GACKT「ぷちどる?」 (102)

これはGackt「THE IDOL M@STER?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa5.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1399994138/)
の途中くらいのssです

いつものように、小鳥が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、それなりに忙しくなってきた765プロの予定を整理していた。

そんな時、元気な足音が僕の耳に聴こえてきた。

それも二つ。

多分、あの双子だろうな。

扉を強く開ける様子も、まさに双子らしい。

朝から元気なことだ。
子供はこうでなくっちゃ。

でも、建付が悪いんだからあまり乱暴に開けるのはよろしくないな。

後ろを振り返り、注意しようとすると、真美が何かを抱えている。

それと僕に何かを期待するような笑顔だ。

「おはよう。亜美、真美。
…何それ?」

すると、真美が僕の目の前に出したのは、雪歩に似たぬいぐるみだった。

「ゆきぽ拾ったよー!!」

拾った、そうか。
恐らく何処からかおもちゃを拾ったんだろう。

けれど、誰が作ったんだろうな。

「可愛いぬいぐるみだな。
どこにあったんだ?」

「違うよ~!ゆきぽは生き物だよ~!」

亜美が訴えてくる。
こんな生き物、いるわけないじゃないか。

「ぽえ~」

…あれ?

微かにではあるが、このぬいぐるみから声がした。

真美が降ろすと、おぼつかない足取りで僕に近寄ってくる。

そして、一礼。

どういうことか。

僕は今まで生きてきてこんな生き物は見たことがない。

何処かの子供だろうか。とも思ったが、それにしては頭身の比率がおかしい。

それに指が無い。

辿り着いた結論。

この子は、未確認生物だ。

じっと見ていると、段々と震えだし、いきなりスコップを何処からか取り出した。

やっぱり雪歩に似ているな。

「ねーねー兄ちゃーん。事務所で飼っちゃダメ~?」

二人がそう頼み込んでくる。

しかし、こんな得体の知れない生き物、どうやって飼うんだろう。

それに、この二人は、ちゃんと飼えるのだろうか。

「悪いけど、許可できないな。お前達が飼えるとは思えないし」

まあ、こんな言葉ではいそうですかと言わないのは分かってるけどね。

案の定、二人はぐずりだす。

小学生じゃないんだから。

「事務所で何されるか分かったものじゃないし、無理だよ」

「兄ちゃん!見てよ!」

真美がその生き物を指差す。

ゆきぽだったっけ?

「ぽえ…」

瞳から涙を出している。

「こんな可愛くて大人しいゆきぽが事務所荒らすと思う?」

思わないかな。

「じゃあ飼ってもいい?」

「ダメ」

「「兄ちゃんのケチんぼ!!」」

すると、ゆきぽが僕によたよたと近寄って、よじ登ってくる。

噛みつくつもりだろうか。

それともスコップで殴りかかるかな?

