鳰「女王蜂の力が変な方向に働いてるみたいっス」 (86)

晴(カレー風味の唐揚げに、カレー風味のきんぴらごぼう……)

晴(ここの書籍部、料理の本が充実しててよかった)

晴(これでなんとか兎角さんの食生活を改善しないと……)

晴(よし、明日の夕飯は晴の手作り料理を兎角さんに食べさせてあげよう!)

晴「……ん?」

晴(理事長推薦書籍……?)

晴(理事長って……あの人だよね)

晴(どんな本なんだろう、やっぱり経済とかそういう本かな)チラ

晴「……漫画?」

晴(『百合姫』って……百合さんだから? あの人が刊行してるのかな)

晴(だとしたら姫って、そんな歳じゃ……)

晴「……ちょっと、買っていってみようかな」


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◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

晴「ただいまー」

晴(あれ? 兎角さんいないのかな)

晴(よし、とりあえずレシピを見ながら、明日買ってくる食材をまとめておこう)

ガサッ

晴「あ、そういえば……」

晴(この本、どんな内容なんだろう)

晴(ちょっとだけ読んでみようかな)

~5分後~

晴(え、えぇー!?)

晴(キス、女の子同士なのに、しちゃうの?)

晴(晴はそういうのを差別するわけじゃないけど……)ペラ

晴「…………///」

晴(理事長推薦って……百合さんってこういうのが好きなの?)ペラ

晴「っ!」

晴(え、えええ、エッチなこと、してるのかな、これ?)ドキドキ

ガチャ

晴「いひゃあ!」ビク

兎角「一ノ瀬? 帰ってきてたのか……どうしたんだ?」

晴「なな、なんでもないですよ!?」バッ

晴(本、後ろ手に隠しちゃったけどどうしよう……これ)

兎角「変な声が聞こえたが、何かあったのか?」

晴「や、その、兎角さんが急に帰ってきたからビックリしちゃって……」

兎角「急にって、普通に入ってきただけなんだけどな」

晴「あ、はは……」

兎角「……一ノ瀬、後ろに持っているものはなんだ?」

晴(っ! まずい!)

晴「これは、その……」

兎角「……まさか」スタスタ

晴「ちちちちがうんですこれは!」

兎角「……ん?」チラ

晴(目線が……今のうちにベッドに!)バサ

兎角「カレー粉を使ったお惣菜? なんだこれは」

晴「あっ、それはっ!」

兎角「……これを私に食べさせようとしてるのか」

晴「だって、兎角さんいつもカレーライスばかりで栄養が……」

兎角「カレーは完全食だ、問題ない」

晴「もっと野菜沢山摂らないとダメですよ?」

兎角「大丈夫だ」

晴「明日私が作ってあげるから、野菜もしっかり食べてください!」

兎角「一ノ瀬、お前料理できるのか?」

晴「凄く上手なわけではないですけど……人並みには」

兎角(一ノ瀬の手料理か……いいな)

兎角「わかった、明日の夜は一ノ瀬の作った料理を食べることにする」

晴「本当? やった!」

晴(これでなんとかごまかせた……かな)


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


晴(本の続きが気になる、けど……)チラ

兎角「……」シャ シャ

晴(兎角さんのいるところじゃ読めないよ……)

晴(いつまでナイフ研いでるんだろう)

兎角「ん、もうこんな時間か、そろそろ寝るか」

晴「! あ、晴はもう少し起きてようかな」

兎角「夜更かしすると、明日起きられなくなるぞ」ジト

晴「だ、大丈夫だもん!」

兎角「……遅刻しても知らないからな」モゾ

晴「おやすみなさい」

晴(これで兎角さんが完全に眠ったら……)ゴクリ

兎角「……」スー スー

晴(もう寝ちゃった……かな?)

晴「……」ソロー

ゴソゴソ

晴(あった……できるだけ兎角さんからは死角になるようなところで……)

晴「……」ペラ

晴(あ、この絵綺麗)ペラ

晴(『仲良くなりたい』って……多分仲良くの意味が普通と違うんだよね……)

晴(晴がクラスの皆と仲良くなりたいっていうのとは……)

晴「……っ!」

晴(想像しちゃった……ダメダメ! クラスの皆は普通のお友達!)

