真姫「オーガズムが止まらない病気?」 (343)

シリアスあり

スピリチュアルパワーによる非現実要素あり

自己解釈が沢山




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1401616977

希「んぅーこれでよーし」


希「ウチが他の人から、悪い運気を吸い取ってそれを溜め込ませた特性負のスピリチュアルストーンの完成!!」


希「…でもどうしてこんなの作ったんやろ…こんなマイナスの力が詰まってる物、作ったウチ以外の人が触ってしまったらちょっとマズイことになるなぁ」

希「…家で砕こうか…」


希「カバンにちゃんと入れんとね」


希「あれ、カバン…あ、あった」

バタバタバタバタ

希「あ、あれ!?もう休憩終わり?」

希「カバンにスピリチュアルストーンいれて…と」

希「これでよし」

穂乃果「のっぞみちゃーん!!」

希「うわっ!!な、なに?」

穂乃果「もう休憩時間は終わったよー」

希「もう終わったんや。ごめんねすぐ行くから」

穂乃果「早くねー!」





練習後 部室前




希「間に合わない!!」

絵里「ど、どうしたの?」

希「今日は神社で手伝うって言ってたのに、忘れてしまって…」

絵里「あーあ、希らしくないわね」

希「はぁ…最近ちょっとあることに夢中になりすぎてたのかもしれんね…」

希「ということでみんなごめんな!ウチ急いでるんよ!」

にこ「まったく、騒々しいわねー」

穂乃果「バイバーイ!」


希「じゃあまた明日なー」

バタバタ

真姫「ま、希なら大丈夫か」

にこ「独り言?」

真姫「まあそんなとこよ」



絵里「希が言ってたあること…ってなにかしら?」

絵里「誰か聞いてる?」

凛「きっとまたスピリチュアルなよくわかんないことだよ」

絵里「あー……」

海未「関わらない方が良さそうですね」

絵里「私も同じことを考えていたところよ」

穂乃果「えーなんで?面白そうじゃん!希ちゃんに聞いてみようかなー」

にこ「やめといた方がいいわよ」

にこ「スピリチュアルやーとか言ってなにされるか分かったもんじゃないし」


にこ「スピリチュアルパワーを、吸収や!とか言ってわしわし地獄になるかもよ?」

穂乃果「やめます…」

にこ「賢いのはいいことよ」


海未「じゃあ今日は終わりにしましょうか」

凛「帰りにラーメン行こうよー」

真姫「太るわよ」

凛「大丈夫だってー!」

凛「いこいこー?」ギュウゥ

真姫「ああもう分かったからー!」

希の家


希「ふんふんふーん、スピリチュアルパワーやーん」

希「ウチのスピリチュアルストーンちゃんはどこかなー?」

希「嘘ついてまで早く帰ってきて良かった」


希「悪い運気吸い続けた石は紫色になって行くんやけど、本当に上手く出来たなぁ」

希「相当溜まってるんやねー、でももし触らせたら何が起こるんかな。多分ギャグじゃ済まないことになるとは思うんやけど」

希「でもこんなんあると危険やし、早いとこ砕いてしまお」

希「カバンの中に入れたからー……」

ガサゴソ


希「…あれ?」


ガサゴソ


希「あれ?あれ?」


ガサゴソ


希「な、ない……」

希「ない!?」

希「どこいったん!?ちゃんと入れたやん!!どうしよどうしよ!!」

希「おとしちゃったかな!?カバン間違えるなんてありえないし!」

希「はぁ……失くしてしもた。見ず知らずの人が拾ってしまったらごめんな……」

希「まあいっかー」

真姫の家



真姫「うぅ…結局凛にラーメン付き合わされるし…今週もう三度目よ!!」

真姫「二回は同じお店だし!!」

真姫「今度はっきり言わないとダメね」

真姫「はぁ……課題でもしようかしら」


ガサゴソ



真姫「…ん?なに、これ」


真姫「石…?綺麗な石…」

真姫「紫色で水晶みたい…もしかしてアメジスト?いや違うわね…」

真姫「でもなんでこんな石が私のカバンの中に?うーん…まあありがたく貰っておいていいわよね」

真姫「……綺麗な石」

真姫「光りにかざすと透き通るみたい……」

キィィィン

真姫「え!?な、なに?石が光って!?」

真姫「キャア!!」


真姫「な…なんだったの?」

真姫「いきなり閃光を発したみたいに…それが身体に巻きついて…」

真姫「って、あれ?」

真姫「紫色じゃ、なくなってる!?ただの石じゃない!!」

真姫「なにこれ、意味わかんない!」

真姫「…夢?違うわよね…。なんか怖いし捨てちゃおう」


真姫「これでよし。さあ課題課題ー」


一日目



凛「あー真姫ちゃんだー!!!!」


花陽「おはよう真姫ちゃん」

真姫「おはよう」

凛「昨日は付き合ってくれてありがとー」

真姫「あんたねーラーメンばっかり食べすぎなのよ。今度魚食べささるわよ?」

凛「嫌だよ!魚なんて!!」

凛「嫌いなものなんて食べる必要はないんだよ!」

凛「真姫ちゃんだってトマトばっかり食べてるくせに!」

真姫「な…トマトはいいのよ!栄養あるの!」


凛「かよちん!どっちが悪い!?」

花陽「そう言われても…」

花陽「私もご飯ばかり食べてるし…」

真姫「結局みんな好きなものばかり食べてるじゃない…」

凛「うん、そうだね…」

凛「真姫ちゃん嫌いな物は?」

真姫「うーん…みかん、とか」

凛「みかん?みかんをピンポイントで嫌いな人って珍しいにゃー」

真姫「まあ、そうかもね」

花陽「あのー…そろそろ時間が……」


凛「え!?ヤバい!走ろう二人とも」グイッ


花陽「え、ちょっと」

真姫「いきなり、なに――」




 凛が私の手を引いて駆け出す、それにつられて私も強く一歩を踏み出す。瞬間、『それ』は来た。




 下腹部に感じる電流のようなもの。筋肉が震えるのを感じる。この感覚は……。

凛「真姫ちゃん…?止まらないでよー」



真姫「ぁぁ…ヤバ…くぅッ、ぅぅぅぅうっ!!!!!」



 下腹部から脳天に一気に突き抜ける感覚。


 膝に力が入らない。目の前の景色は歪み、呼吸が荒くなるのを感じた。どうして、どうして、こんなところで?





 力が入らなくなった下半身は未だに震えている。その場に座り込むように倒れると、次第に『それ』は収まっていった。


真姫「はぁ…はぁ…はぁ…んぅ…」


花陽「…真姫ちゃん?」


凛「…大丈夫?顔、すっごく赤いよ」

真姫「うん…ぅぅん」


 二人の言葉は聴こえている。でも脳で理解するのに時間がかかった。



凛「真姫ちゃんなんだか、顔がエッチだにゃー」



 凛はそう言った。あぁ、やはりそういうことなんだ。凛にすらそう思われたってことは……。



花陽「……」



 花陽は少しだけ顔を赤らめて目を伏せていた。おそらく今さっき私に起きた状況を察したのかもしれない。



花陽「凛ちゃん、先に行こう?」

凛「えぇー?なんで?」

花陽「いいから!!」グイッ


凛「強引だよー!!」





 この日から私の快楽という地獄は始まった。

学校



真姫(少し遅れちゃったわね)


真姫(ギリギリ遅刻じゃないだけいいから良かったけど)


花陽「あの、真姫ちゃん?」

真姫「な、なに?」


花陽「えっと、大丈夫だった?」

真姫「え、ええ…少し体調が悪いの。ごめんね、心配かけて」

花陽「そう、それならいいんだけど」


真姫(なんだったんだろう…急に。走り出した瞬間……)

真姫(溜まってるのかな…でも普段からそんなにやる方じゃないし…)


真姫(まあ…忘れよう。本当恥ずかしかった…人前で達したのなんて初めてだわ)

授業中



真姫(なんだか、暑い)

真姫「はぁっ…はぁ…」

隣の生徒「大丈夫?」

真姫「ええ、大丈夫よ。ちょっと暑くない?」

隣の生徒「そうかな」


真姫(私だけか)



 だんだんとだんだんと身体が熱を帯びてくる。自分ではなにも手を加えてはいない。


真姫「んぁ…ぅぅぅん、ぁぁっ」


 ただただ、身体の快感が私を襲っていた。




 声は抑えられそうにない。自分で慰める時よりも遥かに強烈な快感。


 達する時に近い快感が、かれこれ五分は続いている。

 口に手を当てながら机に突っ伏す。



 これ以上ここに居ると、大きな声を出しかねない。

 不幸なことに授業中はとても静かだ。




真姫「せ、せんせぇ…あの…トイレ、行って、きます…」


 先生に言うだけ言って、反応は確かめずトイレへと向かう。


 真姫「ぁぁんぅぅぅ…」


 歩く度に下腹部から脳へ刺激が伝わる。



 経験したことのない快感に悶えながら、なんとかトイレの個室へと辿りついた。



 ここなら誰も来ない。


 自分で秘部を弄らなくても何故か快感は増していった。
 性欲がないのに快感を感じるというのはなんとも不思議なものだ。


真姫「ああっ!はぁぅぅうん!はぁっ、はあっっ、んんッ!!!!」


真姫「嫌ぁっ!くるぅッくるっ」


真姫「いやぁぁぁっッ!!!!!」



 緊張していた筋肉が一気に解放された。目には火花が散ったと錯覚するように、白くなった。



 一分程すると残ったのは強烈な虚脱感。



真姫「私、どうしちゃったんだろう」

◇◇



希「んー」


絵里「どうしたの?」


希「いやぁ、人の悪い運気っていうのは人にとってどのような影響をもたらすんかなぁって」


絵里「はい?」

にこ「こんなやつほっとこう」

希「ちょっと待ってってー真剣なんやってー!!」

希「人の運気ってもんは舐めたらダメってことなんよ、うん」

放課後部室




 あれから授業中は何度も謎の快感に襲われ続けた。



 授業の合間の休み時間は人気がないトイレへと駆け込んでは、襲ってくる快感の波に身を任せていた。




 抵抗するのはとても体力がいる。声を抑えるのも身体の痙攣を抑えるのもかなり大変だった。


 なにより全く集中出来なかった。三十分から一時間に一回は達したと思う。



 今日だけで10回、は達しただろうか。

 

 体力がほとんど残っていない私は部室の机に突っ伏しているだけだった。




穂乃果「真姫ーちゃーん。大丈夫?」


真姫「……」


穂乃果「おーい」

凛「なんだか授業中とかもずっとくるしそうにしてたんだよ」

にこ「勉強のしすぎなんじゃないの?」


絵里「真姫、無理しないで?」




 絵里が私の方をポンと叩く。

 ――それは引き起こすトリガーになった。




真姫「はぁぁッ、はぁっん…また…来た……」


真姫「ちょっと、と、トイレ…」


 足に力が入らない状況で、腕で無理やり身体を引き起こす。




 私がドアに手をかけるより早く、私の身体は強烈な快感を脳に運んでいた。

 ヘナヘナと座りこみ、人の目があるのも忘れて下腹部を抑えつけながらアルマジロの様な体制で丸くなる。


 みんなに見られている。


 そんなのとは関係なしに、下腹部から快感はせり上がってくる。


にこ「えっと……」


絵里「……」



真姫「ふぁぁぁっ……ぅぅん、ぁぁんんんんッ!はっ!クッ!!!うぅ…はぁはぁ…」




 今日何度目になるかわからない絶頂を迎えた。




にこ「えっと……絵里…」


絵里「ええ…」




 にこちゃんと絵里が私の肩を担いで立ち上がらせた。

にこ「ちょっと保健室行ってくるわね」


穂乃果「私も行くよ!」


絵里「ダメよ…これは私達二人の方がいいと思う」

穂乃果「そう…なの?」




 あんなに声を出してしまったんだ。感づかれてしまったんだろう。



にこ「真姫ちゃんのカバンも持っていった方がいいわね」




 私の荷物はにこちゃんに持ってもらって、部室を後にした。





保健室



 保健室に寝かされるのはいつぶりだろう。

 私の顔色を伺うようにして、絵里とにこちゃんが覗き込んで来た。


 さっきのことを思い出して二人からは目を逸らさずにはいられなかった。



にこ「真姫ちゃん、さっき……」

真姫「……」



絵里「あの、何があったの?」


真姫「……」



にこ「お盛んな時期なんじゃない?」

絵里「ちょっとにこ…!」




真姫「……そう思われても仕方ないわよ」




絵里「え?」


真姫「今日は帰るわ」


にこ「……」


絵里「ええ…分かったわ。気をつけてね」



  二人の視線が痛かった。事情があるとはいえみんなの目の前で達したという事実がある。視線を振り払う様に保健室のドアを強く閉めた。





真姫「私に、一体なにが起こっているの?」

部室




穂乃果「どうだった?」


絵里「軽い体調不良よ」


穂乃果「そっかー心配だね」

凛「今日の朝もあんなことがあったんだよ」

絵里「話を聞かせて貰える?」

凛「うん、かよちんと二人で登校してたら真姫ちゃんを見かけたんだ。それで三人で立ち止まって話してたらさ、遅刻しそうになったんだよ」


凛「そして凛が二人を引っ張って走って学校に行こうと思ったら急に真姫ちゃんが座り込んじゃって」



にこ「さっきみたいになっちゃった、と」


凛「どうしたんだろうね?」


にこ「……」


海未「とりあえず真姫がどうしてあんなに苦しそうにしてたのか原因が探れないと…」

海未「あんなに苦しそうにしていたからには何かあるはずです。体調不良というには少し大きな反応でしたし」



にこ「まあ苦しそうってより…ねえ?」


ことり「まあ、いいんじゃないかな。とりあえず苦しそうにしてるってことで」

ことり「真姫ちゃんも皆に知れちゃうと可哀想だと思うよ」


にこ「そうね…」



穂乃果「…?」

凛「…?」

海未「…?」





希「やっほー」


絵里「あぁ希」


希「ん?どうしたん?なにかあったん?」

絵里「まあ色々と、ね?」


真姫の家



真姫「あー!!本当最悪!!」

真姫「なに!?なんなの!?どうしたの私の身体は!?」


真姫「下着なんかもうぐちょぐちょ……気持ち悪い」


真姫「はぁ……」


真姫「疲れた…」


真姫「明日も学校だし、早く寝よう…」


真姫「明日もこんなだったらどうしよう…」

ヴーヴーヴー


真姫「メール?」

真姫「ひぃっ、嘘、あっ…、嘘…んぅ…下着変えたばかり、なのにぃ!!」



真姫「あぁっ、いゃぁ、気持ちぃ、んぁッぁぁぁあ!!イクぅぅ!!!」



真姫「ちょっ…ちょっと待ってぇ…ふぅぅんッ、うぁあぁぁぁッッッ!!」




 携帯のバイブレーションがトリガーとなったのか、すぐに私の身体は絶頂へと走っていった。



 そして、朧げになる意識に身を任せた。

 

