うちはイタチ「魔法少女?」(82)


イタチ「一体何なんだ、魔法少女というのは」

QB「君は男だけど素質があるね。さぁ、君はその魂と引き換えに、何を願う?」

イタチ「どういうことだ」

QB「説明になっていなかったね。魔法少女というのは、魔法を使う少女たちのことさ。魔法が使え、奇跡を起こす変わりに、魔女と戦うのさ」

イタチ「魔法?」

QB「君たちにとっては、忍術と変わらないだろうね」

イタチ「魔女というのも分からないが」

QB「呪いを振り撒く悪いモノたちさ」

イタチ「忍術で敵を倒すなら、大して今と変わらない」

QB「そうだね。これは君にとっても条件のいい取り引きになるだろう」

イタチ「魔女少女になれと言うのか」

QB「うん。それと引き換えに、何でもひとつ願い事を叶えてあげる。
一族を滅ぼし、弟に殺される運命にある君が背負う因果は計り知れない。どんな祈りでも可能だろう」

QB「僕と契約して、魔法青年になってよ!」

イタチ「本当になんでも叶うのか」

QB「もちろんさ」

イタチ「……」

イタチ「わかった、魔女少女になろう」

QB「そして、君は何を望むんだい?」

イタチ「**********、***********、********」

QB「それが望みなのかい。本当に、それでいいのかい?」

イタチ「これが最善だ」

QB「そうかい」



*?????????





QB「おめでとう、君の祈りは聞き届けられたよ」

_____________




__________


サスケ「兄さん、おはよう」

イタチ「……サスケ?サスケなのか?」

サスケ「寝ぼけてるのか?兄さん」

サスケ「まぁいいか。たまには俺が朝ごはん作るから、まだ寝てていいぞ」

イタチ(どうなっているんだ、本当に願いが叶っているのか?)

サスケ「台所借りるぞ」パタパタ

イタチ(借りる?サスケとは一緒に住んでいないのか?)

イタチ(そういえば見慣れない部屋だし、この家にサスケ以外の気配も感じない)

イタチ(ある程度叶ってはいるようだ)

イタチ(? なんだこの指輪は)

QB「説明しよう」

イタチ「……いつからいた」

QB「最初からだよ。警戒しなくてもいい、今の僕はただの説明係だから」

QB「その指輪はソウルジェム。身体はかなり丈夫になってるけどソウルジェムが壊れたら死んでしまうから大切にね。肌身離さず持っていた方がいい」

イタチ「ほう…」

QB「あと、ソウルジェムは濁ってしまっても終わりだ。魔女を狩ればグリーフシードというのが手に入るんだけど、それで浄化できるからね。
早足な説明だったけど分かってくれたかい?」

