純恋子「仮面ライダーすみれこ」 (111)


仮面ライダー・英純恋子は改造人間である
彼女を改造した英財閥は、なんかでっかい会社である
仮面ライダーは最強の女王になるために、暗殺者達と戦うのだ!!


純恋子「仮面でもライダーでもない?お黙りなさい」

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第1話「女・王・変・身」


溝呂木「…と言うわけで以上13名が10年黒組の仲間だ!みんなで仲良くやっていこう!」

純恋子「………」

純恋子(仲良く…くだらないですわね)

純恋子(私が目指すはただ一つ、最強の女王の座…ただそれのみ!)

純恋子(そのために一ノ瀬晴を倒す…それだけですわ)

純恋子(……でもまぁ、少しは腕に覚えのありそうな暗殺者達がここに集まっている)

純恋子(それを利用しない手はないかもしれませんわね)

純恋子(手始めにまず…ここにいる全員に私の力を示しましょう)

純恋子(力を見せつけ優位に立てば勝利など容易いですわ!)

純恋子(さて、どうやって…)

溝呂木「それじゃ次は学級委員長を決めよう、誰か立候補者はいないかー?」

香子「はい」ガタンッ

溝呂木「お、神長やってくれるか?」

純恋子(……むっ)

香子「学級委員長だけではなく、全ての長をやります」

みんな「?」

乙哉「全ての長って?」

香子「言葉通りだ…委員長、寮長、その他全部だ」

涼「ほほう、香子ちゃんかっこいいのう」

晴「黒組のリーダーですね!」

香子「文句のあるやつは言ってくれ、勝負する」

純恋子(…先手を取られた、いやしかし…これはチャンスでもありますわね)

純恋子(勝負とやらに勝って私が長となれば、普通に長になるよりも強く私の力を示すことができる)

純恋子(神長さんには悪いですけど…利用させてもらいますわ)ニヤリ

純恋子「はい」スッ

香子「!」

溝呂木「おっ、英?」

純恋子「私も長をやりたいですわ」

香子「学級委員長か」

純恋子「いえ…全ての長を、ですわ」

香子「………」ピクッ

純恋子「困りましたわね、被ってしまいましたわ」

溝呂木「そうだな、よし!じゃあ他に希望者がいなければくじびきで…」

純恋子「これはもう勝負するしかないですわね」

溝呂木「え」

香子「そうだな」ガタッ

純恋子「うふふ」

溝呂木「え…ちょ、ちょっと君達?」

伊介「なに?ケンカ?やれやれー♥」

乙哉「面白そう!頑張れー!」

晴「はわわ…!あ、あの…!こういうのよくないんじゃ…!?」オロオロ

純恋子「嫌ですわ、ケンカなんて…はしたない」

香子「…同感だな」

純恋子「英君、どうやって勝敗を決する?」

純恋子「……それでしたら私に提案がありますの」ニヤリ

兎角「……第一回黒組“長”決定アームレスリングたいかーーい」

伊介「いえーーい♥」

しえな「テンションが低いな」

兎角「うるさい、なんで私がこんなもの読まなくちゃいけないんだ…」ブツブツ

香子「なぜ腕相撲」

純恋子「長に求められるのは個性豊かな面々をまとめ上げる手腕ですわ」

純恋子「つまり、腕の力が強いほうが長にふさわしい」

香子「なるほど」

鳰「いや全然なるほどじゃねーッスよ、なんスかその理論」

春紀「まぁ二人が納得してるみたいだしいいんじゃね」

溝呂木「先生は平和的でいいと思うぞ!」

千足(暗殺者同士が争って何事もなく終わるとは…思えないな)

柩「……英さんに勝ち目はあるんでしょうか」

千足「桐ヶ谷?」

柩「…あんまり力があるようには見えないような」

千足「ふむ…そうだな」

千足「自己紹介でも体が弱いから自前の家具を持ちこんでいる…と言っていた」

千足「それが本当なら純粋な力比べで勝てるとは思えないな」

柩「対する神長さんは、目立った実績が無いとはいえれっきとした暗殺者です」

柩「でも英さんが勝ち目のない勝負を仕掛けるとは思えないんです、いったい何を…?」

純恋子「………」

純恋子(ふふ、何人かは気づいているようですわね)

純恋子(確かに言った通り、私は力はあまり強くない)

純恋子(普通に考えれば神長さんの勝ちですわ)

純恋子(しかし…その空気を打ち破り、私が勝てば)

純恋子(普通に勝つよりも強く!私の強さを示すことが出来る!!)

純恋子(この英純恋子、何の考えもなしに勝負を仕掛けるほど愚かではなくてよ)

純恋子(ちゃんと秘策は用意してありますわ)

香子「それじゃあ、始めようか」

純恋子「えぇ」ニコニコ

兎角「えぇと、時間無制限三本……めんどくさい、私は降りる」ポイッ

晴「あっ?ちょっと兎角さーん!」

晴「えっと…晴が解説しますっ!ルールは時間無制限!三本勝負!」

晴「先に二本選手したほうが勝利!黒組の長です!」

涼「見合ってみあってー、はっけよーい」

乙哉「相撲じゃん」

しえな「腕相撲だけどさ…」

香子「………」ガシッ

純恋子「お手柔らかに…」ハシッ

涼「……のこったっ!!」

香子「はぁっ!!」ガッ!

純恋子「きゃああっ!!」ドシャ

涼「香子ちゃん一本!」

純恋子「う…お強いですわね…」

香子「………?」

純恋子「いたた…」

千足「…負けたな」

柩「負けましたね」

兎角「予想通りと言えばそうだが…」

春紀「まぁそーだよな、温室育ちのお嬢様じゃな」

伊介「このままストレートで終わり?つまんなーい♥」

純恋子「………」

純恋子(これで、舞台は整った)

純恋子(ここからの華麗な逆転劇で…観客全員の心を掴む!)

純恋子「チェンジ・パワーハンド!!」ガシャコーン!