しかし、ゆきぽがやったのは、その二つでも無ければ、予測もつかないことだった。

僕を座らせ、背後に回ると。

「ぽっ」

肩をトントン、と。

肩叩きのつもりだろうか。

あまり気持ち良くはないけど。

恐らく、何でも手伝います、ということだろう。

…全く、僕も丸くなったなあ。

「…分かったよ。律子に話しておくから」

双子が手を叩き合っている。

多分世話するのは律子になりそうだけど。

さて、律子は何て言うかな。
やっぱり断わるだろうな。あはは。

「ダメです」

だろうね。まあ当然だと思うよ。

「大体あなたがいながら何をやってんですか!こういうの許可したら次なに持ってくるか分からないでしょ!?」

「一匹だけなら大丈夫じゃないかな」

「そりゃあ、そうですけど…」

すると、また元気な足音が聴こえてきた。

「あふぅ拾ったよー!!」

今度は亜美が奇妙な生き物を持ってきた。

何事にも限度があるということを知らないのだろうか。

僕は一匹だけならいいかと思ったんだけどなあ。

「に、兄ちゃん、その、ご、すいませんでした…」
「ナノ…」

しかし、今度は美希にそっくりな生き物だな。

「ええ。でも何ででしょう。あの子だけは引き取りたくないです」

「そうだな。僕も同じ気持ちだよ」

あふぅとやらは、僕の机の上で暴れまわっていた。



「こら!何をやっているの!」

律子がつかみ上げると、ノラ猫のように暴れる。

そして、大人しくなったかと思えば、また暴れだした。

「ナノー!」

うーん。この子はNASAにでも売り飛ばしてやろうかな。

「ナノ…」

「あの、兄ちゃん、その辺で…」
「多分あふぅ今本気で怖がってるよ…」

いけないな。
こんなちいさな子を睨みつけるなんて、まだ僕も子供っぽい証拠か。

まあ、それが良いんだけどね。

「で、どうします?この二匹」

ゆきぽとあふぅを座らせ、僕と律子で結論を話し合っている。

もちろん、飼うか、飼わないか、だ。

「飼うにしても何を食べるのか分かりませんし…」

すると、亜美が何処からかおにぎりを持ってきた。

美希に似ているなら、もしかしたらと踏んだのだろう。

その推測は間違ってはいなかった。

おにぎりを見た瞬間、あふぅは亜美の手に向かって飛びついた。

そしてガツガツと食べている。

そういえば美希もおにぎりをあんな感じで食べているな。

僕も死ぬ時はあんな感じで食べたいものだ。

「あれ、私のお昼ご飯なのに…」

あはは。後で何か奢ってあげるから。

「でも、こっちは何を食べるんですかね…」

さあ。雪歩に似ているなら、お茶かもな。

「お茶…」

真美がお茶っ葉を持ってやってきた。

流石に無理があるんじゃないかな。

けど、ゆきぽはそれに向かって飛びついていった。

どうやらこの二匹もここから出ていく空気ではないらしく、仕方ないので面倒を見る事にした。

しかし、ほんとに不思議な生き物だなあ。

可愛いけど、不思議な感じだ。

ふと時計を見ると、もうすぐ美希が帰ってくる時間だった。

美希は自分にそっくりなこれを見たら、どんな反応をするのかな。

楽しみだ。

「あふぅ…疲れたの…ハニー」

美希が疲れた表情でやってきた。
頑張ってたみたいだな。

「ハニーの顔が見れたから回復したの!…でも、お腹すいたの…」

今日はまだ何も食べていないらしい。

食欲より睡眠欲を優先した結果らしい。

ソファに座り込んで何か食べたいと訴えてくる。

すると、そこにいた先客に反応した。

「これ、何なの?」

むんず、と掴んで振り回す。
それでも起きないのは、やはり美希に似ているからか。

それより、今何かあったかな…。
ああ、あったあった。

「じゃ、これあげるから」
「あの、それ私のお昼ご飯だってばぁ…」

おにぎりを差し出すと、美希が飛びついてくる。
けど、それよりも早く、あふぅがおにぎりをかっさらっていった。

「美希のおにぎりを返すのー!!」
「ナノー!!」

あはは。思考レベルは同じくらいかな。

まあ彼女らは律子に任せるとして。

先程から美希の鞄から何か変な音がする。

猫が壁を引っ掻くような、そんな音だ。

道中何か拾ってきたのか。

まさか、な。

「美希、ここには何が入ってるんだ?」

「?…あ、そういえば」

そう言って鞄をまさぐりだす美希。

すると、中から凄まじい勢いで、何かが飛び出してきた。

僕に向かって。

