幼女「いつも家の中でなにやってるの?」 (33)

男「え」

幼女「なにやってるの?」

男「………」
男「修行だ」

幼女「しゅぎょー……」

男「ドラゴンボールのご飯くん、いるじゃん?」

幼女「いる」

男「あいつ山にこもって修行するだろ?」

幼女「した」

男「そしたらあいつめっちゃ強くなったじゃん?」

幼女「なった」

男「あれに砂糖を振りかけたバージョンをやってるの俺は」

幼女「なるほど」

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男「ご飯くんすごいやつ」

幼女「すごいやつ」

男「ご飯くんと同じことしてる俺も、すごいやつ」

幼女「すごいの?」

男「すごい」

幼女「わかった」



幼女「………」

男(ゴロゴロ)

幼女「また部屋でゴロゴロしてる」

男「No.」
男「修行なう」

幼女「……お父さん言ってた」

男「?」

幼女「『あれは修行じななくてただの引きこもり』だって」

男「ふむ」

幼女「お兄ちゃん、引きこもりなの?」

男「おう」

幼女「………」

男「どうした」

幼女「ショックなう」

男「幼女よ」

幼女「なんだ社会のゴミ」

男「……….」
男「まぁ、きけ」

幼女「うん」

男「お前、クマのプーさん好きか?」

幼女「好き」

男「だよな。それでな、」

幼女「でもプータローは嫌い」

男「………」
男「よくそんな言葉知ってるな」

幼女「うん」
幼女「私達のお母さんがよく使ってる言葉だもん」

男「………」
男「まぁ、聞け。オレンジジュースあげるから聞け」

幼女「うん!!」

男「冬眠、って知ってるよね」

幼女「とーみん……」

男「えっ!?」
男「ま、まままさか……ご存知ない……!?」

幼女「………」
幼女「知ってる」

男「説明してみて」

幼女「ムーミンのお父さんの名前」

男「………」
男「ムーミンパパはそんな名前じゃない」

幼女「じゃあなんて名前なの?」

男「ムーミンパパ」

幼女「それ名前じゃないよ」

男「………」
男「話を脱線させるんじゃない」

幼女「最初に脱線させたのお兄ちゃんだよ」

男「そうだった」
男「ごめん」

幼女「よし」

男「いや、待てよ……?」
男「名前の名字にに役職とか官位の意味を込められたものもあるわけだし、
ムーミンパパという名前も問題ないのではなかろうか」

幼女「いいから話戻してください」

男「………」
男「………」
男「…………………」

幼女「?」
幼女「どうかしたの?」

男「いや、なんでもない」
男「ただ……」

幼女「ただ?」

男「………」
男「冷めた目で見られながら敬語使われると」
男「なんだか心の距離が開いたみたいでちょっだけさみしくなった………」

幼女「お兄ちゃんは繊細な人なんだね」

俺「はい」

幼女「そんなんでよく今日まで生きてこられましたね。逆にすごいです」

俺「敬語使われると昔のトラウマが蘇るのでやめて欲しいです」

幼女「………」

男「さて、話を戻そうか」

幼女「何の話してたっけ」

男「クマの冬眠と、俺の引きこもりとの関係を説明していたんだよ」

幼女「あー」
幼女「思い出した」

男「よし」
男「そもそも、クマの冬眠とは何かっていうとだ」

幼女「うん」

男「冬眠とは、冬の間はずーっと眠り続けることを言う」

幼女「うんうん」

男「うん」

幼女「………」

幼女「説明おわり?」

男「おわり」

幼女「………」
幼女「わかりやすいけど、わかりにくい」

男「?どういう意味?」

幼女「せんせー質問ですー」

男「はい、どうぞ」

幼女「なんでクマは冬の間ずーっと寝てるのー?」

男「はい、いい質問ですね~。
ご褒美に去年のスキージャケットのポケットから出てきた飴玉をあげましょう!」

幼女「やったー!」

男(あ……これで喜ぶんだ)

幼女「うまうまー(モゴモゴ)」

男「……さっ、それでは質問に答えましょう」

幼女「(モゴモゴ)んん、んー!」

男「冬の間は木も食べ物もみーんな枯れちゃいますよね」

幼女「(モグモグ)んー」

男「食べるものがなくなったクマさんはさぁ大変!」

幼女(ガリガリッ)