晴(晴は別に、そういう……)

晴「……」ペラ

晴(あ、この人兎角さんに似てる……)

晴(うわっ! 兎角さんが女の子と……)

晴「って! これは兎角さんじゃないしっ」ブンブン

兎角「ん……一ノ瀬?」ムク

晴「!! あ、ごめんなさい! 起こしちゃった?」

兎角「いや……なんか名前を呼ばれた気がして」

晴「き、気のせいじゃないかな……」

兎角「そうか」ゴロ

晴「…………」ホッ

晴(次の話で最後みたいだし、読み終わったら寝よう)ペラ

晴(そういえば、あそこのコーナーにあった漫画ってもしかして全部こういう話なのかな)

晴(ちょっと、気になる……かも)


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


晴「……」ボー

乙哉「ねーねーしえなちゃん、片方だけでいいからさー」イジイジ

しえな「いいかげんにしろっ! イジメだぞこれは!」

晴(武智さんと剣持さん、いつも仲良さそうだなー)

晴(あの二人、同じ部屋なんだよね……)

晴(ってことは部屋でもあんなふうに、もしかしたら人目がない分……)モヤモヤ

晴「っ!」ビク

晴(って、晴はクラスメイトの人たちで何を!?)

兎角「どうした一ノ瀬」

晴「え、なんでも、その、ないです」

兎角「昨日から様子がおかしいぞ……調子でも悪いのか?」

晴「別にそういうわけじゃなくて……今日の料理失敗しちゃったらどうしようって……あはは」

鳰「えーなになに、今日晴が料理作るんスか?」

兎角「なんでお前がよってくるんだ」イラ

晴「うん、兎角さんがいっつもカレーばっかりで心配だから」

鳰「ウチもいっつもプチメロなんスけど、ご相伴に預かりたいなー」

兎角「お前は学食で違うものを食べればいいだろう」イライラ

晴「ごめんね? 今日は兎角さんのために作るって決めてたから……」

鳰「そうスかー、残念!」

兎角「分かったらとっとと失せろ」シッシ

晴「あ、そういうこと言っちゃだめだよ、兎角さん!」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

―廊下―

晴(兎角さんって、鳰には特別厳しいような気がする)

晴(もうちょっと仲良くしてくれると嬉しいんだけど……)

晴(あ、いや、仲良くって普通に友達にって意味で、別にそういうっ!)

晴(……ぁう、晴、頭の中で何弁解してるんだろう……)

春紀「お、晴ちゃん」

晴「春紀さん」

春紀「……なぁ、晴ちゃんもしかして香水とかつけてる?」

晴「え? つけてないけど……もしかして変な匂いとかします?」クンクン

春紀「いや、なんかいつもよりイイ匂いっつーか……匂いだけじゃないな」クイ

晴「あ、はわわ!」

晴(なんで顎掴まれてるの!? それより春紀さん顔近いよぉ!)ドキドキ

春紀「化粧とかもして、いや、違うか……」ジー

晴「は、春紀さん……」ドッキンドッキン

春紀「なんていうか、いつもより可愛くなってるような気がするんだけどなぁ」

晴「か、かかかわいいなんてそんな……」

春紀「……何なんだろうなこれ」ググ

晴「ち、近い! 春紀さん近いですっ!」グイグイ

「おいっ!」

春紀「っ!」バッ

晴「わ!」

兎角「寒河江……なにをしているっ」

春紀「いやぁ、晴ちゃんが可愛いなーって、そんだけ」

兎角「まさかこんな人目のあるところで行動に移るとはな……」シャキン

晴「待って兎角さん! 春紀さんは本当に何も!」

春紀「予告表もまだ渡してないしな」

兎角「……本当に襲われていたわけじゃないんだな?」

晴「う、うん」

晴(もしかしたらある意味襲われてたのかもしれないけど……)

春紀「悪かったって、いい加減それしまってくれ」

兎角「……」ス

晴「……」ホ

春紀「じゃあな晴ちゃん、またあとでな」

晴「は、はい」

兎角「一ノ瀬、襲われてたんじゃないとしたら一体何をしてたんだ?」ジロ

晴「何って……普通にお話してただけなんだけど……」

兎角「あの距離は普通じゃないだろう、何を話してたんだ?」ガシ

晴「何をって……えっと、その……」

兎角「……」ジー

晴「春紀さんが、その、晴が可愛くなったって……///」

兎角「……可愛く?」

晴「うん……」

兎角「ちっ……それでお前はデレデレしてたわけか」フイッ

晴「デレデレってそんなっ……」

兎角「……教室にもどるぞ」スタスタ

晴「あ、兎角さん!」

兎角(くっ、なんで私はこんなにイライラしてるんだ……)

とりあえず今回はここまで

晴「……」

兎角「……」ムス

晴(兎角さん、なんだかあれからずっと機嫌悪そう)

晴(でもちゃんと晴についてきてくれてるし、晴のことを見捨てたってわけじゃないんだよね?)

