男「俺は弟だから」 (39)

俺は母方の連れ子だった。

ある時俺に父親が出来ると聞かされたが、いままで父がいないという事もあり、不安ばかりが募っていた。

母の相手には俺よりも2つ上の娘がいて、一人手で育てている事の話で意気投合して再婚に至ったそうだ。

一人で俺をずっと必死に俺を育ててくれた母は、俺ばっかりのために自分を犠牲にしてきた。

ようやく、少しは落ち着けるのだろうと、正直ホッとした。


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俺の日常に突然現れた父と姉はそれなりにいい人達だった。

初対面でわざわざ再婚相手の子供の評価を下げるような真似をするヤツなんてなかなかいないと思うけどね。

義姉はとても綺麗で、俺が通っていた高校の女子なんて目じゃないくらいだった。

「緊張してる?」

「……まぁ」

「私も、緊張してる。お互いの事知ってる友達ですら家族にはなれないのに、全く知らない私たちが家族になるなんて不思議だよね」

そう言って笑みを浮かべる彼女に、思わず心が動かされてしまっていたけど、他人に向けるようなぎこちない作り笑いしか浮かべる事が出来なかった。

「私の方が年上らしいから、キミの事は名前で呼ぶね」

「じゃあ俺はどうしようか」

「お姉ちゃんって呼んでくれてもいいよ」

「えー………姉ちゃん?」

「うん、いい感じ。そのうち慣れてくるよ、男」

義姉に名前を呼ばれると、今まで感じた事のなかったようなむず痒さが首元をじんわりと這っていくような心地だった。

それから家族として、数ヶ月一緒に過ごした。

母と義父は、随分と仲がいい様子で、一週間に三回は二人で外出していた。

「こりゃあ弟か妹が出来るのもそう遠くないな」

「ねー、二人の子供だったらきっと可愛いよ」

「……姉ちゃん、そういうのに弱くないんだな。俺は母さんが一人の女性として生活してるのがちょっと気持ち悪い」

「一応私だって大学生だもん、それぐらいもう分かってるよ」

「ふーん」

「男はそういうのにあんまり興味ないの?」

「あるに決まってんじゃん、高校生だし」

「だよねー」

そう、興味はある。興味はあるがその対象となる相手が全くと言っていいほど見当たらない。

いつもいつも、何かが足りないような気がしていた。

ところが一番身近になった義姉に対して、小さな憧れのような気持ちが芽生え始めた。

義姉を見るたびに、心が揺れる……これがいわゆる、恋という物なのだろうか。

正直、分からなかった。

まともに見た事のない異性の姿を見る事に対しての欲情かと思ったけど、そうではない。

最初こそ一緒に干されている下着を見たり、風呂上がりの義姉の姿を見て、一般的な高校生と同じようにそこそこ欲情してしまった事に対して、家族をそんな目で見るなんて、と自分に嫌悪感を抱いたが、少し過ごすうちに気にしない程度にまで慣れる事ができた。

それでも、心の高鳴りは消えなかった。

「私、恋愛とかよく分かんない」

「へー」

「不思議、お義母さんもお父さんも恋愛してるのに、その子供の私が恋愛できてないだなんて」

「そういう人がいない限り、そういうもんなんじゃない?」

「そっか。男は彼女いないの?」

「いないよ。いたら今頃こうやって居間でテレビなんて見てない」

「あーあー、つまんないなー」

義姉は綺麗だ。綺麗な分、無防備な姿を見せられると気にしない程度にまで慣れている俺でも少しドキッとしてしまう時があるから困る。

「する?」

「何を?」

「分かってるんでしょ?」

口元を人差し指でトントンと叩く仕草に、少し顔が熱くなるのを感じた。

「冗談じゃあない、俺は弟で、姉ちゃんは姉ちゃんだろ。そんな風に見れないよ」

突然のアプローチに一瞬固まってしまって、動揺からのぎこちなさが出てしまっていないかちょっと不安だ。

「そっかー、残念」

小さく舌を出して意地悪そうに笑う仕草は、普通だったらぶん殴りたくなるぐらいのあざとさのはずなんだけど、その仕草は義姉にとても似合っていて、俺は赤くなってると思われる顔を見られないように背けるので精一杯だった。

