アルミン「僕らと神話とホモ」(116)


ミネルヴァの梟は黄昏とともにようやく飛び始める


エレン「なんだ、それ?」

アルミン「うん。昨日、コニーに貰った本に書いてあった文章なんだ」

エレン「コニーがそんな難しそうな本を・・・・?」

アルミン「ハハ・・・・、なんでも、街で知らない人に渡されたんだって。聖書みたいな外観だったから、
     ウォール教の人かと思ったそうなんだけど。それで返そうと顔を上げたら、その人の姿はもうなかったらしい」

エレン「姿がないって、妙な話だな」

アルミン「そうだね。・・・・・・本も古ぼけていたし、コニーも捨てようとしていて、
     そこで僕が声をかけて・・・・借りるっていうか貰うことになったんだけど。

     内容も変わっているんだ。「神話」っていう、このあたりじゃ聞かないお話が載っていてね」

エレン「神話?」

アルミン「ああ。僕らには馴染みのない神様についての古いお話なんだけど、それがいくつか」

エレン「へえ。その神話ってヤツの中に、さっきの・・・・・ナントカのふくろうの話が書かれてたって訳か」

アルミン「うん。それは、神話を「考察」した文章みたいなんだ。・・・・・ミネルヴァは学問の神の名前らしくて、
     だからその神様の梟っていうのもきっと学問に関することを指してるんだろうね。それは黄昏、つまり終わりにようやく飛び始める。
     ・・・・・学問はなんかしらの時代の終わりに確立されるということを示しているのかな。
     つまり、いくら賢い人も未来を見ることはできないから、その時代の終わりにならないと正解はわからないって、そういう・・・・・
     ・・・・ああ、エレンはこんな話興味ないよね。すまない」

エレン「あー・・・・・ハッキリ言って何言ってるかよくわからないけどよ。珍しいな、おまえが作り話に夢中になるなんて。
    おまえって、外の世界とか、王政府とか、技工とか。そういう、なんか現実的なハッキリした話が好きなんじゃねえか」

アルミン「・・・・そうだね・・・・・、これ、ただの作り話と思えないんだよ」

エレン「?」

アルミン「エレン、タイタンって知ってる?」

エレン「はあ? ・・・・知ってるも何も・・・・巨人の別の呼び方だろ。座学の最初に習ったじゃねーか」

アルミン「そうだね。なぜ二通り、名前があるのか。いや、巨人という言葉がほぼ完全に周知されているのに、
     なぜわざわざもう一つの名前を、重要なこととして訓練兵に教えたのか。
     ずっと疑問だったんだ。調べてみても、タイタンの語源は不明としか書かれていなかった。
     語源すら不明な言葉を、なぜ教えるのか・・・・教えることになっているのか・・・・」

エレン「そりゃあ・・・・・昔、訓練兵団を作ったとき、そのときの教官が必要だと思ったからだろ」

アルミン「そうだよね。その理由について考えたんだ・・・・この本には、タイタンは巨大な身体をした神として登場する」

エレン「神? 巨人が神なのかよ・・・・」

アルミン「ああ。・・・・この本の時代・・・・過去の人にとっての神である「タイタン」と、僕らが巨人の意味として教わる「タイタン」。
     
     姿かたちだけならば似ている・・・・無関係には思えないんだよね・・・・」

エレン「アルミンは夢中になると長いからな。ま、その「タイタン」の話は少し気になるぜ。
    巨人を神だなんて言ってるのは気分悪いけど・・・・・座学で役にたつかもしれねえよな。今度見せろよ、アルミン」

アルミン「うん! ぜひ見てみてくれよ」

エレン「他になにか面白そうな話はあったのか?」

アルミン「あるにはあるけど・・・・・エレンは興味ないと思うよ」

エレン「なんだそれ?」

アルミン「ミネルヴァの話の他に載ってたのは、恋愛に関する神話のエピソード3、4本だったから」

エレン「恋愛か・・・・確かに、それは別にいいな。興味ねえ」

アルミン「ハハ、だろう? ・・・・・今日は寮でその本を読んだりしてるから、気が向いたら声かけてくれよ」

エレン「ああ。じゃあ俺は自主練にいってくるよ」


・・・

翌日

立体起動訓練後

ミカサ「ジャン、ちょっといい」

ジャン「! ああ・・・・・なんだよ」ドキ

ミカサ「わたしは今、立体起動の方法を見直している。ので・・・・立体機動のことでちょっと」

ジャン「・・・・・珍しいな。お前が人に聞くなんて。なにが聞きたいんだ?」

ミカサ「ええ。斬撃の後、姿勢を正すとき、・・・・・・・」

ジャン「なるほど。じゃあまず、ちょっとやってみせろよ。まだ木製巨人、片付けてないしよ」

ミカサ「わかった」チャキ

パシュッ パシュッ ・・・・ズバッ スタ

ミカサ「どうだった?」

ジャン「そうだな。もう少し重心を、・・・・・・あと斬撃の後に、・・・・・」

ミカサ「なるほど。もう一度やってみる」

パシュッ パシュッ ・・・・・ズバッ クルッ タンッ

ジャン「・・・・」(改めて見てもなんつーか・・・・見事だな。ファンが多い訳だ。邪魔されず
    じっくり眺めていいなんて、役得かもな・・・・)

ミカサ「どうだろう」

ジャン「ああ、よかったぜ。おまえやっぱスゲーな・・・・。一発で俺の言いたいこと理解して、
    モノにしちまうんだからよ。さすがは首席さんだ。
    で、どうだよ、あれなら体制立て直しやすいだろ」フフン

ミカサ「そうね。参考になった」

ジャン「そうか・・・・・」

ミカサ「ええ。ジャン、ありがとう」

ジャン、ありがとう

ありがとう

ありがとう・・・・・(エコー)

ミカサ「・・・・・昨日、現役の調査兵の人が講習に来てくれたでしょう。アレを聞いて、
    自分の立体起動の方法を見直したいと思った・・・・ので・・・・、また見てくれるとうれしい」

ジャン「・・・・・あ、ああ、いいぜ」

ミカサ「それに今日の立体起動試験では、一番大きな木製巨人を上手く削げなかった。あなたは削げてたのに・・・・・次はうまくやりたい」グッ

ジャン「! ああ、がんばれよ・・・・・」

ミカサ「ええ。がんばる。これも強い調査兵になるため・・・・エレンのためだから。あ、引き止めてごめんなさい。じゃあね、ジャン」クル

ジャン「・・・・あ、ああ。じゃあな。・・・・・・・」

ジャン「・・・・・・・」

コニー「お、ジャン! ちょっと片付け手伝ってくれよ」タタタ

ジャン「あ? ああ」クル

夕食後

マルコ「あれ? ジャン、もう寮に戻るのか」

ジャン「ああ・・・ちょっとな」ガタ

フランツ「お、いたいた。ジャン、今度の遠征の作戦についてなんだけど・・・・・」ペラペラ

風呂後

コニー「ん? ジャン、どこいくんだよ」

ジャン「ちょっとトイレだよ」

コニー「ふーん。俺も行きたいから行こ」

ジャン「オイオイ、男が連れションかよ・・・・」

コニー「いいだろ別に」

ジャー

コニー「でよー、・・・・・あ! いっけね、教官に呼ばれてたんだった! 先戻ってるわ!」バタバタ

ジャン「はあ? ったく、なにやってんだよ・・・・・」ハハ

ジャン「・・・・・・・」

スタスタスタ

井戸

ジャン「・・・・・・。よし」キョロキョロ

ジャン「・・・・・・・」アタマツッコム

ジャン「・・・・・そんなおまえが好きだーーーーーーーーーーー!!!」

好きだーーーー!

きだーーーー!

ーーーー!

ジャン「・・・・・・・」ハアハア

ジャン「・・・・・・・」ムク

ジャン「あー暑すぎだろ、帰ろ・・・・・」スタスタ

・・・



アルミン「・・・・・ん?」ガチャ

アルミン(例の本が開いてる。机に置きっぱなしだったからな・・・・。誰か見たのかな?)

アルミン「アリアドネとテセウスのページだ・・・・・」ペラ

アルミン(えっと、自ら進んで怪物への生贄になろうとする王子テセウスを、
     他国の王女アリアドネが好きになって、自分と結婚することを条件に
     怪物を倒す方法を教え、テセウスは怪物を倒す・・・・っていう話だっけ。これは最後まで読んでないんだよな)パラパラ

コニー「お、アルミン。それ俺が昨日もらった本だな」ガチャ

アルミン「コニー。悪いね、結局僕がもらっちゃって」

コニー「え? 全然いいよ、俺読まないし。それになんか・・・・・変だろ、その本」

アルミン「変って?」

コニー「うーん・・・・・まがまがしい感じがするっていうのかな。うまく言えないけど」

アルミン「ああ、それは僕も思うよ。かなり古いし、多くの人が読んできたのかな。気持ちがこもってるって
     感じがあるよね。

     僕は逆に、そこに惹かれてしまうんだ。人の気持ちの力って、馬鹿にできないし。
     本当に、この本は特別な力を持っているんじゃないかっていう気がするんだよ」

コニー「不幸の手紙みたいなもんか? ・・・・・イヤすまん、この言い方は良くねーな・・・・」

アルミン「不幸の手紙か。イヤ、意味合いとしては、僕もその通りだと思うよ」

ジャン「・・・・・・」ガチャ

アルミン「あ。おかえり」

コニー「おうジャン、おかえり」

ジャン「ああ。なんだ、早いなコニー。もう教官の用事は終わったのかよ」スタスタ

コニー「教官、いなくってさ」

ジャン「そうかよ・・・・・」ゴロン 

マルコ「おかえり、ジャン」

ジャン「ああ。・・・・・・・」ボー

マルコ「・・・・・アレ、今日は予習しないのか?」

ジャン「・・・・ああ。そうだな、やるよ・・・・・。決まってんだろ」ムク

マルコ「・・・・・・?」

アルミン「?」

・・・

同日、昼食時間

ライナー「ゲホゲホ」

エレン「おいライナー、風邪ひどくなってないか? 大丈夫かよ」

ライナー「ん? ああ・・・・・平気だ、夜ゆっくり寝れば治る」

コニー「めずらしいなあ、ライナーが病気なんて。初めてみたぜ」

エレン「だよな。しっかし・・・・すごいしゃがれ声だ」

コニー「喉痛そうだな。けど、ライナーが声までしぶいと、本当にお父さんみたいだぜ・・・・」

ライナー「ハハ。実は、さっきも後ろから声をかけたら同期に上官と勘違いされてな」

エレン「それは仕方ねーよ、おまえの声とは気づかねーって」

コニー「な。上官のフリして、上級生脅かしてみたらちょっと楽しそうだな・・・・・」

エレン「おお・・・・・それちょっといいな」

ライナー「やめろよ、バレてからはどうすんだ・・・・。病人にムチ打つようなフリをしてくれるな」ハハ

馬小屋

ヒヒーン・・・・

ライナー「よしよし・・・・・・ん?」

カチャン キイイイ

ライナー(誰か来たな。用務員か、他の当番か・・・・・)

