勇者「スペルカードルールか……」 (190)

スペルカードルール



世界をその手に収めた大魔王が、人間達に髪の毛ほどの希望を与える為に考案した戦闘方法。


というのは建前で、ぶっちゃけ相手が居なさ過ぎて暇なので、人間が自分と対等に戦えるように考案した、いわば大魔王の暇潰しである。


しかし、このルールで大魔王に勝てば、世界に平和が訪れる。
むしろこのルールが無ければ勝てない為、人間達のラストチャンスでもあるのだ。






ルールとして


1.自身の能力や技を、カードやそれに準ずるモノに封じこめる。


2.戦闘にて、その力や技を使用することが出来るが、カードの使用枚数は始めに宣言しておかなければならない。



3.どちらかが戦闘不能、死亡。または、カードの使用枚数が尽きることで、勝敗が決まる。
いかなる余力を残していても、敗者は勝者に対して、そのまま戦いを続行してはならない。
その禁を破れば、大魔王ですら死に至る罰が待っている。



4.敗北したモノは、カード、つまり封じた能力を勝者に奪われる。
通常は1枚だが、それ以上の場合は、枚数を事前に決めるのが基本。
勝者はその能力を自由に使用することが出来る。
ただし、上手く使いこなせるかどうかは本人次第。



5.カードの合成。つまり、能力を組み合わせることで、新たな能力を生み出すことが出来る。
それにより、どれだけ弱い人間でも、勝ちを重ねることでいつかは大魔王に匹敵する力を持つことが出来る。



6.スペルカードを入手する方法は、戦闘以外にも多数ある。
中には、大魔王が遊びで世界中に適当に配置した宝箱に、レアなスペルカードが入っていることもある。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358655604

東方のスペルカードルールをアレンジしたモノを用いたバトルメインの作品となっております。



弾幕ごっこではありません。基本ガチバトルです。



東方のキャラも出て来ません。ただし、技名などが出るかもしれません。未定です。



技名のセンスに突っ込むのは、出来れば勘弁してください。



勇者、魔王とありますが、世界観はドラクエに限定したことではありません。
銃火器や近代兵器、乗り物も出てくると思います。
アークザラッドやFF7-8みたいな世界観が近いかもです。




いろんなゲームの敵モンスターが出てきます。技もそれに準ずるモノになります。

1日目 朝



勇者の村




勇者「よし、準備万端だな」


勇者母「とうとう旅に出るのね勇者……長く険しい旅になると思うわ。覚悟はいいのね?」


勇者「覚悟ならとっくに出来てるさ。あとは実行に移すだけだった……大丈夫だよ母さん。必ず俺が大魔王を倒して世界を救ってみせるさ」


勇者母「そうね……貴方ならきっと出来るわ。何てったって、お父さんと母さんの息子だもの。
もし、旅先でお父さんにあったら伝えて頂戴。あとは息子に任せて、年寄りはさっさと帰って来なさいってね」


勇者「ハハッ、慌てて帰ってくるに違いないな。……よし、じゃあそろそろ出るよ。
移動用のスペルカードを手にいれたら、ちょくちょく帰ってくるから安心してくれよな。じゃあ!!」ダッ、ダッ、ダッ




勇者母「あら、行っちゃったか……無茶はしないでよね、勇者」


勇者の村の外



勇者「さて、まずは村から一番近い『緑の町』に行こうかな。今からなら、遅くても昼飯時には着くだろう……ん?」


ガサゴソガサゴソ


ピョンッ!!!




スライム「ピキーッ!!!」



『スライムが現れた』






勇者「さっそく魔物か。まぁ、スライム一匹なら余裕だな。スライム!!ルールはお前が決めていいぜ?」




スライム「ピキーッ!!!」ピョン、ピョン


スライムは、カードを二枚、口に咥えて飛び跳ねている。

勇者「二枚で勝負か。よし、いいだろう!!バトル開始だ!!」チャキッ!!



勇者は銅の剣を構える。



勇者「といっても、スライム一匹ならスペルカードなんざ使わなくても余裕だけどな!!!」ダッ!!


勇者は銅の剣を手に、スライムへと走りだす。




スライム「ピキーッ!!!」カッ!!


突如、スライムの咥えていたカードが、一枚光り出す。
そのカードの名前は……



<集合『スライムは仲間を呼んだ』>



ピョンッ!!!

ピョンッ!!!



スライムABC「ピキーッ!!!」



スライムの側に、どこからか二体のスライムが現れる。

勇者「ゲッ!?増えやがった!!」ダッ、ダッ、ダッ


初っ端の増援に驚く勇者だが、スライムへの突進は止めない。



スライムABC「ピーッ!!!!!」グググッ!!!


ドンッ!!!


スライム達は、勇者を迎え撃つように、力を溜めて、勢いよく体当たりを行う。



勇者「ウォリャァァァアアアッ!!!」ブンッ!!!


それに合わせて、勇者が銅の剣を振り抜く。




バキィィィィィィイイイイッ!!!!!

スライムC「ピー……」グッタリ



勇者「グァッ!!」ズザァァッ!!



スライムAB「ピキーッ!!」スタッ!!



お互いが交差した瞬間、勇者はスライムCを撃破。
しかし、残るスライムABに体当たりを喰らい、そのまま転倒する。



勇者「アイテテテ……いくらスライムとは言え、3体同時じゃ少し手こずるか。まぁ、今は2体だけどな」ニヤッ



勇者に焦るほどの大したダメージはないようだ。所詮スライムのただの体当たり。焦るほどのモノではない。

スライムA「ピキーッ!!」カッ!!



スライムAの口に咥えていた二枚目のカードが発動する。



勇者「お、二枚目か。次は何だ?」チャキッ!!


スライムAが最後のスペルカードの名は……





<突進『スラ・ストライク』>



スライムAB「ピーッ……」ググググッ……


スライム二体が、先ほどよりも更に力を強く溜めている。
先ほどの体当たりと同じように考えていると、痛い目に合いそうだ。

勇者「よし!!俺も一枚使っとくか!!」バッ!!



<閃光『ギラ』>


カッ!!

ボゥッ…………



勇者の手にしたカードが光り出し、その手には魔力が渦巻いている。

殆どの人間が使う、初歩中の初歩の基本的な魔法スペルカードだが、スライム程度ならば中々使い勝手がよい力である。




勇者「いつでもこいよスライム共!!」


スライムAB「ピキーッ!!!!」ググググッ!!!


ドォンッ!!!!!



先ほどよりも更に速く、スライムが勇者に突進していく。
今の勇者では、当たりどころが悪ければ、戦闘不能になるほどの威力はあるだろう。



しかし、勇者は先に手を打っている。

勇者「喰らいやがれ!!!」ブンッ!!!


勇者が魔力の篭った手を振り抜く。




ドォォォオンッ!!!


スライムAB「ピキーッ!!!」ヒュゥゥゥウッ……ポテッ



次の瞬間、目の前に閃光が走り、スライム達はその爆風によって吹き飛ばされる。



スライムAB「ピーッ……」グテー


どうやらスライム達はもう動けないようだ。しかも、スペルカードも使い切っている。


完全勝利である。

勇者「よっし!!初戦は100点満点だな!!出だし好調でなによりだ!!
さて、スライムよ。お前の持っているスペルカードを貰うぜ?」



ブゥゥゥンッ……



勇者の目の前に、スライムが持っていた2枚のスペルカードが浮かび上がる。




勇者「んー……こっちかな。やっぱり、1人よりは数が多い方が頼もしいだろうし」



勇者が選んだカードは、<集合『スライムは仲間を呼んだ』>である。


選んだカードが光り出す。




………………



勇者「……なるほど。こんな風に、俺に合ったカードへと変化するのか。大魔王も、中々親切な仕組みを作ってくれたもんだな」



勇者は<召喚『勇者はスライムを呼んだ』>をゲットした。






勇者「さ、少し時間を食っちまったなぁ。早いところ『緑の町』とするか」テクテク



初戦を完全なる勝利で終えた勇者は、『緑の町』へと足を進める。

とりあえず、簡単な序章でした。


夜に来れたら来ますので、よろしくお願いします。


仲間とかは集めるんだろうか?

色々な可能性を秘めているな

凄面白いと思うけど、だけどあんま焦らさないでくれよ、早く帰って来てくれ。

期待している

1です。
少し早いですが、続きを投下していきます。

書いてる内に結構構想が浮かんできたので、長く続けられそうです。

まぁ、更新頻度は少し遅いと思うので、ゆたりとお待ちください。


>>14
今のところ未定です。

>>15
バリエーションは豊富っぽいですからねぇ。

>>16
ゆたりとお待ちください。

>>17
ありがとうございます!!

1日目 昼



緑の町



ワイワイガヤガヤ



勇者「ふー、やっと着いたな。途中何度もスライムに追っかけられて、時間かかっちまった。
片っ端から倒したけど、どれも同じようなスペルカードだったからなぁ」



勇者は歩きながら、スライムから入手したスペルカードを確認している。





<集合『スライムは仲間を呼んだ』>×6
<突進『スラ・ストライク』>×4



勇者用に変換せず、オリジナルのまま入手したカードを見ながら考える。

勇者「とりあえず、カードを換金しに行くか。スライムのカードだから、あまり金にはならないと思うけどな」




大魔王がスペルカードルールを制定してから100年ほど。


人間も魔物も、必要以上に血を流す事無く、誰もが強くなれるチャンスを与えられた戦い方。


当然、それを利用した商売が成り立つのは当然のことであった。


金さえあれば、強いカード……すなわち強い力を手に入れられるのだ。
ただし、使いこなせるかどうかは本人次第なのだが。

カード屋「お、いらっしゃい。見ない顔だな兄ちゃん。旅の人間か?」


勇者「あぁ。近くの村から来たんだ、よろしくな。早速だけど、スペルカードを換金してほしいんだが」


カード屋「どれどれ……あぁ、スライムのスペルカードだな。これだけの数でも、今日の安宿とメシ代程度の金しかやれねぇけどいいか?」



勇者「あぁ、問題ないよ。しばらくはその日暮しになるだろうしね。まぁ、じっくり鍛えていくさ。自分で強いスペルカードを作れるくらいな」

カード屋「その心意気だ。ちなみに、今作れるカードはどんなもんがあるんだい?」


勇者「……『ギラ』と『ホイミ』かな……一週間に一枚くらいのペースだけど」


カード屋「……金にならねぇな……先は長いが頑張ってくれ」




スペルカードと言うのは、自身の能力や技をカードと言う形で表したものである。


なので、自身でカードを作りだし、それを売ることも可能だ。もちろん、需要があればだが。



『勇者は20ゴールド手に入れた』

カード屋「毎度あり。しばらくはこの町にいるんだろ?まぁ、もし有名な戦士になっても、ウチの店をよろしくな」


勇者「あぁ。魔王を倒した男の行きつけの店として宣伝してやるよ」


カード屋「ハハッ、期待して待ってるぜ。今日はこれからどうするんだい?」


勇者「そうだな……武器屋で武器を見に行ったり、酒場で依頼板を見に行ったりかな」


カード屋「武器屋か。武器の素材を持っていたりするのか?」

勇者「そんなわけないだろ?まだ旅を始めたばっかり何だからな」


この世界では、武器や防具を買う為には、大金を払うか、その武器を作る為の素材などを店に納める必要がある。


素材は、鉱物などの自然のモノもあれば、モンスターから入手できる体素材。
更に、指定のスペルカードと交換というモノもある。



カード屋「だったら、今武器屋に行っても無駄足だ。今日は酒場で情報収集や、地道に依頼をこなすか、外で魔物相手に奮闘するか。
まぁ、好きにしてくれや。期待してるぜ?未来の英雄さん」



