海未「れいにー」 (27)

時系列と設定は深く考えないでください


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連日雨が降る中

今日は珍しく朝は晴れていたので、私の親友、高坂穂乃果はいつもの3倍元気で…今日こそ練習だ!…と意気込んでいました…

私はその元気に呆れながらも、穂乃果と同様に久々の太陽の下での練習を待ち遠しく思っていました

しかし…


ザアアアアアアアア

海未「雨ですね…」

穂乃果「うわぁぁぁん!また雨!」

穂乃果「酷いよ!雷様の馬鹿!」

ピカッ

ゴロゴロッ!

穂乃果「ひぃぃぃぃぃ!」

希「あーあ、雷様怒らしたんちゃう?」

ことり「あはは…」


穂乃果「ごめんなさい!ごめんなさい!」


ザアアアアアアアア


凛「雷は止んだにゃ」

真姫「雨は降り続けてるけどね」

穂乃果「これじゃあ練習出来ないよー!」

絵里「仕方ないわよ、梅雨なんだから」


にこ「最近、雨続きだって言っても、ここまでキツい雨は珍しいわね」

花陽「そうだね~」

ことり「今日も大人しく廊下を使わせて貰う?」

絵里「はぁ…それしか無いわね」

穂乃果「ええーっ!?」

穂乃果「また、廊下なの!?」

穂乃果「廊下やだー!」

穂乃果「狭いから動きにくし…音楽は小さいし…」


また穂乃果のワガママが始まりました

穂乃果はいつも、どうしようも無いことばっかり、駄々をこねるんです


海未「穂乃果」

海未「自然現象なんですから仕方ないでしょう?」

海未「我慢するしかありませんよ」

穂乃果「ぶぅぅ…」


でも穂乃果はどうしようも無いことだとわかると、すぐに引き下がるんです

それなら最初から言わなければいいのに…


穂乃果「はぁぁ…いつまでも沈んでられないよね!」

穂乃果「みんな!始めよ!」

全員「うん!」


穂乃果の一言で場が引き締まります

特別に勢いがあったわけでもなく、穂乃果の声が厳しい訳でもないのに

全く不思議でなりません

何故、穂乃果の声にこんなにも惹き付けられるのか…

私たちのリーダーは不思議な力を持っています


穂乃果「海未ちゃん!」

海未「あ、はい」

穂乃果「今、少しボーッとしてたけど…大丈夫?」

海未「だ、大丈夫ですよ」


ふぅ…練習に集中しなければ…


廊下での練習はやはりというか…捗らなくて…


海未「やはり狭いとダメですね」

海未「動きにリアリティーが無くなります」

絵里「やっぱりそうよね」

希「仕方ないわな…廊下やし」

希「これも全部雨のせい…」

凛「うぅ…走り回りたいにゃ~」

穂乃果「穂乃果も~!」

にこ「お馬鹿なあんたら二人はグランドでも走ってきたら~?」

穂乃果「土砂降りだよ!」

凛「っていうかにこちゃんだって馬鹿な癖に!」

にこ「ニコッ!?」


談笑が始まり、練習が一時中断されます


海未「はぁ…」


いつもは厳しく指示を出す私ですが、この時ばかりは…溜息

雨の日は嫌いです

外の空気と同じく、私の気分までじとじとしてしまって

花陽「でも来週には天気も回復するって聞いたよ!」

ことり「本当に?じゃあそれまでの辛抱だね!」

穂乃果「それ本当!?」

穂乃果「やったぁぁぁぁ!」

海未「穂乃果、声が大きいですよ」

穂乃果「あっ…えへへ、ごめんね~」


絵里「少し早いけど…休憩にしましょうか」パンッ


放たれる休憩の合図…

私は窓の外を眺めます

見えるのはぐしゃぐしゃになったグランド一面

しばらく経って、話しかけてくる穂乃果



穂乃果「海未ちゃーん!なに見てるの?」

海未「グランドですよ」

海未「きっと雨が止んだら、ソフトボール部の方達がまだ湿ったグランドで練習するんでしょうね」

穂乃果「うへー、きっとドロドロになっちゃうよ!」

海未「そうですね」


ソフトボール部の方達に心の中で小さく「ファイトです」と呟く


穂乃果「でも、たまにはドロドロになるのもいいと思わない?」

海未「はぁ?」

穂乃果「きっと凄く気持ちいいよ!」


気持ちいいですか…そうなんでしょうか


海未「でもきっと面倒ですよ」

海未「下着も何もかもドロドロになりますし」

穂乃果「はっ!そうだった…!」

海未「考えないんですか?そういうこと」

穂乃果「えへへ、目の前の事以外はあんまり…」

海未「まったく…」


まったく… 穂乃果は昔からこうです

後のことを考えない…いつも目の前の事を全力で…

呆れ果てます