純恋子「50tもの鉄球の落下を受け止める事の出来る腕に換装!これで勝負は頂きですわ!」

純恋子「ちなみにファイブハンドを換装するタイムは僅か0.05秒に過ぎない!バレる心配もなしですわ!」

純恋子「さぁ第二回戦を始めましょう」

香子「…?あぁ」

涼「バトル・スタート!!」

純恋子「ふっ!!」ゴシカァン

香子「あぁっ…!!」

涼「ファイッ!!」

純恋子「はあぁっ!!」ドッゴォオ

香子「うああっ…!!」

みんな「…………」ポカーン

晴「え、えっと…二本先取で英さんの勝ちです…」

純恋子「ふっ…当然ですわね」

香子「う、腕が…!!」プルプル

涼「香子ちゃん!」

溝呂木「だ、大丈夫か神長…!」

純恋子「あらあら…全ての長をやると言った癖に、そんな力は無かったようですわね」

香子「くっ…」

晴「す、すごい…」

兎角「…………」

純恋子「これで私が黒組の長!文句はありませんわね?」

香子「……悔しいが、認めざるをえない」

純恋子「ふふ…では私が委員長、つまりはこのクラスの頂点…」

兎角「待て」

みんな「!?」

純恋子「?」

兎角「私も委員長に立候補する」ザッ

晴「とっ…!とととと兎角さん!?」

純恋子「あら…貴女も長に興味があって?」

兎角「そんなのはどうでもいい」

兎角「ただ、神長一人に勝ったくらいで黒組の頂点なんて言われたらたまったもんじゃないからな」

伊介「…そーねー♥それ、なんかムカつく♥」ガタンッ

春紀「あたしも力なら結構自身あるんだぜ?」

柩「千足さんだって強いんですよ」バッ

千足「……え?私もやるのか?」

純恋子「…………」

純恋子(……ただ力を示しただけでは屈しない、と言う事ですわね)

純恋子(いいですわ…なら全員叩きのめして私の力を思い知らせてあげますわ)

純恋子「いいですわ、やりましょうか」バッ

兎角「あぁ」ガシィ

純恋子「ふふ…怪我しても知りませんわよ」

兎角「こっちの台詞だ……おい一ノ瀬、コールしろ」

晴「えっ!?あ、はいっ!…それではセカンドステージ!兎角さん対英さん!」

涼「バトルスタートじゃ!」



純恋子「はぁ、はぁ…!!」ゼェゼェ

兎角「く……」

伊介「うっぐ…!」

春紀「くそぉ…!」

千足「大丈夫か…桐ヶ谷…」

柩「ううぅ…!」

しえな「ぐふっ…」

乙哉「チッ…!!」

涼「あいたたた」

晴「兎角さん!大丈夫ですか…!?」

兎角「…今日の夜はスプーンを持てそうにない」ヒリヒリ

純恋子「……これで名実共に私の完全勝利……いや」

純恋子「まだ何人か手合せしてませんが…やりますか?」

晴「や、やりません…!」

純恋子「そう…ではごきげんよう」

純恋子「明日からは私が黒組の委員長ですわ」スタスタ

鳰「ふぇー、すっごい強さッスねー」

兎角「ただものではない…!」

春紀「いてて…!軽く捻挫したかなぁ、コレ」

涼「もうちょっと年上をいたわってほしいものじゃな」

晴「みんな案外大丈夫そう…すごいなぁ」

柩「鍛えてますから」ニコッ

乙哉「…………」

乙哉(英ちゃんかぁ、ちょっと興味湧いちゃったなぁ……♪)ニヤリ

金星寮C棟
 6号室


純恋子「……」ガチャッ バタン

純恋子「く…!」ガクッ

純恋子「さ、流石に…連戦は応えましたわ…!」

純恋子(腕が強力だとしても、それを装着している身体は生身…!負担が大きすぎたようですわね)ゼェゼェ

純恋子(だけど、こんなところで弱音を吐いては居られませんわ)

純恋子(最強の女王になるためには、更なる勝利を重ねないと…!)

真昼「あ、あの……」

純恋子「……!!」

純恋子「貴女は確か、番場さん…でしたわね、何故ここに?」

真昼「え、えと…あの…寮、同じ部屋で…」オロオロ

純恋子「あぁ…そうでしたわね」

真昼「大丈夫ですか…?気分、悪そうです…」オロオロ

純恋子「…これくらい、なんともないですわ」

真昼「でも…」

純恋子「少し疲れただけですから、お気になさらず」

真昼「………」オロオロ

純恋子「………ふぅ」

純恋子(疲れましたわ…ちょっと休憩を…)

純恋子「…………」Zzz



純恋子「………んっ」パチン

純恋子「ふわぁ…よく寝ましたわ…」シュルッ

純恋子「ん?毛布…?これは…」

真夜「よっ!!」

純恋子「!?」ビクッ

真夜「やっとお目覚めか」

純恋子「ば、番場さん…?ですわよね…?」ドキドキ

真夜「…ってわけよ」

純恋子「……つまり、二重人格?」

真夜「オレが番場真夜…昼の女が真昼だ、よろしくな」

純恋子「……えぇ、よろしく」

純恋子「…真夜さん、この毛布は貴女が…?」シュルッ

真夜「知らね、オレが起きた時はもう英は寝てたからな」

純恋子「なら…真昼さんかしら?」

真夜「だな」

純恋子「…優しい方なんですのね」

真夜「いい女だろ?でも惚れるなよ…アレはオレのだからな」ニヤニヤ

真夜「しかし…あの真昼が、ねぇ」

純恋子「?」

真夜「あいつ人見知りだからな…知らねぇ奴に親切にするなんて珍しいかもな」

純恋子「そうなんですの」

真夜「いや本当に珍しいぜ」

真夜「……英、真昼と仲良くしてやれよ」

純恋子「え?」

真夜「友達を作るのが真昼の夢だったんだ」

純恋子「友達…」

純恋子「………」

純恋子(親切、友達…)

純恋子(どっちも…私には縁のない言葉ですわね)

純恋子(生まれてからずっと命を狙われ続けてきた私には…)


…次の日


真昼「……」Zzz

純恋子「………」ガチャガチャ

純恋子(よし、身体の調子は良好ですわ)

真昼「……あ」パチン

純恋子「あら番場さん、おはようございます」

真昼「あ、お…おはようごじます…」モジモジ

純恋子「昨日は毛布をありがとう…真夜さんから聞きましたわ」

真昼「え、えと…その…はい……」モジモジ

純恋子(……本当に人と接するのが苦手みたいですわね)

純恋子「…そうだ!お礼に真昼さんをお茶会に招待いたしますわ!」

純恋子「最高級のお茶菓子に、特製の英ブレンドを用意しますわ!是非…」

真昼「ごめんなさい…無理です…!」

純恋子「………」

純恋子「え?」

真昼「無理です……」

純恋子「………そう」

真昼「ご、ごめんなさ…あの…」オロオロ

純恋子(私の…!女王の誘いを断るですって…?)

