アニ「……話があるんだけど」(114)


ミカサ「…………何?」

アニ「あんたって、あの二人と幼馴染なんだろ?」

ミカサ「エレンとアルミンの事?」

アニ「あぁ」

ミカサ「なら違う」

アニ「違うの?」

ミカサ「エレンは家族、アルミンもほぼ家族」

アニ「へぇ」


ミカサ「あの二人は私がいないとダメ」

アニ「そうなの?」

ミカサ「エレンは言わずもがな、実はアルミンも」

アニ「エレンはともかくアルミンも?」

ミカサ「そう、言って見れば私は二人の母であり姉でもある」

アニ「ふぅん」

ミカサ「ので、あの二人に何かしたら許さない」

アニ「別に危害を加えようってんじゃないから」

ミカサ「ならいいけれど」


アニ「確かにアルミンって、しっかりしているようで抜けているところあるからね」

ミカサ「そう、昔は本を読んでてご飯の時間を過ぎたり徹夜したりということがよくあった」

アニ「本が大好きだし、好奇心が旺盛だからね、集中しだすと止まらないんだろうね」

ミカサ「だから、私がしっかりと途中で止めてあげる必要があった」

アニ「なるほどね」

ミカサ「最初はエレンもそうしていたがアルミンの話に夢中になり二人で話し込んでしまうことが多くてダメ」

アニ「木菟引きが木菟に引かれるわけか、しょうがないね」

ミカサ「まぁそんなエレンもとっても可愛いのだけれど」

アニ「アルミンもね」

ミカサ「うん、二人ともとっても可愛いけど、私がいないとダメ」

アニ「でも意外、あんたも一緒になってるのかと思ったよ」

ミカサ「それはたまにだけ」

アニ「やっぱりね……」


ミカサ「あと、アルミンは結構無茶をする」

アニ「あー根性はあるからね」

ミカサ「そう、可愛い顔してあの子わりとやるの」

アニ「それは今でもそうだね、わかるよ」

ミカサ「昔からそう、だからちょっと心配、エレンも心配している」

アニ「私もだよ、訓練中でも割と無茶するから」

ミカサ「ね」

アニ「ね」


ミカサ「まぁ無茶で言えばエレンのほうが心配なんだけど」

アニ「まぁ死に急ぎ野郎なんて言われてるし」

ミカサ「それは不本意、誰よりも命の尊さを理解している」

アニ「他人からはそう見えないんだろ」

ミカサ「見る目がない」

アニ「しょうがないよ、普通は生きることに精一杯なんだ」

ミカサ「うん」

アニ「あんたやアルミンがいれば、他の評価なんて気にしなそうだけどね、あいつは」

ミカサ「うん」

アニ「ところで、私の話していい?」


ミカサ「そうだった、何か用があったの?」

アニ「まぁ……ね、あんたはあの二人のことになると饒舌になるね」

ミカサ「ごめん」

アニ「いいよ」

ミカサ「ありがと、じゃぁ続けて」

アニ「あぁ、そうさせてもらおう」

アニ「あんた、エレンの事どう思ってるの?」

ミカサ「きききっき急になん何をいいだすうの?」


アニ「ちょっと確認しておきたくてね」

ミカサ「好きだけど、家族だし当然」

アニ「いや、異性として好きかどうかを聞いてるの」

ミカサ「……………………」

アニ「好きなんだ?」

ミカサ「……別に?」

アニ「じゃぁ私があいつを好きになっても良い訳?」

ミカサ「…………は……?」


アニ「ごめんなさいちょっと調子に乗りすぎました」

ミカサ「何を言ったかわかっているの?」

アニ「冗談のつもりでした」

ミカサ「あまりそういう冗談は好きではない」

アニ「はい、気をつけます」

ミカサ「アニとはいい友人でいたいから」

アニ「はい」

ミカサ「じゃぁ続けて」

アニ「はい、続けさせて頂きます」

ミカサ「ごめん、やりすぎた、今まで通りのあなたでお願い」


アニ「まぁ、あんたがエレンの事好きだと思ったから聞いたんだけど……」

ミカサ「……」

アニ「好きじゃないってんならいいよ、悪かったね」

ミカサ「好きじゃないとは言っていない」

アニ「じゃぁ好きな訳?」

ミカサ「…………家族だし」

アニ「あっそ」

ミカサ「それを聞いてどうするつもり?」

アニ「……ん」