「手、握ってもいい?」

「やめろよ、そんな歳じゃあないだろ?」

「いいじゃん、ね?」

「……少しだけだからな」

キュッと握られた手は、小さくてとても柔らかかった。

同じ人間の手のはずなのに、ちょっとゴツゴツした俺の手と違って、女性の手というものがこんなに違うものだとは思わなかった。

多分、個人差はあると思うけど。

「男の手、暖かいね」

「姉ちゃんのが冷たすぎるんじゃん」

「そう?じゃあこのまま温めてもらおーっと」

少しだけって言ったのに……義姉はこういうところがズルい。

のんびり、静かな時間のはずなのに、部屋の掛け時計の音が聞こえない。

一人でいる時は一度気になったらなかなか耳から離れない音のはずなんだけど、今はなぜかドクンドクンと身体の中の鼓動で時間を刻んでいる。

握られた手はもう冷たくなくて、じんわりと汗ばんできていた。

「もういいだろ」

「うん、そこそこ満足」

そこそこ満足と言われても、完全に満足するにはどれだけの間握り続けてればいいんだ、と少し呆れたような視線を送るが、やんわりと笑顔を返された。

年上の女性というのはここまで余裕があるものなんだろうか。やっぱり俺の方が先に顔を逸らして俯いてしまう。

「なんか、安心した」

「何が?」

「男は優しいし、あんまり文句も言わないでちゃんと姉弟してくれてるもん」

「姉弟なんだからそういう風に生活するのは当たり前だろ。流石に見境がない馬鹿じゃないし」

「そういう捻くれてるところも安心する」

「俺はペース乱されっぱなしで安心なんて出来ないんだけど」

俺はただ我慢してるだけ。本当は見境なく可愛い女の子だったら手を出したいというのが本音だ。

奥手と言われればおしまいなんだけど、正直今の生活で十分心地良いから、これ以上を求めた瞬間に全てが泡のように弾けて流れていくかもしれない……という不安から無気力に流されるままに生活してるだけだ。

「男は、変わらないでね」

「は?」

「優しい弟であり続けてね、って事。特に深い意味はないよ」

「ふーん。人間どこでどう変わるかなんて分かったもんじゃあないんだけどね」

「またそういうこと言う」

そう、人間はどこでどう変わるかなんて、本人は愚か他人でさえ計り知る事は出来ない。

些細な日常を過ごして行くうちに変わって行くのか、絶望的な一日を過ごしただけで変わるのか、それともずっと変わらないまま一人の人間として生き続けるのか……なーんて、分からない。

「私彼氏募集中だから、好きになったらいつでも告白してくれていいからね」

「弟のままでいいよ。今頃恋人仲になんかになったらどうやって接したらいいか分からなくなるし」

「男は変わらなくてもいいんだよ、弟か、彼氏かってどうでもいい関係の名前が変わるだけ」

「じゃあ今のままでいい」

「欲がないねー」

「俺が姉ちゃんの事好きだと思ってる、なんて感じてるんだったら随分な自信だよ」

「私こう見えても自信家だから」

「見たまんま自信家だよ」

義姉は自信家だ。自分が出来る事が多くて器用な人間だから余裕もある。それでありながらも人を上から見下すような事をしない、出来た人間だと思う。

俺の同級生は、自分が何をしてもいいもんだと勘違いばかりしてる。

それが普通なんだとしたら、俺は普通が恐ろしくてたまらない。

普通ってなんだろう、と毎日のように感じているが、特に悪さもしないで静かに一人の人間として、誰かの人生の背景になっているのが俺の中の普通だと感じている。

自分の人生を、確かに自分の意識がある状態で歩んでいて、アレをしようとか、コレをしようとか考えていても、他人からしたら一人のどこにでもいる人間として捉えられている。

俺の周りの人は皆、そんな存在になるのが嫌で必死に自分を主人公に見立てて色んな事に手を出しているように見える。

ちょっと捻くれた、斜めから意見を言いたがる、俺は他の人間とは違うんだ!という典型的パターンで生きてるな……なんて考えながら、大きな変化がいらない俺はそこそこの日常に満足しながら生活している。

今日も歩いて、明日も歩いて、そんな毎日を過ごすが、どこか遠い所で俺の知り得ない大きな事がポツポツと起きている世界。

なんだか不思議な気分になりながら、赤く染まった道と、差し込む赤い日に目を細めながら今日も帰途につく。

「おかえり、男」

「ん、ただいま、姉ちゃん」

「その呼び方も随分と様になってきたね」

「そりゃあ、毎日そう呼んでるんだから普通でしょ」

「今日も二人、遅くなるんだって」

「飽きないねー」

「飽きないでしょ、お互い愛しあってるんだから」

「お互いずっと愛し合えてたら、俺たち今頃姉弟してないよ」

「ん?ああ、それもそっか。でも、いつまでも続くと思っちゃうんだよね」

「急な終わりなんて誰も想像しないから急な終わり、なんだろ」

二人して、のんびり道を歩く。今日も相変わらずのたわいもない会話だ。

ぐん、と伸び切った影が歩いている道に沿って、今の俺と義姉の距離よりもずっと近い状態でゆらゆらと揺れている…… あれ?