純恋子(こんな事初めてですわ…)

純恋子(番場真昼さん…ふふ、面白いですわ!)ニヤリ

真昼「………?」ドキドキ

10年黒組
 教室


純恋子「………」

乙哉「…おっはよー♪英ちゃん♪」

純恋子「あら、武智さん…おはようございます」

乙哉「昨日の腕相撲すごかったねー、全員ボロ負けだったじゃん」

純恋子「そんなに大したことではないですわね」

乙哉「勝者の余裕ってやつ?すごいなー」

乙哉「……ねぇ、もう一回あたしと勝負しない?」

乙哉「今度は遊びじゃないよ、あたしの部屋でさ…マジの勝負しようよ」ハァハァ

乙哉「あたし、英ちゃんの事気にいっちゃった…だからさ…」

純恋子「お断りしますわ」プイッ

乙哉「え」

純恋子「失礼」スタスタ

乙哉「………」

伊介「ぷっ、フラれちゃったねー♥」

乙哉「……うっさいな」

純恋子「………」

純恋子(勝負を挑んでくるのなら、完膚なきまでに叩きのめして力の差を思い知らせるチャンスでしたわ)

純恋子(二度と私に逆らえないようにして利用できる…はずなのに)

純恋子(今の私にはそれよりもっと大切なことがある)

純恋子「……」スタスタ

真昼「……?」

純恋子「番場さん」

真昼「は、はひっ…」

純恋子「よろしければ今日のお昼を一緒にどうかしら?」

真昼「え……」

真昼「そ…それは、だめです…」

純恋子「!?」ガーン

真昼「ごめん…なさい…」

伊介「………ぷふー♥」クスクス

伊介「二人してフラれてるー♥なにそれ伊介笑っちゃうー♥」

春紀「おいおい伊介様…そんなに笑ってやるなって」ニヤニヤ

晴「…英さん、昨日はちょっと怖い人かなって思ったけど」

晴「けっこう普通の人なんだね」

兎角「そうだな」

純恋子(く…!聞こえてますわよ…!!)

純恋子(私は何をしているのかしら…昨日築いたイメージが台無しですわ)

純恋子(何故私はこんなに、番場さんにこだわって…?)

乙哉「………」

しえな「どうした武智?」

乙哉「うるさいなっ、ほっといてよ」

しえな「な、なんでイラついてるんだ…」

乙哉「…………チッ」

乙哉(英ちゃん…あたし、諦めないよ…)

放課後
 金星寮C棟・6号室


真昼「………はぁ」

真昼「英さんに、うまく言えなかった…」

真夜『なにやってんだお前…』

真昼「…真夜、起きてたの」

真夜『そろそろ日も暮れるしな…ってそんな事はどうでもいいんだよ!』

真夜『お前本当に何やってんだ!あれじゃただの感じ悪い人だろーが!』

真昼「だ、だって…恥ずかしくて、言えなくて…」

真昼「……ダイエット中だって」

真夜『…チッ、本当しょうがないなお前』

真夜(今夜あたりオレがなんとかして…)

ドア「コンコン」

真昼「……お客さん?」

真昼「は、はい…」ガチャッ

乙哉「…………こんばんは♪番場ちゃん♪」

純恋子「…ただいま戻りましたわ」ガチャ

純恋子(……あら、番場さんはお出かけかしら)キョロキョロ

純恋子(真夜さんがいたら、聞きたい事があったのに…)

純恋子「……あら?」

純恋子「これは…手紙?」ペラッ


英ちゃんへ

番場ちゃんは預かったよ♪

遊びに来たけど英ちゃんいなかったんだもん

だからそれまで番場ちゃんと遊んでるね

英ちゃんも一緒に遊ぼう

屋上まで来てね

 出席番号8番 武智乙哉


純恋子「………」

純恋子「………」グシャ

純恋子「………ふふふ」

純恋子「これは、女王への挑戦状と取ってよろしいのかしら」

純恋子「番場さんまで巻き込んで…!」

純恋子「いい度胸ですわね…!武智さん…!!」

純恋子「そんなに遊びたいんなら、いいですわ…!見せて差し上げますわ…!!」

純恋子「私の、変身…!!」

ミョウジョウ学園
 屋上


乙哉「んふふ…」

真昼「…っ!!……!!」ジタバタ

乙哉「あぁもう、暴れないでよ!めんどくさいな」

乙哉「なんならここで殺しちゃってもいいんだよ?」ジャキッ

真昼「………!!」

乙哉「そうそう、大人しくしてて」

乙哉「番場ちゃんは、英ちゃんのあとにちゃんと遊んであげるからさぁ」

乙哉「あぁ…!楽しみだなぁ、早く来ないかなぁ…英ちゃん…!!」

乙哉「早く切り刻んでバラバラにしたい…!」

乙哉「あたしも久しぶりに本気、出せそうだし……ね」カチッ

ガイアメモリ「ナスカ!」

乙哉「うふ、ふふふふふ、あはははははははあはははあははは」

つづく

純恋子「番場さんっ!」ガチャッ バーン

乙哉「あ、英ちゃん…来たね」ニヤァ

純恋子「…武智さん、これは一体どういう了見ですの?」

純恋子「場合によっては私、絶対に貴女を赦しませんわよ」ゴゴゴゴゴ

乙哉「あはっ、なんでそんなキレてんの?こわーい」

純恋子「………」ギロッ

乙哉「…別に、番場ちゃんを連れてきたのに特に意味は無いよ」

乙哉「手紙にも書いたけど英ちゃんが来るまでの遊び相手が欲しかっただけだしね」

純恋子「…なるほど」

乙哉「でも連れてきて正解だったかな」グイッ

真昼「っ…!」ビクッ

純恋子「……番場さんを解放しなさい」

乙哉「そんなに番場ちゃんが大事?」

純恋子「…………」

乙哉「………あはははははははは」


ザシュッ

純恋子「っ!!」

真昼「げほっ…!ぷはっ…!」ハァハァ

乙哉「あはははははあはびっくりした?口を自由にしてあげただけだよー」

真昼「はぁ…はぁ……英さん…」ハァハァ

純恋子「…大丈夫、絶対助けますわ」

乙哉「助けられるかなー?今の英ちゃんに」

純恋子「…どういう意味ですの?」

乙哉「あたし気付いちゃったんだよねー……英ちゃんさ、今疲れてない?」

純恋子「……!」

乙哉「…図星みたいだね」ニヤリ

乙哉「原理はよく分かんないけど…昨日みたいにすごい力を出した後は結構消耗しちゃうみたいだね」

純恋子(……確かに、まだ昨日の疲労が完全に取れたわけではない)

乙哉「そりゃあたしと遊びたがらないわけだよね?勝てないもんね、あははははは」

乙哉「…あたしにとっては好都合、今度こそゆっくり…切り刻んであげる…!」カチッ

ガイアメモリ「ナスカ!!」

真昼「!」

純恋子「!?」

乙哉「はぁっ!!」ギョーーーン

メキメキメキメキ

ナスカ・ドーパント「あははははははははは!!さぁ遊ぼっか英ちゃん!」ジャキーン!

純恋子「な…怪物…!?アレは…!?」

真昼「あれは…ドーパント…!」

真昼「地球の記憶が封じられたガイアメモリを肉体に差すことで人が変身した……怪人…!」

純恋子「……なるほど、実際に見るのは初めてですわ」

ナスカ「あたしのメモリの記憶は『ナスカ』!」

ナスカ「見て、この剣…!人のままじゃ絶対に使えないほどの強い武器…!」

ナスカ「これで好みの女の子を、生きたまま少しずつ切り刻むの…それがあたしの生きがいなの!」

純恋子「く…!」

真昼「だ、だめです…英さん…!逃げて…!」

真昼「生身の人間じゃ絶対…勝てないます…!」

純恋子「………!」

純恋子「生身なら、ね」ニヤリ

ナスカ「まずはその強い右腕…切り裂いてあげるっ!!」シュバッ!

