてこともままあり、一向に進まなかった。辛うじてわかったのはウイスキイくらいのものであったが、それもオンザロックだとか言う横文字がくっついていてよくわからなかった。
漱石はもっと世の中を研究しなければならないと思い立ち、凛と外へくり出すことにきめた。

漱石と凛は再び新都へと向かった。やはりそういうことを学ぶには都会の方がいいだろうと言うことであった。
先ず向かったのは家電量販店であった。そもそも漱石は家電というものをよく理解しておらず、凛の説明によると「電気で動いて色々できるもの」とのことだったので、大方電燈でもおいてあるんだろうとたかをくくっていたが、三種の神器に始まる家電にひどく驚かされた。漱石は召喚されてからこのかた家電というものがほとんどない遠坂家で暮らしてきたので、テレビを間近で見るのも初めてといった始末である。漱石は色々な家電を楽しそうに見て回った。
中でも惹かれたのはパソコンであった。
漱石にはパソコンのキーボードがタイプライターのそれとよくにていると思えたので、店員にこれは文字を打つ器械なのかと聞いたところ、店員は苦笑しながら展示品のパソコンの文章ソフトを立ち上げ、実演して見せた。
様々な機能がついているパソコンの威力に、漱石は初めて火を知った人類のように驚嘆していた。

その後、映画を見に行った。凛はどうやらアニメ映画がやっているらしいといって「∀ガンダム」だとかいう映画のチケットを二枚買った。それからポップコーンを一つ買っていた。
劇場は暗く、漱石は不安を感じたが、そのすぐ後に流れ始めた大音響によって、目の前の銀幕に向きなおさせられた。
∀ガンダムは漱石に不思議な印象を与えた。
なにやらポンチ絵の主人公達が巨大な甲冑のようなのに乗って黒い空間を飛び回っている。
凛にあの黒い空間はなんだと聞くと宇宙だと答えた。それではあの青と緑のやつはなんだと聞くと地球だと答えた。漱石はすっかり面食らってしまった。

漱石は凛に、あれは未来の話だと聞かされて納得した漱石であったが、いつの時代でも若者の若さとは変わらないものだと感心していた。

漱石は変わってしまった時代の中にいてまだ変わっていないものを知った。それは人のこころであった。こころが変わっていないからこそ、人は嫉妬し欲望を見せ、一方で人を慈しみ人を愛していた。その人のこころの表面が露出しやすい聖杯戦争という中にあって、特にそれは漱石に実感できた。
漱石は少しいい気分になって帰路に着いた。

余談だか、漱石は千円札に自分の顔が印刷されているのを見て仰天していた。恐らく今日一番の驚きであった。

とりあえずここまでー
劇場版∀ガンダム は2002年公開でした

先生は相当神経質だったので行人書いてた頃ならお札破るくらいしたでしょうけども
このスレの漱石先生は死に際していろいろ柔らかくなっているのでちょっとビビるくらいですみます

うっかり凛 ←普通
オタンチンノパレオラガス凛 ←強そう(小並

これからちょっとやろうかな

次の日、事態は急展開を迎える。
突如として衛宮邸と遠坂邸の電話がなり、伝えられたのは柳洞寺襲撃を受くとの報であった。現在キャスターと葛木先生は柳洞寺から避難し学校に身を寄せているとのことであり、襲撃したのは金色に光るギルガメッシュと名乗る男と、青いランサーであるとのことだった。
凛は驚いたが、直ぐに平静を取り戻し、受話器を置くと準備を始めた。漱石も文庫本を纏め始めていた。
一方にわかに騒がしくなったのは衛宮邸であった。同じく報を受けた士郎は急いで凛と連絡をとり、衛宮邸でひとまず合流した後、柳洞寺へ急行する手はずとなった。桜と作った朝食を掻き込み戦支度を始める。桜はついにそのときが来たと直感して、士郎と愛する姉、凛の武運を祈ることに決めた。

