ベルトルト「ライナーは戦士じゃなくなった」(61)

ベルトルト「……、そしてもう俺も戦士じゃいられないよ……」ハァ…

アニ「……あたしも」ハァ…

ライナー「……お前ら」

※注意 ネタバレありです


ライナー「しっかりしろお前ら!!このままじゃ故郷には帰れねえぞ!!」

ベルトルト「……そのために、ここのみんなの故郷を奪うの?」

ライナー「っ、そ、それは」

ベルトルト「……正直つかれたんだよ、もう…」

ベルトルト「ライナー、覚えてるだろ?トロスト区の戦いでさ、」

ライナー「……ああ」

ベルトルト「……逃げ遅れた小さな子どもが巨人に丸かじりされたのをさ…」

ライナー「……」

ベルトルト「それを見た母親がさ、必死になって死体を取り戻そうとしてさ、巨人になぶり殺されたのを……」

ライナー「……ああ」

ベルトルト「……俺達が昔、巨人に苦しめられた事を今度は俺達がここの人達にやっている」

ベルトルト「……なんなんだろうな、それって……」

ライナー「……」

アニ「…………あたしもさ」

ライナー「……アニ?」

アニ「……実は訓練兵団でさ、首になりそうになってた時にさ」

ライナー「……アニが?」

アニ「……ここの連中とつるめば後で苦しくなる。そう思って、人を避けてたらさ、教官に協調性が無さすぎるってさ…」

ライナー「……」

アニ「……そんな時に助けてくれたのがミーナで、ああ、クリスタも随分気を使ってくれたっけ……」

アニ「……サシャもさ、結構ぐいぐいくるし、ああ、うっとおしい腹筋女もさ……」

アニ「……結構、教官も気にしてくれたりさ……」

ライナー「……」

アニ「……でもさ、任務のためだってマルコを見捨てた時にさ、驚くほど冷静な自分がいた」

アニ「……あたしは、そんな自分が嫌になったんだよ」

ライナー「……アニ」

ベルトルト「……」

アニ「……もしさ、あたしが窮地になってもあんたらはあたしを助けてくれる?」

ライナー「っ、当たり前だろうが!!」

アニ「……あんなに、一緒に困難を乗り越えてきた仲間を簡単に切り捨てたのに?」

ライナー「……っ」

アニ「……あたしはさ、自信がないんだ。いざとなれば任務を理由にあんたらを見捨てるんじゃないかって」

アニ「……あんたらに見捨てられるんじゃないかって」

アニ「……自信が持てないんだ」

ライナー「……アニ」

アニ「だからさ、あたしはもう戦士失格なんだよ。任務のためなら仲間は切り捨てられる。でもね、あたしは切り捨てられたくないんだ」

アニ「こんな奴のどこが戦士なんだよ。こんな奴が故郷に帰った所で何になるの」

アニ「精々、信じられなくなった仲間と過去の過ちに苛まれながらじめじめ生きていく」

アニ「そこに何の意味があるんだよ!?」

ベルトルト「……ライナーはクリスタの事が好きなんだよね?」

ライナー「……ああ」

ベルトルト「……でもさ、故郷に帰るにはクリスタも殺さなきゃいけない」


ベルトルト「……君にクリスタを殺せるの?」

ベルトルト「もし、クリスタだけを助けられても、一生彼女は檻に飼われて生きていく。そんな家畜にする事が君の望みなのか?」

ライナー「……っ!!」

ベルトルト「なら君の感情は単なる自己弁護か正当化だ。そんな性欲にも劣る理由で君は彼女を見ているのか?」

ライナー「テメエ!!」ガタッ!!