イタチ「ソウルジェムはどんな時に濁るんだ?」

QB「絶望したときや魔法を使った時に濁るよ。まぁ、君の忍術なら魔女にも有効だろうし、前者だけ注意していればいいんじゃないかな」

イタチ「大体はわかった」

QB「飲み込みが早くて助かるよ」

サスケ「兄さん、朝ごはん出来たぞ」

イタチ「ああ、今行く」

QB「僕はまた契約を求めているこを探しに行くよ。また後でね」トコトコ

イタチ「ああ」

イタチ(サスケと食事なんて、何年ぶりだろう…)スタスタ

リビング


サスケ「やっと来たか。冷めちまうぞ」

イタチ「トマトサラダとトースト、目玉焼か…豪勢な朝だな」

サスケ「何言ってんだ、これくらい簡単だ」

イタチ「そうか」フフ

サスケ「……なんだよ、早く食え」

イタチ「あぁ。いただきます」

サスケ「いただきます。」

イタチ「美味しいな」モグモグ

サスケ「アンタには敵わないけどな」モグモグ

イタチ「いや、とくに目玉焼きは俺よりずっと上手いぞ」モグモグ

サスケ「……フン」

サスケ「そんなことより、今日の約束覚えているだろうな?」

イタチ「約束?」モグモグ

サスケ「久しぶりに修行に付き合ってくれるんじゃなかったのかよ」

イタチ(そういうことになっているのか) モグモグ

イタチ「いや、覚えている。食べたら行くか」モグモグ

サスケ「いつまで食ってんだ」

イタチ「食べるのが早いな。大した奴だ」モグモグ

サスケ「アンタが遅いんだ」

イタチ「朝ごはんも食べたし、そろそろ出掛けるか」いそいそ

サスケ「早くしろ」ソワソワ

イタチ「……小さい頃と変わらないな」フフ

サスケ「うるせェ!!早くしろってんだ!///」

イタチ「はいはい」

イタチ「どこで修行するんだ?」スタスタ

サスケ「昔よく行った林の中でいいだろ」スタスタ

イタチ(俺が住んでいるのはうちは地区ではないのか?見慣れない店が近くにあったり、町並みが違う…)

イタチ(いや、ほかのうちはの人間も里に普通にチラホラしている。うちは地区自体が存在しないようだな)

イタチ「…?」スタスタ

イタチ(今、あのうちはの人に睨まれたような…)

イタチ(ああ、そういうことか。叶ったんだな、本当に)

サスケ「……」

ナルト「おっ、サスケじゃねーか!」バタバタ

サスケ「チィ、面倒なのが来た」

イタチ「ナルト君」

ナルト「イタチも一緒か!」

サスケ「俺と兄さんは今から用事があるんだ、あっち行けウスラトンカチ」ムスッ

ナルト「本っ当にサスケは可愛げねーってばよ」ハァ

サスケ「気持ち悪ィ」

イタチ(この世界ではサスケはナルト君と仲がいいのか)

イタチ(よかった)

イタチ「ナルト君、いつもサスケが世話になってるな」

ナルト「いやー、お安い御用だってばよ」ニシシ

サスケ「何言ってやがる、俺がナルトの面倒見てやってんだ!」

イタチ(どっちもどっちらしいな)

ナルト「しかしサスケはいいなァ、そんな兄ちゃんいてさ。俺もイタチみたいな兄ちゃん欲しかったってばよ」

サスケ「……やらないぞ」

ナルト「いや例えだってばよ…」

ナルト「まぁ俺も用事あるし、そろそろ行くってばよ!引き留めて悪かったな!」

サスケ「本当にな」

ナルト「サスケもイタチも、また俺ん家に飯食いに来いってばよ!父ちゃんも母ちゃんもまた来てって言ってたからな!」

サスケ「気が向いたらな」

ナルト「おう!じゃーな!」

イタチ(俺達はそんな仲なのか。サスケはともかく俺まで…)

サスケ「馬鹿も去ったし、早くいこうぜ」

イタチ「あぁ」

サスケ「なぁ、今日は飛び道具の使い方を見てくれないか?自分では上達したと思うんだ」スタスタ

イタチ「いいぞ。しかし、もしかしたら俺から教えることなんて無いかも知れないな」スタスタ

サスケ「そうなれば嬉しいがな」スタスタ

林の中


サスケ「まずは手裏剣見てくれよ。目を閉じたまま、周りの木になってる実を落としてやる」ジャキ

イタチ「木の実は7つ…うち一つは別の木で死角になっているな」

サスケ「いけるぜ」

イタチ「よし、やってみろ」

サスケ「あぁ」スッ

サスケ「ふっ!」バババッ

サスケ「……どうだ?」

イタチ「良くできている。死角の木の実もばっちりだ。手裏剣同士を空中でぶつけて、上手く軌道を変えたな」

サスケ「これくらいはな」フン

イタチ「やはり、教えることなんてないな」フフ

イタチ(昔を思い出すな……しかし、サスケも成長したもんだ)カチャカチャ

サスケ「兄さん、その手裏剣がどうかしたか?」

イタチ「……何でもない」

イタチ(またサスケと修行できるなんて夢のようだ。
次に手裏剣を持つときは、サスケに向ける時だとすら思っていたのに)

サスケ(? あんな風に手裏剣を持つ兄さんを見たことがある気がする)

サスケ(いつだ?)

サスケ(たしか、その時は兄さんが手裏剣を俺の肩に……え?)