漱石先生はカルチャーショックには耐性あります ロンドン留学で鍛えられたみたいですね

衛宮邸で合流した一行は柳洞寺にたどり着いた。そこの山門て待ち構えていたのは青い槍兵であった。

ランサー「よお、久しぶりだな物書きのおっちゃん!悪いがここは通さねえぜ、死んでいきな!」

ランサーは攻撃を仕掛けるが、受けたのは士郎であった。

士郎「金之助さん!凛!セイバー!ここは俺に任せて先に行け!こいつは俺が何とかする!」

士朗は一度跳躍して間合いをとると、投影したエクスカリバーをセイバーに投げ渡す。漱石一行はランサーを士郎に任せて更に奥へと向かった。

眠くて手元ぶれて書き溜めたの全部吹っ飛んだYO!
今日はここまで(白目

漱石先生の文体が「?た。」連続して使いまくってるんですよねー
どうしよう

いや、大丈夫です。
青空文庫って言うところに先生の著作は大抵ありますから興味がある人は是非読んでみてください
それか書店にgo

ゲリラ投下

柳洞寺の柳洞とは、寺の直下に存在する巨大な空洞のことである。そこに聖杯は存在した。

三人は寺の最奥、柳洞に到着した。三人の目に飛び込んできたのは巨大な聖杯と金色に光る男であった。男はギルガメッシュである。

ギルガメッシュ「遠坂の娘にセイバーに、言峰の言っていた物書きか。よくぞ来た、雑種共。精々我を楽しませろ!」

そう彼はいい放つと宙に浮き、攻撃を始めた。

ギルガメッシュ「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!」

セイバーは即座にエクスカリバーを放ち対応する。眩いばかりの光が柳洞に満ち、暗闇を照らした。

ギルガメッシュ「どうした!それでは我を押しきれんぞ!」

セイバーは押されていた。そのまま押しきられて光の筋がセイバーの横を過ぎる。轟音がして地面が大きくえぐれた。土煙が舞う。

漱石はセイバーが稼いだ時間で準備を進めていた。

漱石「ー巨人は云う、老牛の夕陽に吼ゆるが如き声にて云う。幻影の盾を南方の豎子に付与す、珍重に護持せよと。われ盾を翳してその所以を問うに黙して答えず。強いて聞くとき、彼両手を揚げて北の空を指して曰く。ワルハラの国オジンの座に近く、火に溶けぬ黒鉄を、氷の如き白炎に鋳たるが幻影の盾なりー

『幻影の盾』!!」

漱石の前に浮かぶ本から光の網が広がり、円形の巨大な盾が形成される。表面には蔦の紋様が彫ってあり、淡く紫に光っていた。
漱石は盾を軽々と持ち上げ構える。そして、強くギルガメッシュを見据えた。

ギルガメッシュ「それしきの盾で我の財宝を防げると思うのか!『王の財宝(ゲート・オブ・パビロン)』!!」

背後の空間が開き次々と剣が出現する。そして一斉に三人に向けてはなたれた。

漱石「凛!セイバー!、早くこの盾の中に入れ!」

楯はギルガメッシュの攻撃をことごとく防ぎ、決して通す事はなかった。ギルガメッシュはその様子に驚嘆する。
セイバーは盾の後ろからエクスカリバーを放つ。
ギルガメッシュは自身の満身によって身を滅ぼすこととなった。彼は黄金の粒子に変わり消えていった。


ギルガメッシュを倒した三人だったが、異変が起こった。
聖杯が不気味な音を立てて振動し始めたかと思うと、中の黒い泥のようなものが溢れだしてきたのだ。その泥のようなものはぼこぼこと泡を立てて押し寄せる
凛はその様子に固まり、動けないでいる。

凛「なによ、あれ…」

それは絶望だった。その場にいる三人は誰も等しく恐怖を覚える。まるで深淵を覗きこんだような気分になった。

泥は迫る。そして立っていた漱石を勢いよく飲み込んでしまった。

とりあえずここまでー
なんだか先生が大変なことになってしまったぞ

はい、今回の小説は「幻影の盾」です
これはウィリアムという男とひとつの盾の話ですが、漱石はこの小説の中で珍しく戦闘描写などしており、盾は盾で因果が云々なので恐らく夏目漱石の書いた小説の中で一番型月っぽい臭いがする小説になっております

支援絵といふ物があるけれども


自分で書いたら自援絵となるのだろうか


でけたぜ

oh

こっちだ

漱石先生は水彩画に造詣があったようなので少し描いてみました
そういってもらえると有難い

鉛筆と筆でずばあーっとすれば描けまする

2Bで描いて編集ソフトで彩度と明るさ調整すると線を濃くできます

完結したらエンディングカードをかきまする
暇なうちに書きためとかんと…

投下!

漱石は暗いところを漂っていた。
上も下もなく右も左もない完全な闇。地に足をつけている感覚もない。
すると、一人の人間が目の前に現れた。

漱石「お前は誰だ!」

漱石の呼び掛けにもその人は反応しない。その人間の顔はどこかで見たことがあったが思い出せなかった。
やがて、空間が白に反転し漱石は光にのみこまれた。


漱石は倫敦の下宿で引きこもっていた。漱石が倫敦留学をしていたときのことである。漱石は部屋の隅にうずくまって泣いている。入ってきた下宿のおかみさんに怒鳴り付ける。漱石は半ば発狂していた。
倫敦の風土が漱石に合わなかったこと、西洋人からの見下す目、発言、そして孤独感が漱石にそうさせていた。
漱石はそんな漱石を見下ろしていた。部屋を俯瞰するように漱石は宙に浮いていた。
これは聖杯の泥が見せた幻覚なのだろうか、そう、倫敦留学中だったかつての自分を見下ろしながら漱石は考えていた。