ミカサ「まさかさっきみたいな戯言をまだ……」

アニ「違います、話を聞いてください、お願いします」


アニ「実は、協力してやろうかと思ってね」

ミカサ「協力?」

アニ「あぁ、あんたとエレンの仲を発展させるためにさ」

ミカサ「かかかか仮に私がエレンを好きだとして、あなたがそんな事をする理由がわからない」

アニ「私もただで協力するわけじゃない」

ミカサ「やっぱり、何が目的?」

アニ「あんたにも協力してほしいの」

ミカサ「何を?」

アニ「私とアルミンの仲を発展させるのを」

ミカサ「ほう」


ミカサ「アニはアルミンの事が好きなの?」

アニ「……は?なんでそうなるの?」

ミカサ「いや今の流れはそういう流れ」

アニ「あんな弱い奴、すすすっ好きな訳ないだろ」

ミカサ「じゃぁなんで仲を?」

アニ「……なんだっていいでしょ」

ミカサ「良くない」

アニ「なんで」

ミカサ「アルミンも大事な家族、無責任に仲をとりもったりはできない」

アニ「………………」

ミカサ「エレンとの事を協力してくれるのはとても…………とても魅力的だけど…………」ググ

アニ(声が震えてる……どんだけ苦渋の決断なんだよ)

ミカサ「その為にアルミンを犠牲にしたりはできない、エレンだって私と同じ意見のはず」


アニ「いくらなんでも犠牲は大げさじゃない?」

ミカサ「じゃない」

アニ「……わかった、白状するわ」

ミカサ「…………」

アニ「……アルミンの事が………………」

ミカサ「事が?」

アニ「…………す…き……かも……?」

ミカサ「え?聞こえない」

アニ「怒るよ」

ミカサ「もう既に声が怒っている」


アニ「……もう言わないから」

ミカサ「わかった」

アニ「ったく……」

ミカサ「でも、一つ約束して欲しい」

アニ「何」

ミカサ「アルミンを傷つける様な真似はしないで欲しい」

アニ「当然でしょ」

ミカサ「もししたら、私があなたを削ぐ」

アニ「しないってば」


ミカサ「あなたが私達に危害を加えないのならば、私も協力を惜しまない」

アニ「ミカサ……」

ミカサ「私も、エレンは大事な家族なので仲が深まるのは良い事」

アニ「素直じゃないね……」

ミカサ「素直」

アニ「あんたに比べたら私の方がよっぽど素直でしょ」

ミカサ「それはない」

アニ「いや、あるよ」

ミカサ「ない」

アニ「ある」

ミカサ「無いと言えば無い!」

アニ「あるったらある!」

ユミル「うるせぇんだよ!さっきから!」


アニ「聞いてたの」

ミカサ「盗み聞きはよくない」

クリスタ「さすがに夜中で皆寝てたとは言っても……」

ユミル「てめぇらがうるさくて起されちまったんだよ!」

ミーナ「これを盗み聞きとは言われたくないわね」

ミカサ「そんなことはない、サシャを見習うべき」

アニ「ぐっすり寝てるわ」

ユミル「芋女と比べんなよ……」


ミーナ「いやーでもまさかアニがねぇ」ニヤニヤ

アニ「…………」

ミーナ「アルミンの事好きだったなんて!」

アニ「ぐーぐー」

ミーナ「寝たふりしてもだまされないわよ」

アニ「ふわあ、うるさいなあ、起さないでよ」

ミーナ「演技下手過ぎ……」

アニ「…………」スポッ

ミカサ「ミーナが虐めるから拗ねて布団に篭ってしまった、まるで昔のアルミンみたい」

アニ「本当?」ニュッ

ミーナ(何この子顔だけ出して……可愛い……)


ミカサ「寝たんじゃなかったの?」

アニ「……寝言」

ミカサ「そう、寝言なら私は返事をしなくてもいい」

アニ「………………」

ミカサ「……」フフ

アニ「起きるから……アルミンの話聞きたい」

ミカサ「はいはい」

クリスタ(ミカサお母さんみたい)

ミーナ(アニ駄々っ子みたい、意外……可愛い)


ミカサ「ちょっと詰めて」

アニ「……なんで私の布団に入ってくるの」

ミカサ「もう夜も遅い、小声で話そう」

アニ「しょうがないな……」

ユミル「最初からそうしてくれよ……ったく、次はうるさくすんなよ」

ミーナ(まぜて!私もその布団に混ぜて!アニを抱きしめさせて!)

