女勇者「初めまして、よろしくお願い致します」 男「はい?」 (24)

女勇者「あ、もしかして今回が魔大戦の参戦初めてですか?」

男「え?何?なんかの企画?」

女勇者「いえ、戦争です」

男「は、はい?」

女勇者「こちらの世界は…えーと、西暦2014年」

女勇者「なるほど、我々の時代より遥か昔の世界なのですね」

男「え、あの…」

女勇者「気にしないでください、大丈夫ですよ」

男「…(俺は大丈夫じゃねえよ)」

女勇者「つまり、今回はこの国が魔大戦の決戦場となったわけです」

男「だからなんだよそれわけわかんねえな!!」

女勇者「はぁ…そうですね、この時代は魔法もないみたいですし、最初から説明しますよ」

女勇者「私は勇者です。勇者軍の総大将、そして敵は魔王軍です。」

女勇者「私の仲間達はこの国のどこかに散らばっています。仲間を探して魔王軍と対峙するもよし」

女勇者「あ、もちろん私を単身乗り込ませてもいいですよ」

女勇者「ただ、負けた場合は人類の未来は保証できません。今のところは勇者軍が勝ち続けています。」

男「えーと、なんだそれ…」

女勇者「つまり、あなたが軍師となって私やその他の仲間達の指揮をとってください」

男「はぁ!?なんで!?どういうこと!?というか何で俺んち来たの!?」

女勇者「それはですねぇ、あなたが勇者と由縁のある存在だからですね」

男「えええ…」

女勇者「大丈夫です。この家が本拠地になるので、この家だけは死んでも守ります。あ、死んだら終わりですけど(笑)」

男「(笑)じゃねえよ…どうなってんだあああああああ!!」

男「で、見返りとかあるの?」

女勇者「見返り…ですか?」

男「そう、参加するんだからなんかもらえないと参加損じゃないの」

女勇者「いえ、参加損とかじゃなくて、負けたら人類の未来がないです。多分」

男「やべえ俺今凄くお前を殴りたい」

女勇者「あ、いいですよ、殴れるもんなら、ただ多分というか確実に私のほうがあなたより強いですけど」

男「地味に腹立つなこの女」

女勇者「はぁ、でもそうですね、もし勝利したらおっぱいくらい揉んでもいいですよ」

男「なっ!?」

女勇者「冗談です。本気にしないでください、きっしょ」

女勇者「こんな奴が勇者に由縁あるとか最低ですね」

男「…(うぜぇ)」

女勇者「さて、どうしましょうか」

男「うーん、とりあえずお前の仲間とやらを探すのがいいんじゃないか?」

女勇者「そうですねー、確かに一人では心細いですし」

女勇者「基本的に国と言っても同じ町内もしくはえーと、この国で言う『県内』に敵も味方も召喚されているはずなので」

男「ほほう、じゃあ探すのは簡単」ドガーン

女勇者「っ!!この爆発は!」

男「なんだ!?ガス工場でも爆発したのか!?」

女勇者「いえ、一気に魔力が膨れ上がった感覚がありました。おそらく…」

男「戦いが始まった…?」

女勇者「そう考えてもらって問題ないでしょう」

男「これは…行かないとやばいんだよな?」

女勇者「ええ、まあ、いいですよ私一人で行きますんで」

男「えええ…」

女勇者「だって何かあなたやる気なさそうなんですよねー」

男「やる気ないっていうかいきなり説明されても意味わからん!俺からしたら突然人の家に現れたコスプレ野郎にしか見えんし」

女勇者「野郎じゃなくて女です。じゃあいいです私一人で行ってきますんで」ガチャッ

男「あ…」

男「…」

男「うーむ…イマイチ信じがたいが…」

男「ガチなんだろうか…」

男「行ってみよっと」ガチャッ

――――

男「確かあっちの方だったよな」

ドガーン!!