晴(晴に警戒心が足りないのはわかるけど……なんだかいつもと様子が違う気がする)

乙哉「ねぇ晴~」ギュ

兎角「っ」キッ

乙哉「うわ、おっかない」

晴「兎角さん……」

兎角「おい武智……むやみに一之瀬に抱きつくな」

乙哉「なにそれ、嫉妬? 見苦しいよー」

兎角「お前っ」ガタ

晴「待って!待って兎角さん!」

兎角「一ノ瀬、お前は警戒心がなさすぎだ!」

晴「兎角さん、なんか様子がおかしいよ?」

兎角「っ……私はお前の為を思って!」

晴「晴は大丈夫だから、もう少し落ち着いて? ね?」

伊介「ちょっと、うるさーい、痴話喧嘩ならよそでやって♥」

兎角「……勝手にしろ!」

乙哉「あ、出てっちゃった」

晴「兎角さん……」

乙哉「ねぇ晴、今日の放課後一緒に遊びに行かない?」

晴「ごめん、今日の夜は兎角さんにご飯作ってあげる約束してるから……」

乙哉「えー、だって今あんな感じだよ? 作っても食べてくれないんじゃない?」

晴「う……」

乙哉「それより二人でさ?」

晴「……ごめんなさい、やっぱりそれは」

乙哉「ちぇ、わかったよ」

晴(でも、確かに今の兎角さんは雰囲気が違うし……どうしよう)

乙哉「でもさ、東さんも変だけど、晴もいつもと違う感じだよね」

晴「え? そうかな」

乙哉「うん、なんかいつもより……そそる感じ」ギラリ

晴「……」ゾク

乙哉「なんだろうねー? 私もこんなの初めてだからよくわからないんだけどさ……」サワッ

晴「は、晴はもう買い出しに行かないと……」

乙哉「そっか、残念!」

晴(兎角さん、春紀さん、武智さん……)

春(みんなどうしちゃったんだろう……)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

晴(そういえば昨日の本のコーナー……食材を買う前にちょっと寄ってみようかな)

晴「あれ? 剣持さん?」

しえな「っ!? い、一ノ瀬……」

晴「えっと、剣持さんが持ってるのって……」

しえな「ご、誤解だ! ボクはこんなのに全然興味なんてないからな!」

晴「そう、なんですか」

しえな「……もしかして、一ノ瀬はこう言うのに興味があるのか?」

晴「き、興味があるっていうか……全然よく知らないんですけど、昨日ちょっと読んで……」

しえな「ど、どうだった?」

晴「びっくりしたけど……面白かった、かも」

しえな「そ、そうか……一ノ瀬はそうなのか……」ブツブツ

晴「剣持さん?」

しえな「なぁ一ノ瀬、今日このあと空いてるか?」

晴「え、いや……今日は予定が……」

しえな「そうか……じゃあ明日以降で放課後空いてる日はあるか?」

晴「明日なら、特に何も予定はないけど」

しえな「じゃ、じゃあ明日の放課後空けておいてくれ! 約束だぞ!」

晴「いいですけど、えっと、何をするんですか?」

しえな「明日詳しく説明するから、じゃあまた!」

晴「……なんだったんだろう」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


晴(こんどは『ひらり』っていうのを買っちゃった……どこにしまっておこう)

晴(それより、兎角さんの機嫌治ってるかな?)