でも、そういう後先考えない穂乃果のパワーによって、いつも私は引っ張られてきた…そう思うと

何だか少し後ろめたい気持ちになって



絵里「そろそろ、再開しましょうか」


物思いにふける時間のはおわりです

まったく…雨の日はどうしても色んな事を考えてしまって…

また、練習にもどらないと


・・・・

絵里「はい!今日の練習はここまで!」


練習終了の合図

また穂乃果が文句を言います


穂乃果「ぶぅぅぅ!やっぱり廊下じゃ全然練習した気にならないよー!」

凛「まったくにゃ!」


凛「これも雨のせいにゃー!」

ことり「まあまあ、仕方ないよ」

真姫「自然現象だもの」

希「雨が降らんと困るのはうちらやし」

穂乃果「むぅ…」

穂乃果「ん?」


窓の外…光が差し始めます


穂乃果「なぁぁぁ!?」

穂乃果「晴れてきた!?」

にこ「あちゃー」

絵里「練習を終えた途端晴れだすのね」

花陽「ついてないね~」


これには私も苦笑いを浮かべます


海未「まあ、こんな日も…ありますよ」


穂乃果「むぅぅぅ」

海未「穂乃果、帰りましょうか」

穂乃果「うぅ…」

海未「そんなにショックでした?」

穂乃果「うん…」

海未「来週は安定して晴れると花陽も言っていたじゃないですか」

海未「もう少しだけ我慢しましょう?」

穂乃果「うん」

穂乃果「そうだね、今日はもう仕方ないってことで…」


やっと立ち直ったと思った穂乃果の目がキラキラ光だす


穂乃果「このあと、穂乃果と寄り道する人ー!」


さっきまでのイライラ顔が嘘のように笑顔になる穂乃果


結局、全員が寄り道に参加することとなり


穂乃果「ふぁみれす~♪ふぁみれす~♪」

絵里「穂乃果、浮かれすぎじゃない?」

凛「馬鹿みたいだよ?」

にこ「馬鹿なのよ」

穂乃果「なっ!」

穂乃果「別にいいじゃん!楽しいんだから!」

真姫「ファミレスに行くだけじゃない」

穂乃果「楽しいじゃん!ファミレス!」

穂乃果「美味しいご飯食べたり~」

穂乃果「ドリンクバー混ぜて飲んだり~」

花陽「ドリンクバー混ぜるの!?」

希「コーラとメロンソーダ混ぜたら美味しいで~」

花陽「そうなの!?」

凛「凛は烏龍茶とカルピス!」

ことり「うわぁ…飲みたくないなぁ」

にこ「それならにこはコーラとオレンジね」

絵里「それも合わなそう…」


穂乃果「じゃあね!じゃあねぇ穂乃果は…」

穂乃果「お水とコーラ!」

ことり「薄くなって一番美味しくなさそう…」

海未「美味しく無いジュースを作ってどうするんですか!」

海未「というか飲み物で遊んじゃいけません!」

穂乃果「あはは、冗談冗談」


そんな、他愛もない会話をしている間にファミレスに到着し…

皆でご飯食べました

穂乃果は本当に水とコーラを混ぜ…泣きながら口に流し込んでいました


穂乃果「ふぁぁ!美味しかった!」

凛「穂乃果ちゃん、食べ過ぎにゃー」

絵里「凛も人の事言えないでしょう?」

花陽「メニューにラーメンを見つけて追加で食べてたし」

凛「ラーメンは別腹にゃ!」

ことり「ええー!?」

希「でも、よく締めのラーメンっていうやん?」

にこ「ラーメンってメインでしょ」

真姫「普通そんなに入らないわよね」


凛「そこは凛の胃袋が活躍するんだよ」

海未「太りますよ?」

凛「それは言わない約束にゃー…」

穂乃果「あははは!」


いつの間にか私達も軽口も叩ける間柄になっていました

その後

穂乃果はまだ帰りたくないらしく、とりあえず近くの公園まで行くことに


真姫「いやだ、地面がぐちゃぐちゃじゃない!」

凛「そりゃそうにゃ、さっきまで雨が降ってたんだから」

穂乃果「うわー!ブランコにスッゴい大きい水溜まりが!」

穂乃果「絵里ちゃん!乗ろう!」グッ

絵里「はぁ!?」

穂乃果「落ちたらびしょびしょだよー」

絵里「なっ!なっ!」

希「落ちんようにね」


絵里、可哀想に…

まあ希が近くにいるので大丈夫でしょう


花陽「ねぇ、みてみてカタツムリ」

ことり「本当だ!かわいいね」

花陽「さわれる?」

ことり「さわれない…」

にこ「可愛いと思うならさわりなさいよ」

ことり「でもヌルヌルしてるし…」


皆が思い思いに遊ぶ中…突然

ぽつぽつと


穂乃果「うわっ!雨だ!」

凛「またぁ!?」

海未「強くなりそうですね」

海未「あそこのベンチの屋根に移動しましょう」

希「そうやね」


雨はその強さにも関わらず降り続けました

ザァァァァァァァ

穂乃果「はぁ…早くやめー!」