クリスタ「・・・・・よしよし、今きれいにするからね」

ライナー(クリスタか・・・・)ゴシゴシ

クリスタ「あ、あなたも当番ですか? お疲れ様です」

ライナー「ああ、お疲れ様」

クリスタ「この時期の馬小屋当番は、夜風が涼しくていいですね」

ライナー(? ああ・・・用務員と思ってるのか)「そうだな。馬も気持ちよさそうだ」

クリスタ「ですよね! 昼間に無理させちゃってるから、せめて夜は気持ち良くさせたいです」

ライナー「そうだな・・・・」

クリスタ「あの、申し訳ないんですけど、そちらに置いてある枯れ草を少しもらってもいいですか・・・・・?」

ライナー「ああ、どうぞ」

クリスタ「ありがとうございます! よかった・・・・・・夕立が降り込んだみたいで、草が悪くなっちゃってて。
     おかげで、この子たちが気持ち良く眠れます」

ライナー「本当に馬が好きなんだな」

クリスタ「はい。・・・・子供の頃から、いっしょでしたから。なんだか恋人みたいに思ってるのかもしれません。
     わたし、浮いた話もありませんから」ハハ

ライナー「ハハ・・・・・」(あー・・・・・クリスタ、完全に俺を用務員だと思ってるな・・・・・)「なあクリス、」

クリスタ「って、すいません、兵士がこんなこと考えてるなんて、褒められたことじゃありませんよね」

ライナー「ん? イヤ・・・・いいんじゃないか。年頃なんだし、普通だろ」

クリスタ「普通・・・・そうでしょうか。なら、あの、恋人にするなら・・・・・どういう男性がいいんでしょうか?」

ライナー「どういう意味だ?」

クリスタ「さっきも言いましたけど、わたし、愛とか恋とかに疎くて。客観的に、どういう男性なら信用できるのかなって」

ライナー「・・・・・・そうだな」

クリスタ「・・・・・・・」

ライナー「やはり体格はいい方がいいな。それから背も高い方がいいだろう。髪はおまえと同じ
     金髪のほうが、似合っていていいんじゃないか? ああそうだ、上位ってのも外せないな」ニヤ

クリスタ「えっ」

ライナー「・・・・・・なんてな。冗談だクリスタ、俺は――」

カランッ

クリスタ「あ・・・・・すいません、水おけを落としてしまって。そうですね。言われてみたら、
     そんなタイプの人が、わたしの好みだった気がします。ううん、絶対にそう」

ライナー「!?」

クリスタ「普通の子はそういう人が好きなんですよね? うん、年上の人が言うんだから
     間違いないんだ・・・・・。あなたの話を聞いて、なんだかしっくりきた気がします。
     そんな逞しい人が好きなんだって・・・・。なんてね」

逞しい人が好きなんだ

好きなんだ

好き・・・・・(エコー)

クリスタ「じゃあわたし、戻りますね! お休みなさい、用務員さん!」ギイ バタン

ライナー「・・・・・・・・・」

・・・

その夜

アルミン「ただいまー。あ」

アルミン(また例の本が開いてるぞ・・・・・誰が見ているんだろ)

アルミン「ウェルトゥムヌスとポモナ・・・・」

アルミン(モテモテだけど恋愛に興味のないポモナが好きな山の神ウェルトゥムヌスが、
     変装して、恋の良さや自分を宣伝したりして・・・・・。それで彼女が納得したところで
     姿を現し、めでたく両思いになるって話だ。これは全部読んだからわかるぞ)

アルミン「・・・・・一体、誰が恋愛話を読んでるんだろう」

マルコ「おかえりアルミン。・・・・・ああそれ、アルミンの本なのか?」

アルミン「マルコ。ああ、そうだよ。元はコニーのだけどね」

マルコ「開きっぱなしだったから、ちょっと読んでしまったんだけど。恋愛小説かい?」

アルミン「うーん・・・・・それだけじゃないんだけどね。恋愛の話も載っているよ。読んでみるかい?」

マルコ「イヤ、今はいいよ。・・・・・なるほど、やっぱり恋愛の話なんだね」

アルミン「?」

マルコ「その本、どうやら朝ジャンがぺらぺら捲ってたみたいなんだけどさ。
    そのせいかは知らないけど、アイツ・・・・・・夕方から変なんだよな」ヒソ

アルミン「変・・・・・?」

マルコ「予習にも身が入ってないみたいで、ぼーっとしちゃっているんだ。
    恋煩いみたいっていうかさ。・・・・・彼の想い人はこの1年変わらないから、
    今更どうしたんだろうと思っていたんだけど」

アルミン「ジャンが、この本の力に影響されてしまったということ?」

マルコ「うん・・・・自分で言っといて、彼らしくないと思うけどね。本に影響されるだなんて」

アルミン「でも、彼の想いは強いし恋愛は未知数だろうし、どうなってもおかしくないよね。リアリストな彼だからこそ、小さなきっかけで、
     恋愛にのめりこむっていうのもありえなくはないよ」

マルコ「恋愛っていうか片思いだけどな・・・・とにかく、今の彼はこの本の影響でちょっと風邪引いてるみたいなものか・・・・。
    まあ呪いの本とかじゃないならよかった」ハハ

アルミン「恋の呪い? 呪いなんてある訳ないよ・・・・・。そうだ、この本、夕方からまた開いてたんだけど、君?」

マルコ「あ、それは違うよ。確か・・・・」

ガチャ

ライナー「ただいま」バタン

ベルトルト「あ、おかえり」

ライナー「ああ。・・・・・・・・」ギシ ・・・・ペラ

ベルトルト「・・・・・・。・・・・・・?」ペラ

ライナー「・・・・・・・・」ペラ

ベルトルト「ライナー。逆。本逆」

ライナー「あ? ああ」クル

コニー「ただいま。あ、ライナー」ガチャ バタン

ライナー「おう」

コニー「あのさ。・・・・・・さっきおまえが馬に求婚してるとこ見ちゃったんだけど、大丈夫か?」ヒソ

ライナー「ああ・・・・・・。いいケツしてるからな、ここの馬は」

コニー「はあ? なんだそりゃ・・・・。ホントにケツが好きだなライナーは」ハハ

マルコ「・・・・・ライナー」

アルミン「・・・・・呪いの本なんてある訳・・・・・」

マルコ「ないよな・・・・・・」

・・・

アルミン(この2、3日、ジャンとライナーを観察していると、日に日に彼らが好きな人に
     のめりこんでいっているのが手にとるようにわかった)

アルミン(マルコの話を考えると、ジャンとライナーは読んだ神話のエピソードを模倣したかのような
     恋をしているみたいだ)

アルミン(でもよく聞くと、ベルトルトやコニー、マルコなんかもちょっと読んでみたりしているらしいし。
     読む=恋する、という訳ではない)

アルミン(非科学的だけど、呪いの存在を信じるなら・・・・・・すでに恋をしている人限定で効くってとこかな)

アルミン(ならば、すでに読んでしまった人が恋してしまってもそれは有効なんだろうか・・・・・?
     もしそうなら、この部屋のほとんどの人は、所謂恋の呪いにいつかかってもおかしくない状態・・・・ということだ)

アルミン(しかし・・・・・、一体なぜ、この本にそんな力があるんだ。そしてコニーの見た、
     この本を渡した男っていうのは何者なんだ?)

エレン「アルミン、なにぼーっとしてるんだ?」

アルミン「あ、ごめん。・・・・・そろそろ僕の番だね」

エレン「ああ。体力テスト、今度はタイム縮むといいな」

アルミン「ああ」

アルミン(エレンは足が速いからいいな。・・・・・僕の前はアニか・・・・・)

アニ「・・・・・・」

教官「次、レオンハート。用意・・・・・」

アニ「・・・・・・」スッ

教官「初め!」

タタタタタタタ・・・・・・ッ 

アルミン「・・・・・」

オオーーーーッ

アルミン「・・・・・・」

アルミン「・・・・・・・!」

アルミン(こうして見ると・・・・・アニって、美少年みたいな美女だ。運動神経も男顔負け)

教官「次、アルレルト。用意・・・・初め!」

タタタタタタ

アルミン(・・・・・あ、いつもより緊張せず走れた。他のことが気になって、かえって肩の力が抜けたのかな)

教官「・・・・・・よし、前回よりは縮んでいるな」

アルミン「・・・・・・あ、アニ」タタ

アニ「・・・・・なに?」

アルミン「君って、本当に足速いよね」

アニ「そう? どうも」スタスタ

アルミン「あ、あのさ・・・・・「あの!」

モブ「あ、アニ! いきなりですけど・・・・・俺と付き合ってください! 凛々しくて運動神経抜群なところが
   前から好きでした!」

アルミン「!?」

アニ「・・・・・・アンタさ。さっきのタイムは?」

モブ「え? ・・・・・12びょ「話にならないね」

アニ「わたしと競争して勝てる相手じゃないと・・・・・最低、男としては見れないから」

モブ「そ、そんなあ」

アルミン「・・・・・・・・」

教官「アルレルトは13秒66・・・・・・」カリカリ

エレン「・・・・・・・おう、お疲れアルミン。タイム縮んで「エレン!」

アルミン「エレン! 僕もっと足速くなりたいんだ! 鍛えてくれないか!」

エレン「・・・・・あ、ああ。そりゃあいいけどよ。どうした、いきなり」

アルミン「あのさ実は、急でおかしいと思うだろうけど、僕・・・・・・・」

・・・

マルコ(ヒッポメネスとアタランテ)