勇者「親切にありがとうな。じゃあ、まずは酒場に行ってみるよ」

緑の町 酒場



ワイワイガヤガヤ



勇者「さてさて、依頼板はと……お、あったあった」



町の酒場には、大抵、町の人達による依頼を貼り出した板がある。それと、町の人間が被害にあった魔物や人間の手配書もある。

冒険者や、依頼をこなすことを仕事としている者達は、それを請けて報酬を得ているのだ。

報酬には、金銭の他にも、武具やカードなど様々なモノがある。

マスター「おう、新顔だな?よろしくな」


勇者「えぇ、よろしく。結構依頼の数が多いですね、この町は。俺の住んでいた村の依頼なんて、猫探しとかそういうのばかりでしたよ。数も報酬も少ないし」



マスター「そりゃあ、人が多ければそれだけ依頼の質も数も変わるからなぁ。ま、自分の実力にあったものを選んでくれればいいさ。
見たところ、まだ旅を始めたばかりのようだな。この依頼なんかどうだい?商店の依頼だ。誰でもできるぜ?」つ依頼書



勇者「何々……んー、そうだな。初めはこれくらいのがいいか。じゃあマスター、これ行ってくるよ」


マスター「あいよー、気をつけてなぁー」







依頼No.1


『緑の町付近の森に生えている、特産キノコをGETせよ』


報酬 30ゴールド/キロ単価

緑の町付近の森




ガサゴソガサゴソ



勇者「ふー……中々見つからないもんだな。まぁ、キロ単価で30ゴールドなんだから、それなりに価値があるみたいだしな」



森の中で、勇者はあちこちの茂みの中や落ち葉の中を探し回り、特産キノコを集めていた。



勇者「よく見ると、何人か俺の他にも集めてる人がいるんだよな。まぁ、小遣い稼ぎにはいい依頼みたいだけど……ライバルが多いと取り分がなぁー」



少しペースを上げないと、他の同業者に持っていかれそうだ。

……………




夕方



勇者「ふぅ……3キロ分くらいは集まったかな?まぁ、こんなもんだろ。そろそろ町に戻るとするかな」



キノコを詰めた革袋を背にからい、勇者が帰還の準備を行う。




???「そこのお兄さん!!!ちょっと待ってもらいましょうか!?」



突如、勇者の背後から声が掛かる。

勇者「ん?何だ?女の子?」



勇者が振り向くと、そこには自分と同じようにキノコの入った革袋を持った、勇者と年が同じくらいか一つ下くらいの女の子が立っていた。




???「私の名前は『魔法使い』!!お兄さんもキノコ集めの依頼を請けたんでしょ?どれくらい集まったの?」



勇者「ん?俺の?そうだなぁ……3キロ分くらいは集まったんじゃないかな?
なんせ、まだこの辺の地理に全然詳しくないからな。あまり集まらなかったよ」


魔法使い「いーえ、それだけあれば十分よ……お兄さん!!そのキノコを賭けて、私と勝負よ!!」ビシィッ!!!



魔法使いが勇者に向かってビシッ!!っと指を指す。

勇者「はぁっ!?何だよそれ!!てか指を指すな指を」



魔法使い「ちなみに私の集めたキノコは大体2キロくらい……だから、お兄さんには、スペルカードも更にもう一枚賭けるわ!!どう?いい話じゃない!?」


勇者「そんなこと言ってもなぁ……あんまし女の子相手に勝負すんのもなぁ……」


魔法使い「あら?こんな可愛らしい女の子と勝負するのが怖いの?とんだ意気地無しね!!」



勇者「下手な挑発だなぁ……悪いけど他を当たりな。俺はこの量で十分だから」スタッ、スタッ



勇者は、特に相手にせず、町へと歩いていく。



魔法使い「ちょ、ちょっと待ちなさいよー!!ねぇ、ちょっと……お願いだから待ってー」

緑の町付近



勇者「……中々しつこいんだな君も」


魔法使い「ハァッ、ハァッ……だって、私には何としてもお金がいるのよ……コツコツ貯めて来たお金で、新しいスペルカードを買って、この町から世界に飛び出すの!!貴方の持ってるキノコを足せば、目標金額に到達するのよ!!」



勇者「別に明日もキノコを集めにいけばいいんじゃないのか?」



魔法使い「カード屋のセールで、目当てのカードが安くなってるのよ!!
何としても、今日中に買いたいの!!だからお願ーい!!貴方の集めたキノコを頂戴!!」

勇者「もはや、勝負じゃなくて、頂戴になってるし……わかった。わかったよ!!その代わり、負けたら君のキノコとスペルカードを一枚もらうぞ?」



魔法使い「ホント!?よかったー!!お兄さん弱そうだから粘ったかいが……いや、何でもないわ。カード枚数は、3枚でいい?」


勇者「今なんかイラっとするワードが……まぁいい。なら3枚な。俺はいつでもいいぞ?」



魔法使い「それじゃあ、バトルスタート!!!」バッ!!


魔法使いは、左手に一枚のカードを出す。



勇者「早速か!?いいぜ、かかってこいよ!!」

<火玉『メラ』>




ボボボボボボボゥッ…………




カードが光ると、魔法使いの周りに拳大の大きさの火の球が複数個現れた。



魔法使い「まずは小手調べだね。火傷しない内に降参しちゃっていいかね!?」バッ!!


魔法使いが勇者に向かって指を指す。
その瞬間、魔法使いの周りの火の球が、次々に勇者へと向かっていく。




勇者「だから、人に向かって指を指すなって言ってんだろ!!」バッ!!


勇者は素早くその場を離れる。

ドドドドドドドドドッ!!!



『メラ』の火の球は、次々と地面に着弾し、小さな爆発を起こす。

勇者は素早く、その火の球を次々に躱していく。




魔法使い「おぉ!!やるねぇ、お兄さん!!ならもっとペースをあげていくよ!?」ボボボボボボボゥッ……



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!


更に球数を増した『メラ』の火の球が、勇者へと襲いかかる。


逃げる隙間の見当たらない火の球が勇者の目の前まで迫っていく。

勇者「隙間が無けりゃ、作ればいいんだよ!!」ブンッ!!!



ドォンッ!!!ドドドォンッ!!!!



勇者が銅の剣を振るい、迫ってくる火の球の一部を斬る。


火の球の群れの一部はその場で爆発し、勇者が通り抜けるほどの隙間ができた。



魔法使い「うわっ!!まさか無傷であれをくぐり抜けるなんて……」



勇者「驚いているヒマはないぜ!?」ダンッ!!


勇者が魔法使いの懐へと一気に踏み込む。



魔法使い「わっ!?」


勇者「ていっ!!」ブンッ!!!


ゴンッ!!!!!

魔法使い「いったぁぁぁぁぁぁあああああっ!!!!!」ゴロゴロゴロゴロッ!!!



勇者の銅の剣の峰部分で、頭を強く小突かれた魔法使いは、頭を抱えて、転がりながら悶絶している。



勇者「球数は多いが、一つ一つの威力が弱過ぎなんだよ。あれじゃあ、全弾当てて、ようやくスライムを倒せるくらいだぜ?」


魔法使い「ぐぉぉぉぉお……く、くそぉ!!勝負はこれからだよ!?」ヒリヒリ



頭を撫でながら、二枚目のカードを魔法使いが発動させる。

<閃光『ギラ』>



コォォォォオオッ……


魔法使い「アッハッハッハ、次のはそう簡単には避けられないわよー?」ブンッ!!!

魔法使いが思いっきり、魔力を溜めた腕を振り、目の前に閃光が走る。




勇者「あ、カード被った」つ<閃光『ギラ』>


魔法使い「えっ!?」



カッ!!


ドゴォォォォォオオオッ!!!!



二つの閃光が互いに衝突し合い、相殺される。


同じスペルカードが発動した場合、使い手の魔力や、そのカードの熟練度などで勝負が左右される。


どうやら、二人の魔力はほぼ互角のようだ。

魔法使い「ウググググッ……」ダラダラッ……

魔法使いから冷や汗が流れる。まさか、カードが被り、更には魔力や熟練度も互角とは……。


スペルカードルールでの戦いは、勝敗をつけるまで途中で逃げ出すことはできない。

逃げれば、死に至る罰が待っている。




勇者「今のでそっちは二枚目か。さぁ、最後のカードを見せてみろよ!!」


魔法使い「く……クソぉ……とっておきのカードだぁー!!喰らえぇぇぇぇえええっ!!!!!」バッ!!!


魔法使いが、半ばヤケクソ気味にカードを出す。




勇者「なっ!?」バッ!!!


勇者がそのカード名を見た瞬間、身構える。





<雷符『サンダーブレード』>

バチバチバチバチバチッ!!!!!



魔法使い「これが私の切り札だ!!!お父さんからもらったカードだからあまり頼りたくないけど、威力はピカイチのハズよ!?」


バチバチバチバチバチッ!!!!!


魔法使いの頭上に、大きな雷の剣が出現する。その力は今の勇者では計り知れない。



勇者「オイオイ……今までのスペルカードとは、全然レベルが違うじゃねーか……」



<雷符『サンダーブレード』>



その圧倒的な威力を持つ雷の大剣は、あらゆるモノを両断する。

間違っても、『メラ』や『ギラ』すら完璧には使いこなせないような者が入手できるモノではない。

魔法使い「エヘヘヘ……ほらほら、降参するなら今のウチだよ?早く降参しないと、真っ黒コゲに……ん?」



バチバチバチバチバチッ!!!!!


