エルヴィン「これは訓練だ」ヒストリア「!?」(47)


エルヴィン「始める前に、まず着替えてもらおう。これを見たまえ」

ヒストリア「この衣装は……? ブーツと、肘まで届く手袋…… そして……」

エルヴィン「君は女王になるのだ」

リヴァイ「形から入れってことだ。さっさと着換えろ」

ヒストリア「はい……」


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リヴァイ「……ほう。少しは女王らしくなったじゃねえか」

エルヴィン「では鞭を振るってみたまえ」

ヒストリア「こう……ですか?」ヒュッ

リヴァイ「全然なってない。気合いを込めろ!」

ヒストリア「はいすみません!」




ビュッ
ビシーン


リヴァイ「そうだその調子だ…… じゃあ、声を出してこれを読め」

ヒストリア「えっ…… これって」

リヴァイ「つべこべ言うんじゃねえ! ……俺の言う通りにやれ」

ヒストリア「はい…… 『おい豚』」

エルヴィン「はいッ!」

リヴァイ「待て。中断。……てめぇ本当に女王か? もっと背筋伸ばしてでけえ声出せよ!」

ヒストリア「『おい豚!!』」

リヴァイ「続けろ」

ヒストリア「『豚のくせに服なんか着てんじゃない! 裸になれ!』」

エルヴィン「はい少々お待ちを!」

リヴァイ「駄目だ。腹の底から声出せ腹の底から!」

ヒストリア「はい……『裸になれ!』」


リヴァイ「それでいい。続けろ」

ヒストリア「『お前今パンツまで脱ごうとしただろう? 私の前でパンツを脱いでどうしようというのだ?』」

エルヴィン「それは…… 女王様が裸になれと」

ヒストリア「『嘘を言うな。お前は本心から、私の前でパンツを脱ぎたかったんだろう?』」

エルヴィン「うう……」

ヒストリア「『私の前でパンツを脱ぎたい。それは単なる、……お前のあからさまな欲望』」

リヴァイ「聞こえねえぞ! 気合いを込めろ気合いを!」

ヒストリア「すみません」

リヴァイ「女王が謝ってんじゃねえ!」

ヒストリア「……『いちいち口出しすんなチビ!』」

リヴァイ「! いいぞ…… 続けろ」


ヒストリア「『私の前でそのような欲望を抱く、お前はいったい何なのだ?』」

エルヴィン「どうかお許しを陛下…… 私はこれでも、調査兵団団長……」

ヒストリア「『聞・こ・え・な・い。お前が言いたくないなら、私がはっきり言ってあげる。お前は、ただの変態なんだろう?』」

エルヴィン「お許しください女王様!」

ヒストリア「『私は高貴なる女王。その私の前で、お前は不届きにも、薄汚い陰部をさらけ出そうとした。そうせずにはいられなかった! 違うのか!』」

エルヴィン「……」

ヒストリア「『お前は今までに、何百人もの兵士を死なせてきた。そうだろう?』」

エルヴィン「はい、仰せの通り!」

ヒストリア「『なのにお前は、死者の無念を思いやるよりも、私の面前で変態性欲を満たすことの方を優先して憚らない。違うか!』」

エルヴィン「……どうかお許しくださいませ」

ヒストリア「『許せだと!? お前今、確かにそう言ったのか!』」

エルヴィン「は、はい……」

ヒストリア「『信じられない。お前それでも人間?』」


エルヴィン「いいえ! 人間はとうにやめた豚でございます!」

ヒストリア「『豚なのは分かっている…… でも、なぜお前、人間やめて豚になってまで、変態的欲望を満足させることが大事なのか? 私は理解に苦しむ。説明せよ……』」

リヴァイ「おい! そこでエルヴィンの頭を踏み付けにするってのが抜けてねえか」

ヒストリア「は…… 本当に、やるんですか」

リヴァイ「時間がねえんだぞ。マジメにやれ!」