マルコ(美少年のような美女、運動神経抜群のアタランテ。彼女は求婚者たちに
    「私と競争して勝った者と結婚するが、負けた者は死ななければいけない」という
    条件をだした。アタランテに恋したヒッポメネスはアフロディテの力を借りて
    勝利し・・・・結婚する)

エレン「マルコ、なに見てんだ」

マルコ「エレン」

エレン「ん、これってアルミンの?」

マルコ「ああ。君も読んだのかい?」

エレン「イヤ、そういやタイタンの話も読んでないままなんだよ。暇だし、ちょっと通して読んでみるか」

マルコ「あー・・・・ちょっと待ってくれ。その本、どうも様子がおかしいんだよ」

エレン「様子がおかしい?」

マルコ「うまく説明できないんだけどさ・・・・・、読まない方がいい気がするっていうか・・・・」

エレン「? ・・・・・様子がおかしいと言えばよ。話変わるんだけど、最近、ジャンとライナーとアルミン、おかしくないか」

マルコ「・・・・・まさにその話だよ、エレン」

エレン「?」

マルコ「あのさ、この本を読んだ人はね、・・・・・・・!?」ググ

エレン「! どうしたんだ、マルコ」

マルコ「・・・・ほ、本が、勝手に、動・・・・・うわっ!?」

パラララララ・・・・・・・

エレン「・・・・・っ本が宙に浮いて、勝手にめくれてる・・・・・!?」

マルコ「なんだこれ、手品か・・・・・? あ」

パサッ

エレン「お、落ちた」

マルコ「このページは・・・・・。アリアドネとテセウス」

・・・

同時刻、森

パシュッ パシュッ スタッ

ミカサ「どうだろう」

ジャン「いいんじゃねえか。ハッキリ言って、もう言うことないぜ」

ミカサ「それでも・・・・104期最高得点は出せていない」

ジャン「あのさ・・・・ずっと思ってたけどおまえ、全部9割5分確実なんだから、1つ満点とっても成績はそう変わらないだろ?
    なにそんな必死になってんだよ」

ミカサ「立体起動は調査兵として特別な技術。どうしても満点を取りたい」スク

ジャン「ムキになるなんて、珍しいな・・・・・」

ミカサ「・・・・・。エレンを、家族を守れないと、意味がないから」

ジャン「・・・・・・そうかよ・・・・・」

ミカサ「あと少し、切れ味が良くなれば」

ジャン「切れ味か。・・・・・ブレードの手入れの仕方でさ。先輩の方法をアレンジした、
    とっておきのがあるんだ」

ミカサ「!」

ジャン「それをすれば、満点はとれるようになる・・・・・と思う」

ミカサ「・・・・・・そうなの。でも、それはあなたが編み出した技術。タダで教わろうというのは虫がいい」

ジャン「・・・・ああ、そうだな」

ミカサ「ただでさえ、もう10日もいっしょに練習している。これ以上は常識がない。ジャン、もう今日までで―――」

ジャン「イヤ、なあミカサ、その技術教えるからよ・・・・・代りに・・・・・」

ジャン(今度はミカサの技術を教えてくれ今度はミカサの技術を教えてくれ今度はそして最終的には万が一つがあるなら)

ミカサ「なに?」

ジャン「俺と付き合ってくれ」

ミカサ「・・・・・・」

ジャン「・・・・・・・」

ジャン(ちっ・・・・・違ええええええええええ!!)

ジャン(・・・・・・終わった・・・・・・本音が口に出た・・・・・あー・・・・・)

ミカサ「かまわない」

ジャン「・・・・・へえっ!?」

ミカサ「?」

ジャン「・・・・・・っ、え、エレンは?」

ミカサ「エレンは家族。わたしがいないと駄目」

ジャン「ああ」

ミカサ「ジャンは同期。だけど・・・・・そんな目でわたしを見ているようでは、あなたもわたしがいないと駄目だと思った・・・・・」

ジャン「ほああああ!?」

ミカサ「まるで親猫を見る子猫だった」

ジャン「教えてたの俺ですけど!?」

ミカサ「それとこれは別」フッ

ジャン(ぐっ、い、イケメ・・・・イヤ、落ち着け・・・・・・なんか変だぞ・・・・・ミカサが俺と付き合うはずがねえ・・・・・!
    ミカサの死に急ぎへの思いはこんなもんじゃなかったはずだ・・・・・・・、なら俺は・・・・・・!)

ミカサ「いいよ。付き合おう、ジャン」

ジャン「はい」コクッ

・・・

クリスタ「あ、ライナー。今日も馬の様子を見に来たんだ」

ライナー「ああ。クリスタはいつも来ているんだな」

クリスタ「この子たちと触れ合うのが、楽しみなんだ。ライナーはどうして?」

ライナー「ああ、コイツが気にいっちまってな」ナデナデ

クリスタ「ライナーの馬、がっしりしててカッコイイよね。大きいし、優秀だし」

ライナー「ハハ。そうだろ?」

クリスタ「うん。・・・・・ん?」クル

ガサ ガサ ヒヒーン

モブA「あっクソ、このバカ馬、鳴くんじゃねーよ・・・・っ」

モブB「あーあ。クリスタに見つかっちまったな。ま、腹くくれよ」

モブA「よ、よし。・・・・・・く、クリスタ! 今いいか!?」

クリスタ「う、うん。いいけど・・・・・あんまり大きな声ださないでね。馬が起きちゃう」

モブA「あー・・・・クリスタ! ずっと好きだった! 付き合ってくれ!」

ライナー(ああ、俺は死角になってるのか・・・・・まあ退散しといてやろ。今更だけど)ササ

クリスタ「ごめんなさい。わたし、ライナーが好きなの」

モブA・B「!?」

ライナー「・・・・・・は?」

クリスタ「ライナー、」クル

クリスタ「わたしと付き合って・・・」

ライナー「・・・・・・・・。・・・・・・イヤ、待て、クリスタ」

クリスタ「駄目かな・・・・・?」

ライナー「唐突すぎるぞ。どうした急に・・・・・そんな、おまえ・・・・・・」

クリスタ「ある人の言葉がきっかけで・・・・あなたのことが気になっちゃって。困る?」

ライナー「困らんが。なんというかな・・・・・おまえ、これじゃ美女と野獣じゃねーか」

クリスタ「野獣って・・・・・。・・・・野獣は怖いけど、ライナーならいいよ」

ライナー「おまえ、・・・・・・なんだ、熱でもあるのか?」

クリスタ「ないよ。茶化さないで、ちゃんと応えてほしい・・・・」

ライナー「・・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・・」

・・

コニー「・・・・・ん? なんか今ライナーの声が馬小屋から・・・・また求婚してんのかな。
    本当に好きだなあ、馬のケツ」

サシャ「コニー、ちょっと来てくれません?」

コニー「なんだ?」

サシャ「モブのAとBが倒れてたんです。運びたいんですけど」

コニー「なんだ? 怪我でもしたのかよ!」

サシャ「怪我はないんです。どうも心因性のものらしくて・・・・・・クリスタ・・・・とか、ゴリラ・・・・とか呻いてるんですが・・・・」

コニー「なんだそりゃ・・・・?」

・・・

タタタタタタ・・・・・!

アニ「・・・・・・」カチッ

アルミン「はーっ、はーっ」

アニ「12秒98・・・・」

アルミン「も、もう一回、いいかな」

アニ「もういいよ」

アルミン「うう・・・・・」

アニ「あんた、弱い癖に、根性あるよね」

アルミン「・・・・・僕、なにをしているんだろうね・・・・。君に認められたいはずなのに、結局、
     いいところ一つも見せれてないよ。余裕だってないし・・・・」ハハ

アニ「あのさ。もうアンタの勝ちでいいよ」

アルミン「・・・・・えっ?」

アニ「今日は兵站行進だったよね。それでアンタはもう30回は走った」

アルミン「う、うん」

アニ「わたしでも、兵站行進のあった日にここまで全力疾走できたことはない。だからあんたの勝ちでいいよ」

アルミン「それは・・・・、走る必要がなかったからだろう? やろうと思えばできるはずだ」

アニ「細かいことはいいんだよ」

アルミン「え・・・・・・でも、勝ちでいいってことは、つまり・・・・・」

アニ「・・・・・・・・・わたしでも言い分が変っていうのはわかる・・・・・。この間から、おかしな気持ちだ。まるで呪いみたいだよ」

アルミン「呪い・・・・・。・・・・呪い・・・・・・・?」

アニ「?」

アルミン「イヤ・・・・・なにか思い出しそうだったんだけど。でも、今はそんなことどうでもいいや!
     君が好きってことは絶対だから、後はどうでもいいと思えるよ。コレが正解なんだ。うれしいよ! アニ!」ギュ

アニ「! ハア・・・・・、同意した途端に抱きしめるなんて、性急だね・・・・・」

アルミン「ああ、ごめん・・・・・。なんか、後先のこと考えられなくて・・・・・。こんなこと初めてだ。
     これが恋するってヤツなのかな? すごく幸せで、気持ちがいいものだね・・・・・」

