勇者「真実を見せてくれ」 精霊「甘ちゃん勇者が」 (17)

──酒場


マスター「あ、いらっしゃいませ」

勇者「やあ。前から言ってあった通り、今日旅だった」

マスター「魔王討伐の旅に……でございますね?」

勇者「ああ。この前の約束通り頼むよ」

マスター「いや、あのぉ……申し上げにくいですがぁ」

勇者「……?」

マスター「勇者様のご希望した、

腕っぷしの強い"戦士"

強大な魔力を有する"魔法使い"

治療に長けた"僧侶"

……ですがぁ」

勇者「どうしたんだ」

マスター「……驚かないでください」

マスター「勇者様が指名した彼らは翌日……その……」


マスター「出ていったのです。この酒場から」


勇者「……なんだって?」

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マスター「……はい、申し訳ないです」

勇者「それはつまり、あれか」

勇者「俺に一人で向かえと……そう言っているのか」

マスター「いやぁ、あのぉ……」

勇者「……はぁぁ。他の傭兵は?」

マスター「それが……他の者達も勇者様に選ばれまいと、逃亡しまして……」

マスター「今やこの酒場はもぬけの殻にございます……」

勇者「……」

マスター「……あの、資金の援助くらいは 「いらん」

勇者「致し方ない。俺一人で征こう」

マスター「えっ! それは……」

勇者「何だ、お前が一緒に来てくれるのか」

マスター「い、いえいえっ!! 滅相もなひ……!?」

勇者「そうだろう。だから俺一人でいくのだ」


勇者「……じゃあな」

マスター「は、はひ。何の役にも立てず、その……」

勇者「いいさ」


勇者「魔王を倒す"理由"がまた増えたからな……」


マスター「……?」

勇者「また平和にした後で、ギャーギャー煩いここに帰ってくるよ」

マスター「はい、どうかご無事で……!」

──清風の吹く草原


勇者「……いいな」

勇者「いつ来てもいいと思える。この国の草原は……」

勇者「この草原に吹く風は……本当に心を洗い清めるよだ」


勇者「……いや、それどころでは無かった」

勇者「この先一人で魔王を倒す……というが、些か心細い」

勇者「何とか、旅先で良い傭兵に出会えれば良いが……」


ヒュオオー…


勇者「……風よ、お前が仲間になってはくれないか?」


ヒュオオー


勇者「いいや、馬鹿なことを聞いたな。すまない」

勇者「……さあ、まずは北西の街を目指そう。そこが俺の今日の目標地点だ」

スライム『ピキーッ♪』プリンプリン


勇者「魔物だな……そりゃあッ!」ブンッ


スライム『────ッ!?』ブルブル

スライム『……』フル…

スライム『』


勇者「ふぅ。まだここらの魔物では相手にならないな」

勇者「……だが待てよ、この魔物ォ」


勇者はスライムの死体を漁った!

何と"大ダイヤモンド"が出てきた!


勇者「おおっ……! これは凄い!」

勇者「通常の魔物はこまい"宝石"くらいしか落とさんが、こいつはその"何百倍"という大きさだ!」

勇者「何でこいつがこんなのを持ってるのか……さっぱり分からないが」

勇者「大都市の宿屋で一ヶ月豪遊出来る……そんなレベルの大金が手に入った……!」

勇者「これは幸先いいぞっ!」


ヒュオオー!


──草原の街


勇者「ふーう。やっと着いたか」

勇者「すっかり日も暮れて、鴉がしきりに飛び回っているな……」

勇者「どれ、さっさとこの"宝石"を金に変えて今日の宿を取るとするかな」

勇者「その後で……酒場を当たってみよう」



勇者「……といったものの」

勇者「店がどこにあるか分からないな。これじゃあ、宝石がお金に変えられない」

勇者「それにここは薄暗い……"裏路地"。揉め事に巻き込まれないうちに退避を……」


盗賊「おう、あんちゃん。待ちなァ」


勇者「……したかった」

勇者「……はぁ」

盗賊「そこの幸薄そうな顔のあんちゃんよォ」

盗賊「チラァ……っと懐を見たが、なかなか良いもん持ってるよなァ!」

勇者「それがどうした?」

盗賊「くれよ、俺に」

勇者「嫌だ、これは俺が手に入れたものだ」

勇者「お前にやる筋合いは無い」


盗賊「……そうか、そっか、へー」

勇者「……?」


盗賊「今あんたァ……どうやら『選択』を間違えたようだぜッ!!」サッ


勇者「!」

勇者 (男が短剣を構えた……! 手荒にくるッ!)


盗賊「うらァッ!」ダッ


勇者「っく! 人相手に剣先を向けるのは申し訳無いがッ!」スチャッ


カ キ ィ ン … !

盗賊「なっ……!?」

──盗賊 (俺の短剣が弾かれて……!)


勇者「ちょっと眠ってて貰おうか!」


ゴンッ!