アニ「止めなよ、ライナー」

ライナー「……チッ」パッ…

ベルトルト「……」



ライナー「……どうしたんだよ、お前ら?おかしいぞ、本当……」ハァ…

ベルトルト「……おかしくないよ」

ベルトルト「……ただこれまで目を背けていたものに向き合う時がきたってだけの事さ」

ライナー「……」

ライナー「……あのな、例えエレン達にどんだけ肩入れしても、俺達が巨人だってバレたらその時点で終りだろうが」

ライナー「それに、故郷にも帰れなくなるし下手すりゃ追手だってくる。そんなになったらこれまでの努力が水の泡だろうが!!」

ベルトルト「……そう言って君はエレンを殺すの?」

ベルトルト「アルミンもサシャもコニーもみんな


ライナー「止めろ!!」

アニ「……止めなよ。今日はもう疲れたよ……」

ベルトルト「……ああ、そうだね」

アニ「……じゃあね」

ベルトルト「……ああ」


ベルトルト「……それじゃ、帰ろうか」

ライナー「……ッチ」

―――――――――――――――

ライナー「……クリスタ下がってろ!!この巨人は俺が倒す!!」

ライナー「……ああ、心配するな!!必ずみんなを守ってみせる!!」

ライナー「ああ、分かってる。必ずここの人類を滅ぼしてやるさ!!」

ライナー「だから、クリスタ




死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで

よくよく読み返すとライナーとベルトルトの会話が噛み合って無いところがあるんだよなー。

ベル『ライナーは昔は戦士だった。今はちがう…。』

ライナー『?、何だよ、戦士って。』

とかな、戦士ってお前がよくいってたことだろ………

――――――――――――――――――

「……トルト」

ベルトルト「………ん」

「ベルトルト!!」

ベルトルト「……ん、あれ?ここは……」

「おいおい、しっかりしてくれよ」

「まだねぼけてんのか?」

ベルトルト「……ああ、そうだ。帰ってきたんだ故郷に……」

ベルトルト「……透き通った空、暖かい風……」

ベルトルト「やっぱり故郷はいいな…」

「何ひたってんだか」クスッ

「まあまあ、そう言ってやんなよ。な、英雄様?」


ベルトルト(……帰ってたら英雄として扱われる)


ベルトルト(……そして、この空の下で穏やかに暮らせる)