ふと、頬に柔らかい感触。

「だったらこれも、急な終わりに入るかな」

自分の身に起こった事を頭の中で整理すると、今まで落ち着いて仕事をしていた心臓が、余計なぐらいに働き出した。

「姉ちゃっ、何すんだよ!」

そう言ってゴシゴシと頬を袖で拭うが、先ほど触れた柔らかい感触が未だにそこにあるように感じる。

「へへー」

「へへーじゃねえよ。もう」

「姉弟として、終わった?」

「……いや、まだ姉弟だろ」

「うん、その通りだ。こういうのはいつまでも続くものなんだよ」

夕日に照らされた義姉の表情は、とても幻想的だった。俺の視界いっぱいが、そこにいる一人の人間だけでどんな絵画よりも価値のある一枚になっているように感じた。

我が家……と言っても俺は住み始めて数ヶ月だけど、馴染みの深くなってきたドアノブに手をかける。

「ただいまー」

「ただいま」

帰る場所があるという事はどれほどいい事だろう。俺の母には実家に帰るという選択はなかったため、フラフラと地に足をつける事が出来ないまま放浪していた。

荷物は最小限、一番大きなサイズの旅行鞄を引いて、二人で行動していた。

母はいつでも俺の事ばかり気にかけて、自分の事を後回しにする。

俺はそんな母を見るのが嫌いだった。

俺だって、一人の人間としてできる事はあるのに、と母の小さな背中を見て過ごしていた。

「夕ご飯準備するから待っててね」

「ありがとう、なんか手伝おうか?」

「うーん、お皿並べといて」

「簡単だなー」

「だって男だもん」

「俺だって人並みに家事スキルあるんですけど」

「はいはい」

文句を垂れながらも言われた事はしっかりとこなす。義姉との二人きりの時間は、擦れていた俺の心を柔らかく包み込んでくれるようで好きだ。

後ろで縛られた髪と、ちらりと覗く白いうなじと細い首に思わず見とれながら、片手間に皿を並べていく。

食材が焼ける音と、フライパンとコンロが軽く当たる小さな金属音の合間に聞こえる義姉のリズムのいい鼻歌が、俺の中の寂しい空間を満たしていく。

きっとこれは恋なのだろう、いつも目の届く範囲にいる義姉を目で追ってしまう。

遠く離れていたとしても、色々考える事があった後に出てくるのはいつも義姉の姿だった。

弟の俺からするとつかみ所のない義姉は、俺の事をどう思っているのだろう。

弟、としてなのか……今日の帰り道の事や昨日の言葉が本当なら、どこかで俺を異性として意識しているのだろうか。

どれだけ考えても結局答えは姉の中で、俺が知り得る事ができないため、いつも頭に浮かぶだけでうやむやになって消えてしまう。

「男ー、できたよー」

「はーい」

この関係を壊すつもりも何もないから、別にどうでもいい事なんだけど。

「私、男の人って家事とか全然できないイメージだった」

「なんだよ、それ」

「私のお母さんが……あ、男のお母さんじゃなくてね。いなくなっちゃった時、お父さんが私の面倒を見ることになったんだけど、実際はどっちが面倒見てるか分からなかったんだ」

