モバP「最近ちひろさんが変なんです……」 (47)

 居酒屋

片桐早苗「変って、どういうこと?」
http://i.imgur.com/IDULSpg.jpg

柳清良「詳しく話してくれませんか?」
http://i.imgur.com/nodfyon.jpg

P「そうですね……」

P「最近、いくつかの書類にサインを求めてきたり……」

早苗「書類? そりゃ、プロデューサー君のサインが必要な書類もあるんじゃない?」

P「それが、生命保険の申込書と……」

早苗「ん?」

P「婚姻届なんです……」

清良「えっ」

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早苗・清良「……」

P「どういうことなんでしょうか……」

早苗「プロデューサー君、ちょっと待っててもらっていい?」

P「あ、はい」

早苗「清良ちゃん、ちょっと来て」

清良「は、はい」

早苗「どう思う?」

清良「そうですね……やっぱり、保険金目当ての……」

早苗「そうよねー……あー、聞かなかったことにしたいわー」

清良「でも、そう言う訳にも」

早苗「うん、解ってるわよ」

早苗「ともかく、ちひろちゃんの真意を確かめないことにはねー」

清良「志希ちゃんに頼んで、自白剤でも調合してもらいましょうか?」

早苗「こわっ。怖いわよ、清良ちゃん」

清良「冗談ですよ」

早苗「ただいま、プロデューサー君」

清良「お待たせしました」

P「いえ、大丈夫ですよ」

早苗「それじゃ仕切り直しで乾杯しよっか!」

P「え? あの、ちひろさんの件は……?」

早苗「いやー、現状、少なくともこの場で出来ることはないでしょ?」

清良「私たちも少し気を付けて、ちひろさんを観察しますから」

清良「プロデューサーさんはとにかく、書類にサインと捺印だけしないようにしてくださいね?」

P「わかりました……」

――――――

 翌日

P「ちひろさん、この伝票お願いします」

千川ちひろ「はーい。あ、こちらの書類にサインをお願いしますね」
http://i.imgur.com/vJIbtAp.jpg

P「……えーと……」ペラペラ

P「っ……あの、ちひろさん、これ……」

ちひろ「え、あっ……ごめんなさい、違う書類が混ざってましたね」

P「ええ……また、ですね」

ちひろ「えー、そんなに言われるほど、ミスしてますかねぇ?」

P「……」

早苗「……」ジー

清良「……」ジー

早苗「……確かに、プロデューサー君の言うとおりね」

清良「それにしても……プロデューサーさんは警戒心を隠してもいないのに、それほど気にしてる様子もないですね」

早苗「うーん……」

P「そろそろ営業行ってきますね」

ちひろ「いってらっしゃーい」

早苗「ちひろちゃん」

ちひろ「あ、早苗さん。お疲れ様です」

早苗「ちょっと生保のことで相談があるんだけど、今いい?」

ちひろ「はいはい、ちょっと待ってくださーい」

ちひろ「えっと、それで保険の相談と言うのは?」

早苗「そろそろ契約内容見直そうと思ってるんだけど、ちひろちゃんのお勧めとかあるのかなーと思って」

ちひろ「見直しですかー。でもそう言うのは専門家に聞いた方がいいですよ?」

早苗「あれ?」

ちひろ「え? なんですか?」

早苗「いやー、プロデューサー君から、ちひろさんに保険勧められてるって話を聞いたから、詳しいのかと思ったのよねー」

ちひろ「あ、あぁぁぁぁ、そういう!」

早苗「どうしたの?」

ちひろ「い、いえ、プロデューサーさんのは、保険屋さんから男性向けのお勧めを聞いたんですよ!」

ちひろ「決してやましいことなんて!!」