二日目




真姫「あー…寝ちゃったんだ」




真姫「準備しないと」


真姫「その前に昨日、最後にイっちゃったんだった。下着変えなきゃ」






真姫「行ってきます」



 今日はまだ快感の前兆はない。
 まあ毎回前兆はないんだけれど。



 ため息を吐きながら扉を開けると、そこには知った顔があった。



にこ「おはよう」


真姫「にこちゃん?」


真姫「どうしたのよ急に」

にこ「なんだか最近体調悪いみたいだし、今度からは私か絵里が迎えに来るから」


真姫「別に、大丈夫よ」

にこ「一人で勝手に、イかれても困るのよ?」


真姫「な…な…」


にこ「違う?」


真姫「うるさい…」


にこ「まあ真姫ちゃんだって年頃だし、盛んなのはわかるけどさ、流石に学校では…ね?」



 何も、何も知らないくせに。



真姫「一人で行く」

にこ「え?」

真姫「ついてこないでって言ってるのよ!!」




 好きで気持ち良くなってるんじゃない。

部室


真姫「んッ…んんッ…んぅ……」



真姫(ヤバイ……今日はあんまり来なかったから…大丈夫と思ったのに…)

真姫「はぁぅッ…!んっんッ、んん…!」


 部室には希以外のみんなが居る。希はスピリチュアルな事情でいないらしい。


 私は教科書を読むフリをしながら、自然に漏れそうになる声を必死で抑えることに集中していた。

にこ「はぁ……」

にこ(本当、公衆の面前でなにやってんだか…)

絵里「あー…」

ことり「……」ジー


真姫「ん……ふぁん…ふぅ…ふぅ…」

穂乃果「真姫ちゃん大丈夫ー?」


真姫「え!?な、何が?別に問題ないけど?」


凛「顔、赤いよ?」


海未「体調が悪いなら今日も……」


にこ(真姫ちゃんのこの状況見てわかんないって……なかなか純粋な子たちね…)


にこ(私が不純なの?いやいや、高校生にもなれば普通このくらいは…花陽と絵里とことりは察してるみたいだし…)





希「こんにちわー」


希「なあなあみんな聞いてー、ウチずっごいいいこと思いついたんよ!」



希「悪い運気が吸い取れるなら良い運気を沢山持っている人から分けて貰えば…!!って…あれ?」





希「……ちょっと空気が、重い?」


絵里「はぁ……」






海未「…では希も来たことですし、練習を始めましょうか」

四日目




絵里「おはよう真姫」



真姫「おはよう…」


絵里「えっと、昨日は大丈夫だった?」



真姫「……」


 
 昨日は少しだけ調子が良かった。


 授業中は三回くらいしかイかなかった。それで練習に参加したんだけれど、そこでは散々だった。


 ステップを踏む度に走る快感のせいでろくに練習なんて出来なかった。




絵里「無理しないで?」



 絵里は察してくれているのか優しい言葉をかけてくれることが多かった。それが逆に辛かった。


放課後部室



穂乃果「やめてー希ちゃん許してぇー!!!!」


希「ウチのお饅頭盗んでおいてそれはないんやない?」



穂乃果「違うって真姫ちゃんだよ!!」


真姫「私!?」


希「へえ、真姫ちゃんなんや。珍しいなぁ」


真姫「違うわよ!!」


希「問答無用ー!」


ワシワシワシ



真姫「やっ…やめってぇ…ダメ!本当にぃぃい!!!!」


希「あれ?真姫ちゃん、ちょっと大きくなった?」


真姫「ちょっ…ちょっとぉッ、希ぃ…あんぅ…本当に…」

ワシワシ


真姫「希、やめて…やめてぇ…ふぁッ!!!ぁぁぁぁあ!!!!」






希「あ、あれ…?」

希「えっと、大丈夫?」


真姫「はぁ…はぁ…」


穂乃果「真姫ちゃん…?」



真姫「穂乃果ぁ……なんで私のせいにしたのよ!」


穂乃果「い、いやーそれは…まあ…うん。ごめんなさい」




絵里「何やってるのよ…」


にこ「……」


にこ「というかさ、真姫ちゃんさ、やる気あるの?」

真姫「え?」




にこ「この際だからはっきり言わせて貰うけど、最近のあんたおかしいわよ」


にこ「この前も言ったけど、いちいち部室で欲情してさ、目障りなんだけど?」

にこ「そういうことは家で思いっきりしてなさいよ」



真姫「……」


絵里「ちょっと、にこ…」



にこ「何?事実じゃない。練習も出来ない、部室に居ても一人で欲情してるだけ。それのどこがやる気あるように見えるの?」



にこ「何が原因か知らないけど、そんな淫乱な娘だと思わなかったわ」


真姫「それは…」


にこ「玩具か何か買って学校でみんなが見てる前で楽しんでるとかそういう――」


バンッ‼︎


真姫「何も…何も知らないくせにっ!!!!」


真姫「好きでこうなってるわけないでしょう!?」



真姫「……私が居ても迷惑するだけだし、帰るわよ」


真姫「じゃあね」



ことり「真姫ちゃん!!」




絵里「にこ……言い過ぎよ」


にこ「…事実じゃない」


穂乃果「えっと……何を話しているのか分からなかったんだけど…」


ことり「穂乃果ちゃんはまだ知らなくてもいいんだよ?」


穂乃果「そうなの?うーん…」


希「真姫ちゃん…?どうしたんやろ…ただごとじゃない雰囲気やったけど…」


真姫の家


真姫「うぅ…ひっぐ…なんで、どうしてよ!」


真姫「好きでこうなってるんじゃないのに…!」


真姫「嫌だ、居場所がなくなる。私の、居場所が」


真姫「あぁん…なんなの、これ!!収まってよ!来ない、でよ。はぁぁんッッ!」



 泣いていてもお構いなしに、オーガズムの波はやってくる。


 それには逆らえず、抵抗することはほとんど出来なかった。

 
 泣きながら絶頂を迎えたことなんてこれまでの人生に一度もなかった。



嫌だと思えば思うほど、この症状は加速して来ているような気までする。



にこ『そんな淫乱な娘だと思わなかった』



真姫「うえええぇんっ!!ひっぐぅぅ、うう」



 絶頂を迎えて思考が戻ってくるとにこちゃんの言葉が頭をよぎる。


 こういう感情の時は決まって、朝に枕が濡れているんだ。

八日目



 少しずつこの身体のことが分かってきた。



 まず振動というものにとても弱い。電車に乗ったり、自転車に乗ったり階段の上り下りだったり、ほんのささいなことで私の身体はすぐにオーガズムへと向かっていく。



 外に出るのが怖くて、学校には行けない。



 昨日も学校を休んだ。

 体育なんてした日には、絶頂まみれで体育どころではない。



 一体私の身体には何が起こっているのか。



 絵里とにこちゃんには多分、私がどういう状態なのか感づかれている。それでも相談なんて出来ない。




真姫「急に気持ち良くなってイっちゃうんです」


真姫「なんて友達でも言えるわけないじゃない…むしろ友達の方が言えないわよ…」



真姫「明日は学校へ行こう」


◇◇


部室

希「多分運気に関することって人類史を塗り替えそうな気もするんやけど、どう思う?」


凛「難しいにゃー」


希「きっと良運を抽出することが出来ればきっとウチ、ノーベル賞も夢やないと思うんや!」

凛「おー!!!」


希「頑張るよ!!」


九日目


部室



凛「今日はちょっと調子いい?」



真姫「まあそうねー」



 幸い今日は二回しかオーガズムを迎えていないので体力は大丈夫だ。




真姫「三年生は?」



花陽「なんか進路説明会っていうのがあるらしくて…」


真姫「へーなるほど」


ガチャ



穂乃果「あっ!真姫ちゃんだー!!」



穂乃果「真姫ちゃんいなくて寂しかったよー!!」ギュー



真姫「ちょ…穂乃、果ぁッ!!」


穂乃果「え?どうした、の?」


真姫「いや、んぅ、なんでも、ないわ」


真姫「んんぅッ……ごめん、ちょっと風浴びてくる、わ…」



穂乃果「えぇ?…行ってらっしゃーい」


ことり「……?」



ことり「そうだ…」ニヤァ

屋上




 まだ練習が始まらない屋上には誰も来ない。

 しかも念には念を入れて屋上の建物の陰に座りこんで収まるのを待つことにした。



 堪える時は自然と目が閉じてしまうので、状況判断は出来ないけれど、きっと誰も来ないはず。




真姫「んっ…んん…ぁ…んっ」



真姫「ふぅぅんッっ!んぁッ!」



ことり「――あれ?真姫ちゃん、なにしてるの?」



真姫「ふぇあっ!?こ、ことり!?」




ことり「どうしたの?なんだか苦しそうだね」

 ことりはにっこりと笑うと立てない私に目線を合わせるために目の前でしゃがみ込む。



真姫「な、なにしてるの!?離れてよ…!ちょっと今は…取り込み中で…んんんんッ!!!!」




ことり「え?なに?」サワサワ




 ことりはにっこりと笑ったまま、私の太ももに手を置いた。
 急なことに逃げようとするも力は入らず、しかも後ろは壁だった。




 細くひんやりとした手が私の太ももの上で動くと、スイッチが入らざるをえない。



真姫「な、なんの、つもり?」



ことり「うーん……なんだか苦しそうだから少しでも力になれればって思って…」サワサワ

真姫「余計、んぁっ苦しくなるだけよ!」



ことり「ふふっ、ここなら人は来ないし、我慢しなくてもいいんじゃないかな?」



真姫「え?」



ことり「ふふ…我慢するのは、辛いよね?」


 ことりの笑顔は変わらない。正に太陽の様な笑顔。


真姫(わ、私がこうなってることを知っているの!?)


ことり「なんで真姫ちゃんがそんなに気持ち良さそ……ううん苦しそうにしているかは分からないけれど、私が手伝ってあげるね?」サワサワ



真姫「だ、ダメ…本当に、はぁはぁっ、抑えられなくなるからぁっ!!」



ことり「えぇー?どうしようかなぁ」


20分後



ことり「収まった?」


真姫「…ええ…」



 結局、ことりが手を出したのは最初の太ももを触った時だけだった。

 その後は……ただ私が見られながら悶えていただけである。
 消化不足といかなんというか……。



ことり「良かったぁ」



真姫「どういうつもり?」



ことり「ん?」

真姫「みんなには言わないで」


ことり「言わないでって言っても、みんなもう真姫ちゃんがそんな状態なの知ってるんじゃないかなぁ」

ことり「原因は分からないけどね」

真姫「……」


ことり「にこちゃんもキツイこと言ったかもしれないけれど、みんな力になりたいと思ってるんだからね?」

真姫「……」


ことり「もしまた手伝って欲しかったら言ってね」


真姫「…もうこんなのごめんよ」

◇◇




希「悪い運気を吸い出すのは簡単なんよ」


凛「そうなのー?」


希「そうそう、でもなー良運てのは本人が手放したくないものやから、ガッツリ本人とくっついてしまってるんよ」

穂乃果「ほおほお」


希「でも良運が溢れ出ている人からなら…!?」


十二日目 図書館



絵里「ここなら分かるかな」

にこ「で…なんでこんなとこ?」

絵里「今の真姫は普通じゃないわ。最近は学校にも来なくなってる…」


にこ「そんなこと分かってる。多分そろそろ他のµ’sのメンバーも異常に気づき始めてるはずよ」


にこ「やっぱり言い過ぎたかな…」


絵里「そうね、謝らないとね」


にこ「うん…」


にこ「あと、私がここにいるのはなんで?」


絵里「ああ、もしかしたら真姫は病気なんじゃないかって思うの。神経とかの」


にこ「なるほど」


にこ「とりあえずネットで調べた方が早いんじゃない?」


絵里「まあそうかもしれないけれど、もしかしたら本に詳細が乗っているかもしれないわ」


にこ「まず真姫ちゃんの身体に何が起こっているの?」


絵里「多分だけれど、ほんのささいな衝撃が与えられただけでオーガズムに達してしまう、って感じじゃないかしら」


にこ「なによそれ……」

◇◇




にこ「何もわからなかったわね」

絵里「そうね…また今度調べに来ましょうか」




◇◇



 最近夜は眠れていない。


 眠っていても、時々オーガズムが引き起こり、 叩き起こされてしまう。


 そこまで頻度は高くないのが救いだけど。


 眠る時は強烈な睡眠薬で眠るのが効果があった。




真姫「私、今までどうやって寝てたんだろ……」

十五日目



 最近症状は酷くなるばかりだ。


 最悪の日は一日30回前後も絶頂を迎えた。


 今日も学校へ行っていない。行くとどうせ学校で達してしまって人の目が怖い。


 最初の方は気持ちが良いからまあいいかとも考えたけれど、最近苦痛を感じるだけだ。



真姫「どうして私はこんなになっちゃってるんだろう…」


真姫「あぅん…また来た…」


 最初の頃よりは絶頂に対する驚きは無くなっていた。

 驚きはなくなっても快感が減るということは決して無い。

 下腹部に電流が走り始めると、ああまたか、と思うだけ。



 そう思いながら快楽に身を任せる。



真姫「流石にテストの日は学校行かなきゃ…」


真姫「でも昨日はµ’sのみんなに顔見せたし、いいわよね」




真姫「もう寝よう」



真姫「う、うぅひっぐ…ひっぐ」


 最近寝る前は毎日涙が出るようになった。どうしてこうなってしまったのか。

 泣き疲れて眠る日々が続いていた。

 