男「うわっまた!?」

男「…怖いけど、なんだろう…あの勇者とか言うの心配だし」

――――

男「この辺か!?」

女魔道士「爆炎魔法!!」ドガァァァン

氷の魔人「氷結界!!」ギィィィン

女魔道士「はぁ…はぁ…」

男「あ、あの女の子か…?」

男「だいぶバテてるみたいだってか、勇者いねえし」

氷の魔人「くくく、魔道士が一人とは好都合だった、ここで死んでもらおう!」

男「まずいぞこのままじゃ…」

氷の魔人「アイスアロー!!」

ズダダダダダ

女魔道士「きゃああああああ!!!」

男「あっ…」

女魔道士「ぐううう…」

氷の魔人「急所は外れたか、だが次でトドメだ!」

女魔道士「詠唱開始…」

氷の魔人「貴様のような未熟者では俺の詠唱速度には追いつけんな」

―勇者よ

男「…」ゾクッ

―始まりの勇者よ

男「な、なんだ…?」

―全てをあなたに

男「あ、あああああ!!!」ゴオオオオオオ

氷の魔人「誰だ!?」

女魔道士「なに?あの光の柱は…?」

女魔道士「でも、チャンス!!爆炎魔法!!」

ドガァァァン

氷の魔人「ちっ、結界を張りそこねたか!」

男「召喚、光の剣!!」キュオーン

男「切り裂け!!」

氷の魔人「な、なんだ?剣がっ!?」

ズバババババババババ

氷の魔人「うおおおおおお!!?ぐああああああ!!!」

氷の魔人「おのれ…魔王様…今回の大戦、合流できず…」ブシュン

男「うっ…」バタッ

女魔道士「はぁ…はぁ…あの人は一体…?今回の仲間…?」」

女魔道士「ねぇ、ちょっと」

男「あ、ああ…良かった、無事か」

女魔道士「あれ、服装が明らかにこっちの時代の人だ…」

女勇者「ふう、やっとついた…ってあれ、終わってるんですか?」

女魔道士「あ、もしやあなたが勇者様ですか?」

女勇者「はい、そうなんですけど…これは…って、軍師殿」

女魔道士「え、軍師様…?てっきり今回の仲間かと…」

女勇者「え、どういうことです?」

女魔道士「何か剣を呼び出して敵を倒しちゃって…」

女勇者「はい…?」

女勇者「それって勇者にしか使えない高位魔法では…」

女勇者「どういうことですか軍師殿!」

男「…わからん」

女勇者「ええ…」

男「ただ、頭の中に声が…」

女勇者「あ、とりあえず軍師殿の家に戻りましょう」

男「うん、わかった。君も来るだろ?」

女魔道士「は、はい、お言葉に甘えて」

女勇者「今回の魔大戦、一癖も二癖もある感じになりそうですね」ニヤッ

男「何で嬉しそうなんだ…まだ俺は状況すらよくわかってないのに」

女勇者「仲間達は別として、私はもう何十回と参戦してますからね、たまには不思議な展開を望むのですよ」

男「はぁ…」

―――男の家

女勇者「なるほど、頭のなかに声が聞こえたと」

男「ああ、始まりの勇者…とかなんとか」

女勇者「なっ!?」

男「え?」

女勇者「あ、あなたが…!?」

女勇者「ということは…確か、私の荷物に」ガサガサ

女勇者「あった!これです!」

男「なんだこれはえーと、巻物??」

女魔道士「あ、これ軍師様にそっくり」

女勇者「一番最初にこの世界に誕生したと言われている勇者です」

女勇者「なるほど、この書物を手に入れた時はずいぶんとアホ面の勇者だと思ったのですが、そういうことですね」

女勇者「納得です」キリッ

男「やべえ凄くお前を殴りたい」

女魔道士「あの、ということは…今回の魔大戦は」

女勇者「ええ、勇者が2人ということになります」

女魔道士「やったぁ!それって凄く有利ですよね!」

女勇者「ええ、魔王が2人いない限りはそうですね」

男「魔王が…2人?」

男「魔王ってデスタ○ーアとかミルド○ースみたいな感じでいいのか?」

女勇者「ちょっと何言ってるかわかんないです」

男「はい、すいません」

女勇者「うーんと、じゃ今夜は寝ますか」

男「そうだな…二人共、風呂はいるよな?お湯入れてくるから」

女勇者「え、ええ」

女魔道士「ありがとうございますー!」

女勇者「…(優しいんですね)」クスッ

女魔道士「…どうしたんですか勇者様」

女勇者「いえ、何でもありません」

―――――

男「それじゃ、2人の寝室はここな、俺は向こうの部屋で寝てるから何かあったら起こしてくれ」

女勇者「はい、わかりました」

女魔道士「それじゃあおやすみなさーい!」

男「うん、おやすみ」バタン

女勇者「…(やはり、優しい、確かに彼は勇者の器なのかもしれません)」

女魔道士「ねぇねぇ勇者様」

女勇者「何ですか?」

女魔道士「今までも魔大戦のこと教えて欲しいです」

女勇者「いいですよ、それじゃあ私が初めて参加した魔大戦から…」

女魔道士「…くー」

女勇者「ふふ、おやすみなさい」

―――――???

