凛「何言ってるの海未ちゃん?私は穂乃果だよ?」 (106)


鬱です。注意。ヤンデレっぽい要素を含みます。が、監禁やら流血やらはありません。
地の文での展開アリ。
凛ちゃんを主にキャラ崩壊が激しいです。それでも許してくれる方のみでお願いします。




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海未ちゃんが、少しずつ、壊れていったのを見ていた。
凜には何も出来ることなんてない。
でも、”私”に、なら出来ることだってある。

「ねぇ、海未ちゃん。まだ、辛い?そうなら、お願い。私に相談してよ」

μ’sの雰囲気を変える。そういいだした結果、凜の以外な特技が見つかった。
その特技が、言いだしっぺの海未ちゃんのことを支えている。
バカな凜にはよく分からないけど、それはきっと素敵なこと。

「…。ほ、穂乃果っ!」

海未ちゃんは、いつも申し訳なさそうな顔をする。でも、いつかはこうしてまた少しずつ、壊れていく。

小さなサイドテールが揺れた。



すこし前から、穂乃果ちゃんとかよちんが付き合い始めた。
凛としてはご飯派とパン派が結ばれるだなんて、ぐらいに思っていたんだけど…。
でも、実際に目の前で仲良くされると、少しは気を遣う。
もちろん、かよちんはそんなことで凛や真姫ちゃんとの関係を適当にするわけないんだけど。
でも、やっぱり気を遣ってしまう。
気が付けば、そんな部分が重なっていたのか、同じような境遇の海未ちゃんとよく一緒に話すようになった。