十七日目
 

 光明が差した。
 
 なんとか出来ないかと、対処法を探していた時のことである。


真姫「これが、私の病気……?」




 PCディスプレイに映されているのは、多分、私の病気だった。


 自分の身体は一体どうなってしまったのか。ネットで調べていたらちょうど私の症状と合致する病気があった。


 PSAS


 日本語で『持続性生喚起症候群』



 病名を見つけた時は、歓喜した。
 それはそうだ、病名さえ分かれば現代日本の医療技術。大体の病気には対処出来るから。



 でも病院には行っていない。



 病名はセルフチェックだけれどきっと間違いない。そして、これは。

 ――病院に行く意味はほとんどない。

 光明がすぐに消え去った瞬間だった。



 バイブレーションを切ってある携帯が光った。電話だ。


真姫「にこちゃん…?」


にこ『そんな淫乱な娘だと思わなかった』


真姫「……」



真姫「もう忘れてるはず、大丈夫」



真姫「もしもし」


にこ「あ…出てくれた」


真姫「…なに?」

にこ「えっと…さ。この前は、ごめんね…自分でもキツくいいすぎたって思っているわ」

にこ「本当にごめん」


真姫「ぁ…うん、大丈夫よ」

真姫「気にして、ないから」


にこ「そう…?」


真姫「……」


にこ「……」

にこ「あぁもう!元気出しなさいよ!!元気になったら今度いいとこ紹介してあげるから!」

真姫「いいとこ?」

にこ「そう、いいとこよ。だから早く元気になりなさいよ」

にこ「まあ…真姫ちゃんがいないと張り合いもない、しね…?」


真姫「ふふ…なにそれ」

真姫「明日は学校、行くから」

にこ「そう、待ってるわ」

真姫「うん、ありがと。じゃあね、うん、うん」

◇◇



希「ついに、穂乃果ちゃんの良運を取り出すことに成功した!!」

穂乃果「私、そんなに凄かったの?」

希「うんうん、余りに余ってたからね」

凛「凛はー?」

希「凛ちゃんもすごかったよ!!」

希「あとはこれを石に…!!」


穂乃果「スピリチュアルなことって面白いね…!!!」

希「そうやろ…!分かってくれる人が居てくれるとは…」

二十日目

教室


凛「真姫ちゃんだー!!!」


花陽「久しぶりだね!」

真姫「ええ、久しぶりね」


凛「今日は大丈夫?」


真姫「まあ良いとは言えないけれど、テストはきちんと受けないと」



真姫(どうしよう、テストの時に来たら……早めにテスト終わらせてトイレに篭るしかないわね…)

テスト中



真姫(大丈夫…テストは余裕)

真姫(ただ、全部書き終わるまでに持つかどうか…)


真姫(さっそく来てる、し…!!)


真姫「ッ…!!っっ!……んッ!」

真姫「ふぅーッ、ふぅーッ」


真姫「ふぅぁッ!!」

真姫(ヤバ……)




真姫(あとちょっと…!あとちょっと!……終わった!!)


真姫「あの…ちょっとトイレ行って来ます。はい、テストは、大丈夫です。はい。すみません」

真姫「危なかった…」

部室


穂乃果「あ、真姫ちゃん!!」


真姫「テストだったから。あと一応顔見せておこうと思って」


絵里「大丈夫なの?」

真姫「……」

絵里「そうよね……」



にこ「……ねえ真姫ちゃん、昨日寝た?」



真姫「…少しは」


にこ「…すごいクマよ」


真姫「眠れないの、最近」


にこ「……痩せた?」


真姫「あんまり食欲もなくて」

にこ「あのさ…真姫ちゃん」


真姫「ん?」


にこ「本当ごめんね」


真姫「大丈夫、気にしてないから」



真姫「…本当に大丈夫よ?私にも原因はあったわけだし」



ことり「ねえねえ真姫ちゃん、大丈夫?辛いなら、前みたいに私が手伝おうか?」コショコショ



真姫「…余計苦しくなるだけよ」


ことり「んぅー、そっかぁ」

もっと軽いノリでえっちな感じなのかと思ったら思いの外重い

>>100
そういうのも考えたんだけれど、今回はこっちの若干胸糞シリアスにしました
もしかしたら、別のスレ建てて書く、かも

二十一日目


図書館

にこ「このままじゃ真姫ちゃんがおかしくなっちゃうわ」

にこ「昨日の真姫ちゃんの顔……」


絵里「相当衰弱してたわね。学校も今週は昨日しか来ていないし」


にこ「今日こそ見つけるわよ。一体、何が真姫ちゃんを苦しめているのか」



◇◇




にこ「もしかして……!これ!絵里これ!!」

絵里「図書館よ、大きな声出さないで」

にこ「ごめん、でもこれ!」


絵里「ん?」


にこ「多分これが、真姫ちゃんの病気。きっと間違いない!」



絵里「PSAS。持続性性喚起症候群?」


にこ「……別名、イクイク病」

絵里「は?」


にこ「いや本当よ」


絵里「それが、病名?」


絵里「とりあえず詳しい本がないか探してくるわね」






絵里「なるほど」


にこ「こんな病気があったなんて」

絵里「そもそも原因はなんなのかかしら……」


にこ「んーわかんないなー」


絵里「今この病気のことを覚えて、明日みんなに話しましょう」


にこ「そうね…」


にこ「覚えられるかな…」

二十二日目


部室

にこ「みんな集まった?」


凛「大丈夫だよ」


穂乃果「真姫ちゃんは?」


絵里「今日はそのことなの」



にこ「最近、真姫ちゃんがおかしくなってるのはわかるわよね?」

穂乃果「うん」


海未「その原因が分かったとかですか?」



にこ「ええ」

にこ「実は私と絵里で、原因を追求していたの」

にこ「完結に言うわ。真姫ちゃんは病気よ」




ことり「え!?病気?」




穂乃果「嘘、でしょ?」


絵里「PSAS。日本語で持続性性喚起症候群」


穂乃果「えっと…?」



絵里「簡単に言うと、ほんの少しの衝撃、例えば携帯のバイブレーション、電車の振動、こういうささいなことで、すぐオーガズムへ繋がってしまうの」



穂乃果「?」

海未「?」

凛「?」


ことり(なるほど、だから私が少し触っただけで…)


ことり「それは一日に、どのくらいの?」


絵里「20~50回は一日に絶頂を迎えるらしいわ」




穂乃果「ね、ねえ!!ちょっと待ってよ、オーガズムってなあに?」

にこ「……」

絵里「……えっと…」

にこ「はぁ…」


にこ「ちょっと、オーガズムがわかんないやつはこっち来なさい」


凛「はーい」



にこ「」コショコショ



穂乃果「え…?え!?」

海未「」

凛「ヤバイにゃ…そんなの死んじゃうよ…」


凛「海未ちゃんが白目剥いてる!?」


にこ「ほっとけばいいわよ」


にこ「まああんた達も言葉で聞いたことはなくても、体験したことはあるでしょう?」


穂乃果「えっと……」



凛「気待ちよくなるやつだよね…」



穂乃果「20~50回も……死んじゃうよ…」

にこ「……」

絵里「……えっと…」

にこ「はぁ…」


にこ「ちょっと、オーガズムがわかんないやつはこっち来なさい」


凛「はーい」



にこ「」コショコショ



穂乃果「え…?え!?」

海未「」

凛「ヤバイにゃ…そんなの死んじゃうよ…」


凛「海未ちゃんが白目剥いてる!?」

にこ「ほっとけばいいわよ」


にこ「あんた達も言葉で聞いたことはなくても、体験したことはあるでしょう?」


穂乃果「えっと…」



凛「気待ちよくなるやつだよね…」


穂乃果「20~50回も……死んじゃうよ…」

絵里「まあそんなオーガズムに達するPSASという病気だけれど、人の集中力を阻害して日常生活が送れなくなったりするの。まさに今の真姫の状態ね」



絵里「まあ、こんなこと言うのはあれだけれど、PSASでのオーガズムは自慰行為で得られるオーガズムより遥かに強力、らしいわ」



絵里「…だから自分で自慰行為をすることで、人工的にオーガズムを引き起こして症状を緩和する、というのもあるらしいの」



絵里「そのためには一日中弄って無いとダメでしょうけど」


穂乃果「……」ゴクッ





希「……原因はなんなん?」


希「というかそんな病気聞いたこと…」


絵里「無理もないわ。発見されたのは2001年。原因は分かっていないの」

希「つい最近発見されたんやね」

にこ「多分、これが病気だと思っても病院に行く人は少ないはずよ」


穂乃果「どーして?」

にこ「あんた…急にイっちゃうんです。なんて医者の人に言える?」


穂乃果「恥ずかしい…」


にこ「そう、恥ずかしいわよね。だから病院に行かずにじっと自分が崩壊して行くのを待つ人もいる」

絵里「しかも真姫の性格だと、自己嫌悪に押し潰される可能性もある」

花陽「どういうこと?」


絵里「……例え真姫自身が病気と分かっていても、突発的にくる性欲と快楽は自分がただの淫乱だから、と解釈し直すことだってあるでしょう」



絵里「これ以上追い込まれたらどうなるか分からない」


ことり「でも、病院に行けば治療法が!!!」


にこ「……」

絵里「……」


ことり「薬とか!!」

にこ「オーガズムってのは人の身体的反応の中でもかなり大きいものよ。それを強制的に押さえつける薬を毎回飲んでたらすぐに身体がおかしくなるわ」


ことり「……」


にこ「こんな話をしたのは、今どのくらい深刻な状況か知って貰いたかったから」



にこ「µ’sの存亡に関わることでもあるから」


ことり「…治療方は?」



にこ「そこが問題なの、治療法は今のところ」





にこ「――見つかっていないわ」

二十五日目



 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ


真姫「あっ!いゃん、うぅんんん!イッ…!あぅぅッッ」


 頭が真っ白になっていく。


 秘部に当てていた電気マッサージ機を手放し、枕に顔を埋める。


 自分が壊れて行くのが分かった。

 学校はかなり休みがち。



 絶頂を迎えた後はすぐに涙が出る。自分への自己嫌悪。抑えきれない性欲に抗うことが出来ない無力感。

 自分で慰めることで、PSASによる強烈な性的欲求は一時的に収まってくれる。



 突発的に襲ってくるオーガズムよりも自分で意図的に引き起こすオーガズムの方が刺激は少ないから、負担も減る。



 だから定期的にオーガズムを自分で引き起こして、突発的なものを少しでも防ぐんだ。


 でもそんなことをしても一時間もすればまた襲ってくる。



 こんな状態では、学校も行けない。µ’sの活動も出来ない。


真姫「練習もろくにしていない。こんなんじゃ、ラブライブは…」」


真姫「あ…ぅぅん、またかぁぅ……」



 またやってきた波に、私は電気マッサージ機を手に持ち、快楽を刻みつけることしか出来なかった。

◇◇

希「ついに…ついに出来た!!」


希「石に良運を込めるのに一週間もかかってしもた…すごいエネルギーやったなぁ」


希「全然寝てないし…。でも、こんなに綺麗な金色になるなんて…ウチの家宝にするしかないよねー」



希「でもでも、こんなに綺麗だとみんなに見せて上げようか迷うわー」


希「穂乃果ちゃんと凛ちゃんは協力者やし、見せてあげないとダメやね」


最後胸糞展開になるの?

>>123
最後は胸糞にはならない予定です。

二十九日目


部室


絵里「今日は真姫の様子を見に行きましょう」

にこ「え?」

絵里「学校に来る真姫よりも、家に居る真姫が一体どんな状況なのか知った方がいいかと思って」




絵里「私と一緒に来る人は居る?」


にこ「…訊くまでもないでしょ」


穂乃果「全員行くに決まってるよ!!!!」


絵里「でも、現実は厳しいかも…しれないわよ?」


海未「関係ありませんよ。どんな状態だろうと、真姫は仲間ですから」

◇◇


にこ「ここが真姫ちゃんの部屋?」

絵里「多分ね」

穂乃果「勝手に入っていいのかなー?」


にこ「真姫ちゃんの親御さんに許可もらったしいいんじゃない?」


穂乃果「そう…だね」


穂乃果「第一真姫ちゃん本人に確認取っても絶対嫌だっていうに決まってるよ」


穂乃果「真姫ちゃんに断らずに勝手に入るのは、少し気が引けちゃうけど…」


絵里「……じゃあ入りましょうか――」




真姫「いやぁぁぁぁあッッッ!!!!!!」


真姫「はぁっはあっ、あぁあぁぁぁあ!!!!!」


バンッ、バキッ



穂乃果「――え……?」

絵里「……」


凛「真姫ちゃんの、悲鳴?」

希「一体、何が…」


バンッ、バキッ



にこ「……入るわよ?」


ことり「真姫ちゃん…」

ガチャ



にこ「部屋広いわね」

絵里「暗い…」


真姫「ぅぁぁぁぁぁあ!!!!!」



にこ「真姫ちゃん!!!」


真姫「ゥアッ…ァ……え…?み、みん、な…?」


穂乃果「大丈夫!?」


凛「真姫ちゃん!!!」

真姫「どうして、みん、な……、ぁ、ぁあ……グぅッ…!!うぁぁぁああああ!!!!!!」


花陽「落ち着いて…!落ち着いて」



真姫「……もう嫌ぁっ…もう嫌なの……!!止めてよ!!これ止めてよぉ!!!!」



真姫「一時間前から、止まんないの、助けて……助けてよ…!!」



絵里「真姫……!」


絵里「ごめんね、なにも、出来なくて……ごめんね…」



真姫「ひっぐ…痛いの…もう全然気持ちよくなんてない、の。痛い、あぁあぁ嫌、嫌ぁぁぁぁあ!!!!!」ビクッビクッ


にこ「真姫ちゃん!!」


絵里「触っちゃだめ!!」

にこ「…っ」


絵里「余計、苦しめるだけよ……」


にこ(なによ、これ…?これが真姫ちゃん?)