クリスタ(いいなぁ……楽しそう……)

ユミル(この流れならクリスタと一緒に寝れるんじゃないだろうか……無理か)


ミカサ「暖かい」

アニ「そりゃ同じ布団に二人もいりゃ……ね」

ミカサ「昔を思い出す」

アニ「……へぇ」

ミカサ「エレンやアルミンともよくこうした」

アニ「詳しく」

ミカサ「アルミンは昔から布団が好きでよく被っていた」

アニ「意外……」

ミカサ「だから一緒にいる私達も必然と布団を被ることになった」

アニ「必然なんだ」

ミカサ「当然」


アニ「あ、一つだけいい?」

ミカサ「何?」

アニ「なんで布団入ってからずっと私の頭ナデてる訳」

ミカサ「つい癖で……」

アニ「どんな癖だよ……」

ミカサ「イヤならやめる」

アニ「イヤなんて言ってないけど」

ミカサ「……そう」

アニ「……うん」

ミーナ(私もナデたい!アニをナデナデしたい!)





ミカサ「――でもアルミンは屈しなかった、

アニ「……ぅん……っこ……い……」

ミカサ「…………それで……私とエレンがg」

アニ「…………」

ミカサ「……アニ?」

アニ「……zz」

ミカサ「…………おやすみ」



ミーナ(随分長いこと話してたみたいだけど結局全部聞いちゃった……)

今回はここまで


ミカサ「…………起きて」

アニ「zzz」

ミカサ「アニ、起きて」

アニ「……zz」

ユミル「起きねぇなら置いてけばいいだろ」

ミカサ「アニを起さないように起きようとしてもがっちり捕まえられていて無理」

アニ「zzz」

ミカサ(人の気も知らないで幸せそうに寝て……)

ミーナ(私もアニに手足でぎゅっと抱きしめられてみたい)


クリスタ「ふふ、ミカサが困った顔してる」

ユミル「あんたなら力ずくで振りほどけんだろ」

ミカサ「それができたら苦労しない」

ユミル「あ?」

ミカサ「アニは格闘技をやっている」

ユミル「なんだよそれ」

ミカサ「故にこの状態もその理が生きている」

ミーナ「ただしがみつかれているだけじゃないってこと?」

ミカサ「そう、私も振りほどこうとしたがなぜか力が入らない、故にこの状態に甘んじている」

クリスタ(それはミカサがアニを甘やかしているだけだと思うよ」


クリスタ「でも、そろそろ起きないと……」

ユミル「いつもこんな寝起き悪かったか?」

ミーナ「ミカサと一緒がそんなに寝心地良かったのかな」

ミカサ「…………早く起きないとエレンとアルミンと一緒に朝食を食べられない」

アニ「!!」パチッ

ミカサ「!?」

アニ「…………おはよう」

ミカサ「おはよう」

アニ「早く準備して食堂へ行こう」

ユミル「準備してねぇのはお前らだけだっての」

アニ「じゃぁ早く準備しよう」

ミカサ「ならいい加減この手と足を離して」

アニ「おっと……」


ミカサ「私はいつもエレンとアルミンと食事をとっている」

アニ「うん」

ミカサ「アニは?」

アニ「たまに誰かと食べる時もあるけど……大体一人……」

ミーナ(私ならいつでも!いつでも一緒に食べるのに!)

ミカサ「そう……」

アニ「うん、大体の人は仲の良い人同士で食べてるし」

ミカサ「であれば、私がアニを誘っても何の不思議もない」

アニ「!!」

ミカサ「ので、一緒に食べる」

アニ「うん!」

ミーナ(私も一緒に行きたい!でも邪魔をしたくない!どうしたらいいの!)