今まで一緒に過ごしてきた中でお互いの過去に触れた事なんてなかったから、義姉が自分の母親について触れた話をしだして、少し困惑した。

「でも働いて養ってたのは義父さんなんでしょ?」

「まぁ、そうなんだけど……家事とか全然できなくて、私が頑張らなきゃまともに生活なんてできなかったよ」

「ふーん」

「でもね、男と会って、ちょっとイメージ変わっちゃった」

さっきまでご飯の方を見ながら話してたのに、少し照れたようにはにかみながら俺の事を見つめてきて、思わず箸が止まる。

「俺、何でもできるしね」

少し、背伸びをしたような言葉が出る。

母の姿を見て過ごしてきたから、仕事も家事も子育ても、実際に全部ひっくるめてこなす事なんて大人であっても難しいのに、少しいい所を見せたくて…ついそんな言葉が出た。

「ふふ、そうだね。何でもできちゃうから、イメージが変わったんだ……こういう人もいるんだって」

多分、他の人に言われても特に気にしないような言葉だったが、他でもない義姉の言葉であったため、一人の人間として、認められた気がして嬉しくなる。

「俺はまだ高校生だし、大人の仕事なんてしたことないから。ただ手伝ってるうちにできるようになっただけだよ」

「そっか、男も私とほとんど同じだもんね」

ほんの小さな共通点。

片親で、自分の事は自分でするのは当たり前。仕事で疲れた親を迎える一人の家族としてのあり方。

俺も義姉も、そうやって生活していた。

少し考えれば分かったことのはずなのに、この話題のおかげで初めて共通点として認識できた。

そんな小さな共通点をみつけただけなのに、義姉の事が今までよりも理解できるように感じられた。

「嬉しいなぁ、男と同じだ」

「……飯、冷めるよ」

俺が頭の中で考えていた、義姉と同じで嬉しいという感情を目の前で口に出されたため、なんとも言えない感情がこみ上げる。

素直にポン、と気持ちを出せる義姉が羨ましい。

俺だって素直に言葉にできれば、義姉に対する小さな恋心もぶつけられただろうに。

そういった面でも義姉は一枚上手で、また一つ義姉の魅力として俺の頭のなかに書き込まれてしまった。

俺ばっかり、どうしてこんなにドキドキしなくちゃならないんだ。

「俺も、姉ちゃんと同じで嬉しいよ」

義姉と同じように口に出したまではいいが、どこかに潜り込んで叫びたくなるような恥ずかしさで赤くなった顔を隠すようにしながらご飯をかき込んだ。

「や、やだなー……改めて言われるとちょっと恥ずかしいじゃん」

後悔はした。

後悔はしたけど、ようやく義姉に対抗して、少し意識させる事ができたことに心の中で小さくガッツポーズをするガキ丸出しの俺がいた。

夕飯も食べ終わり、片付けをし終わった後はいつものように部屋で特に何をするでもなく、ダラダラする。

この家に来て、初めて自分の部屋というものができた。

しかし俺はゲームも漫画も持っていないし、自分の部屋だからといって何もする事はない。

「男ー、開けてー」

ノックの音が聞こえた後、ドアの向こうから義姉の声がする。

「はいはい」

普段、部屋に入ってくるときはノックだけ。俺に開けるように頼む時は大体……。

「どう?プリン作ってみた」

そう、このように何かお菓子を持ってきて両手が塞がってる時だ。

既にノックの音だけでもお菓子持ってきたんだな、となんとなく分かりはじめた。

ノックの音が上の方からするか、下の方からするか、だ。

ドアを蹴るのはノックと言うのか分からないが、とりあえず音は鳴ってるし、俺が気がつくようにできてるからノック音でいいんだろう。

「美味そうじゃん」

「見た目は結構ね」

「何その言い方、味に問題あるみたい」

義姉からプリンの載った盆を受け取りテーブルの上に置き、義姉の方を見る。

「砂糖入れすぎた。いやー、失敗失敗」

小さな失敗をした事に、笑って誤摩化そうとする。

義姉は結構何でも出来る分、失敗したり、恥ずかしい事があるとこうやって笑う。

あざとい。

その一言で言い表せるのだろうが、惚れてしまった弱みだろうか。そういった所が可愛くて仕方がない。

「いいよ、別に。甘いの好きだし」

「お子様だねー」

「別にいくつになっても甘いの好きでいいじゃん」

「私はクールにブラックコーヒーを優雅に……」

「あーはいはい」

お子様。この一言に俺はいつまで経っても義姉の隣には立てないんだと少し気持ちが沈む。

義姉の作ってくれたこのプリンみたいに、全部が全部甘い所……なんて、現実ではあまり受けない。

「ま、私コーヒーに砂糖とミルクドバドバ入れるんだけど」

「さっきの嘘かよ」

「嘘だよ。男いつも見てるでしょ?」

「お子様」

その言葉にムッとした顔を向けられるが、俺はその顔を横目にプリンを少し口に運ぶ。甘い。

「うわ、あっま」

「でしょ?」

「なんていうか、砂糖のかたまりをプルプルにしただけ、みたいな」

「今度は分量間違えないようにして、おいしい卵の風味がほんわり香るやつ作るからね」

テーブルの上で頬杖を付き、微笑みながら俺の方を見つめるのはやめてほしい。