男「飴玉噛むのダメ」

幼女(ガリガリッ)
幼女「わかったー」

男「あー……全部噛み砕いちゃったー……」

男「そこで困ったクマさんは、発想を逆転させました!」

幼女「おぉ」

男「『食べ物がないなら、食べ物ができる春まで寝ていよう!』ってね」

幼女「すげー!」

男「ね?すごいでしょ?つまりクマさんはね、」

幼女「すげー」
幼女「すげーグータラなやつだ!クマの野郎め!」

男「………」
男「いやいや。クマさんはグータラじゃないよ?」

男「クマさんはね、
食べ物ができる春にいつもの何倍も頑張るために引きこもってるの」

幼女「でも冬の間は頑張らないんでしょ?」

男「いや、だからね?」

幼女「グータラだグータラだー!」

男「………」

男「冬眠っていうのは、頑張るべき時に一番頑張れるようにするための、
いわば準備期間のようなものなわけだね」

幼女「でも冬は働かないんでしょ?」

男「そうだけどさぁ……」

幼女「まぁまぁ、私の話を聞いてほしい」

男「よし。聞きましょう」

幼女「ここに、グータラ熊さんと、冬も働く立派なクマさんがいたとします」

男「はい」

幼女「夏と秋は二人ともふつーに頑張りました。
その時の働いた量を50としましょう」

男「うん」

幼女「冬が来ました。
ダメクマはダメクマなので働きません。働いた量は0です」

男「うむ。賢い選択だ」

幼女「働く偉いクマさんは冬も働きます。働く量は25です」

男「夏と秋で合わせて50だから、ワンシーズンは25になるわけだね」

幼女「問題は春。食べ物が生まれる季節です」

男「うん」

幼女「今の時点での二人の点数を計算してみましょ~」
幼女「ダメクマ、ダメダメダメクマの点数は50+0=0、0点です!しょぼい!」

男「それ足し算じゃなくてかけ算してますよ先生」

幼女「まちがえた。50+0=50で、点数は50点!低いですねーダメクマくんはー!」

男「………」

幼女「それじゃー、今度は立派なクマさんのポイントも計算して見ましょう」
幼女「50+25でポイントは1250!すごいっ!」

男「またかけ算してますよ先生」

幼女「まちがえた。50+25=75でした!
それでもダメクズゴミ熊に25点もの大量リード!すごいっ!」

男「贔屓が目にあまります先生」

幼女「秋の時点での得点は、
働きクマは75点、ダメクマは50点になりました」

幼女「さて、季節は春です!」

男「わーい」

幼女「立派なクマさんは相変わらずふつーに頑張ったのでプラス25!
合計ポイントはー……100!」

男「おー」

幼女「そしてダメクマ君は冬に貯めてたエネルギーを使ってる二倍働きます!」
幼女「点数はなんと50点!」

男「平均の二倍もの点数を取ってる!流石俺の見込んだクマ!」

幼女「合計ポイントはー……100点!」

男「100点!……100点?」

幼女「結局働きクマと変わらない点数になりましたね」

男「……なりましたなぁ」

男「つまりこう言いたいわけだ」

男「グータラ熊……もとい、引きこもり熊さんは
結果的に見れば別に優れてるわけではなく、ただの器用なグータラ野郎だと」

幼女「まぁそんな感じ」

男「俺の言いたかった結論を今更ながら言わせてもらうとね」

幼女「うん」

男「俺は頑張るべき時に、より頑張るために、引きこもっているんだよ」
男「……ということを、クマさんの話から言いたかったわけ」

幼女「なるほど」