エレン「よう」

アルミン「おはよう、ミカサ」

ミカサ「おはよう、エレン、アルミン」

アルミン「アニもおはよう」

エレン「よっす」

アニ「……おはよ」

ミカサ「今日はアニも一緒に食べる」

アニ「邪魔するよ」

エレン「ミカサが人を呼ぶなんて珍しいな」

アルミン「でもそれくらい仲良しってわけだし、良い事だよ」

アニ「…………そ」


ミカサ「そう、実は私とアニは仲良し」

エレン「へぇ、そうだったのか」

ミカサ「昨日なんて同じ布団で寝ちゃったくらい仲良し」

アニ「…………まぁね……」

アルミン「あはは、すっごい仲良しさんだね」

エレン「俺とアルミンみたいだな」

アニ「!?」

アルミン「でも、ならもっと早く呼べば良かったのに」

ミカサ「私もそうしておけばよかったと思っている」


エレン「これから仲良くやっていけばいいだけだろ?」

ミカサ「そう、さすがエレン、いい事を言う」

エレン「へへ!」

アルミン「それもそうだ、僕とも仲良くしてくれると嬉しいな」

エレン「俺もな!」

アニ「……ま、気が向いたらね」

ミーナ(嬉しいくせに素直じゃないアニきゃわわ)モグモグ


エレン「何かあったら言ってくれよな」

アニ「……どうも」

ミカサ「二人とも仲良くなれそうで嬉しい」

アニ「あっそ」

エレン「よっしゃ、今日の訓練も頑張ろうな!」

アルミン「はは、僕も頑張らないと」

ミカサ「皆で頑張ろう」

アニ「………………ぉー」コソッ

ミーナ(恥ずかしがりながらノってるアニも乙なもんですわ)


アニ(今日は訓練がいつもより楽だった気がする)

アニ(体が軽かったし、気持ちも晴れ晴れだった)

アニ(朝食の時間が素敵だったからかな)

アニ(あんな仲良く食事しちゃったもんな……)

アニ(あれはもう親友と言っても過言ではないかもしれないね)

アニ(食事中なんどか目もあったし……もしかして私のこと好きなんじゃね?)

アニ(………………ないか)

アニ(そういや夕食はどうすんだろ…………)


アニ(一緒に食べようって言えば食べてくれそうだけど……)

アニ(果たして邪魔してもいいのだろうか)

アニ(朝食も邪魔しちゃったわけだ、せめて夕食くらいはとか……)

アニ(空気読めてないとか思われたくないし……嫌われたくないし……)

アニ(一人で食べようかな…………慣れてるし……)

アニ(てかミカサとエレンの仲もとりもつんだし、あんまり私が割り込んでもね)

アニ(うん、そうしよ……いやでも寂しい…………)

ミーナ(アニがどうしようか悩んでる!私のところに来ればいいのに!でも悩んでるアニも可愛い!)


アルミン「アニ、どうかした?」

アニ「!?」

エレン「飯食いに行かねぇのか?」

アニ「いや、これから行くところ」

アルミン「ならちょうどいいね、僕らもなんだ」

エレン「んじゃ俺達が飯とってくるから、席とっといてくれよ」

アルミン「ミカサの分もね」

アニ「え…………あぁ」

エレン「よろしくな」

アニ(自然にメンツに入ってたよ?)

アニ(なにこれもう相棒じゃん)

アニ(この席取りは本気でやるしかない!)