突如、雷の大剣の形が歪んでいく。


入手できるわけが無いと言うことは、もちろん使いこなせる訳もない。



雷の大剣が形を崩し、真下へと落ちる。



バチバチバチバチバチッ!!!!!

魔法使い「アンギャァァァァァァァアアアアアッ!!!!」バリバリバリバリッ!!!!!

バチバチバチバチバチッ!!!!!




スペルカードは入手することで、誰でも強力な能力を使うことができる。

しかし、腕があまりにも未熟な者は結局その強大な能力を使いこなすことはできず、大半が自滅するか暴走するのだ。

シュゥゥゥゥゥゥウウウッ…………



魔法使い「…………」ピクピクッ……



魔法使いは黒コゲになっている。どうやら、生きてはいるようだ。



勇者「…………」つ<癒符『ホイミ』>



ピカーッ!!


とりあえず、勇者は魔法使いを回復させた。





『勝者 勇者』

魔法使い「…………」ズーン……



勇者「さてと。とりあえず、キノコは貰っておくとして、あとは約束のスペルカードか……やっぱ貰うとしたら<雷符『サンダーブレード』>かなぁ?」



魔法使い「!?そ、それだけは……後生ですからそれだけはお許しをー!!!」ガバァッ!!



魔法使いは、勇者の足元にすがりつくようにひっつく。




勇者「オイオイ……カードを賭けるっていったのは自分だろうがよ」


魔法使い「他のカードはいいですから!!そのカードだけは!!そのカードはお父さんの形見なんですー!!」ウルウル


魔法使いは、涙目になりながら、勇者を見つめる。



魔法使い「そのカードだけがお父さんとの繋がりなんです!!だからなにとぞそれだけはー!!」



???「見つけたぞこの馬鹿娘がぁぁぁあっ!!!」


突如、怒号が二人へと聞こえてくる。

魔法使い「あ……ああ……」ガタガタ


勇者「えっと……貴方は?」



魔法使い父「あぁ!?俺はそこの馬鹿娘の父親だよ!!この馬鹿、俺の大事なスペルカードまで持って行きやがって!!」



勇者「……お父さんは死んだって聞きましたけど……そこの娘さんから」



魔法使い「あは、あはは、アハハハ……」ダラダラッ……


魔法使いから、大量の汗と苦笑いが溢れてくる。





ゴチンッ!!!!!



魔法使い父「ほら、帰るぞ馬鹿娘が。勝手に人を殺してカード持って行ってんじゃねーよ」ズルズル


魔法使い「」ズルズル


魔法使いは、父親に引き連られて帰っていった。





勇者「…………メラでいいか」







勇者は<火玉『メラ』>を手に入れた


依頼NO.1『緑の町付近の森に生えている、特産キノコをGETせよ』をクリア


報酬30ゴールド×5キロで、150ゴールド手に入れた

投下終了です。


ちなみに『サンダーブレード』はテイルズからです。エターニアしかやったことありませんが……。


モンハンっぽい設定もありますが、武具関係は、ドラゴンズドグマみたいなものです。

投下終了って今日はもうこれで終わりなのか!?そうなのか!!?

>>45
投下するとしたら23時くらいになると思いますが……投下した方いい人ー?

相手がスペルカードで攻撃→武器とかで防御→武器で攻撃はありなの?

その辺はっきりさせないと、カード以外の戦闘がOKになって曖昧になるんじゃない?
まあカード効果での峰打ちかもしれないけど('-ω-)

>>49
指摘ありがとうございます。
とりあえず、武器をつかった基本の攻撃や防御は、ドラクエとかの「たたかう」コマンドみたいなもの。
メラとかの魔法や、名前のついた技(火炎斬りみたいなの)はスペルカード使用ってことですね。

あとは、戦闘の型を変えたり(デビルメイクライのスタイル変更みたいなもの)、バトル途中の武器変更もカードですね。

アイテム使用は、カードではありません。

その辺は、後々出てくる予定です。

こんばんわ、1です。


何とか続きが書けました。

と言っても、まだチュートリアルみたいなもんですが。

人がいるか少し心配ですが、ゆっくり投下していきます。

一日目 夜




緑の町 酒場



ワイワイガヤガヤ


勇者「モグモグ……んー、美味いなココの飯は。酒は飲めないけど、これだけで通う価値はありそうだよ」



マスター「ハッハッハッ、それは嬉しいことだな。初仕事もしっかりやり遂げたみたいだし、商会の連中も、お前の顔は覚えたみたいだぜ?
あの森のこともよくわからないハズなのに、よくこれだけのキノコが取れたって驚いてたからなぁ」


勇者「あぁ……まぁそれには諸事情があってね……ところでマスター、この町の女の子で魔法使いって子を知ってるかい?」

マスター「魔法使い?あぁ、あの暴走娘のことか。あの子はこの町で一番の問題児だよ。
それと同時に、一番皆に愛されてる子だがね。知っているのかい?」


勇者「いや、ちょっと依頼の仕事中にね……愛されてる割には何かこの町を出たがってるみたいだけど?」グサッ


マスター「まぁ、あれだけ好奇心旺盛な子だ。こんな小さな町じゃ、あの子の好奇心は満足させられないのさ。
俺もあの子にこの町は小さすぎると思ってるがねぇ。あの子の父親が厳しいから中々出られないのさ」


勇者「あぁ、父親も見たよ。確かに中々怖そうな人だったけど、何をしている人なんだ?」パクッ

マスター「あの子の父親は、植物学者さ。この緑の町周辺には、他では見られない植物が数多く存在するみたいでな。
10年くらい前から、奥さんや娘と共にこの町に住んで、研究してるみたいだ」



勇者「植物学者か……その割には、物騒なスペルカードを持ってたみたいだけどな」モグモグ



マスター「植物と言っても、魔物も含まれるからな。それらに対抗する為のモノだろう。
ま、お前みたいな新米がまだ使えるようなカードじゃないさ。気にすることもない」

勇者「まぁ、目の前で自爆するところ見せつけられたからな……お、そうだそうだ。カードと言えば、今日手に入れたカードを合成してみようかな」ゴソゴソ




勇者は、手持ちのカードを全て、カウンターの上に並べた。




<閃光『ギラ』>
<召喚『勇者はスライムを呼んだ』>
<火玉『メラ』>
<癒符『ホイミ』>
<???>



マスター「んー。まぁ、どれも基本中の基本のカードだな。ん?そのカードは何だ?」

<???>


勇者「ん?おっと、これは俺のとっておきのカードさ。地道に特訓してカードに表した俺だけのカードだ。これだけは、合成もしないし、売り払うこともできないな」

マスター「ほー、それは少し興味深いな。いつか拝見したいものだ。それで、どれとどれを合成するんだ?」


勇者「んー……まぁ、手っ取り早く、今日入手したコレとコレかな?」


<召喚『勇者はスライムを呼んだ』>
<火玉『メラ』>


マスター「なるほどな。まぁ、俺は結果を知ってるから何も言えないが、試しにやる分にはちょうどいいんじゃないか?」


勇者「よーし。んじゃカードを重ねて、ていっ!!」ポンッ!!


カッ!!!

カードが光り出し、二枚のカードが一枚の新しいカードになった。





テレレレテッテテー


<召喚『勇者はスライムベスを呼んだ』>

勇者「…………ちなみに、これはどんなカード?」


マスター「文字通り、スライムベスを呼び出して、一緒に戦うのさ。
スライムベスはメラの力を宿したスライムだからな。合成の結果としては理に叶ってるだろ?」



勇者「あぁ……そのまんまだな。ちなみに、このスライムベスがカードを使うことは出来るの?」



マスター「あぁ、出来るぞ?ただし、その戦闘での規定枚数分しかスライムベスもカードを使えないし、使い終わったら消えちまう。
何より、スライムベスが居る間は、お前はもちろんカードを使えないんだ」

勇者「なるほど。俺の代わりにスライムベスが自分の能力を使う感じかな?ちなみに、スライムベスの使うカードは変更できるの?」



マスター「戦闘中は出来ないが、事前にスライムベスに装備させておけば出来るぞ。
ちなみに、お前が何か能力を覚えたらカードが表れるように、スライムベスも能力を覚えたら新しいカードが表れる。まぁ、スライムベスも強くなるってことだ」



勇者「なるほど……大体わかったよ。ありがとうなマスター。ご馳走様」


マスター「おぉ。大抵のヤツは、自分のカードに召喚を組み込んでる。まぁ、人間と戦う時はその辺を注意しな」





『一日目 終了』

2日目


緑の町 広場 朝


勇者「スライムベス……ベスでいいか。短い間かもだけど、よろしくな」


ベス「ピキー!!」


『スライムベス』

<突撃『スラ・アタック』>
<火玉『メラ』>



勇者「まぁ、『メラ』も使えるし、今の戦力としては十分かな。
さて、酒場に行くとするか。早く金を稼いで、装備を整えないとな」

酒場



マスター「お、来たか。朝からご苦労なこった」


勇者「依頼探しついでに、腹も減ったしね。何か美味しいの食わせてよ」


マスター「あいよ。作ってる間に依頼板でも見ておきな。昨日とはまた違う依頼が並んでるハズだぜ?」



勇者「どれどれ……お、これなんか手頃かもな。マスター、これ受注してもいい?」



ジュー、ジュー

マスター「今手を離せないんだ!!お前の朝飯でな!!少し待っててくれー」



勇者「あぁ、そりゃ悪かったよ。ゆっくりじっくり作ってくれ」

ガチャッ!!



魔法使い「おはよーマスター!!お腹空いたから、ハニートースト焼いといてー!!」


勢いよく、酒場の扉が開くと、昨日散々絡まれた女の子が姿を現した。


勇者「げっ!?」


マスター「たまには家で食って来な、魔法使い。先客がいるから10分待ってなー」



魔法使い「先客ぅー?そんなのほっといて私の朝飯を……あー!!!」ビシィッ!!