ヒストリア「はい! 『聞いてるのかこの豚!』」グリグリ

エルヴィン「申し訳ございません女王様! 私は豚でございます! せめてもの償いにと右前脚を差し出しましたがそれで済むとは思っておりません、陛下のお裁きを!」

ヒストリア「『なら尻をお出し』」

エルヴィン「は?」

ヒストリア「『尻を出すんだよこの、うすのろ豚!』」ピシッ

リヴァイ「おい…… てめぇの持ってる物は何だ? てめぇは鞭でそいつの尻を撫でてやってるのか?」

ヒストリア「これでは…… 駄目ですか」


リヴァイ「ちょっと貸してみろ。……豚ってのはな、これくらい力を込めてひっぱたくもんだ!」ビシィィッ

エルヴィン「ひぎゃ!」

ヒストリア「分かりました…… 『本当は気持ちいいんだろこの変態豚!』」ビシシィィッ

エルヴィン「んぎぃっ! ああ……! 気持ちようございます女王様!」




ビシーン
バシーッ
ヒギャー



コニー「派手にやってるな……」

ジャン「ふざけんなよ…… こんなのに何の意味があるってんだ!」

アルミン「確かに、女王になるための訓練を調査兵団でやるっていうのは、変だよね……」

ミカサ「私には、あの二人の趣味が優先しているとしか思えない」

エレン「そりゃいくら何でも言い過ぎだろ!」

アルミン「いや。どう考えても方向性がずれてるとしか……」

ジャン「それが調査兵団の調査兵団たる所以かもな」

104期全員「……」




ビシィーッ
ギャー



ヒストリア「ハァハァ」

リヴァイ「きょうはこのくらいでいいだろう。エルヴィン、パンツを戻せ」

エルヴィン「うむ…… ヒストリア、どうかくれぐれも私の人間性を誤解しないでもらいたいのだが」

ヒストリア「いえ…… 必要な演出と、理解しました」

リヴァイ(ちっ。なってねえな)




ヒストリア「明日も、同じことをするんでしょうか……?」

リヴァイ「いや。次は台本無しでやってもらう。お前自身の言葉でだ」

ヒストリア「そんな…… できません!」

リヴァイ「甘えてんじゃねえ! いいか。言葉責めはな、女王として振る舞う基本中の基本だ。これができなきゃ女王どころかただのメスブタだ!」

ヒストリア「そんなこと言われても…… 今の私はどっちかと言えばむしろメスブタで」

リヴァイ「やめろ! もう一度口にしてみろ。お前を役立たずとみなしてぶち殺すからな! 自分がメスブタだと思うなら、一晩かけて女王としての自分を造り上げろ。これは命令だ」

ヒストリア「はい……」


リヴァイ「こいつを付けてみろ」

ヒストリア「これは、……目の周りだけを隠す仮面ですか」※

リヴァイ「そうだ。それで鏡の前に立って、自分をよく見ろ」

ヒストリア「……」

リヴァイ「どうだ。少しは自分が変わったように思うか?」

ヒストリア「はい…… 何となく」

リヴァイ「今からはこれが本当のお前だ。昔の自分は忘れるんだ。いいな?」


※ベネチアンマスクのようなもの



~翌朝~


アルミン「おはようヒストリア…… ってうわあびっくりした!」

ジャン「お前…… そりゃ何の真似だよ」

ヒストリア「兵長の命令で。次の訓練までこの仮面を付けたままでいろと」

リヴァイ「お前ら」

104期全員「おはようございます!」

リヴァイ「ヒストリア、お前まであいさつする必要はない」

ヒストリア「……はい」

リヴァイ「お前らに言っておく。きょうからヒストリアにタメ口をきくことは許さん。こいつは女王だ。女王として敬え。分かったか!」

104期(ヒストリア除く)「……はい」




~訓練2日目~


ヒストリア(うわ…… 団長が最初っからすっぽんぽんで亀甲縛りにされてる)