・・

エレン「・・・・・・と、止まった・・・・・な。本」ツンツン

マルコ「完全に動かなくなったね。・・・・・・・一体なんだったんだろう・・・・・・」

コニー「ただいま。おい、しっかり歩けよー」グイ

マルコ「おかえり、コニー。・・・・・あれ、隣の部屋のAも。どうしたんだい?」

コニー「なんか失恋したらしくてさ。隣の部屋のヤツ今誰もいないから、ちょっと
    話聞いて欲しいらしくてよ。な?」

モブA「ああ・・・・・」

コニー「そういうことだから・・・・・ん? マルコ、エレン、その本見てたのか」

エレン「ああ。そういや、元はおまえの本だったな。この恋愛小説」

マルコ「恋愛小説だけじゃないけどな。コレにはタイタンやミネルヴァの話も・・・・」

モブA「恋愛・・・・・?」ピク

コニー「おい?」

モブA「恋愛なんてクソくらえだあああ」ガシッ ブンッ

エレン・マルコ「え・・・・・あーーーーーっ!」

ヒュウウウ・・・・・ バサッ

コニー「お、オイオイ! 外に投げ飛ばしやがって・・・・・アレ、今はアルミンの本だぞ!」

エレン「・・・・ほ、本、廃材置き場に紛れちまったな」ヒョコ

マルコ「今の時間は立ち入れないよな・・・・・。放っといて、だ、大丈夫かな・・・・・?」ヒョコ

・・・

続く


・・・

翌日、休憩時間

エレン「お疲れ、アルミン」

アルミン「ああ、エレン。これタオルだよ」

エレン「おう、ありがとよ。あ、そうだ、おまえさ――」

アルミン「あ。・・・・・・アニ!」タッ

アニ「アルミン」

アルミン「お疲れ様! さっきの斬撃すごかったよ」キャッキャ

アニ「どうも・・・・・・あんたさ、ブレードの握り方変えたろ?」

アルミン「えっ、そのとおりだよ! すごいな、よくわかったね・・・・・」

アニ「アレはダメ。アンタは握力弱いから、親指を離し気味の方がいい」

アルミン「そうか・・・・・。さすがアニ、参考になるよ!」キャッキャ

アニ「まったく・・・・。あんまり無茶しないでよ。気になって、訓練中もあんたばっかり見ちゃうじゃないか」

エレン「・・・・・・」

ミカサ「エレン」

エレン「ああ、ミカサ。なんだよ」

ミカサ「ここ、ベルトが裏返ってる」グイ

エレン「う。い、いいよ、自分でやるって・・・・・」

ミカサ「そう? ・・・・・・あ、ジャン」タッ

ジャン「お、おう。ミカサ。・・・・・なんだよ」

ミカサ「髪が少しハネてる」スッ

ジャン「! ・・・・・・ああ、わ、悪いな」

ミカサ「几帳面なあなたが珍しい。それも可愛らしいけど」

ジャン「か、可愛いとか、なんだよそれ」

ミカサ「・・・・・・ふふ」

ジャン「・・・・最近、おまえが技術教えてくれるおかげで、成績伸びてるよ。
    でもいいのか? おまえの自主練の時間が・・・・」

ミカサ「わたしは自分の身体を支配できるから。多少なら休んでも大丈夫」

エレン「・・・・・・・・アルミン、ミカサ。・・・・・・」イライラ

マルコ「・・・・・・・・。エレン・・・・・・」

エレン「ああ。マルコ、お疲れ」

マルコ「お疲れ様。彼ら、仲がいいね。あのジャンが別人みたいだ」ハハ

エレン「そうだな。アルミンもミカサも、らしくねえよ」

マルコ「彼らは今や訓練所内公認のカップルだからね・・・・・。ハンナとフランツといい勝負だってさ」

エレン「正直面白くねーな。訓練所に遊びに来てんのかよって感じだ」

マルコ「うーん・・・・・・恋愛自体は悪いことではないんだけど。僕も、ジャンの成績に影響がでそうなのが心配なんだよな・・・・・」

エレン「まあそれは・・・・自業自得だろ。恋愛楽しんで、その結果成績下がったっていうんならさ、そりゃ選択の自由な訳だし」

マルコ「そうだね。自分で選択・・・・したんならいいんだけど」

マルコ(恋愛にハマったのが、あの妙な本のせいだとしたら。彼らは、間接的にだけど、呪いの力で成績を落としていることになるんだ。
    ・・・・・きっかけはなんでも、楽しさを享受した時点で同じと言えば、それまでかもしれないけど)モヤモヤ

ベルトルト「・・・・・・・・」アセダラダラ

マルコ「あ、ベルトルトお疲れ様。あ、タオル、良かったら。汗、ふきなよ」

ベルトルト「・・・・・あ、ああ。ありがとう・・・・・・・僕、体温が高いから・・・・・・」

ユミル「・・・・・・・」

クリスタ「ライナー。お疲れ様、さすがの点数だね。わたしも頑張らなきゃ」

ライナー「ああ、ありがとうクリスタ。おまえだって点数を伸ばしてるじゃないか」

クリスタ「・・・・・・ライナーが、色々教えてくれるからかな。なんでも知ってるよね、ライナー」

ライナー「ハハ・・・・・、照れるな」

ユミル「・・・・・・・・」ジー

サシャ「コニー見てください! 対人格闘の新技を思いつきました!」シュシュシュ

コニー「お・・・・・おお! すげえ、サシャ! 腕が増えたように見えるぜ! これは強そうだ!」

・・・

夜、中庭

教官「・・・・では、頼んだぞ。ああそうだ。新しいタオルの配給があった。これも持っていけ」

ユミル「え? はあ」

ユミル(・・・・・・ってコレ、タグに男子寮って書いてんじゃねーか。男と間違えたってか?
   どうすっかな、誰かに・・・・・・)「あ」

ベルトルト「・・・・・・はあ、はあ、」

ユミル「よっ。ベルトルさん」

ベルトルト「!! ユミル」

ユミル「自主練の帰りか? すごい汗だな。ホラよ、タオル」

ベルトルト「・・・・・・あ、ああ。ありがとう? ・・・・・・」フカフカ

ユミル「ついでにコレもやるよ。教官からのプレゼントだ」ドサドサ

ベルトルト「わっ、っと、ちょっと、ユミル・・・・・」ヨタ

ユミル「ハハ、それだけありゃどんだけ冷や汗かいても足りるだろ? じゃーな!」タタタ

ベルトルト「・・・・・・・」

・・

同時刻、女子風呂

ハンナ「ねえねえミカサ、ジャンとはどうなの?」キャッキャ

ミカサ「ふふ・・・・・ジャンはあれでなかなか、・・・・・」

アニ「・・・・・・」

ミーナ「? アニ、どうかした? ミカサをじっと見て」

アニ「アイツさ。なんかたるんでると思わない?」

ミーナ「・・・・・あ、アニ、それ、冗談で言ってる? あの銅像のような腹筋の、どこがたるんでるの?」

アニ「ちょっと減ってる。わたしにはわかるんだ」

ミーナ「そーかなあ。わたしにはわからないや、さすが格闘が得意なだけあるね、アニ」

ミカサ「・・・・・。アニ、さっきからわたしをじーっと見てるけど。なにか言いたいことがあるの?」

アニ「ああ・・・・・あんた、少しなまってるんじゃないのかと思ってね」

ミカサ「・・・・・アニ、それはわたしのセリフ」スタスタ

アニ「なに、こっちに来て。言いたいことがあるならハッキリ、!」ガシ グイ

ミカサ「・・・・・・。うん。これは、3キロは減っている。アニ、筋肉が落ちた。
    それとも・・・・・・もしかして、アルミンの軽さでも気にしているの?」ヒョイ

アニ「・・・・・いきなり抱え上げるとは、常識がないね。馬面の誰かさんといるせいで、ますます野獣のように
   なっているんじゃない」スル スタ

ミカサ「・・・・・・・そもそも、わたしの自慢の子をとっている時点で不快」

アニ「・・・・・・エレンエレンって言ってたヤツがアッサリ馬を飼いだすのも、大概目に余るけど?」

ミカサ「・・・・・・」

アニ「・・・・・・」

ハンナ「ふ、二人とも、とにかくちゃんと服を着よう・・・・・!」

ミーナ「そ、そうだよ、半裸でその距離感はヤバイって!」アワワ

・・

ユミル「・・・・・・・はあ」

(クリスタ「ごめんねユミル・・・・・今から、ちょっと用事があって手伝えないんだ」

 クリスタ「え? ち、違うよ! ライナーとはそんなことしてないから・・・・もう」)

ユミル(クリスタにはフラれるし、教官にパシらされるし、ロクな日じゃねーな。
    ロクでもねー日は、ロクでもねーことが続くもんだ。なにか面白いことはないもんか)ガラ

ユミル「えーとB資料室の・・・・・次の授業で使う資料はコレと・・・・・」ブツブツ

ユミル(しっかしクリスタのヤツ・・・・・本当にどうしちまったんだろうな。毎日ライナーライナーって・・・・。

    今まで見ていた中で、最高に幸せそうだけど。まるでわたしのことは忘れちまったみてーだ。

    ・・・・・いい子ちゃんしているクリスタは、生きるために無理しているみたいで、
    見てられなかったけど。今のクリスタは、いい子ちゃんしてるのに、心から楽しそうで・・・・・。

    前いい子ちゃんのフリをしていたときに見えてた、本当のクリスタはどこいったんだ?)

ユミル「ん、・・・・・いけね」ガタ

ピラッ

ユミル(なにか、積み上げられた本から落ちたな。紙・・・・本のページがちぎれて落ちたのか。
    ・・・・・・綺麗な絵だ。湖と、男女。お、小話がついてる)ヒョイ

「ニンフとヒュラス」

「ある男の愛人である美少年ヒュラスは、湖で水の精ニンフに誘いを受ける。
 ニンフに惑わされたヒュラスは、誘われるがまま湖へ・・・・・・それから彼の行方を知るものはいない」

ユミル(・・・・・・うーん。話はアレだが、絵は綺麗だな。わたし好みだ。気分転換に、ちょっと借りていくか)ガラガラ バタン

本「・・・・・・・・」ガタガタ パラパラパラパラパラ・・・・・・・

・・

これは…イメージビデオの人?
違ってたらごめん
あと期待

ミカサ「・・・・・・?」(甘い香り・・・・・レモン?)ガラ

アニ「・・・・・・」クル

ミカサ「時間外に調理室を使うなんて、どこの乙女かと思ったら・・・・・・アニか。おかしいな」

アニ「・・・・・わたしは乙女じゃないとでも言いたげだね」

ミカサ「別に、そうは言ってない」スタスタ

アニ「なに? さっきからつっかかるね。文句でもあんの」

ミカサ「これをアルミンにあげて、餌付けでもしようとしているの・・・・・」

アニ「放っといてくれない・・・・・」

ミカサ「・・・・・・あなたは前は、そんなことをする人じゃなかった」

アニ「・・・・・・だから、何。わたしがこんなことをしたらいけないとでも?」

ミカサ「格闘技しか頭にない。そのときだけがイキイキしている。そんな子だった」

アニ「アンタだって。エレンしか頭にない、訓練馬鹿だったじゃない」

ミカサ「ああ・・・・・本当に・・・・・・気に入らない」ジッ

アニ「・・・・・・こっちのセリフ・・・・・・」ジッ

・・

男子寮

マルコ「うーん・・・・・」

マルコ(あの本の6人への影響、日に日に大きくなっているように思う。これはいよいよまずくなってきたぞ。
 
    後、残っている話は・・・・・。たしか、ニンフとヒュラス、タイタンの戦い、ミネルヴァの話)

エレン「・・・・・・はあ」スタスタ

レスありがとうございます。
>>55
はい、そうです!