漱石「あんなに惨めだったのか、自分は」

漱石は息苦しさを感じていた。いや、息が苦しいのではない。こころが苦しかった。
泣くことしかできなかった自分が、痛々しかった。

場面は変わる。
次の場所は縁日だった。次男が何かを男にせがむ。男は漱石だった。
すると漱石はいきなり、人目も気にせず次男を、殴り付け始めた。突然のことだった。

漱石「やめろ、やめてくれ」

漱石は叫ぶ。しかし声はでなかった。
あれが自分だった。死ぬ前の自分であった。



漱石「」

さいごののやつは無視で

景色は急に、先ほどの暗闇に引き戻される。
またさっきの男がたっている。

漱石「お前は、お前は」

漱石はあることに気づく。それは彼の鼻のあばた、そして見覚えのある髭であった。
漱石は目を見開く。

漱石「まさか、お前は」

漱石は気づいた。目の前の男は自分だった。そう気づくと目の前の男はにやりと笑う。

「ようやく気づいたか、私はお前だ」

ドッペルゲンガーではない。そいつはこちらに歩いてくる。

「さっきのがお前の本性だ。鬱に怯え気難しく癇癪持ちのお前だ」

漱石「違う!」

漱石は錯乱する。

「あれは事実だ。お前の真なる過去だ」

漱石ははたと正気に戻る。響いてきたのは漱石の名を呼び掛ける声だった。

キャスター「金之助さん、金之助さん、あなたは私を救ってくれた。そんなあなたは、偏屈で癇癪持ち立ったかしら。」

漱石「キャスター!」

キャスターの声が暗闇に響く。声は聞こえるが姿はなかった。

キャスター「貴方は変わったのよ、人間の心は変わるものなの。貴方はあなたの暗いところを克服したのよ!」

漱石は死ぬ間際のことを思い出す。漱石はかつて、自分の人生は常に暗かったと思ったが、そのときはじめて自分にも明るい部分があったとわかることができた。そのきっかけは、日々見舞いに来てくれる人々の暖かい言葉であったり、妻や子供たちの暖かい励ましの言葉であった。

漱石は気を持ち直す。そして目の前の自分を見つめる。

漱石「昔はそうだったかもしれないが今はちがう!私は変わった!」

「っ!」

漱石「お前は今の私ではない!」

「ばれたか…ならばこの手でお前を染めてやろう!」

ついにアンリマユが姿を崩し、泥となって漱石に襲いかかる。漱石は後ずさって泥を避け、本を開いた。

アンリマユ「俺はアンリマユ!お前を…絶望させてやる!」

アンリマユは絶望にそまった英霊であった。まさにアンリマユこそが「暗」の部分だった。

漱石「おまえが暗なのだとしたら、今の私は明だ!冬木の人々は皆優しく、私は更に明るくなれた!」

漱石は本を宙に浮かばせる。

漱石「私とお前をこの本に封じ込める!」

漱石が持っていた本は「明暗」であったが、漱石が執筆途中で死んだため、途中で物語は途切れていた。物語はまだ、人間の「明」も「暗」も描いておらず、漱石はその、書かれていない残りの物語に自らもろともアンリマユを封じ込めるつもりである。

漱石「ー津田の疑問と清子の疑問が暫時視線の上で行き合った後、最初に眼を引いたものは清子であったー

ー津田はその退き方を見た。そうしてそこにも二人の間にある意気込みの相違を認めたー

ー彼女はどこまでも逼らなかった。どうでも構わないという風に、眼をよそへ持って行った彼女はー




ーそれを床の間に活けてある寒菊の花の上に落したー







『明 暗』











瞬間、暗闇は消え、白が空間を支配した。

はい、今日はここまで!
残りはエピローグとなります!

この一文最後に忘れてた

漱石は、心の中で冬木の人々に、別れと感謝を述べた。

漱石「楽しかった、ありがとう」

漱石「そして、さようなら」

漱石の頬を、水滴が流れていった。

本編エピローグは九時から投下です

エピローグ


少女は荷物を曳いてつかつかと歩く。雑踏には英語の会話が満ちていた。
21世紀、イギリス。
凛はここの首都ロンドンに留学しに来ていた。
ロンドンの中心地へと向かう列車に席を確保すると、疲れが祟ってか、彼女はすぐに眠りに落ちた。

漱石は本の中に飲み込まれたと思った。
だが、それは突然の乱入者によって阻止された。
暗闇が明るくなる。漱石は柳洞の真ん中で、アンリマユと対峙していた。先ほどまでの闇はアンリマユが漱石に泥の中で見せていた幻だったようである。漱石にまとわりついていた泥は飛散した。