にこ(顔は真っ赤だし、髪の毛はボサボサ、涎も垂らして目は鬼みたいに開ききって…真姫ちゃんのあの優しい表情はない…)

にこ(壁が少し凹んでる?てことは、さっきのバキッて音は壁を叩く音?)


真姫「……」


絵里「真姫?真姫!?」


にこ「気絶、しちゃったみたいね…」


穂乃果「気絶…?そんなの本当にありえる、の?」

にこ「…目の前で起こってるんだから、ありえるんでしょうね」

にこ「なんで…なんで目の前で苦しんでるのに何もしてあげられないのよ!!」




ことり「…これから、どうしよう?」


絵里「私とにこが今日泊まるわ」


穂乃果「なら、私も!!」

絵里「……二人で大丈夫よ。それより人数が多いと真姫も家の人もきっと迷惑するでしょうし」


穂乃果「そんな…」


にこ「大丈夫、私たちに任せなさい?」


穂乃果「うん…分かったよ…」

◇◇


 オーガズムに達した瞬間気絶してしまったらしい。

 最近は脳が焼き切れるような快感が多い。加えて長い時間の物は最早快感では無く、ただの痛みだ。


命に関わる症状は出ないが、精神的には応えるものがある。


 強烈な虚脱感が身体を包み混んでいた。


絵里「真姫?起きた?」


真姫「え?な、なんで絵里と、にこちゃんが?」


にこ「心配でね。今日は泊まらせて貰うけど、いいわよね」



真姫「え…?う…うん……!」


真姫「えっと、さっきの私どんな感じだったの?」


真姫「あんまり覚えていなくて…」


にこ「……」


真姫「あれ…なんで手に包帯が」

にこ「あんた、無意識のうちに壁殴ってたみたいでね。手当しておいたわ」


にこ「多分、折れてないとは思うんだけど…」

真姫「そう、だったの…ごめん」

にこ「なんで謝るのよ」

真姫「だって…」



絵里「……真姫、疲れてるわよね?寝てもいいわよ?」


真姫「……眠れない、から」


真姫「不安だった」


真姫「怖くて、怖くて、私どうなっちゃうのかな…!!」

真姫「絵里…私、どうすればいいの?」

絵里「……」

真姫「ごめん、ひっぐ…あぅ…、お願い、ちょっと胸、貸して」

絵里「でも…触ったら…」

真姫「お願い」


真姫「わかったわ…」

真姫「あり、がと」



真姫「ううぅ絵里ぃ……うわああああああああ!!!!」

◇◇


真姫「みんなが来てくれたのに、みっともないとこ見せちゃったわね…」


にこ「仕方ないでしょ?今は取り敢えず安静にしてなさい」

真姫「ええ…」


にこ「真姫ちゃん、多分だけどあんた、病気よ」


真姫「…そのくらい、分かっているわ……PSAS。ちょうど一ヶ月前くらい、かな。調べてくれたの?」

にこ「ええ……」


絵里「もう一ヶ月もあんな状態が続いているの?」

真姫「さっきのはかなり酷かった方よ。今まででも一番くらいに」


真姫「…ぅぅ…また、来た……ぁぁッ」


にこ「…大丈夫?」


真姫「あんまり、直視しない、で?恥ずかしい……」

真姫「ふぁっァッッ」


絵里「にこ…」

にこ「ええ」

絵里「収まるまで、外に出ているわね?」

真姫「うん、わかったぁッ、んはぁッ」

 みんなが来てくれたのは嬉しかった。でもそんなのはお構いなしに、病魔は私を飲み込んで行った



ガチャ


にこ「真姫ちゃんが苦しんでいるのに何も出来ないなんて…!」

絵里「くっ……」



プルルルルルルル





にこ「――希から?」

希の家




希「まさか…真姫ちゃんがそんなことになってたなんて…」


希「オーガズムが止まらない病気かぁ」



希「いつからあんなになったんやろ」


希「ウチがわしわしした時の真姫ちゃんは既に病気を発症していたと考えるべきやね」


希「そしたらその少し前くらいから、か…」

希「保健室に運ばれた辺り、かな」


希「世界に何人もいない病気を突然、それに割と酷い状態で真姫ちゃんが発症する……」



希「本当、運が悪いとしか言いようが……」


希「ん?」


希「んん?」


希「んんん?」





希「――運が、悪い?」





希「悪運…?」


希「ウチがスピリチュアルストーンを無くしたのも、ちょうどその時期……」



希「あれ…あれ…?もし、かして?」ダラダラダラダラ



希「…………もしかして…!!!!」



プルルルルルル


希「にこっち今からすぐに真姫ちゃんの家まで行くから!!!」


にこ「は!?えっ?ちょっ…」




希「よし、行こう」


希「これは……やってもうたかなぁ…ウチのスピリチュアルストーン…」

◇◇


真姫の家



希「おじゃましまーす。夜遅くすみません」

真姫ママ「いいのよ、いらっしゃい」

希「あの、真姫さんは…」

真姫ママ「…部屋に居ると思うわ」

希「ありがとうございます」

真姫ママ「部屋はあっちよ」


希「ありがとうございます」





 ウチが真姫ちゃんの部屋まで急ぐと、扉の前に二人が待機していた。


にこ「希、急にどうしたの?」


にこ「ねえ希、どういうこと?」

希「多分、今回の真姫ちゃんの騒動。全部ウチのせいや…」


絵里「え?」


希「……真姫ちゃんに話す時に一緒に話すわ」



ウアアアァァ‼︎‼︎



希「真姫ちゃん…ごめんな…」


絵里「真姫の声……さっきから収まらないみたいで…」


にこ「苦しんでるわよ、今」


希「入るよ、真姫ちゃん」

ガチャ



真姫「ぁぁッ、うぅんんぅ、やぁぁんッ」



 ウチらが部屋に入る音は真姫ちゃんには聞こえていないようだった。



 とても広くて、暗い部屋。


 そこの中央にあるベッドから聞こえてくる真姫ちゃんの声で、掻き消されているようだった。


にこ「……」




 ベッドのところまで歩いて行くと真姫ちゃんの姿が見えた。


真姫「ぅァッ…っぁ!!ああぁーぁッあ!あっ!あっーっっ!!うあああぁぁ!!!!」



 もはや悲鳴とも言える叫び声とともに、真姫ちゃんの身体は跳ね続けている。




希「ダメや、真姫ちゃんは苦しんでるんよ。…ウチのせいで。だか
ら一刻も早く」





希「…真姫ちゃん」

真姫「……え?」

真姫「きゃあぁっっ!!!」

希「ごめんな、びっくしさせて」

真姫「な、なんでぇ、希…!?見てた!?」



希「ごめんね、でも、どうしても聴きたいことがあって」

真姫「なに?私、今すぐにでも、うぅんッ、イっちゃいそう、なんだけど…!」


希「そうそのことなんよ。先に謝っておくね。多分真姫ちゃんがそうなったのはウチのせいや」


にこ「どういうこと?」


希「昨日、真姫ちゃんの病気をにこっち達から聞いたんよ」


真姫「二人だけじゃなくて、みんな知ってた、のね…」


絵里「調べたのよ、色々とね」


真姫「そう…」


真姫「でもこの病気は…」


希「発生条件、治療法、不明」


希「そうやったね?」


にこ「ええ」


真姫「何が言いたいの?」


希「真姫ちゃん、もしかして、紫色の綺麗な石を、一ヶ月前くらいに拾わなかった?」




真姫「……?」


真姫「…あ…そういえば…不思議な石が私のカバンの中に…」


希「あっちゃー……」


希「やってもうた……」

◇◇





にこ「はぁ!?完全にあんたのせいじゃない!!!」



希「…申し訳ございませんでした」



絵里「はぁ…希…あなた本当なにしてるのよ…」


希「人の悪い運気を貯められないかって…石に貯めて行くうちにどんどん綺麗な色になっていったんで、つい…」


にこ「本当…どうしようもないわね…」


希「とにかく、今から悪い運気を石に戻すから、多分そうすれば運気の低下によって発症したPSASは治るはずや」


にこ「本当かどうかあやしいわねー」


希「幸いなことに悪い運気ってのは取り除くのが簡単なんよ」

希「良い運気と違って、本人が手放したいって思っていることが多いから」

希「本人が悪運を要らないって思えば思う程こっちから取り出しやすくなるの」


希「でも今の真姫ちゃんがこのPSASを引き起こした悪運を欲してるとは思えない」


真姫「もちろんよ!」



希「でも、とても大きな悪運のエネルギーを吸収したわけやから、真姫ちゃんが心の底から必要ないと思わないと取るのは難しくなるんよ」


真姫「…大丈夫」



希「石はウチが持ってきたから」


真姫「……」


希「絶対治してあげる」


希「行くで」


キィィィィイイイン



希「もう少し、もう少し」





パリーン‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎


希「――え?」


希「なん……で……?」



にこ「成功したの!?」







希「――失敗、や……」

◇◇

ことりの家



ことり「真姫ちゃんがあんなに酷い状態とは思わなかったよ…」


ことり「せっかく私があの時焦らして太ももまでしか触らなかったのに……真姫ちゃんてば全然求めて来ないんだもん…」プクー


ことり「でも、でも、知ってるよ。私は」


ことり「私に見られている時だけは、ぜぇーんぜん苦しそうじゃなかったってこと」


ことり「クスクス……」

ことり「よくよく考えてみると、もう気持ち良くなんてなりたくないはずだったのに、おかしいよね」


ことり「明らかに消化不良って表情だったもん」


ことり「クスクス、おかしいね」




ことり「本当は、最後まで」







ことり「――シて欲しかったクセに」



この病気の参考動画を今更だけれど、どうぞ

http://m.youtube.com/watch?v=AQ2sBLLBDqs


何故かID変わってたみたいなんでこれからはトリップつけときます

本当遅くなりました。申し訳ないです。

◇◇



にこ「失敗……?」


にこ「なによ、失敗って?」


にこ「どういうことなのよ!!!!」


にこ「治すって言ったじゃない!!絶対治すって!!!なのに、なによ!失敗って、なんなのよ!!!」


ドンッ‼︎


希「痛っ……」



にこ「酷いことも色々言った!傷つけちゃったりも、したけど!!……9人じゃないと、9人じゃないとダメなの……!」


にこ「ここで真姫ちゃんにドロップアウトされたら終わりなの!!お願い!なんとかしてよ!ねえ!!ねえってば!!!」




絵里「……やめなさいにこ。ただの八つ当たりよ」


にこ「だって…希のせいじゃない!希の……!!」


絵里「……やめなさい!」


希「ええんよえりち」


希「悪いのは全部ウチや、こうなったのも全部ウチのせい」


絵里「……」


にこ「……どうすれば、いいの!!何か、他に手は」

真姫「…………」


希「真姫ちゃん…」


真姫「……なんで…なんで失敗、したの?」


希「……取り出す時に、真姫ちゃんの中の何かに引っ張られるような、そんな感じがしたんよ」



希「――鳥が咥えて、離さない様な」


にこ「なによ、それ」


希「ウチにもわからんよ。ただのイメージやから」


希「でも、さっきのは無駄やなかったよ、これ、見て」



真姫「さっきの石…?」


希「そう」



真姫「あれ…色が少しだけ紫色になってる…?」


希「真姫ちゃんの中から少し悪運を取り除けた証拠や」



希「この悪運によってその病気が発症したとするなら、少しは症状が緩和されるかもしれない」

希「ただ、一つ」


希「悪運の影響で発症したのではなく、ただただ普通に真姫ちゃんが発症する運命にあったとしたなら、この取り除いた悪運も、今真姫ちゃんの中に渦巻いている大量の悪運を取り除いたとしても」


希「病気は治らないんよ」


真姫「え……そん、な」


にこ「どういうことよ!!!」


希「断定はしてないはずや……間違ってウチがスピリチュアルストーンを真姫ちゃんのカバンに入れてもうて、それを真姫ちゃんが触る。この悪運に関係なく真姫ちゃんが普通に発症してしまったっていう可能性だってあるやん?」




絵里「なによ……それ」



希「この、少し取り除いた悪運によって症状が緩和すれば、手の施し様はいくらでもあるんや。でも……」


希「そうじゃなかったら、もうウチにはどうしようもないんよ…」


にこ「希のスピリチュアルパワーによって発症したということを祈るしかないわね」



にこ「でも、どういうこと?なんで、全部取り除くのに失敗しちゃったの?」

にこ「真姫ちゃんが、悪運を欲している…?」


真姫「そんなわけ、ないでしょ!?」

にこ「じゃあどうしてよ!!!」



絵里「落ち着いて二人とも」


絵里「希、どういうこと?」


希「それが、ウチにもさっぱり……あんなに苦しんでいたから悪運を欲するなんて、ありえない話なんやけど……」


希「なんだか、心のどこかでPSASによって手に入れられそうになったものを手放したくないって感じが……」


真姫「はぁ…?」

真姫「この病気によって、手に入れられそうに、なったもの?」


希「これ以上は、ウチにはわからん」


にこ「じゃあ……」


絵里「八方塞がり、ね……」


真姫「……そんな」



にこ「……」ギュッ


真姫「ふぇ…?」

にこ「ごめんね…なにも、出来なくて、苦しんでたのに、いっぱい、傷つけて、ごめんね、ごめんね。うぅ、ひっぐ、ぁぁう」


にこ「本当に、本当にぃ……」


真姫「ふふ…なんでにこちゃんが泣いてるのよ」


真姫「それに……もう許したって言ったでしょう?それ以上しつこいと本当に怒るわよ…?」


にこ「うん…」



にこ「……あ!!ご、ごめん!真姫ちゃんに触るとダメ、なのよね?」バッ



真姫「え?ええ…」


真姫「まあ毎回来るってわけでもないから」

にこ「そうなの?」



希「まあ明日になってみて、どうなるか、やね」




希「それと、なんで真姫ちゃんが悪運を欲してしまったのか」


希「ウチはウチでそれを取り除かなくてもなんとかする方法、見つけて見せるからな」


真姫「私が……なんで、欲したか……」

三十日目



真姫「ん…んぅ…えっと、うん!?」


真姫「まだ眠れる……て、うわ!!」


にこ「すぅ…すぅ」


絵里「すぅ…すぅ」


真姫「なんで…二人ともこんなに近くで寝てんのよ!」


真姫「希は…そう言えば帰ったんだったわね」


真姫「二人とも最初は結構離れて眠ってたくせに…寝相悪いのかしら」


真姫「ん…なんだか二人とも良い匂い……」


真姫「わ、私が変態みたいじゃない!」



にこ「んぅ…うっさいわねー」


真姫「あ…お、おはよう」

にこ「ぅぅん、全く……うっさいわね」

にこ「zzz」


真姫「寝るんかい……」

真姫「可愛い…ふふ」



絵里「……いいかしら?」

真姫「ひゃあっ!!!お、起きてたなら言いなさいよ!!!」

絵里「あまりにも幸せそうな顔をしていたものだから、つい」

真姫「はぁ!?」


絵里「大声出すとにこが起きるわよ」



真姫「あ…そうね」



絵里「…大丈夫?」


真姫「え?」


絵里「病気」


真姫「まあ、久しぶりに普通に眠れたし、起きてからもないから、今のところは」


絵里「そう、良かったわ。……早く治るといいわね」


真姫「迷惑かけて、ごめんね」


真姫「絵里はずっと優しくしてくれて、本当、その……」


絵里「ん?」


真姫「あ、ありがと…」


絵里「どういたしまして」


絵里「……まだ時間あるけど、まだ眠る?」


真姫「ううん、もう起きるわ」


真姫「このまま寝てたら寝過ごしそうだしね」

◇◇


にこ「え!?なんで起こしてくれないのよ!」


真姫「そんなこと言われた覚えはないけど?」


にこ「くー!!もう!!!髪の毛も寝癖が酷いし、アイロンする時間も無いし…どうしよう…」


にこ「部室でやるしかないか」


真姫「そんな時間あるの?」


にこ「大丈夫よ、ちょっとくらい」

真姫(んぅ…ぁあ……来た……)