叫びと共に、魔法使いが勇者にビシッ!!っと指を指す。



勇者「あー、うるさい……朝からテンション高いなー君は。そして指を指すな指を」

魔法使い「貴方昨日の!!貴方でしょ!?私のカード盗ったの!!朝起きたら無くなってたのよ『メラ』が!!」


勇者「そりゃあ、昨日スペルカードルールで戦って勝ったんだからなぁ。一枚貰うのは当たり前だろ」


魔法使い「あれが無くなったら、私新しくカード作るまで『ギラ』しか使えないのよ!?その間どうやって稼げばいいのよ!!」


勇者「だったら昨日、勝負なんてせずに、地道に稼いでおけばよかったんだ。自業自得だろ?」

魔法使い「ウググ……ああ言えばfor you……」ワナワナ


勇者「for youって何だよ……何かくれんのか俺に?」


魔法使い「うるさい!!噛んだのよ!!悪い!?ちょっとマスター!!私これからどうすればいいのよー?」ビエー




マスター「はい、朝食出来上がりー」コト


勇者「おー、美味そう。いただきまーす。あ、マスターこれ依頼書ね」



魔法使い「まさかのガン無視!?もー!!何とかしてよ二人共ー!!お金稼がないとカード買えないじゃないのよー!!」ジタバタジタバタ



マスター「あーうるせぇ……だったら、この勇者と一緒にこの依頼をこなして稼げばいいじゃないか。
ちょうど、魔物絡みだから、カードもたんまり稼げるかもしれないぜ?」ペラッ






依頼NO.2『畑を荒らす魔物の群れを退治してくれ』


報酬 100ゴールド

勇者「えぇー……マジかよ……」



魔法使い「ホラそこ!!露骨に嫌な顔しない!!いいじゃない、それで行きましょうよ!!」



マスター「どうせ、一人だとこの依頼はキツイと思うぜ。相手は1体じゃないんだからな。
そういえば、1対1以外のスペルカードルールは知ってるか?」



勇者「いや、知らないな。何か違いがあるのか?」



マスター「そうか。なら魔法使い、説明してやりな。その間に俺はお前の朝飯を作る」

魔法使い「いい?相手が複数だと、カードの制限があると少数側が完全に不利になるでしょ?

だから、1対1以外の戦いでは、カードの使用数制限が無くなるの。すなわち、使用者の魔力が無くなるまでカードを使えるのよ」



勇者「ん?ていうことは、強力なカードを何回使ってもいいのか?」


魔法使い「もちろん。ただし、わかってると思うけど、強力なカードはその分魔力の消費が激しいからね。考えて使わないと、すぐにガス欠になるわよ?」

勇者「なるほどな。どちらにせよ、カードの種類と使うタイミングが重要になるわけか。全くめんどくさいもんだな」


魔法使い「まぁ、そのお陰で、人間が魔物達に抵抗できてるんだから文句は言えないわよ。
大魔王の暇つぶしって言うけど、実際このルールのお陰で人間と魔物の均衡が取れてるのよね」


コトッ……

マスター「ほらよ、ハニートーストだ。さっさと食って、パパッと依頼をこなしてきな。
どちらにせよ、お前らより向こうの方が数が多いんだ、不利なのは変わらない。しっかりエネルギー蓄えていけよ」



魔法使い「お、いただきまーす。んー、やっぱり朝はこれよねこれ」モグモグ



勇者「今のうちに逃げたら駄目かなマスター?」


マスター「諦めな。この子に絡まれたのが運の尽きってこった」

投下終了です。


これで、ある程度このSSのスペルカードルールの説明が出来たかと。

次からがっつりバトル行きたいですね。


それではおやすみなさい。

>>59
勇者「スライムベス……ベスでいいか。短い間かもだけど、よろしくな」

ベス「(よろしく)ニキーwwwwwwww」

に見えた俺は重症


魔翌力はMPってこと?

おはようございます。1です。

時間が出来たので、時間の許す限り投下しておきます。


>>68
元ネタがわからない……
>>69
だいたいそんな感じですね。

緑の町 田園地帯


勇者「おー。町の近くにこんな広い畑があったんだな。ここで町に出回ってる野菜とかを作ってんのか?」


魔法使い「それもあるけど、他の村や町への交易用に使われてるのもあるわね。

他の村や町の品物と交換して、町でその品物を売ったり……この町周辺は、珍しい植物もあるから結構高値がつくのよ?」



勇者「へぇー。中々詳しいじゃないか」


魔法使い「あれ?マスターから聞いてないの?私のお父さんは植物学者だって。

小さい頃から、お父さんと一緒に研究を手伝ったりしてたから、少しはそういう知識もあるのよ」

勇者「そういえば、そんな話もしてたなぁ。いいじゃないか、植物学者。闘いよりも、よっぽど似合ってると思うぞ?」


魔法使い「やめてよそういうの。まぁ、仮に植物学者になるとしても、どちらにせよ私はこの町を出て、世界中を飛び回る植物学者になるけどね。
もっと色々な世界を見てみたいんだもん。とてもこの町だけで人生を終わらせる気にはなれないわ」



勇者「まぁ、好きにするがいいさ。君の人生だ。それならば、まずは自分の力を磨かないとな。
昨日のあの有様じゃあ、スライム2、3匹に囲まれただけでゲームオーバーだ」


魔法使い「うるさいわねー。大丈夫よ!!今からカードを稼ぎまくって、ドンドン強くなってみせるんだから。

ほら、あそこに居るのが、恐らく依頼の魔物の群れよ。早く片付けてしまいましょ」

アルミラージ「ガルルルッ……」

キャタピラー「ギーッ!!ギーッ!!」

おばけきのこ「グルルルッ……」

おおきづち「…………」




田園地帯の1区画。そこには、様々な種類の魔物達が、群れを作って田畑を荒らし回っていた。



勇者「おーおー、いっぱいいるなぁ。俺のいた村周辺じゃあお目にかかれない魔物ばっかりだ。こりゃあ、かなり稼げそうだな」


魔法使い「うわぁ……こいつら全員、結構手強いわよ?大丈夫なの?貴方」


勇者「大丈夫大丈夫。一応、とっておきも用意してるからな。……ん?何か魔物達の上に、数字が見えるんだが」

アルミラージ <2>

キャタピラー<3>

おばけきのこ<2>

おおきづち<3>


魔法使い「あぁ、あれが相手の提示しているカード数よ。使用限界は無くても、一応枚数は提示できるようになってるの。便利よねーホント」


勇者「あぁ、ホントにな。親切設定過ぎる気がするが、まぁ気のせいだろ。じゃあ、俺は3枚で。君は?」


魔法使い「私は2枚よ……さっきカード屋で、急遽、全財産使って用意したカードがあるからね。それ使って思いっきり暴れてやるわよ!!」ダッ!!!


勇者「そりゃあ頼もしいことで!!じゃあ行くか!!」ダッ!!!



勇者と魔法使いが、魔物の群れに向かって走り出す。

キャタピラー「ギーッ!!!」

芋虫の魔物、キャタピラーの口から、カードが飛び出す。



<縛符『白糸縛り』>


ビュンッ!!!

それと同時にキャタピラーの口から大量に、粘着性の強い糸の塊のようなモノが、勇者達に吐き出された。



勇者「おわっと!?」サッ!!

魔法使い「きゃっ!!」ベチャッ!!


勇者は避けることが出来たが、魔法使いは足に糸の塊がくっついた。

ズルッ!!

魔法使い「フギャッ!!」ドテッ!!

そして、足の自由が効かなくなった彼女は、そのままその場で転倒する。


勇者「さっそく何やってんだバカッ!!」

魔法使い「う、うるさいうるさい!!」






<力符『力を溜めている』>


アルミラージ「グルルルッ……」グググッ……

ウサギに角が生えたような魔物、アルミラージは、今の内にじっくりと身構え力を溜めているようだ。

魔法使い「私のは別に、動けなくても使えるカードだもん!!まずはこれを喰らえぇぇっ!!!」バッ!!


<閃光『ギラ』>



カッ!!!

ドォォォォオオッ!!!


魔法使いの手から、魔物の群れに閃光が走る。


魔法使い「まだまだァッ!!更に連射ァァァァアアア!!!」


ドォォォォオオッ!!!ドドドドドッ!!!!


おばけきのこ「ギャァァァァアアアッ!!!」ゴォォォオオッ!!!


キノコの魔物であるおばけきのこが、閃光の熱により、燃えながら倒れていくのが見えた。


残る魔物は3体。

勇者「ちょっ、ちょっと待て!!やり過ぎだ馬鹿!!」


次々に魔法使いから放たれる閃光により、辺り一面が焼け野原と化す。
その被害は、田畑の方にも少し及んでいる。


魔法使い「おっと、危ない危ない……って勇者さん!?危ないよ!!上上!!」

勇者「ん?うぉっ!!」


勇者が上を見上げると、大きな木槌を持った小人のような魔物、おおきづちが、高く飛び上がり、勇者の頭上にいた。





<打符『会心の一撃』>


おおきづち「…………」ギュォォォォオオッ!!


おおきづちは、落下しながら大きな木槌を思いっきり振りかざしている。

勇者「くるか!?そんだけ大きなモーションなんだ!!簡単に避けて」




<縛符『白糸縛り』>


キャタピラー「ギーッ!!」ビュンッ!!


ベチャアッ!!!


勇者の足に、キャタピラーの吐いた糸が絡みつく。


勇者「うわっ!?え?ちょ、ちょっと……」グッ!!


勇者の足は、粘着性の糸によって、思い通りに動かない。

頭上からはおおきづちが、デカイ一撃を狙っている。


魔法使い「何やってんですか勇者さん!!」

勇者「クッ!!君が言うか!?」バッ!!


勇者が剣を前に構え、防御の体勢をとる。

おおきづち「……ッ!!」ブンッ!!

おおきづちが、勇者に会心の一撃を振り下ろす。


ドゴォォォォォオオオオッ!!!!


勇者「ガァッ……」


勇者は大きな木槌によって、地面に叩きつけられる。どうやら防御は崩されてしまったようだ。




アルミラージ「グルルルッ……」グググッ……

アルミラージが、口にカードを咥えている。




<体技『角で突き上げる』>



ドォンッ!!!


次の瞬間、勢いよくアルミラージが、勇者へと突進していく。

魔法使い「勇者さん!!くっ!!」バッ!!

魔法使いが、地面に叩きつけられた勇者を援護しようと、残るもう一枚のカードを手にとる。


勇者「…………」スッ……

しかし、勇者が地面にへばりついた状態で、カードを手にとる。



<閃光『ギラ』>




カッ!!!

ドォォォォォォォオオッ!!!!!


アルミラージ「ギャンッ!!!」ズザァァアッ!!!


カウンターのように、突進してくるアルミラージへと、勇者の発動したギラの閃光がモロに命中する。

アルミラージは、そのままグッタリとして動けないようだ。

残る魔物は2体。

魔法使い「よっと、やっと糸が取れた……勇者さん!!大丈夫ですか!?」ユサユサ


勇者「大丈夫だから、揺らさないでくれ……頭が凄ぇ痛い……」グッタリ……



どうやら、一回カードを発動させるのが精一杯だったようだ。勇者は未だに地面にへばりついている。


回復にはもう少し時間がいるようだ。



キャタピラー「スゥゥゥゥゥッ……」

キャタピラーが息を大きく吸い込んでいる。そして、ピタッと息を止めた瞬間、カードが発動する。





<炎符『火炎の息』>

キャタピラー「ブゥゥゥゥゥウウッ!!!」ゴォォォォォオオオオオッ!!!!!