マルコ「エレン、自主練かい?」

エレン「ああ、まーな・・・・。なんか最近、イライラしてさ。動かずにいれねーんだよ。
    中庭でも行こうかなってさ。マルコはなにしているんだ?」

マルコ「聖書の残りの話を、ノートに書き出しているんだ。あの本、行方知れずになっちゃったからね」

エレン「へえ・・・・・。お、タイタンの戦い。俺、これを読めって言われてたんだよな。どんな話だったんだよ?」

マルコ「僕も、さらっと読んだだけだから、うろ覚えだけど。確か、クロノスとゼウスという親子の
    戦いの中にでてきた神族なんだ。
    タイタン神族は、クロノスが率いていたんだけど、戦いの結果はクロノスの負け。
    タイタン神族も追放されてしまったそうだよ」

エレン「へえ。巨人が負けた訳だな! いい話じゃねーか」

マルコ「巨人じゃなくて、タイタンだけれど・・・・・。しかし、この話については、
    誰かが模倣する心配はないかな。
    巨人と人間が戦うだなんて、いくらなんでも、この訓練所内で模倣しようがないよ」

エレン「そうだな。問題は恋愛話か。・・・・・・・ああ、またイラついてきたぜ・・・・・」

マルコ「まあまあ・・・・・。なあエレン、もっとタイタンの話もしたいしさ、・・・・そうだな・・・・」

・・

ユミル(この絵、クリスタにも見せてやろう。早く帰ってこねーかな?)スタスタ

ガサゴソ

クリスタ「・・・・・・だよ、・・・・・・・・・ね」

ライナー「ハハ、・・・・・・・で、・・・・・・・・・か」

ユミル(! クリスタとライナー。・・・・・・相変わらず、二人とも饒舌で楽しそうだな。
    みんなが理想のカップルだなんていうのもうなずけるぜ。わたしといたときは、
    レズだなんて後ろ指さされてたのにな。

    ・・・・・・あー、なに考えてんだ、なんか思考が変な方向へ行くな・・・・・・)ガシガシ

シーン

ユミル(・・・・・・・? お、静かになったな。もう行ったかな?)ヒョコ

ユミル「・・・・・・・・!!」

ダッ

ライナー「・・・・・・ん?」

クリスタ「ライナー、どうかした?}

ライナー「今、誰かいたような・・・・・気のせいか」

クリスタ「え、誰かって・・・・・そんなの恥ずかしいじゃない、ライナー! やっぱりわたしたちにキスなんて早かったんだよ」カー

・・

ヒョイ パク

アニ「あ!」

ミカサ「・・・・・・」モグモグ ゴクン

アニ「・・・・・・人の作っている差し入れを勝手に食べるなんて、いい度胸しているね」

ミカサ「・・・・・・アニ、このレモンのはちみつ漬け・・・・・」

アニ「なによ・・・・」

ミカサ「普通。なんていうか・・・・・ふつう」

アニ「・・・・・・・」カチン

ミカサ「あなたは格闘は強いけど、料理は今ひとつ。これはあなたには格闘一本がお似合いということ」

アニ「さっきからしつこいね。わたしが女っぽいことをしたら悪い!?」

ミカサ「悪い」

アニ「なんで」

ミカサ「気に入らない」

アニ「またそれか・・・・・。言語力が残念なだけあるね」

ミカサ「そう。わたしは話すのは得意じゃない。無口のあなたも大概だけど」

アニ「・・・・・・・」

ミカサ「だから、中庭に行こう」

・・

同時刻、湖

タッタッタ・・・・、・・・・・

ユミル「ハア、ハア、ハア、・・・・・・っう!」ガシ

ウエエエッ

ユミル「・・・・・・、クソッ・・・・・・」

ユミル(クリスタが・・・・・・男とキスするところを見ちまった。最悪だ!
    やっぱり、男と絡んでるところを見ると、昔見たことを思い出しちまって、耐えられねー・・・・・。
    それをクリスタが、しているだなんて、・・・・・・!)

ユミル「くそお・・・・・・」

ユミル(イヤ・・・・・、これは普通のことだ。わたしは・・・・・、わたしが、クリスタに望んでいたことがおかしかったんだ。
    クリスタが隠している、綺麗な本当の姿を見せてほしいだなんて。
    それはクリスタが幸せになって欲しいって気持ちからだと思ってたけど、違うんだな。
    わたしはクリスタを自分のものにしたかったんだ・・・・・。だからこうして幸せそうなクリスタを見て、醜い気持ちになっている。
 
    一度、クリスタとキスしたこともあった。・・・・・アレも、きっとクリスタは今は、・・・・・・)

ユミル「・・・・・・・」

今更だけどホモ百合注意

ユミル(・・・・・・クリスタが幸せになるために、わたしは邪魔なんじゃないか?

    わたしが死ねば、クリスタは気にせず幸せに・・・・・)    

ユミル「はあ・・・・・」シュル

ユミル(クリスタに貰ったリボン、これももう、つけとく気にならねーな・・・・・・、っあ)

ビュウッ・・・・・ ピラッ

ユミル(リボンは飛ばなかったけど・・・・・、本のページが湖の岸部に、・・・・・・!?)

バシャ、バシャ、バシャ

ユミル(湖の中に、なにかがいる。・・・・・どんどん深くに歩いていく。

    この湖は、深さ10メートルはあるんだぞ。・・・・・・なにやってるんだ、入水!? 死ぬ気か!?)

ベルトルト「・・・・・・・」

ガサガサガサッ タタタ

ベルトルト「!」

ユミル「オイ。なにしてんだ!」

・・



男子寮

アルミン「ただいま。・・・・・ああ、ジャン。君一人かい?」

ジャン「ああ・・・・どこ行ってたんだよ」

アルミン「ちょっと資料庫にね。今晩、本を読もうと思って」

ジャン「ハ、アニと読もうってか。・・・・・・・。そのアニとミカサなんだけどよ・・・・・おまえ、
    見かけてないか?」

アルミン「え? 見てないけど・・・・どうしたんだい?」

ジャン「ミカサのやつ、いつもならアニとか自主練好きなヤツらと自主練している時間だけど、いなかったんだよ」

アルミン「・・・・・・そうなのか。・・・・・・なにかあったのかな」

ジャン「・・・・うーん・・・・なんだろうな」

・・

ベルトルト(二人は完全に兵士になってしまった)

ベルトルト(おかしいおかしいと思っていたけど・・・・・。その症状はあまりにもひどい。
      悪魔の末裔を本気で愛して、僕のことなんか、完全に忘れてしまっている)

ベルトルト(僕一人では。動けない巨人だけでは、任務なんか到底できないのに)

ベルトルト(・・・・・二人とも、また、同じようなことをしようとしているのか)

ベルトルト(僕ら、昔、故郷を無くして・・・・・・巨人に屈して、亡くなった故郷の人に
      合わせる顔もなくなって・・・・・。

      それから生きるため、故郷を取り返すために巨人になった。最初は嫌嫌仕方なくだったけど、
      だんだん、弱者だった自分たちが強くなれたんだって、得られた力に自己実現が満たされて、
      気持ちがよくなって・・・・・。
      気づいたら、その対価みたいに、ものすごい罪を背負わされてたんだ)

ベルトルト(また同じだ。愛されたいって気持ちが満たされて、そうして気持ちがよくなった二人は、
      今度はどんな罪を背負わされるかわからない)

ベルトルト(だから・・・・・僕が死んで、その対価を払えばいい)

ベルトルト(僕が死ねば、二人だって、きっと、きっと正気に戻ってくれる。そしたら、任務だってやってくれるはずだ・・・・・)

ユミル「オイ・・・・・待てよ!」

ベルトルト「・・・・・」ザブザブ

ユミル「なにやってんだよ。なにがあったんだ!?」

ベルトルト「・・・・・・。失恋したんだよ」

ユミル「はあ?」

ベルトルト「君にはわからないよ。僕が死ぬしかないんだ。放っておいてくれ」ザブザブザブ

ユミル「・・・・・・おまえ、一人で死ねるのか」

ベルトルト「・・・・・・・」・・・・クル

ユミル「なあ、一人の最期は寂しいもんだぜ」

ベルトルト「・・・・・じゃあこっちにきてくれよ」

ユミル「・・・・・・。オイ、これ」バチャ ヒョイ

ベルトルト「リボン?」

・・

ヒュウウ・・・・・・

ミカサ「アニ・・・・・、一度戦わなくてはいけないと、なぜかずっと思っていた」

アニ「・・・・・奇遇だね。わたしもだよ」

ダッ

ミカサ(一気に間合いを詰めてきた。得意の格闘技に持ち込みたいのだろう・・・・)ビュンッ

アニ(チッ。いきなり蹴りか、先制のつもり。さすがにリーチが長い・・・・だが避ければこちらのもの!)ダンッ

バシッ、ブンッ、バシッ

ミカサ(・・・・・・やや間合いが近くなってからは、小技の連続。体力ならわたしが上、このまま続ければアニの体力が切れるのが先)

アニ(体力を消耗させる気か。間合いに入れなければ、技はかけれないと思って・・・・・甘い)ブン・・・・ッガシ!!