視界が真っ暗だ。

だけど、微かに感じる鼓動と、体温で何かの生き物が僕の顔にひっついているのは分かった。

引き剥がすと、僕の目に映ったのは。

千早にそっくりな二頭身の生き物だった。

「…くっ///」

美希が言うには、ロケ先で押し付けられたのだという。

断ればよかったものを、おにぎりひとつで快諾してしまったらしい。

律子が後ろでハリセンを構えているのは黙っておくか。

それと、この子の特徴として、ばいんばいんな女の子には噛み付くらしい。

まあ、巨乳嫌いだということか。

千早にそっくりな時点で、何となく予想は出来たけど。

しかし、貰ってしまった以上世話は見ないと可哀想だ。

だけど、事務所で飼うにしてももう二匹もいるんだから、すこし負担が大きいかな。

せっかく似てるんだし、一人暮らしなんだから、千早に押し付けておこうか。

寂しさを紛らわすくらいにはなるだろうし。

「でも、何でさっきからこの子、僕の頭叩いてるの?」

痛くはないが、うっとうしい。
スキンシップのつもりなのだろうか。

僕は叩くのは好きだけど、叩かれるのは嫌かな。

「戻りました~」

どうやら、小鳥が買い出しから戻ってきたようだ。

「小鳥、お疲れ。ちゃんと全部買ってきたか?」

「もうっ子供じゃないんですから!」
「ええと、コーヒー豆に、コピー用紙、それとファイル…」
「あと牛乳…」

小鳥が牛乳と言った瞬間、千早に似たそれが僕の頭から離れ、小鳥の目の前に陣取った。

いきなりの事に小鳥は驚いていた。

そして、じー、と見られ続けることに慣れていないからか、次第にクネクネしだす。

その子が見ているのはお前の持っている牛乳だよ、と言いたかったが、やめておこうか。

どうやら、それが好物のようだな。

すると、その子を律子がつかみ上げる。

巨乳の持ち主である律子に対して牙を向いているが、律子はお構いなしにテーブルへ連れていき、降ろした。

どうやら、ご飯を作ってあげていたらしいな。

「律子」

「はい?」

「良いお嫁さんになるよ」

「……もう///」


しかし、初めて目にするのか、食べるものなのかどうかも判別がつかないようだ。

箸を一本掴み、パンをつつく。
害が無いと分かったのか、食べだした。

小鳥、鼻血拭いておけよ。

「話は何となく理解出来ました。…でも、何で私が飼わなければならないんですか?」

千早が怪訝な表情で話す。
休日に呼び出され、いきなりこんなものを押し付けられればそうもなるだろう。

「大体、律子が飼えばいいでしょう」

すると律子が苦笑しながら語りだす。

「あはは…私が飼っても良いんだけど、あの、そのぉ…何か、体の一部が気に食わないらしくて、ね?」

千早の目に律子の体がズームアップされていくのが分かった。

そして、その一部を見て、自分の一部を見ると、ようやく分かったようだ。

どんよりとしながら、飼うことを承諾した。

「…というか、GACKTさんは飼わないんですか?結構なついてるみたいじゃないですか」

千早が僕の頭の上のそれを見ながら話す。

確かに、僕は男だしな。
でも、僕は飼うならもっと大人しいやつがいいから。

「じゃあ、ゆきぽ?」

美希がゆきぽを僕の目の前に持ってくる。

「所々穴を開けるような奴は嫌だなあ」

「ぽえっ!?」

しかし、この声は何処から出しているのだろうか。

真似してみたくなるな。

「…ところで、この子の名前は決めたんですか?」

「ああ、そういえば…」

「でしたら、私に決めさせてください!名前はゴンザr」
「はーいちひゃー、ご飯よー」
「くっ」

ちひゃーというのか。
良かったな。律子が名前をつけなければお前はゴンザレスになってたぞ。

はーいみんなー!キューティーアイドルの水瀬伊織でーす!!

今日私はやよいとプロデューサーに連れられて!!





…何故か無人島に来ています。

「いやーまさかこんなロケをすることになるとはな。まあ良い機会だし、頑張れ」

「あんたは何テント張ってくつろいでんのよバカプロデューサー!働いてんのやよいだけじゃない!」

「ならお前も働くんだな。僕は監視するのがお仕事だから」

「ぐっ…この、覚えてなさいよ!」

そう吐き捨ててやよいの所へ走っていく伊織。

あはは。元気だなあ。それにこの二人はほんとお似合いだ。

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