純恋子(速…!!)

ナスカ「フッ!!」ズバンッ!!

真昼「ひっ…!!」

純恋子「…………!!」

ナスカ「…………」

ナスカ「………あれ?」

ナスカ「………なんで、斬れてないのかな」

真昼「!?」

純恋子「あいにくですが…そんなナマクラで斬れるほど私の腕、柔くはないですわよ」ガキィン!

ナスカ「鉄……義手!?」

純恋子「ぐ………!」ギリギリギリ

ナスカ(なにこの力…!?あたしが押されて…!?)

純恋子「はっ!!」ベキィ

ナスカ「うわあっ!!」ドシャッ

ナスカ「なんで…!?」

純恋子「ふぅ…やはり、疲れが取れていませんわ、力が思うように出せない…」

純恋子「…やってくれましたわね、制服が台無しですわ」ビリッ

純恋子「………っ」バサァッ!!

真昼「………!」

ナスカ「……なに、それ」

ナスカ「なになになに…!?なにその腕…!それに脚!!」ワクワク

純恋子「家庭の事情で幼い頃から命を狙われてましたの…その結果と言ったところかしら」バーン

真昼(腕と脚…四肢が、機械…!?)

ナスカ「かーっこいいー!!なにそれ斬り落としたい!!」

純恋子「乙女の柔肌を晒させた罪は重いですわよ」

ナスカ「勝手に脱いだんじゃん!」

純恋子「制服を破いたのは武智さんですわ!」

ナスカ(なるほどね…機械の力であれだけのパワーを出してたんだ)

ナスカ(でも今、英ちゃんの体調は万全じゃない…ドーパントになったあたしなら勝てる!)

ナスカ「見た所…腕と脚以外は生身みたいだし…!動きを止めてからゆっくり遊んであげる!」ジャキッ

純恋子「ふー……」

純恋子「仕方ない、状況が状況ですし…見せてあげますわ」

純恋子「私の……変身」

真昼(変身!?)ドキドキ

ナスカ「変身…?へぇ、その腕変形でもするの?」

ナスカ「でも意味ないよ!……おなか狙っちゃうから!!」バッ!

純恋子(私の奥の手……!変身!)

純恋子(改造と言ってもいいほどの治療手術によって強化された私の四肢!)

純恋子(その性能を100%発揮するのは、生身の体では不可能…!)

純恋子(ならば体も強化すればいい!その答えにしたがって私の身体に搭載されたもの、それは…)

純恋子(風の力からエネルギーを取り込み……肉体を強化変身させる機能!)

ナスカの巨躯が真っ直ぐに突進する

その見た目からは想像も付かない程速く、刃を携えた殺気が純恋子に向かう

純恋子の危機に、真昼の悲鳴があがる……それよりも速く

ナスカブレードが純恋子の腹部を袈裟切りにしようと振り下ろされた

本体と同じく凄まじい速さを伴ったそれは

そこにあった空気を押し退け、押し出し、押し流し

「風」を作りだした


純恋子「………変身」

カッ!

ナスカ「!?」バッ

純恋子「……この姿、実はあんまり好きではないのですけど」スタスタ

ナスカ(なっ…!?あの姿…何!?あれは…!)

純恋子「体中全部機械みたいで…無粋でしょう?」スタスタ

真昼(あの顔……仮面…!そうだ、あれは…!)

純恋子「でもまぁ仕方ないですわね」

純恋子「本気を出して…貴女を懲らしめるにはこれくらい我慢しないといけませんわ」

真昼「………!」ドキドキ

真夜『おいおい…真昼、あれは…!』

純恋子「女一匹、英純恋子!タイマン張らせて頂きますわ!」バーン

ナスカ「……なるほど、変身か…確かに変身だねそれ」

ナスカ「でもそれじゃつまんないよ…あたしが斬りたいのは人の体だもん」ジャキッ

ナスカ「ちょっと痛めつけたらその変身、解けるかな!?」バッ

純恋子「えぇ、解けますわよ」

ナスカ「やった!じゃあさっさと……!」

純恋子「解かせてみてくださいな………出来るものなら」シュバッ!!

純恋子「ふっ!!」ベキィ

ナスカ「がっ!!?」ドッゴォ

ナスカ(な……!そんな、強い…!!)

真夜『似てる……』

真昼「うん、似てる……」

純恋子「いかがかしら?100%の力を発揮した私のパンチの味は」

ナスカ(だ、ダメだっ…!まともにやっても勝てない…!)

ナスカ(………でも!)

ナスカ「あたしだってまだ、奥の手がある!!」バサァッ!!

純恋子「飛んだ…!?」

ナスカ「ナスカ・ドーパントレベル2!飛行能力!」

ナスカ「このまま、そのパンチが届かない所からじわじわ…!」

純恋子「低いですわ」ッバーーン!

ナスカ「嘘ぉ!?」

純恋子「そのくらいの高さ、この英財閥謹製強化義足の脚力からすれば道端の段差と同じ…ジャンプで届く距離ですわ」

純恋子「パンチが届かなければキックで届かせてみせますわ」グググ…

真昼(似てる…!)

真昼(子供の頃、ずっと憧れてたヒーローに…)

真夜(真昼の夢だった、あの姿に!!)

真昼/真夜(仮面ライダーに!)

純恋子「すみれこキーーーーック!!」ズドンッ!!

ナスカ「うっぐ……!!うわああああああーーーっ!!」チュドーーーン

ガシャァン!!

乙哉「そ、そんな…あたしのメモリ……が…」

純恋子「武智さん…学級委員長として一言、言わせて頂きますわ」

純恋子「いじめは絶対ダメですわ、貴女は停学です」

乙哉「ちくしょう……!」ガクッ

真昼「………!」

純恋子「……番場さん、怪我はなくて?」スタスタ

真昼「あ……はい、大丈夫です…」

純恋子「そう、よかった…」

純恋子「番場さんを助けられてよかった」ニコッ

真昼「……っ」キュン

仮面ライダー・英純恋子は武智乙哉を倒し、ナスカメモリをブレイク…真昼の救出に成功した
         プロローグ
しかしこの事件は序章にすぎない、まだまだ戦いは終わらない