サスケ(そんなわけないだろ!兄さんがそんなことするわけ…)

サスケ(じゃあ、なんなんだこの記憶は……クソ、それ以外に思い出せない)

イタチ「サスケ?」

サスケ「……」

イタチ「サスケ!」

サスケ「…あ、な、何?兄さん」

イタチ「物思いにふけって、どうかしたかサスケェ」

サスケ「大丈夫だ」

サスケ(忘れよう、何か思い違いだ)

サスケ「あと、風魔手裏剣の使い方も指南してもらいたい。イマイチ、サイズを生かせてる気がしなくてな」

イタチ「確かに、大きい分扱いにくくはあるが、上手く使えば致命的なダメージを与えるのも容易い」

イタチ「俺の影分身相手に、実戦で使ってみるか。こういうのは教えられた付け焼き刃じゃ駄目だ。
自分でやって形にしていかないとな」

サスケ「それじゃ、頼むぜ」

イタチ(影分身の術!)ボボボボン!

サスケ「それじゃ、行くぜ!」ダッ

ごきっ

サスケ「!?」ベタン

イタチ(こけた…)

サスケ「……」

イタチ「…大丈夫か?」

サスケ「……」

イタチ「サスケ?」

サスケ「……笑いたければ笑えばいい」

イタチ「笑わないさ」

サスケ「そうか」ムクリ

イタチ(とりあえず影分身を解くか…)ボボボボン

イタチ「サスケ、立てるか?」

サスケ「……無理だ」

イタチ「仕方ないな、ちょっと見せてみろ」

サスケ「ん、」

イタチ(救急セット持ってきて正解だったな)ゴソゴソ

イタチ「見たところ捻挫だけのようだし、テーピングで十分だろう」グルグル

サスケ「すまない…」

イタチ「気にするな。それより、どうやって帰る?」

サスケ「……」ジー

イタチ(なんだ?)

イタチ「……おんぶしてやろうか?」

サスケ「……」

イタチ「嫌か?」

サスケ「……それでいい」

イタチ(てっきり断るかと思っていたが)

イタチ「よし、早く乗れ」

サスケ「あぁ」よじっ

イタチ「よいしょ」

サスケ「重くないか?」

イタチ「あぁ、重いぞ」スタスタ

サスケ「えっ」

イタチ「でも大丈夫だ、サスケが成長した証だからな」ニコ

サスケ「フン…」

サスケ(兄さんの背中、いつまで経っても大きいや)ぎゅっ

イタチ(……背中、暖かいな)ぽろっ

イタチ「!」ゴシゴシ

イタチ(辛い涙は簡単に我慢できるが、嬉し泣きはそうはいかないんだな)ゴシゴシ

サスケ「兄さん?」

イタチ「何でもない」ゆさっ

サスケ「うわっ、揺らすな!」

イタチ「ははは」

イタチ「ん?なんだ、あの鳥は」

鳥「キー!!!」バサバサ

サスケ「連絡用の鳥…こいつは霧隠れのやつだな」

イタチ「俺に?何の巻物だ」しゅる

イタチ(なになに…
『鬼鮫です。イタチさん、お元気ですか?この度、私結婚することになりました。この写真右側の女性です。
任務で暗号班を護衛したのがきっかけで、親しくなり今に至ります。
今月にでも式を上げる予定なので、是非ご参加ください。

追伸:あまり甘いものばかり食べているとお身体に触りますよ』

……結婚するのか)

サスケ「あ、知ってるぞソイツ。霧まで長期任務に行ったとき、知り合ったんだよな」

イタチ「こら、勝手に覗きこむな」

イタチ(暁に入らずとも知り合うことになっているのか)

イタチ「もういい、返事は後で書く。ご苦労だったな」

鳥「キー!!!!」バサバサ

イタチ(そうか。うちはがこうなった以上、マダラは暁に手を出さない。つまりペイン…いや、長門達が作った最初の暁のままか)スタスタ

イタチ(それに伴い、三代目水影も無事。血霧の里と呼ばれた暗黒時代もなく、鬼鮫も里で真っ当な任務に就けているのか) スタスタ

サスケ「なぁ兄さん、兄さんもそろそろ結婚とかしないのか?」

イタチ(結婚なんて、考えたこともなかったな…里を抜ける前は、一族の誰かといつか結婚するだろうと漠然と思っていたが)

