ジャン「リア充は俺が駆逐してやる…この世から…一匹残らず…!」(151)

ガヤガヤ

ジャン「あー腹減った~」

ジャン「おいマルコ!…あれ?マルコはどこだ?」キョロキョロ

ジャン「まぁいいか」ストン

イチャ……イチャイチャ…

ジャン「…ん?」

フランツ「ハンナ…///」イチャイチャ

ハンナ「フランツ…///」イチャイチャ

ジャン「ちっ…バカップルが」

コニー「よう、ジャン」

ジャン「ようコニー…見てみろよアレ」

フランツ「ハンナ…ふふ…///」ツンツン

ハンナ「やだ///どこ触ってるのフランツ…///」

コニー「ああ、フランツとハンナだな」

ジャン「ったくうざってぇよなぁ…。イチャつくんなら人がいないとこでやれっての。あれじゃまるで彼女がいねぇ俺達に見せつけるみたいじゃねぇか…フランツめ…」

コニー「え?ジャンって彼女いねぇの?」

ジャン「うるせぇ!てめぇだっていねぇだろ!」

コニー「え?俺はいるぞ?当たり前じゃん」

ジャン「」

ジャン「…う、そ…だろ?」

コニー「嘘じゃねぇよ…お、いたいた」

コニー「おーい!サシャー!」コイコイ

ジャン「!」

サシャ「なんですかー?コニー」テテテ…

コニー「紹介しよう!彼女のサシャだ!」エヘン

サシャ「コニーの彼女のサシャです!」エヘン

ジャン「…」

ジャン「…お前ら、本っ当に付き合ってんのか?」

コニー「休みの日とか一緒に遊びにいくぞ?なぁ?」

サシャ「そうなんです!街に出て食べ歩きします!」

ジャン「へぇ…」

コニー「ジャンって彼女いねぇんだって」

サシャ「へぇー。モテそうなのに意外ですね」

ジャン「うるせぇよ…」

サシャ「彼女がいないジャンは休日とかどうやって過ごすんですか?」

ジャン「うるせぇ!どっかいけバカ2人!」

コニー「なんだよ大声出して…」

サシャ「嫉妬してるんですよ。行きましょコニー」

ジャン「…」

ヒソヒソ…
えージャンって彼女いないんだー
なんかコニーとサシャに怒鳴ってたよー
童貞の僻みこえー

ジャン「…ちっ」

ジャン「あっちのテーブルいこ…」ガタッ

ライナー「よう、ジャン。シケた面してどうした?」

ジャン「ライナーとベルトルト…と…?」

クリスタ「こんにちは。ジャン」

ジャン(なんでクリスタが…?)

ジャン「こ、ここいいか?」

ベルトルト「どうぞ」

ジャン「クリスタが1人でいるなんて珍しいな…あのいっつもくっついてるソバカスは?」ストン

ベルトルト「…」ピク

ユミル「誰がソバカスだって?」ヌッ

ジャン「わっ!いきなり後ろから声かけんじゃねぇよ!」ビクッ

ユミル「うるせぇ!てめぇこそ何クリスタのとなり座ってんだこの馬面!」ゲシゲシ

ジャン「誰が馬面だこのクソ女!」

ベルトルト「ユミル」

ユミル「…!」

ベルトルト「…」

ユミル「ちっ」ストン

ジャン(…?ユミルが大人しくベルトルトの横に座った…。てっきりこの女のことだから無理矢理にでも俺をどけてクリスタの隣に座るかとおもったが…)

ライナー「今日は荒れてるな、ジャン。またエレンとケンカでもしたのか?」

ジャン「いや…」

ジャン「お前らサシャとコニーが付き合ってんの知ってたか?」

クリスタ「え?結構前からだよ…?」

ジャン「マジかよ…やっぱマジなのか…うう…」

ライナー「はは、まぁ元気だせ」

ジャン「だってあのコニーだぞ!?お前は先越されて悔しくねぇのかよ!?」

ライナー「…」

クリスタ「…」

ユミル「…」

ベルトルト「…」

ジャン(え…何この空気…)