ほのぱな「キャッキャ」

凛「あ、また始まったにゃ」

海未「そうですね…」

凛「でも、かよちんが嬉しそうで凛も幸せにゃ」

海未「…。凛は優しいんですね」

凛「…え?どうして?」

海未「いえ…。てっきり穂乃果に花陽をとられたと嫌悪するものだと思っていましたから」

凛「ああ…。確かにかよちんは凛にとって大切な親友だけど…。穂乃果ちゃんだって大切な仲間で、友達だにゃ」

海未「そうですか。ということはみじめなのは私だけですね」

凛「…みじめ?」

海未「い、いえ。独り言なので気にしないでください」

凛「うーん、よく分からないけど、凛でよければお話ぐらいは聞けるよ?」

凛「せっかくおんなじ境遇なんだs…」

海未「違います!」

凛「…え?」

海未「すいません、取り乱しました」

凛「…取り乱したなんてレベルじゃないにゃ」

海未「…」

凛「もう!凛バカだから海未ちゃんの気持ちは分かんないけど、聞くことは出来るから!ほらいこっ!」ギュッ

海未「ちょ、ちょっと、凛!?」


屋上

凛「…違うって、どういうことなの、海未ちゃん」

海未「凛、大丈夫ですから…」

凛「凛こういう時は頑固だからね!海未ちゃんの話聞かないと帰してやらないにゃ」

海未「…。分かりました」

海未「…穂乃果と花陽、幸せそうですね」

凛「うん、そうだね」

海未「ちょっと…いえ、物凄く憎いんですよ」

凛「…憎い?」

海未「ええ。確か凛たちがμ’sに入ったのってファーストライブの少し後ですよね」

凛「そうだけど…。突然どうしたの?」

海未「私の目線からハッキリ言ってしまえば穂乃果と花陽の付き合いの長さは所詮そこからです」

凛「海未…ちゃん?」

海未「私は…私は、穂乃果とは腹の中からの幼馴染です」

凛「…日誌に書いてたもんね」

海未「なのに…!それなのに!花陽は気が付けば横から穂乃果をかっさらって行ってしまいました。
一緒にダイエットさせた自分にすら腹が立ちます」

海未「私の方が…。私の方がずっとずっと前から穂乃果を愛していたというのに!!!!」

海未「憎い…憎くておかしくそうです…。でももっと自分が憎いんです」

凛「自分が…?」

海未「こうして目の前で親友として花陽を祝福している凛がいるというのに、なんてみじめなんでしょうね」

凛「みじめだなんてそんなことっ…」

海未「…。慰めはやめてください。聞いてもらえるだけでいいですよ。慰められたら、きっともっと甘えてしまう」

凛「そんな…」

海未「憎い…でも、その前に、好きなんです」

海未「あんな二人を見ても、どうしても穂乃果が好きなんですっ…!」

海未「せめて…穂乃果にこの気持ちを伝えて、謝ることさえ出来れば…それが出来れば、もう、何も…」

海未「でも…それは、もう二人を見ていて分かるように、叶わない願いですから」

海未「…。ごめんなさい、凛。こんな辛気臭い話…。って、凛?」


凛に、自分の想いを懺悔している海未ちゃんを見ていたら、どうして穂乃果ちゃんはこんな話を聞いてあげてないんだろう、って穂乃果ちゃんに疑問をいだいた。
凛には確かにあの二人のこと、海未ちゃんと穂乃果ちゃんのことはよく分からない。
でも確かに、この話を聞くのは穂乃果ちゃんのはずなんだ。
そう思うと、いてもたってもいられなかった。


凛「…」キュッ

海未「髪なんて結んでどうするんです、凛?もう練習は…」

凛「…何言ってるの海未ちゃん、私は穂乃果だよ?」


だから、凛は穂乃果ちゃんになって、海未ちゃんの支えになりたい。そう思った。

海未「…何言ってるんです?凛は凛でしょう?!」

凛「もう、海未ちゃんってば、いくらなんでも酷いなぁ…」


幸い、姿は似ていたし、髪型だって最近憧れて穂乃果ちゃんに似せていた。出来ると思った。


海未「…凛」

凛「もう!私は穂乃果だっていってるでしょ?海未ちゃん新手のいじめ~?」

海未「…その言葉をそのまま返しますよ」

凛「…ねぇ、海未ちゃん。私に…穂乃果に、言いたいこと、あるんじゃない?」

海未「…!」

凛「私なら…。今の私なら、聞いてあげられる。…ダメ?」

海未「…それが、あなたの。”穂乃果”の優しさですか…?」

凛「…。うん」

海未「…」

凛「…」

海未「…ごめんなさい」

海未「私は…私はっ!あなたの一番大切な人を恨んでしまった…」

海未「今でも…今でも憎いんですっ…」

海未「今の穂乃果に私が必要ないのは分かっています…。だから…」

海未「あなたを愛してっ…一人勝手に独占欲を抱いて、嫉妬して…ごめんなさいっ…」

海未「ごめんなさい…」ガクッ

凛「…必要ないなんて、そんなことないよ」ギュッ

凛「海未ちゃんは私にとって、とってもとっても大事な人だもん」

海未「穂乃果ぁ…」

凛「…」ナデナデ


凛の、いや、”穂乃果ちゃん”の胸で海未ちゃんは精一杯泣いた。
そんな海未ちゃんを見ながら、どこか凛は満足感に包まれた。
きっと、これで海未ちゃんは元通り。そう思っていた。



海未「…凛」

凛「…」

海未「ありがとうございました。どこか、救われた気がします。もう、大丈夫ですから」

凛「…分かった」

海未「凛って、本当にメンバーのモノマネがうまいんですね」

凛「それ、ちょっと台無しじゃないかにゃ~?」

海未「ふふっ。凛の優しさに甘えてしまった私にムードなんて必要ありませんよ」

凛「…自分を卑下しちゃだめだよ、海未ちゃん」

海未「…いつぞや、私が旅行に行っていた時の凛にも言ってあげたいですね」

凛「もう!海未ちゃんなんて知らないにゃ!」

海未「…本当に、知らないってほっておかない凛のこと、好きですよ」

凛「…!!もう今日の海未ちゃんおかしい!」

海未「きっと、今日だけですよ」

凛「…そうだね」

海未「ごめんなさい、あなたは凛なのに」

凛「…謝る海未ちゃんはもう飽きたにゃ」

海未「ではどうしろと…」

凛「どうもしなくていいの!帰ろう?そろそろ穂乃果ちゃんたちも終わってるはずだよ」

海未「そうですね」



人のセリフの中で、一度だけ、とかだとか、あと少しだけだからだとか。
そんな言葉は何も説得力がない。
…それは、凛たちにも同じこと。

次の日 部室

海未「少し遅くなりました!今誰が部室にいますk…」

穂乃果「…花陽ちゃん」

花陽「穂乃果ちゃん…」

チュッ

海未「…!!!」

花陽「…えへへ、花陽の始めては穂乃果ちゃんだね」

穂乃果「…わ、私もっ。えへへ」

凛「ごめ~ん、先生に捕まっちゃって…。アレ?海未ちゃん、部室入らないの?」

海未「ああ、凛ですか。あの…少し頭を冷やしてきますね」スタスタ

凛「…え?海未ちゃん?」

凛「あれは…かよちんと穂乃果ちゃんだにゃ。でも、海未ちゃんもう振り切れた感じだったのに…」

ほのぱな イチャイチャ チュッ

凛「…!二人の関係が進展してるにゃ…。海未ちゃん…」


弓道場

海未「…ここは落ち着きますね」

一人、音のない世界にいると、凄く安心する。
自分がその世界の中に溶け込んで、スッと一本の矢を放つ瞬間というのは、踊ったりするのとはまた別の良さがあると思う。
だからこそ、何も感じたくなくて、ここに来たんでしょう。