ミカサ「!」

アニ(わたしは体重が軽い、あんたの力を利用して、大技を叩き込める!)グッ

ブンッ

ミカサ「・・・・・っ」ハア、ハア(こっちの力を利用するのもアニの特技だったか。油断した)

アニ「チッ・・・・・」(さすがに、コイツにそううまくは決まらないか。なんて反射神経してんだ・・・・・)

ミカサ「アニ・・・・・・アルミンの目を覚まさせる。絶対に、わたしが勝つ」

アニ「生意気だ、年下のくせに・・・・・・。勝つのはわたしだ」

バシッ ドカッ バキッ

ミカサ「! ぐっ・・・・・」ダンッ

アニ「く、・・・・・!」グイッ バシッ

ミカサ(やっぱり・・・・・気に入らない、気に入らない!気に入らない!!)

アニ(ああ、なんでだ、気が立つ・・・・・こいつは敵だ、敵! 敵だ!!)

ミカサ「アニ!!」ガッ

アニ「ミカサ・・・・ッ!!」グイッ

・・

クリスタ「・・・・・・・あれ?」

ライナー「どうしたクリスタ」

クリスタ「あ、ううん。ユミルから貰った髪留めが欠けてるの・・・・おかしいな。いつの間にやっちゃったんだろう」

ライナー「・・・・・そういえば、最近、俺に付き合わせてばかりで、ユミルや友達と遊べてないんじゃないか。大丈夫か」

クリスタ「ふふ、心配しなくても、みんな応援してくれてるよ。それに・・・・・ユミルも、なんだか最近、
     色々考えることがあるみたい」

ライナー「なにか悩んでるのか? ならなおさらいっしょにいたほうが」

クリスタ「聞いても、なんでもないから放っといてとしか言わないの。・・・・・今は、一人にして欲しいのかと思って」

ライナー「そうなのか・・・・」

クリスタ「ユミルも、誰か理解してくれる人が現れたらいいよね。・・・・わたしは、ベルトルトと
     うまくいけばいいなと思うんだけど」

ライナー「ハハ、俺たちは上位同士、なんとなくいっしょにいることが多いからな。
     アイツらはアイツらでくっつけば、たしかにバランスはいいが・・・・・。

     実は、ベルトルトも、最近いやに悩んでやがるんだ。反応はユミルと同様だが。・・・・・本当に、その二人で、
     うまくやれればいいんだがな」

・・

パチャ・・・・ギュッ

ベルトルト「・・・・・これは?」

ユミル「なんか、いいだろ。手首と手首をくくるんだ。これなら、最期まで寂しくはないぜ」

ベルトルト「確かにいいけど、・・・・・・誤解とかされないか? これだと」

ユミル「いいじゃねーか。誤解させてやれよ。一泡吹かせれるかもしれないぜ」

ベルトルト「なんかややこしいことになりそうだなあ・・・・・」

ユミル「なんだよ文句ばっかり言いやがって・・・・・」

ベルトルト「・・・・・・あと一歩踏み出せば、10mダイブするのか」チャプ、チャプ

ユミル「急に深くなってんだな、この湖。入るなって言われる訳だよ」

ベルトルト「しかしコレ・・・・ユミルにしてはかわいらしいね。リボンなんてつけてたっけ?」

ユミル「これはクリスタにもらったんだ」

ベルトルト「ああやっぱり。・・・・・それでこうするって、それって相当、・・・・・・」

ユミル「もーうだうだ言うなよ。・・・・・しっかし、おしゃべりだな。普段が嘘みたいだ」ハハ

ベルトルト「そうかな。・・・・・・」ハハ

ユミル「はあ・・・・・・・・・・」

ベルトルト「・・・・・・」

バシャッ


・・

バキイッ!!

アニ「・・・・・・・!!」

ミカサ「アニ、・・・・・・墜ちて」ハア、ハア

アニ(鳩尾、・・・・・・あーあ、・・・・・なにしているんだ、熱くなって・・・・・・息が、コレ、死ぬんじゃ・・・・)クラッ

ミカサ「・・・・・・・」

アニ(でも・・・・アンタは・・・・・アンタは敵だ・・・・・・わたしの・・・・・!! 相討ちになっても、負けはしない!!)ダン、ビュッ

ミカサ「っ、・・・・・・!」(まさか、その姿勢から、蹴りを、頭に・・・・・!?)

ドスッ!!

・・・


ユミル(あーあ、・・・・・・やっちまった)

ユミル(イカした人生かはわかんねえけど、まあパンチは効いてるな。・・・・・・・・しかし、結局わたしは、
    誰かのために死んであげるしか、できな・・・・・)

ガシ

ユミル・ベルトルト「・・・・・えっ?」ゴポ

ベルトルト(なんだコレ、・・・・・・・誰かに掴まれている。なんて熱いんだ、・・・・・まるで彼らの掌みたいだ)

ガポッ

ベルトルト「・・・・・・!」ハッ

ベルトルト(アレ、く、苦し、・・・・・苦しい! 苦しい、苦し・・・・・ッ!!)

ザパアッ

ベルトルト「うげっ、ゲホゲホッ、ハアッ、ゲホゲホ!!」 

ユミル「ケホッ、うえっ、ゲホ、うええっ」

ベルトルト(・・・・・・アレ? どうしたんだっけ、なんでこんな、)「・・・・・あ」

マルコ「この、・・・・・・恥を知れよ!!」ボカッ

・・

バタ、バタ

ミカサ「はあ、はあ、・・・・・・っつ」ズキ

アニ「はー、はー、・・・・・っぐ」ズキ

ミカサ(・・・・・・アニに、一瞬とは言え、意識を飛ばされるなんて)

アニ(ミカサに・・・・・・、一瞬、本気で負けかけただなんて)

ミカサ・アニ「「もっと鍛えないと・・・・・」」

ミカサ「・・・・・・。」

アニ「・・・・・・。」

ミカサ「・・・・・・っく、・・・・ふふふ・・・・・」

アニ「・・・・・・ハハ、・・・・・フフ・・・・・・」

タタタ・・・・

アルミン「あ、アニ! どうしたんだい!?」

ジャン「ミカサ! オイ、大丈夫か!?」

ミカサ・アニ「・・・・・・ハハ・・・・」

・・

マルコ「本当にっ、僕らが見つけなかったらどうする気だった!? 心中だなんて! 心中だなんて! なにを考えているんだああ!!」バシッバシッ

ベルトルト「!? !?」

ユミル「お、おお・・・・・・ベルトルさんがサンドバッグのようだ」

エレン「けほ、・・・・・お・・・・おい! マルコ、もういいだろ、よせって! そんなに頭叩いたらベルトルトの髪抜けちゃうだろーが!」

ベルトルト「ま、・・・・・? ぼ、僕、なにを・・・・・?」

エレン「ハア? ・・・・・・あ、ああ!?」

ユミル「エレン?」

エレン「お、オイ、岸部! 火が上がってる・・・・・っ」ダッ バシャ

マルコ「え、・・・・・・あ、ああ! しまった、そうか、ランプを投げ捨てたから、壊れて、火が・・・・・!」

エレン「とにかく消火だ! ユミル、ベルトルト、水かけるぞ!」

ベルトルト「え・・・・あ、うん!」

ユミル「あ、ああ」

バシャバシャバシャ・・・・・

マルコ「ふうー・・・・・なんとか消えたね」

エレン「あやうく山火事だぜ・・・・・・ん? なにか燃えてる・・・・・絵?」

ユミル「あ、ああ・・・・・・それはわたしのだよ。資料庫にあった本の一部を、借りてきたんだ」

ベルトルト「・・・・・・あ、コレ、ニンフとヒュラスのページじゃないか? ・・・・確か、裏にはタイタンの話が。」

エレン「?」

ユミル「・・・・・あー、ああ。確か、そんな名前だったな・・・・・・」

マルコ「これが・・・・・。エレン、これ、例の本の一部だよ! そうだ、ニンフとヒュラスは
    湖に引きずりこまれる話・・・・・! 二人はこの呪いにかかっていたんだ!」

エレン「な、なんだって!?」

ベルトルト「呪い・・・・・? なんの話だ?」

マルコ「細かい話は省くけど・・・・・。この本は、おかしな力があって、本の内容を実在の人に
    模倣させてしまうんだ。君たちやジャンミカサ、ライナークリスタ、アニアルミンは、この本の登場人物と同じようなことをしていたんだよ!」

ユミル「なんだそれ、信じがたいが・・・・・・。・・・・・その呪いにかかっていたってのは、確かに納得だな。
    今思うと、わたしは気が違っていたとしか思えねえ。あんな悪い方向に考えるだなんて・・・・。

    じゃあ、この本を燃やしちまえば、その呪いは解けるって言っていいってことか?
    まるで弔うみたいだな、人の意思を燃やして沈めちまうみたいだ」

エレン「ああ・・・・・確かにそうだな、燃やせばいいんだ」

ベルトルト「と、いうことは、その本の本体を見つければ、彼らは元に戻るのか。彼らも、先ほどの僕同様に、今は妙な気分で・・・・」

マルコ「君らを見る限り、その可能性は高いね・・・・・」

ユミル「なら、こうしちゃいれねえな。早くその本を探そう」

エレン「ああ。こんな物語の奴隷だなんて、冗談じゃないぜ!」

マルコ「ユミル、その本はどこに?」

ユミル「B資料庫だ」

ベルトルト「タイトルも、うっすらとだけど書いてあった・・・・・探せば、必ず見つかると」

エレン「へえ、タイトルなんてついてたのか。なんて書いてあったんだ?」

ベルトルト「・・・・・・。よく言葉の意味はわからないんだけど。『進撃の巨人の神話についての考察』、だったかな」

マルコ「進撃・・・・・? あまり耳慣れない単語だけど。なら、あの本にこもってる人の気持ちっていうのは・・・・・
    『進撃の巨人』と『神話』は関係があるんじゃないかって考え・・・・ってことかな」