晴「ただいま……」ガチャ

兎角「一ノ瀬っ!」

晴「えっ!」ビク

兎角「帰りが遅かったから心配してたんだ、ぞ……そうか、買い出しなら言ってくれれば手伝ったのに」

晴「ううん、ひとりでも大丈夫だったから気にしないで」

兎角「……それと、その、昼間の事なんだが」

晴「……」

兎角「済まなかった……私が悪かった」

晴「兎角、さん……」

兎角「意味も分からず機嫌が悪くなって……一ノ瀬にあたってしまった、済まない」

晴「兎角さん、晴は全然気にしてないから」

兎角「……」

晴「それより、すぐに夕御飯作るからね!」

兎角「ああ、楽しみにしてるよ」

晴「そんなに上手じゃないけど、晴頑張って作ります!」

晴(良かった……兎角さんの機嫌が元にもどって)

短いけどこのへんで

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

しえな「入っていいよ、武智はいないから遠慮しないで」

晴「お、おじゃまします」

しえな「とりあえずそのへんに腰掛けて、今飲み物出すから」

晴「うん……」

カチャカチャ

晴(と、友達の家に遊びに行くってこんな感じなのかな……)

晴(なんだか緊張してきちゃった……)

しえな「アイスティーしかないんだけど、いいかな?」

晴「うん、晴アイスティー好きですよ」

しえな「よかった、はい」

晴「ありがとう」

チュー

しえな「……それで、あの本の件なんだけど」

晴「あ、はい」

しえな「一ノ瀬はあの中で、どの話が好きだった?」

晴「えっと……大学生の人たちのお話が面白かったかな?」

しえな「え、マジ?……あれ結構ドロドロしたやつだけど……」

晴「そうだけど……でもその分人間味があってよかったかなーって」

しえな「そうか……じゃあ、そうだな」ガタ

しえな「……」ゴソゴソ

晴「え?」

しえな「これとか一之瀬に合いそうだな」スッ

晴「えっと……」

しえな「単行本だ、百合姫の掲載作品じゃないけど」


晴「貸してくれるの?」

しえな「ああ、なんだったらあげてもいいけど」

晴「そこまでしてもらうわけには……」

しえな「まぁとりあえず読んでみて、それで感想を聞かせて欲しいな」

晴「ありがとうございます、でも……」

しえな「え?」

晴「どうして突然こんなに晴に親切にしてくれるのかなって」

しえな「……同じ趣味の人がなかなかいないから、かな」

晴「じゃあ、剣持さんはこういう女の子同士のお話が?」

しえな「い、いや! 話として好きなだけで、私自身がそういう人間ってわけじゃないからな!?」ワタワタ

晴「ふふ、でも嬉しいです」

しえな「え?」

晴「こういう普通のお友達同士みたいな関係に、晴憧れてたんです」ニコ

しえな「っ」ドキ

晴「じゃああんまり遅くなると兎角さんが心配するから、これで」

しえな「あ、ああ、また明日な」

晴「おじゃましました」

バタン

しえな「……」ドキドキ

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

~1週間後~


しえな「一ノ瀬」

晴「剣持さん」

しえな「このあいだのあれ、今日最新巻が発売だから、明日には貸すよ」

晴「ありがとうございます!」

兎角「……」

晴「ふふ」

兎角「一ノ瀬……あまり剣持に近づくのは感心しないな」

晴「え? どうして……」

兎角「わかってるだろう、あいつは敵だぞ」

晴「……それでも、晴は皆と仲良くなることを諦めたくない」

兎角「っ……お前は自分の命が大事じゃないのか」

晴「だ、大事だよ! でも……」

兎角「じゃあわかっているだろ」

晴「……」

兎角「……勝手にしろ」

晴「……ぁ」

晴(また……兎角さんの機嫌悪くしちゃった)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


晴(はぁ……先週と同じ感じになっちゃった)

晴(晴はどうすればいいんだろう)