にこ「最近多いわよね、ゲリラ豪雨ってやつ?」

真姫「異常気象ね」


雨が止むまで、たくさん話をしました

穂乃果の妹の雪穂の話

絵里がいたロシアの話

凛の最近行った美味しいラーメン屋さんの話など

どれも本当に他愛もない話で…でも皆楽しそうで

私も口が勝手に動いてしまって、普段言えないこともたくさん言ってしまいました…今思えば恥ずかしい事も言ったかも


海未「…」


そしてしばらくの沈黙…

皆、雨音に耳を傾けているようで…

その時

私はふいにこんなことを思いました

今ここで、このメンバーで、こうして一つの音に耳を傾けていること

三ヶ月前…

三ヶ月前の私はこの事を予想出来たでしょうか

三ヶ月前は名前も知らなかった人達ばかり

そう考えると

私は今ここでこうしている事が奇跡に思えて仕方なかった

すると、言い様のない感情が押し寄せて来て…

いつの間にか涙を流していました


穂乃果「海未ちゃん!?」

希「な、なんで泣いてるん?」

海未「な、なんでも…ないですよ」ニコッ

絵里「何でも無くないわよ!急に泣き出すなんて…」

海未「雨音はダメですね…どうしてもセンチメンタルな気分に…」

凛「センチメンタル?」

海未「ええ…今、ここで出会えた事…」

海未「それが奇跡だと思えて…」

花陽「?」


余計な事を言ってしまいました…平然を取り繕わなければ…


海未「…少し情緒が不安定になってしまっただけです」

海未「何も心配はいりませんよ」

にこ「なら、いいんだけど…」

穂乃果「…」


すると、穂乃果の目がギラギラ光って…


穂乃果「海未ちゃん!」

海未「?」

海未「何ですか?」

穂乃果「いこ!」グイッ

海未「あっ!何を!」


私はどしゃ降りの中、引っ張りだされました

もう一瞬のうちにびしょびしょになって


ザァァァァァァァ

海未「ちょ!穂乃果!何するんですか!」

穂乃果「気持ちいいでしょー!?」


海未「気持ちいい!?」

海未「びしょびしょじゃないですか!」

穂乃果「そんなのどうでもいいよ!」

海未「どうでもいい!?」

穂乃果「うん!どうでもいい!」

穂乃果「服がびしょびしょだとか、風邪引いちゃうかもとか!」

穂乃果「そんなの一時間後の自分に丸投げしちゃえ!」

海未「え…?」

穂乃果「今ここに皆でいるのが奇跡なんでしょ!」

穂乃果「じゃあこの奇跡を楽しもう!」

穂乃果「後の事なんて考えないで!」


シャワーのような雨の中響く穂乃果の言葉を聞いて

すべてがどうでもよくなりました


穂乃果「おーい!皆もおいでー!」

真姫「なっ!馬鹿じゃないの!?」

穂乃果「ことりちゃーん!」

ことり「穂乃果ちゃーん!いっくよー!」


ことりまでもが雨の中に飛び込んで…


穂乃果「凛ちゃーん!」

凛「合点にゃ!」

凛「真姫ちゃん!かよちん!いくよー!」


真姫「ひっ!」

花陽「誰か助けてー!」

穂乃果「希ちゃん!」

希「わかってるで!」

希「えりち!にこっち!」

絵里「いくわよー!」

希「おお!ノリノリやん!」

絵里「私もこの時を楽しむのよ!」

希「にこっち」ガシッ

にこ「ひぃぃぃ!」


小さい子供に戻ったように雨の中遊ぶ私達

嫌がってたにこや真姫達もいつの間にか笑顔で遊んでました

ぐちゃぐちゃのドロドロになったワイシャツとスカートの事は誰も気にしません

きっとお母様に叱られるでしょうね

でも…そんなことは一時間後の私に丸投げです!

何故だかそれが今は許される気がしました

後の事なんて考えてられない。今の事を全力で楽しむ。

この事を人は青春と呼ぶのでしょうか


おわり

今回は感じを変えました


真姫「ほのか祭り」
真姫「ほのか祭り」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399467770/)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月08日 (日) 01:47:06   ID: pq4nAWgD

書いたのおまえかよww

2 :  SS好きの774さん   2014年06月08日 (日) 01:48:03   ID: VdtyY7eI

SSSか?

3 :  SS好きの774さん   2014年06月16日 (月) 16:40:48   ID: TvZBCJGO

青春やな

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