絵里「真姫?なにしてるの?早く学校行くわよー」



にこ「お邪魔しましたー!」


絵里「お邪魔しましたー」


真姫「え、ええ」

真姫(バレてない。早く、早く行って)

バタン




真姫「はぁッ……はぁッ…うぅぅああんーーっ、ふーー、ふー、ふぅ……うぅ……」ビクビク


真姫「やっぱり、治ってない、かぁ」


真姫「はぁ…はぁ…はぁ……うぅん」



絵里「真姫ー?」

真姫「あ、うん、すぐ行くわ」



真姫「……」

◇◇




真姫「このメンバーで登校する日が来るとは思わなかったわ」


絵里「全員家はバラバラだもんね」


凛「あーっ!真姫ちゃんだー!!!」


花陽「おはよう」


真姫「り、凛…おはよう。花陽もおはよう」

凛「大丈夫…?」


真姫「今のところは、全然問題ないわ」


凛「良かったー、もしかして治ったとか!?」


真姫「多分それはないと思うけど…」


真姫「少しは軽くなったかもしれないわね」

凛「本当!?またラーメン食べいくにゃ!」


真姫「どうせまたあそこでしょう!?たまには違うとこ行った方がいいわよ」


凛「えー」



花陽「そういえばにこちゃん、寝癖あるなんて珍しいね」


にこ「……寝過ごしたのよ」


にこ「部室行って整えるわよ…」

◇◇


部室

にこ「はぁ、早くしないと」


ガチャ



にこ「ん?ことり?」


ことり「あ、にこちゃんおはよう」

ことり(なんだ…にこちゃんかぁ。真姫ちゃんが来そうな気したんだけど)


にこ「どうしてあんたが?珍しいわね」


ことり「うーん、なんとなくかな」

にこ「ふぅん」


ことり「にこちゃんは、どうして?」


ことり「寝癖凄いよ?」


にこ「この寝癖を治しに来たの。ちょっと寝過ごししちゃってね」


ことり「あはは、それは珍しいねえ」


ことり(あ……そうだ!)

ことり「あ、そうだまだ少しだけ時間あるし、私がアイロンかけて上げるね」

にこ「え?」


ことり「ダメかな?」


にこ「まあ、いいけど」



ことり「にこちゃん、髪の毛綺麗だね」サワサワ

にこ「当たり前じゃない」


にこ「まあでも、µ’sのみんなとはほとんど差はないと思うけれど」


ことり「そんなことないよ、やっぱりにこちゃんの髪の毛は綺麗だって。じゃアイロンするね」


にこ「ええ」



ことり「」サワサワ

にこ(ん…さっきから首筋に手が当たりすぎ、なんだけど…)


ことり「ふふ……」サワサワ


にこ「ふぅ…んぅ…」


ことり「どうしたの?」


にこ「いや、あんたの、手が……」

ことり「」サワサワ

にこ「ちょ…ちょっと…力、抜け、る。辞め、て!」


ことり「え?」ツツツッ


にこ「ひゃんッ!」


ことり「首筋、弱いんだ」


にこ「な、なんのつもり!?」



ことり「ううん、特に意味はないよっ。アイロン終わったから置いとくね。それじゃあ、私もう行くね」


バタン


にこ「ちょ……」


にこ「うぅ…」ゾクゾク


にこ「私にそんな趣味ない、のに。なんでこんな」ゾクゾク

にこ「……忘れよう」


ことり「んぅ~やっぱり、にこちゃんは違うかなぁ」


ことり「なんていうんだろう、反応、かな?」


ことり「今日は真姫ちゃん来てるかなぁ。昨日あんな酷かったし……でも、来てるといいなぁ。ふふふ」

ことり「きっと真姫ちゃんも辛いよね、だから、だから、私が」


ことり「ふふ……」



ことり「私ももう少し、アイロン丁寧にやった方がいいのかなぁ」


ことり「うーん、それとも今度にこちゃんにやって貰うってのもありかなぁ」


ことり「今度やって貰おうかなぁ」


ことり「……ふふふ」


◇◇


昼休み


凛「真姫ちゃん真姫ちゃん!!ジュース買いに行こうよー!!」

真姫「ええ?ちょっと…」


凛「いいからいいからー」グイッ


真姫「凛、そんな強く……」



真姫(ヤバ……来ちゃった……うぅ…あぅ…気づかれないように、気づかれないように。大丈夫、私の手を引いててこっちを見てない)




真姫「んっ…んんんん、んッッ!!」ビクビク




凛「?」



真姫「……ごめんなさい、ちょっと財布があるかわかんなくて」


凛「えー、じゃあ凛があっちで貸してあげるからー」



真姫「え、ええ…」

真姫(バレてない。大丈夫、やっぱり症状は軽くなってる。このまま心配かけないように耐え続ければ……)


真姫「凛で良かった…」


凛「え?」


真姫「い、いえなんでもないわ」



真姫(症状が良くなったって直接言ったことと、今日一日そういう素振りを見せてないおかげで、警戒心はかなり解けているみたいね)



真姫(花陽とかだったら気づかれてるかも。心配はかけないようにしないと…みんなの前で発狂しちゃってたみたいだし。今度また絶頂してるとこ見られたら必要以上に心配させるだけ…)



凛「さあいこー」


真姫「…?あれは?」



 私が凛に引っ張られながら見たのは、希だった。

 そして希は何故か生徒二人に向かってペコペコと頭を下げている。




 確かあの二人は一年生で、クラスメイトだったはず。

◇◇

屋上


 本日、六回目の絶頂を迎えたのは、十分ほど前のことである。



 部室には二年生の三人と凛と私だけだった。


 快楽の波が押し寄せて来た時はどうなるかと思った。



 でも凛と穂乃果はまたなにやら騒いでいて、海未はそれを見て笑っていた。
 

 その隙に、棚にある大量のアイドルグッズを物色するフリをして動き回ることでごまかした。




 止まっているとみんなに顔を見られてしまう。動いていればなんとかごまかすことは可能だ。



 少し落ち着いたら、屋上に来て収めるというのが多分一番いい。



真姫(上手くごまかせたかな……本当、三年生組がいなくて良かった…)


真姫(にこちゃんならもう、ごまかせる、も)


真姫(ことりは……多分見ていなかったはず)



真姫(確かに回数は減った。ということは悪運による発症、ということで間違いないはず)



真姫(希望はあるわよね)


真姫「ぅん……ああああッッ、ふーっーー、ふーんうぅぅっ、ぁぁん」



そして、七回目が押し寄せて来た。



真姫「んんぅ、早く、収め、ない、と、ぁぁあああぅん」



真姫「あ、あ、あッ!!んんんぅッッッッ!!!!」




ことり「――まーきちゃん、大丈夫?」


真姫「――え!?こ、ことり!!」


 なんだか、この状況少し前にもあった気がした。



ことり「バレてないと思った?」


ことり「もうっ、あんなに不自然な行動を取れば私じゃなくても分かっちゃうよ」


真姫「あっ……うぅッ…そ、そうね……ぅぁ…」


真姫「お願い、一人に、させ、て、はぁはぁッはぁぁ」



真姫「ことり、お願いぃッ」

ことり(可愛いなぁ…)ゾクゾク




ことり「見ててあげるねっ」


真姫「ふぇっ?どういう、ことよ」


ことり「」ニコニコ



真姫「うぅッ…うぅん…あぁ……うぅぅんっ、なっ……んで、うぁぁっ、見てるっ……のよっッ!」


 これは病気による絶頂のはず。


 しかし、何故だろう。いつもとは違うように感じた。



 普通は襲ってくる快楽に対して抵抗するのだが、今回は抵抗というものが出来ず、快楽が全身を包みこんで行った。



真姫「ほんとっ……にぃ…んハァんッ……!一人に、してよ……ッ」



ことり「じゃあさぁ…どうして真姫ちゃんはそんなに気持ち良さそうにしているのかなぁ?」



真姫「あっ、当たり前、でしょ?病気、なんだか、らぁッッ」



ギュッ


 抑えようとするが抑えられない。私は無意識にことりにしがみつき、歯を食いしばっていた。




ことり「へぇ…」



真姫「ダメッ…ダメっッ……んんぅぅぁぁつッンンぁっッー…ぁああああ!!!」ビクビク


ギュッゥゥゥ



 今までとは本質的に違う快楽に身体は震えた。声を抑えるということも出来なかった。



 前もこんなことがあった。


 ことりに見られているのに、抑えることが出来ない。




ことり「ふふ…大丈夫っ?」



真姫「はぁ……んんぅ……」



ことり「――私の前では我慢しなくていいんだよ?」


 なんで、なんでこんなにも気持ちが良いんだろう。

 抑えないだけなら家でも同じはずだ。でもことりに見られていると、なんだか違う。

 
 こんなことは嫌、なはずなのに。


 自分の中に芽生える感情が分からず、ことりから目を逸らす。



真姫「もう、こんなのは――」



ことり「嫌だ?」


真姫「……」


ことり「嘘、だよね。分かるよ。真姫ちゃんの性格だもん」


ことり「目を逸らしながら否定したってなんの説得力もないよ」


真姫「……」


ことり「今日、すっごく我慢してたでしょ?」


ことり「いつもより声をさらに抑えて、行動にも気を使って」


ことり「みんなに心配させないようにって」

真姫「そんなこと……」


ことり「――下着見えてるよ?」


真姫「……!?」バッ


ことり「……必死に隠した下着に染みてたそれはなにかなぁ?」


真姫「これ、は……」



 我慢をしようとしても、生理現象は抑えられるはずがない。
 
 度重なる絶頂は私に生理現象を引き起こさせていた。


 普段は替えの下着を持ってくるのだが、今日はあいにく持ってくるのを忘れていた。
 


ことり「我慢し続けた証拠だよね?凛ちゃんに聞いても、花陽ちゃんに聞いてみても、今日の真姫ちゃんにそういう様子は無かったって言ってたもん」



ことり「花陽ちゃんまで気がつかなかったんだもん。すごいよ」


ことり「我慢し続けたのを解放したせいなのか分からないけど、真姫ちゃんが思いっきりしがみつくからアザが出来ちゃった」


 ことりは袖を捲って見せた。


 そこにはことりが言うように、私が思い切りしがみついて出来た手の跡がくっきりと刻まれていた。


真姫「……ごめん」


ことり「いいよ、でも、そんなに我慢しようとばかりしてると疲れちゃうよ?」


ことり「力、抜いて?」


ことり「――今日一日頑張ったね、真姫ちゃん」





ことり「だから、せめて私といる時は抑えないで、気持ちよくなっちゃおうよ」


ことり「これからは、私を頼ってねっ」


ことり「ううん、きっと、頼りたくなるよ」


 ことりの甘い囁きは脳に響いていった。

◇◇



希「今日も収穫なし、か……」


希「前回のを作るのにも相当な時間がかかったし……」


希「やっぱり、人望って大切なんやね」


希「人望がないと、ちょっとキツイ、なぁ」


希「オオカミの話が胸に刺さるわ」




希「でも、こんなところで諦める訳には……なんとしても、例えウチがなんて思われても」



希「待っててね、絶対成功させて見せるから」



◇◇

三十五日目



放課後



真姫「あ、あの…ことり……」モジモジ



ことり「なあに?真姫ちゃん」


真姫「えっと…今日も……」コソコソ




ことり「うんっ、分かったよ」


ことり「じゃあ、屋上行こうか」


真姫「ええ……」

ガチャ

にこ「あの二人、ここ最近毎回練習前になると二人でどっか行くわね」


穂乃果「なにしてるんだろーね」


穂乃果「それにしても最近真姫ちゃんが練習にも参加してくれて嬉しいよ」


にこ「良くなったって言ってるし」


にこ(それにしても、やっぱりことりと真姫ちゃんが気になる…ちょっと様子見て来よう)