鳰「よっ、今日は兎角さんと一緒じゃないんスね」

晴「鳰……」

鳰「まぁ最近晴は剣持さんと仲良くしまくりっスからねー、兎角さんがジェラるのも仕方ないっス」

晴「じぇら……?」

鳰「それにしても……剣持さんと何の話で盛り上がってるんスかぁ?」ズイッ

晴「え、それは……その」

鳰「もしかして……晴は女の子が好き、なんスかねぇ?」ニヤ

晴「えぇっ!?」

鳰「だってぇ、書籍部の例のコーナーのことで最近盛り上がってるんじゃないスか?」ニヤニヤ

晴「え、あ、う……」

鳰「やっぱりそうなんスねー……いや、別に悪いわけじゃないッスよ?」

晴「は、晴は作品として面白いと思ってるだけで、そういう感情とかは……」

鳰「ホントっスか?」

晴「本当……だよ」

鳰「じゃあ、ウチにこんなことされても気持ち悪いだけっスよねぇ?」サワ

晴「っ!?」ビク

鳰「ほらほら……抵抗しないとどんどん突破されちゃうけど?」サワサワ

晴「やっ、鳰……やめて……」

鳰「口はそう言っても、体は正直ッスねぇ……あ、一度行ってみたかったんスよ、これ」クニ

晴「あっ!」ビク

鳰「やっぱりそういうことなんじゃないスかー……やだなー晴ちゃん、別に隠さなくても……」クニクニ

晴「あっ、だめっ! やっ」

晴(晴は、こういうことがしたいわけじゃないのに……)

晴(晴はただ……ただ?)

晴(……晴は)

鳰「おや~、抵抗しなくなっちゃったスけど、これはOKってことでいいんスかね?」

ビュ

鳰「っ!」バッ

ドッ

兎角「……」ゴゴゴゴ

鳰(あ、これはちょっとヤバいかも)

兎角「お前……覚悟は出来てるんだろうな」

鳰「できてないから逃げるっス!」ダッ

兎角「待てっ!」

晴「兎角、さん」

兎角「っ」ピタ

晴「……」ハァハァ

兎角「来い」ガシ

晴「あっ……」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


兎角「……」グイグイ

晴「と、かくさん?」

兎角「……」ブン

晴「きゃ!」ドサ

兎角「……」ジロ

晴「兎角、さん」

兎角「お前はさっき何をしてたんだ?」

晴「は、晴は別に何も……」

兎角「あんなことをされて、どうして抵抗しなかった!」

晴「っ」ビク

兎角「走りだって学園側の人間だ……信用できないってことぐらいわかるだろ!」

晴「でも……」

兎角「お前は無用心に敵に歩み寄りすぎだ……友人を作るのは諦めろ、甘すぎるぞお前」

晴「っ! 友達になりたいっていうのは、晴の自由じゃないですか!」

兎角「……」

晴「……」

兎角「そうか」ガシ

晴「あっ」

兎角「欲求不満なんだな?」

晴「……え?」

兎角「剣持と妙に仲が良くなったのも、寒河江や走りに襲われても、大して抵抗しなかったのは……」

晴「ちがっ……やっ!」ドッ

兎角「なら、私が相手をしてやる」ググ

晴「いっ、や、やめて! 兎角さん! おかしいよ!!」ジタバタ

兎角「おとなしくしてろ」グイ

晴「違う!晴はそんなつもrんぐっ!」

兎角「んっ……」

晴(兎角さんに……キス、されてる!?)

晴「んーっ、んーっ!」ジタバタ

兎角「……ぷはっ」

晴「あっ……ぅ……」

兎角「……」グ

晴「! まって、兎角さ」

ビリビリッ

晴「いやぁ!」

兎角「一ノ瀬……私が気持ちよくしてやるから、な」

晴「やだ……やめてぇ!!」

とりあえずここまで

晴(なんとかして兎角さんを……)

晴「兎角、さん……」

兎角「一ノ瀬……きれいだ」

晴(兎角さん、ごめんなさい!)グイ

兎角「!?」

兎角(一ノ瀬が私を抱き寄せてくれるなんて……やっぱり一ノ瀬は寂しかったんd)

ゴッ

兎角「ぉごっ」

兎角(ず、頭突きだと……)

晴「ごめんなさい!」ダッ

兎角「い、ちの……」ポタポタ

晴(兎角さん、血がたくさん出てた……うぅ、晴やっちゃいました……)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ドンドン ドンドン