ミカサ「何百面相してるの」

アニ「……してないけど」

ミカサ「してた、ころころ表情が変わってた」

アニ「嘘」

ミカサ「本当」

アニ「……嘘」

ミカサ「幸せそうな顔だったりいきなり決意に溢れた顔だったりしてた」

アニ「……してないし」

ミカサ「…………してなかったという事にしておく」

アニ「事実だし」

ミカサ「はいはい、さっきエレン達に聞いた、席ありがとう」

アニ「余裕だし」


アルミン「はい、おまたせ」

エレン「よっと」

ミカサ「二人ともありがとう」

アニ「どうも」

アルミン「二人も、席ありがとね」

エレン「いいから早く食おうぜ、俺腹減った」

ミカサ「もう、エレンたら」

アルミン「それだけ真面目に訓練したって事だよね」

エレン「アルミンの言うとおり」

アニ「…………調子がいいね」フフッ


アニ(楽しい時間ってのはあっという間だ……もう食事が終わっちまった)

アニ(ついさっき食べ始めたばかりかとすら思えるのに)

アニ(アルミンが政策について夢中で話してるの可愛かった)

アニ(内容は何言ってるか難しくてあんまわかんなかったけど……)

ミカサ「アニ」

アニ(でもやっぱ話しについていけたほうがいいよね)

ミカサ「…………アニ」

アニ(本とかもっと読もう、アルミンにオススメ聞けば話も合って一石二鳥だ)

ミカサ「アニ!」

アニ「……?」

ミカサ「ずっと呼んでた」

アニ「え、ごめん気が付かなかった」

アニ(妄想に夢中で……)


ミカサ「髪がぬれてる、ボサボサ」

アニ「洗ったんだから当然でしょ?」

ミカサ「もっとしっかり乾かさないとダメ」

アニ「ほっときゃ自然に乾くよ?」

ミカサ「ダメ、アニはそのまま寝たりしそう」

アニ「そりゃ夜だしもう寝るよ」

ミカサ「こっちに来る」

アニ「…………面倒臭」

ミーナ(でもちゃんとついていくアニでした)


ミカサ「ここなら風が入ってくるしちょうどいい」

アニ「髪なんて適当にしときゃいいのに」

ミカサ「だから朝ボサボサになってる」

アニ「朝整えるし」

ミカサ「今できることは今するべき」

アニ「うへぇ」

ミカサ「…………」ポンポン

アニ「もっとゴシゴシしたほうが早いんじゃないの?

ミカサ「擦ったりすると痛む」

アニ「気にしたことなかったわ」

ミカサ「もっと気にするべき」


アニ「あんたこんな面倒な事髪洗うたびにやってる訳?」

ミカサ「そう」

アニ「…………わぁ……」

ミカサ「アニもそうするべき」

アニ「私はいいよ、面倒だし……」

ミカサ「ちなみに」

アニ「?」

ミカサ「私も昔はそう思っていた」

アニ「へぇ、いつ気が変わったのさ」


ミカサ「昔アルミンが教えてくれた」

アニ「!?」

ミカサ「髪は女の命、という言葉があるらしい」

アニ「なにそれ」

ミカサ「男性は髪が綺麗な女性に魅かれる」

アニ「ふぅん?」

ミカサ「アルミンもそうらしい」

アニ「へ、へぇ?ちなみに手入れ方法とかも言ってた?」

ミカサ「言ってた」

アニ「参考までに聞いて置こうかな、参考までに」

ミカサ「素直じゃない子には教えない」


アニ「ぐぬぬ…………」

ミカサ「ちなみに」

ミカサ「私はアルミンから手入れ方法を聞いたその日から実行しているが」

ミカサ「しばらくしてからエレンに髪が綺麗だと言われた」

アニ「……あいつすらか……」

ミカサ「他の男にも何度か言われた気がするけどよく覚えてない」

アニ「効果絶大じゃない」

ミカサ「うん」

アニ「…………やっぱ知りたいから教えて」

ミカサ「教える」


ミカサ「これでばっちり」

アニ「なんか良い匂いがする」

ミカサ「花の種子からとった液体を塗った」

アニ「大丈夫なのそれ」

ミカサ「アルミンお墨付き、髪にも良い」

アニ「なら安心だ」

ミカサ「私も愛用している、御そろい」

アニ「ふぅん」ニヤ

ミカサ「喜んでる」

アニ「…………別に?」プイ


ミカサ「今日は私が手入れをしたけど」

アニ「…………ありがと」

ミカサ「いえいえ」

アニ(人にしてもらうのって気持ち良いんだな)