幼女「お兄ちゃんの説明、長くてわかりづらい」

男「ごめんなさい」

男「しかし、君はそんな僕の考えにこう言いたいわけだ」

男「その引きこもりという名の準備期間は、グータラ以外の何物でもないのでは?と」

幼女「うん」

男「それはさ、つまり……」
幼女「お兄ちゃん待って」

男「よく話を遮るやつだなお前は」

幼女「私の考えたも言いたい」

男「よし、ならば聞こう」

幼女「さっきの話では、二人のクマさんは……」

男「待て」

幼女「喋る時は手を挙げてから話すように」

男「………」ビシッ←手を挙げる音

幼女「はい、お兄ちゃんくんどうぞ」

男「二人のクマっていう表現はおかしいです。
人間じゃないのだから二匹のクマさん、と言うべきです」

幼女「………」
幼女「………」
幼女「………ちっ」

男「し、舌打ちされた……っ!?」

幼女「わかりました。直します」
幼女「さっきの話では、
二頭のクマさん結果的に見れば働いてる量は変わりませんでした」

男「二頭……なるほど……こっちの方が匹よりとしっくりくる表現だ……っ」
男「頭の良い幼女だなぁ」

幼女「しずかに。わたし、喋ってます」

男「はい」

幼女「それでですね、
その二頭のクマさんは数字だけ見ると変わらないですが……」

男「はい!」ビシッ←挙手する音

幼女「二頭は変わらないのですがー……」

男「はいっ!!はいっ!!」ビシッ←挙手する音

幼女「………」
幼女「うるせぇ」

男「口調がこわい」

幼女「さっきからなんなの?」

男「だ、だって挙手すれば口挟んでもいいって言ったから……」

幼女「お兄ちゃんくんは相変わらず空気が読めないですね」

男「うぐっ!」

幼女「でも、私はかんよーなので、許します」

男「優しい幼女でよかった」

幼女「はい。優しいです」
幼女「それで、お兄ちゃんくんは何を言いたいのかなー?
お姉さんに話してみてー?」

男「おぉ……っ!」
男「幼女にお姉さん風に優しくされるのも悪くないな……!」

幼女「はやく、言って」

男「はい」

男「グータラしていたにも関わらず、
みんなと同じくらい働いたヒッキークマさんは、十分すごいやつだと思います」

幼女「ちがいます。すごくないです」

男「すごいです」

幼女「すごくないです」

男「すご」

幼女「だまれ」

男「はい」

幼女「グータラクマさんは、大事なことを忘れています」

幼女「人間関係のことです」

男「はい!先生!熊を人間というのは……」

幼女「熊関係です」

男「うむ、それでいい」

幼女「………」

男「どうした?バカを見るような目で俺を見て何かあったのか?」

幼女「………」
幼女「まぁいいでしょう」

幼女「ながーい冬休みが終わり、ダメクマさんは職場に復帰します」

幼女「しかし職場に戻ってみるとどうでしょう、
働きクマ達が自分に向ける視線はなんだかひややかです」

幼女「そりゃーそうです。だって自分が汗水たらして一生懸命働いてる間、
こいつはグータラ寝てるだけだったのですから」

幼女「遊んでばっかの人と、もといクマと同列に見られたら
そりゃ良い気持ちにはならないです」

幼女「働きクマとの軋轢はさらに広がります」

幼女「実はこのグータラクマさん、
新卒で入ったばかりなのでまだ仕事をちゃんと覚えていませんでした」

男「グータラクマにそんな背景があったのか……っ」

幼女「グータラクマさんは同期のクマたちを見てみます」
幼女「すると、なんということでしょうか!