キャタピラーが溜め込んだ息を吐き出すと、辺り一面が炎に包まれていく。


そして、その炎は勇者と魔法使いに迫ってくる。



魔法使い「クッ……使うしかないか!!」バッ!!


魔法使いが2枚目のカードを発動させる。





<爆符『イオ』>




ブゥゥゥゥゥウウンッ……


カードを発動させると、魔法使いの前に、人の頭ほどの大きさの光球が出現する。


その先には、キャタピラーの火炎の息が迫っている。

魔法使い「弾けろぉぉぉおおっ!!!」グッ!!



カッ!!!

ドゴォォォォォオオオオッ!!!!!



魔法使いが力を込めた瞬間、光球が破裂し、周囲に爆風が広がる。

その爆風によって、キャタピラーの火炎の息は、魔法使い達には届かず、拡散して行った。



魔法使い「ハァッ、ハァッ、危なかった……もー、せっかくの切り札使っちゃったよ」


今回の闘いは、1対1では無いので、カード自体の回数制限はない。

しかし、カードの種類数は相手にも知られているので、やはり切り札を知られるのはよろしくは無いのだ。



しかし、それは向こうも同じこと。

キャタピラー「ギ、ギーッ!!!」アセアセ


キャタピラーは、自身の切り札である火炎の息を防がれ戸惑っている。

更に、強力なカードを連発することで、魔力も切れたようだ。もはや、キャタピラーは通常の攻防しか出来ない。


魔法使い「って言っても、私も半分くらいしか魔力残ってないんですけどね……どうしよっかなぁ……」







<力符『力を溜めている』>


おおきづち「…………」グググッ!!!




魔法使いが悩んでいる間に、おおきづちがじっくり力を溜めている。

魔法使い「あ、ヤバッ!?見たところ、一番厄介なのがあの木槌の魔物よね……勇者さんもやられちゃったし」


勇者「誰がやられたんだ誰が」


背後には、いつの間にか、勇者が立ち上がっている。



魔法使い「うぉっと!!ビックリしたぁ……いつの間に復活したんですか勇者さん」


勇者「さっき『ホイミ』のカードを使ったんだよ。まだあちこち痛いけど、まぁ何とかなりそうだ。
それより、残りは実質あの木槌の魔物だけか?」


魔法使い「えぇ……とっとと倒して早く町に帰りましょう。疲れちゃいましたよ私」

<投技『ハンマー投げ』>



おおきづち「…………」グルグルグルグルッ!!!



力を溜めていたおおきづちが、勢いよく回り始める。
カードの文字通り、こちらに木槌を投げつけてくるつもりなのだろう。



勇者「そうだな……あとは俺がやるよ。ちょっと面白いカードを見せてやる」スッ……


勇者が一枚のカードを手にとる。





グルグルグルグルグルグルグルグルッ


おおきづち「ッ!!!!」ブゥンッ!!!

ギュォォォォオオオオオオッ!!!!!


グルグル回っていたおおきづちが、勢いよく木槌を放り投げる。

木槌は真っ直ぐ、勇者へと凄まじい勢いで飛んでいく。当たれば大ダメージはまず間違いないだろう。

勇者「いくぜ…………」ピンッ!!



勇者が手にしたカードを宙に指で弾く。
そして、自身の鞘に収めている剣の柄を握る。



そのカードの名は……



<剣技『ギガスラッシュ』>






シュンッ!!!

キンッ!!

勇者「…………」



勇者が、一瞬で剣を振り抜き、再び鞘に収める。

グシャァァァァァァアアアアッ!!!!!



次の瞬間、高速の抜剣による真空波が、飛んでくる木槌を、粉々に破壊した。





魔法使い「…………うわぁお……凄いね今のは……」

魔法使いは、勇者の放った技に、ただただ驚いている。


おおきづちも、自身の武器を砕かれオロオロしている。
どうやら勝負あったようだ。



勇者「……悪い、魔法使い。トドメはよろしく頼む」

魔法使い「へ?い、いいけど何で?」

勇者「さっきの技で、右手がズタズタになっちまった。まだまだ修行不足だな」ベチャアッ……


そう言って勇者は、剣を握っていた血まみれの右手を魔法使いに見せる。



魔法使い「うぇ……女の子にそんなの見せないでよヤダなぁ……しょうがない。そんじゃあ、そろそろ終わりにしようか」スッ……




<爆符『イオ』>









依頼NO.2『畑を荒らす魔物の群れを退治してくれ』


報酬 100ゴールド獲得





獲得カード


<力符『力を溜めている』>
<炎符『火炎の息』>
<打符『会心の一撃』>→<剣技『魔神斬り』>
<毒符『毒の息』>(おばけきのこから)

投下終了です。


大体バトルはこんな感じです。


夜にこれたら、また来ますね。

こんばんわ、1です。


いまいち書くのが進みそうに無いので、先にカード合成の安価をやってみたいと思います。


<閃光『ギラ』>
<爆符『イオ』>
<炎符『火炎の息』>
<剣技『魔神斬り』>
<毒符『毒の息』>
<力符『力を溜めている』>


この中から、好きな組み合わせで2枚を組み合わせてください。
それにあったカードが出来ます。

あと、どっちのカードを核にするかで、少し変わりますので、どちらを核にするのも書いてください。

早いもの順で>>94の方にします。

<剣技『魔神斬り』>+<力符『力を溜めている』>

>>94
回答ありがとうございます。


<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>が生まれました。
効果は、今日中に投下します。

2日目 昼


緑の町 酒場




ワイワイガヤガヤ


バタンッ!!


魔法使い「ただいまー!!あー疲れた疲れたー。マスター、ランチ作ってよ」


マスター「お、帰ってきやがったな二人とも。どうだ?依頼は上手く言ったのか?」


勇者「まぁ何とか……結構ギリギリだった気はするけどね」スッ……


勇者が、包帯でグルグル巻きにされた右手を、酒場のマスターに見せる。



マスター「おっと、どうやら苦戦したみたいだな。まぁ、始めは皆そんなもんだ」

魔法使い「ホント、私が居なかったらどうなってたことやら。勇者さん油断し過ぎなのよねー」


勇者「初っ端から派手にズッコケてたのはどこのどいつだよ……。まぁ、確かに今回は君が居てくれて助かったけどな」



魔法使い「お、素直だねー。素直なのはいいコトだよ?てか案外いいコンビだったよね私達。どうよ?旅のお供に美少女はいかが?

あ、勘違いしないでよねー?もし変なことしたら、速攻でイオをぶっ放すから」


勇者「悪いが自分で自分の事を美少女と言う女の子は趣味じゃないんだよ。他を当たってくれ。あ、マスター俺にも何か適当に昼飯を一つ」


マスター「あいよー」


魔法使い「くっ……何か知らないけど負けた気分に……」グスッ……

魔法使い「あ。そう言えば、勇者さん。報酬の分け方なんだけどさー。とりあえず、お金は50ゴールドずつで、カードは全部私が貰っていい?」


勇者「ふざけろよ馬鹿娘。こっちだってカードは必要なの!!
とりあえず、自分に合いそうなカードを分けていけばいいんじゃないか?」


魔法使い「むー……ケチな男はモテないよ勇者さん。まぁ、私は心の広い女の子だから、その案にしてあげるけどね!!」



勇者「……マスター……」


マスター「諦めろ。こーいう子なんだよその子は」

<炎符『火炎の息』>
<剣技『魔神斬り』>
<毒符『毒の息』>
<力符『力を溜めている』>



魔法使い「んー……このままで私が使いこなせそうなのは無いみたいだねー」


勇者「そうか?この火炎の息なんか使えそうじゃないか。ちょっと外で試してきなよ」


魔法使い「ん?そう?じゃあちょっと試してくるねー」タッ、タッ、タッ


バタンッ!!

魔法使いは、足早に酒場から出て行った。


勇者「……冗談のつもりだったのに……」

マスター「あれがあの子の人に好かれるトコロさ。馬鹿がつくほど純粋なんだ」

ゴォォォォォオオオオオッ!!!

『熱っつぅぅぅうっ!!!!!口の周り熱ぅぅぅぅうっ!!!!!』



店の外から、魔法使いの絶叫が聞こえてきた。
どうやら、カードの発動に失敗したようだ。




勇者「……どうやら、彼女には合わなかったみたいだな」

マスター「そのようだ。まぁ、これも一つの経験だろうよ」


酒場の中で、男2人は遠い目をしていた。

プスプスプス……

魔法使い「とりあえず、このままじゃ私達には使えないから、合成しましょうか」


勇者「そうだな。それが一番よさそうだ。君から好きなカードで合成してみたらいいよ」


プスプスプス…

魔法使い「ありがとう。優しいんだね、勇者さん」


勇者「(流石に罪悪感が湧くよな……)」




魔法使い「んー……じゃあコレとコレかな?」


<閃光『ギラ』>
<炎符『火炎の息』>

マスター「なるほどな。俺はこれなら見たことがあるよ。まぁ、悪いようにはならんから、安心しな」



魔法使い「よーし!!そんじゃあ、ほいっ!!」ポンッ!!

カッ!!!



二枚のカードが重なり合い、一枚のカードになる。




テレテレテッテッテー


<閃光『ベギラマ』>

魔法使い「おぉ……何かちょっといいんじゃないのコレ?」


勇者「ベギラマか。ギラの上位だから、魔法使いでも使いこなせるんじゃないか?」


魔法使い「いいねいいねぇー!!じゃ、これは私が貰うね。そんじゃあ、残りは勇者さんにプレゼント!!」



勇者「次は俺の番か。んー……俺も合成するかな。これとこれなんかいいんじゃないかな?」


<剣技『魔神斬り』>
<力符『力を溜めている』>


マスター「お、この組み合わせは俺もわからないな。試してみたらどうだ?どうなるかはわからんがな」



勇者「そんじゃあ、ほいっと!!」ポンッ!!!