なんだか、餌を食べてる小動物を微笑ましく見てるようで嫌だ。俺は餌付けされてるハムスターじゃない。

綺麗な髪とか首もととかに目線が行くし、目の前でそんな風にされてると目線をどこにやったらいいか分からないから、とりあえずプリンをジッと見ながら黙々と食べた。

「男ってキスした事ある?」

「はぁ?」

急な質問に加え、甘ったるいプリンのせいでむせそうになるが、何馬鹿な質問してるの?とでも言わんばかりに義姉の方をみる。

やけにニヤニヤしてる顔がムカつく。

「え?あるの?」

「あっちゃ悪いかよ」

「意外だなぁ」

「これでもね、人並みには恋愛したことあるんだよ」

そんな人並みの恋愛も、今ではまったくしてない状態だけど。

「ふーん……それってどんなだったか覚えてる?」

どんなだったか。そんな事聞いてどうするんだ、と思ったが馬鹿真面目に過去の事を思い出す。

柔らかくて、ドキドキして、自分が本当にそこに立っているのかよく分からない曖昧な状態だった事はなんとなく、記憶の片隅にある。

「もう忘れたよ、そんなの」

「えー、そういうもんなの?」

「そういうもんだよ……ってかなんだよ急に!変態!」

「なーんだ、記憶にあんまし残らないもんなんだ。いつまでも最初の経験って覚えておきたいものだと思うけど」

俺の言葉を無視して自分のわけの分からない考え方を語り出す。

別に覚えていても忘れてても、何も意味のないものだと思うし、いつまでも覚えてるなんてそんな事できるわけがない。

忘れていく。

自分がどのように生きていたのか、自分がどのように誰かに接してきたか、なんてものは全部日常の記憶で薄まって、いずれ消えてしまう。

体中の細胞がいつの間にか過去の自分の物とは違う物になっているように、消えてしまう。

確かに自分はそこにあるのかもしれないけど、きっと消えてしまっている。

「最初の経験なんてそのうち忘れるよ」

「じゃあずっと覚えていられたら私の勝ちだね」

口に圧迫感……目と鼻の先よりもっと近くに、義姉の顔がある。

口の中の甘さが、溶けていく。暖かくて、柔らかい。

驚くと息をするのを忘れると言うが、口が塞がった事によってひたすら鼻で息を吸う事しかできなくて、肺が空気ではち切れそうになる。

義姉は静かに目をつむって、ただじっと唇を重ねている。

頭が真っ白になる。苦しさが原因か、こんなに唐突に手の届かないと思っていた義姉が自分のすぐそばにいるからか。

「っは…」

ぐるぐると行き場をなくした感情と一緒に、空気が口から溢れ出る……いや、義姉が口を離したからか。

「うわ、結構柔らかい!!しかも無茶苦茶甘い!」

「は、は……」

少し離れた義姉がそんな感想を口にしているが、俺にそんな余裕はない。

今度は吸いすぎた空気を吐く事しかできない……こんな数秒の事で、今まで生きてきてずっとしてきていた呼吸の仕方を忘れるなんて……。

「ふふ、こんな事、忘れるなんてもったいないぞ」

こつん、と額を指先でつつかれる。いや、今回ばかりは、そう簡単に忘れる事が出来なさそうだ。

「忘れた頃には、思い出させてやるから」

今まで見せた事もないような、眩しい笑顔。日常で見てきた、義姉の笑顔が全部塗り変わるほどの笑顔。

忘れていた呼吸が元のように出来るようになると同時に、バクバクと体中に血液が流れ出したのを感じた。

「だからさぁ!分かってやってんの?コレ!!」

少し頭を整理したところで口元を軽く拭った所で、ようやく声が出た。

「怒ってる?」

「怒ってるよ!見れば分かるだろ?」

口調は荒くなってるし、怒りで血が頭に昇って顔は真っ赤なはずだ。これが怒っていないと言わずして、何と言おうか。

「嘘」

先ほどより近くない位置に、義姉が顔を寄せてきた。

心臓は動いている、というのが正しいのだろうが、その瞬間心臓がドクンと本当に跳ね上がるような気がした。

俺の中を全部覗くように、見つめる二つの目。

「本当は喜んでる……そうでしょ?」

「前にも言っただろ……俺は弟だし、姉ちゃんは姉ちゃんだ」

「今そういう話じゃないよ?怒ってるか喜んでるか、だし」

「そういう話だよ。俺たち姉弟じゃん」

「だから何?」

ようやく俺から顔を離すと、さっきと同じ距離でいつもの優しい笑顔ではなく、真剣な顔つきしている。

「そういうのって、良くないと思うし……」

「やっぱり違うよ、話。姉弟かどうかじゃなく、男はどう思ったの?」

言えない。本当は飛び上がるほど嬉しい、だなんて事は。

確かに俺だって一人の人間で、好意を抱いている相手とキスしたり、手を繋いだり、そういう親密な関係になる事に関して嫌なわけじゃあない。

でも実際にその行為をしてみて感じた事は、誰に対してなのかよく分からない罪悪感と、背徳感。

とてもただただ嬉しいとは言えなかった。

「…………」

「言ったよね。恋愛とかよく分からないんだって」

少し前に一緒に帰った時に、そんな事を聞いた覚えがある。あれは、初めて手を繋いで帰った日。

「よく分からないけど、男といるとドキドキする」