ミカサ「次からは私はしない」

アニ「……えぇ……」

ミカサ「どうしてもと言うのならするけd」

アニ「どうしても」

ミカサ「早い、最後まで聞いて」

アニ「……わかった」


ミカサ「私も最初から自分でやったわけではない」

アニ「?」

ミカサ「最初はアルミンにしてもらった」

アニ「!」

ミカサ「そして教わりながら自分でできるようになった」

アニ「ずるい」

ミカサ「でも貴女もアルミンとは既に仲良し」

アニ「……だと良いけど」

ミカサ「なのであなたがアルミンに手入れを教わっても何も不思議は無い」

アニ「!!」


ミカサ「アニは私よりもアルミンに髪質が近い、色とか、なので理由もばっちり」

アニ「だよね」

ミカサ「そして教わる時はやはり実際にやってもらうのが一番良い」

アニ(アルミンが髪のお手入れしてくれる……)

ミカサ「とても素晴らしい案だと思う、でしょ?」

アニ「うん、いいね、凄く良い」

ミカサ「良かった」

アニ「次の休日にお願いしてみるよ」

ミカサ「私からもする、アルミンは優しいからきっと了承してくれる」


ミカサ「そろそろ寝ようか」

アニ「そうだね、色々ありがとう」

ミカサ「構わない、おやすみ」

アニ「おやすみ…………あれ?」

ミカサ「どうかした?」

アニ「いや、今日はそっちで寝るの?」

ミカサ「え?そうだけど……」

アニ「ふぅん……」

ミカサ「…………一緒に寝たかった?」

アニ「……別に?……おやすみ」


ミカサ「くる?」

アニ「……あんたが寂しいなら行ってやらないことも無いよ」

ミーナ(寂しいの!来て!)

ミカサ「そう、寂しいからアニに来て欲しい」

アニ「しょうがないなぁ」

ミカサ「……」フフッ

アニ「ったく、甘ったれなんだ」

ミカサ「……お手数かける」

アニ「まぁしょうがないから?私が面倒みてやるよ」

ミカサ「……おやすみ」

アニ「おやすみ……」

今回はここまで


ミカサ「アルミン、ちょっといい?」

アルミン「何?」

ミカサ「髪の手入れについて聞きたいことがある」

アルミン「髪?何が聞きたいの?」

ミカサ「アニに髪の手入れの方法を教えてあげて欲しい」

アルミン「アニに……?」

アニ「…………嫌ならいいけど」

アルミン「あぁごめん、嫌な訳じゃないんだ、僕でよければ構わないけど……」

ミカサ「けど?」

アルミン「そういうのって女の子同士のほうがいいんじゃないの?」

アニ(アルミンがいいです)