にこ「ちょっとトイレ行ってくるわね」


ガチャ

海未「しかし…最近、希の姿が見えませんが…」


凛「でもでも、学校には来てるよ?」


凛「絵里ちゃん、希ちゃんがどうしてるか知らないの?クラス同じでしょ?」



絵里「まあ、そうなんだけど……なんというか……」


絵里「……希のことは私に任せて貰えない…?」



絵里「希は、私がなんとかする」



凛「…?」



絵里「……」




海未「あと、少し真姫のことでいいですか?……」



絵里「なに?」

絵里「なに?」



海未「はい……病気のせいだとは思うのですが、真姫の雰囲気が変わったと思いませんか?」


絵里「それは、どういう?」


海未「肉体的な面で、です」


絵里「――あ……それは」



穂乃神「ちょっと、痩せすぎ、だよね?」



海未「頬も痩けて、手足なんか少し力を入れれば折れてしまいそうなくらい細いです」


穂乃果「痩せてるのは羨ましいけど、今の真姫ちゃんを羨ましいとは思えないかな……」


絵里「……」


絵里「少しでも食べてもらうようにしないとね…」


絵里「流石に今の真姫は見ていて痛々しいものね…」

◇◇


スタスタ

 ここ三日くらいだろうか。
 練習前の何分かは屋上に行ってことりの言った通りにする日々がつづいている。



 ことりは私の中のトリガーを引くだけ。


 それ以上は決して何もしない。


 ただただ、見ているだけ、である。


 それがこれ以上無いほどに心地よかった。我慢を重ねる生活、三年生以外は誤魔化せるようになってきた。


 それだけに、我慢は辛い。



 ことりは私の為にきっと、解放する手段を与えてくれている、はずなんだ。





ことり「今日は雨が降りそうだね。早く終わらせちゃおうか」




ことり「今日はどこがいい?」

真姫「えっと……太ももの、つけね、あたり……」


ことり「あははっ、なんだかどんどん際どくなるね?」


真姫「き、気のせいよ!」


ことり「……じゃあいつもの場所に座って」



 後ろに壁、前にはことり。

 これが定位置になりつつあった。



ことり「」サワサワ


真姫「んんんぅ」


ことり「本当に痩せたね……」

真姫「……」


ツツツッ


ことり「はい、ここまで」



ことり「言われたところまでしか、私は手を出さないからねっ」



真姫「あり、がと……ふぁぁッ……」

真姫「んあぁッっ……ことり…ンンぅっ……ことり…」



真姫「んんんっ……んんんッ…!」


 ことりは本当に手を出す気はないようだ。じゃあ裏を返せば、言ったことはやってくれる?




真姫「こ、とり……」


ことり「ん?」


真姫「――キス、したい」





 私は、何を言っているのだろう。

 雰囲気に流された?なんで、こんなこと。




ことり「――うん、いいよ」

ことり「真姫ちゃんがそうしたいなら」


 優しい言葉。でも、なんでそんなに冷たい視線を送ってくるの?



 少しずつ私の中の何かが崩れていく音がした。



◇◇


にこ「どこ行ったのよー」


にこ「まだ戻ってないみたいだし」


にこ「後は屋上だけだけど…」チラッ



にこ「雨が降りそうね…」



にこ「傘持ってくれば良かった」


にこ「まあ一応確認してこよう」


屋上



にこ「……やっぱりいない、か」




にこ「あの二人どこ行ってんのよ、全く」



にこ「……?あれ、は?」


 屋上からグラウンドを見下ろすと、そこには希が居た。



 陸上部……と思われる何人かの集団に頭を下げては笑っている。


にこ「希……?」



 その中の一人が去ろうとすると、希はその人の腕を掴んで引き止めた。なんだか、必死な様子だ。



 何か言い争い。



 その人が希の腕を振り払うと周りに居た部員も希から離れて行った。


 一人取り残された形になった希は顔を上げることはなかった。

 

にこ「一体、何を?」



にこ「様子を見に行った方がいいわね――」






???「ひゃぁっんぅっ!!!ふぁぁッ……!!」


???「んっ…ちゅっ……ずっ…ちゅっ……ぅぅん……はぁぅん……」








にこ「――え?」


にこ「気のせいか」

にこ「あれ、希がいない」


 ほんの少し目を離すと、そこに希はいなかった。


にこ「……あれ」




???「ふぅ…っ……ダメ……んちゅっ……ちゅぶ……ぷはぁッぁ」




にこ「――気のせい、じゃない?」

 声が聞こえてきたのは、屋上にある出入り口の向こう。


 物陰の奥だ。



 なんだか、嫌な予感がした。ここは何も聞かなかったことにして、部室に戻った方が良いのではないか。



 聞いたことがある様な声。


 でも、そんなことありえない。こんな声を学校で出すなんて。



 そんなことを考えつつも、足は声のする方へと向かっていく。




にこ「――え?」




 ――奥に居たのはスクールアイドルµ’sの西木野真姫と、南ことりだった。

ことり「んちゅっ…ふぁっ…んじゅぅっ……」


真姫「もっと…こほりぃ……んっふぅ……ふぁあぁあああっ」



真姫「はぁっんんっ………ちゅぷっ……こほり…っ……下、ジンジン……するっ、んはぁっ。ねえ、触って、下も、下もぉ……」



 ことりが真姫ちゃんの唇に自身の唇を覆いかぶせている。



 真姫ちゃんは制服をはだけさせられ、ことりは胸をまさぐっている。



 なんで、なんで、真姫ちゃんは抵抗しない?なんで、そんな、なんで。



 真姫ちゃんは、皆の前で見せる顔とは180度も違う表情。もうそこに、アイドルという顔は存在していない。




 対することりは、何故?とても冷静。していることはそんなことでは、ないのに。



 
 それより、なんで。



 ――なんで、真姫ちゃんが求めている?



にこ「あ…あ……」ズサッ



にこ「あんた、達、なに……」




にこ「――なに、してんのよ!!!」





ことり「……あ」



真姫「――え?」




 一瞬時が止まった気さえした。

◇◇




真姫「にこ、ちゃん」


真姫「どうして」



にこ「……ことり、あんた、なにしてんの」


ことり「えっと…これは…」


ことり「えっと」


ことり「真姫ちゃんのしたいことをして上げてたって言うの、かな…」


にこ「……ふざけんじゃないわよ!!」


にこ「女同士よ!?なにやってんの!?」


ことり「……」

真姫「違うの…そういうのじゃ、なく、て……」


真姫「ことりは、私の為に……」
 


にこ「聞きたくないわよ……まさか、練習前に二人でこんなことしてたなんてね」


にこ「……せいぜい楽しんでなさいよ」

真姫「待って!!待ってよ!!」


バタン



真姫「……どうしよう」

ことり「はぁ…見られちゃったね……」



真姫「人に見られた…あぁ…にこちゃんに、見られた」


ことり「……大丈夫だよ、にこちゃんはみんなに言いふらしたりはしないよきっと。まあ…三年生には広まっちゃうかもしれないけれど…」




真姫「…うぅ…」

にこ『そんな淫乱な娘だと思わなかったわ』


真姫「ぁ……いや……違う、違うの……これは、これは…」ブルブル

ことり「真姫ちゃん……?」


ことり「大丈夫?……じゃない、か……」


真姫「いや…いや………ごめん、ことり。一人に、して」

ことり「……うん、分かったよ」




ことり「……ごめんね、真姫ちゃん」

バタン



真姫「私からじゃない…違うの、だから淫乱なんかじゃ……違うの……違うのぉ……」


 にこちゃんに言われた言葉が何度もフラッシュバックした。



にこ『そんな淫乱な娘だと思わなかったわ』



 にこちゃんの完全なる軽蔑の目。
 頭から離れない。
 また、また軽蔑された。


 違う、でもこれは病気のせい……。




ことり『真姫ちゃんの言われたところまでしか手を出さないからね』




真姫「ぁ……ぁあ……」

 太ももを触って。


 もっと付け根まで。


 キス、したい。


 舌、入れて。


 もっと、もっと激しく、して。


 胸、触って。


 んんぅ、もっと、中心の出っ張ってるとこ。




 ――ことり、下、も、下も触って。





真姫「私が……全部……」





 最低だ。


 今までは病気のせいだった。でもそれを理由にして、自分の気持ちがこんなにも制御することが出来ないだなんて。



 知らなかった。



 ――私がこんなにも最低な人間だったなんて。




真姫「うあああああああああっっ!!!!!」




 私の叫びを掻き消すかの様に雨が降ってきた。




 早く終わらせるってことりは言ってたけれど、今の私の身体の火照り具合からして、きっとあのままやっていても終わらなかっただろう。





 冷たい雨が当たってなお、熱を帯びるアンバランスな状態に、私は自分の本性を見せつけられた。




◇◇



希「はぁ……今日もダメやった。どうすればええんやろ…みんなウチのこと信用してくれんし」


希「あ、雨や。良かった早めに校舎の中に入ってきて」



生徒1「あれ、東條さんだよ」コソコソ

生徒2「あ、本当だ。なにしてんだろうね」


生徒1「またスピリチュアルとか言って訳わかんないことでもしてるんじゃない?」

生徒2「えーなにそれ気持ち悪い」ケラケラ



希(聞こえてるんやけど……)


希(あの時の一年生…やね。よし……)


希「ねえ君たち」


生徒「え……?な、なんですか?」


希(そんなに、嫌な顔せんでもいいやん……)



希「ねえ、ちょっと君たち悪い運気が溜まってる気が――」

生徒2「――興味ないですから!!さ、行こ」



生徒1「うん」




生徒1「なにあれ本当気持ち悪いね。噂通り訳わかんないことしてるし」


生徒2「普通にしてれば可愛いし優しそうなのに勿体ないねー」



希(だから聞こえてるよ……)


希(噂……そうか、もうウチのこと広まってるんやね)


希「別にウチはどう思われても……慣れてる、慣れてる……!っと」



タッタッタッ



希「ん?にこっち」



 前方からは凄い勢いで走ってくるにこっち。

 なんだかただ事ではない様だ。

希「ちょ、どうしたん?」

にこ「あ、の、希……グラウンドに居たんじゃ」




 ――泣いてる?


希「……何かあったん?」


にこ「え……あー、大丈夫、混乱してるだけ、だから」


希「話してくれる?」


にこ「……ごめん、私だけの問題じゃ、ない、から」


にこ「なんだか、なんていうのかな。なんで自分でも泣いてる、のか。わかんない。なにが起こってたのかも、わかんない」





 涙を止めようとしているにこっちの表情は悲しいとか怒ってるとか悔しいとかそういうんじゃなくて、ただただ困惑。それだけの様に見えた。




にこ「今日は帰るわ。ごめん」




希「……そっか」


タッタッタッ




希「ここの先から来たってことは、屋上、かな」

◇◇

屋上


希「えっと傘、傘と」



希「うわー結構降っとるやん」



希「そういえば最近雨降ってなかったような」


スタスタ



 屋上の物陰。


 その奥に足が、見えた?


希「え…?」


スタスタ


希「――真姫ちゃん!?」




 雨に打たれて。
 壁に寄りかかって目を閉じていた。


 それは意図的なんかではなくて、きっと意識はない。


希「なんでこんなとこで寝てるん!!」


 人をおぶるなんて久しぶりだった。

◇◇

保健室


穂乃果「真姫ちゃん!!」


凛「戻ってこないと思ったら……」



ことり「…………真姫ちゃん」



希「とりあえず、真姫ちゃんは体調不良なだけやけど、なんであんなとこに…」


希「真姫ちゃんだって馬鹿じゃないんだから、雨の中お昼寝なんて、ありえないやん……」


穂乃果「お昼寝してたら!とか」


凛「喉が渇いたから!とか」

希「ふざけない」


穂乃果「――あれ、そういえばことりちゃん、真姫ちゃんと一緒に屋上行ってたよね?」

ことり「え?あ、うん」

希「ふぅん」



穂乃果「何か知らない?」


ことり「えっと……」


ことり「もう少し、風を浴びてから帰るって…」キョロキョロ


希「……」


希(目線を全く一つに合わせないで、キョロキョロキョロキョロ。……何か知っとるな)


希「今日は解散にしよう?こんな状態じゃまともに練習も出来ないもんね」


穂乃果「そう、だね」

◇◇


希「……ことりちゃん」


ことり「…!!」ビクッ


ことり「な、なにかな…」



希「……なんか知ってるよね?」


ことり「え?いや……」


 明らかに動揺。


 にこっちは多分屋上から来た。屋上で真姫ちゃんが倒れていた。無関係って訳ではなさそうやね。


希(カマかけて見るしかないね)