鳰「はいはい……ったく、突然誰っスかぁ」

ガチャ

晴「に、鳰……」

鳰「晴……って、服破けてるじゃないっスか、ウチの知る限りまだ誰も予告表は……」

晴「お願い! 晴をかくまって!」

鳰「は?」

晴「早く中に入れて! お願い!」

鳰「……まぁいいっスかね、どうぞ」

晴「あ、ありがとう、鳰……」

ガチャ

晴「はぁ……はぁ……」

鳰「で、何があったんスか? 予告状をもらって逃げてきたっていうなら、悪いけど出て行ってもらうッスよ」

晴「……と」

鳰「と?」

晴「兎角さんが……」

鳰「え?」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

鳰「なるほど……つまりウチが晴にちょっかい出したのが気に食わなかったんスね」

晴「晴は、どうしたらいいのかな……」

鳰「っていうか、なんでウチのところに逃げてきたんスか? ついさっきあんなことやこんなことしたばっかりッスよ?」

晴「だって、ほかの人は皆2人部屋だし……」

鳰「え、それだけ?」

晴「うん……」

鳰「……まぁいいっスけど」

晴「どうして、こんなことになっちゃったのかな……」

鳰「あー、それはまぁ仕方ないっスよ」

晴「え?」

鳰「だってそれ、晴の女王蜂の力みたいっスから」

晴「女王……蜂」

鳰「晴も知ってるっしょ? 一族のこと」

晴「……」

鳰「晴の今の状態は、その力がひどく限定的かつ強力に発生してる状態なんスよ」

晴「晴に、そんな力はない、よ」

鳰「そう思いたいならそうすればいいんじゃないっスか? ウチには関係ない話だし」

晴「なんで、いきなり……」

鳰「それはあれ、理事長推薦の本読んだのが原因で間違いないっス」

晴「え、なんで?」

鳰「あれを読んで、晴は同性が恋愛対象になりうるって思っちゃったんスよ」

晴「そそそ、そんなことないよ!?」

鳰「そんで、無意識のうちにプライマーフェロモンがムワーっと、って感じッスかね」

晴「そんな……じゃあ、晴はずっとこのままなの?」

鳰「まぁ上手くその力をコントロールできればいいんじゃないッスか?」

晴「晴、そんな力のこと全然わからないよ……」

鳰「いや、ウチはもっとわからないッスから」

晴(どうしたら……どうすれば前みたいに普通に暮らせるんだろう)

鳰「何事も練習! シモ・ヘイヘも言ってるッス」

晴(普通の恋愛の本を読んだりすれば元に戻るのかな……)

晴(で、でももしかしたら、今度は溝呂木先生とかに影響が出ちゃうかもしれないし……)ゾワ

鳰「それよりも……」ガシ

晴「っ!」ビク

鳰「まさか、タダでウチの部屋に泊まれる、なぁんて思ってないッスよね?」ニヤリ

晴「ひっ」

鳰「おおっと、逃がさないッスよ」グググ

晴「に、鳰……お願い、許して」プルプル

鳰「……」

鳰(やべぇ)

鳰(ちょっとからかうだけのつもりだったのに、この表情を見てたら……)ゴクリ

鳰(くおぉ……これがプライマーフェロモンの力……)

鳰(あぁ、今すぐめちゃくちゃにしてやりたい……)ハァハァ

鳰(っていうか、こんなに方向性のはっきりした影響が出るってことは、晴、実は犯されたいんじゃないッスか?)

鳰(ならヤっちゃっても問題は……あ)

鳰「っ!」チラ

鳰(も、もしかしたら理事長に見られてる?)

鳰(ヤバイッス……からかうだけじゃなくて、マジに晴とヤっちゃったら、理事長にシてもらえなくなるかもしれないッス……)ブルッ

鳰(それだけは避けないと!)

晴「に、にお?」

鳰「なーんちゃって」スッ

晴「……」ホッ

鳰「宿代はプチメロでいいッスから」

晴「ごめんね……ありがとう」



鳰「でも、もしかしたらその力をうまく使えるようにすれば、クラスみんなで仲良く3年後に卒業できるかもしれないッスよ」

晴「……本当、に?」

鳰「マジッス」

晴「晴の力で……みんなで一緒に……」

鳰「因みに今の理事長は凄いッスよ? 入学当時から完全に力を使いこなせてたらしいッス」

晴「そうなの?」

鳰「開始後5日間でアサシン全員を手懐けたらしいッス、主に力と体をつかって」

晴「か、体って……///」

鳰「んでー、6日目に全員に向かってこう言ったらしいッス」

鳰「『私と一緒に勝利者になれるのは1人だけなの、だから誰が私の隣にするかをみんなで決めて頂戴』って」

晴「……」

鳰「あ、その顔オチに気づいちゃったッスね? まぁアサシンたちが理事長をめぐって殺し合いを始めたワケなんすよ」

晴「そんな」

鳰「で、ボロッボロになりながら最後まで立ってた人に“ご褒美”をあげて一人勝ちしたみたいッス」

晴「ひどい、あんまりだよ……」

鳰「いやいや、晴も人事じゃないッスよ? 早くその力を使いこなせるようにならないと……」クックック

晴「っ!いや!」

鳰「ってならないよに、頑張ってくださいッス、じゃあオヤスミー」

晴(晴は……晴は絶対にそんなことしない!)