これから先も純恋子に様々な苦難が待っているだろう、様々な暗殺者が襲い掛かるだろう

降りかかる火の粉を全て振り払い、その先にある自由を掴みとるまで…道は果てしなく続いている

最強の女王を目指す、純恋子の冒険はまだ始まったばかりだ


第1話「女・王・変・身」   




つづく

第2話「大切なものは」


ミョウジョウ学園
 理事長室


画面『すみれこキーーーーック!!』

画面『うっぐ……!!うわああああああーーーっ!!』チュドーーーン

鳰「屋上のカメラが撮った映像ッス」

目一「驚いたわね…まさか人間が変身するなんて」

目一「英財閥の科学力は大したものね」

鳰「すごいッスねー、まさか…」

鳰「ガイアメモリをブレイクするほどの力だなんて」

目一「……晴への試練として用意した刺客のつもりだったけど」

目一「英純恋子さん…思わぬ邪魔が入ったものだわ」

鳰「どうするッスか?理事長」

目一「そうね…」

目一「ひとまず鳰さんは監視を続けて頂戴」

目一「英さんも大事な駒の一つ、今消すのには惜しいわ」

目一「むしろ…晴にはこれくらい乗り越えてもらわないと困るのだから」

鳰「でも、これからも英さんがウチらの邪魔するようだったらどうするッスか?」

鳰「これ以上刺客を…暗殺者達を倒されると試練にならないッスよ」

目一「その時は…」

目一「仕方ないわね」ニヤリ

鳰「………」ニヤニヤ

目一「鳰さん、これを持っていきなさい」スッ

鳰「これは…錠前ッスか?」

目一「ロックシードよ、使い方は分かるわね」

鳰「ほえー、初めて見たッス」

目一「それじゃ、後はよろしくね」

鳰「……了解ッス」ペコリ

金星寮C棟
 6号室


純恋子「仮面ライダー…ですの?」

真夜「おう!そっくりだったんだよ!!」

純恋子「……そうですの」

真夜「……嬉しくないのか?」

純恋子「…男の子向けの特撮番組の主人公に似てると言われて喜ぶ女性はいないかと」

真夜「真昼なら喜びそうだぜ?」

純恋子「真昼さん…変わった趣味をお持ちで」

真夜「夕方は本当に助かったぜ、真昼はビビリだからな…一人じゃ戦えねーんだ」

純恋子「私は別に…武智さんが目障りだっただけですわ」

真夜「あれ?でも助けにきたとか言ってたじゃん?」

純恋子「!」ドキッ

純恋子「そ、それは…」

純恋子『…大丈夫、絶対助けますわ』

純恋子『番場さんを助けられてよかった』

純恋子「………」

純恋子(おかしいですわね…何故私はあんなことを)

純恋子(武智さんを懲らしめるため、だったはずなのに)

純恋子(初めて会った時から、何故か番場さんは特別で…)

純恋子(優しくされたのが嬉しくて、友達だと言ってくれたのが嬉しくて…)

純恋子(私が助けないと!と…自然にそう思った…)

純恋子「まぁ、アレですわ…ついでですわ、ついで」ドキドキ

真夜「ふーん、そうかよ」ニヤニヤ

真夜「……で?これからは助けてくれんの?」

純恋子「…は?」

真夜「仮面ライダーっつったら人間の自由を守るために戦う!ってのが普通だろ!!」

純恋子「わ、私は別に仮面ライダーというわけではないですわ!!」

真夜「マジか!?」ガーン

純恋子「マジですわ」

真夜「…じゃあなんでお前、ここに来たんだよ」

純恋子「………」

真夜「黒組に参加したって事は何か目的があるんだろ」

純恋子「私は…力を示すためにここに来たんですわ」

純恋子「私の体に宿った圧倒的な力が最強だと証明するために」

純恋子「女王蜂…一ノ瀬晴を倒し、私こそが最強の女王だと証明するために!」

真夜「ふーん…なるほど…」

純恋子「だから世のため人のために働いている時間なんてないですわ」

真夜「もったいねー、俺ならもっとかっこよく活躍するために使うぜ」

真夜「真昼といい、お前といい…やれやれ」

純恋子「真昼さん…?」フト

純恋子(そういえば真昼さんも暗殺者のはず…)

純恋子「真昼さんも戦えるんですの?」

真夜「ん?あぁ…」

真夜「聞いて驚くなよ?真昼もなんと…」

ドア「コンコン」

すみしん「ん?」

しえな「夜遅くにごめん…いいかな?」

純恋子「剣持さん…なにか?」

しえな「武智が部屋に戻ってこないんだよ…あいつどこ行ったんだろ」

しえな「ここに来てないよね、おかしいなぁ」キョロキョロ

真夜「………」

純恋子「………」

真夜「あいつなら大爆発して吹っ飛んだぞ」

しえな「!?」

純恋子「ちょっ…真夜さん!?」

純恋子(おかしな事言わないでくださる!?私が壊したのはメモリだけですわ!!)ヒソヒソ

純恋子(その言い方だと武智さんごと爆発させたように聞こえるでしょう!?)

しえな「えっと…よく分かんないけど、いないみたいだからボク帰るよ」

真夜「じゃあにぃー♪」

次の日
 10年黒組・教室


溝呂木「えー…今日はみんなに悲しいお知らせがある」

溝呂木「突然のことで先生も驚いているんだが、武智の転校が急に決まった…」

みんな「!!」

溝呂木「残念だけど、次の学校で元気にしていることを祈ろう」

溝呂木「それじゃ、今日の連絡は…」



春紀「あいつ…予告票出したのか?」ヒソヒソ

涼「失敗したのか」ヒソヒソ

しえな「ボク知らないよ…少なくとも書いてるところなんて見てない」ヒソヒソ

純恋子「………」

純恋子(少々話題になってますわね…)

純恋子(ここで、武智さんを倒したのが私だと宣言すれば…いや)

純恋子(証拠が出せませんわね、やはり力はみんなの前で示さないと……はぁ)

…お昼休み


真昼(お昼ごはん…)ワクワク

真昼「………♪」ムシャムシャ

純恋子「番場さん」スタスタ

真昼「あ…英さん…」ドキドキ

純恋子「今日は、お昼をご一緒してよろしいかしら?」ニコッ

真昼「…え、えと」

真昼「……どうぞ」

純恋子「ふふ、ありがとう」



真昼「……」ドキドキ

純恋子「……」モグモグ

真昼「あ、あの……その」

真昼「昨日は、助けてくれて…ありがとうございます」ペコリ

純恋子「!」

純恋子「ま、まぁ…当然のことをしたまでですわ」ドキドキ

真昼「わたす、英さんにひどいことしたのに……」

純恋子「?」

真昼「……お昼、断りますた」

純恋子「あぁ…」

真昼「あの…私、その……」

真昼「ダイエット、してて…」ポッ

真昼「だから時々お昼抜いてるます……それで、英さんとお昼食べれなくて…」

純恋子「あぁ、なるほど…そういうことでしたの」

真昼「え、えと、その、だから」

真昼「ご、ごめんなさいでした…」ペコペコ

純恋子「まぁまぁ、そんなに頭を下げないで…うふふ」

純恋子(そういうこと…よかった、私が嫌われているとかでなくて…)ホッ

純恋子(…って、なんでほっとしてるんですの?私…)

純恋子(番場さんだって…いつかは倒すべきライバルになるかもしれませんのに)

純恋子(やっぱり私、番場さんのこと…)ドキドキ

鳰「………」コソコソ

鳰「ふふん、教室で優雅にランチタイムッスか」

鳰「他に人もいないし…ちょうどいいッスね」

鳰(番場さんいるッスけど…ま、いいか)

鳰「英さん、悪いッスけど…ちょっと実験に付き合ってもらうッスよ」

鳰「性能テストッス!」カチッ

ロックシード「ガシャコーン!」

クラック「ジイィィィ」

真昼「!?」ビクッ

純恋子「空間に…裂け目!?」ガタンッ

インベス「キシャアアアァ」ヒョコッ

真昼「ひぃっ!?」

純恋子「な、なんなんですの…これは…!!」

鳰「フフフ…なるほど、こう使うんッスね」

鳰「さぁ!バトルスタートッスよ!!」

つづく

純恋子「はっ!」ドカッ

インベス「オオッ」

純恋子「番場さん!私の後ろに!」サッ

真昼「ひいい…!」ガタガタ

インベス「キシャアァアア」

純恋子(この化物…何故いきなりここに?)