諦めればいい。それぐらいの答えは誰にだって出せます。
でも、私には、その答えに行きつくための解き方が分からなかった。

…。今まで穂乃果しか想ってこなかったというのに、唐突にどうそれを捨てればいいのでしょう?
私が今まで抱いてきたそれは、嫌なことばかりではなかったから。
なまじ10数年、その良さを知ってきてしまったから。

海未「ああ、どうして私は穂乃果なんて好きなんでしょう?」

…そう呟いて、でもすぐ答えは自分の中で見つかる。
ほかの人では埋められない。

埋められない、はずだったのに。

凛「…もう、海未ちゃん、探したんだよ?」

海未「そうなんですか」









海未「…ごめんなさい、穂乃果」

凛「みんな待ってるよ。絵里ちゃんたちも来たから、海未ちゃんを呼びに来たってわけ。もう、海未ちゃんのせいで遅刻だよ~」

海未「…穂乃果はそうじゃなくたって時間にルーズでしょう?ふふっ」

凛「うわっ、呼びに来てあげた私にそんな対応するんだ~!ふん!もう怒ったよ!」

海未「普段からしっかりしていれば、こんなことも言われないですよ」

凛「…」(”本物”の穂乃果ちゃんがしっかりしていれば、凛がこんなことしなくたって海未ちゃんは…

海未「…穂乃果?」

凛「ごめんね!なんでもない!いこっ?」

海未「…ええ」




その後の練習の海未ちゃんはいたって普通だった。
逆に、普通過ぎて怖かったとすら凛は思った。
この何日かで、海未ちゃんへの印象はコロコロ変わってる。
しっかり者で、自分にも厳しい海未ちゃんが、今では可哀そうな、守りたい海未ちゃんになっている。
穂乃果ちゃんと話す時にたまに見せる、どこか幸せそうで、悲しそうな顔。
あんな想いを直で聞いた凛だけが知っているあの表情。
でも、”凛”には、その表情を見せてはくれない。
その時ふと思ったんだ。ああ、凛はその顔を見せる穂乃果ちゃんに対して、嫉妬してるんだって。