盗賊「────ッ!?」ビクンッ

盗賊「」キュー


勇者「……落ちたか」

勇者「面倒だしこのまま放置しておこう。今もっとも必要なのは……迅速に店を発見できる『幸運』だ」


スタスタ…



 ???「……」サッ


盗賊「ウーン……」

──街の宿屋


勇者「……ふぅ」

勇者「無事に店を発見できて良かった。お陰で温かい布団で眠れる……」


もぞっ


勇者「おやすみ……」


勇者「……」


勇者「……」スーッ


勇者「……」スースー


勇者「……」


こそこそっ…


 ???「……」

勇者「……」

???「こ、こいつが邪悪な"勇者"……!」

???「へ、へんっ! 僕がこの"人間殺しの剣"でさっさと殺してやるッ!」チャキッ

???「や、やァ!!」


ガシッ!


勇者「……」

???「う、嘘ッ!? 僕の腕が掴まれて……!?」

勇者「……何者だ、お前は」

???「ぐっ……動け、動け! 僕の右腕ぇ!!」

勇者「無理だ。お前は女だろう? だから無理だ」

???「くっ……そォーッ!」ギリッ


???「よくも愚弄したなァーッ!」


竜娘「竜族の王族である、僕をッ!!」


勇者「竜族……? 魔物か、お前は」

竜娘「だ、だったら何だ! 早く腕を離せッ!」ジタバタ

勇者「そうか。魔物にしてはよく喋るな……」

竜娘「いいからァ! 離して!」ジタバタ

勇者「……それはできない」

竜娘「離してよぉ……」グスン

勇者「そうかそうか。喋る魔物か」

竜娘「な、なにさぁ……」

勇者「なら 、しばらく俺の話し相手になれ」


竜娘「いやだッ!」クワッ


勇者「……ん? 俺の剣の錆になりたい、と?」

竜娘「言ってないッ!」

勇者「じゃあ……話し相手になれるよな?」

竜娘「それはやだッ!」


チャキッ


竜娘「ひっ……!」


勇者「もう一度聞くぞ……?」

勇者「俺の暇潰し専用になるか?」

竜娘「は、はひっ!」コクコク

勇者「ほら『勇者様、宜しくお願いします』って言ってみろ」

竜娘「な、なんで……!」


バンッ!


竜娘「ゆ、勇者様よろしくおねがいしますぅ!」

勇者「はい、宜しく」

竜娘「……っ!」ギリッ

勇者 (魔物なんてのは害悪でしかないからな。こんな扱いで妥当だろうな……多分)

勇者 (ましてや、自分の命を狙ってきた奴だ。散々パシリにしてやるし、話し相手になってもらう!)


勇者「焼きそばパン程度で済むと思うなよ……!」


竜娘「……???」ガクブル

いつもガチレズとかガチホモしか書いてないから、
ノンケ要素も入れようと思った(小並感)
起きたてはなかなか書けないからまた後に回すゾ。

ちなみにこのssは(魔王討伐とか眼中に)ないです。
だから、王道ファンタジーを期待してた兄貴は帰ってくれよなー、頼むよー。

いや、"w"を何となく多用してしまうようにこういうネタも使うようになるんです。自然に。
申し訳無いから自粛するやでー∧∧

というわけで始めるのは6時です。

──翌日


勇者「あー、よく寝れた!」

竜娘「……それって、手足を縛られたまま床で寝た僕への嫌味?」

勇者「なんだ、寝れなかったか」

竜娘「当たり前でしょ!」

勇者「おっとっと、そんなに騒ぐな」

竜娘「……ぐぬぬ」

勇者「ははっ。それでは、行くか」

竜娘「えっ、本当に僕も行くの……? お前みたいな外道の旅に……」

勇者「当たり前だ。俺は仲間が居なくて暇してたんだ、死にたくなかったらついてこい」

竜娘「……」

勇者「分かったか?」

竜娘 (……いいこと思い付いた)

勇者「……おい?」

竜娘 (ふっふっふ。愚鈍で醜悪なニンゲンよ、お前の息の根を必ず刈り取ってやる……!)

竜娘 (勇者と言われる悪魔の終着点でなァ!)


勇者「返事ィーッ!!」


竜娘「! は、はいすいませんッ!!」

──清風の吹く草原


勇者「よし、物資も街で買い込んだし……出発といこうか」

竜娘「……」

勇者「気分が悪いか?」

竜娘「……別に」

勇者「そうか、それならいい」

竜娘 (こいつ、本当に僕がオールオッケーだと思ってるわけ?)

竜娘 (首に妙なものつけられてさ!)


勇者「ところで、その首輪はどうだ? 気に入ったか?」

竜娘「ち、"力を封じ込める首輪"だなんて糞みたいなのを、気に入る訳がないッ!」

勇者「……いやー、丁度いいのは見つかって良かったな。手足をわざわざ縛る必要もない!」

竜娘「うぐっ……」

勇者「それにお前の腕力も大したことはないし、いつでも俺はお前を殺せるって訳だ!」

勇者「やっぱり、魔物と人間はこうでなくてはな!」

竜娘 (やっぱり人間は悪魔だ……!)

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