ライナー「すまん…」

ジャン「い、いやなんでお前が謝るんだよ?」

クリスタ「あ、あのね…ジャン///」

クリスタ「私…ライナーとお付き合いさせてもらってるの…///」

ライナー「///」

ジャン「」

ジャン「い…いつ…から?」

クリスタ「えっと…もうすぐ一ヶ月…かな///」

ユミル「あぁ…私のクリスタがこんな筋肉達磨に…」

クリスタ「何言ってるのユミル。あなただってベルトルトとお付き合いしてるじゃない」

ユミル「ばっ、今言わなくてもいいだろうが!///」ガタタッ

ジャン「」

ベルトルト「黙ってたつもりはないんだけどなぁ…」ポリポリ

ライナー「まあ俺は兎も角、ベルトルトは女っ気のないやつだったからな。気がつかないのも無理ないんじゃないか?」

ジャン「…ベルトルトまで…影薄いくせに…」

ユミル「その影の薄いベルトルさんに先越されちゃったんだろwww悔しいねぇ童貞君ww」

ジャン「うるせぇブス!てめぇみたいな女が彼女なんて羨ましくもなんともねぇよ!」

ユミル「なんだと!」

ベルトルト「ブス、か…確かにそうかもしれないね」

ユミル「!?」

ベルトルト「じゃあさ、ジャン。『可愛い顔』ってどんなの?」

ジャン「え?」

ベルトルト「だから、君が言う『ブス』はユミルだとして、『可愛い女の子』っていうのはどんな顔の子かって聞いてるの」

ジャン「え、えっと…め、目がでかい…とか」

ベルトルト「うん」

ジャン「口がこう、きゅって小さくて…髪が綺麗で…」

ベルトルト「ハァ…だから君は童貞なんだよ、ジャン」

ジャン「あぁ!?」

ベルトルト「目?口?そんなものはただの顔の皮膚の切れ込みでしかないんだよ。君達童貞はそんな表面の皮膚の形成だけでその人間の全てを判断するのかい?」

ジャン「い、いや、その…」

ベルトルト「君は『美』というものがわかってない。全然だめだよジャン。話にならない」

ユミル「…」ムスッ

ベルトルト「あれ、ユミル。何怒ってるの?君の魅力が分からないバカ男の言うことなんてどうでもいいじゃない」

ユミル「違う…ベルトルさんが…」

ベルトルト「僕が何?」

ユミル「私のこと…ブスって…」ゴニョゴニョ

ベルトルト「え?」

ユミル「あ、いや…なんでもねぇよ!」

ベルトルト「ハァ…バカだなぁ君も」

ユミル「なっ!?」

チュッ

ユミル「~~~~ッ!!///」

ベルトルト「世界一可愛いよ、ユミル。君のそのチャーミングなソバカスのメラニン色素まで愛しているよ」チュッチュッ

ユミル「んっ///…ば、ばか…こ、こういう事は…人前でしちゃだめって言ったろ…///」ハァハァ

ベルトルト「うん、そうだったね。じゃあ後で、2人っきりのときに…たっぷり…ね?」サワッ

ユミル「んんぁあっ….///」ゾクゾク

ジャン「何こいつら…キャラ変わってんだけど」

ライナー「ベルトルトは相手の出方によってsにもmにもなれるからな。…こいつに少しでも隙をみせたユミルの負けだな」

クリスタ「ベルトルトすごい!教官の『高い潜在性がうんたらかんたら~』の評価も納得だね!」

ライナー「おいおい、クリスタ…。恋人の前で他の男を褒めるなよ。妬いちまうだろう…?」

クリスタ「あ、ごめんねライナー…」

ライナー「…」

クリスタ「あのね、ライナー///」

ライナー「なんだ?クリスタ」

クリスタ「誰がなんと言おうと…ライナーは世界一カッコいい男の子だよ…///」

ライナー「///」

ジャン「…」

ジャン(なんか取り残された…違うテーブルに移動しよう…)ガタッ

アルミン「あ、ジャン」

ジャン「アルミン…とエレンとミカサか」

エレン「お前、なんか顔死んでんぞ」

ジャン「もういい」

エレン「は?」

ジャン「もういいんだよ、わかり切ってんだよ。お前ら付き合ってんだろ?流れ的にそうだろ避けられないだろ」

ミカサ「…」

エレン「付き合ってる?誰と誰が?」

ジャン「すっとぼけてんじゃねぇぞぉぉぉお!お前とミカサだよおぉぉぉぉおおお!付き合ってんだろぉおおお恋人同士なんだろぉおおぉぉぉ!お互い突き合ってんだろぉおおおぉぉぉああああ!!」

エレン「やめろよ、ジャン。俺たちは付き合ってねぇよ」

ジャン「なんだと?本当か?」

エレン「正確には付き合ってたけど、今は違う」

ジャン(付き合ってたのかよ…ショックだ。でも今は違うってことはフラれたのか?)