テーテレッ、テッテッテッ、テテテテテテ
テレテレテッテッテー、テテテテー



<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>




勇者「…………何か、他のカードと違う感じがするんだが」


マスター「おぉ……こいつはちょっとレアなカードだな。他のカードと違って、カードの名前が特殊だろ?」


魔法使い「そうだねぇ。何か言葉みたいになってるし、カードの種類みたいなのも書いてないし」<閃光←コレ『ベギラマ』>

マスター「そういうカードは、例外無くレアだ。まず、普通の魔物からは取れないな。

効果も他より強力なヤツからクセのあるヤツまで様々でな。
まぁ、試しに使って見るのが一番だ。ただし、町の中でやるなよ?予想もつかないことになるかもしれないからな」


勇者「なるほどな……じゃあ早速使ってくるよ。帰ってくるまでに、昼飯はとっておいてくれ」


魔法使い「あ、私も行くよ!!興味あるしね!!」

町の外


勇者「さぁて……そんじゃあ、いっちょやってみるか。魔法使い。ちゃんと離れてろよ?」


魔法使い「もうとっくに離れてるよー!!」フリフリ


勇者「よし……そんじゃあ、発動だ!!」バッ!!



<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>






コォォォォォォォォオオッ…………


勇者「…………あれ?」コォォォオオッ……


カードが発動すると、勇者の身体に、赤いオーラのようなものが纏わりついていた。

魔法使い「ん?どうしたの?失敗?」


勇者「いや、そんな感じは……当たるも八卦、当たらぬも八卦か。
攻撃のことを言ってるとしたら、適当にその辺攻撃してみたら、どうなんのかな?」チャキッ



勇者は、銅の剣を構える。


勇者「グッ!?な、何かいつもより剣がちょっと……いや、相当重いぞ!?何だこりゃあ!!」ヨロヨロッ……ブンッ!!


そして、フラついた身体で、適当に剣をその辺の岩に当ててみる。



次の瞬間




ドゴォォォォォオオオオッ!!!!!!



勇者「ウォォォォオオオオッ!?」ビクゥッ!!

魔法使い「エェェェェェエッ!?」ビクゥッ!!



軽く剣を当てた岩が、何故か凄まじい勢いで、粉々に砕け散った。

魔法使い「え?何今の?もしかして、さっきのカードの力?」



勇者「多分そうだろうな……上手く攻撃が出来ない代わりに、威力がとてつもなく上がる力ってところか?
しかしクセが強いなんてレベルじゃねーぞコレは。隙だらけで簡単に躱されそうだしな」コォォォオオッ……



魔法使い「まだオーラが消えてないね……ひょっとして、カードの攻撃も効果あんのかな?」



勇者「気になるな……試しに使ってみるか」バッ!!



<閃光『ギラ』>

ギュォォォォオオオオオオオオッ!!!!!


勇者「ウォォォオオオオッ!!!ま、魔力が強過ぎて制御が……」ギュォォォォオオオオオオオオッ!!!!!



ギラを発動させた勇者の右手には、通常とは比べものにならないほどの魔力が渦巻いている。

それは、あまりにも強過ぎて、勇者の制御が効かないほどである。



勇者「だ、ダメだ……暴発する……オワァッ!!!」ドォンッ!!!


勇者の右手から、強大な魔力が放出される。




カッ!!!!!

魔法使い「……へ?」


その魔力の塊は、魔法使いのすぐ側に着弾する。

ドォォォォォォォォォォオオオオオオオオッ!!!!!!



魔法使い「ギャァァァァァァァアアアアアアアッ!!!!!」




次の瞬間、着弾地点周辺が閃光の光に包まれ、辺りに爆炎が広がる。

そして、それに魔法使いもしっかり巻き込まれていた。




勇者「なるほど。カードの力だと、上手く操れなくなるんだな。まさしく、当たるも八卦、当たらぬも八卦ってヤツだ。

完全に使いこなすのは無理なんだろうが、十分切り札になりそうだな」


勇者は、満足気にカードを懐にしまった。




魔法使い「ガッ……ゆ、勇者さん……ヘルプ……ミー……」プルプルッ……



数分後、町まで担がれた魔法使いは、勇者のホイミによって、直ぐにランチを食べられるくらいには回復した。

零距離で使えば問題無さそうね

投下終了です。

とりあえず、カードが複数溜まったら、合成安価をちょくちょく出したいと思います。

合成結果は、出来るだけ利にかなったモノにしますので、ご了承を。


一気にレス減ったけどコレ見てる人いるのかな?それではおやすみなさい。

>>112
見てる方いましたね。ありがとうございます!!!

いちいち見てる人いるのかな?とか書かずに淡々と進めてほしい

乙乙
カード合成安価良いよ良いよ〜


次の合成安価が楽しみだ

召喚系とスキル系を混ぜたらどうなるのかが気になる

見てるから安心してくれ

行動安価はあんま好きじゃないけど、こういうのは面白いね

ROM専の人も居るだろうから、あんまり気にせず続けて

二枚以上の合成や同種のカード同士の合成は出来るんだろうか

こんばんわ、1です。
今日もゆったりと投下していきます。

見てくれてた人がいてよかったです。継続して投下できるように頑張ります。


>>115
申し訳ない。見てくれる人がいるのもわかったので、淡々とは無理ですがちゃんとしたモノを投下したいです。


>>116
>>117
>>118
>>121
合成安価好評でよかったです。
二枚以上は物語が続けばやってみたいですね。

ちなみに、同種は基本、単純な強化です。ギラIIみたいな。
III同士を合わせると、ベギラマになるみたいな感じにします。


>>119
ありがとうございます!!!励みになります!!
>>120
とりあえず、これだけの人が見てると判れば、大満足です。

緑の町 スペルカード屋



<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>




カード屋「このカードなら、今の買値は200ゴールドってところかな。少し多めに見積もって」


勇者「そんなもんなのか?レアって言うから、結構な価値のあるモノだと思ったが」


カード屋「まぁ、一言でレアって言っても何段階もあるからな。入手難易度ってもんがあって、FからSSSまでランクが設定されているんだ。
例えば、ギラならF、ベギラマならEってな。ちなみにこれは、Dランクってところだ。
旅を始めたてのヤツが持つには上等なモンだぜ?このカードは」

勇者「なるほど。確かに、入手方法なんて、おおきづち倒しまくればいくらでも材料のカードは集められるからな。難易度は一般的に見ればそう高いモノではないのか。

ありがとう、勉強になったよ。ところで、今この店で、一番値の張るカードはなんだ?」



カード屋「お?買ってくれるのかい?<迅雷『ライディン』>ってカードだ。ランクはB。お値段はなんと、7,800ゴールドだ!!どうだ?ローンも組めるから、買っていくかい?」


勇者「いや……やめておくよ。二ヶ月くらいキノコを取り続けなきゃならないからな……」

酒場 夕方


バタンッ!!


魔法使い「あ、戻ってきた。で、どうだった?どうだった?結構いい値がついた?」


勇者「200ゴールドってところらしい。俺らが一日で稼ぐ金くらいの値段だな。まぁ、売る気はないが」


魔法使い「何だー、そんなもんかー。レアって言うからせめて500ゴールドくらいはいくと思ったのになー。
あ、でもさ?おおきづちを倒しまくって、合成しまくれば、いい小遣い稼ぎになるんじゃない?」


勇者「その方法はどうか聞いて見たけど、ドンドン売値が下がるぞ?って言われたよ。需要と供給の関係ってヤツだ」

魔法使い「そっかー。やっぱりそう上手い話はないんだねー。ま、地道に稼いで行こうよ、相棒さん!!」ポンッ


勇者「そうだな……ってアレ?相棒?」


魔法使い「そうだよ!!私と勇者さんはもう立派なコンビだよ!!パートナーだよ!!ブラザーだよ兄妹!!!」グッ!!

魔法使いは、満面の笑みで勇者に親指を立てる。



勇者「えぇー……まぁ、今回で意外に頼りになることはわかったけどなぁ。危なっかしいが。
でも君の場合、親父さんが旅に出ることを許さないんじゃないか?」

魔法使い「大丈夫大丈夫。そんなもん、勝手に出て行くか、勇者さんがお父さんに、『娘さんを僕にください!!』って言いにいけば問題ないよ!!」



勇者「どちらの案も問題だらけだよ馬鹿娘。後者なんざ、俺が半殺しにされてしまうっての!!

まぁ、どうしても旅に出たいんなら、お父さんを説得することだな。
俺はしばらくこの町にいるし、この町周辺でお父さんのカードを借りずに、自分の力で稼ぐだけなら問題ないんだろ?」



魔法使い「説得か……やだなぁ、ダルいなぁ……」


勇者「へぇ……君にとって、旅に出ることは、その程度の覚悟だったんだな。それなら出れなくても仕方ないな」

魔法使い「ッ!!ち、違うよ!!わかった!!絶対説得して見せるから!!それまでこの町から離れないでよね!?」ダッ!!

バタンッ!!


魔法使いは、もの凄い勢いで、酒場から父親の元へと走っていった。


マスター「いいのかい勇者?あの子も旅に連れていくのか?」


勇者「あの親父さんを説得するのは、至難の技だろ。出来ないなら仕方ない。
出来たのならば、それはあの子が頑張ったからだ。それを無下にする気はないよ」


マスター「ほぅ。若いのに、中々しっかりした考えを持ってやがる。まぁ、もし同行することになったらあの子を頼むよ」


勇者「任されてもなぁ……あの子は俺の手には負えない気がするが」








2日目終了


所持金 150ゴールド

入手カード

勇者
<毒符『毒の息』>
<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>

魔法使い
<閃光『ベギラマ』>

3日目

宿屋 朝


ペリペリペリペリッ……


勇者「イテテテ……うん、もう大分治ってきてるみたいだな。
やっぱ薬草を直接傷口に染み込ませて包帯巻くだけで、大分治りが早いな」


勇者は昨日の戦いで、ギガスラッシュをつかった反動で傷ついた右手の治療を行っていた。

厳しい修行の末に、自ら編み出した、神速の剣。
その余りのスピードと威力に、直接当てずとも、衝撃波だけで、敵にダメージを与えることが出来る。


しかし、まだまだ未熟な為、3回に1回は反動で、こうして剣の持ち手が傷だらけになるのだ。


勇者「まだまだ威力もこんなもんじゃ無いはずだしな……もっと強くならなきゃいけないな」スッ……


勇者は包帯を変え、部屋を出る準備を行う。



勇者「ん?……ゲッ!!俺の銅の剣が……」

酒場 朝


ワイワイガヤガヤ


勇者「そういえばマスター。ちょっと聞きたいことがあるんだが」


マスター「ん?何だ?」


勇者は、手持ちの銅の剣をマスターに見せる。


マスター「おぉ……ヒビが入っちまってるなこりゃ。修理に出したとしても、もう長くは持たねぇだろうよ」


勇者「そうだろうなぁ……ちなみに、俺の手持ちの150ゴールドで、何かいい武器は買えるかい?」


マスター「無理だな。同じ銅の剣も買えやしねぇ」



勇者「だよなぁ……あぁ……どうしようこれから暫く……」

マスター「とりあえず、武器屋にいって見たらどうだ?金が無いなら無いなりの方法があるかもしれないからなぁ」


勇者「そうだな、行ってくるよ。……あれ?そういえば今日は魔法使いは?」


勇者がふと酒場を見回すと、魔法使いの姿が見当たらない。飯時には、酒場にいそうな子なのに。


マスター「あぁ、あの子は今日は親父さんの手伝いで、植物の採取を手伝ってるハズだ。

昨日の夜にあの子がここに来てな。
親父さんは、旅に断固反対って訳じゃ無いらしいが、自分の目で大丈夫と判断してからだという話だそうだ。
まぁ、その為に、しばらくはちょくちょく手伝いに回るんだとさ」