士郎「金之助さん!いま戻った!」

漱石「何故邪魔した!あと一歩でこいつを倒すことができた!」

士郎「それじゃあ金之助さんがいなくなってしまう!それじゃ駄目なんだ!」

漱石は反論しようとして口を開いたが、気付いた。士郎は正義とは何かを、自分なりに理解していることに気付いた。

士郎「これは自分勝手なのかもしれない!でもそれでいいって教えてくれたのは金之助さんだ!だから、貴方を救いに来た!!」

士郎は宣言する。その姿は、まさしく正義の味方であった。

漱石は、士郎の言葉を信用することにした。そして、士郎とアンリマユに向き合う。セイバーも剣を構え、凛は宝石を準備した。

その後は総力戦であった。


凛は目を覚ます。どうやら到着したようであった。凛は瞬きをして、体を起こした。
聖杯戦争はアンリマユの死によって終結し、町にはなんの被害も及ぼさなかった。キャスターは自力で受肉し、葛木先生と幸せな生活を送っているようである。士郎と桜は何やらいい雰囲気になっていた。セイバーは先の聖杯戦争で既に受肉していたため、いまだに衛宮家に居候をしていた。

漱石は、どうなったか。
凛は顔を横に向ける。

「どうした?凛、早くいくぞ。このままでは駅員に荷物ごとほうりだされてしまう」

そこには、髭と鼻のあばたが特徴的な、フロックコートを着た、漱石が居た。
凛は、そうね、と微笑んで、荷物を持って車両を出て行った。


二人は倫敦で、また一活躍するのだが、それはまた別の話である。



<終>

はい、くぅつかであります。
これにてステイナイト篇完結であります!
いままで読んでくださったかた、励ましてくださった方々、ありがとうございました!
今回は見切り発車で始めた物でしたが、どうにか完結させることができました。皆様のお陰です!
まだまだ少し続くので、もう少しお付き合いください!

今後予定しているのは漱石先生の21世紀倫敦見聞や、ホロウでの執筆活動、イリヤのその後の顛末等てす
ちょくちょく絵も書きますよ

予想を遥かに越す反響をいただきまして狂喜しております。

小ネタ「喫茶店アーネンエルベでの漱石」

さて、聖杯戦争が終結してから凛と共にロンドンへと出立するのにはまだ日数があったので、漱石は「私の聖杯戦争」という随筆を書いていた。然し一向に筆は進まず、どれ気晴らしでもしてみようと街をぶらついていたら或る喫茶店にたどり着いた。
せっかくだから紅茶と羊羮でも食って行こうと店に入り、商品を注文してできるのを待っていると、見覚えのある顔が店内にあることに気がついた。散々に聖杯戦争をかき回した神父、言峰その人である。彼は、修道女の少女と話をして居た。
のぞいてみると机にはいくつかの薬包紙が置いてあり、真っ赤な粉末が盛られている。どうやら香辛料らしい。そこへ、着物にエプロンの少女が近付いてきて植物の何やらすりつぶしたものを置く。エプロンの少女はこれは人体実験が必要だといって、三人はにやりと笑った。
漱石は見ているだけで胃が痛くなったので、ようやく着た羊羮を食いながら目をそらした。が、漱石の目の前の空間が揺らいだかと思うと、羊羮に何やら赤い粉末がついているのがみえた。が、最早口に運ぶ動作は止まらなかった。
漱石は羊羮がしたに触れた瞬間に、焼けるような痛みを感じて気絶した。

この喫茶店での出来事がきっかけとなって、言峰の知られざる苦悩と娘との確執を知って関係修復に奔走することとなることを、気絶して意識がない漱石は知るよしもなかった。

着物にエプロンの実験好き…
誰なんでしょうねえ

これまでの参考資料

「漱石の思い出」
「漱石とその時代」上下巻
「漱石とロンドン」
「夏目漱石全集」
雑誌「漱石研究」1?4

短編「私の聖杯戦争」

漱石が聖杯戦争の時の体験を綴ったのが、21世紀における漱石の初出版の本である「私の聖杯戦争」であった。初めてのことばかりな現代の様子や、名前と機密に触れる部分こそ変えてあるが、魔術師であり、明るく気丈にふるまうが一方で実の妹との確執を抱えるマスターや、その妹、正義に固執する若々しい少年や、苦い思い出があるそのサーヴァントとのふれあいを通じて、漱石が思ったことや感じたことを綴ったのがこの本である。
しかしながら当然のごとく表の世界では出版できない内容だったため、原稿は漱石によって英訳され、イギリスの魔術協会出版局で主にイギリスの魔術師向けに出版される事となるのであった。
出版されると、受肉した英霊が書いた本として、聖杯戦争の資料として注目され、後に漱石は魔術協会の機関誌で連載小説の作家として活躍することとなる。


言い訳:5分で書いた

納得いかなかったんで消しちまった……
申し訳ない


型月風

ばれたか
コハエースも好きです

今のうちにアンケート取ります
読みたいものはどれですか

1 漱石と時計塔での日々

2 「私と聖杯戦争」本文

3 漱石と言峰親子

4 その他(自由に)