イタチ「まだ早いだろう」

サスケ「そんなことないぞ?母さんだって早かったじゃないか」

イタチ(母さん、父さん……無事なはずだ。会いたい…)

イタチ(いや、駄目だ。あの願いが叶った今、二人に会っても……)

サスケ「なぁ兄さん、帰ったら晩御飯も作ってやるよ」

イタチ「……そうか楽しみだな」

イタチ(……それにしても、どうしてだ?何故サスケだけ…)

イタチ「やっと家に着いたな」ふう

サスケ「やっぱり疲れたか?」

イタチ「あぁ」

サスケ「…すまないな」

イタチ「冗談だ、そんなにしょげるな」コツン

サスケ「いてっ」

イタチ「サスケ、もう立てるか?」

サスケ「ああ」

イタチ「なら、夕飯の支度をしておいてくれ。俺は少し用事があるんだ」

サスケ「そうか…早く帰ってこいよ」

イタチ「もちろんだ」

イタチ(とりあえず外に出るか)

イタチ(……どこだ)キョロキョロ

QB「きゅっぷい」

イタチ「そこか。さっき、俺を呼んでいただろう」

QB「うん。そろそろ魔女退治でもしたほうがいいんじゃないかと思ってね」

イタチ(完全に忘れていた)

QB「ちょっとくらいは濁っているんじゃないかな?ソウルジェム見せてみて」

イタチ「ああ」スッ

QB(……一点の曇りもないや。むしろ輝いているよ)

QB「まぁグリーフシードは貯めておけるし、行って損はないしね」

イタチ「早くしてくれ。どうすればいい?」

QB「ソウルジェムを使って魔女の結界を探すんだ。どうも近くにあるみたいだよ」

イタチ(こう、か?)

イタチ「! こっちだな」シュンッ

QB「やれやれ、着いていけないよ。なんてスピードだ」タッタッ

イタチ「……ここだな」

QB「やっと追い付いた……そう、それが魔女の結界の入り口だ。中に入ろう」



___________



イタチ「なかなか悪趣味な空間だな」

QB「そうだろうね。早く魔女を倒してしまおう」

イタチ「あれが魔女か」

QB「そうだよ。魔法でも忍術でも何でもいい、とにかく倒せば勝ちだ」

イタチ(なら…)バババッ

イタチ「火遁、豪火球の術!」ゴウッ

魔女「」プスプス

QB「すごいね。一撃で黒焦げだ…よし、結界も解けたね」

イタチ「魔女というのも大したことないな」

QB「地面に落ちてるソレ、拾ってごらん」

イタチ「この、黒いのか」

QB「そう。それがグリーフシードだよ。今はまだソウルジェムが綺麗だから、とっておくといいよ」

イタチ(……ところで、ここはどこだろう)

イタチ(何だかんだでかなり移動した気がするが…音隠れに近いか)

イタチ(ああ、そういうことか。ここは終末の谷か)

イタチ(いや、終末の谷と呼ばれるべきだった場所、か。今は滝もない)

イタチ(これも、俺の願いの影響か)

イタチ(……いまはそんなこと、どうでもいいじゃないか)

イタチ(サスケが待ってる、早く帰らないと)シュンッ






QB「やれやれ、もう帰ってしまったのかい。本当に忙しいね」

QB「……しかし、とんでもない願いだった。あんな因果と運命を一人で背負いこむなんて、いくらなんでも無理なんじゃないかなぁ?」

QB「この書き直された世界に、綻びがなければいいんだけどね」

イタチ「ただいま」

サスケ「おかえり、兄さん!」

イタチ(ただいまって言えて、おかえりって答えてくれる。
それだけなのに、昔は当たり前だったのに、なんでこんなに鼻の奥がツンとするんだ)