ミカサ「私の髪はアニのとは色も質も全然違う」

アルミン「まぁ……そうかな?」

ミカサ「なのでアルミンにお願いしたい」

アニ「……」コクコク

アルミン「アニが僕でいいなら全然良いんだけど」

アニ「よろしくね」

アルミン「こちらこそ」

ミカサ「私に教えてくれたようにしてくれれば問題ない」

アルミン「あはは、懐かしいね」

ミカサ「アルミンのおかげで髪のお手入れは完璧」

アニ「でも初めて会ったときはもっと長くなかった?」

ミカサ「エレンがショートの方が似合うと言った」

アニ「へぇ……あいつが……」

ミカサ「まぁちょっと違うが概ねそんな感じ」


アルミン「場所はどこにしようか、髪を洗った後の方がいいだろうし……」

アニ「私達の部屋でいいんじゃないの?」

ミカサ「うん」

アルミン「ダメでしょ!?」

ミカサ「アルミンなら問題ない」

アルミン「あるよ!」

アニ「皆も良いって言ってたし」

アルミン「なんで!?」

ミカサ「他にちょうどいい場所もない、受け入れて」

アルミン「えぇ……」


ミカサ「というわけでアルミンが来ました」

アルミン「お、お邪魔します」

クリスタ「ふふ、いらっしゃーい」

サシャ「男の子が部屋にいるなんて初めてですねぇ」

ユミル「芋女でも気にするんだな」

サシャ「私のことなんだと思ってるんですか」

ユミル「芋女だろ」

アルミン「ねぇ、アニは?」

ミカサ「髪を洗いに行っている、手入れをするんだから当然」

アルミン「なら僕それが終わってからくればよかった……」

ミカサ「部屋で待ってれば一緒」

アルミン「そうだけど……気まずい……」


クリスタ「ねぇねぇ、アニが来るまでアルミンの髪型イジっても良い?」

アルミン「え」

クリスタ「アルミンって可愛いし、髪形変えたらもっと可愛くなるんじゃないかって思ってたの!」

アルミン「いや……僕男だし」

ミカサ「同感、私も常々そう思っていた……が私では何もできなかった」

クリスタ「ミカサもそう思ってたのね!任せて、私がアルミンをもっと可愛くするから!」

ミカサ「期待している、アニを驚かせよう」

アルミン「まって、僕の意思は?」

クリスタ「…………ダメ?」

アルミン(天使)

アルミン「……わかったよ」


アニ「……お待たせ」ガチャ

アルミン「あ、おかえり……」

アニ「!?」

ミカサ「やはり驚いている」

クリスタ「自信作だもん!」

アニ「何これ……何これ」

クリスタ「アニとおそろいの髪型にしたんだよー、可愛いよね」

アルミン「恥ずかしいよ……」

アニ「いや……可愛い」

ミカサ「しかしアニが髪を下ろしているのが残念」

アニ「結って来る」

アルミン「いやいや、目的忘れないで」


アニ「そうだったね……よろしく」

アルミン「うん、じゃぁミカサ、道具借りてくね」

ミカサ「はい、アニをよろしく」

クリスタ「ふふ、なんだかそうしてると二人が姉妹みたいだね」

アルミン「じゃぁアニが僕の妹かな?」

アニ「お姉ちゃん」

アルミン「え」

アニ「よし、髪を結っている時は私のことをお姉ちゃんと呼ぼう」

アルミン「えぇ……」

アニ「私が姉だから」

アニ(アニだけど……なんちて)


アルミン「まずはね、タオルで挟むようにして水分を取るんだ」

アニ「……うん」

アルミン「ぬれてる髪は痛みやすいから、丁寧にゆっくりやるほどいいんだ」

アニ「……ん」

アニ(やっぱり人にしてもらうのって気持ち良いな……)

アルミン「で、全体が乾いたらこのオイルを馴染ませる」

アニ(……アルミンの手……気持ちいい……)

アルミン「後、櫛で整えれば……」

アニ(………………もう終わっちゃうのか……)

アルミン「出来上がり、こんな感じかな、アニ」

アニ「…………」

アルミン「アニ?」

アニ「……………………」


アルミン「あれ、アニ?」

アニ「……………………」

アルミン「ど、どうかしたかな」

ミカサ「アルミン、ちゃんと呼んであげないと……」

アルミン「え…………あ!」

アニ「………………」

アルミン「お、お姉ちゃん?」

アニ「何?」

アルミン「終わったよ」

アニ「そう、ありがとう」

アルミン「はは……ははは……」


クリスタ「いいなぁ、アニ」

ユミル「クリスタも私のことお姉ちゃんって呼んでもいいんだぜ?」

クリスタ「えーユミルはなぁ」

ユミル「なんだよ!」

ミカサ「騒がない、二人の邪魔をしない」

ユミル「保護者様が怒っちまった」

クリスタ「でもそうだね、邪魔したら悪いもん」

ユミル「へぇへぇ」


アルミン「あ、僕そろそろ戻るね」

アニ「えぇ……」

アルミン「いい加減戻らないとまずいからさ」

アニ「……ん」

アルミン「また明日会えるよ」

アニ「本当?」

アルミン「もちろん」

アニ「わかった」

アルミン(アニってこんなかわいかったっけ!?)

クリスタ(やっぱりアニが妹だよね)


アルミン「じゃぁ、ミカサも皆も、またね」

ミカサ「今日はありがとう、アルミン、また明日」

アニ「ありがと」

アルミン「うん、それじゃ」バタン

クリスタ「あ」

ユミル「どうした?」

クリスタ「アルミン、髪の毛そのままにして行っちゃった」

アニ「可愛いしいいんじゃない?」

ミカサ「同感」



ミーナ「ねぇ、私まだ部屋に戻っちゃダメなの?」

サシャ「あーもうちょっと、もうちょっとだけ待ってください!」

ミーナ「もう……」

サシャ(ミカサからこの任務をこなせばパンがもらえるんです!やり遂げないと!)