「よく分からないから確かとは言えないけど、きっとこれが今、私にとっての恋なんだと思うんだ」

義姉の言葉が俺の脳みそに深く突き刺さる。

義姉が、俺に恋をしている。

それは俺が心のどこかで願っていた事で、あるわけないと否定していた事。

いつも頭の中でうやむやになっていた形が、義姉の言葉によって明確に形作られていく。

「俺、今のままで十分幸せだよ」

全部が時を止めて、まったく動けないような感覚がする俺がようやく絞り出した言葉がそれだった。

壊したくない。

今の関係を、この距離感を。

俺が本当に恋をした相手からの好意は、たくさんの針を固まりにしたように刺々しく、飛び込む勇気が湧かなかった。

何より串刺しにされた後、その針が抜けてしまう事を恐れて口に出たのがこの言葉だった。

「何も変わらないよ。こういうのはいつまでも続くものなんだからさ」

「今のままと何も変わらない。私と男は姉弟のままで、それが近いか遠いかってだけのことなのに……」

一粒、義姉の目から涙がこぼれる。

何に対してなのか……何故目に涙を溜めて、それが流れ出てしまったのか……自分自身ではない人の考え方の違いに困惑したまま俺は何も言えなかった。

義姉の告白……のようなものを受けて、一週間ほど経った。

俺は何も答えが出せないまま、話はうやむやになってしまった。

義姉との関係は悪くなる事もなく、前と同じような感覚で接する事が出来ている。

どちらかが実際にあった事として意識してしまっていれば、このように元に戻る事は出来なかったと思う。

お互いになかった事として、あのときの事には触れないようにしている。

しかし、俺の記憶にはしっかりと刻み込まれている。

あの口の中がとろけていくような感覚も、流れに身を任せていってしまう感覚も、心臓が痛いほど動く感覚も、全部。

男だったらその場の雰囲気と勢いで流されるように行動する事も必要になると思うが、それで痛い目にあってからでは遅い。

俺も好きだからこそ、最善の行動はしておきたい。

……ドアがノックされる音が聞こえる。

「何?」

「レポート書くのに行き詰まったから休憩しにきた」

「そっか。でも俺何も持ってないから息抜きなんてできないと思うんだけど?」

「いーのいーの」

「ふーん……」

休憩というのなら、もっと自分の好きな事とかすればまともな休憩になると思うのに。

義姉は特に何をするでもなく、カーペットに座ってぼーっとしているだけだった。

俺もすることがないから自分のベッドの上で寝転がって、天井を見るか、時々義姉が何をしているのか少し目線を向けるぐらいの事しかしていない。

義姉に対するこの感情はいつの間に作り上げられたのだろうか。

出会った時?いいや、ただ家族になる人間として目の前に現れただけ。

一緒に生活してから?いいや、それもただ家族として過ごしただけ。

おそらく……人間として、憧れてしまった時か。

「あー、眠たくなってきた。レポート明日にしようかな」

どこに憧れたんだろうか……。

「寝たら駄目だろ」

「……ごめん、三十分したら起こしてくれない?」

「はぁ?」

そういうとカーペットの上でそのまま横になる。

「少しすっきりしないとまとまる物もまとまらないし、ね?ちょっとだけ」

「自分の部屋で寝ろよ」

「…………」

ちょっとだけ、というと義姉はすぐに目を閉じて動かなくなった。

おいおい、なんで俺の部屋で寝ようとするんだよ……と呆れたような目線を向けていたが、次第に小さく呼吸音が聞こえ出した。

俺は小さくため息をつくとベッドから立ち上がり、少しでも寝やすいように部屋の電気を消した。

三十分だ。それでもさらに寝ようとしたら追い出そう。

そう心に決めて、ベッドに腰掛けて、暗い部屋の中でジッとしたままでいる。

本当に何もする事がなくなった俺は、壁を見ているだけ。

ここで意識をしてしまったら、正直何をしでかすか分かったもんじゃあない。

もしも、それを義姉が望んでいたとしても、俺は弟として間違いを犯すわけにはいかない。

へたれじゃあない。何もかも姉弟だという壁が、俺の心を阻み続けている。

壁を取り払うのも……と考えない事もないが、一度壊した物は元のようには戻せない。

今の部屋のように真っ暗で、何も見えない状態から明るく、綺麗な景色を見てしまったら、もう一度見たいと思うのも人間の心理だ。

それが手軽であれば手軽であるほど、どんどん深みに嵌っていってしまうから恐ろしい。

そろそろ暗闇に目が慣れてきてしまった。

義姉の体の輪郭がうっすらと浮かび上がっているように見える。

このままだと義姉に近づいて、何をしでかすか自分でも分からない。

ほら、今にも俺の体はベッドから降りて、義姉に近づいていって……小さく寝息を立てる義姉の手をゆっくりと……。

「…………」

やっぱり自分じゃない人間が何を考えてるのかなんて分かるわけがない。

例え本心を打ち明けてくれたとしても、それが本当なのか確実に調べる方法もない。

いっその事もう一度キスでもしてみるか?