イタチ「待ったか?サスケ」

サスケ「今ちょうど出来たところだ。早く食べようぜ」

イタチ「ロールキャベツか」

サスケ「アンタ、好きだったろ?」

イタチ「……ありがとう」

サスケ「……どーいたしまして」

イタチ「いただきます」

サスケ「いただきます」

イタチ「美味しいな、やはり」モグモグ

さっき「だろ?結構自信作だぜ」モグモグ

イタチ「……」モグモグ

イタチ「温かいな……」ぽろぽろ

サスケ「兄さん!?どうしたんだ?」

イタチ「大丈夫だ。…俺、サスケの兄に生まれて、本当によかった」ぽろぽろ

サスケ「なんだ、いきなり…」

イタチ「サスケが俺の弟で、…本当に幸せだ」ニコ

サスケ「……変な兄さん」クスッ

サスケ「また、ロールキャベツ作ってやるよ」

イタチ「あァ。また食べたい」モグモグ

サスケ「そのかわり、また修行付き合ってくれ」

イタチ「次は転ぶなよ」モグモグ

サスケ「あ、当たり前だ!!」

イタチ「どうだか…」フフ

サスケ「フン…」

ドンドン!!

サスケ「?」

イタチ「誰か…玄関を叩いているな」

???「サスケ!またここに居るんだろう!」

サスケ「と、父さん!?」

イタチ「サスケ、とりあえず出よう」

サスケ「父さん、母さん!」ダダッ

ミコト「よかった、探したのよサスケ」

イタチ(父さん、母さん……!!)

フガク「サスケ、どういうことだ。もう、こいつに関わるなと言ったはずだ」

ミコト「サスケ、早く帰りましょう…」

イタチ(ああ、そうだ…)

イタチ(わかって、いたのに……)ぎゅっ

サスケ「…帰らない」

フガク「サスケ!」

サスケ「たった1人の兄さんなんだ、家族なんだ!俺ももう子どもじゃない、勝手にさせてくれ!」

フガク「そうだな、もう自分で色々な事を判断しなければならない歳だ。
だからこそわかるはずだ、コイツと関わってはいけないと!」

サスケ「……」

サスケ「前々から、ずっとおかしいと思っていた……」

サスケ「何故、兄さんをそんなふうに扱うんだ?父さんと母さんだけじゃない、うちはは皆そうだ!」

サスケ「兄さんが、何をしたって言うんだ!!」

イタチ(やっとわかった……)

イタチ(俺の願いは間違いなく叶えられた。
唯、サスケは、サスケだけが≪例外≫だったんだ!)

イタチ「サスケ、もういい、止めろ!」

サスケ「だって、兄さん!」

イタチ(気付かせては駄目だ、サスケに自分が≪例外≫だと!)

イタチ(空気が変わっていくのが分かる……!俺の願いで書き換えられた世界が、崩れてしまう!)

サスケ「兄さんは何もしていない!むしろ、俺にとって理想の兄だ!重要任務をこなし、里にも貢献している!」

ミコト「でも……」

サスケ「アンタ達にとっても、自慢の理想の息子だったはずだ!そうだろ!?母さん、父さん!!」

イタチ「サスケ!落ち着け!」

サスケ「落ち着いてられるかァ!!アンタ達も答えろ!何故イタチを白い目で見る!?」

フガク「……」

ミコト「……わからないの、」

サスケ「……は?」

ミコト「わからないの…どうして、イタチが憎いの?…私たち…!!」

サスケ(なんだ?何が起きてるんだ?)

サスケ(あれだけ兄さんを憎んでいて、いまさら「理由がわからない」?)

サスケ「どうなってやがる…!」

フガク「……わからないんだ」

サスケ「兄さんは俺が小さいときから、ずっと優しくて……」

サスケ「……小さいとき?」

イタチ(まずい!!)

サスケ(何だ?何かが頭の中に浮かんできて止まらない!!)


『愚かなる弟よ…』

『止めて兄さん!こんなもの見せないでェェェ!!!』

『ある男を必ず……殺す事だ』

『アンタを殺す為だけに俺は…』

『生きてきた!!』

『今のお前になど、興味はない』




サスケ(何だってんだ!俺は兄さんが大好きで、家に帰ったら父さんと母さんがいて!そういう生活をしていたはずだ!!)