純恋子(知性があるようには見えませんわね…何か狙いがあるとも思えない)

純恋子(しかし、先ほどの空間の裂け目は…ジッパーのような、人工物に見えた…)

純恋子(……誰かがここに送りこんできた?)

純恋子「乙女のランチを邪魔するなんて随分礼儀のなってない人ですこと」

鳰(さーせんッスねー)コソコソ

純恋子「さっさと終わらせて差し上げますわ!チェンジ・パワーハンド!」ガシャコーン!

純恋子「すみれこパーンチ!!」メシャアァッ

インベス「ッ!!」ドッゴォ

純恋子「う、ぐっ…!」ズキッ

真昼「は、英さん…!」

純恋子「だ…大丈夫ですわ」ズキズキ

純恋子(昨日の戦いの疲れが取れていない…変身せずにパワーハンドを使うのは厳しいですわね)

純恋子(だけど、相手は一体!すぐに終わらせれば!!)ダッ

純恋子「せやーっ!!」ベキィ

インベス「グオオオオーー!!」ドッカーン!

真昼「やった…!」

純恋子「ふぅ…」

純恋子「ふふ、あまり手ごたえは」

クラック「ジイイィイィ」

セイリュウインベス「グオォアアアーー!!」ピョイン

純恋子「なかっ………え?」

セイリュウインベス「オオアアーーー!!」ドカッ!

純恋子「きゃあああっ…!!」

真昼「英さん!!」

純恋子「がはっ…!ごほ…!」

純恋子「そ、そんな…もう一体…!!」フラフラ

セイリュウインベス「グオオオーーー!!」

純恋子「あまり調子に…乗らないで欲しいですわ!!はあっ!!」ガキーン!!

純恋子「……硬い!?」

鳰(やっぱ低ランクのロックシードじゃ仮面ライダー相手には役不足みたいッスねぇ)

鳰(だったらこっち!Aランクのロックシードから呼び出せる上級のインベスで相手してもらうッスよ!)

純恋子「やっ!とぉっ!!」ガキーンガキーン

純恋子(ダメ…!私の攻撃が一切通用しませんわ!!)

純恋子(変身しなくては…!!)

セイリュウインベス「グオアアー!!」ズドン!

純恋子「くっ!」

純恋子(しかし、変身するにもここは室内!どうすれば…!!)

ガラッ ビュウウウーー

純恋子「!!」

純恋子「これは……風!?」

真昼「窓…開けますた…」

純恋子「番場さん!」

セイリュウインベス「グオオァ!!」ダッ

純恋子「助かりましたわ…ありがとう」フッ

純恋子「………変身」キュピーン!ジャララーン キュピピピピピジャーン!

真昼「……!!」ドキドキ

真昼「仮面ライダー…!かっこいい…」ポワーン

純恋子「さぁ…本気で行きますわよ」ザッ

セイリュウインベス「オオオオオオ!!」ダダダダダ

純恋子「……すみれこパンチ!!」ゴッガシャア

セイリュウインベス「オアアアッ!?」ドゴーン!

鳰(なっ…!?あの硬そうなインベスを吹き飛ばすなんて…マジッスか!?)コソコソ

純恋子「……硬くて腕が痺れてしまいますわ」スタスタ

セイリュウインベス「グオオ…」

純恋子「ここは、あまり動かなくて済む方法で倒して差し上げましょう」バッ

純恋子「チェンジ!ウィザードライバー!」ガシャコーン!

純恋子の腕「ドライバーオン!プリーズ!」ギュオォンシュピーン!

真昼「う、腕に手形…?」

純恋子「ふふん、英財閥謹製・新開発のウィザー腕ドライバーですわ」

純恋子「魔法の技術を分析し、そのメカニズムを義手に仕込んだ事で私は…魔法使い、ウィザードになれる!」バーン

純恋子「……いや、ウィッチかしら?」

セイリュウインベス「グオオオオオオッ!!」ズドドドドド

純恋子「まぁどっちでもいいですわ」ギュオンギュオンキュピーン!

ウィザー腕ドライバー「ルパッチ・マジック!タッチ・ゴー!バインド、プリーズ!!」ジャララララ ガシャン!

セイリュウインベス「グオッ!?」

純恋子「フフ…動けないでしょう?これが魔法の力ですわ」ギュオンギュオン

ウィザー腕ドライバー「ルパッチ・マジック!タッチ・ゴー!チョーイイネ!ブリザード!!」

純恋子「はっ!!」バッ

ウィザー腕ドライバー「サイコー!!」キュピピピピ ビュオオオオ!カチコチカキーン!

セイリュウインベス「………!!」カチーン

純恋子「フィナーレですわ!」

ウィザー腕ドライバー「ルパッチ・マジック!タッチ・ゴー!チョーイイネ!」キュピピピピ!

純恋子「はあああぁ…!!」スタンッ!

ウィザー腕ドライバー「キックストライク!サイコー!!」

純恋子「やああああーーーーっ!!!」ズドンッ!! バキィイイイイン!!

セイリュウインベス「グオッ…!オオオオアアアアアアアアーーーー!!!」ドッカーーーーン!!!

純恋子「ふぃー」

鳰「…………!」ビクビク

鳰(なんスかアレ!?ただの改造人間じゃない…!英財閥の力、恐るべしッス!!)

鳰(理事長に報告しないと…!!)スタタタ

真昼「や、やりましたね…英さん…!」

純恋子「………むっ?」

純恋子「チェンジ!レーダーハンド!!」ガシャコーン!

『説明しよう!ファイブハンドの一つ、レーダーハンドは内臓されたレーダーアイを使う事で周囲10km圏内をサーチ出来るのだ!』

純恋子(誰かが逃げていく…?やはりさっきの化物を操っていた黒幕がいたようですわね…)

純恋子(しかし誰が…?私の命を狙う輩…?)

純恋子(いや、それが学園内にまで入ってくるとは考えにくい…とすると学園内部の…?)