リヴァイ「始めろ」

ヒストリア「……エルヴィン・スミス」

リヴァイ「声が小さい!」

ヒストリア「はいすみません!」

リヴァイ「いちいち謝るな! おい。てめぇのしてえことは何だ?」

ヒストリア「一刻も早く、女王としての自分を確立することです」

リヴァイ「違うな」

ヒストリア「?」

リヴァイ「『確立する』なんて段階は終わったんだ。鏡を見ただろう? もうお前は女王なんだ! だったらやることは決まってるはずだぞ!」


ヒストリア「はい……」

リヴァイ「理解したか!」

ヒストリア「はい!(深呼吸) エルヴィン・スミス」

リヴァイ「そうだ。腹の底から声を出すんだ」

エルヴィン「はい女王様!」

ヒストリア「なぜ…… お前は生きている?」

エルヴィン「調査兵団団長としての、務めを果たすためであります!」

ヒストリア「団長? その格好は何だ? どう見てもただの変態じゃないか!」

エルヴィン「これはっ…… 務めを果たす私の誠意を、陛下にお分かりいただきたく!」

ヒストリア「務め。……分からないな。なぜお前はおめおめと生き延びて、務めにしがみ付く? お前のずさんな作戦で命を落とした何百もの英霊の声が聞こえないのか?」


エルヴィン「今のままでは、彼らが浮かばれないからで」

ヒストリア「豚のくせに思い上がるんじゃない! そんなのは全部言い訳だ。言ってあげようお前の本心を。お前は生き永らえたい。そして、」

リヴァイ「……どうした?」

ヒストリア「すみません、これ以上は、とても……」

リヴァイ「何か言ったか? 休んでる暇はねえぞ」

ヒストリア「はい! ……もっともっと、変態的欲望を満たしたい! そうなんだろう?」

エルヴィン「ぐっ…… そのようなことは、決して」

ヒストリア「自分にまで嘘をつくのか。よく耳を澄ますがいい。英霊たちの呪いの声が聞こえるだろう? それとも、お前は心の耳をとうに塞いで、何も聞こえないようにしてしまったのか?」

エルヴィン「ごらんください女王様私はこのようにみじめな姿をさらし女王様のお裁きのままに鞭打たれたいと!」

ヒストリア「吠えたなこの変態亀が!」


ビシーッ


エルヴィン「ふぎーー!」


ヒストリア「罪深いお前。英霊たちの呪いをよそに、お前はご褒美の鞭を貰ってよがり泣いている亀なんだよ? 英霊たちからの贈り物だと思って、受けるがいい。これは、第57回壁外調査で戦死した兵士たちの分!」バシーン!

エルヴィン「うぎい!」

ヒストリア「そしてこれはエレン奪回作戦で戦死した兵士たちの分!」

エルヴィン「ぴぎゃ!」

ヒストリア「これはお前の間抜けな作戦に巻き込まれて死んでいった民間人の分!」

エルヴィン「ぐおえ!」

ヒストリア「気持ち良さそうだなぁお前。全身傷だらけになっても嬉し泣きしてるじゃないか。傷口を塞いであげなきゃねぇ」

エルヴィン「お、お許しください女王様!」

ヒストリア「ほら。この蝋燭も、死んでいった人々からの贈り物だよ。熱っつい蝋が、お前の傷口に染みわたるだろう……?」ポタポタ

エルヴィン「ひぃぃぃっ!」



~30分後~


リヴァイ「……きょうはここまでだ」

ヒストリア「」

リヴァイ「立て。何へたり込んでんだ?」

ヒストリア「はい…… 少し疲れました」

リヴァイ「甘えてんじゃねえぞ。いいか、支配者が弱ってるところ見せたらな、下にいる奴は必ず舐めてかかる。命がいくつあっても足りねえ。よく覚えとけ」


バタン


エルヴィン「大丈夫か」

ヒストリア「団長! 申し訳ありませんでした!」

エルヴィン「いや、よく頑張った。きつかっただろう?」

ヒストリア「きつかっただなんて! 私はただの大バカです!」

エルヴィン「それ以上言わなくていい。明日が訓練最終日だ。私はリヴァイと交代する。しっかり頼むぞ」

ヒストリア「え……」




~訓練3日目(最終日)~


エルヴィン「さあ、あとひと頑張りだ。心構えは大丈夫か?」

ヒストリア「……はい!」

エルヴィン「open the curtain!」ザァーーッ


バァーーン!!