ユミル「わからねえことだらけだが。急いだほうがいいな。6人が間違い犯す前にさ」


・・・

続く

医務室

アルミン「・・・・・・・はい、できたよアニ。顔の怪我は大したことなくて、よかった」

アニ「悪いね・・・・・アルミン。・・・・・・あのさ、幻滅しただろ」

アルミン「え?」

アニ「アレは訓練でもなんでもない。ただの喧嘩だ。そんなお転婆な女・・・・・嫌になったんじゃないの」

アルミン「そんなことを心配していたの・・・・・。全く、そんなことはないよ。今は、自分の怪我だけを心配して。
     
     僕は、戦っているアニも好きだよ。とても生き生きしていてるから」

アニ「・・・・・そう。どうも」

アルミン「お礼言われることじゃないよ。僕の本心なんだから」

アニ「・・・・・・・」

アルミン「・・・・・。僕こそごめんね」

アニ「・・・・・・どうしたの」

アルミン「ミーナに聞いたんだ。僕に、はちみつレモン作ってくれたんだろう。
     詳細はわからないけど、それでミカサと喧嘩になっちゃったそうだから・・・・・。
     ミカサがなにか言っちゃったんだよね。
     ・・・・・・都合がいいけど、誤解しないであげないでほしい。ミカサは話すのが苦手なだけで悪気はないんだ」

アニ「ミカサのことはもういいよ。それはわたしにも・・・・・問題はあった。
   あんたが気にすることじゃないよ。レモンも、いまいち美味しく作れなかったしね」

アルミン「そんなことないよ。僕は甘さ控えめで、おいしいと思った」

アニ「食べたの?」

アルミン「一部始終を見ていたミーナが、片付けろって教官に指示されたらしくてさ。
     瓶に入れたものを、僕に渡してくれたんだ。ほら、これ」

アニ「・・・・・・そうだったのか。お礼言わないといけないな」

アルミン「激しい運動して、疲れたろう? いっしょに食べようよ」キュポン パク

アニ「・・・・・・・」

アルミン「おいしいよ、アニ」

アニ「・・・・・・どうも」パク

アルミン「・・・・・・。あのさ、アニ、この言葉知ってる? えっと・・・・・」

アニ「・・・・・うん。・・・・・」

アルミン「・・・・・初恋はレモンのあj」


・・


空き教室

ジャン「よし。これでいいだろ。珍しいな、おまえが怪我するまでやるなんて」

ミカサ「アニは・・・・・特別。つい燃えてしまった」

ジャン「あんま心配かけんなよ。顔に怪我したらどうするんだ」

ミカサ「そうね・・・・・ごめんなさい」

ジャン「ああ」

ミカサ「今はこの身体はジャンのものでもあるんだものね」

ジャン「・・・・・・も、もーいいからさ。とにかく、今後はよしてくれよ」

ミカサ「ふふ、ジャンは実は不器用。頬が赤い」

ジャン「んなことねーよ・・・・・なんだ、いつもより饒舌じゃないか」

ミカサ「ふふ、さっきまで、殺気だっていたから」

ジャン「殺気って・・・・・・おまえが言うと比喩に聞こえねーんだけど・・・・・」

ミカサ「ジャンも、立体起動の訓練の後は、いつもより更に饒舌」

ジャン「そうかな」

ミカサ「ええ・・・・・、なかなか気分が収まらないの」スッ クル

ジャン「・・・・・・・? ミカサさん・・・・・?」ドサ

ミカサ「・・・・・・」

ジャン「今なにやったんだ? 気づいたら、なんか・・・・・押し倒されてるみたいになってんだけど」

ミカサ「わたしは身体を支配できるので、気配も消せる。・・・・・下心もね」フッ

・・

B資料庫

ユミル「・・・・・・クソ、探しても探しても見つからねえ」

マルコ「こ、この棚にもないよ」

エレン「こっちもだ。ベルトルト、そっちの棚はどうだ?」

ベルトルト「駄目だ、ない。あと、そっちとこっちとこっちとこっちの棚も見たけどなかった」

ユミル「見すぎだ。やたら集中していると思ったらそこまで見てたのかよ!」

マルコ「さすが潜在能力に定評があるね・・・・ってふざけてる場合じゃない」

エレン「そうだぜ。この部屋からユミルはページの一部を持ち出したんだろ? なんでないんだ!」

ユミル「まあ落ち着けよ。ここにないなら、誰か借りたってことだ」

ベルトルト「ユミルがここに来たあとに、この資料室を使った人を探せばいいのか」

マルコ「利用者名簿にあるのは・・・・コニーとアルミンだね」

エレン「よし、手分けしようぜ。それで、とにかく見つけ次第、このマッチで燃やすんだ」

・・

男風呂

チャプチャプ

コニー「はー、訓練の後に外出すると遅くなるな・・・・・ん?」

ドタバタ・・・・ ガラッ!!

ユミル「おいバカ!!」

コニー「キャアアア!!?」

ユミル「質問に簡潔に答えろ、おまえ今日資料庫に行ったよな? なにを借りた!?」ドスドス

コニー「~~こ、コラ、待て、待てよクソ女っ、俺今ありのままの姿だから! タオルもないわ!」

ベルトルト「コニーすまない、君の純潔を軽く汚したけど・・・・・このままじゃもっと汚されてしまう人たちがいるんだ!
      君の犠牲は忘れないよ!」グス

コニー「え、えええ? で・・・・な、なんだって? 資料庫・・・・・? ああ、教官のお使いだよ。明日使う資料借りたんだ」

ユミル「チッ・・・・、こっちはハズレか」

ベルトルト「教官のお使いか・・・・」


コニー「ああ。そうそう、それで、ちょっと街にも行ってこいって言われてさ。聞いてくれよ、
    そこでおもしろい・・・・・」

ユミル「あーいいいい、悪いが今は急ぎなんだ。どうでもいい話は今度にしてくれ」

ベルトルト「うん、そういうことだから、ごゆっくり。ごめんね。ユミル、エレンたちと合流しよう」

ピシャッ ダダダダ・・・・・・

コニー「はー、ビックリした。・・・・・・なにやってんだろうな、みんな。最近、俺と関係ないことで、すごい盛り上がってるみたいなんだよなあ」ブクブク

・・


医務室

アニ「・・・・・あんた、これが初恋な訳?」

アルミン「うん。変かな?」

アニ「さあ・・・・・。ミカサを好きになったりしてたんじゃないの?」

アルミン「え、ミカサ? ミカサはそういう対象じゃないよ・・・・・。子供の頃は、僕を守ってくれるヒーローみたいに思っていたし」

アニ「ふーん・・・・・」

アルミン「・・・・・もしかして、心配してくれてるの?」

アニ「! 別に・・・・・」フイ

アルミン「・・・・・・アニってさ、実はすごくかわいいよね」

アニ「実はって、・・・・・・」

アルミン「アニ・・・・・・」ギュッ

アニ「・・・・・・あ、アルミン、あれはなに?」

アルミン「え? ・・・・・・ああ、あの本か。これ、恋愛小説がのってて、面白いから君に呼んで欲しいと思ってさ」

アニ「・・・・恋愛小説なんて、わたしらしくないでしょ」

アルミン「そうかな・・・・いっしょに過ごしてたら、実はアニはすごく女の子らしいことが好きなんじゃないかって思ったんだけど・・・・」

アニ「まあ・・・・嫌いじゃないよ。見せて」ヒョイ

アルミン「うん。・・・・なんか、これ、不思議な雰囲気の本だよね。・・・・・・っ」

アニ「そうだね。・・・・・・アルミン。どうかした、頭を抑えて・・・・・痛いのかい」

アルミン「イヤ、平気だ。・・・・・・この本を見ていると、なにかを思い出しそうで・・・・・」

アニ「大丈夫? 熱でもあるんじゃないの」コツン

アルミン「え? わ、アニ、お、おでこを・・・・・・」

アニ「あ」

アルミン「ち、近いね。・・・・・」テレテレ

アニ「・・・・・・・!」カー

アルミン「アニ・・・・・・僕さ」

エレン「座れアルレルト」ガチャ

アルミン・アニ「「!?」」

エレン「・・・アルミン! 本を出せ!!」シュッ ボッ

アルミン「は・・・・・、ほ、本? ・・・・ちょ、エレン! なんでマッチに火をつけてるんだ!?」

エレン「駆逐してやるんだよ・・・・・本をな・・・・・!!」ギラギラ

アルミン「は、はい? い、イヤイヤ、わかるように言ってくれよ! 今の君は憲兵を呼ばれても文句言えない悪人面をしてるぞ!」

マルコ「アニ! 君の持ってる本だ、それを渡してくれないか!」ガラ

アニ「は、はあ?」

エレン「そうだ・・・・・それだ! よこせ!」スタスタスタ グイ

アニ「ちょっ・・・・やめなよ! そんな強くしたら、ちぎれちゃう・・・っ」

エレン「あーもううるせえよ! いいから俺に渡すんだ!!」

アルミン「エレン、やめろ! 片手にマッチを持って・・・・・火傷するだろ・・・っアニに手をだすな!」

エレン「さっさと従わねーと(ミカサが)やられちまうぞ!?」

アニ「はあっ?」

アルミン「やらっ・・・・!? さっきから何言ってるんだ!? まさか、エレン、君・・・・・。・・・・(アニは)渡さないぞ!?」

エレン「(本を)渡せよ! (本を)めちゃくちゃにしてこのマッチで燃えあがらせてやるからよ!」

アルミン「エレンのマッチで(アニを)めちゃくちゃにして・・・・・燃えあがらせる・・・・? こ、このお、君の悪人面が見掛け倒しじゃなかっただなんて・・・・知りたくなかったよ!!」ギリッ