希「さっきにこっちから全部聞いたんよ」


 その言葉を言った瞬間、ことりちゃんの健康的な肌の色は見る見るうちに青くなっていった。


 ビンゴ、やね。


ことり「そっか…聞いちゃった、んだ……」


ことり「でも、でもこれは真姫ちゃんの為に!!」


希「あ、ごめんな。ことりちゃん。にこっちからなんてなんにも聞いてないんよ」


ことり「……え?嘘ってこと?」


希「カマかけさせてもらったの」

ことり「ひどいよ……!!」


希「……でも、これで話すしか無くなった。ことりちゃん一体なにを」

ことり「……」

希「言わないと、にこっちから無理やり訊くことになるんやけど」

ことり「……分かった。でも、にこちゃんにも話をさせて」


希「呼ぶってこと?」

ことり「うん」

希「帰ってるんやないかなぁもう」



ことり「いや……にこちゃんは傘を持って来てないって言ってたよ。それでこの土砂降り。まだ校舎の中に居るんじゃないかなぁ」


希「なるほど……じゃあ手分けして……」


ことり「――多分私が言っても、ついてこないと思う。だから希ちゃんが……」


希「…分かった。じゃあ部室行ってまっててな」

◇◇

部室

にこ「えっ……こ、ことり……」

ことり「あはは…おは、よう」



 一体この二人に何が……。


にこ「……帰る」


希「ちょ、ちょっと待ってー!」

希「真姫ちゃんが倒れたんよ」



にこ「は?」

希「……雨にずっと打たれてたみたいでね」

にこ「どう、して…」



にこ「ことり、ことりのせいよ……!」

ことり「……」


希「……一体何があったのか、説明してくれる?」

にこ「……」

ことり「……」

希「ねえ」


ことり「私が、真姫ちゃんをリラックスさせて上げてたんだよ…」



希「リラックス?」

にこ「あんた…よくもそんな…!」

希「?」


にこ「――ことりが真姫ちゃんのこと、襲ってたのよ」


希「え!?」

希「そ、それは……えっと、性的な?」

にこ「ええ……」


ことり「違うの!真姫ちゃんが辛そうだったから、その、力になれればって…」


にこ「それがどうやったら女同士であんなことするってなるのよ!?」

ことり「にこちゃんは……分からないでしょ。真姫ちゃんがどれだけ苦しんでいるか」


にこ「分かってるわよ」

ことり「ううん、分かってない。真姫ちゃんはみんなに心配かけないように病気の症状が出ると我慢しようとするの」



ことり「少し症状が軽くなったのかわからないけど、大分人からは分からなくなってる」


ことり「我慢するっていう点では前と同じだけれど、表に出さなくなってる。そうしたらみんなの対応が元に戻って来て、それを崩さない様にって…!!」



希「軽くなってくれたんや……良かった…」



ことり「でも、真姫ちゃんのストレスは増えるだけ。花陽ちゃんにもバレないくらい頑張って我慢してる。にこちゃんは気づいてた?真姫ちゃんがどれだけ我慢していたか!!」


にこ「……」



ことり「ほら、分からなかったよね?最近真姫ちゃん練習参加しているもんね。でもね、休憩時間、給水時間、真姫ちゃんはどれだけ気を使って耐えていたか」



ことり「――にこちゃんは、何にも分かってないよね」


ことり「分かっているつもりなだけなんだよ」

にこ「くっ……でも、だからってあんなこと!!二人は恋人とかそういう関係なわけ!?女同士なのに!?」



ことり「――え?違うけど」


にこ「っ……!!じゃあなんであんなこと!!!」


ことり「最初に話を持ちかけたのは私だけど……でも、それ以外は真姫ちゃんから言われたことしかしてない」


にこ「はぁ?じゃあなんで真姫ちゃんにキスしたり胸触ってたりしてたのよ!!」



ことり「――真姫ちゃんがやって欲しいって……」


にこ「……嘘、でしょ…」



にこ「でも、でも、なんでそんなこと!!真姫ちゃんの性格分かってるでしょう!?」



にこ「そんなことしたら、あの娘、自分をどんどん嫌いになって……真姫ちゃんはあんな風に高飛車で自信家だからいいの!!でも……でも…!!」



ことり「ああいう行為に意味はないんだ。悶えているところを見るのが好きって言うのかなぁ……。それを見る為なら、私はなんでも…」



ことり「それにさっきも言ったけど真姫ちゃんがやって欲しいって」

にこ「なんで……なんで言われたからって…そんなことするのよ!!あんた他の人にやってくれって言われたらそういうこと平気でするわけ!?私がキスしてって頼んでも!?希がリラックスさせて欲しいって頼んでも!?」




ことり「――うん、多分すると思う」



にこ「本当、信じらんない……!」


にこ「最っ低!」


ことり「私は、他の人がして欲しいことならなんでもするよ」



ことり「みんなが決めたことには従う。私はそういう人、なの」



ことり「穂乃果ちゃんが決めたことには従う。海未ちゃんが決めたことには従う。絵里ちゃんが決めたことには従う。希ちゃんが決めたことには従う。にこちゃんが決めたことには従う。凛ちゃんが決めたことには従う。花陽ちゃんが決めたことには従う――真姫ちゃんが決めたことには従う」





ことり「――これが私の決めたことだか



にこ「ことり……」


ことり「あと、私の願望っていうのもあったけど、大きくは真姫ちゃんがそうすることで負担が減るかな……って」


ことり「真姫ちゃんを助けたい。これは本当だよ!」


にこ「……きっとそのせいなんじゃないの……?真姫ちゃんが雨に打たれていた理由」

ことり「……私の……せい……?」


にこ「真姫ちゃんは、普通そんなこと望む娘じゃない……!普通じゃない状態で、自分が望んだって形になったら自己嫌悪で潰れるに……決まってるでしょ…!?」



 真姫ちゃんは望んでことりちゃんから愛撫を受けていた。


 ということはそれを心の拠り所としていた?



 普通じゃない状態でそんなことを望んでも、真姫ちゃん自身は自分が淫乱だと思い込み精神が追い込まれていく。




 ことりちゃんが良かれと思ったことが全て裏目に出てしもたみたいやね。


 

希「――なるほどなぁ」

にこ「……なによ」


希「にこっち、ことりちゃんも悪気があった訳じゃないんやから、そのくらいにしといてあげよ」

にこ「でも…」

希「ね?ことりちゃん」


ことり「……うん」
 



希「じゃあことりちゃん、それを真姫ちゃんにやり始めたのはいつ頃?」


ことり「え?えっと……二十日くらい前、かな」

希「そこから何回くらい真姫ちゃんに手を出したん?」

ことり「その時だけだよ。それ以降に真姫ちゃんに触ったりしたのはここ最近だもん」



 一回。か。


希「こんなこと訊くのもあれやけど……その時、最後までシた?」


 これで、多分全部わかるはずや。


ことり「ううん。少しだけしか。消化不足って感じだったから、向こうから求めてくると思っていたんだけど……それはなかったんだぁ」


ことり「だから辛そうにしている真姫ちゃんを見兼ねて、四日前に私から……」


希「はは……は…なるほど」


にこ「どうしたのよ」



希「オッケー、多分、全部繋がったわ」

希「ことりちゃんが真姫ちゃんにやったこと、きっとあれで真姫ちゃんがもってたって部分もきっとある」


希「それは本当やから」



にこ「……」


希「納得、出来ない?」



にこ「でも、あんな…あんな…こと。女同士なの、よ?」フルフル


ことり「……ごめんね」


にこ「ことりのことはもう分かったけど……真姫ちゃんが求めてたって」


にこ「やっぱり、そういうことが好き――」



希「――にこっち。真姫ちゃんだって仕方なくそうしたんよ。自分を守るため。だから、そういう目で真姫ちゃんを見るのはやめとき?」



希「にこっちは意識してないかもしれんけど、真姫ちゃんを軽蔑の目で見ていることが多分結構ある」



希「プライドが高い真姫ちゃんはそういう風に見られて、とっても傷ついてる。トラウマレベルになってるかもしれない」

にこ「……」


希「だから、いつか二人でわだかまりを解消せんとな?」


にこ「どうやって…」

希「真姫ちゃんはとっても精神が脆い娘や。そういう時はにこっちが支えてあげんと」



希「それだけでいいんよ」

◇◇



絵里「希……もう辞めない?」


希「はあ?どうして?」


絵里「だって……希、分かってるでしょ?」

希「……」


絵里「このままじゃ希が……!」



希「ウチはどう思われてたっていいの。それより、早く解決しないと」


希「えりちは手を出さん方がいいかもね。損することになる、多分やけど」



スタスタ



絵里「あ……」




 希の噂はすでに学校中に知れている様だ。





 希は真姫を救うために悪運が必要らしい。詳しいことは教えてくれなかった。

 悪運を抽出させて下さい、だなんて真っ正面から言い続けた結果、希には悪い噂というか悪口が蔓延することになった。



絵里「スピリチュアル……ねぇ」


絵里「私が入学した時とかは割とみんな食いついてくれていたと思うんだけど……」



 様々な部活に顔を出してはそんなことをお願いする。


 三年生は同級生で、友達もいるのでそういうことは表だっては言われない。



 ただ二年生や一年生からすると、ただの気持ちの悪い先輩、と見えてしまうらしい。


 少しでいいらしい。

 その少しすら提供してくれる人がいないということで、希は嘆いていた。



生徒1「でねー」


生徒2「あははそうなんだ!!」


絵里「あの二人は……」




 前に希が言っていた。確かあの二人は悪運を身に多く宿しているから少しでも取り除いてあげたい、と。




絵里「希は協力しないほうが私の為って言っていたけれど……」


絵里「ごめんなさい、希が困ってるところを見過ごせるほど、薄情な人間じゃないつもりだから」





絵里「――ねえ、そこの二人、ちょっといいかしら?」

三十六日目



希「真姫ちゃんは今日は休み……と。まあ昨日のことを考えれば当然やね」


希「原因はもう分かったし、後は……真姫ちゃんの心に掛けるか……いやその線は多分無理」


希「外部から無理やり中和してあげるしかない……」


希「でも、そんなことしたことないから一体どうなるか…早いとこ実験してみんと」



希「でも……もうこの学校には誰もウチの話を聞いてくれる人なんか…」




絵里「あ、希、ちょっといい?」



希「えりち……え?その、二人は?」




 えりちに呼びかけられて振り向くと、えりちの後ろには二人の生徒が居た。


 たくさんの悪運を宿しているから、救ってあげたいのと資料が欲しいということを以前話したことがある。




絵里「私がお願いしたの」


希「えりち……」



 ここまで来たなら、もう少しだ。

◇◇



希「本当にありがとう」


絵里「いいのよ」

希「でも……ウチに協力していたら、えりちが…」


絵里「大丈夫よ」


希「大丈夫じゃない――」


絵里「あのね希、私ってそんなに頼りない?」


希「いやそういう訳やないんだけど」


絵里「ならいいじゃない?」

スタスタ

希「えりち……そう、やね」



絵里「それに、早く真姫を治してあげたいしね」

クルッ

絵里「希にしかできないの」


絵里「――頼んだわよ」

◇◇

プルルルルル



希「あ、真姫ちゃん?」

真姫「……なに?」



 うわー、テンションひっくー。

 これ話しにくいなー。まあ無理もないか。



真姫「早めに終わらせて欲しいんだけど」


希「……分かった。あのね、明日の朝いつもより早く部室まで来て欲しいんよ」


真姫「……え、嫌よ。学校には、行きたく、ない」


希(まあ、そうやと思った。でも、来て貰わんと)


希「お願い。真姫ちゃんを治せるかもしれんないんよ」

真姫「……!!」


真姫「分かったわ……でも、希と私の二人きり、にして」


希「うん、分かった。じゃあまた明日」

真姫「ええ」
 



希「……よし」


プルルルルルル


希「あ、にこっち?明日の昼休みなんやけど――」

三十七日目





朝 部室


希(あの後、家で悪運と良運の中和実験を行った)


希(良運の量の関係から、少量での実験だったけれど結果は成功。これなら真姫ちゃんの中でも中和に成功する、はず)



希(穂乃果ちゃんがありあまる良運の持ち主で本当に良かった…)


希「真姫ちゃんはそろそろ来ると思うんやけど……」


希「今日で、全部終わらせるんや」


ガチャ

希「あ、おはよう真姫ちゃん」


真姫「こんな朝早くに呼び出しておいて、なによ」


希「んーまあそれはそのうち」

真姫「はぁ?」


希「それより、身体は大丈夫?」


真姫「……まあ、普通に学校に来れるくらいには」


希「……ふぅん、それは良かった」


希「でもな、真姫ちゃん。ちょっと痩せすぎやない?」


真姫「え?」


希「元から痩せてる方やったのに、今回の騒動でさらに痩せたでしょ?」


真姫「ま、まあ。多分……」


希「こっちからするとな流石に見てられないレベルで痩せてるんよ。もしかして、40kg無い、とか言わないよね?」




真姫「……多分、無い」

希「40kg無い体重ってのは、150cm無い11歳女児の平均くらいなんよ…?」



希「拒食症だったりそういう人達の領域」


真姫「え……」


希「ちょっとごめんね」グイッ


真姫「ひゃあっ!」



 真姫ちゃんの制服を無理やりずり上げる。

 前は健康的なモデル体型だったのに対して、今は病的とも言える細さである。

 もともと身長に対するウエストは異常なほど細かったのに、それがさらに加速して、常に肋骨が見えている状態だ。


 極めて不健康な痩せ方だ。




希(あのあと、ことりちゃんに聞いた通りやん)



真姫「食欲…湧かなくて……」




希「――ごめんね……」


希「本当に、ごめん」

希「ウチのせいで、ごめんね…本当に……本当に……!こんなにボロボロになってもうて」ポロポロ




真姫「希……」



希「泣きたいのは真姫ちゃんだよね……何やってるんやろ、ウチ」



希「謝っても許して貰えないのは分かってる。なんでもする。償えないのは、分かっているけど……!」



 あれ、じゃあウチは何がしたいんや。


真姫「なんでも?」


希「え?……う、うん!!」


真姫「そう……なら」


 許して貰えなくても、償えなくても、真姫ちゃんが少しでも満足するならウチは本望や。



真姫「――µ’s辞めてくれない?」


希「え……?」


希「えっと……えっと…」

 どういう、こと。




真姫「――ぷっ!あはは、冗談よ。ごめんなさい」




希「――へ…?冗談?」




真姫「いやこう言ったらどうなるかなって。流石に酷かったわよね、ごめんなさい」



希「でも…真姫ちゃんがそう望むなら……ウチは…」



真姫「冗談だって。ごめんなさい。ちょっとシャレになってなかったわね」


真姫「そうね…じゃあ……希って焼肉好きよね」

希「うん」



真姫「美味しいお店、連れてって。勿論奢りでね。それで――許してあげる」


希「え……?」


真姫「こんなに痩せちゃったんだから、少しくらい協力しなさいよ?」



希「……うん!」

◇◇

真姫「じゃあ、私そろそろ行くわね」


 普通なら希を恨むべきなのかもしれない。でも、何故だろうそういう気持ちにはなれそうになかった。


 失った時間は戻ってこないし、これからも普通の時間は失われたまま、だけれど。


 失ったものは大きい。

 今までけれど希から貰ったものの方が遥かに大きい。


 きっとそれが理由なのかもしれない。



希「待って、本題がまだなんよ」


真姫「本題?」


希「――うん、今から真姫ちゃんを治そうと思う」




真姫「え?でもこの前…」



希「うん……この前は失敗した。でも今回は大丈夫」


希「前回は真姫ちゃんの心が悪運を離さなかった。それはなんでやったかどうしても、わからんかった」


希「……ごめん、真姫ちゃん。ここからは真姫ちゃんには辛い話になるかも、しれん」


真姫「……構わない」

µ’s辞めさせる展開から派生させてもっとぐっちゃぐちゃにするルートも考えましたが、少し長すぎるので…

希「そっか」


希「じゃあ、話すわ」


希「真姫ちゃんとことりちゃんがやっていたこと、ことりちゃんとにこっちから聞いたんよ」


 え……?