サスケ(何なんだ、この記憶は…!?)







サスケ「何なんだ、この世界は…?」




QB「やっぱり、背負いきれなかったか」

サスケ「!?なんだコイツ!」

イタチ「どういうことだ、俺の願いは叶ったんじゃないのか!?」

QB「叶うことは叶ったさ。ただ、君は願いの結果さらに莫大な因果を背負うことになった」

QB「一人で背負うのは、到底不可能な程にね。そして、君はひとつ無意識にミスを犯した」

イタチ「ミス…?」


フガク「お前たちはさっきから、何と話している…?」

サスケ(コイツが見えてないのか?)

QB「君には、僕が見えるんだね。良いことを教えてあげよう」

サスケ「良いこと…?」

イタチ「止めろ!!」

QB「止めないよ。サスケは≪例外≫なんだから」






__________



________



サスケ(なんだ、ココ…)

サスケ(真っ白で、俺以外誰もいない、なにもない…)

QB「やぁ、僕の空間へようこそ」

サスケ「!」

QB「いま、君に干渉できるのは僕だけなんだよ」

サスケ「何が目的だ」

QB「言ったじゃないか、良いことを教えてあげるって」

サスケ「そんな事より、イタチは!」

QB「イタチの事なら気にしなくていいよ」

サスケ「……」

QB「まるで興味なし、か…こう言えば聞く気になるかい?」

QB「うちはイタチの真実について、教えてあげるよ」

サスケ「…」ピク

QB「そう。君はイタチのことを知ってるようで何もしらない」

サスケ「…」ギロ

QB「仕方ない、自己紹介から始めようか。僕はきゅうベェ、願いを叶える者であり、うちはイタチの真実を知るものだよ」

サスケ「…何が言いたい!俺は思い出したぞ、イタチが一族を殺したこと、俺を復讐者にしたこと!」

サスケ「イタチは、何の為にあの世界を作ったってんだ!」

QB「平和を実現するためさ」

サスケ「平和…?平和だと…!?」

QB「もう一度言うけど、君はイタチのことを知ってるようで何も知らないね」

サスケ「それ以上ふざけたことを抜かしてみろ…お前を殺す」

QB「やれやれ、一筋縄では行かないね…まぁ無理もない、怪しげなヤツにいきなりこんな事を言われてもね」

QB「考えてもみてよ。この世界では多くの人が幸せに生きている。もとの世界では考えられない人々がね」

サスケ「そんなの信じられるか!イタチは元の世界で、一族を…父さんと母さんを殺したんだぞ!!」

QB「君はそればっかりだね。いいよ、見せてあげよう」

QB「イタチの真実を」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




『イタチよ、うちはが不穏な動きをみせているようだが』

『…うちはは、クーデターを企てています』

『うちはを、そして里を頼んだぞ』

『お前、最近おかしいぞ』

『俺を疑っているのか?』

『弟だけは助けるか、それとも一族とともに死ぬか』

『俺が疎ましいか?』





『お前は、優しい子だ』






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

サスケ「あ、あ、…」

サスケ「うわああああああああああああああああああああああああ!!!」

サスケ「嘘だ、嘘だ!!」

サスケ「こんなもの出鱈目だ、幻術だ!」

QB「本当だよ」

サスケ「嘘だ、イタチは悪だ!!だいたい、筋道が通らない!俺を生かした意味は何だ!」

QB「君の命たったひとつが、一族より大切だったんだ」

サスケ「違う、だって、俺は…何度も殺されかけて…」

QB「君は、生きているじゃないか」

QB「イタチは犠牲になったんだ。一族に古くから続く因縁…その犠牲にね」

サスケ「……」

サスケ「…う、うっ」ぽろ

サスケ「ぃ……、……チ……」ぼろぼろ

QB「まったく、人間というのはよくわからないよ。どうして自分より他人を優先することを選ぶ個体がいるんだろうね?」

QB「イタチの願いなんて、その謎の最たるものだよ。あれは本当に理解不能だね」

サスケ「イタチの、願い……?」

QB「僕はね、魂を対価に奇跡を起こしてあげられるんだよ。そしてイタチは願ったんだ」

サスケ「何を、願ったんだ」




『うちはの一族が抱く、過去未来全ての憎しみを、俺に向けてほしい』



QB「それが、イタチの望みさ」

サスケ「なん、だと…?」

サスケ「……何で、何でそんな願いなんだ!それが平和にどう繋がる!?」

QB「簡単な話さ。木の葉創建時の九尾襲来、そして里にうちはの不信感を抱かせた二度目の九尾襲来。
クーデター、そしてこれから起こるはずだった世界を巻き込む大戦…
それら全て元を辿れば、何かに憎しみを抱いたうちはが原因なんだ」