大柄な男性「へへへ、こんなガキを犯しても誰にも捕まらねぇなんて最高だな!」

女勇者「やめてください!私はこんなことをするためにこの戦いに参加したわけでは!!」

大柄な男性「俺がいないと困るんだろう?なら従えよ、やらせろほら!!」

女勇者「ぐっ…」

大柄な男性「人類を救うためなんだろ!?ああ!?」

女勇者「し、従い…ます」

大柄な男性「それでいい、早く俺の上に跨がれ」

女勇者「…うっ(こんな奴が今回の軍師なんて、大体なんの由縁がこいつに)」

大柄な男性「へへへ、いいぞ、そのまま動け」

――――――

女勇者「うわああああああああああああああああああ!!!!!」

男「うおおおおおおおおっ!?」

女勇者「あ、軍師殿…」

男「ど、どうしたんだ?汗びっしょりだぞ、何か悪い夢でも…」

女勇者「気にしなくていいです。大丈夫ですから」

男「そ、そうか、女魔道士はもう先に起きてるから、朝ご飯食べよう」

女勇者「はい…ご迷惑をおかけします」

男「どうしたんだ今日はしおらしいな、低血圧?」

女勇者「一言多いですよ」

男「ははは」

―――――

男「んじゃ」

男/女勇者/女魔道士「いただきます」

女魔道士「これ美味しいですねー!何て食べ物ですか?」

男「玉子焼き」

女魔道士「玉子焼き!卵ですか!」

男「玉子焼きくらいないのかそっちの世界は?」

女魔道士「もっとぐちゃぐちゃしてますね」

男「なるほど…」

男「お前は特に不思議そうな顔はしないんだな」

女勇者「え?ああ、まあ、いままで幾度と無く様々な時代の食物を口にしましたから」

男「そういやそうなのか、大変だな勇者って」

女勇者「というかあなたもですよ」

男「え?」

女勇者「勇者になったんです。これからおそらく近いうちに、魔大戦への参戦を余儀なくされるはずです」

女勇者「私とは違う時代の戦いになるでしょうが」

男「」

女勇者「どうしたんですボーっとして」

男「マジですか」

女勇者「マジです」

女魔道士「じゃあじゃあ、またどこかの戦いで会えるかもしれないんですね!」

男「マジかよ…」

―――――

男「さて、今日はどうするんだ?」

女勇者「軍師殿、失礼ですがご職業は…」

男「ニートだ」

女勇者「」

女魔道士「ニート?それはどんな職業何ですか!?」

女勇者「ゴミみたいなもんですね」

男「ゴミ…」

男「というかだな、親が遺した財産がめっちゃあるから働かなくていいの!」

女勇者「信じられないくらいのご都合展開ですね」

女勇者「まあでも、そのほうが好都合です」

女勇者「今日も仲間探しをしましょう」

男「わかった、手がかりとかは?」

女魔道士「あ!それなら私が!」

男「お、そうなのか?」

女魔道士「そうなんです!えーと、魔道士はですねー」

女勇者「ま、仲間センサーみたいなもんがあるんですよ」

男「なるほど…」

女魔道士「ここから3kmくらいのところにおそらく仲間と思われる人がいます」

男「そんなのわかるのか、すげーな」

女魔道士「はい、昨日はそれで勇者様を探していたのですが、途中で敵に見つかってしまって」

女魔道士「本当にありがとうございました軍師様」

男「いやいや、そんな気にしないで」

女魔道士「あ、そういえば軍師様も勇者様なんですよね、何かすごいですねー」

男「あはは、でも昨日みたいなこと今朝やろうとしても出来なかったんだ…」

男「だから多分なんか条件みたいなのがあるんだと思う」

女勇者「なるほど、では戦力としては期待できませんね」

男「そういや聞きたかったんだけどさ」

女勇者「なんですか?」

男「ただの一般人なんかが軍師やっていいのか?」

女勇者「あー、それですねぇ」

女勇者「実はあんまりないケースなんですよ、こういう時代での大戦は」

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