念のため下15まで取ります

今のうちにアンケート取ります
読みたい話はどれですかー

1 漱石と時計塔での日々

2 「私の聖杯戦争」本文

3 漱石と言峰親子

4 その他(自由)

しまった誤爆
残り下14

今日投下する分のという意味ですー

ほいうまった!
三に決定いたしました
4は考えてたのと少し近い物は短編として数レス、それ以外は小ネタとして1レス程度で行います

短編
夏目漱石「三咲町への旅行券が当たった」

漱石は商店街でくじを引いている。彼は、成る程これなら消費者の購買意欲をもり立てられるなと感心していた。なんでも三咲町というところへ行けるらしい。ただで旅行ができるのだからもうけものだと考えていたらなんとその旅行券が当たってしまった。
心持ち軽やかに遠坂家に帰還して、早速旅行券を見せたところ、凛はしきりに首をかしげるばかりで何やら怪しい。

漱石「どうしたんだ?一人分とはいえ旅行券が当たったんだぞ?」

凛「いや、たしか私の記憶では表向きはなんの観光名所もなかった気がするから…」

漱石「表向きは?」

凛「実はその三咲町って、有名な連続殺人事件が起きたところで、どうにも裏の世界がかかわってるようなのよね。それに、三咲町は質のいい霊地としても有名なの」

漱石は嫌な予感を感じる。そして、その予感は外れてはいなかったことを漱石は数日の後知ることになるのであった。

用事があるのでとりあえずここまで
上の短編は数レス続きます

数日後、漱石は三咲町へと向かっていた。
くじでは往復分の飛行機のチケットが当たったため、取り敢えず三咲町にいってみて、何もなかったら東京などの他の場所を見て廻って帰ってくればよいということになった。ひとまず漱石は凛の見送りのもと飛行機に乗り込んだ。

漱石は初めて乗るジェット旅客機に戦々恐々していた。凛から話を聞いたときは、重いアルミニウムの塊でできた、幾人もの搭乗者をのせて空を飛んで、東京大阪間を数時間で繋ぐ巨鯨を夢想して、寺田くんに聞かせたらさぞかし驚くだろうと考えていたが、いざ乗るとなると恐ろしく思い始めた。漱石が生きていた時代は、飛行機というものはまだ不完全な物であったため、よく墜落を起こして新聞の大見出しを賑わせていた。それだけに旅客ジェット機というのは漱石にいっそう不安を感じさせた

飛行機は新大阪国際空港を出発し、夕方には三咲町のある関東の、とある空港に到着した。そこからはバスを使って三咲町へ向かう。夕方になってようやく辿り着くことができた。しかし着いたはいいものの、駅にあったパンフレットをみる限りでは観光すべきところは、なにもなく、どうしようもないので駅にひっそりとおいてあったパンフレットを参照しながら街を歩く。
漱石は取り敢えず宿を大通りのホテルと定め、夕食を食べるところを探しに夜の町へと繰り出した。

ああっパンフレット二回いってる!
大事なことなので(ry

漱石は大通りのファミレスに入ろうとするが、その時、路地へと飛び込んで行く何かが漱石の目に入った。
それも尋常なスピードではない。漱石は全集の時のことを思い出した。そしていま見えたものは人外の存在であると直感した。漱石は気になって路地裏へとその何かを追って入っていった。

漱石は三咲町に足を踏み入れたときから、なにか奇妙な不安感を抱いていた。薄暗く、じめりとした路地裏に足を踏み入れると、その感覚は大きくなった気がした。
漱石は少女を追って建物の間をぬって進む。すると行き止まりとなっている場所でなにかが転がっているのを見つけた。漱石は近付いて検分する。

漱石「死体!?」

それはサラリーマンの死体であった。肌は青白く、首の辺りに二つの穴が開いていた。
漱石の不安はさらに増長し、早くここを離れなければという心理が働く。
立ち去ろうと踵を返したその先では、一人の少女が立ちふさがっていた。

280の全集と言ってるところは聖杯戦争の間違いです
スマホで打ってるので間違えてしまった申し訳ない
夏目漱石「三咲町への旅行券が当たった」は次回は明日の更新となりますのでお待ちくださいー

小ネタ 「むしろ著作陣がfate書いたら」

漱石はいつものように机に向かい、次なる作品の構想を練っていた。漱石が四十代の時の話である。

漱石「運命というのは定まった未来であり、それは例えば人と人の離別であったりする」

漱石「例えば何らかの病気によって人と人の別れが最初から決まってしまっていて、その離別をえがくというのはどうだらう」

漱石のこころのなかに去来するのは、今は亡き正岡子規の姿であった。漱石は彼を仲間内で居士と読んでいた。漱石は彼と同じ学校の同級生であり、共に小説や漢詩や俳句を研鑽しあった仲であった。
だが、そんな彼も肺病で呆気なく死んだ。彼は、自分の死期を早くからさとり、高浜虚子に後を譲っていた。漱石は子規の死に立ち会えなかった。のみならず事情があってちゃんとした手紙も送れなかった。彼の死の様子は虚子から聞いた。無念そうであったと聞いた。