海未ちゃんのことが好きなんだって。

だから、凛は変わろうとした。似せようとした。
全ては、大好きな海未ちゃんのために。

凛「海未ちゃん、大好き…」ギュッ

海未「穂乃果っ…」

気が付けば、もう戻れなくて。

海未「…。本当にするんですか?」

凛「本当も何も、私は海未ちゃんが大好きだもん!…それとも、海未ちゃんは私とするのがいや…?」ウワメヅカイ

海未「うっ…」

凛「海未ちゃん…大好き…」ギュッ

海未「…。ほ、穂乃果…」ドサッ

ああ、”凛”としてもこう言いたかったなぁ。
そんなこと最後に感じたのはいつだったかすら、分からない。
そして今日も”私”は…

凛「…やさしくしてね、海未ちゃん」

今日も、海未ちゃんに”凛”を慰めてもらうんだ。
海未ちゃんを慰める”私”として。
対等だにゃ。きっとすごく素敵なことにゃ。
本気で、そう感じていた。

海未ちゃんの手が、そっとかかる。
もう、何もかも預けるつもりだった。

凛「海未ちゃん、綺麗…」

海未「…。穂乃果だって綺麗ですよ」

凛「…キス、して。海未ちゃん」

いつもなら、こういえばすぐにだってしてくれる海未ちゃんが、今日は少し固まって。

海未「…本当に、いいんですか?」

凛「何言ってるの?だから私h…」

海未「私は…凛に聞いてるんです。こんなの、絶対おかしいですよ」

海未「…今までのことをしてきた私が言うのも、おかしい話ですが」

凛「…」


凛は、ちょっとだけ分かってたんだ。
きっと行為のレベルが上がっていくにつれて、こうなるんじゃないかって。
だから秘策を用意してるの。

凛「…ねぇ、海未ちゃん」

海未「はい…」

凛「凛ね、今までのこと、あったことなかったこと織り交ぜて絵里ちゃんや…そうにゃ、かよちんにだって相談したっておかしくないんだよ?」

海未「…!!」

凛「えへへ…久しぶりに凛に戻っちゃった。ごめんね、海未ちゃん」

海未「…どうして、そこまでするんです?」

凛「…海未ちゃんには絶対言わない」

海未「なんですかソレ…」

だって。
いつだって海未ちゃんの中には穂乃果ちゃんがいるんだもん。

凛「話せるわけないよ…」

なーんか見たことあるような感じだと思ったら経緯は違えど某ギャルゲのお菓子好きっ子のルートに近しいものを感じたんだ

遅くなりました…。再開します

>>30
ギャルゲじゃねぇけど参考にしてるマンガはあるよ

そういえばIDころころ変わる(スマホやPCでうpるため)ので酉つけました



部室

ほのぱな「キャッキャ」

海未「…」

凛「…海未ちゃん。行こう?」

海未「ええ」

穂乃果ちゃんとかよちんが仲良くする日、その日には、凛が手に髪ゴムを持って海未ちゃんにそう誘う。
それがもう慣習になっていた。

いつも通り、二人きりの場所に向かう。
今日は、それが練習終わりの屋上だった。それだけ。

でも、運が悪かった。

海未「…いいんですね」

凛「穂乃果は海未ちゃんと一緒にいたいんだよ?今更そんなこと聞かないでよ~!」

凛「…でも、そうやって照れてる海未ちゃんも可愛い」

海未「…。穂乃果も可愛いですよ」

凛「えへへ!海未ちゃん、ありがとう!」

カチャ

絵里「…え?」

うみりん「」





絵里「…海未?今穂乃果って言わなかった?」

海未「…」

絵里「…。凛?」

凛「…」

絵里「ちょっと!黙ってないで何か言ってよ!」

絵里「少なくとも、いつぞやのモノマネ遊び…じゃないわよね」

海未「…。凛」

凛「海未ちゃん…」

海未「もう、これまでにしましょう?潮時ですよ」

凛「…!」

海未「…。絵里、怒るなら私だけにしてください」

絵里「…?怒るも何も私はなんにも分からないのよ」

海未「私は…穂乃果の身代わりにr…」

凛「だめぇぇぇぇぇぇっっ!!!!!!」

うみえり「!!!」

凛「違う!凛が!凛が悪いの!海未ちゃんは…海未ちゃんは何も悪くないっ!」

凛「凛が!勝手に海未ちゃんの求める穂乃果ちゃんを演じただけ!」

絵里「穂乃果を演じたっ…ま、まさか海未っ!」

海未「…。想像の通りですよ」

絵里「海未…。私、あなたが仲間だと思っていたわ」

海未「…は?」

絵里「…いいの、それだけ。黙っておくから。…失望したわ」

絵里ちゃんは、そう言い残して、地面に落ちていたタオルを拾ってから、凛たちに背を向けた。

失望した。きっとそれは海未ちゃんに向けていった言葉。
そんな言葉を残しておきながらも、まだ絵里ちゃんは立ち止った。

絵里「…。そういえば凛をどうするか考えてなかったわ。ほってはおけないけど」

海未「凛は…悪くないんです。何も言わないでやってください」

絵里「…凛?どうしてこんなことしてるの?」

凛「…。絵里ちゃんにも言わない」

絵里「…。もっと話しやすい相手がいいかしら。花陽とか…」

凛「やめて!!」

凛「かよちんなんて呼んだら、海未ちゃんがもうどうしようもないよ」

絵里「…まだ海未をかばうの?」

凛「海未ちゃんを悪く言わないで!」

絵里「…!」

海未「凛…」

凛「海未ちゃんは辛かったんだよ!凛は聞いたもん!ずっと想ってきたって!かよちんが憎いって!
  でも…。でもそれ以上に海未ちゃんはそんな自分を憎んでたんだよ!!!」