純恋子(……この10年黒組というイベント、一筋縄では行かないようですわね)

真昼「英さん…?」

純恋子「…っと失礼、考え事をしてましたわ」ニコッ

純恋子「番場さんはご無事?怪我とかは…」

真昼「な、ないです…だいじょぶです」

真昼「あ、あの…また守ってもらって…ありがとうございますっ」ペコペコ

純恋子「!!」ハッ

純恋子(……ま、またつい、守ってしまいましたわ)

純恋子(やはり……私は…これは、もう…)ドキドキ

真昼「あの…?」

純恋子「はっ…失礼」

純恋子「お礼なんて結構ですわ……私はただ」

純恋子「大切な物を守っただけですわ」

真昼「…え?た、大切なもの…?」ドキッ

真昼「そ、それって…もしかして…」ドキドキ

純恋子(今、はっきりと分かりましたわ)

純恋子(そう……私は、番場さんを…特別に、大切に思っている)

純恋子(番場さんを守りたいと思う、この気持ちは…!)

真昼「わたす…ですか?」

純恋子「えぇ」

純恋子「私…どうやら、番場さんの事を好きになってしまったみたいですの…♪」ポッ

純恋子「仮面ライダーすみれこ、これからは…番場さんのために戦いますわ!!」

真昼「……え」

真昼「えっ、ええぇ…!?ふえぇ…!!」カアァ

真昼「わっ…!?私…!?いまっ、告白、され…!?ええええええ…!?」ドキドキ

純恋子「ふふっ♪」

純恋子(大切な人のために戦う、これも…私が選んだ女王への道)

純恋子(見せつける力だけではなく、守る為の力をも私は手にし…真の女王になってみせますわ!)

純恋子(…もちろん、お妃さまは番場さんで♪)ポッ

ミョウジョウ学園
 理事長室


鳰「……報告は以上ッス」

目一「…想像以上にも程があるわ」

目一「魔法…かつて科学に淘汰され表向きには消滅したはずの力」

目一「それをも英財閥は手にし…そして己が力としている…」

目一「……危険だわ」

目一(そして、恐らくそれだけではない…)

目一(他の様々な力をも…)

目一「鳰さん」

鳰「はい」

目一「もう英さんの監視はいいわ」

目一「…始末する方向で、お願いするわね」

鳰「……」ニヤリ

目一「方法は鳰さんに一任するわ」

鳰「…じゃあウチも、本気を出していいって事ッスよね」

目一「よくてよ」

目一「我らが『一族』にとってあの力は…仮面ライダーは邪魔者でしかない」

目一「…裁定者としての仕事だけじゃなく、こんな事まで押し付けてしまって申し訳ないわね」

鳰「…いや、全然大丈夫ッスよ!」

鳰「ウチは理事長…貴女のためだけに生きてるんッスから」

鳰「なんなりとお申し付けください…ウチは、どんなことでもやり遂げてみせるッス」

目一「………」ニコッ

鳰「………」

鳰(それにウチとしても、本気の力を出して戦える事に…血が騒がないわけじゃないッスからねぇ)

鳰(この体に刻まれた力を…)ニヤニヤ

ミョウジョウ学園
 10年黒組教室


溝呂木「……なんで教室がこんな滅茶苦茶なんだぁ!?」

涼「これはこれは…エラい有様じゃのう」

しえな「うわーっ!?ボクの机が…中身もーーーっ!!?」ガビーン

春紀「何が暴れたらこうなるんだ?」

香子「…午後は授業にならないな、これは」

純恋子「まぁ…いったい何があったのかしら?困ってしまいますわねー」

真昼「………」ハラハラ







兎角「…………」

晴「兎角さん…どうしたの?」

兎角「これは…戦いのあとだ」

晴「え…?」

兎角「焼け焦げ…爆発のあと、だけど火薬の匂いはしない…」

兎角「それにこの床のへこみは…とても重いものが『素早く動いた』あとだ」

兎角「こんな痕跡の残りかたは通常じゃありえない…」

晴「そ、それって…まさか」

兎角「…いるんだろう」

兎角「私の他にも……『力』を持ったやつが、おそらく…この中に」

晴「兎角さんみたいな力を持った人が…黒組に…!?」

兎角「…安心しろ、お前は必ず私が守ってやる」

兎角「一ノ瀬晴は、誰にも触らせない」

晴「うん、ありがとう兎角さん…」

兎角「…………」

第2話「大切なものは」   




つづく

第3話「明日のお金と春紀と掴む腕」


ミョウジョウ学園
 10年黒組教室

溝呂木「みんな聞いてくれ!今月末にミョウジョウ学園創立祭…『金星祭』がやってくる!」

溝呂木「そこで…我らが10年黒組は演劇をする事になった!」

溝呂木「題材は『ロミオとジュリエット』!みんなで金星祭を大いに盛り上げようじゃないかっ!!」

晴「ロミジュリ…!ジュリエットはもちろん、柩ちゃんだね…!」ウフフフ

柩「ぼ、ぼくですか…!?」

晴「だって一番小さくてかわいいし」

晴「そして…ジュリエットが柩ちゃんならロミオはやっぱり…」チラッ

柩「……千足さんですよね」チラッ

千足「………え?」

はるひつ「…………」ジーッ

純恋子「ふふ、ほほえましいですわね」

純恋子「番場さんは何の仕事をするご予定かしら?」

真昼「……………」ドキドキドキドキ

純恋子「…番場さん?」

真昼「………っ!」ドキドキドキドキ

純恋子「あの…」

真昼「い、いしょうっ…!」

純恋子「?」

真昼「衣装係……やるます……」オロオロ

純恋子「まぁ!番場さんはお裁縫が出来ますの?すごいですわ」

真昼「あうぅ……」ドキドキ

純恋子「…………」

純恋子(なんだか…番場さんがいつもにまして引っ込み思案なような)

純恋子(まぁ原因は分かってますけど…私が……)

純恋子『私…どうやら、番場さんの事を好きになってしまったみたいですの…♪』

純恋子『仮面ライダーすみれこ、これからは…番場さんのために戦いますわ!!』

純恋子(って言ったからだと推測できますわ)

真昼「………」ドキドキ

真昼(うぅ…!英さんのこと、まともに見れない…!!)ドキドキ

真昼(あんなこと言われて、これからどうやって喋ったらいいのか分からない…)オロオロ

真昼「ううぅ…」オドオド

純恋子「………はぁ」

純恋子(やってしまいましたわね…つい、その場のテンションに任せて愚かなことを…)

純恋子(突然そんな事を言ったら番場さんが困ってしまうことくらい、少し考えたら分かるでしょうに…)

純恋子(……まぁ、やってしまったものは仕方ありませんわ)

純恋子(ここは、私も衣装係の仕事に就いてまた少しずつ距離を縮めていくしかありませんわね)

純恋子(金星祭まではまだ時間はある…あせらずじっくり、これからですわ)

溝呂木「えーと、あと余っている仕事は大道具と衣装係か」

純恋子「はいっ!私、衣装係に立候補いたしますわ!」シュバッ

真昼「!?」ギョッ!