口の中の甘さがゆっくりととろけていく、あの時の記憶が鮮明に浮かび上がる。

あの時感じたのは、悪い事をしているという罪悪感、背徳感。

どうやらそれと一緒に、気持ちよくなって頭がパーになる麻薬のようなものも感じていた。

一度手を出したら、自力では決して戻れない。

戻れない、戻れない、戻れない。

もうあんな事をしては駄目だという事は理解してる。

それなのに、いつもなら俺の行動を止めるはずのリミッターが、どこかに行ってしまっていた。

考える頭ではそれ以上は進んではいけないと分かってる。考えの働かない奥底で、求め、望んでしまっている。

「………」

ああ、降りてしまった。いいのか?ここで間違ってしまえば苦しい思いをするのは俺だけじゃあなく、家族だ。

今はいいかもしれない、この瞬間はそうでよかったと思えるかもしれない。

この先を考えろ。

俺の足は、意識とは別に一歩一歩音を立てずに前に出る。

自分が意識しない所から襲ってくる、忍び寄る悪意を持った影のように、一歩一歩、確実に。

「…………ん」

心臓の音が聞こえる。

実際そんな事はないのだろうが、頭全体を震わせるように欲望と理性と血液が流れる。

さぁ、手を伸ばせばもうすぐそこに義姉の体はある。

頭に昇った血が、考えを鈍らせて本能を加速させていく。

もう追いつけない。

全部止まってしまえば、少しでも考える時間はあるはずなのに……今の、十分な幸せを壊してまで、手に入れたい物なのか?