ヒストリア「こっ…… これは!」

エルヴィン「驚くのも無理はない。これが彼の真の姿だ。君にいたぶられるのを、彼は期待に胸をおののかせて待っているのだ!」


ヒストリア(嘘…… 亀甲縛りにされたすっぽんぽんの兵長が立体機動装置のワイヤーで吊るされて…… 目隠しされて口枷をはめられてるなんて!)

エルヴィン「さあ、遠慮なくやりたまえヒストリア女王!」

ヒストリア「はい!(深呼吸) ……とうとうお前…… 望みが叶ったんだね。地面を這い回る芋虫が、遂に蝶へと脱皮したか! さあ、この私の鞭を受けて空を舞うがいい!」ビュッ


ビシーン!!


リヴァイ「フンギギギィ~~~!!」

ヒストリア「蝶になっても鳴き声は醜い芋虫のままか! 芋虫のくせに人類最強を詐称した罪を思い知れ!」


ビターン!!!


リヴァイ「ンギィィィ~~~!!」


ヒストリア「肝心の時にはいつも役立たずのくせに!」


バシーッ!!!


リヴァイ「ンギギギェェェ~~~!!」

エルヴィン(幸せそうだなリヴァイ。人類最強の兵士長が、サディストの仮面を被った真性のマゾだというのは調査兵団の最重要機密。これを知ってしまったからには、後戻りはできないのだぞヒストリア……)

ヒストリア(何なの…… 何なのこの、こみ上げてくる快感は!? 人類最強のリヴァイ兵長が今、私に鞭打たれて、豚みたいに悲鳴を上げている! そうか。これが! これが権力というものなのか!)




ビシーッ
フンギー



ジャン「おい…… きょうは声が違うな」

コニー「ひょっとして、リヴァイ兵長が!?」

エレン「そんなバカな!」

ミカサ「いや。あり得なくはない。あのチビの異常性は想像以上に根が深い」

コニー「まさか…… 次は俺たちに順番が回ってくるんじゃねえだろうな?」

ジャン「何だと? 俺は断固拒否するぜ! ……ミカサお前どうすんだ?」

ミカサ「男子はともかく、女子にも参加を強要するなら、それは6年前に置かれた状況と同じ。私はあの時のように戦うだけ。戦わなければ生き残れない! だからエレン、あなたにも腹を決めてほしい」

エレン「お、おう……」


ジャン「てめえその歯切れの悪さは何だよ? ヒストリアにひっぱたかれてえのか?」

エレン「そんなわけねえだろ! ただ…… 団長と兵長の判断だからな」

ジャン「はぁ?」

コニー「俺も変態ごっこはご免だぜ! だからエレン、いざとなりゃお前の巨人が頼りになるんだよ」

ジャン「腹決めろよ。お前の巨人がついてりゃ、あの人らも簡単には手出しできねえはずだ」

サシャ「そうですよ、ここはエレンがしっかりしてくれなきゃ!」

ジャン「そう言うお前こそ、メシ抜きにされても断る覚悟があるんだろうな?」

サシャ「当たり前じゃないですか! どんなにお腹が減ったって変態遊戯はできませんよ! ……たぶん」




~翌朝~


コニー「(超小声)おい。きょうはあの気色悪い仮面付けてねえぞ」

ジャン「(同)妙に晴れ晴れした顔してるな…… アルミン、聞いてくれよ例の件」

アルミン「(同)え?…… 僕が?」

ジャン「(同)こういうのはお前が適役なんだよ!」

アルミン「……分かったよ。……コホン、あの、陛下おはようございます」

ヒストリア「おはよう」

アルミン「爽やかな朝でございます」

ヒストリア「そうね」

アルミン「ええと、……昨晩のお疲れは残っておられませんか?」

ヒストリア「少しも残っていない。それがどうかした?」


アルミン「いえ、連日の訓練が陛下のご健康を損ねては一大事と、まことに僭越ながら、私にはそれが気掛かりでございまして」

ヒストリア「心配してくれて嬉しく思う」

アルミン「それで、その、本日も訓練がございますので?」

ヒストリア「いいえ。昨夜で訓練はすべて終了。あなたたちが心配するには及ばない」

104期たち(よかったぁ……)