勇者「なるほどな。まぁ、なんとか前進はしてるわけだ。じゃあ、俺はその間に武器を新しいのにしておこうかな」

武器防具屋


店主「あら、いらっしゃい。最近町にやってきた坊やだね?私んとこの商品を買いたいのかい?」


武器屋の窓口には、20代半ばほどの、女性が立っていた。はっきりいって美人だ。


勇者「女の人で武器屋の店主か……自分で鍛治をしたりしてるのか?」


店主「おや?女だからって馬鹿にしちゃいけないよ?小さい頃から親父に鍛治を叩き込まれてんだ。品質は保証するよ?」


勇者「いや、そう言うわけじゃ……まぁいいか。ちょっと相談があるんだが」

カクカクシカジカ


店主「なるほどねぇ……流石に、金で買うとしたら、150ゴールドじゃあ厳しいな。武器素材は持ってんのかい?
銅の剣くらいなら、素材さえくれれば初回サービスで、特別に100でやってもいいが」


勇者「まだ、旅を始めたばっかだからな。あまり、素材集めとかはやってないんだ。それに、どうせなら銅の剣より、一つ上の武器が欲しいからな」


店主「中々欲張りな坊やだねぇ。まぁ、嫌いじゃないが。
そうだねぇ……少し危険かもしれないが、鉄の剣が手に入る依頼をあげようか?」つ依頼書



銅の剣の、文字通り一つ上のランクの武器である鉄の剣。
一般的な冒険者が装備している、基本的な武器である。



勇者「鉄の剣か。手に入るのならば、願ってもないことだな。やっぱり、旅を続けるには、銅の剣じゃ心許ないからね。どれどれ……」ペラッ……






依頼NO.3『夕暮れの森にさまよえる兵士を永遠に眠らせよ』


場所
緑の町付近の森 戦士達の古戦場


報酬
刃の欠けた兵士の剣
100ゴールド





勇者「魔物退治の依頼か。場所は一昨日、キノコ集めをした森……ん?この刃の欠けた兵士の剣って何だ?」



店主「それは、その魔物が装備している剣のことさ。要するに、その剣が、鉄の剣の素材になるのさ。
アンタは剣の素材を取ってきて、私がそれをアンタの扱える剣に鍛え直す。そして、その料金は100ゴールド。

要は、この依頼をやることで、通常価格800ゴールドの鉄の剣が手に入るんだ。どうだ?お買い得だろ?」

勇者「なるほど……要は、800ゴールド相当の依頼か。かなり手強い魔物になりそうだな……」ゴクリッ……


店主「通常の800ゴールド相当の依頼よりかはいくらか簡単だよ。報酬の使い道が限定されるからね。
それじゃ、頑張ってきなー。精々、死なないようにね」フリフリ


勇者「完全に他人事だな……まぁ、これくらいクリア出来ないなら、鉄の剣を手に入れる資格はないってことか。やってみるかな」

投下終了です。

次回はバトルをお届けします。

こんばんわ、1です。


久々の投下ですが、よろしくお願いします。

緑の町付近の森 夕方


勇者が緑の町を訪れて、一番最初の依頼を行った森。
その時と同じように、森の中には、キノコを集めている人達がチラホラと目に止まる。



勇者「一昨日来た時には、そんなに強そうな魔物は見なかったけどなぁ。少し、探し回ってみようか。まだまだこの森を探索しきっていないしな」


比較的広めの森の中を、勇者が探索していく。
キノコ集めで森の中を回っていた時は、町に近い場所で集めていたが、まだまだ森は奥深くまで続いている。


ザッ、ザッ、ザッ

勇者「……お、何か広いところに出たな。……何だここは?」

森の深部 戦士達の古戦場



森の中を突き進む勇者の目に、木々に囲まれた、ポカンと開けた空間が現れた。

そしてその空間には、過去に戦いがあったのか、朽ち果てた剣や鎧が、数多く至る所に置かれていた。
死体が見当たらないことから、既に魔物に喰われているのだろう。


勇者「人と人とが戦ったのか、魔物と戦ったのか……どちらにせよ、戦いに負けて死ねば、身包みは剥がされ、魔物の腹の中か。
俺もこうならないように気をつけないといけないな」




ガシャンッ……ガシャンッ……



ふと、近くから重い鎧を着た人間が、歩いているような足音が聞こえてきた。

勇者「足音?……誰かこの辺にいるのか?」ザッ、ザッ、ザッ

勇者が足音の聞こえた方向へと歩いていく。




ザッ、ザッ、ザッ、ザッ


勇者「確かこの辺りから聞こえてきたような……アイツか」ザッ!!


森の開けた道を歩いていく勇者の前に、一本の大木が現れる。
年季の入った中々太く逞しい大木だ。

そして、その大木に寄りかかるように、座り込んでいる鎧を着た人物を見つける。


……正確には、その鎧の中身は空っぽなのだが。





勇者「さまようよろいか……戦いで死んだ兵士の魂が鎧に宿り、魔物として生まれ変わったモノ。あれが今回の依頼のターゲットなのか」



さまようよろい「…………」ガシャッ……


勇者の姿を確認したのか、大木の側に座り込んでいたさまようよろいが、腰をあげて手に持つ剣と盾を構える。

勇者「向こうもやる気満々だな……カードの枚数を決めな!!お前の枚数に俺も合わせてやる。全力で戦って、この世に未練なんざ残さないようにな!!」


勇者がさまようよろいに檄を飛ばすと、さまようよろいは3枚のカードを提示する。


勇者「3枚か……なら俺は、この3枚で行くかな。ちなみにこの勝負、3枚全てのカードを賭けてもらう。
俺に負けたら、お前の魂は、おとなしく天に帰るんだ。別に問題ないだろ?」


さまようよろい「ッ!?…………」コクンッ


さまようよろいは一緒驚いたような動きをしたが、どうやら了承したようだ。



『勇者の選んだカード』


<剣技『ギガスラッシュ』>
<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>
<召喚『勇者はスライムベスを呼んだ』>




『バトルスタート』

勇者「もし負けたら俺のカードも取られるがな……だが折角格上の相手とやるんだ。それくらいの報酬がなければやってられないさ」チャキッ


勇者は銅の剣を構える。
柄を握る右手は、もう殆ど怪我は完治している。切り札のギガスラッシュも何とか使えそうだ。



さまようよろい「…………」チャキッ


さまようよろいが、剣を構える。その傍には、一枚目のカードがさっそく発動している。




<剣技『疾風突き』>






フッ……


次の瞬間、さまようよろいの姿が消える。

そして、いつの間にか、勇者の懐に入り込んでいた。

勇者「な!?速っ……」バッ!!

さまようよろい「ッ!!」シュッ!!


さまようよろいの剣が、勇者へと真っ直ぐ突き進む。




ガキィィィィィィイイインッ!!!





勇者「クッ……重そうな鎧着てる割には速いじゃねーか……」ギチギチッ……

ギギギギギギッ!!!

さまようよろい「…………」ギチギチッ……


さまようよろいが放った、凄まじい速さの突進剣『疾風突き』は、勇者の銅の剣によって、ギリギリのところで受け止められた。

2人は互いに一歩も退かず、互角に剣を競り合っている。

勇者「ウォォォォオオオオッ!!!」


ギィンッ!!ギィンッ!!ギィンッ!!ギィンッ!!!


さまようよろい「ッ!!!」




そのままカードの力を使わない、純粋な剣術による攻防が、激しく行われる。

勇者とさまようよろい。
お互いに、未だ一撃も決まっていない。


すなわち、さまようよろいのカード発動は、まだ破られていない。




<剣技『疾風突き』>



フッ……

再び、さまようよろいの姿が消える。

勇者「!?しまっ……」

さまようよろい「」ザッ!!


さまようよろいが、勇者の懐に潜り込む。
勇者は慌てて剣で防御を行おうとするが、間に合わない。


さまようよろいの剣が、勇者の身体を貫こうと突き進む。






ザシュッ!!!


勇者「グァァッ!!!」ブシュッ!!


そしてさまようよろいの剣が、勇者の身体を斬りつけた。

ポタポタッ……



勇者「くっ、痛ってぇ……だけど、そこまで深手じゃないみたいだな。

忘れてたよ。1対1のスペルカードルールでも、相手のカードの技を一度防いだとしても、こっちが相手にある程度ダメージを与えなければ、違うカードを使うまで、魔力の続く限り何度でも使用できるんだったな……」



さまようよろいのカード発動後、勇者はさまようよろいにダメージを与えていない。
すなわち、カードの技を破られてはいない。



その為、さまようよろいは、再び<剣技『疾風突き』>を発動出来たのだ。



それを忘れていた勇者は、逆にダメージを負ってしまう。

勇者「さて、どうアイツにダメージを与えるか……とりあえず、こっちもカード発動だな」スッ……



<召喚『勇者はスライムベスを呼んだ』>ポンッ!!




ベス「ピー!!!」

勇者は、スライムベスの『ベス』をカードの力で召喚した。



勇者「ベスッ!!二手に別れてアイツに攻撃するぞ!!」ダッ!!

ベス「ピーッ!!!」サッ

ベスは一枚、自分のカードを咥えてそれを発動させる。




<火玉『メラ』>



次の瞬間、メラ発動による複数の火の球が、さまようよろいへと放たれる。

さまようよろい「…………」スッ……


ドドドドドドドドドッ!!!!!


さまようよろいは手に持つ盾を構え、ベスの放ったメラを全てガードした。もちろん、さまようよろいにダメージは無い。
そして、そのままベスに向かって剣を構える。




<剣技『疾風突き』>


フッ

再度、さまようよろいの姿が消える。
そして次の瞬間には、ベスのすぐ目の前に姿を現す。



ベス「ピッ!?」

さまようよろい「ッ!!」ブンッ!!

すぐさま、さまようよろいの剣がベスへと突き

勇者「ウォラァァァアッ!!!」ダンッ!!!

バキィィィィィィイイイッ!!!!!

さまようよろい「ッ!?」ズザァァァアアッ!!!