手が義姉の頬に触れる。

しっとりと柔らかく、落ち着くような温かさを感じたの同時に、視界が一瞬くらむような感覚に襲われた。

下手に動かすと起こしてしまうかもしれない……そう考えると頬に手を置いたまま、動かせない。

手は触れるだけ……撫でたりなんてできなさそうだ。

手の甲にかかった義姉の髪を軽くかきあげ、義姉の顔がしっかりと見ることができるようにする。

この暗闇の中ではそこまではっきりとは見れないが、闇に慣れた目とうっすらと窓から差し込む外の明かりで何となく分かるぐらいには見ることができる。

できれば、もう一度あのとろけるような経験を……。

理性が追いつかなくなった俺の脳みそは、虫のように自分を満たせるものに誘われていく。

それが罠だと気づかないまま誘われ、自分はおろか、すべてを滅ぼすのにも関わらず。

ゆっくり、起こさないように、気がつかれないように。

それを意識しながら義姉に顔を近づけていくと、自然と自分の呼吸は止まった。

心臓の音と、義姉の寝息だけが聞こえる。

心臓の音をこれほど煩わしく思った事はない。いっその事呼吸と同じく、意識して止める事ができればいいのに。

ある程度顔を近づけた所で、苦しくなってきたため一度呼吸を再開する。

できるだけ音を立てないように、ゆっくり、ゆっくりと息を吐き、空気を吸う。

我が家で使っているシャンプーやリンスのいい香りが、さらに意識をぼんやりとさせる。

今の俺はまさに虫のような状態だ。ただただ惹かれるまま、本能のまま。

ピタリ、と薄くふっくらとして柔らかな触感が唇に伝わる。

ビリビリと頭が痺れて、俺の部屋というこの空間が砂のように崩れさり、二人だけポツンと切り離されたように……。

俺は、綺麗で魅惑的な花に気をとられ、道を踏み外した。

「………」

息をしていなくて苦しいだなんて事を忘れて、唇にだけ伝わる義姉の感覚を味わっていたかった。

足りない、足りない。

あの口の中がとろけるような感覚にはほど遠い。

「……」

いや、俺は満足だ。

寝ている義姉を起こさないように、ここまでできただけでも十分、俺はやった。

実際、義姉との初めてのキスよりはどこか物足りなさを感じていたが、そんな考えは消しさった。

後は口を離して……元のように、ベッドに戻ればいい・

「……どうだった?」

驚きのあまり目を見開いた。

当然だ。寝ていると思っていた義姉が目を開け、俺の事を見ていたから。

「やっと素直になったね」

踏み外し、足を置いた所が崩れていき、落ちていくような気がした。

「あ……ちが、これは……その」

「いいんだよ。私も、男も……こうなるのを望んでたんだから」

ギュッと頭を抱きかかえられ、胸元に押し付けられた。

暖かく、お互いの鼓動が溶け合って、どこか安心できる。

全部壊れたような気持ちと、もうどうにでもなれという気持ちに、俺の心は流されていってしまった。

「言い逃れはできないよ。ちゃんと見てたし」

「……………」

逃げ出したかった。

全部忘れて、このままこの部屋から逃げ出してしまえば、いつも通りの日常が戻ってくるような気がして。

「男が怖がってるような事じゃないから大丈夫」

「どういう事だよ……もう駄目じゃん、俺たち」

姉弟という関係を越えてしまった時点で、関係は違うものになる。

今までの日常も、全部消え去ってしまう。

「何がもう駄目なの?」

「姉弟として今まで普通の生活してたのに、それが全部なくなるんだぞ!?大丈夫なわけないだろ!?」

義姉の無神経な言葉に少し熱くなる。なぜここまでムキになって返答するのか、分からない。

「男は今までの関係が消え去るのが怖いみたいだけど……好き同士になったら今までの事が消えちゃうの?」

俺は道を踏み外す事を望んでいた。だから今でも義姉に抱きしめられたまま、動こうとしない。

「姉弟で、好き同士は相反する事じゃない。姉弟のままでも、お互いに愛し合える」

「何に怯えてるの?世間体?お父さん?お義母さん?」

自分でもわからない。何に怯えているのか、前に進む事のどこが悪いのか。

自分の事なのに考えても考えても出てこない。

俺の中のずっとずっと奥の方に、隠れた俺が怯えてる。

「こんなんじゃない。俺の知ってる恋は、もっと全部欲しくなるようなものなんだ」

「欲しくないって思うようなこれは、違うんだ。だからもう………」

義姉の手が緩んで、体が少し楽になる。

続いて視界に移った義姉の顔は……いつものような微笑み。

俺の目に焼き付いたように離れない、魅力的な笑顔が、目の前にあった。

「男は多分、恋っていうの、知らないね」

「何が……」

「離したくないって気持ち、変えたくないって気持ち、一緒にいたいって気持ち……」

「それがいつか壊れる事に、怯えるのも………多分恋」

壊れる。急な終わり。

俺はできる限り幸せであろうと、幸せでいられるレールの上で……見えない足場に足を置くのが不安だった。

「ずっと道は続くの。だから、こうやって男の手を引いて導いてあげる」

握られる手。いつか初めて義姉の手を握った時のように、ひんやりと冷たい手。

「初めての恋を教えてあげるよ」

どうしてか分からないが義姉の言葉はどこか信頼できる力強さがあって、その言葉に強張っているような体の力が抜けた。

「………うん」

「私もよく分からないから、男もちゃんと私に教えてくれなきゃヤダよ?」

頷きながら、返事を返す変わりに義姉の冷たい手をおそるおそる握り返した。

今までの事の続きで、これからお互いに歩き出す。

義姉とは違う、分かれた道を歩いていた。そんな俺の道が義姉の道と交わって、新しいものになる。

壊れる恐怖も、いなくなる恐怖も、繋いでくれた手が俺を安心させた。

「今日もお父さん達、帰ってこないって」

「へー」

「小さい子供でもないし、世話を焼かなくても大丈夫な年頃だから丁度いいかもね」

「もう一人でも結構なんでもできるしね」

あの夜、俺と義姉はひっそりとつきあい始めた。

俺が心配していたような姉弟との関係は壊れる事なく、恋人同士としての新しい生活をしている。

新しい、というか……実際は何も変わっていないが。

「今度の休みの日、どこ行く?」

「俺はどこでもいいよ」

「そういうの一番困る。たまには男が行く先決めてよね」

最近は二人でどこかに買い物に行ったり日帰りでちょっとした旅行をする事が多い。

義姉はコンビニで買ってきた旅行雑誌をペラペラとめくりながら、俺に行きたい場所を訪ねるが、俺もその雑誌がなきゃまったく思いつきもしないんだけど。

「ここの温泉なんてどう?一泊二日!」

「パス、金ない」

良い所を見つけるとその雑誌の一ページを見せながら嬉しそうに俺に説明してくる姿は、構って欲しい犬みたいでちょっと可愛い。

義姉が提案した温泉はそこそこ良さげだったが、高校生の俺にとっては少々手を出すのをためらう金額だった。

「私が出す!」

「余計に嫌だよ」

「えー、どうして?」

「そういうの、なんか気分悪い。俺だって男だし、いつまでも姉ちゃんに負担掛けさせるのも……」

義姉に良い所を見せたい。けど俺はまだまだガキで、そんな余裕はないのが現実だった。

「別に男とどっか行けるのなら、どうでもいいのに」

残念そうに呟くと再び雑誌を読み始めるが、さっきのような勢いはない。

良い場所が見つかっても、行けないと思うと一気にやる気が失われてしまうらしい。

「もうちょっとバイト代貯まったら、一緒に行こ」

「ホント!?やった!それじゃ、その次は……ここ!ここがいい!!」

「あーはいはい、そんなすぐにお金は貯まらないからね」

一般的には間違った関係なのかもしれないが、誰も不幸にはならないし、お互い幸せだ。

いつまでも、仲のいい姉弟のような恋人として過ごせていけたら……これほど良い事はないと思う。

「楽しみだなぁ……」

「……あの、さ」

「ん?」

「俺、俺さ……今はまだ、俺は弟だから無理だけど……いつか、姉ちゃんの事を幸せにできる男になるよ」

「バカ、十分幸せだよ」

柔らかな笑み。十分に幸せだと、義姉の口から聞けたのは嬉しい。

でも、いつか義姉と一生寄り添える伴侶として、もっともっと幸せにしてやりたい。

「でも、もっと幸せにしてくれるの、待ってるからね」




おわり

山も谷も何もない感じですが、終わりです。

途中読みづらいとの指摘もありましたので、その辺りも頭に入れて直していきたいと思います。

ダラダラとつまらないのを続けてすみませんでした。

お付き合い頂きありがとうございました。

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