早苗「そ、そう?」

清良「明らかに動揺してましたね」

早苗「何か隠してるのは確かなんだろうけど……」

清良「やっぱり、そういうことなんでしょうか」

早苗「どう攻めればいいのか悩むわー」

清良「そうなんですか?」

早苗「現役時代だったら実力行使で吐かせられたんだけどなー」

清良「えっ」

早苗「えっ」

P「ただ今戻りましたー」

早苗「プロデューサー君、こっちこっち」コソッ

P「? どうしたんですか?」

清良「お帰りなさい、プロデューサーさん」

P「あ、清良さんも。ただ今戻りました」

早苗「ちょっと確認したいことがあるんだけどね」

P「はい」

早苗「ちひろちゃんのアレって、いつ頃からか覚えてる?」

P「えーと、そうですね……先週頃からかなぁ」

早苗「その頃か、それより前に、ちひろちゃんと何かなかった?」

P「何か……んー……」

P「あ。1ヶ月くらい前に、たまたま2人で飲みに行ったくらいですかねぇ」

早苗「へぇ……2人で、ねぇ」

清良「その時、何かなかったですか?」

P「うーん、それが情けないことに、途中から記憶がないんですよね」

早苗「えっ」

P「目が覚めたら自宅で寝てたんで、何とか帰ったんだと思うんですが……」

清良「プロデューサーさん、過去にお酒で記憶を失ったことは?」

P「んー……ないですね。普段はそこまで量も飲みませんし」

早苗「じゃあ、なんでその時だけ……?」

P「ちひろさんの勧め方が上手くて、ついつい……」

早苗「ふーん……」

清良「その時に何かがあったと考えるのが、妥当ですね」

早苗「そうねー」

早苗「もうメンドーだから、そこを突いてみるかー」

清良「早いですね!?」

P「え? え?」

早苗「回りくどいのは好きじゃないのよ」

早苗「と言う訳で、ちひろちゃん!」

ちひろ「は、はい!?」

清良「はい♪」

P「……」

ちひろ「って、プロデューサーさんと清良さんまで、どうしたんですか?」

早苗「先月、プロデューサー君と飲みに行ったとき、何かあったの?」

ちひろ「え、えぇぇぇ!?」

早苗(とりあえず何かあったのは確かみたいね……)

ちひろ「えっと、それはーそのー」モジモジ

早苗「言えないようなこと?」

ちひろ「うぅ……プロデューサーさん、助けてくださいよぉ」

P「すいません。俺、あの日の記憶がほとんどなくて……」

ちひろ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? じゃ、じゃあ、アレも覚えてないんですか!?」

P「アレってなんですか!?」

ちひろ「ひどいですよ、プロデューサーさん!!」

P「えぇー……」

早苗「ちょっとちょっと、落ち着いて!」

清良「ちひろさん! 一度、深呼吸しましょう、ね?」

ちひろ「……すぅー、はぁー」

清良「落ち着きましたか?」

ちひろ「……はい」

清良「でしたら、その日にの事は一旦置いておきます」

早苗「清良ちゃん?」

清良「ねぇ、ちひろさん?」

ちひろ「はい?」

清良「その日以降に、何があったのかしら?」

ちひろ「!?」

早苗「その後?」

清良「飲みに行ったのが1ヶ月前。行動に出たのが先週」

清良「つまり1ヶ月前に起きた事に起因して、ちひろさんに何か変化があったと考えるべきです」

清良「どうですか、ちひろさん?」

ちひろ「っ…………です……」

清良「え?」

ちひろ「ないんです、月のものが……」

早苗「えぇっ!?」

P「え……?」

清良「……」

ちひろ「それに……最近、お腹が張って……」

清良「……え?」

清良(これ……もしかして……?)