凛「だいたい、凛知ってるんだよ!その仲間って意味!」

海未「…え?」

凛「絵里ちゃんだって…分かってあげたっていいのに…」









凛「絵里ちゃんだって!穂乃果ちゃんのこと好きだったんでしょ!!!!!」

絵里「…」

海未「絵里…嘘でしょう?」

絵里「あはは…」

海未「…絵里?」

絵里「そうよ!だからこそおかしいって言ってるのよ!穂乃果を手に入れられないからって、
   ほかの人を代わりにするなんておかしいじゃない!」

絵里「…実際私だって花陽を恨んだわよ。ええ」

絵里「でも…私にだってメンツがあるの。意地があるの」

絵里「ねぇ…お願いだからおかしいって誰か認めてよ…」

絵里「凛…どうしてかばうの?あなた自身がそんなにかばっていたら、私がおかしいみたいじゃない」

絵里「穂乃果への気持ちを閉じ込めてきた今までがすべて意味ないようじゃない!」

凛「…意味なんてないよ」

海未「凛!?」

凛「…。だってそうでしょ?」

絵里「そ、そんなこと…」

絵里「少なくとも海未よりは綺麗に終われるわよ!それだけで意味は…」

凛「恋愛なんて…結ばれなきゃ意味がない、でしょ?」

うみえり「…!」

凛「綺麗って、絵里ちゃん言ったよね」

絵里「…ええ」

凛「綺麗だからどうなるの…?絵里ちゃんはそれで何か穂乃果ちゃんと接近できるの?」

絵里「そ、それは…」

凛「凛ね、海未ちゃん見てて思ったんだ」

凛「絵里ちゃんの、その報われない恋、片想い、切ない恋」

凛「…それってそんなにいいものなのかな」

凛「凛はね、そうは思わないんだ」

凛「だって、実際絵里ちゃん、穂乃果ちゃんと、かよちんみたいなことがしたい、でしょ?」

絵里「…」

凛にだってわかる。凛には、大切な人がいるから。
たとえその人が”自分を見ていなくても”そういうことをしたい人が、いるから。

凛「絵里ちゃんの気持ちは、もっと切実で、ぐちゃぐちゃでどうにもならない。だからこそあがいてる。そうでしょ?」

絵里「そうね」

絵里「だとしても、私は抗うわよ。自分が自分で許せなくなるのは…嫌だもの」

凛「…」キュッ

海未「…凛!やめてくださいっ!」

凛「絵里ちゃん、どうしたの?泣きそうになってる…」

もうサイドテールにするのも手慣れてしまった。
強情な絵里ちゃん。
でもね、きっと、絵里ちゃんが抱いている気持ちも海未ちゃんと一緒。
ごめんね。たぶん海未ちゃんの方が贔屓目にはなるだろうけど。






凛「私に…穂乃果に話してよ」





絵里ちゃんにだって、”私”は必要でしょ?

絵里「…!」

海未「凛!お願いです!もうこんなことっ…」

凛「…何言ってるの海未ちゃん?私は穂乃果だよ?」


海未ちゃんが、悪く言われるような、μ’sに居られなくなるようなこと。
それを隠しとおすため、守るため。
凛はまた、”私”になる。全ては、海未ちゃんのために。
なのに、どうしてか海未ちゃんが凛の邪魔をする。止めようとする。
どうして?

遅くなりました…再開します

絵里「…海未」

海未「なんです?」

絵里「…。あなたが甘えたくなってしまった理由も、分かった気がするわ」

海未「絵里?! やめてくださいっ! あなただけでも…」

絵里「…」スッ

凛「え、絵里ちゃん…」

絵里「…」

パチン!!!!

海未「…!」

凛「…!」

絵里「…。メンバーが、道を踏み外した時、それを誰かが戻してあげるのだってμ’sよ」

絵里「そうでしょう?海未?」

海未「…」

凛「…絵里ちゃんいったいっ!」

絵里「もう誰が悪いとか私言わないから」

絵里「…でもね、きっとこれは”正しくない”わよ」

絵里「凛がかばう理由なんて分からないし、今だって少し花陽が憎いし、もう何もかも分からないけど」

絵里「…きっと、これだけは正しくないわ」

絵里「もっと突き詰めれば、花陽を恨んでいることとか…」

絵里「これから、何も見なかったことにするのも…正しくはないんでしょうけどね」

凛「…!」

絵里「もう行くわ…。海未、今度凛でも誘って惨敗負け犬会でも開きましょう?」

海未「…」

扉が閉まる音がして、凛たちは取り残された。
その後、本当に絵里ちゃんは普通にふるまっていて、意味が分からなかった。
相変わらず、穂乃果ちゃんに対して、辛いような、悲しいような、海未ちゃんと同じような視線だけは送っていたけれど。