ベルトルト「……いいなぁ、こういうのって…」

「なあ、それよりもさ、今日はあれを見せてくれるんだろ」

「えっ、マジかよ!!」

ベルトルト「……そんなに大したことないけど//」


「もったいぶらないでさ、早く見せてくれよ!!」

「そうそう!!」

ベルトルト「はいはい……」クスッ

「おお、すげえ!!」

「これがお前の戦果かよ!!」

ベルトルト「ま、まあね……」///

ベルトルト「いや、本当に大変だったよ」

ベルトルト「その中でも、僕が一番と思うのはクリスタの首だ」

ベルトルト「それに、エレン、アルミン、ミカサ………ああ、ここら辺はどうでもいいや」

ベルトルト「それよりも見てくれよ、この裏切り者の首を」

ベルトルト「何をとち狂ったのか奴らについた馬鹿の首」

ベルトルト「ほら、見てよライナーの苦しそうな顔」

ベルトルト「アニの無念の顔」

ベルトルト「それにさ、目を見開いたベルトルトの顔を」



ベルトルト「あはは」

ベルトルト「あはは」

ベルトルト「あはは」

ベルトルト「あはは」

ベルトルト「あはは」

ベルトルト「あはは」

ベルトルト「あはは」

ベルトル「あはは」

ベトル「あはは」

ベル「あはは」

「あはは」

「あはは」

「あは」

―――――――――――――――


「………トルト」

ベルトルト「……っ」

「ベルトルト!!」

ベルトルト「こっ、ここは!?」

アニ「………どこって、いつもの」

ベルトルト「……そうか」ハァハァ…

ベルトルト「……そ、そうか。ちょっと早めに来て……」

アニ「ああ、随分気味の悪い寝言言ってたからね」


ベルトルト「……そうか」

アニ「……どんな夢だったの?」

ベルトルト「……酷い悪夢さ」

アニ「……そう」

ベルトルト「あんな風に見たことなかったのに…」

ライナー「……そうか」

ベルトルト「……ああ」

ライナー「なら、早く巨人共を駆逐して故郷を取り戻さねえとな」

ベルトルト「……ライナー?」

ライナー「って、エレンの受け売りだけどよ!!」ハハハッ

アニ「……あんた、何言ってんの?」

ライナー「……なんかおかしい事言ったっけ?」

アニ「……違う。あたしらの故郷は!!」

ライナー「分かってるって!!」

ライナー「簡単には帰れねえよな……」

ベルトルト「……うん」

ライナー「あんだけ巨人共がうじゃうじゃしてちゃあよ……」

ライナー「さあ、そろそろ帰ろうぜ」

ライナー「明日からは104期生の生き残りを特別班が特訓してくれるんだ」


ライナー「さっさと寝て明日へ備えねえとよ!!」

アニ「……ライナー」


ベルトルト「……君は戦士じゃなくなったのか?」

――――――――――――――――――

ベルトルト「ふーっ、今日は疲れたよ」

アニ「全く。あの女あんな顔して……」ブツブツ

ベルトルト「明日もこの調子かなぁ」

アニ「ん~、そうなんじゃない」

ベルトルト「全く、折角訓練兵を卒業したってのに…」

ベルトルト「ねえ、ライナー?」

ライナー「…………」

ベルトルト「……ライナー?」

ライナー「……おい、お前ら。呑気な事言ってんじゃねーぞ」

アニ「……へ?」

ライナー「だから、呑気な事言ってる場合じゃねぇってだろが!」

ベルトルト「ラ、ライナー……」

ライナー「……あのリヴァイって奴は恐ろしく強え。多分、サシじゃアニや俺でも敵わねえ」

ライナー「それに、あのハンジって奴も油断ならねえ。ひょっとしたら俺らの事に何か勘づいてやがるかも知れねえ」

ライナー「一番厄介なのはエルヴィンだ。多分、俺達の事に薄々気付いてやがる。だから訓練を名目に俺達をー―――

ベルトルト「ライナー!!」

ベルトルト「どうしたんだよ急に!!」

アニ「そうだよアンタ!!ちょっとおかしいんじゃない!?」

ライナー「……何言ってるんだお前ら。故郷に帰れなくなっても良いのかよ!!」

ベルトルト「そ、それは……」

ライナー「だったら、あいつらは危険だ。危険過ぎる。今のうちに、殺さねぇと禍根を残す事になるぞ」

アニ「……ライナー」

ライナー「……そうだな、いきなり仕掛けるのは危険過ぎる。もうちょっと、奴らの警戒をといてからだな……」

アニ「いい加減にしなよ!!どうしたんだよアンタは!!!」

ライナー「……ああ、そうか。いきなり巨人になっても取り逃がすかも知れねえし、クリスタにも危害があるかも知れねえしな」

ライナー「ああ、そうだ。先にエレンだけさらっちまうのはどうだ?奴らの戦力も削れるし、何より―――」

ベルトルト「ラ、ライナー……」


ベルトルト「どうしちゃったんだよ……」

コンコン


エレン「ちょっといいか?」

ベルトルト「エ、エレン……」

ライナー「おお、いいぞ。入ってくれ」

ベルトルト「ちょっとライナー!!」

ライナー「いいからいいから」

アニ「……」

ライナー「おう、どうした?」

エレン「……ちょっと話があってよ」

ライナー「ああ、丁度良かった。俺も話があってな」

エレン「…………?」

ライナー「実はなエレン。俺達は巨人なんだ」

エレン「……え」

ライナー「俺が鋼の巨人でこいつが超大型巨人って奴だ」

エレン「………へ?」

エレン「……何言ってんだお前」

ライナー「……確かにそうだな。急なことだから分からなくはない」

ライナー「……実はな、俺達はここの人類を全滅させるために来たんだ」

ライナー「……でも、お前が一緒に来てくれさえすればみんなを殺さずに済むんだ」

ライナー「……だからエレン、俺達と一緒に――――――


アニ「来い!!」グイッ!!

ライナー「お、おい、まだ話が……」

アニ「いいから来い!!」



エレン「……ライナー」


ベルトルト「……エレン。ちょっと話があるんだけど……」




ライナー「お、おい、アニ。何処まで……」

アニ「何処までじゃない!!」バンッ!!

アニ「どうしちゃったんだよアンタ!!あんな事をエレンにベラベラと!!」


ライナー「あ、あんな事って、何だよ」

アニ「ふざけんなよ!!」

アニ「あたし達の秘密を平気で!!」

ライナー「ひ、秘密って……」

アニ「ふざけんなよ!!何で正体バラしたんだよ!!」


ライナー「しょ、正体?」

アニ「アンタが鋼の巨人でベルトルトが!!

ライナー「……はぁ?頭でも打ったのか、アニ?」


アニ「………っ」

ライナー「俺が鋼の巨人?おいおい、お前も随分と冗談が言えるようになったな!!」アッハッハッ!!

アニ「ラ、ライナー……」

ライナー「おお、もうそろそろ休まねえと明日がキツいぞ?」

ライナー「兵長の特訓はキツイからな~。でも、あの人となら故郷を奪還出来るかもな!!」アッハッハッ!!

アニ「う、うん……」

ライナー「じゃあなアニ!!明日は遅れんなよ~」

アニ「う、うん……」

ライナー「そんじゃな~」

アニ「あ、ああ。お休み……」



アニ「……どうしたの。どうしちゃったんだよ、ライナー……」

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