ジャン「ざまぁwwww」

エレン「昨日籍をいれてきた」

ジャン「」

ミカサ「…///」

ジャン「せ…き?」

エレン「ああ。俺とミカサは晴れて夫婦になった…」

エレン「これからは2人で力を合わせてこの残酷な世界を生き抜いていくと誓った。」

ミカサ「エレ…あなた。」

エレン「ミカサ…俺はお前が守る」

ミカサ「いえ、私が貴方を守る。」

アルミン「そのほうが妥当だよね」

ジャン「は…はは…」

アルミン「ジャン…黙っていてごめん…知らないほうが幸せだと思ったんだ…ショックが強すぎるから…」

ジャン「いつかは…バレることだろうが…」

アルミン「う…だから1番いい方法で伝えられるように僕もいろいろ考えたんだよ?」

ジャン「…優しさはときに人を傷つけるんだぜ、アルミン。てめぇだってどうせリア充なんだろ?」

アルミン「!!」

ジャン「…」

アルミン「ぼ、ぼくは…」

アルミン「違うよ?」ニコッ

ジャン「本当かアルミン!」

アニ「アルミン。こんなところにいた」

ジャン「!?」

アルミン「ア、アニ!」

アニ「ご飯は私と一緒に食べようって言ったじゃないか。約束破るのかい?」

アルミン「お、覚えてるよアニ…でも今はちょっとマズイんだ…」

アニ「マズイ…?何かあったの?手をかそうか?」

アルミン「いやその、とにかく今は…ごめんね、先に食べててくれないか」

アニ「そっか…」

アニ「そうだよね。私みたいな女とはいたくないよね」

アルミン「え!?」

アニ「ようはそういうことだろ?」*

アルミン「なに言ってるんだアニ!飛躍しすぎだよ!」

アニ「もういい。わかってるんだ…私は目つきは悪いし、すぐ暴力振るうし……それに…」

アルミン「…アニ?」

アニ「…私みたいな女…誰も愛しちゃくれないのさ」

アルミン「…」

アニ「…」

アルミン「…おバカ!」

アニ「!?」

アルミン「君は僕の言うこと何も信じてくれてないんだね」

アニ「…!」ハッ

アルミン「言ったよね?アニは綺麗だよ。この世界の誰よりも、君は綺麗だ。」

アルミン「アニの暴力は一種の愛情表現だとおもってる。ライナーに嫉妬してるくらいだ」

アニ「アルミン…」

アルミン「大好きだよアニ。君はとっても強くて美しくて…素直になれないけれど、優しい女の子だってことを僕は知ってるよ?」

アルミン「…だからプロポーズしたんだ」

エレン「アルミン!お前いつのまに…!」

アルミン「エレンとミカサを見てたら羨ましくなっちゃってさ…返事は保留にされちゃったけどね」

アルミン「アニ」

アニ「…はい」

アルミン「この前の返事を聞かせて欲しい」

アニ「…」

アルミン「僕と結婚してくれるね?アニ」

アニ「…///」コクン

ワーワー

エレン「おめでとう」

ミカサ「おめでとう」

コニー「おめでとう」

サシャ「おめでとうございます!」

ライナー「おめでとう」

クリスタ「おめでとう」

ベルトルト「おめでとう」

ユミル「おめでとさん」

アルミン「ありがとう…みんなありがとう!」

ジャン「…」

アルミン「…ハッ!」

ジャン「このマッシュルームヘッドがぁ!」バキッ

アルミン「うっ…!」

ジャン「見下しやがって!てめぇみたいなのが1番ムカつくんだよ!」

アニ「あんた…ダーリンになにすんだい…覚悟はできてるんだろうね」

エレン「アニ、やめろ」

アニ「!」

エレン「ジャンもだ。みっともねぇぞ」

ジャン「…ッ!」

エレン「アルミンに彼女ができたのはアルミン努力のおかげだ。違うか?」

ジャン「うるせぇ、わかってるよ!……わかってる」

アルミン「…ジャン」

エレン「いや、ていうかそんなに言うならお前も彼女作ればいいだろうが。ミカサはやれんが、他にもいい子はいっぱいいるぞ?」

エレン「なんで彼女作らないんだ?お前よく独り身で耐えられるな。夜とかさみしくないのか?」

エレン「エロいことしたくなったらどうすんだ?我慢すんのか?」

アルミン「エ、エレン…その辺でやめ…」

ジャン「……ち」

ジャン「ちくしょおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」ダッ



あれから幾ばくかの夜が訪れた。

消灯時間はとうに過ぎたが、部屋には自分以外の人間はいなかった。

それもそのはずだ。明日は解散式。

ここにいる人間は、腐っても兵士だ。
兵団に入れば、明日あるかわからない命であることを皆知っている。その恐怖に怯え、それを払拭するように…また、明日あるであろう希望を感じながら、営みに励んでいることだろう。