そんなある日、海未ちゃん呼び出された。

昼休み

海未「凛…」

凛「」

怖かった。きっと捨てられる。
だって言えるわけないもん。
だから付けこんだの。海未ちゃんの恋心に。
でもね?海未ちゃんだってきっと残酷なことしてるはずだよ。だからフェアなんだよ。
対等なんだよ。
ああ、でも、そんな言い訳、聞いてくれないか。


穂乃果「いたいた!海未ちゃ~ん!」

海未「穂乃果?」

穂乃果「あっ、凛ちゃんもいる!凛ちゃ~ん!」

凛「うん?穂乃果ちゃん?」

穂乃果「おお、よく考えたら、最近仲のいい組み合わせだ!これはお邪魔したのかな?」

海未「い、いえっ…別にそんなことは…」

穂乃果「ならよかったぁ~!ねぇねぇ…ちょっと相談があるんだけど…」

海未「相談?μ’sのことですか?」

穂乃果「お、大きくはそうかな…。あ、ぜひ凛ちゃんにも聞いてほしいんだ」

凛「凛にも?」

穂乃果「うん!」

海未「それならほかのメンバーも集めたほうが…」

穂乃果「う、ううん…いいの」モジモジ







穂乃果「実は…かよちゃんのこと、相談したくて…」

凛「…か、かよちん?」

穂乃果「う、うん…。海未ちゃんは昔からの付き合いだし、凛ちゃんはかよちゃんの昔からの付き合いだし…ぴったりかなって」

海未「…」

穂乃果「そ、その…かよちゃんとさ…」



その時の穂乃果の相談は、花陽は、奥手な方だから、キスだとか、それ以上のことだとか、
そういうことに対して、どうゆうペースで、どう進んでいけばいいか不安を感じている、とのことでした。

この時、一瞬でも、別れの相談を期待した自分が、どこかにいました。
でも、中身はその逆。




ああ、そういえば私は”穂乃果”と、もうセックスだってしてたんでしたね



抜け出した後のことは、よく覚えていない。

どうゆう

>>60
ごめんなさい、出身がバレマシタネ(震え声

どうゆう→どういう

もう、弓道場に行く気力すらありません。
それどころか、あの神聖な場所に自分が居ていいのかすら怪しい。
絵里は、私たちのことを何も言わずに見過ごしたのかもしれません。
だとしても。穂乃果たちはあんなに純粋に互いを想い合っているというのに、自分は凛の体の身を求めていた。

凛を呼び出して、関係の終焉を持ちかけようとしたときにこの仕打ち。
きっと、天からの罰なのでしょう。

海未「ふふっ…。希みたいです」

海未「…帰りましょう。ことりに早退の連絡だけ…」

prrr!!