眠くて誤字もたくさん出てきてしまったから、今回はこのへんで

電波の届かない岐阜の山奥から五日ぶりに帰還したところです
今週末にはなんとか更新したいと思います……

鳰「ほら、もう行かないと遅刻ッスよ」

晴「うん……」

晴(兎角さんに会ったらどうすればいいんだろう、やっぱり謝らないと……)

晴(原因も晴にあるみたいだし……)

鳰「ほら、早く出てった出てった!」グイグイ

晴「ちょ、ちょっと鳰!」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


兎角「……」

晴(うぅ……兎角さんにガン見されてる)

しえな「一ノ瀬、ちょっといいか?」

晴「あ、はい」

兎角「……」キッ

しえな(ものすごい殺気を感じる……)

しえな「なぁ一ノ瀬……東と何かあったのか?」ヒソヒソ

晴「え、や、なんにもないよ?」ヒソヒソ

しえな「ふぅん……」

晴(やっぱり周りから見ても変に見えるのかな)

しえな「まぁいいけど、また新刊が手に入ったんだけど、授業が終わったら来ないか?」

晴「え、本当?……ぁ」

しえな「どうした?」

晴「ごめんね、晴、もうそういうのは読めないんだ……」

しえな「……え?」

晴「だから……」

しえな「……まさか、東にバレたのか?」

晴「へ?」

しえな「それで朝から雰囲気が悪いんじゃ」

晴「ち、違うよ?」

しえな「それじゃあなんで……」

晴「……」

しえな「……もしかして、ボクのことが嫌いになったのか?」

晴「えぇ!?」

しえな「あまりにもボクの趣味がディープだったから引いた、んだ」ズーン

晴「違うよ!? 剣持さんは何も悪くないよ!」

しえな「別にいいんだ……ボクなんかどうせ……」

晴「剣持さん!?」

千足「……」

柩「千足さん? ……千足さん!」

千足「あ、あぁ……すまない、どうした桐ヶ谷」

柩「……最近千足さん、一ノ瀬さんのことばかり見てる気がします」

千足「っ! そ、そんなことはない!」

柩「必死になるところが、ますます怪しいです」

千足「いや、本当に違うんだ……」

柩「……」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


晴(授業終わっちゃった……結局兎角さんとは仲直りできてないし、どうしよう)

兎角「一ノ瀬」

晴「ひ、ひゃい!?」

晴(いつの間に!?)

兎角「その……昨日は済まなかった」

晴「え?」

兎角「つい頭に血が上ってしまって……とんでもないことをしてしまった、本当に済まない」

晴「兎角さん……」

兎角「謝って済むとは思っていない、どんな罰でもうけるから……」

晴「兎角さん、兎角さんは反省してるんだよね?」

兎角「ああ!」

晴「だったら、晴は兎角さんを赦しますよ? 罰とかそういうことも考えてない」

兎角「一ノ瀬……」

晴「それに、晴も兎角さんに頭突きしちゃったし……だから仲直り、ね?」

兎角「ありがとう……一ノ瀬……」

晴「じゃあ一緒に帰ろう? 兎角さん」

兎角「ああ」

フワリ

兎角(っ! これは……この臭いはアイツのっ……)

兎角(…………いや、落ち着け、晴はきっと同室の人間がいないという理由だけでアイツの部屋に行ったに違いない)

兎角(それだけだ、絶対に何も起こっていない……晴はそんな人間じゃない)

兎角(また昨日と同じ間違いを犯すわけには行かない……落ち着け東兎角)フーフー

晴「?」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


柩「一ノ瀬さん」

晴「柩ちゃん、どうしたの?」

柩「ちょっとお話したいことがあるんですが……いいですか?」

晴「いいよ、何かな?」

柩「ここじゃ話しにくいので……ちょっと付いてきてもらってもいいですか?」


―空き教室―


晴「それで、話ってなn」

プス

晴「いっ!?」

柩「ふふ」

晴(注射!? そんな……でも予告票は……)