漱石は聖杯戦争という出来事を空想し、そのなかでいつかくる別れと対峙する主人公たちの群像を書いた。

それは、漱石の中に居た子規への、漱石なりの葬儀であった。
そして、逃れられない運命という意味を込めて、題名を「fate」としたのであった。
「fate」は、漱石の作品のなかでも「坑夫」とならんで異色を放つ、そして他の漱石作品にならぶ切なさを誇る話として、様々な人々に読まれることとなった。
やがて時は流れ、21世紀の日本でPCゲームとして再びヒットを飛ばすこととなるが、それはまた別の話である。

小ネタ「先生の作品とクロスオーバーしたら」

本編の内容とだだかぶりするので申し訳ないが自分で妄想してください。 魔術師でなくとも妄想回路なら持っているだろう

誤解をしてしまい申し訳ありません……
でもここ一応はFatess(というより型月)スレなんで……
申し訳ないです

漱石風の文章を読みたい、書きたい人のために漱石風の文章を書く方法を自分流でつたないものですがお教えしましょう

1.「~た。」の連続使用を躊躇しない
今の書き方だと割とご法度ですが、漱石先生の文章はあっさりしてて気になりません。静かかつ客観的な雰囲気が重要

2.なった⇒成った、為った 
 しかし⇒然し
 あるいは⇒或は
など、言い方を古風にしてみましょう。これは≫1でも徹底できていません。時々出てくるくらいです。先生の著作をよく研究しましょう。

3.登場人物の余計な考えを入れる
現在の小説はあまりくどい心情表現は好まれませんが、さらりとはさむことによってリアリティがでます。

この3つはあくまでもポイントであり、漱石先生の文章の魅力は細部に宿ります。実際の先生の文と慎重にすり合わせることが大事です。
このスレが、漱石先生の文体に興味を持つきっかけとなれば幸いです。

吾輩は猫であるの人でしたな
なぜああもそっくりに書けるのか。尊敬しています

う、うわあああああ
ペンタブ君が逝った……

先生のステータス作らんと…

夏目漱石(クラス:ライター)

真名:夏目金之助
性別:男
身長:159cm
属性:秩序、善
特技:英語、人の心理を読むこと、俳句や漢詩、執筆
好きな物、こと: 羊羮、手紙を書くこと
苦手な物、こと:実兄、猫、人の視線

クラススキル
イレギュラーな存在のためなし

保有スキル
心理察知 A :人の言動からその人のこころの揺らぎを察知する。
創作 EX:主に文筆に関してブートされる。漱石に関しては戦闘時にも役に立つことがある。
跳躍 B:漱石は学生時代に高跳びをよく練習していた。本人の著作において触れられていたため、英霊となった際にスキルとなった。
高速筆記 A :高速で文字を筆記できる。但し字は汚くなる。
英語教授 B:英語を教授するのが上手くなる。大学で講義できるレベル。
作文 EX:作文能力が上がり、ユーモアのある手紙や秀逸な散文が書けれる。

筋力:C 魔力:B 耐久力:C 幸運:C
敏捷:B 宝具:EX
なお凛の元での数値

宝具
宝具「大文豪の書信」
漱石は筆まめであり、多くの手紙が今も残っている。それにちなんで与えられた能力。
フールスカップの便箋で生前親交のあった人を招くことができる。ただし魔翌力を相当消費する

宝具「大文豪の散文」
漱石が生前に書いた本を使用し、その本にちなんだ能力を行使できる。これまでに「我輩は猫である」「硝子戸の中」「虞美人草」が使われている

能力「漱石山房」
「大文豪の散文」で出現させた漱石山房をいつでも呼び出すことができる。ただし場所が必要である。なかには当時の貴重な書籍や原稿用紙や筆記用具があり、執筆をブーストすることができる。


チートになってしまったので修正


夏目漱石(クラス:ライター)

真名:夏目金之助
性別:男
身長:159cm
属性:秩序、善
特技:英語、人の心理を読むこと、俳句や漢詩、執筆
好きな物、こと: 羊羮、手紙を書くこと
苦手な物、こと:実兄、猫、人の視線

クラススキル
イレギュラーな存在のためなし

保有スキル
心理察知 A :人の言動からその人のこころの揺らぎを察知する。
創作 EX:主に文筆に関してブートされる。漱石に関しては戦闘時にも役に立つことがある。
跳躍 B:漱石は学生時代に高跳びをよく練習していた。本人の著作において触れられていたため、英霊となった際にスキルとなった。
高速筆記 A :高速で文字を筆記できる。但し字は汚くなる。
英語教授 B:英語を教授するのが上手くなる。大学で講義できるレベル。
作文 EX:作文能力が上がり、ユーモアのある手紙や秀逸な散文が書けれる。