剣がベスに突き刺さる前に、勇者がさまようよろいへと飛び蹴りを放ち、さまようよろいは転倒する。



勇者「ベス!!今の内に撃ちまくれ!!!」

ベス「ピィーーーーッ!!!!!」カッ!!!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!


ベスの放ったメラの火球が、全弾残さず、さまようよろいへと着弾する。

ダメージを負ったさまようよろいは、一枚目のカードの発動をキャンセルされた。



さまようよろいの残りは2枚

ガチャッ……


さまようよろい「…………」ボォォォオッ……



炎を鎧に纏ったさまようよろいが、ゆっくりと立ち上がる。
メラの火球の全弾命中により、ダメージは少なくないハズであるが、見た目では効いているのか判断がつかない。



さまようよろい「…………」スゥッ……

さまようよろいは2枚目のカードを取り出す。


<集合『さまようよろいは仲間を呼び出した』>ポンッ!!





ホイミスライム「ピーッ!!」

カードの発動と共に、さまようよろいの側に、ホイミスライムが現れる。
そして、すぐさまホイミスライムが、一枚のカードを取り出す。

勇者「!?マズイッ!!ベス!!アイツを止めろ!!」ダッ!!


勇者とベスが、ホイミスライムへと真っ直ぐ向かって行く。

しかし、あと一歩遅かった。





<癒符『ホイミ』>

<癒符『ホイミ』>

<癒符『ホイミ』>








さまようよろい「…………」シュゥゥゥウウウッ……


さまようよろいの纏っていた火がみるみる内に鎮火し、これまでに負ったダメージが回復していく。



ホイミスライム「ピーッ」フッ……



役目を終えたホイミスライムは、すぐさま、消え去った。

<突進『スラ・ストライク』>


ググググッ…………

スライムベス「ピーッ!!」ドォンッ!!!


回復したさまようよろいに対して、ベスがすぐさま、弾丸のような体当たりによって、追撃を仕掛ける。




さまようよろい「…………」チャキッ

それを迎え撃つように、さまようよろいが剣を構える。



勇者「ベス!?早まるなぁ!!」


勇者はベスを止めようと叫ぶ。

もう、さまようよろいの身体にダメージは無いのだ。勝負を急げば、手痛い反撃を受けることになる。

バキィィィィィィイイイッ!!!



ベス「ピーッ!!!」ヒューッ……ポテッ


ベスは、さまようよろいのカウンターを喰らい、そのまま気絶する。
気を失ったベスは、そのまま消えていった。


勇者「……だから言わんこっちゃない……」





勇者残り2枚
さまようよろい残り1枚

勇者「仕切り直しか……まぁ、既にお前に2枚のカードを使わせているんだ。少しだけ、こちらが有利だが……」



有利だが、向こうは自分よりもワンランク上の相手だ。単純な剣での攻防ならば互角のようだが、それにカードが加わると一気にその差が広がる。




残る勇者のカードは


<剣技『ギガスラッシュ』>
<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>





勇者「勝負の決め手はギガスラッシュをどう上手く当てるかだな……何発も打てる技じゃないし、反動もある。チャンスは一回だな」




さまようよろい「…………」スッ……




さまようよろいが、3枚目のカードを発動させる。






<演武『ダンシング ナイト(騎士)』>

カード発動と同時に、さまようよろいの身体が、白いオーラに包まれていく。
そしてその場で、重い鎧の身体とは思えない、軽快なフットワークを繰り出す。




勇者「あのカードは……戦闘スタイルの変化か!?」




カードの中には、使用者の戦闘スタイルを、ガラリと変えてしまうカードも数多く存在する。


例えば、元は力自慢の戦士なのに、武器を使わずに、魔法カードの威力が倍増するスタイル。


ひ弱な魔法使いなのに、武器を用いたパワー溢れるスタイル。


他にも、特定の武器種や魔法を最大限に使いこなすスタイルが無数に存在する。

ちなみに勇者の持つ<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>も、繰り出す攻撃が全て、当たれば会心の一撃となる戦闘スタイル変更カードである。



特筆すべきは、このスタイル変更カードの効力は、自身が解除するまで、一部の事例を除いて決して消えることはないということである。


勇者が先日、<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>を使用して、その後に通常のカードも使用出来たのは、そういうことだ。




<演武『ダンシング ナイト(騎士)』>




それは、攻撃の威力が多少弱まる代わりに、軽快なステップで攻撃を行う戦闘スタイル。
特筆すべきは、その動きの速さである。

ダンッ!!


さまようよろい「ッ!!!」シュシュシュシュシュッ!!!!!


勇者へと素早く踏み込むと同時に、フェンシングのように剣を素早く突いてくる。


ギィンッ!!ギィンッ!!ズシュッ!!ギィンッ!!!ズシュッ!!


勇者「クッ、速いっ!!全部は防ぎきれないなこの攻撃は……痛っ!!」キィンッ!!ギィンッ



一撃の重みは、先ほどよりは小さい。
しかし、その分手数が増えた為、勇者の防御が間に合わず、少しずつ傷を負っていく。



勇者に徐々にダメージが積み重なっていく。

勇者「この野郎ぉっ!!」ブンッ!!

さまようよろい「ッ!?」バッ!!


勇者が反撃をしようと、思いっきり剣を振るうが、さまようよろいは素早く後退し、それを躱した。



さまようよろい「…………」トンッ、トンッ


さまようよろいは、軽快なフットワークを繰り出しながら、剣を前に構え、牽制している。
そのスタイルは正に、騎士の剣術の一つ、フェンシングの構えに見えた。




勇者「あの速さには、ついていけねぇな……しょうがない」スッ……



勇者は、剣を構え、さまようよろいの攻撃に備える。


次の瞬間、さまようよろいが勇者へと、大きく一歩を踏み込む。




ズシュウッ!!!



踏み込みと同時に、さまようよろいの剣が、勇者の脇腹付近へと突き刺さった。

勇者「動きが速いなら……止めてやりゃあいいだけだ。こうやってな」グググッ……


さまようよろい「!?ッ!?」グッ!!グッ!!




さまようよろいの突いた剣は、勇者の脇腹をカスッただけであった。

そして、その剣を持つ腕は、勇者によってしっかり捕らえられている。



さまようよろい「ッ!!!」ブンッ!!


片腕を封じられたさまようよろいは、もう片方の腕で勇者を殴りつけようとする。



勇者「もう遅い……俺の切り札は、既に発動しちまってんだよ!!!」グッ!!


勇者は、空いた片手で、腰の鞘に収まっている銅の剣を握る。



勇者「この距離なら……そして動きを封じた今なら外さねぇ!!!」

『二枚同時発動』





<『当たるも八卦、当たらぬも八卦』>

<剣技『ギガスラッシュ』>









グシャァァァァァァァァァァアアアアアアッ!!!!!!





それは一瞬の出来事。




会心の威力を込めた勇者の速さと威力を兼ね揃えた剣技『ギガスラッシュ』が、さまようよろいの鎧を真っ二つに粉砕する。


同時に、勇者の持つ銅の剣が、剣技のあまりの威力に耐えられず、砕け散った。

さまようよろい「…………」シュゥゥゥウウッ……





媒体である鎧を破壊されたさまようよろいの……死した兵士の魂は、そのまま緩やかに天へと昇っていった。



勇者「グゥッ……」ボタボタッ……ボタボタッ……



勝利と共に、勇者の腕から、大量の血が流れ落ちる。



勇者「ギガスラッシュの反動か……しかも、無理矢理会心の一撃を繰り出したせいか、手だけじゃなく、腕までズタズタになってやがる……」グッ!!


勇者は、無事な左手で、さまようよろいの残した剣を握り、帰路へと向かう。

勇者「あとはコイツを持って帰れば依頼完了か……折角鉄の剣をGET出来ても、しばらくは戦えそうにないなこりゃあ」ズルズルッ……


剣を引きずりながら、勇者は森の中を進んでいく。ようやく、見覚えのある道に出ると、突然、堪えきれない疲労感が勇者を襲う。



勇者「グッ……やっぱりダメージを貰い過ぎたか……ヤバイ……意識が……」グラァッ……



そのまま勇者はその場に倒れ込んだ。

…………




魔法使い父「オラ、さっさと帰るぞ馬鹿娘!!全く、こんな森で道に迷うなんざ考えられない方向音痴だなお前は!!」



魔法使い「しょうがないじゃん、久しぶりに奥の方まで進んでいったんだから!!大体、お父さんが私を置いてドンドン先に進むから悪いんだよ!!!」


魔法使い父「お前が付いてくるのが遅いんだよ!!全く……そんなんじゃ、いつまでたっても旅になんざ出せねーぞ?」

魔法使い「何でよ!?大丈夫だって言ってるでしょう?お父さんと違って勇者さんはのんびり私に合わしてくれるよきっと」


魔法使い父「大体、その勇者ってのはどんなヤツなんだ?いきなりそんなどこの馬の骨かもわからないヤツに、娘を預ける親がいるわけねーだろ!!」



魔法使い「お父さんは一回会ってるハズだよ?こないだ私がお父さんのカードを持っていった時に……あれ?」



森の中を歩く魔法使い親子の前に、ボロボロになって倒れている勇者の姿が現れる。

魔法使い「勇者さん!?ちょ、ちょっと何でこんなところに……てか凄い怪我じゃないの!!大丈夫勇者……」ユサユサ


魔法使い父「馬鹿娘が!!怪我人を乱暴に扱うんじゃねぇ!!……ったく、コイツが勇者か?こんな青瓢箪と旅なんざ……」


魔法使い父は、その場で薬草を用いた応急処置を行い、町へと勇者を背負って帰った。






依頼NO.3『夕暮れの森にさまよえる兵士を永遠に眠らせよ』




報酬
兵士の刃の欠けた剣
100ゴールド獲得


獲得カード

<剣技『疾風突き』>

<集合『さまようよろいは仲間を呼び出した』>→<召喚『勇者はホイミスライムを呼び出した』>

<演武『ダンシング ナイト(騎士)』>

投下終了です。


んー……もっとバトルを熱くさせたいですねぇ……そろそろドラクエ以外の敵も出すべきか……


それでは、おやすみなさい。

こんばんわ、1です。沢山のレスありがとうございます。


最近ちょっと忙しくて、全く続きが書けてません。


というより、色々他にも書き過ぎて、追いつかなくなってきた……


とりあえず、本命の他にコレともう一つは続けていきたいので、他のSSでも読みながら気長にお待ちください。

1です。よかった、まだ残ってた。

誰か書く時間をくれー!!


てなわけで、再開はまだできそうにないです……ごめんなさい。

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