部屋に充満する、みっしりとした木の質量。
その中に蹲る、矮小な存在感。

ジャンは小さく息を吐く。
その微かな音さえ、行き場を無くし、やがて闇に吸い込まれ消えた。




孤独だ。





だが、もうどうでもいい。俺は…

部屋に響くノックの音でジャンは我に返った。
返事はしなかったが、戸はゆっくり軋みながら開いた。気配に耳をそばだてる。

恐る恐る見るとそこに立っていたのは、ジャンの親友ー否、かつての親友であった。



マルコ「ジャン…」

ジャン「マルコか…」

マルコ「入るよ…。隣いいかい?ジャン」

ジャンは慌てていつもの調子を取り戻し、悪態をついた。


ジャン「…でてけよ。ここは童貞の根城だぜ?」

マルコ「…」

ジャン「てめぇもなんだろ?マルコ」

マルコ「はは、そんなわけないじゃない」

マルコ「僕はまだ童貞だよ」

ジャン「騙されねぇぞ…」

マルコ「疑心暗鬼だなぁ…相手がいたら、こんなところにジャンといるわけないだろ?」

ジャン「…」

マルコ「ここ座るね?」ストン

ジャン「…」

マルコ「ねぇ、ジャン。僕たち童貞は淘汰される存在なのかな」

ジャン「!?」

マルコ「数で言えば圧倒的に多いのに、どうしてなのかな?」

ジャン「…」

マルコ「僕はいつか童貞が捨てられると思ってた。兵団に入ればすぐにでも彼女ができると思ってたんだ…」

ジャン「マルコ…」

マルコ「でも、今はこれで良かったんだと思っている。これで僕は、なんの悔いもなく王に身を捧げられるんだ」

ジャン「マルコ、嘘をつくな。正直に言えよ。…ここは俺達しかいねぇんだ」

マルコは漸くそこでジャンの方を向く。
その瞳は炎のように煌めいていた。



マルコ「リア充のいく先には何があるんだい?ジャン」

ジャン「さあな…結婚、じゃねぇのか?」

マルコ「ハッ、こんなご時世にね…バカバカしい。」


ジャンは親友の口調の変化に息を呑んだ。

マルコ「君は知っているはずだ。104期一のリアリストじゃないか。人類は巨人に支配されている。未来なんて、希望なんてないじゃないか」

マルコ「なのになぜリア充はセックスするんだ?その先には何もないのに。みんなどうせ死ぬんだよ…!」

マルコ「結婚?家族?バカみたいな女とバカみたいにセックスして、バカな子供が…やがて巨人の餌になる子供が生まれて…

そんな未来は、そんな世界は、くだらないよ。」

ジャン「マルコ…」

そう言ってマルコは泣いた。
昂ぶった感情を鎮めるように。
置いていかれた寂しさを埋めるように。

ジャン「マルコ…お前の言うとおりだぜ。」

マルコ「ジャン…!」