筋力:E 魔力:B 耐久力:E 幸運:C
敏捷:B 宝具:A
なお凛の元での数値

宝具
宝具「大文豪の書信」
漱石は筆まめであり、多くの手紙が今も残っている。それにちなんで与えられた能力。
フールスカップの便箋で生前親交のあった人を招くことができる。ただし魔翌力を相当消費する

宝具「大文豪の散文」
漱石が生前に書いた本を使用し、その本にちなんだ能力を行使できる。これまでに「我輩は猫である」「硝子戸の中」「虞美人草」が使われている

能力「漱石山房」
「大文豪の散文」で出現させた漱石山房をいつでも呼び出すことができる。ただし場所が必要である。なかには当時の貴重な書籍や原稿用紙や筆記用具があり、執筆をブーストすることができる。

宝具はA で修正しときます
さすがにEXではないとおもふ

仕様的にプラスが表示されてないみたい
宝具はAプラスプラスです

お役にたてて幸いです
23時から始めます

その少女から漱石は強い殺気を感じとる。相手は恐らく人間ではないことを、漱石は直感した。姿だけは年相応の物である。服装は恐らく学校の制服のものであるし、髪は茶色がかっていてこの時代で少女の間で流行っているらしいツインテールだとか言う髪型だった。
だが、こんな時間に少女が路地裏にいるなど尋常のことではない。漱石は身構えた。

うげえ、また書き込めなくて文吹っ飛んだ…
あともう少しかかりますすみません

口火を切ったのは少女であった。目に見えぬ早さで間合いを詰めて腕をもってして漱石に斬りかかる。漱石は素早く後退する。黒いフロックコートの端が少しだけ切れた。
少女はさらに攻撃を繰り出す。漱石はその度に後退して避けるが、路地裏の壁に当たってしまった。
漱石は高く跳躍し、少女の背後数メートルに回り込む。そして素早く文庫本を取り出した。

漱石「ー茗荷谷の坂の中途に当るくらいな所に赤い鮮かな火が見える。前から見えていたのか顔をあげる途端に見えだしたのか判然しないが、とにかく雨を透してよく見えるー
『琴のそら音』!!」

漱石の回りに赤い火の玉が無数に浮かび、 そのことごとくが少女へと飛んで行く。そして今度は逆に火の玉が少女を壁に縫い付けた。少女は壁に縫い付けられたまま固有結界を発動させる。

「『枯渇庭園』!!」

漱石は自身の魔力がごっそりと奪われてしまうのを感じる。漱石にとって、この固有結界の効力である、魔力の枯渇を引き起こすというのは、通常の戦闘ですら凛の規格外の魔力のサポートを受けないと十分に実力を発揮できない漱石にとって致命的であった。先程の宝具の展開は自身の魔力を使用したが、この攻撃で魔力を完全に喪失したため、漱石は戦闘の続行ができなくなり、本を仕舞った。

少女がいささか間の抜けた言葉を放ったのはその時であった。

「え、魔術師?どうして人殺しなんかを」

漱石は憮然として訂正する。

漱石「私は殺してなんかいない。発見しただけだ。それに私はただの物書きだ」

少女はがっくりと肩を落とした。

「ええ、じゃあ私がしたことは」

漱石「何が目的だったかは知らないが、恐らく無意味なのだろう?」

少女はさらに深い落ち込みでそれを肯定した。






その後、漱石と少女は先程のファミレスに来ていた。身なりの良いいおじさんと高校生に見える少女という組み合わせは、いささか犯罪の臭いを漂わせるものであったが、幸い夜だというのに店はすいていて誰も咎めるものは居なかった。
漱石が安いコーンポタージュを旨そうに啜りながら話を聞いていると、漱石の目の前にいる、これまた安いコンソメスープを涙を流してすすっている少女は複雑な経歴を持っていることがわかった。涙を流すほどひもじかったらしい。
彼女は弓塚さつきと名乗った。なんと吸血鬼らしい。漱石はこれまで色々な人外のものと出会ってきたが、吸血鬼ははじめてである。どうやら少し前に起こった事件と深い関わりを持っているらしい。
話はこうだ。ひょんなことから、ここ三咲町に吸血鬼が襲来し、さつきを吸血鬼にしたりした。だが、さつきは運よく人を殺さずに吸血鬼への移行を済ませ、現在は仲間と共に路地裏同盟なる組織を結成して、タタリの影響で魑魅魍魎、主に殺人鬼や死徒が跋扈する三咲町の路地裏の平和を守っているらしい。漱石はさつきの高潔な活動に感心していた。
しかし、同時に、彼女の言葉のあちこちから、漱石は切なさを感じ取った。
それはもう会うことのできない、近くにあるのに声もかけられないかけがえのない家族への切なさなのか、それとも別のことに向けての切なさなのか、それは漱石には分からない。が、彼女が決して歪んだこころの持ち主でないということは、漱石は理解することができた。
彼女のこころは、からだが吸血鬼のそれへと変わってしまったのにも関わらず、歪みがなく、綺麗な色をしていた。