マルコ「待ってくれアルミン! 実はかくかくしかじかなんだ!」

アルミン「そういうことか・・・・・すまないエレン、僕の勘違いだ」

エレン「俺こそ悪かった。言葉の手加減が下手でよ」

ユミル「おお、なにやらうまく行ってるみたいだな・・・・さすがマルコは機転が効くな」タタ

ベルトルト「物語の世界は便利だ・・・・・」タタ

アルミン「とにかく、その本は邪悪だから、燃やさなくちゃならないんだね」

エレン「ああ・・・・とにかく持って行くぞ」ガラ バタン

アルミン「・・・・・はは、驚かせてごめんね、アニ」

アニ「あんたってさ・・・・・弱いくせに、あの悪人面と対等にやりあって、勇気あるよね」

・・

丘の上

クリスタ「あっ流れ星」

ライナー「おっ、本当だ。今日は天気がいいから、よく見えるな」

クリスタ「そうだね。・・・・・・みんな幸せに暮らせますように・・・・・」

ライナー「ハハ、クリスタらしい願いだな」

クリスタ「みんなの中でも、ライナーは特別に願ってるけどね」

ライナー「光栄だな。・・・・・・・お、あそこにも、なにか星が」

クリスタ「本当だ! 気づかなかった・・・・・随分低い位置にあるね?」

ライナー「そうだな・・・・・。なんだか気になる明かりだ」ジッ

クリスタ「うん・・・・・」ジッ

・・

ボオオオオオ・・・・・・・

エレン「よし、燃やしてやる・・・・・・! 1ページ残らず・・・・・!」

ユミル「ダハハハハ! エレン、おまええらいデカイ火をあげたな! やりすぎだろ!」

ベルトルト「イヤ、これくらいしないと呪いは断ち切れないと思う」

マルコ「まるでキャンプファイヤーだ・・・・・。ここまで1分でやりきったエレンはすごいよ。まるで駆逐への思いがそのまま炎になったみたいだ」

エレン「よし、燃やすぞ!」ポイ

ユミル「おお・・・・・燃えだした・・・・・・」

マルコ「しかしこんな大騒ぎしていたら、」

バシャアッ

エレン「!?」

ベルトルト「み、水が・・・・・」

ユミル「誰だ!?」

キース「わたしだ」

ユミル「おまえだったのか」

マルコ「そりゃそうなるよね」

キース「訓練所内で火遊びをするとは、良い度胸だな・・・・・」ピキピキ

エレン「悪い火遊びをしているのは俺たちじゃありません!!」

ベルトルト「そうです!! 僕らは消している方です!!」

キース「!? ・・・・・規律違反は規律違反だ。消させてもらう」バシャ

ユミル「クソ、この短時間であれだけ桶を持ってきやがるとは・・・・・どうしてこうなった」

マルコ「キャンプファイヤーしたからじゃないかな・・・・・」

エレン「やめろー! 違うんです! 教官! 違うんです!」ガシ

ベルトルト「やめてください! やめてください! あの子の純潔がかかってるんです!
      あんな小さいモノで汚されるなんて嫌だー!」ガシ 

キース「何を言っている・・・・・離さんか! 駄々っ子か貴様らは!」

ユミル「く・・・・・、男二人でも振りほどいちまいそうだ、さすが教官の筋力は伊達じゃねえな」

マルコ「・・・・・・僕が・・・・・今すべきこと・・・・・・」

ユミル「?」

マルコ「教官・・・・・・僕はどうするか決めました。あなたがどうしても消すというなら・・・・・」

キース「?」

マルコ「僕は・・・・・・僕は、誰のものとも知らない骨の燃えカスになる・・・・・!」カッ

キース・エレン・ベルトルト「!?」

ユミル(このキャンプファイヤーで焼身自殺するぞっていう脅しか・・・・・! 縁起でもねえし、それじゃ
    なおさら消せよって話だが・・・・・時間かせぎにはなっているぜ! すげえ縁起でもねえ気はするが!)

マルコ「僕には・・・・・僕には自分がなにをすべきかわかるんです!」バッ

キース・エレン・ベルトルト「だ、駄目ー!」

・・

ライナー「・・・・・・アレ」

クリスタ「星、消えちゃったね・・・・・・」

ライナー「ああ・・・・・」

クリスタ「星じゃなかったのかな・・・・・?」

ライナー「・・・・・・・なあ、考えてたんだが、やっぱりユミルとよく話したほうがいいと思うぞ」

クリスタ「・・・・・ふふ、わたしも同じこと考えてたんだ。ベルトルトと、よく話したほうがいいよ」

ライナー「だな。・・・・・・俺たちは、友人を心配するくらいが分相応かもしれん」

クリスタ「うん、友達を忘れて、恋に夢中になるっていうのは・・・・・なんだか違うよね」

ライナー「・・・・・・・」

クリスタ「友達に戻ろうか。それで、たまに星でも見に来よう」

ライナー「そうだな。それがいい」ハハ

クリスタ「・・・・・・・短い間だったけど、ライナーのことをよく知れてよかった」

ライナー「俺もさ。お前は遠い存在だとばかり思っていたが・・・・・どこか似ていると思ったよ」ハハ

・・

ミカサ「・・・・・・考えたら、勢いで物事を進めていたかもしれない」

ミカサ「それが悪いこととは勿論思ってはいないけれど。結果として、自分のすべきことを見つけれることもあるから」

ミカサ「だがわたしの行動は、やはりよくなかった。なぜなら、一度決めたことを曲げていたから」

ミカサ「エレンを守ること・・・・・。それはわたしの中で絶対のものだったのに。最近、エレンを視界にいれていないことが、
    急に多くなった。これではいけない」

ミカサ「もしかしたら、わたしはまわりの恋する女の子たちに、内心で羨ましさを感じていたのかも。
    だからそれを真似たいという無意識の欲求があった。勿論エレンを守ることはわたしの一番の望みだけど」

ミカサ「そんな、自分の勝手な気持ちに巻き込ませてしまった・・・・・。ジャン、ごめんなさい」

ミカサ「・・・・・ジャン、聞いてる?」

ジャン「・・・・・・・」シロメ

ミカサ「・・・・・気持ちが高ぶってしまった。愛情表現のつもりが、関節技を極めてしまうとは。
    わたしは冷静じゃなかった」

・・

マルコ・エレン・ベルトルト・ユミル「「・・・・・・・」」グッタリ

エレン「もう朝か・・・・・・」

マルコ「なんとか教官を食い止めて、本を燃やして・・・・・・死ぬ寸前まで走らされたからね・・・・・」

ベルトルト「・・・・・・・・」

ユミル「まあ、仕方ねーし。悪い気はしねーよ。これで愛する嫁を守れたんだからな。だろ? エレン」

エレン「よ、嫁とか、何言ってんだよ。馬鹿じゃねーの・・・・」

マルコ「ハハ、女の子を守れた3人は羨ましいよ・・・・・。僕はそういうの一切縁ないからさ・・・・」

ベルトルト「そんなことはないと思うけど・・・・・」

ユミル「はー・・・・とにかくハッピーエンドだ。これでもうむさいメンツみないで済むぜ」ムク

エレン「ひでーな、おまえ・・・・・」

・・



その日人類は思い出した・・・・・ホモに囚われていた屈辱を

サシャ「なんですか、それ?」

コニー「昨日もらった本に書いてあったんだよ。おもしろい本、渡されたって言ったろ? コレだよ」

サシャ「へー。薄い本ですね。それが何冊か。マンガ本ですか?」

コニー「ああ。なんか、同期によく似たヤツらが、ギャグみたいなことしてるマンガでさ」

サシャ「アハハ。男の子や女の子同士でいちゃいちゃしているなんて、なんか平和でいいですねえ」

コニー「だろ?」

サシャ「タイトルは・・・・『進撃のホモ』? この間の本にもありましたけど、この『進撃』ってどういう
    意味なんでしょうねえ。・・・・・ん?」

コニー「どうしたんだよ、サシャ。本を耳にくっつけたりして」

サシャ「アレ? なんだか、怨念というか・・・・・禍々しい声がします・・・・・なんて言ってるんだろう、・・・・「ホモォ・・・・ホモォ・・・・」?」

コニー「なんだそれ・・・・・?」

サシャ「さあ・・・・・・わっ!?」バサッ

パラパラパラパラパラ

コニー「ほ、本が宙に浮いてめくれてる!?」

サシャ「・・・・・『イエーガーでア○ルミンを進撃!』、『乗馬する優等生』、
    『~山奥の風習~』、『(夜の)夢のカード』、『わたしの嫁がこんなに可愛い』、・・・・・」

コニー「お、おい、なに口に出してんだよ」

サシャ「あ、すいません。小話のタイトルが見えたので、つい」

パサッ

コニー「止まった・・・・・」

サシャ「・・・・・巻末のページですね。発行年数が書いてます。・・・・・・!?」

コニー「・・・・・発行、2009年、10月・・・・・・」

サシャ「・・・・・今年は、848年、ですよね。この年号は未来?」

コニー「イヤ、過去とも考えれるぜ・・・・・2000年ちょっと前・・・・・・」

サシャ「は、ははは。イヤイヤ、ありえないですよね」

コニー「だな。冗談だろ、どうせ。さー、食堂で朝ごはん、だ、・・・・・」ガチャ

サシャ「・・・・・?」

コニー「・・・・あ、俺、この光景、春と秋によく村の外れで見たわ」

サシャ「え? ああ、動物の発情期ですか。ありましたありました」アハハ

コニー「はは・・・・・・、あ、き、教官」

サシャ「教官。おはようございます。・・・・・・教官? 教官!」

コニー「きょ、教官が泡吹いて倒れたーーーー!!」


こうして104期はハッピーホモとハッピーレズにあふれた。
恋愛のことしか頭にないようだ。しかし、それまで悩んでたようだった兵士も、
悩みを忘れさったかのように幸せそうにホモとレズをしている。

なぜ人格が激変したのかは誰も分からないが、それからは特になんの問題もなく、
立派な憲兵・駐屯兵・調査兵となり巣立っていった。
850年。今日もウォールシーナは平和だ。しかしわたしはこれで良かったのだろうか。

キース・シャーディスの日記より抜粋

~HAPPY HOMO END~


・・


2009年12月

男1「あーあ、やっぱ打ち切りかー。第一話、クセありすぎだったからかな」

男2「『進撃の巨人』。コレ、第一話、俺は好きだったんだけどなあ。雑誌の雰囲気にあわなかったんだろうな」

男1「この雑誌、読者の意見ガンガン取り込んで、特に新人だと、編集がストーリー変えちゃうんだよな」

男2「本当はどんな話にするつもりだったんだろうな。これじゃ、キャラも、マジで物語っつーか読者っつーか出版社の奴隷だよ」

男1「違う雑誌で連載してりゃなあ・・・・・・」

男2「な。絵は荒っぽいけど、絶対化けたと思うんだよな・・・・・例えばアニメ化とか・・・・・映画化とか・・・・・」

男1「イヤイヤ、第一話で人食べたのにそれは厳しいだろww」

男2「そっかww」バサ

雑誌『進撃の巨人 完! 俺たちの進撃はこれからだ! 3か月の応援ありがとうございました!』


終わり

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