850年○月×日。
ヒストリア女王の、事実上の戴冠日。


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~王宮内~


王様「どうしたことだ? 家臣どもの姿が全く見当たらん。おい、誰かおらんのか?」

エルヴィン「人をお探しですかな」

王様「む……? その方は、はて誰であったかな……」

エルヴィン「第13代調査兵団団長、エルヴィン・スミスでございます」

王様「何! 調査兵団じゃと!?」

エルヴィン「前王陛下の身柄を引き取りにまいりました」

王様「狂ったか! 誰か出会え、謀反人じゃ!」


リヴァイ「わめくな豚野郎!」

ナイル「おい、こいつの衣装を剥いで裸にしろ」

憲兵たち「はっ!」ドドドド

王様「無礼者め何をする!? ナイル? 貴様まで裏切ったのか!」

エルヴィン「王都は私の部下とナイル指揮下の憲兵団が完全に掌握した。あなたの身分はもはや豚小屋出身家畜以下の奴隷だ。……では女王陛下、こちらへ」

ヒストリア「これか? 奴隷になりたての豚というのは?」

エルヴィン「さようでございます。女王おんみずから、立派な奴隷となるまで調教していただきたいと存じます。どうぞこれを」

ヒストリア「何なのだ? 見慣れぬ棒だが……」

エルヴィン「これは『奴隷精神注入棒』と申しまして。尻の穴にこれを突っ込んでよーくほぐしてやりますれば、どれほど不遜な奴隷もたちどころに身の程をわきまえるという、それは優れた代物なのでございます」


ヒストリア「そうか。では使わせてもらうとしよう」

ナイル「お前たち、そいつをうつ伏せにして押さえ付けとけ」

王様「やめろお、やめてくれナイル、お前を総統にしてやるから、褒美もはずむから勘弁して、嫌だ嫌だ、嫌だあぁぁぁぁーーーーー!!」

リヴァイ「うるせえ豚だな」

王様「やめてぇぇぇぇぇいやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーアッーーーーー!!!」



ヒストリア「ほれほれ! お前こんなのは序の口だよ? たっぷり時間かけて立派な奴隷になれるまで調教してあげるからね!」

王様(元)「」




~王都・新女王の戴冠パレード~


男1「お? 門が開いた…… 行列が出てきたぞ! ん? 先頭で四つん這いになって荷車を引っ張ってるのは…… あれは王様じゃねえか!」

男2「そうだボロを着てやつれているが確かに王様だ! で…… 荷車に乗って鞭を振るってる女は?」

男3「あれが女王様だろ! 正統な王位継承者だっていう!」

男1「王様の背中に看板が立ってる…… 何々?」


     ぼ  く  わ

      ブ   タ

     れ     す


男1「王様が自分を豚だと認めちまったってのかぁ! ほーう、女王様は派手にお仕置きしてやがるなあ!」


ヒストリア「この豚野郎! 何をのろのろ這いずってやがんだよ!」ビシッ

豚野郎(元王様)「ひぇぇ、豚が這いずるのは遅いんでございますお許しください女王様!」


エルヴィン(馬上)「調教は問題なく完了したようだな」

リヴァイ(同)「事前の調査に抜かりはなかった。すべて作戦通りだ」


女1「儀仗兵は全員調査兵団らしいよ!」

男3「女王様は調査兵団のご出身だからな! 丸ごと親衛隊としてお抱えになったらしいぜ!」



~行列後方~


エレン(馬上)「何なんだよこのお祭り騒ぎは……」

ミカサ(同)「エレン前を向いて。儀仗兵としての務めを、今は果たさなければ」

エレン「そうは言ったってよ…… 何だってヒストリアは、無抵抗の王様…元王様を鞭でひっぱたいてんだ。見物人はそれを見てバカみてえに喜んでる」

ミカサ「これはそういう儀式。仕方がない」

エレン「仕方がないだって!?」

ミカサ「大きな声を出さない!」


エレン「お前は疑問を感じねえのか?」

ミカサ「感じたところでエレン、あなたに何ができる?」

エレン「!?」

ミカサ「落ち着いて。エレン、あなたが怒るのは当たり前。それでこそ私のエレン」

エレン「大きな声出したのは悪かった。だけどよ、……時々お前がよく分からなくなる」

ミカサ「エレン…… 帰ってから、私と話し合う時間が欲しい」

エレン「そうだな。少し時間を取るか」

ミカサ「うん」



ミカサ(彼女はかつて女神クリスタ・レンズであり、そして中身が空っぽのヒストリア・レイスとなり、今、ヒストリア女王となった。この先、それ以外の何にもなることはない。それがこの残酷な世界の現実)

エレン(だよな……!)