漱石はその後さつきと別れ、ホテルに一晩泊まって翌日に三咲町を出発した。そして、21世紀の花の東京を見聞してそのスケールに驚いたり、東京タワーを見上げてその高さに驚いたりして、三日の関東遊学の末再び冬木に帰ってきた。
漱石は翌日には漱石山房で旅の出来事をちょっとした文にまとめていた。まとめている途中でふとさつきのことを思い出した。そしてもし、彼女の切なさの中心に一人の男性の存在を仮定したらどうだろうか、漱石はそう考えを巡らす。
恐らくさつきと彼の関係は断ち切られてしまったのだろう。しかし、彼女はなお町を守り続ける。
彼が安心して明かりの下を歩けるように、さつきは暗闇で彼を守っている。

そこまで考えた漱石は、その妄想にすぎない考えを振り払って執筆に集中することに決めた。
庭に植わっている金木犀が静かに香っている。空には鱗雲か群れをなしている。

早くもここ冬木には、秋が訪れていた。

<漱石「三咲町への旅行券が当たった」 終>

今夜は漱石先生と言峰親子の話をやりまする
安価とったのに遅れてしまって申し訳ない
次作の構想は纏まりました

新作予告



「ああ、良い気持ちだ。とても、良い気持ちだ」

ある青年が、眠りにつきました。

「銀河ステーション 銀河ステーション」

その青年は、気付いたら、夜の軽便鉄道に乗っていました。美しく光る窓の外には、白や青色の星ぼしが輝いています。

「この列車は、どこにゆくのですか」

「地図をみてごらん。載っているだろう」

青年はコートのポケットから、黒く透き通った黒曜石の地図を見つけました。

「ええと……」



列車は、青年をのせて銀河をはしってゆきます。
窓の外にはきらきらと輝くプリオシン海岸や、鷺がたくさんとまっている天の川の岸辺が過ぎていきます。

やがて、列車は金色に光るお月さんへと、吸い込まれて行きました。



「わたくしといふ現象は
假定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち、その電燈は失はれ)」
春と修羅 序より









Fate/extra ー宮沢賢治と月の聖杯ー

近日開始。

夏目漱石staynightバージョンのedと宮沢賢治extraバージョンのop作ろうかな

もうしばらくしたらはっじめるよー

やばい…ネタは枯渇して人はいない…
どうしよう…

やばい…安価まで取ったのに…ネタが…

こうなったら伝家の宝刀番組差し替えだ!

「Fate/extra ー宮沢賢治と月の聖杯ー」予告篇第2弾


ー偽りの学園生活のなかで、一人地学と生物を生徒たちに教える教師がおりましたー

ー彼が授業するとき、なにか質問をするといっせいに手を挙げる生徒たちを見て、彼はいつも柔らかでしづかに微笑むのでしたー

ーしかし、終わりの時はやって来ます。生徒の一人であった岸波白野と契約した彼は、聖杯をめぐる戦いに巻き込まれるのですー

ー童話作家は、一体どこへ向かうのでしょうか。ただ、ひとついえることは、通る道の先には花はなく、通ってきた道の道程にこそ花が咲くのですー

ーこれは、追憶と鎮魂と幻想の物語ー


Fate/extra ー宮沢賢治と月の聖杯ー
現在PV作成中。

もしもランサーが猫愛で派だったら

ランサー「よーしよしよしよし良い子だー」

凛 「」

漱石「今のうちに撤退するぞ」スタコラサッサー

アンデルセンの鑑定 夏目漱石

アンデルセン「平静を保っているが心の底は小心者。あと作家キャラとか宝具とかいろいろ被るからやめろ」

夏目漱石のアンデルセンの感想
「私はアンデルセンの作品を読んだことはあまりなかったが、貧困からの死をもってしての解放というのがおおかたの主題みたいだな。恐らくこれを書いたのは相当偏屈で、人の心を覗くのが得意で、それ故に何を信じれば良いのかがよくわかっている人間だろう。死ぬ間際までそれがわからなかった自分とは大違いだ」

ここまでや読んでいただいてありがとうございます。現在新作を準備中ですので乞うご期待
ホロウ篇と言峰親子のやつがネタ切れで無理そうです…
安価でとっていただいたのに本当に申し訳ないです。
SEASONS2「Fate/extra ー宮沢賢治と月の聖杯ー」
をよろしくお願いします。
本当に申し訳ない。

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