着信 星空 凛

ピッ

海未「…」








海未「…あなたは穂乃果ですか?凛ですか?」

凛「…海未ちゃんが望んだ方かな」

海未「…。今日早退するって、誰かに伝えておいてください」

凛「分かった…、にゃ?でいいの?」

海未「…凛」

凛「どうしたの?」

海未「どうして、そこまでしてくれるんです?こんな私に」

凛「海未ちゃんには言わないっていったでしょ」

海未「…そう、ですよね」

凛「今日のことは誤魔化しておくね」

海未「…ありがとうございます」

凛「うん、どーいたしまして」

海未「あの、凛」

凛「…今度はどうしたの?穂乃果ちゃんたちなら別に大丈夫だかr…」

海未「穂乃果が花陽を想うように、私もここまでしてくれる凛を想えたらよかったですね」

凛「…」

海未「…凛?」

凛「あはは…。その通り、だね」

電話が切れた後、凛はそっとへたれこんだ。
きっと海未ちゃんを探して走り回ったせい。
おかしいなぁ、凛ってμ’sの中では体力のある方なのに…。

凛「…知ってたよ」ポロポロ

凛「凛、どうしたらよかったのかな」

凛「海未ちゃん…大好き」

やっぱり、凛の想いなんて必要ない。
必要なのは、”穂乃果”として、海未ちゃんを想う事。

凛「そうだ!放課後は海未ちゃんの看病しに行こうっと!シュシュどこだったかな~」








絵里「…そういうことだったのね」ボソリ

今回はここまでです…
うp主は高校生なのですが、テスト期間中&終わり次第すぐ北海道へ修学旅行なので、
しばらく更新が止まるorすっごい遅いです。
すいません

絵里「…凛」

凛「え、絵里ちゃん!?」

絵里「ごめんなさい、盗み聞くつもりは全くなかったのだけど」

凛「まさかさっきの独り言、聞いてたりするのかにゃ」

絵里「…そのまさかね」

凛「…」

絵里「電話までは詳しく聞けなかったけど…。海未にいったい何があったの?」

凛「…。話さないとダメ?」

絵里「ごめんなさいね、私ってこういうの頑固なのよ」

凛「…」(凛も、こんな風に海未ちゃんに無理やり話させた事、あったなぁ

凛「…海未ちゃんからは、何か聞いてる?」

絵里「いや…早退とだけ」

凛「そっか…。もしかしたら、絵里ちゃんにとっても少し辛い話かもしれないよ?」

絵里「私にとっても?」

凛「うん」

絵里「…もう傷つくのには慣れっこよ。続けて」

凛「…」(絵里ちゃん、強いなぁ…

凛「今日ね…」

カクカクシカジカ

絵里「そうだったのね。…穂乃果も罪な子ね」

凛「全くだにゃ」

絵里「…よし、凛。お見舞いに行くわよ」

凛「へ?凛は元々そのつもり…」

絵里「いつぞやの約束を果たそうじゃない」

凛「…え?何の話?」

絵里「まぁまぁ…凛も行けば分かるわよ」

絵里「あ、その白いシュシュは没収ね」

凛「えぇ!?」

絵里「もともと私が同行する時点で、”使わない”でしょ」

凛「…」

絵里「後ね…。凛がそれして、マネしてるとね」

絵里「私まで…だめになりそうで」

凛「もう分かったにゃ、はい」

絵里「…ずいぶん素直ね」

凛「理由、もう察してるんでしょ?」

絵里「…そうね」

海未’sハウス

海未「…珍しい組み合わせですね」

絵里「まぁ…そうね」

凛「凛に絵里ちゃんが付いてきたって感じかな」

海未「そうだったんですか。わざわざすいません」

絵里「いいわよ…。それに、約束したでしょ?」

海未「へ?何のことです?」

絵里「全く…凛も海未も覚えてないの?」

絵里「まぁいいわ…。さぁ!第一回惨敗負け犬大会を開催するチカっ!!!」

海未「…ああ、そんなこと言ってましたね」

凛「ちょっと待って…。ソレ凛必要ないよね」

絵里「細かいことは気にしないの!それに凛だって私たちの失恋に大きくかかわってるでしょ?」

海未「第一回って…まさか何度か開かれるんですか?」

絵里「ええ。今回みたいに、私か海未かのどちらかが、あの二人の関係を見て心が折れそうになって時に、ね?」

凛「絵里ちゃん…」

絵里「つまりっ!私たちが吹っ切れば自動的に会は無くなっていく!どう?完璧でしょう?」ドヤチカァッ

凛「だとしてもそのドヤ顔はなんかむかつくにゃ」

絵里「酷いっ」

海未「…。絵里」

絵里「突然どうしたの?」

海未「ありがとうございます」

海未「こんな私に…凛に…優しくしてくれて」

絵里「…仲間じゃない」

凛「…失望したって言ってなかったかにゃ」

絵里「もう!ちゃちゃ入れないでよ!いいところじゃない!」

海未「失望されても、仕方ないぐらいのことをしましたよ。私は」

凛「違うよ」

海未「へ…?」

凛「私たち、だよ」

海未「そう、言ってくれるんですね、凛」

絵里「…アレ?惨敗負け犬会私いらないチカ?」

絵里「エリチカ、お家帰るっ!!!」

こうして、凛たちは、穂乃果ちゃんの愚痴から、穂乃果ちゃんの可愛いエピソード、でもやっぱりかよちんが憎めないことを長らく話した。

気が付けば、もう負け犬会は凛たちが集まるためだけの口実になっていて。

海未ちゃんも立ち直っていた。

絵里「もう第十回になるのね…」

凛「最早集まるための口実に近いにゃ…」