ヒストリア「後ろがつかえるだろ、さっさと這えよこの豚!」

豚野郎「ぎひぃぃぃ! 申し訳ありませぬ女王様ぁぁぁ!!!」

ヒストリア「こいつをくれてやらないと気合いが入らないみたいだねぇ。ほれ」

豚野郎「! んぎもぢぃぃぃぃィィィーーーーー!!!」


男4「おい。ケツの穴に棒突っ込まれたら俄然張り切りだしたぜ!」

女2「石ぶつけてやったらもっと早くなるんじゃないか? こら、どうだ!」

男5「豚野郎めこうしてやる!」

女3「悪政の報いだ!」




一輪車に乗って道化師アルミン登場!


アルミン「はぁ~い皆の衆、わたくし、道化師のアルミン・アルレルトでござーい!」

群衆「お? 何だかまた面白そうな奴が来やがったぜ!」

アルミン「いえいえ、面白いのはこの豚野郎! こいつのケツに突っ込んだ舵棒をチョイトひねってやりますれば!」

豚野郎「ブヒヒヒィィィーーーーーー!!」

アルミン「とまぁ、あら不思議! たちまちブタの全力疾走! おぉ、女王陛下お気をお付けあそばせ、大事なお身体でございますゆえ!」

ヒストリア「お前に心配されるような間抜けと思ってるのか? この私が」

アルミン「いえいえ滅相もございませんお許しを! 陛下は馬術の達人でございました! もちろん、ブタを御しあそばされるのも天下一品!」

群衆「ワハハハハハ!!!(拍手)」


アルミン「この豚野郎め、陛下のご機嫌を損ねる身の程知らずが、そりゃ!」グイ

豚野郎「プギギギギィィーーーーーー!」

群衆「ギャハハハハハハ!!!」

男6「女王のご機嫌損ねるたぁふてぇ野郎だ!」

女4「こいつでも、食らいやがれ!」


エレン「皆さん、投石は控えて、控えてください! ……石投げるなっつってんだろ!」

ハンジ(馬上)「列を乱すな新兵! 所定の位置に戻れ」

エレン「!……」


こうして!

ヒストリア女王による「鞭と蝋燭の治世」は始まった!



~壁外~


ライナー「何だってぇ! 女王の命令?」

ベルトルト「うん。クーデターに同調しなかった高官は家族もろとも、処刑されるか、鞭打たれた上で奴隷として市民に下げ渡しになった。すべて女王の意向だとか」

ライナー「」

ベルトルト「女神クリスタはもういない。彼女はヒストリア女王なんだ」

ライナー「」

ベルトルト「ライナー? 大丈夫か?」


ライナー「悪魔の末裔がぁぁぁ…… 根絶やしにしてやる!!」




皆の衆thx
〉〉26で中断のレスを出すべきだった、紛らわしい区切り方して申し訳ない

このSSまとめへのコメント

1 :  千駄ヶ谷   2016年10月05日 (水) 21:48:07   ID: kW-zD1v6

実に面白い作品でした。続きが欲しいですね。

2 :  安芸矢口   2016年10月05日 (水) 22:04:36   ID: kW-zD1v6

ヒストリアカッコいい(*´∇`*)

3 :  細呂木   2016年10月05日 (水) 22:40:36   ID: kW-zD1v6

女神(比喩表現)は要らない

4 :  巌根   2016年10月05日 (水) 22:54:38   ID: kW-zD1v6

本当にかっこいいよ(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

5 :  野幌   2016年11月28日 (月) 08:15:15   ID: jIVuNek9

続編ほしいです‼️

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