柩「安心してください、毒じゃありませんから」

晴「な、なに……」

柩「本当は殺してあげたいところなんですけど、毒殺で勝ってしまうと、千足さんにぼくの正体がバレてしまいますから」

晴「正体?」

柩「まぁそんなことは今はどうでもいいです……そろそろ効いてくるんじゃないですか?」

晴「何が……ぅ?」

晴(体が熱い……変な感じ……)モジ

晴「んっ!」ビク

柩「別にここから逃げてもいいですけど。逃げられたらですけどね」

晴(服が擦れて……感じちゃう……)

晴「ぅぁ……」ガクガク

柩「そろそろ我慢できなくなってきたんじゃないですか?」

晴「そんな、こと……」ハァハァ

柩「ぼくはもう出ていきますから、気が済むまで一人でシてください」

晴「一人で、なんて……あっ」ハァハァ

柩「この薬、実は依存性があるんです」

晴「え……」ハァハァ

柩「摂取すると頭が沸騰するくらい気持ちよくなれるんですけどね」

晴「そんな……」ハァハァ

柩「一回シてみればわかると思いますけど、一ノ瀬さんはもうこの薬がないとダメになっちゃいましたから」

晴「ひど……ひどいよ、そんな……」ハァハァ

柩「脳が萎縮したりするわけじゃない分良心的だと思いますけど……普通の生活はしにくくなりますけど」

柩「でも効果が薄いみたいですね、普通の人ならもう正気じゃなくなってるんですけど」ウーン

晴「……」ハァハァ

柩「で、ここからが本題です。この薬が欲しかったら、もう2度と千足さんに色目を使わないでください」

晴「生田目さんに、色目……?」ハァハァ

柩「そうです、話すのも禁止。本当は視界にも入らないで欲しいんですけど」

晴「晴、色目なんて……」ハァハァ

柩「とにかくそういうことですから、一度でも千足さんにちょっかいを出したら、二度とこの薬は手に入らないと思ってください」

晴「別に、晴は薬なんて……」ハァハァ

柩「そうならいいんですけど、ね?」モミ

晴「ひっ!?!?」ビクン

柩「一ノ瀬さん、けっこう胸あるんですね」モミモミ

晴「やっ! やめっ! ひぁああああ!」ビクンビクン

柩「ふふふ、素敵ですよ、一ノ瀬さん」

晴「あっ……ぐぅ……」ガクガク

柩「薬が欲しくなったらいつでもあげますから……じゃあまた」

晴「待って、柩ちゃん……解毒、薬を……」ハァハァ

バタン

晴(うぅ……こんな状態じゃ外に出ても……)

晴(治まるまで、ここでじっとしてよう)

晴「…………」ハァハァ

晴(どうしよう、ムラムラ……する)

晴(うぅ……すごく、オナニーしたい……)

晴(胸を揉まれただけであんな……もし……)ゴクリ

晴「……」ハァハァ

キュ

晴「んんんっ!!」ビクン

晴「ぅ……」ガク

晴(うそ……乳首に触っただけで……)

晴「……」ゴクリ


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


兎角(くそっ、どこに行ったんだ、晴っ)

ンッアッ

兎角「!」

兎角(この声は……)

兎角「晴っ!」タッタッタッタ

兎角「ここかっ!」

バン

兎角「はるっ……え?」

晴「んっ! はぁあ……んう!」クチュクチュ

兎角「は……る?」

晴「うぁ……と、かくさ……」クチュクチュ

兎角「な、いったい何を……」

晴「兎角さん……お願い、もう晴一人じゃ」ハァハァ

兎角「……」ゴクリ

晴「晴を……気持ちよくしてくださいぃ……」ハァハァ

兎角「は、晴!」ガバッ


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


アンッアッ!
ハルッ!ハルッ!

鳰「あーあ、ヤっちゃったッスねー」

鳰「キメセクの味を知っちゃった女王蜂は、これからどうするのか……いや、どうなっちゃうのか」

鳰「楽しみッスね~」ニヤ

随分時間が空いてしまったけど、なんとか復帰しました

もうちょっとで完結させるので、今回はこのへんで

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月19日 (木) 23:24:30   ID: m2qROBXJ

続き、続きが見たいッス!!

2 :  SS好きの774さん   2014年08月12日 (火) 11:47:58   ID: k9IeZa72

続きがみたいです
よろしくm(_ _)m

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