ジャン「俺達は兵士だ。女に現抜かしてやがる奴らとは違う」

マルコ「そうだ…僕らは兵士だ!戦いに生き、そして戦いに死ぬべきなんだ。」

ジャン「いや、生き延びるんだ!生きて生きて、生き延びてやろうぜ!くだらないこの世界を、面白おかしく、自由に!」

マルコ「ジャン!!」

ジャン「マルコ!必ず憲兵団に入るぞ!お前と俺ならやれる!」

マルコ「ああ!必ずなろう!」

コンコン

ガチャ

ミーナ「あの…ちょっといいかな?」

ジャンマル「!?」

ジャン「なんか用かよ?」

ミーナ「あんたに用はないわよ」

ミーナ「その…マルコ…///」

マルコ「!?」

ミーナ「今から…外で少し話させないかな?///」

ジャン「」

マルコ「…」

ジャン「マ、マルコ…」

ジャン「いかねぇよな、お前は…なぁ?」

マルコ「…ごめんねジャン」

マルコ「兵士にはやらなきゃならない時がある。」

マルコ「それが今だ!」

バタン

ジャン「」

シーン

ジャン「…」

シーン

ジャン「…」

ガン!

ジャン「ちくしょうが…!」ワナワナ

ジャン「リア充は俺が駆逐してやる…この世から…一匹残らず…!」

翌日 トロスト区

「大型巨人が現れた!?」
「5年前と一緒だ!…もうダメだ」

ジャン「ちくしょう…!なんで今日なんだ…!明日から内地に行けたってのによ」

ベルトルト「…」

ジャン「ちくしょう…ん?」

ミカサ「エレン、戦闘が混乱したら私のところへきて」

エレン「いや、お前が来い。俺が守るから」

ミカサ「私は多分後衛部隊に入れられる。抜けるのは難しい」

ジャン「けっ!こんな時までイチャつきやがって」

ジャン「……なんて話してたのにな…」

ミカサ「エレン…エレン…エレン!いやぁぁぁぁあ!」

アルミン「うっ…うう…」

ジャン(あのエレンの奴がな…ちっ、死に急ぎ野郎の名を体現しやがって…!)

「…」

ジャン(みんなの士気が落ちてる…クソッ!補給所に行かなきゃどうせ死んじまうんだぞ…!)

ミカサ「うわぁぁああん」

ジャン(ミカサはあんな状態だし…)

ジャン(エレン、てめーのせいだぞ!)

「もうダメだ…ガスがないんじゃ…」
「最後に彼に会いたかった…」

ライナー「…」

ジャン(ライナーてめぇ、あんなにニヤついてたじゃねぇか…葬式みたいな顔しやがってよぉ…)

ジャン(なんなんだよお前ら…こんなんじゃ、俺が駆逐する前に全員あの世行きじゃねぇか…!)

ミカサ「うっ、ううっ…」

ジャン(こんな時俺はどうすればいい?どうすれば…クソ、クソ…!)

ジャン(クソ野郎…!)

