・・・こんな大事なこと忘れてたなんて。(16)

わたしが贈ったリボンを抱き、体をはげしく震わせて、ほむらちゃんは、イキました。

わたしは、目の前で、それを見ています。

荒い息をしながら、トロンとした瞳で、口からはヨダレが垂れていて。

わたしは、ほむらちゃんのこの顔が大好きです。

はじめてそう感じたのはーー


わたしが、円環の理になったとき、わたしは過去も未来も見えました。

それは、ほむらちゃんのことも例外ではなく。

キュゥべえにだまされる前のわたしを、救うと誓ってくれてから

もう誰にも頼らなくなったほむらちゃんは

わたしの部屋にしのび込み、 わたしの行動を把握するため、 手掛かりになるものを探っていました。

そして、なにかを見つけ、顔を赤らめて、立ちつくします。

ほむらちゃんが、わたしでしたのは、そのときがはじめてでした。

そのさまを見て。

ヒトのころのわたしだったら、嫌悪感が先にきて、たぶん引いてたと思います。

けれど、概念になったわたしのこころは、キュンとしていました。

メガネを外し、カッコよくなったほむらちゃんを、かわいいと思ってました。

それからも、ほむらちゃんは、わたしを救おうと、何度も何度も時間をくり返します。

くり返すたびに、わたしとほむらちゃんのこころは、少しずつズレていって。

それを埋めあわせるように

時間も魔力もムダにできない中

ほむらちゃんは、自分をなぐさめて、必死に目を瞑り、昔のわたしとの思い出を想いだしながら、いっしゅん眉間をピクピクとひそめます。

その姿を見ると、わたしのなかに、いとおしい感情が溢れてきました。

ほむらちゃんは、こんなにもわたしを想って、わたしを助けようと、がんばってたんだ。

『全ての魔女を生まれる前に消し去りたい。』
『全ての宇宙、過去も未来も全部、この手で。』


わたしが、円環の理になって

ほむらちゃんは、迷路のような時間を、くり返す必要がなくなりました。

これからの時を、ほむらちゃんは、たっぷりと持ってます。

けれど、そこには、鹿目まどかはいません・・・。

それでも、わたしは、いつでも、どこでも、ほむらちゃんの傍にいます。

けれど、ほむらちゃんには、わたしを感じることができません・・・。

あれから、ほむらちゃんは、前よりも長く、するようになりました。

時間をていねいに、ていねいにかけて、するようになりました。

時とともに、薄れゆく、記憶の中のわたしを、なんとしても忘れないよう

自分をなぐさめながら、わたしを思い出していきます。

そうして、ふたりでいた頃の心地いいと、なぐさめて作った気持ちいいを

つなぎ合わせていきます。

心地いいは、気持ちいいを高め

気持ちいいは、心地いいを更に、高めていきます。

ほむらちゃんの目尻からなみだがこぼれ落ちました。

一度こぼれ落ちたなみだは次々と溢れ、ほむらちゃんの頬を濡らしていきます。

頭がしびれてくる中、ほむらちゃんの中のわたしは、より鮮明にほむらちゃんに語りかけてきます。

すると、ほむらちゃんのわたしへの感情が

「好き」という感情が、ドンドン、ドンドン、膨らんでいきます。

それを、限界の限界にまで、昂ぶらせ

鉢切れんばかりの「大好き」にして

ほむらちゃんは、わたしとともに、爆発させました。

弾けたわたしは、無数の小さなわたしになって

ほむらちゃんの全身を、駆け巡ります。

そうして、いく先々で、キスして廻ります。

そのたびに、ほむらちゃんはからだを歓喜にうち震わせ、全身で、わたしを感じました。

全身を巡り、手の先、足の先にまでやってきたわたしは、先端に口付けし

ふたたび、ほむらちゃんの頭(もと)へと帰ります。

爆発したほむらちゃんの頭の中は、淀みもなく、きれいになっていて。

そこへ帰ってきた無数のわたしたちを、迎えていきます。

そうやって、鹿目まどかを、深く深く脳裏に、焼き直していきます。

それは、まるで宇宙が再構成されているようでした。

このとき、ほむらちゃんは、身じろぎひとつ体を動かすことができません。

荒い息が整ってくると、ほむらちゃんは、とても満たされたような顔になります。

その顔を見ていると、わたしまでうれしくなって

かわいくてかわいくて

触れることはできなくても、形だけだとしても

わたしは、いつも、おつかれさまっと、ほむらちゃんにキスします。

このとき、「まどか」と、呟かれると、心臓が止まると思うくらいドキドキしてしまうのでした。

今日は前半でここまでです。
次回はエロないと思います。
拙いものお読みいただいてありがとうございます。
次回すこしヤンデレ気味なまどかの惚気になると思います。

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