清良「ちひろさん、いくつか確認させてくださいね?」

ちひろ「はい……」

清良「予定では、生理日はいつくらいだったのかしら」

ちひろ「……2週間前、です」

清良「それで、1ヶ月前に生理が止まるような行為があった、と……?」

ちひろ「!!」

早苗「え、ちょっちょっと!?」

P「もしかして、俺は……」

清良「……プロデューサーさん、少し席を外して貰えますか?」

P「え、いや、でも……」

清良「ごめんなさい。でも、少しデリケートな話をしたいので」

P「……わかりました」

清良「さて、と……」

ちひろ「……」

清良「ちひろさん、最後のお通じは、いつ?」

ちひろ「……ぇ?」

早苗「うぇ!?」

清良「これは直感でしかないんですけど、多分、数日はないんじゃないですか?」

ちひろ「言われてみれば……」

早苗「え? どういう事?」

清良「1ヶ月前の行為で仮に妊娠したとして、もう腹部に張りを感じるなんて事、有り得ませんから」

早苗「なるほど~」

清良「ついでに言えば、生理も2週間くらいなら、遅れる事もあります」

ちひろ「……と、言う事は……?」

清良「絶対とは言いませんが、恐らく勘違いかと……」

ちひろ「……」

ちひろ「…………」

ちひろ「………………」

ちひろ「」ボッ

早苗「おぉ、ちひろちゃんの顔が一気に真っ赤に」

ちひろ「ぁぅぁぅぁぅ~」

清良「とは言え、やる事をやってしまっているなら、可能性がないとは言えませんからね」

清良「もうしばらく様子を見ても、まだ生理が来ないようでしたら、産婦人科で受診する事をお勧めしますよ」

早苗「いやぁ、それにしても、ちひろちゃんがプロデューサー君とそんな関係だったとはねぇ……」

ちひろ「そ、そう言う関係というか……」

早苗「でも、結婚を迫る程度には好きなんでしょ?」

ちひろ「っ! だ、だって! 子供が出来ちゃったなら、責任取ってもらわないとじゃないですかぁ~!!」ウガーッ

早苗「うんうん、勘違いっぽいけどね~」

ちひろ「」グサッ

清良「容赦ないですね」

早苗「そう言えば、婚姻届はまだ分かるんだけど、生命保険は何なの?」

ちひろ「家庭を持つとなったら、それまでと同じ保険内容という訳にもいかないじゃないですか」

清良「そう言うところがしっかりしてる辺りは、いつものちひろさんですね」

清良「それにしても、あのプロデューサーさんが、良く手を出しましたよね」

早苗「まぁ、酔ってたからじゃない?」

ちひろ「……プロデューサーさん、その時の事、覚えてないんですよね」

早苗「あー、そう言えばそうねぇ」

ちひろ「結構、勇気出して誘ったんだけどなぁ……」

早苗「ほほう」キラーンッ

早苗「ふーん、つまり、ちひろちゃんが誘った、と」

ちひろ「は、はい……」

早苗「ちなみに場所は?」

ちひろ「私の家です……」

早苗「……?」


P「すいませーん、そろそろ良いですかー?」


清良「あ、ごめんなさい、忘れていました」

P「ひどくない!?」

早苗「プロデューサー君、起きたら自分ちだったのよね?」

P「そうですね」

ちひろ「目が覚めたら、プロデューサーさん居なかったんですよ~」

P「え、どういう事ですか?」

ちひろ「プロデューサーさんは、私の初めてを奪ったクセに、どこかに逃げちゃったんですよ!!」

P「え、えぇ!?」

早苗「え、初めてだったの?」

ちひろ「そうですよぉ~!!」

清良「それは……流石にちひろさんに同情します」

P「いや、だって、ホントに覚えてなくて……」

ちひろ「人のファーストキスを奪っておいて、そんなこと言うんですか!?」


早苗「ん?」

清良「あら?」

P「え?」

早苗「ねぇ、ちひろちゃん」

ちひろ「なんですか!?」

早苗「その夜、プロデューサー君と何をしたのか、出来れば具体的に教えてくれる?」

ちひろ「えぇ!?」

早苗「とっても大事な事だから」

ちひろ「……えっと、肩を掴まれて、そっとキスを……」

早苗「……え、それだけ?」

ちひろ「そ、そんな訳……恥ずかしいんですよ!?」

早苗「ごめんごめん」

ちひろ「その後、今度はギュッと抱き締められながら……」

ちひろ「その、大人のキスを……」

清良(大人のキスって……要するにディープキスで良いのかしら)

ちひろ「……」

早苗「……あれ、続きは?」

ちひろ「つ、続き……?」

早苗「え、ホントに終わり?」

ちひろ「はい……」

早苗「あー……」ポリポリ

早苗「いくら何でも、これは……清良ちゃん、パスして良い?」

清良「はい」

清良「とりあえず、ちひろさん」

ちひろ「はい」

清良「先ほどは可能性の事を言いましたが、100%妊娠はしてません」

ちひろ「」

ちひろ「え、だって……キスしたんですよ?」

清良「キスじゃ子供は出来ませんよ」

ちひろ「え、え……」

清良「ちひろさん、保健の授業を受けた事はありますよね?」

ちひろ「いえ……」

清良「えっ」

ちひろ「実は、昔は加蓮ちゃんみたいに身体が弱くて、入院を繰り返していて……」

ちひろ「元気になってからは、良い学校に行く為にひたすら勉強していました」

ちひろ「私の治療費やらで家は貧乏だったので、お金を稼いで両親に恩返しがしたかったんです」

清良「なるほど……受験に関係ない保健は切り捨てていたんですね?」

ちひろ「はい……」


北条加蓮
http://i.imgur.com/s7dBLJy.jpg

P「えー、現在会議室の中では、清良先生による、緊急保健授業が行われています」

P「ちなみに俺は閉め出されました」


 ガチャ

ちひろ「」プシュー

P「ちひろさん!?」

ちひろ「」ビクッ

 タタタタタッ

P「走って逃げた!?」

早苗「いやー、面白かったー」

清良「良い授業が出来ました」

P「いや、ちひろさん逃げちゃったんですけど!?」

早苗「……しょうがないんじゃない?」

P「そんな無責任な……」

清良「今はプロデューサーさんに顔を合わせづらいんだと思いますし、少しそっとしてあげてください」

P「いや、それ仕事に影響が……」

早苗「はぁ……プロデューサー君はどうしたいの?」

P「え、どうって……」

早苗「気になるなら追いかけなさい! 男の子でしょ!!」

P「は、はい!!」

 ダダダダダッ

早苗「……まったく」

清良「良かったんですか?」

早苗「だって、しょうがないじゃない。あの2人、もどかし過ぎんのよ」

清良「そうですね」クスッ

早苗「はぁ~、みんな呼んで飲みに行こうかなぁ~」

清良「良いですね」

早苗「あ、清良ちゃんも来る? 来ちゃう?」

清良「はい、お供します」

早苗「よーし、飲むわよー!!」


 その後、Pとちひろは正式に交際を始め、大人組の飲み会開催率が上がったとか。

 おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月25日 (木) 10:01:06   ID: Y0Jmoh57

こんなかわいいちひろさんは初めてだ

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