春紀「んじゃ、あたしは大道具やろっかな」

溝呂木「うん!じゃあ英が衣装係と、寒河江が大道具だな!」

純恋子「頑張りましょうねっ、番場さん♪」

真昼「は、はひ……」プルプル

ミョウジョウ学園
 体育館
  舞台裏


真昼「………」チクチク

純恋子「………」チクチク

伊介「……伊介こんなのやってらんなーい♥」ポーイ

真昼「あ…衣装…」チクチク

純恋子「あらあら犬飼さん、飽きっぽいんですのね」チクチク

伊介「伊介、細かい仕事って嫌いなのよねー♥もっとシンプルに済ませたいの♥」

純恋子「なら今からでも大道具のほうに行ってみては?セットを作って運ぶだけの簡単なお仕事ですわ」

伊介「え、やだ♥めんどくさい♥」

伊介「暇だから春紀のとこ行こーっと♥」スタタ

真昼「あ…」チクチク

純恋子「あらあら」チクチク

真昼「………」ドキドキ

純恋子「ふふ、二人きりですわね」クスッ

真昼「!!」ドキーン

純恋子「これは犬飼さんの分まで二人で頑張らないといけませんわね」

真昼「え、えと…あの…その…」アタフタ

真昼「が、頑張るますっ」シュバババ

純恋子「あ、番場さん?そんなに急いで針を動かすと…」

真昼「っ!!」チクッ

真昼「刺しますた……」

純恋子「あらあら、だから言いましたのに」スッ

真昼「あ……」ドキッ

純恋子「痛そう…とりあえず、消毒しますわね」

純恋子「ええと…確か救急箱がこっちに…」ガサゴソ

真昼「ご、ごめんなさい…」

純恋子「慌てなくても大丈夫ですわ、まだまだ時間はありますし」

純恋子「それに…番場さんのお仕事はとっても丁寧で綺麗ですもの、急いでしまってはそれも台無しですわ」

真昼「英さん…」

真昼「……ありがと、ございます」カアァ

体育館
 ステージ下


伊介「春紀ー♥」スタタ

春紀「あれ、伊介様こっち来たの」

伊介「だって衣装係とか退屈だし、伊介の仕事じゃないのよねぇ」

春紀「寝てた伊介様が悪いな、結局一番最後まで残った衣装係押し付けられちゃってさ」

伊介「はーぁ♥伊介ホントあぁいうの無理無理♥もっと楽な仕事やりたい」

春紀「こっちもなかなか楽じゃないよ、色々運んだりどかしたりさ」

伊介「えー、じゃあやりたくない♥」

春紀「あはは…そう言うと思ったよ」

春紀「ほらどいてどいて、これ運ぶから危ないよ」ガチャガチャ

伊介「………」ジーッ

伊介「ほら貸しなさいよ、そっち持ってあげる」ヒョイッ

春紀「おっ、いいの?」

伊介「………」スタスタ

春紀「サンキュー」スタスタ

伊介「別にいいわよ、これくらい♥」スタスタ

春紀「なんか今日の伊介様は優しいなー、どうかしたの?」

伊介「別にぃー、ただ…」

伊介「この後も大仕事を抱えてる春紀を労わってあげようと思って♥」

春紀「……………」ピタッ

伊介「……どうしたの?」ニコニコ

春紀「………いや」スタスタ

伊介「予告票、出すんでしょ」スタスタ

春紀「………あぁ」

春紀「もうあたしにはあんまり時間がない…お金がないんだ」

春紀「このままじゃ家族みんな、路頭に迷わせちまう…早くお金を持って帰らなきゃ…」

伊介「ふーん…大変ねぇ」

春紀「悪いな伊介様…晴ちゃんの命はあたしが貰うぜ」

伊介「…ま、精々頑張れば?」ガチャーン

春紀「あ!?あー!もっと静かに置けって!せっかく作ったのに壊れたらどーすんだよ!」

伊介「手疲れたんだもん♥」

伊介「はーぁ」

春紀「ったくもー」

兎角「…………」ジーッ

晴「兎角さん?どうかしたの?」

兎角「いや、なんでもない…さっさと終わらせるぞ」ガチャガチャ

晴「うんっ」

兎角「………」

兎角(声が大きすぎた、馬鹿)

兎角(……近いうちに寒河江が仕掛けてくる)

兎角(恐らくは金星祭の準備中か、当日……ドタバタしてるところを狙ってくるか?)

兎角(しかしルールで一般人は巻きこめない、こっちからしても有利な状況だ)

兎角(そこを考えればどこで攻めてくるかは絞られる…警戒は容易いな)

兎角(だが…)

晴「…兎角さん?手止まってるよ」

兎角「あ?あぁ…」

兎角(問題は…あいつらか…?)チラッ

伊介「はーぁ」

春紀「ったくもー」

兎角「…………」ジーッ

晴「兎角さん?どうかしたの?」

兎角「いや、なんでもない…さっさと終わらせるぞ」ガチャガチャ

晴「うんっ」

兎角「………」

兎角(声が大きすぎだ、馬鹿)

兎角(……近いうちに寒河江が仕掛けてくる、か)

兎角(恐らくは金星祭の準備中か、当日……ドタバタしてるところを狙ってくるか?)

兎角(しかしルールで一般人は巻きこめない、こっちからしても有利な状況だ)

兎角(そこを考えればどこで攻めてくるかは絞られる…警戒は容易いな)

兎角(だが…)

晴「…兎角さん?手止まってるよ」

兎角「あ?あぁ…」

兎角(問題は…あいつらか…?)チラッ

体育館
 ステージ上


しえな「そんなんじゃダメだっ!!観客全員お前の色気で惚れさせろ!!」

千足「す、すまない…」

柩「まぁまぁ、ちょっと休憩しましょう」



千足「足を引っ張ってすまない…ガラじゃないんだ…こういうのは」

柩「そんな…千足さん、とっても素敵ですよ」

柩「……本当に似合うのは、ジュリエットだと思いますけど」

千足「…桐ヶ谷?」

柩「でも、他の誰にも見られたくないから…千足さんはロミオでいてくださいね」

千足「ロミオも、ジュリエットも…どうかな、本当の私は…」

柩「ふふ…そうでしたね」

柩「本当の千足さんは、かっこいいナイトさまですもんね」

兎角「………」

兎角(匂う…腐った海の匂いがプンプンするんだ)

兎角(誰だ…?剣持か、桐ヶ谷か…生田目か)

兎角(どいつもこいつも殺気立ってる…ひょっとしたら襲撃が被る可能性もあり得る)

兎角(それでも……晴は、絶対に私が守ってみせる)

兎角(たとえ呪われていようとも…私には、力がある)

兎角(私は私の信じた道を行く)

兎角(誰が立ちはだかろうと…斬り裂いていくだけだ)

つづく

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月13日 (金) 00:59:51   ID: wdoEgf9D

途中から仮面ライダーなの忘れて読んでたわ
パロ入れなくても良かった気もするがとりあえず乙

2 :  SS好きの774さん   2014年06月26日 (木) 10:05:43   ID: MZOL1Fre

続きが楽しみすぎる!

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