梅雨と扇風機 (21)


梅雨、それはジメジメする日々。

梅雨、それはなんとも言えぬ暑さをもたらす日々。

梅雨、それは人々の額に汗を垂らす日々。

そう、梅雨は暑い。熱い。厚い。 ……いや、厚くは無いかもしれないな。

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あー、何が言いたいかと言うとだな。

梅雨といやあよ、役立つ物があるだろ?

それの話をしようと言ってるんだ。

分かるな? ……そうそう、扇子だ扇子。 ……って違うだろ!

お前はいつの時代の人間だよ! 省エネ? 知るか! ……いや省エネは大切だよ? うん。


ほら他にあんだろ? こう涼しくなる……よしヒントだ。家電だよ家電!

お、分かったか? ……あー、そうそう。クーラーことエアコンだ。 ……って、違うよ!

そんな電気食うやつじゃなくてだな! こう、ほら「あ"ー」ってやるアレだよ!

もう分かったな? ……分かんない?

よし、もういい。俺が自ら言ってやろう。お前は大事な奴を忘れてる。


正解は……


『扇風機』


……だよ! どうだ! 思い出したか!?


っ……なんだよ、そのスッキリしねーって表情はよ!


梅雨「だってさ……今時扇風機。ぷふっ、だって……あはははは!!」

扇風機「コラ、梅雨コラ。扇風機舐めてっと羽に巻き込んで指切っちまうぞ」

梅雨「いやー笑っちゃうなあ……ふふっ」

扇風機「昭和人間の必須アイテムをいつまでも笑ってんじゃねえよ!」

梅雨「あ、年な人は痩せ我慢せずにクーラー付けないとダメだよー? 直ぐ熱中症になっちゃうから」


扇風機「……誰と喋ってんだ?」

梅雨「え、画面の前の皆さんだけど……」

扇風機「ああそうだよな。 すまんすま……いや誰だよ」

梅雨「こまけえこたあいいんですよ」

扇風機「細かい事気にしたら、梅雨と扇風機がなにくっちゃべってんだって感じだもんな」


ザアアアアア

扇風機「ところで梅雨」

梅雨「はい?」

扇風機「お前のせいで雨が止まないんだが」

梅雨「それがどうしました?」

扇風機「服乾かねえんだよ」

梅雨「……貴方、服着れたんですね」


扇風機「……いや俺は着ないけどよ、ほら。あるあるってやつだ」

梅雨「ああ、そうでしたか」

扇風機「だがこんな時にも役立つ凄いのがあるよな。 知ってるか?」

梅雨「乾燥機ですね」

扇風機「……うんうん。 今度は一発で分かったな……って違うよ!」


梅雨「この展開は最初ので飽きられてると思うんですが」

扇風機「今ボケたのソッチじゃん!?」

梅雨「? 真面目に言ったんですが」

扇風機「ならいいよ! 正解はほら、目の前の奴だよ!」

梅雨「……ああ、こんなとこにカビが……」

扇風機「話聞けよ! 聞いてよ!!」


梅雨「……また私、皆さんに迷惑かけているんですね」

扇風機「よしもういい。また自分で回答発表だ。そう、正解は俺様! 扇風機!」

梅雨「……雨を降らすしか能が無くて。その上、それによってジメジメして湿度が上がってしまう……」

扇風機(……あれ、なんで急に暗いムードになってんだ?)


梅雨「……私なんて消えてしまえば……いえ、明日には消えますね」

扇風機「あー、梅雨?」

梅雨「どうせ今の私が消えても来年にはまた新しい私が現れ、そして……」

扇風機「おい梅雨!!」

梅雨「っ!? ……どうしました急に?」


梅雨「ああ……話を聞いてませんでしたね。続きから聞きましょうか?」

扇風機「おい、消えたいとか言うなよ!」

梅雨「っ……私とした事が口から漏れていたんですか」

扇風機「俺はここ数年プチブームが起こってるけどよ、それでも全盛期と比べりゃ大分数が減っちまった」

扇風機「俺を必要としてる奴だってもう少ないんだよ」

梅雨「ふふ……ならいいじゃないですか。必要としてくれる人がいる。その時点で私とは違うんです」


扇風機「……なんだ、一緒じゃねえか」

梅雨「え……?」

扇風機「さっきの話忘れちまったのかよ」

梅雨「さっきの……?」

扇風機「俺にはお前が必要なんだ!」


梅雨「け、けど貴方が必要としてくれたって、私はみんなに迷惑をかけてしまいます!」

扇風機「はあ? どう迷惑かけんだ?」

梅雨「どうって……」

扇風機「さっき言った通りよ」

扇風機「暑がってる奴がいりゃあ俺が涼ましてやる」

扇風機「服が乾かねえと嘆いてる奴がいりゃあ俺が湿気ぐらい吹き飛ばしてやる」

扇風機「どう迷惑かけるってんだ?」


梅雨「けど他にも……いっぱい……いっぱい迷惑を……」

扇風機「そんなのだって俺に任せとけよ」

梅雨「っ……!?」

扇風機「俺にはお前が必要だ。そしてお前には俺が必要だ」

扇風機「今年も、来年も再来年も。俺に任せとけ。梅雨如きに屈する俺じゃねえ」

梅雨「っ……うう……ありがとう……ございます」

扇風機「おうおう、あんまり泣くなよ……。 流石に俺でも渇かし切れねえ」


次の日、梅雨は日本から去った。

……いや、消えた。 けどアイツはまた来年やって来る。

その時が待ち遠しいんだ。

俺には梅雨。 お前が必要なんだからちゃんと帰ってこいよ……?


――
――――
――――――

君は湿気を消し去り、熱を涼しさに変える素晴らしいものを知っているかい?

扇風機? ふ、馬鹿にしないでくれ。

ヒントだ。 マイナスイオンもだせるし、湿気は消すだけじゃ無く生み出す事も出来る。

もう分かったかな?

そう、正解は――


梅雨「やっぱり多機能エアコンは素晴らしいですね」

エアコン「そうだろう? 最近のエアコンは昔とは比べものにならないんだ」

エアコン「消費電力だって低くなってきているし最早、家電会のトッププレイヤー。それが僕さ」

梅雨「いやー、暑いですねえ」

エアコン「話聞いて!? それに暑いの君のせいだよ!?」

梅雨「ふふ……けど貴方には私が必要なのでしょう?」

エアコン「……そうだね。僕には君が必要だ」

梅雨「エアコンさん……ふふ」



イイハナシカナー?

扇風機……

全体的にテンションが少々寒い
まさか涼しくさせるものが題材だからこそのこの寒さなのか
相互に必要としているって部分はああ確かにそうかもって思った
とりあえず乙 即興には少し難しい題材だったかもな

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