サスケ「……他に、やり方はなかったのか」

QB「僕も詳しくはわからないけれど、憎しみをなかったことにするのは駄目だ」

QB「うちはは愛と憎しみの気持ちが特に強い一族なんだ。それから憎しみをとってしまったら、全く別のモノになってしまう。
そうしたら、君が生まれてくるかも怪しいからね、イタチはそれを選択できなかったんだろう」

サスケ「そこまでして、俺が…」

QB「だから、イタチは行き場を失なった憎しみを背負うしかなかったんだよ。平和を実現するためには」

QB「ただ、その莫大な因果と憎しみはとても背負いきれなかった」

QB「だから、イタチはそれを一人で抱き止めるために、1つ上の次元へシフトしたのさ」

サスケ「何を言ってる…」

QB「神様、法則、運命、虚無、そして一、そして全。1つの次元の存在を君たち人間はそう呼んでいるね」

QB「イタチは、そういう存在になったんだ。君たちは干渉できず、観測もできない。そんな存在にね。」

サスケ「じゃあ、あの世界にいたイタチは何だ?触れることもできるし、もちろん見ることだって出来た」

QB「確かにあれもイタチだ。ただ、脱け殻というか残りかすというか、そういうものだよ」

QB「君と一緒にいたい。その思いが、心のどこかにあったんだろうね」

サスケ「俺と…」

QB「そう。それに、イタチは全くの無意識に、しかし十大なミスを犯したんだ」

QB「君だよ、サスケ」

QB「君だけがイタチを憎まない。きっと、君とだけは仲良くしていたかったんだろうね」

QB「ただ、その気持ちがイタチの唯一にして最大のミスだったんだ。無意識に甘えたがために、あの世界は崩れてしまうのだから」

サスケ「……何故だ」

QB「きゅっぷぃ?」

サスケ「何故、ここまで懇切丁寧に説明してくれる?お前は、何を企んでいる?」

QB「……察しが良くて助かるね、本当」

QB「君はね、あのイタチ以上の因果の塊だ。すばらしい素質を秘めているんだよ」

サスケ「俺なら、もっと途方もない奇跡を起こせるのか」

QB「そういうことさ。奇跡と引き換えに、魔法少女にならないかい?」

サスケ「なんだ、魔法少女っていうのは」

QB「平たくいえば、不思議な力が使えるようになるってことさ」

サスケ「……」

サスケ(兄さん……)

サスケ「……魔法とかそんなことはどうでもいい」

サスケ「俺は、兄さんを助ける」

QB「そう言うと思っていたよ」

サスケ「俺は、魔法少女になる。そして、兄さんが抱えた憎しみを共に背負う…」

サスケ「叶えろ、インキュベータ!!!」

QB「……!?」

サスケ「兄さん、待ってて…今行く」

QB「おかしい…君の願いは、本当にそんなことかい?」

QB「明らかにそれ以上の因果と世界の改ざんが始まっている……!」

QB「君は、何を望んだんだ……!?」

サスケ「知るかよ、そんなこと」





*?????????



__________



サスケ「からだが、軽い…まるでなくなったみたいだ」




イタチ「サスケ……」

サスケ「兄さん。やっと会えたな、本当の兄さんに」

イタチ「……本当に、これでいいのか?ずっとこの空間にいることになる。ずっと憎しみを抱えて、誰にも会えず、このまま…」

サスケ「兄さんがいるじゃないか」

イタチ「……馬鹿だな」ニコ

サスケ「兄さんもな」ニコ

イタチ「これからは、ずっと一緒だ」ぎゅっ

サスケ「……そうだな」ぎゅううう

イタチ「!?」

サスケ「この時を、ずっと待ってた……!!」ぐぐぐ…!