アルミン「遅くなっちゃったな……」

アルミン「ただいまー」ガチャ

コニー「ん~俺としてはもうちょっと長いほうが良かったんだが……」

ライナー「プロじゃないんだ、そんな事求められてもな……」

アルミン「どうしたの?」

コニー「いや、ライナーに髪を切ってもらったんだけどさ」

ライナー「こいつ、3分じゃないと嫌だとか言い出してな」

コニー「だってよー、これじゃ1分だぜ、坊主ってよりハゲにちけぇよ」

エレン「どっちもかわんねぇだろ……」

コニー「変わるって!坊主舐めんな!」

アルミン「ははは……こだわりがあるんだね」


エレン「まぁそんなことどうでもいいけど、アルミンおかえり」

アルミン「ただいま」

エレン「どこ行ってたんだ?」

アルミン「ん~ちょっとね」

ライナー(誰か髪について突っ込めよ)

ベルトルト(なんかすっごい自然だし……聞きにくいよ)

ジャン(メッチャ似合ってるもんな……)

エレン(可愛い)


コニー「アルミンはその頭どうしたんだ?」

ライナー(ナイス馬鹿)

アルミン「え?」サワ

アルミン「あ!」

エレン「似合ってるぜ」

アルミン「ありがとうエレン、でも嬉しくないよ……」

エレン「似合ってるのに……」

ライナー「もしそういう趣味があるなら、別に隠す必要はないぞ」

アルミン「違うから!受け入れてくれるのはありがたいけど趣味じゃないから!」

ジャン「心配いらねぇ、お前にそういう趣味があっても俺は気にしないからよ」

アルミン「だから違うんだってば!」


.


アニ「今日はありがとね」

ミカサ「私は何もしていない」

アニ「あんたがいなくちゃアルミンに髪の手入れなんてしてもらえなかったよ」

ミカサ「そう?」

アニ「そう」

ミカサ「喜んでもらえたのなら良かった」

アニ「だから、ありがとね」

ミカサ「うん」


アニ「それで、そろそろ私もあんたに協力しようと思う」

ミカサ「おぉ……」

アニ「あんたとエレンの仲を、ね」

ミカサ「具体的な案はあるの?」

アニ「まだないけど……」

ミカサ「可愛い」

アニ「なんでそうなるの」

ミカサ「そんなに焦ることは無い」

アニ「でも……私ばっかりだし」

ミカサ「その気持ちが嬉しい」

アニ「ん……」


ミカサ「私はエレンをとても大切に思っている」

アニ「知ってる」

ミカサ「アルミンも大切だけど、元々エレンの友達だから仲良くなれた」

アニ「そうなんだ」

ミカサ「あの二人以外にできた初めての友達はアニ」

アニ「ふぅん?」ニヤ

ミカサ「だから、あなたが私のために何かしようとしてくれる」

ミカサ「それだけで十分」

アニ「あんたがいいなら良いんだけどさ……」

ミカサ「うん」


アニ「急には無理でも、私もやるから」

ミカサ「うん、ありがとう」

アニ「それだけ……寝る」

ミカサ「おやすみ、今日は一緒じゃなくていいの?」

アニ「あぁ……おやすみ」

ミカサ「…………」

アニ「…………」




アニ「もう夜も遅いし、大きい声で喋ると迷惑だと思う」

ミカサ「喋るなら小声で、近距離で喋るべき」

アニ「だよね、今の私とあんたの距離じゃ適切じゃない」

ミカサ「そう、だから寝るなら早く寝よう」

アニ「………………」

ミカサ「………………」


アニ「………………」

ミカサ「……」

アニ「…………………………」

ミカサ「……」

アニ「……話があるんだけど」

ミカサ「はいはい……」

ミーナ(素直じゃない寂しがりアニたんきゃわわ)


おしまい

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