入社当時は自分と同じで右も左も分からなかった同期が
バリバリと立派に働いてるではありませんかっ!」

男「Oh....」

幼女「それもそのはず。ダメクマ君がだらけている間、
彼らはしっかり働いて経験を働いていたのです!」

つづきは夜にかきます

幼女「同じ量だけ働けばオッケー☆と言えるほど、」
幼女「この世界は単純にできていないわけですね」

男「い、異議あり!」

幼女「どうぞ」

男「クマの世界には新卒も会社もないはずですだ!」

幼女「その通り」

男「ならば!それならば!
今までの話は根本から全て無駄になります!」

幼女「その通り」

男「あ、あっさり認めた……だと……?!」

幼女「では、わたしの最終的な考えをまとめましょう」
幼女「引きこもりを冬眠で正当化しようとするお兄ちゃんへの、
私の最終的な結論は……、」

幼女「『人間とクマを一緒に語るなー』」

男「………」

幼女「語るなー」

男「………」
男「なるほど」

男「幼女ちゃんの言葉のおかげで俺覚醒したよ」
男「目が覚めた気分だぜ」

幼女「おはよう」

男「うむ。おはよう」

幼女「わかってくれて何より」

男「うむ。幼女よ、心からありがとう。
君のおかげで世界の真理に気づくことができたよ」

幼女「世界の真理……?それってどんな真理?」

男「………」

幼女「………」

男「人間≠クマ」

幼女「……お、おう」

男「幼女よ……いや、これからは感謝の意味を込めて幼女先生と呼ばせてくれ」

幼女「それだと私が幼女に詳しい人みたいな人になっちゃう」

男「たしかに」

幼女「幼女ならお兄ちゃんの方が詳しい」

男「然り」

幼女「幼女先生の名前はお兄ちゃんにあげます」

男「やったぜ」

幼女「幼女せんせー、幼女せんせー」

男「どうした幼女」

幼女「明日ハローワーク行こうね」

男「………」
男「オッケー☆頑張る頑張る~」

幼女「頑張るを二度言う人はだいたい頑張らない……」

つづきは夜かきます

次の日
午後15時

幼女「ただいまーお兄ちゃんーっ」

シーーン……

幼女「あれ」
幼女「……返事がない」

シーーーーン……

幼女「………」
幼女「ついに死んだか」

男「こっちこっちー」

幼女「ん?」

男「お兄ちゃんは健在だぞー」

幼女「遠くからお兄ちゃんの声が聞こえる……?」

男「こっちこっちー」

幼女「お風呂場から……かな?」



In 浴室

幼女「………」

男「ようこそ、ラビリンス【魔王の迷宮】へ」

幼女「なに、やってるの」

男「プールに入ってる」

幼女「………」

男「冷たくて気持ちいいぜ」

幼女「………」
幼女「それプールって言わない」
幼女「水風呂」

男「似たようなものさ」

幼女「全然似てないし」

男「市民プールと我が家の浴槽プール。
一体何が違うというのかね」

幼女「………」

男「ん?」

幼女「……あえて言うなら」
幼女「えんそが足りない」

男「あー、塩素ね。なるほど確かに。
プールのあの独特の匂いあってこそプールだよな」

幼女「だから……」

男「ま、まてまてっ」
男「どうしてカビキラーを手にとってるの?」

幼女「カビキラーはえんそ入ってる」
幼女「これ水に入れれば市民プールと同じ」

男「それはガチで危険なやつだっ!」

幼女「………」

男「無言でカビキラーのフタを開けようとしないでっ」

幼女「………」

男「あ、あの、幼女さん?」

幼女「………なに」

男「もしかして……怒ってらっしゃる?」

幼女「………」

男「な、なぜ怒ってらっしゃるんでしょうか」

幼女「………」
幼女「お兄ちゃん昨日頑張るって言った」

男「………」

幼女「私が学校行ってる間、水風呂で遊んでたの?」

男「それは、その……」

幼女「………嘘つき」
幼女「わたし、部屋もどってる」

男「あっ……」

バタン←扉の閉まる音

トントン←扉をたたく音

幼女「どなたですか」

男「お兄ちゃんです」

幼女「お兄ちゃんって、うちに寄生してるあのお兄ちゃんですか?」

男「い、いえ。正しくは帰省してるお兄ちゃんです」

幼女「わかりました。少々おまちください」

男「はい、待ちます」

【ピッポパッ、ピッ!】

男「ん?」

【ピッ、ピッ、ポッ!】

男「なんの音だ?携帯のプッシュ音……??」

【トゥルルルル……ガチャッ!】

幼女「あ、もしもし警察ですか?今部屋の前に全裸の男が……」

男「!?待って!話せば分かるっ!わかりあえるっ!!」



幼女「ジョーク。イッツア、ジョーク」

男「悪い冗談だぜ……」

幼女「で」
幼女「何の話?」

男「……あ、あのさ」
男「お兄ちゃんな、今日実はな、バイトの面接行ってきたねん」

幼女「ほう」

男「でも……ダメだったねん……」
男「お兄ちゃん、一応頑張ったには頑張ったねん……けどダメだったねん……」

幼女「………」

男「ダメ兄貴ですまん……」

幼女「………」
幼女「そっか」

【ガチャっ…】←扉が開く音

男「おぉ!?こ、これは……」

【ピカーっ】←開いた扉から光が差し、さながら天から舞い降りた女神のごとく、
幼女の後ろに後光がさす音

男「っ!!な、なんと神々しい……っっ!!」

幼女「今日のお兄ちゃんは、頑張ったんだね?」

男「は、はい!今回は自分なりに頑張りました!」

幼女「それならば……おろかな兄を私は許しましょう」

男「おぉ……幼女様……っ」

幼女「でも一言だけ……一言だけ言ってもいいですか?」

男「はいっ!なんなりとどうぞ!」

幼女「さっきのお兄ちゃんの関西弁、
めちゃくちゃイラっとするからもう使わないで」

男「あ、はい」

幼女「続き続き!」

男「……そこで困ったクマさんは、発想を逆転させます」

幼女「おぉ」

男「『食べ物がないなら、食べ物ができる春まで寝ていよう!』ってね」

幼女「すげー!」

男「ね?すごいでしょ?つまりクマさんはね……」

幼女「すげー!」
幼女「すげーグータラなやつだ!クマの野郎!」

男「………」

幼女「どうしようもねぇ!」

男「いやいや。クマさんはグータラじゃないよ?」

男「クマさんはね、
食べ物ができる春にいつもの何倍も頑張るために引きこもってるの」

幼女「でも冬の間は頑張らないんでしょ?」

男「いや、だからね?」

幼女「グータラだグータラだー!」

男「………」

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