イタチ「離せ、サスケ、何を……!!」

サスケ「ずっと一緒なんだろう、兄さん?」ぐっ

イタチ「離すんだ、サスケェ!」ゾクッ

サスケ「させるかよ」ニヤ

イタチ(何だ?俺は何に引きずられている?本当に、サスケなのか?)

サスケ「観測できれば干渉できる。干渉できれば制御もできる…」

サスケ「アンタを観測するためには、一度同じところまで来る必要があった。それだけのことだ」

サスケ「平和?そんなことはどうでもいい…」

サスケ「イタチ、アンタがいれば!」

イタチ「駄目だ、サスケ…!!」

サスケ「帰ろう、兄さん」ニコ


ぐいっ


イタチ「!!!」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






サスケ「兄さん、おはよう」

イタチ「サスケ…?」

サスケ「そうだ、俺だ。寝ぼけてんのか?」

サスケ「もう朝御飯が出来てるぞ、早く行こう」

イタチ「あぁ」

イタチ「おはよう、父さん、母さん」

サスケ「おはよう」

ミコト「あらおはよう。冷めるから、早く食べちゃいなさいね」

イタチ「はい」

ミコト「あなた!新聞は後にして早くしてください」

フガク「…まぁ待て、この前の九尾事件、やはりうちはが怪しいらしいぞ」

ミコト「本当かしら…うちはの人も大変ね」

フガク「暗部も、うちはの監視をしているらしいな」

サスケ「ああ、今日の任務、うちはの監視だ」モグモグ

フガク「こら、家族と言えども暗部が任務内容を教えてはいけないだろう」

ミコト「まぁまぁ。朝から怒らないで」

フガク「ふん…」

サスケ「ごちそうさま」

イタチ「早いな」モグモグ

ミコト「ほら、早く食べてください!」

フガク「ああ」

イタチ「母さん、トマトサラダおかわり」モグモグ

ミコト「いいけど、貴方も早く食べないと任務に遅れるわよ?」

イタチ「まだ大丈夫だから」モグモグ

ミコト「全く、もう」


サスケ「行ってきます」ガチャ

イタチ「いってらっしゃい、頑張るんだぞ」モグモグ

ミコト「いってらっしゃい、気をつけね」

フガク「いってらっしゃい」

サスケ「……」スタスタ



???「本当に君は、なんて世界を作ってしまったんだ」


サスケ「あぁ、お前か」

QB「全く、とんでもないよ。イタチの願いを無に返した上で、さらに世界を書き換えてしまったのだから」

QB「全ての憎しみをイタチから引き剥がし、そして自分たちは、うちはでなかったことにしてしまった」

QB「回避されたはずの悲劇をまた起こす気かい?」

サスケ「悲劇?そんなこと、今の俺たちに関係ない」

サスケ「自分が幸せなら、それでいい。お前もそんな風に言っていただろ?」

QB「……」

QB「君たちの個体差にはつくづく驚かされるよ。君はイタチとまるで反対じゃないか」

サスケ「兄さんも、幸せなはずだぜ」

QB「どうだろうね」

QB「しかし、不安定な世界だね。イタチの祈りが叶えた世界より、まだ不安定に思えるね」

QB「何かの拍子に、イタチが気づくかもしれないよ」

サスケ「そうしたら、今度は本当に兄さんと憎しみを背負うさ」

QB「……どうだか」

サスケ「フッ」

QB「最後にひとつ、教えてくれないかい?」

QB「こんな途方もない願いを叶えた、君を動かすのは何なんだい?」

サスケ「お前にはわからないだろうな。いいさ、教えてやる」






サスケ「愛だ」







完!!!

クレイジーサイコホモデビルサスケェ

6月九日はイタチェの誕生日なんで書きました。お粗末さまでした。

前に書いた

卑劣様「出来たぞナルト!サスケが不死身になる術だ!!」とかも読んでくれたら嬉しいです。

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