真姫「あ……あれは、その…違うの……えっと、えっと……!私は、あんなことしたかったんじゃなくて……違うの、違うの」


 希には知られるかもしれないとは思っていた。でも、ダメだ。また軽蔑、される。嫌だ。嫌だ。



希「そんなに震えなくてもええよ」

希「仕方なかったんやもんな」


真姫「え…?」


真姫「嘘だ……こんな淫乱な娘だって知って、失望したでしょ!軽蔑したんでしょ!?嫌だ…嫌よ……」



 自分がしたことだと言うのになんで私はここまで必死になるんだろう。自分が悪いというのに。

希「失望なんかしない、軽蔑もしない。あの状況なら真姫ちゃんじゃなくてもああいう状況になっとったよ。――多分ウチでも」



希「辛かったよね。辛いと気持ちの良い方に行くのは仕方のないことなんよ」



真姫「希……」
 


希「ただ…その気持ちが先日のことを失敗させたんや。真姫ちゃんはことりちゃんにやられたことが心の奥底で忘れられなくなってた」



希「辛かった時期に、気持ちの良いことがあったせいで、真姫ちゃんの心は自然とことりちゃんとの行為を拠り所にしていたのかもしれないね」



希「最初はほとんど途中で辞めて消化不良って聞いたよ。多分ことりちゃんとの行為が心地よかったけれど、病気によって起こった行為やから、病気がなくなると、してもらえなくなるって本質的に思ってしまったんだと思う」




真姫「私の、せい……」


 私が、やっぱりそういうことが好きだから?

にこ『そんな淫乱な娘だと思わなかったわ』


真姫「あ……あぁ、ごめんなさい……ごめんなさい、だからそんな目で、見ないで……!」



ギュッ



希「大丈夫や。誰もそんな風に思う人はいない」


真姫「私の、私の…せい」


希「自分を守る為やったもんね?」



希「誰のせいでもないよ。ことりちゃんも真姫ちゃんの為を思ってやってたことやし。にこっちもキツイことは言ったかもしれんけど、誰よりも真姫ちゃんのことを心配してた。強いて言うなら、全部の元凶である、ウチのせい……やね」




真姫「うぅ…ひっぐ……ぁぅ…」


希「辛かったね。苦しかったよね。本当、ごめんな」ギュッ


 私が希の胸の中で落ち着つまでずっと抱きしめいてくれた。



 私が少し落いたら、希は少し微笑み、自分のカバンを取り出した。



希「――じゃあそろそろ始めようか」

 希がカバンから取り出したのは黄金色に光る石と紫色に光る……ブレスレット?を取り出した。


真姫「そのブレスレットは…?」



希「ああこれね。これは悪運が詰め込んであるブレスレットや。良い石がなかったからね。まあ今回はこれは使わないで…」



希「本命はこっち。この金色のやつ」



 その石は黄金色に輝いていた。最早この世の物とは思えない輝き。



希「これには良運が詰め込んであるんよ。良運てのは普通集まらないんやけど、穂乃果ちゃんと凛ちゃんが有り余っててな、分けて貰ったんよ」



真姫「穂乃果と、凛が……?」



希「そう、みんなの協力があったんよ。さっき見せた悪運のブレスレットも、えりちがいなかったら出来なかったし」

真姫「みん、な……」


希「目……閉じて?」



 これで全てが終わる。
 確証はないはずなのに、私の心がそうつげていた。





キィィィィン




 私を苦しめた元凶の音が、聴こえる。




 でも何故だろう。なんだか不快じゃない。それは希が言うようにこれが悪運の塊ではなくて、良運の塊だから、なのかもしれない。

◇◇





希『治ったかどうか最終チェックするから昼休みまた来てもらえる?』



希『――まだ治療してないことがあるんよ』



 希にそう言われて私は部室の扉の前に居る。

 
 あれから症状は出ていない。

 この奥には希が居て、そこで全部終わるはず、なんだ。


ガチャ



にこ「遅いわよ希ー、いつまで待たせ――」

真姫「……にこ、ちゃん?」

 何故かここにはにこちゃんが居た。


 目の当たりにすると蘇る。冷めた視線、軽蔑の目。それはまるで人として見られていないかの様な。
 



 私の中の一番汚い部分を。




 見られた。見られた。見られた。見られた見られた見られたミラレタミラレタミラレタミラレタ。


真姫「あ……あ…」


真姫「いや……いや……ごめん、なさい」


真姫「出てくから、もう、近寄らない、から……!!」



にこ「真姫ちゃん…?」




ガチャガチャ




真姫「なんで、なんで!開かないのよ!」


希『いつか二人でわだかまりを解消せんとね』



にこ(希のやつ……なるほど)



真姫「開いて!開いてよ!!!」



真姫「嫌だ……嫌だぁ…」



にこ「真姫ちゃん――」


真姫「ひぃっ……ダメ、私に近寄ると、汚く、なる」


にこ「ねえ」


にこ「……きっと私は真姫ちゃんを何度も傷つけてる、のよね」


真姫「え…」

にこ「ごめんね」

にこ「ごめんね」


にこ「私、女同士でああいうことするのって……免疫なくて。ちょっとびっくりしたっていうか…」


にこ「でも真姫ちゃんだって辛かったんだって考えたら、なんの考えなしに軽蔑するのはダメだって思って…」



にこ「ごめん」



 にこちゃんが頭を下げている。なんで?なんで、悪かったのは、私、なのに。



真姫「でも……私は、あんなこと。あんな汚い、こと……!」



にこ「汚く、ないよ」


真姫「ダメ……ダメよ。私は、そういうことで、もう汚れ――」




にこ「ふぅ……ったく、本当面倒な性格ね」



ギュッ


真姫「え……」


にこ「全然汚くなんてない。大丈夫、大丈夫だから。……ね?」




真姫「うぅ……ひっぐ……うん……」




 これは意図して起こされた状況なんだろうか。

 希のことだし、多分そういうことだろう。



 なるほど、これが最後の治療って訳ね。





◇◇


希「ふふ……これでようやく終わったんやね」




 西木野真姫。

 PSAS 持続性性喚起症候群。

 発症期間 37日。

◇◇

翌日


穂乃果「治ったの!?大丈夫!?どこも痛くない!?あ……痛くないってより……うーんと、わかんない!」


穂乃果「とにかく、体調は大丈夫なの!?」





真姫「――ええ、多分もう問題ないはずよ。現に今日は放課後まで何も起きてないしね」


穂乃果「良かったぁ!!!」


穂乃果「これで真姫ちゃんにこうしても大丈夫だー!」ギュッー



真姫「ちょっと、穂乃果!全く…」



にこ「どういうこと?」


希「まあ、これで全部終わったんよ」


にこ「あんたが治したの?」



希「いや……みんなで治したって言った方がええね」



にこ「……?」

希「いいからいいから!」

にこ「あと、希、あんた昨日……」


希「――そんなことどうでもいいやん!せっかく真姫ちゃんが治ったんやから!」


にこ「希……そうね」



にこ「あ、そうだ真姫ちゃん」


真姫「んなに?……穂乃果いい加減離れて」



真姫「で?」



にこ「今度の日曜日空けといてくれる?」


真姫「え?」


にこ「いいとこ連れてってあげるって、言ったでしょ」


真姫「あ……」


にこ「二人で行くから、他の人は連れて来ちゃダメよ」


穂乃果「えー!私は!?」

にこ「ダメー、二人で行くから」




希「じゃあウチは土曜日開けといて貰おうかな」

真姫「ええ?」


希「焼肉行くんでしょ?とっておきのとこ紹介してあげる」


にこ「なによそれ?」


希「前から約束してたんよー」

にこ「ふぅん」


希「ちょっと真姫ちゃんは痩せすぎたからね、太らんと」



穂乃果「二人ともずるいよー!二人だけで真姫ちゃんを独占して!」


穂乃果「ねえねえ、私達も今度二人でどこか行かない?」

真姫「え……あ、うん」



ことり「穂乃果ちゃん、真姫ちゃんが困ってるよ?」


穂乃果「うぅ……」


ことり「治って良かったね?」


真姫「まあ、うん」



 なんだか少しだけ、ことりとは違う気まずい様な……。

 それはやっぱり、色々あったから。



 違うやり方とは言え、私に癒しを与えてくれたことは事実なんだ。



真姫「ことりも、ありがと」



ことり「真姫ちゃん……」

ことり「ねえねえ」グイッ


ことり「またシて欲しくなったら言ってね?」コショコショ



真姫「ひぃ……」ビクッ


 ことりが耳元で囁いた。その甘美な囁きに私の身体は無条件に反応してしまう。


真姫「も、もう頼まないわよ!」


ことり「待ってるね」ニッコリ

にこ「ことり……あんたね……」

ことり「にこちゃん」ツツツッ



にこ「ひぃぅ…!」

ことり「今度、私にアイロンして欲しいなぁ」

にこ「は、はぁ!?」

ことり「よろしくねっ」





穂乃果「……?」




海未「それにしてもみんなが元に戻って良かったです」


海未「真姫が来なくなったりしてから、みんなピリピリしてたりなんというか団結力が無くなっていた気がしたので…」


絵里「海未……」


海未「では、真姫が本当の意味で戻ってきたことですし、練習を始めましょうか」


◇◇


部室


希「タオル部室に忘れてちゃった」


希「ええと持ってきとったかな…?」ガサゴソ


希「あ、あったあった」



ポロ



希「あ……悪運を詰め込んだブレスレット家に置いてくるの忘れてたわ」


希「ちゃんと家に帰ったら燃やしてしまわんとね」


希「ちゃんとカバンに入れてっと……」



希「ちゃんとウチのカバン?……おっけー」


希「練習いこー」



◇◇

練習後 部室

真姫「疲れた……死ぬ……死んじゃう…」


海未「体力も大分落ちてますね」


海未「筋肉なんかごっそり落ちてます」


真姫「うぅ……」


海未「疲れたからって食べないのはダメですよ。さっき真姫のお腹周りを見ましたけど、不健康すぎます!」

真姫「だって……」


海未「たくさん食べて、練習の運動量よりも食べて下さい。そうしないとどんどん痩せていく一方です!」


海未「それだとお腹を見せる衣装は着れませんよ」

真姫「はい……」


海未「でも練習は必ずして下さい!ここ一ヶ月の遅れを取り戻さないといけませんから」


希「まあまあ」


海未「まあまあじゃありません!」

絵里「海未の言うことも正しいから、真姫はちゃんと食べなさいよ」

絵里「どれ……」サワサワ


真姫「ひゃっ!」

絵里「……これは、中々酷いわね。痩せすぎってのもうなづけるわ。骨と皮しかないじゃない…」


真姫「うぅ分かったわよー」


絵里「これじゃあ胸も小さくなるわよ?このままじゃにこよりも……もう既に小さくなっていってるかも」


真姫「――それは嫌!!!」


真姫「食べるわよ!たくさん!!」


にこ「あの……絵里、怒っていい?」



絵里「真姫をやる気にさせるにはこれくらい必要かなって」


にこ「はぁ?それに真姫ちゃんもどうしてそれでやる気になるのよ!!」

真姫「にこちゃんより小さくなるなんて屈辱でしかないでしょ!?」

にこ「はぁ!?大体ねぇ――」



希「――まあまあ、もう遅いし帰ろう?」

絵里「ん…そうね」

絵里「続きは二人でやって頂戴。じゃ希帰りましょう」

にこ「ちょっと待ちなさ――」


バタン


おい、終わらせろよww

終わるんだよな?

>>304
終わらせます

◇◇
帰り道


希「」チラッ


希(ブレスレットはある)


絵里「――良かった」


絵里「ありがとう、希」


希「ウチはなにもしてないよ……悪かったのはウチやから」


スタスタ




ポロッ




スタスタ



希「本当、真姫ちゃんが優しくて良かったわ。本当ならウチはµ’sを辞めなくちゃいけないくらい、それくらいのことをしたんやし」

絵里「流石にそこまでは……」

希「真姫ちゃんにね、なんでもするって言ったら、µ’sを辞めろって言われたんよ」


絵里「……え?」


希「冗談やったけど、本当はどうだったんやろ」


絵里「大丈夫よ。真姫はそんなこと言う娘じゃない」


希「うん……」


絵里「また明日からはいつものµ’sよ。ね?」


希「そうなるとええね…」



絵里「――あ、希、カバン空いてるわよ?」



希「――ん?あ、本当や。ありがと」




絵里「ふふ、じゃあ私はここで。じゃあね」

◇◇






希の家


希「はぁ…疲れた」


希「あ……ブレスレット燃やさんと」

ガサゴソ


希「え……?」



希「ない…!?ない、ない!!……ない!?」



希「どうして!?」



希「えりちと帰ってる時は入ってた。てことは、カバンが空いてた帰り道に落とした…」



希「探しに行こう……!」


◇◇


海未「日舞の扇子を壊したのは始めてです……」


海未「家にある扇子で代用出来るかと思ったら…やはりオーダーメイドでした」


海未「ええと、お店はこっちの方、ですか」



海未「この辺りは普段来ないから、よく分かりませんね……」




海未「今後の為にも、お店の方に顔を知られておいた方がいいかもしれません」





ヒュゥゥウウウ






海未「――?」


海未「あれ、は?」



 今は夜。

海未「紫色の光……?」



 街頭の少ないこの道で、紫色に光り輝くものが私の目に入りました。



海未「なんでしょうか……」


 近づいて見ると、この世の物とは思えないほど綺麗な光です。




 恐る恐る手にとってみます。



海未「ブレスレット……?」




 それはブレスレットでした。

 ブレスレット自体は何の変哲もありません。ただ。それは。



 妖しく光り輝いていました。




 人を惹きつけるのには十分で、しばらく見とれてしまいました。






 瞬間、紫の光が大きく膨張。目を開けていることは出来ませんでした。






キィィィィィンン







海未「――え……?」






終わり

終わりです。読んで頂いてありがとうございます。レスは励みになりました。ありがとうございます。


次は安価コンマスレか、ドロドロにこまき書きたい。





希「えりちなんて本物のヘタレや!」


前書いたやつです。宜しければ検索してみて下さい。

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