ジャン「あー、やってらんねー。俺このまま童貞で死ぬのかよー!」

マルコ「ジャン!?」

ジャン「ようマルコ、童貞卒業おめでとさん。ついでにここをどうにかしてくれよ。」

マルコ「ジャン…一体何を」

ジャン「おら、どうにかしてみろよリア充共よぉ!」

「…」

ジャン「リア充ってのは世界の一つや二つ救えねぇのかよ!?無駄にクソセックスするエネルギーはあるくせによぉ!」

ミカサ「ジャン…」

アルミン「そんな…!僕らだって人間だ!そんな、そんな力…あるわけ…」

ジャン「ああ!知ってるさ!てめぇらはセックス中毒の脳足りんだ!世界も、未来も変えられねぇから傷舐め合って生きてるだけのどうしようもねぇチンカス共だ!ウンコだ!よくわかったぜ!」

ジャン「リア充ってのは大事なモン一つ守れねぇまま死ぬ大馬鹿野郎共なんだな!!」

ミカサ「!!」

アルミン「…!」

ジャン「あの死に急ぎ野郎のご立派な演説を忘れたか?

今まで人類は負け続けた!
今まで何人も死んだ!

そいつらは何のために死んだ!?
そいつらは何のために生きた!?

お前らリア充共の、『未来への希望』って奴のためじゃねぇのかよ!」

「…!」

ジャン「ああくそくらえ!お前らは何なんだ!?リア充か!?兵士か!?いいや、違うね!ただのクソだ!カスだ!どいつもこいつも無駄死に野郎だ!」

ジャン「てめぇら、自分の大切な人が巨人に食われていくのを指くわえて見ながら、自分も巨人の胃袋に収まるを待つつもりかよ!ああ!?」

「…」

ジャン「…てめぇらは本当クソだな!俺は先に行くぞ!俺はお前らとは違う…!俺は…」


ジャン「兵士だ!」

ダッ

アルミン「ミカサ…!」

ミカサ「ええ、行きましょうアルミン。仲間を1人で戦わせる訳にはいかない」ダッ

コニー「…けっ!童貞が好き放題いいやがって!」ダッ

ライナー「クソとは心外だな…」ダッ

マルコ「…はぁ、全く君って奴は!」ダッ

ベルトルト「…行こう」ダッ

アニ「…」ダッ

サシャ「…」クルッ

サシャ「やーい!腰抜け!弱虫!あほー!」ダッ

「…」

「…ち」

「ちくしょぉぉおお!あいつらぁ!」
「うおおおおおお!やってやろうじゃねぇか!」
「絶対生き延びてやる!」
「ジャンに続けぇー!」

ワァァァアアア!!!

ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー







あれからまた、月日は流れた。

俺は思うことあって、調査兵団に入団した。
もう三十路を過ぎたが、俺はまだ童貞だ。



いろんなことがあった…フランツはフラ/ンツになったし、マルコは|ルコになった…





しかしその中でも特筆して驚くことは、あの死に急ぎ野郎が生きていて、そして憲兵団に入ったことだ。


奴は巨人化能力を手に入れた。

だがそれを人類の進撃に活かすことなく、身の安全を選んだのだ。



あんなに内地で暮らしたいが故に訓練兵になった人間を軽蔑し、巨人を駆逐したいと息を巻いてた奴が、だ…




だが、それは責められることじゃない。

守るべき家族が増えたんだ。当たり前のことだ。

この前アルミン達にも2人目の子供が生まれた。

あのエレンとミカサの後ろでイジイジしていた気持ち悪いガキが立派なお父さんになっているなんて、感慨深い話だ。




トロスト区攻防線から十数年たったが、あれから超大型巨人と鎧の巨人が現れる気配はない。


巨人にも思うところがあったのかもしれないと、酔狂なことを考えてみる。

人は弱い。
1人では生きていけない生き物だ。だから誰かに寄り添って、寄生して生きている。


だがそうやって、守るべきものができたとき、
人は強くなれるのかもしれないな…




いい年してバカみたいに童貞を守り続けている俺はー


俺は

コンコン

ガチャ

「ジャン団長」

ジャン「…おう」

「お時間です」

ジャン「ああ…今いく」









ジャン「守ってやろうじゃねぇか。お前達の、リア充共の未来をよ。」




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