海未「そうですね…すっかり吹っ切れた気がします」

絵里「そうね…。この三人ってなんだか私すごい心地いいのよ。会が終わっても集まることは続けたいわ」

凛「凛も同じくだにゃ」

まぁ凛は海未ちゃんと居たいからなんだけど

海未「そ、そうですね」

海未ちゃんと一緒にいられる。それは凛にとってもいいことなんだけど。

絵里「あ、海未ってばお菓子ほっぺについてるじゃない。珍しい」

海未「へ?」

絵里「動かないで、とってあげるから」

海未「い、いいですよ!?」カァッ

絵里「もう…遠慮せずに…。ほら、ね?」スッ

海未「…うぅ」








やっぱり、凛のこの想いは海未ちゃんにとって必要じゃない。

気が付いたのは、6、7回目ぐらいから。
いつでも海未ちゃんを見てきたから、すぐに分かった。
そのあたりから海未ちゃんは吹っ切れていたし、絵里ちゃんも同じ。

失恋には新しい恋、とはよく言うけれど。

何度も否定しようとした。でも、凛の疑惑は深まっていくばかり。

絵里ちゃんは全く気が付いていないようだから、きっと海未ちゃんの片思い。

でも、そんな凛にも、チャンスが巡ってきた。

絵里「そう…それと、第十回を記念して、私から重大報告があるわ」

凛「重大報告?」

絵里「ほ、ほら…失恋には新しい恋って言うじゃない?」

海未「…!!!」

絵里「この会のことも、実は希が助言してくれてね…。仲間がいれば怖くないやん?って」

絵里「それからもちょくちょく面倒みてもらってたの」

絵里「…ちょろいわよね。気が付いたら惹かれちゃってた」

絵里「だからもう私は完全に穂乃果のことは振り切ったわよ!!!」

海未「は、はは…。全く、真姫並みのちょろさですね」

凛「…海未ちゃん」

絵里「ちょっと海未!?真姫並みのちょろさって何よ!」

海未「…。ごめんなさい、少し気分がすぐれないので、家で休んでも構いませんか?」

絵里「えっ、どうしたの?大丈夫?私家までついていきましょうか?」

海未「いえ…結構です」




海未「もっと悪くなってしまいます」ボソッ

凛「!!」

絵里「…え?今なんて?」

その後、凛は上手く絵里ちゃんを誤魔化して、海未ちゃんの後を追った。

凛「海未ちゃん…」

海未「ああ、凛ですか」

凛「…。絵里ちゃんといい穂乃果ちゃんといい無神経だよね…あはは」

海未「全くですね」

凛「…凛はこんなにも分かってあげられるのに」

海未「…」

凛「ねぇ…海未ちゃん、凛じゃダメ?」

海未「り、凛…?」

凛「確かに凛はね、絵里ちゃんみたいにかしこくもないし、かっこよくもないけれど」

凛「でも…凛、海未ちゃんの今までをずっと見てきたもん」

凛「一番…分かってあげられるよ」

海未「無粋なことを聞きますが、あの時の理由というのは」

凛「せいかーい!凛が海未ちゃんのことが好きだったから!」

ここで、確実に手にいれたい。
どうしたって凛が必要にされないとしても、凛が海未ちゃんを必要とするから。
それのためなら…嘘だってつく。

凛「実は凛、ちょっと聞いちゃったんだ」

凛「希ちゃんも、絵里ちゃんの事好きなんだって」

海未「…失恋に、新しい失恋ですね。はははっ」

凛「ねぇ…諦めて凛にしちゃおうよ」

凛「いや…”私”でもいいわ」

海未「…!」

凛「ねぇ、海未ちゃん」













凛「最初に凛がモノマネしたメンバー、知ってるよね?」


海未ちゃんが壊れたのを見た。もう、止めるすべはないと思った。

どこかで、もう一人の”私”と希ちゃんが付きあい始めたらしい。でも、そんなことはどうでもいい。

海未「…絵里」

凛「なぁに、海未」

壊れて、壊れて。

もう、直ることはない。

絵里ちゃんはもう、仲間じゃない

海未「愛してます」

凛「…私もよ、海未」








小さなポニーテールが揺れた

ここまでです。少々駆け足でしたが、読んでくれた方々、そして期待レスをしてくださった方々。
期待に応えられたかどうかはわかりませんが、ありがとうございました!

これを発見して絵里がどうなるか見たいチカ

>>101
もう…エリチカは”仲間”じゃないチカ
きっと希ちゃんとイチャコラしてるチカ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月05日 (土) 03:56:52   ID: bkOQWxXW

こうゆうのなんか新鮮?だな。

2 :  穂乃果好きの874さん   2014年07月05日 (土) 12:29:52   ID: oUa5EMNc

さらに重くなってしまったか…

3 :  SS好きの774さん   2014年09月03日 (水) 16:50:07   ID: rq2DJOSu

え?これで終わり?
ハッピーエンドが読みたいにゃー

4 :  SS好きの774さん   2015年04月25日 (土) 07:29:49   ID: RX8jM6Y-

そして、忘れられてることり…( ´-`)

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